JP2011525913A - エナメル基質誘導体の画分c - Google Patents

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Abstract

本発明は、エナメル基質誘導体(EMD)の天然画分の、配列番号1及び/又は2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアメロゲニンの各2つのN末端ポリペプチド断片の少なくとも1つから成る、単離された活性化合物に関する。本発明は、特に、前記画分の単離された活性化合物及び/又は画分それ自体、及び/又は各2つのポリペプチド断片の少なくとも1つの、セメント質形成の誘導及び/又は促進、骨成長及び/又は生きた石灰化組織片間の結合などの、様々な異なる医学的適応のための、一片の生きた石灰化組織の他の生組織片上の結合部位への結合のための、硬組織間の結合の確保のための、象牙質の再生誘導のための、及び/又は手技及び/若しくは外傷に続いて起こる石灰化創腔及び/若しくは組織欠陥の充填のための薬剤としての及び/又は医薬組成物を製造するための使用に関する。

Description

本発明は、エナメル基質誘導体(EMD)の天然画分の単離された活性化合物、画分Cであって、これは選択的スプライシング及び/若しくはプロセッシングによって、又は自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的な切断によって、又は生体外若しくは生体内のポリペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/若しくは二倍体細胞培養)によって天然に生産された、配列番号1又は2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る、上記単離された活性化合物、画分Cに関する。本発明は、特に、歯周細胞の活性、増殖及び/又は分化を制御するため、骨芽細胞の分化及び/又は増殖を制御するための、及び/又は間葉幹細胞の増殖及び/又は分化を制御するための、前記単離された画分C及び/又は該画分の前記活性化合物及び/又は各2つのポリペプチド断片の少なくとも1つ、の使用に関する。
本発明は、さらに、配列番号1又は2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る、前記エナメル基質誘導体(EMD)の天然画分の単離された活性化合物の、薬剤としての使用に関する。さらに、本発明は、前記単離された画分C及び/又は該画分の前記活性化合物及び/又は各2つのポリペプチド断片の少なくとも1つの、セメント質形成の誘導及び/又は促進、一片の生きた石灰組織の他の生きた組織片上の結合部位への結合などの、様々な異なる医学的適応のための医薬組成物を製造するための、硬組織間の結合の確保のための、象牙質の再生誘導のための、及び/又は処置及び/若しくは外傷に続いて起こる石灰化創腔及び/若しくは組織欠陥の充填のための、使用に関する。
エナメル基質に存在するエナメル基質タンパク質は、エナメル質前駆体として最もよく知られている。セメント質形成に先立って、エナメル基質タンパク質は、発生中の歯根の先端部の歯根表面に堆積する。堆積したエナメル基質はセメント質形成の開始因子であるという証拠がある。かさねて、セメント質形成それ自体は、歯周靭帯及び歯槽骨の発育に関連している。エナメル基質タンパク質は、従って、歯における自然な付着物の成長を模倣して、歯周再生を促進させることができる(非特許文献1)。
単離されたエナメル基質タンパク質は、エナメル基質に隣接して発育する組織に天然に認められる1つの因子だけでなく、編成されたカスケードの因子を誘導することができる。それは天然の発育中の組織の環境によく似ており、従って組織再生、細胞分化及び/又は成熟のための天然の刺激を再現することができる。
エナメル基質誘導体(EMD)は、これまで、ブタのエナメル基質由来タンパク質の精製された酸抽出物の形態で、重篤な歯のアタッチメントロス(付着喪失)の患者の機能的な歯周靭帯、セメント質及び歯槽骨を復元させるために成功裏に使われてきた(非特許文献2)。
さらにまた、培養した歯周靭帯細胞(PDL)に関する研究で、培養液にEMDが存在した場合、この細胞の付着率、成長及び代謝が著しく増加することが示された。同様に、EMDに接触した細胞は、コントロールと比較した場合、細胞内cAMPシグナリング及び成長因子の自己分泌を増加させることが示された。一方、上皮細胞は、EMDが存在した場合、cAMPシグナリング及び成長因子分泌は増加するけれども、増殖と成長の両者は阻害された(非特許文献3)。
エナメル基質タンパク質及びエナメル基質誘導体(EMD)は、既に、硬組織形成の誘導(即ち、エナメル質形成、特許文献1)、硬組織間結合の確保(特許文献2及び特許文献3)、皮膚及び粘膜などの開口創治癒の促進、感染症及び炎症性疾患の処置の際の有益な効果の保有(特許文献4及び特許文献5)、象牙質再生の誘導(特許文献6)、移植片定着の促進(特許文献7)、腫瘍処置におけるアポトーシスの誘導(特許文献8)、全身性疾患又は炎症に対する免疫応答不均衡の制御(特許文献9)、及び腫瘍縮小手術のような処置及び/又は外傷後の創腔及び/又は組織欠陥の充填促進を可能にすること(特許文献10)が特許文献に記載されている。
エナメル基質は、アメロゲニン、エナメリン、タフトタンパク質、プロテアーゼ、及びアルブミンなど、多くのタンパク質で構成される。エナメル基質の主要な構成成分であるアメロゲニンは、選択的スプライシング及び調節された分泌後プロセッシングによる単一遺伝子から誘導可能な一群の疎水性タンパク質である。それらは脊椎動物の進化の過程で高度に保存されており、試験した全ての高等脊椎動物の中に、全体的に高レベルの配列相同性(80%)を示している。実際に、ブタとヒトのアメロゲニン遺伝子転写物は、塩基の僅か4%が異なるのみである。従って、エナメル基質タンパク質は、たとえブタ起源であっても、ヒトの体と接触した場合に「自己」と見なされ、アレルギー反応又は望ましくない反応を引き起こすことなく、ヒトにおける歯の再生を促進させることができる。それでもなお、アメロゲニンの異なる研究で複数の構造が確認され、それが同一個体の動物又はヒトの歯牙発生においてさえ起きており、明らかに、「正常な」エナメル質形成において協調的に働く構造の極端な特異性を憶測させる。例えば、Liらによって示されたように(非特許文献4)、発現されたヒトアメロゲニン中の1個のプロリンをスレオニンに変化させるX−染色体上のアメロゲニン遺伝子の単一塩基変異は、エナメル質形成不全を引き起こす。
発育期歯牙でセメント質形成が行われる間、アメロゲニンはより小さな断片に分解し、これらの断片は選択的に周辺組織と相互作用し、そして歯周系の発育における連続的な工程を推進するように見える。既に非特許文献5に記されているように、エナメル質は、大きさが5〜25kDaにわたる構成成分を含むアメロゲニンタンパク質の複合体を含む。これは、X及びY染色体上に位置するアメロゲニン遺伝子の1つ又は2つのコピーから、選択的スプライシングによって生成した複数のmRNAから誘導可能なアメロゲニンファミリーの発現及び分泌の所為である。その上、分泌された後、それらのタンパク質はさらに広範なタンパク分解のプロセシングを受けると思われる。この広範な一次転写物の選択的スプライシング及びそれに続く分泌タンパク質のタンパク分解プロセシングのため、個々のアメロゲニンに機能を特定することは困難であった。スプライシングのパターンは、遺伝子の2つのコピーが同じ細胞で発現される場合でさえ、今まで調査したところでは、それぞれのアメロゲニン遺伝子に特有のものである。種を超えたアメロゲニン配列の高い保存性にもかかわらず、RNAスプライシングパターンの多様性は、従って、発育期のエナメル基質におけるアメロゲニンアイソフォームの数及び特徴に著しい違いをもたらす。
これまで、アメロゲニンタンパク質の2つのクラス、即ち、ロイシンリッチ・アメロゲニンポリペプチド(LRAP)及びチロシンリッチ・アメロゲニンポリペプチド(TRAP)は、5〜6kDaの間のサイズで記載された(例えば、非特許文献6を参照)。LRAPは、スプライシングの間に除かれるエクソン4、5及び6の部分からのコード領域を有する、より短いmRNAから翻訳される。アメロゲニンに見出されるプロセスされた断片の1つとして、重要な調節作用を持つ可能性があるため、Boabaid らによって2004年に調査されたが、それ自身は何ら細胞増殖の作用を有さないことが報告された(非特許文献7)。その上、それは、生体外でセメント芽細胞の増殖を促進するEMD及び効果が報告されていない完全長のアメロゲニンとは反対に、細胞培養においてセメント芽細胞の数を減少させた。
約5kDaの大きさの2つのヒトチロシンリッチ・アメロゲニンポリペプチド(TRAP)は、既に確認されている(非特許文献6を参照)。これらのポリペプチドは、長さが42(TRAP−2)及び44(TRAP−1)アミノ酸残基であり;ヒト及び他の哺乳類のエナメル質タンパク質の一般的な特徴であると説明され、おそらく最初の細胞外アメロゲニンから分泌後切断によって誘導された、カルボキシ末端のジペプチドの切断だけが異なる2つのTRAP分子の形態である。これまで、いずれの特定の生物学的作用もこれらのペプチドに帰属されていない。
やや切れ味の悪いEMDの完全なカクテルの代わりとして、ある厳密に定義された画分及び/又はポリペプチド又はポリペプチドの断片の、例えば、特定の生物活性を持つブタ組織からの分離は、エナメル基質タンパク質のより洗練された使用、例えば、デノボ骨形成又はセメント質形成などの歯周発育期の特定の行程を誘導するための使用、又は医学的処置でそれを模倣するための使用を可能にする。その上、目的とする特定の効果を誘発するために、個別の及び/又は組み合わせた活性成分として使用するための単一の明確なポリペプチド配列を合成することが可能になり、費用効率が高まるかもしれない。
本発明は、初めて、2つの、共に前駆細胞の増殖及び骨芽細胞の初期分化のような骨形成活性を誘導できることを示す、天然のブタN−末端アメロゲニンポリペプチド断片を同定する。本発明は、また、EMDの特異的な生物学的活性は、上記の2つのN−末端アメロゲニンポリペプチド断片を含む天然の完全な画分Cによって生じることを初めて同定する。
米国特許第4,672,032号(Slavkin) EP−B−0337967号 EP−B−0263086号 EP I 1059934号 EP II 01201915.4号 国際特許公開第01/97834号 国際特許公開第00/53197号 国際特許公開第00/53196号 国際特許公開第03/024479号 国際特許公開第02/080994号
Gestrelius S, Lyngstadaas SP, Hammarstrom L., "Emdogain− periodontal regeneration based on biomimicry"(「生物模倣に基づくエムドゲイン−歯周再生」). Clin Oral Invest 4:120-125 (2000); Hammarstrom et al.,1997, Journal of Clinical Periodontology 24, 658-668; Lyngstadaas et al., 2001, Journal of Clinical Periodontology 28, 181-188; Li, W. et al., "X-linked amelogenesis imperfecta may result from decreased formation of tyrosine rich amelogenin peptide (TRAP)"( 「X−連鎖のエナメル質形成不全症は、チロシンリッチアメロゲニンペプチド(TRAP)の形成低下から生じる可能性がある」), Archives of Oral Biology (2003) 48, 177-183; Fincham, A.G. et al.,(1993); Fincham, A.G. et al., "Human Amelogenins: Sequences of "TRAP" Molecules"( 「ヒトアメロゲニン:「TRAP」分子の配列」), Calcified Tissue International (1989) 45:243-250; Boabaid F., et al, J. Periodontol, Vol 75, No.8, 2004)。
アメロゲニンのスプライス変異体及びタンパク分解的切断生成物は、EMDから単離される主要な化合物である。
発育中の歯におけるセメント質形成の間、アメロゲニンは、上記のように、一次転写物の選択的スプライシング及びそれに続く分泌タンパク質のタンパク分解的プロセシングによって、より小さな断片(フラグメント及びポリペプチド断片)に分解し、そしてこれらの断片は、選択的に周辺組織に作用し、歯周系の発育の連続的な工程を促進させるという仮説が立てられる。
本発明は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離され、それぞれ2つのポリペプチドの少なくとも1つを含むことが初めて示されたブタEMDの特定の画分であり、配列番号1及び配列番号2で示されるようにさらに分離し同定された、以後画分Cと呼ばれる画分の単離、そして上述の画分並びに互いの様々な組み合わせで単離されたペプチドが、EMD又は全長アメロゲニンで先に観察された作用と密接に関係するが同じではない、特異的な生物学的機能を発揮するという発見に基づく。本発明は、従って、上述した天然のブタN−末端アメロゲニンポリペプチド断片が、共に骨形成活性を誘導できることを、初めて成功裏に確認する。
本発明者らは、さらに、初めて、細胞培養研究は、EMDの単離された画分C及び/又はそれぞれ2つの天然のブタN末端アメロゲニンポリペプチド断片の少なくとも1つが、骨芽細胞の増殖及び/又は分化、並びに間葉幹細胞の分化、並びに歯周細胞の活性化を促進できることを示唆することを示す。本発明者らは、主要な画分それ自体及び組み合わせた少なくとも2つのポリペプチド断片が、異なる生物学的活性を有し、組み合わせによる使用と同様に、別々に使用できることを納得のいくように実証する。
従って、本発明は、組み合わせた配列番号1及び配列番号2で示される単離された天然のブタN末端アメロゲニンポリペプチド断片、及びそれぞれ2つの天然のブタN末端アメロゲニンポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、並びに前記の組み合わせた配列番号1及び配列番号2で示される単離された天然のブタN末端アメロゲニンポリペプチド断片の薬剤における使用に関する。
本発明は、さらに、前記のエナメル基質誘導体の或る天然の画分Cの使用、又は配列番号1及び配列番号2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つ、又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、又は自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、又は生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって生成した画分Cから成る、歯周細胞の活性を活性化及び/又は制御するための、骨芽細胞の分化及び/又は増殖を制御するための、及び/又は間葉幹細胞の増殖及び/又は分化を制御するための医薬製剤に関する。
