JP2011517046A - 二硫化鉄及び硫化鉄を含むカソードを有するリチウム電池 - Google Patents

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Abstract

リチウム又はリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄(FeS)、硫化鉄(FeS)、及び炭素粒子を含むカソードと、を有する一次電池。電解質は溶媒混合物に溶解されたリチウム塩を含む。二硫化鉄(FeS)粉末、硫化鉄(FeS)粉末、炭素、結合剤、及び液体媒体を含むカソードスラリーが調製される。混合物は導電性基材上にコーティングされ、溶媒は蒸発されて乾燥カソードコーティングが基材上に残される。アノード及びカソードは、間に挟まれたセパレータと共に螺旋状に巻回され、電池ケーシング内に挿入されることができ、次いで電解質を添加される。

Description

本発明は、リチウムを含むアノードと、硫化鉄(FeS)と混合した二硫化鉄(FeS2)を含むカソードとを有するリチウム一次電池に関する。
リチウムのアノードを有する一次(非充電式)電気化学電池は既知であり、幅広く商業的に利用されている。アノードは、本質的にリチウム金属から構成されている。かかる電池は、典型的に、二酸化マンガンを含むカソードと、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)のようなリチウム塩を有機溶媒に溶解させて含む電解質と、を有している。電池は、当該技術分野では一次リチウム電池(一次Li/MnO電池)として参照されており、一般には充電式を意図していない。リチウム金属のアノードを備えるが、異なるカソードを有する代替的な一次リチウム電池も知られている。かかる電池は、例えば、二硫化鉄(FeS)を含むカソードを有しており、Li/FeS電池と呼ばれている。二硫化鉄(FeS)はまた、黄鉄鉱としても既知である。Li/MnO電池又はLi/FeS電池は、典型的には円筒形電池の形態で、典型的には単三又は単四サイズの電池であるが、その他のサイズの円筒形電池であってもよい。Li/MnO電池は、従来のZn/MnOアルカリ電池の2倍である約3.0Vの電圧を有し、そしてまた、アルカリ電池よりも高いエネルギー密度(電池体積1cm当たりのワット時)も有する。Li/FeS電池は、約1.2〜1.8Vの電圧(未放電)を有し、これは従来のZn/MnOアルカリ電池とほぼ同じである。それにもかかわらず、Li/FeS電池のエネルギー密度(電池体積1cm当たりのワット時)は、同等のサイズのZn/MnOアルカリ電池よりも高い。リチウム金属の理論比容量は、3861.4ミリアンペア−時/グラムと高く、FeSの理論比容量は、893.6ミリアンペア−時/gである。FeSの理論容量は、FeS1分子当たり4個のLiからの4個の電子移動に基づいており、鉄元素Feと2個のLiSとの反応生成物をもたらす。すなわち、4個の電子のうち2個が、FeSのFe+2における+2の酸化状態を鉄元素(Fe)の0に変え、そして残りの2個の電子が、硫黄の酸化状態をFeSの−1からLiSの−2に変える。
全般的に観れば、Li/FeS電池は、同じサイズのZn/MnOアルカリ電池よりも一層強力である。すなわち、所与の連続電流ドレインの場合、特に200ミリアンペアを超える高い電流ドレインでは、電圧対時間放電特性において明白であり得るように、Li/FeS電池の電圧は、Zn/MnOアルカリ電圧よりも長い時間安定している。これにより、Li/FeS電池から得られるエネルギー出力は、同じサイズのアルカリ電池で得られるエネルギー出力よりも高くなる。Li/FeS電池のより高いエネルギー出力はまた、エネルギー(ワット時)対定電力(ワット)での連続放電のグラフに更にはっきりとより直線的に示されており、この場合、新品の電池は、0.01ワット程度〜5ワット程度の低い範囲の一定の連続電力を最後まで放電する。かかる試験において、電力ドレインは、0.01ワット〜5ワットの間で選択された一定の連続電力で維持される。(放電中の電池の電圧降下として、負荷抵抗は、電流ドレインの上昇を徐々に和らげて、変わらない一定電力を維持する。)Li/FeS電池に関するエネルギー(ワット時)対電力(ワット)のグラフは、同じサイズのアルカリ電池よりも上方にある。にもかかわらず、これら電池(未放電)の起動電圧はいずれも、ほぼ同じ、すなわち約1.2〜1.8 1.9Vの間である。
このように、Li/FeS電池は、同じサイズのアルカリ電池、例えば、単4、単3、単2又は単1サイズの電池、あるいは任意の他のサイズの電池に優る利点を有し、その利点とは、Li/FeS電池が、従来のZn/MnOアルカリ電池と互換的に使用でき、また、特により高い電力需要に対して、より長い耐用年数を有するということである。同様に、一次(非充電式)電池であるLi/FeS電池を、同じサイズの充電式ニッケル水素電池の代替として使用することもでき、これはLiFeS電池とほぼ同じ電圧(未放電)を有する。したがって、一次Li/FeS電池は、デジタルカメラに電力供給するのに使用することができ、これは高パルス電力要求での動作を必要とする。
Li/FeS電池用のカソード材料は、最初にスラリー混合物(カソードスラリー)などの形態で調製されてもよく、それは従来のコーティング法によって金属基材の上に容易にコーティングすることができる。電池に添加される電解質は、必要な電気化学反応を、所望の高い出力範囲にわたって効率良く引き起こすことができる、Li/FeS系に好適な有機電解質でなければならない。電解質は、良好なイオン伝導度を示し、また十分に安定でなければならず、すなわち未放電の電極材料(アノード及びカソード構成成分)に対して非反応性であり、放電生成物に対しても非反応性でなければならない。これは、電解質と電極材料(放電済みのもの又は未放電のもののどちらでも)との間の望ましくない酸化/還元反応が、それによって電解質を徐々に汚染して、その有効性を軽減するか又は過剰にガスを発生させる可能性があるためである。この結果、壊滅的な電池の故障が生じる可能性がある。このように、Li/FeS電池中で用いられる電解質は、必要な電気化学反応を促進することに加えて、更に、放電された又は放電されていない電極材料に対して安定でなければならない。更に、電解質は、良好なイオン移動性及びリチウムイオン(Li)のアノードからカソードへの移送を可能にすべきであり、その結果、リチウムイオンは必要な還元反応に関与し、カソードでLiS生成物を生じることができる。
電極複合体は、リチウムのシート、FeS活物質を含有するカソード複合体のシート、及びそれらの間に挟まれたセパレータから形成されている。電極複合体は、例えば、米国特許第4,707,421号に示されているように、螺旋状に巻回されて、電池ケーシングの中に挿入してもよい。Li/FeS電池用のカソードコーティング混合物は、米国特許第6,849,360号に記載されている。アノードシートの一部は、典型的には、電池の負端子を形成する電池ケーシングと電気的に接続される。電池は、ケーシングから絶縁されたエンドキャップで閉じられている。カソードシートは、電池の正端子を形成するエンドキャップと電気的に接続することができる。ケーシングは、典型的にはエンドキャップの周縁部上に圧着されて、ケーシングの開口端部を密封する。電池は、電池が短絡放電又は過熱などの悪条件にさらされた場合に電池を遮断するよう、PTC(正温度係数)デバイス等を内部に装備していてもよい。
一次Li/FeS電池で用いられる電解質は、「有機溶媒」に溶解された「リチウム塩」から形成される。Li/FeS一次電池用の電解質に用いてもよい代表的なリチウム塩は、米国特許第5,290,414号及び同第6,849,360(B2)号に参照されており、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCFSO(LiTFS);リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI);ヨウ化リチウム、LiI;臭化リチウム、LiBr;テトラフルオロ臭素酸リチウム、LiBF;六フッ化リン酸リチウム、LiPF;六フッ化ヒ酸リチウム、LiAsF;Li(CFSOC及び様々な混合物などの塩が挙げられる。Li/FeSの電気化学分野において、リチウム塩は、特定の電解質溶媒混合物に最適に作用する特定の塩として必ずしも置き換え可能であるわけではない。
米国特許第5,290,414号(Marple)には、電解質が、1,3−ジオキソラン(DX)と非環状(環状ではない)エーテル系溶媒である第2の溶媒との混合物を含む溶媒に溶解されたリチウム塩を含む、FeS電池に有益な電解質の使用が報告されている。参照されているような非環状(環状ではない)エーテル系溶媒は、ジメトキシエタン(DME)、エチルグリム、ジグリム、及びトリグリムであってもよいが、1,2−ジメトキシエタン(DME)が好ましい。実施例に示されるように、ジオキソランと1,2−ジメトキシエタン(DME)は、電解質中に実質的な量、すなわち1,3−ジオキソラン(DX)50体積%とジメトキシエタン(DME)40体積%又は1,3−ジオキソラン(DX)25体積%とジメトキシエタン(DME)75体積%で含まれている(7段目、47〜54行)。このような溶媒混合物中でイオン化可能な特定のリチウム塩は、実施例に示されているように、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCFSOである。別のリチウム塩、すなわちリチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSONも、7段目、18〜19行に記載されている。この引例には、所望により3,5−ジメチルイソオキサゾール(DMI)、3−メチル−2−オキサゾリドン、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチレングリコールサルファイト(EGS)、ジオキサン、ジメチルサルフェート(DMS)、及びスルホラン(請求項19)から選択される第3の溶媒を追加してもよいことが教示されており、好ましいのは3,5−ジメチルイソオキサゾールである。
米国特許第6,218,054号(Webber)には、ジオキソラン系溶媒とジメトキシエタン系溶媒とを約1:3の重量比(ジオキソラン1重量部対ジメトキシエタン3重量部)で含む、電解質溶媒系が開示されている。
米国特許第6,849,360(B2)号(Marple)には、Li/FeS電池用の電解質が開示されており、この電解質は、1,3−ジオキソラン(DX)、1,2−ジメトキシエタン(DME)及び少量の3,5ジメチルイソオキサゾール(DMI)を含む有機溶媒混合物に溶解されたヨウ化リチウム塩を含む(6段目、44〜48行)。
