JP2011528038A - 医療用デバイスおよび核酸の送達方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の実施形態は、核酸を放出するデバイスおよび関連する方法を含む。一実施形態では、本発明は、ポリマーマトリックス、マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、およびマトリクス内に配置される有効成分を含む有効成分溶出コーティングを含み、有効成分は、カチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む。一実施形態では、本発明は、所望の溶出プロファイルに対応するカチオン性担体の濃度を選択する工程、マトリックス形成ポリマー、有効成分、溶媒、およびカチオン性担体を組み合わせて、選択された濃度のカチオン性担体を有するコーティング組成物を形成する工程であって、有効成分が核酸を含む工程、および、基材の表面にコーティング組成物を堆積させる工程を含む、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。他の実施形態も本明細書に含まれる。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国を除く全ての国で出願人である米国国内企業のSurModics,Inc.並びに、米国でのみ出願人であるオランダ国民のJoram Slanger、米国民のJoseph Schmidt McGonigle、米国民のAron Brent Anderson、および米国民のRobert W.Hergenrotherの名前で、2009年7月14日にPCT国際特許出願として出願されており、2008年7月14日に出願されたU.S. Patent Application Serial Number 61/080,483の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
本発明は、有効成分を放出するデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、核酸を放出するデバイスおよび方法に関する。
様々な医学的症状を治療する有望な方法の1つは、治療薬として核酸を投与することである。例えば、この方法は、RNA、DNA、siRNA、miRNA、piRNA、shRNA、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、および触媒活性DNA等の投与を含むことがある。
しかし、核酸を用いた治療の成功は、多くの要因に依存し得る。具体的には、標的細胞に作用を及ぼすために、一般に、核酸ベースの有効成分は、とりわけ、適切な標的細胞に送達され、その細胞に吸収され、エンドソームから放出され、核又は細胞質に輸送(細胞内輸送)されなければならない。このようなものとして、核酸を用いた治療の成功は、部位特異的送達、送達段階での安定性、および標的細胞内における相当程度の生物活性に依存する。様々な理由から、これらの工程は達成が困難なことがある。
核酸ベースの有効成分を投与する方法の1つは、送達プラットホームとして埋め込み型医療用デバイスを使用することである。この目的に埋め込み型医療用デバイスを使用することにより、核酸を部位特異的に送達することができる。しかし、製造上の問題、貯蔵安定性、望ましい溶出プロファイル、および十分な有効成分添加量等を含む、このような医療用デバイスを使用することに伴う様々な実際的問題がある。
従って、治療用核酸を標的組織に送達できるデバイス並びにその製造方法および使用方法が依然として必要とされている。
本発明の実施形態は、核酸を放出するデバイス(機器または器具)および関連する方法を含む。一実施形態では、本発明は、ポリマーマトリックス、マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、およびマトリックス内に配置される有効成分を含む有効成分溶出コーティングを含み、有効成分はカチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む。
一実施形態では、本発明は、基材および基材上に配置されるコーティングを含む、埋め込み型医療用デバイス(医療機器または医療器具)を含む。コーティングは、ポリマーマトリックス、マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、およびマトリックス内に配置される有効成分を含んでもよく、有効成分はカチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む。
一実施形態では、本発明は、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。本方法は、所望の溶出プロファイルに対応するカチオン性担体の濃度を選択する工程を含んでもよい。本方法はまた、マトリックス形成ポリマー、有効成分、溶媒、およびカチオン性担体を組み合わせて、選択された濃度のカチオン性担体を有するコーティング組成物を形成する工程を含んでもよく、有効成分は核酸を含む。本方法は、更に、基材の表面にコーティング組成物を堆積させる工程を含んでもよい。
一実施形態では、本発明は、有効成分溶出コーティングを形成するための液体組成物を含む。液体組成物は、マトリックス形成ポリマー、カチオン性担体、核酸を含む有効成分、および溶媒を含んでもよく、有効成分は溶媒に溶解しない。
一実施形態では、本発明は、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。本方法は、マトリックス形成ポリマー混合物、カチオン性担体、および有効成分を非水性溶媒と組み合わせて単相性コーティング組成物を形成する工程を含んでもよく、有効成分は核酸を含む。本方法はまた、基材の表面にコーティング液を堆積させる工程を含んでもよい。
一実施形態では、本発明は、有効成分溶出コーティングを形成するための液体組成物を含んでもよい。液体組成物は、マトリックス形成ポリマー、カチオン性担体、および有効成分を含んでもよい。有効成分は核酸を含んでもよい。液体組成物はまた溶媒を含んでもよいが、有効成分は溶媒に溶解しない。
上記の発明の概要は、検討される本発明の各実施形態を説明するものではない。これは、図面および以下の発明を実施するための形態の目的である。
次の図面と併せて検討することにより、本発明をより完全に理解することができる。
経時でのコーティングからのsiRNA放出のグラフである。 様々な量のポリエチレンイミン(PEI)の影響を受けた場合の、経時でのコーティングからのsiRNA放出のグラフである。 様々な量のPEIの影響を受けた場合の、経時でのコーティングからのsiRNA放出のグラフである。 経時でのコーティングからのDNA放出のグラフである。
本発明には様々な変更や代替の形態が可能であるが、その特定のものを例および図面として示し、以下でそれらを詳細に説明する。しかし、本発明は、説明する特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。反対に、本発明は、本発明の精神および範囲に入る変更、同等物および代替を含むことができる。
本明細書で使用する場合、「複合」の用語は、非共有結合による2種類以上の化学種の化学結合を指すものとする。混合物中の2種類以上の化学種に関する「複合化していない」の用語は、共有結合又は非共有結合で互いに結合していない化学種の性質を指すものとする。混合物中の2種類以上の化学種に関する「実質的に複合化していない」の用語は、複合化がごく僅かしか起こらず、実質的に独立して存在する種の性質を指すものとする。
RNAおよびDNAなどの核酸は、一般に、水性溶媒などの極性溶媒にしか溶解せず、非極性溶媒への溶解性が限られているか又はない。多くの場合、非極性溶媒は、実際、核酸の活性に有害な可能性がある。しかし、非極性溶媒との接触に対して、核酸の調製に使用できる方法がある。例えば、核酸が非極性溶媒と接触しながらも十分な生物活性を維持できるように、核酸を粒子として調製する凍結乾燥法などの様々な方法がある。
