JP2011517341A - 小細胞肺癌バイオマーカーパネル - Google Patents

小細胞肺癌バイオマーカーパネル Download PDF

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Abstract

本発明は、概して癌の検出、診断、亜型分類、病期分類、予後、処置および予防の分野に関するものである。さらに特定すれば、本発明は、患者における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または病期分類方法に関するものである。バイオマーカーの特定のパネルに基づいて、本発明は、肺癌を検出、早期診断し、および/または小細胞肺癌(SCLC)を非小細胞肺癌(NSCLC)と区別し、NSCLC内で扁平上皮細胞癌(SCC)、腺癌(AC)間を区別し、SCC内でG2およびG3病期を識別し、肺癌内で神経内分泌に由来する肺癌と由来しない肺癌を区別する方法を提供する。さらに本発明は、インビトロおよびインビボの両イメージング技術を含む、患者における病気の進行のモニタリングにおける上記バイオマーカーパネルの使用に関するものである。インビトロイメージング技術は、典型的には上記患者から採取した試料、例えば血清または組織試料においてバイオマーカーのタンパク質または抗体を検出する免疫検定法を含む。インビボイメージング技術は、典型的には胸部放射線写真(X線)、コンピューター連動断層撮影(CT)イメージング、スパイラルCT、ポジトロン放射断層法(PET)、PET−CTおよびシンチグラフィーを含み、分子イメージングおよび診断および患者における病期の進行および処置応答のモニタリングを行う。したがって、本発明はさらなる態様では、インビトロおよびインビボ適用を目的とする上記バイオマーカーパネルの遺伝子発現またはタンパク質レベルを測定するための試薬を含む、上記診断および/または亜型分類および/または病期分類検定法およびイメージング技術を実施するためのキットを提供する。

Description

発明の分野
本発明は、概して癌の診断、予後、処置および予防の分野に関するものである。さらに具体的には、本発明は、患者における肺癌の亜型分類方法に関するものである。特定のバイオマーカーパネルに基づいて、本発明は、肺癌の(早期)診断方法および小細胞肺癌(SCLC)と非小細胞肺癌(NSCLC)を区別し、NSCLC内において扁平上皮細胞癌(SCC)、腺癌(AC)および結果として起こる大細胞癌を区別する方法、神経内分泌に由来する肺癌と由来しない肺癌を識別する方法、悪性度分類G2およびG3のSCC腫瘍を識別する方法、および肺癌の異質性の度合いの測定方法を提供する。
さらに、本発明は、インビトロおよびインビボの両イメージング技術を含む、患者における病気の進行のモニタリングにおけるバイオマーカーの上記パネルの使用を提供する。インビトロイメージング技術は、典型的には上記患者から採取した試料、例えば血清または組織試料における免疫検定法を含む。インビボイメージング技術は、典型的には胸部放射線写真(X線)、コンピューター連動断層撮影(CT)イメージング、スパイラルCT、ポジトロン放射断層法(PET)、PET−CTおよびシンチグラフィーを含む。
したがって、本発明のさらなる態様は、上記バイオマーカーパネルの発現を測定するための試薬を含む、上記イメージング技術を遂行するためのキットを提供する。特に後記で示すバイオマーカーパネルに特異的な抗体を含む。
発明の背景
肺癌は、最も頻度の高い癌のタイプの一つであり、さらに欧米諸国では、癌関連死の主因となっている。2004年には、肺癌は、ヨーロッパでの癌関連死の全症例の20%に、そして米国では29%に関与していた(1、2)。
肺癌は、一般的に2つのクラス、すなわち肺癌患者の約15〜20%を占める小細胞肺癌(SLCL)、および全肺癌患者の約80〜85%を占める非小細胞肺癌(NSLCL)に分類され、後者は、さらに扁平上皮細胞癌(SCC)、肺腺癌(AC)および大細胞癌(LC)に細分され得る。
主たる2群は、それらの成長および治療特性の両方において異なっている。SCLC腫瘍は、化学および放射線療法に対し感受性を示す攻撃的表現型を呈し、NSCLCは化学療法に感受性を示さないため、通常手術により処置される。しかしながら、現在、種々のタイプの肺癌に関して適切な処置プロトコルは存在しない。慣用的療法の場合、SCLCの亜型についての生存中央値は、限局型では15か月および進展型では9か月であり、長期生存は非常に低率である。2つの主たるカテゴリー間の作用差異について考慮すると、処置プロトコルについての決定は、特にSCLCおよびNSCLCへの細別結果に左右される。
他のタイプの肺癌とは異なり、SCLCは化学療法に感受性を示す。SCLCの症例の約75%において、化学療法に対する初回応答が認められ、全症例の約35%において臨床的に完全な応答を認めることができる(Johnson DH, et al., 1987; Am J Med Sci 293: 377-389)。しかしながら、不運なことに、ほとんどの症例で再発が起こり、3年生存率は僅か5〜10%、5年生存率は約1%という結果である(Minna JD, et al. 1985, Cancer of the lung、Cancer. Principles and practice of oncology 第2版)。SCLCのなかでは、臨床的に関連性のある細別が古典型と変異型SCLCの間で行われ得る。SCLCの変異型は、化学療法および放射線療法に対する感受性が劣るようである。その結果、変異型SCLC患者の生存期間中央値は、古典型SCLC患者の場合より著しく短い(Radice PA, et al. 1982, Cancer; 50: 2894-2902)。また、併発型SCLC患者については、古典型SCLC患者の場合よりかなり悪い予後が観察される(Hirsch FR et al, 1983, Cancer; 52: 2144-2150)。症例の約75%〜80%はNSCLC組織構造をもち、患者の大多数は、限局的に進行した病状(病期3)または転移性疾患(病期4)を呈する。重要なことに、目に見える限局型病巣に対し外科的切除治療が行われた患者は、50〜80%の範囲の生存率を有することから、潜在する微小転移疾患を治療するためには有効な全身的処置が必要であることがわかる。NSCLCに対する化学療法処置は、一般に有効ではない(Minna JD,et al. 1985, Cancer of the lung.、Cancer. Principles and practice of oncology、第2版)。従って、真に限局的な疾患の外科的処置についての高い治癒率は例外として、NSCLC患者に関する予後は厳しいものである(Mulshine JL,et al. 1986., J Clin Oncol; 4: 1704-1715)。しかしながら、患者の小さなサブセットでは、化学療法に対する応答を観察することができる。部分的ではあるが、これらの症例は、異成分から成る組成が肺癌では非常に一般的であることから、SCLC成分も存在するNSCLCを示すもかもしれない(上記参照)。
これらの患者についての代替的処置モダリティーが重大であることはこれらのデータから明らかであり得るが、肺癌の有効な処置および根絶を阻む大きな障害は、その診断が手遅れになりがちであり、種々のタイプの肺癌を適切に分類する技術が不十分であることである。
肺癌は、多くの場合、胸部放射線写真(X線)、コンピューター連動断層撮影(CT)イメージング、スパイラルCT、ポジトロン放射断層法(PET)、シンチグラフィー、生検、バイオマーカー分析または喀痰細胞診により診断される。他の診断試験の場合と同様、肺癌診断試験は、感度(試験により正確に識別される真の陽性の比率)および特異性(試験により正確に識別される真の陰性の比率)の測定を用いて評価される。診断試験は感度および特異性が乏しいことから誤診に至ることが多い。
胸部X線は、扁平上皮細胞癌により形成された病変または空洞を検出することによりNSCLCを診断することができる。しかしながら、一般に、胸部X線で肺癌が検出される頃には、癌は既に転移しており、完全な外科的切除は不可能となっている。CTは、癌細胞の拡散を追跡するのに使用され、肺癌の早期発見について標準的胸部X線よりは効果的であり得る。スパイラルCTは、肺癌の早期診断においてより高感度であり得るCTの一形態であるが、ある型の肺癌の検出に関して特異性および感度が低いことが報告されている。PETは、例えば縦隔中および肺で拡散した肺癌を検出することができる高感度で非侵襲性のイメージング技術である。しかしながら、PETイメージングにかかる費用を考えると、スクリーニング目的で気軽に利用できるものではない。シンチグラフィーは、患者に癌細胞と結合する放射性薬剤を投与するイメージング技術である。生検は、診断用に肺組織および細胞を入手する必要があり、胸腔鏡検査法、気管支鏡検査法(例、気管支肺胞洗浄またはBALによる)または穿刺方法により実施され得る。
バイオマーカー、例えばpRb2/p130、p53およびrasは、肺癌に関する診断剤としてみなされてきたが、早期診断用または肺癌の種々の型を分類(肺癌亜型分類)するためのバイオマーカーの適切なセットは、現時点では存在しない。今日、肺癌は主に、ニューロン特異エノラーゼ(NSE)、サイトケラチンフラグメント抗原21.1(CYFRA21−1)、サイトケラチンの群(CK4、CK5、CK6、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19およびCK20)、癌胎児性抗原(CEA)、ガストリン放出ペプチド(GRP−ProGRP)、クロモグラニン(CHGA)、甲状腺転写因子−1(TITF−1)、シナプトフィシン(SYPH)および神経内分泌特異タンパク質(NSP)を用いて診断される。この点で、肺癌の神経内分泌分化について常用されるパネルは、NSE、SYPHおよびCHGAにより構成される。上記の既知肺癌マーカーのそれぞれの価値にもかかわらず、肺腫瘍抗原の異質性を考慮した場合、非小細胞肺癌(NSCLC)亜型分類について所望の感度および特異性をもち、そして小細胞肺癌(SCLC)を特異的に早期発見するための適切な腫瘍マーカーパネルは、現時点では見つかっていない。上記腫瘍マーカーまたは腫瘍マーカーパネルを用いた場合、非悪性肺疾患(例、慢性閉塞性肺疾患(COPD))患者、非小細胞肺癌(NSCLC)患者および他の内分泌(NE)腫瘍患者または脳腫瘍患者におけるSCLC診断において高い比率で偽陽性をもたらす。現マーカーのさらなる不利な点は、大多数にとって免疫組織化学的染色のみ可能であり、血清学的測定は行えないことである。
臨床現場では、治療法の選択、予後および治療応答の尤度が全て診断によって大幅に変わるため、癌の様々な亜型の的確な診断が重要となる。正確な予後、または遠隔転移を伴わない生存についての決定により、腫瘍学者は、予後不良の患者により集中的な処置を施しながら、アジュバント化学療法の適用を調整することができる。さらに、潜在的治験対象患者は予後に従って等級別に分類され得るため、予後不良に関する正確な予測は、新たな肺癌治療法に関する治験に大きく影響する。治験は予後不良の患者に限定され、従って実験的治療が有効であるか否かを識別し易くなる。現在までのところ、臨床情報のみに基づいた予後に関する一連の満足すべき予測因子は同定されていない。
したがって、現行診断ツール(前出)の短所を克服する、肺癌の(早期)診断、亜型分類、識別、病期分類、予後、モニタリングおよび処置の継続管理のための特異的な方法および試薬を提供することは有益である。
