JP2011516746A - ポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置 - Google Patents
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Abstract
本発明は、紡糸空間内におけるポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置であって、紡糸空間において収集電極と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これらの間に高強度の電界が誘導されている。この次に、紡糸空間には少なくとも1つの電気装置が配置されており、この電気装置は、高電圧に対して絶縁されているトランス8の巻線に結合されており、トランス8の二次巻線は、紡糸空間の外側に配置された電圧パルスを発生及び/又は評価するための装置に接続されている。
Description
本発明は、ポリマー・マトリクスの静電紡糸によりナノファイバを紡糸空間内において製造する装置に関するものである。この紡糸空間内において、収集電極と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これら電極間には高強度の電界が誘導されており、この紡糸空間中に少なくとも1つの電気装置が配置されている。
液体マトリクスの静電紡糸によりナノファイバを製造するためのこれまでに知られているすべての装置の欠点は、紡糸電極と収集電極の電位差によって誘導される静電紡糸電界の中に、いかなる電気装置を配置することも、このような装置に電圧を加えることも、特に高電圧が誘導されるので、不可能であるということである。このことにより、原理的に、静電紡糸電界、ポリマー・マトリクス及び紡糸空間内の状態に関するいくつか重要なパラメータを監視することができず、またそれによって、これらのパラメータへのあらゆる積極的な干渉ができなくなってしまう。
CZ PV 2006−361には、ポリマー・マトリクスのパラメータの監視を可能にする装置が開示されている。この装置では、ポリマー・マトリクスが調製及び/又は保管されている化学物質分配システムは、紡糸チャンバから電気的に分離されている。紡糸チャンバでは、このマトリクスが紡糸される。化学物質分配システムと紡糸チャンバとの間の領域には、案内部が形成されている。案内部の上には、タンクが移動可能に取り付けられている。案内部は、ポリマー・マトリクスのバッチを化学物質分配システムから紡糸チャンバの中へ移送する働きをし、また逆に移送する働きもする。このような構成によって、化学物質分配システムにおけるポリマー・マトリクスのパラメータ、及びそれらの活性変異を監視することが可能になるが、それは、ポリマー・マトリクスが紡糸空間に入れられる前やその紡糸の前だけである。次の欠点は、特に、例えばポリマー・マトリクスをポンプでタンク内へ入れ、またタンクからくみ出すシステムのような、比較的大量の、さらに比較的複雑なエレメントを使用することにある。また、化学物質分配システム内のポリマー・マトリクスのパラメータへの積極的な干渉と静電紡糸中のその反応との間の時間遅れが長いことにある。さらに、この装置の使用時には、ポリマー・マトリクスのパラメータを監視できるだけで、紡糸空間内の状態を監視することができない。紡糸空間内の状態も、静電紡糸の工程にほぼ同等の影響を及ぼす。とりわけ、紡糸空間内の電気的状態は、最も重要なパラメータに属する。その電気的状態は、紡糸空間雰囲気の、主に湿度、温度及び組成に依存する。これらの値をそれらの変異と共に監視すると、紡糸空間内に含まれるポリマー・マトリクスの溶剤の蒸気の引火さらには爆発も防止できるので、静電紡糸の工程の効率及びその安全性が大幅に向上する。
本発明の目的は、測定エレメント、評価エレメント及び照明エレメントなどの電気装置を配置することを原理的に可能にすることである。また、場合により、紡糸空間のいくつかのパラメータへの積極的な干渉を可能にする駆動装置付きの機械エレメントを配置することを原理的に可能にすることである。
本発明の目的は、紡糸空間内におけるポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置であって、紡糸空間において収集電極と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これらの間には高強度の電界が誘導されており、紡糸空間中に少なくとも1つの電気装置が配置されている、ナノファイバ製造装置によって達成される。この装置の特徴は、電気装置が、高電圧に対して絶縁されているトランスの巻線に接続されており、トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置された電圧パルスを発生及び/又は評価するための装置に接続されていることにある。
