JP2011519851A - エストロゲンレセプターα活性の修復 - Google Patents

エストロゲンレセプターα活性の修復 Download PDF

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Abstract

全ての乳癌の3分の1は、エストロゲンレセプターアルファ(ERα)ネガティブであり、総合的に予後が不十分であり、現在入手可能な内分泌療法に対して良好に応答しない。Wnt−5aタンパク質またはそのペプチド、例えば、組み換えWnt−5aタンパク質またはWnt−5aシグナリングタンパク質を有するWnt−5a誘導ヘキサペプチド(Foxy−5)の使用は、ERα発現の回復を可能にし、且つ、選択的エストロゲンレセプターモジュレータ、例えば、タモキシフェンまたはアロマターゼインヒビターなどによる前記乳癌の治療を可能にする。

Description

本発明は、エストロゲンレセプターαネガティブ乳癌細胞におけるエストロゲンレセプターα発現および活性、およびそれによるエストロゲンレセプターモジュレータ、例えば、タモキシフェンなどに対する感受性の確立または回復に関する。
<発明の背景>
乳癌は、依然として世界的に女性の最も一般的な疾患の1つである。検出および治療における進歩にも拘わらず、多くの患者において、当該疾患は転移に進行する。核ホルモンレセプター、エストロゲンレセプターアルファ(ERα)についてネガティブな患者は、とりわけ不十分な予後となる(1)。乳癌患者の臨床的な同齢集団の分析は、ERα発現の減少とWnt−5発現の減少の間に統計学的な有意な関連が明らかになっている(2)。乳癌におけるWnt−5a発現の減少は、翻訳で生じ、転写レベルでは生じないことが示されている。従って、Wnt−5aはERαレベルの調節が可能であり、その逆ではないことが仮説とされた。現在の研究において、乳癌における、そのようなこれらの2つの重要なタンパク質の関係の調査は確立されている。
Wnt−5aは、Wnt分子の大きなファミリーの一員であり、その発現の変化が、乳癌、大腸癌、肝細胞癌およびメラノーマを含む癌と関係している。乳癌において、Wnt−5aは、上皮細胞の接着の増大と遊走の減少が、それの転移過程と回復患者の結果に対する関連を説明することが明らかにされている(2)。ホルミル化で誘導されたヘキサペプチド、Foxy−5は、乳癌細胞の接着および遊走におけるWnt−5aの影響を模倣可能であり、以前に開発された。このペプチドがWnt−5aシグナリングの影響の全てを維持する見込みがないと同時に、本発明者らはこのペプチドが、明らか且つ直接な治療学的可能性を有すると考える。Wnt−5aから誘導されたペプチドは以前に、即ち、WO2006/130082およびWO01/32708に開示されている。
ERαネガティブ乳癌患者の不十分な予後の原因である1つの要素は、乳癌の治療のために使用される主要な薬物であるタモキシフェンでの治療を含む内分泌療法が、ERαネガティブ患者においては無効であるということである(1)。タモキシフェンは、選択的エストロゲンレセプターモジュレータ(SERM)と呼ばれ、幾つかの組織においてアゴニストとして作用し、他の組織においてはアンタゴニストとして作用する。タモキシフェンは、ERαに対して結合することにより作用し、高次構造的な変化を引き起こし、遺伝子および細胞増殖によって制御されるエストロゲンの転写の変化を生じるコアクチベータの補充を妨げると考えられる。従って、ERα発現を欠いた患者において、タモキシフェンは大部分が無効である。内分泌療法はまた、アロマターゼインヒビター、例えば、アナストロゾール(anastrozole)、エクゼメスタン(exemestane)レトロゾール(letrozole)などでの治療も含む。しかしながら、アロマターゼインヒビターによる治療は、選択的エストロゲンレセプターモジュレータについて上述した理由と同じ理由により、ERα発現を欠く患者においては大部分が無効である。
従って、ERαネガティブ乳癌患者のための新たな治療アプローチが示唆されている:ERαネガティブ患者を治療するための真新しい治療法の代わりに、これらの患者を現行の有効で、認可され、且つ広く入手可能な治療管理様式、例えば、タモキシフェンなどに対する応答に感受性を持たせ得るとしたらどうであろう。そのような思考の転換が、現在進行中であり、当該患者のある遺伝子の発現は、上方制御されたERαのために修正され、これらの患者が再度有効に治療できるかどうかが示唆されている(3)。研究者らは、完全長ERαプラスミドのトランスフェクション、またはDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)およびヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビター、例えば、5−aza−dCおよびトリコスタチンAなどでの処置を用いてERαネガティブ乳癌細胞においてERα発現を回復してきた(3−6)。しかしながら、これらの戦略の何れも、直接的な臨床的な使用の可能性はない。
<本発明の概要>
全乳癌の3分の1がエストロゲンレセプターアルファ(ERα)ネガティブであり、総合的に予後が不十分であり、現在入手可能な内分泌療法に対して良好に応答しないという事実に基づく観点から、新たな治療戦略が必要である。従って、組み換えWnt−5aまたはWnt−5a誘導ヘキサペプチド、Foxy−5、のERαネガティブ乳癌細胞に対する投与が、それらのERαの発現を上方制御できるかどうか、並びに、それらに選択的エストロゲンレセプターモジュレータまたはアロマターゼインヒビターに対する感受性を与える可能性があるかどうかを検討した。天然の細胞表面レセプターリガンド、またはこのリガンドを模倣するヘキサペプチドを使用することによってERα発現を再構成することにより、選択的エストロゲンレセプターモジュレータ、例えば、タモキシフェン、またはアロマターゼインヒビター、例えば、アナストロゾール(anastrozole)などによる現行の内分泌療法に対する感受性が乳癌細胞に与えられたことが発見され、従って、乳癌の臨床的な対応の重要な進歩が示唆される。Wnt−5a模倣ヘキサペプチドおよび現在入手可能なERαモジュレータの調和性の治療は、ERαネガティブな腫瘍を有する乳癌患者のための新たな有益な治療戦略を構成する。
本発明の1つの側面は、エストロゲンレセプターα活性を欠くことにより特徴づけられる乳癌のサブタイプの治療において使用するための薬学的組成物の製造のためのWnt−5aタンパク質またはそのペプチドの使用に関する。
本発明の更なる側面は、エストロゲンレセプターα活性を欠くことにより特徴づけられる乳癌のサブタイプの治療において使用するためのWnt−5aタンパク質またはそのペプチドに関する。
本発明の更なるもう1つの側面は、乳癌の治療において使用するためのWnt−5aタンパク質またはそのペプチドに関する。
本発明のもう1つの側面は、エストロゲンレセプターαネガティブ患者における乳癌の治療において使用するためのWnt−5aタンパク質またはそのペプチドに関する。
