集積回路(IC)および他の電子デバイスの製造に際し、自動試験装置(ATE)を用いた試験がその製造工程全体のうちの1または2以上の段階において実行される。試験されるべきデバイスを試験位置に配置するための特別な操作装置(handling apparatus,handler apparatus,handler)が用いられる。これら特別な操作装置の一部には、試験されるべきデバイスを適切な温度にすること、および試験の際にデバイスを適切な温度に維持すること、のうちの少なくとも一方を行えるようになっているものがある。種々のタイプの特別な操作装置には、ウエハ上のパッケージ前のデバイスを試験するための「プローブ体(prober)」、およびパッケージ後の部品を試験するための「デバイス操作体(device handler)」が含まれ、「操作装置」または「周辺機器」の用語がこのような装置のすべてのタイプを総称するために使用される。電子的試験それ自体は、操作装置との接続および結合が要求されるテストヘッドを備えた大型で高価なATEシステムによって行われる。被試験体(DUT)は効果的な試験を行うために正確でかつ高速の信号を要求し、したがって、DUTを試験するために用いられるATE内の「試験電子装置」は、DUTに可能なかぎり近づけて位置決めする必要があるテストヘッドに配置されるのが典型的である。
このテストヘッドは極めて重く、DUTが電気接点の数の増大を伴ってより一層複雑化するのに従って、テストヘッドの寸法および重量は数十キログラム(数百ポンド)から現在では約900〜約1400キログラム(2000ポンドないし3000ポンド)にまで増大している。テストヘッドは、信号、接地および電力の伝導経路を付与するケーブルによりATEの静的なメインフレームに接続されるのが典型的である。また、テストヘッドは、多くの場合にケーブル内に束ねられた可撓性を呈する筒体を通ってテストヘッドに冷却液が供給されることを要求しうる。さらに、特定の現在のテストヘッドは、可撓性を呈するダクトを通って流される空気によって、または冷却液と空気との両方の組合せによって冷却される。かつて、通常の試験システムは、メインフレームハウジング動力供給設備および制御コンピュータなどを備えていた。電気ケーブルは、メインフレーム電子機器をテストヘッドに含まれる「ピンエレクトロニクス」に連結していた。幾つかの現在のシステムは、事実上すべての電子機器を可動式のテストヘッドに配置している一方で、メインフレームは冷却装置および動力供給部などを収容するために依然として利用されうる。
複雑なデバイスを試験するとき、テストヘッドとDUTとの間に何百ないし何千の電気的接続を確立する必要がある。これら電気的接続は繊細で密集した接点によりなされる。パッケージ前にウエハ上のデバイスを検査する際、DUTへの実際の接続は、プローブカードに実装された針状のプローブによりなされるのが典型的である。パッケージ済のデバイスを試験する際には、「DUTボード」に実装された試験ソケットを用いるのが典型的である。いずれの場合においても、プローブカードまたはDUTボードは、通常、多数のDUTの各々を試験位置に順次移すための操作装置に適切に固定される。また、いずれの場合においても、プローブカードまたはDUTボードは接続点を形成し、テストヘッドは、これら接続点によって対応する電気接続部を形成できるようになる。テストヘッドには、プローブカードまたはDUTボードとの接続をなすための接点要素を備えたインタフェイスユニットが備え付けられるのが典型的である。接点要素は、典型的にはバネ付勢された「ポゴピン」である。全体として、これら接点は非常に壊れやすくて繊細であり、損傷しないよう保護される必要がある。
テストヘッドマニピュレータは、テストヘッドを操作装置に対して動作させるために用いられうる。かかる動作は、1メートルオーダーまたはそれ以上の比較的長い距離にわたってなされうる。その目的は、1つの操作装置から別の操作装置にすぐに変更できるようにすること、或いは点検修理若しくはインタフェイスコンポーネントの交換、またはこれら両方のために、テストヘッドをそのときの操作装置から離れて移動させるようにすることである。テストヘッドと、プローブカードまたはDUTボードとの間のすべての接続がなされる位置において、テストヘッドを操作装置に対して保持するとき、テストヘッドは操作装置に「結合」しているといえる。この結合を成功させるために、テストヘッドは、デカルト座標系に対して6自由度により正確に位置決めされる必要がある。
ほとんどの場合、テストヘッドマニピュレータは、結合位置からおよそ数センチメートルの範囲内の粗い位置合せがされる第1の位置にテストヘッドを動作させるために用いられ、次いで「結合装置」が最終的に正確な位置決めをなすために用いられる。一部の結合装置がテストヘッドに配置され、残りの部分の結合装置が操作装置に配置されるのが典型的である。1つのテストヘッドは多数の操作装置の用に供しうるので、結合装置のうちのより高価な部品をテストヘッドに設けるのが通常好ましい。結合装置は、結合体の2つの部品を引き寄せ、したがってテストヘッドを結合させる作動機構部を備えていてもよい。この結合は「アクチュエータ駆動」の結合と称される。結合装置または「結合体」は数多くの重要な機能を備えており、これらの機能には、(1)テストヘッドと操作装置との位置合わせを行い、(2)テストヘッドおよび操作装置を引き合わせるとともにその後に引き離し、(3)位置合せ前の電気接点の保護を提供し、(4)テストヘッドと操作装置とをともにラッチする、または保持することが含まれる。
非特許文献1によれば、「テストヘッドの位置決め」は、テストヘッドを操作装置まで容易に移動させることと、結合および分離を成功させるために要求される操作装置の正確な位置合せとを組み合わせたものに関する。また、テストヘッドマニピュレータはテストヘッド位置決め体とも称されうる。適切な結合手段と組み合わされたテストヘッドマニピュレータは、テストヘッドの位置決めを実行する。この技術は、例えば前述した非特許文献1に記載されている。また、この技術は、例えば特許文献1〜6に開示されており、テストヘッド位置決めシステムの分野におけるこれらすべての文献の記載は、参照することにより本明細書の記載に代える。前掲の特許文献は、主としてアクチュエータ駆動の結合に関する。また、単一の装置によって、比較的長い距離のテストヘッドの動作と、最終的な正確な結合との両方を提供するテストヘッド位置決めシステムも公知である。例えば、ホルトらによる特許文献7並びにグラハムらによる特許文献8および特許文献9には、結合がアクチュエータ駆動によるものではなく、「マニピュレータ駆動」による位置決めシステムが開示されている。これらすべての文献の記載は、ここで参照することにより本明細書の記載に代える。しかしながら、アクチュエータ駆動のシステムが最も広く用いられており、本発明もそれらを対象とする。
