JP2011098750A - 防錆フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】防錆効果を発揮するまでの時間が短く、複数の気化性防錆剤を混練する際に、気化性防錆剤の選択の自由度が高い防錆フィルムを提供する。
【解決手段】防錆フィルム100は、第1の気化性防錆剤11を含有する樹脂からなる第1の防錆樹脂層21と、第1の防錆樹脂層21の一方面(界面32)に形成され、第2の気化性防錆剤12を含有する第2の防錆樹脂層22と、第2の防錆樹脂層22を挟んで第1の防錆樹脂層21と反対側であって、第2の防錆樹脂層22の表面33上に、接着層3を介して形成されるガスバリア層4とを有する。第1の防錆樹脂層には、表面31の外部と第2の防錆樹脂層22とを連結する、複数の通気孔5aが形成される。
【選択図】図2
【解決手段】防錆フィルム100は、第1の気化性防錆剤11を含有する樹脂からなる第1の防錆樹脂層21と、第1の防錆樹脂層21の一方面(界面32)に形成され、第2の気化性防錆剤12を含有する第2の防錆樹脂層22と、第2の防錆樹脂層22を挟んで第1の防錆樹脂層21と反対側であって、第2の防錆樹脂層22の表面33上に、接着層3を介して形成されるガスバリア層4とを有する。第1の防錆樹脂層には、表面31の外部と第2の防錆樹脂層22とを連結する、複数の通気孔5aが形成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属体を包装するために用いられ、防錆効果を発揮する防錆フィルムに関する。
自動車部品等の金属部品やこれを備えた製品(以下、このような金属部品そのもの及び金属部品を含む複合体を総称して、「金属体」という)を防錆するために、防錆フィルムが用いられることがある。この防錆フィルムは、気化性防錆剤をベースとなる樹脂に含有させ、押出等によりフィルム状に成形したものである。
防錆フィルムは、防錆対象となる金属体をそのまま包んだり、袋状にして密封包装したりして用いられる。包装後、時間経過と共に、防錆フィルムの内部から包装体内部に気化性防錆剤が気化し、金属体の表面に気化性防錆剤の皮膜が形成される。この皮膜によって、金属体の表面に酸素や水分が接触することが防止され、防錆効果が発揮される。
しかし、金属体の表面に気化性防錆剤の皮膜を形成するには、防錆フィルムの内部から一定量の気化性防錆剤が気化する必要があるため、一定の時間が必要となる。そのため、高温多湿のような環境下においては、防錆効果を発揮するまでの間に金属体に錆が発生する虞がある。
また、例えば鉄や銅のように、異なる種類の金属部位を有する金属体を防錆する場合は、各々の金属に適合した気化性防錆剤が必要となる。そのため、ベース樹脂に対して異なる種類の気化性防錆剤を同時に混練し、異なる金属部位に同時に作用する防錆フィルムが作製される。このとき、気化性防錆剤の組み合わせによっては、混練時に気化性防錆剤同士が化学反応等の相互作用を起こし、例えば防錆効果の持続期間が短くなるなど、気化性防錆剤の防錆効果が減少するという問題がある。
それ故に、本発明では、防錆効果を発揮するまでの時間が短く、複数の気化性防錆剤を混練する際に、気化性防錆剤の選択の自由度が高い防錆フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、金属体を包装するための防錆フィルムに関するものである。本発明の防錆フィルムは、第1の気化性防錆剤を含有する樹脂よりなる第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤を含有する樹脂よりなり、第1の防錆樹脂層の一方面に形成される第2の防錆樹脂層とを備える。第1の防錆樹脂層には、その他方面から第2の防錆樹脂層にまで到達する複数の通気孔が形成される。
本発明によると、複数の通気孔を通じて気化性防錆剤の気散を促進させることができる。また、第1及び第2の防錆樹脂層のそれぞれに気化性防錆剤を含有させることで、気化性防錆剤の選択に係る制約を解消できる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る防錆フィルムの使用状態を示す断面図である。
図1は、第1の実施形態に係る防錆フィルムの使用状態を示す断面図である。
防錆フィルム100は、気化性防錆剤を含有する樹脂の積層体であり、その内部に防錆対象の金属体6を封入する袋状の包装体10として用いられる。包装体10の開口部は、ヒートシールによって封止されている。防錆フィルム100の内部の気化性防錆剤が包装体内部に気化し、金属体の表面に成膜されることで防錆効果を発揮する。尚、金属体とは、金属部品そのもの、または、金属部品を含む複合体をいい、少なくとも1種類の金属を含む。
