JP2012011672A - セラミックス製品の製造方法及びセラミックス成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックス製品を短納期で製造する。
【解決手段】予めストックしておいたセラミックス成形体に生加工を施して生加工体を得る工程と、前記生加工体を焼成して、セラミックス焼結体を得る工程と、を含むことを特徴とするセラミックス製品の製造方法。前記セラミックス成形体は、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比が0.6〜1.3であり、吸水性材料からなる底部を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリーを注型する工程と、前記吸水性材料に吸水させるとともにセラミックス粉末を着肉させる工程と、を含む成形工程を経て得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス製品の製造方法に関する。
通常、セラミックス製品は、注文を受けてから、その製品形状に合わせてセラミックス粉末を成形し、得られた成形体の生加工を行った後、焼成し、最後に焼結体の仕上げ加工がなされて製造される。したがって、注文から製品ができあがるまでは、かなりの期間を要する。なかでも鋳込み成形を用いる方法では、成形体の乾燥が難しく、湿度や温度を調整しながら長い時間をかけて乾燥させる必要があった。
鋳込み成形は、石こう等の多孔質体の成形型を用い、多孔質体の吸水作用によりセラミックススラリー中のセラミックス粉末を成形型表面に着肉させる方法であり、箱型の石こう成形型にスラリーを加圧して注入し、その圧力と成形型の毛管吸水作用を利用した固形鋳込みが一般的である。しかし、固形鋳込み法では、成形型へのセラミックスの着肉が均一でなく、得られたセラミックス成形体に密度ムラが生じ、成形体を焼結すると反りや割れが発生して、歩留まりが悪くなるという問題があった。
そこで、本出願人は、このような密度ムラの問題を無くすために、一定の方向にのみ着肉させて成形する方法を提案した(特許文献1)。
特開2007−237526号公報
このような鋳込み成形によって、密度ムラの無い均一な大型肉厚形状のセラミックス成形体を作製することが可能となった。しかしながら依然、鋳込み成形では、上記したように乾燥に時間がかかる。また、スラリーの調整や成形等の他の工程にもある程度の時間を要するので、短納期の注文には対応できないという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、セラミックス製品を短納期で製造できる方法を提供するものである。
本発明は、予めストックしておいたセラミックス成形体に生加工を施して生加工体を得る工程と、前記生加工体を焼成して、セラミックス焼結体を得る工程と、を含むことを特徴とするセラミックス製品の製造方法である。セラミックス成形体を、予めストックしておくことにより、注文を受けて直ぐに、生加工からスタートすることができるので、納期を大幅に短縮できる。
前記セラミックス成形体は、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比(湿潤体の曲げ強度/乾燥体の曲げ強度)が0.6〜1.3であることが好ましい。このようなセラミックス成形体であれば、ストック時の環境によって生加工性が変化することがないので、ストックが容易になる。
前記セラミックス成形体は、吸水性材料からなる底部を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリーを注型する工程と、前記吸水性材料に吸水させるとともにセラミックス粉末を着肉させる工程とを含む成形工程を経て得られる。このような成形方法を用いることにより、上記のような乾燥体と湿潤体とで曲げ強度の変化が小さく、ストックの容易な成形体が得られる。また、本発明のセラミックス成形体は、乾燥が容易なことから、乾燥不良がおき難く製品の歩留りを高めることができる。
さらに、本発明のセラミックス成形体は、ストック中に外部環境の影響を受けて水分量が変化するような環境であっても、問題なく製造できるので、温度や湿度管理のための乾燥設備にかかる費用を低減することができる。
セラミックス製品を短納期で製造できる。
本発明は、予めストックしておいたセラミックス成形体に生加工を施して生加工体を得る工程と、前記生加工体を焼成して、セラミックス焼結体を得る工程と、を含むことを特徴とするセラミックス製品の製造方法である。