典型的なアクチュエータ駆動の位置決めシステムにおいて、操作者はマニピュレータの動きを制御してテストヘッドを或る位置から別の位置へと動作させる。このことは、テストヘッドがその運動軸において完全に平衡なシステムにおいて、力をテストヘッドに直接作用させる操作者によって手動でなされうるし、或いは、操作者により直接制御されるアクチュエータの利用を通じてなされうる。幾つかの現在のシステムにおいて、テストヘッドは、幾つかの軸線における直接的な手動力と、他の軸線におけるアクチュエータによるものとの組合せによって動作される。
テストヘッドを操作装置と結合させるために、操作者は、まずテストヘッドを最終的な結合位置の近傍であっておよそ位置合せされた「結合準備」位置まで動作させる必要がある。テストヘッドは、結合アクチュエータがテストヘッドの運動の制御を引き継げる位置である「作動準備」位置に至るまでさらに動作される。そして、アクチュエータは、最終的な完全な結合位置までテストヘッドを引き寄せることができる。こうする際には、位置合せに係る種々の特徴部がテストヘッドの最終的な位置合せを提供する。結合体は、2つ以上の組の異なるタイプの位置合せ特徴部を用いて、最初から最後までの異なる位置合せ段階を提供してもよい。壊れやすい電気接点が機械的に接触する前に、テストヘッドが5自由度により位置合せされるのが一般的に好ましい。そして、テストヘッドは、6番目の自由度に相当していて接合面(典型的にはプローブカードまたはDUTボードの平面)に対して直角をなす直線に沿って付勢されてもよく、また、これらの接点は、横方向の摩擦、すなわちこれらを損傷させうる力を受けることなく、接続部を形成するようになる。
結合アクチュエータが稼働する際に、それらの軸すべてについての最終的な位置合せおよび位置決めが可能ではない場合、テストヘッドはそれに応じて別々に自由に移動できる。適切に平衡がとれていてアクチュエータ駆動ではないマニピュレータ軸にとって、このことは問題となる。しかしながら、アクチュエータ駆動軸は、それらに組み入れられた準拠機構を概ね要求する。幾つかの典型的な例がスローカムらによる特許文献10およびアルデンによる特許文献11に開示されている。準拠機構、特に非水平方向の非平衡軸用の準拠機構は、しばしば準拠に加えて特定の大きさの弾性すなわち「反発性」を付加するバネ状の機構を伴う。さらに、テストヘッドをATEメインフレームに接続するケーブルもまた弾性的である。操作者が、テストヘッドをおよそ位置合せして結合機構によって捕捉されうる位置に動作させようと試みる際、操作者はこのシステムの弾性に打ち勝つ必要があるが、このことは、非常に大型で重量が非常に大きいテストヘッドにおいてしばしば困難になりうる。また、結合機構部が適切に係合される前に操作者がテストヘッドに付与された力を解放する場合、準拠機構部の弾性により、テストヘッドが結合体から離れて移動することがある。このことは反発効果と称されることがある。
スミスによる特許文献6は従来技術の結合機構を開示する。同文献の図5A、図5Bおよび図5Cに示された結合機構は、最終的な位置合せを提供するためのガイドピンと孔とからなる2つの組合体、および2つの円形カムを用いている。これらカムが、これらに取り付けられたハンドルによって回転されるとき、結合体の半分をなす部分2つがガイドピンとともに引っ張られ、ガイドピンが嵌合孔に完全に挿入されるようになっている。ワイヤケーブルは2つのカムを連結し、それによりこれらカムが同期して回転するようになる。ケーブル配列体は、2つのハンドルのうちの一方または他方に力を付与することにより結合体が稼働されうるようにしている。したがって、この場合にはこれらハンドルが結合アクチュエータである。
特許文献6の結合体の基本的な概念は、テストヘッドがより大型化して、ケーブルによって互いに接続された3組または4組のガイドピンおよび円形カムを備えるようになるのに従って発展した。本願の図1A、図1B、図1Cおよび図1Dは、ガイドピンとガイド孔とからなる4つの組合体、および4つの円形カムを備えた従来技術の結合体を示している。これらのより詳細については後述する。かかる4点結合体は、4つのカムのそれぞれに取り付けられた作動ハンドルを備えるように形成されるが、図示された結合体は、ケーブルドライバを稼働させる単一の作動ハンドルを組み込んでいる。ケーブルドライバがハンドルによって回転されるとき、ケーブルは、4つのカムが同期する態様で回転するように動く。この配列体は、単一の作動ハンドルを操作者にとって便利な位置に配置する。また、ケーブルドライバの直径に対するカムの直径の比を適切に調節することによって、より大きい機械利得が得られうる。
特許文献12および特許文献13に開示された結合体は、ガイドピンおよびガイド孔を利用して、結合体の半分をなす部分2つを位置合せする。しかしながら、この結合体は、真空状態にされたときにこれら2つの半分をなす部分をともに付勢する真空デバイスによって作動される。これら2つの半分をなす部分は、真空状態が維持されている間はともにロックされたままである。しかしながら、真空デバイスによって生成されうる力の量は、雰囲気空気の圧力と有効面積との積に制限される。したがって、かかる結合体はその応用範囲が限られる。
特許文献14、特許文献15および特許文献16に開示される結合体は、他の技術、例えば対偶(kinematic coupling)を用いて、2つの半分をなす部分の間の位置合せを提供する。また、初期の位置合せを与えるために、粗い位置合せ用のピンを利用してもよい。粗い位置合せ用のピンには、ガイドピンをその孔において捕捉して離脱しないようにするキャッチ機構を付与してもよい。このキャッチ機構は、特許文献14および特許文献16においては自動的に起動するようになっており、一方、特許文献15においては、3つの粗い位置合せ用のピンそれぞれにモータ駆動のデバイスが利用される。また、特許文献15において、結合される構成要素間の平坦化をもたらすように3つのモータが別々に作動されてもよい。これら3つの特許文献において、2つの半分をなす部分をともに引っ張るために直線アクチュエータが用いられる。直線アクチュエータは空気圧式タイプのものが開示されている。このタイプの結合体においては、別の機構を用いて、壊れやすい電気接点の損傷を防ぐために十分な事前の位置合せを提供することが必要である。この理由から前述した粗い位置合せ用のピンが用いられており、このことが全体のコストおよび複雑さを増大させる。したがって、2組の位置合せ特徴部が提供される。すなわち、(1)粗い位置合せ用のピンと孔との組合せ、および(2)対偶である。次に説明する前掲のカム作動の結合体は、ガセットおよびカムを伴う事前位置合せと、ガイドピンおよびレセプタクルを伴う正確な位置合せと、カムおよびカム従動体を伴う機械的利得およびロックとを3つの簡易な機構において組み合わせる。この簡易さと、大型のテストヘッド用の動力付結合体において実証された技術とを保持することが望ましいであろう。