カチオン性担体は、核酸ベースの有効成分の送達に有用な可能性がある。カチオン性担体は、核酸と複合体を形成することができる。得られる複合体は、移入を助けることの他に、水性環境中で核酸の活性を維持するのに有用な可能性がある。しかし、カチオン性担体と核酸との複合体の形成には、一般に、水性溶媒の存在が必要である。このようなものとして、非水性溶媒しか存在しないとき、複合体の形成は起こらない。
出願人らは、核酸とカチオン性担体の両方を含むが、デバイスの生体内への挿入後までこの2つの複合体を含まない医療用デバイスの製造方法を開発してきた。例えば、一実施形態では、本発明は、マトリックス形成ポリマー混合物、カチオン性担体、および核酸を非水性溶媒と一緒に組み合わせてコーティング組成物を形成する工程、および、その後、基材の表面にコーティング液を堆積させる工程を含む、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。コーティング組成物は水性溶媒を含まないため、核酸とカチオン性担体との複合体は形成しない。
理論に拘束に拘束されるものではないが、核酸とカチオン性担体の両方を含むがこの2つの複合体を含まないデバイスが、生体内に存在するような水性環境中に挿入されると、水がコーティングに浸透し、核酸とカチオン性担体との複合体の形成が起こる可能性があると考えられる。このようなものとして、製造中および貯蔵中、デバイスのコーティング中に複合体は実質的に存在しない。しかし、このような医療用デバイスが被験者に埋め込まれた後、又は、さもなければ水性溶媒を含む環境に曝された後、水の存在によってカチオン性担体が核酸との複合体を形成し、その後、コーティングから溶出する可能性がある。このようなものとして、本明細書の様々な実施形態に従って、実際にデバイスを使用する時までカチオン性担体と核酸の複合体の形成を遅延させることができる。
カチオン性担体と核酸の複合体の形成の遅延には様々な利点がある可能性がある。例えば、核酸が既にカチオン性担体に複合化している、他の点では類似のデバイスと比較して、このようなデバイスは貯蔵安定性が向上すると考えられる。複合体形成の遅延によって、核酸/カチオン性担体複合体を有する水溶液で通常見られる凝集や活性の損失が減少すると考えられる。更に、有機相中に維持されるとき、ヌクレアーゼなどの分解酵素が核酸に容易にアクセスできないため、核酸はより安定になると考えられる。
また、デバイスの製造工程中、核酸を有機溶媒中に懸濁した粒子状に維持することにも様々な実際的な利点がある可能性がある。例えば、コーティングを形成するために液体組成物を基材に塗布する望ましい方法の1つは、スプレーコーティングである。スプレーコーティングは、ディップコーティングなどの他の方法では達成が困難な精度でコーティングを堆積するのに使用できるため、望ましい可能性がある。しかし、スプレーコーティングを使用できるためには、噴霧される液体組成物は、閾値量未満の粘度や閾値量未満の最大粒径などの、スプレー塗布の実施を可能にするある一定の特性を有していなければならない。幾つかの液体組成物は、単に基材にスプレーコーティングするだけでは、望ましいコーティングを得ることはできない。しかし、塗布工程前および塗布工程中、核酸を液体組成物中に粒子状に維持すると、望ましいコーティングが得られることが分かった。
本明細書の幾つかの実施形態では、使用するマトリックス形成ポリマーは、分解性ポリマーと非分解性ポリマーの両方を含む。理論に拘束されるものではないが、分解性ポリマーと非分解性ポリマーの両方を使用することには様々な利点がある可能性がある。例えば、非分解性ポリマーしか含まないコーティングには、望ましい溶出特性を有していないものがある可能性がある。分解性ポリマーしか含まないコーティングは、比較的、生体内環境中にコーティング片を脱落させ易い可能性があり、これは幾つかの用途では望ましくないことがある。ここで、例示的実施形態の特定の態様をより詳細に説明する。
カチオン性担体
例示的な適したカチオン性担体の種類としては、カチオン性ポリマーおよびカチオン性脂質を挙げることができる。適したカチオン性担体としてはまた、シクロデキストリン、ヒストン、カチオン化ヒト血清アルブミン、アミノ多糖類(キトサンなど)、ペプチド(ポリ−L−リシン、ポリ−L−オルニチン、およびポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)など)、並びに、ポリアミン(ポリエチレンイミン(PEI)、ポリプロピレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー、およびポリ(β−アミノエステル)など)を含むポリカチオンを挙げることもできる。他の担体としては、リポソーム、タンパク質導入ドメイン、およびポリビニルピロリドン(PVP)を挙げることができる。更に、担体はまた、それらが特定の細胞型を標的にすることを可能にする分子にコンジュゲートしていてもよい。ターゲティング剤の例としては、特定の細胞の表面分子を認識し、それに結合する抗体およびペプチドが挙げられる。
有効成分
本発明の実施形態に使用される核酸としては、治療効果を提供する機能を果たすことができる様々な種類の核酸を挙げることができる。例示的な核酸の種類としては、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、ロック核酸、および触媒活性DNAを挙げることができるが、これらに限定されない。
様々な実施形態で、本発明の実施形態に使用される核酸は、上記の誘導体を含むことができる。誘導体としては、化学修飾された核酸、および脂質又はポリマーなどの成分がコンジュゲートしている核酸を挙げることができる。例えば、化学修飾は、核酸内の個々のヌクレオチドの化学的性質の変更を含むことができる。化学修飾の具体例としては、ホスホロチオエートRNAおよびボラノホスホネートRNAなどのホスホジエステル修飾、並びに、2’−O−メチルRNA、2’−デオキシ−2’−フルオロRNA、およびロック核酸などの2’糖修飾を挙げることができる。また、化学修飾としては、メチル化、およびハロゲンを用いた修飾(フッ素化など)等を挙げることもできる。
siRNAに脂質およびポリマーを直接コンジュゲートすることにより、複合化した担体の非存在下での細胞内送達および遺伝子サイレンシングが容易になる可能性がある。一例は、siRNAの3’センス鎖へのコレステロールのコンジュゲーションであり、それによって、静脈内投与後に生体内でノックダウンが起こる(Soutschek et al. 2004, Therapeutic silencing of an endogenous gene by systemic administration of modified siRNA, Nature 432:173-178)。更に、siRNAは、ペプチド、脂質、および、細胞吸収や機能的ノックダウンを引き起こし得る他の分子に直接コンジュゲートすることができる(DePaula et al., Hydrophobization and bioconjugation for enhanced siRNA delivery and targeting, RNA 2007 13:431-456を参照されたい)。
マトリックス形成ポリマー
本発明の実施形態に使用されるマトリックス形成ポリマーは、分解性ポリマーおよび/又は非分解性ポリマーを含んでもよい。
本発明の実施形態に使用される分解性ポリマーは、天然ポリマー又は合成ポリマーの両方を含んでもよい。分解性ポリマーの例としては、ポリマー主鎖中に加水分解不安定な(または加水分解に対して不安定な、もしくは加水分解されやすい)結合を有するものを挙げることができる。分解性ポリマーは、両親媒性ブロックを含む分解性ブロック共重合体を含んでもよい。本発明の分解性ポリマーは、バルク侵食性を有するものと表面侵食性を有するものの両方を含んでもよい。
合成分解性ポリマーとしては、分解性ポリエステル(ポリグリコール酸、ポリ乳酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリジオキサノン、ポリラクトン(例えば、ポリカプロラクトン)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリバレロラクトン、ポリタルトロン酸、ポリ(β−マロン酸)、ポリプロピレンフマレートなど);分解性ポリエステルアミド;分解性ポリ酸無水物(ポリセバシン酸、ポリ(1,6−ビス(カルボキシフェノキシ)ヘキサン)、ポリ(1,3−ビス(カルボキシフェノキシ)プロパン)など);分解性ポリカーボネート(チロシンベースのポリカーボネートなど);分解性ポリイミノカーボネート;分解性ポリアリレート(チロシンベースのポリアリレートなど);分解性ポリオルトエステル;分解性ポリウレタン;分解性ポリホスファゼン;および、これらの共重合体を挙げることができる。
