本発明は、様々な新生物、癌、腫瘍および転移細胞に結合する抗体に、少なくとも一部、基づく。非限定的な例示的抗体は、ブタペスト条約の条項のもと2003年11月6日にthe German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(「DSMZ」−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,Mascheroder Weg lb,38124 Braunschweig,Germany)に寄託された細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるような、指定LM−1抗体である。細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体は、様々な新生物、癌、腫瘍および転移細胞に特異的に結合するヒトIgM抗体である。従って、LM−1は、様々な新生物、癌、腫瘍および転移細胞上で発現される抗原に結合する。LM−1は、様々な新生物、癌、腫瘍および転移細胞の増殖を抑制または低減することができる。LM−1は、様々な新生物、癌、腫瘍および転移細胞のアポトーシスを刺激または誘導することもできる。
本発明は、LM−1のターゲット、すなわちLM−1に結合する抗原、の同定にも、少なくとも一部、基づく。本明細書に開示するように、LM−1抗体は、54kDa核RNA−およびDNA−結合タンパク質(p54nrb)ならびに55kDa核タンパク質(nmt55)としても公知である、非pouドメイン含有オクタマー結合タンパク質(NONO)に結合する。NONO/nmt55は、新生物、癌、腫瘍または転移の治療のターゲットになり得る。NONO/nmt55は、新生物、癌、腫瘍または転移の診断指標になり得る。例えば、細胞表面でのNONO/nmt55の検出は、新生物、癌、腫瘍または転移の存在を示すことができる。NONO/nmt55は、ワクチンにもなり得る。例えば、細胞表面NONO/nmt55を発現する新生物、癌、腫瘍または転移を有する患者にNONO/nmt55を投与して、該新生物、癌、腫瘍または転移に対する免疫応答を惹起することができる。
本発明の抗体は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。抗体は、アミド結合または等価のものにより共有結合で連結されたアミノ酸、すなわち「残基」、を含むタンパク質である。抗体に関して用いるときの用語「モノクローナル」は、任意の真核性、原核性またはファージクローンを含む、単一のクローンに基づく、単一のクローンから得られるまたは単一のクローンに由来する抗体を指す。従って、「モノクローナル」抗体は、本明細書では構造的に定義しており、それを生産する方法ではない。
本発明の抗体は、任意の抗体クラス、IgM、IgG、IgE、IgA、IgD、またはサブクラスに属する場合がある。IgGの例示的サブクラスは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4である。
本発明の抗体は、カッパまたはラムダ軽鎖配列、自然に存在する抗体の場合のような完全長、それらの混合物(例えば、カッパ鎖配列とラムダ鎖配列の融合体)、およびそれらの部分配列/フラグメントのいずれか、を有する場合がある。自然に存在する抗体分子は、2つのカッパ軽鎖または2つのラムダ軽鎖を含有する。
様々な重鎖および軽鎖可変領域配列、配列番号1〜10、によって表される、LM−1抗体のアミノ酸配列および核酸配列は、以下の通りである:
太字で示す違いがある、アミノ酸配列(配列番号1、3、5、7および9)ならびに核酸配列(配列番号2、4、6、8および10)によってそれぞれ表されるような、ヒトモノクローナル抗体LM−1の重鎖可変領域は、以下のとおりである:
下記配列番号1によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号3(1BTA1.16VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のアミノ酸配列
:
下記配列番号5(1BTA1.7VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号7(1BTA2.5VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号9(VHL1opt)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号2によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のヌクレオチド配列:
下記配列番号4(1BTA1.16VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のヌクレオチド酸配列:
下記配列番号6(1BTA1.17VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のヌクレオチド酸配列:
下記配列番号8(1BTA2.5VH)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のヌクレオチド酸配列:
下記配列番号10(VHL1opt)によって表されるような、LM−1重鎖可変(VH)領域配列のヌクレオチド酸配列:
アミノ酸配列(配列番号11および13)ならびに核酸配列(配列番号12および14)によってそれぞれ表されるような、LM−1ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域は、以下の通りである:
下記配列番号11によって表されるような、LM−1軽鎖可変(VL)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号13(VKL1opt)によって表されるような、LM−1軽鎖可変(VL)領域配列のアミノ酸配列:
下記配列番号15によって表されるような、LM−1軽鎖(L)配列のアミノ酸配列:
下記配列番号12(1BTA1.16VL)によって表されるような、LM−1軽鎖可変(VL)領域配列のヌクレオチド酸配列:
下記配列番号14(VKL1opt)によって表されるような、LM−1軽鎖可変(VL)領域配列のヌクレオチド酸配列:
重鎖および軽鎖のそれぞれに3つある予測CDRを本明細書では適便にHC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3;ならびにLC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3と示す。CDRのナンバリングが、アミノ末端からはじまる本明細書に示す配列のアミノ酸残基番号に準拠し、Kabatナンバリングシステムに従わないことを除き、CDR位置は、Kabatの定義(例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th Ed.US Department of Health and Human Services.Public Health Service (1987)、およびKabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.US Department of Health and Human Services,Public Health Service(1991))に準拠したものである。重鎖可変領域CDR配置は、それらのフレームワーク残基との95%配列同一性のためハーセプチン抗体可変領域(PDBファイル1N8Z)を手本にし、および軽鎖可変領域CDR配置は、それらのフレームワーク残基との82%配列同一性のためPDBファイル2RHEaを手本にした。
例示的重可変領域鎖の予測CDR配列は、CDR1;VSGGSISSGGYY、CDR2;YIYYSGSTYYNPSLKS、およびCDR3;VDARYDYVWGSYRYDAFDIである。重鎖のCDRIは、アミノ酸24〜35をコードするヌクレオチド72〜105にわたり、CDR2は、アミノ酸52〜67をコードするヌクレオチド156〜201にわたり、およびCDR3は、アミノ酸100〜118をコードするヌクレオチド300〜354にわたる。
例示的軽可変領域鎖の予測CDR配列は、90〜101、CDR1;SGSSSNIGNNYVS、CDR2;DNNKRPSG、およびCDR3;GTWDSSLSAGWVである。ラムダ軽鎖のCDR1は、位置23〜35にあるアミノ酸をコードするヌクレオチド69〜105にわたる。CDR2は、アミノ酸51〜58をコードするヌクレオチド153〜174にわたり、およびCDR3は、ヌクレオチド270〜303にわたり、アミノ酸90〜101をコードする。
本発明に従って、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によってそれぞれ表されるようなLM−1抗体に構造的におよび/または機能的に関連した、単離および精製された抗体および機能性(例えば、細胞または抗原結合)フラグメントを提供する。様々な実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と、細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する。追加の実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と、抗原(例えば、NONO/nmt55)または腺癌細胞もしくは扁平上皮癌への結合について競合する。
本発明に従って、NONO/nmt55タンパク質に結合する、単離および精製された抗体および機能性(例えば、細胞または抗原結合)フラグメントも提供する。様々な実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、N末端NONO−nmt55アミノ酸配列領域(例えば、NONO−nmt55のアミノ酸1〜300)に結合する。1つの態様において、NONO−nmt55は、
に示される配列を含む。
もう1つの態様において、NONO−nmt55は、
に示される配列を含む。
さらなる実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、または白血病のうちの1つ以上への結合について競合する。さらなる追加の実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と、抗原(NONO/nmt55)への、または胃腺癌(例えば、散在型または腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管または小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織または脳腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、ならびに白血病のうちの1つ以上への結合について競合する。尚、さらなる実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞への結合について競合する。特定の態様において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合を、競合的に、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上抑制する。
本発明に従って、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体および機能性フラグメントを提供する。1つの実施形態において、単離または精製された抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する。特定の態様において、前記抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する腺癌細胞もしくは扁平上皮癌上に存在する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する。追加の特定の態様において、前記抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する胃腺癌(例えば、散在型または腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管または小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織または脳腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、ならびに白血病のうちの1つ以上に結合する。さらなる特定の態様において、前記抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞上に存在する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する。
抗体または機能性フラグメントに関して用いるときの用語「結合する」または「結合」は、その抗体または機能性フラグメントが、細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)上に存在する対応するエピトープ(抗原決定基)と分子レベルで相互作用することを意味する。アミノ酸を含む抗原のエピトープは、概して、比較的短い配列、例えば約5から15アミノ酸の長さ、を含む。エピトープは、連続している場合もあり、または連続していない場合もある。非連続アミノ酸配列エピトープは、タンパク質フォールディングのため形成する。エピトープを同定するための技術は、当業者に公知であり、それらとしては、抗体への結合についてオーバーラップするオリゴペプチドのスクリーニング(例えば、米国特許第4,708,871号)、エピトープマッピングのための市販されているファージ・ディスプレー・ペプチド・ライブラリー・キット(New England BioLabs)が挙げられる。エピトープ長ペプチド配列を用いて動物を免疫するとき、そのペプチド配列に結合するどの抗体が得られるのかを推論することによりエピトープを同定することもでき、およびBEPITOPE(Odoricoら,J.Mol.Recognit.16:20(2003))などのコンピュータプログラムを用いてそれらを予測することができる。
本発明は、細胞成長もしくは増殖を抑制、減少もしくは低減するか、または細胞死、溶解もしくはアポトーシスを刺激もしくは誘導する抗体および機能性フラグメントをさらに提供する。特定の実施形態において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の新生物、腫瘍もしくは癌、または転移細胞への結合は、細胞成長もしくは増殖を抑制、減少もしくは低減する場合もあり、または細胞死、溶解もしくはアポトーシスを刺激もしくは誘導する場合もある。もう1つの実施形態において、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、または白血病への、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合は、細胞成長もしくは増殖を抑制、減少もしくは低減するか、または細胞死、溶解もしくはアポトーシスを刺激もしくは誘導する。さらなる実施形態では、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞への、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合。
本発明は、配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13とのある程度の同一性を示す、または配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13内の配列(例えば、1つ以上のCDR、例えば、配列番号1、3、5もしくは7のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)とのある程度の同一性を示す重鎖または軽鎖可変領域配列を含む、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体に構造的におよび/または機能的に関連している、抗体および機能性フラグメントをさらに提供する。特定の実施形態において、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の重鎖または軽鎖配列可変領域との、または細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体内の配列(例えば、1つ以上のCDR、例えば、配列番号1、3、5もしくは7のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)との約60%以上の同一性を有する重鎖または軽鎖可変領域配列を含む。他の特定の実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の重鎖可変領域配列との、または細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体内の配列(例えば、1つ以上のCDR、例えば、配列番号1、3、5もしくは7のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)との少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上の同一性を有する重鎖または軽鎖を含む。追加の特定の実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体内の1つ以上のCDR(例えば、配列番号1、3、5もしくは7のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)との少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%または95〜100%の同一性を有する重鎖または軽鎖可変領域配列を含む。特定の態様において、抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体におけるそれぞれの重鎖または軽鎖可変領域配列内の1、2または3つのCDR(例えば、配列番号1、3、5もしくは7のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)との95〜100%同一性を有する重鎖または軽鎖可変領域配列を含む。
従って、本発明の抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との少なくとも部分的な配列同一性を有するものを含む。そのような抗体および機能性フラグメントの同一パーセントは、60%ほどの小ささである場合もあり、またはより大きい(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%など)場合もある。
前記同一パーセントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の全配列長にわたる場合もあり、または細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体内の連続領域もしくはエリアにわたる場合もある。特定の態様において、前記同一パーセントを共有する配列の長さは、5以上連続したアミノ酸、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25など連続したアミノ酸である。追加の特定の態様において、前記同一パーセントを共有する配列の長さは、25以上連続したアミノ酸、例えば、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35など連続したアミノ酸である。さらに特定の態様において、前記同一パーセントを共有する配列の長さは、35以上連続したアミノ酸、例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、45、47、48、49、50など連続したアミノ酸である。さらなる追加の特定の態様において、前記同一パーセントを共有する配列の長さは、50以上連続したアミノ酸、例えば、50〜55、55〜60、60〜65、65〜70、70〜75、75〜80、80〜85、85〜90、90〜95、95〜100、100〜110など連続したアミノ酸である。尚、さらなる特定の態様において、前記同一パーセントを共有する配列の長さは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、もしくは7、および9として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体などの重もしくは軽鎖配列の可変領域配列の任意のCDR(例えば配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)の長さ、または可変領域内だがCDRの外部の領域の長さに等しい。
用語「同一性」およびその文法上の語尾変化は、2つ以上の参照するエンティティーが同じであることを意味する。従って、2つの抗体配列が同一である場合、それらは、少なくとも参照する領域または部分内に、同じアミノ酸配列を有する。2つの核酸配列が同一である場合、それらは、少なくとも参照する領域または部分内に、同じポリヌクレオチド配列を有する。この同一性は、その配列の被定義エリア(領域またはドメイン)にわたり得る。「同一性エリア」は、同じである2つ以上の参照するエンティティーの部分を指す。従って、2つのタンパク質または核酸配列が、1つ以上の配列領域にわたって同一である場合、それらは、その領域内で同一性を共有する。例示的同一性は、参照抗体または機能性フラグメント、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体またはその部分配列との50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%以上の配列同一性を有するアミノ酸を有する抗体および機能性フラグメントである。
用語「相同性の」または「相同性」は、2つ以上の参照するエンティティーが、所与の領域または部分にわたって少なくとも部分的な同一性を共有することを意味する。相同性または同一性「エリア、領域またはドメイン」は、2つ以上の参照するエンティティーの一部分が相同性を共有するまたは同じであることを意味する。従って、2つの抗体配列が、1つ以上の配列領域にわたって同一である場合、それらは、これらの領域において同一性を共有する。「実質的相同性」は、分子が、その参照分子、または相同性を共有するその参照分子の関連/対応領域もしくは部分、の構造もしくは機能(例えば、生物学的機能)の1つ以上についての少なくとも一部の構造もしくは機能を有するまたは有すると予測されるように、構造的にまたは機能的に保存されていることを意味する。実質的相同性を有する抗体または機能性フラグメントは、参照抗体と同様の活性または機能を少なくとも一部有するまたは有すると予測される。例えば、特定の実施形態において、1つ以上の修飾(例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の置換、欠失または付加)を有する、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について少なくとも部分的に競合する能力を保持し、あるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原への部分的な結合を少なくとも保持し、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との実質的な相同性を有すると考えられる。
2配列間の同一性(相同性)の程度は、当該技術分野において公知のコンピュータプログラムおよび数学的アルゴリズムを用いて確かめることができる。配列同一(相同性)パーセントを計算するそのようなアルゴリズムは、一般に、比較領域またはエリアにわたって配列ギャップおよびミスマッチを計算に入れる。例えば、BLAST(例えば、BLAST2.0)検索アルゴリズム(例えば、Altschulら,J.Mol.Biol.215:403(1990)参照;NCBIを通して公的に入手可能)は、次のような例示的検索パラメータを有する:ミスマッチ −2;ギャップ開始 5;ギャップ伸長 2。ポリペプチド配列比較には、概して、BLASTPアルゴリズムがスコア行列、例えばPAM 100、PAM 250、BLOSUM 62またはBLOSUM 50、と併用される。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)ならびにSSEARCH配列比較プログラムも、同一性の程度を定量するために用いられる(Pearsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988);Pearson,Methods Mol Biol.132:185(2000);およびSmithら,J.Mol.Biol.147:195(1981))。ドローネー(Delaunay)系トポロジーマッピングを用いるタンパク質構造類似性を定量するためのプログラムも開発された(Bostickら,Biochem Biophys Res Commun.304:320(2003))。
本発明の抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の少なくとも1つ以上の部分的活性または機能を保持するものを含む。本明細書に開示するような、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する抗原(例えば、NONO/nmt55)は、悪性および非悪性、新生物、腫瘍および癌細胞上で発現される。細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体に結合する、従って、LM−1のターゲット抗原を発現する細胞の非限定的な例としては、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管および小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、ならびに白血病、または肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、もしくは肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞のうちの1つ以上が挙げられる。従って、様々な実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、抗原(例えば、NONO/nmt55)に、あるいは1つ以上の細胞、例えば、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫もしくは小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性もしくは腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌もしくは腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、または白血病、あるいは肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞に結合する。
細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体および機能性フラグメントは、細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に対して、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体より大きい相対結合親和性を有する場合もあり、または小さい相対結合親和性を有する場合もある。従って、本発明の追加の抗体および機能性フラグメントは、細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合親和性より大きい、該結合親和性とほぼ同じ、または該結合親和性より小さい親和性を有するものを含む。例えば、本発明の抗体または機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体に比べて、2〜5、5〜10、10〜100、100〜1000もしくは1000〜10,000倍親和性、または前述の値内もしくは前述の値を包含する任意の数値もしくは範囲、より大きい親和性を有することもあり、または小さい親和性を有することもある。1つの実施形態において、抗体またはその機能性は、抗原(例えば、NONO/nmt55)への、または新生物、癌、腫瘍もしくは転移細胞への結合について、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合親和性の約1〜5000倍以内の結合親和性を有する。もう1つの実施形態において、抗体またはその機能性フラグメントは、抗原(例えば、NONO/nmt55)への、あるいは胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫もしくは小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性もしくは腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌もしくは腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、または白血病への結合について、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合親和性の約1〜5000倍以内の結合親和性を有する。さらなる実施形態において、抗体またはその機能性は、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞への結合について、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合親和性の約1〜5000倍以内の結合親和性を有する。前述の実施形態において、結合親和性は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の結合親和性より1〜5000倍大きい場合もあり、または小さい場合もある。
結合親和性は、会合(Ka)および解離(Kd)速度によって決まるものであり得る。平衡親和定数、K、は、Ka/Kdの比である。会合(Ka)および解離(Kd)速度は、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka,Curr.Opin.Biotechnol.11:54(2000);Englebienne,Analyst.123:1599(1998))を用いて測定することができる。結合速度の実時間検出およびモニタリングのための機器および方法は、公知であり、市販されている(BiaCore 2000,Biacore AB,Upsala,Sweden;およびMalmqvist,Biochem.Soc.Trans.27:335(1999))。
追加の具体的な非限定的抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に対して、約Kd 10−2Mから約Kd 10−5M、または約Kd 10−6Mから約Kd 10−12Mの範囲内の結合親和性を有する。特定の実施形態において、結合親和性は、5x10−2M、10−2M、5x10−3M、10−3M 5x10−4M、10−4M 5x10−5M、10−5M 5x10−6M、10−6M 5x10−7M、10−7M 5x10−8M、10−8M 5x10−9M、10−9M 5x10−10M、10−10M 5x10−11M、5x10−12M、10−12M 5x10−13M、10−13M 5x10−14M、10−14M 5x10−15M、および10−15M未満である。特定の実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、抗原(例えば、NONO/nmt55)へのまたは新生物、腫瘍、癌もしくは転移細胞への結合について、約Kd 10−5Mから約Kd 10−13Mの範囲内の結合親和性を有する。追加の特定の実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫もしくは小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性もしくは腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌もしくは腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞もしくは腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、または白血病への結合について、約Kd 10−5Mから約Kd 10−13Mの範囲内の結合親和性を有する。さらなる特定の実施形態において、抗体または機能性フラグメントは、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞への結合について、約Kd 10−5Mから約Kd 10−13Mの範囲内の結合親和性を有する。
