JP2012001799A - 防錆フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム製膜時の発煙や臭気発生が抑制され、加工性に優れ、金属部品などの包装フィルムとしての強度を有し、且つ、包装後の初期段階より長期に渡り防錆効果を付与された防錆フィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも1層以上の気化性防錆剤を含有する防錆樹脂層を有する防錆フィルムにおいて、前記気化性防錆剤は室温(20℃)で蒸気圧0.2Pa以上の速効性気化性防錆剤であり、且つ、前記防錆樹脂層は、ベース樹脂に前記速効性気化性防錆剤を混練した後、樹脂温度120〜140℃で溶融押し出し製膜されたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属からなる機械・器具や電気電子部品等を包装して、保管、搬送、輸送中に、金属表面が酸化されて発錆したり、破損するのを防止するための防錆包装に用いる、樹脂層に含まれる気化性防錆剤によって防錆効果を発揮する防錆フィルムに関する。
防錆包装の目的は、金属材料やその部品に対して材質、形状、表面仕上げの程度およびその機能を考慮して適切な防錆包装材料を用い、輸送・保管などにおける物理的あるいは温湿度、排気ガス、光などの環境から物品の劣化や損傷を防ぐことにある。防錆包装の技術は、第二次世界大戦中の米国において、兵器や軍需品の海上長距離輸送やこれらを高温多湿地域で保管中に発生する錆を防止することを契機に急速に発達した。わが国では1959年(昭和34年)に、MIL−P−116B(米軍規格:防錆包装方法)を参考にして、JIS−Z−0303(さび止め包装方法通則)が制定され、防錆管理に広く利用されている。
防錆油等の塗布による防錆を行えない様な機械・器具、精密機器や電子部品などの保管、搬送、輸送については、気化性防錆剤が多く用いられている。通常、被防錆対象物を包装する際に当該包装体の内部空間に気化性防錆剤を挿入しておき、揮発する防錆成分を被防錆対象物の表面に化学的もしくは物理的に吸着させることによって、大気中の酸素や湿気などによる酸化(腐食)を防止する。
通常の気化性防錆剤は、常温で揮発して防錆効果を発揮するものであるため、粉末状あるいは液体状の気化性防錆剤を直接被防錆対象物に散布ないし塗布しただけでは、防錆成分が短期間のうちに揮発してしまい防錆効果を喪失する。また、粉末状や液体状の気化性防錆剤では、それを被防錆対象物に散布あるいは塗布するのに手間がかかり、多孔質の小袋等に気化性防錆剤を別包する必要がある。また、それら防錆成分の担体成分が被防錆対象物の表面に付着すると、特に精密機器等では機能障害を起す原因になることがあり、除去の手間が非常に煩雑である。
そこで、例えば、特許文献1等に開示されているように、上記した気化性防錆剤をポリエチレンなどプラスチックフィルムに塗布あるいは練りこんだ防錆フィルムが多く使われている。金属の腐食(錆び)反応は、例えば、図1に示す鉄の腐食反応の様に、水や酸素の存在下で促進される。防錆フィルムは、フィルムに含有される防錆薬剤が気化し、金属表面に皮膜を形成することで金属が水や酸素と反応することを防ぐ役割を果たしている。
しかしながら、ベース樹脂層に薬剤を混練する際、従来のフィルム製膜条件では、加工段階での薬剤の揮発が生じ易く、フィルムに含有される薬剤が求められる量よりも少なくなり、十分な防錆性能を発揮することができない。そこで、加工時に散逸する薬剤量を考慮して余分の薬剤を大量に添加すると、フィルムの加工性・製膜性が悪くなり、更に発煙、臭気等製造時の安全性の面でも問題があった。これらの問題点に対して、例えば、特許文献2では、分解温度が155〜250℃である特定の耐熱性の気化性防錆剤を高い配合割合で含有する樹脂組成物を内層に使用し、防錆剤を含有しない樹脂組成物を外層とした2層フィルムを、140℃以上で気化性防錆剤の分解温度以下である押し出し温度で管状に押し出す、防錆性能を有する2層フィルムの製造方法が開示されている。また、特許文献3では、基材の片面または両面に、防錆剤を含む樹脂材料を溶融押し出ししてラミネートした防錆シートが提案されており、樹脂温度を170℃以上280℃以下で押し出す技術が開示されている。