本発明において、発明者らは、特異的に選択されたモノクローナル抗体の組み合わせを用いることによる腫瘍特異抗原の血清学的検出により、肺癌の診断および亜型分類を高感度で特異的に行えることを示す。これらの腫瘍特異抗原は、腫瘍脈管供給の到達範囲を越える腫瘍成長により誘発される腫瘍部分の壊死、免疫応答故の腫瘍拒絶、食細胞受容力を上回る細胞死に起因するか、または有効な腫瘍処置の結果として末梢循環系で放出される。
発明の要約
本発明の目的は、対象における肺癌の(早期)診断、亜型分類および分化度の測定のためのインビトロ方法であって、(a)上記対象から試料を入手し、(b)NCAMスプライス変異型NCAM120、NCAM140および/またはNCAM180、サイトケラチン(CK)、神経内分泌特異タンパク質(NSP)−レティキュロン(RTN1)、シナプトフィシン(SYPH)、クロモグラニンA(CHGA)、甲状腺転写因子−1(TITF−1)、γニューロン特異エノラーゼ(γNSE)および熱ショックタンパク質−47(HSP47)から成る群から選択される少なくとも2種の腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または異質性の程度の測定または病期分類が可能となる方法を提供することである。
特定の一実施態様において、下記のさらなる実施態様から明らかなように、上記方法における少なくとも2種の遺伝子のうちの一つは、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型のNCAM180により構成される。
したがって、本発明の目的は、対象における肺癌の(早期)診断、亜型分類および分化度の測定または病期分類のためのインビトロ方法であって、(1)上記対象から試料を入手し、(2)NCAM180またはNCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型の発現を測定し、(3)NCAMスプライス変異型NCAM120またはNCAM140、サイトケラチン(CK)、神経内分泌特異タンパク質(NSP)−レティキュロン(RTN1)、シナプトフィシン(SYPH)、クロモグラニンA(CHGA)、甲状腺転写因子−1(TITF−1)、γニューロン特異エノラーゼ(γNSE)および熱ショックタンパク質−47(HSP47)から成る群から選択される少なくとも1種の腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または異質性の程度の測定または病期分類が可能となる方法を提供することである。
本発明の特定の一実施態様において、本方法は、(a)上記対象から試料を入手し、(b)NCAM、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型、サイトケラチン(CK)および神経内分泌特異タンパク質(NSP)−レティキュロン(RTN1)から成る群から選択される腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または異質性の程度の測定または病期分類が可能となる。
本発明で使用されているサイトケラチンは、典型的には、CK4、CK5、CK6(2種のサイトケラチン遺伝子/タンパク質CK6aおよびCK6bである)、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19およびCK20から成る群から選択される。本発明の方法の特定の具体例では、少なくとも2種のサイトケラチンの発現が測定されている。さらなる実施態様でも、上記CK遺伝子/タンパク質の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の発現/存在が使用される。以下で例証するように、本発明の一具体例において、本発明で使用されるサイトケラチンは、CK6(2種のサイトケラチン遺伝子/タンパク質CK6aおよびCK6bである)、CK16およびCK17から選択される。
種々のタイプの肺癌の亜型分類または病期分類では、上記遺伝子の2またはそれ以上の発現を使用する。特定の一実施態様では、上記遺伝子の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の発現を測定する。さらなる実施態様でも、上記遺伝子の全部の発現を、対象における肺癌の亜型分類方法において使用する。
本発明の方法の一実施態様では、NCAM180の発現、および特にNCAMエキソン18抗原を発現するNCAMスプライス変異型の発現を、上記工程(3)で挙げた1または複数の腫瘍マーカーと組み合わせて使用することにより、SCLCとNSCLCとを区別する。さらなる特定の実施態様では、NCAM180および特にNCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型の発現を、CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20から成る群から選択される1または複数(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9または全部)のサイトケラチン遺伝子と組み合わせて使用することにより、SCLCとNSCLCとを区別する。
上記の実施態様において、
SCLCは、サイトケラチン遺伝子CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20の非存在下におけるNCAM180(すなわち、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型)、CK8およびCK18の発現を特徴とし、
NSCLCは、NCAM180(すなわち、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型)の非存在下におけるCK19、CK6/CK16/CK17(すなわち、CK6およびCK16およびCK17の組)および/またはCK8/CK18(すなわち、CK8およびCD18の組)の発現、特にNCAM180(すなわち、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型)の非存在下におけるCK19、CK6/CK16/CK17またはCK8/CK18の発現を特徴とする。
第2の実施態様では、NCAM180(すなわち、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型)の発現を、サイトケラチン遺伝子CK4、CK5、CK6、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19および/またはCK20のうちの1つまたは複数(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または全部)と組み合わせて使用することにより、対象においてNSCLCを検出および/または診断および/またはNSCLCについて測定または亜型分類(すなわち、腺癌対扁平上皮細胞癌に亜型分類)する。
上記の第2実施態様の一目的において、NSCLCの腺癌分化または亜型は、少なくともCK7、CK8/CK18(すなわち、CK8およびCK18の組)およびCK19の発現、およびCK20、NCAM180(すなわち、NCAMエキソン18を発現するNCAMスプライス変異型)およびCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16およびCK17から成る群から選択されるサイトケラチン遺伝子の1つまたはそれ以上(すなわち、2、3、4、5、6、7、8または全部)の欠如を特徴とする。
上記の第2実施態様の別の目的において、NSCLCの扁平上皮細胞癌(SCC)分化または亜型は、NCAM180、CK20およびCK7の非存在下におけるCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK19から成る群から選択されるサイトケラチン遺伝子の1つまたはそれ以上(すなわち、2、3、4、5、6、7、8、9または全部)の発現を特徴とする。この第2実施態様のさらに別の目的では、NSCLCのSCC亜型のG3ではなくG2期の扁平上皮細胞癌は、NCAM180、CK20およびCKの非存在下におけるサイトケラチン遺伝子CK17の発現を特徴とする。
第3の実施態様では、さらにNSP−レティキュロン(RTN1としても知られる)、NCAM、NSE、SYPHおよび/またはCHGAの発現を用いることにより、肺癌の神経内分泌分化を測定する。この代替的実施態様では、神経内分泌分化は、NSE、SYPHおよび/またはCHGAから選択される少なくとも2遺伝子の発現を特徴とする。特にNSE、SYPHおよび/またはCHGAの発現、さらに特定すればNSPおよび/またはNSEの発現を用いることにより、神経内分泌分化を伴う肺癌と伴わない肺癌とを区別する。このように神経内分泌に由来する肺癌と由来しない肺癌をさらに分類することは、標的治療がますます一般的になってきているため重要であり得る。
同様に、CK20およびNCAM180の非存在下におけるCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK19、NSEおよびHSP47から成る群から選択される少なくとも1つの遺伝子の付加的発現を用いることにより、腺癌または他のNSCLC亜型である非扁平上皮NSCLCから扁平上皮細胞癌を区別することができる。
上記第3の実施態様のさらに別の目的では、CK8、CK18およびCK20の発現を用いることにより、神経内分泌メルケル細胞癌を検出および/または診断することができる。
また、対象における肺癌の(早期)診断、亜型分類および分化度の測定のためのインビトロ方法であって、(a)上記対象から試料を入手し、(b)NCAM、NCAMエキソン18、NSPおよび2種またはそれ以上のサイトケラチン抗原(特にCK6、CK16およびSK17による)から成る群から選択される腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在または欠如により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または異質性の度合いの測定または病期分類が可能となる方法を提供することも一目的である。
上述の方法のいずれにおいても、試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、胸部滲出液、脳脊髄液、涙液、痰、粘液、リンパ液、胸水、腫瘍組織および気管支肺胞洗浄液から成る群から選択される。
上記で挙げたマーカー遺伝子の発現レベルは、典型的にはタンパク質または核酸レベルで行われる当該分野で周知の手順を用いて測定される。
発現レベルの測定方法には、以下のものがある;
−上記遺伝子によりコード化されるタンパク質と特異的に結合する抗体を用いて発現レベルを測定する免疫検定法、または
−上記遺伝子をコード化する核酸分子にハイブリダズするプローブを用いて発現レベルを測定するハイブリダイゼーション検定法、
−描写パネルを用いて、腫瘍組織における上記腫瘍抗原をインビトロで診断/亜型分類および病期分類する免疫組織化学法、
−描写パネルをインビボ診断に用いて、病気の進行または処置に対する応答をモニタリングするイメージング法。
例えばNCAM180の場合、遺伝子発現または遺伝子産物は、NCAMエキソン18領域に特異的な抗体またはDNA−プローブにより特異的に検出される。後記実施例の記載によると、NCAMエキソン18に特異的な抗体には、限定されるわけではないが、モノクローナル抗体MUMI21B1、MUM1、MUM4およびMUM6がある。
