JP2011517683A - 疎水性タキサン誘導体の組成物およびその使用 - Google Patents

疎水性タキサン誘導体の組成物およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、1)疎水性タキサン誘導体と、2)担体タンパク質とを含むナノ粒子を含む組成物を提供する。組成物、ならびにキットおよび単位用量を使用した疾患(癌など)を治療する方法もまた提供する。本発明は一態様で、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物中のナノ粒子は、例えば、約100、90、80、70、または60nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の平均直径を有する。

Description

関連出願への相互参照
本願は、2008年4月10日に出願された、「Compositions of Hydrophobic Taxane Derivative and Uses Thereof」と題された米国仮特許出願第61/044,006号の優先権の利益を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、あたかもその全体が以下に述べられるように、本明細書中に参考として援用される。
タキサン、特に2種の現在利用可能なタキサン薬であるパクリタキセルおよびドセタキセルは、強力な抗腫瘍剤である。パクリタキセルは非常に難水溶性であり(10μg/mL未満)、その結果、IV投与のために水性媒体と製剤することが事実上できない。現在、パクリタキセルは、主要な溶媒/界面活性剤としてポリオキシエチル化ヒマシ油(Polyoxyl35またはCremophor(登録商標))と、共溶媒として用いる高濃度のエタノールとを有する溶液中で、癌を有する患者へのIV投与のために製剤される。パクリタキセルの投与における重大な問題の1つは、過敏性反応が起こることである。重度の発疹、じんま疹、潮紅、呼吸困難、頻脈およびその他を含むこれらの反応は、製剤中で溶媒として使用する高濃度のエタノールおよびCremophor(登録商標)に少なくとも部分的に起因し得る。パクリタキセルの誘導体であるドセタキセルは、Taxus baccataの針葉から抽出し、化学的に合成された側鎖でエステル化した無細胞毒性前駆体である10−デアセチルバッカチンIIIから半合成的に生成される。ドセタキセルは、パクリタキセルのように水中で非常に難溶性である。現在、ドセタキセルを溶解するために使用する最も好ましい溶媒/界面活性剤は、ポリソルベート80(Tween80)である。Cremophor(登録商標)のように、Tweenは、患者において過敏性反応を引き起こすことが多い。さらに、Tween80は、非常に毒性であるフタル酸ジエチルヘキシルを浸出させる傾向があるため、PVC送達装置では使用することができない。
水溶性を増強するためにより高い親水性の基(水溶性ポリマーなど)を有する水溶性プロドラッグおよび新規なタキサン誘導体を開発することに多大な努力が注がれてきた。例えば、特許文献1は、プロドラッグとして機能し、通常の生理条件下で加水分解し、治療効果のあるタキサンを提供するタキサン−ポリエチレングリコール(PEG)複合物について記載している。高分子量PEGポリマーを伴うパクリタキセルの複合物は溶解性が増加する一方、それらはまた適切な溶解性を達成するのに必要な高分子量PEGによって薬物量の対応する減少をもたらす。同様に、特許文献2は、水溶性を増強させるリン脂質プロドラッグを開示している。
タキサンの乏しい水溶性と関連する問題に取り組む別のアプローチは、ナノ粒子、水中油型エマルジョン、およびリポソームなどのタキサンの様々な製剤の開発である。例えば、Abraxane(登録商標)は、パクリタキセルおよびアルブミンのナノ粒子組成物である。実質的に難水溶性薬物のナノ粒子組成物およびその使用は、例えば、特許文献3;特許文献4;特許文献5;および特許文献6;ならびに特許文献7、特許文献8、特許文献9および特許文献10に開示されてきた。
様々なタキサン誘導体は、例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3、特許文献11;ならびに特許文献12;特許文献13;特許文献14;および特許文献15に開示されてきた。
本明細書において参照した全ての刊行物、特許、特許出願および公開された特許出願の開示は、全内容が参照により本明細書中に組み込まれている。
米国特許出願公開第2003/0203961号明細書 国際公開第94/13324号 米国特許第5,916,596号明細書 米国特許第6,096,331号明細書 米国特許第6,749,868号明細書 米国特許第6,537,579号明細書 国際公開第98/14174号 国際公開第99/00113号 国際公開第07/027941号 国際公開第07/027819号 欧州特許第1063234号明細書 米国特許第5,059,699号明細書 米国特許第4,942,184号明細書 米国特許第6,482,850号明細書 米国特許第6,602,902号明細書
Kingston, J. Nat. Prod. 2000年、63巻、726〜734頁 Deutschら、J. Med. Chem. 1989年、32巻、788〜792頁 Mathewら、J. Med. Chem. 1992年、35巻、145〜151頁
本発明は一態様で、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物中のナノ粒子は、例えば、約100、90、80、70、または60nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の平均直径を有する。いくつかの実施形態において、組成物中の全てのナノ粒子の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ)は、例えば、約100、90、80、70、または60nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、組成物中の全てのナノ粒子の少なくとも約50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ)は、例えば、約30〜約140nmのいずれか1つ、ならびに約40〜約130、約50〜約120、および約60〜約100nmのいずれか1つを含めた、約20〜約150nmの範囲に入る。
いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、ジスルフィド結合を形成することができるスルフヒドラル基を有する。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子部分中の少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、15%、または20%のいずれか1つを含めた)の担体タンパク質は、架橋している(例えば、1つまたは複数のジスルフィド結合によって架橋している)。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)などの担体タンパク質でコーティングされた疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、非ナノ粒子形態の疎水性タキサン誘導体を含み、組成物中の疎水性タキサン誘導体の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つは、ナノ粒子形態である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子中の疎水性タキサン誘導体は、重量でナノ粒子の約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ超を構成する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、非ポリマーマトリックスを有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、高分子材料(ポリマーマトリックスなど)が実質的に存在しない疎水性タキサン誘導体のコアを含む。
いくつかの実施形態において、組成物には、界面活性剤(Cremophor(登録商標)、Tween80、またはタキサンの投与のために使用される他の有機溶媒など)が(存在しないなど)実質的に存在しない。いくつかの実施形態において、組成物は、約20%、15%、10%、7.5%、5%、2.5%、または1%のいずれか1つ未満の有機溶媒を含有する。いくつかの実施形態において、組成物中の担体タンパク質(アルブミンなど)と疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)との重量比は、約15:1以下、例えば、約10:1以下などの約18:1以下である。いくつかの実施形態において、組成物中の担体タンパク質(アルブミンなど)および疎水性タキサン誘導体の重量比は、約1:1〜約18:1、約2:1〜約15:1、約3:1〜約13:1、約4:1〜約12:1、約5:1〜約10:1のいずれか1つの範囲に入る。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子部分中の担体タンパク質および疎水性タキサン誘導体の重量比は、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15のいずれか1つ、またはそれ未満である。
いくつかの実施形態において、粒子組成物は、上記の特徴の1つまたは複数を含む。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、タキサンの2’−ヒドロキシル位に結合した疎水基を有する。いくつかの実施形態において、疎水基は、−C(O)−C〜C10アルキル、例えば−C(O)−Cアルキルなどのアシル基である。いくつかの実施形態において、疎水基は、タキサンの2’−ヒドロキシルに結合したアシル基である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、タキサンのプロドラッグである。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)は、対応する未修飾タキサンよりも、アルブミンへの結合が改善されている(例えば、パクリタキセルおよび/またはドセタキセルよりも改善されている)。いくつかの実施形態において、タンパク質ナノ粒子組成物中の疎水性タキサン誘導体は、等毒性用量で、対応する未修飾タキサン(例えば、パクリタキセルおよび/またはドセタキセル)のナノ粒子組成物よりも改善された治療有効性を示す。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式Iの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式IIの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式IIIの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式IVの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式Vの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている式VIの化合物である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている化合物1〜23のいずれか1つである。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、本明細書に記載されている化合物2である。
本明細書においてまた提供されるのは、疾患(癌など)を治療するための本明細書に記載されている組成物の使用方法、ならびに本明細書に記載されている使用のためのキットおよび単位用量である。
図1は、疎水性タキサン誘導体についてインキュベーション時間に対する生成されたドセタキセルの量を示す。 図2Aは、Taxotere(登録商標)と比較した、乳癌異種移植片モデルにおける腫瘍増殖に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の濃度の増加の作用を示す。図2Bは、Taxotere(登録商標)と比較した、乳癌異種移植片モデルにおける体重変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の濃度の増加の作用を示す。 図3Aは、Taxotere(登録商標)と比較した、H358肺癌異種移植片モデルにおける腫瘍容積変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す。図3Bは、Taxotere(登録商標)と比較した、H358肺癌異種移植片モデルにおける体重変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す。 図4Aは、Nab−ドセタキセルと比較した、HT29結腸癌異種移植片モデルにおける腫瘍増殖に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す(研究番号CA−AB−6)。図4Bは、Nab−ドセタキセルと比較した、HT29結腸癌異種移植片モデルにおける体重変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す(研究番号CA−AB−6)。 図5Aは、Taxotere(登録商標)と比較した、結腸癌HT29異種移植片モデルにおける腫瘍増殖に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す(研究番号CA−AB−6)。図5Bは、Taxotere(登録商標)と比較した、結腸癌HT29異種移植片モデルにおける体重変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の作用を示す(研究番号CA−AB−6)。 図6Aは、Taxotere(登録商標)と比較した、結腸癌HT29異種移植片モデルにおける腫瘍増殖に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の濃度の増加の作用を示す(研究番号ABS−18)。図6Bは、Taxotere(登録商標)と比較した、結腸癌HT29異種移植片モデルにおける体重変化に対する、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の濃度の増加の作用を示す(研究番号ABS−18)。 図7は、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子についての繰返し投与の毒性を示す。 図8は、疎水性タキサン誘導体とアルブミンとを含有するナノ粒子の粒子分布および平均粒径を示す。 図9は、ナノ粒子組成物Nab−2についての粒子溶解プロファイルを示す。 図10は、ナノ粒子組成物Nab−ドセタキセルについての粒子溶解プロファイルを示す。 図11は、ナノ粒子組成物Nab−2およびNab−ドセタキセルについての標準化された溶解プロファイルを示す。
本発明は、タンパク質をベースとするナノ粒子中に製剤されたタキサン誘導体を提供する。これらのタキサン誘導体は、対応するタキサンに結合した疎水基を有し、未修飾タキサンと比較して増加した疎水性を有する。
疎水基を含有するタキサン誘導体(アシル基、例えば、タキサンの2’−ヒドロキシルに結合した−C(O)−C〜C10アルキル基、特に−C(O)−Cアルキル基など)は、タンパク質ナノ粒子組成物中に製剤されたとき、未修飾タキサンのタンパク質ナノ粒子よりも有意に改善された特性を有するナノ粒子を生じさせることを、本発明者らは見出した。これらの特性には、それだけに限らないが、下記の1つまたは複数が含まれることがある。小さな粒径(例えば、約100nm未満の平均直径)、粒子についての狭い粒度分布、それらの意図した作用部位(複数可)への化合物の送達の増強、放出の遅延または持続、クリアランスの遅延、および癌に対する効力の増加。したがって、ここに記載する組成物は、癌などの疾患の治療において使用するのに特に適している。
したがって、一態様の本発明は、1)疎水性タキサン誘導体;および2)担体タンパク質を含むナノ粒子を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、プロドラッグである。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されている組成物を使用した、疾患(癌など)を治療する方法を提供する。
キットおよび単位剤形もまた提供する。
略語および定義
本明細書において使用される略語は、化学および生物学の技術分野におけるそれらの従来の意味を有する。
本明細書において使用する場合、「疎水性タキサン誘導体」とは、疎水基で置換されているタキサンを意味する。「疎水基」とは、タキサン上で置換されるとき、非置換タキサンと比較すると増加した疎水特性を有するタキサン誘導体をもたらす部分を意味する。疎水特性の増加は、例えば、水溶性の減少、極性の減少、水素結合のための可能性の減少、および/または油/水分配係数の増加によって決定し得る。「タキサン」には、本明細書において使用する場合、パクリタキセルおよびドセタキセルが含まれる。したがって、「疎水性タキサン誘導体」という用語には、パクリタキセルまたはドセタキセルは含まれない。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体でまたは別の置換基の部分として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
「アルキル」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の部分として、特に明記しない限り、指定されている場合、特定の炭素原子数を有する(すなわちC〜C10は、1〜10個の炭素を意味する)、完全飽和の直鎖(線状;枝分かれしていない)または分岐鎖、またはこれらの組合せを意味する。その例には、それだけに限らないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの同族体および異性体などの基が含まれる。サイズが指定されていない場合、本明細書において言及されているアルキル基は、1〜20個の炭素原子、典型的には1〜10個の炭素原子、または1〜8個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を含有する。
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合(−C=C−)を含有する、指定されている場合、特定の炭素原子数を有する、直鎖(線状;枝分かれしていない)、分岐鎖基、およびこれらの組合せを含めた不飽和脂肪族基を意味する。全ての二重結合は、独立に(E)または(Z)配置、およびその混合物でよい。アルケニル基の例には、それだけに限らないが、−CH−CH=CH−CH;−CH=CH−CH=CHおよび−CH−CH=CH−CH(CH)−CH−CHが含まれる。サイズが指定されていない場合、本明細書において言及したアルケニル基は、2〜20個の炭素原子、典型的には2〜10個の炭素原子、または2〜8個の炭素原子、または2〜6個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を含有する。
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合(−C≡C−)を含有する、指定されている場合、特定の炭素原子数を有する、直鎖(線状;枝分かれしていない)、分岐鎖基、およびこれらの組合せを含めた不飽和脂肪族基を意味する。アルキニル基の例には、それだけに限らないが、−CH−C≡C−CH;−C≡C−C≡CHおよび−CH−C≡C−CH(CH)−CH−CHが含まれる。サイズが指定されていない場合、本明細書において言及したアルキニル基は、2〜20個の炭素原子、典型的には2〜10個の炭素原子、または2〜8個の炭素原子、または2〜6個の炭素原子、または2〜4個の炭素原子を含有する。
「シクロアルキル」という用語は、それ自体でまたは他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル、またはその混合物の環状版を表す。さらに、シクロアルキルは、縮合環を含有し得るが、縮合アリールおよび縮合ヘテロアリール基を除外する。シクロアルキルの例には、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどが含まれる。サイズが指定されていない場合、本明細書において言及したアルキニル基は、3〜9個の炭素原子、典型的には3〜7個の炭素原子を含有する。
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体でまたは他の用語と組み合わせて、少なくとも1個の環状炭素原子、ならびにO、N、P、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1個の環構成ヘテロ原子を含有するシクロアルキル基を表し、窒素および硫黄原子は、任意選択で酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよい。多くの場合、これらの環構成ヘテロ原子は、N、OおよびSから選択される。ヘテロシクロアルキル基は、環構成炭素または環構成ヘテロ原子において、分子の残りに結合することができる。さらに、ヘテロシクロアルキルは、縮合環を含有し得るが、縮合アリールおよび縮合ヘテロアリール基を除外する。ヘテロシクロアルキルの例には、それだけに限らないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが含まれる。
「シクロアルキル−アルキル」および「ヘテロシクロアルキル−アルキル」という用語は、各々、アルキル置換シクロアルキル基およびアルキル置換ヘテロシクロアルキルを意味し、アルキル部分は、親構造に結合している。非限定的例には、シクロプロピル−エチル、シクロブチル−プロピル、シクロペンチル−ヘキシル、シクロヘキシル−イソプロピル、1−シクロヘキセニル−プロピル、3−シクロヘキセニル−t−ブチル、シクロヘプチル−ヘプチル、ノルボルニル−メチル、1−ピペリジニル−エチル、4−モルホリニル−プロピル、3−モルホリニル−t−ブチル、テトラヒドロフラン−2−イル−ヘキシル、テトラヒドロフラン−3−イル−イソプロピルなどが含まれる。シクロアルキル−アルキルおよびヘテロシクロアルキル−アルキルにはまた、少なくとも1個の炭素原子がアルキル基中に存在し、かつアルキル基の別の炭素原子が、例えば、酸素、窒素または硫黄原子によって置き換えられている置換基が含まれる(例えば、シクロプロポキシメチル、2−ピペリジニルオキシ−t−ブチルなど)。
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、単一の環、または一緒になって縮合もしくは共有結合している複数の環(例えば、1〜3個の環)のことがある多価不飽和芳香族炭化水素置換基を意味する。さらに、アリールは縮合環を含有してもよく、環の1つまたは複数は、任意選択でシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである。アリール基の例には、それだけに限らないが、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニルが含まれる。
「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1〜4個の環構成ヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を意味し、窒素および硫黄原子は、任意選択で酸化されており、窒素原子(複数可)は任意選択で四級化されている。ヘテロアリール基は、環構成炭素または環構成ヘテロ原子において、分子の残りに結合することができる。さらに、ヘテロアリールは、縮合環を含有してもよく、環の1つまたは複数は、任意選択でシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである。ヘテロアリール基の非限定的例は、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルである。上記のアリールおよびヘテロアリール環系の各々のための置換基は、下記の許容される置換基の群から選択し得る。
「アラルキル」という用語は、アルキル置換アリール基を意味し、アルキル部分は親構造に結合している。例は、ベンジル、フェネチルなどである。「ヘテロアラルキル」は、アルキル残基を介して親構造に結合しているヘテロアリール部分を意味する。例には、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが含まれる。アラルキルおよびヘテロアラルキルにはまた、置換基が含まれ、そこではアルキル基の少なくとも1個の炭素原子は、アルキル基中に存在し、アルキル基の別の炭素は、例えば、酸素原子によって置き換えられている(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルメトキシ、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)。
