JP2011518340A5 - - Google Patents

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CFHまたはAPOHを急性骨髄性白血病寛解診断用生化学的マーカーとして使用する方法
本発明は、急性骨髄性白血病の寛解診断方法に関し、より具体的には、患者の血清に含まれたCFHまたはApoHを急性骨髄性白血病の寛解診断用生化学的マーカーとして使用する方法に関する。
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia, AML)は、造血系由来の骨髄性癌細胞が血液、骨髄及びその他の組織を浸潤することを特徴とする疾患である。前記疾患に急性という名が付けられた理由は、治療しない場合、経過が致命的に非常に速く進行するからである。このような白血病の治療において、最もよい試みの一つは、危険度を考慮した治療法(risk-adapted therapy)である。これを達成するためには、化学療法治療に抵抗し、追加的な治療を要求することができる白血病細胞の存在有無(即ち、寛解に到達したのか)を決定することである。
急性骨髄性白血病の治療可能性は、患者の年、染色体異常、血液異常、白血球数と白血病細胞特性を含む多い治療前要因に影響を受ける。このような様々な治療前要因だけではなく、寛解に到達したか否かのような治療要因もAMLの予後に関連する。
急性骨髄性白血病患者の寛解(CR: complete remission)は、化学療法剤の効果評価のための一次的目標点である。1990年に出版されて、最近校正されたAMLに対する診断と標準化基準に対する国際活動グループ[International Working Group (IWG)]の勧告によると、寛解(形態学的寛解)とは、患者が形態学的に白血病から自由であること(骨髄針状体と200個以上の有核細胞を含む吸引サンプルにおいて、5%未満の母細胞)とそれぞれ必ず>1,000/μlと>100,000/μlの好中球と血小板数を有していなければならない。アウエル小体を有した母細胞や骨髄外疾病の持続があってはならない。
全てのIWG寛解基準は、増加された最終生存(increased overall survival)と減少された再発危険(decreased relapse risk)と関係がある。寛解とは、結局、今後の治療に好意的に反応するAML患者の造血系体系の状態と考えてもよい。
一方、AML患者が寛解に到達しなかった、即ち、非寛解(NR)と命名された状態は、非好意的な造血系反応と関連がある。化学療法治療後、非寛解範疇に属するAML患者は、(i)形態学的に白血病自由状態ではないが(骨髄吸入サンプルにおいて≧5%の母細胞)、回復状態の血球数は、回復状態である(それぞれ>1,000/μlと>100,000/μlの好中球と血小板数)場合と、(ii)形態学的に白血病自由状態であるが(骨髄吸入サンプルにおいて、<5%の母細胞)、血球数は、回復されなかった場合(それぞれ≦1,000/μlと≦100,000/μlの好中球と血小板数)、そして、(iii)形態学的に白血病自由状態ではなく(骨髄吸入サンプルにおいて、≧5%の母細胞)、血球数も回復状態ではない場合(それぞれ≦1,000/μlと≦100,000/μlの好中球と血小板数)に分けられる。
一方、白血病細胞のような血球母細胞は、抗癌治療後には、自分の典型的な形態を失ってしまう場合が多く、これにより、血球母細胞の白血球百分率(differential count)を求めることが難しくなる。また、正常血球細胞も、化学療法治療後にその形態が変わる場合が多い。即ち、血小板の係数測定器は、抗癌化学療法後には血液血小板数の確実な測定が難しい。このような場合、白血球百分率を求めるか、血球細胞係数測定を、代わりにすることができる血清寛解マーカーがあれば、これは、既存の方法を補完するか代替できる重要な診断的方法になり得る。
したがって、AML患者の骨髄血清において、化学療法に対する病の反応を反映する生化学的マーカーに対する調査を行う必要がある。
本発明者らは、前記問題点を解決するために鋭意研究した結果、化学治療後、AML患者が寛解に到達したか、非寛解状態であるかを区分することができる生化学的マーカーを明かし出すことにより、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、AML治療時、人間の体の反応に対する生物学的メカニズムを確認するための新しい生化学的マーカーとして、誘導化学療法を試みたAML患者の血清内に存在して病の反応を反映するCFHまたはApoHを同定し、CFHまたはApoHを、病の回復有無診断のための生化学的マーカーとして使用する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、化学治療後、AML患者の寛解と非寛解、即ち疾病予後がよいかよくないかを、血清内に存在するCFHまたはApoHの濃度によって分かり、より正確に急性骨髄性白血病の回復有無を診断することができる、CFHまたはApoHを生化学的マーカーとして使用する方法を提供することである。
本発明の目的は、以上言及した目的に限定されるものではなく、言及しなかったまた他の目的は、下記の記載から当業者が明確に理解できるだろう。
上記の目的を達成するために、本発明は、急性骨髄性白血病患者の化学療法治療後、前記急性骨髄性白血病の寛解有無判断時に必要な情報を提供するために、採取した患者の血清に存在するCFH(complement factor H)またはApoH(apolipoprotein H)の含量を測定する段階を含み、急性骨髄性白血病(AML)の寛解有無を診断することを特徴とする、CFHまたはApoHをAML寛解診断用生化学的マーカーとして使用する方法を提供する。
好ましい実施例において、前記CFHまたはApoHの含量は、前記血清に存在するCFHまたはApoHの濃度を測定して決定される。
好ましい実施例において、前記CFHまたはApoHの濃度は、ELISAを利用して測定される。
好ましい実施例において、前記測定されたCFHの濃度が176.82±28.17μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達したと診断する。
好ましい実施例において、前記測定されたCFHの濃度が617.7±43.19μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達しなかったと診断する。
好ましい実施例において、前記測定されたApoHの濃度が181.55±39.81μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達したと診断する。
好ましい実施例において、前記測定されたApoHの濃度が606.6±48.79μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達しなかったと診断する。
