JP2012001446A - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤であって、ハイドロキノン配糖体の経皮吸収性に優れ、かつ安全性に優れた皮膚外用製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】ハイドロキノン配糖体0.01〜20重量%と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%とを含有し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
【選択図】なし
【解決手段】ハイドロキノン配糖体0.01〜20重量%と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%とを含有し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
【選択図】なし
Description
本発明は皮膚外用剤、更に詳しくは、特に薬剤の経皮吸収効果の改良された皮膚外用剤に関する。
人の皮膚は、角質層によって覆われており、乾燥した大気中においても水分を失うことなく生命活動を維持できるのは、外界と接しているこの角質層が存在しているからであることはよく知られている。角質層は薄く柔軟で且つ体内の水分を保ち、健常な皮膚状態を維持するように調節している。
しかしながら、我々は環境要因等(例えば、温度変化、湿度変化、光、水との接触、洗剤の使用等)により、しばしば表皮に何らかの損傷をきたすことがある。ダメージを受けた皮膚は、硬く、弾力性も失われ、カサカサとした肌荒れ状態となる。こうした肌荒れ皮膚は、近年、急増傾向にあるアトピー性皮膚炎との関連性も指摘されており、深刻なスキントラブルを招く恐れもある。
荒れ肌には、角質細胞の剥離によるものと、乾燥により皮膚の健康状態が悪化して表皮の硬化や損傷に至るものがある。前者の荒れ肌はコレステロール、セラミド、脂肪酸等の角質細胞間脂質の溶出、および紫外線、洗剤等に起因する角質細胞の変性や表皮細胞の増殖・角化バランスの崩壊による角層透過バリアの形成不全等によって発生する。この荒れ肌を予防または治癒する目的で、角質細胞間脂質成分又はそれに類似する合成の角質細胞間脂質を供給するなどの検討が行われている。この角層細胞間脂質は、有棘層と顆粒層の細胞で生合成された層板顆粒が、角層直下で細胞間に放出され、伸展し、層板(ラメラ)構造をとり、細胞間に広がったものである。層板顆粒はグルコシルセラミド、コレステロール、セラミド、リン脂質等から構成されるが、角層細胞間脂質にはグルコシルセラミドは殆ど含まれていない。すなわち、層板顆粒中のグルコシルセラミドは、β−グルコセレブロシダーゼによって加水分解を受け、セラミドに変換され、このセラミドがラメラ構造をとる結果、角層細胞間脂質として角層透過バリアの形成を改善し、荒れ肌防御のバリアの働きを持つと考えられる。洗浄剤による肌荒れはセラミドの補充が有効であり、肌荒れの改善に高い効果を示すことが報告されている(非特許文献1)。
一方、後者の荒れ肌には、皮膚外用剤には皮膚の恒常性維持の他、皮膚からの水分揮散を防止し、皮膚を構成する表皮、角質層に水分を保持させ皮膚に保湿性、柔軟性を保たせみずみずしい肌を保持する等の目的で保湿剤が配合されている。従来より用いられてきた保湿剤としては、オリーブ油、等の植物油やラノリンのような動物由来の脂質に代表される親油性の保湿剤の他に親水性の保湿剤としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール等の水溶性多価アルコール、ヒアルロン酸及びキサンタンガムのような多糖類、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩及びアミノ酸に代表される低分子量の天然保湿因子、植物抽出エキス等が知られている。
このように様々な種類の親水性、親油性の保湿剤が存在するが、安全性を重要視する風潮などから、昨今では動物由来のものや化学合成品は避けられる傾向にあり、好ましくは天然物や微生物による発酵生産物で、さらには生体のみならず環境にも負荷の少ない生分解性の素材が期待され注目を浴びている。
一方で、微生物が生産するバイオポリマーが有望視されている。バイオポリマーの中でも、アミノ酸が縮重合して構成されるポリアミノ酸と呼ばれる一群のバイオポリマーには、様々な機能が見出されており、その潜在能力に注目が集まっている。従来、ポリアミノ酸として、ポリ−γ−グルタミン酸(以下、「PGA」と表記することがある)、ポリ−ε−リジンおよびシアノファイシンの3種類が同定されている。
PGAは、グルタミン酸のα−アミノ基とγ−カルボキシル基とがアミド結合したポリアミノ酸である。PGAは、古くから日本人に親しまれている納豆の糸引きの主体物質として知られる、吸水性のポリアミノ酸であるが、このように親しまれてきた背景として、その魅力的な機能性によるところが大きい。PGAの魅力的な機能としては、生分解性及び高吸水性を兼ね備えている点が知られている。これらの機能を利用して、上述した皮膚外用剤をはじめ、医療品、食品等、種々の分野、用途で用いられることが期待されている。