図2は、図1に示す防錆フィルムのA部の拡大断面図である。
防錆フィルム100は、第1の気化性防錆剤11を含有する樹脂からなる第1の防錆樹脂層21と、第1の防錆樹脂層21の一方面(界面32)上に形成され、第2の気化性防錆剤12を含有する第2の防錆樹脂層22と、第2の防錆樹脂層22を挟んで第1の防錆樹脂層21と反対側であって、第2の防錆樹脂層22の表面33上に、接着層3を介して積層されるガスバリア層4とを有する。防錆フィルム100は、包装体10として用いられる時には、第1の防錆樹脂層21を内側にして金属体6を包む。第1の防錆樹脂層21は、例えば、銅を防錆するための第1の気化性防錆剤11を含有する低密度ポリエチレン(LDPE)からなる。第2の防錆樹脂層22は、例えば、鉄を防錆するための第2の気化性防錆剤12を含有するLDPEからなる。ガスバリア層4は、酸素や水蒸気等の気体を遮断する性質(以下「ガスバリア性」という)を有する樹脂層であり、例えばアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)やナイロン(NY)等のガスバリア性フィルムからなる。
尚、銅用の気化性防錆剤には、例えば、ベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、3−2−ベンゾチアゾリルチオプロピオン酸、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、ベンゾトリアゾールおよびメチルベンゾトリアゾールのいずれかを用いる。また、鉄用の気化性防錆剤には、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、p−t−ブチル安息香酸ナトリウム、ジシクロヘキシルアンモニウム・ナイトライト、シクロヘキシルアミンのカルバミン酸塩およびジイソプロピルアミンの亜硝酸塩のいずれかを用いる。
第1の気化性防錆剤11と第2の気化性防錆剤12とは異なる防錆樹脂層に含有されるため、それぞれの気化性防錆剤の相互作用に起因する防錆効果の低減(防錆効果持続時間が短くなる等)を避けることができる。これにより、第1の気化性防錆剤11及び第2の気化性防錆剤12のそれぞれに用いる気化性防錆剤の選択の自由度が高くなる。
第1の防錆樹脂層21には、表面31から第2の防錆樹脂層22にまで到達する複数の通気孔5aが形成される。これによって、表面31の外部(包装体内部)と第2の防錆樹脂層22とが通気孔5aで連結される。通気孔5aは、第2の気化性防錆剤12が通り抜けるためのものであり、例えばマイクロポーラスからなる。
第1の防錆樹脂層21に通気孔5aを設けることにより、第2の防錆樹脂層22から抜け出した第2の気化性防錆剤12は通気孔5aを通り抜け、包装体内部に容易に気化することができる。これによって、第1の防錆樹脂層21に通気孔5aを設けない場合に比べて短時間で、第2の気化性防錆剤12が気化して金属体6の表面に被膜を形成する。
このように、第1の防錆樹脂層21及び第2の防錆樹脂層22に各々異なる気化性防錆剤を含有させ、かつ、第1の防錆樹脂層21に通気孔5aが設けられているので、本発明にかかる防錆フィルム100は、種類の異なる気化性防錆剤の防錆効果を損なうことなく、第1及び第2の気化性防錆剤の防錆効果を同時に発現できるという効果を奏する。尚、第1の防錆樹脂層21及び第2の防錆樹脂層22に同種類の気化性防錆剤を含有させても良い。この場合、通気孔5aの効果により、第1の防錆樹脂層21と第2の防錆樹脂層22の両方から気化性防錆剤が気化するため、防錆効果の発現がより速くなるという効果を発揮する。
また、防錆フィルム100にはガスバリア層4が設けられており、第1の気化性防錆剤11及び第2の気化性防錆剤12の包装体外部への気化が抑制されるため、防錆効果が持続する期間を長くできる利点を有する。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る防錆フィルムの層構成を示す断面図である。
図3は、第2の実施形態に係る防錆フィルムの層構成を示す断面図である。
第2の実施形態に係る防錆フィルム200は、第1の実施形態に係るものと比べて、層数が異なり、例えば3種類の金属を防錆するために用いられる。以下において、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