好ましい実施例において、前記CFHまたはApoHは、患者の採取された血清から蛋白質を分離して同定される。
好ましい実施例において、前記CFHまたはApoHの同定は、前記血清をクロマトフォーカシングクロマトグラフィー(chromatofocusing chromatography)、逆相クロマトグラフィー(reversed-phase chromatography)及び差等ゲル電気泳動法(differential gel electrophoresis)で処理して行われる。
本発明は、次のような優れた効果を有する。
まず、本発明によると、AML治療時、人間の体の反応に対する生物学的メカニズムを確認するための新しい生化学的マーカーとして、誘導化学療法を試みたAML患者の血清内に存在して病の反応を反映するCFHまたはApoHを同定し、病の回復有無診断のための生化学的マーカーとしてCFHまたはApoHを使用することができ、寛解有無に通常的に使用する白血球百分率や正常血球細胞数の測定を補完するか代替することができる。
また、本発明によると、化学治療後、AML患者の寛解と非寛解、即ち疾病予後がよいかよくないかを、血清内に存在するCFHまたはApoHの濃度によって分かり、より正確に急性骨髄性白血病の回復有無を診断することができる
本発明の方法に使用されるCFHまたはApoHを同定するために、急性骨髄性白血病の寛解/非寛解を示すバイオマーカーを探す実験過程を示したフローチャートである。 Cy3で標識された血清サンプル(PreCR集団)及びCy5で標識された血清サンプル(CR集団)混合物の1次分離のためのCFクロマトグラフィーの結果グラフである。 クロマトフォーカシングされたサンプルの2次分離のためのRPクロマトグラフィー結果グラフである。 CF及びRPクロマトグラフィーにより予め分画されたCy3で標識されたPreCR集団及びCy5で標識されたCR集団の蛋白質のPAGE分離イメージである。 CF及びRPクロマトグラフィーにより予め分画されたCy3で標識されたPreCR集団及びCy5で標識されたCR集団の蛋白質のPAGE分離イメージである。 CF及びRPクロマトグラフィーにより予め分画されたCy3で標識されたPreCR集団及びCy5で標識されたCR集団の蛋白質のPAGE分離イメージである。 CF及びRPクロマトグラフィーにより予め分画されたCy3で標識されたPreCR集団及びCy5で標識されたCR集団の蛋白質のPAGE分離イメージである。 AML患者血清PreCR及びCRにおいてCFH及びApoH蛋白質水準(濃度)を示した箱ヒゲ図である。 多様な疾病状態にあるAML患者の血清においてCFH及びApoH蛋白質水準を示した箱ヒゲ図である。
本発明で使用される用語は、なるべく現在広く使用される一般的な用語を採択したが、特定の場合、出願人が任意に選定した用語もあって、このような場合は、単純な用語の名称ではなく、発明の詳細な説明の部分に記載された、あるいは使用された意味を考慮してその意味を把握すべきである。
以下、添付の図面及び好ましい実施例を参照し、本発明の技術的構成を詳細に説明する。
しかしながら、本発明は、ここで説明する実施例に限定されず、他の形態で具体化され得る。明細書全体にかけて同一な参照番号は、同一な構成要素を示す。
まず、本発明は、急性骨髄性白血病(AML)を有した患者の血清を通じて寛解誘導化学療法にかけて病の反応を反映する生化学的マーカーを調べるために、完全寛解(CR)に到達した患者から採取した混合血清の蛋白質プロファイリングを、多次元液体クロマトグラフィー蛍光染色電気泳動法(MDLC−DIGE)を通じて行った。
もってMDLCを通じて分割されたサンプルのDIGE分析は、データ標準化とexponentially modified protein abundance index(emPAI)を適用して、LTQ-FT MS/MS蛋白質同定をしたが、(診断の時点で)化学療法前と寛解に到達した患者から混合された血清の発現程度によって、二つの蛋白質complement factor H(CFH)及びapolipoprotein H(ApoH)が明かされた。
ELISAに基づいたCFHとApoHの蛋白質定量は、多様な疾病状態のAML患者の血清を通じてなされたが、これは、化学療法前(PreCR)と化学療法をして完全寛解に到達した患者(CR)と、化学療法前(PreNR)と化学療法をしたが完全寛解に到達しなかった患者(non-remission, NR)、そして健康な対照群(Normal)を含んでいる。
二つのグループ同士の組み合わせ(PreCR vs. CR, PreNR vs. NR, PreNR vs. PreCR, NR vs. CR, and CR vs. Normal)間において、CFHとApoH水準の比較は、回復されたグループ(CR, Normal)と回復されなかったグループ(PreCR, PreNR, NR)との間に重要な差があることを明かし出した。
その結果、CFHとApoHが、寛解誘導化学療法を試みたAML患者においてCRとNRを区分するによいマーカーであることが分かった。
〔実施例1〕
(実験方法)
1.患者、検体、化学療法後応答基準
本発明で使用された血清検体は、3次医療機関である全南大学校病院の造血系遺伝体研究センター(GRCHD)から得た。臨床情報は、チャート検討により得られて、全ての診断は、骨髄生体組織検査により組織学的に確認された。骨髄サンプルの収集の間、全ての患者は、検査後の検体が研究のための目的で使用されることに対する許可を求める同意書が提供されて、この研究は、臨床試験審議委員会で審議されて通過された。血清サンプルは、氷上で直ちに実験室に移動されて、遠心分離後分株して、使用前まで-80℃で凍結した。
この研究の患者たちは、idarubicin/BH-ACとATRA(M3 AMLのみに対して)寛解誘導化学療法に対する反応によって、CRとNRの二つのグループに分かれた(表1参照)。化学療法後の骨髄血清の収集は、全てのAML患者に対して化学療法の1ヶ月後、同時に行われた。得られた検体の中、33名の患者から出た66個は、CR状態であり、20名の患者から出た40個は、NR状態である。二つのサンプルがそれぞれの患者から採取された。一番目のサンプルは、AML(PreCRとPreNRサンプル)の診断の時期に採取して、二番目のサンプルは、寛解誘導化学療法(CRとNRサンプル)の1ヶ月後に直ぐに採取した。健康な対象から採取した25個の正常サンプルも研究の対照群(Normalサンプル)として含めた。immuno depletion。
2.混合されたPreCRとCR血清蛋白質のCy dye標識化