最近、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成アミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)がその機能性に強く反映されていることが分かってきた。よく知られているところでは、生分解性と高吸水性を兼ね備えている点が挙げられる。それらの機能を利用し、食品、化粧品、医療品などの多くの分野で、種々の用途があるものと期待されている。しかし、現在、製品化されているPGAは、化学的にヘテロなDL−PGAである。具体的には、PGAは、納豆菌やその類縁菌から生産され、D−グルタミン酸及びL−グルタミン酸が不規則に結合しており、その含有比率や、配列は生産菌の培養毎に変動する。一般に、ポリアミノ酸の構造的特徴(構成するアミノ酸の光学活性や種類、分子サイズ、結合様式など)は、その機能に強く影響を与える。上記DL−PGAは、分子毎に構造が異なるため、その性質も分子毎に異なる。これでは、所望の品質を有するDL−PGAを安定して製造することが困難である。
ホモポリ−γ−グルタミン酸を生産する菌も報告されている。例えば、炭疸菌Bacillus anthracisはD−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−D−グルタミン酸(以下、D−PGAと記載することもある)を生産する事が報告されている(非特許文献2)。しかし、本菌は強い病原性を有する細菌であるため、工業的なPGA生産菌としては不適切であり、生産されるD−PGAの分子量も小さい。また、好アルカリ性細菌Bacillus haloduransは、L−グルタミン酸のみからなるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩(以下L−PGAと記載することもある)を生産する事も報告されている(非特許文献3)。しかし、本菌の生産するL−PGAは分子量が極めて小さく、実用的な性能を得るには不十分である。
一方、高分子量のホモポリ−γ−グルタミン酸の生産菌として、好塩性古細菌Natrialba aegyptiacaが分子量10万〜100万程度のL−PGAを生産することが報告されている。しかし、本菌は液体培養条件下では分子量が10万程度と小さい、かつ殆どポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を生産しないため、工業的な生産菌として問題があった(非特許文献4、特許文献1)。
上記以外に、L−PGAを生産する生物としては、ヒドラ等が挙げられるが、ヒドラの場合も同様に分子量が極めて小さいという問題がある(非特許文献3)。
一方本発明者らは、均一な光学純度でかつ高分子量のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を液体培養などで大量に調製することを可能とした。より具体的には、数平均分子量が130万以上で、かつ均一な光学純度のポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩を、培養液1Lあたり4.99g以上の高い生産性で取得している(特許文献2)。
また、ポリ−γ−L−グルタミン酸の架橋方法と架橋体(特許文献3)、並びにポリ−γ−L−グルタミン酸及びポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする皮膚外用剤(特許文献4)の報告がある。
従来から薬物の投与方法として、経皮投与による外用剤が開発されている。しかしそのような外用剤においては、薬物の経皮吸収性が十分に得られない場合が多く、その目的が達成されることは少ない。すなわち皮膚の最表層は皮膚角質層と呼ばれ、本来体外からの異物の侵入を防ぐ障壁としての生理的機能を有する物であるため、単に従来外用剤に常用されてきた基剤中に薬物を配合しただけでは、十分な経皮吸収性が得られない場合が多い。
これを改良するために近年、各種の経皮吸収促進剤を外用剤の基剤に配合することが一般に行われている。そのような経皮吸収促進剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、ミリスチン酸イソプロピル等が公知である。しかしながらこれらの経皮吸収促進剤を用いても薬物の十分な経皮吸収性が得られない場合があり、特に美白剤として用いられるハイドロキノン配糖体のような親水性薬物に対して有効な経皮吸収促進剤はほとんど見出されていない。また、上記の経皮吸収促進剤の多くは皮膚刺激性が強く、これを配合した製剤を適用することによって皮膚に紅斑を生じるなど、安全性の面においても満足できる経皮吸収促進剤は得られていないのが現状である。
ジャーナル オブ バイオサイエンス アンド バイオエンジニアリング、94,187(2002)
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本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸を用いた皮膚外用剤であって、イドロキノン配糖体の経皮吸収性に優れ、かつ安全性に優れた皮膚外用製剤を提供することを目的とするものである。
斯かる実情において、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、ハイドロキノン配糖体に対する経皮吸収促進効果に優れ、かつ安全性に優れた経皮吸収促進剤を開発すべく鋭意研究を行った結果、ポリ−γ−L−グルタミン酸を経皮吸収進剤として用いることにより、優れたハイドロキノン配糖体の経皮吸収性が得られ、かつ皮膚刺激性が低く安全性に優れていることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)ハイドロキノン配糖体0.01〜20重量%と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%とを含有し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
