JP2012002234A - 軸流タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】動翼におけるTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制し、軸流タービンの性能向上を図ることができる軸流タービンを提供する。
【解決手段】ケーシング3の主流流路2内を回転軸線C回りに回転する動翼4と、ケーシング3における動翼4と対向する位置に、凹状に形成されたキャビティ部10と、動翼4の端部から、キャビティ部10に向かって径方向外側に延びるシールフィン16と、キャビティ部10の壁面から、キャビティ部10とシールフィン16との間隔を狭める方向に突出する仕切り部13とを備え、シールフィン16は、径方向外側に向かって、回転軸線Cにおける一方の端部または他方の端部に向かって傾斜するリング板状の部材であって、仕切り部13は、キャビティ部10における径方向に延びる側壁面11のうち、シールフィン16とキャビティ部10との間隔が広い領域に対向する部分からシールフィン16に向かって突出している。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、航空機用エンジンの低圧タービンや、産業用ガスタービンなどの軸流ガスタービンに用いて好適な軸流タービンに関する。
従来、軸流タービンにおいて、タービン動翼の先端とケーシングの内周面との間には、タービン動翼とケーシングとの干渉を避けるために隙間(以下、Tipクリアランスと表記する。)が設けられている。このTipクリアランスは、タービン動翼やケーシングにおける熱膨張や、スラスト荷重によるタービン動翼の移動などを、少なくとも吸収できる間隔として設けられている。
しかしながら、上述のようなTipクリアランスを設けると、Tipクリアランスを介してタービン動翼を迂回して下流に向かって流れるパイパス流れが発生し、このバイパス流れにより軸流タービンの性能低下が起きるという問題があった。
そのため、このような性能低下を防止するため、バイパス流れの流量を抑制するさまざまな技術、例えば、ケーシングの内周面に凹状に形成されたキャビティ部と、タービン動翼との間に形成されたTipクリアランスにパイパス流れを遮る複数のフィンを設ける技術などが提案されている(例えば、特許文献1から7参照。)。
特開2000−073702号公報 特開2003−138906号公報 特開2005−127198号公報 特開2002−371802号公報 特開2005−146977号公報 特開2006−138259号公報 特開2004−044496号公報
しかしながら、上述した複数のフィンを、キャビティ部に設けられたTipクリアランスに配置するため、キャビティ部が大きくなり、付加的な損失が発生するという問題があった。
具体的には、タービン動翼やタービン静翼が設けられた主流流路からキャビティ部にバイパス流れが流入する際に、バイパス流れの渦が発生することにより、付加的な損失が発生するという問題があった。さらに、キャビティ部から上記主流流路にバイパス流れが流入する際にも、バイパス流れの渦が発生することにより、付加的な損失が発生するという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、動翼におけるTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制し、軸流タービンの性能向上を図ることができる軸流タービンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の軸流タービンは、ケーシングの主流流路内を回転軸線回りに回転する動翼と、前記ケーシングにおける前記動翼と対向する位置に、凹状に形成されたキャビティ部と、前記動翼の端部から、前記キャビティ部に向かって径方向外側に延びるシールフィンと、前記キャビティ部の壁面から、前記キャビティ部と前記シールフィンとの間隔を狭める方向に突出する仕切り部と、が設けられ、前記シールフィンは、径方向外側に向かって、前記回転軸線における一方の端部または他方の端部に向かって傾斜するリング板状の部材であって、前記仕切り部は、前記キャビティ部における径方向に延びる側壁面のうち、前記シールフィンと前記キャビティ部との間隔が広い領域に対向する部分から前記シールフィンに向かって突出していることを特徴とする。
本発明によれば、主流流路からキャビティ部に流体が流入し、キャビティ部とシールフィンとの間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り部がキャビティ部から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り部により遮られる。