細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する、あるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する、抗体および機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体より大きいもしくは小さい相対細胞増殖抑制もしくは低減活性、または大きいもしくは小さい細胞アポトーシス誘導もしくは刺激活性を有する場合がある。従って、本発明の抗体および機能性フラグメントは、LM−1抗体が結合する細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合するもの、LM−1抗体と細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合するもの、および細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体より大きいもしくは小さい相対細胞増殖抑制もしくは低減活性、または大きいもしくは小さい相対細胞アポトーシス誘導もしくは刺激活性を有するものを含む。
従って、本発明の抗体は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体とは異なる配列を有するが、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上の活性または機能を少なくとも一部は保持するものを含む。例示的活性および機能としては、例えば、LM−1抗体が結合する細胞への結合;LM−1抗体が結合する抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合;細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合についてのLM−1抗体との競合;細胞成長もしくは増殖の抑制もしくは低減、または細胞死、溶解もしくはアポトーシスの刺激もしくは誘導(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移細胞);胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸癌、例えば腺癌、卵巣癌腫、肺癌、例えば肺腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫および小細胞肺癌腫、黒色腫、小葉性および腺管性の乳房の癌腫、乳癌、例えば侵襲性腺管もしくは小葉癌、胃癌、膵臓癌、例えば膵腺癌(例えば、腺管性のもの)、肉腫、胃腸癌、例えば胃癌、神経組織もしくは脳の腫瘍、例えば神経膠腫、食道癌、例えば食道扁平上皮癌および腺癌、骨肉腫、線維肉腫、膀胱癌、前立腺癌、例えば前立腺腺癌、腎臓癌、例えば腎癌腫、卵巣癌、例えば腺癌、精巣癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、例えば扁平上皮細胞および腺癌、子宮癌、例えば腺癌、ホジキン病、リンパ腫、ならびに白血病のうちの1つ以上への結合;肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、もしくは肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞成長もしくは増殖の抑制、または肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、もしくは肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞死、溶解もしくはアポトーシスの刺激もしくは誘導などが挙げられる。
従って、本発明に従って修飾抗体および機能性フラグメントも提供するが、但し、前記修飾形が、未修飾もしくは参照抗体、または機能性フラグメント、の活性または機能の少なくとも一部を保持することを条件とする。1つの実施形態において、抗体またはその機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上のアミノ酸付加、欠失または置換を有する重鎖または軽鎖可変領域配列を含むが、但し、前記抗体または機能性フラグメントが、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなインタクト完全長LM−1抗体の少なくとも部分的な活性または機能を保持することを条件とする。1つの態様において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上のアミノ酸付加、欠失または置換を有する抗体または機能性フラグメントは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する。もう1つの態様において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上のアミノ酸欠失、置換または付加を有する抗体または機能性フラグメントは、LM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する。追加の態様において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上のアミノ酸欠失、置換または付加を有する抗体または機能性フラグメントは、LM−1抗体が増殖を抑制または低減する細胞の増殖を抑制または低減する。さらなる態様において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の1つ以上のアミノ酸欠失、置換または付加を有する抗体または機能性フラグメントは、LM−1抗体が死、溶解またはアポトーシスを刺激または誘導する細胞の死、溶解またはアポトーシスを刺激または誘導する。尚、さらなる特定の態様において、細胞成長または増殖は、対照(未処理)細胞と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、75%以上、または前述のパーセント値内もしくは前述のパーセント値を包含する任意の数値もしくは範囲、抑制、減少または低減される。尚、さらに特定の態様において、細胞死、溶解またはアポトーシスは、対照(未処理)細胞と比較して少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、75%以上、または前述のパーセント値内もしくは前述のパーセント値を包含する任意の数値もしくは範囲である。
本明細書において用いる場合、用語「修飾する」およびその文法上の語尾変化は、その組成が参照組成から外れることを意味する。そのような修飾タンパク質、核酸および他の組成物は、参照未修飾タンパク質、核酸もしくは組成物より大きいもしくは小さい活性、または参照未修飾タンパク質、核酸もしくは組成物とは異なる機能を有することがある。
置換、付加および欠失を含む修飾体を「変異体」と呼ぶこともできる。アミノ酸変異体の具体的な非限定的例としては、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体フラグメントおよび部分配列が挙げられる。例示的LM−1抗体部分配列およびフラグメントとしては、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の一部分であって、細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合についてLM−1抗体と少なくとも部分的に競合する部分、あるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合活性を少なくとも一部保持する部分、あるいはLM−1抗体が増殖を抑制または低減する細胞の増殖を抑制または低減する能力を保持する部分、あるいはLM−1抗体が死、溶解またはアポトーシスを刺激または誘導する細胞の死、溶解またはアポトーシスを刺激または誘導する能力を保持する部分が挙げられる。
本明細書において用いる場合、用語「フラグメント」または「部分配列」は、完全長分子の一部分を意味する。従って、抗体のフラグメントまたは部分配列は、完全長インタクト参照抗体より1つ以上少ないアミノ酸(例えば、重もしくは軽鎖可変もしくは定常領域の1つ以上の内部アミノ酸欠失または重もしくは軽鎖可変もしくは定常領域のアミノまたはカルボキシ末端いずれかからの1つ以上の末端アミノ酸欠失)を有する。核酸フラグメントは、完全長比較核酸配列より少なくとも1つ少ないヌクレオチドを有する。従って、フラグメントは、完全長天然分子以下の任意の長さを有し得る。
抗体に言及するときの用語「機能性フラグメント」および「機能性部分配列」は、機能または活性を有する抗体の一部分を指す。例えば、機能性フラグメントは、インタクト参照抗体の場合の1つ以上の部分的機能または活性、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の機能または活性を保持することができる。例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるような完全長インタクトLM−1抗体の細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合するLM−1抗体部分配列、あるいは完全長インタクトLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合するLM−1抗体部分配列は、機能性部分配列であると考えられる。
一本鎖抗体を含めて、抗体フラグメントは、重鎖または軽鎖可変領域(単数または複数)(例えば、1つ以上のCDR、例えばCDR1、CDR2またはCDR3、それぞれ、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)のすべてまたは一部を、単独で、または次のものの1つ以上についてのすべてもしくは一部分との組み合わせで含む場合がある:ヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメイン。重鎖または軽鎖可変領域(単数または複数)(例えば、1つ以上のCDR、例えばCDR1、CDR2またはCDR3、それぞれ、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)とヒンジ領域、CH1、CH2およびCH3ドメインとの任意の組み合わせの抗原結合部分配列も含む。
本発明の例示的抗体部分配列およびフラグメントとしては、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fd、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VL、VH、三重特異性(Fab3)、二重特異性(Fab2)、ダイアボディー((VL−VH)2または(VH−VL)2)、トリアボディー(三価)、テトラボディー(四価)、ミニボディー((scFV−CH3)2)、二重特異性一本鎖Fv(Bis−scFv)、IgGデルタCH2、scFv−Fcおよび(scFv)2−Fcが挙げられる。そのような部分配列およびフラグメントは、完全長抗体のような結合親和性、完全長抗体のような結合特異性、または完全長抗体の場合のものの1つ以上の活性もしくは機能、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の機能または活性を有する場合がある。
抗体部分配列およびフラグメントを組み合わせることができる。例えば、VLまたはVH部分配列をリンカー配列によって連結し、それによってVL−VHキメラを形成することができる。詳細には、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の重鎖可変配列を、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の軽鎖可変配列と組み合わせることができる。従って、本発明は、1)細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9として示す重鎖可変配列によって表されるようなLM−1抗体の重鎖可変配列、2)細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号9として示す軽鎖可変配列によって表されるようなLM−1抗体の軽鎖可変配列を、単独で、および互いとの組み合わせで提供する。一本鎖Fvs(scFv)部分配列の組み合わせをリンカー配列によって連結し、それによって、scFv−scFvキメラを形成することができる。抗体部分配列およびフラグメントは、一本鎖抗体または可変領域(単数または複数)を単独で、または他の部分配列のすべてもしくは一部分との組み合わせで含む。
修飾タンパク質は、アミノ酸置換をさらに含む。置換は、保存的である場合もあり、または非保存的である場合もあり、および細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の定常領域に存在することもあり、または可変(例えば、超可変、例えばCDRもしくはFR)領域に存在することもある。特定の実施形態において、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるような、修飾LM−1抗体は、1つのまたは2、3の保存的または非保存的アミノ酸置換を有する。
抗原結合に寄与する抗体構造決定因子、例えば、超可変領域内の相補性決定領域(CDR、これは、重鎖および軽鎖配列それぞれの中に3つあり、適便にHC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3;ならびにLC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3に示される;それぞれ、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、および配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)は、当業者に公知である。追加の領域、例えばDおよびJ領域、の位置も当業者に公知である。1つ以上のCDR配列が、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の少なくとも部分的な機能または活性、例えば、細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)結合、結合親和性(例えば、Kd)、細胞増殖抑制、または細胞アポトーシスの刺激もしくは誘導などを保持するために十分な、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との配列同一性を有する、抗体およびそれらの部分配列。
従って、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の定常または可変領域におけるアミノ酸置換は、許容される可能性が高い。部分的な細胞もしくは抗原結合活性が少なくとも保持されるあるいは部分的な細胞増殖抑制またはアポトーシス刺激もしくは誘導活性が少なくとも保持されるのであれば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体のCDRの外部の可変領域における1つの、2、3のまたは幾つかの置換も許容される可能性が高い。少なくとも部分的な細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)結合活性が少なくとも保持される(すなわち、細胞または抗原結合が破壊されない)、あるいは部分的細胞増殖抑制またはアポトーシス刺激もしくは誘導活性が少なくとも保持されるのであれば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体のCDR(例えば、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、および配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)における1つのまたは2、3の保存的置換も許容される可能性が高い。細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の超可変領域(例えば、CDR)における多くのアミノ酸の非保存的置換は、細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)結合活性、結合親和性(例えばKd)、または抗体機能もしくは活性、例えば細胞増殖抑制、細胞アポトーシス刺激もしくは誘導、などのうちの1つ以上に影響を及ぼす可能性が高い。
「保存的置換」は、1つのアミノ酸の、生物学的に、化学的にまたは構造的に類似した残基による置き換えである。生物学的に類似したとは、その置換が、生物活性、例えば細胞結合または細胞増殖抑制またはアポトーシス誘導もしくは刺激活性、を破壊しないことを意味する。構造的に類似したとは、それらのアミノ酸が、類似した長さの側鎖を有する、例えばアラニン、グリシンおよびセリン、または類似したサイズを有することを意味する。化学的類似性は、残基が、同じ電荷を有するか、または親水性でもあり疎水性でもあることを意味する。特定の例としては、ある疎水性残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンでの別のものの置換、またはある極性残基での別のものの置換、例えば、アルギニンでのリシンの、グルタミン酸でのアスパラギン酸の、もしくはグルタミンでのアスパラギンの、セリンでのトレオニンの置換、およびこれらに類するものが挙げられる。
特定の実施形態において、重鎖または軽鎖超可変領域配列またはその中の領域、例えばCDR(CDR1、CDR2もしくはCDR3;配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)またはFRは、1〜10、1〜5、1〜3またはそれより少ない(例えば、1もしくは2)のアミノ酸置換を有するであろう。追加の実施形態において、重鎖または軽鎖超可変領域配列内のアミノ酸置換は、1つより多くのCDR内でのものではない。追加の実施形態において、重鎖または軽鎖超可変領域配列内のアミノ酸置換は、CDR内でのものではない。もう1つの実施形態において、超可変領域配列内の置換は、FR内でのものではない。
所与の修飾の効果をアッセイして、未修飾抗体、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、の細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)結合活性、親和性または抗体機能もしくは活性の少なくとも一部を保持する抗体および機能性フラグメントを同定することが容易にできる。例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の可変領域(例えば、CDR1、CDR2またはCDR3内または外部)におけるアミノ酸置換を、細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)結合、細胞増殖抑制または低減活性、細胞死、溶解またはアポトーシスの誘導または刺激などについてアッセイすることができる。
局所的突然変異性分析を用いて、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)における特定の置換の影響を予測することができる(Shapiroら,J Immunol.163:259(1999))。簡単に言うと、配列比較によって、IgイントロンDNA内に位置するジおよびトリヌクレオチド配列の中での突然変異性の階層が示され、それによって、突然変異性がより大きいまたはより小さい領域が予測される。定量構造活性相関(QSAR)を用いて、抗体認識ドメインの性質、および従って、リガンド結合に関与するアミノ酸を同定することができる。そして次に、OSARに基づく予測モデルを用いて、置換(突然変異)の影響を予測することができる。例えば、その抗原と相互作用する抗体の会合および解離速度に対する突然変異の影響を利用して、両方の反応速度(KaおよびKd)定数についての定量的予測モデルが構築されており、そしてまた、それを用いてその抗体に対する他の突然変異の影響を予測する(De Genstら,J Biol Chem.277:29897(2002))。従って、当業者は、そのような分析を用いて、非置換抗体または機能性フラグメントの活性または機能を少なくとも一部分保持する抗体または機能性フラグメントを生じさせる結果となる可能性が高い抗体および機能性フラグメントのアミノ酸置換を同定することができる。
突然変異誘発のための残基または領域のもう1つの同定法は、「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれ、例えば、CunninghamおよびWellsによって記載されている(Science 244:1081(1989))。ターゲット残基のうちの1つの残基または群を同定し(例えば、荷電残基、例えばarg、asp、his、lys、およびglu)、中性のまたは負電荷を有するアミノ酸(最も望ましくは、アラニンまたはポリアラニン)によって置換して、細胞内または外部の周囲水性環境とそれらのアミノ酸の相互作用に影響を及ぼす。その後、それらの置換への機能的感受性を明示するドメインを、その置換部位でのまたはその置換部位に対するさらなるまたは他の変異体の導入により、精選する。従って、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決めておくが、突然変異は予め決めておく必要はない。例えば、所与の部位での突然変異の遂行能力を最適化するために、アラニンスキャニングまたはランダム突然変異誘発をターゲットコドンまたは領域で行うことができ、発現された変異体を、抗原もしくは細胞結合について、または新生物、腫瘍、癌もしくは転移細胞のアポトーシスを誘導するもしくは増殖を抑制する能力についてスクリーニングする。
自然に存在するL−アミノ酸がD形アミノ酸で置換されることを除き、アミノ酸置換は、同じアミノ酸でのものであり得る。従って、修飾体は、L−アミノ酸を置換した1つ以上のD−アミノ酸、またはL−アミノ酸を置換したD−アミノ酸の混合物を含む。修飾体は、構造的および機能的類似体、例えば、合成もしくは非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体および誘導体化形態を有するペプチドミメティックも含む。
修飾形は、誘導体化配列、例えば、遊離アミノ基がアミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基を形成するアミノ酸;塩、メチルおよびエチルエステルからの遊離カルボキシ基;O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成する遊離ヒドロキシル基、ならびに自然に存在するアミノ酸誘導体、例えば、プロリンについての4−ヒドロキシプロリン、リシンについての5−ヒドロキシリシン、セリンについてのホモセリン、リシンについてのオルチニンなどをさらに含む。当該技術分野において公知の方法(例えば、PCRに基づく部位特異的、欠失および挿入突然変異誘発、化学的修飾および突然変異誘発、架橋など)を用いて、修飾体を生産することができる。
修飾形は、付加および挿入を含む。例えば、付加は、タンパク質(例えば、抗体)、核酸または他の組成物への任意のタイプの分子の共有結合性または非共有結合性付着であり得る。概して、付加および挿入は、異なる活性または機能をもたらす。
付加物および挿入物としては、融合(キメラ)ポリペプチドまたは核酸配列が挙げられ、これは、その配列に共有結合で付着させた参照天然(野生型)配列中には通常存在しない1つ以上の分子を有する配列である。特定の例は、多機能タンパク質(例えば、多重特異性抗体)を生成するための別のタンパク質(例えば、抗体)のアミノ酸配列である。
本発明に従って、異種ドメインを含む抗体、核酸および他の組成物を提供する。例えば、異種ドメインは、様々な異なるタイプの小さなまたは大きな機能性部分から成る場合がある。そのような部分としては、核酸、ペプチド、炭水化物、脂質または小さな有機化合物、例えば薬物(例えば、細胞抗増殖剤)、金属(金、銀)などが挙げられる。異種ドメインは、アミノ酸付加物または挿入物である場合もある。
異種ドメインの特定の非限定的例としては、例えば、タグ、検出可能な標識および細胞傷害剤が挙げられる。タグおよび検出可能な標識の具体的な例としては、酵素(ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ);酵素基質;リガンド(例えば、ビオチン);受容体(アビジン);放射性核種(例えば、C14、S35、P32、P33、H3、I125、I131、ガリウム−67および68、スカンジウム−47(scantium−47)、インジウム−111、ラジウム−223);T7−、His−、myc−、HA−およびFLAG−タグ;高電子密度試薬;エネルギー移動分子;常磁性標識;蛍光体(フルオレセイン、フルオレスカミン(fluorscamine)、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン);発色団;化学発光剤(イミダゾール、ルシフェラーゼ、アクリジニウム、シュウ酸塩);ならびに生物発光剤が挙げられる。細胞傷害剤(細胞毒)の具体的な例としては、ジフテリア(diptheria)、毒素、コレラ毒素およびリシンが挙げられる。
異種ドメインの追加の例としては、例えば、抗細胞増殖剤(例えば、抗新生物、抗腫瘍もしくは抗癌、または抗転移剤)が挙げられる。抗細胞増殖剤(例えば、抗新生物、抗腫瘍もしくは抗癌、または抗転移剤、細胞毒など)の具体的な非限定的例は、本明細書に開示しており、当該技術分野において公知である。
2つのエンティティーが、少なくとも一部、異なる機能または活性を維持するように、タンパク質(例えば、抗体)、核酸または他の組成物と付加または挿入物(例えば、異種ドメイン)の間にリンカー配列を挿入してもよい。リンカー配列は、可撓性構造;規則二次構造を形成できないこと;またはいずれかのドメインを促進することができるもしくはいずれかのドメインと相互作用することができる疎水性もしくは荷電特性を含む、1つ以上の特性を有することができる。可撓性タンパク質領域において概して見つけられるアミノ酸としては、Gly、AsnおよびSerが挙げられる。他の近天然アミノ酸、例えばThrおよびAla、もリンカー配列において用いることができる。リンカー配列の長さは、様々であり得る(例えば、米国特許第6,087,329号参照)。リンカーとしては、化学的架橋および結合体化剤、例えば、スルホ−スクシンイミジル誘導体(スルホ−SMCC、スルホ−SMPB)、ジスクシンイミジルスベリン酸塩(DSS)、ジスクシンイミジルグルタル酸塩(DSG)およびジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)がさらに挙げられる。
付加のさらなる例としては、グルコシル化、脂肪酸、脂質、アセチル化、リン酸化、アミド化、ホルミル化、ユビキチン化(ubiquitinatation)、ならびに保護/ブロック基および非常に多数の化学的修飾のいずれかによる誘導体化が挙げられる。他の変更および可能性は、当業者には容易にわかることなので、本発明の範囲内であると考えられる。
組成物の修飾語として用いる用語「単離された」は、その組成物が、人の手によって作られたものである、またはインビボ環境におけるそれらの自然に存在する1つ以上の他の成分から分離されていることを意味する。一般に、そのように分離された組成物には、それらが天然の場合、通常、会合している1つ以上の材料、例えば1つ以上のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜、が実質的にない。従って、単離された組成物は、その組成物が自然に存在する生物の細胞内の他の生体成分から、またはそれが(例えば、合成的にもしくは細胞培養により)生産される人工培地から、実質的に分離されている。例えば、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチドおよび核酸から実質的に分離されており、例えばポリペプチド、ゲノムまたはcDNAライブラリなどの、何百万ものポリペプチドまたは核酸配列の中に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドのライブラリを含まない。単離された核酸は、他のポリペプチドおよび核酸から実質的に分離されており、例えばポリペプチド、ゲノムまたはcDNAライブラリなどの、何百万ものポリペプチドまたは核酸配列の中に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチドのライブラリを含まない。用語「単離された」は、その組成物の代替物理的形態を除外せず、例えば、単離されたタンパク質は、タンパク質多量体、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化)または誘導体化形態を含むだろう。
組成物の修飾語として用いる用語「精製された」は、それが天然の場合、通常、会合している材料の大部分またはすべてが無い組成物を指す。従って、細胞から分離されたタンパク質は、標準的な方法により細胞成分から分離されたとき、実質的に精製されたとみなされる一方で、化学的に合成された核酸配列は、その化学的前駆体から分離されたとき、実質的に精製されたとみなされる。従って、精製されたとは、絶対純度を必要としない。さらに、「精製された」組成物を1つ以上の他の分子と組み合わせることができる。従って、用語「精製された」は、組成物の組み合わせを除外しない。
「精製された」タンパク質および核酸は、標準的な精製方法によって生産されたタンパク質および核酸を含む。この用語は、宿主細胞における組換え発現ならびに化学合成によって生産されたタンパク質および核酸も含む。「精製された」は、不純物レベルが、ヒトまたは非ヒト動物への投与について監督機関、例えば米国食品医薬品局(FDA)、に許容されるレベルより下である組成物を指す。
実質的純度は、質量で、分子の少なくとも約60%以上であり得る。純度は、約70%または80%以上である場合もあり、より高い、例えば90%以上である場合もある。純度は、より低い場合があり、例えば、製薬用担体中、重量%での分子の量は、60%未満である場合もあるが、通常それが会合している他の成分と比較してその分子の相対比率のほうが高いであろう。純度は、例えばUV分光法、クロマトグラフィー(例えば、HPLC、気相)、ゲル電気泳動(例えば、銀またはクマシー染色)および配列分析(ペプチドおよび核酸)をはじめとする、任意の適切な方法によって決定することができる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の生産方法は、当該技術分野において公知である。例えば、キーホル・リンペット・ヘモシアニン(KLH)もしくはオボアルブミン(例えば、BSA)などの担体に場合によっては結合体化された、またはフロイント完全もしくは不完全アジュバントなどのアジュバントと場合によっては混合された、および動物を免疫するために使用される、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)またはその免疫原性フラグメント。従来のハイブリドーマ技術を用いて、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に応答する免疫動物から脾細胞を単離し、骨髄腫細胞と融合させることができる。そのハイブリドーマによって生産されたモノクローナル抗体を、ELISAにより、例えば、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)との反応性についてスクリーニングすることができる。抗体および機能性フラグメントの追加の非限定的な特定のスクリーニングおよび選択法としては、ファージディスプレー、リボソームによるタンパク質−mRNA連結およびmRNAディスプレー、酵母、細菌、哺乳動物細胞またはレトロウイルス上でのディスプレー、インビトロコンパートメント化によるマイクロビーズ、タンパク質−DNAディスプレー、酵母2−ハイブリッドによる成長選択、タンパク質フラグメント相補性(Hoogenboom,R.,Nature Biotechnol.23:1105(2005))が挙げられる。
細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する抗体を、従来の競合結合アッセイを用いてスクリーニングおよび同定することができる。スクリーニングされた抗体を、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する能力に基づいて、選択することができる。細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合についてLM−1抗体と競合する能力、または細胞もしくは抗原(例えば、NONO/nmt55)へのLM−1抗体の結合を抑制、予防もしくは遮断する能力は、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)をはじめとする、当該技術分野において公知の様々なアッセイによって判定することができる。
タンパク質および抗体、それらの部分配列およびフラグメント、ならびに他の修飾配列は、遺伝学的方法論によって生産することができる。そのような技術は、Cos細胞またはE.coliなどの宿主細胞へのタンパク質または抗体をコードする遺伝子のすべてまたは一部の発現を含む。そのような宿主細胞は、完全長を発現する場合もあり、またはフラグメント、例えばscFv、を発現する場合もある(例えば、Whitlowら,In:Methods:A Companion to Methods in Enzymology 2:97(1991)、Birdら,Science 242:423(1988);および米国特許第4,946,778号参照)。抗体および機能性フラグメント、ならびに核酸配列は、当業者に公知の方法、例えば自動ペプチド合成装置(例えば、Applied Biosystems,Foster City,CA参照)、を用いて化学合成することにより、生産することもできる。