セラミックス成形体の成形方法として、CIP成形と鋳込み成形が挙げられる。CIP成形は、セラミックス粉末にバインダを加えてスプレードライにより作製した一次粒子の集合体からなる顆粒を用いて行われ、その成形体は生密度が低く、空隙が多いことから、温度、湿度の影響を受け易い。成形体を乾燥しすぎると、硬くなり生加工時にチッピングや割れが発生し易くなり、逆に水分を帯びると、柔らかくなって変形したり、生加工時に砥石が目詰まりしたりする。このようにCIP成形による成形体は、生加工の安定性に問題があるため、ストックとして長期保管することが困難である。
一方、鋳込み成形は、顆粒を用いるCIP成形体に比べ、生強度が高く、空隙が少ないことから、温度、湿度の影響を受け難い。しかし、上記のように箱型の石こう成形型を用いた一般的な固形鋳込み成形では、密度ムラがあることから、一つの成形体から、複数の成形体を切り出して焼結体を作製すると、収縮にばらつきがあるため寸法が一定にならなかったり、変形が大きかったりといった問題が生じ易い。このような密度ムラは、大型で肉厚になるほど顕著になることから、できるだけ製品形状に近い、いわゆるニアネットに成形するのが望ましいとされてきた。
しかしながら、本出願では、従来の常識を打ち破り、予め大型で肉厚の生加工用のセラミックス成形体をストックしておくことを可能とした。セラミックス成形体を、予めストックしておくことにより、注文を受けて直ぐに、生加工から製造を始めることができるので、納期を大幅に短縮できる。
本発明のセラミックス成形体は、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比が0.6〜1.3であることが好ましい。ここで、乾燥体とは、水分量が0〜2.0質量%のものをいい。湿潤体とは、水分量が6.0〜15.0質量%のものをいう。例えば、乾燥体は、100℃、湿度0.1%の乾燥器で24時間以上乾燥して得られ、湿潤体は、25℃、湿度80%の恒温恒湿槽に24時間以上保管して得られる。本発明のセラミックス成形体は、このような乾燥環境や高湿度環境であっても、生加工性の変化が小さいことから、生加工用のストックとして長期保管することが可能である。また、保管環境も特に温度や湿度を制御する必要がないことから、ストックのためのコストを抑えることができる。乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、0.7〜1.0とすることがより望ましい。
前記セラミックス成形体は、吸水性材料からなる底部を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリーを注型する工程と、前記吸水性材料に吸水させるとともにセラミックス粉末を着肉させる工程とを含む成形工程を経て得られる。吸水性材料からなる底部を備える成形型を用いるのは、セラミックス粉末を略平面形状の底部に一方向で着肉させることで、未着肉部を無くすためである。底部に加えて側壁部にも着肉させる方法や、固形鋳込みによる方法では、対向する着肉層どうしが結合する際に、結合部へのスラリーの十分な供給が困難なため、未着肉部が生じてしまう。一方、本発明は一方向で着肉させるため未着肉部が生じることはなく、大型で肉厚の成形に好適である。
したがって、本発明における成形型は、非吸水性材料からなる側壁部を備える成形型とすることが望ましい。これは上述のような、一方向での着肉は側壁部を非吸水性材料とすることで容易になるからである。なお、底部に加えて側壁部にも着肉させる方法、すなわち側壁部が吸水性材料であっても、着肉層どうしの結合を伴わずに所望の形状の成形体が得られるのであれば、本発明を適用することができる。このような成形方法を用いることにより、上記のような乾燥体と湿潤体とで曲げ強度の変化が小さく、ストックの容易な成形体が得られる。また、本発明のセラミックス成形体は、乾燥が容易なことから、乾燥不良がおき難く製品の歩留りを高めることができる。
図1に本発明に係るセラミックスの成形方法の概略を示す模式断面図を示す。吸水性材料からなる底部1と非吸水性材料からなる側壁部4を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリー3を注型し、底部1の着肉面1aにセラミックス粉末を着肉させる。
また、底部1の吸水性材料の裏面1bの下側に真空ポンプ(図示せず)と連結された気密空間を設ける方法が採用できる。この場合、図2に示したような、底部1に吸気のための溝6を設けたり、底部1の内部に気密空間に連結されたトンネル状の溝や穴を設けたりする構造としても良い。図2の場合、溝6の空間が真空ポンプ(図示せず)により真空吸引される。