または、キャビティ部から主流流路に流体が流出する場合であって、キャビティ部とシールフィンとの間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り部がキャビティ部から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り部により遮られる。
そのため、動翼を迂回して流れるバイパス流れ、言い換えると、主流流路からキャビティ部に流入し、動翼に設けられたシールフィンとキャビティ部との間のTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制することができ、軸流タービンの性能低下を防止することができる。
さらに、シールフィンが上述のように傾斜を有するリング板状の部材であっても、シールフィンとキャビティ部との間隔が広い領域に向かって、シールフィンと略平行に仕切り部を延ばすことで、動翼を迂回するバイパス流れの流路を絞ることができ、バイパス流れの流量を抑制することができる。
また、本発明の軸流タービンは、ケーシングの主流流路内を回転軸線回りに回転する動翼と、前記ケーシングにおける前記動翼と対向する位置に、凹状に形成されたキャビティ部と、前記動翼の端部から、前記キャビティ部に向かって径方向外側に延びるシールフィンと、前記キャビティ部の壁面から、前記キャビティ部と前記シールフィンとの間隔を狭める方向に突出する仕切り部と、が設けられ、前記シールフィンは、径方向外側に向かって、前記回転軸線における一方の端部または他方の端部に向かって傾斜するリング板状の部材であって、前記仕切り部は、前記キャビティ部における径方向に延びる側壁面のうち、前記シールフィンと前記キャビティ部との間隔が広い領域と対向する部分から、前記シールフィンが延びる方向に略沿って延びていることを特徴とする。
本発明によれば、主流流路からキャビティ部に流体が流入し、キャビティ部とシールフィンとの間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り部がキャビティ部から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り部により遮られる。
または、キャビティ部から主流流路に流体が流出する場合であって、キャビティ部とシールフィンとの間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り部がキャビティ部から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り部により遮られる。
そのため、動翼を迂回して流れるバイパス流れ、言い換えると、主流流路からキャビティ部に流入し、動翼に設けられたシールフィンとキャビティ部との間のTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制することができ、軸流タービンの性能低下を防止することができる。
さらに、シールフィンが上述のように傾斜を有するリング板状の部材であっても、シールフィンとキャビティ部との間隔が広い領域に向かって仕切り部を突出させることで、動翼を迂回するバイパス流れの流路を絞ることができるため、バイパス流れの流量を抑制することができる。
上記発明においては、前記仕切り部は、前記キャビティ部の内壁から突出して延びる板状の部材であることが望ましい。
本発明によれば、仕切り部を段差状に形成する場合と比較して、仕切り部の重量を軽減することができるため、軸流タービンの重量の増加を防止することが出来る。さらに、仕切り部を構成するのに必要な材料を削減できるため、軸流タービンの製造コスト増加を防止することができる。
上記発明においては、前記仕切り部は、前記キャビティ部の内壁から突出する段差部であることが望ましい。
本発明によれば、仕切り部を板状の部材から構成する場合と比較して、仕切り部の強度を向上させることができる。
本発明の軸流タービンによれば、キャビティ部から突出している仕切り部により、流体の渦状の流れは仕切り部により遮られ、動翼におけるTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制し、軸流タービンの性能向上を図るという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。 図1の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。 図1の軸流タービンのさらに別の実施形態を説明する部分断面図である。 図1の軸流タービンのさらに別の実施形態を説明する部分断面図である。 図1の軸流タービンのさらに別の実施形態を説明する部分断面図である。 