抗体の産生に適する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)は、当該技術分野において公知の様々な標準的タンパク質精製または組換え発現技術のいずれによって生産してもよい。例えば、細菌または真核細胞(例えば、酵母)をはじめとする細胞に、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)をトランスフェクトすることができる。Lm−1は、Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、または肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞などの細胞上にも存在する。従って、組換えLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)、全細胞、または細胞調製物、そのような細胞の細胞抽出物もしくは画分を使用して動物を免疫して、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体と細胞へのまたは抗原(例えば、NONO/nmt55)への結合について競合する抗体、あるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体を生産することができる。
免疫することができる動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ウシもしくは去勢ウシ、モルモットまたは霊長類が挙げられる。初回免疫処置およびいずれの任意の後続免疫処置も、静脈内、腹腔内、筋肉内または皮下経路によって行うことができる。後続免疫処置は、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)調製物の同じでの場合もあり、または異なる濃度での場合もあり、および規則的な間隔での場合もあり、または不規則な間隔での場合もある。
動物としては、ヒトIgG遺伝子座を含むように遺伝子修飾されたものであって、従って、ヒト抗体を生産するために使用することができるものが挙げられる。内因性免疫グロブリンを発現しない1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニック動物は、例えば、米国特許第5,939,598号に記載されている。ヒトポリクローナル抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのさらなる方法が記載されている(例えば、Kuroiwaら,Nat.Biotechnol.20:889(2002);WO 98/24893;WO 92/01047;WO 96/34096;WO 96/33735;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,771号;および同第5,939,598号参照)。ヒト抗体を生産するための技術の概要は、Lonberg and Huszar(Int.Rev.Immunol.13:65(1995))に記載されている。
ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレー技術、またはそれらの組み合わせをはじめとする他の技術を用いて、抗体を産生させることもできる(例えば、米国特許第4,902,614号、同第4,543,439号、および同第4,411,993号参照;Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Plenum Press,Kennett,McKearn,and Bechtol(eds.),1980、およびHarlowら,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988も参照)。
抗体部分配列およびフラグメントを、抗体のタンパク質分解性加水分解によって、例えば、全抗体のペプシンまたはパパイン消化によって、作製することができる。ペプシンでの酵素的切断によって生産された抗体部分配列およびフラグメントは、F(ab’)2に示される5Sフラグメントを生じさせる。チオール還元剤を使用してこのフラグメントをさらに切断して、3.5S Fab’一価フラグメントを生産することができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素的切断により、2つの一価Fab’フラグメントおよびFcフラグメントが直接生産される(例えば、米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号;ならびにEdelmanら,Methods Enymol.1:422(1967)参照)。米国特許第4,946,778号および同第5,258,498号;Hustonら,Methods Enzymol.203:46(1991);Shuら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7995(1993);およびSkerraら,Science 240:1038(1988)に記載されているように、一本鎖Fvsおよび抗体を生産することができる。抗体を切断する他の方法、例えば、一価軽−重鎖フラグメントを形成するための重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、または他の酵素的もしくは化学的方法も用いることができる。
当業者に公知の方法を用いて、増加された結合親和性などの改変された特性を有する修飾抗体および機能性フラグメントを生産することができる。例えば、親和性成熟技術を用いて、抗体結合親和性を向上させることができる(US 2004/0162413 A1;米国特許第6,656,467号、同第6,531,580号、同第6,590,079号および同第5,955,358号;Fiedlerら,Protein Eng.15:931(2002);Pancookら,Hybrid.Hybridomics 20:383(2001);Daughertyら,Protein Eng.11:825(1998);Wuら,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:6037(1998);およびOsbournら,Immunotechnology 2:181(1996))。
例えば、CDRグラフト法(EP 239,400;W091/09967;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;および同第5,585,089号)、メニヤリング(veneering)または表面再形成(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan,Molecular Immunol.28:489(1991);Studnickaら,Protein Engineering 7:805(1994);Roguska.ら,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 91:969(1994))、および連鎖シフト法(米国特許第5,565,332号)をはじめとする、当該技術分野において公知の様々な方法を用いて、抗体をヒト化することができる。ヒトコンセンサス配列(Padlan,Mol.Immunol.31:169(1994);およびPadlan,Mol.Immunol.28:489(1991))は、ヒト化抗体を生産するために以前に用いられている(Carterら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4285(1992);およびPrestaら,J.Immunol.151:2600(1993))。
キメラ抗体を生産するための方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら,BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら,J.Immunol.Methods 125:191(1989);ならびに米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号)。ある種の抗体からの可変ドメインで別の種の可変ドメインが置換されているキメラ抗体は、例えば、Munro,Nature 312:597(1984);Neubergerら,Nature 312:604(1984);Sharonら,Nature 309:364(1984);Morrisonら,Proc. Nat’l.Acad.Sci.USA 81:6851(1984);Boulianneら,Nature 312:643(1984);Caponら,Nature 337:525(1989);およびTrauneckerら,Nature 339:68(1989)に記載されている。
抗体法においてさらに利用することができる適切な技術としては、親和精製、非変性ゲル精製、HPLCもしくはRP−HPLC、サイズ排除、プロテインAカラムでの精製、またはこれらの技術の任意の組み合わせが挙げられる。ELISAアッセイを用いて抗体アイソタイプを判定することができ、例えば、マウスIg吸着抗ヒトIgを用いてヒトIgを同定することができる。
本発明に従って、抗体および機能性フラグメントを生産する方法をさらに提供する。1つの実施形態における方法は、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞、を動物に投与すること;LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)にまたはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞に結合する抗体の発現について前記動物をスクリーニングすること;LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞に結合する抗体を生産する動物を選択すること;および選択された動物から前記抗体を単離することを含む。もう1つの実施形態における方法は、ヒト免疫グロブリンを発現することができる動物に、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞を投与すること;LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)にまたはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞に結合する抗体を生産する動物から脾臓細胞を単離すること;前記脾臓細胞と骨髄腫細胞を融合させてハイブリドーマを生産すること;およびLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)にまたはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞に結合する抗体の発現について前記ハイブリドーマをスクリーニングすることを含む。
本発明に従って、本明細書に示すような抗体およびそれらの抗体の機能性フラグメントを発現する宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞を精製または単離するが、場合によっては、該宿主細胞は、発現された抗体または機能性フラグメントをコードする核酸で形質転換されたものではない。追加の実施形態において、宿主細胞は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%以上の配列同一性を有する重鎖または軽鎖配列を含む抗体または機能性フラグメントを発現する。さらなる実施形態において、宿主細胞は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の重鎖可変領域配列または軽鎖可変領域配列内の1つ以上のCDR(例えば、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、および配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)との少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜100%の同一性を有する重鎖または軽鎖配列を発現する。
本発明に従って、単離および精製された核酸を提供する。本発明の核酸としては、数ある中でも、1)細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体に構造的にまたは機能的に関連している抗体および機能性フラグメントをコードする核酸配列:2)細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体をコードする核酸配列、あるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との配列同一性を有する抗体および機能性フラグメントをコードする核酸配列とある程度の相補性または同一性を示す、配列番号1、3、5、7または9および11または13のすべてまたは一部分(例えば、1つ以上のCDR、1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)を含む抗体および機能性フラグメントをコードする核酸配列;ならびに4)細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体との配列同一性を有する抗体および機能性フラグメントをコードする配列にハイブリダイズする核酸配列が挙げられる。
特定の実施形態において、核酸配列は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体またはその機能性フラグメントの重鎖または軽鎖配列をコードする。もう1つの実施形態において、核酸配列は、配列番号1、3、5、7または9および11または13をコードする核酸配列と75〜100%相補的または同一である。さらなる実施形態において、核酸配列は、配列番号9をコードする核酸と75〜100%相補的または同一である。
アミノ酸置換、付加または欠失を含む抗体などのタンパク質は、核酸によってコードされ得る。それ故に、アミノ酸置換、付加または欠失を含むタンパク質をコードする核酸配列も提供する。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」およびこれらに類するものは、ホスホエステル結合または等価のものにより連結されている少なくとも2つ以上のリボまたはデオキシリボ核酸塩基対(ヌクレオチド)を指す。核酸は、ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオシドを含む。核酸は、一本鎖、二本鎖または三本鎖、環状または線状分子を含む。例示的核酸としては、RNA、DNA、cDNA、ゲノム核酸、自然に存在するおよび自然に存在しない核酸、例えば合成核酸が挙げられるが、それらに限定されない。
核酸は、様々な長さのものであり得る。核酸長は、概して、約20ヌクレオチドから20Kb、または前述の長さ内のもしくは前述の長さを包含する任意の数値もしくは範囲、10ヌクレオチドから10Kb、1から5Kb以下、1000から約500ヌクレオチド以下の長さにわたる。核酸は、より短い場合もあり、例えば、100から約500ヌクレオチド、または約12から25、25から50、50から100、100から250、もしくは約250から500ヌクレオチドの長さ、あるいは前述の長さ内のもしくは前述の長さを包含する任意の数値もしくは範囲もしくは値である場合もある。特定の実施形態において、核酸配列は、約10から20、20から30、30から50、50から100、100から150、150から200、200から250、250から300、300から400、400から500、500から1000、1000から2000ヌクレオチド、または前述の長さ内のもしくは前述の長さを包含する任意の数値もしくは範囲の長さを有する。追加の実施形態において、核酸配列は、長さが、配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13、またはそれらの部分配列、例えば、配列番号2のヌクレオチド72〜105、153〜201もしくは300〜354および配列番号12のヌクレオチド69〜105、153〜174もしくは270〜303、のいずれかをコードするような範囲にわたる。より短いポリヌクレオチドは、一般に、「オリゴヌクレオチド」または一本鎖もしくは二本鎖DNAの「プローブ」と呼ばれる。しかし、そのようなオレゴヌクレオチドの長さに上限はない。
ポリヌクレオチドは、L形またはD形およびそれらの混合物を含み、これらは、被験体に投与されたときに耐分解性になるようにこれらをさらに修飾されることがある。特定の例としては、被験体の様々な組織または体液中に存在するエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼに対して耐性の5’および3’結合が挙げられる。
本発明に従って、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体のすべてまたはフラグメントをコードする核酸にハイブリダイズする核酸配列を提供する。1つの実施形態において、核酸配列は、配列番号1、3、5、7もしくは9またはそれらの一部分(例えば、配列番号2のヌクレオチド72〜105、153〜201もしくは300〜354)をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施形態において、核酸配列は、配列番号11もしくは13またはそれらの一部分(例えば、配列番号12の軽鎖可変領域CDRに対応するヌクレオチド位置、69〜105、153〜174もしくは270〜303)をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする。さらなる実施形態において、核酸配列は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体のすべてまたは部分配列もしくはフラグメントをコードする核酸配列と少なくとも75〜100%相補的または相同的である。
用語「ハイブリダイズする」およびその文法上の語尾変化は、核酸配列間の結合を指す。ハイブリダイズする配列は、一般に、参照核酸とのまたは参照配列に相補的な配列との約50%より大きい相同性(例えば、50%、60%、70%、80%、90%以上の同一性)を有するであろう。参照配列と、例えば参照配列のアミノ酸配列をコードする核酸と、100%または完全に相補的であるハイブリダイズする配列は、ミスマッチのない100%塩基対合を示す。ハイブリダイズする配列間のハイブリダイゼーション領域は、概して、少なくとも約12〜15ヌクレオチド、15〜20ヌクレオチド、20〜30ヌクレオチド、30〜50ヌクレオチド、50〜100ヌクレオチド、100〜200ヌクレオチド以上、または前述の長さ内のもしくは前述の長さを包含する任意の数値もしくは範囲である。
本発明に従って、アンチセンスポリヌクレオチド、短鎖干渉RNA、およびリボザイム核酸をさらに提供する。1つの実施形態において、アンチセンスポリヌクレオチド、短鎖干渉RNA、またはリボザイム核酸は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体をコードする核酸配列あるいは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13またはそれらの一部分をコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズし、ならびに細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の発現を場合によっては低減する。もう1つの実施形態において、アンチセンスポリヌクレオチド、短鎖干渉RNA、またはリボザイム核酸は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体またはその部分配列(例えば、配列番号2のヌクレオチド72〜105、153〜201もしくは300〜354または配列番号12のヌクレオチド69〜105、153〜174もしくは270〜303)をコードする核酸配列と少なくとも60%以上(例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%など)相補的または相同的である。アンチセンスポリヌクレオチドは、約10から20、20から30、30から50、50から100、100から150、150から200、200から250、250から300、300から400、400から500、500から1000、1000から2000ヌクレオチド、または前述の長さ内のもしくは前述の長さを包含する任意の数値もしくは範囲の長さを有する場合がある。
本明細書において用いる場合、用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に結合することができるポリヌクレオチドまたはペプチド核酸を指す。アンチセンスは、RNA転写産物またはDNAを結合する、一本鎖、二本鎖、三本鎖またはより多くの鎖のRNAおよびDNAポリヌクレオチドおよびペプチド核酸(PNA)を含む。特定の例としては、センスRNAに結合するRNAおよびDNAアンチセンスが挙げられる。例えば、一本鎖核酸は、細胞からのグリコーゲンの代謝、異化、除去または分解に関与するタンパク質転写産物(例えば、mRNA)をターゲットにすることができる。アンチセンス分子は、概して、センス鎖に95〜100%相補的であるが、それらのヌクレオチドの一部しかセンス分子に結合しない「部分的に」相補的(100%未満相補的、例えば95%、90%、80%、70%および時としてそれより少ない)、または前述のパーセント値内のもしくは前述のパーセント値を包含する任意の数値もしくは範囲である場合もある。
三本鎖形成性アンチセンスは、二本鎖DNAに結合し、それによって遺伝子の転写を抑制することができる。遺伝子の転写開始部位に由来する、例えば、そのスタート部位から位置−10と+10の間のオリゴヌクレオチドが、1つの特定の例である。
遺伝子発現を抑制する短鎖干渉RNA(siRNAまたはRNAiと呼ばれる)は、当該技術分野において公知である(例えば、Kennerdellら,Cell 95:1017 (1998);Fireら,Nature,391:806 (1998);WO 02/44321;WO 01/68836;WO 00/44895、WO 99/32619、WO 01/75164、WO 01/92513、WO 01/29058、WO 01/89304、WO 02/16620;およびWO 02/29858参照)。「ヘアピン」構造を形成するRNAをコードする核酸によって、またはハイブリダイズする2つのRNA分子を構成するコード核酸のそれぞれの末端からのRNAの発現によって、RNAiサイレンシングを誘導することができる。
RNAの特異的切断を触媒する酵素的RNA分子であるリボザイムを使用して、コードされたタンパク質の発現を抑制することができる。リボザイムは、相補的ターゲットRNAを用いて配列特異的ハイブリッドを形成し、その後、その相補的ターゲットRNAは切断される。具体的な例としては、例えば、グリコーゲンの代謝、異化、除去または分解に関与するタンパク質をコードする配列の内ヌクレオチド鎖分解性切断を特異的におよび効率的に触媒することができる、遺伝子工学によって作られたハンマーヘッド・モチーフ・リボザイム分子が挙げられる。
アンチセンス、リボザイム、RNAiおよび三本鎖形成性核酸を本明細書では総称して「抑制性核酸」または「抑制性ポリヌクレオチド」と呼ぶ。そのような抑制性核酸またはポリヌクレオチドは、それが結合するまたはターゲットにする配列の発現を抑制または低減することができ、および従って、コードされたタンパク質を適宜抑制または低減することができる。
抑制性ポリヌクレオチドは、インビボで機能するために発現制御要素を必要としない。抑制性ポリヌクレオチドは、細胞によって吸収される場合もあり、または受動的拡散によって細胞に進入する場合もある。場合によっては、ベクターを用いて抑制性ポリヌクレオチドを細胞に導入することができる。抑制性ポリヌクレオチドは、核酸によってコードされて転写されることがある。さらに、細胞におけるまたはインビボでのコードされたアンチセンスの発現持続または増加のために、抑制性ポリヌクレオチドをコードする核酸を発現制御要素に作動可能に連結させることができる。抑制性核酸は、本明細書に開示するまたはデータベースにおいて入手できるタンパク質および核酸配列に基づいて設計することができる。
核酸配列は、ヌクレオチドおよびヌクレオシド置換、付加および欠失、ならびに誘導体化形および融合/キメラ配列(例えば、組換えポリペプチドをコードするもの)をさらに含む。例えば、遺伝子コードの縮重のため、核酸は、 をコードする核酸、それらの修飾形および変異体に関して縮重した配列および部分配列を含む。他の例は、 をコードする配列に相補的な核酸である。
核酸欠失体(部分配列およびフラグメント)は、約10から25、25から50または50から100ヌクレオチドを有する場合がある。そのような核酸は、細胞、培養基、生物学的サンプル(例えば、組織、器官、血液もしくは血清)における、または被験体における、ポリペプチド部分配列の発現に、遺伝子操作に(PCR増幅のためのプライマーおよびテンプレートとして)、およびタンパク質をコードする配列の存在または量を(例えば、ハイブリダイゼーションによって)検出するためのプローブとして有用である。
様々な標準的クローニングおよび化学合成技術を用いて、核酸を生産することができる。技術としては、抗体をコードする配列にアニールすることができるプライマー(例えば、縮重プライマー混合物)を使用するゲノムDNAまたはcDNAターゲットを用いる核酸増幅、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられるが、これに限定されない。化学合成(例えば、固相ホルホルアミダイト合成)または遺伝子からの転写によって核酸を生産することもできる。その後、それらの生産された配列をインビトロで翻訳し、またはプラスミドにクローニングし、増殖し、その後、細胞(例えば、宿主細胞、例えば酵母もしくは細菌、真核細胞、例えば動物もしくは哺乳動物細胞においてまたは植物において)発現させることができる。
本発明に従って、本発明の核酸配列を含むベクターをさらに提供する。1つの実施形態において、ベクターは、本明細書に示すような抗体または機能性フラグメントをコードする核酸配列を含む。もう1つの実施形態において、ベクターは、 をコードする核酸配列を含む。
ベクターとしては、ウイルスベクター、原核(細菌)ベクターおよび真核(植物、真菌、哺乳動物)ベクターが挙げられる。ベクターは、例えば、インビトロまたはインビボでの核酸の発現に使用することができる。「発現ベクター」と呼ばれる、そのようなベクターは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、その部分配列およびフラグメントをコードする核酸、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体の修飾形または変異体をコードする核酸、抑制性核酸をコードする核酸をはじめとする、核酸の導入に、ならびに細胞におけるまたは被験体におけるインビボでの、コードされたタンパク質または抑制性核酸の(例えば、溶液中でのまたは固相での)発現に有用である。
ベクターは、核酸の操作にも用いることができる。遺伝子操作のために「クローニングベクター」を利用することができ、それを利用して、挿入された核酸を転写または翻訳することができる。
ベクターは、一般に、インビトロまたはインビボでの細胞における増殖のための複製起点を含有する。ベクター内に存在する、発現制御要素をはじめとする、制御要素を、転写および翻訳を助長するために、適宜、含めることができる。
ベクターは、選択マーカーを含む場合がある。「選択マーカー」は、その遺伝子を含有する細胞の選択に備える遺伝子である。「陽性選択」は、選択マーカーを含有する細胞が、陽性選択への暴露時に生き残るプロセスを指す。薬物耐性は、陽性選択マーカーの一例である−このマーカーを含有する細胞は、選択薬物を含有する培養基中で生き残るであろうが、このマーカーを欠く細胞は、死ぬであろう。選択マーカーとしては、薬物耐性遺伝子、例えば、G418に対する耐性を付与するneo、ヒグロマイシンに対する耐性を付与するhygr、およびピューロマイシンに対する耐性を付与するpuroが挙げられる。他の陽性選択マーカー遺伝子としては、このマーカーを含有する細胞の同定またはスクリーニングを可能にする遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子としては、蛍光タンパク質(GFPおよびGFP様発色団、ルシフェラーゼ)についての遺伝子、lacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ遺伝子、および表面マーカー、例えば、数ある中でもCD8、が挙げられる。「陰性選択」は、陰性選択マーカーを含有する細胞が、適切な陰性選択剤への暴露時に死滅するプロセスを指す。例えば、単純疱疹ウイルス−チミジンキナーゼ(HSV−tk)遺伝子(Wiglerら,Cell 11:223(1977))を含有する細胞は、薬物ガンシクロビル(GANC)に対して感受性である。類似して、gpt遺伝子は、細胞を6−チオキサンチンに対して感受性にする。
ウイルスベクターとしては、レトロウイルス(分裂中および非分裂中の細胞を感染させるにはレンチウイルス)、フォーミーウイルス(米国特許第5,624,820号、同第5,693,508号、同第5,665,577号、同第6,013,516号および同第5,674,703号;WO92/05266およびWO92/14829)、アデノウイルス(米国特許第5,700,470号、同第5,731,172号および同第5,928,944号)、アデノ関連ウイルス(AAV)(米国特許第5,604,090号)、単純疱疹ウイルスベクター(米国特許第5,501,979号)、サイトメガロウイルス(CMV)に基づくベクター(米国特許第5,561,063)、レオウイルス、ロタウイルスゲノム、シミアンウイルス40(SV40)または乳頭腫ウイルス(Coneら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349(1984);Eukaryotic Viral Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed.,1982;Sarverら,Mol.Cell.Biol.1:486(1981);米国特許第5,719,054)に基づくものが挙げられる。アデノウイルスは、ゆっくりと複製するおよび/または最終分化した細胞を効率的に感染させ、ならびにゆっくりと複製するおよび/または最終分化した細胞にターゲッティングするために使用することができる。発現に有用な追加のウイルスベクターとしては、パラボウイルス、ノーウォークウイルス、コロナウイルス、パラミクソ−およびラブドウイルス、トガウイルス(例えば、シンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス)ならびに水疱性口内炎ウイルス(VSV)が挙げられる。
核酸を発現制御要素に作動可能に連結させると、核酸を発現させることができる。本明細書において用いる場合、用語「作動可能に連結された」は、述べている要素間の、それらをそれらの所期の様式で作動させるような、物理的または機能的関係を指す。従って、核酸に「作動可能に連結された」発現制御要素は、それらの制御要素が核酸の転写および適宜その転写産物の翻訳を調節することを意味する。
用語「発現制御要素」は、作動可能に連結された核酸の発現に影響を及ぼす核酸を指す。プロモーターおよびエンハンサーは、発現要素の特定の非限定的例である。「プロモーター配列」は、下流(3’方向)配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。このプロモーター配列は、転写開始を助長するヌクレオチドを含む。エンハンサーも遺伝子発現を調節するが、それが作動可能に連結されている遺伝子の転写スタート部位から離れたところで機能することができる。エンハンサーは、その遺伝子の5’または3’末端いずれかで、ならびにその遺伝子の内部で(例えば、イントロンまたはコーディング配列において)機能する。追加の発現制御要素としては、リーダー配列および融合パートナー配列、多重遺伝子の生成のための内部リボソーム結合部位(IRES)要素、またはポリシストロン性、メッセージ、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAのインフレーム翻訳を可能にするような遺伝子の正しいリーディングフレームの維持、関心のある転写産物の適切なポリアデニル化をもたらすためのポリアデニル化シグナル、および停止コドンが挙げられる。
発現制御配列は、作動可能に連結された核酸の転写がシグナルまたは刺激の存在なしで発生する「構成的」要素を含む。作動可能に連結された核酸の発現を増加させるまたは減少させる、シグナルまたは刺激に応じて発現をもたらす発現制御要素は、「調節性」である。作動可能に連結された核酸の発現をシグナルまたは刺激に応じて増加させる調節性要素は、「誘導性要素」と呼ばれる。作動可能に連結された核酸の発現をシグナルまたは刺激に応じて減少させる調節性要素は、「抑制性要素」と呼ばれる(すなわち、そのシグナルが発現を減少させ;そのシグナルが除去されるまたは存在しないと、発現は増加される)。
発現制御要素は、「組織特異的発現制御要素」と呼ばれる、特定の組織または細胞タイプにおいて活性な要素を含む。組織特異的発現制御要素は、特定の細胞または組織タイプにおいて、概して、より活性である。それらは、転写アクチベータ―タンパク質、または他の細胞または組織タイプと比較して、その特定の細胞もしくは組織タイプにおいて活性な他の転写調節因子によって認識されるからである。
組織特異的発現制御要素としては、増殖亢進性細胞、例えば新生物、腫瘍および癌ならびに転移をはじめとする細胞増殖性疾患、において活性なプロモーターおよびエンハンサーが挙げられる。そのようなプロモーターの特定の非限定的例は、ヘキソキナーゼII、COX−2、アルファ−フェトプロテイン、胎児性癌抗原、DE3/MUC1、前立腺特異的抗原、C−erB2/neu、テロメラーゼ逆転写酵素および低酸素応答性プロモーターである。