33名の患者のPreCRとCR血清サンプルを30μlずつ混ぜて、それぞれ約1mlの混合されたPreCR血清とCR血清を得た。albuminとIgGのように大量存在する蛋白質は、それぞれの混合された血清サンプルから、提供された使用法にしたがってmultiple affinity removal system(MARS; Agilent technologies, SanDiego, CA)を利用して除去した。Flow-through fraction(PreCRとCR)は、5000molecular weight cut off濃縮機で濃縮した。濃縮されたサンプルは、定量後、1mgの蛋白質を取ってlysis buffer(30mM Tris [pH8.5], 8M urea, 4% CHAPS)を利用して1mlの容量に調整して、氷上に置いた。Cy3とCy5 dyeは、それぞれ混合されたPreCRとCRサンプルの標識化に使用された。簡単に言えば、Cy dyeは、0.4mM(400pmol/ul)の濃度になるようにN,N-dimethylformamideに溶かして、Cy dye :蛋白質比率が400pmol : 50ugになるように反応させた(1mgの蛋白質当たり20ulのCy dye)。Lysine残基のアミノグループのCy dye標識化反応は、氷上で30分間暗反応で進行した。反応は、10mM l-lysine 20ulを添加した後、10分間反応して終結した。Cy3とCy5で標識化された血清蛋白質は混ぜた後、アルミニウムホイルで包んで、使用前まで-80℃に凍結した。
3.Cy dye標識化された血清蛋白質混合物の分類と分離
Cy dye標識化された蛋白質混合物の分離とその後の調査に対する手順図は、図1に提示された。混合された1対の血清蛋白質サンプルは、ProteomeLab HPLC system(Beckman Coulter, Fullerton, CA)を利用してchromatofocusing (CF) chromatography(Tricorn High Performance Columns, Mono P 5/200GL System; Amersham Biosciences, Wikstr, Sweden)を通じて1次分離をした。UV検出器波長は、280nmであり、蛋白質分離は、pH間隔0.2に9.0-4.0のpH範囲でなされた。CFカラムは、1ml/minの流速のBuffer A(0.075 M Tris [pH 9.3])を20-30分間流して平衡化させた。2mlの混合された血清蛋白質がカラムに注入された。0.5ml/minの流速で10分間Buffer Aがカラムを通過して、付着された蛋白質は、0.5ml/minの流速で40分間流れるBuffer B (Polybuffer 74, pH 4.0; Amersham Biosciences)により溶出された。その後、カラムは、0.5ml/minの流速で30分間流れるBuffer C(1M NaCl)と同一流速で30分間流れるBuffer D(ddH2O)で洗浄した。全体的に8個fractionが分離されたvialに集まれて、使用前まで4℃に保管された。
それぞれの8個のfractionは、ProteomeLab HPLC system(Beckman Coulter)を利用してreversed-phase (RP) chromatography (SOURCE 15RPC ST 4.6/100; Amersham Biosciences)を通じて2次分離を行った。UV検出器波長は、214nmであり、溶出された蛋白質fractionは、2分間隔で得られた。RPカラムは、1ml/minの流速のBuffer A(100% H2O, 0.1% TFA)を30-60分間流して平衡化させた。8個のfractionは、略150ulに濃縮されて、Buffer Aを利用して容量を700ulに調整した。そして、autosamplerを利用して500ulのサンプルがカラムに注入された。0.75ml/minの流速で1分間Buffer Aがカラムを通過し、溶離は、Buffer B(100% ACN, 0.08% TFA)を0.75ml/minの流速で44分間0-100%の傾きを与えて流した。その後、Buffer Bの傾きは、再び1分間にかけて0%に戻った。カラムは、次の実験前にBuffer Aを20分間流して再平衡化させた。全体的にそれぞれの1次fractionから2次クロマトグラフィーを通じて17〜20個のfractionが集まれて、2次分離の全体fraction数は、144個であった。
8個のCF fractionからRP fractionを通じて得られたそれぞれの蛋白質の量は、クロマトグラフィーの面積測定に基づいて計算された。近所のfractionサンプルは、全体的に蛋白質の量が等しくなるように新たに混合させてfractionを再調整した。再調整されたfractionの数は、43個であった。それぞれの2次fractionは、SDS-PAGEを通じてさらに分離がなされた。fracionは、真空凍結乾燥後、20ulのsample buffer(120 mM Tris-HCl [pH 6.6], 10% SDS, 20% glycerol, 3% DTT,0.03 M bromophenol blue)に溶かした。5分間沸いた後、蛋白質サンプルは、18×16cmガラス板(low fluorescence; Amersham Biosciences)に12% polyacrylamide gelsを作ってローディングした。蛋白質は、stacking gel部分は40mAで、separation gelからは80mAで電気泳動された。
4.Cy dye標識化された蛋白質の視覚化とイメージ分析
Gelは、9200 Typhoon Scanner(GE Healthcare, Chalfont St. Giles, UK)を利用してスキャンされた。Cy3とCy5標識化された蛋白質バンドは、Typhoon Scanner Control softwareを通じてCy3 channel 532nm, PMT(photomultiplier tube) 510V; Cy5 channel 633 nm, PMT 490Vの条件でスキャンされた。スキャンされたイメージは、ImageQuant TL software(GE Healthcare)を通じて分析した。
まず、Cy dye標識化された蛋白質が検出されて、面積×密度を通じて蛍光強度が測定された。検出されたバンドは整列させて、一致するものと一致しないものは全部表示された。一致するものに対してCy3/Cy5比率が計算されて、正規分布に合うヒストグラムデータ(中央の90%)に基づいて標準化作業がなされた。標準化されたCy3/Cy5比率に対して、混合されたPreCRとCRサンプル間において、互いに発現が異なっていると定める基準は、少なくとも2.0倍の差に設定した。
蛋白質同定のためにバンドを切断する前に、候補蛋白質は、(Cy3/Cy5やCy5/Cy3の蛍光比率が2.0倍以上差があるもの)市販される高い感度のCoomassie blue staining kit(Simply Blue(登録商標) SafeStain; Invitrogen, Carlsbad, CA)を利用して検出した。このように5個のバンド(A, B, C, D, and E; Fig. 4D) が染色後検出されて、このバンドは、in-gel digestionとMS/MS analysisのために切断した。