上記の用語の各々(例えば、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「シクロアルキル−アルキル」、「ヘテロシクロアルキル−アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アラルキル」、および「ヘテロアラルキル」)には、示された基の置換および非置換形態の両方が含まれることを意味する。
「任意選択で置換されている」または「置換されている」とは、1個または複数の水素原子を一価または二価の基で置き換えることを意味する。適切な置換基には、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ(F、Cl、Br、Iなど)、ハロアルキル(−CClまたは−CFなど)、チオ、スルホニル、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキサミジノ、メトキサミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、アルキル、アルコキシ、アルコキシ−アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ(−OCOR)、アミノカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキル−カルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキル、カルバモイル(−NHCOOR−または−OCONHR−)、尿素(−NHCONHR−)、アリールなどが含まれる。本発明のいくつかの実施形態において、上記の基(例えば、アルキル基)は、例えば、アミノ、ヘテロシクロアルキル例えば、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、アゼチジン、ヒドロキシル、メトキシ、またはヘテロアリール基例えば、ピロリジンで置換されている。
置換基は、それ自体置換されることができる。置換基上で置換される基は、カルボキシル、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミノカルボニル、−SR、チオアミド、−SOH、−SORまたはシクロアルキルでよく、Rは典型的には、水素またはアルキルである。
置換された置換基に直鎖基が含まれるとき、置換基は、鎖内(例えば、2−ヒドロキシプロピル、2−アミノブチルなど)または鎖末端(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−シアノプロピルなど)において生じることがある。置換された置換基は、共有結合した炭素またはヘテロ原子(N、OもしくはS)の直鎖、分岐状または環状の配置でよい。
本明細書において使用する場合、「異性体」には、他に示さない限り、エナンチオマー、ジアステレオマー、ならびに全ての配座異性体、回転異性体、および互変異性体を含めた、本明細書における式において言及された化合物の全ての立体異性体が含まれる。本発明には、実質的に純粋な左旋性もしくは右旋性形態で、またはラセミ混合物で、または任意の比のエナンチオマーでの、開示された任意のキラル化合物の全てのエナンチオマーが含まれる。(R)−エナンチオマーとして開示されている化合物について、本発明にはまた(S)−エナンチオマーが含まれる。(S)−エナンチオマーとして開示されている化合物について、本発明にはまた(R)−エナンチオマーが含まれる。本発明には、ジアステレオマー的に純粋な形態および全ての比の混合物の形態の、上記の式において言及された化合物の任意のジアステレオマーが含まれる。
立体化学配置が化学構造または化学名において明示的に示されていない限り、化学構造または化学名は、示された化合物の全ての可能性のある立体異性体、配座異性体、回転異性体、および互変異性体を包含することを意図する。例えば、キラル炭素原子を含有する化合物は、(R)エナンチオマーおよび(S)エナンチオマーの両方、ならびにラセミ混合物を含めたエナンチオマーの混合物を包含することを意図し、2個のキラル炭素を含有する化合物は、全てのエナンチオマーおよびジアステレオマー((R,R)、(S,S)、(R,S)、および(R,S)異性体を含めた)を包含することを意図する。
本明細書において開示されている式の化合物の全ての使用において、本発明にはまた、記載した化合物の任意または全ての立体化学的、エナンチオマー、ジアステレオマー、立体配座、回転異性体、互変異性、溶媒和物、水和物、多形形態、結晶形態、非結晶形態、塩、薬学的に許容される塩、代謝物およびプロドラッグの変形形態の使用が含まれる。
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態(すなわち、溶媒和物)で存在することができる。本発明の化合物にはまた、水和形態(すなわち、水和物)が含まれてもよい。一般に、溶媒和および水和形態は、生物学的有用性の目的のためには非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本発明にはまた、結晶および非結晶形態を含めた全ての多形が含まれる。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって意図される使用のために同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
本発明は、本明細書に記載されている化合物の全ての塩、および化合物のこのような塩の使用方法を包含する。本発明はまた、本明細書に記載されている化合物の任意の塩の全ての非塩形態、ならびに本明細書において名前を挙げられている化合物の任意の塩の他の塩を包含する。一実施形態において、化合物の塩は、薬学的に許容される塩を含む。「薬学的に許容される塩」は、遊離化合物の生物活性を保持し、薬物または薬剤として個体(例えば、ヒト)に投与することができるそれらの塩である。化合物の塩基性官能基の所望の塩は、化合物を酸で処理することによる当業者に公知の方法によって調製し得る。無機酸の例には、それだけに限らないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸が含まれる。有機酸の例には、それだけに限らないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、馬尿酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸が含まれる。化合物の酸性官能基の所望の塩は、化合物を塩基で処理することによる当業者に公知の方法によって調製することができる。酸性化合物の無機塩の例には、それだけに限らないが、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(alkaline earth salts)(ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩など);アンモニウム塩;ならびにアルミニウム塩が含まれる。酸性化合物の有機塩の例には、それだけに限らないが、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、およびトリエチルアミン塩が含まれる。
「プロドラッグ」という用語は、それ自体が相対的に不活性ではあるが、使用される個体へそれを投与することに続いて、インビボでの化学的または生物学的過程によって(例えば、加水分解および/または酵素的変換によって)、より活性な化合物に変換される化合物を意味する。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはチオール基が任意の基に結合しており、それは個体に投与されたときに切断され、各々、遊離ヒドロキシ、アミノ、またはチオール基を形成する化合物が含まれる。プロドラッグの例には、それだけに限らないが、アルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が含まれる。本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグには、それだけに限らないが、エステル、カーボネート、チオカーボネート、N−アシル誘導体、N−アシルオキシアルキル誘導体、第三級アミンの第四級誘導体、N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基、アミノ酸複合物、リン酸エステル、金属塩およびスルホン酸エステルが含まれる。徹底的な考察は、T. HiguchiおよびV. Stella、PRO−DRUGS AS NOVEL DELIVERY SYSTEMS、A. C. S. Symposium Seriesの第14巻、ならびにEdward B. Roche編、BIOREVERSIBLE CARRIERS IN DRUG DESIGN、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年(それらの両方は参照により本明細書中に組み込まれている)において提供されている。いくつかの実施形態において、本発明において使用されるタキサン誘導体は、それら自体がプロドラッグである。いくつかの実施形態において、本発明において使用されるタキサン誘導体は、プロドラッグではない。
実質的に純粋な化合物とは、その化合物が、化合物の総量の約15%以下または約10%以下または約5%以下または約3%以下または約1%以下が、不純物としておよび/または異なる形態中で存在することを意味する。例えば、実質的に純粋なS,S化合物とは、約15%以下または約10%以下または約5%以下または約3%以下または約1%以下の全R,R;S,R;およびR,S形態が存在することを意味する。
「保護基」とは、下記の特徴を示す化学基を意味する。1)保護することが望ましい計画された反応に対して安定的である;2)保護された基質から除去することができ、所望の官能基を生じさせ;かつ3)存在するまたはこのような計画された反応において生成される他の官能基(複数可)と適合性の試薬によって除去可能である。本明細書に記載の方法において使用するための適切な保護基の選択は、当技術分野で通常の技術レベルの範囲内である。適切な保護基の例は、その内容が参照により本明細書に組み込まれているGreeneら(1991年)PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS、第3版(John Wiley & Sons, Inc.、New York)に見出すことができる。本発明のいくつかの実施形態において、保護基は、疎水性タキサン誘導体から除去されない。「ヒドロキシ保護基」とは、本明細書において使用する場合、遊離ヒドロキシ基を保護し、「保護されたヒドロキシル」を生じさせることができる基を意味し、それは、保護が用いられる反応に続いて、化合物の残りを阻害することなしに除去し得る。例示的なヒドロキシ保護基には、それだけに限らないが、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(triphenylmethyt)(トリチルまたはTr)、ベンジル、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、3−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(butyldiphenylsilyt)(TBDPS)などが含まれる。
本明細書において使用する場合、「治療」または「治療する」とは、臨床的結果を含めた有益または所望の結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有益または所望の臨床的結果には、それだけに限らないが、下記の1つまたは複数が含まれる。疾患から引き起こされるもう1つの症状の減少、疾患の程度の減少、疾患の安定化(例えば、疾患の予防、または悪化の遅延)、疾患の進行の遅延または緩徐化、病態の寛解、疾患を治療するのに必要な1種または複数の他の薬剤の用量の減少、生活の質の向上、ならびに/あるいは生存(全生存および無増悪生存を含めた)の延長。「治療」にまた包含されるのは、癌の病理学的事象の減少である。本発明の方法は、治療のこれらの態様の任意の1つまたは複数を意図する。
本明細書において使用する場合、癌の発生の「遅延」とは、疾患の発生を繰り延べ、妨害し、緩徐化し、阻止し、安定化させ、および/または延期することを意味する。この遅延は、病歴および/または治療を受ける個体によって様々な期間のことがある。当業者には明らかなように、十分または相当な遅延は、事実上、個体が疾患を発生させないという点で予防を包含することができる。癌の発生を「遅延する」方法は、この方法を使用しない場合と比較したときに、所与の時間枠内で疾患の発生の可能性を減少させ、かつ/または所与の時間枠で疾患の程度を減少させる方法である。このような比較は典型的には、統計的に有意な数の被験体を使用した臨床試験に基づいている。癌の発生は、通常の身体検査またはX線などの標準的な方法を用いて検出できる。発生とはまた、最初は検出不可能であり得る疾患の進行を意味してもよく、出現および発症が含まれる。
本明細書において使用する場合、「危険性がある」個体とは、状態(例えば、癌)を発生する危険性がある個体である。「危険性がある」個体は、検出可能な疾患を有するもしくは有しないことがあり、本明細書に記載されている治療方法の前に検出可能な疾患を示していることがあり、もしくは示していないことがある。「危険性がある」とは、個体が、本明細書に記載されている状態の発生と相関関係がある測定可能なパラメータである1つまたは複数のいわゆる危険因子を有することを意味する。これらの危険因子の1つまたは複数を有する個体は、これらの危険因子(複数可)を有さない個体よりも状態を発生させる可能性がより高い。
本明細書において使用する場合、「医薬活性化合物」、「治療剤」、およびこれらの用語の同語源語とは、所望の作用、例えば、癌の治療、安定化、予防、および/または遅延を誘発する化合物を意味する。
本明細書において使用する場合、「さらなる医薬品」という用語、およびその同語源語は、タキサン誘導体以外の活性剤、例えば、治療効果を引き出すために投与される薬物を意味することを意図する。医薬品(複数可)は、タキサン誘導体(複数可)が治療もしくは予防することを意図する状態(例えば、癌)に関連する治療効果を対象としてもよく、あるいは医薬品は、根底にある状態の症状(例えば、腫瘍増殖、出血、潰瘍形成、疼痛、リンパ節の肥大、咳、黄疸、膨れ、体重減少、悪液質、発汗、貧血、腫瘍随伴現象、血栓症など)を治療もしくは予防し、またはタキサン誘導体を投与する副作用の出現もしくは重症度をさらに減少させることを意図してもよい。
本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される」または「薬理学的に適合性」とは、生物学的にまたはその他の点で望ましくないことがない材料を意味し、例えば、材料は、相当な望ましくない生物学的作用をもたらさず、またはそれが含有されている組成物の他の成分のいずれかと有害な態様で相互作用せずに、患者に投与される医薬組成物に組み込んでもよい。本明細書において使用する場合、「薬学的に許容される担体」という用語、およびその同語源語は、個体(例えば、哺乳動物または非哺乳動物)への投与のために適した、当業者には公知のアジュバント、結合剤、希釈剤などを意味する。2つ以上の担体の組合せはまた、本発明において意図される。薬学的に許容される担体(複数可)および任意のさらなる成分は、本明細書に記載されているように、特定の剤形についての意図された投与経路(例えば、経口、非経口)における使用のために適合性であるべきである。このような適応性は、本明細書において得られる教示を特に考慮して、当業者によって容易に認識されるであろう。薬学的に許容される担体または賦形剤は、毒物学的試験および製造試験の必要な基準に好ましくは合致しており、および/または米食品医薬品局によって作成されたInactive Ingredient Guideに含まれる。
「医薬有効量」、「治療有効量」、「有効量」という用語、およびこれらの用語の同語源語は、本明細書において使用する場合、特定の状態(例えば、疾患、障害など)またはその症状の1つもしくは複数について所望の薬理学的および/または生理学的効果をもたらす量を意味し、かつ/または状態もしくはその症状の出現を完全にもしくは部分的に予防することを意味し、かつ/または状態および/もしくは状態(例えば、癌)に起因し得る有害作用の部分的もしくは完全な治癒の観点から治療的であり得る。本明細書に記載されている状態(例えば、癌)に関して、医薬有効量または治療有効量は、とりわけ、癌細胞数を減少させ;腫瘍サイズを縮小し;末梢器官への癌細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の緩徐化、好ましくは停止)し;腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の緩徐化、好ましくは停止)し;腫瘍増殖をある程度阻害し;存在する癌細胞の増殖を予防し、かつ/または死滅させ;細胞増殖抑制性および/または細胞毒性であり;血管恒常性を回復もしくは維持し、または血管恒常性を損なうこともしくは失うことを防止し;腫瘍量を減少させ;罹患率および/または死亡率を減少させ;ならびに/あるいは癌と関連する症状の1つまたは複数のある程度の軽減に十分な量を含み得る。有効量は、無増悪生存を延長させ(例えば、固形腫瘍についての反応評価基準(RECIST)、またはCA−125変化によって測定すると)、客観的反応(部分的反応または完全な反応を含めた)をもたらし、全生存時間を増加させ、かつ/または癌の1つまたは複数の症状を改善する(例えば、FOSIによって評価すると)ことがある。特定の実施形態において、医薬有効量は、個体に予防的に投与されたときに、状態を予防するのに十分である。
「医薬有効量」または「治療有効量」は、投与される組成物、治療/予防される状態(例えば、癌のタイプ)、治療または予防される状態の重症度、個体の年齢および相対的健康、投与経路および形態、担当する医師または獣医師の判断、ならびに本明細書において提供する教示を考慮して当業者によって認識される他の要因によって変化し得る。
当技術分野で理解されるように、「有効量」は、1つまたは複数の用量でよく、すなわち、所望の治療エンドポイントを達成するのに単回用量または多回用量が必要であり得る。有効量は、1種または複数の治療剤を投与するという状況で考慮してもよく、1種または複数の他の薬剤と併せて、望ましいまたは有益な結果が達成されることがあり、または達成される場合、ナノ粒子組成物(例えば、タキサン誘導体および担体タンパク質を含む組成物)は、有効量で投与されると考えてもよい。
他に明記しない限り、「個体」とは、本明細書において使用する場合、それだけに限らないが、霊長類、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、および/またはげっ歯類を含めた哺乳動物を意図する。
治療/予防方法および本明細書に記載されている化合物およびそのナノ粒子組成物の使用に関して使用されるとき、「それを必要としている」個体は、治療される状態であると診断された、または治療される状態のために以前に治療を受けた個体でよい。予防に関して、それを必要としている個体はまた、状態の危険性(例えば、状態の家族歴、状態についての危険性を示す生活習慣要因など)がある個体でよい。
本明細書において使用する場合、「併用療法」とは、癌を治療、安定化、予防、および/または遅延させるのに有用な第2の治療(例えば、手術またはさらなる治療剤)と併せた、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含むナノ粒子を含む第1の治療を意味する。別の化合物と「併せた」投与には、順次に、同時に、または連続的に、同じまたは異なる組成物(複数可)中の投与が含まれる。いくつかの実施形態において、併用療法には、1種もしくは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤、非医薬活性化合物、および/あるいは不活性な物質が任意選択で含まれる。
本明細書において使用される「抗菌剤」という用語は、1種または複数の微生物の増殖を阻害(例えば、遅延、減少、緩徐化、および/または予防)することができる薬剤を意味する。相当な微生物増殖は、下記の1つまたは複数などの当技術分野において公知のいくつかの方法によって測定または示すことができる。(i)組成物が個体に投与されたとき、個体へ1つまたは複数の有害作用をもたらすのに十分な組成物中の微生物増殖;(ii)外的汚染(例えば、20〜25℃の範囲の温度で10〜103個のコロニー形成単位への曝露)による、特定の期間に亘る(例えば、24時間の期間に亘る)微生物増殖の約10倍超の増加。相当な微生物増殖の他の徴候は、参照により本明細書にその全体が組み込まれているUS2007/0117744に記載されている。
「糖」は、本明細書において使用する場合、これらだけに限らないが、単糖類、二糖類、多糖類、およびそれらの誘導体または修飾体が含まれる。本明細書に記載されている組成物のための適切な糖には、例えば、マンニトール、スクロース、フルクトース、ラクトース、マルトース、およびトレハロースが含まれる。
「タンパク質」という用語は、アミノ酸の任意の長さのポリペプチドまたはポリマー(完全長またはフラグメントを含めた)を意味し、修飾アミノ酸を含む直鎖状または分岐状でよく、かつ/または非アミノ酸が介在してもよい。この用語はまた、天然に、あるいは処置(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の処置もしくは修飾)によって、修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。またこの用語に含まれるのは、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含めた)の1種または複数の誘導体、および当技術分野において公知の他の修飾を含有するポリペプチドである。
「生存」とは、生きている患者を意味し、全生存および無増悪生存が含まれる。「全生存」とは、診断または治療の時から1年、5年などの定められた期間生きている患者を意味する。「無増悪生存」は、癌の進行または悪化なしに生きている患者を意味する。「生存の延長」とは、治療を受けない患者と比較した(例えば、タキサンナノ粒子組成物で治療を受けない患者と比較した)、治療を受けた患者における全生存または無増悪生存期間の増加を意味する。
本明細書において使用する場合、値またはパラメータ「ではない」ことへの言及は一般に、値またはパラメータ「以外」を意味し、記述する。例えば、タキサンが投与されない場合、タキサン以外の薬剤が投与されることを意味する。
本明細書において「約」の値またはパラメータへの言及には、その値またはパラメータそれ自体を対象にする変形形態が含まれる(および記述する)。例えば、「約X」と言及する記述には、「X」の記述が含まれる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「or」、および「the」には、文脈によって明らかにそれ以外のことの指示がない限り複数の参照対象が含まれる。本明細書に記載されている本発明の態様および変形形態には、態様および変形形態「からなる」および/または「から本質的になる」が含まれることが理解される。
他に定義されていない、または文脈によって明らかに示されていない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
ナノ粒子組成物
本発明は、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体および担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)を含み、疎水性タキサン誘導体は、(タキサンと比較して)改善されたアルブミンへの結合を有する。いくつかの実施形態において、組成物は、医薬組成物である。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)とを含み、組成物は、タキサンと比較して改善された治療有効性を示す。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体および担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)を含み、疎水性タキサン誘導体は、タキサンのプロドラッグである。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、パクリタキセルの疎水性タキサン誘導体および担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)を含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、ドセタキセルの疎水性タキサン誘導体および担体タンパク質(アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミンなど)を含む。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含み、疎水性タキサン誘導体は、対応するタキサンの2’−ヒドロキシル位に結合している疎水基を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含み、疎水性タキサン誘導体は、対応するタキサンの2’−ヒドロキシル位に結合しているアシル基を有する。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式Iの化合物と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式IIの化合物と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式IIIの化合物と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式IVの化合物と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式Vの化合物と担体タンパク質とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、式VIの化合物と担体タンパク質とを含む。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、化合物1〜23と担体タンパク質から選択される化合物とを含む。いくつかの実施形態において、ナノ粒子を含む組成物を提供し、ナノ粒子は、化合物2と担体タンパク質とを含む。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)などの担体タンパク質でコーティングされた疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含む。