従って、本発明は、また、前記画分C又は選択的スプライシング及び/又はプロセッシングによって、又は自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、又は生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成した、前記天然のエナメル基質誘導体の画分のそれぞれのポリペプチド断片の少なくとも1つの、歯周細胞の活性制御、骨芽細胞の分化及び/又は増殖の制御、及び/又は間葉幹細胞の増殖及び/又は分化の制御の様な特定の作用を発揮させるための使用に関する。
例えば、表2に要約したように、ヒト骨芽細胞の初代培養で行った実験は、単離されたエナメル質タンパク質の画分、本明細書では画分Cと呼ぶ、が、アポトーシス、細胞接着、細胞間シグナル伝達、転写、シグナル伝達、及び/又は細胞増殖に関与することが業界でよく知られている広範な様々な遺伝子に、生物学的に重要な作用を発揮することを明瞭に示した。その上、実証された作用はEMDで見られた作用と密接に関連したが、同一ではなかった。
本発明の1つの実施態様は、従って、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含むエナメル基質タンパク質の単離された画分Cの使用、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、又は自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、又は生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む、歯周細胞の活性を活性化及び/又は制御するための、及び/又は骨芽細胞の分化及び/又は増殖を制御するための、間葉幹細胞の増殖及び/又は、例えば、骨芽細胞への分化を制御するための医薬製剤に関する。
別の、等しく好ましい実施態様では、本発明は、歯周細胞の活性を活性化及び/又は制御するための、及び/又は骨芽細胞の分化及び/又は増殖を制御するための、間葉幹細胞の増殖及び/又は、例えば、骨芽細胞への分化を制御するための、及び/又は免疫応答を誘導するための、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つの使用に関する。
エナメル基質タンパク質は、或るシグナル伝達経路を活性化し、歯周細胞の増殖を促進し、そして分化を誘導し、並びに非歯周線維芽細胞の増殖及び分化を刺激するが、それに対して、上皮細胞の増殖及び/又は分化は、エナメル基質タンパク質の存在によって刺激されないことが知られている。
本発明者らによって先に示されたように、活性エナメル質物質上に生育する非歯周線維芽細胞の付着率の増加は、エナメル質タンパク質を基剤とするマトリックスが細胞外マトリックスを模倣したことを示す。この模倣は、これらの細胞の迅速な接着を容易にする。活性エナメル質物質上で成長するこれらの繊維芽細胞で観察された成長速度及び代謝の上昇は、さらに、活性エナメル質物質画分及び/又はポリペプチド断片が歯周細胞の代謝のスピードアップを刺激する細胞外マトリックスを提供することを証明している。また、成長速度の上昇はDNA合成の増加を反映しており、これらの細胞の細胞増殖は上方制御されることを示す。更に、これらの線維芽細胞の[35S]−メチオニン利用の増加が成長速度の上昇を上回るので、いくつかの付加された代謝活性は、同様に、上昇した同化及び/又は細胞外タンパク質分泌を反映している。本明細書に記載された、歯周細胞の活性に対する画分Cの作用によって、同じような作用が、それによって、並びに配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つによって発揮されることが、今や想定される。
特に、現在提示された実験所見は、画分Cが、骨芽細胞に作用し、そして骨形成及びセメント質形成の両者の潜在力を有するEMDの成分であることを明確に示しており、従って、それは骨及びセメント質の再生に関してEMD及びアメロゲニンの活性成分であることを示唆する。特に、再び、本発明者らは、画分C、並びに配列番号1及び2で示されるアメロゲニンの2つの複合ポリペプチド断片は、歯周細胞の活性を上方制御する、及び/又は非常に初期の骨芽細胞分化及び/又は増殖マーカーを上方制御する、並びに間葉幹細胞の増殖を上方制御する及び/又は分化を縮小する及び/又は阻害することを見出した。特に、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンの2つの複合ポリペプチド断片の作用は、骨芽細胞又は間充織細胞増殖の強力な誘導剤又は促進剤として、より強く検出されたのに対し、これらの細胞におけるマーカー遺伝子の発現によって測定された初期の分化への作用は、むしろ陰性であった。
このように、本発明を特定の科学的理論に限定すること無しに、本明細書において、画分Cは、周囲の組織への即時増殖の刺激を、それらの仕様に優先して、未分化細胞を集結させる早い段階で誘発するEMDの成分である確証を含む、EMDの最も早い段階の活性画分であることが想定される。特に、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンの2つの複合ポリペプチド断片は、明らかに骨芽細胞様の前駆細胞並びにPDL細胞の増殖の誘導に対して強力な作用を示し、後の分化マーカーのレベルの減少を示しかねない。完全な画分としての画分Cは、前述の複合ポリペプチドの阻害作用とは対照的に、多能性及び/又は全能細胞の増殖を刺激するだけでなく、上記細胞の骨形成及び軟骨形成への分化のごく初期のマーカーを誘導できることを示せるかもしれない。
「骨芽細胞」は、コラーゲン性及び非コラーゲン性骨タンパク質の両者(有機マトリックス、類骨)を合成する単核細胞である。それは石灰化に関与し、多能性間充織細胞から誘導可能である。骨芽細胞は、一般に、前駆細胞の前骨芽細胞を経由して分化すると考えられる。
実験の部の実施例3及び4に示すように、画分Cは骨芽細胞の分化を増加し、培養骨芽細胞の骨形成を刺激する。その上、実施例5は、配列番号1及び2で示される単離されたアメロゲニンの2つの複合ポリペプチド断片の少なくとも1つは、初期の骨芽細胞分化への刺激は画分Cよりも強力であるが、画分Cは後の段階でのオステオカルシン発現のより強力な誘発因子であるように見えることを明瞭に示している。
歯周靭帯(PDL)を形成する細胞は、主に線維芽細胞である。PDLでは、線維芽細胞は、細胞外区画の代謝回転を非常に速い速度で実現させる能力、特にコラーゲンで実現させる能力が特徴である。靭帯線維芽細胞は、線維束の一般的な方向に沿って、そして線維束を包み込む伸長性の突起を使って整列している。同様に、上皮細胞及び未分化の間充織細胞も、PDLの構成成分である。
現在の文脈において、「歯周細胞」という用語は、歯周靭帯細胞(PDL)、歯肉細胞、上皮細胞、骨細胞などの細胞を指すが、それらに限定されない。
細胞の「分化」とは、細胞が明らかに特殊化された細胞型に変化する過程をいう。そのような細胞は、胚発生期又は後の発育段階に他の特殊化された細胞型に分化する幹細胞、又はそうする様に指示を受けている他のいかなる細胞であってもよい。分化の代表的な例は、現在の文脈において、例えば、間葉幹細胞の骨芽細胞への分化であろう。
細胞の「増殖」とは、より大きな細胞集団を生成するために細胞が積極的に成長し分裂している段階を指す。そのような増殖は、成長因子などのような外部刺激によって刺激されてもよい。
「間充組織」とは、動物の結合組織の未熟で未分化の形態を指し、薄い細胞外マトリックスに埋もれた細胞のみから成る。中胚葉から誘導可能な胎生結合組織は、間充組織と名付けられる。「間葉幹細胞」は、骨髄細胞のような未分化の間充織細胞である。現在好ましい実施態様では、前述の間葉幹細胞は、例えば、骨芽細胞、破骨細胞、又はあらゆる他の骨細胞に分化する。
実施された実験で認められた文書化された細胞効果及び上記の実験の部に文書化された細胞効果に非常に類似して、本発明の別の態様は、単離された画分Cの使用及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つの使用、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は硬組織の石灰化を誘導する医薬組成物を製造するための、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。
本発明のさらに別の態様は、単離された画分Cの使用及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分の使用、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は骨の再生及び/又はデノボ成長の誘導のための、硬組織形成の誘導のための、硬組織間結合の確保のための、及び/又は象牙質の再生誘導のための医薬組成物を製造するための、選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。
本発明の現在好ましい実施態様は、従って、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は薬剤として使用するための、選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。
エナメル基質タンパク質は、歯髄細胞に象牙質形成を誘導することができる。従って、生きた歯髄組織の露出に関わる歯科的処置後の象牙質形成又は再生に対する同様の作用が、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む本画分Cによって、又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分によって、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシング、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れか、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤によって、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシング、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れか、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つによって、発揮されることが想定される。
別の態様では、本発明は、生きた歯髄組織の露出に関わる歯科的処置後の象牙質形成又は再生を促進させる方法であって、その方法が、歯科的処置の後に生きた歯髄組織が露出した際に、単離された画分C及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシング、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れか、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤の有効量を適用すること含む方法、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシング、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れか、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。
本発明は、医療用インプラント又は装置への適用のための、単離された画分Cの使用及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤の使用、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。本発明は、さらに、単離された画分Cの使用及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤が適用された医療用インプラントまたは装置、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つに関する。
本発明によれば、インプラント又は装置は、ヒト又は動物体の、特に歯科領域、消化管、尿道、膀胱、肺腔、肺、気管、喉頭、食道、関節、骨、頭蓋、耳、血脈洞、静脈、動脈又は腹腔に使用するための如何なるインプラント又は装置でもよい。インプラントは、陶器又は石膏のような骨置換材料であってもよい。
インプラント又は装置は、例えば、首、脚又は腕、又は頭蓋骨骨折などの複雑骨折を固着するために使うことができ、従って、インプラント又は装置は、従来骨折骨の断片を不動に(固定)するために使われている骨置換材料のピン又はネジでもよい。そのようなピン又はネジは、通常、患者の骨折の部位又は部位の近くの皮膚を貫通する部分を含んでいる。この目的のためのピン又はネジは、従来チタン又は鋼のような金属で作られており、場合によって、軟組織の閉鎖及び密閉を容易にするために、一般に生分解性の又は安定な高分子材料で被覆されてもよい。さらに、インプラントは、例えば ペースメーカー 、脳内インプラント、 バイオセンサーに使用されるもののような 導電体であってもよい。インプラントは、また、ネジ及び/又は橋脚歯などの人工歯又は義歯であってもよい。
インプラント又は装置に適用する前に、本発明の単離された画分C及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを、他の成分の、例えば、薬学的に許容される賦形剤と混合して医薬組成物を構築し、以下に議論する様に、例えば、インプラント又は装置の関連する部分を活性エナメル質物質の溶液又は分散液に浸漬することにより、又は活性エナメル物質の溶液又は分散液をインプラント又は装置の関連する部分の表面にスプレーすることによって、両者の場合は乾燥することによって、インプラント又は装置の表面を被覆することができる。適用の際は、画分C、医薬製剤、及び/又は複合ポリペプチド断片をインプラント又は装置の表面に吸着させ、そしてホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド又はエタノールなどの従来の固定剤によってその上に固定してもよい。あるいは、画分C、医薬製剤、及び/又は複合ポリペプチド断片は、上記の画分及び/又は活性エナメル物質のポリペプチド断片を、インプラント又は装置のポリマー成分に、例えば、UV照射若しくは自体公知の化学的処理法で架橋させることによって、又は画分及び/又はポリペプチド断片をインプラント若しくは装置の表面に存在するポリマー成分の好適な官能基と共有結合させることによって、インプラント又は装置の関連する表面に適用することができる。
インプラント又は装置の適切な表面に適用される画分C及び/又はポリペプチド断片の量は、通常、約0.01mg/cm2〜約15mg/cm2の様な、約0.005mg/cm2〜約20mg/cm2のインプラント又は装置の面積cm2当たりの総タンパク質量になる。
本発明によれば、本発明に従って本目的のためのインプラント又は装置の表面への画分C、医薬製剤、及び/又はポリペプチド断片の適用は、場合により、他の種類の好適な生物学的活性物質の、例えば、抗菌剤又は抗カビ剤のような抗微生物剤の適用、又はインプラント又は装置が上皮組織と接触する部位の微生物感染を予防又は処置するための静菌剤又は消毒薬の適用と組み合わせてもよい。
「軟組織」(即ち、非石灰化組織)は、この文脈では歯肉組織と互換的に使用することができ、コラーゲン又は上皮含有組織として定義されてもよく、皮膚及び粘膜、筋肉、血液及びリンパ管、神経組織、腺、腱、目及び軟骨が挙げられる。一般に、本発明の画分及び/又はポリペプチド断片は、治癒を促進するため、又は皮膚及び粘膜だけでなく、あらゆる歯肉組織の傷の患者が求める回復を促進する医薬組成物を製造するために使用することができる。