本発明の第1の実施形態の変形例の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。 図6の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。 図8の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。 本発明の第2の実施形態の変形例の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。 図10の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る軸流タービンついて図1から図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。
軸流タービン1には、図1に示すように、内部に燃焼ガスなどの高温流体が流れる主流流路2が形成されるケーシング3と、回転軸(図示せず)とともに回転軸線C回りに回転可能に配置された動翼4と、ケーシング3に取り付けられた静翼5と、が設けられている。
ケーシング3は略円筒状に形成された部材であって、内部に主流流路2や、動翼4や、静翼5が配置されるものである。
ケーシング3における動翼4および静翼5が配置された領域は、図1に示すように、内周面が、上流側から下流側に向かって(図1の左側から右側に向かって)、回転軸線Cを中心とする径方向外側に向かって傾斜して形成されている。
さらに、ケーシング3における動翼4と対向する内周面には、回転軸線Cを中心とする径方向外側に向かって凹状に形成されたキャビティ部10が設けられている。言い換えると、キャビティ部10は、ケーシング3の内周面に形成された円環状の溝部である。
キャビティ部10に隣接するケーシング3の内周面には、静翼5がキャビティ部10に沿って、略等間隔に並ぶとともに、径方向内側に向かって延びて配置されている。
なお、ケーシング3における動翼4および静翼5が配置された領域よりも上流側(図1の左側)には、外部の空気を圧縮する圧縮機や、圧縮された空気に燃料を混合させ燃焼を行う燃焼器などが配置されていてもよく、特に限定するものではない。
キャビティ部10には、径方向外側に向かって、回転軸線Cに対して略垂直に延びる一対の側壁面11と、一対の側壁面11の間を繋ぐように形成された周壁面12と、側壁面11に設けられた仕切り板(仕切り部)13と、が設けられている。
周壁面12は、上流側から下流側に向かって、回転軸線Cまでの距離つまり半径が離散的に大きくなるステップ状の段が形成されている。周壁面12における段は、後述する動翼4のシールフィン16の数に対応して定められている。具体的には、周壁面12における動翼4と対向する周状の面の数が、シールフィン16の数と対応して定められている。例えば、上述の周状の面の数が、シールフィン16の数と同数になるように形成されている。
本実施形態では、周状の面の数およびシールフィン16の数がともに3つの例に適用して説明するが、この例に限定されるものではない。
仕切り板13は、動翼4とキャビティ部10との間の隙間を流れるバイパス流れを抑制するとともに、動翼4とキャビティ部10との間の空間における渦の発生を抑制するものである。
仕切り板13は、図1に示すように、上流側の側壁面11から動翼4に向かって、回転軸線C方向に沿って延びる略円筒状の板部材である。より具体的には、仕切り板13は、側壁面11におけるシールフィン16の根元、言い換えると、シールフィン16とシュラウド15との接合部と対向する領域の近傍から、シールフィン16に向かって延びるように設けられている。
仕切り板13における側壁面11からシールフィン16への突出量は、仕切り板13の先端からシールフィン16や、シュラウド15などまでの距離が、シールフィン16の先端から側壁面11までの距離と略等しくなる程度に設定されている。さらに、仕切り板13の突出量は、仕切り板13が主流流路2内にはみ出ない程度に設定されている。
なお、上述のキャビティ部10や仕切り板13などを有するケーシング3は、鋳物の一体形成で製造されてもよいし、仕切り板13など別個に製造し、後で溶接などの方法でケーシング3に取り付けてもよく、特に限定するものではない。
動翼4には、径方向外側の端部つまり翼端に配置されたシュラウド15と、シュラウド15における径方向外側の面つまり外周面に配置されたシールフィン16と、が設けられている。
シュラウド15は、動翼4の翼端に設けられた周方向に延びる部材である。なお、シュラウド15の形状としては、公知の形状を用いることができ、特に限定するものではない。
シールフィン16は、動翼のシュラウド15と、キャビティ部10の周壁面12との隙間を狭めてTipクリアランスを形成することにより、Tipクリアランスを介して動翼4を迂回して下流に向かって流れるバイパス流れを抑制するものである。