本明細書に記載されているナノ粒子は、疎水基で置換されていないタキサンを含むナノ粒子組成物と比較して有意に小さな直径を有する(図8を参照されたい)。ナノ粒子は、典型的には約900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、または100nmのいずれか1つ以下などの約1000ナノメートル(nm)以下の平均直径を有する(例えば、乾燥形態で)。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径は、約200nm以下である。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径は、約20〜約400nmである。いくつかの実施形態において、粒子の平均直径は、約40〜約200nmである。いくつかの実施形態において、粒子は、無菌濾過できる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物中のナノ粒子は、例えば、約100、90、80、70、60または50nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の平均直径を有する。より小さな粒径は、下記のように、輸送に寄与する上で有益であり得る。いくつかの実施形態において、組成物中の全てのナノ粒子の少なくとも約50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ)は、例えば、約100、90、80、70、または60nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、組成物中の全てのナノ粒子の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ)は、例えば、約30〜140nm、40〜130nm、50〜120nm、および60〜100nmのいずれか1つを含めた、20〜150nmの範囲に入る。本明細書に記載されているナノ粒子は、任意の形状(例えば、球状または非球状の形状)でよい。いくつかの実施形態において、血液循環中に疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含むナノ粒子の平均直径は、約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、または400μg/mLのいずれか1つの血中濃度で、約900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、400nm、300nm、200nm、または100nmのいずれか1つ以下などの約1000ナノメートル(nm)以下である。いくつかの実施形態において、全てのナノ粒子の少なくとも約50%(例えば、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ)はインビボで、例えば、100、90、80、70、または60nmのいずれか1つ以下を含めた、約150nm以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、血液中に疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含むナノ粒子の平均直径は、約10μg/mL〜300μg/mL、25μg/mL〜150μg/mL、または50μg/mL〜100μg/mLのいずれか1つの血中濃度で、約5nm〜80nm、10nm〜70nm、20nm〜60nm、30〜50nm、または約45nmのいずれか1つである。
いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、ジスルフィド結合を形成することができるスルフヒドラル基を有する。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子部分中の担体タンパク質の少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、15%、または20%のいずれか1つを含めた)は、架橋(例えば、S−Sによる架橋)している。
いくつかの実施形態において、組成物は、ナノ粒子形態および非ナノ粒子形態の両方の疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含み、全疎水性タキサン誘導体の約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ超は、ナノ粒子形態である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、重量でナノ粒子の約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれか1つ超を構成する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、実質的にポリマーコア材料を含まない。いくつかの実施形態において、ナノ粒子中の疎水性タキサン誘導体は、アモルファスである。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物を作製するために使用される誘導体は、無水形態である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物中の担体タンパク質(アルブミンなど)と疎水性タキサン誘導体との重量比は、約18:1以下、15:1以下、14:1以下、13:1以下、12:1以下、11:1以下、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7.5:1以下、7:1以下、6:1以下、5:1以下、4:1以下、または3:1以下のいずれか1つである。いくつかの実施形態において、組成物中の担体タンパク質(アルブミンなど)と疎水性タキサン誘導体との重量比は、約1:1〜約18:1、約2:1〜約15:1、約3:1〜約13:1、約4:1〜約12:1、約5:1〜約10:1のいずれか1つの範囲に入る。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子部分中の担体タンパク質と疎水性タキサン誘導体との重量比は、約1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:15のいずれか1つ、またはそれ未満である。
本明細書に記載されているナノ粒子は、乾燥製剤(例えば、凍結乾燥した組成物)中に存在し、または生体適合性媒体に懸濁し得る。適切な生体適合性媒体には、それだけに限らないが、水、緩衝化水性媒体、食塩水、緩衝化食塩水、任意選択で緩衝化したアミノ酸溶液、任意選択で緩衝化したタンパク質溶液、任意選択で緩衝化した糖溶液、任意選択で緩衝化したビタミン溶液、任意選択で緩衝化した合成ポリマー溶液、脂質含有エマルジョンなどが含まれる。いくつかの実施形態において、組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質(アルブミン、例えば、アルブミンでコーティングされた疎水性タキサン誘導体の粒子など)とを含む、粒子(例えば、ナノ粒子)の安定的な水性懸濁液を含む。
いくつかの実施形態において、組成物には、界面活性剤(Cremophor(登録商標)、Tween80、またはタキサンの投与のために使用される他の有機溶媒など)が(存在しないなど)実質的に存在しない。
本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、疎水性タキサンおよび/または疎水性タキサン誘導体の代謝物の、増強された輸送ならびに/あるいは細胞(例えば、腫瘍細胞)への結合を可能にし得る。腫瘍細胞は、正常細胞と比較すると、例えば、アルブミンおよびトランスフェリンを含めたタンパク質の取込みの増強を示す。腫瘍細胞は急速に分裂するため、それらは正常細胞と比較してさらなる栄養素源を必要とする。パクリタキセルおよびヒト血清アルブミンを含有する本発明の医薬組成物による腫瘍研究は、腫瘍へのアルブミン−パクリタキセルの高い取込みを示した。これは、アルブミンに対して特異的な糖タンパク質60(「gp60」)受容体による、アルブミン−薬物輸送の以前は認識されていなかった現象に起因することが見出された。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、gp60受容体に結合することができる担体タンパク質(例えば、アルブミン(albumen))とを含む。別の実施形態において、ナノ粒子組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、SPARC受容体に結合することができる担体タンパク質(例えば、アルブミン)とを含む。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を含むナノ粒子組成物は、非誘導体化タキサン誘導体の溶解プロファイルと比較したときに、異なる溶解プロファイルを有し、それは相当な利点をもたらすことがある。例えば、疎水性タキサン誘導体を含有する特定のナノ粒子は、それらの非誘導体化対応物と比較したときに、著しくより低い溶解を有することが示された(実施例21;表9および10;ならびに図9〜11を参照されたい)。溶解の減少によって、循環の間にナノ粒子を長期間未変化に保ち得る。したがって、一実施形態において、ナノ粒子組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、担体タンパク質(例えば、アルブミン)とを含み、ナノ粒子は、疎水基で置換されていないタキサン(例えば、ドセタキセル)を含むナノ粒子組成物と比較して、水性溶解速度が減少する(溶解速度の実質的な減少を含めた)。これらの実施形態のいくつかにおいて、疎水性タキサン誘導体を含むナノ粒子組成物の水性溶解は、未修飾タキサン(例えば、ドセタキセルまたはパクリタキセル)を含むナノ粒子組成物と比較したときに、約2倍、または3倍、または5倍、7倍、10倍、12倍、15倍、17倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、50倍、75倍、100倍、200倍、500倍、または1000倍のいずれか1つを超えて減少する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、37℃にて5%HSA中の溶解研究において、Malvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定すると、約5、10、25、または50μg/mLのいずれか1つで、約10nm〜100nm、20〜75nm、15〜50nmのいずれか1つ、または約20nm、30nm、40nm、50nmのいずれか1つ超の平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、37℃にて5%HSA中の溶解研究において、約5、50、75、または100μg/mLのいずれか1つで、約20nm〜75nm、または約30nm超の平均粒径を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、Malvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定すると、37℃にて5%HSA中で測定したときに、下記の溶解プロファイルを示す。(1)a)200μg/mLで約40nm〜75nmまたは約50nm超;b)100μg/mLで約30nm〜60nmまたは約40nm超;およびc)10μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超;または(2)a)約400μg/mLで約50nm〜100nmまたは約60nm超;b)200μg/mLで約40nm〜75nmまたは約50nm超;c)約100μg/mLで約30nm〜60nmまたは約40nm超;d)10μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超;およびe)約5μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、Malvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定すると、37℃にて5%HSA中で測定したときに、下記の溶解プロファイルの1つまたは複数を示す。a)200μg/mLで約40nm〜75nmまたは約50nm超;b)100μg/mLで約30nm〜60nmまたは約40nm超;あるいはc)10μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、Malvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定すると、37℃にて5%HSA中で測定したときに、下記の溶解プロファイルの1つまたは複数を示す。a)約400μg/mLで約50nm〜100nmまたは約60nm超;b)200μg/mLで約40nm〜75nmまたは約50nm超;c)約100μg/mLで約30nm〜60nmまたは約40nm超;d)10μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超;あるいはe)約5μg/mLで約10nm〜40nmまたは約20nm超。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、5%HSA中で37℃にてMalvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定したとき、表9の溶解プロファイルを示す。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物の溶解プロファイルのEC50(すなわち、2分の1ポイント)は、5%HSA中で37℃にてMalvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定したとき、約200μg/mL、150μg/mL、120mg/mL、100μg/mL、または50μg/mLのいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物の溶解プロファイルのEC50は、37℃にて5%HSA中で測定したときに、同じナノ粒子製剤中の未修飾タキサンについてのEC50の約75%、50%、25%、10%、または5%のいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物の溶解プロファイルのE90(すなわち、90溶解点)は、5%HSA中で37℃にてMalvern Zetasizerを使用した動的光散乱によって測定したとき、約100μg/mL、75μg/mL、50μg/mL、30μg/mL、20μg/mL、15μg/mL、または10μg/mLのいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、静脈内に投与されたとき少なくとも約5分間、10分間、または1時間、約30nm〜約50nmの平均直径を維持することができる。
粒径の相当な減少、および上記のような疎水性タキサン誘導体を含むナノ粒子の溶解によって、未変化のナノ粒子が、腫瘍細胞への内皮輸送のためにカベオラに入ることを可能にし得る(その開口は概ね30〜50nmであり、内径は100nmである;その内容が参照により本明細書に組み込まれているWestermannら、Histochem Cell Biol(1999年)111巻:71〜81頁を参照されたい)。したがって、疎水性タキサン誘導体を含むナノ粒子の輸送は、疎水基で置換されていないタキサンを含むナノ粒子の輸送よりも効率的であり得る。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子は、未修飾タキサン(例えば、パクリタキセルおよび/またはドセタキセル)を含有するナノ粒子と比較して、改善された物理的および/または化学的安定性を有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、担体タンパク質(例えば、アルブミン)とを含み、ナノ粒子は、4℃(または25℃)で、約6、7、または8のいずれか1つのpHにて、5、10、30、60、90、120、180、270、360日のいずれか1つ、または2、3、4、5、6、7、8、9、または10年のいずれか1つの保存の後、実質的に純粋な形態である(例えば、組成物の総量の約15%以下または約10%以下または約5%以下または約3%以下または約1%以下が、不純物として、および/またはタキサン/タキサン誘導体の異なる形態などの異なる形態中にある)。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子は、4℃(または25℃)にて、5、10、30、60、90、120、180、270、360日のいずれか1つ、または2、3、4、5、6、7、8、9、または10年のいずれか1つの保存の後、ヒトへの注入に適している。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含有するナノ粒子は、安定剤(例えば、シトレート)をさらに含まなくても安定的である。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物は、霊長類への投与後に、約0.05時間〜約0.3時間の血液中のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物は、霊長類への投与後に、例えば、約3時間〜約3.7時間などの約2時間〜約4時間を含めた約1時間〜約5時間の最終半減期を伴う血液中の分解を示す。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物は、霊長類への投与後に、疎水性タキサン誘導体からの疎水基の除去について、約2%〜20%、約3%〜10%、または約4%〜7%のいずれか1つの代謝物変換率を有する。いくつかの実施形態において、霊長類はサルである。いくつかの実施形態において、霊長類はヒトである。
疎水性タキサン誘導体
本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、疎水性パクリタキセル誘導体または疎水性ドセタキセル誘導体)を含む。パクリタキセルおよびドセタキセルを含めたタキサンの構造例を、本明細書において使用する場合、従来の付番方式と共に下記に示す。
Figure 2011517683
本明細書において使用する命名法の例を例示するために、記号C2’または2’とは、上で示される「2’」と表示される炭素原子を意味し、A−環は、文字Aを取り囲む最小限の数の環炭素(すなわち、C1、C15、C11、C12、C13、およびC14によって形成される環)によって形成される環で構成されている。したがって、「2’−ヒドロキシル基」とは、「2’」と表示される炭素原子に結合しているヒドロキシル部分を意味する。ペンダント側鎖は、C13酸素原子に結合している原子で構成されている部分である(例えば、C1’、C2’、C3’など)。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、パクリタキセルの誘導体である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、ドセタキセルの誘導体である。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、タキサンのプロドラッグである。いくつかの実施形態において、プロドラッグは、エステル(例えば、疎水性エステル)である。いくつかの実施形態において、エステルは、アルキルエステル(例えば、ヘキサン酸エステルもしくは酢酸エステルなどのC〜C10エステル)またはアリールエステル(例えば、安息香酸エステル)である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、タキサン(例えば、ドセタキセルまたはパクリタキセル)のプロドラッグであり、当技術分野において公知および/または本明細書において実施例の項において記載されている方法(例えば、ヒト肝ミクロソームによる変換)によって測定すると、約1、2、3、4、5、8、10、12、15、18、20、25、または30%超のいずれか1つだけタキサン(例えば、ドセタキセルまたはパクリタキセル)に変換することができる。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、A−環炭素に、またはA−環炭素に直接結合している環外原子に、結合している疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、B−環炭素に、またはB−環炭素に直接結合している環外原子に、結合している疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、C−環炭素に、またはC−環炭素に直接結合している環外原子に、結合している疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、ペンダント側鎖に結合している疎水基を含有する。
これらの実施形態のいくつかにおいて、疎水性タキサン誘導体は、1つまたは複数の疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、複数の疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、1個のみの疎水基を含有する。いくつかの実施形態において、疎水基は、−C(O)Rであり、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキル(heteraralkyl)から選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、Rは、独立に、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、およびアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、Rは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、およびアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、Rは、アルキル、アリール、およびアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、アルキル、アリール、およびアラルキル基は、置換されていない。いくつかの実施形態において、Rは、非置換C〜C15アルキルまたは非置換6員アリールである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換C〜C10アルキルまたは非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換C〜C10アルキル(例えば、Cアルキル)である。いくつかの実施形態において、Rは、非置換フェニルである。
これらの実施形態のいくつかにおいて、疎水性タキサン誘導体は、式
Figure 2011517683
であり、
式中、Rは、フェニルまたは−OtBuであり、R、R、R、およびRは、独立に、Hまたは疎水基であり、かつR、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式Iの疎水性タキサン誘導体は、Rがフェニルであり、R、R、およびRが各々Hであるとき、Rはアセチル部分ではないという条件を含有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、−OtBuである。いくつかの実施形態において、Rは、フェニルであり、Rは、疎水基(アシル基、例えば、−C(O)−C〜C10アルキル基、特に非置換−C(O)−Cアルキル基など)である。いくつかの実施形態において、Rは、フェニルであり、Rは、疎水基(アシル基、例えば、−C(O)−C〜C10アルキル基、特に非置換−C(O)−Cアルキル基など)である。いくつかの実施形態において、R、R、R、およびRの1つのみは、Hではない。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、式