米国特許出願公開第2007/0202409(A1)号(Yamakawa)には、33段落目に、Li/FeS電池用の電解質溶媒に関して、「有機溶媒の例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、及びジプロピルカーボネートが挙げられ、それらのうちいずれか1つ、あるいは、それらのうち2つ以上を単独で又は混合溶媒の形態で使用することができる。」と、記載されている。
当該技術の教示するところでは、特定の電解質溶媒類の組み合わせのみが、その溶媒中に溶解される特定のリチウム塩に応じて、Li/FeS電池用として使用可能となるため、このような記述は、誤解を招くものである。(例えば、上述の米国特許第5,290,414号及び同第6,849,360号を参照)Yamakawaの参考文献には、上記リストからのどのような組み合わせが任意の所与のリチウム塩と共に使用されるべきかについての教示はない。
米国特許出願公開第2006/0046152号(Webber)は、FeS及びFeSをその中に含むカソードを有し得るリチウムセル用の電解質系を開示している。開示された電解質は、1,2−ジメトキシプロパン及び1,2−ジメトキシエタンの混合物を含む溶媒系に溶解されたヨウ化リチウム塩を含有する。
いずれか1つ以上のリチウム塩と併用してLi/FeS電池に好適な電解質を製造するための特定の有機溶媒又は異なる有機溶媒の混合物を選択することは困難である。このことは、リチウム塩と有機溶媒との組み合わせの多くが、全く使い物にならないLi/FeS電池をもたらすということではない。むしろ、既知のリチウム塩と有機溶媒とをただ組み合わせて形成される電解質を利用した、このような電池に関する課題とは、かなり根本的な問題に直面する可能性が高く、そのために電池の商業的な使用が実用的ではない。一般に、リチウム電池の開発史が示すように、例えば非充電式Li/MnO又はLi/FeS電池のようなリチウム一次電池であれ、充電式リチウム電池又はリチウムイオン電池であれ、リチウム塩と有機溶媒とをただ組み合わせるだけでは、良好な電池、すなわち良好で信頼性のある性能を示すものは得られないと予想できる。このように、Li/FeS電池で使用可能な多数の有機溶媒を単に提供するだけの参考文献は、特定の効果又は予期せぬ効果を示す溶媒の組み合わせ又は特定の溶媒混合物中の特定のリチウム塩の組み合わせを必ずしも教示しない。
リチウム又はリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄(FeS)及び別の共活性(coactive)(放電可能な)物質、好ましくは硫化鉄(FeS)を中に含むカソードとを有するリチウム電池を製造することは望ましい。FeSと混合した共活性物質を添加することは、電池が通常の使用に用いられるとき(例えばデジタルカメラの電力供給に)、電池の性能にいずれか有意な犠牲もなく、カソードの調製に関して特定の利益につながり得るということが判明した。本明細書の出願人によって、二硫化鉄(FeS)と混合した硫化鉄(FeS)の粉末の添加は、望ましいリチウム電池となり得るということが判明した。このような電池は、以下、Li/(FeS+FeS)電池として表すことができる。
米国特許第4,707,421号 米国特許第6,849,360号に 米国特許第5,290,414号 米国特許第6,849,360(B2)号 米国特許第6,218,054号 米国特許出願公開第2006/0046152号
したがって、リチウムアノードと、FeS及びFeS共活性物質の混合物を含むカソードとを有する電池、Li/(FeS+FeS)電池、で有効な電解質系を見つけることが望ましく、この電解質は、高性能及び高率放電能力、並びに信頼性のある使用を備えた電池を可能にする。
したがって、電解質でリチウム塩のイオン化を促進し、十分に安定である(すなわち経時的に分解せず、アノード成分若しくはカソード成分、又は他の電池の成分を劣化させない)効果的な電解質を使用するLi/(FeS+FeS)電池を製造することが望ましい。
有機溶媒に溶解されたリチウム塩を含む電解質は、リチウムイオンがセパレータを通ってアノードからカソードまで良好な移送速度で通過できるよう、電解質によってリチウムイオンの良好なイオン移動性を提供することが望ましい。
デジタルカメラ及び同様の電子機器に電力供給するための充電式バッテリの代わりに使用することができる、良好な電力能力を有する一次(非充電式)Li/(FeS+FeS)電池を製造することが望ましい。
本発明は、アノードがリチウム金属を含む、一次リチウム電池を目的とする。リチウムは、少量の他の金属、例えば、アルミニウムとの合金であってもよく、典型的に、約1又は2重量%未満のリチウム合金を含む。アノード活物質を形成するリチウムは、好ましくは薄い箔の形態である。電池は、一般に「黄鉄鉱」として知られる、カソード活物質二硫化鉄(FeS)と、FeSと適合性のある少なくとももう1つのカソード活物質(共活性)とを含むカソードを有する。各カソード共活性物質は放電可能でなくてはならず、すなわち、電池が通常の使用で用いられるとき、有用な電気エネルギーを作り出すための有用な電気化学反応に関与しければならない。適合性のあるカソード共活性物質とは、それがFeS又は他の共活性物質と、直接の酸化−還元又は他の反応(これによって、その電気化学容量の全て又は相当な量を損失する)において、直接反応しないということを意味する。更に、共活性物質は、電解質において安定であり、カソード添加剤若しくはカソード集電器のいずれか、又はいずれか他の電池構成要素と反応すべきではない。カソード共活性物質の全ては、同一又は約10%以内で類似のOCV(開回路電圧)を有するべきである。リチウムアノードに対して、各カソード共活性物質のOCVは、約1.7〜1.8Vであるべきで、よって、それは約1.75VのOCV(未放電)を有するFeSと密接に適合性がある。リチウム電池では、電池が同一の負荷に対して放電されたとき、FeS及び共活性物質を含むカソードは、カソード活物質としてFeSのみを有する同じ電池と同様な(約10パーセント以内)負荷電圧のプロファイルを呈するべきである。望ましくは、FeS及び共活性物質を含むカソードを備えるリチウム電池は、電池が通常の使用、例えばデジタルカメラの電力供給で放電されたとき、0.9〜1.7Vの負荷電圧を呈するべきである。
主な態様では、リチウムアノードと、FeS(二硫化鉄)粉末及び共活性物質、すなわちFeS(硫化鉄)粉末を含むカソードとを備える電池は、特定の電解質と共に優れた放電特性を有する電池となるということが判明した。電池が通常の使用(例えば、デジタルカメラ等に電力を供給する)で用いられるとき、カソード活物質としてFeS及びFeSを含むカソードを備える本発明のリチウム電池は、カソード活物質としてFeSのみを備える同じ電池と同様な放電特性及び電圧プロファイルを有する。これは、FeSの理論比容量は609.8ミリアンペア−時/グラムである一方で、FeSの理論比容量は、893.6mミリアンペア−時/グラムとより高いため、デジタルカメラなどの高電力放電の使用で、FeSと組み合わされて、FeSのより高効率な放電の結果であり得る。
FeSはFeSよりもずっと柔らかい材料である。例えば、FeSはモーススケール(Mohr scale)で約6〜6.5の硬度を有し、その一方でFeSはモーススケールで約3.5〜4.5の硬度を有する。FeSはFeSよりも柔かな材料であるため、従来のボール型粉砕媒体を使用して、所望の小さな粒径に粉砕するのはずっと容易である。したがって、より柔らかいFeS材料を粉砕するとき、所望の平均粒径及び所望の粒径分布を作ることは、より容易である。また、FeSは、はるかに柔かな材料であるため、所望の粒径にFeS材料を粉砕するとき、FeSを同じ粒径に粉砕するときよりも、発生する熱がずっと少ない。これは、発生する熱がずっと少ないため、FeS粒子は粉砕動作中にFeSより発火しにくいので、FeS材料の粉砕時に要求されるのは、より少ない安全装置及び制御を伴った、より安全な粉砕動作となる。このように、所与の粒径の混合されたFeS及びFeSのバッチを製造するコストは、同じ重量及び同じ粒径のFeSを製造するのに比べて、低減される。また、これは、カソード活物質の混合物の粒径が、より容易に制御できるので、カソードスラリーの調製がより容易となる。より柔かいFe粒子が、カソードの改善された伝導度を促進する要因であり得るということが推測され、これは同様に、高電力放電の使用で、FeSと組み合わされたFeSのより高効率な放電となる。
本発明の態様では、電池はリチウム金属又はリチウム金属合金を含むアノードと、FeS及びFeSカソード活物質の混合物を含むカソードとを有する。FeS含有物は、望ましくは、使用されている電解質に関係なく、カソードのFeS及びFeSの合計の約5〜30重量%を含む。典型的には、FeS及びFeSは二峰性の粒径分布を有してもよい。好ましくはFeSは、使用されている電解質に関係なく、約20〜35マイクロメートルの平均メジアン(D50)粒径を有し、FeSは約5〜15マイクロメートルの平均メジアン(D50)粒径を有する。乾燥カソードコーティングのFeSにFeSを加えた合計の含有量は、典型的には乾燥カソードの約83〜94重量%、好ましくは乾燥カソードの約88〜93重量%を構成し得る。
電池は、ボタン型(コイン)電池の形態であっても、又は平板状電池の形態であってもよい。望ましくは、電池は、アノードシートと、カソード複合材料シートと、それらの間に挟まれたセパレータと共に螺旋状に巻回されて含んでなる、螺旋状に巻回した電池の形態であってもよい。カソードシートは、スラリー法を使用して、二硫化鉄(FeS)及び硫化鉄(FeS)粒子を含むカソード混合物を、導電性金属基材とすることのできる導電性表面上にコーティングして、製造される。FeS及びFeS粒子は、望ましくはエラストマー、好ましくはスチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、例えば、Kraton G1651エラストマー(Kraton Polymers,Houston,Texas)を用いて導電性基材に結合される。このポリマーは、皮膜形成剤であり、FeS及びFeS粒子のみならずカソード混合物中の導電性炭素粒子添加物についても良好な親和性と凝集特性とを有する。
本発明の態様では、カソードは、二硫化鉄(FeS)粉末及び硫化鉄(FeS)粉末の混合物を含むカソードスラリーから形成される。カソードスラリーは、導電性炭素粒子、結合剤材料、及び溶媒を更に含む。(用語「スラリー」は、本明細書で使用するとき、その通常の辞書の意味を有し、そしてそれ故に、液体中に固体粒子を含む懸濁液をも表すと理解されたい。)湿潤カソードスラリーは、導電性基材上に、例えば、アルミニウム又はステンレススチールのシート上にコーティングされる。導電性基材は、カソード集電体として機能する。溶媒がその後蒸発すると、二硫化鉄(FeS)及び硫化鉄(FeS)、並びに好ましくはカーボンブラックを含む炭素粒子が互いに接着結合されて含まれている乾燥カソードコーティング混合物が残され、この乾燥コーティングは導電性基材と結合している。好ましいカーボンブラックはアセチレンブラックである。炭素粒子は、所望により、そこに混入されたグラファイト粒子を包含してもよい。