細菌発現のための、構成的プロモーターとしては、T7、ならびに誘導性プロモーター、例えば、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)が挙げられる。昆虫細胞系の場合、構成的または誘導性プロモーター(例えば、エクジソン)を使用することができる。酵母の場合、構成的プロモーターとしては、例えば、ADHまたはLEU2、および誘導性プロモーター、例えばGAL、が挙げられる(例えば、Ausubelら,In:Current Protocols in Molecular Biology,Vol.2,Ch.13,ed.,Greene Publish.Assoc.& Wiley Interscience,1988;Grantら,In:Methods in Enzymology,153:516−544 (1987),eds.Wu & Grossman,1987,Acad.Press,N.Y.;Glover,DNA Cloning,Vol.II,Ch.3,IRL Press,Wash.,D.C.,1986;Bitter,In:Methods in Enzymology,152:673−684 (1987),eds.Berger & Kimmel,Acad.Press,N.Y.;およびStrathernら,The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces eds.Cold Spring Harbor Press,Vols.I and II(1982)参照)。
哺乳動物発現については、ウイルスまたは他の起源の構成的プロモーターを使用することができる。例えば、SV40、またはウイルスの長い末端反復配列(LTR)およびこれらに類するもの、または哺乳動物細胞のゲノムに由来する誘導性プロモーター(例えば、メタロチオネインIIAプロモーター;熱ショックプロモーター、ステロイド/甲状腺ホルモン/レチノイン酸応答要素)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;マウス乳癌ウイルスLTR)が使用される。
本発明に従って、本発明の核酸およびベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。1つの実施形態では、抗体、機能性フラグメント、重もしくは軽鎖配列、または重もしくは軽鎖配列の一部分(例えば、可変領域、または1つ以上のCDR、配列番号1、3、5、7もしくは9のアミノ酸24〜35、52〜67、もしくは100〜118、または配列番号11のアミノ酸23〜35、51〜58、もしくは90〜101)をコードする核酸で細胞を安定的にまたは一過的に形質転換させる。もう1つの実施形態では、アンチセンスまたは抑制性核酸で細胞を安定的にまたは一過的に形質転換させる。
宿主細胞としては、原核および真核細胞、例えば、細菌、真菌(酵母)、植物、昆虫および動物(例えば、霊長類およびヒトを含む、哺乳動物)細胞が挙げられるが、これらに限定されない。前記細胞は、初代細胞分離株、細胞培養物(継代、樹立もしくは不死化細胞株)、多数の細胞の一部、またはエクスビボでのもしくは被験体における(インビボでの)組織もしくは器官である場合がある。例えば、組換えバクテリオファージ核酸、プラスミド核酸もしくはコスミド核酸発現ベクターで形質転換された細菌;組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー・モザイク・ウイルス、CaMV;タバコ・モザイク・ウイルス、TMV)に感染させたもしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞;組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;および組換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス)に感染させた動物細胞系、または安定した発現のために作り変えられた形質転換動物細胞系。
細胞(例えば、宿主細胞)または生物に関して用いるときの用語「形質転換された」または「トランスフェクトされた」は、外来分子、例えばタンパク質または核酸(例えば、トランスジーン)、の細胞への組み込みの結果としてのその細胞における遺伝子変化を意味する。従って、「トランスフェクトされた」または「形質転換された」細胞は、外来分子が人の手により、例えば組換えDNA技術により、導入された細胞またはその後代である。
細胞およびその後代において核酸を安定的にまたは一過的にトランスフェクトまたは形質転換する(発現する)ことができる。従って、宿主細胞は、安定的にまたは一過的に抗体、機能性フラグメントまたは核酸を発現するものを含む。その(それらの)細胞を増殖させて、導入された抗体を発現させる、または核酸を転写することができる。トランスフェクトされたまたは形質転換された細胞の後代は、複製中に突然変異が発生することがあるので、親細胞と同一でないことがある。
概して、細胞トランスフェクションまたは形質転換は、「ベクター」(これは、プラスミド、ウイルス、例えばウイルスベクター、または核酸の挿入もしくは組み込みにより操作することができる当該技術分野において公知の他のビヒクルを指す)を利用する。
ターゲット細胞リガンドまたは受容体に結合する表面上にタンパク質を含めることにより、特定の細胞タイプ(例えば、増殖亢進性細胞)をターゲットにするようにウイルス粒子または小胞を設計することができる。あるいは、細胞タイプ特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーをベクターに含めて、ターゲット細胞において核酸を発現させることができる。従って、インビトロ、エクスビボまたはインビボでのトランスフェクションまたは形質転換のために、ウイルス粒子もしくは小胞それ自体、ウイルスベクター、またはウイルス表面上のタンパク質が、細胞をターゲットにするようにすることができる。
ターゲット細胞(例えば、宿主細胞)への組成物(例えば、タンパク質および核酸)の導入は、当該技術分野において公知の方法、例えば、浸透圧ショック(例えば、リン酸カルシウム)、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合などによって行うこともできる。他の技術を用いて、核酸およびポリペプチドのインビトロ、エクスビボおよびインビボでの導入を遂行することもできる。例えば、高分子物質、例えばポリエステル、ポリアミン酸、ヒドロゲル、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアセテート、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、硫酸プロタミン、またはラクチド/グリコリドコポリマー、ポリラクチド/グリコリドコポリマー、またはエチレンビニルアセテートコポリマー。コアセルベーション技術によりまたは界面重合により作製されたマイクロカプセルの中に、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルもしくはポリ(メチルメタクリレート)(poly(methylmethacrolate))マイクロカプセルの使用により、核酸を捕捉することができ、またはコロイドシステムの中に核酸を捕捉することができる。コロイド分散システムとしては、高分子複合体、ナノ−カプセル、マイクロスフェア、ビーズ、および脂質系システム(水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)が挙げられる。
様々な組成物を細胞に導入するためのリポソームは、当該技術分野において公知であり、それらとしては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リポフェクチンおよびDOTAP(例えば、米国特許第4,844,904号、同第5,000,959号、同第4,863,740号、および同第4,975,282号;ならびにGIBCO−BRL,Gaithersburg,Md)が挙げられる。遺伝子療法に有用なピペラジン系両性カチオン性脂質も公知である(例えば、米国特許第5,861,397号参照)。カチオン性脂質システムも公知である(例えば、米国特許第5,459,127号参照)。高分子物質、マイクロカプセルおよびコロイド分散システム、例えばリポソーム、を本明細書では、総称して「小胞」と呼ぶ。従って、細胞、組織または器官へのインビトロ、インビボおよびエクスビボでの送達のウイルスおよび非ウイルスベクター手段を含む。
本発明は、インビボ法を含む。例えば、LM−1抗体または機能性フラグメントが結合する細胞、例えば望ましくない増殖性細胞または細胞増殖性疾患が、哺乳動物などの被験体(例えば、ヒト被験体)体内に存在する場合がある。従って、そのような細胞、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)を発現する細胞表面を有する被験体を、例えばそのような細胞に結合する抗体またはその部分配列もしくはフラグメントを投与することにより、あるいは抗原(例えば、NONO/nmt55)を投与することにより、治療することができる。
本発明に従って、被験体における望ましくない細胞増殖または細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患を治療する方法を提供する。本明細書に示す抗体、機能性フラグメント、修飾および変異形のいずれかで、そのような方法を実施することができる。1つの実施形態における方法は、被験体に、該被験体における望ましくない細胞増殖または細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患を治療するために有効な量の、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体を投与することを含む。もう1つの実施形態における方法は、被験体に、該被験体における望ましくない細胞増殖または細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患を治療するために有効な量の、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体を投与することを含む。
本明細書において用いる場合、細胞、組織または器官に関連して用いるときの用語「細胞増殖性疾患」および「細胞増殖亢進性疾患」ならびにそれらの文法上の語尾変化は、望ましくない、過剰なまたは異常な細胞、組織または器官成長、増殖、分化または生存を指す。増殖亢進性細胞は、参照正常細胞、例えば、同じ組織もしくは器官のものであるが増殖亢進性細胞ではない細胞、または通常は分化することができない細胞、などの望ましいものより成長、増殖または生存が多い細胞を意味する。望ましくない細胞増殖および増殖亢進性疾患は、被験体における望ましくない、過剰なまたは異常な細胞数、細胞成長、細胞増殖、細胞生存または分化を特徴とする疾病および生理状態、両方とも良性過形成性状態、を含む。そのような疾患の具体的な例としては、転移性および非転移性新生物、腫瘍および癌(悪性疾患)が挙げられる。
様々な実施形態における方法は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体を、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)結合する抗体を、被験体に、該被験体における細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患を治療するために有効な量で投与することを含む。特定の態様において、前記疾患は、新生物、腫瘍または転移性もしくは非転移性癌(悪性疾患)である。追加の態様において、前記疾患は、乳房、肺、甲状腺、頭部および頚部、鼻咽頭、鼻もしくは洞、脳、脊柱、副腎、甲状腺、リンパ、胃腸管(口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、尿生殖路(子宮、卵巣、子宮内膜、子宮頚、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、副腎、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、筋肉、皮膚、または造血系を冒す、あるいはこれらに少なくとも一部は存在する。
用語「腫瘍」、「癌」および「新生物」は、交換可能に用いており、およびその成長、増殖または生存が、正常な対照細胞の成長、増殖または生存より多い細胞または細胞集団、例えば、細胞増殖性または分化性疾患を指す。概して、この増殖は、無制御である。用語「悪性疾患」は、近接組織の浸潤を指す。用語「転移」は、被験体体内の腫瘍、癌または新生物の他の部位、位置または領域への拡大または播種を指し、前記部位、位置または領域は、原発性腫瘍または癌とは異なる。
本発明の方法を用いて、原発性腫瘍もしくは癌の他の部位への転移、または原発性腫瘍もしくは癌から遠位の他の部位での転移性腫瘍もしくは癌の形成もしくは樹立を低減または抑制することができ、それによって、腫瘍もしくは癌再発または腫瘍もしくは癌進行を抑制または低減することができる。従って、本発明の方法は、数ある中でも、1)転移を発現する可能性のあるまたは発現する腫瘍または癌細胞(例えば、播種性腫瘍細胞、DTC)の成長、増殖、運動性または侵襲性を低減または抑制すること;2)原発性腫瘍または癌から生ずる該原発性腫瘍または癌とは異なる1つ以上の他の部位、位置または領域への転移の形成または樹立を低減または抑制すること;3)転移が形成したまたは樹立された後、原発性腫瘍または癌とは異なる1つ以上の他の部位、位置もしくは領域での該転移の成長または増殖を低減もしくは抑制すること;および4)転移が形成したもしくは樹立された後、追加の転移の形成もしくは樹立を低減もしくは抑制することを含む。
新生物、腫瘍および癌は、肉腫、癌腫、腺癌、黒色腫、骨髄腫、芽腫、神経膠腫、リンパ腫または白血病を含む。例示的癌としては、例えば、癌腫、肉腫、腺癌、黒色腫、神経の(芽腫、神経膠腫)、中皮腫および細網内皮性、リンパ性または造血性新生物疾患(例えば、骨髄腫、リンパ腫または白血病)が挙げられる。特定の態様において、新生物、腫瘍または癌としては、肺腺癌、肺癌腫、散在性または間質性胃癌腫、結腸腺癌、前立腺癌、食道癌腫、乳癌腫、膵腺癌、卵巣腺癌、副腎の腺癌、子宮内膜の腺癌または子宮腺癌が挙げられる。
新生物、腫瘍および癌は、良性、悪性、転移および非転移型を含み、ならびに任意の期(I、II、III、IVもしくはV)もしくはグレード(G1、G2、G3など)の新生物、腫瘍もしくは癌、または進行している、悪化している、安定している、もしくは寛解状態である新生物、腫瘍もしくは癌を含む。
新生物、腫瘍および癌は、乳房、肺、甲状腺、頭部および頚部、鼻咽頭、鼻または洞、脳、脊柱、副腎、甲状腺、リンパ、胃腸管(口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、尿生殖路(子宮、卵巣、子宮内膜、子宮頚、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、副腎、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、筋肉、皮膚、ならびに造血系をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、多数の原発性腫瘍タイプから生ずる場合があり、および続発部位に転移することがある。
「充実性新生物、腫瘍または癌」は、概して互いに集まって塊を形成している新生物、腫瘍または癌(例えば、転移)を指す。具体的な例としては、内臓腫瘍、例えば黒色腫、乳、膵臓、子宮および卵巣癌、精巣癌(精上皮腫を含む)、胃または結腸癌、ヘパトーム、副腎、腎および膀胱癌腫、肺、頭部および頚部癌、ならびに脳腫瘍/癌が挙げられる。
癌腫は、上皮または内分泌組織の悪性疾患を指し、ならびに呼吸器系癌腫(肺、小細胞肺)、胃腸系癌腫、尿生殖器系癌腫、精巣癌腫、乳癌腫、前立腺癌腫、内分泌系癌腫、および黒色腫を含む。この用語は、例えば癌腫性および肉腫性組織から成る悪性腫瘍を含む、癌肉腫を含む。腺癌は、腺組織の癌腫、または腫瘍が腺様構造を形成する癌腫を含む。黒色腫は、メラノサイト、および皮膚、目(網膜を含む)または身体の他の領域において発生し得る色素細胞に由来する他の細胞の悪性腫瘍を指す。さらなる癌腫は、子宮/子宮頚、子宮内膜、肺、頭部/頚部、結腸、膵臓、精巣、副腎、腎臓、食道、胃、肝臓および卵巣から生じ得る。
肉腫は、間葉細胞起源の悪性腫瘍を指す。例示的肉腫としては、例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫および線維肉腫が挙げられる。
神経新生物としては、神経膠腫、膠芽腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、乏突起膠細胞腫が挙げられる。
治療可能な新生物、腫瘍および癌の具体的な非限定的例としては、悪性および非悪性新生物、腫瘍および癌、ならびに転移が挙げられる。詳細には、任意の期(例えば、第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIBもしくはIV期)またはグレード(例えば、グレードG1、G2もしくはG3)の新生物、腫瘍、癌または転移。追加の非限定的な例としては、胃腺癌(例えば、散在型もしくは腸管型のもの)、結腸直腸腺癌、扁平上皮細胞肺癌腫、肺腺癌、食道の扁平上皮癌、膵臓の腺癌、膀胱の尿路上皮(urothel)癌腫、腎臓の腎癌腫、前立腺の腺癌、乳房の腺管癌腫、乳房の小葉癌腫、卵巣の腺癌、副腎の腺癌、子宮内膜の腺癌または子宮腺癌が挙げられる。
「液性新生物、腫瘍または癌」は、細網内皮系または造血系の新生物、腫瘍または癌、例えば、リンパ腫、骨髄腫もしくは白血病、または事実上、散在性である新生物を指す。白血病の特定の例としては、急性および慢性リンパ芽球性のもの、骨髄芽球性(myeolblastic)のものおよび多発性骨髄腫が挙げられる。概して、そのような疾病は、低分化型急性白血病、例えば赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病、から生ずる。具体的な骨髄性疾患としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられるが、これらに限定されず;リンパ性悪性疾患としては、B系列ALLおよびT系列ALLを含む急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症(WM)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な悪性リンパ腫としては、非ホジキンリンパ腫および異型、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大型顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード・ステルンベルグ病が挙げられる。
本明細書において用いる場合、用語「治療する」、「治療すること」、「治療」およびそれらの文法上の語尾変化は、個々の患者に、その患者において生理的応答または転帰を得るために望ましいプロトコル、レジメン、プロセスまたは治療薬を受けさせることを意味する。治療を受けたいずれの患者も、特定の治療プロトコル、レジメン、プロセスまたは治療薬に応答しないことがあるので、治療することによって、それぞれのおよびあらゆる患者または患者集団において所望の生理的応答または転帰が達成される必要はない。従って、所与の患者または患者集団は、治療に応答できないこともあり、または不適当に応答することもある。
本発明の方法は、任意の投与方式によって、または任意の経路、全身性、局部および局所投与によって実施することができる。例示的投与経路としては、静脈内、動脈内(intrarterial)、皮内、筋肉内、皮下、胸膜内、経皮(局所)、経粘膜、頭蓋内、髄腔内、眼内、直腸、経口(食事)および粘膜経路が挙げられる。
本発明の方法は、数ある中でも、所与の被験体の状態の検出可能なまたは測定可能な向上、例えば、細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移の存在に関連した1つ以上の有害な(身体的)症状または結果の緩和または改善、すなわち、治療恩恵または有益効果をもたらす方法を含む。
治療的恩恵または有益効果は、状態または病状の任意の客観的もしくは主観的、一過的、一時的もしくは長期向上、あるいは細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移、に関連したまたは起因する有害症状の発症、重症度、継続期間もしくは頻度の低減である。本発明による治療方法の満足な臨床エンドポイントは、例えば、1つ以上の関連病状、有害症状または合併症の重症度、継続期間もしくは頻度の漸増的または部分的低減、あるいは細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移、の生理的、生化学的または細胞的発現または特徴の1つ以上の抑制または逆転があるとき、達成される。従って、治療的恩恵または向上は、治癒、例えば、ターゲット増殖性細胞(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の破壊、あるいは細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移、に関連したまたは起因する1つ以上の、大部分のまたはすべての病状、有害症状または合併症の除去である。しかし、治療的恩恵または向上は、すべてのターゲット増殖性細胞(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)あるいは細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移、に関連したまたは起因するすべての病状、有害症状または合併症の治癒または完全な破壊である必要はない。例えば、腫瘍または癌の進行または悪化を抑制することによる、腫瘍もしくは癌細胞塊の部分的破壊、または腫瘍もしくは癌量、サイズもしくは細胞数の安定化は、腫瘍または癌の一部分または大部分の質量、サイズまたは細胞がそのままであったとしても、死亡率を低減し、ほんの数日間、数週間または数か月間であっても寿命を延ばすことができる。
治療的恩恵の具体的な非限定的例としては、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移容積(サイズもしくは細胞量)あるいは細胞数の低減;新生物、腫瘍または癌容積増加の抑制または予防(例えば、安定化);新生物、腫瘍または癌進行、悪化または転移の遅速または抑制;新生物、腫瘍または癌細胞溶解またはアポトーシスの刺激、誘導または増加;あるいは新生物、腫瘍または癌増殖、成長または転移の抑制が挙げられる。本発明の方法は、直ぐに効果を現さない場合がある。例えば、治療後に新生物、腫瘍または癌細胞数または量が増加することがあるが、その後、時間が経つにつれて、その新生物、腫瘍もしくは癌、または転移の細胞溶解またはアポトーシス後、所与の被験体における腫瘍細胞量、サイズまたは細胞数の最終的な安定化または低減が生ずることがある。
抑制、低減、減少、遅延または予防することができる新生物、腫瘍、癌および転移に関連したさらなる有害症状および合併症としては、例えば、悪心、食欲不振、嗜眠、疼痛および不快感が挙げられる。従って、細胞増殖亢進性疾患に関連したまたは起因する有害症状または合併症の重症度、継続期間または頻度の部分的または完全な減少または低減、被験体における快適さの向上、例えば、エネルギー、食欲、心理的快適さの増加は、すべて、治療恩恵の特定の非限定的な例である。従って、治療恩恵または向上は、治療を受ける被験体の生活の質の主観的向上も含む場合がある。
様々な実施形態における方法は、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移サイズまたは容積を低減または減少させ、新生物、腫瘍または癌、転移サイズまたは容積の増加を抑制または予防し、新生物、腫瘍または癌進行または悪化を抑制または遅延し、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移細胞溶解またはアポトーシスを刺激し、あるいは新生物、腫瘍または癌増殖または転移を抑制、低減、減少または遅延する。追加の実施形態における方法は、被験体の寿命を延長するかもしくは延ばす。さらなる実施形態における方法は、被験体の生活の質を向上させる。
新生物、腫瘍もしくは癌、または転移を含有する生検サンプル(例えば、血液または組織サンプル)の検査により、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移細胞容積または細胞数を確証することができ、従って、新生物、腫瘍もしくは癌または転移細胞の量または数または容積の低減または安定化、あるいは新生物、腫瘍、癌、または転移細胞樹立、形成、増殖、成長または生存の抑制(アポトーシス)が発生したかどうかを確証することができる。充実性新生物、腫瘍または癌についての、観血的および非観血的イメージング法により、新生物、腫瘍または癌サイズまたは容積を確認することができる。血液もしくは血清、または骨髄の、例えば、細胞の集団、数およびタイプ(例えば、造血性細胞増殖亢進性疾患、播種性腫瘍細胞)についての検査により、新生物、腫瘍、癌、もしくは転移細胞の量もしくは数の低減もしくは安定化、または新生物、腫瘍、癌、もしくは転移樹立、形成、増殖、成長もしくは生存の抑制(アポトーシス)が発生したかどうかを確証することができる。
本発明の組成物および方法を、所望の効果をもたらす任意の他の治療または療法と併用することができる。詳細には、抗細胞増殖活性または機能を有するものとして特徴づけられている治療および療法を適用することができる。例示的治療および療法としては、抗細胞増殖または免疫強化剤または薬が挙げられる。
前記治療および療法は、本発明の任意の他の方法、例えば、抗細胞増殖性または抗細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の前に行われる場合があり、実質的に同時に行われる場合がある。
従って、本発明は、併用方法を提供し、この方法は、前記抗体、機能性フラグメント、ならびに修飾および変異形のいずれかを、任意の治療レジメン、治療プロトコルまたは組成物、例えば、本明細書に示すまたは当該技術分野において公知の抗細胞増殖プロトコル(rotokol)、剤、薬、と併用する。1つの実施形態における方法は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、および抗細胞増殖または免疫強化治療、剤または薬を投与することを含む。もう1つの実施形態における方法は、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体、および抗細胞増殖または免疫強化治療、剤または薬を投与することを含む。前記抗細胞増殖または免疫強化治療、剤または薬は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、あるいはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体の投与の前に行われる場合があり、前記投与と実質的に同時発生的に行われる場合があり、または前記投与の後に行われる場合がある。
本明細書において用いる場合、「抗細胞増殖」、「抗新生物」、「抗腫瘍」または「抗癌」治療、療法、活性または作用は、異常なまたは望ましくない細胞増殖(細胞増殖亢進)、細胞増殖亢進性疾患、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移に関連したまたは起因する病状、有害症状または合併症の治療に有用である任意の療法、治療レジメン、薬剤、薬物、プロトコルまたはプロセスを意味する。個々の療法、治療レジメン、薬剤、薬物、プロトコルまたはプロセスが、細胞増殖、細胞成長、細胞増殖亢進、新生物、腫瘍または癌(悪性)成長、増殖、生存または転移を抑制、減少、遅速、低減、遅延または予防することができる。そのような治療、療法、レジメン、プロトコル、薬剤および薬物は、細胞周期進行または細胞増殖もしくは成長を破壊、低減、抑制または遅延すること;細胞アポトーシス、溶解または死を増加、刺激または増進すること;核酸またはタンパク質合成または代謝を抑制すること;細胞分裂を低減、減少、抑制または遅延すること;あるいは細胞生存、または細胞生存因子、成長因子もしくはシグナリング経路(細胞外もしくは細胞内)の生産もしくは利用を減少、低減または抑制することによって、効果を現すことができる。
抗細胞増殖治療および療法の例としては、化学療法、免疫療法、放射線療法(電離または化学放射線療法)、局所または局部温熱(加温)療法および外科的切除が挙げられる。
抗細胞増殖剤および薬の具体的な非限定的クラスとしては、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物エキス、植物アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン(ステロイド)、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体が挙げられる。微生物毒素の具体的な非限定的例としては、細菌コレラ毒素、百日咳毒素、炭疽毒素、ジフテリア毒素、および植物毒素リシンが挙げられる。薬物の具体的な例としては、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、5−フルオロウラシル、5−フルオロウリジン、シトシンアラビノシド、6−チオグアニン、6−メルカプトプリン、AZT、5−アザシチジン(5−AZC)および5−アザシチジン関連化合物、ペントスタチン、ゲムシタビン、シタラビン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、カリケアマイシン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、テニポシド、エトポシド、ヒドロキシウレア、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、レバミソール、イホスファミド、ミトタン、ミトキサントロン、プロカルバジン、ダカルバジン、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ダウノマイシンおよびジブロモマンニトールが挙げられる。ホルモンの具体的な非限定的例としては、プレドニゾン、プレドニゾロン、ジエチルスチルベステロール、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリド、トレミフェン、トリアムシノロン、ゾラデックス、および性腺刺激ホルモン(gonatrophin)放出ホルモンアンタゴニストが挙げられる。
放射線療法は、被験体への内部または外部送達を含む。例えば、被験体が放射性同位元素を内在化するまたは別様に物理的に放射性同位元素と接触することなく、アルファ、ベータ、ガンマおよびX線を被験体に外部から施すことができる。X線量の具体的な例は、長期間(3から5/週)の50から200レントゲンの日用量から、2000から6000レントゲンの単回用量まで様々である。線量は、大きな幅があり、照射期間、同位元素の半減期、放射される放射線のタイプ、治療する細胞のタイプおよび位置ならびに疾病の進行期に依存する。放射性核種の具体的な非限定的例としては、例えば、47Sc、67Cu、72Se、88Y、90Sr、90Y、97Ru、99Tc、105Rh、111In、125I、131I、149Tb、153Sm、186Re、188Re、194Os、203Pb、211At、212Bi、213Bi、212Pb、223Ra、225Ac、227Ac、および228Thが挙げられる。
腫瘍細胞に結合する抗体は、抗細胞増殖治療または療法の特定の例である。抗腫瘍抗体としては、例えば、白血病細胞CD33抗原に結合するM195抗体(米国特許第6,599,505号);卵巣癌腫CA6腫瘍関連抗原に結合するモノクローナル抗体DS6(米国特許第6,596,503号);上皮細胞表面H抗原に結合するヒトIBD12モノクローナル抗体(米国特許第4,814,275号);および結腸、乳、卵巣および肺癌腫によって発現されるLeX炭水化物エピトープに結合するBR96抗体が挙げられる。利用することができる追加の抗腫瘍抗体としては、例えば、Herceptin(抗Her−2neu抗体)、Rituxan(登録商標)、Zevalin、Bevacizumab(Avastin)、Bexxar、Campath(登録商標)、Oncolym、17−1A(Edrecolomab)、3F8(抗神経芽腫抗体)、MDX−CTLA4、IMC−C225(Cetuximab)およびMylotargが挙げられる。
本明細書において用いる場合、治療、療法、薬剤または薬物に関して用いるときの用語「免疫強化」は、その治療、療法、薬剤または薬物が、体液または細胞によって媒介される、免疫応答の増加、刺激、誘導または促進をもたらすことを意味する。そのような療法は、一般に免疫応答を強化することができ、または特定のターゲット、例えば、細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移、に対する免疫応答を強化することができる。
免疫強化剤の具体的な非限定的例としては、抗体、細胞成長因子、細胞生存因子、細胞分化因子、サイトカイン、インターフェロンおよびケモカインが挙げられる。免疫強化剤および治療の追加の例としては、細胞増殖性疾患に対する抗体を発現するか、でなければ細胞増殖性疾患に対する免疫応答を開始させる可能性が高い免疫細胞、例えばリンパ球、形質細胞、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞およびB細胞が挙げられる。免疫原性を強化または刺激するサイトカインとしては、IL−2、IL−1α、IL−1β、IL−3、IL−6、IL−7、顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子(GMCSF)、IFN−γ、IL−12、TNF−α、およびTNFβが挙げられ、これらも免疫強化剤の非限定的な例である。MIP−1α、MIP−1β、RANTES、SDF−1、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、エオタキシン、エオタキシン−2、I−309/TCA3、ATAC、HCC−1、HCC−2、HCC−3、PARC、TARC、LARC/MIP−3α、CKβ、CKβ6、CKβ7、CKβ8、CKβ9、CKβ11、CKβ12、C10、IL−8、ENA−78、GROα、GROβ、GCP−2、PBP/CTAPIIIβ−TG/NAP−2、Mig、PBSF/SDF−1、およびリンフォタクチンをはじめとするケモカインは、免疫強化剤のさらなる非限定的例である。