さらなる態様では、本発明は、肺癌処置に対する対象の応答のモニタリングにおける上記で同定した遺伝子の使用を提供する。
一具体例では、遺伝子を肺癌のインビボイメージングで使用し、さらに特定すれば、NCAM、NCAMエキソン18、CK6/16/CK17、RTN1、SYPH、CHGAおよびNSEから成る群から選択される遺伝子を、これらのインビボイメージング技術で使用する。
当該分野で周知のインビボイメージング技術、例えばコンピューター連動断層撮影(CT)、ポジトロン放射断層法(PET)および/またはPET−CTなどを使用することができる。
また、本明細書記載の遺伝子の発現を測定するための試薬を含む、対象において肺癌を亜型分類または病期分類するためのキットも本発明の一態様である。
本発明のこれらおよび他の態様を本明細書ではさらに詳細に記載する。
配列の説明
配列番号1は、ヒトNCAMエキソン18に関するヌクレオチド配列である。
配列番号2は、ヒトNCAMエキソン18に関するアミノ酸配列である。
配列番号3は、ヒトNCAM180に関するヌクレオチド配列である。
配列番号4は、ヒトNCAM180に関するアミノ酸配列である。
配列番号5は、ヒトNCAMエキソン18のフラグメントに関するヌクレオチド配列である。
配列番号6は、配列番号5によりコード化されるヒトNCAMエキソン18のフラグメントに関するアミノ酸配列である。
示差的発現PCRの原理の概略図。プライマーセットAについては、フォワードプライマーをエキソン17で設計し、リバースプライマーをエキソン19で設計した。プライマーセットBについては、フォワードおよびリバースの両プライマーをNCAMエキソン18で設計した。NCAM140を発現する細胞のPCR増幅は、プライマーセットAにより180bp PCR産物をもたらし、プライマーセットBではアンプリコンを生じなかった。NCAM180を発現する細胞は、プライマーセットBにより600bpのPCRアンプリコンを生じる。NCAM140およびNCAM180の両方を発現する細胞は、両プライマーセットによりPCR産物をもたらす。
小細胞肺癌(SCLC、N=4)に由来する細胞培養におけるNCAM180の一部としてNCAMエキソン18の過剰発現、非小細胞肺癌(NSCLC、N=5)および健康な対照の末梢血単核細胞(PBMC)における発現無し、および神経内分泌腫瘍(SH−SYSYおよびCCI)に由来するセルラインにおける低〜中度の発現。NCAMエキソン18を発現する細胞は、NCAMエキソン18特異的PCRにおいて604bpのPCR産物をもたらす。NCAM140kDaスプライス変異型を発現する細胞は、NCAMエキソン17〜19PCR増幅反応に関して180bp産物を有する。
肺癌患者(N=7、黒色バー)および対照(N=7、灰色バー)の血清におけるNCAM抗原検出。サンドウィッチELISAを用いて血清抗原レベルを測定した。ELISAプレートを、NCAM特異的モノクローナル捕捉抗体(123C3)でコーティングし、BSAで遮断した。1:4希釈した血清をインキュベーションし、ビオチン標識NCAM特異的検出抗体(RNL−1)を加えた。ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンおよびTMB基質を用いて、NCAM血清抗原レベル検出を実施した。血清試料で測定されたNCAM抗原のレベルを表すOD450値を患者および対照について示す。 免疫組織化学法により示された一次ヒト肺腫瘍におけるNSP発現。
肺癌患者(N=7、黒色バー)および対照(N=7、灰色バー)の血清におけるNCAMエキソン18−抗原検出。サンドウィッチELISAを用いて、血清NCAMエキソン18−抗原レベルを測定した。ELISAプレートを、捕捉抗体でコーティングし、BSAで遮断した。使用した捕捉抗体は、A〜CについてはMUMI21B2およびDについてはRNL−1であった。1:4希釈した血清をインキュベーションし、ビオチン標識検出抗体を加えた。使用した検出抗体は、AについてはMUM1、BについてはMUM4、CについてはMUM6およびDについてはMUMI21B2であった。ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンおよびTMB基質を用いて、抗原検出を実施した。NCAMエキソン18−抗原検出のために、4種の異なる抗体の組を使用した。
扁平上皮細胞癌(SCC)で過剰発現されることが見出されたタンパク質の発現を示す組織アレイに対する免疫組織化学法。気管支上皮、扁平上皮細胞癌、腺癌および大細胞癌染色の代表的な写真を各抗体について示す。
肺癌亜型特異的バイオマーカーを用いた診断指針。陽性血清抗原力価:黒色;血清抗原力価無し:白色;抗体組間で相違し得る病期特異的反応性:明灰色。Adeno:腺癌;NE:神経内分泌;LC:大細胞癌;COPD:慢性閉塞性肺疾患、SCLC:小細胞肺癌、NSCLC:非小細胞肺癌。
発明の詳細な記載
本発明は、癌に罹患していない対象由来の健康な細胞と比較される、肺癌に罹患した対象に由来する健康な細胞および/または悪性肺癌細胞で示差的に発現されるバイオマーカー、例えば核酸分子およびその発現産物を提供する。バイオマーカーを、肺癌の早期発見のための迅速な多因子検定法で使用することにより、種々の亜型を区別し、既知の肺癌の異質性の程度を測定することができる。

「癌」または「新生物」なる語は、生理学的な機能を全く果たさない細胞のいずれかの望ましくない成長を意味する。一般に、新生物の細胞は、その正常な細胞分裂の統制から外れてしまったものであり、すなわち、その成長が、細胞環境における通常の生化学的および物理的影響により調節されない細胞である。たいていの場合、新生物細胞は、増殖することにより、悪性であり得る細胞のクローンを形成する。
癌という語は、専門的には良性であるが、悪性になる危険を秘めた細胞の成長も包含する。「悪性腫瘍」とは、細胞型または組織の異常な成長を意味する。悪性腫瘍なる語は、前癌状態である細胞成長を含む。
該用語はまた、いずれかの癌、癌腫、新生物、新形成または腫瘍を包含する。ほとんどの癌は、組織学的に大きく次の3つに分類される:圧倒的に多い癌であって、上皮細胞または臓器、腺または他の身体構造(例、皮膚、子宮、肺、胸部、前立腺、胃、腸)の外部または内部表面を覆う細胞の癌であり、転移する傾向がある癌腫、結合または支持組織(例、骨、軟骨、腱、靭帯、脂肪、筋肉)から発生する肉腫、および骨髄およびリンパ組織に由来する血液腫瘍。癌腫は、腺癌(一般的に分泌機能を有する臓器または腺、例えば胸部、肺、結腸、前立腺または膀胱で発生する)であり得るか、または扁平上皮細胞癌(扁平上皮を起源とし、一般に身体のほとんどの領域で発生する)であり得る。
癌はまた、例えば、乳、脳、肺、肝臓、皮膚、前立腺、精巣、膀胱、結腸および直腸、子宮頚、子宮癌など、最初に発生した臓器、すなわち「原発部位」に基づいて命名され得る。癌が、原発部位とは異なる別の身体部分に転移した場合でも、この命名は存続する。原発部位に基づいて命名された癌は、組織学的分類と相関関係をなし得る。例えば、肺癌または肺の気管支原性癌は、一般的に肺の上皮細胞で発生することから、一般的に「小細胞癌」または「SCC」および「非小細胞肺癌」または「NSCLC」に分類される。NSCLCは、腺癌、扁平上皮細胞癌および大細胞癌を包含する。既に上記で概説したように、本発明のバイオマーカーは、患者における種々のタイプの肺癌を特性確認するのに特に有用である。
バイオマーカー
本発明は、癌に罹患していない対象に由来する正常細胞と比較される、肺癌罹患対象に由来する組織学的に正常な細胞および/または悪性肺癌細胞で示差的に発現されるバイオマーカー、例えば核酸分子およびその発現産物を提供する。
「バイオマーカー」とは、特異な生物学的特性を有する分子指標であり、本明細書で使用される場合、細胞または組織内におけるその示差的発現(存在、非存在、基準との比較における過剰発現または過少発現)が肺癌の存在または非存在を示すものである、核酸分子(例、遺伝子または遺伝子フラグメント)またはその発現産物(例、ポリペプチドまたはペプチドフラグメントまたはその変異型)である。本明細書で使用されている「発現産物」なる語は、転写されたセンスまたはアンチセンスRNA分子(例、mRNA)、またはポリヌクレオチド配列に対応するかまたはそれに由来する翻訳されたポリペプチドである。実施態様によっては、発現産物が、ポリヌクレオチド配列から転写されたRNA発現産物に対応する増幅産物(アンプリコン)またはcDNAをさす場合もある。バイオマーカーの「パネル」は、2種またはそれより多数のバイオマーカーの組み合わせである。
「示差的発現」または「示差的に発現された」という表現は、基準細胞または組織または試料と比較された場合の肺癌対象から由来の細胞または組織または試料中における、例えば基準または正常細胞、例えば癌の存在しない対象または検出不可能な癌を有する対象に由来する細胞または肺癌切除手術が成功した対象から由来の正常細胞と比較された場合の悪性肺癌細胞および/または肺癌対象から由来の正常細胞(すなわち、悪性腫瘍に関連した変化を有する細胞)における、バイオマーカーの頻度または量、またはその両方の差異を意味する。実施態様によっては、対照または基準細胞は、SCLCまたはNSCLCであってもよい。実施態様によっては、示差的発現は、基準細胞と比べた場合の悪性肺癌細胞におけるバイオマーカーの頻度または量またはその両方の差異をいう。例えば、バイオマーカーの示差的発現は、基準対象の試料と比べて肺癌患者の試料中におけるバイオマーカーの発現レベルが上昇または減少している場合をいい、例えば、健康な対象および気管支炎および細気管支炎などの気道感染症に罹患した対象を含む、非肺癌対照から採取された血液、尿、唾液、血清、胸水または気管支肺胞洗浄液試料におけるタンパク質レベルまたは抗体力価の測定結果と比べた場合の肺癌患者から採取された血液、尿、唾液、血清、胸水または気管支肺胞洗浄液試料におけるタンパク質レベルまたは抗体力価の測定結果をいう。別法として、またはさらに、バイオマーカーの示差的発現は、基準対象の試料と比べて肺癌患者の試料中における高頻度または低頻度でのバイオマーカーの検出をいう。バイオマーカーは、量、頻度またはその両方に関して示差的に存在することができる。実施態様によっては、本発明バイオマーカーの示差的発現は、異なる時点で、例えば治療の前後に測定され得る。「発現のレベル」とは、細胞における遺伝子によりコード化される、mRNA、並びにプレmRNA新生転写物、転写物プロセッシング中間体、成熟mRNAおよび分解産物のレベル、および/または細胞中におけるタンパク質、タンパク質フラグメントおよび分解産物のレベルをいう。
バイオマーカーの量または頻度またはその両方の差異は、統計的技術などの適切な技術により測定され得る。例えば、スチューデントのt検定などの標準統計分析により測定された、肺癌試料におけるバイオマーカーの検出頻度が基準試料の場合より有意に高いかまたは低い場合、バイオマーカーは、肺癌試料および基準試料間で示差的に発現されることができる(この場合、p<0.05は一般的に統計的に有意であるとみなされる)。いくつかの実施態様において、バイオマーカーが、基準試料と比べて肺癌試料において少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはそれより高率または2、5、10倍またはそれより高い倍率で高または低頻度で検出される場合、それは示差的に発現されている。別法として、またはさらに、肺癌中のバイオマーカーの量が、基準試料中のバイオマーカーの量と比べて例えば少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはそれより高率または2、5、10倍またはそれより高い倍率で統計的に有意に異なる場合、またはバイオマーカーが一試料では検出可能であり、他の試料では検出できない場合、それは示差的に発現されている。実施態様によっては、示差的発現は、基準試料と比べて試験試料において少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100%またはそれより高い比率または2、5、10倍またはそれより高い倍率での発現の増加または減少をいう。