湿潤カソードスラリーは導電性基材上にコーティングされた後、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/516534号(2006年9月6日出願)に開示されているように、コーティングされた基材は、オーブンに入れられ、溶媒が蒸発するまで高温で加熱される。得られる生成物は、二硫化鉄及び炭素粒子を含む乾燥カソードコーティングであって、導電性基材に結合されている。乾燥量を基準として、カソードは好ましくは83〜94重量%、好ましくは約88〜93重量%のカソード活物質、好ましくはFeSにFeSを加えたものを含む。固体含有量、すなわち、湿潤カソードスラリー中のFeS及びFeS粒子(又は他の共活性物)及び導電性炭素粒子、並びに結合剤は50〜75重量%である。カソードスラリーの粘度範囲は、約3500〜30000mPas(mPas=ミリニュートン×秒/m=1センチポアズ)である。リチウム金属を含むアノードと、二硫化鉄を含むカソードとが、それらの間に挟まれたセパレータと共に電池ハウジング内に挿入された後、電解質が電池に添加される。
リチウムアノードと、FeS及びFeS(Li/FeS+FeS)の混合物を含むカソードとを含む本発明の電池に好ましい電解質は、好ましくは約0.1〜1.0モル(モル/リットル)、好ましくは約0.8モル(0.8モル/リットル)濃度のリチウム塩、例えば、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI)塩若しくはヨウ化リチウム、又は約75〜85体積%、好ましくは約80体積%の1,3−ジオキソラン(DX)及び約15〜25体積%のスルホラン、好ましくは約20体積%のスルホラン(SL)を含む溶媒混合物に溶解されたそれらの混合物を含む。次いで、約0.1重量パーセントのピリジンを添加して最終的な電解質溶液を形成することができる。ピリジンは主にジオキソランの重合を妨げるか、又はその重合の速度を遅らせる働きをする。前述のカソード中のFeS含有量は、望ましくは、前述のカソードのFeSにFeSを加えた約5〜30重量%を構成する。Li/FeS電池に適用されるような、かかる電解質は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第11/494,244号(2006年7月27日出願)に開示されている。この後者の(latter)参照文献は、リチウムアノードと、FeS活物質を含むカソードとを備える電池を開示する。それはカソード中でFeSと混合したFeSの添加は開示していない。
好適な電解質溶媒の1,3−ジオキソラン及びスルホランは、以下の化学式及び構造式を有する。
1,3−ジオキソラン(DX)は、環状ジエーテルであり、複素環式アセタールとしても分類される。それは、化学式C及び構造式(I)を有する:
Figure 2011517046
スルホランは、分子式CSであり、Chemical Abstracts Service(CAS)登録番号126−33−0の環状化合物である。スルホランは、沸点285℃、粘度10.28センチポアズ(30℃)及び誘電率43.26(30℃)の無色透明の液体である。スルホランの構造式は、次のように表される。
Figure 2011517046
他の電解質系は、リチウムアノードと、FeS及びFeS粉末の混合物を含むカソードとを有する電池に非常に効果的であり得る。前述のカソード中のFeS含有量は、望ましくは、前述のカソードのFeSにFeSを加えた約5〜30重量%を構成する。1つのそのような電解質は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出願第12/069,953号(2008年2月14日出願)に開示されているような、ジオキソラン(DX)、ジメトキシエタン(DME)、及びスルホランの混合物に溶解されたヨウ化リチウム(LiI)塩の混合物を含む電解質溶液である。この参照文献は、リチウムアノードと、FeS活物質を含むカソードとを備える電池を開示する。それはFeSと混合したFeSの添加は開示していない。ジオキソランは、好ましくは1,3−ジオキソランであるが、用語「ジオキソラン」は、アルキル置換ジオキソラン類を包含してもよい。好ましいジメトキシエタンは、1,2−ジメトキシエタンである。この電解質は、ジオキソランの重合の速度を遅らせるために、所望により、約0.1〜1重量%の溶媒混合物の量で、3,5−ジメチルイソオキサゾール(DMI)も含んでもよい。ジオキソランのジメトキシエタンに対する重量比は、米国特許出願第12/069,953号に教示されているように、約0.82〜9.0、望ましくは、約0.82〜2.3の範囲である。この同じ範囲は、FeS及びFeSの共活性物の混合物を有するカソードを備えるリチウム電池に適用することができる。後者の(latter)電解質のスルホラン含有量は、溶媒混合物の約4.8重量%超を構成してもよい。スルホランはまた、更に大量に、例えば前述の溶媒混合物の約25重量%までで存在してもよく、この場合、ジオキソランとジメトキシエタンとの重量比は約0.82〜9.0の範囲内である。好ましくは、スルホランは、溶媒混合物の約4.8〜6.0重量を構成してもよい。この同じ範囲は、FeS及びFeSの共活性物の混合物を有するカソードを備えるリチウム電池に適用することができる。電解質は、望ましくは約0.9〜1.5センチポアズの粘度を有する。電解質の水含有量は、電解質百万重量部当たり約100〜2000重量部の水であってもよい。望ましくは電解質の水含有量は、電解質百万重量部当たり約600〜2000重量部の水であってもよい。電解質は、電解質百万重量部当たり約600〜1000重量部の水、好ましくは電解質百万重量部当たり約100〜300重量部の水を含んでよい。
後者(latter)の電解質中の1,2−ジメトキシエタン(Demethoxyethane)(DME)は、沸点85.2℃、粘度約0.455センチポアズ、誘電率7.20を有する無色透明の液体である。それはChemical Abstracts Service(CAS)登録番号110−71−4を有し、1,2−ジメトキシエタン(DME)(エチレングリコールジメチルエーテルとしても既知)は、以下の構造式の非環状(環状ではない)有機溶媒である:
CHOCHCHOCH (III)
後者(latter)の電解質ではスルホランが好ましいが、同様に高誘電率を有する他の溶媒をスルホランの代わりに使用することができる。かかる溶媒類は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルサルファイト、エチレングリコールサルファイト、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、又はこれらの組み合わせである。
概して、リチウムアノードと、FeS及びFeSカソード活物質の混合物を含むカソードとを有する本発明の電池の水含有量は典型的に、全電解質百万部当たり、約100部未満の水であってもよい。しかしながら、リチウムアノードと、FeS活物質を備えるカソードとを有するセルに関して報告されているような(本発明の譲受人に譲渡された特許出願第12/009858号(2008年1月23日出願)を参照)好ましい試験結果に基づいて、全電解質の水含有量は、カソード中にFeS及びFeS活物質の混合物を有するリチウム電池では100ppm超であってもよいということが予測される。Li/(FeS+FeS)電池用の電解質の水含有量は、最高約1000ppmまで、更には最高約2000ppmまでであり得るように、水(脱イオン化された)は、電解質溶媒に添加することができると考えられる(Li/FeS電池の水含有量を記載している本発明の譲受人に譲渡された特許出願第12/009858号(2008年1月23日出願)を参照のこと。)したがって、本明細書のLi/(FeS+FeS)用の電解質の水分含量は、約100〜1000ppm、例えば約500〜1000ppm、又は約600〜1000ppm及び約2000ppmまで、例えば約600〜2000ppmであってよいと考えられる。Li/(FeS+FeS)電池用の電解質の水含有量の好ましいレベルは、約100〜300ppmである。
本明細書の、リチウム/(FeS+FeS)電池用の別の望ましい電解質は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/070924号(2008年2月22日出願)に記載されていているタイプの有機溶媒混合物に溶解されたリチウム塩を含む。この参照文献に記載されているような電解質は、FeSを含むカソードを備えるリチウム電池に適用され、カソード混合物にFeSを添加することに関しては何の記述もない。本明細書では、同一の電解質を、カソード活物質FeSとFeSを混合で含むカソードを有するリチウム電池に、非常に効果的に使用することができると考えられる。カソードのFeSの含有量は、望ましくはカソード中のFeSにFeSを加えた約5〜30重量パーセントであってよい。本発明の添加剤を添加してもよい好適な電解質は、1,3−ジオキソラン及びスルホランを含む溶媒混合物に溶解されたリチウム塩を含む。リチウム塩は、LiCFSO(LiTFS)、Li(CFSON(LiTFSI)、LiI、LiPF、LiBr、及びLiBFから選択されてよい。好ましくは、リチウム塩は、LiCFSO(LiTFS)又はLi(CFSON(LiTFSI)、好ましくはLi(CFSON(LiTFSI)を含む。1,3−ジオキソラン及びスルホランを含む電解質溶媒混合物は、好ましくは約70〜90体積%の1,3−ジオキソラン及び約10〜30体積%のスルホランを含む。米国特許出願第12/070924号に記載されているように、アルキルピラゾール若しくはアルキルイミダゾール、又はそれの混合物である添加剤を、少量でこの電解質に添加し、リチウムアノード表面上の有害な不動態化層の堆積の速度を遅らせること、並びにジオキソランの重合を妨げるか、若しくはこの重合の速度を低減させるのに役立つことができる。これはすなわち、電池の性能を向上させる。このアルキルピラゾール、アルキルイミダゾール又はこれらの混合物を含む電解質添加剤は、総電解質の約0.05〜1重量%、好ましくは総電解質の約0.1〜1.0重量%を構成する。アルキルピラゾールは、好ましくは1,3−ジメチルピラゾール、1,3,5−トリメチルピラゾール(trimethylpyrozole)、又はこれらの混合物を含む。アルキルイミダゾールは、好ましくは1,2−ジメチルイミダゾールを含む。これらアルキルピラゾールとアルキルイミダゾール添加物は、上記電解質系に添加されて、Li/(FeS+FeS)電池で使用されてもよい。