本発明の方法は、数ある中でも、別の治療プロトコルまたは療法レジメン、プロセスまたは治療薬の必要または使用を低減する結果となる方法も含む。例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移についての本発明の方法は、所与の被験体においてそれが抗細胞増殖(例えば、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは抗転移)あるいは免疫強化治療または療法、例えば、新生物、腫瘍もしくは癌または転移治療または療法のための化学療法薬、放射線療法、免疫療法または外科手術、のより少ない頻度または低減用量または排除をもたらす結果となる場合、治療恩恵を有する。
本発明に従って、抗細胞増殖(例えば、抗新生物、抗腫瘍、抗癌または抗転移)治療または療法の必要または使用を低減する方法を提供する。1つの実施形態における方法は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、もしくは7および9として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体を、細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)を治療するためにおよび抗細胞増殖(例えば、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは抗転移)または免疫強化療法の必要を低減または排除するために有効な量で、被験体に投与することを含む。もう1つの実施形態における方法は、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体を、細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)を治療するためにおよび抗細胞増殖(例えば、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは抗転移)または免疫強化療法の必要を低減または排除するために有効な量で、被験体に投与することを含む。前記方法は、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは抗転移または免疫強化療法の前に行われる場合があり、前記療法と実質的に同時に行われる場合があり、または前記療法の後に行われる場合がある。
治療恩恵または向上を達成するために望ましい治療方法もしくは療法における用量、または前記治療方法もしくは療法において「有効な量」、または前記治療方法もしくは療法において「十分な量」は、例えば、ターゲット(例えば細胞増殖亢進性疾患)に関連したまたは起因する1つ、幾つかまたはすべての病状、有害症状または合併症の、測定可能なまたは検出可能な程度の、任意の客観的または主観的緩和または改善を含むが、ターゲット(例えば細胞増殖亢進性疾患)病状、有害症状または合併症の進行または悪化の予防、抑制または遅延は、満足な転帰である。従って、細胞増殖亢進性疾患の場合、その量は、所与の被験体に治療恩恵をもたらすために、または所与の被験体における前記疾患の病状、有害症状もしくは合併症を緩和もしくは改善するために十分なものであろう。単回もしくは多回用量を投与することができ、あるいは治療もしくは療法のターゲット(例えば、細胞増殖亢進性疾患)の状態またはその治療もしくは療法の任意の副作用(単数もしくは複数)による指示に応じてその用量を比例的に増加または低減することができる。
例示的で非限定的な量(用量)は、約0.1mg/kgから約100mg/kgの範囲、および前述の範囲内の任意の数値もしくは範囲または値である。より多いまたはより少ない量(または用量)、例えば、0.001〜500mg/kgおよび前述の範囲内の任意の数値もしくは範囲または値、を投与することができる。追加の例示的で非限定的な量(または用量)は、約0.1〜50mg/kg、0.5〜50mg/kg、1.0〜25mg/kg、1.0〜10mg/kg、および前述の範囲内の任意の数値もしくは範囲または値にわたる。
本発明の方法は、日に、週に、月に、または年に1回以上(例えば、1〜10、1〜5または1〜3回)実施することができる。当業者は、投与を遅らせるまたは中止することがいつ適切であるか、わかるであろう。例示的で非限定的な投薬スケジュールは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20週以上にわたって、週に1〜7回、および前述の範囲内の任意の数値もしくは範囲または値である。
勿論、いずれの治療または療法についても典型的であるように、異なる被験体は、治療に対して異なる応答を示すであろうし、特定の治療プロトコル、レジメンまたはプロセスに対して応答しない者もあり、または不適当に応答する者もある。従って、有効なまたは十分な量は、治療する疾患(例えば、細胞増殖、良性過形成または新生物、腫瘍もしくは癌およびタイプまたは期、例えば腫瘍または癌グレード、および進行性である場合には後または早期)、望まれる治療効果、ならびに個々の被験体(例えば、被験体の中でのバイオアベイラビリティー、性別、年齢など)ならびに遺伝的および後成的変異性(例えば、ファーマコゲノミクス)に基づく治療に対する被験体の応答に、少なくとも一部は依存するであろう。
細胞毒性および生存度(細胞アポトーシス、溶解、成長、増殖など)は、当該技術分野において公知の比色、発光、放射分析または蛍光アッセイをベースにした様々な方法で測定することができる。細胞生存度を判定するための比色技術としては、例えば、トリパン・ブルー排除が挙げられる。簡単に言うと、細胞をトリパン・ブルーで染色し、血球計数器を使用して計数する。生細胞は色素を排除するが、死んでいるおよび死にゆく細胞は青色色素を吸収するので、光学顕微鏡下で容易に区別される。ニュートラル・レッドは、生細胞によって吸収され、細胞リソソーム内に集中する。ニュートラル・レッド染色細胞数の定量により、光学顕微鏡で生細胞を判定することができる。
細胞生存度を判定するための蛍光技術としては、例えば、ヨウ化プロピジウム、蛍光DNAインターカレート剤が挙げられる。ヨウ化プロピジウムは、生細胞から排除されるが、死細胞の核を染色する。そこで、ヨウ化プロピジウム標識細胞のフローサイトメトリーを用いて、生細胞および死細胞を定量することができる。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出は、細胞の構造的損傷および死を示すので、分光光度計酵素アッセイによってそれを測定することができる。ブロモデオキシウリジン(BrdU)は、新たに合成されたDNAに組み込まれるので、蛍光色素標識抗体でそれを検出することができる。蛍光色素Hoechst 33258は、DNAを標識するので、それを用いて細胞の増殖を定量することができる(例えば、フローサイトメトリー)。蛍光色素カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSEまたはCFDA−SE)の定量的組み込みにより、細胞分裂分析することができる(例えば、フローサイトメトリー)。この技術は、インビトロでもインビボでも用いることができる。7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)は、DNAと会合するとスペクトルシフトを被る蛍光インターカレーターであるので、それにより細胞分裂分析することができる(例えば、フローサイトメトリー)。
細胞増殖を判定するための放射分析技術としては、例えば、[3H]チミジンが挙げられ、これは生細胞の新たに合成されたDNAに組み込まれるので、しばしばこれを用いて細胞の増殖を判定する。死細胞からのクロム(51Cr)放出をシンチレーションカウンティングによって定量して、細胞生存度を定量することができる。
細胞生存度を判定するための発光技術としては、例えば、CellTiter−Glo発光細胞生存度アッセイ(Promega,Madison,WI)が挙げられる。この技術は、存在するATPの量を定量して、生細胞の数を決定する。
細胞生存度および細胞増殖を判定するための市販のキットとしては、例えば、Cell Proliferation Biotrak ELISA(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ);蛍光試薬の差次的取り込みに基づいて迅速な細胞カウントおよび生存度判定をもたらすGuava ViaCount(商標)Assay(Guava Technologies,Hayward,CA);CyQUANT(登録商標)Cell Proliferation Assay Kit(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR);およびCytoLux Assay Kit(PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston, MA)が挙げられる。DELFIA(登録商標)Assay Kits(PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)は、時間分解蛍光分析法を用いて細胞増殖および生存度を判定することができる。Quantos(商標)Cell Proliferation Assayは、溶解細胞からのDNA−色素複合体の蛍光を測定する、蛍光に基づくアッセイである(Stratagene,La Jolla,CA)。CellTiter−Glo細胞生存度アッセイは、細胞生存度を測定するための発光アッセイである(Promega,Madison,WI)。
用語「被験体」および「患者」は、本明細書では交換可能に用いており、動物、概して哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類(ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、マカク、テナガザル)、家畜(イヌおよび猫)、農場および牧場動物(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)、研究および実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)を指す。被験体は、インビボ効力を研究するための(例えば、マウス、ラットおよび非ヒト霊長類などの)疾病モデル動物(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移動物モデル)を含む。ヒト被験体は、1歳と5歳の間、5歳と10歳の間、および10歳と18歳の間の年齢の子供、例えば新生児、乳児、幼児および十代の者、18歳と60歳の間の成人、ならびに例えば60歳と65歳の間、65歳と70歳の間および70歳と100歳の間の年齢の老人を含む。
被験体は、治療が必要な哺乳動物(例えば、ヒト)を含む。すなわち、彼らは、望ましくないもしくは異常な細胞増殖(細胞増殖亢進)または細胞増殖亢進性疾患を有する。被験体は、望ましくない細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患を有するリスクがあるものを含む。被験体は、抗細胞増殖または免疫強化治療または療法の必要が、そのような治療を警告するラボまたは臨床診断のため、必要な被験体、抗細胞増殖または免疫強化療法を受けている被験体、および抗細胞増殖または免疫強化療法を受けたことがあり、再発または再出現のリスクがある被験体をさらに含む。
リスクがある被験体は、細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患(例えば、良性過形成、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)に関する家族歴を有するもの、前記疾患に関する遺伝的素因を有するもの、または前記疾患に以前に罹った経験があり、再発もしくは再出現のリスクがあるものを含む。リスクがある被験体は、発癌性物質もしくは突然変異誘発因子への環境的暴露、例えば喫煙者、または職業(工業、化学、農業)環境におけるものをさらに含む。細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍または癌、を発現するリスクがあるそのような被験体を腫瘍関連遺伝子、遺伝子欠失または遺伝子突然変異についての遺伝子スクリーニングで同定することができる。例えば、Brcalを欠く被験体は、乳癌を発現するリスクがある。例えば、腺腫様多発結腸ポリープ(APC)などの結腸癌を発現するリスクがある被験体は、腫瘍サプレッサー遺伝子欠失または突然変異を有する。細胞増殖性疾患に対する特定の遺伝的素因を有する、リスクがある被験体は、公知である(The Genetic Basis of Human Cancer 2nd ed.by Bert Vogelstein(Editor),Kenneth W.Kinzler(Editor)(2002)McGraw−Hill Professional;The Molecular Basis of Human Cancer.Edited by WB Coleman and GJ Tsongalis(2001)Humana Press;およびThe Molecular Basis of Cancer.Mendelsohnら,WB Saunders(1995))。
従って、リスクがある被験体を治療して、細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患を発現する尤度、または細胞増殖性疾患を治癒した後に同じもしくは異なる細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患の再発もしくは再出現を被る尤度を抑制または低減することができる。そのような治療の結果は、細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患を発現するリスクを低減することである場合もあり、あるいは治療を受けた、リスクがある被験体における細胞増殖性もしくは細胞増殖亢進性疾患またはそれらの病状、有害症状もしくは合併症を予防することである場合もある。
本発明は、適切な包装材に包装された、抗体、機能性フラグメント、修飾および変異形、核酸、薬剤、薬物および医薬製剤を含むキットであって、場合によっては、そのキット成分を使用するための説示、例えば本発明の方法を実施するための説示、を併せて含むキットをさらに提供する。1つの実施形態において、キットは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、あるいはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体を含む。1つの態様において、前記説示は、望ましくない細胞増殖もしくは増殖亢進、または細胞増殖亢進性疾患を治療するためのものである。別の1つの態様において、前記説示は、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移を治療するためのものである。さらなる実施形態において、キットは、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、あるいはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体と、望ましくない細胞増殖もしくは増殖亢進、または細胞増殖亢進性疾患を治療するための説示と、抗細胞増殖または免疫強化治療、剤または薬とを含む。様々な態様において、キットは、抗新生物、抗癌または抗腫瘍剤を含む。尚、さらなる態様において、キットは、製造物、例えば、抗体または核酸、抗細胞増殖または免疫強化治療、剤または薬を被験体に局所的に、局部的にまたは全身的に送達するための製造物を含む。
用語「包装材」は、キットの成分を収容する物理的構造を指す。包装材は、成分を無菌に維持することができ、およびそれを目的として一般に使用される材料(例えば、紙、波形繊維、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプルなど)で製造されたものであり得る。ラベルまたはパッケージ添付書類は、例えば、本発明の方法、例えば細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患の治療、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)についてのあるいは細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞についてのスクリーニング、検出または同定のためのアッセイ、を実施するために適する成文化された説示を含む場合がある。従って、追加の実施形態において、キットは、溶液中で、インビトロで、インビボで、またはエクスビボで本発明の方法を実施するための説示をはじめとするラベルまたはパッケージ添付書類を含む。
従って、説示は、本明細書に記載する本発明の方法のいずれかを実施するための説示を含み得る。例えば、本発明の医薬組成物を、細胞増殖性または細胞増殖亢進性疾患、例えば新生物、腫瘍もしくは癌、または転移を治療するための被験体への投与についての説示と共に、容器、パックまたはディスペンサーに含めることができる。加えて、説示は、満足のいく臨床エンドポイント、または発生し得る任意の有害症状もしくは合併症、保管情報、有効期限、またはヒト被験体での使用について米国食品医薬品局などの監督機関により要求されている情報の標示を含むことがある。
前記説示は、「印刷物」上、例えば、キット内の紙もしくは厚紙上、キットもしくは包装材に付けられた、またはキットの成分を収容しているバイアルもしくはチューブに付けられたラベル上にある場合がある。説示は、音声またはビデオテープを含む場合があり、加えて、コンピューター可読媒体、例えばディスク(フロッピー(登録商標)ディスケットもしくはハードディスク)、光学CD、例えばCD−もしくはDVD−ROM/RAM、磁気テープ、電子記憶媒体、例えばRAMおよびROM、ならびにこれらのハイブリッド、例えば磁気/光学記憶媒体に説示を含めることができる。
加えて、本発明のキットは、緩衝剤、保存薬、またはタンパク質/核酸安定剤を含む場合がある。前記キットは、活性についてアッセイするための対照成分、例えば、対照サンプルまたは標準物質を含む場合もある。前記キットのそれぞれの成分が個々の容器の中にまたは混合物の状態で封入することができ、およびそれらの様々な容器のすべてが単一のまたは多数のパッケージ内にある場合もある。
抗体(例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、あるいはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体)、核酸、ならびに本発明の他の組成物(例えば、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)および方法は、医薬製剤に含まれるまたは医薬製剤を利用する場合がある。そのような医薬製剤は、インビボまたはエクスビボでの被験体の治療または被験体への投与もしくは送達に有用である。
医薬製剤は、「医薬的に許容される」および「生理的に許容される」担体、希釈剤または賦形剤を含む。本明細書において用いる場合、「医薬的に許容される」および「生理的に許容される」は、医薬投与と適合性の、溶媒(水性のものまたは非水性のもの)、溶液、エマルジョン、分散媒、コーティング、等張および吸収促進または遅延剤を含む。そのような製剤を液体;エマルジョン、懸濁液、シロップもしくはエリキシル、または固体形態;錠剤(コーティングされているもしくはコーティングされていないもの)、カプセル(ハードもしくはソフト)、粉末、顆粒、結晶またはマイクロビーズに含めることができる。補助化合物(例えば、保存薬、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤)も前記製剤に組み込むことができる。
医薬製剤を、特定の局所、局部または全身投与または送達経路に適合するようにすることができる。従って、医薬製剤は、特定の経路による投与に適する担体、希釈剤または賦形剤を含む。本発明の組成物の投与経路の具体的な非限定的例は、非経口、例えば、静脈内、動脈内(intrarterial)、皮内、筋肉内、皮下、胸膜内、経皮(局所)、経粘膜、頭蓋内、髄腔内、眼内、直腸、経口(食事)、粘膜投与、ならびに前記治療法または投与プロトコルに適する任意の他の処方である。
非経口適用に使用される溶液または懸濁液は、滅菌希釈剤、例えば注射用蒸留水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化物質、例えばアスコルビン酸または二亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および毒性を調整するための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを含む場合がある。塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調整することができる。
注射のための医薬製剤は、滅菌水溶液(水溶性である場合)または滅菌水性分散液、および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与のために適する担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。前記担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール、ならびにこれらに類するもの)、およびそれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散液の場合には必要粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。抗菌および抗真菌剤としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが挙げられる。等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを前記組成物に含めることができる。吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含めることで、注射用組成物の吸収を延期することができる。
滅菌注射用製剤は、適切な溶剤に必要量の活性組成物を上記成分の1つまたは組み合わせと共に添合することによって、調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒および任意の他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性組成物を添合することによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合の調製方法は、例えば、任意の追加の所望成分と前記活性成分の粉末を、予め調製したそれらの溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥を含む。
経粘膜または経皮投与については、浸透させるべきバリヤに適する浸透剤をその製剤に用いる。そのような浸透剤は当該技術分野において公知であり、それらとしては、例えば、経粘膜投与については、洗剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレー、吸入器具(例えば、アスピレーター)または坐剤の使用によって遂行することができる。経皮投与のための活性化合物は、軟膏、膏薬、ゲル、クリームまたはパッチに調合される。
前記医薬製剤は、身体からの急速な排泄に対して保護する担体、例えば、制御放出製剤または時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸グリセリルを用いて調製される場合がある。局所、局部もしくは全身送達または制御放出もしくは徐放を達成するためにインプラントおよびマイクロカプセル化送達システムなどの製品を使用して、前記製剤を送達することもできる。
生体分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸、を使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には公知である。前記材料は、Alza Corporation(Palo Alto,CA)から購入することもできる。リポソーム懸濁液(抗体またはウイルスコートタンパク質を使用して細胞または組織にターゲッティングされたリポソームを含む)を医薬的に許容される担体として使用することもできる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されているような公知の方法に従って調製することができる。
投与に適する追加の医薬製剤は、当該技術分野において公知である(例えば、Gennaro(ed.),Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins(2000);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippincott Williams & Wilkins Publishers(1999);Kibbe(ed.),Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association,3rd ed.(2000);およびRemington’s Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993)参照)。
タンパク質(抗体)、核酸(抑制性)、治療、療法、薬剤、薬物および医薬製剤をはじめとする本発明に従って使用する組成物を、投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、投薬単位形に包装することができる。本明細書において用いる場合の「投薬単位形」は、単一投薬量治療として適する物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位が、所望の治療または療法(例えば、有益)効果を生じさせるように計算された、担体、賦形剤、希釈剤またはビヒクルと会合した組成物の量を含有する。前記単位投薬形は、利用される特定の組成物、達成される効果、ならびに治療を受ける被験体の薬動力学およびファーマコゲノミクスをはじめとする(しかし、必ずしもこれらに限定されない)様々な要因に依存するであろう。
本発明は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)をスクリーニング、検出および同定する、無細胞(例えば、溶液での、固相での)および細胞ベースの(例えば、インビトロまたはインビボ)方法を提供する。前記方法は、生体材料またはサンプルを使用して、溶液中、インビトロで、およびインビボで、例えば動物からの新生物、腫瘍もしくは癌または転移細胞、組織または器官(例えば、生検材料)を使用して、行うことができる。
本発明に従って、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体が結合する細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)についての同定、検出またはスクリーニング方法を提供する。1つの実施形態における方法は、生体材料またはサンプルと、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体とを、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体とを、前記抗体の細胞または抗原への結合を可能にする条件下で接触させること;および前記細胞または抗原への前記抗体の結合についてアッセイすることを含む。前記抗体の細胞または抗原への結合により、それらの存在が検出される。1つの態様において、前記生体材料またはサンプルは、哺乳動物被験体から得られる。さらなる態様において、前記細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する前記抗体は、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体とは異なる。
本発明は、望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)を有するまたは有するリスクが増している被験体の進行、望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の存在または程度を診断およびモニターする、ならびに治療への応答確率増加のために、LM−1抗体、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体での治療に適した被験体を同定する、無細胞(例えば、溶液での、固相での)および細胞ベースの(例えば、インビトロまたはインビボ)方法も提供する。前記方法は、生体材料またはサンプル、例えば、新生物、腫瘍もしくは癌または転移細胞、組織または器官を含むまたは示す疑いがある細胞生検材料を使用して、溶液中、インビトロで行うことができる。前記方法は、インビボで、例えば動物において、行うこともできる。
本発明に従って、望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)を有するまたは有するリスクが増している被験体の進行を診断およびモニターする方法、望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の存在または程度を判定する方法、およびLM−1抗体、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体での治療に適する被験体を同定する方法を提供する。1つの実施形態における方法は、生体材料またはサンプル(例えば、被験体からのもの)と、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体とを、またはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体とを、前記抗体の細胞または抗原への結合を可能にする条件下で接触させること;および前記抗体の前記細胞または抗原への結合についてアッセイすることを含む。前記抗体の前記細胞または抗原への結合は、細胞または抗原の存在または量を確認するために用いることができ、その存在または量と、望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)を有するリスク増加とを、あるいは望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の存在または程度とを相関させ、それによってその被験体を診断することができる。細胞または抗原(例えば、NONO/nmt55)の存在または量によって、治療に適する被験体、例えば、増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の治療、例えば、細胞株DSMZ寄託番号DSM ACC 2623によって生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、7もしくは9および11もしくは13として示す重鎖および軽鎖配列によって表されるようなLM−1抗体、あるいはLM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)に結合する抗体での治療、に好適に応答する、より大きな確率を有する被験体を同定することもできる。1つの態様において、生体材料またはサンプルは、ヒトから得られる。もう1つの態様において、生体材料またはサンプルは、生検材料(例えば、肺、膵臓、胃、乳房、食道、卵巣または子宮の生検材料)を含む。望ましくないもしくは異常な細胞増殖または細胞増殖亢進性疾患(例えば、新生物、腫瘍もしくは癌、または転移)の進行をモニターする方法は、規則的なまたは不規則な間隔、例えば、1日1回、週2回、週1回、月2回、月1回、年4回、半年ごとにまたは年2回、年1回など、適宜、行うことができる。
本発明の同定、検出、スクリーニングおよび診断アッセイは、可能性のあるまたは疑いのある増殖亢進性細胞、例えば細胞増殖亢進性疾患または適切なサンプルの細胞、の分析によって行うことができる。細胞としては、乳房、肺、甲状腺、頭部および頚部、鼻咽頭、鼻もしくは洞、脳、脊柱、副腎、甲状腺、リンパ、胃腸管(口、食道、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、尿生殖路(子宮、卵巣、子宮内膜、子宮頚、膀胱、精巣、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、副腎、肝臓、骨、骨髄、リンパ、血液、筋肉、皮膚、および造血系、ならびに転移または続発部位に由来する増殖亢進性、不死化、新生物、腫瘍および癌細胞株ならびに初代分離株が挙げられる。
組成物、例えば、タンパク質(例えば、抗体)、材料、サンプル、または治療に関して用いるときの用語「接触」は、その組成物(例えば、抗体などのタンパク質)と他の参照エンティティーとの直接的または間接的相互作用を意味する。直接的相互作用の特定の例は、結合である。間接的相互作用の特定の例は、その組成物が媒介分子に基づいて作用し、そしてまたその媒介分子がその参照エンティティーに基づいて作用する場合である。従って、例えば、細胞(例えば、細胞増殖亢進性疾患を含む細胞)と抗体の接触は、その抗体をその細胞に結合させること、またはその抗体を媒介物(例えば、抗原)に基づいて作用させ、そしてまたその媒介物がその細胞に基づいて作用することを含む。