天然又天然ベースの分解性ポリマーとしては、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、およびこれらの共重合体などの多糖類および変性多糖類を挙げることができる。
分解性ポリマーの具体例としては、次の一般構造式:
[−(OCHCH−O−C(O)−C−C(O)−]x[−O−(CH−O−C(O)−C−C(O)−]y、
(式中、−C−は、テレフタル酸の各エステル化分子からの2価の芳香環残基を示し、nは、各親水性PEGブロック中のエチレンオキサイド単位の数を表し、xは、共重合体中の親水性ブロックの数を表し、yは共重合体中の疎水性ブロックの数を表す)
で表すことができる、ポリエチレングリコール(PEG)とポリブチレンテレフタレートをベースにするポリエーテルエステルマルチブロック共重合体が挙げられる。添え字「n」は、PEGブロックの分子量が約300〜約4000となるように選択してもよい。共重合体構造式中のn、xおよびyの値を変化させることにより、幅広い物理的特性(例えば、親水性、接着性、強度、展性、分解性、耐久性、可撓性)および有効成分放出特性(例えば、制御されたポリマー分解および膨潤による)を提供するように、ブロック共重合体を工学的に改良してもよい。このような分解性ポリマーとしては、特に、U.S.Pat.No.5,980,948に記載のものを挙げることができ、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
分解性ポリエステルアミドとしては、モノマー、OH−x−OH、z、およびCOOH−y−COOH(式中、xはアルキルであり、yはアルキルであり、zはロイシン又はフェニルアラニンである)から生成されるものを挙げることができる。このような分解性ポリエステルアミドとしては、特に、U.S. Pat. No.6,703,040に記載のものを挙げることができ、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
分解性ポリマー材料は、また、(a)非ペプチドポリアミノポリマー;(b)ポリイミノカーボネート;(c)アミノ酸誘導ポリカーボネートおよびポリアリレート;並びに(d)ポリアルキレンオキサイドポリマーから選択することもできる。
一実施形態では、分解性ポリマー材料は、非ペプチドポリアミノ酸ポリマーから構成される。例示的な非ペプチドポリアミノ酸ポリマーは、例えば、U.S.Patent No.4,638,045 ("Non-Peptide Polyamino Acid Bioerodible Polymers, "January 20, 1987)に記載されている。一般に、これらのポリマー材料は、下記に示す次の2つの構造式:
Figure 2011528038
(式中、モノマー単位は、側鎖基R、R、およびRの1つ以上で加水分解不安定な結合により結合しており、R、R、Rは天然のアミノ酸の側鎖であり;Zはいずれかの望ましいアミン保護基又は水素であり;Yはいずれかの望ましいカルボキシル保護基又はヒドロキシルである)
のうちの1つを有する2個又は3個のアミノ酸単位を含むモノマーから誘導される。各モノマー単位は天然のアミノ酸を含み、これを、その後、アミド又は「ペプチド」結合以外の結合によりモノマー単位として重合させる。モノマー単位は、ペプチド結合により結合した2個又は3個のアミノ酸から構成されていてもよく、従って、ジペプチド又はトリペプチドを含んでもよい。まさにそのようなモノマー単位組成にかかわらず、ポリペプチド鎖に典型的なアミド結合を形成するアミノ基とカルボキシル基ではなくモノマーの各側鎖による加水分解不安定な結合により、全て重合する。このようなポリマー組成物は、非毒性であり、分解性であり、様々な治療用途において、有効成分の送達に関するゼロ次の放出速度論を提供することができる。この態様によれば、アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒドロキシプロリン、メチオニン、システイン、シスチン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、シトルリン、オルニチン、ランチオニン、ヒポグリシンA、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、α−アミノアジピン酸、カナバニン、ベンコール酸(venkolic acid)、チオールヒスチジン、エルゴチオニン、ジヒドロキシフェニルアラニン、および、タンパク質化学において十分に認知されキャラクタリゼーションが行われている他のアミノ酸を含む、天然のL−α−アミノ酸から選択される。
本発明の分解性ポリマーとしてはまた、「COATINGS FOR MEDICAL ARTICLES INCLUDING NATURAL BIODEGRADABLE POLYSACCHARIDES」と題されたU.S. Publ. Pat. Application No.2005/0255142、「COATINGS INCLUDING NATURAL BIODEGRADABLE POLYSACCHARIDES AND USES THEREOF」と題されたU.S. Publ. Pat. Application No.2007/0065481、および、「HYDROPHOBIC DERIVATIVES OF NATURAL BIODEGRADABLE POLYSACCHARIDES」と題されたU.S. Publ. Pat. Application No.20070218102に記載のものなどの重合した多糖類を挙げることもでき、これらは全て参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
本発明の分解性ポリマーとしてはまた、「PROCESS FOR THE PREPARATION OF A CONTROLLED RELEASE SYSTEM」と題されたU.S. Pat. No.6,303,148に記載のものなどのデキストランベースのポリマーを挙げることもでき、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。例示的なデキストランベースの分解性ポリマーとしては、OCTODEXの商品名で市販されているものが挙げられる。
本発明の分解性ポリマーとしては、更に、コラーゲン/ヒアルロン酸ポリマーを挙げることができる。
本発明の分解性ポリマーとしては、プレポリマーAおよびBから誘導された少なくとも2つの加水分解性セグメント(これらのセグメントは、多官能性連鎖延長剤によって結合し、プレポリマーAおよびB、並びにトリブロック共重合体ABAおよびBABから選択される)を含むマルチブロック共重合体を挙げることができ、マルチブロック共重合体は非晶質であり、生理学的(身体)条件で37℃以下(Tg)の1つ以上のガラス転移温度(Tg)を有する。プレポリマーAおよびBは、ラクチド(L、D又はL/D)、グリコリド、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン(p−ジオキサノン)又は環状酸無水物(オキセパン−2,7−ジオン)などの環状モノマーから誘導された、加水分解性ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリ酸無水物、又はこれらの共重合体であってもよい。得られる共重合体の最大ガラス転移温度が身体条件で37℃未満となるようにプレポリマーの組成を選択してもよい。Tgが37℃未満であるという要件を満たすために、上述のモノマー又はモノマーの組み合わせの幾つかが他のものより好ましいことがある。これだけでTgが低下し得るか、又は、プレポリマーを共重合体のガラス転移温度を低下させるのに十分な分子量を有するポリエチレングリコールで変性させる。分解性マルチブロック共重合体は加水分解可能な配列を含み、非晶質であってもよく、異なる物理的特性および分解特性を有するセグメントは多官能性連鎖延長剤で結合していてもよい。例えば、グリコリド−ε−カプロラクトンセグメントとラクチド−グリコリドセグメントからなるマルチブロックコポリエステルは、2つの異なるポリエステルプレポリマーから構成されていてもよい。セグメントのモノマー組成、セグメントの比および長さを制御することにより、特性を容易に調整できる様々なポリマーを得ることができる。このような分解性マルチブロック共重合体としては、特に、U.S. Publ. Pat. App. No.2007/0155906に記載のものを挙げることができ、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。