好ましいアルキルピラゾール添加剤は、すなわち、1,3−ジメチルピラゾール(Dimethylpyrozole)又は1,3,5−トリメチルピラゾール(trimethylpyrozole)、及び好ましくはアルキルイミダゾール、すなわち、上記の電解質内で言及されているような1,2−ジメチルイミダゾールは以下の化学及び構造式を有する:
1,3−ジメチルピラゾール(Dimethylpyrozole)は、分子式Cの環状化合物である。構造式は次のように表される。
Figure 2011517046
上記の電解質で言及されたように、1,3,5−トリメチルピラゾール(trimethylpyrozole)は、分子式C10を有する環状化合物である。この化合物は、Chemical Abstracts Service(CAS)登録番号1072−91−9を有している。構造式は、次のように表される。
Figure 2011517046
1,2−ジメチルイミダゾール添加剤は、上記の電解質で言及されたように、分子式Cを有する環状化合物である。(Abstracts登録番号(CAS)1739−84−0)構造式は次のように表される。
Figure 2011517046
一次Li/(FeS+FeS)電池に好ましい別の電解質は、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロフラン(THF)を含む溶媒混合物に溶解されたリチウム塩であるリチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI)を含む。このような電解質は、Li/FeS電池に関して、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/821,464号(2007年6月22日出願)に開示されている。(この後者(latter)の出願では、FeSとの混合でカソードにFeSを添加することの開示は何もない。)
一次Li/(FeS+FeS)電池に好ましい別の電解質は、1,2−ジメトキシエタン(DME)及びスルホランを含む溶媒混合物に溶解されたリチウム塩であるリチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI)又はヨウ化リチウム(LiI)を含み、電解質にはSnIも添加される。SnI添加剤を備えるこのような電解質系は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第11/879097号(2007年7月16日出願)に開示されている。この参照に記載されている電解質は、FeSを含むカソードを有するリチウム電池に適用され、カソード混合物に対するFeSの添加に関しては何の記述もない。しかしながら、電解質系は、その中のSnI添加剤に関してこの参照文献で記載されているように、Li/(FeS+FeS)電池用の有効な電解質でもある。好ましい電解質は、体積比80:20の1,2−ジメトキシエタン(DME)とスルホランに溶解された0.8モル/リットルのリチウム塩であるLi(CFSON(LiTFSI)を含んでもよく、電解質には重量で約3200ppmのSnIも添加される。別の好ましい電解質は、例えば、体積比80:20の1,2−ジメトキシエタン(DME)とスルホランに溶解された1.0モル/リットルのヨウ化リチウム(LiI)塩を含んでもよく、電解質には重量で約3300ppmのSnIも添加される。電解質は、約50〜95体積%の量の1,2−ジメトキシエタン(DME)及び約5〜50体積%の量のスルホラン、及び望ましくは、全電解質の約1000〜5000ppmの量で添加されたSnIを含む溶媒混合物に溶解された、Li(CFSON(LiTFSI)塩又はヨウ化リチウム(LiI)を含んでもよい。典型的には、SnIは、電解質の約1000〜4000ppm、例えば約2000〜4000ppmが含まれる。電解質中のSnIの存在は、不動態化層の継続的堆積を妨げる又はこの堆積の速度を遅らせる。つまり、電解質中のSnIの存在は、不動態化層のリチウムアノード表面上の不動態化層の堆積速度を遅らせるか、継続的かつ衰えることのない堆積を妨げることにより、不動態化層を安定化させる傾向がある。SnI添加剤を含むこれらの電解質系は、Li/(FeS+FeS)電池に有用に適用することができる。リチウムアノード表面上の有害な不動態層の堆積速度を遅らせる、SiI2添加剤の有益な効果のために、電解質は一次Li/(FeS+FeS)電池の電池性能及び容量をある程度向上させることができる。
SnIを含有する上記の電解質中のリチウム塩は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、LiCFSO(LiTFS)を、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI)の代わりとして、又はLiTFSIと混合して、含んでもよいが、後者の方が好ましいリチウム塩である。
SnI添加剤を含有する上記の電解質混合物は、いずれのジオキソランを含まなくてもよい。すなわち、SnI添加剤含有の上記の電解質溶媒混合物は、例えば、1,3−ジオキソラン、又は、メチルジオキソラン、ジエチルジオキソランなどのアルキル置換ジオキソランを含むが、これらに限定されないその他のジオキソラン、及びこれらの混合物といった任意のジオキソランを微量だけ含有してもよい。このように、ジオキソランという用語は、本明細書で使用するとき、1,3−ジオキソラン、アルキル置換ジオキソラン及びこれらの混合物を含むと理解されるべきである。このような微量のジオキソランは、総量で溶媒混合物の200ppm未満、例えば100ppm未満又は例えば溶媒混合物の50ppm未満含まれてもよい。このような低濃度では(幾分高い量であってさえ)、このような微量のジオキソランがいずれか特定の又は実質的な機能を果たすとは予想されないであろう。このように、ジオキソランを「本質的に含まない」電解質溶媒混合物という用語は、本明細書で使用するとき、電解質溶媒に存在することもあるが、特定の又は実質的な機能を果たさないと考えられる少量(微量)で存在する、このように総量で微量のジオキソランを表すと理解されるものとする。
上記の電解質系は、Li/(FeS+FeS)電池の効率的な電気化学放電を可能にさせるのに必要な電気化学特性を提供する。特に、これらの電解質系は、デジタルカメラなどの高出力電子デバイスの高率パルス放電要求量を満たすために必要な電気化学的特性を提供する。FeSとFeSを混合で含むカソードを備えるリチウム電池用の、上記の電解質系の適合性は、Li/FeS電池中のこれらの電解質系の試験から得られた理論考察及び経験に部分的に基づく。
上記の電解質系はまた、低粘性を有するという利点も有する。Li/(FeS+FeS)電池では、Li/FeS)電池のように、比較的低粘度、望ましくは約0.9〜1.5センチポワズを有することが有利である。より高い粘度を有する、Li/FeS又はLi(FeS+FeS)電池用に電解質溶媒を使用することは、必ずしも、この電解質が動作不可能な又は質の悪い電池をもたらすことを意味するわけではない。それでも、本出願人らは、低粘度の電解質溶媒がLi/(FeS+FeS)電池にとって有益な特性をもたらす可能性が高いと考えている。
Li/(FeS+FeS)電池がアノードからリチウムイオン(Li)を正常に放電するには、セパレータを横切ってカソード内に良好に移送できる十分なイオン移動性を有する必要がある。カソードでは、リチウムイオンは、カソードにおいてLiSを生成するFeSからのイオウイオンの還元反応に関与する。Li/(FeS+FeS)電池)に低濃度の電解質が極めて望ましい理由は、1)それが電解質内のリチウムイオン(Li)濃度分極を低減し、2)放電時の良好なリチウムイオン(Li)輸送移動性を促進することである。具体的には、Li/(FeS+FeS)電池用の低粘度の電解質は、リチウムイオン濃度分極を低減し、電池が高いパルス速度で放電されるとき、例えば、Li/(FeS+FeS)電池がデジタルカメラに電力供給するために使用されるときに、アノードからカソードへのより良好なリチウムイオン輸送を促進する。リチウムイオンの濃度分極は、リチウムイオンがアノードからカソードへ移動するときにLiアノードとFeSカソードとの間に存在する濃度勾配によって特徴付けられる。リチウムイオンの濃度勾配が高いと、リチウムイオンの移送速度が遅いことを示し、電解質が高粘度を有する場合により発生しやすい。電解質が高粘度を有する場合、リチウムイオンは電池の放電中にアノード表面で又は表面付近に堆積する傾向があり、それと同時にカソード表面に供給されるリチウムイオンが相対的に激減し、結果として高いリチウムイオン濃度勾配が生じる。
Li/(FeS+FeS)電池用の低粘度電解質は、アノードでのリチウムイオンの堆積を低減させることができ、したがってアノードとカソードとの間のリチウムイオン濃度勾配のレベルを低減させることが望ましい。低粘度の電解質は、リチウムイオン(Li)の移動性、すなわちリチウムイオンのアノードからカソードへの移送速度を向上させる。リチウムイオンの移動性が向上した結果、Li/(FeS+FeS)電池の性能が、特に高率放電状態で向上することができる。
電解質は、望ましくは、Li/(FeS+FeS)電池に、FeSにFeSを加えた混合物1グラム当たり約0.4グラムの電解質に等しい量で添加することができる。
上記の電解質は、Li/(FeS+FeS)電池系におけるコイン型(ボタン型)電池又は巻線形電池に有利に利用できる。
ボタン型電池の実施形態で表されるような、本発明の改良されたLi/FeS電池の断面図。 図1Aの電池の中に挿入するためのスペーサディスクの平面図。 図1Aの電池の中に挿入するためのバネリングの平面図。 図1Cのバネリングの断面図。 円筒形電池の実施形態で表されるような、本発明の改良されたLi/FeS電池の絵画図。 電池の上部及び内部を示すために図1の透視線2−2で切断された電池の部分横断立面図。 螺旋状に巻回した電極アセンブリを示す、図1の透視線2−2によって切断された電池の部分断面立面図。 電極アセンブリを構成する層類の配置を示す略図。 図4の電極アセンブリの、それぞれの層をその下にある層が見えるように部分的に剥離した平面図。
リチウムアノードと、FeS及びFeSを含むカソードとを有する本発明の電池(Li/(FeS+FeS)電池)は、平坦なボタン(コイン)電池又は螺旋状に巻回した電池の形態であってもよい。リチウムアノード150と、FeS及びFeSを含むカソード170と含み、アノードとカソードとの間にセパレータ160を備える、望ましいボタン電池100の構成は、図1Aに示されている。
電池100におけるように、Li/(FeS+FeS)電池は、FeS及びFeSが等しいモル量であると仮定して、以下の基本的な放電反応を有する(1工程のメカニズム):
アノード:
4Li=4Li+4e 式1
2Li=2Li++2e 式1A
カソード:
FeS+4Li+4e=Fe+2LiS 式2
FeS+2Li+2e=Fe+2LiS 式2A
全体:
FeS+FeS+6Li=2Fe+3LiS 式3