紡糸空間内の電気装置が、高圧に対して絶縁されているトランスの一次巻線に接続されており、トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置された交流電圧源に接続されている場合において、電気装置のエネルギー源として働き、又はその動作を制御する信号として働く電圧パルスをもたらすための最も有利な方法は、トランスによるものである。これによって、紡糸空間内の電気装置へ電圧パルスを確実に供給することができる。同時に、電気装置に誘導される直流高電圧が紡糸空間の外側へ、さらには交流電圧源中へ伝わっていくことも防止される。
同様に、紡糸空間の外側へは、これらの電気装置の出力も電圧パルスの形で伝えられることがある。このような場合、電気装置は、さらに出力トランスの一次巻線に接続され、出力トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置されたデータ装置に接続されている。このデータ装置は、この場合、電気装置の出力の処理、及び/又は改変、及び/又は保存、及び/又は表示の働きをする。
電気装置を作動させるための交流電圧源は、特にその稼働性により、一般の公共配電網であることが有利である。
本発明の原理を利用するに際し、紡糸空間内に配置することができる電気装置は、ほぼあらゆる電気装置である。例えば、それは、紡糸空間内の可視性を改善するための照明エレメントである。また別の有利なデバイスは、例えば、紡糸空間内のポリマー・マトリクスのパラメータ、又は雰囲気の組成を決定するための測定エレメントである。溶剤の蒸気の引火又はその爆発の危険を予測し、別の電気装置と組み合わせて防止することもできるので、この測定エレメントの利用により装置全体の安全性が大幅に向上する。
測定装置のデータを評価するために、さらに評価エレメントが紡糸空間内に配置される。
得られた情報、又は評価された情報をさらに処理し、場合によっては紡糸空間内又はその外側に配置された別の電気装置の動作を制御する同様の電気装置は、制御システムである。これは、リレー又はトランジスタなどをベースとするプロセッサ又は他の論理回路を含む。
その中の状態、又はポリマー・マトリクスのパラメータを改変する観点から紡糸空間内に配置することが有利である他の電気エレメントは、例えば機械エレメントの駆動装置である。その動作は、これらの状態又はパラメータに影響を及ぼす。
この次に、紡糸空間内にもたらされる電気エネルギーは、さらに、紡糸空間、又はその中に配置されたいくつかのエレメントの温度を間接的に上昇させるために利用することができる。これにより、場合によってはいくつかの種類のポリマー・マトリクスの静電紡糸が容易になり、可能にもなる。このような場合に紡糸空間内に配置される電気装置は、少なくとも1つの加熱抵抗器である。
本発明による、ポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置の2つの変形例が、概略的に添付の図面に示されている。
本発明による、液体マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置、及びその原理を、図1に概略的に示された実施形態の実施例に基づいて説明する。この図を分かりやすく簡単にするために、装置のいくつかのエレメントは、それらの実際の構造又は大きさにかかわらず簡略化して示されているだけである。一方、本発明の原理を理解するのに不可欠ではなく、その構造又は相互配置が当業者には明らかである他のエレメントはまったく示されていない。
ポリマー・マトリクスの静電紡糸装置は、紡糸空間を画定する紡糸チャンバ1を含む。その上部には収集電極2が配置されている。収集電極2は、紡糸チャンバ1の外側に配置された直流高電圧源3の一方の極に接続されている。図示の収集電極2は金属板で作られている。しかし、図示されていない別の実施形態の実施例においては、技術的要件又は空間的な可能性に応じて、収集電極2の他の既知の構造、場合により任意の種類のいくつかの収集電極2、又はそれらの組み合わせを使用してもよい。
収集電極2の下の空間には、既知の手段によって、基板4の図示されていない案内部が形成されている。基板4は、ナノファイバの層を堆積し、その結果生じたものを紡糸空間の外側へ搬送する働きをする。図示の実施形態の実施例では、非導電性布地が基板4として使用されている。しかし、使用される基板4の具体的な種類、紡糸空間内におけるその移動方法、及び例えば導電性のようなその物理的特性は、まず第一には、使用される収集電極2の種類、及び製造技術の種類によって決まる。図示されていない他の実施形態の実施例においては、基板4として、例えば静電表面仕上げをした布地及び金属箔などの導電性材料を使用することもできる。これに反して、例えばCZ PV 2007−727により知られる特別な種類の収集電極2を適用すると、基板4はまったく使用されない。そして、製造されたナノファイバは収集電極2の表面に直接堆積され、その後そこから取り出される。