成形型の底部1を形成する吸水性材料としては、鋳込み成形で一般的に用いられている石こうが好適であるが、その他、エポキシやポリエステル等からなる樹脂、セラミックス、金属等の多孔体を用いることができる。側壁部4を構成する非吸水性材料としては、ステンレス鋼や硬質プラスチック等が好適であるが、必要に応じ、上記吸水性材料を成形型の側壁部4に採用しても良い。
本発明に用いられるスラリーは、セラミックス粉末、バインダ、分散剤および水から構成される。この他、必要に応じてpH調整剤、消泡剤等を添加しても良い。セラミックス粉末としては、アルミナ、炭化ケイ素、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、イットリア等、種々のセラミックスが適用でき、溶媒は水、アルコール等、公知のものが使用できる。成形に用いられるバインダも特に限定されず、ポリビニルアルコールやアクリルエマルジョン等公知のものが使用でき、分散剤についてもポリカルボン酸系等の一般的な材料を適用できる。
吸水性材料の気孔径および気孔率の調整は、用いる材質による。例えば石こうを用いる場合は、気孔径0.1〜10μm、気孔率30〜70%のものを適用することができる。気孔径および気孔率の制御は多孔質材量の原料粉末の粒径や結合材との配合等を調整することにより行うことができる。例えば、石こうの場合は原料である石こう粉末の粒径や混合する水量等を調整することにより可能である。その他の材質としては、樹脂や紙製のフィルターを用いることができる。
底部1の吸水性材料を真空吸引する場合には、底部1の吸水性材料の裏面1bの下側に真空ポンプと連結された気密空間を設ける方法が採用できる。この場合、図2に示したような、底部1に吸気のための溝6を設けたり、底部1の内部に気密空間に連結されたトンネル状の溝や穴を設けたりする構造としても良い。また、底板5に吸気のための溝や穴を設けることも可能である。
所望の厚みの着肉層が得られた後は、着肉層の厚みに応じて、一定時間継続して着肉層に含まれる水を吸水性材料に吸水させることが好ましい。これは、着肉層内の水分布を均一化するためである。着肉を終えた段階においては、着肉層は脱型できる程度に保形性のある固結した状態ではなく、粉末が凝集しているに過ぎない。着肉が終わった後に継続して吸水させると、吸水性材料から最も離れている着肉層の表層から水が減少していく。このとき着肉層の表層は凝集がより強固になり、脱型できる程度の保形性のある固結した状態となる。このように着肉層の表層から吸水性材料側に向かって固結化が進行していく。本成形方法においては、この固結化の工程を成形と同様に、一方向で行っているため着肉層の全ての部分で、固結化の過程が同一条件でなされ、水分布の偏りが生じず、中心部と表層とで密度ムラが生じ難い。
着肉層が得られた後の吸水時間は真空吸引圧によって異なってくる。例えば、真空吸引しない場合には、着肉厚み100mmあたり、72時間の吸水時間とすることができる。また例えば、−0.1MPaで吸引した場合は、着肉厚み100mmあたり、24時間の吸水時間とすることができる。
本発明の成形方法であれば、実質的に加湿されていない環境でセラミックス成形体を乾燥させることができる。例えば、成形型からの脱型後、加湿して湿度が調整された恒温恒湿槽等を用いることなく、加熱乾燥することができる。本発明の成形方法により得られるセラミックス成形体は、上述のように密度ムラがなく均一であり、成形体の水分布も均一化されているため、その後の乾燥において、成形体の水分布に表層と中心部とで大きな偏りができ難く、乾燥での割れの発生を抑えることができる。
通常、セラミックス成形体の乾燥では、成形体に含まれる水分量が一定になるように厳しく乾燥環境を制御する必要がある。セラミックス成形体に含まれる水分が多すぎても、少なすぎても加工が難しくなるためである。したがって、乾燥設備に莫大な費用がかかってしまう。しかしながら、本発明で得られるセラミックス成形体では、乾燥体であっても、湿潤体であっても生加工性の変化が極めて小さいことから、乾燥時の厳しい環境管理を省くことができる。したがって、保管に費用を要することなくセラミックス成形体をストックしておくことが可能となる。
セラミックス成形体をストックしておく環境としては、屋内であれば特に問題はない。セラミックス成形体が水に直接濡れないように注意すれば良い。このようなストック環境であれば、セラミックス成形体に含まれる水分量を0〜10質量%に調整でき、この範囲であれば問題なく生加工に供することができる。