本発明のLi/(FeS+FeS)ボタン型(コイン型)電池100の実施形態を図1Aに示す。電池100は一次(非充電式)電池である。ボタン型電池100(図1A)では、ディスク状の円筒形カソードハウジング130は、開口端部132及び閉口端部138を有する形で形成させる。カソードハウジング130は、好ましくはニッケルめっき鋼から形成される。電気絶縁部材140、好ましくは中空芯を有するディスク形状のプラスチック円筒形部材は、絶縁部材140の外面がカソードハウジング130の側壁136の内面に接して裏張りするように、ハウジング130の中に挿入されることができる。あるいは、側壁136の内面は、高分子材料でコーティングされていてもよく、この高分子材料が固化して絶縁体140となって、ハウジング130の内面と隣接している。絶縁体140は、カソードハウジング130の中に挿入される前に、最初にアノードハウジング120の側壁122を覆って取り付けられてもよい。絶縁体140は、多様な熱的に安定な絶縁材料から形成されることができるが、好ましくはポリプロピレンから形成される。
二硫化鉄(FeS)及び硫化鉄(FeS)粉末の混合物をその中に分散させて含むカソード170は、スラリーの形態で調製することができ、これは、導電性基材シート165(これは望ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金又はステンレス鋼のシート)の少なくとも1つの面の上に直接コーティングすることができる。例えば、表1のような代表的な配合物を有するスラリーの形態のカソード170は、導電性基材165のちょうど1つの面の上にコーティングされ、乾燥されて最終カソードを形成(from)してもよい。コーティングされたカソードを、続いて、カレンダ処理ロールの間を通過させて、所望の乾燥カソード厚さを達成する。穿孔基材165が望ましい場合は、カールすることなく、よりよいにカレンダ処理され得るように、スラリーを基材165の両面上にコーティングすることが最良である。完成したカソード170は、電池ハウジングの中に挿入する準備ができるまで、シートで保管できる。カソード170スラリー(cathode 170 slurry)がその上にコーティングされる、望ましくはアルミニウム製、アルミニウム合金製、又はステンレス鋼製の導電性基材165は、固体シートであってもよく、又はその中に複数の小さな開口を有し、それによってグリッド又はスクリーンを形成してもよい。例えば、導電性基材シートは、それに複数の小さな開口又は穿孔を有する、エキスパンド加工されたステンレス鋼製金属箔の形態の、ステンレス鋼シートであってもよい。好ましい実施形態では、カソードスラリー170は、導電性シート165の1つの面の上にコーティングされ、このシートはそれを通るいずれの開口もないアルミニウム又はアルミニウム合金の固体シートであってもよい。コーティングされたカソードを、続いて、カレンダ処理ロールの間を通過させて、所望の乾燥カソード厚さを達成する。
カソードスラリーは、2〜4重量%の結合剤(Kraton Polymers,Houston TexasのKraton G1651エラストマー結合剤)、活性FeS及びFeS粉末を含む50〜70重量%の混合物、4〜7重量%の導電性炭素(カーボンブラック及びグラファイト)、並びに25〜45重量%の溶媒を含む。FeS含有量は、望ましくは、約5〜30重量%のFeS及びFeS粉末の混合物を含む。FeSにFeSを加えた総含有量は、典型的に約83〜94重量%の乾燥カソード、好ましくは約88〜93重量%の乾燥カソードを含む。(カーボンブラックは、全体で又は部分的にアセチレンブラック炭素粒子を含んでもよい。したがって、カーボンブラックという用語は、本明細書で使用するとき、カーボンブラック及びアセチレンブラック炭素粒子にまで広がり、及びそれらを包含すると理解すべきである。)Kraton G1651結合剤は、エラストマーブロックコポリマー(スチレン−エチレン/ブチレン(SEBS)ブロックコポリマー)であって、皮膜形成剤である。この結合剤は、活性FeS、FeS、及び導電性カーボン粒子に対して十分な親和性を有することから、湿潤カソードスラリーの調製を促進し、また溶媒を蒸発させた後でこれら粒子を互いに接触させたままにする。
FeS粉末は、約1〜100マイクロメートル、望ましくは約10〜50マイクロメートルの平均粒径と、典型的には約0.8〜1.5m/gのBET比表面積を有し得る。FeS粉末の平均粒径は、約1〜100マイクロメートル、望ましくは約5〜50マイクロメートルであってよい。好ましくは、FeS粉末は、約20〜35マイクロメートルの粒径を有し、FeS粉末は、約5〜15マイクロメートルの粒径を有する。所望のFeS粉末は、商品名Pyrox Red325粉末としてChemetall GmbHから市販されており、このFeS粉末の粒径は、少なくとも90%の粒子がメッシュサイズ325のTylerのふるい(ふるいの開口は0.045mm)を通過するほど十分に小さい。(325メッシュのふるいを通過しないFeS粒子の残留量は最大10%である。)Pyrox Red 325 FeSは、約20〜26マイクロメートルの平均粒径、約1.1m/gの典型的なBET比表面積、及び4.7gm/cmの密度を有した。好ましいFeS粉末は、Alfa Aesar Co.から入手可能であり、99.9%の純度を有する。従来のFeS粉末、例えばChemetall GmbHのPyrox ReD325粉末は、pH上昇添加剤をその中に含有した状態で市販される。このような添加剤は、場合によっては炭酸カルシウム(CaCO)又は炭酸カルシウム含有化合物を含むことができる。同様に、このような化合物は、この粉末のpHを上昇させるためにFeS粉末に添加されてもよい。保管されたFeS及びFeS粉末、並びにFeS及びFeS活物質を基づくカソードは徐々に周辺空気及び湿度と反応し、硫酸及び他の酸性副産物を形成することとなる。これらの副産物の一部は、樹枝状晶(dendrite)の形成を促進することがあり、これは全て、電池の耐用期間を短縮させ、通常の電池の使用中に良好な電池の性能達成の妨げとなり得る。したがって、粉末が、空気及び水分を含む雰囲気中に保管される場合は、このような酸性汚染物質の形成を遅らせるために、FeS及びFeS粉末のpHを上昇させることは望ましい。
好適なグラファイトは、Timcal Americaから商品表記TIMREX KS6グラファイトとして入手可能である。TIMREXグラファイトはかなり高度に結晶化した合成グラファイトであり、BET比表面積が20m/g、密度が2.25g/cm)である。(他のグラファイトも、天然、合成、又はエキスパンド加工されたグラファイト及びこれらの混合物から選択して用いてもよいが、Timcal製のTIMREXグラファイトは高純度であるため好適である。)カーボンブラックは、好ましくは、Super P導電性カーボンブラック(62m/gのBET比表面積、袋のかさ比重0.160g/cm)という商品名でTimcal Co.から入手可能なアセチレンブラックである。Super Pアセチレンブラックは、ASTM D1512−95によって測定されたとき、約10のpH値を有する。
好ましいカソードスラリー混合物を表1に示す。
Figure 2011517046
いずれのFeSも含まない、類似の湿潤カソードスラリー混合物(電解質はまだ電池に添加されていない)は、本発明の譲受人に譲渡された特許出願第11/516,634号(2006年9月6日出願)に開示されている。湿潤カソードスラリー混合物170の合計固形分含有量は、上記表1に示されており、66.4重量%である。
ボタン電池100(直径20mm、厚さ約3mm)の調製において、FeS及びFeS活物質の混合物、例えば、表1のような組成物を含有する湿潤カソードスラリー170は、アルミニウム基材165の一方の面上にコーティングされる。本実施形態のアルミニウムシートは、その中にいずれの穿孔もない固体シートである。湿潤カソードスラリー170は、断続的なロールコーティング法を使用して導電性基材165上にコーティングされる。導電性基材上にコーティングされたカソードスラリーを、オーブン内で初期温度40℃〜最終温度約130℃までの温度に連続モードで調節又は昇温させて、溶媒が全て蒸発するまで乾燥させる。これはFeS及びFeS粒子、カーボン粒子、並びに結合剤を含む乾燥カソードコーティング170を導電性基材165上に形成する。乾燥カソードコーティングは、カレンダ処理に供してもよく、典型的に約0.170〜0.186mmの乾燥カソード170の代表的な望ましい厚さとなる。これは厚さ約0.015〜0.040mm、典型的には厚さ約0.038mmのアルミニウム基材165の厚さを含む。したがって、耐久性のある乾燥カソード170のシートは、この方法で形成される。カソード170のシートは、電池ハウジングの中に挿入するために適切な寸法に切断する準備ができるまで、取っておくことができる。
電池の内容物を電池ハウジングの中に組み立てる及び装填する順序は、異なっていてもよい。しかしながら、ボタン型電池100は、次の方法で都合よく組み立てられ、使用又は試験に好適な完成電池を形成できることが確認されている。
電池100は、アノードハウジング120、好ましくはニッケルめっき鋼製のアノードハウジングに電解質を含む必要な電池の全構成要素を装填することによって、都合よく形成できる。次に、カソードハウジング130、好ましくはアルミニウムめっき鋼製のカソードハウジングをアノードハウジング120の上にはめ込んで圧着し、電池を密閉できる。このように、耐久性電池100は、まず、好ましくはポリプロピレン製の絶縁体ディスク142を、アノードハウジング120の側壁122を覆うようにアノードハウジング120に挿入することで組み立てられる(図1A)。次に、バネリング200(図1C)を、図1Aに示されるように、アノードハウジング120の閉口端部の内面に対して置くようにアノードハウジング120の中に挿入することができる。バネリング200、好ましくはステンレス鋼製のバネリングは、周辺のリング面255によって画定される、貫通した中央開口250を有する。リング面255は、平坦ではなく、逆に図1Dに示されるような一体型の回旋257を有する。回旋257は、リング200がアノードハウジング120に挿入されてリングに圧力が加えられると、リングにバネ効果を与える。次に、好ましくはステンレス鋼製の1つ以上のスペーサディスク300を、図1Aに示されるように、それをバネリング200上に押し付けるように、アノードハウジング120の中に挿入することができる。スペーサディスク300は、図1Bに示されるように、固体の平坦なディスクであってもよい。電池の内容物を完成電池内に確実にしっかり収めるため、このようなスペーサディスク300を複数個使用することができる。次に、リチウム又はリチウム合金金属製のリチウムアノードシート150を、図1Aに示されるように、スペーサディスク300に対して置くようにアノードハウジングの中に挿入することができる。アノードハウジングは、その開口端部が上になるように反転できる。その後、セパレータシート160、好ましくはミクロ孔質のポリプロピレン製のセパレータシートを、リチウムアノードシート150に対して挿入することができる。