より具体的に述べると、特許文献15には、対偶に関して、ボールと溝との組合せが「対偶接点」と称されていて、これはなぜなら、かかる組合せが対偶を形成するのに必要な幾つかの接点を提供するためであることが開示されている。溝の各側部は、単一の箇所において接点を提供するので「対偶表面」と称される。このボールは、対偶表面と或る一点のみにおいて接触するので「対偶接合面」と呼ばれる。特許文献15は、対偶を十分に機能させるために、対偶表面を溝により形成する必要がないことを示唆している。他の形状、例えばゴシックアーチも同様に使用されうる。また、ボールを対偶接合面として用いる必要はない。他の形状、例えば円錐の先端部を単一の箇所において表面に接触させることができる。同様に、各対偶接点が2つの対偶表面を有している必要はない。他の適切な対偶接点の例は、平坦面を押圧するボール(接点ごとに1つの対偶表面)、四面体を押圧するボール(接点ごとに3つの対偶表面)、或いは3つのボールを押圧する1つのボール(接点ごとに3つの対偶表面)である。合計して6つの対偶表面が存在するのであれば、異なるタイプの接点が1つの対偶において用いられうる。
ここで、図1A〜図1Dに示された従来技術の結合体の構造および稼働方法の抜粋した詳細について本明細書において説明する。この説明は、前掲の特許文献6に開示された結合装置の概念を含むものであり、同文献をここで参照することにより本明細書の記載に代える。
図1Aは、受け台190に保持されたテストヘッド100を斜視図で示したものであり、受け台190はテストヘッドマニピュレータ(図示せず)により支持される。また、テストヘッド100が結合されうる操作装置108の切断された一部も示されている。図1Bはデバイス操作体108を幾分拡大してより詳細に示している。(この特定の従来例において、操作装置はパッケージ済みのデバイス操作体であり、テストヘッドは操作装置に対して下方から結合される。)先に図1Cの断面図を簡単に見ると、テストヘッド100は電気インタフェイス126を備え、操作装置108は対応する電気インタフェイス128を備えていることが分かる。電気インタフェイス126,128は、典型的には数百ないし数千の小さくて壊れやすい電気接点(図示せず)を備えており、これら電気接点は、テストヘッドが最終的に結合されたときに、対応する個々の電気接続を確実に提供するように正確に係合される必要がある。操作装置108の下方表面は、この例示的な形態において示されるように操作装置側電気インタフェイス128を備えており、テストヘッド100は下方から上方に概ね向かう運動により結合される。他の方向においてされる結合も可能であるとともに公知であり、これらには、下方に向かう運動を伴って頂面に結合する場合、水平方向の運動により鉛直平面に結合する場合、水平方向および鉛直方向の両方に対して或る角度をなす平面に対して結合する場合が含まれるが、これらに限定されない。
図1Aおよび図1Bに戻ると、完全な4点結合装置が示されている。結合装置の部品は操作装置108およびテストヘッド100のうちのいずれかに取り付けられている。面板106がテストヘッド100に取り付けられている。4つのガイドピン112が面板106の四隅近傍にそれぞれ配置され、取り付けられている。中央部開口が形成された面板106はテストヘッド100に取り付けられており、それにより、テストヘッド側電気インタフェイス126(図1Aおよび図1Bにおいては図示せず)が中央部開口を通って突出するとともに、これら4つのガイドピン112が略長方形を形成しており、この略長方形が電気インタフェイス126と中心を略共有するようになっている。
ガセットプレート114が操作装置108の下方面に取り付けられている。中央部開口が形成されたガセットプレート114は操作装置108に取り付けられており、それにより、操作装置側電気インタフェイス128が中央部開口を通って突出するようになっている。4つのガセット116がガセットプレート114に取り付けられていて、これらガセット116の各々がガセットプレート114の四隅の近傍にそれぞれ配置されている。各ガセット116には、ガイドピン孔、すなわちレセプタクル112aが穿孔されている。各ガイドピン孔112aは各ガイドピン112に対応している。これらは、テストヘッドが完全に結合されたとき、各ガイドピン112が各ガイドピン孔112aに完全に挿入されるように配列されている。各ガイドピン112の対応するガイドピン孔112aへの取付けは嵌合(close fit)によりなされる。したがって、ガイドピン112およびガイドピン孔112aは、テストヘッド100と操作装置108との間の位置合せを提供する。
4つの結合カム110が面板106に回転可能に取り付けられている。カム110は円形であり、特許文献6に記載されたカムに類似している。特に、各カム110には、上面に位置する上方切欠き125とともに、カム110の周囲の周りに側方螺旋溝129が形成されている。各結合カム110は各ガイドピン112に近接して配置されていて、それにより、各結合カム110が、テストヘッド側電気インタフェイス126の略中心から各ガイドピン112を通って延在する直線上におよそ中心合せされるようになっており、それにより、ガイドピン112がカム110とテストヘッド側電気インタフェイス126との間に位置するようになっている。ガセット116と、ガセットプレート114の四隅とには円形の切欠きが形成されており、それにより、ガイドピン112がガセットのガイドピン孔112aに完全に挿入されたとき、各カム110の周囲部が各ガセット116の円形切欠きに隣接していてかつこの切欠きと同心であるようになっている。この配列により、最初にテストヘッド100が操作装置108と結合される位置まで動作される際に、これら結合する構成要素間の初期の粗い位置合せを提供する。また、初期の粗い位置合せは、各レセプタクル112aに進入するガイドピンのテーパ形の端部によっても提供されうる。ガセット116、カム110およびガイドピン112は、ガイドピン112が各ガイドピン孔112a内部において実際に受容されるまでは、操作装置側電気インタフェイス128がテストヘッド側電気インタフェイス126(図1Aおよび図1Bにおいては図示せず)から離間したまま維持されるように配列されている。したがって、位置合せ前の保護がこれら電気接点に対して提供される。
