JP2011526328A - 炭化水素の電気化学的直接アミノ化法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ダイヤモンド電極を用いた炭化水素の電気化学的直接アミノ化法ならびにアニリンの製造法に関する。
Description
発明の詳細な説明
本発明は、ダイヤモンド電極を用いた炭化水素の電気化学的直接アミノ化法ならびにアニリンの製造法に関する。
本発明は、ダイヤモンド電極を用いた炭化水素の電気化学的直接アミノ化法ならびにアニリンの製造法に関する。
アミンは多数の化合物および化学工業部門における出発物質である。芳香族有機化合物は、例えば、ポリウレタンの製造に使用されるイソシアネート製造のための出発物質として必要とされる。しかし、アミンは染料の製造のためにも使用される。さらにアミンは、イミン、カルボン酸アミド/イミドを形成する求核置換の際の反応体として数多く使用される。そのうえアミンは、農薬および製薬における、ならびに界面活性剤、コーティングおよび潤滑剤における構成要素である。
目下のところ、芳香族アミン、殊にアニリンの工業的製造は、技術的に2段階のプロセスによって成される。この際、芳香族化合物は、混酸、すなわちH2SO4とHNO3とからの混合物によって、相応するニトロ化合物に変えられる。引き続き芳香族ニトロ化合物は、以下の機構に従って、3当量の水素により接触水素化される。
このプロセスの欠点は、相応して処理されなければならない大量の廃棄物流の取り扱いである。該廃棄物流は、例えばニトロフェノールまたはニトロクレゾールのような、種々の芳香族ニトロ化合物である。この流の直接焼却は、それが主として水性の排出物であることから不可能である。それゆえ水は残留物が"熱処理"され得る前に蒸発されなければならない。これは非常にエネルギーを消費するプロセスである。代替的な方法がUS6245242に記載され、そこではオゾン分解が、ニトロベンゼンプラントの排水中の有機成分の酸化分解のために利用される。
接触直接アミノ化は、すでにDE−A102004062253に記載されていた。この際、しかしながら、芳香族炭化水素は、アンモニア中で触媒系により酸化的アミノ化される。
このプロセスに際しての欠点は、工業的プロセスにとっては低すぎる変換率ならびに、例えば空気中の酸素のような、水素除去のための酸化剤の化学量論的使用である。欠点なのは、このプロセスが唯一の試剤としてのベンゼンおよびアンモニアにより起こらず、付加的に酸化剤を要していたことである。しかしながら、アニリン収率は非常に低いので、そのためこのプロセスの経済性には問題の余地がある。
それゆえコストの掛かる廃棄物流の原因となり得る混酸を使用せず、5%を上回る変換率で、かつ、さらなる酸化剤を使用しない、アミン化合物の一段階の製造法を提供する必要が大いにある。
この課題は、アミノ化を1つの段階でかつ電気化学的に有機化合物に対して行う、アミンの製造法によって解決される。
本発明による方法は、電極としてドープされたダイヤモンド電極が使用される場合に好ましい。
本発明による方法は、カソードおよびアノードとしてホウ素ドープダイヤモンド電極が使用される場合に好ましい。
本発明による方法は、1〜20A/dm2の範囲の電流密度で作業される場合に好ましい。
本発明による方法は、電気分解が、2〜8F/基質1モルの範囲の電荷量の通過後に終了される場合に好ましい。
本発明による方法は、電気分解が連続的に行われる場合に好ましい。
本発明による方法は、電気分解の間の温度が−50〜50℃の範囲にある場合に好ましい。
本発明による方法は、電気分解の間の圧力が1〜30barの範囲にある場合に好ましい。
本発明による方法は、電気分解が非分割セル中で行われる場合に好ましい。
本発明による方法は、電解質として1〜99%のアンモニアが使用される場合に好ましい。
本発明による方法は、−50〜−33℃の範囲の温度で常圧にて作業される場合に好ましい。
本発明による方法は、室温にて1〜30barの範囲の圧力で作業される場合に好ましい。
本発明による方法は、有機化合物として芳香族化合物が使用される場合に好ましい。
本発明による方法は、有機化合物としてベンゼンが使用される場合に好ましい。
本発明による方法によって、当業者に公知の任意の有機化合物をアミノ化することができる。これらの有機化合物は、置換されたおよび/または非置換の、脂肪族の、環式および/または非環式および/または芳香族の化合物の群から選択された炭化水素である。これらの置換されたおよび/または非置換の、脂肪族の、環式および/または非環式および/または芳香族の化合物は、酸素、窒素、リンおよび硫黄の群から選択されたヘテロ原子および/または官能基、例えばアルコール基、カルボン酸基、エステル基、アミン基、アミド、チオール基およびチオン基を有してよい。有利な有機化合物は、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、イソブタン、t−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジフェニルメタン、アニリンおよびピリジン、イミダゾール、スチレン、エチルベンゼン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、アクロレイン、アクリル酸、アクリロニトリル、アジピン酸である。特に有利なのは芳香族化合物である。極めて有利なのはベンゼンである。
電気分解のために使用される電極は、白金、グラファイト、ガラス状炭素、スチールおよびドープされたダイヤモンド電極の群から選択されている。有利なアノード材料は、グラファイト、ガラス状炭素、白金およびドープされたダイヤモンド電極である。有利なカソード材料は、グラファイト、ガラス状炭素、白金、スチールおよびドープされたダイヤモンド電極である。カソードにもアノードにとっても極めて有利なのはドープされたダイヤモンド電極である。この際、窒素ドープダイヤモンド電極もホウ素ドープダイヤモンド電極も使用することができる。殊に極めて有利なのは、カソードにもアノードにもホウ素ドープダイヤモンド電極を使用することである。