防錆フィルム200は、第2の防錆樹脂層22を挟んで第1の防錆樹脂層21と反対側であって、第2の防錆樹脂層22の表面(界面34)上(すなわち、第2の防錆樹脂層22と接着層3との間)に、第3の気化性防錆剤13を含有する樹脂からなる第3の防錆樹脂層23を備える。更に、第2の防錆樹脂層22に、第1の防錆樹脂層21との界面32から第3の防錆樹脂層23に到達する複数の通気孔5bが形成されている。第1の防錆樹脂層21の通気孔5aと第2の防錆樹脂層22の通気孔5bによって、第2の防錆樹脂層22及び第3の防錆樹脂層23が表面31の外部(包装体内部)と連通する。また、第1の気化性防錆剤11、第2の気化性防錆剤12及び第3の気化性防錆剤13は、各々異なる種類の気化性防錆剤であり、異なる金属に対して防錆効果を発揮する。
第1の実施形態と同様に、第2の気化性防錆剤12は、第1の防錆樹脂層21に形成される通気孔5aを通り抜けることにより、包装体内部に容易に気化することができる。更に、第3の防錆樹脂層23から抜け出た第3の気化性防錆剤13は、第2の防錆樹脂層22に設けられる通気孔5b及び第1の防錆樹脂層21に設けられる通気孔5aを通り抜けることにより、包装体内部に容易に気化することができる。
このように、防錆フィルム200は、3層の防錆樹脂層を備えているが、第1の防錆樹脂層21及び第2の防錆樹脂層22に通気孔5a及び5bを形成することで、3層の防錆樹脂層が含有する全ての気化性防錆剤が、包装体内部に気化することができる。これにより、3種類の異なる金属に対して、同時に防錆効果を発揮することが可能となる。
尚、第1及び第2の実施形態では、防錆樹脂層は2又は3層形成されるが、防錆樹脂層の数は特にこれらに限定されない。例えば、第1の気化性防錆剤を含む樹脂からなる第1の防錆樹脂層、第2の気化性防錆剤を含む樹脂からなる第2の防錆樹脂層、第3の気化性防錆剤を含む樹脂からなる第3の防錆樹脂層、及び第4の気化性防錆剤を含む樹脂からなる第4の防錆樹脂層を積層し、第1〜3の防錆樹脂層に通気孔を設けても良い。第1〜4の防錆樹脂層は各々異なる種類の気化性防錆剤を含有する構成であっても良いし、少なくとも2つの防錆樹脂層が同種類の気化性防錆剤を含有しても良い。前者の場合は、第1の実施形態と同様に複数種類の防錆剤が同時に効果を発揮することができ、後者の場合は、同種類の気化性防錆剤を複数の層に混練することにより防錆効果の発現をより速くできるという効果が得られる。
また、第1及び第2の実施形態では、通気孔は、例えば第1の防錆樹脂層を貫通し、第2の防錆樹脂層との界面に到達するように形成されているが、通気孔の形成深さは、特にこのような形態に限定されない。例えば、通気孔は、第1の防錆樹脂層を貫通し、第2の防錆樹脂層の一部にまで到達するように形成しても良い。更に、防錆樹脂層が3層以上である場合は、第2の防錆樹脂層を貫通し、第3の防錆樹脂層の一部に到達するように形成しても良い。
更に、第1及び第2の実施形態では、通気孔はマイクロポーラスからなるが、これに限定されず、例えば、微細な突起や針で型押し加工することによって形成した貫通穴として形成しても良い。
更に、第1及び第2の実施形態では、各々の防錆樹脂層は異なる種類の気化性防錆剤を含有するが、特にこれに限定されない。例えば、全ての防錆樹脂層が同じ種類の気化性防錆剤を含有しても良い。これにより、全ての防錆樹脂層から同種類の気化性防錆剤が気化するため、防錆効果がより速くなる効果を発揮する。
更に、第1及び第2の実施形態では、ガスバリア層が設けられているが、ガスバリア層を設けなくても本願発明の効果を発揮することは可能である。但し、その際は、気化性防錆剤の包装体外部への気化について注意が必要である。
以下、本発明を具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1に係る防錆フィルムは、図2に示した積層体に対応する。第1の気化性防錆剤11として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールを低密度ポリエチレン(LDPE)に混練した第1の防錆樹脂層21と、第2の気化性防錆剤12として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層22とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出すると共に、インラインにて、第1の防錆樹脂層に深さ40〜50μmのマイクロポーラス加工を施した。更に、第2の防錆樹脂層の表面に接着剤を介して、ガスバリア層4としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、実施例1に係る防錆フィルムを得た。