したがって、2組の位置合せ特徴部が提供される。すなわち、(1)カム110に対するガセット116の取付け、および(2)ガイドピン112とレセプタクル112aとの組合せである。
また、結合ハンドル135を備えた円形のケーブルドライバ132が面板106に回転可能に取り付けられている。結合ケーブル115が、各カム110と、ケーブルドライバ132とにそれぞれ取り付けられている。プーリ137は、ケーブルの経路をケーブルドライバ132へと、およびケーブルドライバ132から適切に向けている。ケーブルドライバ132は、ハンドル135に力を付与することによって回転可能である。ケーブルドライバ132が回転すると、ケーブルドライバ132が力をケーブル115に伝え、次いでカム110を同期して回転させる。
カム従動体111は、各ガセット116の円形切欠きから延在している。カム従動体111は、カム110の上面に位置する上方切欠きに嵌るようになっている。図1Cは、テストヘッド100と操作装置108とを結合させる過程の或る段階を断面図で示している。このとき、ガイドピン112はガセット116に形成されたガイドピン孔112aに部分的に挿入されている。この例示的な形態において、ガイドピン112は、それらの遠位端近傍においてテーパ形をなすとともに、面板106に取り付けられる箇所のより近傍において一定の直径をなすことに留意されたい。図1Cにおいて、ガイドピン112は、一定の直径からなる区域がガイドピン孔112aにまさに進入しようとする箇所までガイドピン孔112aに挿入されている。また、図1Cにおいて、各カム従動体111は、各カム110の上面に形成された上方切欠き125に対して、各カム従動体111が螺旋カム溝129の最上端に位置するような深さまで挿入されている。この構成において、結合体は、ハンドル135(図1Cにおいては図示せず)に力を付与してカム110を回転させることによって作動される準備が整っている。したがって、この構成は「作動準備」位置と称されうる。この位置において、5自由度による位置合せがなされることに留意することが重要である。特に、操作装置側電気インタフェイス126の平面が3次元インタフェイスのX−Y平面である場合、その直径がレセプタクルに完全に挿入されるガイドピン112は、X軸,Y軸およびθZ軸における位置合せをもたらす。さらに、カム従動体111をすべての切欠き125に完全に挿入することは、操作装置側電気インタフェイス126とテストヘッド側電気インタフェイス128との間に平坦化をもたらす。
図1Dは、カム110を完全に回転させた結果を断面で示している。ここで、テストヘッド100は操作装置108と「完全に結合」されている。カム110が回転されて、カム従動体111を面板106の近接部により近づく箇所まで螺旋溝129に沿って進ませたことが分かる。さらに、これらガイドピン112は各ガイドピン孔112aに完全に挿入されている。ガイドピン112の一定の直径からなる区域と、各ガイドピン孔112aの側部との間の嵌合いの強さが、操作装置側電気インタフェイス128と、テストヘッド側電気インタフェイス126との間の最終的な位置合せを決定することが認められる。したがって、嵌合は、約3.6マイクロメートル〜約8.5マイクロメートル(7000分の1インチ〜3000分の1インチ)以内の範囲に収まる結合位置の再現性を与えることが一般に要求される。さらに、いったんガセットプレート114が操作装置108に取り付けられると、ガイドピン112は、ガセットに対して面板106において正確に配置される必要がある。このことを容易にするために、ガイドピン112はこれらの位置を調整可能な態様で取り付けられうる。広く実施されているこの際の態様は、特許文献6に開示されている。
カム従動体の動きについての幾つかの情報を再確認するのが有用である。図2は、カム110の運動の種々の時点におけるカム従動体111の鉛直方向の位置を示す。図2は、円形(すなわち円柱状)カムにも当てはまり、さらに、例えばライドアシュマンマニュファクチャリング社(Reid Ashman Manufacturing Co.)により製造されている特定の結合装置において用いられる直線カムにも同様に当てはまる。カム溝129および切欠き125の形状は概略的に示されており、図2は、説明することを目的としているため、正確な縮尺では描かれていない。カム従動体111がカム溝に進入し、或いはカム溝から退出する箇所である切欠き領域は、位置Oとして示されている。カム従動体111(カム溝129における種々の箇所において破線の円として示されている)は、位置400において切欠き125に進入し、続いて「作動準備」位置に対応する位置410に到達する。この切欠き領域は、位置Oと位置Aとの間に位置する溝129の概ね水平方向の区域につながっている。この水平方向の区域は、カム従動体の直径の1つ分ないし2つ分の長さを概ね有しており(これより短い場合もある)、全体のカムの運動のごく一部(数度)のみに相当する。
いったんカム従動体111が切欠き125の底部まで挿入されると、カムはこの水平方向の区域においてカム従動体を「捕捉」するように回転されうる。カム従動体111は位置420において「捕捉」される。カムがさらに移動されるのに従って、水平方向の溝は位置Aにおいて傾斜溝に移行する。カムが移動されると、カム従動体はそれに従って鉛直方向に上昇または降下する。この溝は、傾斜部の下方端の位置Bにおいて、典型的にはカム従動体の直径の少なくとも1つ分または2つ分の長さからなる概ね水平の区域に移行する。この概ね水平の区域において、カム従動体はその行程の限界点(at the extent of its travel)に位置し、結合装置は完全に結合される。カム従動体が溝の最も遠位の限界点である位置Cに在るとき(位置440におけるカム従動体111とともに示される)、結合装置はラッチされる(或いは完全に結合されてロックされる)と考えられる。AからBまでの区域は「中間」区域(位置430におけるカム従動体111とともに示される)と称されうる。また、BからCまでの区域は結合領域と称されうる。
前述したことに照らして、ここで、結合過程をより完全に説明するとともに特定の用語を定義するのが適切である。結合の目的は、テストヘッド側電気インタフェイス126と操作装置側電気インタフェイス128とを正確に接合させることである。各電気インタフェイス126,128は平面を形成し、この平面は、電気接点の遠位端と概ね平行であるのが典型的であるが、このことは必須ではない。結合されたとき、これら2つの平面は互いに平行である必要がある。電気接点が損傷するのを防ぐために、これら電気接点が互いに機械的に接触できるようになる前に、まず2つの電気インタフェイス126,128を5自由度により位置合せするのが好ましい。結合位置において、インタフェイスにより形成される平面が3次元のデカルト座標系のX−Y平面に対して平行である場合、位置合せは、各接点を互いに整列させるために、X軸およびY軸において、およびX−Y平面に対して直交するZ軸回り(θZ)の回転方向において行われる必要がある。さらに、2つの平面はX軸およびY軸回りの回転運動によって平行にされる。2つの電気インタフェイス平面を互いに平行にする行程は、インタフェイスの「平坦化」と称される。この平坦化がなされたとき、インタフェイスが「平坦化」された、または「コプレーナ(co−planar)」であるという。