本発明の更なる側面は、エストロゲンレセプターαを欠くヒトに対して、前記エストロゲンレセプターα活性を前記レセプターの回復により誘導するために十分な時間に亘って、Wnt−5aタンパク質またはそのペプチドの治療学的活性量を投与することによってエストロゲンレセプターα活性を回復する方法に関する。
本発明のもう1つの側面は、乳癌に罹患し、且つエストロゲンレセプターα活性を欠くヒトにおける内分泌後治療を促進または増強する方法であって、Wnt−5aタンパク質またはそのペプチドの治療学的有効量が、エストロゲンレセプターα活性を誘導するために十分な時間に亘り投与される方法に関する。
図1:実験細胞系におけるERα、フリッズルド5(Frizzled 5)、PRおよびWnt−5aの基底発現。
A:培養において成長した細胞からのタンパク質溶解産物を、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによって目的とするタンパク質について分析した。チューブリン発現をローディングコントロールとして使用した。B:RNAを細胞株から抽出し、cDNA合成に供し、且つ我々が目的とする遺伝子についてRT−PCRに供した。我々の研究のために目的とされる遺伝子の全てを発現していることが知られているT47Dヒト乳癌細胞株をポジティブコントロールとしてタンパク質およびmRNA分析の両方のために使用した。β−アクチン発現をハウスキーピング遺伝子として使用した。ネガティブコントロールは水コントロールを表す。
図2:Wnt−5aシグナリングはERα発現を回復する。
乳癌細胞を6ウェルプレートで成長させ、組み換えWnt−5aタンパク質(rW5a)、Wnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5)、組み換えWnt−3aタンパク質(rW3a)、またはホルミル化されたランダムヘキサペプチド(Rdm)で24または48時間に亘り刺激した。処理に続いて、細胞を溶解し、SDS−PAGEに供し、ニトロセルロース膜に移し、ERα発現についてブロットした。A:組み換えWnt−5a、Foxy−5、Wnt−3a、Rdmで刺激されたMDA−MB−231細胞。B:組み換えWnt−5aまたはFoxy−5で刺激されたMDA−MB−468細胞。C:組み換えWnt−5aまたはFoxy−5で刺激された4T1細胞。ポジティブコントロール(Pos)は、ERαの正確なバンドサイズを確認するために含ませた。2つの異なるポジティブコントロールを使用した:ERαを発現することが知られているT47D細胞溶解産物と、完全長ERαプラスミドで一過性にトランスフェクションされ、極度に高いERα発現を生じるMDA−MB−231細胞(最上段、右パネル、第3段、右パネル)。
図3:Wnt−5aシグナリングはERα転写を回復する。
乳癌細胞を6ウェルプレートにおいて成長させ、組み換えWnt−5aタンパク質(rW5a)またはWnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5)で6、12、18または24時間に亘り刺激した。終了時点でRNAを抽出し、cDNA合成し、ERαおよびハウスキーピング遺伝子、β−アクチンについてRT−PCRを行った。A:MDA−MB−231乳癌細胞、B:MDA−MB−468乳癌細胞。ポジティブコントロール(Pos)は、ERαを発現するT47D細胞から抽出されたRNAである。ネガティブコントロールは水コントロールを表す。
図4:Wnt−5aシグナリングはERαプロモーターを脱メチル化する。
MDA−MB−231細胞を通常培地で成長させ、未処理のままにするか、またはrWnt−5aタンパク質(rWnt−5a、0.6μg/ml)若しくはWnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5、100μM)で48時間に亘り刺激するかの何れかを行った。MCF−7細胞を同時間に亘り成長させ、未処理のままにした。DNAを各サンプルから抽出し、亜硫酸水素塩修飾に供した。亜硫酸水素塩処理されたDNAを、ERαプロモーター領域のためのプライマーでのネステットPCR(nested PCR)を用いてERαプロモーターの亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング(BGS)に供した。PCR産物をクローニングして、10のランダムクローンをシーケンシングした。塗潰し(黒)の円は問題のシトシンでのメチル化を表し、中空(白)の円は、未メチル化のシトシンまたはrWnt−5aまたはFoxy−5処置に続いて脱メチル化されたシトシンの何れかを表す。数値は、転写開始部位(+1)に相対するCpGジヌクレオチドの位置を表す。TATAボックスは、−17位と+13位の間に位置する。
図5:ERαは活性であり、下流の転写が可能である。
MDA−MB−231細胞は、6ウェルプレートで成長させ、Wnt−5aタンパク質(rW5a)またはWnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5)で、24または48時間に亘り刺激した。A:処理に続き、細胞を溶解し、SDS−PAGEに供し、ニトロセルロース膜に移し、ホスホ−ERα発現についてブロッティングした。ポジティブコントロール(Pos)はERαを発現しているT47D細胞からの細胞溶解産物を示す。BおよびC:またRNAを刺激された細胞から抽出し、サンプルをセミネステットRT−PCR(semi−nested RT−PCR)を用いて、プロゲステロンレセプター(PR)(B)およびpS2(C)mRNAについて試験した。ポジティブコントロール(Pos)はERαを発現するT47D細胞から抽出されたRNAである。ネガティブコントロールは水コントロールを表す。PCR結果は、3つの個別の試験を代表するものである。
図6:ERαの上方制御は以前には非感受性乳癌細胞をタモキシフェン処理に対する感受性を与える。
MDA−MB−231細胞を6ウェルプレートで成長させ、組み換えWnt−5aタンパク質(rW5a)またはWnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5)で24または48時間に亘り刺激した。細胞をタモキシフェンで最後の20時間について処理をし、それらのアポトーシス応答を異なる方法により測定した。A:処理された細胞をヘキスト(Hoechst)で染色し、処置当たりの核に形態学的な変化を示すアポトーシス細胞を視覚的に評価した。矢印はアポトーシス細胞を強調する。スケールバーは10μMを表す。B:rW5a、F5およびタモキシフェン、またはタモキシフェン単独での処理に続き、細胞を溶解し、SDS−PAGEに供し、ニトロセルロース膜に移し、切断されたカスパーゼ3についてブロットした。C:処理された細胞をそれらの相対的なカスパーゼ3活性について蛍光分光学的に評価した。グラフは、6つの個別の試験を表す。*P<0.01、**P<0.001。D:また、MTTアッセイを、rWnt−5a、F5およびタモキシフェンまたはタモキシフェン単独で処理(MDA−MB−231およびMCF−7細胞)されたMDA−MB−231細胞において行い、細胞増殖阻害を評価した。グラフは、6の個別の試験の平均について、エラーバーにより示した標準偏差と共に示す。**P<0.01、***P<0.001。