本発明の成形方法による成形体の形状としては、特に限定されるものではなく、角板や円板等の板状部材の他、柱状、棒状、中子を用いて減肉したリブ形状等、種々の形状に適用できる。また、従来の固形鋳込み等に比べて大きさの制約が少なく、小型から大型まで適用可能であるが、生加工体を切り出すためのストックとしては、一辺が400mm以上、または直径300mm以上で、肉厚が40mm以上の大型肉厚形状が好ましい。
以下、本発明の実施例と比較例を具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
[実施例]
代表例として、アルミナ焼結体の実施例を説明する。スラリーは、セラミックス粉末として市販のアルミナ粉末(昭和電工社製AL−160SG−4、純度99.7%)を用い、バインダ(三井東圧化学社製WA−320)、分散剤(互応化学社製KE−552)、およびイオン交換水を調整して作製した。図2に示したような、成形型(内側寸法;幅1100mm、奥行き1100mm、深さ500mm)を用い、底部1の着肉面が水平になるように成形型を水平な場所に設置して成形を行った。成形型は石こうからなる吸水性材料の底部1と硬質プラスチックからなる非吸水性材料の側壁部4および底部の下面を支える底板5とからなり、側壁部4と底板5の連結部等はスラリーが漏れないように接着されている。真空吸引のための溝6が底部1に形成されており、溝6はそれぞれ真空源(図示しない)に連結されている。
次に作製したスラリーを成形型に注型し、着肉を始めた。真空吸引は、0〜−0.1MPaの真空度(ゲージ圧)の範囲で調整した。着肉厚みの測定は、着肉層の上面に棒を押し当てることによって行った。着肉厚みが50mmに到達したところで着肉層上にある余剰スラリーを排出(排泥)した。所定時間、−0.1MPaの真空度で吸引しながら吸水を行った後、成形体を脱型した。
得られた成形体を1週間屋内(温度15〜25℃、湿度20〜80%)に放置した後、そのまま継続して屋内放置、乾燥(100℃、湿度0.1%)、及び湿潤(25℃、湿度80%)の3条件で30日間ストックした。その後、それぞれについて生加工を行って、直径300mm×厚さ20mmの円板を9枚切り出し、得られた生加工体を焼成し、焼結体を得た。成形体の曲げ強度は、成形体の中央部から10×10×70mmの試験片を採取し、3点曲げにより強度を測定した。
その結果、屋内放置、乾燥及び湿潤において、生加工及び焼成で割れは生じなかった。また、得られた焼結体円板の直径の最大値と最小値の差は1.5mm以下であり、反り(平面度)は0.5mm以下であった。なお、乾燥条件でストックして得られた乾燥体(水分量1.2質量%)の曲げ強度は、5.3MPa、湿潤条件でストックして得られた湿潤体(水分量7.0質量%)の曲げ強度は、3.7MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、0.7であった。この結果から、ストック中に外部環境の影響を受けて水分量が変化しても、生加工性に問題がなく、密度ムラに起因する焼成割れや変形も生じ難いことがわかった。
上記アルミナ粉末の他、高純度アルミナ(純度99.99%)、炭化珪素及びジルコニアについても上記と同様の方法を用いて焼結体を作製したところ、これらの場合にも本発明が適用できることがわかった。高純度アルミナの場合には、焼結体円板の直径の最大値と最小値の差は1.5mm以下であり、反り(平面度)は0.5mm以下であった。なお、乾燥条件でストックして得られた乾燥体(水分量0.5質量%)の曲げ強度は、4.3MPa、湿潤条件でストックして得られた湿潤体(水分量6.0質量%)の曲げ強度は、4.3MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、1.0であった。
炭化珪素の場合には、焼結体円板の直径の最大値と最小値の差は1.0mm以下であり、反り(平面度)は0.3mm以下であった。なお、乾燥条件でストックして得られた乾燥体(水分量1.0質量%)の曲げ強度は、6.1MPa、湿潤条件でストックして得られた湿潤体(水分量9.0質量%)の曲げ強度は、7.9MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、1.3であった。
ジルコニアの場合には、円板の直径の最大値と最小値の差は1.2mm以下であり、反り(平面度)は0.5mm以下であった。なお、乾燥条件でストックして得られた乾燥体(水分量2.0質量%)の曲げ強度は、3.5MPa、湿潤条件でストックして得られた湿潤体(水分量15.0質量%)の曲げ強度は、2.1MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、0.6であった。