「試料」は、対象から単離された臓器、組織、細胞または細胞抽出物、例えば肺癌に罹患しているかまたは(例えば家族歴または重度喫煙などの個人歴に基づいて)肺癌に関する危険性が高い哺乳類から単離された試料であることができる。例えば、試料は、限定はされないが、(例えば生検または剖検からの)細胞または組織、充実性肺腫瘍、痰、咳、気管支肺胞洗浄液、気管支擦過物、頬粘膜、末梢血、全血、赤血球濃縮物、血小板濃縮物、白血球濃縮物、血液細胞タンパク質、血漿、高血小板血漿、血漿濃縮物、血漿分画からの沈殿物、血漿分画による上清、血漿タンパク質フラクション、精製または部分精製血液タンパク質または他の成分、血清、組織または穿刺生検試料および胸水など、肺癌哺乳類から単離されたもの、または患者(ヒトまたは動物)、試験対象、健康なボランティアまたは実験動物から得られた他の標本またはその抽出物を含み得る。対象は、ヒト、ラット、マウス、ヒト以外の霊長類などであり得る。また試料は、組織片、例えば組織分析用に冷凍された薄片を含み得る。また、「試料」は、対象から直接単離されたのではなく、実験条件下で作製された細胞またはセルラインであり得る。
「対照」または「基準」は、ベースラインの発現または活性の決定で使用するために得られた試料を含む。したがって、対照試料は、非癌細胞または組織から、例えば対象の腫瘍または癌細胞の周囲にある細胞から、癌に罹患していない対象から、癌の危険性の疑いがない対象から、または上記対象に由来する細胞またはセルラインからいくつかの手段により入手され得る。対照はまた、以前に確立された標準、例えば以前に特性確認されたSCLC、SQC、ACおよびNSCLCのそれぞれ神経内分泌に由来するものまたは由来しないものを含むNSCLCを含む。したがって、本発明に従って実施される試験または検定法は、確立された標準と比較され得、毎回比較用の対照試料を入手することは必ずしも必要ではない。
本発明による、異なる種類の肺癌を亜型分類するためのバイオマーカーには、NCAM120、NCAM140、NCAM180、サイトケラチン(CK)、神経内分泌特異タンパク質(NSP)−レティキュロン1A(RTN1)、シナプトフィシン(SYPH)、クロモグラニン(CHGA)、甲状腺転写因子(TITF−1)、ニューロン特異エノラーゼ(NSE)およびHSP47がある。これらのバイオマーカーのうちの2種またはそれ以上、例えば、バイオマーカーのうちの2、3、4、5、6、7等〜全部は、何らかの組み合わせで本発明による検定法において併用され得る。一部の実施態様では、バイオマーカーのうちの1つまたは複数が検定から特異的に排除され得る(前出)。一部の実施態様では、特定の組み合わせを、例えばSCLCとNSCLCを区別する際に使用する。本発明の特定の一実施態様では、NCAM180を、NCAM120、NCAM140、サイトケラチン(CK)、レティキュロン1A(RTN1)、CD45、シナプトフィシン(SYPH)、クロモグラニン(CHGA)、甲状腺転写因子(TITF−1)、γ−ニューロン特異エノラーゼ(γ−NSE)およびHSP47から成る群から選択される少なくとも1つまたは複数のバイオマーカーと組み合わせて使用する。上記実施態様では、NCAM180kDaスプライス変異型発現を、NCAMエキソン−18領域に関する抗体またはプローブにより特異的に測定する。
本発明によるバイオマーカーは、本明細書記載の核酸分子およびその発現産物の実質的に同一の相同体および変異型、例えば本発明のバイオマーカーと機能的に等価のポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む分子、例えば1つまたは複数のヌクレオチド置換、付加または欠失を有する配列、例えば対立遺伝子変異型またはスプライス変異型または種変異型または遺伝子コードの縮重故に本明細書記載の表に示した核酸分子およびポリペプチドとは異なる分子を含む。種変異型は種ごとに異なる核酸配列であるが、生成されるポリペプチドは、一般的に互いに顕著なアミノ酸同一性および機能類似性を有する。多形変異型(例、一塩基多形またはSNP)は、所定の種の個体間における特定遺伝子の核酸配列の変異形である。
「実質的に同一の」配列は、本明細書で検討している1つまたは複数の保存的置換のみ、またはアミノ酸または核酸分子の生物学的機能を破壊することのない配列位置に配置された1つまたは複数の非保存的置換、欠失または挿入が基準配列とは異なるアミノ酸またはヌクレオチド配列である。かかる配列は、例えば Align Program(Myers および Miller, CABIOS, 1989, 4:11-17)またはFASTAを用いてアミノ酸またはヌクレオチドレベルで比較用配列に対し最適な形で整列させたとき、10%〜99%の整数%、さらに一般的には少なくとも10%、20%、30%、40%、50、55%または60%、または少なくとも65%、75%、80%、85%、90%または95%、さらには96%程度、97%、98%または99%同一であり得る。ポリペプチドの場合、比較配列の長さは、少なくとも2、5、10または15アミノ酸、または少なくとも20、25または30アミノ酸であり得る。別の態様において、比較配列の長さは、少なくとも35、40または50アミノ酸、または60より大、80または100アミノ酸であり得る。核酸分子の場合、比較配列の長さは、少なくとも5、10、15、20または25ヌクレオチド、または少なくとも30、40または50ヌクレオチドであり得る。別の態様において、比較配列の長さは、少なくとも60、70、80または90ヌクレオチド、または100より大、200または500ヌクレオチドであり得る。配列同一性は、公に入手可能な配列解析ソフトウェア(例、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、ユニバーシティー・アベニュー1710、マディソン、ウィスコンシン53705、または the National Library of Medicineから入手可能なBLASTソフトウェア、または本明細書記載のもの)を用いて容易に測定され得る。有用なソフトウェアの例には、プログラム Pile-up および PrettyBox がある。上記ソフトウェアは、様々な欠失、置換および他の修飾との相同性の程度を割り当てることにより類似配列を適合させる。別法として、またはさらに、2つの核酸配列が高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする場合、それらは「実質的に同一」であり得る。一部の実施態様において、高ストリンジェンシー条件は、例えば、65℃の温度で0.5MのNaHPO4、pH7.2、7%SDS、1mMのEDTAおよび1%BSA(フラクションV)を含む緩衝液中、または42℃の温度で、48%ホルムアミド、4.8×SSC、0.2Mのトリス−Cl、pH7.6、Ixデンハート溶液、10%硫酸デキストランおよび0.1%SDSを含む緩衝液中、少なくとも500ヌクレオチド長のDNAプローブを用いて行われるハイブリダイゼーションと同等のハイブリダイゼーションを行わせ得る条件である。(これらは、高ストリンジェンシーのノーザンまたはサザン・ハイブリダイゼーションに関する典型的条件である。)ハイブリダイゼーションは、約20〜30分、または約2〜6時間、または約10〜15時間、または24時間またはそれより長い期間にわたって実施され得る。また、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、例えば高ストリンジェンシーPCR、DNA配列決定、1本鎖高次構造多形解析および in situ ハイブリダイゼーションなど、分子生物学者が常用的に実施する多様な技術の成果に依存する。ノーザンおよびサザン・ハイブリダイゼーションとは対照的に、これらの技術は、通常比較的短いプローブ(例、通常、PCRまたは配列決定については約16ヌクレオチドまたはそれより長いもの、および in situ ハイブリダイゼーションについては40ヌクレオチドまたはそれより長いもの)で実施される。これらの技術で使用される高ストリンジェンシー条件は、分子生物学の分野における専門家には周知のものであり、それらの例は、例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons(ニューヨーク、ニューヨーク、1998)に記載されており、これについては出典明示で援用する。
バイオマーカーを用いた試薬の製造
本明細書記載のバイオマーカーを用いることにより、本明細書記載の表に列挙されたバイオマーカーおよびその相同体および変異型とハイブリダイゼーションするかまたは特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブおよび抗体が製造され得る。
抗体
「抗体」は、抗原結合領域を有する分子、例えば、いずれかのアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)の全抗体およびそのフラグメントを包含する。抗体フラグメントには、Fab´、Fab、F(ab´)2、単一ドメイン抗体、Fv、scFvなどがある。抗体は、例えば、Harlow および Lane (Harlow および Lane Antibodies; A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, コールドスプリングハーバー、ニューヨーク、1988)に記載されているか、または当業者に公知の標準製造技術を用いて製造され得る。例えば、本発明のポリペプチドバイオマーカーについてのコーディング配列は、ウサギの免疫化に必要な程度まで精製され得る。抗血清の低い親和性または特異性に関する潜在的問題を最小限にとどめる試みとして、2または3個のポリペプチド構築物を各タンパク質について作製し、各構築物を少なくとも2匹のウサギに注射し得る。抗血清を、好ましくは少なくとも3回のブースター注射を含む一連の注射により産生させ得る。初回免疫をフロイント完全アジュバントにより実施し、後続の免疫をフロイント不完全アジュバントにより実施し得る。抗体力価は、精製タンパク質を用いるウエスタンブロットおよび免疫沈降分析によりモニタリングされ得る。免疫血清は、CNBr−セファロース結合タンパク質を用いてアフィニティー精製され得る。抗血清特異性は、非関連タンパク質のパネルを用いて測定され得る。抗体フラグメントは、遺伝子組換え技術またはタンパク質加水分解的開裂により製造され得る。本発明ポリペプチドバイオマーカーの比較的特有な免疫原性領域に対応するペプチドを製造し、導入されたC−末端リシンを通じてキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングさせ得る。これらのペプチドのそれぞれに対する抗血清を、BSAにコンジュゲートしたペプチドでアフィニティー精製し、ペプチドコンジュゲートを用いるELISAおよびウエスタンブロットで、またウエスタンブロットまたは免疫沈降法により特異性を試験し得る。