ここで、金属加工部品を保存する際に使用する防錆フィルムの機能に関しては、気化性防錆剤が保存対象に防錆皮膜を生成するのに時間を要し、防錆対象物への防錆皮膜を生成し難いため、結果的に発錆防止効果がうまく発現しない問題点がある。そのため、防錆性能を向上させるためには気化性の高い薬剤を用いることが望ましいが、前述したように、ベース樹脂層に薬剤を混練する際、気化性の高い薬剤は従来のフィルム製膜条件では、加工段階での薬剤の揮発が生じ易く、フィルムに含有される薬剤が必要な量よりも少なくなり、十分な防錆性能を発揮することができない問題点があるのが実情であった。
特開昭49−1644号公報 特公昭63−56053号公報 特開2003−246022号公報
本発明は上記した実情を考慮し問題点を克服するためになされたもので、フィルム製膜時の発煙や臭気発生が抑制され、加工性に優れ、金属部品などの包装フィルムとしての強度を有し、且つ、包装後の初期段階より長期に渡り防錆効果を付与された防錆フィルムを提供することを課題としている。
本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも1層以上の気化性防錆剤を含有する防錆樹脂層を有する防錆フィルムにおいて、
前記気化性防錆剤は室温(20℃)で蒸気圧0.2Pa以上の速効性気化性防錆剤であり、且つ、前記防錆樹脂層は、ベース樹脂に前記速効性気化性防錆剤を混練した後、樹脂温度120〜140℃で溶融押し出し製膜されたものであることを特徴とする防錆フィルムである。
また本発明の請求項2に係る発明は、前記速効性気化性防錆剤は、脂肪族酸または芳香族酸の各級アンモニウム塩の1種または複数種から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルムである。
また本発明の請求項3に係る発明は、前記速効性気化性防錆剤は、アミン系カルボン酸塩を主成分としたものであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルムである。
また本発明の請求項4に係る発明は、前記防錆樹脂層の前記ベース樹脂は、密度=0.91〜0.93g/cm、MFR(190℃,21.18N,A)=5〜10g/10分間の低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルムである。
ここで、MFR(Melt Flow Rate)は、JIS K 7210の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法で定義され、A法(手動切り取り法)、試験温度190℃、試験荷重21.18Nでの値を示す。
また本発明の請求項5に係る発明は、前記速効性気化性防錆剤を含有する前記防錆樹脂層を最内層として、その外側に1層以上の前記速効性気化性防錆剤を含有しない層が積層
されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載する防錆フィルムである。
本発明の防錆フィルムは、速効性の気化性防錆剤を、特定の密度とMFRを有する低密度ポリエチレン樹脂に代表される低温溶融押し出し適性と強度を有するベース樹脂に含有し、気化性防錆剤の散逸を抑制した低温で溶融押し製膜された防錆樹脂層を有していることを特徴としている。そのため、フィルム製膜時の発煙や臭気発生が抑制され、加工性にも優れ、金属部品などの包装フィルムとしての強度を有し、且つ、包装後の初期段階より長期に渡り防錆効果を付与された防錆フィルムを得ることが可能となった。
従来の防錆フィルムに使用されている気化性防錆剤は、保存対象に防錆被膜を生成するのに一般的な作業環境下であれば2〜3時間程度を要する。梱包後に即時で発錆促進環境(多湿環境等)に移動が必要な場合、防錆効果が発現する迄に対象物に発錆する可能性がある。そこで、初期防錆の効果を向上させるために防錆剤の皮膜生成速度を上げ、対象物側への気化移動速度を上げることが必要である。本発明によれば、防錆剤の常温環境下における蒸気圧0.2Pa以上の速効性の気化性防錆剤を、防錆剤の気化蒸気を放散しやすい低密度ポリエチレンに代表されるベース樹脂に含有させると共に、溶融押し出し時に散逸されずフィルム中に必要な量が保持できる。そのため、本発明の防錆フィルムで金属部品を包装した時に、包装後の初期段階より長期に渡り防錆状態を継続する効果が得られる。
金属の腐食(錆び)反応の一例として、鉄の腐食反応を示した説明図である。 本発明の防錆フィルムの、一実施形態で単層フィルムの例を示した模式図である。 本発明の防錆フィルムの、一実施形態で積層フィルムの例を示した模式図である。 本発明の防錆フィルムを用いた、防錆包装体の一実施形態例を示す模式図である。