5.DIGEバンド蛋白質の同定のためのNano-LC/ESI-MS/MS分析
LC-MS/MS分析は、高いCy dye蛍光比率を示すバンド(Coomassie blueで染色)の蛋白質同定のためになされた。まず、蛋白質をトリプシンで加水分解する前に、DTTでreduction後、indole-3 acetic acid (IAA)でalkylationした。サンプルは、10mM ammonium bicarbonateと50% ACNで洗浄して、50mM ammonium bicarbonateと5mM CaCl2, 1ug of trypsinで構成されたdigestion bufferを入れた後、37℃で16時間反応した。ペプチドは、50mM ammonium bicarbonateと100% ACNで2回の抽出過程により回収された。それぞれのバンドに対するペプチド抽出物は、凍結乾燥後、MS分析をする前まで20℃で保管された。
凍結乾燥されたペプチドサンプルは、Nano-LC/ESI-MS/MSの移動相Aに溶かした。ペプチド同定のためのMS/MS実験は、Surveyor HPLC system(ThermoFinnigan, Waltham,MA)とnano-ESI sourceを備えたLTQ-FT mass spectrometer(ThermoFinnigan)で構成されたnano-LC/MS systemを利用して行った。Autosamplerは、C18 trap-column(i.d. 300 , length 5 mm, and particle size 5)(Dionex, Sunnyvale, CA)にペプチド溶液10ulをローディングした。ペプチドは、20ul/minの流速でカラムを通過しつつ脱塩と濃縮がなされた。その後、ペプチドは再び流れ出て、6穴を有した75-silica tubingに満たされたC18(Aqua; particle size 5)で構成された100-mm home-made microcapillary columnを通じて分離された。
移動相AとBは、それぞれ0%と80%のacetonitrileを含んでおり、また0.024% formic acidと0.5% acetic acidを含んでいる。傾きは、開始後5% Bとして15分間与えられて、3分間20% B、47分間60%、2分間95%の勾配が与えられた。95% Bで5分間維持されて、その後、2分間5% Bとして勾配が与えられた。カラムは、行う前に5% Bとして6分間平衡化させた。electrosprayを作るために適用された電圧は、2.1kVであった。それぞれの質量分析の義務的な周期は、FT-ICR分析器を利用して、一つの高い質量解像度(100,000) MSスペクトルを得て、三つのデータに基づいたMS/MSは、linear ion trap分析器を利用してスキャンした。MS/MS分析に対して、35%の標準化された衝突エネルギーは、colision-induced dissociation(CID)のために使用された。
MS/MS spectraは、下記のsoftwareとprotocolを利用して分析した。ペプチドの同定は、MASCOT version 2.1(Matrix Science, London, UK)でローカルサーバー上で作動し、57,846個の蛋白質シーケンスを含んでいるIPI human protein database(v3.15.1 released by the European Bioinformatics Institute)が検索のために使用された。MASCOTは、選択されたmonoisotopic mass, 1.5 Daのprecursor mass error,0.8 Daのfragment ion mass errorに利用された。Typsinは、酵素として選択された。Oxidized methionine, carbamidomethylated cysteine, propionamide cysteine, pyroglutamate(N-term E, Q)は、可変の変更として選択された。二つやそれ以上の高いスコアのペプチドで同定されたこのような蛋白質のみが、実際マッチされたものとして考慮された。高いスコアのペプチドは、MASCOT検索で限界点上にあるペプチドに該当した(expected <0.05, peptide score>42)。
6.同定されたDIGEバンド蛋白質から候補蛋白質の決定
一つのゲルバンドは、普段様々な他の蛋白質を含んでいる。ところが、蛍光の色は、一つまたは幾つかの支配的な蛋白質により影響を受けるように見える。それぞれのバンドにおいて支配的な蛋白質の同定のために、MASCOT検索結果からexponentially modified protein abundance index(emPAI)を評価した。emPAIは、tandem mass spectrometryにより同定された蛋白質のペプチドシーケンスの数からその濃度の推定を提供する。emPAI値は、tandem mass spectrometryで測定されたペプチドの数と蛋白質のアミノ酸シーケンスから予測されたペプチドの数との間の比率で定義されるprotein abundance index(PAI)の改善を示す。PAIは、tandem mass spectrometryを使用して作られたデータベース探索結果でさらに多い蛋白質のペプチドがさらに頻繁に現れるという概念を基にする。さらに多い蛋白質を区別することに利用されるとしても、PAIは、蛋白質濃度に線形的な関係を示すわけではない。ePAI-1と定義されたemPAI値は、蛋白質濃度と大略比例する。だからそれは、絶対的な蛋白質の存在量を決定することに有用である。したがって、emPAI値に基づいて主要バンド蛋白質を識別した。主要蛋白質の中、二つの支配的な蛋白質が潜在的なバイオマーカーとしてさらに調査された。
7.ELISAに基づいたAML患者と健康な対照群血清検体の蛋白質の定量
混合された二つのサンプル(PreCR, CR)のDIGEを通じて、発現が異なっていると推定されるemPAI値の高い蛋白質は、AML患者のPreCRとCR血清グループの事実的な決定因子になり得る。
該当抗体を使用する一般的なELISAを通じてそれぞれのPreCRとCRサンプルにおける候補蛋白質の水準を直接的に測定した。Coomassie blueで染色された高いCy dye比率の5個のバンド(A-E)で同定された蛋白質の中、最も高いemPAI値を有する蛋白質は、次のようである - A, hemopexin; B, CFH; C, CFH; D, Beta 2-glycoprotein (ApoH); E, IGHM protein。この中、蛋白質量を直接測定した蛋白質(CFH, Beta 2-glycoprotein)に実際的に適用した実験プロトコールは、以下のようである。