いったん平坦化されて、X軸、Y軸およびθZ軸において位置合せされたら、操作装置側電気インタフェイス128の平面に対して直交するZ軸方向の運動を生じさせて結合が進められる。結合される過程において、テストヘッド100がまず操作装置108の近傍まで動作される。追加の動作により、ガセット116の円形切欠きがカム110と第1の位置合せがなされるようになる。この位置、またはその1つ前の位置が「結合準備」位置であると考えられる。より一般的には、「結合準備」は、第1の粗い位置合せ手段のうちの幾つかがおよそ係合されるべき位置に在る位置を指す。デザインの詳細に応じて定まるが、ガイドピンの遠位端は、この段階において、各ガイドレセプタクルに進入する準備が整っている。さらに追加の動作により、テストヘッドを「作動準備位置」に移動させる。「作動準備位置」は既に図1A〜図1Dに関して定義された。より一般的には、「作動準備」とは、結合装置を作動させてもよい位置にテストヘッドが達したときの位置を指す。作動準備位置において、およその平坦化およびX軸、Y軸およびθZ軸における位置合せがなされる。結合体が作動されて、ガイドピン112が各ガイドピン孔112aにより完全に挿入されるようになると、位置合せおよび平坦化はより正確になる。マニピュレータ駆動の結合において、特許文献8および特許文献9に記載されているように、センサが作動準備位置に相当するものを検出して、粗い位置合せモードから細かな位置合せモードに変更する点に留意されたい。したがって、当業者にとって、アクチュエータ駆動の結合体において作動準備位置を検出することは、特許文献8および特許文献9により教示され、開示されたものからの当然の(直感的で自明な)延長に当たるであろう。
前述したタイプの結合体は約450キログラム(1000ポンド)以上の重量を有するテストヘッドとともに用いられることに成功している。しかしながら、テストヘッドがさらにより大型化するとともに接点の数が増大するのに従って、多くの問題が明らかになっている。まず、接点の数が増大するのに従って、これら接点を係合させるために要求される力も増大する。典型的には、1つの接点ごとに数十グラム(数オンス)の力が要求され、したがって、1000以上の接点を備えたテストヘッドを結合させるのには、この目的のために約45キログラムないし約90キログラム(100ポンドないし200ポンド)を超える力が要求される。テストヘッドは約1立方メートル以上の体積を占めるので、操作者がすべてのガセットおよびカムを観察して、テストヘッドが結合準備位置に在るとき、およびテストヘッドが作動準備位置に在るときを決定することがますます困難になっている。また、準拠機構およびテストヘッドマニピュレータのケーブルの弾性に起因する反発効果が、作動を開始させるのと同時にテストヘッドを作動準備位置に維持することを困難にしている。作動機構が打ち勝つべき力の量が増大することからさらに困難が生じ、それは、ケーブルの伸長に起因してカムの運動が非同期化されうるということである。硬質のリンクおよびベルクランクを用いた結合体における機構の歪みという同様の問題が知られている。
前述したような結合装置は、用いられるガイドピンおよびレセプタクルの数によって特徴付けられうる。特許文献6に開示される結合装置は2点結合体として特徴付けられ、図1Aから図1Dに示された結合装置は4点結合体として知られている。同じ一般原理に従う3点結合体も公知であり、広く用いられている。本発明は、4点結合の構成に関して説明されるが、このことから本発明を他の構成に適用することが制限されるわけではない。
本発明は、前述したような基礎的な手動結合を改善することを対象とする。特に、数十キログラムないし数千キログラム(数百ないし数千ポンド)の作動力を要求する数百ないし数千の電気接点を備えた大型で重量の大きいテストヘッドの結合を簡略化することを対象とする。また、本発明は、作動準備位置と完全結合位置との間の結合の過程を完全に自動化する自動化手段を提供する。
図3は、本発明の例示的な実施形態に係る改良された結合体の斜視図である。図4Aは、図3に示される結合装置のテストヘッド側の拡大図を示し、図4Bは、図3に示される結合装置の操作装置側の拡大図を示している。図3に示される結合装置は、図1Aのように操作装置に取り付けられたガセットプレート114と、テストヘッドに取り付けられた面板106とを備えている。ガイドピンレセプタクル112aがそれぞれ形成された4つのガセット116およびカム従動体111がガセットプレート114に取り付けられている。例えば、各ガセットは取付けネジ199を用いてガセットプレート114に取り付けられうる。これに対応して、4つのカム110および4つのガイドピン112が面板106に配列されている。したがって、図3に示される結合装置は4点結合式のものであるが、ここで説明する概念は、2点結合、3点結合または他の構成にもまさに同様に適用される。さらに、ここで説明する概念は、直線カムを含む他のカム配列を備えた結合装置にも適用されるであろう。
図1A〜図1Dに関連して前述したように、テストヘッドおよび操作装置それぞれの電気インタフェイス(図示せず)を受け入れる中央部開口が、面板106およびガセットプレート114の両方にそれぞれ形成されている。ガイドピン112は略正方形の四隅にそれぞれ配置されており、この略正方形は、テストヘッド側電気インタフェイスの略中心に位置する中心を有している。カム110、ガセット116およびガイドピン孔112aの位置は、ガイドピン112の位置によって定まる。特に、各カム110は、前述した略正方形の中心からガイドピン112を通って延在する直線上に略中心合せされるとともに、この略正方形の中心からガイドピン112よりも遠位に配置されている。ガセット116は、図1Aに関連して説明したようにカム110と概ね同心の円形切欠き241を備えるよう形成されており、テストヘッドが完全に結合されたとき、カム従動体111が各ガセット116の各円形切欠き241の表面に取り付けられるようになる。図3に示されるように、ガセット切欠き241に合致する円形切欠きがガセットプレート114に形成されている。また、図1Aに関連して説明したように、図3に示される各カム110には、その周囲の周りに側方螺旋溝129が上面に位置する上方切欠き125とともに形成されている。各ガセット116には、ガイドピン孔、すなわちレセプタクル112aが穿孔されている。