実施例1に係る防錆フィルムは、図2に示した積層体に対応する。第1の気化性防錆剤11として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールを低密度ポリエチレン(LDPE)に混練した第1の防錆樹脂層21と、第2の気化性防錆剤12として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層22とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出すると共に、インラインにて、第1の防錆樹脂層に深さ40〜50μmのマイクロポーラス加工を施した。更に、第2の防錆樹脂層の表面に接着剤を介して、ガスバリア層4としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、実施例1に係る防錆フィルムを得た。
(実施例2)
実施例2に係る防錆フィルムは、図2に示した積層体から接着層及びガスバリア層を除いたものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmに押出すると共に、インラインにて、第1の防錆樹脂層に深さ40〜50μmのマイクロポーラス加工を施して、実施例2に係る防錆フィルムを得た。
実施例2に係る防錆フィルムは、図2に示した積層体から接着層及びガスバリア層を除いたものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmに押出すると共に、インラインにて、第1の防錆樹脂層に深さ40〜50μmのマイクロポーラス加工を施して、実施例2に係る防錆フィルムを得た。
(比較例1)
比較例1に係る防錆フィルムは、実施例1と同じ積層構造を有するが、マイクロポーラス加工を施していないものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出しした。更に、第2の防錆樹脂層の表面に接着剤を介して、ガスバリア層としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、比較例1に係る防錆フィルムを得た。
比較例1に係る防錆フィルムは、実施例1と同じ積層構造を有するが、マイクロポーラス加工を施していないものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出しした。更に、第2の防錆樹脂層の表面に接着剤を介して、ガスバリア層としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、比較例1に係る防錆フィルムを得た。
(比較例2)
比較例2に係る防錆フィルムは、実施例2と同じ積層構造を有するが、マイクロポーラス加工を施していないものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出しし、比較例2に係る防錆フィルムを得た。
比較例2に係る防錆フィルムは、実施例2と同じ積層構造を有するが、マイクロポーラス加工を施していないものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールをLDPEに混練した第1の防錆樹脂層と、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムをLDPEに混練した第2の防錆樹脂層とをインフレーション成膜法にて、各々厚み40μmにて共押出しし、比較例2に係る防錆フィルムを得た。
(比較例3)
比較例3に係る防錆フィルムは、単一の樹脂層に2種類の防錆樹脂を混練したものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールと、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムとをLDPEに混練した単一の防錆樹脂層をインフレーション成膜法にて、厚み80μmに押出し成形した。更に、防錆樹脂層の一方面に接着剤を介して、ガスバリア層としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、比較例3に係る防錆フィルムを得た。