CFHとApoHに対して血清水準は、sandwich immunoassayで決定されて、この全ての過程は、常温で進行された。簡単に言えば、96-well microtiter platesにCFH(mouse anti-CFH monoclonal antibody, 4.0 ug/ml in PBS; Abcam, Cambridge, UK)やApoH(mouse anti-ApoH monoclonal antibody, 2.0 ug/ml in PBS; Chemicon, Temecula, CA)に対するmouse monoclonal antibodyを100ulずつ入れてコーティングした後、常温で一晩中反応した。400ulのwash buffer(PBS)を入れて、3回洗浄した後、300ulのblocking buffer(4% skim milk in PBS)を入れて、1時間反応した。
それぞれの血清サンプルは、blocking bufferに1:2000で希釈した後、100ulずつそれぞれのwellに添加して、2時間反応した。上述したような洗浄方法で洗浄した後、human CFH(2.0 ug/ml in blocking buffer; Abcam)やApoH(rabbit anti-ApoH polyclonal antibody, 2.0 ug/ml in blocking buffer; Chemicon)に対するgoat polyclonal antibodyを100ulずつ入れて、2時間反応した。
上述の方法通りプレートを再び洗浄して、それぞれHRP-conjugated rabbit anti-goat antibody(2.5 ug/ml in blocking buffer; Southern Biotech, Birmingham, AL)とHRP-conjugated goat anti-rabbit antibody(2.5 ug/ml in blocking buffer; Southern Biotech)を100ul入れて、1時間反応した後、3回洗浄した。
検出のために100ulのsubstrate solution(1:1 H2O2: tetramethylbenzidine)をそれぞれのwellに100ulずつ入れた後、20分間反応して、VERSA max microplate reader(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を利用して450nmの波長で読み出した。データ分析には、SOFTMax Pro ver. 5 software(Molecular Devices)を利用した。全てのデータは、二回収集して、検出数値は、平均値で示した。その後、ELISAに基づいたCFHとApoHの定量は、それぞれPreNRとNR, Normal血清検体に対しても行った。
8.統計分析
全ての統計的な計算は、SAS Software 9.1を使用して、全てのP-valuesは、two-tailed testsで報告された。ELISAを通じてそれぞれのPreCR, CR, PreNR, NR, Normalに対してCFHとApoHの水準を決定した後、正規性検定(Shapiro-Wilk test)をして、次のサンプルのグループ間に比較をした: PreCR vs. PreNR; CR vs. NR, and CR vs. Normal
Paired t-testは、PreCRとCRやPreNRとNRのように、一対の観察の分析のために利用された。
〔実施例2〕
(実施例1の実験方法を行って得られた実験結果)
1.混合されたPreCRとCR血清サンプルのMDLCとDIGE分析
下記表1に示された特性を有する寛解された(CR group)AML患者の混合した二つの骨髄血清サンプルは、immunodepletedとCy dyes標識化、CFとRP chromatographyによる分析、そして1D-PAGEを、図1のような手順を通じて行った。
Figure 2011518340
二つのサンプルの一つ(混合されたCRと明示)は、idarubicin/BH-ACやATRAと共に寛解誘導化学療法をしてから1ヶ月後の結果で寛解に到達した33名のAML患者の混合された血清で製造された。他のサンプル(混合されたPreCRと明示)は、化学療法をする前の診断時期に得た同じ33名の患者の混合された血清で製造された。
図2に示されたように、8個のCF fraction(CF-C1 CF-C8)を得て、それぞれのCF fractionからRP chromatographyを通じて、図3に示されたように17〜20個のfractionを得た(CFC1: 17 frs, CFC2: 17 frs, CFC3: 17 frs, CFC4: 19 frs, CFC5: 19 frs, CFC6: 18 frs, CFC7: 20 frs, CFC8: 17 frs)。
Polyacrylamide gelを通じての分離をする前、RP chromatographyで得られた幾つかのfractionは、等しい蛋白質量にするために、近接するfractionを混合した。この過程がなかったら、Cy3とCy5蛍光探知の制限された動的範囲では、gelのlaneにおいて高くて低い信号を同時に捕らえることができないはずである。このように43個のfractionが1D-PAGEのために用意された。
Cy3とCy5で標識化された蛋白質混合物の1D-PAGE結果は、Figure 4Aと4Cに提示されている。Cy3とCy5イメージにおいて蛋白質バンドの分析に対して、バンドは、商業的なソフトウェアを利用して整列して、バンドのボリュームは、強度×範囲で計算された。その後、初期のCy3とCy5データの標準化で明かされた10個のバンドは、Cy3/Cy5のvolume比率が≧2.0倍の差があることを示し、一方、3個のバンドは、Cy5/Cy3のvolume比率が≧2.0倍の差があることを示す。Cye dye蛍光で表示された13個のバンドは、Coomassie blue染色結果を調べたが、この中、5個のバンドが染色されて、その構成蛋白質のMS/MS同定のためにin-gel digestionを行った(A-E, 図4D)。
2.バンド蛋白質の同定が表すCy dye標識化された蛋白質発現の変化
抽出されたゲルバンドにおいて、構成蛋白質の中、大量存在する5個の蛋白質は、LTQ-FT MS/MS分析を通じて同定されて、MASCOT検索を行ったが、これは、下記表2に示されている。
Figure 2011518340
ゲルバンドの蛋白質存在量は、MASCOT検索を通じて同定された蛋白質のemPAIを通じて決定された。相対的な存在量も同様に、それぞれの5個のゲルバンドにおける構成蛋白質のemPAIを通じても決定された。それぞれのバンドにおいて、他の少量蛋白質の合計の>150%の存在量を有する主要蛋白質を識別した。全てのゲルバンドを通じて、一つの主要蛋白質があった。ゲルバンドにおいて、主要蛋白質は、次のようである: IGHM protein (Aバンド), b2-glycoprotein 1(ApoH; Bバンド), hemopexin(Cバンド), CFH(D, Eバンド)。このような蛋白質は、Cy3/Cy5の蛍光比率において≧2.0倍の差があることを示す(i.e., Cy5/Cy3の≧2.0倍の差がある蛋白質はない)。その後、最も高い(あるいは説得力のある)emPAI値(apolipoprotein, 1657及びCFH, 100,000)の二つの蛋白質の水準は、PreCR(Cy3-標識化された)とCR(Cy5-標識化された)サンプルグループの統計的分布で調べた。