標準ハイブリドーマ技術に従って、本発明ポリペプチドバイオマーカーのいずれか一つと特異的に結合するモノクローナル抗体を調製する(例、Kohler et al., Nature 256:495, 1975; Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:511, 1976; Kohler et al., Eur. J. Immunol. 6:292, 1976; Hammerling et al., In Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas, Elsevier, ニューヨーク、1981 参照)。別法として、モノクローナル抗体は、本発明ポリペプチドおよびファージディスプレーライブラリーを用いて調製され得る(Vaughan et al., Nature Biotech 14:309-314, 1996)。調製完了後、モノクローナル抗体はまた、ウエスタンブロットおよび免疫沈降法により特異的認識について試験され得る。
一部の実施態様では、例えば高頻度の荷電残基などの基準により、免疫原性であると思われるポリペプチドフラグメントを用いて、抗体を産生させ得る。例えば、ある種からの抗原結合ドメインおよび別の種からのFc部分を含むキメラ抗体を用いることにより、または適切な種のハイブリドーマから作られた抗体を用いることにより、有害な宿主免疫応答を最小限にするように抗体を調整し得る。例えばNCAM180による場合、MUMタンパク質またはNCAM−MUMとしても知られている、NCAMエキソン18領域に特異的となるように抗体を調整する(PCT公開第2007−104511号参照)。
抗体が、抗原、例えば本明細書記載のバイオマーカーを認識および結合するが、試料中の他の分子に実質的に認識および結合しないとき、それは抗原と「特異的に結合している」。例えば、上記の抗体は、試料中の別の基準分子についての抗体の親和性よりも少なくとも2、5、10、100、1000または10000倍の率で大きい抗原に対する親和性を有する。上記条件下における抗体への特異的結合は、特定バイオマーカーに関するその特異性について選択される抗体を必要とし得る。例えば、ラット、マウスまたはヒトなどの特定種からのバイオマーカーに対して産生されるポリクローナル抗体は、バイオマーカーの多形変異型および対立遺伝子を除き、他のタンパク質とではなく、バイオマーカーと特異的な免疫反応性を示すポリクローナル抗体についてのみ選択され得る。一部の実施態様では、ラット、マウスまたはヒトなどの特定種からのバイオマーカーに対して産生されるポリクローナル抗体は、バイオマーカーの多形変異型および対立遺伝子を含め、他のタンパク質とではなく、その種由来のバイオマーカーと特異的な免疫反応性を示すポリクローナル抗体についてのみ選択され得る。本明細書記載のバイオマーカーのいずれかと特異的に結合する抗体は、試料を抗体と接触させ、試料中においてバイオマーカーと結合した抗体の複合体の存在を検出することによる免疫検定法で使用され得る。免疫検定法で使用される抗体は、本明細書記載または当該分野で公知のように製造され得るか、または Dako Canada, Inc.(ミッシサウガ、オンタリオ)などの供給業者により市販され得る。抗体を、試料との接触前に固体基質(例、ナイロン、ガラス、セラミック、プラスチックなど)に固定することにより、後続の検定手順が簡易化され得る。抗体−バイオマーカー複合体は、様々な標準手順、例えば放射能、蛍光、ルミネセンス、化学発光、吸光度の検出または顕微鏡、イメージングなどを用いて視覚化または検出され得る。免疫検定法には、免疫組織化学法、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、ウエスタン・ブロッティング、免疫放射線検定法(IRMA)、側方流動試験、エバネッセンス法(欧州特許公開EP1371967、EP1079226およびEP1204856号に記載された、DiaMed AG、Cressier sur Morat、スイス国)、免疫組織/細胞化学法および当業者に周知の他の方法がある。免疫検定法は、試料中におけるバイオマーカーの存在または非存在並びに試料中のバイオマーカーの量を測定するのに使用され得る。抗体−バイオマーカー複合体の量は、基準または標準物質、例えば試料中に存在することが判明しているポリペプチドとの比較により測定され得る。また、抗体−バイオマーカー複合体の量は、基準または標準、例えば基準または対照試料中におけるバイオマーカーの量との比較により測定され得る。したがって、試料中におけるバイオマーカーの量は、絶対的条件で定量される必要はないが、基準または対照に対して相対的条件で測定され得る。
プローブおよびプライマー
「プローブ」または「プライマー」は、相補的配列を含む第2のDNAまたはRNA分子(標的)と塩基対合を形成することができる規定配列の1本鎖DNAまたはRNA分子である。形成されたハイブリッド分子の安定性は、生じる塩基対合の範囲に左右され、プローブと標的分子間の相補性の度合いおよびハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーの程度などのパラメーターにより影響される。ハイブリダイゼーションストリンジェンシーの程度は、温度、塩濃度および有機分子、例えばホルムアミドの濃度などのパラメーターによる影響を受け、当該分野で周知の方法により測定される。本明細書記載の核酸バイオマーカーまたはその一部分に特異的なプローブまたはプライマーは、プローブまたはプライマーの使用目的および条件によって、少なくとも8ヌクレオチドから500ヌクレオチドを越える範囲まで、その間の整数値を全て含む、様々な長さを有し得る。例えば、プローブまたはプライマーは、8、10、15、20または25ヌクレオチド長であり得るか、または少なくとも30、40、50または60ヌクレオチド長であり得るか、または100より大、200、500または1000ヌクレオチド長であり得る。本明細書記載の核酸バイオマーカーに特異的なプローブまたはプライマーは、本明細書記載の核酸バイオマーカーに対し20〜30%より高い配列同一性または少なくとも55〜75%配列同一性または少なくとも75〜85%配列同一性または少なくとも85〜99%配列同一性または100%配列同一性を有し得る。プローブまたはプライマーは、例えば増幅によりゲノムDNAまたはcDNAから、またはクローン化DNA断片から誘導され得、単一個体からの単一遺伝子の全部または一部分を表すゲノムDNAまたはcDNA配列を含み得る。プローブは、特有の配列(例、核酸バイオマーカーとの100%同一性)を有し、そして/または既知配列を有し得る。プローブまたはプライマーは化学合成され得る。プローブまたはプライマーは、本明細書記載の高ストリンジェンシー条件下で核酸バイオマーカーにハイブリダイズし得る。
プローブまたはプライマーは、当業者に周知の方法により、検出可能に放射性または非放射性標識され得る。プローブまたはプライマーは、核酸ハイブリダイゼーションを含む肺癌検出方法、例えば核酸配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(例、RT−PCR)による核酸増幅、1本鎖高次構造多形(SSCP)解析、制限フラグメント多形(RELP)解析、サザン・ハイブリダイゼーション、ノーザン・ハイブリダイゼーション、in situ ハイブリダイゼーション、電気泳動移動度シフト検定法(EMSA)、蛍光性 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)および当業者に周知の他の方法に使用され得る。
「検出可能に標識された」とは、分子、例えばオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー、遺伝子またはそのフラグメントまたはcDNA分子の存在をマークし、同定する手段を意味する。分子を検出可能に標識する方法は、当該分野でよく知られており、限定されるわけではないが、放射性標識(例、32Pまたは35Sなどの放射性同位元素による)および非放射性標識、例えば酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼを使用)、化学発光標識、蛍光性標識(例えば、フルオレセインを使用)、生物発光標識またはプローブに結合させたリガンドの抗体検出法がある。また、間接的手段により検出可能に標識された分子、例えば第1部分(例えばビオチン)と結合されている一方で観察または検定され得る第2部分と結合された分子(例えばフルオレセイン標識ストレプトアビジン)の場合もこの定義に含まれる。また、標識には、ジゴキシゲニン、ルシフェラーゼおよびエクオリンがある。
アレイおよびキット
本発明バイオマーカーを用いて製造される抗体、プローブ、プライマーおよび他の試薬は、肺癌の検出で使用されるアレイの製造に使用され得る。「アレイ」または「マトリックス」は、アドレス可能な位置または「アドレス」のパターンまたは整列をいい、それぞれ表面上の独立した部位を表す。プローブとのハイブリダイゼーションパターンが容易に測定され得るように、アレイは、一般的に核酸分子、ポリペプチド、抗体、組織などが特定された次元の整列で結合される固体支持体(例えばナイロン、ガラス、セラミック、プラスチックなど)を必要とする。
一般的に、プローブ(例えば抗体、核酸プローブまたはプライマー、ポリペプチドなど)をアレイ表面に固定し、結合に適切な条件下で標的結合パートナー(すなわち、抗体の場合には、抗体と特異的に結合するポリペプチド、またはプローブの場合には、プローブとハイブリダイゼーションする核酸分子)を含む試料と接触させる。所望ならば、試料中の非結合物質は除去され得る。結合した標的を検出し、適切な統計的または他の方法を用いて結合結果を分析する。プローブまたは標的は、検出および後続の分析がし易いように検出可能に標識され得る。本明細書記載のバイオマーカーに対応する多重プローブが使用され得る。多重プローブは、本明細書記載のバイオマーカーの一つまたは複数と対応し得る。本明細書記載のバイオマーカーと結合することのできるプローブに加えて、アレイを用いる場合、対照および基準核酸分子、ポリペプチドまたは抗体により実験ごとの結果を正規化し、定量的レベルで多実験の比較を行い得る。したがって、本発明は、核酸、ポリペプチド、抗体または細胞学用アレイを用いる生物学的検定法を提供する。
また本発明は、肺癌検出用のキットを提供する。キットは、本明細書記載のバイオマーカーに対応する1種または複数の試薬、例えば体液中で抗原として分泌されたバイオマーカーと特異的に結合する抗体、バイオマーカー特異抗体と結合する組換えタンパク質、バイオマーカーとハイブリダイゼーションする核酸プローブまたはプライマーなどを含み得る。一部実施態様において、キットは、本明細書記載のバイオマーカーに対応する複数の試薬を例えばアレイ上に含み得る。キットは、検出試薬、例えば検出可能に標識された試薬を含み得る。キットは、肺癌の(早期)発見および亜型分類におけるキットの使用に関する説明書を含み得、他の試薬および情報、例えば対照または基準となる標準値、洗浄液、ソフトウェアなどを含み得る。
診断および他の方法
肺癌は、免疫検定法、例えば免疫組織化学法、ELISA、ウエスタン・ブロッティングまたは診断分野の専門家に周知の他の方法を用いて、本明細書記載のバイオマーカーの1種またはそれ以上の示差的発現を検出することにより診断され得る。検出は、インビトロまたはインビボで実施され得る。