用語の「石灰化組織」における「硬組織形成」は、酵素のアルカリホスファターゼ活性及び良好な血液の供給を前提条件として、ミネラル受容可能な有機マトリックスの細胞による生産であると要約することができる。
本発明によれば、本発明の単離された画分C及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つは、一般に、ブタ起源である。
しかし、アメロゲニンは進化的に非常に保守的なタンパク質であり、種間の相同性の高いことが立証されているというよく知られた事実に照らして、類似した配列で、類似の生物学的作用を発揮する、例えば、骨形成活性有するエナメル基質タンパク質の、例えば、アメロゲニンが、ラット、ヒト又はマウスで見つかるかも知れないことが現在想定される。従って、本発明は、また、配列番号1及び2として開示されたブタアメロゲニン断片に類似した配列であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つと、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%同一であるように、少なくとも95%同一であり、そして類似の生物学的活性を示す配列を包含する。本発明では、そのような類似のポリペプチドは、硬組織の石灰化の誘導及び/又は骨成長及び/又は骨再生を誘導する薬剤及び/又は医薬及び/又は美容組成物を製造するために、使用可能であることが想定される。
本発明において、配列番号1及び/又は配列番号2のような、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つと少なくとも95%同一であるポリペプチド断片から成るグループから選択されるポリペプチド断片は、哺乳類の組織から単離されたポリペプチド断片、精製した組み換えポリペプチド断片、又は合成により製造されるポリペプチド断片から選択することができる。業界によく知られるように、組み換え的に生産されたポリペプチドは、特に原核生物系で生産された場合、内因性の鋳型タンパク質と僅かに異なるようになる。本発明は、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つと、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%同一であるように、少なくとも95%同一であり、そして類似の生物学的活性を示す組み換え的に生産されたポリペプチド断片を包含する。
一方、合成的に製造されるポリペプチドは、業界によく知られるように、勿論、本来の生物学的活性、例えば、その軟骨形成及び/又は骨形成活性、に妨害及び/又は影響を及ぼさないような化学的な順列の多様性を持たせて設計することができる。従って、本発明は、また、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つと、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%同一であるように、少なくとも95%同一であり、そして類似の生物学的活性を示す合成的に順列を変えたポリペプチド断片を包含する。
その上、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列の少なくとも1つと、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%同一であるように、少なくとも95%同一であり、類似の生物学的活性を示すポリペプチド断片の配列の如何なる保守的な変形も、前記の配列との機能的な関係によって本発明の範囲に入ると考えられる。
配列の保守的な変形は、現在の文脈において、異なる種間の同じアミノ酸配列の変形を比較した場合、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%保存されたアミノ酸の配列として定義される。変形の保存の程度は、この分野でよく知られているように、PAM(Dayhoff, Schwartz, and Orcutt (1978) Atlas Protein Seq. Struc. 5:345-352を参照)の誘導に従って、又はHenikoff and Henikoff (1992) Proc Natl Acad Sci U S A 89(22):10915-9に記載されているBlocksデータベースから誘導したBlocksの配列の比較に基づいて計算することができる。
保守的な置換は、例えば、下の表1に従って行ってもよい。第2列の同一ブロック内の、好ましくは第3列の同じ行のアミノ酸は、互いに置換してもよい。
Figure 2011525913
そのような置換は、また、非天然アミノ酸で行なわれてもよく、それには、アルファ*及びアルファ2置換*アミノ酸、N−アルキルアミノ酸*、乳酸*、トリフルオロチロシン*のような天然アミノ酸のハロゲン化誘導体、p−Cl−フェニルアラニン*、p−Br−フェニルアラニン*、p−I−フェニルアラニン*、L−アリル−グリシン*、β−アラニン*、L−α−アミノ酪酸*、L−γ−アミノ酪酸*、L−α−アミノイソ酪酸*、L−ε−アミノカプロン酸#、7−アミノのヘプタン酸*、L−メチオニンスルホン#*、L−ノルロイシン*、L−ノルバリン*、p−ニトロ−L−フェニルアラニン*、L−ヒドロキシプロリン#、L−チオプロリン*、フェニルアラニン(Phe)のメチル誘導体の、例えば、4−メチル−Phe*、ペンタメチル−Phe*など、L−Phe(4−アミノ)#、L−Tyr(メチル)*、L−Phe(4−イソプロピル)*、L−Tic(1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)*、L−ジアミノプロピオン酸#及びL−Phe(4−ベンジル)*が含まれる。本明細書で、注釈の*は誘導体の疎水性を、一方#は誘導体の親水性を、#*は両親媒性の特性を示すために使用される。
変異体アミノ酸配列は、グリシン又はβ−アラニンの残基のようなアミノ酸スペーサーに加えて、配列の任意の2つのアミノ酸残基の間に挿入されてよい、メチル、エチル又はプロピル基のようなアルキル基を含む、好適なスペーサーを含んでもよい。変異の更なる形態は、ペプトイドの形態の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基の存在を含み、それは当業者がよく理解することである。誤解を避けるために、「ペプトイド形態」は、α−炭素置換基がα−炭素ではなく残基の窒素原子上にある変異体アミノ酸残基を指すために使われる。ペプトイド形態でペプチドを製造する方法は、業界に知られており、例えば、Simon RJ et al., PNAS (1992) 89(20), 9367-9371 及び Horwell DC, Trends Biotechnol. (1995) 13(4), 132-134を参照されたい。
本発明のポリペプチドは、実質的に単離された形態であればよい。当然のことながら、そのペプチドは、ペプチドの意図する目的を妨害せずそしてさらに実質的に単一とみなされる担体又は希釈剤と混合されてよい。本発明のペプチドは、また、実質的に精製された形態であればよく、その場合には、ペプチド又はその断片は、一般に、製剤中のタンパク質の90%を上回る、例えば、95%、98%、又は99%が本発明のペプチドである。
現在の文脈において、配列番号1及び配列番号2で示されるポリペプチド断片は、配列番号1及び配列番号2で示される配列の少なくとも1つと、例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.9%同一であるように、少なくとも95%同一であり、且つ類似の生物学的活性を示す、例えば、軟骨形成、増殖性及び/又は骨形成活性を有する、組み換え的に生産した、又は化学的に製造したポリペプチド断片を、確かに包含する。
EMDは、実験の部に記されるように処理される。画分C由来の2つに分れたピーク(C1RP及びC2RPと命名)は分離されており、それらのアミノ酸配列は以下のように決定されている:
C1RP:MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHP−YTSYGYEPMG(43AA形)(配列番号1);
C2RP:MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHP−YTSYGYEPMGGW(45AA形)(配列番号2)。
C1RP(配列番号1)は、主として43アミノ酸長だけである様に言われているが、それは、C−末端にGWのアミノ酸が付加した最大で45アミノ酸を含むまで拡大することができ、且つ最小で41アミノ酸を含むまでに縮小することができる:配列番号1及び3〜11を参照されたい。配列番号1及び3〜11は、現在の文脈では、互いに交換可能である。
C2RP(配列番号2)は、主として45アミノ酸長だけである様に言われているが、それは、最小で42アミノ酸を含むまでに縮小することができる:配列番号2及び12〜19を参照されたい。配列番号2及び12〜19は、現在の文脈では、互いに交換可能である。
現在の文脈では、上記の同定されたポリペプチドは必ずしも同じである必要はなく、それらは1、6、7及び16の位置において及びその長さにおいて異なることができることは、特に注目すべきである。従って、C1RP及びC2RPの両者が、それぞれ45のアミノ酸から成る場合でも、個々の配列の分子量は僅かにではあるが一貫して異なる(m/z C1RP: 5160.39Da、5080.42、4931.29;m/z C2RP:5403.49Da、5175.40Da)。別の同じく好ましい実施態様では、2つの主要なピークは、ポリペプチドがm/z C1RP:5160.8Da、m/z C2RP:5404.1Daとして同定される。
本発明を1つの科学的理論に限定するつもりはないが、配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのポリペプチドは、互いにポリマー及び/又は凝集体を形成し、そしてそれらはポリマー、ダイマー及び/又は凝集体として生物学的に活性であることが想定される。2つの主要なピークは、その配列に多数の芳香性及びイオン性アミノ酸の存在を示し、それらの間に強い相互作用を有することを示唆する。一般に、相互作用の形態は、π−結合並びにイオン及び水素結合である。これらの現象は、UV融解曲線及びMALDI測定で示される。
本発明は、C1RP及び/又はC2RPの配列(配列番号1及び2)から、以下の僅かな変異を含む:
C1RP
配列番号3:Wで終わる45アミノ酸、16位はS又はEであってもよく、16位のSはリン酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINF(S又はE)YEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGGW;
配列番号4:Wで終わる45アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGGW;
配列番号5:Gで終わる44アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGG;
配列番号6:Gで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMG;
配列番号7:Wで終わる44アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPGGW;
配列番号8:Wで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)及び41位(P)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEGGW;
配列番号9:Gで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPGG;
配列番号10:Gで終わる42アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)及び41位(P)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEGG;
配列番号11:Gで終わる41アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)及び41位(P)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEG。
C2RP
配列番号12:Wで終わる45アミノ酸、16位はS又はEであってもよく、16位のSはリン酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINF(S又はE)YEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGGW;
配列番号13:Wで終わる45アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGGW;
配列番号14:Gで終わる44アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMGG;
配列番号15:Gで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は酸化されてもよい:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPMG;
配列番号16:Wで終わる44アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPGGW;
配列番号17:Wで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)及び41位(P)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEGGW;
配列番号18:Gで終わる43アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEPGG;
配列番号19:Gで終わる42アミノ酸、16位(S)はリン酸化されてもよく、そして42位(M)及び41位(P)は欠如している:
MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQNMIRHPYTSYGYEGG。
代りの実施態様では、任意の同定された上記の配列は、さらに1位及び42位の少なくとも1つが酸化されてもよい。そのうえ別の実施態様では、任意の同定された上記の配列は、また、36位(S)、21位(T)、35位(T)、14位(N)及び28位(N)の少なくとも1つがグリコシル化されてもよい。
活性エナメル物質
本明細書で使用されるように、「エナメル基質」は、エナメル質の前駆体を意味し、任意の関連した自然源から、即ち、歯が発育中の哺乳類から得ることができる。好適な原料は、例えば、ウシ、ブタ又は仔羊などの食肉処理された動物由来の発育中の歯である。他の原料は、例えば、魚の皮である。現在の文脈では、用語の「活性エナメル物質」は、エナメル基質誘導体及び/又はエナメル基質タンパク質を起源無差別に包含するために使用される。
エナメル基質は、前記のように発育中の歯から製造することができる(欧州特許第0337967号及び欧州特許第0263086号)。エナメル基質を削り取り、そしてエナメル基質誘導体を、例えば、緩衝液、希酸若しくは希塩基又は水/溶媒混合液のような水溶液で抽出し、続いてサイズ排除、脱塩又は他の精製工程、或いは続く凍結乾燥によって製造する。酵素は、熱又は溶媒処理によって選択的に失活させてもよく、その場合、誘導体は凍結乾燥しないで液体の形態で保存してもよい。