3.PreCRとCRの二つのグループを区分付けるCFHとApoH蛋白質の確認
個々のPreCRとCR患者からの血清検体において、CFHとApoHの発現が異なっていることは、ELISAを通じて確認された。ELISA分析サンプルは、MDLC-DIGE分析のために混合した二つのサンプル(PreCR, CR)の比較のために使用された同じ33対の血清を含めた。それぞれのPreCRとCRサンプルにおいてCFHとApoHの水準は、ELISA(表3参照)を通じて決定されて、統計分析を通じて比較された(表4参照)。
Figure 2011518340
Figure 2011518340
比較の結果は、Box-and-whisker plotsを通じて図で表現されており、これは図5に示されている。Shapiro-Wilk testは、CFH水準(deltaCFHCR = CFHpreCR ― CFH CR)に対するdeltaCRとApoH水準(deltaApoHCR = ApoHpreCR― ApoHCR)に対するdeltaCRの標準偏差(P>0.05)で明かした。Parametric paired t-testは、CFHCRとCFHpreCRやApoHCRとApoHpreCR.に対して、一対の観察で平均に差がないという帰無仮説を検査することに利用された。CFHとApoHのdeltaCRのmean (± S .D.)値は、それぞれ451.09±47.89と428.45±50.05であって、P-values値は、それぞれ0.001と0.000であった。したがって、CFHpreCRとCFHCRやApoHpreCRとApoHpreCRの間で平均に差がないという帰無仮説は、受け入れなかった。即ち、PreCRとCRのCFHとApoH水準は、統計的に有意な差が存在した。
4.ELISAに基づいたAML患者の血清におけるCFHとApoHの定量
CFHとApoH水準は、ELISAを通じて定量して(表4参照)、PreNRとNRのAML患者と健康な対照群(Normal)からの血清検体に対する統計的な分析がなされた。Box-and-whisker plotsによる比較の結果は、図で表現されており、図6に示されている。
Shapiro-Wilk testは、deltaCFH水準(deltaCFHNR= CFHpreNR ― CFHNR)とdeltaApoH水準(deltaApoHNR = ApoHpreNR― ApoHNR)がNR患者に対して正規分布をなすこと(P>0.05)を示した。Paired t-testは、CFHNRとCFHpreNRやApoHNRとApoHpreNRに対して、一対の観察で平均に差がないという帰無仮説を検証することに使用された。CFHとApoHのdeltaNRのmean値は、12.15±61.81と13.35±70.68であり、P-valuesは、それぞれ0.3903と0.4088であった。したがって、CFHpreNRとCFHNRやApoHpreNRとApoHpreNRの間で平均に差がないという帰無仮説は、受け入れなかった。即ち、PreNRとNRのCFHとApoH水準の差は統計的に意味がなかった。
Shapiro-Wilk testは、CFH水準(CFHPreNR, CFHPreCR, CFHNR, CFHCR, CFHNormal)とApoH水準(ApoHPreNR, ApoHPreCR, ApoHNR, ApoHCR., ApoHNormal)に対するPreNR, PreCR, NR, CR, Normalの正規分布特性(P>0.05)を示した。Two-sample t-testは、CFHPreNRとCFHPreCR, CFHNRとCFHCR, CFHCRとCFHNormalのCFH水準に対する二つの観察とApoHPreNRとApoHPreCR, ApoHNRとApoHCR, ApoHCRとApoHNormalのApoH水準に対する二つの観察において平均に差がないという帰無仮説を検査することに利用された。
CFHのPreNRとPreCR, NRとCR, CRとNormalのmean値は、それぞれ629.85±34.64と627.91±44.52(P = 0.8684); 617.7 ± 43.19と176.82±28.17(P= 0.001) 176.82±28.17と181.92±51.02(P = 0.6550)であった。したがって、PreNRとPreCR, NormalとCR間のCFH水準は、統計的に差がなかったが、NRとCRとの間では差があった。
また、ApoHのPreNRとPreCR, NRとCR, CRとNormalのmean値は、それぞれ619.95±40.64と610.0±38.66(P=0.3772); 606.6±48.79と181.55±39.81 (P=0.001); 181.55±39.82と191.28±44.54(P=0.3847)であった。確認された結果でApoHpreNRとApoHPreCRや、ApoHCRとApoHNormalの間では、統計的に差がなかったが、ApoHNRとApoHCRは、統計的に差があった。
上述のように、AML患者から混合されたCRとPreCR血清サンプルを利用して、多次元液体クロマトグラフィー(MDLC)と蛍光染色電気泳動法(DIGE)に基づいた蛋白質プロファイリングの定量的分析を利用した。この技術は、iTRAQとICATのような間接的な蛋白質プロファイリングに利用されるペプチド標識化方法と対照的に、直接的な蛋白質プロファイリング方法である。Wangらは、orthogonal three-dimensional intact-protein analysis system (IPAS)を報告したが、これは、順次にimmunodepletionとCy dye標識化された蛋白質をisoelectric focusing, RP chromatography, one-dimensional SDS-PAGEを通じて分離させる方法であって、疾病関連適用において包括的なプロファイリングと定量分析法を提供した。
本発明では、AML患者血清の二つのグループを区分することができる蛋白質標識子を探すために、既存の三次元IPASを修正した。まず、二次(RP chromatography)分離で分離された近所の蛋白質fractionらを、三次(SDS-PAGE)分離でそれぞれのレーンに対する蛋白質の全体的な量が等しくなるように混合した。この調整がなかったら、各レーンにある蛋白質の量はあまりにも様々であって、スキャナー(9200 Typhoon(登録商標) GE Healthcare)の動的強度範囲の限界を超えてしまうようになる。次に、DIGEで蛋白質バンドのCy3/Cy5比率に影響を及ぼす大量存在する蛋白質の識別を決定するために抽出されたバンドにおいてMS同定された全ての蛋白質に対してemPAIが計算された。次に、該当バンドで最も高いemPAIスコアを通じての5個の候補蛋白質の中、二つの上位蛋白質(CFH, ApoH)の水準が、それぞれのPreCRとCRグループの血清サンプルに対してELISAを行って評価された。結果は、二つの蛋白質がAML患者の二つのグループを区分する能力があることを示している。