個々のバイオマーカーは有用な診断手段であり、本明細書で提案しているバイオマーカーの組み合わせにより、肺癌の正確な(早期)診断および亜型分類が可能となる。種々の試料における多数のバイオマーカーの全てにわたる示差的発現の変化を把握することにより、特定タイプの肺癌の存在または非存在、特定の肺癌治療法に対する応答を診断または予測し、または肺癌発症の危険性をより正確に評価することが可能となる。例えば、CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20の非存在下におけるNCAM180および/またはCK8およびCK18の発現を利用することにより、試料中におけるSCLCの存在を検出することができる。NSCLCは、CK19、CK6/CK16/CK17および/またはCK8/CK18の存在下におけるNCAM180の欠如を特徴とする。診断、予後、治療または他の目的のために多数のバイオマーカーを分析および利用する際に、適切な統計的方法およびアルゴリズム、例えばロジスティック回帰アルゴリズムが使用され得る。バイオマーカー(またはバイオマーカーの特定の組み合わせ)は、例えば肺癌治療の前、最中および後など多数回にわたり検出および測定され得る。
本明細書記載のバイオマーカーの検出は、肺癌の(早期)検出および亜型分類に関する初回スクリーンとして実施され得、および/または慣用的肺癌診断方法、例えば喀痰細胞診、胸部X線、CTスキャン、スパイラルCT、PET、特異的トレーサー、例えば89Zr、11C、蛍光染料によるPET−CT、シンチグラフィー、生検、伝統的形態学的MAC分析などと共に使用され得る。また、本明細書記載のバイオマーカーの検出は、先に認められた肺癌バイオマーカー、例えばpRb2/p130、p53および/またはrasと共に実施され得る。本明細書記載のバイオマーカーの検出は、例えばある一定年齢(例、60歳を超える)を越えるヘビースモーカーの常用的試験の一部として実施され得るか、または肺癌の危険性が高い対象(例、ヘビースモーカー)におけるバイオマーカーのベースラインレベルを決定するために実施され得る。
概して、本発明のバイオマーカーパネルは、分子イメージング(前述のインビボイメージング技術を含む)、分子診断および/または検出および/または肺癌に対する処置のモニタリングに使用される。
本明細書記載のバイオマーカーの検出により、医療専門家は、診断に基づき対象にとって適切な行動方針(例、さらなる試験、手術、行動無しなど)を決定することが可能となり得る。本明細書記載のバイオマーカーの検出はまた、肺癌の存在または非存在の決定、肺癌の早期診断、肺癌に関する予後、肺癌の亜型分類、肺癌治療の効力の評価、対象における肺癌治療のモニタリングまたは肺癌治療を受けた結果、寛解中である対象における肺癌再発の検出を行う際の助けとなり得る。別の態様において、バイオマーカーおよびバイオマーカーを用いて製造される試薬は、肺癌治療薬の同定に使用され得る。キットおよびアレイは、本発明によるバイオマーカーを測定し、肺癌を診断および亜型分類するのに使用され得る。また、キットは、肺癌治療に対する対象の応答をモニタリングするのに使用され得、医療専門家による試験結果に基づいた処置の修正が可能となる。キットはまた、肺癌治療薬、例えば小分子、ペプチドなどの同定および検証に使用され得る。
以下の実験の詳細を参照することにより、本発明に対する理解は深められるはずであるが、当業者であれば、これらは本発明を説明しているのに過ぎず、発明の範囲を制限するものとしてみなすべきではないことは容易に理解できるはずである。さらに、本願全体を通して、様々な出版物を引用している。これらの出版物の開示については、出典明示で援用することにより、本発明が関係する最先端技術について十分な説明を行うものとする。
以下、実施例により本発明を説明する。これらの実施例を考慮に入れることにより、当業者であれば他の実施態様についても容易に想到できるはずである。
実施例1:様々な細胞系統におけるNCAM180(NCAMエキソン18)の示差的発現を調べる実験。
標準的手順によるRNA抽出およびcDNA合成、および
図1で示した原理に従ったNCAMエキソン18の発現を評価するためのPCR増幅
を含む当該分野で公知の手順を用いて、異なる癌セルラインおよび健康な対照においてNCAM−180の示差的発現を評価した。
神経内分泌腫瘍(SH−SYSYおよびCCI)由来の細胞培養物では、NCAM−180の一部としてNCAMエキソン18の発現が見出され、特に小細胞肺癌(SCLC)セルラインでは、明確な過剰発現が見出された(図2)。NCAM180kDaスプライス変異型の発現は、健康な対照の末梢血単核細胞(PBMC)からは見出されなかった。他のセルラインの結果を表1に要約する。
表1:癌セルラインおよび健康な対照におけるNCAMエキソン18(NCAM180)、およびNCAM+piまたはNCAM−piの示差的発現。コード:高度発現(++)、正常発現(+)、低度発現(+/−)、発現無し(−)。
Figure 2011517341
Figure 2011517341
実施例2:肺腫瘍の神経内分泌分化についての血清マーカー
a.ヒト血清試料におけるNCAM抗原の検出
スプライス変異型NCAM120、140および180を含むNCAMは、神経内分泌分化マーカーである。NCAMは、全ての小細胞肺癌(SCLC)および非小細胞肺癌(NSCLC)の20%で発現される。さらに、NCAM発現は、神経内分泌分化を特徴とする全ての腫瘍について、全末梢血単核細胞(PBMC)集団の10%に及ぶナチュラルキラー(NK)細胞について、およびNSCLCの間質で報告されている。他方、正常な肺組織では、NCAM発現は散在的にしか見出されない。ここで、発明者らは、NCAM抗原が、神経内分泌分化を特徴とする腫瘍を示す患者血清(SCLC血清(N=7、PromedDx))では測定できるが、健康な対照(N=7、健康なボランティア)の血清からは、NCAM抗原は全く見出されなかったことを証明する。発明者らは、サンドウィッチELISAを用いることにより、患者および対照血清において神経内分泌腫瘍マーカーとしてNCAMのレベルを測定した。NCAM特異的モノクローナル抗体123C3(10μg/ml)を用いて抗原捕捉を実施し、ビオチン化NCAM特異的モノクローナル抗体RNL−1(20μg/ml)を用いて検出を行った。RNL−1および123C3は両方とも、NCAM−タンパク質の細胞外領域におけるエピトープを認識し、NCAM120それ自体並びにNCAM140およびNCAM180kDaスプライス変異型が検出される。サンドウィッチELISAを用いて、NCAMの血清レベルを測定する。したがって、NUNC maxisorb 96−マイクロウェルプレートを、一晩4℃でNCAM特異的モノクローナル捕捉抗体(10μg/ml、炭酸緩衝液pH9.5中)により被覆した。プレートをPBST(PBS+0.05%トゥイーン20)で2回洗浄し、2時間37℃でPBST中4%BSAによりブロックした。希釈(4%BSA/PBST中)血清試料を37℃で2時間インキュベーションし、プレートを3回洗浄し、ビオチン化NCAM抗原特異的モノクローナル検出抗体(RNL−1−ビオチン:PBST+1%BSA中20μg/ml)を加えた。プレートを6回洗浄し、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(DAKO P0397)コンジュゲート(PBST+1%BSA中で1/1000希釈)を加えた。コンジュゲートを45分間37℃でインキュベーションした。プレートを6回洗浄し、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン(TMB)(Calbiochem、CL07)基質を加え、37℃で15分後0.5MのHSOを用いて、反応を停止させた。
図3は、捕捉抗体としてモノクローナル抗体123C3および検出抗体としてRNL−1を用いることにより、1つのSCLC患者試料を除く全てが、健康対照血清の場合と比べて患者血清において有意に高い、明確なNCAM抗原力価を示したことを示している。ここで、発明者らは、1:4に希釈した血清試料を使用した。非希釈血清試料を用いた場合、検定の感度が100%となることが予測され、それは、NCAM抗原レベルの血清検出に基づくと、神経内分泌を特徴とする全ての肺腫瘍をNCAM抗原力価の血清測定において診断できることを意味する。これらのデータは、エピトープ特異性が異なる2種のNCAM特異的モノクローナル抗体を用いることにより、研究室での単純なハイスループット試験でヒト血清におけるNCAM抗原力価を測定できることを示している(表2)。さらに、これらのデータは、NCAM抗原力価が、健康対照群と比較した場合に、SCLC患者群では有意に高いことを示している(図3:T検定、p=0.015)。これらのデータは、NCAM抗原の血清レベルが、神経内分泌腫瘍診断用バイオマーカーとして使できることを示唆する。NSE、SYN、CHGAおよびSYPHと一緒に、さらにNCAMの発現をマーカーとして使用することにより、神経内分泌に由来する肺癌と由来しない肺癌を区別することができる。
表2:肺腫瘍の神経内分泌分化についてのバイオマーカーパネル
Figure 2011517341

NE:神経内分泌;C:捕捉抗体;D:検出抗体;Ext.:進展型病期;3a、3b、4:それぞれ悪性度3a、悪性度3bおよび悪性度4病期;黒色:陽性血清抗原力価;白色:血清抗原力価無し。
b.神経内分泌分化についてのマーカーとしてのレティキュロン検出
レティキュロン1(Rtn1)とも称される神経内分泌特異タンパク質(NSP)は、正常および悪性細胞における神経内分泌分化に関するマーカーとして報告された小胞体関連タンパク質複合体である。NSPは、135kDa変異型(NSP−A/Rtn−1A)、45kDa変異型(NSP−B/Rtn−1B)および23kDa変異型(NSP−C/Rtn−1C)として発現されることができる。初期の研究は、NSP発現が、神経内分泌分化を伴う肺腫瘍および伴わない肺腫瘍の診断および亜型分類に関して可能性のあるバイオマーカーであることを示していた。NSP特異的モノクローナル抗体を用いる免疫組織化学法およびウエスタン・ブロット分析により、NSPの発現を、正常ヒトおよびラット組織、原発性ヒト肺腫瘍、例えばカルチノイド、異型カルチノイド、小細胞肺癌(SCLC)、扁平上皮細胞癌(SCC)および腺癌肺癌セルラインにおいて研究した3,4。正常ヒトおよびラット組織の場合、NSP−A発現は、神経および神経内分泌組織で見出され、これらの細胞および組織についての明確なマーカーであることが示された。正常組織の次に、NSP遺伝子発現を肺癌セルラインでも研究した。ノーザン・ブロッティングは、試験した18SCLCセルラインのうち17でNSP遺伝子発現を示し、これらのうち14はNSP−A陽性であった。他方、非小細胞肺癌(NSCLC)セルラインの場合、NSP−A発現は全く見出されなかった(0/11)。次に、NSP遺伝子発現を、原発性ヒト腫瘍で研究した(図4)。冷凍切片での免疫組織化学的染色法を用いると、NSP−A発現は、全肺カルチノイド(8/8)および14/20のSCLC腫瘍組織で示された4、5。NSCLC腫瘍組織研究の場合、神経内分泌特性をもつNSCLC(NSCLC−NE)組織を除き、NSP遺伝子発現は見出されなかった。これらの神経内分泌特性は、ニューロン特異エノラーゼ、クロモグラニンA、シナプトフィシンおよび/または神経細胞接着分子(NCAM)などの様々な古典的神経内分泌マーカーの発現により立証された。13/27のNSCLC−NE組織については、明確なNSP−A発現が示された。これらのデータは、NSP−レティキュロン発現が、神経内分泌表現型をもつ肺癌細胞に制限されることを明確に示している。神経内分泌表現型は、肺の全カルチノイド腫瘍およびSCLCについては非常に特徴的であるが、NSCLC症例で明白に示されるのは約10%に過ぎない。神経内分泌表現型をもつNSCLCは、NE特性をもたないNSCLCと比べた場合、肺癌患者において処置応答の差異を誘発する可能性がある。これらの差異のうちの一つは、化学療法に対する応答であり、NSCLCの神経内分泌亜型分類が、最善の処置プロトコルを決定する際に非常に重要であることを示唆している。