以下、本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の防錆フィルム(100)は、図2に模式的に示すように、ベース樹脂に、室温(20℃)で蒸気圧0.2Pa以上の速効性気化性防錆剤を混練した後、樹脂温度120〜140℃で溶融押し出し製膜されたものである。
ここで、本発明の防錆フィルムに係る気化性防錆剤の「速効性」は、防錆剤の常温環境下における蒸気圧で区別したものである。室温で蒸気圧0.2Pa以上を速効性としそれ以外を遅効性と呼ぶ。速効性に分類される気化性防錆剤は、概ね0.5時間程度で金属表面に防錆皮膜を形成する。また、遅効性に分類する気化性防錆剤は2〜3時間程度で金属表面に防錆皮膜を形成する。しかしながら、その速効性のゆえに、従来の製膜条件と従来のベース樹脂とで、室温で蒸気圧0.2Pa以上の気化性防錆剤含有フィルムを溶融押し出し製膜した場合には、加工時に大部分の薬剤が散逸し、また、製造時の発煙と臭気は激しいものとなる。
本発明に係る、上記した室温(20℃)で蒸気圧0.2Pa以上の速効性気化性防錆剤の条件を満たすものとしては、脂肪族酸または芳香族酸の各級アンモニウム塩の1種または複数種から選択されるものがある。具体的には、安息香酸アンモニウム(アンモニウム
−ベンゾエート)、シクロヘキシルアンモニウム−ベンゾエート、シクロヘキシルアンモニウム−カーバメート、シクロヘキシルアンモニウム−ナイトライト、シクロヘキシルアンモニウム−カプリレート、シクロヘキシルアンモニウム−ラウレート、ジシクロヘキシルアンモニウム−ベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウム−カーバメート、イソプロピルアンモニウム−ナイトライト、イソプロピルアンモニウム−カプリレート、イソプロピルアンモニウム−ラウレート、イソプロピルアンモニウム−ベンゾエート、イソプロピルアンモニウム−カーバメート、ジイソプロピルアンモニウム−ナイトライト(DIPAN)、ジイソプロピルアンモニウム−カプリレート、ジイソプロピルアンモニウム−ラウレート、ジイソプロピルアンモニウム−ベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウム−カーバメート、ベンジルアンモニウム−ナイトライト、ベンジルアンモニウム−カプリレート、ベンジルアンモニウム−ラウレート、ベンジルアンモニウム−ベンゾエート、ベンジルアンモニウム−カーバメート、ジベンジルアンモニウム−ナイトライト、ジベンジルアンモニウム−カプリレート、ジベンジルアンモニウム−ラウレート、ジベンジルアンモニウム−ベンゾエート、ジベンジルアンモニウム−カーバメートが挙げられる。
また、本発明の防錆フィルムには、鉄鋼製品以外の銅及び銅合金に防錆効果のあるベンゾトリアゾールまたはその誘導体を使用することも可能である。なお、これらの気化性防錆剤は人体に有害なものが多く、その取り扱いには注意が必要である。特に、作業員の健康面に配慮すべきものとしてアミン系カルボン酸塩を主成分とする気化性防錆剤が提案されており、その使用が好ましい。表1に、代表的な気化性防錆剤の常温環境下における蒸気圧を示す。
Figure 2012001799
また、気化性防錆剤の添加量は、被防錆対象製品の包装空間容積と、防錆期間で選定され、概ね包装内部空間体積に対して5g/m以上の防錆成分の濃度が維持されることが望ましく、防錆樹脂層全体の0.1質量%以上、好ましくは1質量%から15質量%添加するのが防錆成分の放散性およびフィルムの製膜性、さらには、防錆包装時の密封のための熱シール性の点で好ましい。
本発明の防錆フィルムの防錆樹脂層のベースとなる樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、シクロペンタジエンやノルボルネンなどの環状オレフィンを共重合させた、エチレン−環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはその部分または完全けん化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体あるいはこのエステル化物、あるいはイオン架橋物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体などの中から、樹脂温度140±5℃の低温度での溶融押し出し製膜性を考慮して選定することができる。