Figure 2011517683
であり、
式中、Rは、フェニルまたは−OtBuであり、R、R、R、およびRは、独立に、Hまたは−C(O)Rであり、各Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分であり、かつR、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式IIの疎水性タキサン誘導体は、Rがフェニルであり、R、R、およびRが各々Hであるとき、Rはアセチル部分ではないという条件を含有する。いくつかの実施形態において、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、−OtBuである。
いくつかの実施形態において、式IIの各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−C〜C15シクロアルキル、−C〜C15シクロアルキル−アルキル、アリール、5〜7員ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルまたは非置換メチルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C10アルキル、または−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、−CH、−CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、および−(CHCHのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、式IIにおいてR、R、R、およびRの1つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、式IIにおいてR、R、R、およびRの2つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、R、R、およびRの1つのみは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式IIのRは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。
いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換フェニルまたは非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、フェニルであり、RおよびRは、各々Hであり、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換フェニルまたは非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、式IIのRは、−OtBuであり、R、R、およびRは、各々Hであり、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、式
Figure 2011517683
であり、
式中、R、R、およびRは、独立に、Hまたは−C(O)Rであり、各Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分であり、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式IIIの各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−C〜C15シクロアルキル、−C〜C15シクロアルキル−アルキル、アリール、5〜7員ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルまたは非置換メチルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C10アルキル、または−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、−CH、−CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、および−(CHCHのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、式III中のR、R、およびRの1つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、R、R、およびRの2つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hであり、RおよびRの1つのみは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式IIのRおよびRは、各々Hである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換フェニルまたは非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRは、各々Hであり、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、式
Figure 2011517683
であり、
式中、R、R、およびRは、独立に、Hまたは−C(O)Rであり、各Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分であり、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではない。いくつかの実施形態において、R、R、およびRが各々Hであるとき、Rはアセチル部分ではない。
いくつかの実施形態において、式IVの各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−C〜C15シクロアルキル、−C〜C15シクロアルキル−アルキル、アリール、5〜7員ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルまたは非置換メチルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換フェニルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、独立に、非置換−C〜C10アルキル、または−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、各Rは、−CH、−CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、および−(CHCHのいずれか1つである。いくつかの実施形態において、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、式IV中のR、R、およびRの1つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、Hではない。いくつかの実施形態において、R、R、およびRの2つのみは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、RおよびRは、Hではない。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、RおよびRの1つのみは、Hではない。
いくつかの実施形態において、式IVのRは、アセチル部分であり、Rは、Hである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換フェニルまたは非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換アリールである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、フェニルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、非置換−C〜C10アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、アセチル部分であり、Rは、Hであり、Rは、−(CHCHである。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、式
Figure 2011517683
の疎水性タキサン誘導体であり、
(式中、Rは、−C(O)Rであり、Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分である)、またはその薬学的に許容される塩、異性体、もしくは溶媒和物である。
いくつかの実施形態において、式Vおよび式VIのRは、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である。いくつかの実施形態において、Rは、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換フェニルまたは非置換メチルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換アリール(例えば、フェニル)である。いくつかの実施形態において、Rは、非置換−C〜C15アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、非置換−C〜C10アルキル(例えば、−CH、−CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH、−(CHCH)である。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、下記の化合物のいずれか1つである。
Figure 2011517683
Figure 2011517683
Figure 2011517683
Figure 2011517683
担体タンパク質
本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、適切な天然または合成タンパク質を利用できる。適切な担体タンパク質の例には、血液または血漿中に通常見出されるタンパク質が含まれ、それには、それだけに限らないが、アルブミン、IgAを含めた免疫グロブリン、リポタンパク質、アポリポタンパク質B、α−酸糖タンパク質、β−2−マクログロブリン、サイログロブリン、トランスフェリン(transferin)、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノゲン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子などが含まれる。いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、カゼイン、α−ラクトアルブミン、またはβ−ラクトグロブリンなどの非血液タンパク質である。担体タンパク質は、元来天然でもよく、または合成的に調製してもよい。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、ヒト血清アルブミン(HSA)などのアルブミンを含む。HSAは、M65Kの非常に可溶性の球状タンパク質であり、585個のアミノ酸からなる。HSAは、血漿中で最も豊富なタンパク質であり、ヒト血漿コロイド浸透圧の70〜80%を占める。HSAのアミノ酸配列は、全部で17のジスルフィド架橋、1つの遊離チオール(Cys34)、および単一のトリプトファン(Trp214)を含有する。ウシ血清アルブミンなどの他のアルブミンが意図される。このような非ヒトアルブミンの使用は、例えば、家畜動物などのヒトではない哺乳動物(家庭のペットおよび農業動物を含めた)におけるこれらの組成物の使用との関連で適切である可能性がある。いくつかの実施形態において、適切なタンパク質には、インスリン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、oc−2−マクログロブリン、カゼインなど、ならびにその任意の2つ以上の組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、適切なタンパク質は、アルブミン、IgAを含めた免疫グロブリン、リポタンパク質、アポリポタンパク質B、β−2−マクログロブリン、およびサイログロブリンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)を含む。アルブミンを含めた本発明に適したタンパク質は、元来天然でもよく、または合成的に調製してもよい。
ヒト血清アルブミン(HSA)は、複数の疎水性結合部位(HSAの内因性リガンドである脂肪酸について全部で8つ)を有し、一連の多様な薬物、特に中性および負に帯電している疎水性化合物を結合する(Goodmanら、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版、McGraw−Hill New York(1996年))。2つの高親和性結合部位が、HSAのサブドメインであるIIAおよびIIIAにおいて提示されてきており、これは、極性リガンド特性についての結合点として機能する、表面近くの帯電したリシンおよびアルギニン残基を有する非常に細長い疎水性ポケットである(例えば、Fehskeら、Biochem. Pharmcol.、30巻、687〜92頁(1981年)、Vorum、Dan. Med. Bull.、46巻、379〜99頁(1999年)、Kragh−Hansen、Dan. Med. Bull.、1441巻、131〜40頁(1990年)、Curryら、Nat. Struct. Biol.、5巻、827〜35頁(1998年)、Sugioら、Protein. Eng.、12巻、439〜46頁(1999年)、Heら、Nature、358巻、209〜15頁(1992年)、およびCarterら、Adv. Protein. Chem.、45巻、153〜203頁(1994年)を参照されたい)。
組成物中の担体タンパク質(例えば、アルブミン)は一般に、疎水性タキサン誘導体のための担体の役割を果たし、すなわち、組成物中の担体タンパク質は、水性媒体中で疎水性タキサン誘導体をより容易に懸濁可能とし、または担体タンパク質を含有しない組成物と比較して、懸濁液を維持することを助長する。これによって、疎水性タキサン誘導体の可溶化のための有毒な溶媒の使用を避けることができ、それによって個体(例えば、ヒト)への誘導体の投与の1つまたは複数の副作用を減少させることができる。いくつかの実施形態において、組成物には、有機溶媒または界面活性剤が実質的に存在しない(例えば、存在しない)。組成物中の有機溶媒または界面活性剤の量が、組成物が個体に投与されたとき個体において1種または複数の副作用(複数可)をもたらすのに十分でない場合、組成物には、「有機溶媒が実質的に存在しない」または「界面活性剤が実質的に存在しない」。いくつかの実施形態において、組成物中のナノ粒子は、固体コアを有する。いくつかの実施形態において、組成物中のナノ粒子は、水性でないコアを有する(すなわち、水性コア以外)。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子は、ポリマーマトリックスを欠いている。いくつかの実施形態において、組成物のナノ粒子は、濾過により無菌化できる。いくつかの実施形態において、組成物中のナノ粒子は、少なくとも1種の架橋した担体タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、組成物中のナノ粒子は、架橋している少なくとも10パーセントの担体タンパク質を含む。
疎水性タキサン誘導体は、少なくとも約0.1、0.2、0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、60、または72時間のいずれか1つなどの長時間、(例えば、目に見える沈殿または沈降なしに)水性媒体中で懸濁したままである場合、水性懸濁液中で「安定化」している。懸濁液は、必ずしもそうではないが一般的に、個体(例えば、ヒト)への投与に適している。懸濁液の安定性は、室温(例えば、20〜25℃)などの保存温度で、または冷却した条件(例えば、4℃)で、一般的に(しかし必ずしもそうではない)評価される。例えば、懸濁液は、それが肉眼に見える凝結または粒子の凝集を示さない場合、または懸濁液の調製の後約15分で1000倍の光学顕微鏡下で見たとき、保存温度で安定的である。安定性はまた、約40℃より高い温度などの加速試験条件下で評価することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、担体タンパク質とを含む(様々な変形形態において、本質的にこれらからなる)ナノ粒子を含む。誘導体が液体形態であるとき、粒子またはナノ粒子はまた、液滴またはナノ液滴と称される。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、担体タンパク質でコーティングされている。難水溶性医薬品の粒子(ナノ粒子など)は、例えば、米国特許第5,916,596号;同第6,506,405号;同第6,096,331号;同第6,749,868号;および同第6,537,579号;米国特許出願公開第2005/0004002A1号;およびPCT出願公開第WO98/14174号、同第WO99/00113号、同第WO07/027941号および同第WO07/027819号に開示されてきた。これらの書類の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
本明細書に記載されている組成物中の担体タンパク質の量は、特定の疎水性タキサン誘導体、組成物中の他の成分、および/または意図する投与経路によって変化する。いくつかの実施形態において、組成物は、水性懸濁液において、例えば、安定的なコロイド懸濁液(例えば、ナノ粒子の安定的な懸濁液)の形態において、誘導体を安定化するのに十分な量の担体タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、水性媒体中の疎水性タキサン誘導体の沈降速度を減少させる量である。いくつかの実施形態において、組成物中に含まれる担体タンパク質の量は、疎水性タキサン誘導体の1つまたは複数の副作用を減少させるのに有効な量である。担体タンパク質の量はまた、疎水性タキサン誘導体の粒子のサイズおよび密度によって決まり得る。
いくつかの実施形態において、液体形態の組成物は、約0.1%〜約25重量%(例えば、約0.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%)の担体タンパク質(例えば、アルブミン)を含む。いくつかの実施形態において、液体形態の組成物は、約0.5%〜約5重量%の担体タンパク質(例えば、アルブミン)を含む。組成物は、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、湿式造粒、および当技術分野において公知の他の適切な方法によって脱水することができる。組成物が、湿式造粒、流動層乾燥、および当業者に公知の他の方法によるなど固形で調製されるとき、担体タンパク質(例えば、アルブミン)は、活性医薬品、および存在する場合は他の賦形剤に、溶液として加えられる。いくつかの実施形態において、溶液は、約0.1%〜約25重量%(約0.5重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、または約20重量%)の担体タンパク質(例えば、アルブミン)である。
いくつかの実施形態において、組成物は、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約75%もしくは約80%のいずれか1つ超、それらと等しい、またはそれら未満のナノ粒子形態の担体タンパク質(例えば、アルブミン)を含む。
いくつかの実施形態において、担体タンパク質は、有効量で存在し、担体タンパク質を有さない組成物と比較して、ヒトへの疎水性タキサン誘導体の投与と関連する1つまたは複数の副作用を減少させる。これらの副作用には、それだけに限らないが、骨髄抑制、神経毒性、過敏性、炎症、静脈刺激、静脈炎、疼痛、皮膚刺激、好中球減少性発熱、アナフィラキシー反応、血液毒性、脳または神経毒性、およびこれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、例えば、重度の発疹、じんま疹、潮紅、呼吸困難、頻脈、肺高血圧症(例えば、リンパ腫);胸痛;黒いタール状の便;全身違和感、息切れ;腫れ上がった腺;体重減少;黄色い皮膚および目、腹痛;原因不明の心配;血の混じったまたは濁った尿;骨痛;悪寒;錯乱;痙攣(発作);咳;尿意の減少;速い、遅い、または不規則な心拍動;熱;頻繁な尿意;口渇の増加;食欲不振;腰の疼痛または脇腹下の疼痛;気分変動;筋肉痛または筋痙攣;悪心または嘔吐;唇、手、または足の周りのしびれまたはピリピリ感;排尿時の痛みまたは困難;発疹;咽喉痛;唇上または口内のただれまたは白点;手、足首、足、または下腿の腫れ;腫れ上がった腺;呼吸困難;普通でない出血または挫傷;普通でない疲労または脱力感;足の脱力感または重苦しさ、皮膚潰瘍またはただれ、体重増加、ざ瘡;便秘;下痢;動くことの困難;頭痛;エネルギーの喪失または脱力感;筋肉痛またはこわばり感;疼痛;身震いまたは震え;睡眠困難;鼻血;ならびに/あるいは顔の膨れを含めた、疎水性タキサン誘導体の投与と関連する過敏性反応を減少させる方法を提供する。しかし、これらの副作用は、単に例示的であり、疎水性タキサン誘導体と関連する他の副作用、または副作用の組合せを、減少させることができる。副作用は、即時または遅発性(治療の開始後、数日、数週間、数カ月、または数年起こらないなど)のことがある。
組成物中の抗菌剤
いくつかの実施形態において、本発明の組成物にはまた、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するための組成物中の微生物増殖を有意に阻害(例えば、遅延、減少、緩徐化、および/または予防)するのに十分な量で抗菌剤(例えば、疎水性タキサン誘導体の他の薬剤)が含まれる。例示的な微生物剤および微生物剤の使用のための変形形態は、その内容が参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許出願公開第2007/0117744A1号(その中で段落[0036]〜[0058]において記載されているものなど)に開示されている。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、EDTA、エデテート、シトレート、ペンテテート、トロメタミン、ソルベート、アスコルベート、その誘導体、またはその混合物などのキレート剤である。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、多座キレート剤である。いくつかの実施形態において、抗菌剤は、亜硫酸塩、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびパラベンのいずれかなどの非キレート剤である。いくつかの実施形態において、上記のタキサン以外の抗菌剤は、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において含有または使用されない。
糖含有組成物
いくつかの実施形態において、本発明の組成物には、本明細書に記載されている治療方法において使用するための糖が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物には、本明細書に記載されている治療方法において使用するための糖および抗菌剤の両方が含まれる。例示的な糖および糖の使用についての変形形態は、その内容が参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許出願公開第2007/0117744A1号(その中で段落[0084]〜[0090]において記載されているものなど)に開示されている。いくつかの実施形態において、糖は再構成増強剤の役割を果たし、これによって、凍結乾燥した組成物が、凍結乾燥した組成物が糖なしで溶解するより速く、水および/または水溶液に溶解または懸濁することをもたらす。いくつかの実施形態において、組成物は、乾燥組成物を再構成または再懸濁することによって得られる液体(例えば、水性)組成物である。いくつかの実施形態において、組成物中の糖の濃度は、約50mg/ml超である。いくつかの実施形態において、糖は、糖を有さない組成物と比較して、組成物中の疎水性タキサン誘導体の安定性を増加させるのに有効な量である。いくつかの実施形態において、糖は、糖を有さない組成物と比較して、組成物の濾過性を改善するのに有効な量である。
本明細書に記載されている糖含有組成物は、本明細書または米国特許出願公開第2007/0117744A1号に記載されている抗菌剤などの、1種または複数の抗菌剤をさらに含み得る。1種または複数の糖に加えて、他の再構成増強剤(参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許出願公開第2005/0152979号に記載されているものなど)をまた、組成物に加えることができる。いくつかの実施形態において、糖は、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において含有または使用されない。