用語「アッセイ」および「測定」ならびにこれらの文法上の語尾変化は、本明細書では交換可能に用いており、定性的判定もしくは定量的判定のいずれか、または定性的判定と定量的判定の両方を指す。これらの用語を結合に関して用いるとき、本明細書に示すおよび当該技術分野において公知の様々な方法をはじめとする、結合の相対量、親和性または特異性をアッセイする任意の手段が考えられる。例えば、抗体結合は、ELISAアッセイ、ウエスタンブロットまたは免疫沈降アッセイによってアッセイまたは測定することができる。
用語「相関」およびその文法上の語尾変化は、2つ以上のエンティティー間の関係または関連を指す。例えば、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)、または(例えば、その細胞表面で)LM−1抗原を発現する細胞は、様々な腫瘍、新生物、癌および転移と関係づけられる。従って、細胞表面発現LM−1抗原(NONO/nmt55)と癌とのこの関係のため、それらは互いに相関している。従って、LM−1抗原(例えば、NONO/nmt55)または(例えば、その細胞表面で)LM−1抗原を発現する細胞の量を相関させることで、被験体における腫瘍、新生物、癌または転移の存在および/または程度を示すことができる。
別様に定義していない限り、本明細書において用いるすべての専門および科学用語は、本発明が関係する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様または等価の方法および材料を本発明の実施または試験の際に用いることができるが、適する方法および材料を本明細書に記載する。
本明細書において引用するすべての出版物、特許、Genbankアクセッション番号および他の参照は、それら全体が参照により援用されている。矛盾する場合には、定義を含めて、本明細書が支配することとなる。
本明細書において用いる場合、単数形「a」、「and」および「the」は、その文脈が明確に別様に示していない限り、多数の指示対象を含む。従って、例えば、1つの「抗体」への言及は、多数の抗体を含み、および「1つの治療または療法」への言及は、多数の同時的、連続的または逐次的投与、治療または療法を含む、などの場合がある。
本明細書において用いる場合、すべての数値または数値範囲は、その文脈が明確に別様に示していない限り、そのような範囲内またはそのような範囲を包含する全整数、および範囲内のまたは範囲を包含する値または整数の分数を含む。従って、例えば、90〜100%の範囲への言及は、前述の値内のまたは前述の値を包含する任意の数値または範囲、例えば、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%など、および91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%など、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%など、ならびに前述の範囲内の任意の数値範囲、例えば90〜92%、90〜95%、95〜98%、96〜98%、99〜100%などを含む。追加の例において、1〜5,000倍の範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20倍など、および1.1、1.2、1.3、1.4、1.5倍など、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5倍など、ならびに前述の範囲内の任意の数値範囲、例えば1〜2、5〜10、10〜50、50〜100、100〜500、100〜1000、500〜1000、1000〜2000、1000〜5000などを含む。さらなる例において、KD 10−5Mから約KD 10−13Mの範囲への言及は、前述の値内または前述の値を包含する任意の数値または範囲を含む。
非常に多数の実施形態を説明するために断言的な言葉を用いて本発明を本明細書に開示する。具体的には、本発明は、物質または材料、方法段階および条件、プロトコル、手順、アッセイまたは分析などの、特定の主題が、完全にまたは部分的に除外される実施形態も含む。従って、本発明は、本明細書に、本発明が何を含まないかに関して一般には表示していないが、それにもかかわらず、本発明に明白に含まれない態様を開示する。
本発明の多数の実施形態を説明した。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。従って、以下の実施例は、例証のためのものであり、本特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
本実施例は、材料および方法の説明を含む。
細胞培養:20%ウシ胎仔血清(FCS)、2mMグルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシン(両方とも1%)を補足したRPMI−1640培地(PAA,Vienna、Austria)においてヒト肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91を培養し、加湿した5%CO2雰囲気で、37℃でインキュベートした。記載するアッセイのために、細胞を亜集密まで成長させ、トリプシン/EDTAで剥離させ、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した後、使用した。
ハイブリドーマの生産:リンパ球を、それらをHAB−1ヘテロミエローマに融合させることによって固定化した。簡単に言うと、添加剤を伴わないRPMI 1640(PAA,Vienna、Austria)でHAB−1ヘテロミエローマ細胞を2回洗浄し、それらの細胞を5分間、1500rpmで遠心分離した。その後、脾臓またはリンパ節のいずれかから取った凍結リンパ球を解凍し、添加剤を伴わないRPMI 1640でこれらの細胞を2回洗浄し、これらの細胞を5分間、1500rpmで遠心分離した。HAB−1細胞ペレットとリンパ球細胞ペレットの両方を、添加剤を伴わない10mL RPMI 1640に再び懸濁させ、Neubauer細胞カウンティングチャンバでカウントした。それらの細胞を再び洗浄し、HAB−1細胞およびリンパ球を一緒に1:2から1:3の比率で添加し、それらを混合し、その混合物を8分間、1500rpmで遠心分離した。ポリエチレングリコール1500(PEG)を37℃に予温し、50mLチューブを弱く回転させながらそのPEGがそれらのペレット上に注意深く1滴ずつ流れていくようにした。次に、そのペレットを穏やかに再懸濁させ、そのチューブを37℃の水浴の中で正確に90秒間回転させた。添加剤を伴わないRPMIの満液10mLピペットでそれらの細胞を2回洗浄し、5分間、1500rpmでそれらの細胞を遠心分離した。HATサプリメント(PAA,Vienna、Austria)および10%FCS、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを伴う1mLのRPMI 1640(「RPMI 1640 HAT」)を24ウエルプレートのそれぞれのウエルに添加した。細胞ペレットをRPMI 1640 HATに溶解し、0.5mLの細胞をその24ウエルプレートのそれぞれのウエルに添加した。その後、その24ウエルプレートを37℃インキュベーターに入れ、週1回、RPMI 1640 HAT培地を交換した。4から6週間後、それらの細胞培養上清を酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)で抗体生産についてスクリーニングした。
このプロトコルを用いると、産生されたトリオーマのおおよそ80%から90%が生存可能であり、おおよそ50%が免疫グロブリンを分泌する。自己腫瘍組織切片を用いて陽性クローンを免疫組織化学的に検査し、陽性反応を示したクローンを、その後、再びクローニングした。
cDNA合成およびRT−PCR:抗体の配列を得るために、QiagenからのRNASE Kitを使用してそのトリオーマから全RNAを単離した。当該技術分野において標準的な方法、例えば、Krennら(Clip.Exp.Immunol.115:168−175,1999)に記載されているもの、を用いて全RNAを調製することもできる。ハイブリドーマ細胞株LM−1(DSMZアクセッション番号DSM ACC2623)から得た全RNAからのcDNA合成を、Gibco BRL(Eggenstein,Germany)M−MLV Reverse Transcriptaseをその製造業者の説示に従って使用して5μgの全RNAで行った。1.75mM MgCl2、0.4pMプライマー、200μMのそれぞれのdNTP、およびIU Taqポリメラーゼ(MBI Fermentas,St.Leon−Rot,Germany)を用いて25μL量でVHおよびVL遺伝子の増幅を行った。それらのPCR産物を、次のサイクルプロフィールを用いて増幅した:2分間、95℃、その後、30秒間、94℃を35サイクル;それぞれ、(VH3およびVH4プライマーについては)30秒間、65℃、VH1、VH2、VH5、VH6については60℃およびVLプライマーについては52℃;4分間、72℃で最終伸長。
抗体の配列決定:それらのPCR産物を、2%アガロース(Roth,Karlsruhe,Germany)によるゲル電気泳動、続いてJetsorbゲル抽出キット(Genomed,Bad Oeynhausen,Germany)を使用するPCR産物のゲル抽出を用いて精製した。その後、pCR−Script Amp SK+クローニングキット(Stratagene,Heidelberg,Germany)を使用してそれらのPCR産物をクローニングした。DyeDeoxyターミネーション・サイクル・配列決定・キット(Applied Bio−Systems Inc.,Weiterstadt,Germany)を使用して10の陽性クローンを配列決定し、ABIPrism373自動DNAシークエンサーで分析した(T3およびT7プライマーを使用して、両方の鎖を配列決定した)。Windows(登録商標)配列比較ソフトウェア用のDNASISならびにGenBankおよびIMGT/V−QUESTデータベースを使用して、それらの配列を分析した。前記国際免疫遺伝学(「IMGT」)データベースは、フランス、モンペリエのUniversite MontpellierでMarie−Paule Lefrancによってコーディネートされたものである。
パラフィン切片の免疫組織化学染色:パラフィン包埋ヒト組織を切断した(2μm)。それぞれ5分間の2回のキシレン洗浄、それぞれ5分間の2回の100%エタノール洗浄、1回、5分間のメタノール(70mL)およびH2O2(500μL)洗浄、それぞれ3分間の2回の90%エタノール洗浄、それぞれ3分間の2回の80%エタノール洗浄、それぞれ3分間の2回の70%エタノール洗浄、およびTris/NaCl(5リットルの蒸留H2O中の、およびpHをHClで7.4に調整した、3グラムのTris、40.5グラムのNaCl)での洗浄によって、パラフィンを除去した。
組織切片が入っているスライドガラスを、圧力釜の中の300mLの蒸留H2Oおよびクエン酸(pH5.5)中で、5分間、100℃でインキュベートした。スライドガラス1枚につき、リン酸緩衝食塩水(「PBS」)中の0.5% Bovine Serum Albumin FractionV(「BSA」;Roth,Karlsruhe,Germany)150μLで、それらのスライドガラスを15分間ブロックし、Tris/NaClで1回洗浄した。
BSA/PBS(Dako,Hamburg,Germany)で1:50希釈した(CAM5.2は1:10希釈した)一次抗体(例えば、LM−1、無関係、ヒトモノクローナルIgM抗体(ChromPure IgM,Dianova,Hamburg,Germany、10μg/mL)、CK8抗体、またはマウスCAM 5.2抗体)と共にそれらの切片を2.5時間、37℃の加湿インキュベーターの中でインキュベートした。その後、それらの切片をTris/NaCl(5リットルの蒸留水中の、およびpHをHClで7.4に調整した、3グラムのTris、40.5グラムのNaCl)で3回洗浄し、続いて、30%ウサギ血清を含有するPBS中で1:50希釈した二次抗体(例えば、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトまたはウサギ抗マウス結合体(Dako))と共に室温(「RT」)で1時間インキュベートした。Tris/NaClで3回洗浄した後、それらの組織切片をPBS中で10分間インキュベートし、その後、150μLジアミノベンジジン(0.05%)−過酸化水素(0.02%)で10分間、室温で染色した。流れる水道水を(10〜15分)用いて反応を停止させ、それらの切片をヘマトキシリンで対比染色した。グリセロール−ゼラチンでマウントした後、光学顕微鏡を使用してそれらの切片を分析した。
自己腫瘍からの凍結切片の免疫組織化学染色
腫瘍:凍結ヒト組織を切断(4μm)し、2時間、空気乾燥させ、アセトン中で固定し、30分間、空気乾燥させ、Tris/NaCl(5リットルの蒸留水中の、およびpHをHClで7.4に調整した、3グラムのTris、40.5グラムのNaCl)で洗浄した。その後、3%粉乳を含有するPBSで15〜30分間、室温でそれらの凍結切片をブロックした。Tris/NaClで3回洗浄した後、それらの切片を、LM−1ヒトIgM抗体、無関係ヒトモノクローナルIgM(Chrompure IgM、Dianova、10μg/mL)、CK8(BSA/PBSで1;50希釈したもの;Dako)またはマウスCAM 5.2抗体(BSA/PBSで1:10希釈したもの)と共に30分間、室温でインキュベートした。それらの切片をTris/NaClで3回洗浄し、続いて二次抗体(70%PBSおよび30%ヒト血清中の、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトまたはウサギ抗マウス結合体 1:50)と共に30分間、室温でインキュベートした。Tris/NaClで3回洗浄し、PBS中で10分間インキュベートした後、それらの切片を、ジアミノベンジジン(0.05%)−過酸化水素(0.02%)で10分間、室温で染色した。水道水を流しながら反応を停止させ、それらの切片をヘマトキシリンで対比染色した。グリセロール−ゼラチンでマウントした後、光学顕微鏡を用いてそれらの切片を分析した。
腫瘍細胞膜抽出物の調製:例えばHenselら(Int.7.Cancer 81:229−235,1999)に記載されているような、当該技術分野における標準的な方法を用いて、記載されているように腫瘍細胞からの膜タンパク質の単離を行った。詳細には、集密腫瘍細胞(例えば、LOU−NH91細胞)をPBSで2回洗浄し、細胞スクレーパーで回収し、遠心分離し、低張緩衝液(20mM HEPES、3mM KCl、3mM MgCl2)に再び懸濁させ、氷上で15分間インキュベートした。その後、それらの細胞を5分間、超音波処理し、10,000xgでの10分間の遠心分離によって核をペレットにした。その上清をスイングアウトローターで40分間、100,000xgで遠心分離して、膜をペレットにした。ペレットを低張緩衝液で洗浄した後、それらのペレットを膜溶解緩衝液(50mM HEPES pH7.4、0.1mM EDTA、10%グリセロール、および1% Triton X−100)に再び懸濁させた。競合プロテアーゼ阻害剤(Boehringer,Mannheim,Germany)もすべての溶液に添加した。
ウエスタンブロッティング:例えばHenselら(Int.7.Cancer 81:229−235,1999)に記載されているような標準的な技法を用いて、ウエスタンブロットを行った。簡単に言うと、ブロットしたニトロセルロース膜を、3%低脂肪粉乳を含有するPBSでブロックし、続いて、20〜40μgのLM−1ヒトIgM抗体または無関係ヒト対照IgM(ChromPure IgM、Dianova)と共に1時間インキュベートした。二次抗体(ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒトIgM抗体 1:1,000、Dianova)を、Pierce(KMF,St.Augustin,Germany)からのSUPERSIGNAL化学発光キットで検出した。
サイトスピン調製:Trypsin/EDTA(PAA,Vienna,Austria)を添加することにより前記付着成長細胞を剥離させ、続いて、加湿インキュベーター(37℃、5%CO2)中で5分間インキュベートし、5分間、1,500rpmで遠心分離した。その後、それらの細胞を10mLのRPMI−1640細胞培養基(PAA,Vienna,Austria)で2回洗浄した。細胞数を1x105細胞/mLの密度に調整した。この溶液からの100μLをサイトスピン遠心分離機(CYTOSPIN 2、Shandon,UK)で2分間、50rpmで遠心分離して顕微鏡用スライドガラスに移した。残りのサイトスピンを少なくとも2時間乾燥させ、下で明細に述べるように染色した。
サイトスピンおよび凍結切片の免疫ペルオキシダーゼ染色:サイトスピンを少なくとも2時間、室温で乾燥させるか、凍結切片を、それらを切断した後、少なくとも2時間、乾燥させた。その後、それらの切片またはサイトスピンを10分間、アセトン中で固定した。固定した凍結切片/サイトスピンを30分間、室温で乾燥させ、Tris−NaCl(5リットルの蒸留水中の、およびpHをHClで7.4に調整した、3グラムのTris、40.5グラムのNaCl)で3回洗浄し、Tris/NaCl中に5分間、入れておいた。それらの凍結切片/サイトスピンを、PBS中の3%粉乳(凍結切片/サイトスピンあたり100μL)で15〜30分間ブロックし、Tris−NaClで3回洗浄した。それらの凍結切片/サイトスピンを、室温の加湿チャンバーの中で30分間、凍結切片/サイトスピンあたり100μLの一次抗体(例えば、0.5% BSA/PBS中、20μg/mL;BSA/PBS中、1:50でのCK8;BSA/PBS中、1:10でのCAM 5.2;または陰性対照としてRPMI 1640培地(PAA,Vienna,Austria))中でインキュベートした。インキュベーション後、それらの凍結切片/サイトスピンをTris−NaClで3回洗浄した。
その後、それらの凍結切片/サイトスピンを、室温の加湿チャンバーの中で30分間、凍結切片/サイトスピンあたり100μLの二次抗体(70%BPS+30%ウサギまたはヒト血清+例えば、1:50ウサギ抗マウス抗体(ペルオキシダーゼ結合)または1:50ウサギ抗ヒトIgM抗体(ペルオキシダーゼ結合);Dako,Hamburg,Germany)含有溶液中でインキュベートし、Tris−NaClで3回洗浄し、10分間、PBSに入れておいた。その後、0.05%ジアミノベンジジンおよび0.02%過酸化水素を含有する100μLの溶液(Sigma,Taufkirchen(Munchen),Germany)中で10分間、それらの凍結切片/サイトスピンをインキュベートした。インキュベーション後、それらの凍結切片/サイトスピンを蒸留H2Oで洗浄し、5分間、ヘマトキシリン染色溶液(Roth,Karlsruhe,Germany)に入れておいた。その後、15分間、水道水を流しながらそれらの凍結切片/サイトスピンをすすぎ、蒸留H2Oで洗浄し、予温したグリセロール−ゼラチンをかぶせた。
グリコシダーゼアッセイ:分画遠心分離によって調製した、BXPC−3細胞の膜抽出物をグリコシル化研究に用いた。すべてのタイプのN−およびO−結合炭水化物鎖を切断するために、1%ドデシル硫酸ナトリウムおよび1%β−メルカプトエタノールを含有する緩衝液中で3分間、95℃でその膜抽出物を変性させた。その変性抽出物を、反応緩衝液(PBS pH7.4、1%ノニデットNP−40、1%β−メルカプトエタノール)で、0.5mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈した。O−およびN−結合炭水化物の脱グリコシル化のために、100μLのアリコートを、10U N−グリコシダーゼF(Roche Applied Science,Mannheim,Germany)または5mU O−グリコシダーゼ(Roche Applied Science,Mannheim,Germany)のいずれかと共に、37℃で、一晩インキュベートした。反応緩衝液中の未処理抽出物は、対照として役立った。脱グリコシル化の程度をSDS−Pageおよびウエスタンブロッティング手順によって分析した。
実施例2
この実施例は、実施例15および16において説明する研究において用いる材料および方法の説明を含む。
材料:RPMI 1640およびFCS(PAA)、silent Fect(BioRAD)、細胞解離溶液(Sigma C5789)、Si GENOME siRNA(Dharmacon)、μMACS、μColumns、ならびにProtein G Micro Beadsおよび抗ヒトIgM Micro Beads(Miltenyi Biotec)。
PBS:800mLの蒸留H2O中の8g NaCl、0.2g KCl、1.44g Na2HPO4、および0.24g KH2PO4。
PBS−Tween:400μL Tween20を添加した、800mLの蒸留H2O中の8g NaCl、0.2g KCl、1.44g Na2HPO4、および0.24g KH2PO4。
溶解緩衝液1:1% Triton、150mM NaCl、50mM Tris、pH8。
低張(Hypoton)緩衝液:20mM HEPES pH7.4、3mM KCl、3mM MgCl2。
ランニング緩衝液:25mM Tris、250mM グリシン、0.1%SDS。
トランスファー緩衝液:10mLにつき1個のプロテアーゼ阻害剤ミニタブレットを添加した、48mM Tris、39mM グリシン、20%MeOH pH9.2(Roche)。
ローディング色素:250mM Tris、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロール、210mM DTT。
膜調製用の溶解緩衝液(2):10mLにつき1個のプロテアーゼ阻害剤ミニタブレットを添加した、150mM NaCl、50mM Tris、1.5% Triton、0.5%Na−DOC、10%グリシン、1mM EDTA、pH8.0(Roche)。
トランスフェクション:前日にBxPc−3細胞を6ウエルプレートに2x105細胞/ウエルでプレーティングした。トランスフェクション当日、2つの溶液を調製した(ウエルあたり):5μL silent Fectを伴う125μLの無血清培地(SFM)、および125μLのSFMと22.5μLの5μM RNAの溶液(最終濃度50nM)。両方の溶液を混合し、30分間、室温でインキュベートし、その混合物を細胞に一滴ずつ添加した。5〜6時間後に培地を交換した。48時間後、細胞を1xPBSで1回洗浄した。細胞を200μL溶解緩衝液1に回収した。
全細胞溶解産物の調製:予冷したPBSで9x106細胞(MKN、BxPC、A549)を3回洗浄した。細胞ペレットを1mL溶解緩衝液(150mM NaCl、1% TritonX−100、50mM Tris HCl、pH8.0)に再び懸濁させた。時々混合しながら氷上で30分インキュベートした後、細胞を4℃で、10,000xgで遠心分離して、細胞破壊片を沈降させた。上清を新たな1.5mL管に移した。
細胞膜抽出物の調製:培養皿から培地を除去した後、予冷したPBSで細胞を3回洗浄した。5mLの予冷したPBSを15cm培養皿に添加し、細胞スクレーパーを使用して細胞をこすり落とした。細胞懸濁液を50mLチューブに写し、1,300rpmで5分間、遠心分離した。異なる培養皿から細胞ペレットを集め、PBSで再び洗浄した。1,300rpmで5分間の遠心分離後、細胞を低張緩衝液(10mL/1g 細胞ペレット)に懸濁させた。その細胞懸濁液を5分ごとに攪拌混合しながら30分間インキュベートし、その後、液体窒素を用いて5回、凍解した。細胞破壊片を沈降させるために、その懸濁液を10分間、13,000rpmで、4℃で遠心分離した。その後、その得られた上清を超遠心分離機で45分間、125,000xgで、4℃で遠心分離した。懸濁液の4gの結果として得られたペレットを1mL溶解緩衝液に再び懸濁させ、ショートパルス(2秒)超音波処理で溶解した。その懸濁液を10分間、13,000rpmで、4℃で遠心分離し、膜画分を含有する上清を新たな1.5mLチューブに移した。
免疫沈降:免疫沈降をμColumnsおよびμMACS Separator(Miltenyi Biotec)で行った。150〜300μL膜調製物または300〜400μL完全溶解産物に、1.5μLのモノクローナルマウス抗体(抗nmt55)および50μLのProtein G Mirco Beads(磁気標識したもの)を添加し、溶解緩衝液を満たして800μLの合計量にした。
その懸濁液を、4℃で16rpmで回転させながら30分間インキュベートした。Miltenyi μColumnsを、μMACS Separatorの磁場に配置した。200μLの溶解緩衝液ですすぐことによりカラムの準備をした。細胞溶解産物をそのカラムに適用した。溶解産物をカラムに通した後、5x200μLの溶解緩衝液で洗浄した。溶離のために、20μLの予熱(95℃)1xSDSゲル負荷緩衝液(50mM Tris HCl、pH6.8;50mM DTT;1%SDS;0.005%ブロモフェノールブルー;10%グリセロール)をカラムに適用し、5分間、室温でインキュベートした。新たな回収チューブをカラムの下に置き、別の50μLの予熱(95℃)1xSDSゲル負荷緩衝液でカラムを溶離した。
SDS−PAGE:15μL負荷緩衝液を35μLの溶解細胞に添加した後、サンプルを10%SDS−PAGEにかけた。1レーンにつき14μLを負荷し、ゲルを45分間、40mAで泳動させた。
ウエスタンブロット:PVDF膜(Millipore)を用いてウエット・ブロッティング・チャンバ(BioRad)で1時間、350mAでゲルをブロットした。ブロットをPBS−Tween中の5%ドライミルクで1時間ブロックした。PBS−Tween中の5%ドライミルク中、一次抗体抗grp78(1:2000)、抗nmt55(1:2500)および抗ビメンチン(1:1250)を、1時間適用した。LM1 C7(40μg/mL)を2時間適用した。ブロットを5分間、PBS−Tweenで3回洗浄し、ペルオキシダーゼ結合二次抗体を1時間適用した。ブロットを15分間、3回洗浄し、Pierce ECL Super Signal West Pico溶液で現像した。
FACS:細胞を常に氷上で保持し、氷冷して滅菌濾過したPBSを使用した。トランスフェクションからの細胞を細胞解離溶液で10分間溶解し、その後、完全成長培地に再び懸濁させ、5分間、800gで遠心分離し、細胞を新たな完全培地に再び懸濁させて計数し、細胞を完全培地中、2x105/mLに調整し、氷上で30分間インキュベートした。エッペンドルフチューブ1本につき細胞1mLを分取し、PBSで洗浄し、4℃で800gで遠心して沈降させ、500μL PBSに再び懸濁させ、回転させて沈降させ、その後、一次抗体:25 resp.100μg/mLでのLM1、または1:50 resp 1:25〜1:100での抗nmt55を添加した。陰性対照は、アイソタイプ対照抗体であり、一次抗体を伴わないものであった。抗体インキュベーション後、細胞をPBSで1回洗浄し、二次抗体(抗ヒトIgM−FITC(DAKO、F0317)または抗マウスIgG FITC(dianova、115−095−008)−200μL中の1:50希釈物、を添加し、30分間(暗所で)インキュベートした。その後、細胞をPBSで2回洗浄し、250μL PBS中のものをFACSチューブに移した。FACS Scan(Beckmann−Coulter)でFACSを行い、フリーソフトウェアWinMDI2.8でデータを解析した。
細胞培養:A549(癌腫性ヒト肺胞基底上皮細胞)およびHEK293(ヒト胚性腎細胞)をECACC(Europian collection of cell culture)から入手した。A549およびHEK293細胞のための成長培地は、グルタミン不含のRPMI 1640(PAA)に10%ウシ胎仔血清、1% 1−グルタミンおよび抗生物質を補足したものであった。細胞を37℃、95%空気および5%CO2で培養し、2から3日ごとに継代させた。
Nono−センスおよび−アンチセンス構築物の生成:次のプライマーセット:5’プライマー−ATG CAG AGT AAT AAA ACT TTT AAC−3’、および3’−プライマー5’−GTA TCG GCG ACG TTT GTT TGG GGC−3’を使用し、ヒト膵癌細胞株BxPC.cDNAをテンプレートとして使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、ヒトNono cDNAを増幅させた。このフラグメントをTAクローニングによりpcDNA3.1−V5−His TOPO TAベクター(Invitrogen)にライゲートして、50:50比のNono−センスプラスミドとNono−アンチセンスプラスミドを生じさせた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、幾つかのNono−センスおよびアンチセンス構築物を同定し、「pcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHis−Anti」および「pcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHis」と呼んだ。PCR産物の発現構築物への配列方向をDNA配列決定によって確認した(Qiagen)。
安定した細胞株の構築:安定した細胞株を産生させるために、TransPass Transfection試薬(BioLabs)をその製造業者の説示に従って使用して、A549細胞に、5μgのpcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHis−AntiまたはpcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHisプラスミドをトランスフェクトした(これは、ネオマイシン耐性を付与する)。トランスフェクションの2日後、細胞を1mg/mL G418(PAA)中で2週間選択した。次に、G418耐性クローンを選択し、mnt55抗体(Dianova)またはペンタ−His抗体(Qiagen)を使用してウエスタンブロットによりNonoタンパク質発現低減または増加について分析した。幾つかの陽性クローンを同定し、増幅させた。
細菌(E.Coli)におけるタンパク質生産:「pEXP5−CT−Nono−6xHis」と呼ばれるヒトNono遺伝子の完全長転写産物をコードするプラスミドでBL21 Star(商標)(DE2)E.Coliを形質転換させた。アンピシリンを含有するLBプレートで形質転換体を選択し、その後、100mg/mLアンピシリンを補足したLB培地において250rpmで振盪しながら37℃で一晩、コロニーを成長させた。アンピシリンを補足した新たなLB培地でその一晩培養物を25倍希釈し、0.9のOD600に達するまで37℃で培養した。その後、1mM IPTG(イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクト−ピラノシド、Invitrogen)の添加および37℃で3時間のインキュベーションによってタンパク質発現を誘導した。遠心分離によって細菌を回収し、20mM NaCl、0.1M Tris−HCl pH7.8、10mM MgCl2、1/1000 NP−40、0.5mM EDTA、1/10 グリセロール、50μM PMSFならびに0.2mg/mL リソザイムおよびアンチプロテアーゼ剤(Complete,Roche)を含有する緩衝液中での超音波処理によって溶解した。遠心分離(10分、5000g)による細胞破壊片の除去後、タンパク質をウエスタンブロット分析によって確認した。
実施例3
本実施例は、LM−1モノクローナル抗体を発現する細胞株の産生の説明を含む。実施例1における材料および方法を用いて、下記の研究を行った。LM−1モノクローナル抗体重鎖および軽鎖可変領域配列の説明も含む。
上で説明したように、癌患者のリンパ節から得たリンパ球とヘテロミエローマ細胞株HAB−1(tallerら,Br.J.Cancer 62:595−598,1990)を融合させることによって、LM−1モノクローナル抗体発現ハイブリドーマを得た。前記リンパ源は、患者の年齢または性別に関して事前に選択しなかった。得られた細胞は、3つの細胞の融合体であるのでトリオーマとして知られているタイプのハイブリドーマである。正常なBリンパ球と同様に、このトリオーマは、抗体を生産する能力を有する。抗体の特異性は、そのトリオーマを産生させるために用いた患者からの原リンパ球の特異性によって決まる。
ELISAアッセイを用いて、それらのハイブリドーマ上清を抗体生産についてスクリーニングした。ELISA後、抗体を、主として、それらの自己腫瘍に対して腫瘍特異的反応について免疫組織化学的に検査した。前記LM−1抗体は、肺腺癌を有する患者のリンパ球から産生させた。
重鎖および軽鎖のそれぞれに3つある予測CDRを本明細書では適便にLC−CDR1、LC−CDR2およびLC−CDR3;ならびにHC−CDR1、HC−CDR2およびHC−CDR3と示す。
LM−1重可変領域鎖の予測CDR配列は、CDR1、VSGGSISSGGYY、CDR2、YIYYSGSTYYNPSLKS、およびCDR3、VDARYDYVWGSYRYDAFDIである。LM−1重鎖のCDR1は、アミノ酸24〜35をコードするヌクレオチド72〜105にわたり、CDR2は、アミノ酸52〜67をコードするヌクレオチド153〜201にわたり、およびCDR3は、アミノ酸100〜118をコードするヌクレオチド300〜354にわたる。