シールフィン16は、シュラウド15の外周面から周壁面12に向かって延びるリング板状の部材であって、複数のシールフィン16が回転軸線C方向に沿って間隔を開けて配置されている。より詳細には、シールフィン16は、シュラウド15の外周面から径方向外側に向かって、上流側(図1の左側)に傾斜する傾斜面を有する部材である。シールフィン16の傾斜角としては、主流流路2を流れる流体流れに対して、シールフィン16の面が略直交するする傾斜角を例示することができる。
なお、シールフィン16の傾斜角は、上述の傾斜角に限定されるものではなく、その他のさまざまな傾斜角であってもよく、特に限定するものではない。
動翼4とキャビティ部10との間には、動翼4の回転を可能にするとともに、動翼4とキャビティ部10との干渉を避けるため、所定の間隔の隙間(クリアランス)が設けられている。クリアランスは、動翼4やケーシング3などの熱膨張による伸縮差を吸収するとともに、スラストによる動翼4の移動量などを吸収できる間隔に設定されている。
次に、上記の構成からなる軸流タービン1における流体の流れについて説明する。
軸流タービン1の主流流路2を流れる流体は、図1に示すように、静翼5および動翼4の間を流れ、動翼4を回転軸線C回りに回転駆動させながら、上流側から下流側に向かって流れる。
このとき、主流流路2を流れる流体の一部は、動翼4を迂回して、ケーシング3と動翼4との間を流れるバイパス流れとなる。
バイパス流れは、キャビティ部10とシュラウド15との間の隙間のうち、上流側の隙間であるキャビティ入口部から、キャビティ部10の内部に流入する。このとき、キャビティ部10と動翼4との最小隙間は、仕切り板13とシールフィン16またはシュラウド15との間の隙間、および、仕切り板13の先端と側壁面11との間の隙間の少なくとも一方となっている。そのため、仕切り板13が設けられていない場合と比較して、キャビティ部10内における流体の流路面積が狭くなり、流体の主流流路2からキャビティ部10への流入流量は減少する。
さらに、流体がキャビティ部10に流入する際、側壁面11からシールフィン16に向かって突出する仕切り板13により、渦状の流れが阻害される。
キャビティ部10に流入した流体は、周壁面12とシールフィン16との隙間であるTipクリアランスを流れた後に、下流側の側壁面11とシュラウド15との隙間であるキャビティ出口部から主流流路2に流入する。
上記の構成によれば、主流流路2からキャビティ部10に流体が流入し、キャビティ部10とシールフィン16との間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り板13がキャビティ部10の側壁面11から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り板13により遮られる。
そのため、動翼4を迂回して流れるバイパス流れ、言い換えると、主流流路2からキャビティ部10に流入し、動翼4に設けられたシールフィン16とキャビティ部10との間のTipクリアランスを流れるバイパス流れの乱れを抑制することができ、軸流タービン1の性能低下を防止することができる。
仕切り板13を略円筒状の板部材とすることにより、仕切り板13を段差状に形成する場合と比較して、仕切り板13の重量を軽減することができる。そのため、軸流タービン1の重量の増加を防止することができる。さらに、仕切り板13を構成するのに必要な材料を削減できるため、軸流タービン1の製造コスト増加を防止することができる。
例えば、重量の増加を防止する効果は、軸流タービン1を航空分野に用いた場合に好適な効果である。一方、製造コスト増加を防止する効果は、軸流タービン1を産業分野に用いた場合に好適な効果である。
シールフィン16が上述のように傾斜を有するリング板状の部材であっても、シールフィン16とキャビティ部10との間隔が広い領域に向かって仕切り板13を突出させることで、動翼4を迂回するバイパス流れの流路を絞ることができるため、バイパス流れの流量を抑制することができる。
図2は、図1の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。
なお、上述の実施形態のように、仕切り板13を上流側の側壁面11に設けてもよいし、図2に示すように、下流側の側壁面11に設けてもよいし、上流側および下流側の側壁面11の両者に仕切り板13を設けてもよく、特に限定するものではない。
下流側の側壁面11に仕切り板13を設ける場合には、より具体的には、下流側の側壁面11におけるシールフィン16の先端と対向する領域に仕切り板13が設けられている。仕切り板13における側壁面11からの突出量は、仕切り板13の先端と側壁面11との間の間隔が、シュラウド15と側壁面11との間の間隔と略等しくなるように設定されている。