(2)ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする(1)の皮膚外用剤。
(3)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする(1)または(2)の皮膚外用剤。
(4)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの皮膚外用剤。
(5)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする(1)〜4のいずれかの皮膚外用剤。
(6)ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする(1)〜5のいずれかの皮膚外用剤。
(7)ハイドロキノン配糖体がアルブチンであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの皮膚外用剤。
(1)ハイドロキノン配糖体0.01〜20重量%と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%とを含有し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
(2)ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする(1)の皮膚外用剤。
(3)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする(1)または(2)の皮膚外用剤。
(4)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの皮膚外用剤。
(5)ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする(1)〜4のいずれかの皮膚外用剤。
(6)ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする(1)〜5のいずれかの皮膚外用剤。
(7)ハイドロキノン配糖体がアルブチンであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの皮膚外用剤。
本発明により、ハイドロキノン配糖体の経皮吸収促進効果に優れ、かつ安全性にも優れた皮膚外用剤を提供できる。
本発明の「ポリ−γ−L−グルタミン酸」とは、L−グルタミン酸のみからなるホモポリマ−である。その構造は式(I)にて示される構造である。α−COOHの水素は水素であっても良いし他の金属対イオンでも良い。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、カルシウム、亜鉛及び鉄等一般的なものあれば限定する必要はない。そのなかでも好ましくはナトリウムである。
本発明の「分子量」とはプルラン標準物質の分子量換算にて算出した数平均分子量(Mn)のことを指す。
本発明のポリ−γ−L−グルタミン酸は、既存の方法で得ることができる。たとえば、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で、ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。以下に、一例として、特許文献2を参考にしたポリ−γ−L−グルタミン酸の製造方法を述べるがこれに限定されるものではない。
たとえば、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−に、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−82株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20872)、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0830−243株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20873)、またはナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)0831−264株(受託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センタ−、受託日:平成18年4月4日、受託番号:FERM BP−20874)として寄託されている菌株をもちいてポリ−γ−L−グルタミン酸を得る場合、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を得ることができる。または、特許文献2(特開2007−314434号公報)に記載された方法で微生物を変異処理し、液体培養によりポリ−γ−L−グルタミン酸を生産できる微生物を作製し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。また、ナトリアルバ エジプチアキア(Natrialba aegyptiaca)を常法により固相培養し、ポリ−γ−L−グルタミン酸を生産することもできる。