代りのエナメル基質誘導体又はタンパク質の原料として、当業者に周知の一般に適用可能な合成経路を使用してもよいし、又はDNA技術で修飾した真核生物若しくは原核生物の培養細胞を使用してもよい。エナメル基質タンパク質は、従って、組み換え体起源の或いは遺伝的及び/又は化学的に修飾されたものでもよい(例えば、Sambrook, J. et al.:
Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照)。
現在の文脈では、エナメル基質誘導体は、選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、又は自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、又は生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された、1つ又はいくつかのエナメル基質タンパク質、又はそのようなタンパク質の部分若しくは断片を含むエナメル基質の誘導体である。エナメル基質タンパク質誘導体は、また、エナメル基質に関連したポリペプチド又はタンパク質を含む。ポリペプチド又はタンパク質は、ポリアミン酸若しくは多糖又はそれらの組み合わせなどの好適な生物分解性担体分子に結合していてもよい。更に、用語のエナメル基質誘導体は、また、合成の類似物質を包含する。
タンパク質は、ペプチド結合によって共に連結したアミノ酸残基によって構成された生体高分子である。タンパク質、また、アミノ酸の線状重合体として、ポリペプチドとも呼ばれる。一般的には、タンパク質は50〜800のアミノ酸残基を有し、そしてそれ故、約6,000から数10万ダルトン又はそれ以上の範囲の分子量を有する。本発明の文脈において、本発明に従って使用する「ポリペプチド断片」とは、長さが、例えば、10、15、20、25、30、35、40、41、42、43、44、45、46、47、47、48、49又は50アミノ酸のような1〜50アミノ酸であってよいが、しかしこれらに限定されない、ポリペプチドを指す。そのようなポリペプチドは、また、50アミノ酸より長くてもよい。
エナメル基質タンパク質は、通常はエナメル基質に存在するタンパク質、即ち、エナメル質の前駆体(Ten Cate: Oral Histology, 1994; Robinson: Eur. J. Oral Science, Jan. 1998, 106 Suppl. 1:282-91)、又はそのようなタンパク質の切断によって得ることができるタンパク質である。一般に、そのようなタンパク質は、120,000ダルトンより低い分子量を有し、それにはアメロゲニン、非アメロゲニン、プロリンリッチ非アメロゲニン及びタフテリンが含まれる。
本発明に従って使用されるタンパク質の例は、アメロゲニン、プロリンリッチ非アメロゲニン、タフテリン、タフトタンパク質、血清蛋白質、唾液タンパク質、アメロブラスチン、シースリン及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物である。さらに、本発明に従って使用される他のタンパク質は、市販の製品、EMDOGAIN(登録商標)(BIORA AB、Sweden)に見られる。
EMDOGAIN(登録商標)(BIORA AB, S-205 12 Malmo, Sweden)は、残留するプロテアーゼを不活化するために約80℃で3時間加熱された30mgのエナメル基質タンパク質(EMD)、及びタンパク質と媒体を別々にテストするのでなければ、適用に先立って混合する1mLの媒体溶液(アルギン酸プロピレングリコール)を含有する。質量比は、20、14及び5kDaの主なタンパク質のピークの間で、それぞれ80/8/12である。
一般に、エナメル基質の主なタンパク質は、アメロゲニンとして知られている。それらは、生理学的条件下で凝集体を形成する著しく疎水性の物質である。
それらは、他のタンパク質又はペプチドを携えている又はそれらのための担体である可能性がある。
現在好ましい本発明の実施態様は、従って、本発明によって開示されるような、アメロゲニンの各ポリペプチド断片の少なくとも1つを含む、医薬用、化粧用及び/又は治療用の製剤及び/又は組成物に関する。
別の現在好ましい本発明の実施態様は、本発明によって開示されるような、アメロゲニンの各ポリペプチド断片の少なくとも1つから成る、医薬用、化粧用及び/又は治療用の製剤及び/又は組成物に関する。
本発明によって開示されるような画分及び/又はアメロゲニンの各ポリペプチド断片の少なくとも1つは、本発明の文脈では、実質的に単離された又は精製された形態であればよい。当然のことながら、画分、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又はその断片は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又はその断片の意図した目的を妨害せず、その上実質的に分離したとみなされる担体又は希釈剤と混合する、若しくは医薬組成物に含ませてもよい。そのような実質的に精製された形態は、一般に、製剤中のタンパク質の90%以上、例えば、95%、96%、97%、98%又は99%が本発明の画分及び/又は組み合わせたポリペプチド断片である、製剤中のタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又は断片から成る画分を含む。
対照アミノ酸配列に対して、例えば、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び/又はそれらの断片によって、対照アミノ酸配列の各100個のアミノ酸当たり5個までの変異を含んでいる可能性があることを除いては、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列は対照アミノ酸配列と同一であることを意図している。換言すれば、対照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一なアミノ酸の配列を有するポリペプチドを得るためには:対照配列中のアミノ酸の最大5%までが削除若しくは他のアミノ酸で置換されてもよく、又はアミノ酸数で、対照配列の全アミノ酸の最大5%までのアミノ酸が、対照配列に挿入されてもよい。対照配列のこれらの変異は、対照アミノ酸配列のアミノ及び/又はカルボキシ末端で、又はこれらの末端の間のどこかで、対照配列のアミノ酸の間に個々に又は1つ又はそれ以上の連続したグループの何れかで、対照配列内に散在して起きてもよい。
本発明では、ローカルアルゴリズムプログラムは同一性を決定するために最も適している。ローカルアルゴリズムプログラム(例えばSmith-Watermanのような)は、1つの配列の部分列を次の配列の部分列と比較し、部分列の組み合わせ及びその部分列の整合を見つけ出し、それにより最も高い全体としての類似性スコアを生み出す。内的ギャップがあれば、ペナルティになる。ローカルアルゴリズムは、単一ドメイン又は単に結合部位を共通に持っている2つの多ドメインタンパク質の比較に有効である。
同一性及び類似性を決定する方法は、公に利用可能なプログラムに成文化されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定する好ましいコンピュータプログラム法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J et al (1994))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul, S.F. et al (1990))が挙げられるが、これに限定されない。BLASTXプログラムは、NCBI及び他の出所(BLAST Manual, Altschul, S.F. et al, Altschul, S.F. et al (1990))から公に利用可能である。各配列解析プログラムは、デフォルト・スコアリング・マトリックス(default scoring matrix)及びデフォルト・ギャップ・ペナルティ(default gap penalty)を有する。一般に、分子生物学者は、使用するソフトウェアのプログラムによって確立したデフォルトの設定を使用することが予想される。
エナメル基質のタンパク質は、典型的な高分子量部分及び低分子量部分に分けることができ、その画分は一般にアメロゲニンと呼ばれる酢酸抽出可能なタンパク質を含む(欧州特許公開B第0337967号及び欧州特許公開B第0263086号を参照)。
タンパク質を、例えば、沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、分取電気泳動、 ゲル浸透クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー又はアフィニティークロマトグラフィーによって分別することによって、異なる分子量のアメロゲニンを精製することができる。
上記のように、本発明による使用のための画分Cは、SDS・PAGE電気泳動による測定として、一般に大よそ4kDaと6kDaの間の、例えば、大よそ5kDaのような分子量を有する。
一般に、エナメル基質、エナメル基質誘導体及びエナメル基質タンパク質は、疎水性の、即ち、水に対する溶解性、特に高い温度での溶解性が低い物質である。一般に、これらのタンパク質は、非生理学的なpH値、及び4〜20℃の様な低温で可溶性であるのに対し、それらは体温(35〜37℃)及び中性pHで凝集し沈殿する。
特に好ましい実施態様では、本発明による使用のための製剤は、従って、少なくとも部分的に凝集した、及び/又は生体内に適用後に凝集体を形成することができる活性エナメル質物質含む。前述の凝集体の粒子サイズは、例えば、1μmと20nm、1μmと10nm、5μmと10nm、10μmと1nm、100μmと10nm、100μmと1nm、1μmと1nm、1μmと5nm、1μmと15nmの間のように、約1μmから約20nmの範囲である。
本発明によれば、単離された画分C及び/又は配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つから成る単離されたエナメル基質タンパク質の画分、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つを含む医薬製剤、又は選択的スプライシング若しくはプロセッシングによって、若しくは自然長タンパク質の酵素的若しくは化学的切断の何れかによって、若しくは生体外若しくは生体内のペプチドの合成(例えば、組み換えDNA法及び/又は二倍体細胞の培養)によって天然に生成された配列番号1及び2で示されるアメロゲニンのそれぞれ2つのポリペプチド断片の少なくとも1つは、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤などの他の薬剤と共に、又は局所化学療法、アポトーシス誘導剤、成長因子の、例えば、TGFβ、PDGF、IGF、FGF、EGF、ケラチノサイト増殖因子若しくはそれらのペプチド類似体と組み合わせて使うことができる。酵素(エナメル基質若しくはその調製物に本質的に存在するか又は添加された)、特にプロテアーゼも、また、本発明によるエナメル基質画分及び/又はポリペプチド断片と組み合わせて使用してもよい。
医薬組成物
組成物は、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片の使用に応じて、医薬、治療薬及び/又は化粧品の組成物であってもよい。以下において、医薬及び/又は治療薬組成物はまた、化粧品組成物並びに医薬品と化粧品の間のいわゆるグレーエリアに属する組成物、即ち薬用化粧品も包含することを意図する。
本発明による画分及び/又はポリペプチド断片を含む医薬及び/又は治療薬組成物は、薬物送達システムとして働く。現在の文脈において、用語の「薬物送達システム」は、投与によってヒト又は動物の身体に活性物質を提示する医薬及び/又は治療薬組成物(医薬及び/又は治療薬製剤又は剤型)を意味する。
個体(動物又はヒトなど)への投与のためには、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片及び/又はそれらの調製品は、好ましくは活性エナメル質物質の画分及び/又はポリペプチド断片、並びに、場合により1つ又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に製剤化される。
投与される本発明による画分及び/又はポリペプチド断片を含む組成物は、任意の好適な経路、例えば、ホース、シリンジ、スプレー又は灌注装置による患者への全身投与により投与するために適応することができる。
更に、組成物は、例えば、血液、リンパ液、腹水若しくは髄液中への注入による又は吸入による全身投与として、手術に関連した投与に適応することができる。全身的な適用のために、本発明による組成物は、ミクロスフェア及びリポソームを含む、慣習的に毒性が無く薬学的に許容される本発明による担体及び賦形剤を含んでもよい。本発明による組成物の投与も、例えば、限定されないが、経口、非経口、静脈内、頬、耳、直腸、膣、腹腔内、局所(皮膚)、若しくは経鼻の様な他の任意の従来の投与経路によって、又は、例えば、歯根若しくは歯根管の様な体腔への投与によって行うことができる。
他の適用、例えば、義歯、 義足 、差し歯への適用、及び口腔、鼻腔及び膣腔のような体腔への適用も、勿論、関連を有し得る。粘膜は、口、頬、鼻、耳、直腸、及び膣の粘膜から選択することができる。更に、その適用は、創傷又は他の軟部組織の損傷面若しくはその上に直接なされてもよい。
更に、歯科/歯科学領域内への適用も、また、非常に重要である。関連する例は、歯周(歯科)ポケットへ、歯肉若しくは歯肉の損傷へ、又は口腔手術に関連して口腔内にある他の創傷への適用である。
本発明に従って使用される組成物は、限定されないが、流体、半固体又は固体組成物であり、例えば、限定されないが、無菌の生理食塩水、リンゲル溶液、グルコース溶液、リン酸緩衝生理食塩水、血液、血漿、水などに溶解した輸注液体、粉末、マイクロカプセル、生体吸収性パッチ、飲み薬、シート、包帯、絆創膏、埋没物、ピル、スプレー、石鹸、坐薬、膣挿入剤、練り歯磨き、ローション、うがい薬、シャンプー、ミクロスフェア、ナノ粒子、スプレー、エアゾール、吸入器、溶液、分散剤、湿潤剤、懸濁液、エマルジョン、ペースト、軟膏、親水軟膏、クリーム 、ジェル、ヒドロゲル(例えば、ポリエチレングリコール)、包帯剤、装置、鋳型、スマートゲル、移植片、溶液、エマルジョン、懸濁液、パウダー、フィルム、発泡体、パッド、スポンジ(例えば、コラーゲンスポンジ)、経皮送達システム、顆粒、粒質物、カプセル、アガロース又はキトサンビーズ、錠剤、マイクロカプセル、凍結乾燥粉末、顆粒、粒質物又はペレット、及びそれらの混合物の形態であってよい。
本発明に従って使用される好適な分散剤又は湿潤剤は、天然のホスファチド、例えば、レシチン又は大豆レシチン;エチレンオキサイドと例えば脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、又は脂肪酸とヘキシトール若しくは無水ヘキシトールから誘導可能な部分エステルとの縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリエチレンソルビタンモノオレエートなどであってよい。しかし、本発明はそれらに限定されない。