比較例3に係る防錆フィルムは、単一の樹脂層に2種類の防錆樹脂を混練したものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールと、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムとをLDPEに混練した単一の防錆樹脂層をインフレーション成膜法にて、厚み80μmに押出し成形した。更に、防錆樹脂層の一方面に接着剤を介して、ガスバリア層としてアルミナ蒸着PETをドライラミネートし、比較例3に係る防錆フィルムを得た。
(比較例4)
比較例4に係る防錆フィルムは、比較例3と同様に、単一の樹脂層に2種類の防錆樹脂を混練したものであって、ガスバリアフィルムを省略したものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールと、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムとをLDPEに混練した単一の防錆樹脂層をインフレーション成膜法にて、厚み80μmに押出し成形し、比較例4に係る防錆フィルムを得た。
比較例4に係る防錆フィルムは、比較例3と同様に、単一の樹脂層に2種類の防錆樹脂を混練したものであって、ガスバリアフィルムを省略したものである。第1の気化性防錆剤として銅用の気化性防錆剤であるベンゾトリアゾールと、第2の気化性防錆剤として鉄用の気化性防錆剤である安息香酸ナトリウムとをLDPEに混練した単一の防錆樹脂層をインフレーション成膜法にて、厚み80μmに押出し成形し、比較例4に係る防錆フィルムを得た。
実施例1、2及び比較例1〜4に係る防錆フィルムを用いて、各々、300×300(シール幅10mm)の袋を作製した。この際、実施例1、2及び比較例1、2に係る防錆フィルムは、第1の防錆樹脂層が内側となるように袋に加工した。また、比較例3、4に係る防錆フィルムは、防錆樹脂層が内側となるように袋に加工した。そして、100×100×厚み1.5mmの鉄製及び銅製のプレートを、作製した袋に入れて密封し、評価用のサンプルとした。各サンプルを用いて以下の評価試験を行った。
[防錆皮膜生成時間]
各サンプルを、30℃の環境下で0.5時間、1.0時間、1.5時間及び2.0時間放置した。その後、プレートを袋から取り出し、各プレートの表面に5%濃度の塩化ナトリウム溶液を3滴滴下し、鉄プレートについては4時間、銅プレートについては12時間放置した。そして、プレート表面の錆発生の有無について目視観察を行い、[○:錆発生なし、×:錆発生有り]で評価した。得られた結果は表1の通りである。
各サンプルを、30℃の環境下で0.5時間、1.0時間、1.5時間及び2.0時間放置した。その後、プレートを袋から取り出し、各プレートの表面に5%濃度の塩化ナトリウム溶液を3滴滴下し、鉄プレートについては4時間、銅プレートについては12時間放置した。そして、プレート表面の錆発生の有無について目視観察を行い、[○:錆発生なし、×:錆発生有り]で評価した。得られた結果は表1の通りである。
[防錆効果持続性]
各サンプルを、30℃、湿度65%の環境下で半年、1年、2年及び3年に渡り放置した。その後、各プレートを袋から取り出し、プレート表面の錆発生の有無について目視観察を行い、[○:錆発生なし、×:錆発生有り]で評価した。得られた結果は表2の通りである。
各サンプルを、30℃、湿度65%の環境下で半年、1年、2年及び3年に渡り放置した。その後、各プレートを袋から取り出し、プレート表面の錆発生の有無について目視観察を行い、[○:錆発生なし、×:錆発生有り]で評価した。得られた結果は表2の通りである。
表1を参照して、まず、実施例1及び2と比較例1及び2を比較すると、ポーラス加工を施した場合、最表面の防錆樹脂層に含有される銅用の気化性防錆剤の成膜速度を低下させることなく、内側の鉄用の気化性防錆剤の成膜速度を向上させることができた。これにより、通気孔(マイクロポーラス)を設けることによるフィルム内部の防錆剤の揮散促進効果が確認された。また、実施例1及び2と比較例3及び4を比較すると、単一層に2種類の防錆剤を混練する場合と比べて、2層に分けて2種類の防錆剤を混練した方が、両方の防錆剤の効果発現が早まることが確認された。これは、比較例3及び4では、混練時の異なる種類の防錆樹脂層同士の相互作用で有効な防錆剤が減少して、金属体表面への成膜速度が低下するのに対し、実施例1及び2では、防錆剤同士の相互作用が発生せず、有効に作用する防錆剤含量が相対的に多くなるからと考えられる。