そこで、本発明の防錆フィルムで採用されるベース樹脂としては、速効性気化性防錆剤が散逸しない低温での溶融押し出し製膜性を有し、気化性防錆剤の放散性にも優れ、金属部品を密封包装する加工適性を有する樹脂として、密度が0.91〜0.93g/cmで、且つ、MFR(190℃,21.18N,A)が5〜10g/10分間の低密度ポリエチレンが推奨される。この低密度ポリエチレンと前記した速効性気化性防錆剤を用いて、120〜140℃の低温で溶融押し出し製膜することで、フィルム製膜時の発煙や臭気発生を抑制し、フィルム加工性にも優れ、金属部品などの包装フィルムとしての強度を有し、且つ、当初含有させた気化性防錆剤が略保持された防錆フィルムが得られる。なお、上記したベース樹脂には、さらに各種添加剤、例えば酸化防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、分散剤、光安定剤など各種添加剤を配合してもかまわない。
本発明の防錆フィルムは、単体フィルムとしてサーキュラーダイスを用いたインフレーション法あるいはTダイス押し出し法等で製膜することが可能である。また、速効性気化性防錆剤を含有する防錆樹脂層を最内層として、その外側に1層以上の速効性気化性防錆剤を含有しない層が積層された積層包装材料として使用することも可能である。例えば、低密度ポリエチレン樹脂に速効性の気化性防錆剤を添加した内層と、速効性気化性防錆剤を含有しないポリエチレン系樹脂の外層とを、共押し出し法で一体として成膜する形態がある。これらは、インフレーション法あるいは押し出しキャスト法等公知の方法で製膜できる。また、外層としてガスバリア性を有するフィルム等と積層して用いることも可能である。フィルム厚みは特に問わないが、金属部品が重量物である場合は内容物保護の観点から内層、外層合わせて厚み80μm〜120μm程度が好ましい。
本発明の防錆フィルムを用いて、包装対象の金属加工部品を充填・密封した場合、蒸気密度が0.2Pa以上の速効性の気化性防錆剤が内層から急速に包装袋内に気化して、防錆効果が速やかに発揮される。そして、例えば外層にガスバリア性の高いフィルム等を用いれば、気化した上記が散逸することなく長期間に渡って防錆効果が発揮される。
以下に本発明の具体的実施例及び比較例について説明する。
<実施例1>
速効性の気化性防錆剤として安息香酸アンモニウムを1質量%添加し混練した密度:0.92g/cm、MFR:5g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いて、インフレーション製膜法にて、樹脂温度140℃(ダイス直後の温度)で押し出し加工し、厚み80μmの実施例1の防錆フィルムを作製した。製膜状況として、インフレーション製膜法にて製膜可能であり、発煙の状況及び臭気発生の状況いずれも問題ないレベルであった。
<実施例2>
速効性の気化性防錆剤として、シクロヘキシルアミンカーバメイトを1質量%添加し混練した密度:0.92g/cm、MFR:5g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いて、インフレーション製膜法にて、樹脂温度140℃(ダイス直後の温度)で押し出し加工し、厚み80μmの実施例2の防錆フィルムを作製した。製膜状況として、インフレーション製膜法にていずれも製膜可能であり、発煙の状況及び臭気発生の状況いずれも問題ないレベルであった。
<比較例1>
速効性の気化性防錆剤として安息香酸アンモニウムを1質量%添加し混練した密度:0.92g/cm、MFR:0.8g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いて、インフレーション製膜法にて、樹脂温度160℃(ダイス直後の温度)で押し出し加工し、厚み80μmの比較例1の防錆フィルムを作製した。製膜状況として、インフレーション製膜法にて製膜は可能であったが、多くの発煙があり、強い臭気が発生した。
<比較例2>
速効性の気化性防錆剤として安息香酸アンモニウムを1質量%添加し混練した密度:0.92g/cm、MFR:0.8g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いて、インフレーション製膜法にて、樹脂温度140℃(ダイス直後の温度)で押し出し加工し、厚み80μmの防錆フィルムを作製しようとした。製膜状況として、樹脂の流動性が低く、インフレーション製膜法にての製膜は不良で不可であった。