好適な懸濁化剤は、例えば、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガカントゴムのような天然ゴム;例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)RC 591、メチルセルロース);限定されないが、アルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩及びキトサン、などである。
本発明に従って使用される液状組成物は、例えば、医療用インプラント又は装置の表面に適用するための、例えば、限定されないが、溶液、分散液又は懸濁液であればよい。一旦適用されたら、組成物は、好ましくは、例えば、乾燥によって、保存中に又はインプラント若しくは装置を使用しているときに溶解しない固体又は少なくとも高粘性の組成物に固まらなければならない。
そのような組成物は、好ましくは滅菌条件下で適用され、及び/又は適用された後に放射線照射又はエチレンオキサイドガスへの曝露によって滅菌される。組成物が液体組成物の形状の場合、それは同様に医療用インプラント又は装置が体内に導入される少し前に適用されればよい。活性エナメル質物質の画分及び/又はポリペプチド断片を含む組成物を医療用インプラント又は装置に適用する代わりに、その組成物を、上に示したようにかなり大きな割合の上皮細胞を含む組織のような、インプラント又は装置と接触する組織の表面に適用してもよい。更に、組成物は、インプラント及び/又は装置、並びにそれらと接触する組織の両者に適用してもよい。
本発明によって開示されるあらゆる他の医薬組成物も、また、医療用インプラント又は装置の表面に適用するために使用できることは強調されるべきである。
本発明による組成物は、既に本明細書に開示されていること以外に、従来の製薬基準に従って製剤化することができる;例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”(「レミントンの薬剤科学」)及び “Encyclopedia of Pharmaceutical Technology”(「調剤技術百科辞典」), Swarbrick, J. & J. C. Boylan著, Marcel Dekker, Inc., New York, 1988を参照されたい。
薬学的に許容される賦形剤は、組成物が投与される個体に対して実質的に害のない物質である。賦形剤は、本発明による医薬組成物に含まれる。そのような賦形剤は、通常は、国立の保健機関が定めた要件を満たす。例えば、英国薬局方、アメリカ合衆国薬局方及び欧州薬局方のような公式の薬局方は、薬学的に許容される賦形剤について基準を定めている。
本発明に従って使用される組成物中の薬学的に許容される賦形剤及びその最適濃度の選択は、一般に予測することは不可能であり、最終組成物の実験的評価に基づいて決定されなければならない。
しかしながら、本目的のための好適な賦形剤は、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片を含む組成物のインプラント又は装置の表面への適用を促進する賦形剤、又は適用に際して、表面への組成物の接着を促進する賦形剤、又は組成物の急速な溶解を阻止する又は組成物から本発明による画分及び/又はポリペプチド断片の放出を防護するような賦形剤から選択することができる。医薬製剤の当業者は、例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”(「レミントンの薬剤科学」), 第18版, Mack Publishing Company, Easton, 1990に指針を見出すことができる。
薬学的に許容される賦形剤が医薬組成物での使用に好適であるかどうかは、一般に、具体的な創傷の種類にどの種類の投与形態を選択するか、及び/又は何か他の疾患及び/又は身体への損傷がないかに依存する。
薬学的に許容される賦形剤としては、溶媒、緩衝剤、保存剤、湿潤剤、 キレート剤 、抗酸化剤、安定化剤、乳化剤、懸濁化剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、浸透促進剤、香料、パウダー及び皮膚保護剤が挙げられる。しかし、本発明がそれらに限定されないことは強調されるべきである。
本発明による組成物に使用されるそのような溶媒の例は、水、アルコール、植物油又は魚油(例えば、アーモンドオイル、ヒマシ油、ココア脂、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、あまに油、オリーブオイル、ヤシ油、落花生油、ケシ油、菜種油、胡麻油、大豆油、ヒマワリ油及び茶種子油などの食用油)、鉱油、脂肪油、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール 、液体ポリアルキルシロキサン、又は後に歯の充填材の適用を容易にするpH約5.5〜6.0の弱酸のような他の親水性若しくはエーテル性溶媒、並びにそれらの混合物である。
緩衝剤の例は、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、水素リン酸、重炭酸、リン酸、ジエチルアミンなどである。
好適な保存剤の例は、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバマート、EDTA、塩化ベンザルコニウム及びベンジルアルコールなどのパラベン類、又は保存剤の混合物である。
湿潤剤の例は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、乳酸、尿素、及びそれらの混合物である。
キレート剤の例は、EDTAナトリウム及びクエン酸である。
抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、システイン、及びそれらの混合物である。
乳化剤の例は、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴムなどの天然ゴム;例えば、大豆レシチン、ソルビタンモノオレエート誘導体などの天然のホスファチド;ウール脂肪;ウールアルコール;ソルビタンエステル;モノグリセリド;及びそれらの混合物である。
懸濁化剤の例は、例えば、セルロース及びセルロース誘導体の、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロースなど、カラギーナン、アカシアゴム、アラビアゴム、トラガカント、及びそれらの混合物などである。
ゲル基剤、粘性を増加させる薬剤又は傷から滲出液を吸い取ることができる成分の例は次の通りである:流動パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイド状のシリカ又はアルミニウム、亜鉛石鹸、グリセロール、プロピレングリコール、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸マグネシウム・アルミニウム、Carbopol(登録商標)、親水性のポリマーの、例えば、デンプン、又は、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース並びに他のセルロース誘導体などのセルロース誘導体、水膨潤性ハイドロコロイド、カラギーナン、ヒアルロン酸(例えば、場合により食塩を含むヒアルロン酸ゲル)、コラーゲン、ゼラチン、ペクチン、プロピレングリコール、キトサン及びアルギン酸プロピレングリコールを含むアルギン酸。
本発明では、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片は、それが酵素作用及び/又は拡散による重合体マトリックスの分解によって放出されるように、重合体マトリックスに組み入れることができる。前述の重合体マトリックスは、細胞内殖に好適であるか細胞閉鎖性であるかの何れかである。本発明に含まれるのは、従って、特に、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片の低い製剤内総濃度の医薬品及び/又は化粧品製剤であって、前述の活性エナメル質物質の空間的及び/又は選択的な放出の制御が、適切な細胞活性の時に、大きな割合の活性エナメル質物質の放出を可能にする製剤である。
従って、本発明の1つの実施態様は、細胞の成長、内殖及び/又は移走、又は細胞閉鎖の何れかに好適な重合体マトリックスを含む、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片を投与するための医薬及び/又は治療用製剤に関する;ここで、前述のマトリックスは、強い求核剤と、共役した不飽和結合又は共役した不飽和基との求核反応によって形成される。
好ましくは、共役した不飽和基又は共役した不飽和結合は、アクリラート、ビニルスルホン、メタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルスルホン、2−又は4−ビニルピリジニウム、マレイミド、又はキノンである。
軟膏基剤の例は、例えば、ミツロウ、パラフィン、セタノール、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(スパン)、ポリエチレングリコール 及び脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキサイドの縮合生成物の、例えば ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween)である。
疎水性又は水乳化性の軟膏基剤の例は、パラフィン、植物油、動物性脂肪、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、及び液体ポリアルキルシロキサンである。
親水性の軟膏基剤の例は、固体のマクロゴール(ポリエチレングリコール)である。
軟膏基剤の他の例は、トリエタノールアミン石鹸、硫酸化脂肪アルコール及びポリソルベートである。
粉末成分の例は以下の通りである:アルギン酸、コラーゲン、乳糖、傷に適用された時ゲルを形成する(液体/傷滲出液を吸収する)ことができる粉末。通常は、大きな開放創に適用しようとする粉剤は無菌でなければならないし、存在する粒子は微粉化されなければならない。
他の賦形剤の例は、カルメロース、ナトリウムカルメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、ゼラチン、カルボマーのようなポリマー;ビタミンE、グリセリルステアラート、セタニルグルコシド、コラーゲン、カラゲナン、ヒアルロン酸及びアルギン酸のような乳化剤;並びにキトサンである。
希釈剤及び崩壊剤の例は、乳糖、蔗糖、エムデックス(emdex)、リン酸カルシウム基質のようなリン酸カルシウム材料、リン酸カルシウム担体(ヒドロキシアパタイト、二相性リン酸カルシウム、及びリン酸三カルシウムを含む)、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、デンプン及び微結晶セルロースであるが、これらに限定されない。
結合剤の例は、蔗糖、 ソルビトール 、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールであるが、これらに限定されない。
局所適用に関連して重要であることが実証されている組成物は、揺変性の特性を有するもの、即ち、組成物の粘度が、例えば、振盪又は撹拌によって影響を受け、その結果投与する時の組成物の粘度を低下させることができ、そして組成物が適用されてしまった時に粘度が上昇し、その結果組成物が適用部位に留まるものである。
しかし、薬学的に許容される賦形剤が異なる剤型又は組成物に使用される可能性がある場合、特定の薬学的に許容される賦形剤又は特定の機能の賦形剤の適用が特定の剤型に限定されないことは理解される。
練り歯磨き若しくはうがい薬製剤、又は歯若しくは歯根へ適用するための他の製剤では、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片は、わずかに酸性pHの媒体中に溶液状態で、又は中性pHの媒体中に分散液としての何れかで存在すればよい。本発明による画分及び/又はポリペプチド断片が、歯の表面に保護層を形成し、それによって齲蝕発生細菌の付着を防止することが期待される。そのような歯科治療製剤では、画分及び/又はポリペプチド断片は、虫歯予防効果を有する1つ又はそれ以上の他の化合物、とりわけ、フッ素又はバナジウム若しくはモリブデンのような別の微量元素と一緒に製剤化してもよい。中性pHでは、その微量元素は活性エナメル質物質と(例えば、イオン結合で)結合しており若しくはその中に包埋されており、そこから、例えば、齲蝕発生細菌によって産生される酸によるpHが約5.5又はそれ以下で画分及び/又はポリペプチド断片が溶解するとき、それが放出されて齲蝕防止効果を発揮すると考えられる。
本発明による使用のための医薬組成物には、本発明による画分及び/又はポリペプチド断片は、一般に約0.01〜約99.9質量%の範囲の濃度で存在する。適用される組成物の量は、通常は、約0.01mg/mm2〜約3mg/mm2のような、約0.005mg/mm2〜約5mg/mm2に相当する、歯髄の面積cm2当たりの総タンパク質量になる。
本発明による画分及び/又はポリペプチド断片が、液体組成物の形態で投与されるような場合、組成物中の画分及び/又は断片の濃度は、約0.01〜約50mg/mLに相当する範囲、例えば、約0.1〜約30mg/mLの範囲にある。高濃度はいくつかの望ましい場合であり、少なくとも約100mg/mLの濃度として得ることもできる。
ヒトの歯髄の欠陥部は、典型的には約200μLに相当する約5〜10×2〜4×5〜10mmのサイズを有し、そして通常は、1つの歯当たり約0.2〜0.3mLのような最大で約0.5〜1mLのサイズには、例えば、5〜30mg/mLが適用されるように、約1〜40mgの総タンパク質/mLの濃度を有する組成物が適用される。0.2〜0.3mg/mLは25〜100mm2当たり約6mgのタンパク質に、又はもし歯根表面のみで計算すれば、約0.1mg/mm2に相当する。通常は、患部の表面を十分にカバーするために過剰の量が適用される。多層でさえ、前述の量のごく小量しか必要としない。