次に、ELISAに基づいたCFHとApoHの定量を、他の部類のAML患者と健康な成人の血清サンプルに拡張させた。CFHとApoHの水準は、患者のPreNRとNRで測定されて、PreCRとCR、健康な対照群(Normal)で比較された。その結果は、CFHとApoHの血清濃度がAML患者と健康な集団との間で異なっていることを示す。AML患者と健康な対照群のCFHとApoH血清の統計的分配は、明確に高いCFH/ApoH水準(PreC, PreNR, NR)と低いCFH/ApoH水準の(CR, Normal)二つのグループに分けられた。したがって、白血病細胞がある状態(PreCR, PreNR, NR)の患者の血清は、高いCHFとApoHの水準を示し、白血病細胞がない状態(CR, Normal)の患者の血清は、低いCFHとApoHの水準を示す。
NRで表示した、CRに到達しなかったAML患者は、三つの種類に分類される。第一、校正されたIWG(2003)の推薦によると、形態学的に白血病細胞自由状態(<5%の骨髄針体母細胞)や正常血球未回復状態(好中球や血小板数がそれぞれ≦1,000/ μl,≦100,000/ μl)は、morphologic CR with incomplete blood count recovery (CRi)と定義された。CRiは、CRの特別な範疇として扱われた。第二、同じIWG基準にしたがって、形態学的白血病自由状態ではないが正常血球数が回復状態である患者と、形態論的白血病自由状態ではなく且つ正常血球数も回復されなかった患者をtreatment failure due to resistant disease or relapseと定義した。
本発明の結果に基づくと、形態学的白血病自由状態であるが血球数が未回復状態である場合は、CRに該当しない。形態学的白血病自由状態とは、AML患者がCRを達成したことを決定するにおいて、唯一の考慮事項とされてはならない。血清のCFHとApoHの水準のパターンで判断してみると、AML患者のCRi状態は、治療失敗の患者の状態と変わらないかもしれない。このような認識は、血小板と好中球数がOS (overall survival)とRR(relative risk)を決定する独立的な予後因子であることを示すGeorgineらの報告書によっても裏付けられる。したがって、CRi状態のAML患者は、疾病から回復されるという側面で、CRと同等に取り扱われてはならない。
統計的な分析の結果は、血清CFHとApoHがCRとNR状態を区分するによい分類子あるいはバイオマーカーであることを示す。血小板と好中球は、化学治療療法後に形態学的変化を頻繁に示して、血液細胞数測定器が血液中の細胞数を正確に測定できないくらいである。骨髄母細胞数の計算は、骨髄針状体と≧200の有核細胞を含めない吸入サンプル(骨髄サンプルの不適な採取から始まる希釈サンプルのように)からはAML患者の骨髄サンプルの正確な母細胞パーセンテージを提供することができない。この場合、血清 CFHとApoHの測定は、患者の寛解状態を評価することにおいて、重要な代案を提供するかもしれない。さらに、血清CFHとApoH水準は、一般的なELISAを利用して簡単に決定することができる。
150-kDaのsingle-chain血漿糖蛋白質であるCFHは、第2経路補体活性化の調節において主軸役割をして、抗炎症性活動をする。CFHは、新しく形成されるC3b分子を除去することにfactor Iと共に作用して、またC3 convertaseであるC3bBbの形成及び安定化にも否定的に作用する。本血漿タンパク質は、shot consensus repeats(SCRs)という20個相同単位で構成される。構造-機能分析は、最も重要なリガンドであるC3bに対するCFHの三つの結合部位を決定した。
CFHは、Streptococcus pyogenes, Borrelia burgdorferi, Neisseria gonorrheae, Neisseria meningitidis, Yersinia enterocolitica, Echinococcus granulosus, HIVのように微生物により再発する感染に関係すると思われる。病原菌は、補体活性化の制御(免疫監視を避けるために)のために、宿主細胞の表面構造を真似する。BTAstatとBTA TRAKテストは、膀胱癌患者の小便で目標抗原を測定する新しい免疫検定法である。
Kinderらは、二つの単一クローン抗体によりBTA試験で認識された抗原がCFHから起源すると報告した。また、彼らは、人間の膀胱、頸部、腎臓癌細胞系列がCFHを分泌することを−しかし、正常人上皮ケラチン細胞、白血病細胞(HL-60)、大腸癌細胞系列は分泌しない−RT-PCRとBTA assayを通じて示した。したがって、種々の癌細胞によるCFHの合成は、宿主免疫監視を避ける効果的な方法として提示された。
ApoH(β2 glycoprotein I; β2GPI)は、326個アミノ酸の54-kDa single-chain蛋白質であり、四つのN-linked glycosylationサイトを含む。ApoHは、short consensus repeat (SCRs)と知られた五つの反復配列で構成される。五番目のドメインは、保存された領域を含むが、cysteines 281と288との間の陽電荷を帯びる部分は、陰電荷を帯びるリン脂質の結合に必須的である。ApoHの正確な生理学的機能は知られていないが、それは、陰イオン性リン脂質サイトから多様な凝固蛋白質を押し出すことにより、抗凝固剤効果を示すと思われている。最近、ApoHは、実験室条件で人の血漿にある蛋白質より低い濃度でもfactor (F) XIに結合して、トロンビンとFXIIaによるFXI活性化を阻害すると知られた。ApoHの五番目ドメインの分解は、FXI活性に阻害効果を示して、リン脂質に結合する能力の減少をもたらす。Trousseau’s症候群は、悪性腫瘍患者において非バクテリア性心臓内膜炎によりvenous thrombosis, thrombophlebitis, arterial thrombiが再発すると定義される。癌患者の静脈のthromboembolismは、臨床的に15%までになるかもしれない。Tissue factors分泌、腫瘍関連pro-coagulants、癌細胞関連mucin、粘度の変化、癌細胞の拡散のような様々な要因が腫瘍関連血栓症(thrombosis)と連関があるように見える。腫瘍患者において、血栓症合併症は、高い頻度で発生して、手術と化学療法治療などはこのような危険性を増加させる。