図示の実施形態の実施例においては、紡糸チャンバ1の下部には、開放容器で作られたポリマー・マトリクス51のタンク5が配置されている。ポリマー・マトリクス51は液体状態のポリマー溶液である。また、図示されていない別の実施形態の実施例においては、ポリマーの溶融物の静電紡糸の際に本発明の原理を用いることもできる。さらには、液体状態の溶融物を保持するためのタンク5及び図示されていない手段の構成をした変形例がこれに相当する。
タンク5の近くに、紡糸エレメント6を含む紡糸電極が取り付けられている。紡糸電極は、収集電極2に対して反対側の直流高電圧源3の極に接続されている。紡糸電極6は、塗布位置と紡糸位置との間において調整可能な間隔で移動可能である。塗布位置においては、紡糸電極6は収集電極2から遠ざけられており、ポリマー・マトリクス51がその上に塗布される。反対に、紡糸位置においては、紡糸電極6は収集電極2に近づけられる。それによって、紡糸電極6と収集電極2との間において静電紡糸電界が誘導され、紡糸エレメント6の表面に塗布されたポリマー・マトリクス51の紡糸が行われる。本発明の原理は、紡糸電極すなわちその紡糸エレメント6の形状及び原理に全く依存しないので、さらなる変更も伴わずに、紡糸電極のすべての周知の構造に適用可能である。周知の構造としては、例えば、CZ PV 2006−545又はCZ PV 2007−485による可動線(moveable wire)、チェコ共和国特許第294274号による回転円筒体、或いは、例えば米国特許出願公開第2005067732号による1つのノズル又は一群のノズルがある。同様に、本発明の原理は、収集電極2及び紡糸電極すなわちその紡糸エレメント6にもたらされる電圧の極性によって、並びにそれらの一部を接地することによって、限定されることはない。
ポリマー・マトリクス51のタンク5の上で、紡糸電極6の軌道の外側の空間には、電気装置7が配置されている。図示の実施形態の実施例においては、電気装置7は照明エレメントである。電気装置7は、トランス8の二次巻線82に接続されている。トランス8は、高電圧に対して絶縁されている。トランス8の一次巻線81は、過電圧保護9を介して交流低電圧源10に接続されている。適切な交流低電圧源10は、特にその稼働性及び長期にわたり一定の出力を供給できることを考慮して、例えば公共配電網とすることができる。トランス8は、その構造及び電気的な機能によって、交流低電圧源10を紡糸空間内のすべてのエレメントから分離する。紡糸空間へ交流低電圧が給電されるか、または、収集電極2と紡糸電極6との間の電気紡糸電界により紡糸空間に直流高電圧が誘導される。しかし、同時に、トランス8は、交流電圧を、場合により他の電圧時間変化を、交流低電圧源10から電気装置7へ伝達する。交流低電圧がトランス8の一次巻線81に供給されると、その近辺に電磁誘導の交番する流れを伴う磁界が誘導される。この磁界はトランス8のコア83内に囲い込まれ、その時間変化によりトランス8の二次巻線82に交流低電圧が誘導される。その後、この電圧が電気装置7に加えられる。その値は、一次巻線81の巻数に対する二次巻線82の巻数の比と、トランス8の一次巻線81に供給される電圧の値とによって与えられる。適切に寸法設定されたトランス8を利用すると、その二次巻線82に、電気装置7に供給する必要のあるほぼ任意の値の交流電圧も得ることが可能である。通常、この電圧は、個々の電気装置7の種類、又はいくつかの電気装置7を接続する方法によって、1〜230Vの範囲内で、例外的には最大1000Vまでと様々である。
照明エレメントは、最も簡単な単なる電気装置7である。このエレメントには、トランス8を利用することによって紡糸空間内において電圧を加えることができる。しかし、より複雑な測定装置又は評価装置を利用すると、トランス8によって供給される入力電圧に加えて、これらの装置で取得されたデータをその後の処理のために紡糸空間の外に、通常は50Vまでの低電圧のパルスの形で引き出すことも通常必要になる。
図2は、静電紡糸によるナノファイバ製造装置を示しており、その紡糸空間内に電気装置7があり、電気装置7はトランス8によって電圧を加えられている。この実施形態の実施例においては、電気装置7は溶剤蒸気の濃度を監視する測定装置である。溶剤蒸気は、ポリマー・マトリクス51の成分であり、紡糸空間内において紡糸される。これらの蒸気の濃度上昇は、極端な場合には引火さらには爆発にもつながり得る。測定装置の出力チャネルは、出力トランス11の一次巻線111に接続されている。さらに、その二次巻線112には、データ処理装置12が接続されている。データ処理装置12は、紡糸チャンバ1の外側に置かれている。測定装置からの出力データは、低電圧のパルスの形であり、評価、及び/又は保存、及び/又は表示、及び/又は改変のためのデータ処理装置12に出力トランス11を用いて伝達される。同時に、トランス11の一次巻線111と二次巻線112の巻線比は、測定装置の出力が増幅されるように選択することができる。