本発明の実施形態に使用される非分解性ポリマーとしては、天然ポリマー又は合成ポリマーの両方を挙げることができる。一実施形態では、非分解性ポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーを含む複数のポリマーを含む。コーティング液がポリマーを1種類しか含有しない場合、それは本明細書に記載の第1のポリマー又は第2のポリマーのどちらであってもよい。本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート」の用語は、ポリマーの記載に使用するとき、メチル基を含む形態(メタクリレート)又はメチル基を含まない形態(アクリレート)を意味するものとする。
本発明の第1のポリマーとしては、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)およびポリ(芳香族(メタ)アクリレート)からなる群から選択されるポリマーを挙げることができ、ここで、「(メタ)」は、アクリル酸および/又はメタクリル酸の形態(それぞれアクリレートおよび/又はメタクリレートに対応する)のこのような分子を含むものと当業者に理解される。例示的な第1のポリマーとしては、ポリn−ブチルメタクリレート(pBMA)がある。このようなポリマーは、例えば、Aldrichから市販されており、分子量が約200,000ダルトン〜約320,000ダルトンの範囲であり、様々な固有粘度、溶解度、および形態(例えば、結晶又は粉末)を有する。幾つかの実施形態では、分子量約200,000ダルトン〜約300,000ダルトンのポリn−ブチルメタクリレート(pBMA)が使用される。
適した第1のポリマーの例としては、また、ポリ(アリール(メタ)アクリレート)、ポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)、およびポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)からなる群から選択されるポリマーも挙げられる。このような用語は、少なくとも1つの炭素鎖および少なくとも1つの芳香環がアクリル基、典型的にはエステルと化合し、組成物を提供するポリマー構造を記載するのに使用される。特に、例示的なポリマー構造としては、炭素数6〜16のアリール基を有し、且つ約50〜約900キロダルトンの重量平均分子量を有するものが挙げられる。適したポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)、ポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)又はポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)は、芳香族部分も含有するアルコールから誘導された芳香族エステルから製造されてもよい。ポリ(アリール(メタ)アクリレート)の例としては、ポリ(9−アントラセニルメタクリレート)、ポリ(クロロフェニルアクリレート)、ポリ(メタクリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン)、ポリ(メタクリロキシベンゾトリアゾール)、ポリナフチルアクリレートおよびポリナフチルメタクリレート、ポリ(4−ニトロフェニルアクリレート)、ポリ(ペンタクロロ(ブロモ、フルオロ)アクリレート)およびポリ(ペンタクロロ(ブロモ、フルオロ)メタクリレート)、並びにポリフェニルアクリレートおよびポリフェニルメタクリレートが挙げられる。ポリ(アラルキル(メタ)アクリレート)の例としては、ポリベンジルアクリレートおよびポリベンジルメタクリレート、ポリ(2−フェネチルアクリレート)およびポリ(2−フェネチルメタクリレート)、並びに、ポリ(1−ピレニルメチルメタクリレート)が挙げられる。ポリ(アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート)の例としては、ポリフェノキシエチルアクリレートおよびポリフェノキシエチルメタクリレート、並びに、様々なポリエチレングリコール分子量を有するポリ(ポリエチレングリコールフェニルエーテルアクリレート)およびポリ(ポリエチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート)が挙げられる。
適した第2のポリマーの例は市販されており、酢酸ビニル濃度約10%〜約50%(12%、14%、18%、25%、33%の形態が市販されている)のビーズ、ペレット、顆粒などの形態のエチレン酢酸ビニル共重合体(pEVA)が挙げられる。pEVA共重合体は酢酸ビニルのパーセンテージが低いものほど、通常の溶媒への溶解性が低くなり、酢酸ビニルのパーセンテージが高いものほど耐久性が低くなる。
例示的なポリマー混合物としては、pBMAとpEVAの混合物が挙げられる。このポリマー混合物は、約0.25重量%〜約99重量%の絶対ポリマー濃度(即ち、コーティング材料中の両方のポリマーを合わせた全濃度)で使用することができる。また、コーティング液中の個々のポリマーの濃度約0.05重量%〜約99重量%で、この混合物を使用してもよい。一実施形態では、ポリマー混合物は、分子量100キロダルトン〜900キロダルトンのpBMAと、酢酸ビニル含有量24〜36重量パーセントのpEVA共重合体を含む。一実施形態では、ポリマー混合物は、分子量200キロダルトン〜300キロダルトンのpBMAと、酢酸ビニル含有量24〜36重量パーセントのpEVA共重合体を含む。コーティング混合物中に溶解又は懸濁した1種類以上の有効成分の濃度は、最終コーティング材料の重量に基づいて0.01〜99重量%の範囲であってもよい。
第2のポリマーは、また、(i)アルキレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、(ii)エチレンと他のアルキレンとの共重合体、(iii)ポリブテン、(iv)ジオレフィン誘導非芳香族重合体および共重合体、(v)芳香族基含有共重合体、および(vi)エピクロロヒドリン含有ポリマーからなる群から選択される1種類以上のポリマーを含んでもよい。
アルキレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体としては、アルキル基が直鎖又は分岐鎖であり且つ非干渉基又は原子で置換されている又は置換されていない共重合体が挙げられる。このようなアルキル基の炭素数は1〜8(1と8を含む)であってもよい。このようなアルキル基の炭素数は1〜4(1と4を含む)であってもよい。一実施形態では、アルキル基はメチルである。幾つかの実施形態では、このようなアルキル基を含む共重合体は、アルキルアクリレートを約15%〜約80%(重量)含んでもよい。アルキル基がメチルである場合、ポリマーは、幾つかの実施形態では、メチルアクリレートを約20%〜約40%、特定の実施形態では、メチルアクリレートを約25%〜約30%含有する。アルキル基がエチルである場合、ポリマーは、一実施形態では、エチルアクリレートを約15%〜約40%含有し、アルキル基がブチルである場合、ポリマーは、一実施形態では、ブチルアクリレートを約20%〜約40%含有する。