電解質溶液は次いで、それがセパレータ内に吸収されるようにセパレータシート160の露出面にわたって注ぐことができる。FeSにFeSを加えた活物質を含む前述の乾燥カソードシート170を適切な寸法に切断した後、セパレータシート160の露出面に対して挿入することができる。この方法では、電池の全構成要素がアノードハウジング120の中に挿入される。その後、カソードハウジング130の側壁136がその間に挟まれた絶縁体140と共にアノードハウジング120の側壁122を覆うように、アノードハウジング120の上にカソードハウジング130を、はめ込むことができる。カソードハウジング130の縁部135は、露出された絶縁体縁部142の上に圧着される。縁部135を絶縁体縁部142の中に嵌合させて電池を閉じ、内部に電池内容物をしっかりと密封する。これにより、電解質が漏れにくい高耐久性ボタン型電池100が得られる。
一次Li/(FeS+FeS)電池用の効果的かつ安定した電解質を発見するときに、以下の要因を考慮しなければならない:電解質は有機溶媒又は有機混合物に溶解されたリチウム塩を含む。一次Li/(FeS+FeS)電池用の電解質は、比較的低い粘度を有するのが望ましいことが本明細書で判明した。電解質が、約1.7センチポアズ、望ましくは約1.5センチポアズ未満、好ましくは約0.9〜1.5センチポアズ、例えば約1.0〜1.5センチポアズの粘度を有すると有利であることが確認されている。電解質の粘度が低いと、良好なイオン移動性、すなわちカソード内でFeS及びFeSと反応する必要があるリチウムイオンのアノードからカソードへの良好な移送が、より生じやすくなる。更に、電解質の粘度が低いと、特に電池が高率又は高出力の放電を供する場合に生じるリチウムイオンの濃度分極の程度が低減される。電解質が高粘度を有する場合、リチウムイオンは電池の放電中にアノード表面又は表面付近に堆積する傾向があり、それと同時にカソード表面に供給されるリチウムイオンが相対的に窮乏する又は激減する。Li/(FeS+FeS)電池の低粘度電解質は、アノードでのリチウムイオンの堆積を低減でき、カソードに近づくリチウムイオンの供給を増大させることができる。カソードでのリチウムイオン(Li)の供給は、電解質媒質を通過するリチウムイオンのイオン移動性が向上するために、増大する。その結果、電池性能が、特に高率放電状態で向上する。
別の考慮事項は、良好なイオン伝導性を示す良好な電解質を見つけ出すことである。本明細書の出願者は、有機溶媒混合物に溶解されたリチウム塩を含む一次Li/(FeS+FeS)電池が、望ましくは約5〜15ミリジーメンス/cmのイオン伝導度の測定値を有し得ることが判明した。電解質溶媒混合物は、望ましくはリチウム塩の解離を促進してその中に溶解させる特性を有する。溶媒混合物の誘電率は、特定の溶媒又は溶媒混合物が、塩の良好な解離(イオン化)を促進するかどうかの指標であり、解離は、それによって、より多くのリチウム塩が溶媒中に溶解し、かつ溶解したまま残ることを可能にする。(溶媒の他の固有の生理化学的特性はリチウム塩の良好な溶解性が得られるかどうかを確立する要因でもあり得る。)高誘電率を有する溶媒は、溶媒が特定の荷電イオンを個別に維持する特性を有し得ることを示し、それによってリチウム塩の良好な解離(溶解度)が達成され得ることを示す。本発明の一次Li/(FeS+FeS)電池の電解質溶媒は、望ましくは約10を超える、望ましくは約10〜100、例えば約20〜90(25℃で)の誘電率を有することが望まれている。Li/FeS電池用の最終電解質(電解質溶媒混合物に溶解されたリチウム塩)は、望ましくは約1.7センチポアズ未満、例えば約0.9〜1.5センチポアズ(25℃で)の粘度を有し、電解質のイオン伝導度は、約5〜15ミリジーメンス/cm又は可能な場合はそれ以上であってもよい。
一次Li/(FeS+FeS)電池の有効で安定な電解質を形成する別の考慮事項は、電解質がリチウムアノードに対して非反応性であり、二硫化鉄と硫化鉄、導電性炭素、及び結合剤物質を含むカソード構成成分に対しても非反応性であることである。電解質は、経時的に又は標準的な電池使用状態を反映した周辺温度の変化を受けた場合に、同様に安定で著しく劣化しない必要がある。
有効な電解質を形成する更に別の考慮事項は、電解質が、リチウム電池一般に関する問題であるリチウムアノードの不動態化の問題を悪化させないことである。一次Li/FeS電池を長期保存すると、不動態化コーティング又は被膜がリチウムアノード表面上に次第に出現する。特定の放電/休止プロトコル(rest protocol)は、リチウムアノード面上に有害な不動態化層の堆積の速度を増加させる場合がある。不動態化層は、電池性能を著しく妨げることなく一定のレベルまで到達することがあり、リチウムアノードを電解質の有害な副反応から保護できることで、ある程度までは有益でさえあり得る。しかしながら、不動態化層がリチウムアノード表面上に急速かつ継続的に堆積すると、このような継続的に衰えることのない不動態化層の堆積は電池の内部抵抗を著しく増加させ得るため、望ましくない。これにより、結果として電池の電力機能が低下し、性能及び容量が低下することがある。このように、Li/(FeS+FeS)電池の電解質は、アノード表面上に安定な不動態化層を生じさせることが望ましい。すなわち、電解質は、電池が標準的な使用条件で放電又は長期保存されるとき、アノードの表面上に有害な不動態化層の急速かつ継続的な堆積を生じさせるべきではない又は促進すべきではない。
Li/(FeS+FeS)電池に望ましい電解質系は、上記の「課題を解決するための手段」で記載されているように決定され、ここには繰り返されない。このような電解質混合物はLi/(FeS+FeS)系用の有効な電解質である。
別の実施形態では、Li/(FeS+FeS)電池は、図1に示されるように円筒形電池10の構成であってもよい。円筒形電池10は、図2〜5に示すように、間に挟まれたセパレータシート50と共に螺旋状に巻回したアノードシート40とカソード60とを有することができる。Li/(FeS+FeS)電池10の内部構造は、カソード組成が異なること以外は、米国特許第6,443,999号に示され記載されている、渦巻状巻回構造と同様とすることができる。図に示すように、アノードシート40は、リチウム金属、一般に黄鉄鉱として既知の二硫化鉄(FeS)を含むカソードシート60とを含んでいる。電池は、好ましくは図に示されるように円筒形であって、例えば、単6(42×8mm)、単4(44×9mm)、単3(49×12mm)、単2(49×25mm)、及び単1(58×32mm)サイズのどの大きさであってもよい。それ故に、図1に示される電池10はまた、2/3A電池(35×15mm)であってもよい。ただし、それは、電池構造を円筒形に制限することを意図しているわけではない。あるいは、本発明の電池は、本明細書に記載されているように、リチウム金属又はリチウム合金を含むアノードと、二硫化鉄(FeS)及び硫化鉄(FeS)を含むカソードと、電解質系とを有する、螺旋状に巻回した角柱状の電池の形態、例えば、全体的に立方体形状の矩形の電池であってもよい。
螺旋状に巻回した電池の場合、電池ケーシング(ハウジング)20の好ましい形は、図1に示すような円筒形である。電池ケーシング20(図1)は、連続的な円筒形表面を有する。アノード40及びカソード複合体62と共に、それらの間に挟まれたセパレータ50とを備える、螺旋状の巻回した電極アセンブリ70(図3)は、平板状の電極複合体13(図4及び5)を螺旋状に巻回することによって調製することができる。カソード複合体62は、金属基材65上にコーティングされた二硫化鉄(FeS)を含むカソード層60を備えている(図4)。
電極複合体13(図4及び5)は、次の方法で作製することができる:その中に分散された二硫化鉄(FeS)及び硫化鉄(FeS)粉末を含むカソード60を、最初に湿潤スラリーの形態で調製し、それを導電性基材シート又は金属箔65上にコーティングする。導電性基材65は、アルミニウム又はステンレス鋼、例えばエキスパンド加工された金属箔のアルミニウム又はステンレス鋼のシートであってもよい(図4)。アルミニウムシート65を使用する場合、アルミニウムシート65は、それを通る開口部のないアルミニウムのシートであっても、あるいはそれを通る開口部を備えるエキスパンド加工されたアルミニウム箔(EXMETエキスパンド加工アルミニウム箔)であってもよく、それによってグリッド又はスクリーンを形成してもよい。(Dexmet Company,Branford,ConnからのEXMETアルミニウム又はステンレス鋼箔)。エキスパンド加工された金属箔は、約0.024g/cmの坪量を有し、開口部を有するメッシュ又はスクリーンを形成してもよい。
例えば上記の表1の、二硫化鉄(FeS)に硫化鉄(FeS)を加えたもの、結合剤、導電性炭素、及び溶媒を含む湿潤カソードスラリー混合物は、均質な混合物が得られるまで構成成分を混合することによって調製される。
上記の量(表1)の構成成分は、当然、少量又は大量のバッチのカソードスラリーが調製できるように、比例的に増減することができる。このように、湿潤カソードスラリーは、好ましくは次の組成を有し得る:FeS粉末(46.9重量%);FeS粉末(13.9重量%);結合剤、Kraton G1651(1.4重量%);グラファイト、Timrex KS6(3.0重量%)、アセチレンブラック、Super P(1.2重量%)、炭化水素溶媒、ShellSol A100(13.4重量%)及びShelSol OMS(20.2重量%)
湿潤カソードスラリーを形成した後(表1)、湿潤スラリーを次に、導電性基材65の片面にコーティングする。湿潤カソードスラリーが上にコーティングされた導電性基材65は、次に、従来の対流式オーブン内(又は不活性ガス中)で乾燥させることでスラリー中の溶媒を蒸発させ、それにより、乾燥カソードコーティング60が導電性基材65の片面に形成される(図4及び5)。この工程は、好ましくは、導電性基材65の反対側の面も湿潤カソードスラリーでコーティングするために繰り返される(表1)。導電性基材65の反対側の面上の湿潤カソードスラリーを次に、対流式オーブンで乾燥することで溶媒を蒸発させ、それにより、乾燥カソードコーティング60を導電性基材65の反対側の面上にも形成することができる。金属基材65上にコーティングされた湿潤カソードスラリーの乾燥は、オーブンの温度を(コーティングのひび割れ発生を避けるため)40℃の初期温度から130℃を超えない最終温度まで、約7〜8分間かけて、又は炭化水素溶媒類が実質的に全て蒸発する(少なくとも溶媒類の約95重量パーセントが蒸発、好ましくは少なくとも溶媒類の約99.9重量パーセントが蒸発する)まで、段階的に調整、又は徐々に上昇させることにより達成されるのが好ましい。乾燥カソードコーティング60は(導電性基材65の一方の側のみへの塗布であれ両方の側への塗布であれ)次に、カレンダ成形されて乾燥カソードコーティング60の厚さが圧縮されることにより、完成カソード複合体62(図4及び5)を形成する。