このような観察は、なぜ健康な状態(正常)やCR(化学治療療法後)に比べて疾患発病時(診断時)とNR(化学治療療法後)のAML患者において補体不活性剤のCFHと抗凝固剤のApoHが高いかに対して疑問を引き起こす。該当蛋白質(CFHとApoH)が正常細胞から出るのか、あるいは癌細胞から出るのかに対して二つの説明が可能である。CFHとApoHが、AML患者の白血病細胞から漏出される蛋白質であれば、免疫監視を避けるか(CFH)または宿主の凝固を阻止するために(ApoH)発現されるだろう。Stirewaltらは、311名の白血病患者と38名の正常人を対象にしたAML遺伝子発現研究であるマイクロアレイ(Affymetrix HG-U133A)分析の結果を報告した。彼らのデータは、AML患者におけるCFHとApoH遺伝子発現の水準が正常群との比較において減少も増加もしなかったことを示す(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi)。しかしながら、CFHとApoHが、AMLの患者において肝細胞のような正常細胞から分泌する蛋白質であれば、腫瘍のため非正常的に作用している補体と凝固システムを安定化させるために作用するだろう。興味深いことに、上述のようにCRi(morphologic CR with incomplete blood count recovery)患者の皆は、CFHとApoHの高い水準を示した。即ち、Cri患者は皆、他のNR患者とのCFHとApoH濃度で統計的意味のある差を示さなかった(P<0.01)。CFHとApoHの血清水準は、正常血液細胞が正常範囲まで回復するまでは高く残っているように見える。このような観察は、AML患者の遺伝子発現に対するStirewaltらの報告と共に、腫瘍と関連した要因ではない、人体反応と関連した要因がCFHとApoHの水準を決定することを提示する。
結論的に、本発明は、MDLC-DIGEプロファイリング技術とELISAに基づいた蛋白質定量法を使用して、CRのAML患者の血清CFHとApoHの水準が正常と等しいことを明かし出して、その反面、二つの蛋白質の水準は、CRに到達せず失敗した患者(NR)においては高かった。したがって、CFHとApoHは、CRとNRを区分することにおいて重要なマーカーであることが分かる。
以上、本発明を好ましい実施例を挙げて図示して説明したが、上記の実施例に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲内で当該発明が属する技術分野で通常の知識を有した者によって多様な変更と修正が可能である。

Claims (14)

  1. 急性骨髄性白血病患者の化学療法治療後、AML寛解診断用生化学的マーカーを使用して、前記急性骨髄性白血病の寛解有無判断時に必要な情報を提供するために、採取した患者の血清に存在するCFH(complement factor H)またはApoH(apolipoprotein H)の含量を測定する生化学的マーカー検出方法。
  2. 前記CFHまたはApoHの含量は、前記血清に存在するCFHまたはApoHの濃度を測定して決定されることを特徴とする、請求項1に記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  3. 前記CFHまたはApoHの濃度は、ELISAを利用して測定されることを特徴とする、請求項2に記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  4. 前記測定されたCFHの濃度が176.82±28.17μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達したと見なされることを特徴とする、請求項2または3に記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  5. 前記測定されたCFHの濃度が617.7±43.19μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達しなかったと見なされることを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  6. 前記測定されたApoHの濃度が181.55±39.81μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達したと見なされることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれかに記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  7. 前記測定されたApoHの濃度が606.6±48.79μg/mlであると、急性骨髄性白血病が寛解に到達しなかったと見なされることを特徴とする、請求項2乃至6のいずれかに記載のAML寛解診断用生化学的マーカー検出方法。
  8. 急性骨髄性白血病(AML)患者のCFH(complement factor H)またはApoH(apolipoprotein H)の含量を測定するための、CFHまたはApoHに特異的に結合する抗体を含む、急性骨髄性白血病(AML)患者において寛解及び非寛解を決定するための組成物。
  9. 前記CFHまたはApoHは、AML患者の血清試料に含まれたことを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記組成物は、ELISA(enzyme-linked immunosorbant assay)に利用されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  11. 前記CFHの含量が176.82±28.17μg/mlに測定されると、前記AML患者は寛解に到達したと決定することを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  12. 前記CFHの含量が617.7±43.19μg/mlに測定されると、前記AML患者は寛解に到達しなかった、即ち非寛解として決定することを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  13. 前記ApoHの含量が181.55±39.81μg/mlに測定されると、前記AML患者は寛解に到達したと決定することを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  14. 前記CFHの含量が606.6±8.79μg/mlに測定されると、前記AML患者は寛解に到達しなかった、即ち非寛解として決定することを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
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