組成物中の安定化剤
いくつかの実施形態において、本発明の組成物にはまた、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するための安定化剤が含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物には、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するための抗菌剤および/または糖および/または安定化剤が含まれる。例示的な安定化剤および安定化剤の使用のための変形形態は、US2007/0082838(その中で段落[0038]〜[0083]および[0107]〜[0114]において記載されているものなど)に開示されている。別の変形形態において本発明は、望ましい治療効果を保持し、長期保管、高温、または非経口投与のための希釈などの特定の条件への曝露によっても物理的および/または化学的に安定した状態を保つ、疎水性タキサン誘導体の組成物および調製方法を提供する。安定化剤には、例えば、キレート剤(例えば、シトレート、リンゴ酸、エデテート、またはペンテテート)、ピロリン酸ナトリウム、およびグルコン酸ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態において、本発明は、シトレート、ピロリン酸ナトリウム、EDTA、グルコン酸ナトリウム、シトレートおよび塩化ナトリウム、および/を含む疎水性タキサン誘導体の医薬製剤を提供する。別の変形形態において、本発明は、製剤を調製するために使用した誘導体が組成物に組み込む前に無水形態である、疎水性タキサン誘導体の組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、安定化剤は、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において含有または使用されない。
医薬組成物および製剤
本明細書に記載されている組成物は、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するために、記載されているナノ粒子組成物(複数可)を、当技術分野において公知の薬学的に許容される担体、賦形剤、安定化剤および/または他の薬剤と合わせることによって、医薬組成物または医薬製剤などの製剤の調製において使用し得る。
ナノ粒子の負のゼータ電位を増加させることによって安定性を増加させるために、特定の負に帯電している成分を加えてもよい。このような負に帯電している成分には、それだけに限らないが、胆汁塩、胆汁酸、グリココール酸、コール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、グリコケノデオキシコール酸、タウロケノデオキシコール酸、リトコール酸(litocholic acid)、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸、およびその他;下記のホスファチジルコリン(パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、パルミトイルリノレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルリノレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルオレオイルホスファチジルコリン、ステアロイルアラキドイルホスファチジルコリン、およびジパルミトイルホスファチジルコリン)が含まれるレシチン(卵黄)をベースとするリン脂質を含めたリン脂質が含まれる。他のリン脂質には、L−α−ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、および他の関連する化合物が含まれる。負に帯電している界面活性剤または乳化剤はまた、添加剤、例えば、硫酸コレステリルナトリウムなどとして適している。
本明細書に記載されているナノ粒子組成物は、薬学的に許容される界面活性剤で安定化することができる。「界面活性剤」という用語は、本明細書において使用する場合、両親媒性分子の界面活性基(複数可)を意味する。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、および双性イオン性でよい。任意の適切な界面活性剤を、本発明の医薬組成物中に含めることができる。適切な界面活性剤には、ホスファチド、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、およびトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、卵レシチン、tween80、またはビタミンE−(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール−1000スクシネート)(t d−ac−tocopheryl polyethylene glycol−1000 succinate)(TPGS)である。
適切な医薬担体には、滅菌水;食塩水、デキストロース;水または食塩水中のデキストロース;ヒマシ油1モル当たり約30〜約35モルのエチレンオキシドを合わせた、ヒマシ油およびエチレンオキシドの縮合生成物;液体酸;低級アルカノール;トウモロコシ油、落花生油、ゴマ油などの油(脂肪酸のモノ−もしくはジ−グリセリド、またはホスファチド、例えば、レシチンなどの乳化剤を有する);グリコール;ポリアルキレングリコール;懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムアルギン酸ナトリウム;ポリ(ビニルピロリドン)などの存在下での水性媒体;(単独で、またはレシチン、ステアリン酸ポリオキシエチレンなどの適切な予製剤と共に)などが含まれる。担体はまた、浸透増強剤と共に、例えば保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤などのアジュバントを含有し得る。最終形態は無菌のことがあり、また中空針などの注入装置を通して容易に通過し得る。適切な粘性は、溶媒または賦形剤の適切な選択によって達成および維持し得る。さらに、レシチンなどの分子または微粒子コーティングの使用、分散系における粒径の適切な選択、または界面活性剤の特性を有する材料の使用を用いてもよい。
本明細書に記載されているナノ粒子組成物には、組成物の特性を改善するための他の薬剤、賦形剤、または安定剤が含まれてもよい。適切な賦形剤および希釈剤の例には、それだけに限らないが、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、食塩溶液、シロップ、メチルセルロース、メチルおよびプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムならびに鉱油が含まれる。製剤には、さらに滑沢剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存料、甘味剤または香味剤を含むことができる。乳化剤の例には、トコフェロールエステル(例えばトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートなど)、pluronic(登録商標)、ポリオキシエチレン化合物をベースとする乳化剤、Span80および関連する化合物、ならびに当技術分野において公知であり、動物またはヒト剤形における使用について承認された他の乳化剤が含まれる。組成物は、当技術分野で周知の手順を用いることによって、患者への投与後に、活性成分の急速、持続または遅延放出を実現するように製剤することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、約5.0〜約8.0、約6.5〜約7.5、および約6.5〜約7.0のいずれか1つのpH範囲を含めた、約4.5〜約9.0の範囲のpHを有するように製剤される。いくつかの実施形態において、組成物のpHは、例えば、約6.5、7、または8のいずれか1つ以上(例えば、約8)を含めた、約6以上に製剤される。組成物はまた、グリセロールなどの適切な張性調節剤を加えることによって、血液と等張となるように作製することができる。
いくつかの実施形態において、組成物は、ヒトへの投与に適している。本発明の組成物の多種多様の適切な製剤がある(例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれている米国特許第5,916,596号および同第6,096,331号を参照されたい)。下記の製剤および方法は、単に例示であり、決して限定するものではない。
経口投与に適した製剤は、(a)水、食塩水、またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解した有効量の化合物などの溶液剤、(b)固体または顆粒として所定の量の活性成分を各々含有するカプセル剤、サシェ剤または錠剤、(c)適切な液体中の懸濁剤、(d)適切な乳剤、および(e)散剤を含むことができる。錠剤形態には、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、および薬理学的に適合性の賦形剤の1つまたは複数を含むことができる。ロゼンジ形態は、香料(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントである)中の活性成分を含むことがあり、さらには香錠は、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性な基剤中に活性成分を含み、エマルジョン、ゲルなどは、活性成分に加えて、当技術分野において公知の賦形剤を含有する。
本発明のナノ粒子は、硬質もしくは軟質カプセル剤に封入することができ、錠剤に圧縮することができ、あるいは飲料もしくは食物に組み込み、または別の方法で食事に組み込むことができる。カプセル剤は、ナノ粒子を不活性な医薬希釈剤と混合し、混合物を適切なサイズの硬質ゼラチンカプセルに挿入することによって製剤することができる。軟質カプセル剤が望ましい場合、許容される植物油、石油エーテルまたは他の不活性な油を有するナノ粒子のスラリーは、機械によってゼラチンカプセルにカプセル化することができる。
非経口投与に適切な製剤には、水性および非水性の等張性無菌注射液が含まれ、それは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図されたレシピエントの血液と適合性のあるものとする溶質、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含むことがある水性および非水性の無菌懸濁液を含有できる。製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量のシール容器中に存在することができ、使用の直前に注射のために無菌液体賦形剤(本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画)(すなわち、水)を添加することのみを必要とするフリーズドライした(凍結乾燥した)状態で保存することができる。即時調合注射液および懸濁液は、上記の種類の無菌散剤、顆粒剤、および錠剤から調製することができる。注射用製剤が好ましい。
本発明にはまた、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と、本発明の方法において使用するための吸入による投与に適した担体とを含むナノ粒子組成物の製剤が含まれる。エアロゾル投与に適した製剤は、単独で、または他の適切な成分と組み合わせた、吸入によって投与されるエアロゾル製剤に作製することができる、水性および非水性の等張性無菌溶液(抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および溶質を含有することができる)、ならびに水性および非水性の無菌懸濁液(懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含むことができる)を含めた本発明の組成物を含む。これらのエアロゾル製剤は、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される加圧噴射剤中に入れることができる。それらはまた、ネブライザーまたはアトマイザー中などの非加圧式調製品のための薬剤として製剤することができる。
本発明にはまた、直腸投与のために坐薬の形態で投与されるナノ粒子組成物の製剤が含まれる。これらは、薬剤と、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸中で溶けて薬物を放出する適切な非刺激性の賦形剤とを混合することによって調製することができる。このような材料には、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
特に治療の標的に、目、皮膚、または下部腸管の疾患を含めた局所適用によって容易に到達可能な領域または器官が含まれるとき、本発明にはまた、局所的に投与されるナノ粒子組成物の製剤が含まれる。適切な局所製剤は、これらの領域または器官の各々のために容易に調製される。
下部腸管のための局所適用は、直腸坐薬製剤(上記を参照されたい)においてまたは適切な浣腸製剤において成し遂げることができる。局所的経皮パッチもまた使用し得る。
本明細書に記載されている組成物および製剤を含む単位剤形もまた提供する。これらの単位剤形は、単一または複数の単位用量で適切なパッケージング中で保存することができ、またさらに無菌化および密封し得る。例えば、医薬組成物(例えば、医薬組成物の投与量または単位剤形)には、(i)疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質とを含むナノ粒子、ならびに(ii)薬学的に許容される担体が含まれてもよい。いくつかの実施形態において、医薬組成物にはまた、癌の治療に有用な1種または複数の他の化合物(または薬学的に許容されるその塩)が含まれる。様々な変形形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の量は、下記の範囲のいずれか1つに含まれる。約5〜約50mg、約20〜約50mg、約50〜約100mg、約100〜約125mg、約125〜約150mg、約150〜約175mg、約175〜約200mg、約200〜約225mg、約225〜約250mg、約250〜約300mg、約300〜約350mg、約350〜約400mg、約400〜約450mg、または約450〜約500mg。いくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の量(例えば、投与量または単位剤形)は、約30mg〜約300mgまたは約50mg〜約200mgなどの約5mg〜約500mgの範囲の誘導体である。いくつかの実施形態において、担体は、非経口投与(例えば、静脈内投与)に適している。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、組成物中に含有される、癌の治療のための唯一の医薬活性剤である。
いくつかの実施形態において、本発明は、(i)担体タンパク質と疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)とを含むナノ粒子(単位剤形中の誘導体の量は、約5mg〜約500mgの範囲である)、ならびに(ii)薬学的に許容される担体を含む、癌の治療のための剤形(例えば、単位剤形)を特徴とする。いくつかの実施形態において、単位剤形中の疎水性タキサン誘導体の量には、約30mg〜約300mgが含まれる。
本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するための、適切なパッケージング中の本明細書に記載されている組成物、製剤、および単位用量を含む製造品をまた提供する。本明細書に記載されている組成物のための適切なパッケージングは、当技術分野において公知であり、例えば、バイアル(密封バイアルなど)、容器(密封容器など)、アンプル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージング(例えば、密封Mylarまたはプラスチック袋)などが含まれる。これらの製造品は、さらに無菌化および/または密封し得る。
キット
本発明はまた、本明細書に記載されている治療方法、投与方法、および投与計画において使用するための、本明細書に記載されている組成物、製剤、単位用量、および製造品を含むキットを提供する。本発明のキットには、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子組成物(製剤または単位剤形および/または製造品)を含む1種または複数の容器が含まれ、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている治療方法のいずれかに応じた使用説明書をさらに含む。いくつかの実施形態において、キットは、癌の治療のための、i)疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質(アルブミンなど)とを含むナノ粒子を含む組成物、ならびにii)ナノ粒子および化学療法剤を同時および/または順次に投与するための説明書を含む。様々な変形形態において、キット中の疎水性タキサン誘導体の量は、下記の範囲のいずれか1つに含まれる。約5mg〜約20mg、約20〜約50mg、約50〜約100mg、約100〜約125mg、約125〜約150mg、約150〜約175mg、約175〜約200mg、約200〜約225mg、約225〜約250mg、約250〜約300mg、約300〜約350mg、約350〜約400mg、約400〜約450mg、または約450〜約500mg。いくつかの実施形態において、キット中の疎水性タキサン誘導体の量は、約30mg〜約300mgまたは約50mg〜約200mgなどの約5mg〜約500mgの範囲である。いくつかの実施形態において、キットには、癌のために有用な1種または複数の他の化合物(すなわち、疎水性タキサン誘導体以外の1種または複数の化合物)が含まれる。
本発明のキット中に供給される説明書は典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キット中に含まれる紙のシート)上に記載された使用説明書であるが、機械読み取り可能な説明書(例えば、磁気または光学保存ディスク上に保持された説明書)もまた許容される。ナノ粒子組成物の使用に関する説明書には一般に、意図した治療のための投与量、投与スケジュール、および投与経路についての情報が含まれる。キットは、適切な個体または治療を選択する記述をさらに含み得る。
本発明はまた、本明細書に記載されている組成物(または単位剤形および/または製造品)を含み、本明細書にさらに記載されている使用などの組成物の使用方法についての説明書(複数可)をさらに含み得るキットを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、上記のパッケージングを含む。他の変形形態において、本発明のキットは、上記のパッケージングと、緩衝液を含む第2のパッケージングとを含む。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書に記載されている任意の方法を行うための説明書を伴う添付文書を含めた、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
本発明の併用療法のために、キットは、癌の有効な治療のための、第1および第2の治療を同時および/または順次に投与するための説明書を含有し得る。第1および第2の治療は、別々の容器中または単一の容器中に存在することができる。キットは、1種の明確な組成物または2種以上の組成物を含んでもよく、1種の組成物は第1の治療を含み、1種の組成物は、第2の治療を含むことが理解される。
1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月以上のいずれか1つなどの長期間、個体のために有効な治療を実現するための、十分な投与量の本明細書に開示されているような疎水性タキサン誘導体を含有するキットをまた提供し得る。キットはまた、薬局、例えば、病院の薬局および調剤薬局における保存および使用に十分な量でパッケージされている、複数の単位用量の本明細書に記載されている疎水性タキサン誘導体組成物、医薬組成物、および製剤、ならびに使用説明書を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、再構成、再懸濁、または再水和して、一般に疎水性タキサン誘導体およびアルブミン(例えば、アルブミンでコーティングされた疎水性タキサン誘導体)を含むナノ粒子の安定的な水性懸濁液を形成することができる、乾燥した(例えば、凍結乾燥した)組成物を含む。
本発明のキットは、適切なパッケージング中に存在する。適切なパッケージングには、それだけに限らないが、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性パッケージング(例えば、密封Mylarまたはプラスチック袋)などが含まれる。キットは、緩衝液および説明的情報などのさらなる成分を任意選択で提供し得る。
ナノ粒子組成物の作製方法
担体タンパク質および難水溶性医薬品を含有する組成物の作製方法は、当技術分野において公知である。例えば、難水溶性医薬品および担体タンパク質(例えば、アルブミン)を含有するナノ粒子は、高剪断力条件下(例えば、超音波処理、高圧ホモジナイゼーション、または同様のもの)で調製することができる。これらの方法は、例えば、米国特許第5,916,596号;同第6,096,331号;同第6,749,868号;および同第6,537,579号;ならびにPCT出願公開第WO98/14174号;同第WO99/00113号;同第WO07/027941号;および同第WO07/027819号に開示されている。
手短に言えば、疎水性タキサン誘導体(例えば、疎水性ドセタキセル誘導体)を、有機溶媒に溶解する。適切な有機溶媒には、例えば、ケトン、エステル、エーテル、塩素化溶媒、および当技術分野において公知の他の溶媒が含まれる。例えば、有機溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム/エタノール、またはクロロホルム/t−ブタノール(例えば、約1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、もしくは9:1のいずれか1つの比、または約3:7、5:7、4:6、5:5、6:5、8:5、9:5、9.5:5、5:3、7:3、6:4、もしくは9.5:0.5のいずれか1つの比)でよい。溶液を、担体タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)に加える。混合物を高圧ホモジナイゼーションに供する(例えば、Avestin、APV Gaulin、MicrofluidicsからのMicrofluidizer(商標)プロセッサM−110EHなどのMicrofluidizer(商標)、Stansted、またはUltra Turraxホモジナイザーを使用して)。エマルジョンは、高圧ホモジナイザーによって約5〜約50サイクルまたは約8〜約20サイクル(例えば、約8、10、12、14、16、18または20サイクルのいずれか1つ)などの約2〜約100サイクル循環してもよい。次いで、有機溶媒は、それだけに限らないが、バッチモードまたは連続操作において操作することができるロータリーエバポレーター、流下膜式エバポレーター、ワイプドフィルムエバポレーター、噴霧乾燥機などを含めたこの目的のために公知の適切な装置を利用した蒸発によって除去することができる。溶媒は、減圧(約25mmHg、30mmHg、40mmHg、50mmHg、100mmHg、200mmHg、または300mmHgのいずれか1つなど)で除去し得る。減圧下で溶媒を除去するのに使用される時間は、製剤の容量に基づいて調節し得る。例えば、300mLスケールで生成された製剤について、溶媒は、約5〜約60分(例えば、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、20、25、または30分のいずれか1つ)の間、約1〜約300mmHg(例えば、約5〜100mmHg、10〜50mmHg、20〜40mmHg、または25mmHgのいずれか1つ)で除去することができる。得られた分散液は、さらに凍結乾燥することができる。