出力トランス11の二次巻線112とデータ処理装置12との間に、図示されていない過電圧保護が挿入されることが有利である。また場合により、出力電気パルスをより簡単に迅速に評価する目的で出力電気パルスの改変装置も挿入され得る。
図示されていない他の実施形態の実施例においては、測定装置からの出力は、例えば光学的手段によって提供される。場合により、そのデータは、紡糸空間内に直接配置されたデータ処理装置12によって評価され、保存され、又は表示される。
原理的に、電気装置7として、任意の既知の電気装置を任意の値の電源電圧で使用することができる。この電源電圧は、トランス8の二次巻線82と一次巻線81の巻数比、及び/又はトランス8の一次巻線81に供給される交流電圧の値を対応して選択することによって得られる。照明エレメント、測定エレメント及び評価エレメント、制御システム又はパーソナル・コンピュータに加えて、紡糸空間内に加熱抵抗器を置くことも可能である。この抵抗器では、供給された交流電圧の電気入力が、例えば式P=U2/Rに従って、いわゆるジュール−レンス(Lence)熱に変換される。この熱は、紡糸空間の間接加熱、又は紡糸空間内に配置されたナノファイバ製造装置のいくつかのエレメントの間接加熱に利用可能である。場合によって、温度が上昇すると、特定の種類のポリマー・マトリクス、例えば粘性が高いポリマー溶融物又はポリマー溶液の紡糸が容易になり、さらに可能となる。
紡糸空間内に配置された電気装置7の別の実現可能なものは活性エレメント(active element)である。これは、制御電圧パルス源から供給される高調波交流電圧以外の電圧パルスに基づいて機械的動作を行う。または、活性エレメントはその機械的動作を他のエレメントへ伝達する。このような活性エレメントは、例えば、タンク5内のポリマー・マトリクス51を確実に循環させるための活性エレメントの駆動装置などである。これらの活性エレメントを利用すると、紡糸空間内に配置された他の電気装置7、例えば活性エレメントと協働する測定エレメントとこれらを組み合わせた場合に、最も高い効果が得られる。
1 紡糸チャンバ
2 収集電極
3 直流高電圧源
4 基板
5 タンク
51 ポリマー・マトリクス
6 紡糸電極
7 電気装置
8 トランス
81 トランス一次巻線
82 トランス二次巻線
83 トランス・コア
9 過電圧保護
10 交流低電圧源
11 出力トランス
111 出力トランス一次巻線
112 出力トランス二次巻線
12 データ処理装置
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12 データ処理装置
本発明は、ポリマー・マトリクスの静電紡糸によりナノファイバを紡糸空間内において製造する装置に関するものである。この紡糸空間内において、収集電極と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これら電極間には高強度の電界が誘導されており、この紡糸空間中に少なくとも1つの電気装置が配置されている。
液体マトリクスの静電紡糸によりナノファイバを製造するためのこれまでに知られているすべての装置の欠点は、紡糸電極と収集電極の電位差によって誘導される静電紡糸電界の中に、いかなる電気装置を配置することも、このような装置に電圧を加えることも、特に高電圧が誘導されるので、不可能であるということである。このことにより、原理的に、静電紡糸電界、ポリマー・マトリクス及び紡糸空間内の状態に関するいくつか重要なパラメータを監視することができず、またそれによって、これらのパラメータへのあらゆる積極的な干渉ができなくなってしまう。
CZ PV 2006−361には、ポリマー・マトリクスのパラメータの監視を可能にする装置が開示されている。この装置では、ポリマー・マトリクスが調製及び/又は保管されている化学物質分配システムは、紡糸チャンバから電気的に分離されている。紡糸チャンバでは、このマトリクスが紡糸される。化学物質分配システムと紡糸チャンバとの間の領域には、案内部が形成されている。案内部の上には、タンクが移動可能に取り付けられている。案内部は、ポリマー・マトリクスのバッチを化学物質分配システムから紡糸チャンバの中へ移送する働きをし、また逆に移送する働きもする。このような構成によって、化学物質分配システムにおけるポリマー・マトリクスのパラメータ、及びそれらの活性変異を監視することが可能になるが、それは、ポリマー・マトリクスが紡糸空間に入れられる前やその紡糸の前だけである。