なし 図7:ERαにより直接に制御された遺伝子の発現は、タモキシフェン処理により失われる。
MDA−MB−231細胞を6ウェルプレートで成長させ、組み換えWnt−5a(rW5a)またはWnt−5a誘導Foxy−5ペプチド(F5)で24または48時間に亘り刺激した。ERαリガンドエストラジオールを最後の22時間に添加し、サンプルの部分集合に対してタモキシフェンを最後の20時間に添加した。RNAを最終時点で抽出し、cDNA合成し、カテプシンD(CATD)、ER結合フラグメント関連抗原9(EBAG9)およびハウスキーピング遺伝子、β−アクチンについてRT−PCRに供した。
図8:Foxy−5はインビボにおいてERαを上方制御する。
2.5X10の4T1乳癌細胞を8週齢Balb/Cマウスの乳房脂肪パッド中に接種した。その動物をその後、PBS単独、Rdmコントロールペプチド(20μg)またはFoxy−5(20μg)の何れかで4日目毎に、25日間処理した。RNAを、各群の4動物からの初代乳房腫瘍から抽出し、マウスERαについてRT−PCRに供した。各処理群からの2動物からの初代腫瘍サンプルを示す。
<本発明の詳細な説明>
特に、本発明は、Wnt−5aタンパク質、例えば、組み換えWnt−5aタンパク質、またはそのペプチドのエストロゲンレセプターα活性を促進または回復するための使用に関する。特にこれは、患者がエストロゲンレセプターαネガティブである場合の乳癌の治療において興味深い。エストロゲンレセプターα活性の促進または回復の後、その患者に対して内分泌療法、例えば、選択的エストロゲンレセプターモジュレータ、例えば、タモキシフェンなどでの治療、またはアロマターゼインヒビター、例えば、アナストロゾールなどでの治療を用いることが可能である。乳癌の治療のために選択的エストロゲンモジュレータ、例えば、タモキシフェン、またはアロマターゼインヒビターを使用する場合、その結果は、エストロゲンレセプターαネガティブ患者において、Wnt5−αタンパク質、例えば、組み換えWnt−5aタンパク質またはそのペプチドなどの本発明に従う使用なしでは頻繁に不成功に終わる。
好ましいその態様において、Wnt5−αペプチドは以下の配列またはそのホルミル化誘導体の1つを有する1または1以上である:
MDGCEL(配列番号1)
GMDGCEL(配列番号2)
EGMDGCEL(配列番号3)
SEGMDGCEL(配列番号4)
TSEGMDGCEL(配列番号5)
KTSEGMDGCEL(配列番号6)
NKTSEGMDGCEL(配列番号7)
CNKTSEGMDGCEL(配列番号8)
LCNKTSEGMDGCEL(配列番号9)
RLCNKTSEGMDGCEL(配列番号10)
GRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号11)
QGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号12)
TQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号13)
GTQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号14)
LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号15)
これらのペプチドの2または2以上の組み合わせの使用も可能である。
<方法>
細胞培養
5つの乳癌細胞株をこの研究において使用した。MDA−MB−231、MDA−MB−468、MCF−7、T47−Dおよび4T1細胞は、全てザ・アメリカン・タイプ・ティッシュ・コレクション(the American Type Tissue Collection(ATCC))から入手し、ATCCの推奨に従って成長させた。4T1細胞は、10%のウシ胎仔血清(FCS)、1.5g/Lの重炭酸ナトリウム、10mMのHEPESおよび1mMのピルビン酸ナトリウムを補足したRPMI培地(R8758)中で成長させた。MDA−MB−231、MDA−MB−468およびMCF−7細胞株は10%のFCSを含むDMEMにおいて成長させた。全ての細胞用培地は、5U/mLのペニシリン、0.5U/mLのストレプトマイシンおよび2mMのグルタミンを含有した。細胞は、また、記載されるように幾つかの実験については、フェノールレッドを欠き、且つ5%の炭処理されたFCSで補足された「ホルモン非含有培地(hormone free media)」において成長された。全ての細胞は、37℃で、5%COを含む加湿チャンバー内でインキュベートされた。
組み換えWnt−5a、組み換えWnt−3a、Foxy−5またはホルミル化ランダムペプチドによる刺激
細胞の刺激は、組み換えWnt−5a(0.6μg/mL)および組み換えWnt−3a(0.1μg/mLおよびコントロール実験においては0.6μg/mL)(R&D Systems Abington, UK)を用いて示される通りの時間に亘り行った。Wnt−5a誘導ホルミル化ヘキサペプチド、本発明者らの研究室において設計されたFoxy−5(ホルミル化−MDGCEL)(配列番号1)およびホルミル化ランダムヘキサペプチド(ホルミル化−MSADVG)(配列番号16)は、Pepscan Presto(Lelystad, The Netherlands)またはInbiolabs(Tallinn, Estonia)の何れかにより合成された。ペプチドを、RP−HPLCおよび質量分析法により精製し、>95%の純度のペプチドを3回合成した。細胞は、示される通りの時間に亘り、100μMの濃度のFoxy−5またはランダムペプチドで処理された。他の全ての薬品は、他に記載のない限り、Sigma Chemicals(St. Louis, MO)から購入した。
Wnt5−α活性を有することが知られたペプチドまたはそのホルミル化誘導体は
MDGCEL(配列番号1)
GMDGCEL(配列番号2)
EGMDGCEL(配列番号3)
SEGMDGCEL(配列番号4)
TSEGMDGCEL(配列番号5)
KTSEGMDGCEL(配列番号6)
NKTSEGMDGCEL(配列番号7)
CNKTSEGMDGCEL(配列番号8)
LCNKTSEGMDGCEL(配列番号9)
RLCNKTSEGMDGCEL(配列番号10)
GRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号11)
QGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号12)
TQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号13)
GTQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号14)
LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL(配列番号15)
である。これらのペプチドは、単独または2または2以上の混合物において使用されてよい。
細胞溶解およびウェスタンブロット分析
細胞は、トリトン溶解緩衝液(50mMのTris(pH7.5)、1%のトリトンX−100、140mMのNaCl、0.5mMのEDTA、0.5MgCl、10mMのNaF)に新鮮なロイペプチン(1μg/mL)、ペファブロック(Pefabloc(2mM))、アプロチニン(20μg/mL)およびNaVO(4mM)が添加された中で溶解された。溶解産物は15分間氷上でインキュベートされ、次に10分間に亘る8000gでの遠心により前洗浄(pre-cleared)された。細胞溶解産物は、8〜12%のSDS−ポリアクリルアミドゲル上でサイズに応じて分離され、引き続いて、PVDFまたはニトロセルロース膜に電気的に移動した。膜を1時間に亘って室温で、5%のミルクを含むTBS−Tween(0.01%)中でブロックした。膜を第1抗体と共に、4℃で一晩、3%のミルクを含むTBS−Tween(0.01%)中でインキュベートし、次に、TBS−Tween(0.01%)中で3回10分間に亘り洗浄した。タンパク質の可視化は、西洋ワサビペルオキシダーゼに対して複合化されている第2抗体の膜への添加により行われ、これは次いで、1時間に亘り、室温で、3%のミルクを含むTBS−Tween(0.01%)中でインキュベートされた。膜をTBS−Tween(0.01%)中で10分間に亘り3回洗浄し、次にECL中でインキュベートし、ハイパーフィルム(hyperfilm)で展開した。スキャンおよびデンシトメトリーは、バイオ・ラド(Bio-Rad、Hercules CA)GS−800デンシトメーターを用い、クウォンティティ・ワン・ソフトウェア(Quantity One software)で行った。
抗体
抗体は、以下の希釈で使用した:エストロゲンレセプターα:HC−20(Santa Cruz Biotechnology)1:1000、Wnt−5a:ヒトとマウスの間で100%の相同性を有するWnt−5a配列に対する我々の研究室において開発された抗体1:1000(2)、プロゲステロンレセプター:6A1、AおよびBアイソフォーム(Cell Signaling Technology)の両方の検出、フリッズルド5(Frizzled 5):(Upstate)1:1000、切断されたカスパーゼ3:Asp175(Cell Signaling Technology)1:1000、ホスホ−ERα(Ser118):16J4(Cell Signaling Technology)1:1000、チューブリン:DM1A(Santa Cruz Biotechnology)1:10000。全ての 第2抗体は、ダコ・ケミカル(Dako Chemicals)からであり、以下の希釈で使用された:ヤギ抗ウサギ1:10000、ヤギ抗マウス1:7500、ウサギ抗ヤギ1:7500。
RNA抽出
RNA抽出は、各サンプルに対して500μLのTRIzolの添加により、指摘されたクリーンなRNA領域において行った。100μLのクロロホルムを次に加え、サンプルを4℃で250gで10分間遠心した。250μLのイソプロパノールを清澄な上相に対して添加し、サンプルを15分間、4℃で16000gで遠心した。上精を除去し、ペレットを75%のエタノールで洗浄し、DEPC処理水に再懸濁した。RNAを、37℃でDNase1(Sigma)で処理した。RNA濃度は、ナノドロップ・スペクトロフォトメータ ND−1000(Nanodrop Spectrophotometer ND-1000(Bio-Rad(Hercules CA)))を使用して測定した。
cDNA合成&逆転写PCR(RT−PCR)
cDNAは、M−MuLV逆転写酵素(Fermentas)を使用し、MJ・ミニ・パーソナル・サーマルサイクラー(MJ Mini Personal Thermal Cycler (Bio-Rad(Hercules CA)))において1μgの総RNAから合成した。全てのRT−PCRを、指摘されたクリーンPCRフードにおいて行った。RT−PCRは、サンプル当たり、5μLの10倍の緩衝液、5μLの25mMのMgCl、1μLの10mMのdNTP、1μLのフォワードプライマー、1μLのリバースプライマーおよび0.2μLのTaqポリメラーゼ(Fermentas(Ontario, Canada))を含むマスター混合物を使用して行った。プロゲステロンレセプター(PR)の検出のために、セミネステットRT−PCRを行い、感受性を増大し、それによって10μLの最初のPCR反応産物を、第2の内部リバースプライマーを伴う第2のPCR反応に加えた。AおよびBアイソフォームの両方をこれらのプライマーにより増幅する。
プライマー配列は以下の通りであった。
ERα フォワード: 5’ CAC CCT GAA GTC TCT GGA AG 3’ (配列番号17)、
ERα リバース: 5’ GGC TAA AGT GGT GCA TGA TG 3’ (配列番号18)、
Cathepsin D フォワード: 5’ GTA CAT GAT CCC CTG TGA GAA GGT 3’ (配列番号19)、
カテプシン D リバース: 5’ GGG ACA GCT TGT AGC CTT TC 3’(配列番号20)、
EBAG9 フォワード: 5’ GAT GCA CCC ACC AGT GTA AAG A 3’ (配列番号21)、
EBAG9 リバース: 5’ AAT CAG GTT CCA TTG TTC CAA AG 3’ (配列番号22)、
βアクチンフォワード: 5’ TTC AAC ACC CCA GCC ATG TA 3’ (配列番号23)、
βアクチン リバース: 5’ TTG CCA ATG GTG ATG ACC TG 3’ (配列番号24)、
Wnt-5a フォワード: 5’ GGA TTG TTA AAC TCA ACT CTC 3’ (配列番号25)、
Wnt-5a リバース: 5’ ACA CCT CTT TCC AAA CAG GCC 3’ (配列番号26)、
PR フォワード: 5’ TCA TTA CCT CAG AAG ATT TAT TTA ATC 3’ (配列番号27)、
PR リバース 1: 5’ ATT GAA CTT TTT AAA TTT TCG ACC TC 3’ (配列番号28)、
PR リバース 2: 5’ATT TTA TCA ACG ATG CAG TCA TTT C 3’ (配列番号29)。
全てのRT−PCRは、少なくとも3回行い、リバース転写酵素を欠くコントロールをルーチン的に含ませ、DNAコンタミネーションを排除した。
アポトーシス細胞の分析のための核染色