これらのデータは、NSP発現を、肺腫瘍の神経内分泌分化および示差的診断に関するバイオマーカーとして使用できることを示唆する。
我々は、NSPタンパク質を、適切な診断的検出検定法においてレティキュロン特異的RNL−2およびRNL−3モノクローナル抗体を用いて、肺癌の神経内分泌分化に関する血清バイオマーカーとして使用できるものと予測している。発明者らは、NSP特異的モノクローナル抗体と古典的神経内分泌分化マーカー(NCAM、SYN、NSEおよびCHGA)を併用することにより、神経内分泌特性をもつ腫瘍について高感度の診断を下せるものと提案する。知る限りにおいて、これは、神経内分泌特性をもつ肺癌の診断を目的とするレティキュロン血清レベルの測定に関する最初の報告である。
実施例3:NCAM180/NCAMエキソン18−抗原の血清レベルを測定するための実験。
NCAMエキソン18は、NCAMタンパク質のNCAM180kDaスプライス変異型で特異的に発現される。NCAMエキソン18は、膜貫通型糖タンパク質NCAMの細胞質側末端で特異的に発現される。該NCAMスプライス変異型は、SCLC特異的である(PCT公開WO2007−104511号)。ここで、発明者らは、NCAMエキソン18−抗原をSCLC患者の血清で測定できること、およびNCAMエキソン18−抗原力価が、健康な対照(N=7)の場合と比べてSCLC患者(N=7)の血清では有意に高いことを示す。これらのデータは、NCAMエキソン18血清抗原力価をSCLC診断用バイオマーカーとして使用できることを示唆している。サンドウィッチELISAを用いて、NCAMエキソン18−腫瘍抗原のレベルを血清試料で測定する。SCLC血清試料(N=7、病期3a(N=2)、3b(N=1)、4(N=3)および進展型(N=1))を PromedDx から入手し、対照血清を、健康なボランティア(喫煙者および非喫煙者)から得た凝血から単離した。サンドウィッチ−ELISAを用いて、NCAMエキソン18−抗原の血清レベルを測定した。この検定法の場合、NUNC maxisorb 96−マイクロウェルプレートを、一晩4℃でNCAMエキソン18−抗原特異的モノクローナル捕捉抗体(10μg/ml、炭酸緩衝液pH9.5中)により被覆した。プレートをPBST(PBS+0.05%トゥイーン-20)で2回洗浄し、2時間37℃でPBST中4%BSAによりブロックした。希釈(PBST中4%BSA中)血清試料を37℃で2時間インキュベーションし、プレートを3回洗浄し、ビオチン化NCAMエキソン18−抗原特異的モノクローナル検出抗体(MUM1、MUM4またはMUMI21B2:20μg/ml;MUM6:PBST+1%BSA中80μg/ml)を加えた。プレートを6回洗浄し、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(DAKO P0397)コンジュゲート(PBST+1%BSA中で1/1000希釈)を加えた。コンジュゲートを45分間37℃でインキュベーションした。プレートを6回洗浄し、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジジン(TMB)(Calbiochem、CL07)基質を加え、37℃で15分後0.5MのHSOを用いて、反応を停止させた。発明者らは、NCAMエキソン18−抗原血清レベルの検出に異なる捕捉−検出抗体の組を使用した。
Figure 2011517341
SCLC血清(N=7)および対照(N=7)におけるNCAMエキソン18−抗原血清レベルの検出結果を図5に示す。4つの異なる捕捉/検出モノクローナル抗体の組によるサンドウィッチELISAを用いて、血清におけるNCAMエキソン18−抗原の検出を実施した。血清診断に使用したMUMI21B2、MUM1、MUM4およびMUM6モノクローナル抗体は、NCAMエキソン18−抗原特異抗体であり、それらは全て、NCAMエキソン18−抗原の異なるエピトープを認識する。発明者らのデータは、3/7(43%)のSCLC患者血清に対し捕捉抗体としてMUMI21B2および検出抗体としてMUM1を用いると、NCAMエキソン18−抗原力価が、健康対照血清における力価と比べて明らかに高かったことを示している。この組の捕捉−検出抗体を用いた場合、SCLC患者群(N=7)における平均NCAMエキソン18−抗原発現は、健康な対照群(N=7)での発現と比べて有意に高くはない。捕捉抗体としてMUMI21B2および検出抗体としてMUM4を用いた場合、発明者らは、4/7(57%)のSCLC患者の血清において明らかなNCAMエキソン18−抗原力価を見出し、一方、捕捉抗体としてMUMI21B2および検出抗体としてMUM6を用いた場合、SCLC患者の6/7(86%)についてNCAMエキソン18−抗原力価の増加を見出した。これらの場合、平均NCAMエキソン18−抗原力価は、健康対照群と比べるとSCLC患者群では有意に高い(MUMI21B2−MUM4についてのT−検定、p=0.015およびMUMI21B2−MUM6についてのT−検定、p=0.018)。要約すると、NCAMエキソン18−抗原検出は、捕捉抗体としてNCAMエキソン18−抗原特異的モノクローナル抗体MUMI21B2を用いて実施することができる。また、捕捉抗体としてRNL−1を用いてNCAMエキソン18−抗原力価の検出を実施した。RNL−1は、膜貫通型糖タンパク質の細胞外領域におけるエピトープを認識するNCAM特異的モノクローナル抗体である。これにより、SCLC血清の6/7(86%)は、7対照と比べて明確なNCAMエキソン18−抗原力価を示した。SCLC−1血清についてのみ、測定されたNCAMエキソン18−抗原力価は、健康な対照と比べて有意に高くなかった。この患者の場合、捕捉検出抗体のなかで、健康な対照における力価とは明らかに異なるNCAMエキソン18−抗原力価をもたらすものは無かった。これらの検出は1:4希釈血清で実施されるが、これは検出限界を有意に低下させる。したがって、おそらく、サンドウィッチELISAで非希釈血清を使用すると、より高いNCAMエキソン18−抗原力価が得られる。全般的に、捕捉抗体としてRNL−1および検出抗体としてMUMI21B2を用いた場合、NCAMエキソン18−抗原発現の平均レベルは、対照と比べてSCLC患者群では有意に高かった(p=0.018)。
発明者らのデータは、患者血清におけるNCAMエキソン18−抗原の検出を、健康な対照とSCLC患者を区別するための潜在的なバイオマーカーとして使用できることを示している(表3)。知る限りにおいて、NCAMエキソン18−抗原レベルを患者および対照の血清で測定し、SCLCの診断に使用したのはこれが初めてである。発明者らのデータは、CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20の非存在下でCK8およびCK18の発現とNCAM180−抗原特異的モノクローナル抗体パネルを併用すれば、SCLC診断の感度を改善できることを示唆している。マーカーの組み合わせを用いることにより、SCLC患者は、健康な対照、NSCLC患者および慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者と明確に区別される。CK19、CK6/CK16/CK17および/またはCK8/CK18の存在下でNCAM180についての発現が見出されないとき、NSCLCの診断が下される。
表3:SCLC診断のためのバイオマーカーパネル
Figure 2011517341
SCLC:小細胞肺癌;C:捕捉抗体;D:検出抗体;Ext:進展型病期;3a、3b、4:それぞれ悪性度3a、悪性度3bおよび悪性度4病期分類;黒色:陽性血清抗原力価;灰色:中等度/低度血清抗原力価、白色:血清抗原力価無し。
実施例4:扁平上皮細胞癌分化および亜型分類用バイオマーカーとしての特異的サイトケラチン類(CK6/CK16およびCK17)
発明者らは、扁平上皮細胞癌(SCC)についての潜在的な肺癌バイオマーカーを同定するためにプロテオミクス法を使用した。肺癌組織における細胞型は不均質であるため、発明者らは、顕微解剖法を用いて組織学的に特定された領域から細胞を単離して、可能な限り均一な腫瘍細胞材料を入手した。プロテオーム解析は、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2D−PAGE)およびシステインの還元チオール基を介した蛍光性シアニン染料(Cy3およびCy5)によるタンパク質の高感度標識の併用法を用いて、顕微解剖により得られる限られた量の試料で実施することができた。プロテオーム解析を、正常ヒト気管支上皮(N=7)および組織病理学的分類悪性度G2(N=7)およびG3(N=7)の扁平上皮細胞癌腫瘍からの顕微解剖組織材料にて実施した。
同定されたタンパク質の発現を確認するために、扁平上皮細胞癌(N=15)、腺癌(N=9)、大細胞癌(N=5)および正常気管支上皮(N=23)の代表的領域から作製された組織アレイ上での免疫組織化学法により、プロテオームのヒットを確認した。顕微解剖材料のプロテオーム解析は2500のタンパク質スポットをもたらし、そのうち85は、一方での気管支上皮および他方での悪性度G2またはG3腫瘍間において有意に示差的に発現された。タンパク質スポットの大部分(88%)は、気管支上皮と比べると腫瘍組織で多く観察された。ゲル内でのトリプシン消化により生成したペプチドのMALDI−MSおよびナノ−HPLC/ESI−MS/MS分析を用いることにより、46タンパク質スポットの同一性を測定した。同定されたタンパク質のほとんどは、タンパク質代謝(25%)、代謝およびエネルギー経路(31%)、細胞増殖および維持(28%)に関与しているが、これらは癌細胞で改変される可能性のある経路である。腫瘍生物学におけるそれらの潜在的関連性に基づき、発明者らは、さらなる確認のためのタンパク質としてHSP−47、サイトケラチン6、サイトケラチン16およびサイトケラチン17を選択した。したがって、発明者らは、組織アレイ上における免疫組織化学法により細胞レベルでの発現を研究した(図6)。免疫組織化学分析は、正常気管支上皮と比べて、SCC腫瘍組織ではサイトケラチン6a(CK6a)、サイトケラチン16(CK16)およびサイトケラチン17(CK17)の高度発現を示した。CK6aおよびCK16は両方とも、過増殖扁平上皮細胞で有意に過剰発現されるため、扁平上皮細胞癌についても当てはまる。正常気管支、腺癌または大細胞癌では、発現は全く見出されない。CK17は、扁平上皮細胞癌で高度発現され、腺癌または大細胞癌では発現されない。気管支上皮の基底細胞では明確な発現が見出された。さらに、CK17について、免疫組織化学法により、10個のG2および5のG3 SCC腫瘍試料についてさらに詳細に分析した。これらの染色結果は、分化度の低いG3悪性度SCC腫瘍の場合と比べて、中程度分化G2悪性度SCC腫瘍ではCK17の高い発現性を示している。HSP−47は、気管支上皮と比べて、SCCで有意に過剰発現されるが、腺癌および大細胞癌でも同様であった。発明者らは、CK6aおよびCK16が、SCCについての潜在的なバイオマーカーであり、CK17発現は腫瘍量(tumor load)を示すもので、潜在的なSCC腫瘍悪性度マーカーであるという結論に達した。