液体培養する場合には、振とう培養、通気攪拌培養など好気条件などで行うことが望ましい。その際の培養温度は、30〜50℃、好ましくは35〜45℃が適当である。また、培地のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、塩酸、硫酸またそれらの水溶液などによって調整できるが、pH調整できれば限定されない。培養pH5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5で培養するのが望ましい。また、培養期間は、通常2〜7日間程度でよい。また、培養時のNaCl濃度は10〜30%、好ましくは15〜25%で培養するのが望ましい。また、Yeast Extract濃度は0.1〜10%、好ましくは0.5〜5.0%濃度で培養するのが望ましい。また、固体培養の場合においても前期液体培養の場合と応用に、培養温度は30〜50℃、好ましくは35〜45℃、培養時のpHは5.0−9.0、好ましくはpH6.0−8.5、培養時のNaCl濃度は10−30%、好ましくは15〜25%、Yeast Extract濃度は0.1−10%、好ましくは0.5−5%濃度が採用される。このようにして培養すると、ポリ−γ−L−グルタミン酸は、主として菌体外に蓄積されて前記した培養物中に含まれる。特に限定はされないが、PGA生産液体培地−1(22.5% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を使用してもよく、各添加量は菌株にあわせて適宜調整すればよい。
培養液中のポリ−γ−L−グルタミン酸の定量方法としては、ポリ−γ−L−グルタミン酸を含む試料から、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させ、その沈殿物の重量測定およびKijerder法による総窒素の測定を行なうもの(M.Bovarnick,J.Biol.Chem.,145巻、415ペ−ジ、1942年)、塩酸加水分解後のグルタミン酸量を測定する方法(R.D.Housewrigt,C.B.Thorne,J.Bacteriol.,60巻、89ペ−ジ、1950年)及び、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法(M.Bovarnick et al.,J.Biol.Chem.,207巻、593ペ−ジ、1954年)が知られているが好ましくは、塩基性色素との定量的な結合を利用した比色法である。
塩基性色素としてはクリスタルバイオレット、アニリンブル−、サフラニンオ−、メチレンブル−、メチルバイオレット、トルイジネブル−、コンゴレッド、アゾカルマイン、チオニン、ヘマトキシリンなどがあげられるが、サフラニンオ−が好ましい。
この培養物からポリ−γ−L−グルタミン酸を分離、採取するには、硫酸銅やエタノ−ルを用いて沈澱させるなどの前記の公知の方法を用いればよい。一例を挙げると、例えば、培養液を遠心分離し、菌体を取り除く。続いて、得られた上清液に3倍量の水を加え希釈した後、pHを3.0に調整する。pH調整後、5時間 室温で攪拌した。その後、3倍量のエタノ−ルを加え、ポリ−γ−L−グルタミン酸を沈殿物として回収した。沈殿物を0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解させ、低分子物質を透析により除去する。透析後、得られた液を核酸除去のため、DNase、RNase処理を行っても良いし、次いでタンパク質除去のために、Proteinase処理を行っても良い。Proteinase処理後、透析により低分子物質を除去しても良い。透析後、凍結乾燥等により、乾燥ポリ−γ−L−グルタミン酸を得ればよい。また、必要により陰イオン交換樹脂を用いた精製を行うことができるが、一般的な条件で精製可能である。
本発明に使用するポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量は、特に限定されないが、好ましくは50万以上、より好ましくは80万以上、さらに好ましくは100万以上、特に好ましくは130万以上である。
L−PGAの分子量の上限値は特に限定されるものではないが、前述のL−PGAの製造方法によれば、例えば、600万、最大で1500万のL−PGAを得ることができる。
このポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩は、古細菌によって生産されるために、納豆菌によって生産されるポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩と比べて特有の臭気が軽減することで、化粧品、医薬部外品、医療用品、衛生用品または医薬品の用途に利用しても品質を損なうことがない。
また、本発明にかかる皮膚外用剤において、ハイドロキノン配糖体がアルブチンであることが好適である。本発明の経皮吸収促進剤によって経皮吸収量が増大し得るハイドロキノン配糖体としては、以下のものがあげられる。ハイドロキノン配糖体は以下の一般式で表される。
式(II)において、R6は五炭糖残基、六炭糖残基、アミノ糖残基、ウロン酸残基またはそれらのメチル化合物、アセチル化合物を示す。
式中でR6はL−アラビノース、D−キシロース、D−リボース、D−キシルロース、D−リキソース、D−リブロース等の五炭糖残基、D−グルコース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−タガトース、D−フルクトース、L−ソルボース、D−タガトース、D−プシコース等の六炭糖残基、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、ムラミン酸等のアミノ糖残基、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−マンヌロン酸、L−イズロン酸等のウロン酸残基またはそれらのメチル化合物、アセチル化合物を示すが、薬理効果、安定性、安全性の面から、R6が、D−グルコースがβ−グリコシド結合した、すなわちハイドロキノン−β−D−グルコシド(一般名:アルブチン、以下アルブチンという)が最も好ましい。これらの薬物は、本発明の経皮吸収促進剤中に混合して用いて皮膚に塗布することにより、速やかに皮膚に吸収される。局所作用を目的とする薬物であれば、皮膚内に深く浸透して優れた効果を発揮する。