MDA−MB−231細胞をカバーガラス上に置き、接着させた。Wnt−5a(0.6μg/mL)またはFoxy−5(100μM)を24または48時間に亘り添加した。細胞を次に、最後の20時間にタモキシフェン(5μM)で処理した。MCF−7細胞をポジティブコントロールとして使用した。その細胞を15分間、氷冷したパラ−ホルムアルデヒド(4%)中で固定し、洗浄し、10分間、10μg/mLのヘキスト33342染色(Invitrogen)を暗所でインキュベートした。その細胞をPBSで洗浄し、ダコ・サイトメーション・フルオレッセント・マウンティング・メディウム(Dako Cytomation fluorescent mounting medium)でマウントした。その形態をニコンE800エクリプス顕微鏡で60倍の対物レンズを用いて分析した。
DNA抽出&亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング(BGS)
DNAを標準的手順に従って細胞から抽出した。1μgのDNAを次に、EpiTect亜硫酸水素塩キット(Qiagen)を使用して亜硫酸水素塩処理し、ネステットPCRにより、ERαプロモーター領域のためのプライマーで増幅した。PCR産物を、TOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を使用してクローニングした。10のランダムクローンをABI3730DNAアナライザー(Applied Biosystems)を使用してシーケンシングした。
カスパーゼ3活性アッセイ
カスパーゼ3活性は、蛍光分光測定により測定した。蛍光ペプチドDEVD−amc(Upstate Biotech)を基質として使用した。MDA−MB−231細胞は、6ウェルプレートで成長させ、組み換えWnt−5aタンパク質(0.6μg/mL)またはFoxy−5ペプチド(100μM)で24または48時間刺激した。細胞を次に1μMの濃度のタモキシフェン(Sigma)で20時間処理した。浮遊および接着細胞をカスパーゼ溶解緩衝液(10mMのTris−HCl、10mMのNaHPO/NaHPO、130mMのNaCl、1%のTriton−X−100、10mMのNaPPi)中で溶解し、50μLのトリプリケートを、200μLのHEPES緩衝液および3μLのDEVD−amcと共に反応ウェルに添加した。反応物を37℃で1時間インキュベートし、FLUOstarプレートリーダー(BMG Lab technologies)で分析した。各溶解産物の総タンパク質含量をクーマシー・プラス・プロテイン・アッセイ(Coomassie Plus Protein Assay)を使用して測定し、適宜、平均を読み出し、補正した。実験は6回行い、結果を平均した。
MTT増殖アッセイ
細胞増殖を製造元の説明書に従ってMTTアッセイ(Vybrant)により測定した。短くMDA−MB−231およびMCF−7細胞を96ウェルプレートで成長させ、次に未処理のままにするか、rWnt−5a(0.6μg/mL)またはFoxy−5ペプチド(100μM)で24または48時間刺激するかの何れかを行った。細胞を次に、5μMのタモキシフェン(Sigma)で最後の20時間処理した。全細胞を次に、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)でラベルし、37℃で4時間インキュベートし、吸光度をバイオラド680マイクロプレートリーダー(Biorad)で測定した。生吸光度を9回反復して570nmで測定し、適宜、平均を読み出し、補正した。実験は6回行い、結果を平均した。
インビボ研究
2.5X10の4T1の乳癌細胞を8週齢Balb/Cマウスの乳房脂肪パッド中に接種し、それを引き続いて、PBS単独、Rdmコントロールペプチド(20μg)またはFoxy−5(20μg)の何れかで、本発明者らによって出版物において記載された通りに、以前4日目毎に、25日間処理した(9)。RNAを各群の4動物からの新鮮な凍結初代乳癌腫瘍から抽出し、マウスERαについてRT−PCRに供した。
統計学的解析
グラフ・パッド・ソフトウェア(Graph Pad software)を使用し、両側独立t検定(The two-tailed unpaired t test)を用いて、カスパーゼ3活性アッセイの有意差を測定した。以下の記号を使用して統計学的有意差を示した:*p<0.01,**p<0.001。
結果
以前の研究が、臨床的な乳癌同齢集団において行われ、ERαの発現を欠く乳癌患者は、またWnt−5a発現も欠くことを示した(2)。従って、実験的なアプローチは、3人のヒトと1匹のマウス細胞株における重要なタンパク質の内因性の発現を測定することから始まった(図1a)。ERα、Wnt−5a、フリッズルド5およびPR(AおよびBアイソフォームの両方)をmRNAおよびタンパク質レベルの両方で発現することが知られることから、ヒトT47D乳癌細胞株をポジティブコントロールとして使用した。ERα、Wnt−5aおよびPRの発現を欠くMDA−MB−231、MDA−MB−468および4T1細胞は、まだそれらはWnt−5aレセプター、フリッズルド5、を発現したことで、Wnt−5aシグナリングの誘導がこれらの細胞株において可能であることが示された。MCF7細胞は試験された全てのタンパク質を発現した。次に、これらの遺伝子の発現は、ヒト乳癌細胞においてmRNAレベルで特徴づけられた(図1b)。ERαおよびPRのmRNAが、MCF7およびT47D細胞において検出された。Wnt−5aのmRNAが全ての細胞株において検出され、本発明者らおよび他の研究室からの以前のデータが確かめられ、Wnt−5a発現が後転写レベルで修飾されることが示唆された。これはまた、乳癌腫瘍が高レベルのWnt−5amRNAを発現することを示す他からの臨床的データと一致する(7)。
次に、Wnt−5aシグナリングの回復が乳癌細胞株におけるERα発現レベルに影響するのか否かを測定するために調べた。MDA−MB−231乳癌細胞を通常培地中で6ウェルプレートに播種し、組み換えWnt−5aタンパク質で24および48時間刺激した。ERαポジティブ乳癌細胞株を実験のこのセットにおいてポジティブコントロールとして使用して、比較するべき標準発現としてよりも、寧ろ、主にウェスタンブロットにおけるERαを表す正確なバンドを決定した。ERαタンパク質のレベルの増加は、24時間後に観察した(図2a、最上段左パネル)。次に、次に、本研究室において開発されたWnt−5a誘導ペプチド、Foxy−5がERα発現の上方制御をすることが可能であるか否かを調査した。
これは、その例(図2a、最上段左パネル)であることを証明した。次に、この効果の特異性を、当該細胞を組み換えWnt−3aタンパク質およびホルミル化ランダムヘキサペプチドで刺激することにより検討した。これらの刺激の何れもがERαのレベルの増加を導かなかった(図2a、最下段パネル)。組み換えWnt−5aおよびFoxy−5刺激を次に、2つの他のERαネガティブ乳癌細胞株において繰り返した。ERαレベルは、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5の何れかでの24および48時間の刺激の後にMDA−MB−468(図2b)および4T1(図2c)乳癌細胞株の両方において上方制御された。