軽可変鎖の予測CDR配列は、CDR1;SGSSSNIGNNYVS、CDR2;DNNKRPSG、およびCDR3;GTWDSSLSAGWVである。ラムダ軽鎖のCDR1は、位置23〜35にあるアミノ酸をコードするヌクレオチド69〜105にわたる。CDR2は、アミノ酸51〜58をコードするヌクレオチド153〜174にわたり、およびCDR3は、ヌクレオチド270〜303にわたり、アミノ酸90〜101をコードする。
実施例4
本実施例は、LM−1抗体の免疫組織化学的特性づけの説明を含む。実施例1における材料および方法を用いて下記の研究を行った。
ハイブリドーマによって分泌されたモノクローナル抗体を特性づけするために、前記材料および方法において説明した免疫ペルオキシダーゼアッセイを用いて正常および腫瘍組織のパネルに対して抗体を検査した。このアッセイによって、組織が抗体により染色されることのおよび抗原の分布の外観を得た。
腫瘍細胞に特異的であり、正常細胞には特異的でない抗体をさらに特性づけした。先ず、これらの抗体を異なる患者からの同じタイプの腫瘍に対して検査した。次に、これらの抗体を他の器官の腫瘍に対して検査し、最後に正常組織に対して検査した。これらのアッセイを用いて、ヒトLM−1モノクローナル抗体を同定した。この腫瘍反応性抗体は、IgM/λアイソタイプのものである(表1)。
このヒトモノクローナルIgM抗体の遺伝的起源を調査するために、V
H遺伝子を増幅し、クローニングし、配列決定した。その配列をIMGT/V−QUESTデータベース内の生殖細胞系配列と比較して、最も相同性の生殖細胞系遺伝子を同定し、体細胞突然変異を検出した。結果を表2に提示する。V
Hセグメントのヌクレオチド配列と最も近い報告生殖細胞系V
H遺伝子のヌクレオチド配列との同一度は、表2にまとめたようにおおよそ99.6%であった。
VH4遺伝子ファミリーの遺伝子は、LM−1抗体を発現した。抗体の親和性成熟の指標である、VH領域と生殖細胞系遺伝子との高い相同性および低いR/S比は、これらの抗体が、いずれも、抗原接触に起因する体細胞突然変異による親和性成熟を被らないことを示している。前記データは、LM−1抗体が、自然に存在する非親和性成熟抗体のファミリーに属することを示している。
自己腫瘍に対する最初の検査の後、様々なパラフィン包埋および凍結包埋癌腫および正常組織に対する免疫組織化学染色を用いて、より詳細に、これらの抗体の反応パターンを調査した。LM−1抗体は、正常組織との検出可能な結合活性を示さなかった(表3)。
対照的に、LM−1抗体は、様々な異なる腫瘍組織を染色した(表4)。
LM−1抗体は、検査した様々な腫瘍組織に関して広い染色パターンを生じさせた。これらの研究において使用した陽性対照抗体は、肺および食道の扁平上皮癌についてはヒトサイトケラチン5/6(「CK 5/6」;Dako A/S,Denmark)に対するマウスモノクローナル抗体、ならびにヒトサイトケラチンに対するマウスモノクローナル抗体(「CAM 5.2」;Becton Dickinson,New Jersy)であった。追加の陽性対照抗体(結腸の腺癌についてはAEI/AE3、および乳房の侵襲性腺管癌腫については抗体CK8)をこれらの研究において使用した。
LM−1抗体によって認識される抗原を調査するために、樹立肺癌腫細胞株LOU−NH91の膜抽出物を用いてウエスタンブロットを行った。抗体LM−1は、70kDaの近似的分子量を有する抗原と反応した。膜抽出物へのIgM抗体の非特異的結合を除外するために、無関係ヒト対照IgMを対照として使用した。
さらに、LM−1モノクローナル抗体は、多数の癌腫細胞株も特異的に染色した。詳細には、LM−1抗体は、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、および肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)細胞を特異的に結合した。材料および方法セクションにおいて説明したサイトスピンプロトコルに従って、これらの細胞のスライドガラスを染色した。
実施例5
本実施例は、LM−1抗体の細胞増殖抑制研究の説明を含む。実施例1における材料および方法を用いて、下記の研究を行った。
当該技術分野において標準的である多数の方法によって、例えばテトラゾリウム塩の還元によって、細胞増殖をアッセイすることができる。黄色テトラゾリウム塩3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(「MTT」)(Sigma,St.Louis,MO)を、代謝活性細胞によって、一部はミトコンドリアデヒドロゲナーゼ酵素の作用によって、還元して還元等価物、例えばNADHおよびNADPH、を生じさせた。得られた細胞内紫色ホルマザンを可溶化し、分光測光手段によって定量することができる。MTT細胞増殖アッセイは、細胞増殖速度および、代謝事象がアポトーシスをもたらす場合には、細胞生存度低減を測定するものである。
MTTアッセイのために、細胞をトリプシン処理し、10%ウシ胎仔血清(「FCS」)(LOU−NH91については20%FCS)、1%グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有する10mLのRPMI−1460培地(完全培地)にそれらの細胞を再懸濁させた。その後、それらの細胞を計数し、1x106細胞/mLに希釈した。この懸濁液の50μLをピペットで96ウエルプレートのウエルに移し、その結果、おおよそ5x104細胞/ウエルにした。ウエルの第一列は、空にしておいた。その後、完全培地で希釈した抗体50μLをそれぞれのウエルに添加した。その後、その96ウエルプレートを24または48時間、37℃のインキュベーターでインキュベートした。インキュベーション時間の後、50μL MTT溶液(PBS中、5mg/mL)をそれぞれのウエルに添加した。その96ウエルプレートを30分間、37℃でインキュベートし、5分間、800xgで遠心分離した。上清を吸引し、150μLのジメチルスルホキシド(DMSO)をそれぞれのウエルに添加し、細胞ペレットを再び懸濁させた。ELISAリーダーで540nmの波長および690nmの参照波長での吸収を判定した。
図1に示すように、24時間後、モノクローナル抗体LM−1は、肺癌腫細胞株LOU−NH91の細胞増殖を抑制した。これらの研究では、上清を枯渇させたLM−1モノクローナル抗体と共に、または抗体を伴わずに、LOU−NH91細胞を24時間インキュベートした。y軸は、540nmでの吸収と690μmでの吸収の差(A540−A690)を示す。これらのグラフから明らかであるようにLM−1モノクローナル抗体とのインキュベーションは、24時間のインキュベーション期間後も、48時間のインキュベーション期間後も、細胞増殖および細胞生存度を減少させる結果となった。
前述の研究のさらなる例示的結果を図2Aおよび2Bに示す。24または48時間後、モノクローナル抗体LM−1は、ヒト類表皮細胞癌腫細胞株EPLC−272Hの細胞増殖を濃度依存的に抑制したが、細胞培養上清を枯渇させた対照は、不変のままであった(図2Aおよび2B)。
実施例6
本実施例は、LM−1抗体の細胞アポトーシス研究の説明を含む。実施例1における材料および方法を用いて、下記の研究を行った。
当該技術分野において標準的な多数のアッセイを用いて、抗体が細胞のアポトーシスを誘導するかどうかを判定することができる。例えば、CELL DEATH DETECTION ELISAPLUS(Roche,Mannheim,Germany)を用いて、LM−1抗体がアポトーシスを誘導する程度を分析した。この細胞死検出ELISAは、DNAおよびヒストンそれぞれに対するマウスモノクローナル抗体を使用する定量的サンドイッチ酵素イムノアッセイ原理に基づく。このアッセイにより、アポトーシスから死滅する細胞の細胞質に放出されるモノ−およびオリゴ−ヌクレオソームの特異的判定が可能となる。
詳細には、1x104腫瘍細胞(LOU−NH91)を96ウエルプレートにプレーティングし、CO2インキュベーターの中で、37℃および7%CO2で、24時間、異なる濃度のヒトIgM抗体LM−1の存在下でインキュベートした。無関係IgM抗体を伴う細胞培養上清枯渇物が陰性対照として役立った。
そのインキュベーション期間後、細胞を10分間、200xgで遠心分離し、上清を除去した。その後、得られた細胞ペレットを200μLの溶解緩衝液と共に30分間、室温でインキュベートした。遠心分離後、20μLの上清をストレプトアビジン被覆マイクロタイタープレート(MTP)に写し、80μLの免疫試薬(10%抗ヒストン−ビオチンと、10%抗DNA−ペルオキシダーゼ(抗DNA POD)と、80%インキュベーション緩衝液との混合物)を添加し、その後、250rpmでMTPシェーカーを用いて室温で2時間インキュベートした。そのインキュベーション期間後、インキュベーション緩衝液での洗浄段階により、未結合成分を除去した。基質としてABTS(商標)(5mL基質緩衝液中のABTS(商標)(2,2’−アジノ−ジ[3−エチル−ベンズ−チアゾリン−スルホネート])錠剤1個)を用いて光度計測によりPODを判定した。ブランクとしてのABTS(商標)溶液(おおよそ490μLの参照波長)と比較して415nmの波長でELISAリーダーを用いてこの反応の結果として形成される緑色沈殿の色強度を判定することにより、抗体誘導アポトーシスを測定した。この色強度に基づき、抗体誘導アポトーシスのレベルを計算した。
これらの研究は、24時間のインキュベーション後(図3および4A)および48時間のインキュベーション後(図4B)にLOU−NH91癌腫細胞において抗体LM−1がアポトーシスを誘導することを明確に示した。これらの図中のY軸は、415nmでの吸収と490nm参照波長での吸収の間の差(A415−A490)であり、培地対照は、RPMI 1460培地である。LM−1抗体の濃度は、上清中、25μgまたは50μg/mLであった。
実施例7
本実施例は、LM−1抗体を使用することによるインビボ新生物イメージングの説明を含む。
肺癌腫などの新生物を有する疑いがある患者に、本明細書中で説明する方法を用いて、放射性ヨウ素標識LM−1抗体または別の腫瘍特異的ポリペプチドおよび放射性標識非特異的抗体の用量を与えた。イメージングについての腫瘍の局在定位は、Goldenbergら(N.Engl.7.Med.,298:1384,1978)の手順に従って果たした。I.V.により、131I−LM−1抗体およびTc−99m標識非特異的抗体の溶液の等容量の輸液を患者に投与することができる。試薬のI.V.投与の前に、概して、患者を抗体調製物(未標識)に対するまたは該抗体調製物と同種の抗体に対する過敏性について予備検査する。131Iの甲状腺取り込みを阻止するために、ルゴール液を1日2または3回、5滴の用量で経口投与する(これは、放射性ヨウ素標識抗体の注射の1日以上前に開始する)。標識調製物の注射後4、8および24時間の時点で、様々な身体領域および視野の画像を撮る。存在する場合には、新生物、例えば結腸直腸癌腫、が、DeLandら(Cancer Res.40:3046,1980)によって131I標識抗CEA抗体およびTc−99m標識ヒト血清アルブミンについて説明されているように、Tc−99mカウントの131Iのものからのサブトラクションでのガンマ・カメラ・イメージングにより、検出される。注射後8時間の時点で、イメージングは通常明瞭であり、24時間スキャンが終わるまで向上する。
実施例8
この実施例は、LM−1抗体、例えば標識抗体混合物、を使用することによる新生物治療の説明を含む。
新生物、例えば肺癌腫、を有すると診断された患者を、以下のように本発明のポリペプチドで治療することができる。ルゴール液を患者に、例えば1日3回7滴、投与することができる。その後、131I−LM−1抗体の治療用量をその患者に投与することができる。例えば、50mCiの131I用量を週1回、3週間にわたって与え、その後、血液毒性がその療法をさえぎるまで、個別に調整した間隔、例えば3ヶ月に1回、で繰り返すことができる。正確な治療レジメンは、一般に、担当医またはその治療の監督者によって決められる。放射性ヨウ素標識抗体を50mLの滅菌生理食塩水での緩徐I.V.輸液として投与することができる。3回目の注射投与後、特に、第二治療サイクル後、または療法開始の10週間後、原発性腫瘍および転移のサイズの低減を書き留めることができる。
実施例9
本実施例は、結合体抗体による新生物治療の説明を含む。
新生物を有すると診断された患者、例えば、胸部に転移した肺癌腫を有する患者を、131I−LM−1、10B−LM−1、およびTc−99m標識非特異的抗体の溶液で治療することができる。70kgの患者体重に基づき100MCiの131I活性をもたらすために十分な量の131I−標識LM−1抗体(50mLの滅菌生理食塩水中のもの)を患者に投与することができる。この投薬量は、抗体分子あたり40〜80個のホウ素原子および8〜16個のホウ素−10原子を有する抗体3.3mgに等しい。実施例6の手順を用いて、前記新生物を最初に正確に局在定位する。加えて、前の実施例の場合のように、ルゴール液を継続的に患者に投与しなければならない。その後、それらの規定された腫瘍位置に、十分に平行な熱中性子ビームを集束させることができる。8から20分間で送達される400〜800ラドの外部中性子ビームの照射をそれぞれの腫瘍位置に対して行い、および場合によっては個別に調整した間隔で、放射性標識したまたはしていない腫瘍定位抗体を投与してそれを繰り返すが、同時に行われる外部照射療法が指示されない限り、通常は3200ラドの総線量を超えない。所望される場合には、この療法に加えて、化学療法薬などの抗腫瘍剤を患者に投与することもできる。
実施例10
本実施例は、LM−1抗体の追加の免疫組織化学的特性づけの説明を含む。
免疫組織化学分析により、LM−1抗体が様々な形態の癌に結合することが明らかになった。例えば、LM−1は、検査したすべてのグレードおよび期の肺腺癌に結合し、男性または女性間での差は検出されなかった。詳細には、LM−1抗体は、
での肺腺癌に結合し、それぞれの期の細胞のLM−1についての陽性染色百分率が高い(40%、50%または60%より高く、一般には90%以上)。
LM−1は、検査したすべてのグレードおよび期の肺扁平上皮癌にも結合し、男性または女性間での差は検出されなかった。詳細には、LM−1抗体は、
での肺扁平上皮癌に結合し、それぞれの期の細胞のLM−1についての陽性染色百分率が高い(30%より高く、一般には90%以上)。
さらに、LM−1は、検査したすべてのグレードおよび期の結腸腺癌に結合し、男性または女性間での差は検出されなかった。詳細には、LM−1抗体は、
での結腸腺癌に結合し、それぞれの期の細胞のLM−1についての陽性染色百分率が高い(30%より高く、一般には90%以上)。
加えて、LM−1は、検査したすべてのグレードおよび期の膵腺癌に結合し、男性または女性間での差は検出されなかった。詳細には、LM−1抗体は、
でのならびに内分泌腫瘍に基づく膵腺癌に結合し、それぞれの期の細胞のLM−1についての陽性染色百分率が高い(30%より高く、一般には90%以上)。
このように、従って、LM−1抗原は、男性と女性両方のすべてのグレードおよび期の肺腺癌、肺扁平上皮癌、結腸腺癌および膵腺癌で偏在的に発現される。従って、LM−1抗原は、ターゲットとなり、LM−1抗体およびそれらの機能性フラグメントは、男性と女性の両方におけるすべての期の肺腺癌、肺扁平上皮癌、結腸腺癌および膵腺癌を治療するための療法となる。
免疫組織化学分析により、LM−1抗体が様々な転移形態の癌に結合することも明らかになった。詳細には、LM−1は、肺腺癌および肺扁平上皮癌から生ずるリンパ節および脳転移に結合する。LM−1は、乳房侵襲性腺管および侵襲性小葉癌から生ずるリンパ節転移にも結合する。さらに、LM−1は、結腸腺癌から生ずる肝臓転移、肺転移およびリンパ節転移に結合する。加えて、LM−1は、胃腺癌(腸管型および散在型のもの)から生ずる、膵腺癌から生ずる、ならびに頭部および頚部扁平上皮癌から生ずるリンパ節転移に結合する。従って、LM−1抗原は、ターゲットとなり、LM−1抗体およびそれらのフラグメントは、これらおよび他の癌から生ずる転移性腫瘍の樹立もしくは形成、または樹立した転移性腫瘍の成長を低減または抑制するための、ならびに癌再発または転移性腫瘍形成もしくは樹立への癌の進行または樹立されたもしくは形成した転移の成長もしくは増殖のリスクを低減するための療法になる。
免疫組織化学分析により、LM−1抗体が様々な健常非癌性組織に検出可能に結合しないことも明らかになった。詳細には、LM−1は、胃(腺性)、結腸(上皮性)、肺(腺性もしくは肺胞性)、食道(上皮性)、膵臓(腺性)、肝臓(腺性)、腎臓(上皮性)、前立腺(腺性)、精巣(胚性)、乳房(腺性)、子宮(上皮性)、卵巣(腺性)、小腸(上皮性)、膀胱(上皮性)または副腎(内分泌腺性)には検出可能に結合しない。LM−1は、小脳、大脳皮質、内皮、網膜、輸卵管、心臓、腎臓、リンパ節、膵臓、甲状腺、副甲状腺、下垂体、胎盤、皮膚、脾臓、筋肉または胸腺にも検出可能に結合しない。
実施例11
本実施例は、2003年11月6日に寄託された、DSMZ寄託番号DSM ACC 2623として寄託されたハイブリドーマにより生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、もしくは7および11として示す重鎖および軽鎖可変領域配列を有する抗体によって代表されるようなLM−1抗体上に存在する炭水化物(N−グリカン)のプロファイルする研究の説明を含む。
簡単に言うと、ヒト/マウスハイブリドーマから得たLM−1を典型的な非ヒトグリカン構造の存在について評価した。ヒトおよび非ヒト哺乳動物グリカン構造は、シアリル化グリカンに基づいて区別することができる:ヒト起源のシアリル化グリカンは、シアル酸としてNeu5Acしか含有しないが、齧歯動物および大部分の他の哺乳動物は、シアリル化構造にNeu5Gcも組み込まれている。
遊離過メチル化N−グリカンのMALDI−TOF MS分析を用いて、前記抗体上に存在する構造を判定した。過メチル化グリカンにおけるNeu5GcによるNeu5Ac残基の置換によって30Daの質量シフトが導入される。過メチル化グリカンのMALDI−TOF分析のために、1.4mgのLM−1をPNGase Fで消化し、遊離グリカンを精製した。過メチル化後、MALDI−TOF MSによりグリカンを分析した。
LM−1のMALDI−TOFスペクトルを図5Aに示す。Man5GlcNAc2からMan8GlcNac2は、高マンノースタイプのグリカンを表す。他の構造は、
に対応する。
最も優勢なグリカン構造のみを図5Aに示す。同定したすべてのグリカン構造を表5に列挙する:
LM−1に関するN−グリカンの詳細な分析をArnoldら(J.Biol.Chem.280:29080(2005)に発表されているデータと比較した。LM−1抗体のグリコプロファイリングは、複雑なグリカンパターンを示す。高マンノース構造(Man5からMan9)の有意な含量があり、シアリル化グリカンの有意な量もある。ガラクトシル化およびフコシル化グリカン(例えば、G1、G2、G0F、G1FおよびG2F)は、グリカンの小率しか構成しない。LM−1のグリカン組成は、ヒト血清IgMのグリコシル化に関してはArnoldらによって発表されたデータに匹敵する。しかし、グリコフォームに差がある。
MALDI−TOF MS分析(図5A)は、異なるシアリル化N−グリカン上のNeuAcとNeuGcの両方の存在を明示している。シアリル化グリカンのそれぞれに、NeuAc、NeuGcまたは両方のシアル酸を有するアイソフォームが存在する。
実施例12
本実施例は、炭水化物ターゲット抗原へのLM−1の結合を示すと思われるデータを含む。本実施例は、炭水化物ライブラリーおよび血液型抗原に対するLM−1抗体での結合研究の説明も含む。
LM−1抗体は、多数の様々な腫瘍細胞、例えば肺腺癌(adenocarinoma)細胞株Colo−699(DSMZアクセッション番号ACC 196)、肺腺癌(adenocarinoma)細胞株DV−90(DSMZアクセッション番号ACC 307)、類表皮肺癌腫細胞株EPLC−272H(DSMZアクセッション番号ACC 383)、および肺扁平上皮癌細胞株LOU−NH91(DSMZアクセッション番号ACC 393)のうちの1つ以上、に結合する。実施例1において説明したように、腫瘍細胞をN−グリコシダーゼで処理し、その後、それらの細胞へのLM−1の結合について分析した。
本データは、N−グリコシダーゼ処理細胞へのLM−1結合が有意に低減されたことを示しており、これは、LM−1が結合するエピトープにおける炭水化物部分の可能な改善を示唆しているが、実施例16に記載するその後のデータは、LM−1が細菌発現抗原に結合することを示し、これは、炭水化物が抗原へのLM−1の結合にとって必須ではないことを意味する。
炭水化物のパネルをLM−1抗体の結合についてスクリーニングした。詳細には、このパネルは、ポリアクリルアミド(paolyacrylamide)スペーサーに結合体化された単、二、三、四およびオリゴ糖類を含む。前記炭水化物、前記炭水化物中の糖数およびスペーサーのタイプを表6に列挙する。
ELISAによるスクリーニングを行った。簡単に言うと、炭水化物結合体を96ウエル・マイクロタイタープレート上に固定させ、2%ウシ血清アルブミンでブロックし、第一段階では一次抗体と共にインキュベートした。POD標識二次ウサギ抗ヒトIgM抗体(Dianova、コード309−035−095)と共にインキュベートし、15分間、TMB−マイクロウエルペルオキシダーゼ基質(tebu−bio、コードTMB−500)で現像し、参照波長としての630nmに対して450nmでODを測定して、検出を行った。それぞれのプローブを二重反復で調査した。
陽性シグナルは0.5から1.0のOD範囲でなければならないので、第一の研究を6つの結合体のパネルに対して行って、検査のための個々の抗体希釈を見つけた。さらに、得られたシグナルの炭水化物特異性を立証するために、および非特異的アーチファクトを排除するために、2つのタイプの対照研究を行った:(i)化学的には匹敵するが炭水化物でない抗原としてアミノグルシトール−結合体(番号0)の使用、および(ii)炭水化物構造を改変する、Woodward(Woodwardら,J.Immunol.Meth 78:143(1985))による過ヨウ素酸塩との炭水化物結合体のプレインキュベーション。従って、シグナル強度低下により、抗体結合の炭水化物特性が検出される。
加えて、炭水化物を結合しない市販のヒトIgM抗体を、陰性対照として6つの結合体のパネルに対して調査した。この研究は、個々のマイクロタイタープレートそれぞれに関するそれぞれの結合体についてのブランク対照を含んだ。ブランクは、一次抗体とのインキュベーションを伴わないウエルを意味する。
単一濃度、0.5μg/mL LM−1、2μg/mL hIgM陰性対照、およびNemod−TF2対照抗体については1:20希釈(これは、0.1μg/mL未満の濃度を意味する)でスクリーニングを行った。NM−TF2抗体を、この抗体によって強く認識されるGalβ1−3GalNAcα−結合体(表6、番号37)に対して検査した。シグナル強度は、常に、4より大きいODまで測定された。
ブランクプローブのシグナル強度は、常に、OD<0.0020で測定された。図5B〜5Fは、抗体LM−1についてのスクリーニングの結果を示すものであり、表6に列挙したような単糖類−(図5B)、二糖類−(図5C)、三糖類−(図5D)、四糖類−(図5E)およびオリゴ糖類−(図5F)結合体への結合に関する例証となる。対照バーは、順番に、ブランク、非炭水化物結合体(表6、番号「0」)、そして陽性対照Nemod−TF2である。
スクリーニングは、陽性対照抗体Nemod−TF2と比較して高い抗体濃度にもかかわらず低いシグナル強度を示した。さらに、相対的に高い結合が非炭水化物対照(0)について測定されたが、Nemod−TF2についてはそうではなかった。それにもかかわらず、荷電炭水化物結合体への結合は、非荷電炭水化物結合体と比較して強化されるようであった。しかし、重ねて、実施例16のデータは、炭水化物が抗原へのLM−1結合にとって必須でないことを示す。
シグナルの特異性を確認するために、ならびに高いバックグラウンドと区別するために、3つの追加の研究を行った。これらの研究には結合体6OsuLacNAc(表6、番号77)を選択した。この結合体に対するシグナル強度が強化されたからである。加えて、陽性対照抗体Nemod−TF2を、Galβ1−3GalNAcα−結合体(表6、番号37)に対して調査した:
(i)すべての被覆抗原が結合している濃度(飽和濃度)で開始する、一連の異なる濃度の抗体の結合体6OsuLacNAc(表6、番号77)に対する結合。用いるELISA条件下で最大結合を生じさせる結果となる抗体濃度で、濃度依存的結合の測定を開始した。結合体6OsuLacNAcへの結合については、LM−1(20μg/mL)を使用した。Nemod−TF2の開始濃度は、<0.1μg/mLであった(結合体番号37、表6、への結合)。ODと濃度の直線関係は、非特異的吸収を示し、これは、この炭水化物への特異的な結合が無いことを意味する。
(ii)4つの濃度(希釈段階1:2)での6OsuLacNAc(表6、番号77)および非炭水化物結合体(表6、番号0)に対する抗体結合の比較。結合体6OsuLacNAc(表6、番号77)に対するならびに非炭水化物結合体(表6、番号0)に対する濃度依存的結合をより小さい濃度範囲で調査した。対照抗体Nemod−TF2での測定は行わなかった。この抗体は、非炭水化物結合体に結合しないからである。炭水化物結合体への結合と非炭水化物結合体への結合の比較は、ある程度、特異的炭水化物認識を示すことができる。
(iii)過ヨウ素酸塩インキュベーションを伴うまたは伴わない6OsuLacNAc(表6、番号77)および非炭水化物結合体(表6、番号0)への結合。酸性pHでの穏やかな過ヨウ素酸塩酸化は、ヒドロキシル基に隣接する炭水化物を切断する(Woodwardら,J.Immunol.Meth 78:143(1985))ので、従って、炭水化物媒介抗体結合の特異性を確認するためのツールとなる。炭水化物抗原と過ヨウ素酸塩のプレインキュベーションは、抗体結合のシグナル強度を低下させるであろう。LM−1抗体の結合は、シグナル低下が測定されたNemod−TF2対照抗体と比較して、過ヨウ素酸塩に対して感受性でなかった。さらに、炭水化物被覆ウエルへの結合増加ばかりでなく、非炭水化物被覆ウエルへの結合増加も測定された。これは、ことによるとサンプル中の不純物(単数または複数)によって媒介される、高いバックグラウンド結合についての解釈を裏付ける。
データは、いずれの糖への特異的結合も不在であることを示している。従って、検査した炭水化物がターゲットを表す、およびタンパク質部分がエピトープの一部であり得るという可能性は低いようである。
血液型抗原の分析のために、標準的な赤血球凝集反応アッセイを用いて、LM−1抗体をA1、A2、BおよびO血液型への結合についてスクリーニングした。赤血球凝集反応は、赤血球(RBC)が関係するものであり、(公知抗体を有する)RBC表面抗原を同定するために、または(公知表面抗原を有するRBCを用いて)抗体をスクリーニングするために用いることができる。結果は、LM−1が、A1、A2、BおよびO血液型抗原のいずれにも検出可能に結合しなかったことを示している。
リンパ球および顆粒球へのLM−1抗体結合の分析について。簡単に言うと、静脈血をボランティアから採血し、フィコール(Ficoll)密度勾配を調製して血液成分を分離した。フィコールは、血液をその成分(例えば、赤血球、白血球など)に分離するために使用されるフィコール−パック(Ficoll−Paque)の一部である。フィコール−パックをカラムの底に配置し、その後、血液をゆっくりとフィコール−パックの上に積層する。遠心分離後、カラム内で以下の層が見えるようになる、上から下へ:血漿および他の成分、単核細胞(PBMC/MNC、例えばリンパ球)、フィコール−パック、そしてペレット形で存在するであろう赤血球および顆粒球。フィコール密度勾配での分離後、異なる細胞集団(リンパ球、顆粒球)を洗浄し、FACS分析のために使用した。その後、細胞(2x105)を、氷上で、100μg/mLの最終濃度でのLM−1抗体または同じ濃度でのアイソタイプを合せたヒト対照抗体(Chrompure human IgM、Dianova,Hamburg,Germany)と共に、15分間、氷上でインキュベートし、0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBSで洗浄し、その後、FITC標識ウサギ抗ヒトIgM抗体(1:50、Dianova)と共に15分間、氷上でインキュベートした。0.01%アジ化ナトリウムを含有するPBSで抗体を最適に希釈し、フローサイトメトリー(FACScan;Becton Dickinson,USA)によって細胞を分析した。結果は、LM−1がリンパ球および顆粒球に検出可能に結合しなかったことを示している。
実施例13
本実施例は、LM−1抗体フラグメントが細胞増殖抑制活性を保持することを示す研究の説明を含む。
2003年11月6日に寄託された、DSMZ寄託番号DSM ACC2623として寄託されたハイブリドーマにより生産される抗体によって代表されるまたは配列番号1、3、5、もしくは7および11として示す重鎖および軽鎖可変領域配列を有する抗体によって代表されるようなLM−1抗体を、NAP(商標)−10カラム(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して、100mMクエン酸ナトリウム(pH3.5)との緩衝液交換に付し、その後、ペプシン消化に付した。抗体の各ミリグラムにつき、5μgのペプシン(Sigma Aldrich,Taufkirchen,Germany)を添加し、その後、10〜15分間、37℃水浴内でインキュベートした。1/10容量の3.0M Tris(pH8.8)の添加により反応を停止させ、その後、10,000gで30分間、遠心分離した。無関係対照ヒトIgM抗体(Chrompure IgM、Dianova,Hamburg,Germany)でのペプシン消化も行った。アポトーシス研究前に、FVフラグメントおよびヒト対照IgMフラグメントをPBSに対して透析した。SDSゲル電気泳動およびウエスタンブロッティングにより、両方の抗体のペプシン切断を確認した。実施例4において説明したMTT細胞増殖アッセイを用いて、BXPC−3およびMKN−45細胞の増殖に対する効果を研究した。
データは、LM−1 FVフラグメントがBXPC−3およびMKN−45細胞の細胞増殖を抑制することを示している。前述の結果は、LM−1抗体フラグメントが、細胞増殖を抑制または低減する能力を保持することを示している。
実施例14
本実施例は、LM−1抗体のインビボ研究の説明を含む。データは、LM−1抗体が、有効であり、結腸癌腫、肺癌、膵臓癌、化学療法に耐性の腫瘍をはじめとする様々な腫瘍のサイズ、ならびに腫瘍転移を低減できることを示している。
HT−29ヒト結腸癌腫細胞は、ヒトにおける転移についてのモデルであると考えられる。この結腸癌腫は、マウスにおいて肝臓に転移する。
簡単に言うと、HT−29細胞(1x106)を3群の無胸腺マウス(週齢10週Balb/c nu/nuマウス、Charles River GmbH,Sulzfeld,Germany)に門脈内注射した。接種後第7、9、11、13および15日の時点で、マウスに260μgのPAT−LM1(〜10.4mg/kg、群1)および260μgの非特異的IgM(群2)を1日おきに投与した。追加の対照動物(群3)は、いずれの治療も受けなかった(無注射)。第60日の時点で肝臓に関する巨視的および微視的腫瘍病変を有する動物の数をそれぞれの群について判定した。
LM−1注射マウスの体重は、HT−29細胞の注射後8週間にわたって維持された。対照的に、無注射対照マウスおよび非特異的IgM注射対照マウスに関する体重は、肝臓転移からの健康不良のため、60日の観察期間中にほぼ20%低下した(図6)。
肝臓に関する多数の巨視的および微視的病変が、無注射対照マウスの約80%において、および非特異的IgM対照マウスの約70%において発生した。対照的に、LM−1注射マウスの約20%しか肝臓に関する巨視的病変または微視的病変のいずれかを有さなかった(図7)。従って、前述の結果は、LM−1抗体が、腫瘍転移樹立、形成、または転移性細胞の増殖(成長)を低減できることを示している。
上述の結果は、LM−1抗体が、肝臓における転移の数を低減することを示している。LM−1抗体治療は、腫瘍細胞注射後、動物の初期体重を維持する。これはLM−1の全身性抗腫瘍活性を示すだろう。
A−549は、動物において肺癌腫を形成するヒト細胞株であり、従って、ヒト肺癌腫(例えば、非小細胞肺癌腫、NSCLC)の動物モデルとして使用することができる。A−549肺癌腫細胞(2.0x106)を第0日の時点でマウス(C.B−17/IcrHanHsd−scid、週齢6〜8週、群あたりn=10)に皮下注射した。LM−1抗体(200μg)または対照mAb(ChrompureヒトIgM)、またはビヒクル対照(NaCl)を第1、3、5、7および9日の時点でマウスに腹腔内投与した。第17日の時点でマウスを犠牲にし、腫瘍重量および容積を判定した。
LM−1抗体を注射したマウスにおける平均腫瘍サイズは、対照mAbを注射したマウスより有意に少なかった。LM−1抗体を注射したマウスの腫瘍サイズの低減は、対照mAbを注射したマウスと比較して、71%であった。
組織学的分析により、LM−1治療マウスにおいて腫瘍病変が腫瘍細胞アポトーシスならびに腫瘍成長抑制および退縮の証拠を示すことが明らかになった。LM−1治療マウスにおいて、腫瘍病変は、壊死の証拠も示した。
BXPC−3は、動物において膵臓癌(癌腫)を形成するヒト細胞株であり、従って、ヒト膵臓癌の動物モデルとして使用することができる。BXPC−3細胞(2.0x106)を第0日の時点でマウス(C.B−17/IcrHanHsd−scid、週齢6〜8週、群あたりn=10)に皮下投与した。第8日(5用量)時点でおよび第4週(4用量)に腫瘍が樹立した状態(触診できる)になった後、1日おきにLM−1抗体(200μg)または対照mAb(ChrompureヒトIgM)を腹腔内投与した。第24日の時点でマウスを犠牲にし、腫瘍容積を判定した。
LM−1抗体を注射したマウスにおける樹立膵臓腫瘍のサイズは、対照mAbを注射したマウスより有意に少なかった。LM−1抗体を注射したマウスの腫瘍サイズの低減は、対照mAbを注射したマウスと比較して、44%であった。