培養骨芽細胞(一人のドナー、NHO−3)のRT−PCRのグラフである。A1は、以下の遺伝子産物の発現をA2よりも大幅に、7日後に最も顕著に刺激した:オステオカルシン及びレプチン。値は、α−チューブリンに対する各タンパク質の相対濃度を表わし、二つ組みの(duplicate)実験からの1つの結果の平均として示される。 画分A1及びA2で刺激した2つの骨肉腫細胞培養(SaOS−2及びHOS)のRT−PCRのグラフである。ALPとOCの発現は、特にA1による処理により増加した。Cbfa−1及びCD44の発現に対してA1の作用は認められなかったのに対し、A2で処理した後のCD44の発現は僅かに減少した。n=3、値はα−チューブリンに対する各タンパク質の相対濃度を表わし、2つの細胞株の結果からの混合平均±SDとして示される。 EMD対画分CのSDS・PAGE及びウエスタンブロット(トリシンシステム)の図である。ウサギSK3184で抗原コードEPO42543(ペプチド=SYGYEPMGWLH、TRAPのC末端に対応)に対して産生された抗体によるウエスタンブロット。 EMD及び画分Cの、尿素存在下でのネーティブ荷電密度PAGEを示す図である。 オステオカルシンレベルを示すグラフである。上のパネル:EMD及びrhAmelは、二相性のオステオカルシン産生増加を引き起こした。下のパネル:同様に、画分A及び画分Cは二相性の作用を有した。EMD、rhAmel及び画分Aについては、最大増加は1μg/mLにおいてであり、画分Cについては、最大増加は10μg/mLにおいてであった。データは2つの実験のうちの1つからで、1つの変数当たりN=6の独立した培養についての平均±標準誤差(SEM)である。両者の実験は、同様の結果を示した。*p<0.05、処理対コントロール。 DNA含量を示すグラフである。異なる濃度のEMD、組み換えアメロゲニン(rhAmel)及び画分Cの、MG63細胞内DNAレベルに及ぼす影響。各実験はそれぞれ2回行い、それぞれのサンプルは6つのサンプルの平均及びSEMである。 MG63細胞中のアルカリホスファターゼ(ALP)の比活性に対する異なる濃度のEMD、組み換えアメロゲニン(rhAmel)及び画分Cの効果を示すグラフである。各実験は2回行い、それぞれのサンプルは、6つのサンプルの平均及びSEMである。有意性*:Vrs.未処理(コントロール)、Vrs.1μg/μ p<0.05。 MG63細胞中のオステオカルシンレベルに対する異なる濃度のEMD、組み換えアメロゲニン(rhAmel)及び画分Cの効果を示すグラフである。各実験は2回行い、それぞれのサンプルは、6つのサンプルの平均及びSEMである。有意性*:Vrs.未処理(コントロール)、Vrs.1μg/μ p<0.05。 MG63細胞中のOPGレベルに対する異なる濃度のEMD、組み換えアメロゲニン(rhAmel)及び画分Cの効果を示すグラフである。各実験は2回行い、それぞれのサンプルは、6つのサンプルの平均及びSEMである。有意性*:Vrs.未処理(コントロール)、Vrs.1μg/μ p<0.05。 MG63細胞中のVEGFレベルに対する異なる濃度のEMD、組み換えアメロゲニン(rhAmel)及び画分Cの効果を示すグラフである。各実験は2回行い、それぞれのサンプルは、6つのサンプルの平均及びSEMである。有意性*:Vrs.未処理(コントロール)、Vrs.1μg/μ p<0.05。 OCのTPに対する比率を、コントロールの%で示すグラフである。 活性成分C1RPの質量分析の図である。 活性成分C1RPの質量分析の図である。 活性成分C2RPの質量分析の図である。 EMDの分画を示す図である。hPDL細胞、Pulp細胞、hMSC及びNHO細胞でテストした画分。 アメロゲニンのプロセッシングを示す図である。 EMDの細胞取り込み実験を示す図である。 FITC標識EMDと共に16時間インキュベーションした後のPDL細胞。 蛍光標識した20kDアメロゲニンと6時間インキュベーションした後のPDL繊維芽細胞。 20kDの全長アメロゲニンを特異的に取り込み、そしてそれをTRAPに消化するPDL繊維芽細胞。細胞の取り込みは、主に食作用による。5kD断片は核に位置しているように見える。PDL細胞は、如何なる5kDa分子も培地から吸収しない。 DNA合成中のブロモデオキシウリジン(BrdU)組み込み測定に基づいた増殖能力を示すグラフである。24時間の処理後にMG63細胞をBrdUで標識した。 WST−1アッセイによって検出した増殖性と生存率を示す。MG63細胞の生存率は、処置の7日後に測定した。 処理後1日のMG63単層培養のアルカリホスファターゼ活性を示す。ALP活性は、μMpi/分/mgタンパク質で示す。 4及び8時間後のPDL細胞の接着を示すグラフである。 表3であり、EMD(50μg/mL)で、PTH184(10−8M)と対比して刺激した24時間後の初代骨芽細胞のAffymetrix分析の、遺伝子発現変化がリアルタイムRT−PCRにより確認された。2つの異なる薬剤の作用の間に著しい類似性がある。数値は、1人のドナーの細胞培養由来で、条件当たり2つの分析からの平均である。 図17−1の続きである。 図17−2の続きである。 表5であり、骨芽細胞分化マーカーに焦点を当てたリアルタイムRT−PCRでアッセイした、ヒト骨芽細胞及び間葉幹細胞(Cfu−f)による遺伝子発現の変化の概観である。Cfu−fについての値は、1ドナー細胞だけ(Cfu−f)からの結果を表わす。統計解析は、SIGMAプロット・ソフトウェア、スピアマン順位検定で行なった。 表6であり、骨芽細胞−破骨細胞コミュニケーション因子に焦点を当てたELISAでアッセイした、ヒト骨芽細胞及び間葉幹細胞(Cfu−f)によるタンパク質発現の変化の概観である。数値は、少なくとも2人のドナーの二つ組の解析からの平均値を表わす。
実験の部
方法
EMDからの画分の分離
完全なEMDとは異なる画分の分離及び精製は、連続的なHPLCカラム処理によって行った:
1)アセトニトリル(ACN)/0.9%のNaCl中のサイズ排除HPLC(TKSSW 2000-600x30);
2)30%ACN/0.9%NaClから60%ACN/0.9%NaClへの直線的勾配における逆相HPLC(YMC-C8、250x20mm)。
この工程の後、逆相HPLCカラム(工程1のような)で、成分A(2つの明確な成分A1及びA2を含み、その両者とも>20kDであり、抗アメロゲニン抗体(EMD、BIORA AB、SEに対する従来の抗体)によって認識される)、B、B1、B2、B3、画分C、C3、C4、D、D2は、明確なピークを示しており、分画することにより分離することができた。
2)a 画分Cから4つの明確なサブ画分(Cp1、Cp2、Cp3、Cp4)を分離するために、逆相HPLCカラムを使用した(ACE-C4を直線的ACN−酸性勾配で)(Advanced Chromatography Technology, USA)。
3)最後の工程は、HI-Trap脱塩カラム(HR 16/20)(Ammersham Biosciences, SE)を使用して、サンプルからACNを除くことを目的とした。画分の濃度を決定するために、サイズ排除HPLCカラム(工程1におけると同様)をPBSで使用した。
実験に使用した細胞
異なるドナーの大腿骨及び脛骨の両者由来の、市販の初代ヒト骨芽細胞(NHOst cell system; Cambrex, Walkersville, MD, USA)は、骨芽細胞増殖培地(OGM、cambrex)で増殖させた。培養した骨芽細胞は、石灰化を促進するために環境培地(ambient medium)中でヒドロコルチゾン・ヘミスクシナート(200nM)及びヒドロコルチゾン・グリセロホスファート(10mM)(Cambrex)に接触させた。細胞の表現型は、 アルカリホスファターゼ(ALP)、1型コラーゲン、オステオカルシン及びCD44(後期分化マーカー)の発現レベル並びに石灰化結節の形成に基づいて特徴づけした。
ヒト歯周靭帯細胞(PDL、3人のドナーからのプール、Biowhittaker, 6代継代)は、他に記載されるように処理した(Gestrelius, S., Andersson, C., Lidstrom, D., Hammarstrom, L. & Somerman, M., “In vitro studies on periodontal ligament cells and enamel matrix derivative”(「歯根膜細胞及びエナメル基質誘導体に関するインビトロ研究」). J Clin Periodontol 24, 685-92 (1997))。
骨肉腫細胞株SaOS−2(ATTC HTB-85)は、American Type Culture Collection (Rockville, MD)から入手した。SaOS−2細胞は、10%のFCS及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン溶液を補添したマッコイ5A培地(PAA)で増殖させた。
マウス骨芽細胞株MC3T3−E1は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ No ACC 210; Braunschweig, Germany)から入手し、20mMのHEPES、10%のFCS(PAA)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン溶液を含むa−MEM(PAA, Linz, Austria)中で維持した。
単クローン性骨肉腫細胞株OHSは、Bruland博士(The Norwegian Radium Hospital, Oslo, Norway)から贈与された。細胞は、10%のFCS(PAA)、50IU/mLのペ
ニシリン及び50g/mLのストレプトマイシン含有のRPMI1640(PAA)中で培養した。
コロニー形成単位の線維芽細胞(Cfu−f)、フローアナリシスサイトメトリー(FACS)によって分離され特徴づけられたヒト間葉幹細胞は、2人の自発的ドナーの骨髄(Radium hospital, Oslo)から入手し、骨芽細胞(上述)と同じように処理した。
SDS・PAGE及びウエスタンブロット法
16%のSDSトリシンゲルは、1レーン当たり0.5μgの画分C及び5μgのEMDをローディングした。ウサギSK3184で抗原コードEPO42543(ペプチド=SYGYEPMGWLH、TRAPのC末端に相当)に対して産生された抗体によるウエスタンブロット;1次抗体は1:500に希釈し、2次抗体(抗ウサギビオチン複合体、SIGMA)は1:1,000に希釈し、アビジンアルカリホスファターゼ複合体(SIGMA)は1:20,000に希釈した。
従来のRT−PCR
他に記載されるように、従来のエンドポイント技術を使用した(Reseland, J. E. et al., “Leptin is expressed in and secreted from primary cultures of human osteoblasts and promotes bone mineralization”(「レプチンは初代培養のヒト骨芽細胞で発現され分泌されて、骨の石灰化を促進する」). J Bone Miner Res 16, 1426-33 (2001))。
リアルタイムRT−PCR
細胞は、5μg/mLのペプチド又は画分C(それぞれ50μg/mLのEMD)で処理した後24時間、4日及び7日間培養しメッセンジャーRNAを磁気ビーズ(Dynal AS. Oslo, Norway)を使用して抽出し、cDNAは細胞溶解物から製造業者の指示に従って合成した(iScript One-Step RT-PCR with SYBR Green, BIORAD)。リアルタイムPCRは、製造業者のプロトコール(iCycler、BIORAD)に従って行っている。各反応は二つ組で実行し、結果は、少なくとも2人の独立した細胞ドナーの平均値を表わす。プライマー対は、表2に示した通りである:
Figure 2011525913
Affymetrix遺伝子アレイ
初代骨芽細胞は、T75培養フラスコで培養し、処理後24時間、72時間又は7日間培養し、それぞれ7mLのトリゾル溶液(Gibco、USA)に溶解した。トリゾル溶解物は製造業者のプロトコールに従ってRNA分離及び更なるプロセッシングまで−70℃に保った(Dep. of Medical Biochemistry, Oslo University, Norway)。2本鎖cDNA及びビオチン標識cRNAプローブは、それぞれ5μgの全RNAからSuperscript Choice system(Invitrogen)及びEnzo Bioarrayを用いて作成した。手順は、Affymetrixの推奨に従った。このcRNAを、22,000以上の転写物を表わすcDNAオリゴヌクレオチドを含むHU−133Aチップ(Affymetrix)にハイブリダイズさせ、続いてGeneChips Fluidics Station 450(Affymetrix)上で、製造業者の指示に従って洗浄及び染色した。チップは、Affymetrix GeneArray(登録商標)2500スキャナー上で走査した。RNA及びプローブの質は、α−アクチン及びGAPDHについて、5'と3'mRNAの比率を測定するAffymetrixに基づくテストによってコントロールし、非常に満足できることが分かった。データセットは、Affymetrix Mas 5.0ソフトウェアで処理し、それぞれの転写物の発現のレベルを表わす信号値を生じさせた。各手順は平行して2度行い、生じた値は、少なくとも2人のドナー細胞の二重の実験の平均を示す。
これまで行なわれたAffymetrix実験:
1.レプチン−PTH−EMD
2.レプチン−PTH−EMD−画分C
3.ラットの組み換えアメリン−EMD−画分C
動物実験
1)ミニブタ実験:PEGゲル中の画分C
目的
下顎骨形成に対する画分Cの有効性を調査する研究。
3頭のミニブタ(2頭のブタは12〜18ヵ月齢、1頭の成体ブタは>18ヵ月齢)。
手術:下顎Q3及びQ4のフラップ、直径10mmの掘削腔(drilled cavities)。
処置:
・5個の欠陥:画分Cを浸み込ませたコラーゲンスポンジ で処置;
・3個の欠陥:Cekolバッファー中PEG−アクリラートと混合したPEG−チオール中の画分Cで処置;
・ネガティブコントロールとしての2個の欠陥:PBSを浸み込ませたコラーゲンスポンジで処置;
・1個の欠陥:偽手術処置
4%のパラホルムアルデヒド(その場調製)中で24時間固定。
脱灰化:0.5MのEDTA、pH 8.0(その場調製)中で8〜12週間。
1週間に2回バッファー交換。
組織学:約12週後にその場ハイブリダイゼーション及び組織学のための切片化及び染色。
3)AMOのラット頭蓋冠モデル
日付及び方法
12/2005で画分Cと組み合わせたPEG。下顎の直径2.3mmの欠陥、100μg画分C/mLゲル、4頭の動物、動物1頭当たり2つの欠陥(それぞれの側に1個の欠陥)、回復中の2つの時点:1及び2週、組織学による評価。
1週間のグループ:
1)PEG/画分C対PEG/−
2)PEG/画分C対コラーゲン/画分C
2週間のグループ:
3)PEG/画分C対PEG/−
4)PEG/画分C対コラーゲン/−
接着、増殖及び選択したタンパク質アッセイ
細胞接着
細胞は、24ウェルプレートの1mLの培地(MDM培地+10%FCS)に、20,000細胞/ウェルの密度で播種した。各実験群についてn=3であった。コントロールとして、ペプチドの添加なしで増殖させた細胞を使用した。個々のペプチドは、細胞播種の直後に最終濃度10μg/mL培地に添加した。それぞれ4、8及び24時間後に、培地を吸引し、ウェルを2×1mLのPBSですすぎ、細胞の層を0.2mLのトリプシン/EDTA溶液でトリプシン消化し、接着した細胞数をCellCounter, Chemometec A/Sを使用して計測した。
細胞増殖
細胞は、5,000細胞/ウェル/mL培地の密度で48ウェルプレートに播種した。各実験群についてn=3であった。コントロールとして、ペプチドの添加なしで増殖させた細胞を用いた。個々のペプチドは、細胞播種の直後に最終濃度10μg/mL培地で添加した。(4)又は5日後(さもないと増殖期が過ぎてしまうので、ウェルをチェックし、コルフルエントでないことを確認した)、細胞を剥がし、細胞接着アッセイに関して計数した。
AP活性、タンパク質含量及びTGF−β1のアッセイ
細胞は、5,000細胞/ウェル/mL培地の密度で48ウェルプレートに播種した。各実験群についてn=3であった。コントロールとして、培地、培地を含んだ細胞、及び細胞のない培地中のペプチド(バックグラウンドの場合)を用いた。ペプチドは、細胞播種の直後に最終濃度10μg/mL培地で添加した。5日後(細胞増殖研究に関して)に、各ウェルの培地をエッペンドルフチューブに移し、1,000rpmで5分間遠心した。上清は、アッセイが行なわれるまで−20℃に保持した。細胞の層は、2×1mLのPBSで洗浄した。
異なる細胞層に0.5mLのミリQ水(milliQwater)を添加した後、曲げたピペットチップを使って細胞をかき取った。細胞懸濁液をエッペンドルフチューブ に移し、超音波水浴を使用して10分間溶解し、そして1,000rpmで5分間遠心分離した。細胞溶解物は、アッセイが行われるまで−20℃に保持した。培地(最初の細胞播種時に含まれたペプチドを含む)の交換は、3日後に行った。
ELISA免疫アッセイ
培養上清中のタンパク質を測定するために、下記のキットアッセイを使用した:
結果/考察
〔実施例1〕
EMDの画分を使った細胞実験