このERα上方制御が転写または翻訳レベルで生じるのか否かを測定するために、ERαタンパク質が最初に検出されたときに、24時間よりも早い時点でERαのmRNAの上方制御が生じるか否かを検討した。ヒト乳癌細胞株、MDA−MB−231およびMDA−MB−468を組み換えWnt−5aまたはFoxy−5で、6、12、18および24時間刺激し、それにより、ERαmRNAが検出可能となる時点を決定した。MDA−MB−231およびMDA−MB−468細胞におけるERαmRNAは、組み換えWnt−5a刺激の12時間後、Foxy−5刺激の6時間後に検出された(図3)。
我々は次に、ERαのCpGアイランドを隅から隅までの亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング(BGS)を使用してメチル化パターンを徹底的に分析した(図4)。この分析により、我々は、rWnt−5aまたはFoxyの何れかで刺激された5MDA−MB−231細胞において、CpGアイランドの特異的な領域が脱メチル化されることを明らかにした(図4)。同じ領域は、未処理のMCF−7細胞、ERαポジティブ乳癌細胞株と比較した。Wnt−5aシグナリングの開始に続く脱メチル化の2つの主な領域があり、それらの1つは、TATAボックスおよび転写開始部位の近くにあった(10)。特に、転写開始部位に対して+42、+65、+165、+192、+195、+375位で劇的な脱メチル化があり、同様にそれはHDACおよびDNMTインヒビターを使用する研究においても見られた(3,4)。
次に、上方制御されたERαが機能的に活性であるか否かを決定するために検討した。MDA−MB−231細胞株が、これらの実験のために利用し、これを多くの方法で検討した。最初に、組み換えWnt−5aおよびFoxy−5で刺激された溶解産物をリン酸化されたERαの存在について試験した。ERαは多くの部位でリン酸化される。セリン118の部位を調査のために選択し、そのためこの部位でのリン酸化が最も頻繁にERα活性の指標として使用される。リン酸化されたERαが、組み換えWnt−5aおよびFoxy−5の何れかで刺激された細胞において検出された(図45)。プロゲステロンレセプターは、活性なERαを示す下流転写標的である。そのため、96時間までに亘る組み換えWnt−5aおよびFoxy−5の何れかによる刺激に続いてその転写を調べた。PR mRNAは、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5の何れかによる刺激の96時間後に検出された(図5b)。
ひとたび、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5が、ERαを上方制御し、それが実際に活性があり、且つ下流シグナリングを可能であったことが確立されたならば、ERαネガティブ乳癌細胞におけるデータの臨床的な適合は、選択的エストロゲンレセプターモジュレータに対して正常に反応しない細胞が、タモキシフェンを使用して探索される(1、4)。細胞は、組み換えWnt−5aおよびFoxy−5で24および48時間で刺激されるか、または刺激されず、且つタモキシフェンが実験の最後の20時間に亘り添加された。タモキシフェンの活性機序は未だに完全に明瞭にされていないが、しかしながら、ERαポジティブ乳房上皮細胞の治療が、視覚的またはアポトーシス経路における重要なタンパク質の分析によって評価されるアポトーシスを生じることが知られている(3)。組み換えWnt−5aまたはFoxy−5での24および48時間の刺激に続くタモキシフェンに対する応答において、第1に、ヘキスト染色が行われ、続いて、(クロマチンの凝縮および断片化として観察される)核の形態的な変化を示すアポトーシス細胞が直接に観察される(図6a)。アポトーシスにおけるタモキシフェンの真の影響が過小評価されているために、アポトーシス細胞死の大部分が剥離するという事実が、このアッセイを最適以下にする。アッセイの感受性を改善し、且つこのアポトーシスがカスパーゼ経路により生じているのか否かを決定するために、次に本発明者らは、切断されたカスパーゼ3の発現について、溶媒単独、または組み換えWnt−5a若しくはFoxy−5およびタモキシフェンの何れかで刺激された細胞からの溶解産物を調査した。本発明者らは、Wnt−5aシグナリング細胞において、タモキシフェン単独で処理された細胞よりも高いレベルの切断されたカスパーゼ3を検出した(図6b)。これらの効果を定量するために、本発明者らは、次に蛍光定量的アッセイによりカスパーゼ3の活性について調査した(図6c)。未処理細胞またはタモキシフェン単独で処置された細胞と比較した場合、組み換えWnt−5aとタモキシフェンでの細胞の刺激はアポトーシスの程度を2倍に増加し、Foxy−5およびタモキシフェンでの刺激はアポトーシスの程度を大凡3倍に増加した。我々は、カスパーゼ実験において、MCF−7細胞を含めなかったが、これはそれらがカスパーゼ3の発明をしないことが歩行腐れているからである。この試験は、我々に、Wnt−5aシグナリングの誘導とタモキシフェン処理に続いて、アポトーシス経路に駆り立てられた細胞の再現性のある増加を明瞭に観察することを可能にした。また成功したタモキシフェン治療も細胞増殖を阻害する結果を生じることが知られているが、我々は、MTT増殖アッセイを用いて我々の細胞を更に分析した(図6D)。rWnt−5aまたはFoxy−5の何れかで処理され、次にタモキシフェンで処理された細胞は、タモキシフェン単独で処理された細胞と比較して、統計学的に有意差のある増殖阻害を示した(図6D)。rWnt−5aまたはFoxy−5の何れも、乳癌細胞の増殖において単独で効果を持つものはなかった。rWnt−5aまたはFoxy−5で処理されたMDA−MB−231細胞におけるタモキシフェンの効果は、ERαポジティブMCF−7細胞株において見られたタモキシフェン誘導性の効果と酷似していた(図6D)。
次に、ER結合フラグメント関連抗原9(EBAG9)およびカテプシンD(CATD)遺伝子のmRNAレベルを分析した。これらの遺伝子の両方が、ヒトエストロゲン応答性遺伝子であると言われており、それは、これらが直接にERα結合を介して制御され、且つそれらのmRNA発現が活性なエストロゲンレセプターを示すからである。以前の実験は、ERαタンパク質が、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5での刺激の24〜48時間後に上方制御されることを示した。従って、ERαが上方制御されるために十分な時間が経過した後に、MDA−MB−231細胞をホルモン非含有培地において成長させ、リガンドエストラジオールで刺激すると、下流の標的、EBAG9およびカテプシンDの転写が可能になる。成長の最後の20時間に亘るタモキシフェンの添加は、レセプターに対するリガンドの結合を阻害し、続いて、下流の標的のERE(エストロゲンレセプターエレメント)に対して複合体が結合し、それによりこれらの遺伝子の発現が48時間の時点でももはや観察されない。サンプルを、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5の何れかでの前処理に続いて、タモキシフェンを同時処理した場合、エストラジオール誘導性のCATDおよびEBAG9の発現は、一貫して48時間で消失した(図7)。幾つかの場合において、カテプシンD(CATD)の発現は24時間の時点でも消失したが、しかしながら、これは繰り返された実験において様々であった。この結果は、ERαネガティブ乳癌細胞におけるWnt−5aシグナリングの回復が、ERα発現の上方制御と活性化をするのみならず、またERα標的遺伝子がタモキシフェン依存性に抑制されることも示す。