樹立腫瘍モデルにおいてLM−1活性を判定するために、マウスにおける樹立A−549細胞肺癌腫をLM−1抗体での治療に付した。A−549肺癌腫細胞(2.0x106)を第0日の時点でマウス(NMRIヌードマウス、週齢6〜8週、群あたりn=10)に皮下投与した。腫瘍が樹立した状態(触診可能、約7mm2)になった後、樹立した腫瘍を有するマウス(肺癌腫細胞投与の14日後)に、LM−1抗体(1mg/kg、3mg/kg、9mg/kg、もしくは27mg/kg)または対照食塩水もしくはIgM mAb(ChrompureヒトIgM、675μg)を、1日おきに、qod、6回、腹腔内投与した。第14日の時点で、平均腫瘍容積は、約200mm3であった。第27日の時点でマウスを犠牲にし、腫瘍容積を判定した。
樹立腫瘍容積の低減は、用量依存性であり、腫瘍容積の最大低減は、27mg/kgの用量で観察された。腫瘍容積は、1および3mg/kgの用量で安定するようであった。9mg/kgの用量では、腫瘍容積の明白な低減はなかった。
上述の結果は、LM−1抗体が、結腸癌腫、肺癌、膵臓癌、化学療法に耐性の腫瘍をはじめとする様々な腫瘍タイプのサイズ、ならびに腫瘍細胞転移樹立、形成および増殖(成長)を低減できることを示している。上述の結果は、LM−1抗体が、腫瘍もしくは転移の数、サイズを低減できる、または様々な樹立腫瘍の数もしくはサイズを安定させることができることも示している。
実施例15
本実施例は、LM−1ターゲット同定および検証の説明を含む。データは、LM−1抗体が、54kDa核RNA−およびDNA−結合タンパク質(p54nrb)ならびに55kDa核タンパク質(nmt55)としても公知の、非pouドメイン含有オクタマー結合タンパク質(NONO)に明らかに結合できることを示している。
簡単に言うと、BxPC3細胞の膜調製物を2Dポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)(Proteome Factory,Berlin,DE)によって分析した。分画タンパク質(図8A)をPVDF膜に移し、その後、LM−1抗体で染色した。PVDF膜上に示されているスポット(LM−1に結合したもの;図8B)を銀染色PAGEに重ね合わせ、8つの対応するスポットをそのゲルから切り取り、MALDI−TOF分析(Proteome Factory,Berlin,DE)に付した。
同定されたフラグメントの配列データベースとの比較後、確率の順にそれぞれのスポットからのタンパク質を列挙する、MALDI−TOFの結果は、スポット1a、ビメンチン、デスミン、チューブリン、アルファ、ケラチン、および神経フィラメント;スポット1b、ビメンチン、デスミン、ペリフェリン、ケラチン、および神経フィラメント;スポット1c、ビメンチン、デスミン、ペリフェリン、ケラチン、神経フィラメント、およびアルファ−インターネキシン;スポット2、サイトケラチン8;スポット3、非同定物、胃抑制性ポリペプチド、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド、ホスホリパーゼC−アルファ、およびタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ;スポット4、サイトケラチン18、およびATP−結合カセットタンパク質;スポット5、ベータアクチン;スポット6、54kDaタンパク質、非−POUドメイン含有(NONO)、およびヒトスプライシング因子;スポット7、非同定物、フコシルトランスフェラーゼ、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子、HECTドメイン含有1、およびAluサブファミリーSB1;スポット7、非同定物、フコシルトランスフェラーゼ、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス制御因子、HECTドメイン含有1、およびAluサブファミリーSB1;スポット8、非同定物、セリン/アルギニン反復マトリックス2、rasグアニル放出タンパク質、無名タンパク質産物、およびmKIAA0232タンパク質であった。
BXPC−3抽出物のゲルクロマトグラフィーによってもLM−1ターゲットを同定し(図9A)、画分9および10を選択してアニオン交換クロマトグラフィーおよびその後のLM−1抗体でのブロッティングに付した(図9B〜9D)。対応するゲル(58および65kDa)から適切なサイズの染色されたLM−1ターゲットタンパク質を切り取り、配列決定した。
簡単に言うと、タンパク質バンドを還元し、アルキル化し、その後、プロテアーゼトリプシンで消化した。得られたペプチドを、ペプチド質量フィンガープリントを得るために800Da〜4500Daの範囲に関してMALDI MSで測定した。プログラムProFoundでのデータベース検索をNCIBデータベースに対して行った。
バンド1:このタンパク質をカルネキシン[67.9kDa/pI 4.6/gi|179832/ホモサピエンス]として同定した。
バンド2:グルタミン酸デヒドロゲナーゼ1[56.3kDa/pI 6.7/gi|4885281/ホモサピエンス]をバンド2において同定した。
バンド3:このタンパク質をカルネキシン[67.9kDa/pI 4.6/gi|179832/ホモサピエンス]として同定した。
バンド4:バンド4のタンパク質を非POUドメイン含有、オクタマー結合、[54.3kDa/pI 9.1/gi|34932414/ホモサピエンス]として同定した。
バンド5:このバンドの同定は、おそらくこのゲルバンドにおける低いタンパク質濃度のため、実際には明瞭でない。しかし、このタンパク質バンドが、非POUドメイン含有、オクタマー結合、[54.3kDa/pI 9.1/gi|34932414/ホモサピエンス]から成るという証拠がある。
バンド6:ケラチン9[62.3kDa/pI 5.1/gi|55956899/ホモサピエンス]とシャペロニン[61.2kDa/pI 5.7/gi|31542947/ホモサピエンス]の混合物をこのタンパク質バンドにおいて見つけることができた。ケラチン9は、不純物であろう。
野生型NONOのアミノ酸配列(配列番号16)と、野生型と同一であるLM−1ターゲットにおいて同定された配列を、太字で目立たせる(第一同定)。
野生型NONOのアミノ酸配列と、野生型と同一であるLM−1ターゲットにおいて同定された配列を、太字で目立たせる(第二同定)。
上記データは、LM−1が新たな癌ターゲット、すなわち、54kDa核RNA−およびDNA−結合タンパク質(p54nrb)ならびに55kDa核タンパク質(nmt55)としても公知の、非POUドメイン含有オクタマー結合タンパク質(NONO)の膜結合アイソフォーム、に結合することを示している。このタンパク質は、癌、腫瘍および悪性細胞上で発現され、LM−1結合は、それが結合する細胞のアポトーシスを誘導する。
nmt55遺伝子は、染色体Xq13.1(70,420,158−70,437,743)にマッピングされることが報告されている。ヒト活性X染色体を含有する(3つのハイブリッド)またはヒト不活性X染色体を含有する(5つのハイブリッド)、8つのマウス/ヒト体細胞ハイブリッドにおける33X結合遺伝子の発現分析により、nmt55遺伝子が、活性ヒトXとのハイブリッドにおいてしか発現されないことを示すことが報告された。この遺伝子は、約18kbにわたり、およびサイズが40から1,227bpにわたる12のエキソンから成る。この出発コドンがエキソン3の中にあり、停止コドンがエキソン12の中にあることは報告されている。
LM−1ターゲットのアイデンティティーを検証するために、siRNAトランスフェクションを行って、NONO/nmt55の発現をダウンレギュレートさせた。LM1の結合は、NONO/nmt55がそのターゲットであるならば消失するはずである。
簡単に言うと、BxPc−3細胞を特異的siRNA(dharmacon siGENOME Smart Pool)で一過的にトランスフェクトし、トランスフェクションの48時間後に回収した。細胞を溶解し、サンプルを10%PAGEで泳動させ、PVDF膜上にブロットした。その膜ブロットをα−nmt55またはLM−1 IgMのいずれかで染色した。
siRNAは、NONO/nmt55発現をダウンレギュレートさせた(図10A)。siRNAでトランスフェクトした細胞におけるLM−1の結合は低減された(図10B、矢印)。これらの研究は、LM−1がNONO/nmt55に結合することの確証となる。
LM−1ターゲットのアイデンティティーをさらに確証するために、NONO/nmt55に結合する市販の抗体(Dianova、MA3−2024)を用いて、MKN、BxPC−3およびA549細胞膜調製物の免疫沈降研究を行った。結果を図11〜13に示す。
図11A〜11Dは、MKN細胞での結果を示すものである。簡単に言うと、細胞膜抽出物を抗nmt55で免疫沈降させ、その後、NONO/nmt55マウスmAb/抗マウスIgG HRP(図11A)、抗マウスIgG HRP(図11B)、LM−1/抗ヒトIgM HRP(図11C)、抗ヒトIgM HRP(図11D)で染色した。上部(より高い分子量)矢印は、NONOであり、底部(より低い分子量)矢印は、マウス重鎖である。
図12A〜12Bは、BxPC−3細胞での結果を示すものである。簡単に言うと、細胞膜抽出物を抗nmt55で免疫沈降させ、その後、LM−1で染色した(図12A)、または抗NONO/nmt55で染色した(図12B)。矢印は、nmt55およびマウスIgG重鎖を示す。これらの結果は、抗nmt55抗体はBxPC−3細胞膜抽出物からのタンパク質を沈降させることができることを示している。
図13A〜13Bは、A549細胞での結果を示すものである。簡単に言うと、細胞膜抽出物を抗nmt55で免疫沈降させ、その後、抗NONO/nmt55で染色した(図13A)、またはLM−1で染色した(図13B)。矢印は、nmt55およびマウスIgG重鎖を示す。これらの結果は、抗nmt55抗体が、A549細胞膜抽出物からのタンパク質を沈降させることができることを示している。
LM−1ターゲットのアイデンティティーをさらに検証するために、NONO/nmt55に結合する抗体(Dianova、MA3−2024)またはLM−1を用いてA549、BxPC−3およびMKN細胞のFACS分析を行った。これらの研究により、NONO/nmt55が、A549、BxPC−3およびMKN細胞の細胞表面上で発現されることが明らかになった。
A549細胞をNONOアンチセンスで安定的にトランスフェクトし、NONO/nmt55に結合する抗体およびLM−1を用いてFACS分析により分析した。ベクターを生成するために、ヒト膵臓癌細胞株BxPCを使用してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりヒトNono cDNA(1422bp)を増幅した。PCR増幅後、Nono完全長転写産物をTAクローニング反応(Invitrogen)によってpcDNA3.1−V5−Hisに挿入した。この方法は、非定方向クローニング戦略であり、従って、Nono−センス(pcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHis)プラスミドとNono−アンチセンス(pcDNA3.1−V5−His−Nono−6xHis−Anti)プラスミドの間の比率は、おおよそ50:50である。PCRによるスクリーニング後、サイトメガロウイルスプロモーター(CMV)の制御下でNONOをセンス方向で有する(NONO−センス)およびアンチセンス方向で有する(NONO−アンチ)幾つかのクローンを同定した。
TransPassトランスフェクション試薬を使用してA549細胞をNONO−アンチでトランスフェクトし、細胞を1mg/mLのG418中で2〜3週間、選択した。このアンチセンスを有する7つの安定した細胞株が樹立された。これらの細胞における内因性Nonoタンパク質発現のウエスタンブロット分析により、対照細胞におけるレベルと比較してタンパク質レベルの有意な低減が明らかになった。
NONO−アンチでトランスフェクトしたA549細胞のFACS研究により、NONO/nmt55とLM−1の両方の該細胞へのより弱い結合が明らかになった。これらの研究は、A549細胞の細胞表面でのNONO/nmt55発現のダウンレギュレーションが、アンチNONO/nmt55およびLM−1の該細胞への結合を低減することを示している。
TransPassトランスフェクション試薬を使用して、NONO−センスをHEK293にトランスフェクトし、細胞を1mg/mLのG418中で2〜3週間、選択した。NONOを過発現する10の安定した細胞クローンが樹立された。これらの細胞のウエスタンブロット分析は、組換えNono−6xHis融合タンパク質の安定した過発現を示した。これらの安定した細胞株は、FACS研究のために使用することができ、またはNono−6xHisタンパク質精製後、特定のターゲットELISAの生成のために使用することができる。
NONOでトランスフェクトされたHEK293細胞にLM−1が結合することを確認するために、40μgのHEK293−Nono−6xHis−A9およびHEK293wt細胞溶解産物をウエスタンブロットのために使用した。ブロッティング後、LM−1(IgM)およびホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ・結合体二次抗体(抗ヒトIgM−HRP)を使用して免疫反応性タンパク質を検出した(図14A)。LM−1−Nono相互作用がターゲット特異的であることを証明するために、同じタンパク質プローブを対照IgMで分析した(図14B)。この分析により、LM−1とNono−6xHis融合タンパク質の特異的相互作用が明らかになった。融合タンパク質と内在性タンパク質の異なるサイズは、pcDNA3.1−V5−Hisにおける組換えタンパク質発現のアーチファクトである。
実施例16
この実施例は、NONOタンパク質のグリコシル化がLM−1結合に必要であるかどうかを判定するための研究の説明を含む。
NONOグリコシル化がLM−1結合に必要であるかどうかを判定するために、ヒトNONO遺伝子(pEXP5−CT)をBL21(DE3)細菌に形質転換させた。形質転換後、幾つかの陽性細菌クローンを、1mM IPTGによって誘導してLB培地において発現させた。ウエスタンブロット分析は、LM−1(IgM)が、細菌発現Nono−6xHis融合タンパク質に結合することを明示した(図15)。細菌がタンパク質をグリコシル化しないという事実により、LM−1抗体−抗原(ターゲット)相互作用が抗原(ターゲット)グリコシル化を必要とするという命題は排除される。
実施例17
本実施例は、様々なLM−1抗体変異体、および結合研究の説明を含む。これらの結合研究は、LM−1抗体配列変異体が、抗原nmt55をターゲットにする結合能力を保持することを示している。
様々なLM−1抗体を組換えscFv(一本鎖)抗体として発現させ、ターゲット細胞(A549、BxPC−3、HT−29、Hela、CRL1424およびHDFa細胞)への結合について分析した。重および/または軽鎖V(可変)ドメインのタンパク質配列における単一アミノ酸変化は、細胞発現レベルに、およびことによると抗体のターゲット抗原への親和性に影響を及ぼし得る。それにもかかわらず、ELISAアッセイによって判定したところ、すべての変異体が、ターゲットを発現する細胞に、ならびに細菌発現NONO/nmt55に、検出可能に結合する。
結合について研究する前記種々のLM−1 scFv抗体は、配列番号3および11によって表されるLM−1 scFv(新規)、1BTA1.16VHおよび1BTA1.16VL)、LM−1 scFv(例えば、配列番号1および11によって表されるもの)、LM−1 scFv opt(例えば、配列番号9および13によって表されるもの)、ハイブリドーマ由来LM−1 IgM、ならびにperC.6(商標)細胞株(Percivia)において生産されたLM−1 IgM(配列番号3および11)である。
ばらつきのない細胞密度に成長させたヒト癌細胞株(A549、BxPC−3、HT−29、Hela、CRL1424およびHDFa細胞)の生細胞集団を用いて、結合分析を行った。ヒト抗体をそれらの細胞に添加した。それらが、抗体によって認識されるターゲット抗原を提示した場合には、結合が発生するだろう。蛍光タグ(FITC)を有する二次抗体を添加し、その後、そのタグをFACS(蛍光活性化細胞選別)によって検出する。本発明者らは、LM−1 scFvタンパク質のためにマウス抗FLAG FITCを、およびIgMタンパク質のためにマウス抗ヒトIgM FITCを使用する。
結合は、右への集団シフトによって表され、このシフトが陰性対照より大きい場合には、これを陽性であるとみなす。幾つかの事象が「偽陽性」シフトの原因となり得る。細胞が独力で自己蛍光を発し、そのためそれらを測定する必要がある。一部の細胞株は他のものよりこれを行うからである。一次抗体だけの添加は細胞をシフトさせ、二次抗体だけの添加も同様である。これらの事象のすべてを陰性対照とみなす。ターゲット抗原に対して陰性の細胞株(HDFa−皮膚細胞株)への前記抗体の結合も行う。
A549、BxPC−3、HT−29、Hela、CRL1424およびHDFa細胞株をLM−1結合について比較した。10,000細胞の濃度をそれぞれの細胞株について用いた。抗体を100ug/mLで添加したが、反応1回につき使用したタンパク質の総量は、20ugである。このデータは、研究したLM−1抗体のすべての形態が、ターゲット抗原を発現する前記5つの細胞株に結合することを示している。
次に、LM−1ターゲット抗原、nmt55、を細菌において発現させ、抗HIS樹脂を使用して精製した。クマシー染色SDS−ゲルは、予想したサイズである50〜60Kda領域において幾つかのバンドを示した。55Kdaバンドが最も強かったが、唯一のバンドではなかった。これらの他のバンドは、総合タンパク質濃度に寄与するであろう。ELISAアッセイを行った。簡単に言うと、nmt55をプレートにコーティングし、ブロックし、その後、抗体でプローブし、その後、適切な二次抗体−HRPを添加し、検出する。このデータは、研究したLM−1抗体のすべての形態が細菌発現nmt55ターゲット抗原に結合することを示している。
実施例18
本実施例は、アイソタイプ交換LM1 IgG抗体の産生および結合研究の説明を含む。
簡単に言うと、次のプライマーセット:5’プライマー−AGA TCT GCC GCC ACC ATG GCA TGC CCT GGC TTC−3’および3’−プライマー、5’−TGA AGA GAC GGT GAC CAT TGT CCCを使用し、テンプレートとしてヒトLM1 IgMハイブリドーマ.cDNAを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、LM1のVH領域を増幅させた。LM1のCH領域は、発現ベクターpFUSE−CHIg−hG1をテンプレートとして使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅させた。次のプライマーセットを使用した:5’プライマー−AGC ACC AAG GGC CCA TCG GTC TTC−3’、および3’−プライマー、5’−CTC GAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GGA GAG。
LM1重鎖を生産するために、VH領域とCH領域をT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)によってライゲートし、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅させた。次のプライマーセットを使用した:5’プライマー−AGA TCT GCC GCC ACC ATG GCA TGC CCT GGC TTC−3’、および3’−プライマー、5’−CTC GAG TCA TTT ACC CGG AGA CAG GGA GAG。このフラグメントをTAクローニングによってpEXP5−CT/TOPO TAベクター(Invitrogen)にライゲートした。TAクローニング後、LM1重鎖をBglII/XhoIによってpEXP5−CT/TOPO TAベクターから切断し、pVitro2−neo−mcs(InvivoGen)の第一発現カセットに転移させた。
LM1の軽鎖は、次のプライマーセット:5’プライマー−GAT ATC TCC GCC ACC ATG GCA TGC CCT GGC TTC−3’、および3’−プライマー、5’−GTC GAC CTA TGA ACA TTC TGT AGG GGC CACを使用し、ヒトLM1 IgMハイブリドーマ.cDNAをテンプレートとして使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅させた。このPCRフラグメントをTAクローニングによってpEXP5−CT/TOPO TAベクター(Invitrogen)にライゲートした。TAクローニング後、LM1軽鎖をEcoRV/Sal IによってpEXP5−CT/TOPO TAベクターから切断し、pVitro2−neo−mcs(InvivoGen)の第二発現カセットに転移させた。すべてのPCR産物の配列をDNA配列決定(Qiagen)によって確認した。
IgG形が結合活性を保持することを確認するために、抗体をHEK293細胞において発現により生産し、A549およびBxPc−3細胞への抗体結合を評価した。これらの研究のために使用した材料としては、RPMI 1640(PAA、E15−039)、10%ウシ胎仔血清(PAA、A15−151)、1%グルタミン(PAA、M11−004)、細胞解離溶液(Sigma C5789)、抗ヒトIgG−FITC、dianova、109−095−003、および1xPBSが挙げられる。
2.5μg/μLの保存濃度および1.75と1.78の間のA260/A280比を有する発現プラスミド「pVitro2−LM1−HC−LC」を利用した。おおよそ2500cm2(16x154cm2 ポリ−Dリシン被覆ウエルプレート)の表面の血清含有培地(DMEM 1%FBS)においてトランスフェクション手順を行った。簡単に言うと、血清含有条件下で培養し、指数増殖期の中間で回収したHEK293細胞を、トランスフェクション手順を行う24時間前に計数した。それらを約2.5x107細胞/プレートの濃度に希釈し、翌日までインキュベートした。細胞を再びカウントし、それらがそれらの濃度のほぼ2倍(5.0x107細胞/プレート(細胞密度おおよそ80%))になったら、下で説明するようにそれらをトランスフェクトした。
トランスフェクション複合体の調製のために、1.5mg endofree DNAを(16の150cm2プレートのために十分な)40mLの新たな無血清培地で希釈した。ピペットで吸い上げ吸出してその溶液を混合した後、10mL PEIを添加し、直ちに攪拌混合して均質化し、8分間、室温でインキュベートした。324mLの血清含有培地(10%)の添加後、DNA:PEI複合体をそれらの細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートした。細胞からPEIを除去するために、プレートをPBSで3回洗浄した。その後、プレートに70mLの血清含有培地(1%FBS)を満たし、一晩インキュベートした。死細胞を除去するために、培地を交換し、すべてのプレートを通常は6日間、37℃でインキュベートした。後のタンパク質精製のために、それらの上清を4℃で保管した。
結合研究のために、A549およびBxPc−3細胞を細胞解離溶液でトリプシン処理し、完全培地に再び懸濁させ、2x105/mLにした。氷上で30分後、細胞をFACSチューブ1本につき1mLで分散させ、500gおよび4℃での遠心分離により氷冷PBSで1回洗浄した。200μL PBS中、指示濃度のIgG抗体を用いて、または抗体なしで、染色を行った。抗体を氷上で30分間インキュベートし、その後、氷冷PBSで洗浄し、二次抗体をチューブ1本につき200μL中、1:50希釈で適用した。暗所でのさらに30分のインキュベーション後、細胞をPBSで2回洗浄し、FACSに適用した。
FACS分析により、LM1 IgG抗体がA549細胞にもBxPC−3細胞にも結合することが明らかになった。これは、この抗体が抗原/エピトープ特異性を保持することを示している。
実施例19
本実施例は、LM−1が、ターゲット抗原、NONO/nmt55、の、NONO/nmt55のN末端300アミノ酸配列を含む部分に結合することを示す追加の結合研究の説明を含む。
簡単に言うと、E.coliペリプラズムへの分泌のためにnmt−55をpPOWベクターにクローニングした。(実施例16で説明した)pEXP5−CTにおいてクローニングしたヒトNONO遺伝子からNONO遺伝子を増幅するためのプライマーを設計し、pelB分泌シグナルによってE.coliペリプラズムへの分泌を可能にする細菌発現ベクターpPOWに導入した。
nmt−55 pPOWを発現させるために、完全長nmt55をコードする、pPOWプラスミドを含有する新たに形質転換させたE.coli BL21(DE3)を50mL スターター培地に接種し、おおよそ250rpmで振盪させながら33℃の酵母トリプトン(YT)アンピシリン培地において成長させた。一晩インキュベートした後、25mLのこの培地を、2リットルのエルレンマイヤーフラスコの中のアンピシリンを含有する175mLのテリフィックブロス(TB)に添加した。おおよそ250rpmで振盪させながら33℃で培養物を、〜4.000の光学密度(OD600)に達するまで(〜3時間)成長させ、1mLアリコート、後の比較のために4℃で保管した(T0)。その後、培養物を42℃インキュベーターに移し、さらに3時間、成長させ続けた。定期的に進行を確認し、3時間後、OD600が安定したら誘導を停止させた。1mLアリコートを誘導後に取り(TFINAL)、後の比較のために4℃で保管した。
培養物を250mLポリカーボネートボトル(Nalgene)に移し、4000xg、4℃で20分間、遠心分離して、E.coli細胞をペレットにした。その後、培地をデカントし、Profinia(商標)抗His精製を用いるタンパク質抽出および精製のために、それらのペレットを−20℃で保管した。
nmt−55 pPOWを抽出するために、解凍ペレットをピペッティングおよび混合攪拌により、15mLのProfinia変性IMAC溶解緩衝液(Bio−Rad Laboratories)に完全に再懸濁させて細胞を溶解した。その後、プローブソニケーター(振幅10μm)を30秒間隔で4分間使用して氷上でその溶解産物を超音波処理した。2mL微量遠心チューブ(Eppendorf)における遠心分離(20,230xg;Eppendorfミニヒュージ542)によってその溶解産物を清澄にし、真空下で0.45μmフィルターによって濾過した。その後、溶解産物を精製のために50mLサンプルチューブ(Falcon;BD)に移した。
Profinia(商標)変性固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を用いてHisタグにより精製を行った。簡単に言うと、抽出したnmt−55をProfinia(商標)自動IMACタンパク質精製によって精製した。精製のために使用した緩衝液は、Bio−Radによって1.4x濃縮物として供給されたものであった。これらの濃縮物に尿素を添加して6M尿素の最終濃度を得た。そのシステムにIMAC(Ni−NTA)を取り付け、製造業者の推奨に従ってその計器を準備した。Profinia IMACプロトコル:
緩衝液交換は、Amicon Ultra−15装置によって行った。簡単に言うと、15mLの1xPBS(300mM NaCl、pH6.5)をAmicon Ultra−15遠心濃縮器に添加し、4000rpm(4℃)で15分間回転させて、膜上の一切の保存薬を除去した。全溶離サンプル容積(4mL)をその膜レザバーに添加し、1xPBS(300mM NaCl、pH6.5)で15mLにし、4000rpm(4℃)で30分間回転させた。サンプルが〜1.0mLになったら、その流出物を廃棄し、追加の14mLの1xPBS(300mM NaCl、pH6.5)をそのレザバーに添加し、このプロセスを繰り返した。さらに2回繰り返して、確実に尿素濃度が十分低くなるようにする。タンパク質を回収し、OD280により濃度を測定する。
Invitrogen Novex NuPAGEシステムを製造業者の推奨に従って使用して、ポリアクリルアミド(PAGE)ゲル電気泳動をT0、TFINALで行った。
Invitrogen iBlot(商標)Gel Transfer Systemを製造業者の推奨に従って使用して、ウエスタンブロットを行った。移動後の膜を、5%脱脂粉乳TBS−Tを使用して1時間、室温でブロックした。ブロッキング剤を廃棄し、一次抗体(LM−1opt scFv;C末端にFLAGおよびHisタグを有するLM−1の一本鎖Fv変異体)を5%脱脂粉乳TBS−T中、1:500の比で添加し(合計量5mL)、1時間、室温で(搖動しながら)インキュベートした。その後、一次抗体を廃棄し、5mL TBS−Tを5分間隔で3回交換して膜を洗浄した。二次抗体(抗FLAG HRP結合体)を5%脱脂粉乳TBS−T中、1:1000の比で添加し、さらに1時間(搖動しながら)インキュベートした。5mL TBS−Tを5分間隔で3回交換して膜を再び洗浄し、さらに5分間TBSで洗浄した。検出は、Metal Enhanced DAB Substrate比色検出(Thermo Scientific)によるものであった。
その後、銀染色タンパク質のゲル中での消化(In−gel Digestion of Silver Stained Protein)についての質量スペクトル分析を行った。簡単に言うと、精製nmt55から興味のあるゲルバンド(図16B)を切り取り、1.5mL微量遠心チューブ(Eppendorf)に入れ、約15分間、300μLのMilli Q品質の水で2回洗浄した。その後、ゲルプラグを50μLの50%アセトニトリル/50mM重炭酸アンモニウム(pH8.0)で2回洗浄して、ゲルプラグからすべての汚れを除去した。それぞれの洗浄は、おおよそ30分の長さであった。
その後、ゲルプラグを、それが不透明になるまで、100μLのアセトニトリルで脱水し、その後、その液をデカントし、真空遠心でそのプラグを乾燥させた。その後、そのプラグを再び水和し、56℃で1時間、25mM重炭酸アンモニウム中の10mMジチオトレイトール(DTT)の中でインキュベートし、その後、放置して室温に冷却した。その後、25mM重炭酸アンモニウム中の等量の55mMヨードアセトアミドをそのサンプルに添加し、暗所で45分間インキュベートした。この後、DTT/ヨードアセトアミド溶液をデカントし、そのサンプルを25mM重炭酸アンモニウム溶液で10分間洗浄し、その後、100%アセトニトリルで10分間脱水した。再び、そのサンプルを25mM重炭酸アンモニウム溶液で15分間、再水和した。その後、この液をデカントし、10分間、100%アセトニトリルで置換した。その後、その液をデカントし、真空遠心によってそのプラグを乾燥させた。
配列決定グレード、変性ブタトリプシン(Promega)溶液を、200μL 1mM HClまたは1%酢酸に20から25μgを溶解して最終濃度を100ng/μLから125ng/μLの間にすることにより、新たに調製した。25mM重炭酸アンモニウムで保存溶液を1:10希釈して、最終濃度=10から12.5ng/μLにすることにより、作業用トリプシンを作った。
真空遠心後、乾燥したプラグを20μLの作業用トリプシン溶液に20分間、再び水和した。過剰なトリプシン溶液をピペットで除去し、37℃で4時間、そのサンプルを消化した。25μLの10%ギ酸の添加によってその消化を停止させ、15分間放置した。上清を回収し、そのゲルプラグを15分間、15μLの50%アセトニトリル/50mM重炭酸アンモニウムで抽出して追加のペプチドを回収し、最初の上清と共にプールし、この時点で、そのプラグを廃棄した。その後、そのサンプルを真空遠心で5μLに濃縮し、分析のためにLC−MSD−ToF質量分析計に直接負荷した。
図16Aは、nmt55発現のPAGE分析を示すものである。Invitrogen SimplyBlue SafeStainを使用してゲルを染色した。レーン1)Novex Sharp分子量予備染色タンパク質マーカー。レーン2)タンパク質発現のベースラインレベルを示す、T0サンプル。レーン3)42℃での熱誘導後のnmt55発現レベルを示すTFINAL。
図16Bは、Profinia(商標)精製後のnmt55のPAGE分析を示すものである。Invitrogen SimplyBlue SafeStainを使用してゲルを染色した。レーン1)Novex Sharp分子量予備染色タンパク質マーカー。レーン2)E coliにおけるペリプラズム発現から精製および濃縮したnmt55。NMT55の予想MWは、55KDaであるが、約30KDaのタンパク質バンドが観察された。これは切断産物を示唆している。
図16Cは、Profinia(商標)精製後のnmt55のウエスタンブロットを示すものである。レーン1)Novex Sharp分子量予備染色タンパク質マーカー。レーン2)LM−1opt scFvを一次抗体として使用し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)と結合体化させた抗FLAGモノクローナル抗体を二次抗体として使用して検出した、精製および濃縮したnmt55。約30KDaのタンパク質バンドがLM−1opt scFvによって検出された。
クマシー染色ゲルからの微弱な30KDaタンパク質バンド(図16B)を切り出し、説明したように質量スペクトル分析のために処理した。それらの質量スペクトルおよびコンピュータデータベース検索から、幾つかのヒットを同定した。
Mowseスコアに基づく確率をそれらのタンパク質ヒットに関して行った。イオンスコアは、−10*Log(P)であり、この式中のPは、観察されるマッチがランダム事象である確率である。
個々のイオンスコア>51は、同一性または広範な相同性を示す(p<0.05)。タンパク質スコアは、タンパク質ヒットを格付けするために、非確率的ベースとしてのイオンスコアから誘導する。
nmt55についての配列カバー率は11%であった。質量分析計およびデータベース検索から同定したNONOの対応ペプチド(太字、アンダーライン付き)は、組換えNMT55のN末端領域内のペプチド配列に対応する。従って、LM−1が結合するエピトープは、NONO/nmt55のN末端30KDaドメイン、すなわちアミノ酸1〜300、内に少なくとも存在する。