上記のハイドロキノン配糖体と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩は、適当な皮膚外用剤中に配合して用いられる。皮膚外用剤の剤型としては、クリーム製剤、軟膏製剤、ゲル製剤、ローション製剤、乳剤、テープ製剤、パップ製剤、エアゾール製剤などが用いられる。
その場合の各々の成分の配合量は、ハイドロキノン配糖体の種類、剤型の種類、投与の方法、投与の目的などによって異なるものであり一概には決められないが、概ね以下の範囲が好ましい配合量である。すなわち、ハイドロキノン配糖体の配合量は外用剤中0.01〜20重量%、より好ましくは 0.1〜10重量%である。0.01重量%より少ないとハイドロキノン配糖体の効果が十分えられないことがあり、また、10重量%を超えて配合しても、それ以上薬剤の効果の顕著な向上は期待できず、費用面で不利益を生じることがある。さらには使用性が劣ることがあるため好ましくはない。
本発明に係る皮膚外用剤中には、上記の必須構成成分の他に一般的に医薬品、医薬部外品、化粧料等に配合される成分を配合することができる。それらの成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール、流動パラフィン、スクワラン、高級アルコール、高級脂肪酸などの油分、クエン酸、乳酸などの有機酸類、苛性カリ、トリエタノールアミンなどのアルカリ類、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、高級アルキル四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン性界面活性剤、高級アルキルジメチルアミンオキサイドなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール誘導体などの薬剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、保湿剤、香料、アルコールなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。なお、本発明は、特に実施例に限定されるものではない。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、以下の実施例に示す「%」は全て「重量%」である。
〔製造例1;ポリ−γ−L−グルタミン酸の製造〕
Natrialba aegyptica(受託番号:FERM BP−10749)のL乾燥アンプルに、0.4mlのPGA生産用液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を加えて懸濁液を得た。0.2mlの当該懸濁液を、PGA寒天培地(10% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、2% Agar)に接種し、37℃で3日間培養して、シングルコロニーを得た。
Natrialba aegyptica(受託番号:FERM BP−10749)のL乾燥アンプルに、0.4mlのPGA生産用液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid)を加えて懸濁液を得た。0.2mlの当該懸濁液を、PGA寒天培地(10% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、2% Agar)に接種し、37℃で3日間培養して、シングルコロニーを得た。
次に、5本の18ml容試験管に、それぞれ、3mlのPGA生産液体培地(22.5% NaCl、2% MgSO4・7H2O、0.2% KCl、3% Trisodium Citrate、1% Yeast Extract、0.75% Casamino acid、pH7.2)を入れ、さらに、上記シングルコロニーを白金耳で1白金耳掻き取り植菌した。植菌後の試験管を、37℃、300rpmで3日間培養して、さらに、得られた培養液0.5mlを、50ml PGA生産液体培地を入れた500ml容坂口フラスコ10本にそれぞれ植菌し、37℃で5日間培養した。培養後、得られた培養液を遠心し、菌体を取り除いて上清を回収した。
次に、回収した上清に3倍量の水を加え希釈した後、1N硫酸でpHを3.0に調整した。pHを調整した後、室温で5時間攪拌した。その後、3倍量のエタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を回収した。この沈殿物がL−PGAである。
回収したL−PGAを0.1mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に溶解して、これを、低分子物質等の不純物を除去するために透析した。次に、透析後の液体に含まれる核酸を除去するために、当該液体に、MgCl2が1mM、DNaseI(TAKARA社製)が10U/ml、RNaseI(ニッポンジーン製)が20μg/mlとなるように加えて、37℃で2時間インキュベートした。次いでタンパク質を除去するために、核酸を除去した後の液体にProteinase K(タカラバイオ製)を3U/mlとなるように添加して、37℃で5時間インキュベートしてProteinase K処理を行なった。