発明者らは、特異的モノクローナル抗体を用いることにより、血清試料中のCK6aおよびCK16を検出し、力価を用いてSCCと他のNSCLC(腺癌および大細胞癌)および健康な対照を区別できることを主張する。NSCLCのSCC亜型は、NCAM180、CK20およびCK7の非存在下でのCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK19から成る群から選択されるサイトケラチン類の少なくとも1つの発現により特徴付けることができる。さらに、CK17血清力価は、腫瘍量を示し、G2およびG3悪性度SCC腫瘍病期を区別するのに使用することができる。
実施例5:特異的バイオマーカーの選択の組み合わせは、血清検定法において肺癌の亜型分類および病期分類に使用することができる。
発明者らは、抗原に特異的なモノクローナル抗体のセットの組み合わせを用いて、NCAMエキソン18−抗原、NCAM、NSPおよび様々なサイトケラチン類について、血清抗原レベルを検出できることを主張する。下表において、特異的な捕捉および検出抗体の各組と共に様々な抗原を示す。
Figure 2011517341
発明者らは、NCAMエキソン18−抗原力価の血清検出を用いて、SCLCとNSCLCを区別できることを主張する。
発明者らは、NCAM、NCAMエキソン18−抗原、NSP(特にNSP−A)および2またはそれより多いサイトケラチン抗原(特にCK6、CK16およびCK17で)から成る腫瘍抗原のパネルの血清検出を用いて、腫瘍患者をCOPDなどの非腫瘍患者と区別し、SCLCをNSCLCと区別し、上記腫瘍内において神経内分泌(NE)に由来する腫瘍またはしない腫瘍および扁平上皮細胞癌(SCC)を特定することができることを主張する。上記パネルでは、NCAMエキソン18−抗原により、SCLCをNSCLCと区別し、NE腫瘍患者からSCLCを区別することが可能である。
上記パネルでは、NCAMおよびNSP抗原力価の血清検出を用いて、NE特性をもつ肺腫瘍をNEに由来しない肺腫瘍と区別することができる。
上記パネルでは、サイトケラチン抗原の特異的選択CK6a、CK16およびCK17の検出を用いて、NSCLC内でSCCについて明確に亜型分類することができる。
本発明の肺癌亜型特異的バイオマーカーの使用法についての診断指針を図7に示す。
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Claims (32)

  1. 対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または病期分類および/または異質性の度合いの測定方法であって、(1)上記対象から試料を入手し、(2)NCAM180またはNCAMエキソン18−抗原領域を含むNCAMスプライス変異型の発現を測定し、(3)NCAMスプライス変異型NCAM120またはNCAM140、サイトケラチン(CK)、神経内分泌特異タンパク質(NSP)−レティキュロン(RTN1)、シナプトフィシン(SYPH)、クロモグラニンA(CHGA)、甲状腺転写因子−1(TITF−1)、γニューロン特異エノラーゼ(γNSE)および熱ショックタンパク質−47(HSP47)から成る群から選択される少なくとも1種の腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または病期分類および/または異質性の度合いの測定が可能となる方法。
  2. サイトケラチン(CK)が、CK4、CK5、CK6(2種のサイトケラチン遺伝子/タンパク質、CK6aおよびCK6bである)、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19およびCK20から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
  3. 少なくとも2種のサイトケラチン遺伝子/タンパク質の発現を測定する、請求項2記載の方法。
  4. 上記CK遺伝子/タンパク質の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の発現/存在を測定する、請求項1または2記載の方法。
  5. NCAM180、NCAMエキソン18(NCAM−MUMエキソン、PCT公開WO2007−104511号参照)を発現するNCAMスプライス変異型、CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20の発現を用いてSCLCとNSCLCとを区別することができる、請求項1記載の方法。
  6. SCLCが、CK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK20の非存在下におけるNCAM180、CK8およびCK18の発現/検出によって特徴付けられる、請求項5記載の方法。
  7. NSCLCが、CK19、CK6/CK16/CK17および/またはCK8/CK18の存在下におけるNCAM180の欠如を特徴とする、請求項5記載の方法。
  8. NCAM180、CK4、CK5、CK6、CK7、CK8、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17、CK18、CK19および/またはCK20の発現を用いて、NSCLCを検出および/または診断および/またはNSCLCの分化または亜型(腺癌対扁平上皮細胞癌)を測定することができる、請求項1記載の方法。
  9. NSCLCの腺癌分化または亜型が、CK20、NCAM180およびCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16およびCK17から成る群から選択される1つまたは複数のサイトケラチン遺伝子の非存在下におけるCK7、CK8、CK18およびCK19の発現によって特徴付けられる、請求項8記載の方法。
  10. NSCLCの扁平上皮細胞癌分化または亜型および/またはSCC病期分類が、NCAM180、CK20およびCK7の非存在下におけるCK4、CK5、CK6、CK10、CK13、CK14、CK15、CK16、CK17およびCK19から成る群から選択されるサイトケラチン遺伝子の少なくとも一つの発現によって特徴付けられる、請求項8記載の方法。
  11. 肺癌の神経内分泌分化が、NCAMおよびNSE、SYPHおよびCHGAから成る群から選択される遺伝子の少なくとも一つの発現、またはNCAM、NSEおよびCHGAの発現、またはNCAM、NSE、CHGAおよびSYPHの発現またはNSEの発現によって特徴付けられる、請求項1記載の方法。
  12. さらに、NSPの発現を用いて神経内分泌に由来する肺癌と由来しない肺癌とを区別することができる、請求項5〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 対象における肺癌の(早期)診断、亜型分類および分化の測定のためのインビトロ方法であって、(a)上記対象から試料を入手し、(b)NCAM、NCAMエキソン18、NSP(特にNSP−A)および2種またはそれ以上のサイトケラチン抗原(特にCK6、CK16およびSK17による)から成る群から選択される腫瘍マーカー遺伝子の発現を測定する工程を含み、上記遺伝子の発現または上記タンパク質の存在または欠如により、上記対象における肺癌の検出および/または診断および/または亜型分類および/または異質性の度合いの測定または病期分類が可能となる方法。
  14. さらに、HSP47の発現を、腺癌または他のNSCLC亜型である非扁平上皮細胞癌から扁平上皮細胞癌を区別するのに用いることができる、請求項5〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. CK8、CK18およびCK20の発現を用いて神経内分泌メルケル細胞癌を診断することができる、請求項7〜11のいずれか1項記載の方法。
  16. 試料が、血液、血清、血漿、尿、唾液、精液、胸部滲出液、脳脊髄液、涙液、痰、粘液、リンパ液、胸水、腫瘍組織および気管支肺胞洗浄液から成る群から選択される、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 特異的抗体またはプローブを用いて、上記遺伝子の発現レベルをタンパク質レベルまたは核酸レベルで測定する、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  18. 化学発光、吸光度、ウエスタン・ブロッティング、顕微鏡法、イメージング、またはELISA、IRMA、エバネッセンス、側方流動試験、免疫組織化学法および当業者が常用する検定法を包含する任意のタイプの免疫検定法により、発現レベルを測定する、請求項17記載の方法。
  19. 上記試料の一つにおける上記遺伝子/タンパク質の少なくとも一つに対する抗体力価を任意のタイプの免疫検定法により測定する、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  20. 上記遺伝子の一つの発現レベルを、上記遺伝子によりコード化されるタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて測定する、請求項19記載の方法。
  21. 上記遺伝子の発現レベルを、ハイブリダイゼーション検定法により測定する、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
  22. 上記遺伝子の発現レベルを、上記遺伝子の一つをコード化する核酸分子にハイブリダイズするプローブを用いて測定する、請求項19記載の方法。
  23. 肺癌処置に対する対象の応答のモニタリングにおける請求項1〜16のいずれか1項で同定された遺伝子の使用。
  24. 対象における肺癌の診断、病期分類および/または亜型分類のための、請求項1〜16のいずれか1項で同定された遺伝子の使用。
  25. 患者における肺癌のイメージングのための、請求項1〜16のいずれか1項で同定された遺伝子の使用。
  26. 遺伝子が、NCAM120、NCAM140および/またはNCAM180、CK、NSP、SYPH、CHGAおよびNSEから成る群から選択される、請求項25記載の使用。
  27. 遺伝子NCAM、特にNCAMエキソン18、CK6/16/CK17、RTN1、SYPH、HSP47、CHGA、NSEおよび/またはNSPの発現が、患者におけるイメージングによる肺癌の亜型分類および/または病期分類に使用される、請求項25記載の使用。
  28. インビボイメージングを、ポジトロン放射断層法(PET)、コンピューター連動断層撮影(CT)またはPET−CTを用いて行う、請求項25〜27のいずれか1項記載の使用。
  29. 請求項1〜16のいずれか1項において定義される遺伝子の発現を測定するための1種または複数の試薬を含む、対象におけるSCLCおよびNSCLCの両方を包含する肺癌の検出用キット。
  30. 請求項1〜16のいずれか1項において定義される遺伝子の発現を測定するための1種または複数の試薬を含む、対象における肺癌亜型分類用キット。
  31. 請求項1〜16のいずれか1項において定義される遺伝子の発現を測定するための1種または複数の試薬を含む、対象において肺癌の異質性の度合いを測定するためのキット。
  32. 請求項1〜16のいずれか1項において定義される遺伝子の発現を測定するための1種または複数の試薬を含む、対象における肺癌の病期分類用キット。
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