上記の、実施例1および実施例2、並びに比較例1および比較例2のフィルムの製膜状況を表2に示す。なお、比較例2は製膜不可であった。
また、得られた各フィルムの包装材料としての性質を見るため、突刺し強度(JIS Z 1707)、ヒートシール強度(JIS Z 1707)、引張強度(JIS K 7127)を測定した。その結果を表2に示す。
[長期保存による防錆性能評価]
次に、得られた各フィルムを用いて、このフィルムの3方をシールして、包装袋の外寸が、縦:200mm、横:100mm、シール幅:10mmの包装袋を作成した。作成した包装袋に、寸法:50mm×50mm×100mmの鉄(SS400)製の金属片を入れ、開口部を熱シールして密封して防錆包装体を作成した。これを、以下の条件で保存試験を行って試験金属片の発錆状況の確認を行った。その結果を表2に示す。
[サイクル試験]:
20℃・70%RH(6h)→60℃・95%RH(6h)×50サイクル
[長期保存試験]:
環境温湿度 30℃・60%RH
保存期間 半年、1年
Figure 2012001799
<評価結果>
表2に示す通り、実施例1及び2では、MFRが5g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いたことで、140℃の低温でのフィルム製膜が可能であった。また、発煙は目視で確認できないレベルであり、臭気は作業員が1日作業を行っても気分を悪くしないレベルで問題なかった。それに対して、MFRが0.8g/10min(190℃、21.18N)のLDPE樹脂を用いた比較例の場合には、樹脂温度を160℃の高温とした比較例1ではフィルム製膜は可能であったが、目視で明確に確認できるレベルで白煙が発生し、また、臭臭が激しく作業員が1時間作業をしただけで気分が悪くなるレベルで、添加した気化性防錆剤の散逸が予想された。樹脂温度を140℃の低温とした比較例2では樹脂の流動性が不足してフィルム製膜は不可であった。フィルムとしての性質は、主に分子量の大小によるMFRの違いで差はあったが、いずれも物性的には問題のないレベルであった。防錆性能に関しては、実施例1,2はいずれもすべての条件で錆の発生が見られず、それに対して比較例1のフィルムではすべての条件で赤錆の発生があった。
1・・・ベース樹脂 2・・・気化性防錆剤(速効性)
10・・・内層 20・・・外層 100・・・防錆包装体 50・・・金属片

Claims (5)

  1. 少なくとも1層以上の気化性防錆剤を含有する防錆樹脂層を有する防錆フィルムにおいて、前記気化性防錆剤は室温(20℃)で蒸気圧0.2Pa以上の速効性気化性防錆剤であり、且つ、前記防錆樹脂層は、ベース樹脂に前記速効性気化性防錆剤を混練した後、樹脂温度120〜140℃で溶融押し出し製膜されたものであることを特徴とする防錆フィルム。
  2. 前記速効性気化性防錆剤は、脂肪族酸または芳香族酸の各級アンモニウム塩の1種または複数種から選択されたものであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルム。
  3. 前記速効性気化性防錆剤は、アミン系カルボン酸塩を主成分としたものであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルム。
  4. 前記防錆樹脂層の前記ベース樹脂は、密度=0.91〜0.93g/cm、MFR(190℃,21.18N,A)=5〜10g/10分間の低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載する防錆フィルム。
    ここで、MFR(Melt Flow Rate)は、JIS K 7210の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法で定義され、A法(手動切り取り法)、試験温度190℃、試験荷重21.18Nでの値を示す。
  5. 前記速効性気化性防錆剤を含有する前記防錆樹脂層を最内層として、その外側に1層以上の前記速効性気化性防錆剤を含有しない層が積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載する防錆フィルム。
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