a)A1/A2(EMDの20kDa画分)
図1:培養骨芽細胞(一人のドナー、NHO−3)のRT−PCR。A1は、以下の遺伝子産物の発現をA2よりも大幅に、7日後に最も顕著に刺激する:オステオカルシン及びレプチン。値は、α−チューブリンに対する各タンパク質の相対濃度を表わし、二つ組の実験からの1つの結果の平均として示される。
図2:画分A1及びA2で刺激した2つの骨肉腫細胞培養(SaOS−2及びHOS)のRT−PCR。ALPとOCの発現は、特にA1による処理により増加した。Cbfa−1及びCD44の発現に対してA1の作用は認められなかったのに対し、A2で処理した後のCD44の発現は僅かに減少した。n=3、値はα−チューブリンに対する各タンパク質の相対濃度を表わし、2つの細胞株の結果からの混合平均±SDとして示した。
A1/A2遺伝子の発現の要約
A1及びA2は、培養骨肉腫細胞に対して異なる作用を有した。A1は、ALP及びオステオカルシンの上方制御によって骨形成を刺激した。A2は、ELISAによる骨細胞マーカータンパク質分析で、CD44の発現を減少させた。ELISAで、IL−6分泌の増加がA2よりもA1でより強力であることが観察された(データは示していない)。IL−6は他の因子の作用に強く影響を与えることができる強力な炎症性因子であるので、IL−6の増加は注意深く考慮に入れなければならない。
b)画分C(EMDの5kDa画分)
I)画分CのSDS・PAGE及びウエスタンブロット
EMD由来の画分Cをさらに特徴づけるために、SDS・PAGEとその後のウエスタンブロットを行った。画分Cは、主として約5kDaのバンドとして示した(図3)。
II)Affymetrix遺伝子アレイ
初代骨芽細胞に及ぼすPTHペプチド及びEMDの作用を比較するために、2人のドナーの細胞を同調的に処理し、発現パターンはAffymetrix遺伝子チップ分析によって解析した。興味深いことに、EMD及びPTHの両者で、刺激後24時間に254の遺伝子の発現が、未処理のコントロールから2倍以上同じ方向に変化した。さらに、EMD及びPTHによって、2倍もの量で反対に制御される遺伝子はなかった。統計解析により、PTHとEMDの刺激の後の発現変化の間に正の相関があることを確認した(相関係数=0.805;p<0.001)。これらの遺伝子発現変化のサブセットは、Affymetrix分析で得られた結果を確認するリアルタイムRT−PCRによって確かめられた(表3/図17を参照)。
EMDと対比した画分Cの作用の比較
EMDと対比して画分Cの作用を比較するために、1人のドナー由来の初代骨芽細胞(NHO−3)を5kDa画分の画分Cで刺激し、結果をEMDで処理した細胞と比較した。Log2(刺激/コントロール)の値を、≧|0.5|の場合だけ≠0と見なした。
EMD及び画分Cの両者によって上方制御される遺伝子
・血小板由来増殖因子受容体、アルファポリペプチド(PDGFRA):細胞増殖///血小板由来増殖因子、α受容体活性///ATP結合///トランスフェラーゼ活性;細胞膜に不可欠。
EMD及び画分Cの両者によって下方制御される遺伝子
・フィブロネクチン1(FN1):細胞運動///細胞接着///シグナル伝達;細胞接着分子活性細胞外マトリックス///細胞外スペース///可溶性画分///炎症反応経路。
画分Cによって下方制御されるが、EMDによって制御されない遺伝子
・WNT1誘導性のシグナル伝達経路タンパク質1:細胞増殖の制御///細胞接着///シグナル伝達///細胞間シグナリング///細胞増殖及び/又は維持。
・インテグリン、アルファV(ビトロネクチン受容体、アルファポリペプチド、抗原CD51):細胞−マトリックス間接着///インテグリン仲介シグナル伝達経路。
EMDによって上方制御されるが、画分Cによって制御されない遺伝子
・MMP−14(マトリックスメタロプロテアーゼ14)(膜内挿入された):タンパク質分解及びペプチド分解。
・アクチン、アルファ2、平滑筋、大動脈(ACTA2):筋肉発達;運動活動///細胞骨格の構造的成分///筋肉の構造的成分;横紋筋細フィラメント///アクチンフィラメント。
・アンジオポエチン1:血管新生///シグナル伝達。
・アグリカン1(コンドロイチン硫酸プロテオグリカン1):細胞接着///異好性細胞接着。
・ビンキュリン:細胞接着。
・象牙質シアロホスホタンパク質(DSPP):細胞外マトリックス。
・ラミンA/C。
・トロンボスポンジン1:細胞運動///細胞接着///発達///神経発生///血液凝固。
EMDによって上方制御されるが、画分Cによって下方制御される遺伝子
・ホリスタチン(FST):発達///卵胞刺激ホルモン分泌の負の制御、アクチビン阻害剤の活性、細胞外TGFβシグナル伝達経路。
・ウィングレスタイプMMTV組み込み部位ファミリー、メンバー5A(WNT5A):シグナル伝達///フリッズルド−2シグナル伝達経路///細胞間シグナリング///発達///胚発生及び形態形成///可溶性画分;Wnt−シグナリング。
EMDによって下方制御されるが、画分Cによって制御されない遺伝子
・CD97抗原:細胞運動///炎症反応///免疫応答///細胞接着///細胞表面受容体結合シグナル伝達///Gタンパク質共役受容体タンパク質シグナリング経路///細胞間シグナリング。
・トランスフォーミング増殖因子、β受容体II(70/80kDa)(TGFBR2):タンパク質アミノ酸リン酸化///膜貫通受容体タンパク質セリン/トレオニンキナーゼシグナル伝達経路///タイプII受容体に結合するTGFβリガンド///細胞増殖の正の制御。
・FGF2(繊維芽細胞増殖因子2(塩基性)):細胞周期の制御///
MAPKの活性化///血管新生///走化性///シグナル伝達///RASタンパク質シグナル伝達///細胞間シグナリング///組織発生及び器官形成///神経発生///筋肉発達///細胞増殖。
・CD14抗原:食作用///アポトーシス///炎症反応///免疫応答///細胞表面受容体結合シグナル伝達。
・レプチン受容体:エネルギー保存代謝///細胞表面受容体結合シグナル伝達///発達。
・DEAD(Asp−Glu−Ala−Asp)ボックスポリペプチド24。
c)従来の及びリアルタイムRT−PCR並びにヒト骨芽細胞によるタンパク質の発現
表4a):EMDから分離された単一の画分で処理した、ヒト脛骨及び大腿骨骨芽細胞の従来の及びリアルタイムRT−PCR分析。値は、2人のドナーの二つ組の分析からの平均値を表わす。星印の付いた値は、リアルタイムRT−PCRの結果を示し、印のない値は従来のRT−PCRによって生成されている。4b):EMDから単離された単一の画分で刺激した後の、培養培地中のタンパク質発現。値は、2人のドナーの二つ組の分析からの平均値を表わす。
Figure 2011525913
d)ヒト骨芽細胞(NHO)又は間葉幹細胞(Cfu−f)によって分泌される因子のELISA分析
さらに、画分C及びEMDで刺激されたCfu−f細胞を用いた予備実験は、両者の薬剤が炎症性サイトカインIL−1β、TNF−α及びIL−8の発現レベルを減少させる傾向を示した(ELISAによるアッセイ、データは示されていない)。
概論
EMDとは異なる画分のうちのいくつかは、生体外で種々の細胞に対して作用を発揮する。画分C及びB3に焦点を当てるのは、骨形成に関係する遺伝子及びタンパク質の発現で最も適切な修飾を示す実験に基づく。最初の動物実験の結果は、担体マトリックスとしてのコラーゲンと組合せの画分Cによる。コラーゲンの使用は、生体内に適用した場合に炎症を引き起こす可能性があるため異論のあるところだが、一方では、それは現在この種の適用のための特徴が最も明らかにされた担体である。
結論
・Affymetrix遺伝子アレイからの最初の結果(n=1)は、一般にEMDが骨芽細胞に対して画分Cよりも制御力があるように見えることを示した。このことは、可溶性RANK及びIL−6について初代骨芽細胞のELISA分析によって確認されたが、両者ともEMDに曝露後に上方制御されたのに対して、画分Cはこれらの細胞にそのような変化を誘導しなかった(表5)。
・しかしながら、リアルタイムRT−PCRは、初代ヒト骨芽細胞中のcbfa−1及び間葉幹細胞中のオステオカルシンの骨特異的上方制御を示したのに対し、EMDはこの作用を示さなかった(表4)。これは、それほど広範ではないが、EMDと比較して画分Cのむしろより大きな骨形成作用を示す。さらに、画分Cの炎症誘発の可能性は、EMDのそれと比較して区別されるように見える。
〔実施例2〕
歯周靭帯(PDL)細胞に対するEMDの画分及び合成ペプチドの作用を評価するための生体外の研究
EMD由来の画分(配列番号1、2,3又は4)に基づいた合成ペプチドの、細胞増殖、APの活性、並びにオステオカルシン(OC)及びTGF−βの発現に対する作用の検討。
材料
・3人のドナー からプールした、PDL(歯周靭帯)細胞。
・合成したペプチドは、1mg/mL、H2O中で保存。細胞に添加する前に、ペプチド溶液は0.22μmで濾過滅菌し、濃度はA280nmのUV吸収によって測定した。種々の濃度を、保存溶液を無菌の0.1%酢酸で希釈することにより調製した。
・凍結乾燥されたEMDは、無菌の0.1%酢酸に溶解した。
方法
ペプチド溶液は、1/5/20/100μg/mLの濃度で細胞に添加された。EMD(ポジティブコントロール)は最終濃度100μg/mLで細胞に適用された。ネガティブコントロールとして、(EMDへの適用に)対応する体積の0.1%酢酸で細胞を処理した。
細胞は、5,000細胞/ウェル/mL培地の密度で24ウェルプレートに播種し、パラレルプレート中刺激因子の存在下、1、2又は5日間培養した。5日間刺激の群は、2日後に培地を(刺激因子を含めて)交換した。
AP活性(早期反応)は、標準のプロトコールに従って細胞溶解物で測定した。培養上清は、集め、TGFβ(早期反応)及びオステオカルシン(後期反応)の濃度を測定するまで−20℃で凍結した。
増殖速度は、MTT細胞増殖アッセイによって評価した。
各実験群は、n=3であった。
〔実施例3〕
エナメル基質誘導体の5kDa成分は骨形成特性を有する
高速液体クロマトグラフィー によるEMDの分析は、3つの主成分の存在を明らかにした:(1)20kDaタンパク質[画分A]、(2)12及び9kDaの2つのタンパク質、並びに(3)5kDaペプチド[画分C]。これらの成分のうちの2つ(画分A及びC)は精製され特性が明らかにされている。画分Aタンパク質は全長アメロゲニンタンパク質に相当し、画分Cはこのタンパク質のN末端部(3)である。本研究の目的は、骨芽細胞に対するこれらの2つのEMD成分の作用を検討することである。
方法:
MG63ヒト骨芽細胞様細胞及び正常ヒト骨芽細胞の集密培養は、EMD、組み換えヒトアメロゲニン(rhAmel)、画分A(0.01〜100μg/mL)又は画分C(0.1〜250μg/mL)の在り又は無しで、24時間処理した。DNA含量及びアルカリホスファターゼ比活性(ALP)に対する作用並びにオステオカルシン(OCN)、オステオプロテゲリン(OPG)、血管内皮増殖因子 (VEGF−A)及び線維芽細胞増殖因子−2(FGF−2)の馴化培地中のレベルに対する作用を測定した。
結果:
画分Cは、MG63細胞のDNA含量を用量依存的に減少させ、アルカリホスファターゼ及びオステオカルシンのような骨芽細胞分化マーカーを10mg/mLで最大に増加させた。ペプチドは、また、OPG、VEGF及びFGFのような局所因子を用量依存的に増加させた。画分Cの作用は、画分A、EMD及びrhAmelの作用に類似していた。さらに、正常ヒト骨芽細胞はMG63細胞と似た様式で反応した。図4を参照されたい。
結論:
これらの結果は、エムドゲイン(Emdogain)の画分C成分が骨形成活性を有すること、及びアメロゲニンの骨形成作用はそのタンパク質のN末端領域による可能性があることを示した。
〔実施例4〕
エナメル基質誘導体の5kDa成分は骨芽細胞の分化を誘導する
EMD(エナメル基質誘導体)はアメロゲニンで富化されたタンパク質複合体で、これはStraumann Emdogain(登録商標)の生理活性部分に対応する。最近の公表された高速液体クロマトグラフィーによるEMDの分析は、その3つの主成分の存在を明らかにした:(1)20kDa、(2)[12+9]kDa、(3)5kDa。これらの成分のうちの2つ(20kDa、5kDa)が精製されている:最初のもの(20kDa)は全長アメロゲニンタンパク質に相当し、第2のもの(5kDa)はこのタンパク質のN末端部に相当することが疑われる。これらの2つの成分は、大腸菌中で過剰発現させた組み換えヒトアメロゲニン(rhAmel)及びEMD複合体と比較して細胞培養でテストされている。
材料及び方法
ヒト骨肉腫を起源として単離されたMG63骨芽細胞様細胞は、American Type Culture Collection (Rockville, MD)から入手した。これらの細胞はよく特徴づけられ、1α、25(OH)2D3に反応して、アルカリホスファターゼ活性及びオステオカルシン合成の亢進を含め、多数の骨芽細胞の形質を示す。さらに、MG63細胞を使用した観察結果は、正常ヒト骨芽細胞、正常のマウス頭蓋冠骨芽細胞、胎児ラット頭蓋冠細胞及び他の骨芽細胞株を使用して確認されており、結果は動物及びヒトにおける臨床成績と相関する。
MG63細胞は、10%の牛胎仔血清(FBS)、及び1%のペニシリン及びトレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、5%CO2及び100%湿
度の雰囲気で、37℃で培養した。細胞は、15,000細胞/ウェルで播種し、培地は48時間ごとに交換した。コンフルエンスで、異なる濃度の物質を培養液に添加した。本発明者らは、培養の日7に、2つの骨芽細胞分化の決定因子を使用した:細胞溶解物のアルカリホスファターゼ比活性[オルトリン酸モノエステルホスホヒドロラーゼ、アルカリ;E.C.3.1.3.1]、及び細胞馴化培地のオステオカルシン含量。アルカリホスファターゼは分化の初期マーカーであり、石灰化が始まるにつれて最も高いレベルに達する。オステオカルシンは分化の後期マーカーであり、ミネラルが沈着するにつれて増加する。細胞溶解物は、計数した後遠心分離で集められた単離細胞を使用して調製した。酵素活性は、pH10.2でパラニトロフェニルリン酸からのパラニトロフェノールの遊離を測定することによってアッセイし、結果は、細胞溶解物中のタンパク質含量に正規化した。馴化培地中のオステオカルシンのレベルは、市販のラジオイムノアッセイキット(Human Osteocalcin RIA Kit, Biomedical Technologies, Stoughton, MA)を用いて測定し、DNA含量に正規化した。日7の培養からの馴化培地はまた、成長因子及びサイトカインについてアッセイした。オステオプロテゲリンは、酵素免疫吸着測定(ELISA)キット(DY805 Osteoprotegerin DuoSet, R&D Systems,Minneapolis, MN)を用いて測定した。VEGFは、ELISAキット(RnD Systems)を使用して評価した。手短に言うと、100μLの馴化培地を予めコーティングしたプレートに加え、2時間インキュベートした。特異的検出抗体をプレートに加え、さらに2時間インキュベートした。サンプルの吸光度をマイクロプレートリーダーで読み取り、結果を標準曲線を使用して解析した。
DNA測定: 細胞は、0.5%のTrition−X100中で超音波処理し、DNAは、2本鎖DNAを測定するQuant-iT(商標)Pico Green(登録商標)kit(Invitrogen)を使用して測定した。DNAの量は、0.2〜200ngDNAのDNA標準を用い、蛍光マイクロプレートリーダーを使用して測定した。
〔実施例5〕
画分C(5kDa;C1RP又はC2RP)の活性化合物の同定