アノード40は、リチウム金属の固体シートから調製することができる。アノード40は、望ましくはリチウム金属(純度99.8%)の連続シートから形成される。アノード40中のリチウム金属は、少量のその他の金属、例えばアルミニウム、又はリチウム合金を典型的には約1又は2重量%未満及び最大約5重量%含むカルシウムで合金化されていてもよい。アノード40を形成するリチウムシートは、基材を必要としない。リチウムアノード40は、有利には、螺旋状に巻回した電池の場合、厚さが望ましくは約0.09〜0.20mm、望ましくは約0.09〜0.19mmのリチウム金属の押出成形シートから形成することができる。
電解質透過性セパレータ材料50の個々のシートで、好ましくは、厚さが約0.025mm以下、望ましくは約0.008〜0.025mmの微小多孔性ポリプロピレン又はポリエチレンの個々のシートが、リチウムアノードシート40の両側に挿入される(図4及び5)。好適な実施形態では、このセパレータシートは、厚さ約0.025mm(1ミル)の微小多孔性ポリエチレン又はポリプロピレンであり得る。この微小多孔性ポリプロピレンの孔サイズは、望ましくは約0.001〜5マイクロメートルである。第1の(最上部の)セパレータシート50(図4)は、外側のセパレータシートを表すことができ、そして第2のシート50(図4)は、内側のセパレータシートを表すことができる。導電性基材65上にカソードコーティング60を備えたカソード複合体シート62を、次に、内側のセパレータシート50と対向させて配置することで、図4に示す平板状の電極複合体13が形成される。平板状の複合体13(図4)を螺旋状に巻回することで、電極螺旋状アセンブリ70が形成される(図3)。巻回は、マンドレルを用いて電極複合体13の延長されたセパレータ縁部50b(図4)を掴んでから、複合体13を時計回りに螺旋状に巻回することで達成されて、巻回された電極アセンブリ70が形成される(図3)。
巻回が終了すると、セパレータ部分50bは、図2及び3に示すように、巻回された電極アセンブリ70のコア98の内側に現れている。非限定的な例として、セパレータの各周期の底縁部50aは、図3に示し及び米国特許第6,443,999号に教示されているように、熱形成して連続的な膜55としてもよい。図3から分かるように、電極螺旋状物70は、アノードシート40とカソード複合体62の間にセパレータ材料50を有している。螺旋状に巻回した電極アセンブリ70は、ケーシング本体の形に適合した構造(図3)を有している。螺旋状に巻回した電極アセンブリ70を、ケーシング20の開口端部30に挿入する。(図2)巻回したので、電極螺旋状物70の外側の層は、図2及び3に示されるセパレータ材料50から構成されている。追加の絶縁層72、例えば、ポリエステルテープなどのプラスチックフィルムを、望ましくは外側のセパレータ層50上に配置してから電極複合体13を巻回することもできる。このような場合、螺旋状に巻回した電極70は、巻回した電極複合体をケーシングに挿入すると、ケーシング20の内面と接触した絶縁層72を有するようになる(図2及び3)。あるいは、ケーシング20の内面に電気絶縁材料72をコーティングしてから、巻回した電極螺旋状物70をケーシングの中に挿入することも可能である。
上記の「課題を解決するための手段」に記載されているような望ましい電解質混合物は、それが電池ケーシング20内に挿入された後、次いで巻回した電極螺旋状物70に加えられる。
電池の正端子17を形成するエンドキャップ18は、その面のうち1つでエンドキャップ18の内面と溶接することができる金属タブ25(カソードタブ)を有してもよい。金属タブ25は、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されている。カソード基材65の一部分は、図2に示すように、巻回した螺旋状物の頂部から延びる延長部分64を形成する。延長部分64を金属タブ25の露出面に溶接してから、ケーシング周縁部22を、エンドキャップ18の周りに、間に挟まれている絶縁ディスク80の周縁部85と共に圧着し、電池の開口端部30を閉じることができる。エンドキャップ18は、望ましくは通気口19を有し、この通気口には、電池内のガス圧が予め定められたレベルを超えると破裂してガスを逃すように設計された、破裂可能な膜を収容することができる。正端子17は、望ましくはエンドキャップ18の一体化部分である。あるいは、端子17は、米国特許第5,879,832号に記載されている種類のエンドキャップアセンブリの最上部として形成することができ、このアセンブリは、エンドキャップ18の表面に存する開口部から中へ挿入し、その後、それと溶接することもできる。
金属タブ44(アノードタブ)は、好ましくはニッケルから形成されており、リチウム金属アノード40の一部の中に押し込むことができる。アノードタブ44は、螺旋状物内のどの部分でもリチウム金属の中に押し込むことができ、例えば、それは、図5に示すように、螺旋状物の最外層でリチウム金属の中に押し込むことができる。アノードタブ44は、その片面をエンボス加工することで、リチウムの中に押し込もうとするタブの面上に複数の起立部分を形成することができる。タブ44の反対側の面は、図3に示すように、ケーシング側壁24の内面又はより好ましくはケーシング20の閉口端部35の内面のうちどちらかのケーシングの内面に溶接することができる。アノードタブ44は、ケーシングの閉口端部35の内面に溶接することが好ましい。なぜならばこれは、電気スポット溶接プローブ(細長い抵抗溶接電極)を電池コア98の中に挿入することによって容易に達成されるためである。溶接プローブは、電池コア98の外側境界の一部に沿って存在するセパレータスタータタブ50bと接触させないように注意する必要がある。
一次リチウム電池10はまた、所望により、エンドキャップ18の下に配置されて、カソード60とエンドキャップ18の間に直列に接続された、PTC(正温度係数)デバイス95を備えていてもよい(図2)。かかるデバイスは、電池が、予め定められたレベルよりも高い電流ドレインで放電するのを防ぐ。したがって、電池に、並外れて高い電流、例えば、約6〜8アンペアよりも高い電流が長時間流れると、PTCデバイスの抵抗が劇的に増大することから、異常な高ドレインが抑制される。当然のことながら、通気口19及びPTCデバイス95以外のデバイスを用いて、電池の誤用又は放電を防いでよい。
実験用試験FeS及びFeSを含むカソードを備えたリチウムコイン電池
実験用試験Li/(FeS+FeS)又はLi/FeS、及び対照Li/FeSコイン電池100(図1A)は以下のとおり調製した:
実験用試験コイン型電池アセンブリ:
アルミニウムめっき鋼製のコイン型カソードハウジング130及びニッケルめっき鋼製のコイン型アノードハウジング120は、図1Aに示されたものと同様の構造で形成される。完成した電池100は、全体の直径が約20mm、厚さが約3mmであった(これは従来のASTMサイズ2032コイン型電池の寸法である)。各電池用のカソードハウジング130内のカソード活物質の荷重は、それらの間に挟まれたセパレータを備えるアノード−カソード界面積の約0.02g/cmで実質的に同一である。アノードハウジング120内のリチウムは、電気化学的過剰であった。
各ボタン電池100は、電池100の製造に関して概ね上記のように作製した。各ボタン電池100を形成する際、初めに、リング形のプラスチック絶縁体140を、アノードハウジング120の側壁122の周りに嵌合させた(図1A)。ステンレス鋼製のバネリング200を、アノードハウジング120の内面に配置した。リング200は、アノードハウジング120にリングを溶接する必要なく、アノードハウジング120の中に挿入される。リング200は、図1Cに最もよく示されるように、中央開口250を境界付ける周辺縁部255を有する。周辺縁部面255は、その中に一体型に形成された回旋257(図1D)を有し、その結果、縁部面255全体は同一平面上に位置しない。バネリング200がアノードハウジング120の中に挿入され、縁部面255に圧力がかかると、回旋257がリングに弾力性及びバネ効果を与える。次に、平坦な固体表面310を有するスペーサディスク300を、バネリング200に対して置くようにアノードハウジング120の中に挿入する(図1A)。電池の内容物を電池内にしっかり収めるため、2つ以上のスペーサディスク300を互いの上に積み重ねて挿入してもよい。試験コイン型電池100では、3つのステンレス鋼製スペーサディスク300をバネリング200に対して積み重ねて適用した。
同一のリチウムアノードに関して、並びに以下の特定のカソード組成物及び電解質についての上記方法で、対照電池及び試験電池を調製した。
厚さ0.15mm(0.006インチ)のリチウム金属シートから形成されたリチウムディスク150を、乾燥室内で1.42mm(0.56インチ)のハンドパンチを用いて打ち抜いた。次いで、電池のアノードを形成するリチウムディスク150(図1A)を、ハンドプレスを使用してスペーサディスク300の下面に押し付けた。全ての電池に使用される電解質は、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド、Li(CFSON(LiTFSI)の混合物であり、1,3−ジオキソラン(80体積%)及びスルホラン(20体積%)に0.1重量%のピリジンが添加された溶媒混合物中に0.8モル/リットルの濃度で生成した。セパレータシート160は各電池で同一の直径のCelgard2500微多孔性ポリプロピレン材料であった。電池は、それらの間に挟まれた同一のセパレータを備える、同一のアノード−カソード界面積を有した。
カソードスラリー170を次いで調製し、厚さ0.0381mm(1.5ミル)のアルミニウムシート165の1つの面にわたってコーティングした。カソードスラリーを炭化水素溶媒、ShellSol A100溶媒、及びShelSol OMS溶媒の混合物を使用して上記のとおり調製した。
次いで、アルミニウムシート上の湿潤カソードスラリーを、40℃〜130℃のオーブン内で、カソードスラリー中の溶媒が全て蒸発するまで乾燥させて、FeS及び/又はFeS活物質、導電性炭素、並びにエラストマー結合剤を含む乾燥カソードコーティングをアルミニウムシートの片面に形成した。アルミニウムシート上の乾燥させたカソードコーティングをカレンダ処理し、乾燥カソード170を形成した。