また、図3において、各ガイドピン孔112aは各ガイドピン112に対応している。これらは、テストヘッドが完全に結合されたとき、各ガイドピン112が各ガイドピン孔112aに完全に挿入されるように配列されている。対応するガイドピン孔112aへの各ガイドピン112の取付けは嵌合(close fit)によりなされる。したがって、ガイドピン112およびガイドピン孔112aは、テストヘッド100と操作装置108との間の位置合せを提供する。
引き続き図3において、各カム110にはその側部に1つまたは2つ以上のネジ穴212が形成されている。1つまたは2つ以上の結合ハンドル135が適切なロッドから形成されるとともにその一端においてネジ山が形成されており、それにより、これら結合ハンドル135を適切なネジ穴212にネジ留めすることによって、結合ハンドル135の各々がカム110に取り付けられうるようになっている。結合ハンドル135がここでは示されているが、これらは、例えば、本明細書に記載されるアクチュエータ組立体が流体源の損失に起因して機能しなくなった場合において、カム110を回転させる予備の手段として概ね付与されるものである。
粗い位置合せ用の4つのピン210はガセットプレート114の四隅の近傍にそれぞれ取り付けられている。ブッシュ210aにより内面を覆われる粗い位置合せ用の4つのガイド孔は、面板106における対応する位置に配置される。粗い位置合せ用のピン210は、対応する粗い位置合せ用のブッシュ210aに非常に緩く嵌るようになっている。粗い位置合せ用のピン210はカム110の高さよりも長い。結果として、粗い位置合せ用のピン210を対応するブッシュ210aに挿入することにより、テストヘッドと操作装置との第1の粗い事前位置合せが提供される。本発明の他の概念による利点を得るためには、結合装置がこの特徴を備える必要がないことに留意すべきである。また、ガイドピン112と粗い位置合せ用のピン210との両方が位置合せ機能を行い、これら両方が一般に「アライメントピン」または「位置合せ用のピン」と称されることに留意すべきである。本明細書で用いる用語「アライメントピン」は、ガイドピンおよび粗い位置合せ用のピンなどの位置合せ用の特徴部に関する。
特許文献17に開示されるように、センサ(図示せず)を本発明の結合装置に組み入れてもよい。ここで同文献を参照することにより本明細書の記載に代える。センサの出力部は、システム制御器(図示せず)の適切な入力部に接続されてもよい。システム制御器は、例えば選択されたマニピュレータの運動軸の制御が含む、位置決めシステムの他の機能を制御してもよい。
本発明によって解決される別の課題は、より大型のテストヘッドにおいて要求される結合力を増大させることである。テストヘッドが結合される際、電気コネクタが係合し、弾性接点、例えばポゴピンが圧縮される。数百ないし数千の電気接点を接続することが要求される状況においては、要求される直接的な力が約450キログラムないし約900キログラム(1000ポンドないし2000ポンド)にまで上昇しうる。結合アクチュエータは、手動によるものであろうが動力によるものであろうが、テストヘッドを移動させるのに必要な力に加えてこの力に打ち勝つ必要があり、かつあらゆる準拠機構に打ち勝つ必要がある。アクチュエータによって付与される必要のある実際の力は、先に述べた直接的な力をアクチュエータ機構の機械利得により除算した商である。円形カムを備えた結合体において、例えば機械利得はカム溝129の傾斜によって部分的に定まる。一定でない傾斜を有するカム溝129を提供でき、それにより機械利得はカムの位置の関数として変化する。こうすることにより、打ち勝つ必要のある直接的な力が電気インタフェイス間の分離に応じて変化する状況において、その運動の範囲にわたっておよそ一定の作動力を要求する結合体を形成するのが可能になる。テストヘッドが接点の数の増大に伴い大型化して重量が増大するのに従って、手動で稼働されるアクチュエータを提供するための問題がより大きくなる。
図3、図4A、図5A、図5Bおよび図6を参照すると、アクチュエータ組立体220がカム110の回転を促すために提供される。アクチュエータ組立体220は、少なくとも1つの直線アクチュエータ222および一連のリンクバー230,231,232を概ね備えている。本実施形態は、2つの直線アクチュエータ222を備えたものとして示されているが、1つまたは3つ以上の直線アクチュエータ222を代替的に付与してもよい。ここで示される例示的な実施形態に関して説明されるように、アクチュエータ222は復動式気圧シリンダである。しかしながら、液圧式シリンダを含む、任意の流体ベースのシリンダが本発明を実施するように適合されうる。さらに、本発明は複動式シリンダに限定されない。例えば他のタイプの直線アクチュエータもこの適用例に適合されうる。例えば電気モータを動力とするアクチュエータ、または電気ソレノイドと電磁気ソレノイドとのうちの少なくとも一方が含まれるが、これらに限定されない。或いは、回転モータおよび適切なギアが付加されて、円形カムを備えた結合体において円形カムのうちの1つまたはケーブルドライバ(備えられている場合)に対して、或いは直線カムおよびリンクを組み込んだ結合体においてはベルクランクに対して、動力による回転を与えてもよい。回転モータは、例えば電気的、液圧式または気圧式のものがありうる。
図5Aおよび図5Bを参照すると、例示的な直線アクチュエータ222は気圧式シリンダであって、シリンダを通って延在するロッド224および1対の流入ポート225,227を備えている。ポート225を通じて流体を供給することによってロッド224を図5Aの右側に移動させ、ポート227を通じて流体を供給することによってロッド224を図5Aの左側に移動させる。前述したように、アクチュエータ222はこの複動式特性を有するものである必要はなく、その代わりに対向する複数の単動式シリンダ、例えば、面板106の各側に位置する単動式シリンダによって置き換えてもよい。リンクバー226はロッド224の各端部に取り付けられている。各リンクバー226には、幅wよりも大きい長さlを有する長尺のスロット228が形成されている。