乳癌患者のためのFoxy−5のポテンシャルな利点の観点において、本発明者らは、インビボ試験をマウス転移乳癌モデル(9)におけるFoxy−5媒介性のWnt−5aシグナリングの回復の効果について行った。それらは、当該研究からの動物実験の1シリーズからの初代乳房腫瘍について調査し、Foxy−5がインビボにおいてERαを上方制御するか否かを測定した。乳房脂肪パッドに、急速転移性のERαネガティブ4T1細胞を接種されたBalb/Cマウスを、PBS単独、ランダムコントロールペプチド(Rdm)、またはFoxy−5の何れかで4日目毎に25日間に亘り処理した。PBS単独またはRdmコントロールペプチドで処理された動物からの腫瘍とは対照的に、Foxy−5で処理された動物からの腫瘍は、強いERα発現を示した(図8)。この実験は、Foxy−5がERαネガティブ乳癌において、インビボでERαを上方制御できることを明瞭に示す。
考察
乳癌の治療に使用される主要な薬物、タモキシフェンは、主としてERαを介してその効果を媒介する。ERαの発現が内分泌療法の臨床的応答に強く関連している。ERαネガティブ乳癌は、タモキシフェンに対して感受性がないばかりではなく、より攻撃性でもあり、且つ総合的に予後が不十分でもある。これ故に、この患者群を対象とする新たな治療方法が重要である。本書類において、本発明者らは、乳房上皮細胞における天然の細胞表面レセプターの関与が、ERαネガティブ乳癌細胞におけるERαの発現を再構築することを初めて報告する。これはERαネガティブ乳癌患者の更なる治療に関して臨床的に高い重要性をもつ。
我々の研究室からの以前の研究は、ERαの状態とWnt−5aの発現との関連を臨床的な乳癌同齢集団において示した。Wnt−5a発現の損失は、乳房腫瘍の組織学的により高いグレードと、ERαの不在とに有意に関連していることが示された(2)。ここにおいて、本発明者らは、3つの異なるERαネガティブ乳癌細胞株を、組み換えWnt−5aまたはWnt−5a誘導性Foxy−5ペプチドの何れかで刺激することがERα発現を増やす結果を導くことを報告する。
ヒト乳癌におけるERαの発現の損失がもっとも頻繁にERαプロモーターのメチル化によるものであることが、現在、認識されている(8)。この研究において使用されたERαとWnt−5a発現を欠くMDA−MB−231細胞株は、プロモーター領域におけるCpGアイランドのそのようなメチル化のためにサイレンシングされたERαを有すると記載されている。他には、HDACおよびDNMTインヒビターの添加によるこれらの細胞におけるERαシグナリングを回復しすることが試みられ、Wnt−5aシグナリングを切っ掛けにして本発明者らが観察した同じ結果を生じている(3)。我々の知見は、Wnt−5aシグナリングがERαネガティブ細胞においてERプロモーターをメチル化するために作用するという考え方は一致するが、このWnt−5a誘導性のERα上方制御の背後の連続的発現の機序は調査されるべきままである
上方制御されたERαはまた、Ser118残基においてリン酸化され、且つプロゲステロンレセプターの転写を誘導することが可能であり、活性且つシグナル伝達するERαを示す。組み換えWnt−5aまたはFoxy−5の両方が、機能的ERαの回復することが可能であるという新規の知見は、我々を、これが選択的エストロゲンレセプターモジュレータ、タモキシフェンを利用する機能性アッセイを行うことにより臨床的に対応するかについて研究することに導く。ERαネガティブ乳癌細胞を、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5で刺激した、或いは未処理にしておき、次にERαリガンドエストラジオールを添加し、且つ最後にタモキシフェンを添加し、それにより、Wnt−5aシグナリングが以前に非応答性の細胞にタモキシフェン治療に対する感受性を与えるか否かを測定した。これは、4つの方法において評価された。第1に、アポトーシス細胞をヘキスト染色により直接に観察した。第2に、アポトーシスタンパク質カスパーゼ3の発現の増加をウェスタンブロットにより観察したが、カスパーゼ3は、アポトーシスの誘導において切断される。これは、蛍光定量的なカスパーゼ3活性アッセイを使用して定量的に確認した。最後に、ERαの下流標的遺伝子のタモキシフェン誘導性の抑制を観察した。全ての機能性アッセイは、組み換えWnt−5aまたはFoxy−5およびタモキシフェンでの刺激に続くアポトーシスの増加に同じ傾向があることを報告した;しかしながら、カスパーゼ3活性アッセイは、最も劇的な増加を示した。これは恐らく、接着細胞と同様に上清中の死細胞を測定するアッセイの設計に帰するものである。
我々の研究室において開発されたWnt−5a誘導性Foxy−5ホルミル化ヘキサペプチドは、当該実験における組み換えWnt−5aと同程度にERα発現を制御することが可能であった。このペプチドは、明白な臨床的ポテンシャルを有し、これは組み換えWnt−5aタンパク質を超える患者の使用のための多くの利点を有しているからである。Wnt−5aは、細胞表面ヘパラン硫酸に対して結合する特異的なドメインを有し、生体でのWnt−5aの分布を著しく制限するので、乳癌患者に対して直接にWnt−5aを投与することは、成功の見込みはない。また、Wnt−5aは、比較的大きなタンパク質であり(43kDa)、そのため、小さい分子、例えば、ヘパラン硫酸結合ドメインを欠き、また更にERα発現の機能的効果を模倣できるFoxy−5などを利用することの方がより魅力的であろう。
天然の細胞表面レセプターを活性化することによりERα発現を再編成するという新規なアプローチは、腫瘍を現行の内分泌治療に対して応答性にするために、この一般的な疾患の臨床的管理のために著しく重要である。Wnt−5a模倣ヘキサペプチドと現在入手可能なERαモジュレータとの調和性の治療は、ERαネガティブ腫瘍をもつ乳癌患者のための新規、且つ有益な治療戦略に示し得るものである。
<参考文献>
1. Giacinti L, Claudio PP, Lopez M, Giordano A. Epigenetic information and estrogen receptor alpha expression in breast cancer. Oncologist 2006;11:1-8.