このように、本発明の製造方法によれば、セラミックス成形体を、温度及び湿度を制御していない環境で安価にストックしておくことができ、しかも製品には割れや変形が生じ難い。したがって、予めセラミックス成形体をストックしておき、注文を受けた後、直ぐにセラミックス成形体の加工からスタートすることができるので、製品の納期を大幅に短縮することが可能である。
[比較例]
比較例として、固形鋳込みとCIP成形を用いた焼結体を作製した。固形鋳込みは、上記実施例と同様のスラリーを固形鋳込み用成形型(内側寸法;幅1100mm、奥行き1100mm、厚さ50mm)に注型し、スラリーを加圧注入後も0.2MPaの圧力を維持しながら固形鋳込み成形を行った。着肉終了後、所定時間吸水させた後、成形体を脱型した。脱型後、そのまま屋内に放置したところ、成形体に割れが生じた。そこで20℃、湿度80%で3日間、湿度60%で3日間乾燥させた後、一日屋内に放置したところ割れのない成形体が得られた。
次いで実施例と同様に、屋内放置、乾燥及び湿潤した後、生加工及び焼成を行った。その結果、屋内放置及び乾燥したものは、生加工が可能であったが、湿潤したものは生加工中に破断した。焼成では、屋内放置と乾燥のいずれにも9枚中5枚に割れが生じた。割れずに焼成できた焼結体円板の直径の最大値と最小値の差は2.5mmであり、反り(平面度)は1.5mmであり、実施例と比べて変形が大きかった。乾燥体(水分量1.5質量%)の曲げ強度は、11.8MPa、湿潤体(水分量10.0質量%)の曲げ強度は、6.2MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、0.5であった。
CIP成形は、アルミナ粉末(昭和電工社製AL−160SG−1)に成型用のバインダを加え、造粒して得た顆粒を用いてCIPして成形体(幅1100mm、奥行き1100mm、厚さ50mm)を作製した。得られたCIP成形体を実施例と同様に、屋内放置、乾燥及び湿潤した後、生加工及び焼成を行った。その結果、屋内放置したもののみ生加工が可能であった。乾燥体は生加工中に破断し、湿潤体は強度が著しく低下しており加工できなかった。屋内放置で得られた生加工体を焼成したところ、割れずに焼結体が得られたものの、焼結体円板の直径の最大値と最小値の差は2.0mmであり、反り(平面度)は1.0mmであり、実施例と比べて変形が大きかった。乾燥体(水分量1.0質量%)の曲げ強度は、10.3MPa、湿潤体(水分量6.5質量%)の曲げ強度は、1.1MPaであり、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比は、0.1であった。
本発明のセラミックス成形方法の一例を示す模式断面図である。 本発明のセラミックス成形方法の他の例を示す模式断面図である。
1:吸水性材料からなる底部
1a:着肉面
1b:裏面
2:着肉層
2a:着肉層の上面
3:スラリー
4:側壁部
5:底板
6:溝

Claims (6)

  1. 予めストックしておいたセラミックス成形体に生加工を施して生加工体を得る工程と、
    前記生加工体を焼成して、セラミックス焼結体を得る工程と、
    を含むことを特徴とするセラミックス製品の製造方法。
  2. 前記セラミックス成形体は、
    乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比が0.6〜1.3である請求項1記載のセラミックス製品の製造方法。
  3. 前記セラミックス成形体は、
    吸水性材料からなる底部を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリーを注型する工程と、
    前記吸水性材料に吸水させるとともにセラミックス粉末を着肉させる工程と、を含む成形工程を経て得られる請求項1または2記載のセラミックス製品の製造方法。
  4. 前記セラミックス成形体は、ストック中に外部環境の影響を受けて水分量が変化する請求項1〜3記載のセラミックス製品の製造方法。
  5. セラミックス成形体に生加工を施して生加工体を得るためのセラミックス成形体であって、乾燥体に対する湿潤体の曲げ強度の比が0.6〜1.3であるセラミックス成形体。
  6. 前記セラミックス成形体は、吸水性材料からなる底部を備える成形型にセラミックス粉末を分散させたスラリーを注型する工程と、
    前記吸水性材料に吸水させるとともにセラミックス粉末を着肉させる工程と、を含む成形工程を経て得られる請求項5記載のセラミックス成形体。
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