画分C(5kDa;C1RP又はC2RP)の活性化合物の同定。本発明者らは、様々な長さのアメロゲニン(エクソン1、3及び5)の合成のペプチドをテストした。
WBRA001:MPLPPHPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQSIRPP−OH(MW:3733.4g/mol);
WBRA005:HPGHPGYINFSYEVLTPLKWYQSIRPP−OH(MW:3197.7g/mol);
WBRA004:GYINFSYEVLTPLKWYQSIRPP−OH(MW:2672.1g/mol);
WBRA003:SYEVLTPLKWYQSIRPP−OH(MW:2077.4g/mol);
WBRA002:TPLKWYQSIRPP−OH(MW:1485.8g/mol)。
分子量5250.4g/molを有する画分Cは、5μg/mL(0.9μmol/L)の最終濃度で使用した。ペプチドは、画分Cと同じようなモル濃度で使用した。WBRA001は、画分Cと同様にオステオカルシン及びCD44の発現及び分泌を増強したが、より小さなペプチドは骨芽細胞の骨マーカーに対して作用を有しなかった。
EMDバッチ3113から単離された5kDaアメロゲニンは、C1RP及びC2RP(1〜43及び1〜45のTRAP)の両者を含むが、それに対しEMDバッチ9121から単離された画分Cは、C1RP及びC2RP(1〜43及び1〜45のTRAP)だけでなく、更なる2つの未同定の小さなピークをも含んだ。骨マーカーの発現に対する種々のアイソフォームの作用は、骨芽細胞に対してテストした。
レプチン、IL−6及びOPG分泌に対する作用は、C1RP及びC2RPの混合したもの(3113)と画分Cは類似していた。混合したもの(3113)は、培地へのオステオカルシンの急性放出(<24時間)を誘導した(下図)。しかしながら、mRNA発現は>3日のインキュベーション後に画分Cによって増加した。
単離したC1RP及びC2RPの画分は、画分C及びペプチドを混合したもの(3113)より高い培地中のLDH活性を誘導した。このわずかにより高い細胞に対する毒性の影響によって、これらの2つの精製された画分の間の作用における如何なる違いも見出すことは困難であった。結論;C1RPとC2RPの混合したもの(3113)は、骨芽細胞の初期分化を刺激することにおいて画分C単独より強力であった。後期では、画分Cは、オステオカルシン発現のより強力な誘導物質であった。
〔実施例7〕
画分Cによる骨形成分化
図15a、b及びcを参照されたい。
骨形成細胞に対する画分Cの作用−石灰化結合組織
本明細書の文脈では 骨形成及びセメント質形成の両者は、石灰化組織として包含される。
背景
細胞外マトリックス(ECM)は、主としてI型コラーゲンから成る。骨形成
細胞は、石灰化(ECMへのカルシウムの組み込み)に重要な役割をするアルカリホスファターゼ(ALP)を合成する。従って、ALPは、生体外の骨形成分化の初期マーカーとして使用される。ALPは、最初の数日内で増加し、石灰化(オステオカルシンの検出)が起こると減少する。
MG−63
培地:最小必須培地イーグル(MEM)+10%牛胎仔血清+1%のペニシリン−ストレプトマイシン(×100)+1%の非必須アミノ酸溶液(×100)+1%のL−グルタミン(200mM)。播種密度:4代継代したMG63細胞を、10,000細胞/cm2の密度で96ウェル培養プレートに播種した。サンプリングは、生体外で24時間後及び7日後に行なった。
細胞の増殖と生存率
増殖能力を測定するために、本発明者らは、ブロモデオキシウリジンの測定、DNA合成中のBrdU組み込みに基づいた比色免疫定量法を使用した。10μLのBrdU標識溶液(Roche, Penzberg, Germany)を細胞培養に添加し、細胞を37℃で2時間インキュベートした。標識及び定量化は、取扱説明書の記載に従って行った。吸光度は、690nmの基準波長を用い、450nmでVersaMax Microplate readerによって測定した。結果を、光学濃度(OD)として報告した。
その上、細胞の増殖と生存率を評価するために、増殖試薬WST−1テストを行った。WST−1溶液を、1:10の最終溶液で単層培養に添加し、細胞をさらに37℃で1時間インキュベートした。上清の吸光度は、600nmの基準波長を用い、420nm〜480nmでVersaMax micro plate reader (Molecular Devices, California, USA)を用いて分光学的に測定した。結果を、光学濃度(OD)として報告した。
アルカリホスファターゼ(ALP)の比活性
ALP活性を測定するために、上清の酵素活性を、p−ニトロフェニルホスファートからの経時的なp−ニトロフェノール(Sigma, St. Louis, MO, USA)の遊離として、405nmでの分光光度法でアッセイした。MG63細胞は、処理後日1及び日7に、PBS及び0.05%のTriton-X100で溶解した。ALPは、μM/分/mgタンパク質として表した。
条件:
1.画分C: EMDの画分(1μg/mL);
2.sC1RP−p:合成;画分Cのピーク1;リン酸化(1μg/mL);
3.sC1RP: 合成;画分Cのピーク1;非リン酸化(1μg/mL);
4.sC2RP−P:合成;画分Cのピーク2;リン酸化(1μg/m L);
5.sC2RP: 合成;画分Cのピーク2;非リン酸化(1μg/mL);
6.sC1RP−P+sC2RP−P:組み合わせ;リン酸化(1μg/m L);
7.sC1RP+sC2RP: 組み合わせ;非リン酸化(1μg/m L);
8.C1RP: 画分Cのピーク1(1μg/mL);
9.C2RP: 画分Cのピーク2(1μg/mL);
10.C1RP+C2RP:組み合わせ(1μg/m L);
11.コントロール(100μgEMD):ポジティブコントロール(100μg/mL);
12.コントロール: ネガティブコントロール;
13.コントロール(1μgEMD):直接ポジティブコントロール(1μg/m L);
(s:合成された;RP:逆相;C1:クロマトグラムの第1のピーク;C2:クロマトグラムの第2のピーク); 本発明者らは、1つの実験をn=5で行なった。
培地交換とサンプリング:
培地は、日4に交換した(50%)。
サンプリングは、日1(生体外で1日)及び日7(生体外で7日)に行った。
結果:
細胞増殖アッセイ:
結果は、BrdU組み込みによるOD値の上昇によって実証して、処理後の最初の24時間以内に、増殖能力が始動されることを示した。7日後に、MG63細胞の増殖活性は、コンフルエンス及びマトリックス成熟と共に低下した。
画分C処理は、24時間後に増殖活性の10%の増加を引き起こした。最高24%の増加が、合成C1RP及びC2RPの組み合わせ物を添加した細胞で検出された。
細胞生死判別アッセイ:
処理後24時間の高い増殖能力に関して、MG63細胞は7日後にミトコンドリア活性の増加を示した。研究は、ネガティブコントロール(処理しない単層培養物)と比較して、すべての成分によって細胞の生存率及び増殖が刺激されることを示した。合成ペプチドは、MG63の増殖を45%増加させるが、一方リン酸化はその作用を増強しないように見える。培養7日後の細胞の増殖と生存率に対して、画分C成分(C1RP、C2RP)の明確な作用があり、C1RP+C2RPの組み合わせ物は確かに生存率を増加させると結論付けることができる。
アルカリホスファターゼ(ALP)の比活性:
アルカリホスファターゼは、生体外での骨形成成熟用の初期マーカーである。従って、議論は主として、処理後の日7よりはむしろ日1の結果に集中すべきである。ALP活性は、石灰化が起こる7日後に典型的に減少する。データは、画分Cは、ネガティブコントロールと比較して、1日後にALP活性を約125%増強するが、一方単一の成分(C1/C2RP)及び組み合わせ物は有意な作用を示さないことを示した。更に、合成ペプチドは、それらのリン酸化状態とは無関係に、ネガティブコントロールと同様、1日後に低いALP活性を示した。両者のペプチドの組み合わせ物(sC1RP−P+sC2RP−P)は、ALP活性をわずかに抑制する作用があるように見え、これはペプチド相互作用に関して検討する必要がある。さらに、ポジティブコントロール(EMD)は、ネガティブコントロールに対してALP活性の減少を示したがこれは100μg/m LのEMDの補充によっては示されていない(示されていない)。より高い濃度のEMDは、1日後に、1.5倍のALP活性(対ネガティブコントロール)の増加を示し、7日後もまだ増加していた(示されていない)。これはまた、増殖にはほとんど作用を示さないが分化には示した先の研究で、Boyanらによって実証されている。
〔実施例8〕
種々のEMD画分に対するPDL細胞の接着
目標:種々のEMD画分に対するPDL細胞の接着を、細胞数の評価のためにXTTアッセイを使用して検討する。
材料:
PDLミックス p6、SOP FAM 292;
96ウェル細胞懸濁用プレート;
コーティング緩衝液:炭酸緩衝液pH9.6;
XTTキット(Roche)。
配置:
2枚の96ウェルプレート(4ウェル/条件)で:
1− コントロール細胞;
2− EMD、20μg/ウェル;
3− 画分A、1.7μg/ウェル;
4− 画分A、17μg/ウェル;
5− 画分B、0.08μg/ウェル;
6− 画分B、0.8μg/ウェル;
7− 画分C、0.2μg/ウェル;
8− 画分C、2μg/ウェル。
方法:
1)表面コーティング
EMD及び画分の溶液は、GLP49/37のため予め重炭酸緩衝液で用意した。200μLの溶液を、各ウェル(ウェルに添加したタンパク質量は、GLP49/37におけるよりウェル面積が5.5倍小さいので、約5倍少ない(1mLの代わりに200μL/ウェル))に注入した。インキュベーションは4℃で1夜行った。翌日、細胞を加える前に、プレートを200μLのPBSで2回洗浄した。
2)細胞播種
サブコンフルエンスのPDLミックス細胞の1つのフラスコを、PBSで2回洗浄し、トリプシン/EDTAを添加して2〜3分間インキュベートした。トリプシンは培地で中和し、細胞は遠心沈降させて計数した。細胞懸濁液を50,000細胞/mLに調製し、200μLを各ウェルに添加した(10,000細胞/ウェル)。
3)XTTアッセイ
4及び8時間インキュベーションした後に、浮遊する細胞を200μLのPBSで2回洗浄して除去した。ウェルを150μLの標準培地で再充填し、75μLのXTTミックスを各ウェルに添加した。150μLの培地を含む1つ余分な列に、75μLのXTTミックスを添加し、ブランクとして使用した。細胞を2時間インキュベートした後、650nmの基準波長を使い480nmでプレートを読み取った。
結果:
GLP59/03と比較して、この実験のPDLミックス細胞は、コーティングのないプレートにより迅速に接着した。コーティングのない条件で4時間のインキュベーション後に、著しい数の細胞が広がりを示した(GLP59/03は、最大で8時間までのインキュベーション後でも、細胞はコーティングしないウェル内で円形のままであった)。図16を参照されたい。
結論:
結果は、GLP49/37で得たものと非常に類似したパターンを示した。しかしながら、コントロールと種々の画分又はEMDとの違いは大きくはなく(1つの条件だけが、コントロールと著しく異なっていた)、XTTキットを用いた細胞数の評価があまり感受性ではないことを示唆した。別の説明は、PDL細胞の非特異的接着が、24ウェルプレートより96ウェルプレートで高く、効果を減少させたことである(備考を参照)。
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Claims (17)

  1. エナメル基質誘導体(EMD)の天然画分の活性化合物であって、アメロゲニンの断片から選択される各ポリペプチド断片の少なくとも1つから成り、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する活性化合物。
  2. 請求項1に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンの2つのポリペプチド断片が二量体化した活性化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンのポリペプチド断片の少なくとも1つが、自然長アメロゲニンタンパク質の選択的スプライシング及び/又はプロセッシングによって生産される、上記活性化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンのポリペプチド断片の少なくとも1つが、自然長アメロゲニンタンパク質の酵素的及び/又は化学的切断によって生産される、上記活性化合物。
  5. ブタ、ラット、ヒト、及び/又はマウスのエナメル基質タンパク質から単離される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の活性化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンのポリペプチド断片の少なくとも1つが、生体外及び/又は生体内における合成によって生産される、上記活性化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンのポリペプチド断片の少なくとも1つが、精製した組み換えポリペプチド断片である、上記活性化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の活性化合物であって、配列番号1及び2で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列に相当する、のアメロゲニンのポリペプチド断片の少なくとも1つが、合成的に及び/又は化学的に改変された、上記活性化合物。
  9. 歯周細胞の活性を活性化及び/又は制御するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分Cの使用。
  10. 骨芽細胞の分化及び/又は増殖を制御するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分Cの使用。
  11. 間葉幹細胞の増殖及び/又は分化を制御するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分Cの使用。
  12. 薬剤として使用するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分C。
  13. 硬組織における石灰化を誘導するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分C。
  14. 硬組織における石灰化を誘導する医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物の及び/又は単離されたEMDの画分Cの使用。
  15. 骨成長及び/又は骨再生を誘導するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物の及び/又は単離されたEMDの画分Cの活性化合物。
  16. 骨成長及び/又は骨再生を誘導する医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物の及び/又は単離されたEMDの画分Cの使用。
  17. 哺乳類における骨成長及び/又は骨再生を誘導するための方法であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の活性化合物及び/又は単離されたEMDの画分Cを、それを必要とする患者に投与することを特徴とする上記方法。
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