あるいは、第2のポリマーは、エチレンと他のアルキレンとの共重合体を含んでもよく、他のアルキレンとしては、直鎖および分岐鎖のアルキレン、並びに、置換又は非置換アルキレンを挙げることができる。例としては、炭素数3〜8(3および8を含む)の分岐鎖又は直鎖アルキレンから調製された共重合体が挙げられる。一実施形態では、共重合体は、炭素数3〜4(3および4を含む)の分岐鎖又は直鎖アルキレン基から調製される。特定の実施形態では、共重合体は炭素数3のアルキレン基(例えば、プロペン)から調製される。例えば、他のアルキレンは、直鎖アルキレン(例えば、1−アルキレン)である。このタイプの例示的な共重合体は、エチレンを約20%〜約90%(モル数に基づく)含んでもよい。一実施形態では、このタイプの共重合体は、エチレンを約35%〜約80%(モル)含む。このような共重合体の分子量は、約30キロダルトン〜約500キロダルトンである。例示的な共重合体は、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体および/又はエチレン−1−オクテン共重合体からなる群から選択される。
「ポリブテン」は、イソブテン、1−ブテン、および/又は2−ブテンを単独重合又はランダム共重合することによって誘導されたポリマーを含む。ポリブテンは、異性体のいずれかの単独重合体であってもよく、又は、それはモノマーのいずれかの任意の比の共重合体若しくは三元共重合体であってもよい。一実施形態では、ポリブテンは、イソブテン又は1−ブテンを少なくとも約90%(重量)含有する。特定の実施形態では、ポリブテンは、イソブチレンを少なくとも約90%(重量)含有する。ポリブテンは、他の成分又は添加剤を非干渉量含有してもよく、例えば、それは、酸化防止剤(例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−メチルフェノール)を1000ppm以下含有してもよい。例えば、ポリブテンの分子量は、約150キロダルトン〜約1,000キロダルトンであってもよい。一実施形態では、ポリブテンの分子量は、約200キロダルトン〜約600キロダルトンであってもよい。特定の実施形態では、ポリブテンの分子量は、約350キロダルトン〜約500キロダルトンであってもよい。分子量約1,000キロダルトン超などの、分子量約600キロダルトン超のポリブテンも入手可能であるが、比較的扱い難いと思われる。
他の代替の第2のポリマーとしては、ジオレフィンから誘導された非芳香族重合体および共重合体が挙げられ、これは、重合体又は共重合体の調製に使用されるジオレフィンモノマーがブタジエン(CH=CH−CH=CH)および/又はイソプレン(CH=CH−C(CH)=CH)から選択されるものを含む。一実施形態では、ポリマーは、ジオレフィンモノマーから誘導された単独重合体であるか、又は、ジオレフィンモノマーと非芳香族モノオレフィンモノマーとの共重合体であり、任意に、単独重合体又は共重合体は部分的に水素化されていてもよい。このようなポリマーは、シス−、トランス−、および/又は1,2−モノマー単位の重合によって、又は3種類の全てのモノマーの混合物から調製されたポリブタジエン、および、シス−1,4−および/又はトランス−1,4−モノマー単位の重合により調製されたポリイソプレンからなる群から選択されてもよい。あるいは、ポリマーは、アクリロニトリル、およびアルキル(メタ)アクリレートおよび/又はイソブチレンなどの非芳香族モノオレフィンモノマーをベースにする、グラフト共重合体およびランダム共重合体を含む共重合体である。一実施形態では、モノオレフィンモノマーがアクリロニトリルである場合、共重合したアクリロニトリルは、約50重量%以下存在し;モノオレフィンモノマーがイソブチレンである場合、ジオレフィンはイソプレン(例えば、「ブチルゴム」として工業的に知られているものを形成する)である。例示的な重合体および共重合体の分子量は、約150キロダルトン〜約1,000キロダルトンである。一実施形態では、重合体および共重合体の分子量は、約200キロダルトン〜約600キロダルトンである。
他の代替の第2のポリマーとしては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体を含む、芳香族基含有共重合体が挙げられる。一実施形態では、芳香族基は、スチレンの重合により共重合体に組み込まれる。特定の実施形態では、ランダム共重合体は、スチレンモノマーと、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート)および/又はブテンから選択される1種類以上のモノマーとの共重合から誘導された共重合体である。有用なブロック共重合体としては、(a)ポリスチレンのブロック、(b)ポリブタジエン、ポリイソプレン、および/又はポリブテン(例えば、イソブチレン)から選択されるポリオレフィンのブロック、および(c)任意に、ポリオレフィンブロックで共重合する第3のモノマー(例えば、エチレン)を含有する共重合体が挙げられる。芳香族基含有共重合体は、重合した芳香族モノマーを約10%〜約50%(重量)含有し、共重合体の分子量は約300キロダルトン〜約500キロダルトンである。一実施形態では、共重合体の分子量は約100キロダルトン〜約300キロダルトンである。
他の代替の第2のポリマーとしては、エピクロロヒドリン単独重合体およびエピクロロヒドリン−アルキレンオキサイド共重合体が挙げられる。一実施形態では、共重合体の場合、共重合するアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドである。例えば、エピクロロヒドリン含有ポリマーのエピクロロヒドリン含有量は、約30%〜100%(重量)である。一実施形態では、エピクロロヒドリン含有量は、約50%〜100%(重量)である。一実施形態では、エピクロロヒドリン含有ポリマーの分子量は、約100キロダルトン〜約300キロダルトンである。
非分解性ポリマーとしては、また、「DEVICES, ARTICLES, COATINGS, AND METHODS FOR CONTROLLED ACTIVE AGENT RELEASE OR HEMOCOMPATIBILITY」と題されたU.S. Publ. Pat. App. No.2007/0026037に記載のものも挙げることができ、参照によりその内容全体が本明細書に援用される。具体例として、非分解性ポリマーとしては、ブチルメタクリレート−アクリルアミドメチルプロパンスルホネート(BMA−AMPS)ランダム共重合体を挙げることができる。幾つかの実施形態では、ランダム共重合体は、AMPSを約0.5mol%〜約40mol%の量で含んでもよい。
本発明の実施形態に使用されるマトリックス形成ポリマーとしては、また、1つ以上の荷電基を含むポリマーを挙げることもできる。例えば、本発明のマトリックス形成ポリマーとしては、正荷電基および/又は負荷電基を有するポリマーを挙げることができる。
基材
本明細書の幾つかの実施形態に従って、核酸を含むコーティングを基材上に配置してもよい。例示的な基材としては、金属、ポリマー、セラミックス、および天然材料を挙げることができる。基材ポリマーとしては、付加重合又は縮合重合から得られるオリゴマー、単独重合体、および共重合体を含む合成ポリマーで形成されるものが挙げられる。例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシルエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、グリセリルアクリレート、グリセリルメタクリレート、メタクリルアミド、およびアクリルアミドから重合したものなどのアクリル樹脂;エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、およびフッ化ビニリデンなどのビニル化合物、以下に限定されないが、ポリカプロラクタム、ポリラウリルラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、およびポリヘキサメチレンドデカンジアミドなどのポリアミド、並びに、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリシロキサン(シリコーン)、セルロース、およびポリエーテルエーテルケトンを含む縮合ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の実施形態は、また、基材としてセラミックスを使用することを含んでもよい。セラミックスとしては、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、およびアルミナ、並びに、ガラス、シリカ、およびサファイアが挙げられるが、これらに限定されない。