必要に応じて、ヒトアルブミン溶液を分散液に加えて、ヒト血清アルブミンと疎水性タキサン誘導体との比を調節し、または分散液中の疎水性タキサン誘導体の濃度を調節してもよい。例えば、ヒト血清アルブミン溶液(例えば、25%w/v)を加えて、ヒト血清アルブミンと疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)との比を約18:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7.5:1、7:1、6:1、5:1、4:1、または3:1のいずれか1つに調節することができる。例えば、ヒト血清アルブミン溶液(例えば、25%w/v)または別の溶液を加えて、分散液中の疎水性タキサン誘導体の濃度を約0.5mg/ml、1.3mg/ml、1.5mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、または50mg/mlのいずれか1つに調節する。分散液は、1.2μmおよび0.8/0.2μmフィルターの組合せ;1.2μm、0.8μm、0.45μm、および0.22μmフィルターの組合せ;または当技術分野において公知の任意の他のフィルターの組合せなどの複数のフィルターを通して連続的に濾過し得る。得られた分散液は、さらに凍結乾燥することができる。ナノ粒子組成物は、バッチ工程または連続工程を使用して作製してもよい(例えば、大規模な組成物の生成)。
必要に応じて、第2の治療(例えば、癌の治療に有用な1種もしくは複数の化合物)、抗菌剤、糖、および/または安定化剤をまた、組成物中に含むことができる。このさらなる薬剤は、疎水性タキサン誘導体/担体タンパク質組成物の調製の間に疎水性タキサン誘導体および/または担体タンパク質と混合することができ、あるいは疎水性タキサン誘導体/担体タンパク質組成物が調製された後に加えることができる。いくつかの実施形態において、薬剤を、凍結乾燥の前に疎水性タキサン誘導体/担体タンパク質組成物と混合する。いくつかの実施形態において、薬剤を、凍結乾燥した疎水性タキサン誘導体/担体タンパク質組成物に加える。いくつかの実施形態において、薬剤の添加が組成物のpHを変化させるとき、組成物中のpHを、一般に(しかし必ずしもそうでない)所望のpHに調節する。組成物の例示的なpH値には、例えば、約5〜約8.5の範囲が含まれる。いくつかの実施形態において、組成物のpHを、例えば、約6.5、7、または8のいずれか1つ以上(例えば、約8)を含めた約6以上に調節する。
本発明のいくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)を含むエマルジョンを提供し、エマルジョンは、(a)疎水性タキサン誘導体のための有機溶媒および疎水性タキサン誘導体のためのアルコール溶媒に溶解した疎水性タキサン誘導体の少なくとも一部を含むナノ液滴を含む第1相、ならびに(b)水および生体適合性ポリマーを含む第2相を含み、エマルジョンには、界面活性剤が実質的に存在しない。
疎水性タキサン誘導体の作製方法
本発明の疎水性タキサン誘導体は、一般に周知の合成法の適切な組合せによって合成される。本発明の化合物の合成によって有用な技術は、特に本明細書に記載されている教示を考慮して、関連する技術分野の当業者にとって、容易に明白、入手可能の両方である。下記の考察は、本発明の化合物の構築において使用するために使用可能である特定の多様な方法を例示するために提供する。しかし、この考察は、本発明の化合物の調製において有用な反応範囲または反応順序を定義することを意図せず、化合物自体の範囲を定義することも意図しない。
本発明において有用ないくつかの化合物の合成は、その内容が、特に開示された化合物および合成例に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているWO2006/089207に開示されている。
本発明において有用ないくつかの疎水性タキサン誘導体は、スキーム1に示されているようにタキサンの2’−ヒドロキシルを修飾することによって合成し得る。塩基(トリエチルアミンまたはピリジンなど)の存在下で、約1当量の反応性疎水基(例えば、塩化ベンゾイルなどのハロゲン化ベンジル)によるタキサン(例えば、ドセタキセル)の処理によって、所望の疎水性タキサン誘導体が得られる。代わりに、カップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)および任意選択で触媒量の4−ピロリジノピリジンまたは4−ジメチルアミノピリジンの存在下で、タキサンを約1当量の反応性疎水基(例えば、安息香酸)で処理することによって、所望の疎水性タキサン誘導体(例えば、スキーム1において示される2’−ベンゾイルドセタキセル)が得られる。
スキーム1
Figure 2011517683
本発明において有用ないくつかの疎水性タキサン誘導体は、スキーム2に示されるようにタキサンの7位を修飾することによって合成し得る。疎水基の新たな官能基を7位において導入するために、タキサンの2’−ヒドロキシル基の反応性を、保護基で遮断し得る。トリエチルシリルなどの選択的保護基の使用は、酸(例えば、メタノール中の塩酸、またはピリジン中のフッ化水素酸)による処理によって2’−ヒドロキシルから容易に除去されるため使用してもよい。したがって、スキーム2に示されているように、塩基(例えば、トリエチルアミン(TEA)またはピリジン)の存在下でタキサン(例えば、ドセタキセル)を約1当量のクロロトリエチルシラン(TESCl)で処理することによって、2’−保護されたヒドロキシルタキサン(例えば、2’−トリエチルシリルパクリタキセル)を、良好な収率で得ることができる。代わりに、2,2,2−トリクロロエチル−オキシカルボニル誘導体などの他の保護基をまた使用して、引き続いて亜鉛および酸(例えば、酢酸)による処理によって除去することができる。
次いで、2’−保護されたヒドロキシルを含有するタキサンは、本明細書に記載されているような反応性疎水基(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび触媒量の4−ピロリジノピリジンまたは4−ジメチルアミノピリジンの存在下での安息香酸)に曝し、7位で修飾された疎水性タキサン誘導体を生じさせることができる。2’−保護されたヒドロキシル(例えば、2’−トリエチルシリル基)は、(例えば、穏やかな酸性条件下にて)保護基を除去することによって容易に遊離し、所望の生成物を得ることができる。
スキーム2
Figure 2011517683
本発明において有用ないくつかの疎水性タキサン誘導体は、スキーム3において示されているようにタキサンの10位を修飾することによって合成し得る。疎水基の新たな官能基を10位において導入するために、タキサンの2’−ヒドロキシル基および7−ヒドロキシル基の両方の反応性を、保護基で遮断し得る。塩基(ピリジンなど)の存在下で、タキサン(例えば、ドセタキセル)を約2当量の適切な保護基(例えば、クロロトリエチルシラン(TESCl))で処理することによって、2重に保護されたタキサンを生成することができる(例えば、2’,7−ビス(トリエチルシリル)ドセタキセル)を生成することができる)。この保護されたタキサンが、本明細書に記載されているような反応性疎水基(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの存在下での、塩化ベンゾイル/ピリジンまたは安息香酸)に曝されるとき、所望の10−アシル化生成物が得られ(例えば、10−アシル化)、そこから(例えば、穏やかな酸性条件下にて)両方の保護基を容易に除去することができる。
スキーム3
Figure 2011517683
2’−および7−保護されたタキサンが利用できることによって、アシル官能基による10位でのさらなる修飾は、疎水基およびタキサンを結合させるために異なる官能基(例えば、エステル、カーボネート、カルバメートなど)を使用することによって達成することができる。
本発明の一実施形態によると、ベンゾイルなどの疎水基は、本発明の方法によって製剤および使用される事実上任意の薬物化合物または診断用薬に結合し得る。医薬品には、下記のカテゴリーおよび具体例が含まれる。カテゴリーは具体例によって限定されないことが意図されている。当業者であれば、本明細書において提示する教示に照らして、このカテゴリーの範囲に入り、本発明によって有用な多数の他の化合物を認識するであろう。
本発明にはまた、本明細書に記載の方法によって作製された生成物が含まれる。
抗癌活性の測定方法
疎水性タキサン誘導体、または疎水性タキサン誘導体を含むナノ粒子組成物の抗癌活性は、例えば、癌細胞培養物を誘導体と共にインキュベートし、次いで培養物中で細胞増殖阻害を評価することによって、インビトロで検査することができる。このような試験のために適切な細胞には、マウスP388白血病、B16黒色腫およびルイス肺癌細胞、ならびにヒト乳房MCF7、卵巣OVCAR−3、A549肺癌細胞、MX−1(ヒト乳房腫瘍細胞)、HT29(結腸癌細胞系)、HepG2(肝臓癌細胞系)、およびHCT116(結腸癌細胞系)が含まれる。代わりに、疎水性タキサン誘導体(または疎水性タキサン誘導体を含む組成物)は、例えば、適切な試験動物、例えば、ヌードマウスにおいて腫瘍を最初に確立することによって、抗腫瘍活性についてインビボで試験することができる。腫瘍を確立するために適した細胞には、インビトロ試験についての上記のもの、ならびに腫瘍を確立することについて当技術分野で一般に認められた他の細胞が含まれる。引き続いて、タキサン誘導体を動物に投与する。次いで、生存率と同様に、ED50値、すなわち、動物において腫瘍増殖の50%阻害を達成するのに必要な誘導体(または組成物)の量を決定する。通常、当業者は、本明細書に記載されている教示を所与として、ED50および生存値などの要因に基づいて特定の癌に対する適用について、特定の疎水性タキサン誘導体(または疎水性タキサン誘導体を含む組成物)を十分に選択することができる。
治療方法
本発明のナノ粒子組成物は、癌などの細胞増殖または過剰増殖と関連する疾患を治療するために使用し得る。いくつかの実施形態において、個体に、ナノ粒子を含む有効量の組成物を投与することを含む、個体において増殖性疾患(例えば、癌)を治療する方法を提供し、ナノ粒子は、疎水性タキサン誘導体(例えば、化合物1、2、3〜23の任意の1つ、および式I、II、III、IV、V、またはVIの任意の化合物)と担体タンパク質(例えば、アルブミン)とを含む。
本発明の方法によって治療し得る癌の例には、それだけに限らないが、多発性骨髄腫、腎細胞癌、前立腺癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、結腸直腸癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌、および乳癌が含まれる。
いくつかの変形形態において、増殖性疾患について治療される個体は、本明細書に記載されている状態の1つまたは複数を有すると同定された。ベテラン医師による本明細書に記載されているような状態の同定は、当技術分野で通例であり(例えば、血液検査、X線、CTスキャン、内視鏡検査、生検などによって)、例えば、腫瘍増殖、出血、潰瘍形成、疼痛、リンパ節肥大、咳、黄疸、膨れ、体重減少、悪液質、発汗、貧血、腫瘍随伴現象、血栓症などによって、個体またはその他のものがまた疑うことがある。いくつかの実施形態において、個体は、本明細書に記載されているような状態の1つまたは複数に影響を受けやすいと同定された。個体の影響を受けやすさは、それだけに限らないが、遺伝子プロファイリング、家族歴、病歴(例えば、関連する状態の出現)、生活様式または習慣を含めた、当業者が認識するいくつかの危険因子および/または診断アプローチの任意の1つまたは複数に基づいていてもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書において使用する方法および/または組成物は、増殖性疾患(例えば、癌)と関連する1つまたは複数の症状の重症度を、治療の前の同じ個体における対応する症状と比較して、またはこの方法および/または組成物を受けていない他の個体における対応する症状と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%のいずれか1つだけ減少させる。
併用療法
いくつかの実施形態において、本発明は、個体にa)疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質(例えば、アルブミン)とを含むナノ粒子を含む組成物を含む第1の治療、およびb)癌を治療するために有用な第2の治療の、有効量の組合せを投与することによる、個体において癌を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、第2の治療には、手術、照射、遺伝子治療、免疫療法、骨髄移植、幹細胞移植、ホルモン療法、標的療法、寒冷療法、超音波療法、光線力学療法、および/または化学療法(例えば、癌を治療するのに有用な1種または複数の化合物)が含まれる。下記の癌を治療する方法への言及および記載は例示的であり、この記載は、併用療法を使用した癌を治療する方法に等しく適用され、併用療法を使用した癌を治療する方法が含まれることが理解される。
投与および投与方法
個体(ヒトなど)に投与される本発明の組成物の量は、特定の組成物、投与方法、および治療する再発癌の特定のタイプによって変化し得る。この量は、望ましい有益な作用を生じさせるのに十分であるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、組成物の量は、客観的反応(部分的反応または完全な反応など)をもたらすのに有効である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体ナノ粒子組成物の量は、個体において完全な反応をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態において、組成物の量は、個体において部分的反応をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態において、単独で投与される組成物の量は、組成物で治療される個体の集団の間で約40%、50%、60%、または64%のいずれか1つ超の全体的な反応割合を生じさせるのに十分である。本明細書に記載の方法の治療に対する個体の反応は、例えば、RECISTまたはCA−125レベルに基づいて決定することができる。例えば、CA−125が使用されるとき、完全な反応は、治療前の値から少なくとも28日の通常の範囲の値への回復として定義することができる。粒子反応は、治療前の値からの持続性の50%を超える減少として定義することができる。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体ナノ粒子組成物の量は、個体の無増悪生存を延長するのに十分である(例えば、RECISTまたはCA−125変化によって測定されるように)。いくつかの実施形態において、組成物の量は、個体の全生存を延長するのに十分である。いくつかの実施形態において、組成物の量は、組成物で治療された個体の集団の間で約50%、60%、70%、または77%のいずれか1つ超の臨床的利益を生じさせるのに十分である。
いくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の量は、毒性学的影響(すなわち、臨床的に許容されるレベルの毒性を超える影響)を誘発するレベル未満であり、または組成物が個体に投与されたとき、潜在的な副作用を制御もしくは許容することができるレベルである。いくつかの実施形態において、組成物の量は、同じ投与計画の後に、組成物の最大耐用量(MTD)に近い。いくつかの実施形態において、組成物の量は、MTDの約80%、90%、95%、または98%のいずれか1つ超である。
いくつかの実施形態において、組成物の量は、治療前の同じ被験体における対応する腫瘍サイズ、癌細胞の数、もしくは腫瘍増殖速度と比較して、または治療を受けていない他の対象における対応する活性と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のいずれか1つだけ、腫瘍のサイズを減少させ、癌細胞の数を減少させ、または腫瘍増殖速度を減少させるのに十分な量である。精製した酵素によるインビトロアッセイ、セルベースアッセイ、動物モデル、またはヒト試験などの標準的方法を使用して、この作用の大きさを測定することができる。
いくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の量は、下記の範囲のいずれか1つに含まれる。約0.5〜約5mg、約5〜約10mg、約10〜約15mg、約15〜約20mg、約20〜約25mg、約20〜約50mg、約25〜約50mg、約50〜約75mg、約50〜約100mg、約75〜約100mg、約100〜約125mg、約125〜約150mg、約150〜約175mg、約175〜約200mg、約200〜約225mg、約225〜約250mg、約250〜約300mg、約300〜約350mg、約350〜約400mg、約400〜約450mg、または約450〜約500mg。いくつかの実施形態において、有効量の組成物(例えば、単位剤形)中の疎水性タキサン誘導体の量は、約30mg〜約300mgまたは約50mg〜約200mgなどの、約5mg〜約500mgの範囲である。いくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の濃度は、例えば、約0.1〜約50mg/ml、約0.1〜約20mg/ml、約1〜約10mg/ml、約2mg/ml〜約8mg/ml、約4〜約6mg/ml、約5mg/mlのいずれか1つを含めて、希薄(約0.1mg/ml)または濃厚(約100mg/ml)である。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体の濃度は、少なくとも約0.5mg/ml、1.3mg/ml、1.5mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、または50mg/mlのいずれか1つである。
ナノ粒子組成物中の疎水性タキサン誘導体の例示的な有効量には、それだけに限らないが、約25mg/m、30mg/m、50mg/m、60mg/m、75mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m、120mg/m、160mg/m、175mg/m、180mg/m、200mg/m、210mg/m、220mg/m、250mg/m、260mg/m、300mg/m、350mg/m、400mg/m、500mg/m、540mg/m、750mg/m、1000mg/m、または1080mg/mのいずれか1つの疎水性タキサン誘導体が含まれる。様々な変形形態において、組成物には、約350mg/m、300mg/m、250mg/m、200mg/m、150mg/m、120mg/m、100mg/m、90mg/m、50mg/m、または30mg/mのいずれか1つ未満の疎水性タキサン誘導体が含まれる。いくつかの実施形態において、投与毎の疎水性タキサン誘導体の量は、約25mg/m、22mg/m、20mg/m、18mg/m、15mg/m、14mg/m、13mg/m、12mg/m、11mg/m、10mg/m、9mg/m、8mg/m、7mg/m、6mg/m、5mg/m、4mg/m、3mg/m、2mg/m、または1mg/mのいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の有効量は、下記の範囲のいずれか1つに含まれる。約1〜約5mg/m、約5〜約10mg/m、約10〜約25mg/m、約25〜約50mg/m、約50〜約75mg/m、約75〜約100mg/m、約100〜約125mg/m、約125〜約150mg/m、約150〜約175mg/m、約175〜約200mg/m、約200〜約225mg/m、約225〜約250mg/m、約250〜約300mg/m、約300〜約350mg/m、または約350〜約400mg/m。好ましくは、組成物中の疎水性タキサン誘導体の有効量は、約100〜約150mg/m、約120mg/m、約130mg/m、または約140mg/mなどの、約5〜約300mg/mである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の有効量には、少なくとも約1mg/kg、2.5mg/kg、3.5mg/kg、5mg/kg、6.5mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、または20mg/kgのいずれか1つが含まれる。様々な変形形態において、組成物中の疎水性タキサン誘導体の有効量には、約350mg/kg、300mg/kg、250mg/kg、200mg/kg、150mg/kg、100mg/kg、50mg/kg、25mg/kg、20mg/kg、10mg/kg、7.5mg/kg、6.5mg/kg、5mg/kg、3.5mg/kg、2.5mg/kg、または1mg/kgのいずれか1つ未満の疎水性タキサン誘導体が含まれる。
例示的な投与頻度には、それだけに限らないが、毎週、中断なし;毎週、4週間のうち3週間;3週間に1回;2週間に1回;毎週、3週間のうち2週間のいずれか1つが含まれる。いくつかの実施形態において、組成物は、約2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、または8週間に1回で投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、1週間に少なくとも約1×、2×、3×、4×、5×、6×、または7×(すなわち、毎日)のいずれか1つで投与される。いくつかの実施形態において、各投与の間の間隔は、約6カ月、3カ月、1カ月、20日、15日、12日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日のいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、各投与の間の間隔は、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、8カ月、または12カ月のいずれか1つ超である。いくつかの実施形態において、投与スケジュールに中断はない。いくつかの実施形態において、各投与の間の間隔は、約1週間以下である。
組成物の投与は、約1カ月から約7年までなど長期間に亘って延長することができる。いくつかの実施形態において、組成物を、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、36、48、60、72、または84カ月のいずれか1つの期間に亘り投与する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を、少なくとも1カ月の期間に亘り投与し、各投与の間の間隔は、約1週間以下であり、各投与における疎水性タキサン誘導体の用量は、約0.25mg/m〜約25mg/mまたは約25mg/m〜約50mg/mなどの、約0.25mg/m〜約75mg/mである。
いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物中の疎水性タキサン誘導体の投与量は、3週間のスケジュールで与えられるとき5〜400mg/m、または1週間のスケジュールで与えられるとき5〜250mg/mの範囲でよい。例えば、疎水性タキサン誘導体の量は、約60〜約300mg/m(例えば、約260mg/m)である。
ナノ粒子組成物(例えば、疎水性タキサン誘導体/アルブミンナノ粒子組成物)の投与のための他の例示的投与スケジュールには、それだけに限らないが、100mg/m、毎週、中断なし;75mg/m、毎週、4週間のうち3週間;100mg/m、毎週、4週間のうち3週間;125mg/m、毎週、4週間のうち3週間;125mg/m、毎週、3週間のうち2週間;130mg/m、毎週、中断なし;175mg/m、2週間に1回;260mg/m、2週間に1回;260mg/m、3週間に1回;180〜300mg/m、3週間に1回;60〜175mg/m、毎週、中断なし;20〜150mg/m、週2回;および150〜250mg/m、週2回のいずれか1つが含まれる。組成物の投与頻度は、投与する医師の判断に基づいて治療過程に亘って調節し得る。
本明細書に記載されている組成物は、約24時間より短い注入期間に亘る、個体への組成物の注入を可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、組成物を、約24時間、12時間、8時間、5時間、3時間、2時間、1時間、30分間、20分間、または10分間のいずれか1つ未満の注入期間に亘って投与する。いくつかの実施形態において、組成物を、約30分間の注入期間に亘って投与する。
いくつかの実施形態において、本発明は、個体(例えば、ヒト)に、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン)とを含む有効量のナノ粒子を含む組成物を非経口的に投与することによって、個体において癌を治療する方法を提供する。本発明はまた、個体(例えば、ヒト)に、疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン)とを含むナノ粒子を含む有効量の組成物を、静脈内、動脈内、筋内、皮下、吸入、経口、腹腔内、経鼻、または気管内投与することによって、個体において癌を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、投与経路は、腹腔内である。いくつかの実施形態において、投与経路は、静脈内、動脈内、筋内の、または皮下である。様々な変形形態において、投与毎に、約30mg〜約300mgまたは約50〜約500mgなどの約5mg〜約500mgの疎水性タキサン誘導体を投与する。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体は、組成物中に含有される、癌の治療のための唯一の医薬活性剤である。