アノードおよびカソードの電極材料は、しかしながら、同一である必要はない。しかしながら、カソードもアノードもホウ素ドープダイヤモンド電極から成る場合に有利である。
これらのホウ素ドープダイヤモンド電極は水系電解質中で高い酸素過電圧によって際立っており、その結果、目的に合わせてヒドロキシラジカルを生成することができる。NH3電解質中でのホウ素ドープダイヤモンド電極を用いた本発明による電気分解は、NH2ラジカルを形成する類似のメカニズムに従って行われる。
NH2ラジカルは高反応性であり、かつ有機化合物のH引き抜き、ならびに続けてラジカル再結合によるアミノ化を生じる。
CVD法(化学気相成長法)に従って製造された、ドープされたダイヤモンド電極を使用することができる。そのような電極は商業的に入手可能であり、例えば製造元:Condias、Itzehoe;Diaccon、Fuerth(Germany)もしくはAdamant Technologies、La−Chaux−de−Fonds(Switzerland)にて得られる。HTHP法(高温高圧:工業用ダイヤモンド粉末が、機械的にキャリア金属シートの表面に導入される)に従って製造された比較的安価なドープされたダイヤモンド電極も同様に使用することができる。
HTHP−BDD電極は、商業的にpro aqua,(Austria,Niklasdorf在)から購入でき、それらの特性は、A.Cieciwa,R.WuethrichおよびCH,ComninellisによってElectrochem.Commun.8(2006)375〜382に記載されている。
電気分解のために、当業者に公知の各々の電気分解セル、例えば分割された又は非分割のフローセル、キャピラリーギャップセルまたは積層プレートセルを使用することができる。特に有利なのは非分割フローセルである。最適な空時収率を達成するために、複数の電極のバイポーラ配置が好ましい。
本発明による電気化学的直接アミノ化のために、電解質として液体アンモニア溶液中で作業される。有利なのは1〜99%のアンモニア溶液である。
電気分解は、液体アンモニア中で、−50〜50℃の温度にて、特に有利には−40〜30℃の範囲で実施される。用いられる電気分解の温度に応じて、反応中の圧力は、1〜30barの範囲、有利には1〜20barの範囲にある。
電気分解の間、電解質中には、有利にはさらに支持電解質が含まれている。電気分解のために、当業者に公知の各々の支持電解質を使用することができる。本発明による方法のために有利には使用される支持電解質は、アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、金属塩の群から選択されている。アンモニウム塩は、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウムの群から選択されている。第四級アンモニウム塩は、メチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート、メチルトリエチルアンモニウムメチルスルフェート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートの群から選択されている。特に有利なのはメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェートである。金属塩は、アルカリ金属塩および/アルカリ土類金属塩の群から選択されており、特に有利には、それらはナトリウムアミド、酢酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アリールスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アリール硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、カリウムアミド、酢酸カリウム、アルキルスルホン酸カリウム、アルキル硫酸カリウム、炭酸水素カリウムの群から選択されている。
本発明による方法において、電流密度は、有利には1〜20A/dm2の範囲、特に有利には2〜10A/dm2の範囲にある。電極上の析出物を回避するために、アノード材料およびカソード材料としてダイヤモンド電極が使用される場合、極性を短い時間間隔で変化させてよい。極性反転は、30秒〜60分の間隔で行ってよく、有利なのは、60秒〜30分の間隔である。
セル内容物の混合のために、当業者に公知の各々の機械的攪拌機、しかし、例えばUltraturraxまたは超音波の使用のような他の混合法も使用することができる。
反応は、2〜8F/基質1モルの範囲、特に有利には2〜4F/基質1モルの電荷量を導入した後に終えられる。連続的ではない方法での常圧電気分解の場合において反応を終えるために、電力供給の停止および反応混合物のRTへの加熱後に、過剰のNH3が該反応混合物から留去される。連続的ではない方法での低圧電気分解(低圧は0〜40barを意味する)の場合において反応を終えるために、電力供給の停止後に圧力容器が常圧に放圧され、かつ過剰のNH3が該反応容器から留去される。連続運転される処理の場合、電解質の部分が排出され、その後にこれらはRTに加熱および/または常圧に放圧される。この反応の間に漏れ出すアンモニアガスは、相応して吸引される。留まる残留物は、当業者に公知の方法、例えば溶解、結晶化、蒸留および/または濾過によって後処理される。
本発明による方法に従って、有機化合物はまた複数回アミノ化されることができる。複数回アミノ化された生成物を一回アミノ化された生成物から分離するために、当業者に公知の全ての分離法を使用することができる。これは、例えば一回又は複数回アミノ化された生成物を反応混合物から蒸留および/または結晶化により分離することによって行うことができる。