基材金属としては、コバルト、クロム、ニッケル、チタン、タンタル、イリジウム、タングステン、および、ステンレス鋼、ニチノール又はコバルトクロムなどの合金を挙げることができるが、これらに限定されない。適した金属としてはまた、金、銀、銅、白金、およびこれらを含む合金などの貴金属を挙げることもできる。
また、幾つかの実施形態では、デバイスの構成要素として使用されるとき、骨、軟骨、皮膚および象牙質などのヒトの組織;および、木材、セルロース、圧縮カーボン、ゴム、シルク、ウール、および木綿などの他の有機材料を含むある一定の天然材料を使用することもできる。基材は炭素繊維を含むこともできる。基材としては、また、樹脂、多糖類、ケイ素、又はシリカベースの材料、ガラス、フィルム、ゲル、および膜を挙げることもできる。
しかし、また、基材を用いることなく本発明の実施形態を使用できることも分かる。例えば、実施形態は基材を含むことなく、中に核酸複合体がフィラメント又は他の形状の形態で配置されたマトリックスを含むことができる。
他の方法
一実施形態では、本発明は、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含んでもよい。本方法は、所望の溶出プロファイルに対応するカチオン性担体の濃度を選択する工程を含んでもよい。有効成分の望ましい溶出速度は、使用する特定の有効成分、治療される症状などを含む様々な要因に依存し得ることが分かる。下記の実施例に示すように、本明細書の様々な実施形態によるデバイスは、コーティング内の成分を変更することにより、望ましい溶出プロファイルを有するように製造することができる。幾つかの実施形態では、核酸有効成分の放出速度は、コーティング内に配置されるカチオン性担体の量と関係する可能性がある。このようなものとして、特定の溶出プロファイルが得られるカチオン性担体の特定の濃度を選択してもよい。
次いで、本方法はまた、マトリックス形成ポリマー、核酸有効成分、溶媒、およびカチオン性担体を組み合わせて、選択された濃度のカチオン性担体を有するコーティング組成物を形成する工程を含んでもよく、有効成分は核酸を含む。幾つかの実施形態では、使用される溶媒は、核酸有効成分とカチオン性担体との複合化を防止するように、非水性溶媒であってもよい。コーティング組成物に核酸有効成分を組み込む前に、核酸有効成分を様々な方法で処理してもよい。例えば、核酸を凍結乾燥しても、又は他の方法で粒子状材料に変化させてもよい。
最後に、本方法はまた、コーティング組成物を基材の表面に堆積する工程を含んでもよい。コーティングを基材に塗布する多くの方法があることが分かる。例えば、ディップコーティング、刷毛塗り、印刷法、インクジェットシステム、スプレーコーティング、ブレードコーティング等を使用して、コーティング組成物を塗布することができる。しかし、理論に拘束されるものではないが、スプレーコーティングが、堆積されるコーティング組成物の量を微調整できることなどの様々な理由で有利であると考えられる。
本発明の実施形態は、埋め込み型デバイスおよび一時的に埋め込まれるデバイスを含む多くの異なるタイプの医療用デバイスを含むことができ、それらに使用できることが分かる。
以下の実施例を参照すると、本発明を更によく理解することができる。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を表すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1:siRNAおよびPEIを有するコーティングの形成
5M NaCl溶液およびその体積の3倍の冷エタノールを添加することによって、フルオレセイン標識されたsiRNA(Operon/MWG Biotechnologies,Hunstville,AL)100μgを沈殿させた。次いで、サンプルを−20℃で30分間凍結し、解凍して、10krpmで4分間回転させた。ペレットをエタノール300μlで1回洗浄し、再び回転させた。エタノール(上澄み)を完全に除去し、超音波浴を使用してペレットをクロロホルム300μl中に完全に分散させた。肉眼では粒子は見えず、溶液は僅かにオレンジ色であった。
次いで、この分散体を、下記の表1に示す異なるコーティング剤のポリマー(siRNA100μgに対して合計2mgのポリマーを使用した)を含有するクロロホルム4mlに添加した。使用したポリマーには、エチレン−酢酸ビニル共重合体(「PEVA」)、ポリ−n−ブチルメタクリレート(「PBMA」)、ポリエチレングリコール(分子量約1000)80重量%とポリブチレンテレフタレート20重量%のブロック共重合体(「1000PEG80PBT20」)、ポリエチレングリコール(分子量約1000)55重量%とポリブチレンテレフタレート45重量%のブロック共重合体(「1000PEG55PBT45」)、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、およびポリエチレンイミン分岐鎖25kDa(「PEI」)(Sigma,St.Louis,MO)が含まれた。
Figure 2011528038
約3×3cmの薄いアルミニウム箔片の重量を測定した後、様々なコーティング剤でコーティングした。超音波スプレーヘッドを有するスプレーコーティング装置を使用して、別々のアルミニウム箔片にコーティング剤を塗布した。コーティング工程では、超音波スプレーヘッドを通るコーティング液の流速を0.07ml/分に設定し、窒素ガス圧を2.8psiに設定し、出力設定は0.8ワットであった。
コーティング量を求めるため、コーティングされた箔片の重量を再び測定し、その後、この薄い箔片を4つに切断した。四片のうちの3つを37℃のPBS1mlに入れ、放出速度を測定した。1片は、光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を使用する表面分析法に使用した。
光学顕微鏡と電子顕微鏡の両方を用いて観察することにより、全てのコーティング剤で、siRNA粒子が均一に分布した安定なコーティングが得られることが分かった。
溶出結果を下記の表2および図1に示す。
Figure 2011528038
この実施例から、コーティング液にPEIを添加することにより、siRNA放出がほぼ線形的に制御されたことが分かる(14日間で、コーティングされたsiRNAの17%が放出された)。PEI非含有、PEVA/PBMA/PEG−PBT使用、PVP含有又は非含有の場合、急激な放出が得られ、更なる制御放出は得られなかった。
次いで、ポリアクリルアミドゲル(15%)を用いた電気泳動を使用して、放出されたsiRNAの完全性を検証した。siRNAは全て、対照のsiRNAと同様になったため、損傷のない状態であったことが結論付けられた。
実施例2:siRNA溶出に対する様々な量のPEIの効果
5M NaCl溶液およびその体積の3倍の冷エタノールを添加することにより、フルオレセイン標識されたsiRNA(100μg)を沈殿させた。次いで、サンプルを−20℃で30分間凍結し、解凍して、10krpmで4分間回転させた。ペレットをエタノール300μlで1回洗浄し、再び回転させた。エタノールを完全に除去し、超音波浴を使用してクロロホルム300μl中にペレットを完全に分散させた。肉眼では粒子は見えず、溶液は僅かにオレンジ色であった。
次いで、この分散体を、それぞれクロロホルム合計4ml中にsiRNA100μg(5%w/w)および全ポリマー重量2mg(95%w/w)を有する異なるコーティング剤に添加した。全てのコーティング剤で、PEVA、PBMA、および1000PEG55PBT45の比は、4:4:11であった。次いで、コーティング剤に、異なるパーセンテージのPEI(分岐鎖、25kDa)を全コーティング剤の1、5、10〜25%w/wの量で添加した。異なるコーティング剤の最終的な重量パーセンテージ(固形分)を下記の表3に示す。
Figure 2011528038
約3×3cmの薄いアルミニウム箔片の重量を測定した後、様々なコーティング剤でコーティングした。超音波スプレーヘッドを有するスプレーコーティング装置を使用して、コーティング剤を別々のアルミニウム箔片に塗布した。コーティング工程では、超音波スプレーヘッドを通るコーティング液の流速を0.07ml/分に設定し、窒素ガス圧を2.8psiに設定し、出力設定は0.8ワットであった。