表2を参照して、実施例1と実施例2とを比較すると、バリアフィルムを設けることにより、防錆効果が持続する期間が長くなることが確認された。また、実施例1及び2と比較例3及び4を比較すると、単一層に2種類の防錆剤を混練する場合と比べて、2層に分けて2種類の防錆剤を混練した方が、両方の防錆効果の持続時間が長くなることが確認された。これは、比較例3及び4では、混練時の異なる種類の防錆樹脂層同士の相互作用で有効な防錆剤が減少するのに対し、実施例1及び2では、防錆剤同士の相互作用が発生せず、有効な防錆剤含量が低下しないためと考えられる。
本発明は、金属部品等の包装材料として利用できる。
10 包装体
4 ガスバリア層
5a、5b 通気孔
10 包装体
11 第1の気化性防錆剤
12 第2の気化性防錆剤
13 第3の気化性防錆剤
21 第1の防錆樹脂層
22 第2の防錆樹脂層
23 第3の防錆樹脂層
31、33 表面
32、34 界面
100、200 防錆フィルム
4 ガスバリア層
5a、5b 通気孔
10 包装体
11 第1の気化性防錆剤
12 第2の気化性防錆剤
13 第3の気化性防錆剤
21 第1の防錆樹脂層
22 第2の防錆樹脂層
23 第3の防錆樹脂層
31、33 表面
32、34 界面
100、200 防錆フィルム
Claims (6)
- 金属体を包装するための防錆フィルムであって、
第1の気化性防錆剤を含有する樹脂よりなる第1の防錆樹脂層と、
第2の気化性防錆剤を含有する樹脂よりなり、前記第1の防錆樹脂層の一方面に形成される第2の防錆樹脂層とを備え、
前記第1の防錆樹脂層には、その他方面から前記第2の防錆樹脂層にまで到達する複数の通気孔が形成される、防錆フィルム。 - 前記第1の気化性防錆剤及び前記第2の気化性防錆剤は異なる種類の防錆剤である、請求項1に記載の防錆フィルム。
- 第3の気化性防錆剤を含有する樹脂よりなり、前記第2の防錆樹脂層を挟んで前記第1の防錆樹脂層と反対側であって、前記第2の防錆樹脂層の表面上に形成される第3の防錆樹脂層を更に備え、
前記第2の防錆樹脂層には、前記第1の防錆樹脂層との界面から前記第3の防錆樹脂層に到達する通気孔が形成される、請求項1に記載の防錆フィルム。 - 前記第1の気化性防錆剤、前記第2の気化性防錆剤、前記第3の気化性防錆剤は各々異なる種類の防錆剤である、請求項3に記載の防錆フィルム。
- 前記通気孔は、マイクロポーラスよりなる、請求項1〜4のいずれかに記載の防錆フィルム。
- 前記第2の防錆樹脂層を挟んで前記第1の防錆樹脂層と反対側であって、前記第2の防錆樹脂層の上層に形成され、ガスバリア性を有する樹脂からなるガスバリア層を更に備える、請求項1〜5のいずれかに記載の防錆フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009254125A JP2011098750A (ja) | 2009-11-05 | 2009-11-05 | 防錆フィルム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009254125A JP2011098750A (ja) | 2009-11-05 | 2009-11-05 | 防錆フィルム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013007072A (ja) * | 2011-06-22 | 2013-01-10 | Toppan Printing Co Ltd | 防錆フィルム |
WO2020036374A1 (ko) * | 2018-08-14 | 2020-02-20 | 주식회사 삼부테크 | 기화성 방청 코팅지 및 그 제조방법 |
JP2021533014A (ja) * | 2018-08-14 | 2021-12-02 | サムプ テック カンパニー リミテッド | 気化性防錆コーティング紙及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-11-05 JP JP2009254125A patent/JP2011098750A/ja active Pending
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JP2013007072A (ja) * | 2011-06-22 | 2013-01-10 | Toppan Printing Co Ltd | 防錆フィルム |
WO2020036374A1 (ko) * | 2018-08-14 | 2020-02-20 | 주식회사 삼부테크 | 기화성 방청 코팅지 및 그 제조방법 |
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