本発明による実施例
実施例1:−40℃にて液体アンモニア中でのアニソールのアミノ化
BDDアノードおよびBDDカソード(それぞれ70×20×5mmの電極寸法、浸漬面積45×20mm、間隔9mm)を有するビーカーセル中に、アニソール4.7gおよびメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート1.2gを−40℃にて装入する。アンモニア(液体)70.0gの添加後に、電気分解を2A/dm2の電流密度で開始する。電気分解の過程で、電圧は9.7Vから10.6Vに上昇する。2F/アニソール1モルの電荷量の施与後に電気分解を終了し、かつ電解質を室温にもたらす。NH3の蒸発後に留まる残留物をガスクロマトグラフィーにより調べる。
反応混合物中では、アミノ化生成物としてジアミノベンゼンが18GC面積%で検出される。
実施例1:−40℃にて液体アンモニア中でのアニソールのアミノ化
BDDアノードおよびBDDカソード(それぞれ70×20×5mmの電極寸法、浸漬面積45×20mm、間隔9mm)を有するビーカーセル中に、アニソール4.7gおよびメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート1.2gを−40℃にて装入する。アンモニア(液体)70.0gの添加後に、電気分解を2A/dm2の電流密度で開始する。電気分解の過程で、電圧は9.7Vから10.6Vに上昇する。2F/アニソール1モルの電荷量の施与後に電気分解を終了し、かつ電解質を室温にもたらす。NH3の蒸発後に留まる残留物をガスクロマトグラフィーにより調べる。
反応混合物中では、アミノ化生成物としてジアミノベンゼンが18GC面積%で検出される。
実施例2:室温にて液体アンモニア中でのベンゼンのアミノ化
BDDアノードおよびBDDカソード(それぞれ70×20×5mmの電極寸法、浸漬面積45×20mm、間隔9mm)を有するオートクレーブ中に、ベンゼン4.0gおよびメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート2.0gを室温にて装入する。アンモニア113.8gを圧入し、かつ電気分解を2A/dm2の電流密度で開始する。電気分解の過程で、電圧は5.2Vから4.7Vに下がり、それに対して、装置中での圧力は12.1barから17.9barに上昇する。2F/ベンゼン1モルの電荷量の施与後に電気分解を終了し、かつオートクレーブを放圧する。NH3の蒸発後に留まる残留物をガスクロマトグラフィーにより調べる。
反応混合物中では、アミノ化生成物としてフェニルヒドラジンが0.6GC面積%で検出される。
BDDアノードおよびBDDカソード(それぞれ70×20×5mmの電極寸法、浸漬面積45×20mm、間隔9mm)を有するオートクレーブ中に、ベンゼン4.0gおよびメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート2.0gを室温にて装入する。アンモニア113.8gを圧入し、かつ電気分解を2A/dm2の電流密度で開始する。電気分解の過程で、電圧は5.2Vから4.7Vに下がり、それに対して、装置中での圧力は12.1barから17.9barに上昇する。2F/ベンゼン1モルの電荷量の施与後に電気分解を終了し、かつオートクレーブを放圧する。NH3の蒸発後に留まる残留物をガスクロマトグラフィーにより調べる。
反応混合物中では、アミノ化生成物としてフェニルヒドラジンが0.6GC面積%で検出される。
Claims (14)
- アミンの製造法であって、その際、アミノ化を1つの段階でかつ電気化学的に有機化合物に対して行う方法。
- 電極として、ドープされたダイヤモンド電極を使用する、請求項1記載の方法。
- カソードおよびアノードとして、ホウ素ドープダイヤモンド電極を使用する、請求項1または2記載の方法。
- 1〜20A/dm2の範囲の電流密度で作業する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 電気分解を、2〜8F/モルの範囲の電荷量の通過後に終了する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 電気分解を連続的に行う、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 電気分解の間の温度が−50〜50℃の範囲にある、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 電気分解の間の圧力が1〜30barである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 電気分解を非分割セル中で行う、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
- 電解質として1〜99質量%のアンモニアを使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
- −50〜−33℃の範囲の温度で常圧にて作業する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- 室温にて1〜30barの範囲の圧力で作業する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
- 有機化合物として芳香族化合物を使用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
- 有機化合物としてベンゼンを使用する、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
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