図6を参照すると、各スロット228が、ブッシュ235を周りに備えた回動ピン234を受容するように構成されている。ブッシュ235はスロット228内に位置決めされ、回動ピン234はブッシュ235を通り、かつ対応する短手リンク230,231の一端に形成された回動孔を通って延在する。ブッシュ235は、スロット228の幅wに略等しい直径を有していて、それにより、ブッシュ235がスロット228内を軸線方向に移動できるようになっている。このようにして、リンクバー226および各短手リンク230,231は、回動ピン234の回りに互いに回動する一方で、詳細について後述するようにこの回動点が軸線方向に調整可能になっている。これら回動および軸線方向の調整を促すために、本明細書にはスロットについて記載されているが、リンク部材の各々がここで述べるように引張力を介して移動されるようにする他の機構も利用されうる。例えば、短手リンク(図示せず)をリンクバー226と短手リンク230,231との間の各端部において回動可能に連結させてもよい。
本実施形態において、アクチュエータ組立体220は、図6の直線アクチュエータ222aから(図面の下方から見て)時計回りに、ロッド224から延在するリンクバー226をさらに備えていて、このリンクバー226は短手リンク231に回動可能に取り付けられている。短手リンク231の反対側の端部はカム110aの第1のフランジ221に回動ピン236を介して回動可能に連結されている。第1のフランジ221は、アクチュエータ222の作動を介した第1のフランジ221の動きによってカム110aが回転させられるようにカム110aに固定される。カム110aが回転するのに従って、カム110aに取り付けられた第2のフランジ223がカム110aとともに回転させられる。第1のフランジ221および第2のフランジ223がここで示されているが、これらを長尺のスロット(図示せず)が形成された単一のフランジによって置換してもよい。長手リンク232は、第2のフランジ223と、隣のカム110bの第1のフランジ221との間の各端部においてそれぞれ回動可能に連結されている。短手リンク230は、第2のカム110bの第2のフランジ223と、アクチュエータ222bのロッド224の一端から延在するリンクバー226との間においてそれぞれ回動可能に連結されている。類似のリンクパターンは、アクチュエータ222bから対をなすカム110cおよびカム110dを通って、アクチュエータ222aのロッド224の反対側の端部に連結されたリンクバー226まで続いている。この点に関し、このシステムは対称であるのが好ましいが、このことは要求されない。
本実施形態において、各アクチュエータ222は、ネジ250などの手段により面板106に取り付けられている。各アクチュエータ222の一部を受容するように構成された窪み107が面板106に形成されていて、面板106の表面上方に延在するアクチュエータ222の高さを低下させてもよい。ここで示されるように、各アクチュエータは面板106に固定されていて、作動時に回動しないか、若しくはそうでなければ面板106に対して移動しない。アクチュエータ222が固定されているため、リンクバー226に形成されたスロット228は、回動点が軸線方向に移動するのを可能にしていて、以下により詳細に説明するように、固定されたアクチュエータ222と回動するフランジ221,223との間の距離および方向の変化を受け入れるようになっている。
シリンダは気圧式のもの(すなわち圧縮可能な気体、例えば空気によって稼働されるもの)でも液圧式のもの(すなわち圧縮可能な液体によって稼働されるもの)でもよく、以下の説明は、これら両方の場合を想定しており、液体または気体のいずれをも意味する「流体」という用語を採用している。
図3および図4Aを参照すると、アクチュエータ222によって用いられる流体は、制御器270から延在する1対のホース260,262によって供給されうる。制御器270は、流体源(図示せず)から加圧流体を受ける流入口272を備えている。制御器270は、所望の圧力の流体がホース260またはホース262を通って付与されうるように調整弁を備えているのが好ましい。制御器270は、スイッチ(図示せず)、例えば3方向トグルスイッチを備えており、これにより操作者が、流入口225に向けられたホース260を通るように流体を向けるか、または流入口227に向けられたホース262を通るように流体を向けるか、或いは流体がホース260,262を通って供給されないようにできる。本実施形態は流体スプリッタ264を備えており、それにより制御器270からの流体が両方のアクチュエータ222に同時に供給されるようになっている。或いは、別の制御器が各アクチュエータ222にそれぞれ付与されうる。
結合位置にあるとき、各ホース260,262および制御器270において流体が閉じ込められているので、動力または流体供給の損失がカムの回転および結合体の分離を引き起こさないことが認められる。これにより、カム従動体111が各羅線溝129内に完全に設置されていない場合であっても安全なロックが形成される。制御器270への流体圧の損失が生じる場合、結合体は、閉じ込められた流体を手動で、例えばバルブまたは各ホースの切断部を通して解放することによって稼働されうる。
本発明の結合装置の例示的な実施形態の構成要素について説明したが、結合装置の動作について図7A〜図12Bを参照して説明する。
図7Aおよび図7Bは、結合動作を開始する際の非結合位置におけるアクチュエータ組立体220を示す。結合動作を行うために、カム110を図面において時計回りの方向に回転させる必要がある。かかる結合動作を開始するために、操作者は制御器270を始動させて加圧流体を流入バルブ227に供給し、それによりロッド224が矢印A1の方向に移動されるようになる。ロッド224が移動するのに従ってリンクバー226aがロッド224とともに移動し、回動ピン234がスロット228の端部に接触して、それによりリンクバー226aの軸線方向の運動が、矢印A2によって示されるように短手リンク231aに転化されるようになる。短手リンク231aの動きは、次いで第1のフランジ221aおよび第2のフランジ223aを矢印A3で示されるようにカム110aとともに回転させる。第2のフランジ223aの回転により、長手リンク232aが矢印A4によって示されるように移動され、それにより、長手リンク232aの反対側の端部においてカム110bの回転が開始されるようになる。長手リンク232aは、その両端が概ね同じ経路に沿って移動する各フランジ223a,221bにそれぞれ連結されているため、スロットが長手リンク232aに形成される必要はない。