アノードハウジング120は、その開口端部が上になるように反転される。セパレータディスク160は、リチウムアノードディスク150と接触するようアノードハウジング120の中に挿入される。セパレータディスク160は、微小多孔性ポリプロピレン製であった(Celgard,Inc)のCelgard CG2500セパレータ)。セパレータディスクは、予め、直径17.5mm(0.69インチ)のハンドパンチを使用して、シートから必要なディスク形状に打ち抜いた。
電解質1と呼ばれている、本発明の好ましい電解質を調製し、この同じ電解質を各対照電池及び各試験電池に使用した。好ましい電解質は、約80体積%の1,3−ジオキシラン(DX)及び20体積%のスルホラン(SL)を含む有機溶媒混合物に溶解された0.8モル(0.8モル/リットル)濃度のLi(CFSON(LiTFSI)塩を含有した。次いで、約0.1重量%のピリジンを添加して最終的な電解質溶液を形成した。アノードハウジング120を開口端部が上になるように反転し、セパレータ160の上に0.2gの電解質溶液を添加した。
乾燥後のカソードは、対照及び試験電池のそれぞれに対して以下の組成を有した:
対照電池:(FeSカソード活物質を備えるカソード)
FeS粉末(91.5重量%);結合剤、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンエラストマー(Kraton G1651)(2.1重量%);グラファイト(Timrex KS6)(4.6重量%)、及びカーボンブラック(Super Pカーボンブラック)(1.8重量%)。FeSのカソード荷重は、0.0218グラム/cm(界面積)だった。界面積とは、間に挟まれたセパレータを備えるアノードとカソードの界面の面積である。
試験電池1:(FeSカソード活物質を備えるカソード)
FeS粉末(91.5重量%);結合剤、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンエラストマー(Kraton G1651)(2.1重量%);グラファイト(Timrex KS6)(4.6重量%)、カーボンブラック(Super Pカーボンブラック)(1.8重量%)。FeSのカソード荷重は、0.0178グラム/cm(界面積)だった。界面積とは、間に挟まれたセパレータを備えるアノードとカソードの界面の面積である。
試験電池2:(FeS及びFeSカソード活物質を混合で備えるカソード)
FeS粉末(70.6重量%);FeS粉末(20.9重量%);結合剤、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンエラストマー(Kraton G1651)(2.1重量%);グラファイト(Timrex KS6)(4.6重量%)、及びカーボンブラック(Super Pカーボンブラック)(1.8重量%)。カソード中のFeSの荷重は、0.0160グラム/cm(界面積)であり、カソード内のFeSの荷重は、0.0047グラム/cm(界面積)であった。界面積とは、間に挟まれたセパレータを備えるアノードとカソードの界面の面積である。
乾燥カソード170を直径11.1mm(0.44インチ)のハンドパンチでディスク形状の寸法に切断し、電解質を浸漬させたセパレータ160と接触するようアノードハウジング120の中に挿入した。アルミニウムシート上の乾燥カソードコーティングは、セパレータ160に面し、これは同じくアノード活性領域に面する。
次に、カソードハウジング130の側壁136が間に挟まれた絶縁体140と共にアノードハウジング120の側壁122を覆うように、カソードハウジング130を、充填されたアノードハウジング120の上に配置した。カソードハウジング130の閉口端部138を、機械式クリンパ内の中央に配置した。その後、機械式クリンパのアームを完全に引き下げて、カソードハウジング130の周縁部135を絶縁ディスク140の縁部142の上で曲げた。このプロセスを、同一電解質を備える、3つの同一の対照電池及び3つの同一の試験電池1、並びに3つの同一の試験電池2に繰り返し、よって図1Aに示されている完成したコイン電池100を形成した。各電池を形成した後、電池のハウジングの外面をメタノールで拭いてきれいにした。
実験用試験電池及び対照電池の電気化学性能
対照電池及び試験電池を上記のように形成した後、各電池の放電性能を、デジタルカメラにおける(写真を撮影し、それを眺めるための)電池の使用の再現を意味するデジタルカメラ試験を使用して試験した。
電池をデジタルカメラ試験に供する前に、室温で24時間保存し、その後、1mAの一定電流ドレインで事前に40分間放電させた。これは、電池容量の約3パーセントの放電深度に相当した。
対照電池及び試験電池は、以下のパルス試験プロトコルで構成されるデジタルカメラ試験(デジタルカメラ試験)に供され、ここでは各試験電池は、電池にパルス放電サイクルを適用することにより消耗された。各サイクルは6.5mWパルスを2秒間、直後に2.82mWパルスを28秒間の両方からなる。各10パルスサイクルの後、電池は55分間休止させた。1.05Vのカットオフ電圧に達するまでこのサイクルを継続する。カットオフ電圧に達するのに要するサイクル数を記録した。
Figure 2011517046
注:
1.対照電池のカソードはFeSカソード活物質を含んだ。試験1の電池のカソードはFeSカソード活物質を含んだ。試験2の電池内のカソードはFeS及びFeSカソード活物質を含んだ。
2.各電池用の電解質は、80体積%の1,3−ジオキソラン(DX)及び20体積%のスルホラン(SL)を含む有機溶媒混合物に溶解された0.8モル(0.8モル/リットル)のLi(CFSON(LiTFSI)塩を含有し、この電解質には0.1重量%のピリジンが添加された。
3.パルスサイクル(デジタルカメラ試験)は、デジタルカメラにおける使用を模擬するよう、6.5mWパルスを2秒間、直後に2.82mWパルスを28秒間の2段階で構成される。各10パルスサイクルの後、電池は55分間休止させた。これらのサイクルは1.05Vのカットオフ電圧に到達するまで繰り返した。(デジタルカメラ試験の前に未放電の電池を室温で24時間保管し、次いで全てを電池の容量が3%低減するまで事前に放電させた。)
上記に報告された試験結果は、カソード活物質としてFeS及びFeSの混合物がFeSのみのカソード活物質の使用とほぼ近い良好な性能を備える電池となることができるということを示している。これは、一部において、FeS粒子と組み合わされたFeSの、高率放電で達成されていると考えられる。また、FeSはFeSほど硬い材料ではないため、FeSがFeSと共に組み合わされる電池は、更なる利益を有する。1つの重要な利益は、FeS材料がカソードに添加されたとき、カソード活物質の平均粒径及び粒径分布がより容易に制御されるということである。(より柔らかい粒子は、より硬い粒子よりもより容易に、かつより低コストで所望の粒径に低減できる。)FeS粉末を、FeS粉末との混合物でカソードに添加する別の利益は、全体の調製及びカソードが、より柔らかいFeS粒子のために、より容易であるということである。より柔らかいFeS粒子は、カソードの伝導度の改善となり得るということも推測される。
本発明について特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、当然のことながら、本発明の概念から逸脱することなくその他の実施形態も可能であり、すなわち、その他の実施形態は本発明の特許請求及び均等物の範囲内にある。

Claims (15)

  1. ハウジングと、正端子及び負端子と、リチウム金属及びリチウム合金の少なくとも1つを含むアノードと、二硫化鉄(FeS)、硫化鉄(FeS)、及び導電性炭素を含むカソードとを含む、一次電気化学電池であって、前記電池は該電池内に挿入される電解質を更に含み、前記電解質は、ジオキソラン及びスルホランを含む溶媒混合物に溶解されたビストリフルオロメチルスルホニルイミドを含むリチウム塩(Li(CFSON)を含む、一次電気化学電池。
  2. 前記カソード中のFeS含有量が、前記カソードのFeSにFeSを加えた合計の約5〜30重量%を構成する、請求項1に記載の電池。
  3. 前記FeS及びFeSが二峰性の粒径分布を有し、前記FeSが約20〜35マイクロメートルの平均粒径を有し、前記FeSが約5〜15マイクロメートルの平均粒径を有する、請求項1に記載の電池。
  4. 前記電解質がヨウ化リチウム(LiI)塩を更に含む、請求項1に記載の電池。
  5. 前記溶媒混合物がピリジンを更に含む、請求項1に記載の電池。
  6. 前記電解質が、アルキルピラゾールを含む添加剤を更に含む、請求項1に記載の電池。
  7. 前記アルキルピラゾール添加剤が、1,3−ジメチルピラゾール、1,3,5−トリメチルピラゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の電池。
  8. 前記電解質がアルキルイミダゾールを含む添加剤を更に含む、請求項1に記載の電池。
  9. ハウジングと、正端子及び負端子と、リチウム金属及びリチウム合金の少なくとも1つを含むアノードと、二硫化鉄(FeS)、硫化鉄(FeS)、及び導電性炭素を含むカソードと、を含む一次電気化学電池であって、前記電池は該電池内に挿入される電解質を更に含み、前記電解質は、ジオキソラン、ジメトキシエタン、及びスルホランを含む溶媒混合物に溶解されたヨウ化リチウム(LiI)を含むリチウム塩を含む、一次電気化学電池。
  10. ハウジングと、正端子及び負端子と、リチウムを含むアノードと、二硫化鉄(FeS)、硫化鉄(FeS)、及び導電性炭素を含むカソードと、を含む一次電気化学電池であって、前記電池はジメトキシエタン、スルホラン、及びヨウ化スズ(SnI)添加剤を含む溶媒に溶解されたビストリフルオロメチルスルホニルイミドを含むリチウム塩(Li(CFSON)を更に含む、一次電気化学電池。
  11. ハウジングと、正端子及び負端子と、リチウムを含むアノードと、二硫化鉄(FeS)及び導電性炭素を含むカソードと、を含む一次電気化学電池であって、前記電池は、ジメトキシエタン、スルホラン、及びヨウ化スズ(SnI)添加物を含む溶媒に溶解されたヨウ化リチウム(LiI)を含むリチウム塩を含む電解質を更に含む、一次電気化学電池。
  12. 前記電解質が約0.9〜1.5センチポワズの粘度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電池。
  13. 前記アノード及びカソードが、間に挟まれたセパレータシートと共に螺旋状に巻回されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電池。
  14. 前記カソードがアルミニウムを含む基材シートの上にコーティングされている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電池。
  15. 前記アノードが、リチウム又はリチウム合金のシートを含む、請求項14に記載の電池。
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