2. Jonsson M, Dejmek J, Bendahl PO, Andersson T. Loss of Wnt-5a protein is associated with early relapse in invasive ductal breast carcinomas. Cancer Research 2002;62:409-16.
3. Sharma D, Saxena NK, Davidson NE, Vertino PM. Restoration of tamoxifen sensitivity in estrogen receptor-negative breast cancer cells: tamoxifen-bound reactivated ER recruits distinctive corepressor complexes. Cancer Res 2006;66:6370-8.
4. Sharma D, Blum J, Yang X, Beaulieu N, Macleod AR, Davidson NE. Release of methyl CpG binding proteins and histone deacetylase 1 from the Estrogen receptor alpha (ER) promoter upon reactivation in ER-negative human breast cancer cells. Mol Endocrinol 2005;19:1740-51.
5. Bandyopadhyay A, Wang L, Chin SH, Sun LZ. Inhibition of skeletal metastasis by ectopic ERalpha expression in ERalpha-negative human breast cancer cell lines. Neoplasia 2007;9:113-8.
6. Jang ER, Lim SJ, Lee ES, et al. The histone deacetylase inhibitor trichostatin A sensitizes estrogen receptor alpha-negative breast cancer cells to tamoxifen. Oncogene 2004;23:1724-36.
7. Lejeune S, Huguet EL, Hamby A, Poulsom R, Harris AL. Wnt5a cloning, expression, and up-regulation in human primary breast cancers. Clinical Cancer Research 1995;1:215-22.
8. Ottaviano YL, Issa JP, Parl FF, Smith HS, Baylin SB, Davidson NE. Methylation of the estrogen receptor gene CpG island marks loss of estrogen receptor expression in human breast cancer cells. Cancer Res 1994;54:2552-5.
9. Safholm A, et al. (2008) A Wnt-5a-Derived Hexapeptide F5 Inhibits Breast Cancer Metastasis In vivo by Targeting Cell Motility. Clin Cancer Res 14:6556-6563.
10. Green S, et al. (1986) Human oestrogen receptor cDNA: sequence, expression and homology to v-erb-A. Nature 320(6058):134-139.

Claims (25)

  1. エストロゲンレセプターα活性を欠くことにより特徴づけられる乳癌のサブタイプの治療のための薬学的組成物の製造のためのWnt5−αタンパク質またはそのペプチドの使用。
  2. 請求項1に記載の使用であって、前記乳癌が、エストロゲンレセプターαネガティブ患者における乳癌である使用。
  3. 請求項1または2に記載の使用であって、前記治療がまた、内分泌治療をも含む使用。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の使用であって、当該治療がまた選択的エストロゲンレセプターモジュレータでの治療をも含む使用。
  5. 請求項4に記載の使用であって、前記選択的エストロゲンレセプターモジュレータがタモキシフェンである使用。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の使用であって、当該治療がまた、アロマターゼインヒビターでの治療をも含む使用。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の使用であって、前記Wnt5−αタンパク質が組み換えタンパク質である使用。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の使用であって、前記Wnt5−αペプチドが以下の配列の1を有する使用:
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15。
  9. 請求項1〜7の何れか1項に記載の使用であって、前記Wnt5−αペプチドが以下の配列の1を有し:
    MDGCEL 配列番号1
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15
    且つ、そのホルミル化誘導体として存在する使用。
  10. エストロゲンレセプターα活性を欠くことにより特徴づけられる乳癌のサブタイプの治療において使用するためのWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  11. エストロゲンレセプターαネガティブ患者において乳癌の治療において使用するためのWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  12. 請求項10または11に従うWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、当該治療がまた内分泌治療をも含むWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  13. 請求項10〜12の何れか1項に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、当該治療がまた選択的エストロゲンレセプターモジュレータによる治療を含むWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  14. 請求項13に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、前記選択的エストロゲンレセプターモジュレータがタモキシフェンであるWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  15. 請求項10〜12の何れか1項に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、当該治療がまたアロマターゼインヒビターによる治療をも含むWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  16. 請求項10〜15の何れか1項に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、前記Wnt5−αタンパク質が組み換えタンパク質であるWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  17. 請求項10〜16の何れか1項に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、前記Wnt5−αペプチドが以下の配列の1を有するWnt5−αタンパク質またはそのペプチド:
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15。
  18. 請求項10〜16の何れか1項に記載のWnt5−αタンパク質またはそのペプチドであって、前記Wnt5−αペプチドが以下の配列の1を有し:
    MDGCEL 配列番号1
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15
    且つ、そのホルミル化誘導体として存在するWnt5−αタンパク質またはそのペプチド。
  19. Wnt5−αタンパク質またはそのペプチドの治療学的活性量を、エストロゲンレセプターαを欠くヒトに対して、前記レセプターを回復することによって前記エストロゲンレセプターα活性を誘導するために十分な時間に亘り投与することにより、エストロゲンレセプターα活性を回復する方法。
  20. 乳癌に罹患し、且つエストロゲンレセプターα活性を欠くヒトにおける内分泌後治療を容易または促進するための方法であって、Wnt5−αタンパク質またはそのペプチドの治療学的に十分な量が、エストロゲンレセプターα活性を誘導するために十分な時間に亘り投与される方法。
  21. 請求項20の方法であって、前記内分泌後治療が、選択的エストロゲンレセプターモジュレータによる治療である方法。
  22. 請求項21の方法であって、当該選択的エストロゲンレセプターモジュレータがタモキシフェンである方法。
  23. 請求項20の方法であって、前記内分泌後治療が、アロマターゼインヒビターによる治療である方法。
  24. 請求項20または22の方法であって、Wnt5−αペプチドが以下の配列を有する群の1または1以上であり:
    MDGCEL 配列番号1
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15
    且つ、そのホルミル化誘導体として存在する方法。
  25. 請求項20または22の方法であって、当該Wnt5−αペプチドが以下の配列を有する群の1または1以上である方法;
    GMDGCEL 配列番号2
    EGMDGCEL 配列番号3
    SEGMDGCEL 配列番号4
    TSEGMDGCEL 配列番号5
    KTSEGMDGCEL 配列番号6
    NKTSEGMDGCEL 配列番号7
    CNKTSEGMDGCEL 配列番号8
    LCNKTSEGMDGCEL 配列番号9
    RLCNKTSEGMDGCEL 配列番号10
    GRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号11
    QGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号12
    TQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号13
    GTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号14
    LGTQGRLCNKTSEGMDGCEL 配列番号15。
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