下流側の側壁面11に仕切り板13を設けることにより、キャビティ部10から主流流路2に流体が流出する場合であって、キャビティ部10とシールフィン16との間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り板13がキャビティ部10から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り板13により遮られる。
図3から図5は、図1の軸流タービンのさらに別の実施形態を説明する部分断面図である。
なお、上述の実施形態のように、ケーシング3の内周面が上流側から下流側に向かって、径方向外側に向かって傾斜して傾斜していてもよいし、図3から図5に示すように、回転軸線Cと略平行に延びる円筒面として形成されていてもよく、特に限定するものではない。
ここで、図3では、キャビティ部10の周壁面12も、回転軸線Cに沿って延びる一つの面として構成される実施形態を示している。図4では、周壁面12がステップ状の段を有する面であって、上流側(図4の左側)の周壁面12が回転軸線Cに近く、下流側(図4の右側)の周壁面12が回転軸線Cから遠い面として構成されている実施形態を示している。図5では、周壁面12がステップ状の段を有する面であって、上流側(図5の左側)の周壁面12が回転軸線Cから遠く、下流側(図5の右側)の周壁面12が回転軸線Cに近い面として構成されている実施形態を示している。
〔第1の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第1の実施形態の変形例について図6および図7を参照して説明する。
本変形例の軸流タービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、キャビティ部の周辺構成が異なっている。よって、本変形例においては、図6および図7を用いてキャビティ部の周辺構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図6は、本変形例の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
軸流タービン101のケーシング3における動翼4と対向する内周面には、図6に示すように、回転軸線Cを中心とする径方向外側に向かって凹状に形成されたキャビティ部110が設けられている。
キャビティ部110には、一対の側壁面11と、周壁面12と、側壁面11に設けられた段差状の仕切り部(段差部)113と、が設けられている。
仕切り部113は、動翼4とキャビティ部110との間の隙間を流れるバイパス流れを抑制するとともに、動翼4とキャビティ部110との間の空間における渦の発生を抑制するものである。
仕切り部113は、図6に示すように、上流側の側壁面11から動翼4に向かって、回転軸線C方向に沿って延びる段差面を有する段差である。仕切り部113は、第1の実施形態における仕切り板13と同様に、側壁面11におけるシールフィン16の根元、言い換えると、シールフィン16とシュラウド15との接合部と対向する領域の近傍から、シールフィン16に向かって延びるように設けられている。
仕切り部113の径方向外側の面、言い換えると、外周面は、回転軸線C方向に沿って延びる面として形成され、径方向内側の面つまり内周面は回転軸線Cに向かって上流側(図6の左側)に傾く傾斜面として形成されている。
なお、仕切り部113の形成方法としては、仕切り部113を残すように側壁面11を切削して形成する方法や、第1の実施形態の仕切り板13の径方向内側に、溶接などの方法で肉盛して仕切り部113の形状を形成する方法などを挙げることができる。
仕切り部113における側壁面11からシールフィン16への突出量は、仕切り部113の先端からシールフィン16や、シュラウド15などまでの距離が、シールフィン16の先端から側壁面11までの距離と略等しくなる程度に設定されている。
上記の構成からなる軸流タービン101における流体の流れは、第1の実施形態に係る軸流タービン1における流体の流れと同様であるので、その説明を省略する。
上記の構成によれば、第1の実施形態の仕切り板13と比較して、本変形例の仕切り部113はその強度を向上させることができ、軸流タービン101の強度を向上させることができる。
図7は、図6の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。