本明細書に記載されている組成物のいずれかは、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、肺内、経口、吸入、小胞内、筋内、気管内、皮下、眼球内、くも膜下腔内、経粘膜的、および経皮的を含めた様々な経路を介して個体(ヒトなど)に投与することができる。いくつかの実施形態において、組成物の持続した連続放出製剤を使用し得る。本発明の一変形形態において、本発明の化合物のナノ粒子(アルブミンナノ粒子など)は、それだけに限らないが、経口的、筋肉内、経皮的、静脈内、吸入器または他の空気によって運ばれる送達系によるなどを含めた任意の許容される経路によって投与することができる。
いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子組成物は、第2の治療化合物および/または第2の治療と共に投与し得る。組成物および第2の化合物の投与頻度は、投与する医師の判断に基づいて、治療過程に亘って調節し得る。いくつかの実施形態において、第1および第2の治療は、同時に、順次に、または並行して投与される。別々に投与されるとき、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子組成物および第2の化合物は、異なる投与頻度または間隔で投与することができる。例えば、組成物は、毎週投与することができ、一方、第2の化合物は、多かれ少なかれ頻繁に投与することができる。いくつかの実施形態において、疎水性タキサン誘導体を含有するナノ粒子および/または第2の化合物の持続した連続放出製剤を使用し得る。持続放出を達成するための様々な製剤および装置は、当技術分野において公知である。本明細書に記載されている投与構成の組合せを使用することができる。
メトロノミック治療計画
本発明はまた、本明細書に記載されている治療方法および投与方法のいずれかのためのメトロノミック治療計画を提供する。例示的なメトロノミック治療計画およびメトロノミック治療計画の使用のための変形形態を後述するが、参照により本明細書にその全体が組み込まれている2006年2月21日に出願され、米国特許公開第2006/0263434号として公開されたU.S.S.N.11/359,286(その中で段落[0138]〜[0157]において記載されているものなど)に開示されている。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物を、少なくとも1カ月の期間に亘り投与し、各投与の間の間隔は、約1週間以下であり、各投与における疎水性タキサン誘導体の用量は、従来の投与計画に従って、その最大耐用量の約0.25%〜約25%である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子組成物を、少なくとも2カ月の期間に亘り投与し、各投与の間の間隔は、約1週間以下であり、各投与における疎水性タキサン誘導体の用量は、従来の投与計画に従って、その最大耐用量の約1%〜約20%である。いくつかの実施形態において、投与毎の疎水性タキサン誘導体の用量は、最大耐用量の約25%、24%、23%、22%、20%、18%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%のいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、任意のナノ粒子組成物は、1週間に少なくとも約1×、2×、3×、4×、5×、6×、または7×(すなわち、毎日)のいずれか1つで投与される。いくつかの実施形態において、各投与の間の間隔は、約6カ月、3カ月、1カ月、20日、15日、12日、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日、または1日のいずれか1つ未満である。いくつかの実施形態において、各投与の間の間隔は、約1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、8カ月、または12カ月のいずれか1つ超である。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30、36、48、60、72、または84カ月のいずれか1つの期間に亘り投与する。
純粋に本発明の例示であることを意図し、したがって決して本発明を限定すると考えられるべきではない実施例はまた、上述した本発明の態様および変形形態を記載および詳述する。使用されている数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するように努力がなされてきたが、いくつかの実験誤差および偏差は、説明するべきである。他に示さない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は、気圧または気圧に近い。
(実施例1)
2’−ベンゾイル−ドセタキセル(1)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(201mg、0.25mmol)の塩化メチレン(6mL)溶液に、トリエチルアミン(42μL、0.30mmol)、続いて塩化ベンゾイル(29μL、0.25mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物をエチルエーテルによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:DCM、1:1)によって精製し、生成物を白色の泡(181mg、80%)として得た。
Figure 2011517683
ESI−MS:C5057NO15Na(M+Na)の計算値:934。実測値:934。
(実施例2)
2’−ヘキサノイルドセタキセル(2)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(2.20g、2.72mmol)の塩化メチレン(220mL)溶液に、トリエチルアミン(0.95ml、6.80mmol)、続いて塩化ヘキサノイル(0.38mL、2.72mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1.5時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物を塩化メチレンによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜50%酢酸エチル)によって精製し、生成物を白色の固体(2.00g、81%)として得た。
Figure 2011517683
ESI−MS:C49H63NO15Na(M+Na)の計算値:929。実測値:929。
(実施例3)
2’−デカノイル−ドセタキセル(3)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(144mg、0.18mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、トリエチルアミン(134μL、0.96mmol)、続いて塩化デカノイル(37μL、0.18mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で4.5時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物を塩化メチレンによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜50%酢酸エチル)によって精製し、生成物を白色の固体(112mg、65%)として得た。
Figure 2011517683
(実施例4)
2’−バレリル−ドセタキセル(4)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(144mg、0.18mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、トリエチルアミン(100μL、0.72mmol)、続いてバレリルクロリド(44μL、0.18mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で5.5時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物を塩化メチレンによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜50%酢酸エチル)によって精製し、生成物を白色の固体(100mg、62%)として得た。
Figure 2011517683
(実施例5)
2’−プロピオニル−ドセタキセル(5)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(195mg、0.24mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、トリエチルアミン(100μL、0.72mmol)、続いて塩化プロピオニル(20.8μL、0.24mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で5時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物を塩化メチレンによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜50%酢酸エチル)によって精製し、生成物を白色の固体(100mg、48%)として得た。
Figure 2011517683
(実施例6)
2’−ベンゾイル−パクリタキセル(6)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセル(502mg、0.62mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(104μL、0.74mmol)、続いて塩化ベンゾイル(72μL、0.62mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、それによってTLCは出発物質の消失を示した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えることによるクエンチの後、混合物をエチルエーテルによって抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン、1/1)によって精製し、生成物を白色の泡(531mg、94%)として得た。
Figure 2011517683
ESI−MS:C5455NO15Na(M+Na)の計算値:980。実測値:980。
(実施例7)
7−ベンゾイル−ドセタキセル(7)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセルのジクロロメタン溶液を、アルゴン下にて室温でイミダゾールおよび塩化トリエチルシリルと共に混合する。反応混合物を室温で撹拌し、塩化メチレンで希釈し、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮する。残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって、2’−トリエチルシリルドセタキセルを得る。2’−トリエチルシリルドセタキセルの塩化メチレン溶液を、周囲温度でアルゴン下にてピリジンおよび塩化ベンゾイルと混合する。反応混合物を室温で撹拌し、エーテルで希釈し、有機層を濃縮する。残渣のフラッシュクロマトグラフィーを行い、中間体2’−トリエチルシリル7−ベンゾイルドセタキセルを得る。
中間体2’−トリエチルシリル7−ベンゾイルドセタキセルのメタノール溶液を、0℃でアルゴン下にてHCl水溶液と混合し、反応混合物を同じ温度で撹拌する。エチルエーテルおよび飽和炭酸水素ナトリウムによる希釈の後、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、7−ベンゾイルドセタキセルを得た。
(実施例8)
10−ベンゾイルドセタキセル(8)の調製
Figure 2011517683
ドセタキセルのジクロロメタンおよびピリジン溶液を、室温でアルゴン下にて塩化トリエチルシリルと混合する。反応混合物を室温で撹拌し、塩化メチレンで希釈し、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮する。残渣のフラッシュクロマトグラフィーによって、2’,7−ビス(トリエチルシリル)−ドセタキセルを得る。
2’,7−ビス(トリエチルシリル)−ドセタキセルの塩化メチレン溶液を、最初に室温で0℃でアルゴン下にて水素化ナトリウムと混合し、次いで塩化ベンゾイルを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、エーテルで希釈し、有機層を濃縮する。残渣のフラッシュクロマトグラフィーを行い、中間体2’,7−ビス(トリエチルシリル)−10−ベンゾイルドセタキセルを得る。
中間体2’,7−ビス(トリエチルシリル)−10−ベンゾイルドセタキセルのメタノール溶液を、0℃でアルゴン下にてHCl水溶液と混合し、反応混合物を室温で撹拌する。エチルエーテルおよび飽和炭酸水素ナトリウムによる希釈の後、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、10−ベンゾイルドセタキセルを得た。
(実施例9)
MX−1(ヒト乳癌)細胞に対するインビトロ増殖阻害
Promega CellTiter Blue細胞生存率アッセイを使用して、細胞毒性アッセイを定量化した。手短に言えば、細胞(5000個の細胞/ウェル)を、96ウェルマイクロタイタープレート上へ10%FBSを補充したRPMI1640培地に蒔き、加湿した5%CO雰囲気中で37℃にてインキュベートした。24時間後、細胞をDMSO中の様々な濃度の疎水性タキサン誘導体に曝し、さらに72時間培養した。100μLの培地を除去し、20μLのPromega CellTiter Blue試薬を各ウェルに加え、振盪し、混合した。加湿した5%CO雰囲気中での37℃で4時間のインキュベーション後、プレートを544ex/620emで読み取った。生じた蛍光は、生細胞の数に比例する。薬物濃度に対する生じた蛍光をプロットした後、このように得られた非線形回帰の半減期としてIC50を計算した。データを表1に表す。
Figure 2011517683
(実施例10)
ヒト肝ミクロソーム中での疎水性ドセタキセル誘導体のドセタキセルへの変換
試料の調製およびインキュベーション
薬物ストック溶液をDMSO中で5mg/mLにし、同日に使用した。ミクロソームを含有しない対照溶液のために、薬物ストック溶液を、下記のインキュベーション混合物(83mMのKHPO緩衝液(pH7.4)、13.3mMのMgCl、1.3mMのNADP+を含有するNADPH再生系(NRS)、3.3mMのグルコース−6−リン酸、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、および0.05mMのクエン酸ナトリウム)中にスパイクし、1%DMSOを有する50μg/mLの最終薬物濃度を得た。NADPH再生系を含有しない対照溶液のために、薬物ストック溶液を、下記のインキュベーション混合物(84mMのKHPO緩衝液(pH7.4)、10mMのMgCl、12.5mMのスクロース、および1mg/mLのヒト肝ミクロソーム(HLM))中にスパイクし、1%DMSOを有する50μg/mLの最終薬物濃度を得た。活性溶液のために、薬物ストック溶液を、下記のインキュベーション混合物(78mMのKHPO緩衝液(pH7.4)、13.3mMのMgCl、1.3mMのNADP+を含有するNADPH再生系(NRS)、3.3mMのグルコース−6−リン酸、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、0.05mMのクエン酸ナトリウム、12.5mMのスクロース、および1mg/mLのHLM)中にスパイクし、1%DMSOを有する50μg/mLの最終薬物濃度を得た。HLMの添加によって、酵素反応を開始させた。
対照および活性溶液を、HLM中のスパイクの前にサーモミキサー中で約5分間インキュベートし、反応を開始させた。全試料容量は、1〜2.5mLであった。対照および活性溶液の一定分量を、HPLC分析のために様々な時点で回収した。回収の前に、バイアルを軽くたたくことによって試料を短時間ボルテックスし、溶液の均一性を改善した。
試料を回収をすると、反応物の一定分量をアセトニトリル(ACN)で直ちに1:2に希釈し、タンパク質を沈殿させ、酵素反応をクエンチした。試料をボルテックスし、14,000rpmで8分間遠心分離した。上清を1mLのオートサンプラーバイアルに移し、HPLC中に注入した。
HPLC条件
Synergi Fusion−RPカラム(Phenomenex、150×4.6mm、80A、4ミクロン)および下記の移動相勾配を使用してHPLC分離を行った。移動相A:水;移動相B:アセトニトリル;A/B(50:50)で開始、0〜10分;A/B(10:90)に移行、10〜30分;A/B(10:90)で保持、30〜40分;A/B(50:50)に戻す、40分;操作を停止、50分。流量は1mL/分であった。検出は228nmで行った。オーブン温度を35℃に維持した。試料注入量は20μLであった。様々な疎水性タキサン誘導体についてのHPLC保持時間を、表2に要約する。
Figure 2011517683
結果
ヒト肝ミクロソーム中の疎水性タキサン誘導体のインビトロ代謝によるドセタキセル生成を、HPLCクロマトグラムにおいて検出したドセタキセルのピーク面積相対割合によって決定した。インキュベーション時間に対する生成したドセタキセルを、図1において各疎水性タキサン誘導体についてプロットする。プロットの比較は、ドセタキセル生成が、疎水性タキサン誘導体の構造によって決定されたことを示す。ドセタキセル側鎖上にベンゾイル置換を有する疎水性タキサン誘導体において、ドセタキセルは生成されなかった(化合物−1)。しかし、ドセタキセル側鎖上にアルキル置換を有する疎水性タキサン誘導体において、相当量のドセタキセルが生成した。アルキル側鎖の長さは、生成したドセタキセルの割合と相関付けられず、代わりに、ヒト肝ミクロソーム中の2時間のインキュベーションによるドセタキセル生成は、C6側鎖を有する化合物−2において最も有意(約16%)であり、続いて化合物−4(C5)および化合物−3(C9)は約11%の非常に同様の変換があった。非常により少ないドセタキセルが、より短い(C3)側鎖を有する化合物−5によって生成された。化合物−2が代謝され、最もドセタキセルを生成したことは驚きであった。これは、側鎖置換に基づいて予測することはできなかった。
ドセタキセル生成の、疎水性タキサン誘導体の構造への依存は、加水分解反応に関与している酵素の活性部位内にフィットするR側鎖の能力に関連する可能性がある。理論に束縛されるものではないが、これらの5種のドセタキセル疎水性タキサン誘導体の中で、C6アルキル置換を含有する化合物−2は、酵素の活性部位の疎水性ポケット中に立体化学的に最もフィットし得る。ベンゾイル基の強固の性質は、それが疎水性ポケットに接近することを全体的に妨げることがあり、またはこの芳香族エステルの異なる反応性は、酵素加水分解反応が起こることを妨げることがある。
(実施例11)
高圧ホモジナイゼーションによる2’−ベンゾイルドセタキセルおよびアルブミンのナノ粒子の調製
48.5mgの2’−ベンゾイルドセタキセル(実施例1において調製)を、0.56mLのクロロホルム−t−ブチルアルコール混合物(10.2:1)に溶解した。溶液を10.0mLのヒト血清アルブミン溶液(5%、w/v)に加えた。粗エマルジョンを形成するために、混合物を10,000rpmで5分間プレホモジナイズし(VirTisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次いで高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。プレホモジナイザーのローター/ステーターアセンブリの先端およびエマルジョンの容器を、3.0mLの水で洗浄し、洗液を高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを3〜12パス再循環させる間、18,000〜20,000psiで乳化を行った。このように得られた系をロータリーエバポレーターに移し、クロロホルムおよびt−ブチルアルコールを40℃で減圧(40mmのHg)下にて10分間急速に除去した。このように得られた分散液は半透明であり、このように得られたナノ粒子の典型的な直径は、121.7±1.4nmであることが見出された(Z−平均、Malvern Zetasizer)。分散液は0.22μmシリンジフィルターを通して直接濾過できた(Costar、μstar、8110)。
分散液は、凍結防止剤または溶解防止剤を加えずに、48時間さらに凍結乾燥した。このように得られたケークは、滅菌水または食塩水を加えることによって最初の分散液に容易に再構成することができた。再構成後の粒径は、凍結乾燥前と同じであった。
(実施例12)
高圧ホモジナイゼーションによる2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンのナノ粒子の調製
64.9mgの2’−O−ヘキサノイルドセタキセルを、0.56mLのクロロホルム−t−ブタノール(10.2:1、v/v)に溶解した。次いで、溶液を15mLの5%(w/v)HSA溶液に加えた。混合物は、粗エマルジョンを形成するために10,000rpmで5分間プレホモジナイズし(VitrisホモジナイザーモデルTempest I.Q.)、次いで高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。プレホモジナイザーのローター/ステーターアセンブリの先端およびエマルジョンの容器を、3.0mLの5%(w/v)HSA溶液で洗浄し、洗液を高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを3〜12パス再循環する間、18,000〜20,000psiで乳化を行った。このように得られた系をロータリーエバポレーターに移し、クロロホルムおよびt−ブチルアルコールを40℃で減圧(40mmのHg)下10分間急速に除去した。このように得られた懸濁液を、WFIを使用して20mLにし、次いで顕微鏡によって特性決定し、サイズ測定を行った。懸濁液のサイズは非常に小さかったので、粒子を顕微鏡によって観察するのは困難であった。0.8μmを通して懸濁液を濾過し、濾過した組成物のサイズは95nmであった。
(実施例13.1)
2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンを含む医薬製剤の調製
実施例12に記載された方法によって4つの別々のバッチで作製された約100mLの組成物(0.8μm)を、0.45μmの1000mLサイズのSteri−cupを通して濾過した。全ての組成物を上記のフィルターの1つを通して濾過した。濾過した組成物は、本質的に25℃で840分間の一次乾燥および30℃で480分間の二次乾燥であるプロトコルに従って、5mLの充填容量を有する20mLの血清バイアルに移し、凍結乾燥した。これによって、白色からオフホワイト色の良好なケークが得られた。凍結乾燥したケークは、0.9%(w/v)の食塩溶液によって2分未満で青みを帯びた半透明の溶液へと再構成可能であった。粒子のサイズは107nmであった。この再構成した組成物は、4℃で24時間その完全性を保持した。4℃での24時間の保存後、粒子のサイズは108nmであり、粒度分布にはっきりと認識できる変化はなかった。
(実施例13.2)
2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンを含む医薬製剤の調製
この研究における添加剤は、注射可能な賦形剤、すなわち張性調節剤、NaClおよびd−マンニトールから選択した。実施例12に記載した方法によって作製した約20mLの組成物(0.8μm)を、0.45μmシリンジフィルターを通して濾過した。0.45μm濾過した組成物を、各々が20mLの2つの別々の部分に分けた。1つの部分に、5%(w/v)の濃度までd−マンニトールを加え、他の部分に、150mMの濃度となるまでNaClを加えた。d−マンニトールおよび塩化ナトリウムを含有する組成物を、本質的に25℃で840分間での一次乾燥および30℃で480分間での二次乾燥であるプロトコルに従って、5mLの充填容量を有する20mLの血清バイアルに移し、凍結乾燥した。これによって、白色からオフホワイト色の良好なケークが得られた。凍結乾燥したケークは、WFIによって2分未満で青みを帯びた半透明の溶液へと再構成可能であった。再構成された組成物は、4℃で24時間その完全性を保持した。凍結乾燥の前および後および保存中で、サイズおよび粒度分布のはっきりと認識できる変化はなかった。
(実施例13.3)
2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンを含む医薬製剤の調製
この実施例は、組成物の粒径が100nm未満であり、濾過性および回収性が高い、2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンを含む医薬製剤の調製を示す。8バッチの組成物を下記のパラメータで調製し、それらの特徴を表形式でまとめた(表3)。粒度分布を、例えば、図8において示す。
HSA濃度=5%(w/v);クロロホルム:t−ブチルアルコール=10.2:1;有機溶媒%=3.6;バッチサイズ=22.5mL;HSA:薬物=9〜10
Figure 2011517683