Proteinase K処理の後、超純水で透析し、低分子物質を除去した。次に、L−PGAを陰イオン交換樹脂(Q sepharose Fast Flow、GE ヘルスケア バイオサイエンス社製)に吸着させ、0.5MのNaCl水溶液で洗浄した後、1MのNaCl水溶液で溶出した。得られた溶液を、さらに超純水で透析し、透析後の溶液を凍結乾燥することにより、L−PGAのナトリウム塩(以下、「L−PGA・Na塩」と表記する)を得た。なお、超純水は、MilliQ(Millipore社製の純水製造装置)で作製した。
〔製造例2;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−1〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の平均分子量を、GPC分析にて測定した。その結果、Mw=7,522,000、Mn=3,704,000、Mw/Mn=2.031であることが確認された(プルラン換算)。
製造例1で得たL−PGA・Na塩の平均分子量を、GPC分析にて測定した。その結果、Mw=7,522,000、Mn=3,704,000、Mw/Mn=2.031であることが確認された(プルラン換算)。
なお、GPC分析は、以下の条件で行なった。
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)
流速:0.6ml/min
溶出液:0.15M NaCl水溶液
カラム温度:40℃
注入量:10μl
検出器:示差屈折計
装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)
流速:0.6ml/min
溶出液:0.15M NaCl水溶液
カラム温度:40℃
注入量:10μl
検出器:示差屈折計
〔製造例3;ポリ−γ−L−グルタミン酸の分子量分析−2〕
製造例1において、1.0MのNaCl水溶液溶出した後、さらに、1N HClを用いて、pHを2.0に調製した以外は、製造例1と同様の操作を行なって得たL−PGA・Na塩の平均分子量をGPC分析により測定した。その結果、Mw=2,888,000、Mn=1,327,000、Mw/Mn=2.176であることが確認された(プルラン換算)。なお、本製造例におけるGPC分析は、製造例2と同様の操作で行なった。
製造例1において、1.0MのNaCl水溶液溶出した後、さらに、1N HClを用いて、pHを2.0に調製した以外は、製造例1と同様の操作を行なって得たL−PGA・Na塩の平均分子量をGPC分析により測定した。その結果、Mw=2,888,000、Mn=1,327,000、Mw/Mn=2.176であることが確認された(プルラン換算)。なお、本製造例におけるGPC分析は、製造例2と同様の操作で行なった。
〔製造例4;ポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体の作製〕
製造例1で得たL−PGA・Na塩の5%水溶液を作製した。
製造例1で得たL−PGA・Na塩の5%水溶液を作製した。
次に、L−PGA・Na塩水溶液を、窒素を用いて3分間バブリングした後、蓋付き10mlサンプル瓶に、2ml分取して蓋を閉めた。
次に、サンプル瓶に、線源をコバルト60とするγ線照射装置を用いてγ線を照射した。照射線量は、5kGyとなるように照射した。γ線照射後に得られた生成物を、サンプル瓶から取り出し、余分な水分を80メッシュの金網で水切りした後、凍結乾燥することで、L−PGA架橋体粉末を得た。なお、上記余分な水分には、未架橋のL−PGAが含まれており、当該水切りは、未架橋のL−PGAを除去することが主たる目的である。
本発明と従来技術の比較
〔実施例1および比較例1〕
表1に示す組成の液剤を調製し、実施例1および比較例1とした。
〔実施例1および比較例1〕
表1に示す組成の液剤を調製し、実施例1および比較例1とした。
−製法−
(3)に(1)、(2)を溶解し、試料とした(実施例1)。(3)に(1)、(4)、(5)を乳化し、試料とした(比較例1)。
(3)に(1)、(2)を溶解し、試料とした(実施例1)。(3)に(1)、(4)、(5)を乳化し、試料とした(比較例1)。
<薬剤皮膚透過性試験>
実施例1、比較例1を用いてハイドロキノン配糖体の皮膚透過性試験を行った。
−試験方法−
ハイドロキノン配糖体に対する経皮吸収促進効果を評価するため、モデル皮膚を用いた生体外での皮膚透過試験を行った。モデル皮膚は、コラーゲン処理したナイロン膜上でヒト表皮細胞を培養し、増殖分化させることによって得られた分化表皮細胞膜を用いた。直径10mmの膜表面に薬物試料を50μl塗布し、CO2インキュベーター内で37℃に保った。24時間後に培養液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーにより膜を透過したハイドロキノン配糖体を定量した。結果は薬剤透過率(%)として表した。結果を表2に示す。
実施例1、比較例1を用いてハイドロキノン配糖体の皮膚透過性試験を行った。
−試験方法−
ハイドロキノン配糖体に対する経皮吸収促進効果を評価するため、モデル皮膚を用いた生体外での皮膚透過試験を行った。モデル皮膚は、コラーゲン処理したナイロン膜上でヒト表皮細胞を培養し、増殖分化させることによって得られた分化表皮細胞膜を用いた。直径10mmの膜表面に薬物試料を50μl塗布し、CO2インキュベーター内で37℃に保った。24時間後に培養液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーにより膜を透過したハイドロキノン配糖体を定量した。結果は薬剤透過率(%)として表した。結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、ハイドロキノン配糖体とポリ−γ−L−グルタミン酸を配合した液剤(実施例1)は、ハイドロキノン配糖体と従来経皮吸収促進剤として用いられてきたミリスチン酸イソプロピルを配合した液剤(比較例1)と比較して、ハイドロキノン配糖体の皮膚透過促進効果に優れ、ポリ−γ−L−グルタミン酸を組み合わせることにより、はるかにその効果が増大していることがわかる。
ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量と薬剤の透過率
〔試験例1〜6〕
表3に示すポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量を変えた種々の組成の液剤を実施例1に準じて調製し、試験例1〜6とした。また、ハイドロキノン配糖体の皮膚透過性試験を実施例1に準じて行い、薬剤の透過率を合わせて表5に示した。
〔試験例1〜6〕
表3に示すポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量を変えた種々の組成の液剤を実施例1に準じて調製し、試験例1〜6とした。また、ハイドロキノン配糖体の皮膚透過性試験を実施例1に準じて行い、薬剤の透過率を合わせて表5に示した。
表3の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が0.0001より少ない液剤(試験例1)は、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が0.0001以上の液剤(試験例2〜6)と比較して、顕著なハイドロキノン配糖体の経皮吸収効果が得られないことがわかる。また、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量が10重量%より多く配合された液剤(試験例6)は、10重量%配合された液剤(試験例5)と比較して、薬剤透過率の顕著な向上が期待できないことがわかる。したがって、ポリ−γ−L−グルタミン酸の配合量は、0.0001〜10重量%が好適であることがわかる。
次に、本発明者らは、ハイドロキノン配糖体とポリ−γ−L−グルタミン酸を配合した皮膚外用剤を実際に使用したときの美白効果および使用性について調べた。
本発明の皮膚外用剤による美白効果
〔実施例2および比較例2、3〕
表4に示す組成の乳液を調製し、実施例2、比較例2、3とした。
〔実施例2および比較例2、3〕
表4に示す組成の乳液を調製し、実施例2、比較例2、3とした。
−製法−
Cの成分を70℃に加熱溶解し、Bの成分を70℃に加熱溶解したもの加え、ホモミキサーで乳化する。乳化後、かきまぜながら30℃まで冷却し、Aの成分を溶解したものを加え、均一に混合する。
Cの成分を70℃に加熱溶解し、Bの成分を70℃に加熱溶解したもの加え、ホモミキサーで乳化する。乳化後、かきまぜながら30℃まで冷却し、Aの成分を溶解したものを加え、均一に混合する。
<美白効果試験>
実施例2、比較例2および実施例2からハイドロキノン配糖体を除いたコントロールとしての比較例3の乳液全3品について、しみ、そばかす等に悩む被験者に適用し、その美白効果を調べた。被験者は30〜50代の女性を一群20名として、一つの乳液を3ヶ月1日2回、一回につき約0.5gを顔面に塗布し、期間終了時に被験者に対する問診により、その美白効果を判定した。判定は、以下の基準に従ってスコアをつけ、平均スコアとして結果を表7に示す。
実施例2、比較例2および実施例2からハイドロキノン配糖体を除いたコントロールとしての比較例3の乳液全3品について、しみ、そばかす等に悩む被験者に適用し、その美白効果を調べた。被験者は30〜50代の女性を一群20名として、一つの乳液を3ヶ月1日2回、一回につき約0.5gを顔面に塗布し、期間終了時に被験者に対する問診により、その美白効果を判定した。判定は、以下の基準に従ってスコアをつけ、平均スコアとして結果を表7に示す。
〔美白効果の判定スコア〕
4 しみ、そばかすがほとんど目立たなくなった
2 非常にうすくなった
1 ややうすくなった
0 変化なし
4 しみ、そばかすがほとんど目立たなくなった
2 非常にうすくなった
1 ややうすくなった
0 変化なし
表5の結果から明らかなように、ハイドロキノン配糖体のみを配合した乳液(比較例2)は、ハイドロキノン配糖体を配合しない乳液(比較例4)と比較すると若干美白効果を認めることができる。しかしながら、ハイドロキノン配糖体とアセチル化ヒアルロン酸を配合した乳液(実施例2)は、ハイドロキノン配糖体のみを配合した乳液(比較例2)と比較するとさらに顕著な美白効果が認められることがわかる。
ハイドロキノン配糖体の配合量と美白効果
〔試験例7〜12〕
表6に示すハイドロキノン配糖体の配合量を変えた種々の組成の乳液を実施例2に準じて調製し、試験例7〜12とした。また、美白効果の試験を実施例2に準じて行い、その評価を表6に合わせて示した。
〔試験例7〜12〕
表6に示すハイドロキノン配糖体の配合量を変えた種々の組成の乳液を実施例2に準じて調製し、試験例7〜12とした。また、美白効果の試験を実施例2に準じて行い、その評価を表6に合わせて示した。
表6の結果から明らかなように、ハイドロキノン配糖体の配合量が0.01重量%以上の乳液(試験例8〜12)は、美白効果に優れていることがわかる。これに対して、ハイドロキノン配糖体の配合量が0.01重量%より少ない乳液(試験例7)は、美白効果が極端に劣ることがわかる。また、ハイドロキノン配糖体を20重量%を超えて配合された乳液(試験例12)は、20重量%配合された乳液(試験例11)と比較して、顕著な美白効果の向上がないことがわかる。したがって、 ハイドロキノン配糖体の配合量は、0.01〜20重量%が好適であることがわかる。