コーティング量を測定し、この薄い箔片を4つに切断した。この箔片を37℃の10mM(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)(HEPES)緩衝液1mlに入れ、制御放出を測定した。溶出結果を下記の表4および図2に示す。この実施例から、コーティング中のPEIの量を変えることによって、siRNAの溶出速度を操作できることが分かる。
Figure 2011528038
実施例3:siRNA溶出に対する様々な量のPEIの効果
5M NaCl溶液およびその体積の3倍の冷エタノールを添加することにより、フルオレセイン標識されたsiRNA(100μg)を沈殿させた。次いで、サンプルを−20℃で30分間凍結し、解凍して、10krpmで4分間回転させた。ペレットをエタノール300μlで1回洗浄し、再び回転させた。エタノールを完全に除去し、超音波浴を使用してクロロホルム300μl中にペレットを完全に分散させた。肉眼では粒子は見えず、溶液は僅かにオレンジ色であった。
次いで、この分散体を、それぞれクロロホルム合計4ml中にsiRNA100μg(5%w/w)および全ポリマー重量2mg(95%w/w)を有する異なるコーティング剤に添加した。全てのコーティング剤で、PEVA、PBMA、および1000PEG55PBT45の比は、1:1:2であった。コーティング剤に、異なるパーセンテージのPEI(分岐鎖、25kDa)を全コーティング剤の1、2、3、4、5、および10%w/wの量で添加した。異なるコーティング剤の最終的な重量パーセンテージ(固形分)を下記の表5に示す。
Figure 2011528038
約3×3cmの薄いアルミニウム箔片の重量を測定した後、様々なコーティング剤でコーティングした。超音波スプレーヘッドを有するスプレーコーティング装置を使用して、コーティング剤を別々のアルミニウム箔片に塗布した。コーティング工程では、超音波スプレーヘッドを通るコーティング液の流速を0.07ml/分に設定し、窒素ガス圧を2.8psiに設定し、出力設定は0.8ワットであった。
コーティング量を測定し、この薄い箔片を4つに切断した。この箔片を37℃の10mM HEPES緩衝液1mlに入れ、制御放出を測定した。溶出結果を下記の表6および表7、並びに図3に示す。この実施例からも、コーティング中のPEIの量を変えることによって、siRNAの溶出速度を操作できることが分かる。
Figure 2011528038
Figure 2011528038
実施例4:DNA/デキストラン粒子およびPEIを有するコーティングの形成
ルシフェラーゼをコードするプラスミドDNA(Aldevron,Fargo,ND)を、デキストランを有するポリエチレングリコール(PEG)中で二相分離した。具体的には、1μg/μlのDNA100μlを、デキストラン(Sigma,35−45kDa)の100mg/ml脱イオン蒸留水(DDW)溶液50μlに添加した。次いで、PEG20kDaの30%w/wDDW溶液500μlを添加した。得られた混濁した混合物をドライアイス上に置き、凍結乾燥させた。
次いで、クロロホルムを添加した後、遠心分離し、その後クロロホルム−PEG相を除去することによって、凍結乾燥ケーキからPEGを除去した。この洗浄手順を2回行った。次いで、得られたデキストラン−DNA粒子をクロロホルム中に再懸濁させた。
次いで、デキストラン−DNA粒子と他の成分を有する、異なるコーティング剤を調製した。次の溶液を調製した:
溶液1:PEVA/PBMA/1000PEG55PBT45(比1:1:2)の40mg/mlクロロホルム溶液
溶液2:ポリエチレンイミン(PEI)25kDaの10mg/mlクロロホルム溶液
溶液3:5000PEG−PEIの10mg/mlメタノール/クロロホルム(1:1)溶液
カルボニルジイミダゾール(CDI)をベースにする化学を使用して、5000PEG−PEI溶液を調製した。5000Daのメチルキャップされたポリエチレングリコール(mPEG)をCDIで活性化させてmPEG−イミダゾールを生成した。PEIをジクロロメタンに4mMの濃度になるように溶解させた。mPEG−イミダゾールをPEI溶液に、3倍モル過剰になるように添加した。溶液を1時間撹拌した後、真空オーブンで終夜乾燥させ、5000PEG−PEIを生成した。
これらの溶液を使用して、粒子40%w/w(20mg)、ポリマー60%(30mg)をベースにするコーティング剤を形成した。配合するため、溶液を合わせてデキストラン−DNA粒子と一緒に混合した後、単一のスプレーヘッドを用いて基材にスプレーした。例えば、コーティング剤Pでは、溶液1を溶液2と合わせて粒子と一緒に混合した。コーティング剤Qでは、溶液1を溶液3と合わせて粒子と一緒に混合した。異なるコーティング剤の最終的な重量パーセンテージ(固形分)を下記の表8に示す。
Figure 2011528038
薄いアルミニウム箔のシートの約3×4cmの面積にPEVA/PBMA(1:1)の20mg/mlクロロホルム溶液を、超音波スプレーヘッドを有するスプレーコーティング装置を使用してコーティングした(合計3回通過)(流速0.07ml/分、窒素ガス圧2.8psi、出力設定0.8ワット)。次いで、所与のコーティング剤(P、Q、R又はS)をベースコート上に同じ速度および設定で、合計5mgの量でコーティングした。コーティング剤Sでは、溶液1のトップコートを約12mgの量で塗布した。薄い箔片を4つに切断し、37℃の10mM HEPES緩衝液1mlに入れ、制御放出を測定した。溶出結果を図4に示す。220時間までに全てのコーティング剤から少量(添加量の約2〜15%)のDNAが放出されることが分かった。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、他に明記しない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。従って、例えば、「1種類の化合物」を含有する組成物に言及するとき、それは2種類以上の化合物の混合物を含む。また、「又は(or)」の用語は、他に明記しない限り、一般に「および/又は」を含む意味で使用されることにも留意すべきである。
また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、「構成された(configured)」の句は、特定の作業を実施するように、又は特定の構成を取るように構築若しくは構成されているシステム、装置、又は他の構造を表すことにも留意すべきである。「構成された」の句は、配置および構成された、構築および配置された、並びに、構築、製造および配置された等の他の類似の句と互換的に使用することができる。
本明細書の全ての出版物および特許出願は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。全ての出版物および特許出願は、各個々の出版物又は特許出願が参照により具体的に且つ個々に示されるのと同程度、参照により本明細書に援用される。本明細書のどれも、本発明者らには本明細書に引用される出版物および/又は特許を含む出版物および/又は特許に先行する権利がないことを承認するものと解釈されるべきではない。
様々な特定のおよび好ましい実施形態および方法を参照して、本発明を説明してきた。しかし、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変形および変更が可能であることを理解すべきである。
他の実施形態:
一実施形態では、本発明は、ポリマーマトリックス、マリックスと共に配置されるカチオン性担体、およびマトリックス内に配置される有効成分を含む有効成分溶出コーティングを含み、有効成分はカチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む。一実施形態では、カチオン性担体はポリエチレンイミンを含む。一実施形態では、カチオン性担体は、コーティングの約0.1重量%〜25重量%である。一実施形態では、カチオン性担体は、コーティングの約1重量%〜10重量%を構成する。一実施形態では、ポリマーマトリックスは、非水性溶媒に可溶性のポリマーを含む。一実施形態では、ポリマーマトリックスは、約11.0(cal/cm3)1/2未満の溶解度パラメータを有するポリマーを含む。一実施形態では、ポリマーマトリックスは、分解性ポリマーと非分解性ポリマーを含む。一実施形態では、ポリマーマトリックスは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびポリ−n−ブチルメタクリレート、およびポリエチレングリコールとポリブチルテレフタレートの共重合体を含む。一実施形態では、核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、ロック核酸、および触媒活性DNAからなる群から選択される。一実施形態では、核酸の少なくとも約95パーセントは、カチオン性担体と複合化していない。一実施形態では、コーティングが水性溶媒中に配置されたとき、有効成分がポリマーマトリックスから溶出するように構成されている。一実施形態では、コーティングが水性溶媒中に配置されたとき、有効成分がカチオン性担体と複合体を形成するように構成されている。一実施形態では、コーティングは、カチオン性担体と有効成分の複合体を溶出させるように構成されており、複合体は標的細胞に移入することができる。一実施形態では、コーティングは核酸を少なくとも約5重量%含む。
一実施形態では、本発明は、基材および基材上に配置されるコーティングを含む、埋め込み型医療用デバイスを含む。コーティングは、ポリマーマトリックス、マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、およびマトリックス内に配置される有効成分を含んでもよく、有効成分は、カチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む。
一実施形態では、本発明は、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。本方法は、所望の溶出プロファイルに対応するカチオン性担体の濃度を選択する工程;マトリックス形成ポリマー、有効成分、溶媒、およびカチオン性担体を組み合わせて、選択された濃度のカチオン性担体を有するコーティング組成物を形成する工程であって、有効成分が核酸を含む工程;および、基材の表面にコーティング組成物を堆積させる工程を含んでもよい。
一実施形態では、本発明は、有効成分溶出コーティングを形成するための液体組成物を含み、液体組成物は、マトリックス形成ポリマー、カチオン性担体、核酸を含む有効成分、および溶媒を含み、有効成分は溶媒に溶解しない。一実施形態では、溶媒は非水性溶媒を含む。一実施形態では、液体組成物は、基材にスプレーするのに適している。
一実施形態では、本発明は、埋め込み型医療用デバイスの製造方法を含む。本方法は、マトリックス形成ポリマー混合物、カチオン性担体、および有効成分を非水性溶媒と一緒に組み合わせて単相コーティング組成物を形成する工程であって、有効成分が核酸を含む工程、および、基材の表面にコーティング液を堆積させる工程を含んでもよい。一実施形態では、基材の表面にコーティング液を堆積させる工程は、コーティング液をスプレーする工程を含む。

Claims (21)

  1. ポリマーマトリックス、
    前記マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、および
    前記マトリクス内に配置される有効成分、
    を含む有効成分溶出コーティングであって、前記有効成分が、前記カチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含む、有効成分溶出コーティング。
  2. 前記カチオン性担体が非水性溶媒に可溶性である、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  3. 前記カチオン性担体がポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  4. 前記カチオン性担体が、前記コーティングの約0.1重量%〜25重量%を構成する、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  5. 前記カチオン性担体が、前記コーティングの約1重量%〜10重量%を構成する、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  6. 前記ポリマーマトリックスが、非水性溶媒に可溶性のポリマーを含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  7. 前記ポリマーマトリックスが、約11.0(cal/cm3)1/2未満の溶解度パラメータを有するポリマーを含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  8. 前記ポリマーマトリックスが、分解性ポリマーと非分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  9. 前記ポリマーマトリックスが、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびポリ−n−ブチルメタクリレート、および両親媒性ブロックを含む分解性ブロック共重合体を含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  10. 前記核酸が、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、アンチセンス核酸、アプタマー、リボザイム、ロック核酸、触媒活性DNA、およびこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  11. 前記核酸の少なくとも約95パーセントが、前記カチオン性担体と複合化していない、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  12. 前記コーティングが水性溶媒中に配置されたとき、前記有効成分が前記ポリマーマトリックスから溶出するように構成されている、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  13. 前記コーティングが水性溶媒中に配置されたとき、前記有効成分が前記カチオン性担体と複合体を形成するように構成されており、前記複合体が標的細胞に移入することができる、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  14. 前記コーティングが核酸を少なくとも約0.1重量%含む、請求項1に記載の有効成分溶出コーティング。
  15. 基材、並びに
    前記基材上に配置されるコーティングであって、
    ポリマーマトリックス、
    前記マトリックスと共に配置されるカチオン性担体、および
    前記マトリクス内に配置される有効成分、
    を含み、前記有効成分が前記カチオン性担体と実質的に複合化していない核酸を含むコーティング、
    を含む、埋め込み型医療用デバイス。
  16. 前記カチオン性担体が非水性溶媒に可溶性である、請求項15に記載の埋め込み型医療用デバイス。
  17. 前記カチオン性担体がポリエチレンイミンを含む、請求項15に記載の埋め込み型医療用デバイス。
  18. 前記コーティングが水性溶媒中に配置されたとき、前記有効成分が前記カチオン性担体と複合体を形成するように構成されており、前記複合体が標的細胞に移入することができる、請求項15に記載の有効成分溶出コーティング。
  19. 埋め込み型医療用デバイスの製造方法であって、
    所望の溶出プロファイルに対応するカチオン性担体の濃度を選択する工程;
    マトリックス形成ポリマー、有効成分、溶媒、および前記カチオン性担体を組み合わせて、選択された濃度のカチオン性担体を有するコーティング組成物を形成する工程であって、前記有効成分が核酸を含む工程;および、
    基材の表面に前記コーティング組成物を堆積させる工程、
    を含む、埋め込み型医療用デバイスの製造方法。
  20. 前記カチオン性担体がポリエチレンイミンを含む、請求項19に記載の埋め込み型医療用デバイスの製造方法。
  21. 前記選択されたカチオン性担体濃度が約1.0重量%超である、請求項19に記載の埋め込み型医療用デバイスの製造方法。
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