表3における全ての0.45μm濾過した組成物を一緒に混合した。混合した組成物の総容量は、約150mLであり、1つの250mLサイズのSteri−cup(0.22μm孔径)を通して濾過できた。全てのこれらの組成物を、4mLの充填容量を有する34の20mL血清バイアル中に入れた。はっきりと認識できる粒径の変化を伴わずに、組成物を凍結乾燥し、再構成した。
(実施例14)
ナノ粒子の安定性
取扱いおよび輸送プロトコルを確立するために、凍結乾燥した2’−O−ヘキサノイルドセタキセル/アルブミン組成物の安定性を2〜8℃、RTおよび40℃で保存することによって評価し、保存温度/保存寿命を確立し、加速条件下での可能性のある分解生成物を同定した。2〜8℃およびRTでの再構成安定性をまた行い、使用中の保存寿命を確立する。目視観測、再構成時間、pH、RP−HPLC(効力および分解%について)、Malvern Nanosizerによる粒径を測定し、アルブミン含有製剤の完全性および安定性を確認した。製剤は、ケーク外観、再構成の可能性、サイズおよび粒径分布に関して3カ月間安定的であることが見出された。この研究の結果を表4に示す。
Figure 2011517683
(実施例15)
高圧ホモジナイゼーションによる2’−ベンゾイルパクリタキセル(benzoypaclitaxel)のナノ粒子の調製
57.6mgの2’−ベンゾイルパクリタキセルを、0.6mLのクロロホルム−エチルアルコール混合物(9:1、v/v)に溶解した。溶液を12.0mLのヒト血清アルブミン溶液(3%、w/v)に加えた。粗エマルジョンを形成するために、混合物を10000rpmで5分間プレホモジナイズし(VirTisホモジナイザー、モデル:Tempest I.Q.)、次いで高圧ホモジナイザー(Avestin)に移した。エマルジョンを3〜10パス再循環している間、18,000〜20,000psiで乳化を行った。ホモジナイズしたエマルジョンをロータリーエバポレーターの500mLフラスコに移し、クロロホルムおよびエチルアルコールを40℃で減圧(40mmのHg)下20分間急速に除去した。このように得られた分散液は青みを帯びた半透明の溶液であった。このように得られた2’−ベンゾイルパクリタキセルのナノ粒子の直径は、86.7±3.1nmであることが見出された(Z−平均、Malvern Zetasizer)。分散液は0.22μmシリンジフィルターを通して直接濾過でき(Costar、μstar、8110)、ナノ粒子のサイズは、61.1±0.2nmであった。分散液を、凍結防止剤または溶解防止剤を加えずにさらに凍結乾燥した。このように得られたケークは、滅菌水または食塩水を加えることによって最初の分散液に容易に再構成できた。再構成後の粒径は、凍結乾燥前と同じであった。
(実施例16)
2’−O−ヘキサノイルドセタキセルおよびアルブミンを含む医薬製剤の最大耐用量(MTD)
マウスに、15、30、60、90、120、および150mg/kg(q4d×3)で1日目、5日目、および9日目に、食塩水(対照)またはnab−2(実施例12において調製した2’−ヘキサノイルドセタキセルのナノ粒子)を静脈内投与した。シグモイド式を使用して用量に対する死亡率を当てはめ、図7に示した。Nab−2製剤は、q4d×3スケジュールでLD10=61mg/kgおよびLD50=113mg/kgを伴い耐容性良好であった。
(実施例17)
乳癌異種移植片に対するnab−2(実施例12において調製した2’−ヘキサノイルドセタキセルのナノ粒子)の抗癌活性
雌性ヌードマウスの右側腹部の近くに、1000万個のMDA−MB−231細胞を皮下に埋め込んだ。11日後、10匹の群の担癌マウス(平均腫瘍サイズ=126mm)を、q4d×3スケジュールで静脈内に投与する、食塩水または様々な用量(60、90、および120mg/kg)のNab−2(実施例12において調製)または15mg/kgのTaxotere(登録商標)で処理した。週に2回、腫瘍測定値および動物重量を記録した。
MDA−MB−231乳癌モデルにおいて、処理された対照動物における腫瘍は、10匹のマウスのうち9匹において評価サイズまで良好に増殖し、1つの腫瘍が倍加する中位時間は12.2日であった(図2A;値は平均±SEMである)。1.3%の最大平均体重減少が観察された(図2B、値は平均±SEMである)。Nab−2による処理は、MDA−MB−231ヒト乳房腫瘍の増殖を効果的に遅らせた(注入毎に各々120、90、および60mg/kgの投与量で、83.1、80.7、および>84.8日のT−C値、ビヒクル対照と比較して>96%の腫瘍増殖阻害(食塩水対照に対してP<0.0001、ANOVA統計))。Nab−2は、注入毎に120mg/kgの試験した最大の投与量で耐容性がなく、顕著な腫瘍増殖阻害にも関わらず50%の死亡率をもたらした。注入毎に90および60mg/kgの投与量でのNab−2による処理は、各々5%および3%の最大平均体重減少を伴い耐容性良好であった。MDA−MB−231モデルにおいて、Taxotere(登録商標)は、注入毎に15mg/kgの投与量で、3.3%の最大平均体重減少を伴い耐容性を示した。Taxotere(登録商標)は、49.5日のT−C値を伴いMDA−MB−231乳房腫瘍の増殖を遅らせ、腫瘍増殖を88%減少させた(食塩水対照に対してP<0.0001)。Taxotere(登録商標)およびNab−2で処理された動物の間に腫瘍増殖阻害の有意差はなかった、しかし、等毒性用量レベルで、優れた30〜40%の腫瘍退縮を伴う抗腫瘍効力が、Nab−2によって達成された(表5を参照されたい)。
Figure 2011517683
(実施例18)
肺癌異種移植片に対するnab−2(実施例12において調製した2’−ヘキサノイルドセタキセルのナノ粒子)の抗癌活性
肺癌に対するNab−2の効力を決定するために、雄性ヌードマウスの右側腹部の近くに、100万個のH358細胞を皮下に埋め込んだ。11日後に、7匹または9匹の群における担癌マウス(平均腫瘍サイズ=422mm)を、q4d×3スケジュールで静脈内に投与する、食塩水または60mg/kgのNab−2または10mg/kgのTaxotere(登録商標)で処理した。週に2回、腫瘍測定値および動物重量を記録した。
H358ヒト非小細胞肺癌モデルにおいて、60mg/kgでNab−2は、9.1%の最大平均体重減少を伴い耐容性良好であり、腫瘍増殖を53%減少させた(食塩水対照に対してP<0.001;図3(値は平均±SEMである)および表6)。90mg/kgでNab−2は、100%の死亡率をもたらし、10mg/kgでTaxotere(登録商標)は、腫瘍増殖を93%減少させたが(食塩水対照に対してP<0.001)、57%の死亡率をもたらした。Taxotere(登録商標)とは異なり、60mg/kg用量レベルでNab−2は、9匹の動物のうちの6匹において最小毒性で部分的腫瘍退縮をもたらした。
Figure 2011517683
(実施例19)
結腸直腸癌異種移植片に対するnab−2(実施例12において調製した2’−ヘキサノイルドセタキセルのナノ粒子)の抗癌活性。
2つの別々の研究を行い、結腸直腸癌に対するNab−2の効力を決定した。
研究番号CA−AB−6において、雄性ヌードマウスの右および左両方の側腹部に、100万個のHT29を皮下に埋め込んだ。15日後、3匹の群における担癌マウス(平均腫瘍サイズ=143mm)を、q4d×3スケジュールで静脈内に投与する、食塩水または90mg/kgのNab−2または22mg/kgのNab−ドセタキセルで処理した。1週間に3回、腫瘍測定値および動物重量を記録した。
研究番号ABS−18において、雄性ヌードマウスの右側腹部近くに、100万個のHT29細胞を皮下に埋め込んだ。11日後、10匹の群における担癌マウス(平均腫瘍サイズ=186mm)を、q4d×3スケジュールで静脈内に投与する、食塩水または60および90mg/kgのNab−2または15mg/kgのTaxotere(登録商標)で処理した。週に2回、腫瘍測定値および動物重量を記録した。
HT29結腸腫瘍異種移植片(研究番号ABS−18およびCA−AB−6)において、Nab−2は、60および90mg/kgの用量レベルで顕著な腫瘍増殖阻害(95〜99%)および腫瘍増殖遅延を誘発した(食塩水対照に対してP<0.0001;図4〜6(値は平均±SEMである)および表7)。部分的腫瘍退縮は、11.6%の最大平均体重減少を伴って、90または60mg/kgのNab−2で処理された10匹の担癌マウスのうち9匹において起こった(ABS−18)。90mg/kg用量レベルで、1匹の動物が死亡し、1匹を安楽死させた。同一の実験条件下で、15mg/kgでTaxotere(登録商標)は、94%のTGIおよび体重の19%減少をもたらした。
Figure 2011517683
HT29結腸腫瘍モデル(研究番号CA−AB−6)におけるNab−2、Nab−ドセタキセル、およびTaxotere(登録商標)による比較効力研究によって、86〜91%のTGIにも関わらず27%の平均体重減少を伴うNab−ドセタキセルおよびTaxotere(登録商標)の用量制限毒性が明らかになった(食塩水対照に対してP<0.01)。対照的に、90mg/kg用量レベルでのNab−2は、19%の最大体重減少を伴い完全な腫瘍退縮もたらした(食塩水対照に対してP<0.0001)。したがって、Nab−2と異なり、Taxotere(登録商標)およびNab−ドセタキセルの両方はそれらのMTDで、HT−29結腸腫瘍モデルにおいて部分的な腫瘍退縮も完全な腫瘍退縮ももたらさなかったが、顕著な体重減少が起こった。
(実施例20)
サルにおけるNab−2の薬物動態および安全性
材料および方法
最初の用量投与の日を研究1日目と称し、それに続く日は連続して番号を付けた。研究における最初の用量投与の前の日は、連続して番号を付け、順化の最後の日を−1日目と称した。
アルブミンへの事前の曝露がないことが確認された3匹の実験を受けたことがある雄性カニクイザルは、下記に示す表6において特定したように用量群に割り当てた。動物の体重は5.4〜6.7kgであり、研究開始時に4〜7年齢であった。
Figure 2011517683
全ての動物に、1日目、8日目および15日目に1週間に1回投与した。第3群および第4群の動物に、各々5および10mg/kgでNab−2(ロット:ABI139−2−83)を投与し、第5群の動物に、30分の静脈内注入によって20、10および10mg/kgでNab−2を投与した(各々、1日目、8日目および15日目)。研究期間を通して、臨床所見を1日に2回行い、体重を毎週記録した。薬物動態分析のための連続的血液試料は、1日目および15日目に、第1群の動物については8つの時点において、および第3群、4群および5群について9つの時点において集めた。
結果および結論
第3群および第4群の動物の体重または臨床所見において、処理が関係する作用は見出されなかった。一般に、nab−2試験物質は、経口および静脈内の両方の繰返し用量投与の後に耐容性良好であった。Nab−2試験物質は、5および10mg/kgでの静脈内投与の後に耐容性良好であった。
対照的に、Nab−2の20mg/kgでの単一のIV用量投与(第5群)は、有害な臨床的症状および体重の減少をもたらした。これらの理由のために、この動物についての用量レベルは、8日目および15日目の投与について10mg/kgに減らした。第5群の動物における有害な臨床所見には、嘔吐、血が混じり粘液性の柔らかく液体の糞便、および食欲不振が含まれた。第5群の動物は、7日目に横たわることが観察され、17日目に猫背の姿勢を示した。食欲不振および全体的な状態の衰えは、7日目までにその概ね7%の体重の減少(投与前の体重測定と比較して)および15日目までにその投与前の体重の概ね15%の減少と相関関係があった。
分析物およびPK分析を各々表7および8において下記で示す。Nab−2は、3.0〜3.7時間の最終半減期および0.083時間の最も早い回収時間でのTmaxを伴って血液中での分解を示した。Nab−2およびその代謝物(ドセタキセル)は、CmaxおよびAUCにおいて用量比例的な増加を示した。化合物2は、7〜11L/kgのVzを伴い大きな分布容積を示した。代謝物変換率(ドセタキセルAUC inf/化合物2AUC infの比)は、4.8〜5.9%であった。
これらのデータは、用量比例的PKを伴いNab−2は10mg/kgまたは120mg/mで安全に投与できることを明らかに示された。化合物2は、4.8〜5.9%の変換率でドセタキセルを生成することが示された。
Figure 2011517683
Figure 2011517683
(実施例21)
Nab−2およびNab−ドセタキセルの溶解プロファイル
Nab−2およびNab−ドセタキセルについて溶解実験を行った(各々Nab−2およびNab−ドセタキセルについて、表9/図9および表10/図10を参照されたい)。Nab−2の粒子は、試験した最も低い濃度(5μg/mL)で未変化のままであった。対照的に、nab−ドセタキセルは、100μg/mLで検出可能なナノ粒子がないアルブミン−薬物複合体に急速に分解する(安定性において20倍の差)。対応して、EC50(溶解プロファイルの2分の1ポイント)は、nab−2について103μg/mL、およびnab−ドセタキセルについて230μg/mLであった(図11)(2×の差異)。EC90(90%溶解)は、nab−2について16μg/ml、およびnab−ドセタキセルについて121μg/mlであった(7.6×の差異)。Nab−2およびNab−ドセタキセルについての標準化された溶解曲線を図11に示す。
Figure 2011517683
Figure 2011517683

Claims (67)

  1. 疎水性タキサン誘導体と担体タンパク質とを含むナノ粒子を含む、組成物。
  2. 前記疎水性タキサン誘導体が、タキサンプロドラッグである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記担体タンパク質が、アルブミンである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記アルブミンが、ヒト血清アルブミンである、請求項3に記載の組成物。
  5. ナノ粒子形態および非ナノ粒子形態の両方の担体タンパク質を含み、前記担体タンパク質の約25%未満がナノ粒子形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記組成物中の前記ナノ粒子の平均直径が約200nm未満である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記組成物中の前記ナノ粒子の平均直径が約100nm未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 前記組成物中の前記ナノ粒子の80%超が約100nm未満の直径を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記組成物中の前記ナノ粒子の90%超が約100nm未満の直径を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記疎水性タキサン誘導体が、式
    Figure 2011517683
    (式中、
    は、フェニルまたは−OtBuであり、
    、R、R、およびRは、独立に、Hまたは疎水基であり、
    かつR、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではなく、
    ただし、Rがフェニルであり、R、R、およびRが各々Hであるとき、Rはアセチル部分ではない)、
    の疎水性タキサン誘導体またはその薬学的に許容される塩、異性体、もしくは溶媒和物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記疎水性タキサン誘導体が、式
    Figure 2011517683
    (式中、
    は、フェニルまたは−OtBuであり、
    、R、R、およびRは、独立に、Hまたは−C(O)Rであり、
    各Rは、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分であり、
    かつR、R、R、およびRの少なくとも1つは、Hではなく、
    ただし、Rがフェニルであり、R、R、およびRが各々Hであるとき、Rはアセチル部分ではない)、
    の疎水性タキサン誘導体またはその薬学的に許容される塩、異性体、もしくは溶媒和物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. が、フェニルである、請求項11に記載の組成物。
  13. が、−OtBuである、請求項11に記載の組成物。
  14. 各Rが、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、−C〜C15アルキニル、−C〜C15シクロアルキル、−C〜C15シクロアルキル−アルキル、アリール、5〜7員ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換または非置換部分である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 各Rが、独立に、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 各Rが、独立に、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  17. 各Rが、独立に、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 各Rが、独立に、非置換フェニルまたは非置換メチルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 各Rが、独立に、非置換アリールである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 各Rが、独立に、非置換フェニルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 各Rが、独立に、非置換−C〜C15アルキルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 各Rが、独立に、非置換−C〜C10アルキルである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 各Rが、−CHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  24. 各Rが、−CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  25. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  26. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  27. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  28. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  29. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  30. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  31. 各Rが、−(CHCHである、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
  32. 、R、R、およびRの1つのみが、Hではない、請求項11から31のいずれか一項に記載の組成物。
  33. が、Hではない、請求項11から32のいずれか一項に記載の組成物。
  34. が、Hではない、請求項11から33のいずれか一項に記載の組成物。
  35. が、Hではない、請求項11から34のいずれか一項に記載の組成物。
  36. が、Hではない、請求項11から35のいずれか一項に記載の組成物。
  37. が、アセチル部分であり、R、R、およびRの1つのみが、Hではない、請求項11から36のいずれか一項に記載の組成物。
  38. 前記疎水性タキサン誘導体が、式
    Figure 2011517683
    (式中、Rは、−C(O)Rであり、
    は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびヘテロアラルキルから選択される置換もしくは非置換部分である)、
    0の疎水性タキサン誘導体またはその薬学的に許容される塩、異性体、もしくは溶媒和物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  39. が、−C〜C15アルキル、−C〜C15アルケニル、およびアリールから選択される置換または非置換部分である、請求項38に記載の組成物。
  40. が、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換−C〜C15アルキルである、請求項38に記載の組成物。
  41. が、非置換アリールまたは非置換−C〜C15アルキルである、請求項38に記載の組成物。
  42. が、非置換フェニルまたは非置換メチルである、請求項38に記載の組成物。
  43. が、非置換アリールである、請求項38に記載の組成物。
  44. が、非置換フェニルである、請求項38に記載の組成物。
  45. が、非置換−C〜C15アルキルである、請求項38に記載の組成物。
  46. が、非置換−C〜C10アルキルである、請求項38に記載の組成物。
  47. が、−(CHCHである、請求項38に記載の組成物。
  48. が、−(CHCHである、請求項38に記載の組成物。
  49. が、−(CHCHである、請求項38に記載の組成物。
  50. 前記疎水性タキサン誘導体が、式
    Figure 2011517683
    の疎水性タキサン誘導体またはその薬学的に許容される塩、異性体、もしくは溶媒和物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  51. 前記ナノ粒子が、HPLCによる5%HSA中、37度での溶解研究において、10μg/mlで約20nm超のサイズを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  52. 前記ナノ粒子が、HPLCによる5%HSA中、37度での溶解研究において、50μg/mlで約30nm超のサイズを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  53. 前記ナノ粒子が、HPLCによって5%HSA中、37度で測定したとき、下記の溶解プロファイル:(a)200μg/mlで約50nm超;b)100μg/mlで約40nm超;およびc)10μg/mlで約20nm超)の1つまたは複数を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  54. 前記ナノ粒子が、HPLCによって5%HSA中、37度で測定したとき、下記の溶解プロファイル:(a)400μg/mlで約60nm超;b)200μg/mlで約50nm超;c)100μg/mlで約40nm超;d)10μg/mlで約20nm超;e)5μg/mlで約20nm超)の1つまたは複数を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  55. 5%HSA中、37Cで測定した場合の溶解プロファイルのEC50が、同じナノ粒子製剤中の未修飾タキサンについてのEC50の約25%未満である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  56. 前記ナノ粒子組成物が、霊長類に投与されたときに、投与から約0.05時間〜約0.3時間後の血液中のCmaxを示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  57. 前記ナノ粒子組成物が、霊長類に投与されたときに、約1時間〜約5時間の最終半減期を伴う血液中の分解を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
  58. 個体に請求項1から57のいずれか一項に記載の有効量の組成物を投与することを含む、個体において増殖性疾患を治療する方法。
  59. 前記増殖性疾患が、癌である、請求項58に記載の方法。
  60. 前記癌が、固形腫瘍である、請求項59に記載の方法。
  61. 前記癌が、多発性骨髄腫、腎細胞癌、前立腺癌、肺癌、黒色腫、結腸癌、卵巣癌、および乳癌からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
  62. 前記癌が、乳癌である、請求項59に記載の方法。
  63. 前記癌が、卵巣癌である、請求項59に記載の方法。
  64. 前記癌が、結腸癌である、請求項59に記載の方法。
  65. 組成物を非経口的に投与する、請求項58から64のいずれか一項に記載の方法。
  66. 組成物を静脈内に投与する、請求項65に記載の方法。
  67. 疎水性タキサン誘導体を含むエマルジョンであって、(a)疎水性タキサン誘導体のための有機溶媒および疎水性タキサン誘導体のためのアルコール溶媒に溶解した疎水性タキサン誘導体の少なくとも一部を含むナノ液滴を含む第1相、ならびに(b)水および生体適合性ポリマーを含む第2相を含み、界面活性剤が実質的に存在しない、エマルジョン。
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