ポリ−γ−L−グルタミン酸とハイドロキノン配糖体の配合重量比
〔試験例13〜18〕
表7に示すポリ−γ−L−グルタミン酸とハイドロキノン配糖体(HqG)の配合重量比を変えた種々の組成の液剤を実施例2に準じて調製し、試験例13〜18とした。また、美白効果の試験を実施例2に準じて行い、その評価を表9に合わせて示した。
〔試験例13〜18〕
表7に示すポリ−γ−L−グルタミン酸とハイドロキノン配糖体(HqG)の配合重量比を変えた種々の組成の液剤を実施例2に準じて調製し、試験例13〜18とした。また、美白効果の試験を実施例2に準じて行い、その評価を表9に合わせて示した。
表7の結果から明らかなように、ポリ−γ−L−グルタミン酸とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1の乳液(試験例14)は、1/1の乳液(試験例15)と比較して美白効果の向上が見られる。これに対して10/1より多くポリ−γ−L−グルタミン酸の割合を増やした乳液(試験例13)は、10/1の乳液(試験例14)と比較して、美白効果の向上はみられない。また、1/10000の乳液(試験例17)は、1/1000の乳液(試験例23)と比較して美白効果の向上が見られる。これに対して1/10000より多くハイドロキノン配糖体の割合を増やしてた乳液(試験例18)は、1/10000の乳液(試験例17)と比較して、美白効果の向上はみられない。したがって、ポリ−γ−L−グルタミン酸とハイドロキノン配糖体の配合重量比は、10/1〜1/10000が好適であることがわかる。
次に、本発明の皮膚外用剤をより具体的にするため、さらに実施例を示す。なお、配合量は重量%を示す。以下の各実施例は、実施例2に準じて美白効果の試験を行った結果、実施例2と同様優れた美白効果を示した。
〔実施例3〕 クリーム
−製法−
Bの成分を70℃に加熱溶解し、Aの成分を70℃に加熱溶解したもの加え、ホモミキサーで乳化する。乳化後、熱交換装置で冷却し、クリームを得る。
−製法−
Bの成分を70℃に加熱溶解し、Aの成分を70℃に加熱溶解したもの加え、ホモミキサーで乳化する。乳化後、熱交換装置で冷却し、クリームを得る。
〔実施例4〕 化粧水
−製法−
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。
−製法−
Aのアルコール相をBの水相に添加し、可溶化して化粧水を得た。
本発明は、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩、ハイドロキノン配糖体を含有することにより、ハイドロキノン配糖体の経皮吸収性に優れ、かつ安全性に優れた皮膚外用剤を提供することができる。さらに、従来のポリ−γ−L−グルタミン酸よりも、原料コストが安価であり、大量生産可能となり、長期にわたる使用に十分に耐え得ることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。
Claims (7)
- ハイドロキノン配糖体0.01〜20重量%と、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩0.0001〜10重量%とを含有し、かつポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩とハイドロキノン配糖体の配合重量比が10/1〜1/10000であることを特徴とする皮膚外用剤。
- ポリ−γ−L−グルタミン酸が、ポリ−γ−L−グルタミン酸分子同士の架橋構造を有することを特徴とするポリ−γ−L−グルタミン酸架橋体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
- ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が100万以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
- ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が200万以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤。
- ポリ−γ−L−グルタミン酸の平均分子量が350万以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤。
- ポリ−γ−L−グルタミン酸の吸水倍率が10倍以上5000倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用剤。
- ハイドロキノン配糖体がアルブチンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010134956A JP2012001446A (ja) | 2010-06-14 | 2010-06-14 | 皮膚外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP (1) | JP2012001446A (ja) |
-
2010
- 2010-06-14 JP JP2010134956A patent/JP2012001446A/ja active Pending
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