なお、上述の実施形態のように、仕切り部113を上流側の側壁面11に設けてもよいし、図7に示すように、下流側の側壁面11に設けてもよいし、上流側および下流側の側壁面11の両者に仕切り部113を設けてもよく、特に限定するものではない。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8および図9を参照して説明する。
本実施形態の軸流タービンの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、キャビティ部の周辺構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図8および図9を用いてキャビティ部の周辺構成のみを説明し、その他の構成要素等の説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
軸流タービン201のケーシング3における動翼4と対向する内周面には、図8に示すように、回転軸線Cを中心とする径方向外側に向かって凹状に形成されたキャビティ部210が設けられている。
キャビティ部210には、一対の側壁面11と、周壁面12と、側壁面11に設けられた段差状の仕切り板(仕切り部)213と、が設けられている。
仕切り板213は、動翼4とキャビティ部210との間の隙間を流れるバイパス流れを抑制するとともに、動翼4とキャビティ部210との間の空間における渦の発生を抑制するものである。
仕切り板213は、図8に示すように、上流側の側壁面11から動翼4に向かって、径方向内側つまり回転軸線Cに向かって傾斜するリング板状の板部材である。より具体的には、仕切り板213は、シールフィン16と略平行に延びるリング板状の板部材であって、仕切り板213とシールフィン16との間隔は、上流側のシュラウド15と側壁面11との間隔と略等しくなるように設定されている。
仕切り板213はキャビティ部210内に収まるように、つまり、仕切り板213の先端言い換えると内周側の端部は、キャビティ部210内に収まるように構成されている。
次に、上記の構成からなる軸流タービン201における流体の流れについて説明する。
なお、主流流路2における流体の流れについては、第1の実施形態と同様であるので、その説明を省略し、ここではバイパス流れについて説明する。
バイパス流れは、キャビティ部210とシュラウド15との間の上流側の隙間であるキャビティ入口部から、キャビティ部210の内部に流入する。このとき、キャビティ部10と動翼4との最小隙間は、仕切り板213とシールフィン16またはシュラウド15との間の隙間と同等の隙間になっている。そのため、仕切り板13が設けられていない場合と比較して、キャビティ部10内における流体の流路面積が狭くなり、流体の主流流路2からキャビティ部10への流入流量は減少する。
さらに、キャビティ部210内の流路面積が狭くなっているため、流体が渦状に流れにくくなり、キャビティ部210内での渦の発生が抑制される。
キャビティ部210に流入した流体は、周壁面12とシールフィン16との隙間であるTipクリアランスを流れた後に、下流側の側壁面11とシュラウド15との隙間であるキャビティ出口部から主流流路2に流入する。
上記の構成によれば、シールフィン16が上述のように傾斜を有するリング板状の部材であっても、シールフィン16とキャビティ部210との間隔が広い領域に向かって、シールフィン16と略平行に仕切り部を延ばすことで、動翼4を迂回するバイパス流れの流路を絞ることができ、バイパス流れの流量を抑制することができる。
図9は、図8の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。
なお、上述の実施形態のように、仕切り板213を上流側の側壁面11に設けてもよいし、図9に示すように、下流側の周壁面12に設けてもよいし、上流側の側壁面11および下流側の周壁面12の両者に仕切り板213を設けてもよく、特に限定するものではない。
下流側の周壁面12に仕切り板213を設ける場合には、より具体的には、下流側の周壁面12から仕切り板213が、シールフィン16と略平行に延びるように設けられている。仕切り板213とシールフィン16との間隔は、例えば、下流側のシュラウド15と側壁面11との間隔と略同等になるように設定されている。
下流側の周壁面12に仕切り板213を設けることにより、キャビティ部210から主流流路2に流体が流出する場合であって、キャビティ部210とシールフィン16との間の空間で渦が発生する場合であっても、仕切り板213がキャビティ部210から突出しているため、流体の渦状の流れは仕切り板213により遮られる。
〔第2の実施形態の変形例〕
次に、本発明の第2の実施形態の変形例について図10および図11を参照して説明する。