図7Bにおいて、ロッド224aが矢印A1の方向に移動するのに従って、この系の緩みが取り除かれると、特に、回動ピン234bの初期の軸線方向の運動がリンクバー226bのスロット228bにおいて詰まる(taken up)ようになると、ロッド224aが短手リンク230aを穏やかに押圧しうるようになることに留意されたい。短手リンク230aおよび長手リンク232bは、代わりに直線アクチュエータ222bのロッド224bの運動によって、矢印Bで示されるように引っ張られ、このことはアクチュエータ222aに関して前述されたものと同様の態様でなされる。こうすることにより、リンクのいずれかが押圧される場合、すなわち本発明のように張力により引っ張られるのではなく圧縮して配置される場合に起こりうる座屈などが防がれる。単一のアクチュエータ222のみが利用される場合、例えばアクチュエータ222bが長手のリンクに置き換えられる場合であっても、長手リンク232bおよび短手リンク230がなお引っ張られる。つまり、残りのリンクおよびフランジの各々を通じてリンクバー226aに作用するアクチュエータ222による連続的な力によって張力が働いている。結合動作の間、これらリンクには常に張力が働いているので、望ましくない座屈を発生させるであろう圧縮力をリンクが受けないようになっている。したがって、これらリンクは、張力について十分な強さを有するのであれば、比較的薄肉の、または圧縮可能な材料から形成されうる。実際に、これらリンクをワイヤロープまたはケーブルから形成することも原理上可能である。
図8Aおよび図8Bを参照すると、非結合位置から結合位置までの移動途中におけるアクチュエータ組立体220が示されている。ロッド224aは、矢印A1で示されるように移動を続け、結果として生じる力はそれぞれ残存している。同時に、ロッド224bもまた同様の態様で移動を続ける。ここで示されるように、短手リンク230aは、このときにカム110dの回転により移動されており、次いで第2のフランジ223dが、矢印Bで示されるように長手リンク232bにおける引張力により移動されている。第2のフランジ223dの回転により、短手リンク230aの軸線方向の移動と回動との両方が引き起こされる。回動ピン234bはスロット228bの長さに沿って軸線方向に自由に移動でき、その軸線方向の移動により、リンクバー226bと第2のフランジ223dの回動点との間の距離の変化を埋め合わせている(taking up)。回動ピン234aは、ロッド224aの反対側の端部において、スロット228a内をそれ以上遠方に移動できなくなっており、その結果として、リンクバー226aが短手リンク231aおよび第1のフランジ221aを引っ張って、その回動角が相対的な位置の変化を埋め合わせるようになっている。
図9Aおよび図9Bを参照すると、結合位置に達した直後のアクチュエータ組立体220が示されている。ロッド224aは、矢印A1で示されるように移動を続け、結果として生じる力はそれぞれ残存している。同時に、ロッド224bもまた同様の態様で移動を続ける。ここで示されるように、短手リンク230aは、このときにカム110dの回転により移動されており、次いで第2のフランジ223dが、矢印Bで示されるように長手リンク232bにおける引張力により移動されている。第2のフランジ223dの回転により、短手リンク230aの軸線方向の移動と回動との両方が引き起こされる。回動ピン234bはスロット228bの長さに沿って軸線方向に自由に移動でき、それによりリンクバー226bと、第2のフランジ223dの回動点との距離が再び変化するのに従って、回動ピン234bがスロット228bに沿って軸線方向に、例えばおよそ中間点まで移動するようになる。回動ピン234aは、ロッド224aの反対側の端部において、スロット228a内をそれ以上遠方に移動できなくなっており、その結果として、カム110aが結合位置に至るまで、リンクバー226aが短手リンク231aおよび第1のフランジ221aを引っ張るようになっている。
分離動作は結合動作の反対のことを行えばよい。図10Aおよび図10Bを参照すると、分離動作の開始時におけるアクチュエータ組立体220が示されている。かかる分離動作を開始するために、操作者は制御器270を始動させて加圧流体を流入バルブ225に供給し、それによりロッド224aが矢印A1の方向に移動されるようになる。これと同時に、ロッド224bも同様の態様で反対方向に移動する。ロッド224aが移動するのに従ってリンクバー226bがロッド224aとともに移動し、回動ピン234bがスロット228bの端部に接触して、それによりリンクバー226bの軸線方向の運動が、矢印A2によって示されるように短手リンク230aに転化されるようになる。短手リンク230aの動きは、次いで第1のフランジ221dおよび第2のフランジ223dを矢印A3で示されるようにカム110dとともに回転させる。第1のフランジ221dの回転により、長手リンク232bが矢印A4によって示されるように移動され、それにより、長手リンク232bの反対側の端部においてカム110cの回転が開始されるようになる。また、長手リンク232bは、その両端が概ね同じ経路に沿って移動する各フランジ221d,223cにそれぞれ連結されているため、スロットが長手リンク232bに形成される必要はない。
図10Bにおいて、ロッド224aが矢印A1の方向に移動するのに従って、この系の緩みが取り除かれると、特に、回動ピン234aの初期の軸線方向の運動がリンクバー226aのスロット228aにおいて詰まる(taken up)ようになると、ロッド224aが短手リンク231aを穏やかに押圧しうるようになることに留意されたい。短手リンク231aおよび長手リンク232aは、代わりに直線アクチュエータ222bのロッド224bの運動によって、矢印Bで示されるように引っ張られ、このことはアクチュエータ222aに関して前述されたものと同様の態様でなされる。結合動作または分離動作いずれにおいても、リンク230,231,232のそれぞれは引っ張られるが、押圧されない。例えば、結合動作において、長手リンク232aはアクチュエータ222aによって引っ張られており、分離動作において、長手リンク232aは、代わりにアクチュエータ222bによって引っ張られている。もう一度述べるが、単一のアクチュエータを用いても、アクチュエータ222がリンクのそれぞれを引っ張るようになり、押圧しない。
図11Aおよび図11Bは、結合位置から非結合位置までの移動途中におけるアクチュエータ組立体220のを示していて、図12Aおよび図12Bは、結合位置に達した直後のアクチュエータ組立体220を示している。この動作もまた結合動作に類似しており、これらの図面によってリンクと、スロット228内の回動ピン234との相対的な位置を示している。したがって、前述したように、すべてのリンクは圧縮されるのではなく、望ましくかつ有利であるように張力が働くように維持されている。
特定の実施形態を参照して、本発明を本明細書において表し、説明したが、本発明がそれらの具体物に限定されることを意図したわけではない。むしろ、本発明の精神を逸脱することなく、特許請求の範囲およびその均等の範囲内において、これらの詳細について種々の改変がなされうる。