本変形例の軸流タービンの基本構成は、第2の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、キャビティ部の周辺構成が異なっている。よって、本変形例においては、図10および図11を用いてキャビティ部の周辺構成のみを説明し、その他の構成等の説明を省略する。
図10は、本変形例の実施形態に係る軸流タービンの構成を説明する部分断面図である。
なお、第2の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
軸流タービン301のケーシング3における動翼4と対向する内周面には、図11に示すように、回転軸線Cを中心とする径方向外側に向かって凹状に形成されたキャビティ部310が設けられている。
キャビティ部310には、一対の側壁面11と、周壁面12と、側壁面11に設けられた段差状の仕切り部(段差部)313と、が設けられている。
仕切り部313は、動翼4とキャビティ部310との間の隙間を流れるバイパス流れを抑制するとともに、動翼4とキャビティ部310との間の空間における渦の発生を抑制するものである。
仕切り部313は、図6に示すように、上流側の側壁面11から径方向内側つまり回転軸線Cに向かって、シールフィン16と略平行に延びる段差面を有する段差である。仕切り部313は、側壁面11におけるシールフィン16と対向する領域に設けられている。
なお、仕切り部313の形成方法としては、仕切り部313を残すように側壁面11を切削して形成する方法や、第2の実施形態の仕切り板213の径方向内側に、溶接などの方法で肉盛して仕切り部313の形状を形成する方法などを挙げることができる。
上記の構成からなる軸流タービン301における流体の流れは、第2の実施形態に係る軸流タービン201における流体の流れと同様であるので、その説明を省略する。
上記の構成によれば、第2の実施形態の仕切り板213と比較して、本変形例の仕切り部313はその強度を向上させることができ、軸流タービン301の強度を向上させることができる。
図11は、図10の軸流タービンの別の実施形態を説明する部分断面図である。
なお、上述の実施形態のように、仕切り部313を上流側の側壁面11に設けてもよいし、図11に示すように、下流側の周壁面12に設けてもよいし、上流側の側壁面11および下流側の周壁面12の両者に仕切り部313を設けてもよく、特に限定するものではない。
1,101,201,301 軸流タービン
2 主流流路
3 ケーシング
4 動翼
10,110,210,310 キャビティ部
11 側壁面
12 周壁面
13,213 仕切り板(仕切り部)
16 シールフィン
113,313 仕切り部(段差部)
C 回転軸線

Claims (4)

  1. ケーシングの主流流路内を回転軸線回りに回転する動翼と、
    前記ケーシングにおける前記動翼と対向する位置に、凹状に形成されたキャビティ部と、
    前記動翼の端部から、前記キャビティ部に向かって径方向外側に延びるシールフィンと、
    前記キャビティ部の壁面から、前記キャビティ部と前記シールフィンとの間隔を狭める方向に突出する仕切り部と、
    が設けられ、
    前記シールフィンは、径方向外側に向かって、前記回転軸線における一方の端部または他方の端部に向かって傾斜するリング板状の部材であって、
    前記仕切り部は、前記キャビティ部における径方向に延びる側壁面のうち、前記シールフィンと前記キャビティ部との間隔が広い領域に対向する部分から前記シールフィンに向かって突出していることを特徴とする軸流タービン。
  2. ケーシングの主流流路内を回転軸線回りに回転する動翼と、
    前記ケーシングにおける前記動翼と対向する位置に、凹状に形成されたキャビティ部と、
    前記動翼の端部から、前記キャビティ部に向かって径方向外側に延びるシールフィンと、
    前記キャビティ部の壁面から、前記キャビティ部と前記シールフィンとの間隔を狭める方向に突出する仕切り部と、
    が設けられ、
    前記シールフィンは、径方向外側に向かって、前記回転軸線における一方の端部または他方の端部に向かって傾斜するリング板状の部材であって、
    前記仕切り部は、前記キャビティ部における径方向に延びる側壁面のうち、前記シールフィンと前記キャビティ部との間隔が広い領域と対向する部分から、前記シールフィンが延びる方向に略沿って延びていることを特徴とする軸流タービン。
  3. 前記仕切り部は、前記キャビティ部の内壁から突出して延びる板状の部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の軸流タービン。
  4. 前記仕切り部は、前記キャビティ部の内壁から突出する段差部であることを特徴とする請求項1または2に記載の軸流タービン。
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