次の欠点は、特に、例えばポリマー・マトリクスをポンプでタンク内へ入れ、またタンクからくみ出すシステムのような、比較的大量の、さらに比較的複雑なエレメントを使用することにある。また、化学物質分配システム内のポリマー・マトリクスのパラメータへの積極的な干渉と静電紡糸中のその反応との間の時間遅れが長いことにある。さらに、この装置の使用時には、ポリマー・マトリクスのパラメータを監視できるだけで、紡糸空間内の状態を監視することができない。紡糸空間内の状態も、静電紡糸の工程にほぼ同等の影響を及ぼす。とりわけ、紡糸空間内の電気的状態は、最も重要なパラメータに属する。その電気的状態は、紡糸空間雰囲気の、主に湿度、温度及び組成に依存する。これらの値をそれらの変異と共に監視すると、紡糸空間内に含まれるポリマー・マトリクスの溶剤の蒸気の引火さらには爆発も防止できるので、静電紡糸の工程の効率及びその安全性が大幅に向上する。
KR 20060071530には、溶融紡糸装置が開示されている。この装置は、所定の直径の紡糸孔及び紡糸ノズルを有する反応器と、反応器を加熱するための加熱器と、加熱器の温度を制御するための温度コントローラと、ノズルを通して防止されたファイバの焦点を合わせるフォーカシング・ローラと、所定の電圧レベルの直流電流を反応器及びフォーカシング・ローラに供給する高電圧発生器と、高電圧トランスとを含む。高電圧トランスは、温度コントローラをシールドするために加熱器の温度コントローラと加熱器との間に配置されており、反応器に供給される高電圧が加熱器の温度コントローラに伝達されることを防止している。温度コントローラは、反応器とフォーカシング・ローラとの間に生成される電界の外側に配置され、トランスの一次巻線に接続されている。温度コントローラによる制御をするための温度検出は、遠隔温度センサによって行われている。遠隔温度センサは、電界の外側に配置されており、温度コントローラを伴う特定されていない電気装置に接続されている。そのように、遠隔温度センサは、温度コントローラを通して、トランスの一次巻線に接続されている。遠隔温度検出では満足できる精度が得られない。そして、遠隔温度センサは高価である。この反応器を加熱するための全体配置では、要求されても迅速な反応ができない。
本発明の目的は、測定エレメント、評価エレメント及び照明エレメントなどの電気装置を配置することを原理的に可能にすることである。また、場合により、紡糸空間のいくつかのパラメータへの積極的な干渉を可能にする駆動装置付きの機械エレメントを配置することを原理的に可能にすることである。
本発明の目的は、紡糸空間内におけるポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置であって、紡糸空間において収集電極と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これらの間には高強度の電界が誘導されており、紡糸空間中に少なくとも1つの電気装置が配置されている、ナノファイバ製造装置によって達成される。この装置の特徴は、電気装置が、高電圧に対して絶縁されているトランスの巻線に接続されており、トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置された電圧パルスを発生及び/又は評価するための装置に接続されていることにある。
紡糸空間内の電気装置が、高圧に対して絶縁されているトランスの一次巻線に接続されており、トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置された交流電圧源に接続されている場合において、電気装置のエネルギー源として働き、又はその動作を制御する信号として働く電圧パルスをもたらすための最も有利な方法は、トランスによるものである。これによって、紡糸空間内の電気装置へ電圧パルスを確実に供給することができる。同時に、電気装置に誘導される直流高電圧が紡糸空間の外側へ、さらには交流電圧源中へ伝わっていくことも防止される。
同様に、紡糸空間の外側へは、これらの電気装置の出力も電圧パルスの形で伝えられることがある。このような場合、電気装置は、さらに出力トランスの一次巻線に接続され、出力トランスの二次巻線が、紡糸空間の外側に配置されたデータ装置に接続されている。このデータ装置は、この場合、電気装置の出力の処理、及び/又は改変、及び/又は保存、及び/又は表示の働きをする。
電気装置を作動させるための交流電圧源は、特にその稼働性により、一般の公共配電網であることが有利である。
本発明の原理を利用するに際し、紡糸空間内に配置することができる電気装置は、ほぼあらゆる電気装置である。例えば、それは、紡糸空間内の可視性を改善するための照明エレメントである。また別の有利なデバイスは、例えば、紡糸空間内のポリマー・マトリクスのパラメータ、又は雰囲気の組成を決定するための測定エレメントである。溶剤の蒸気の引火又はその爆発の危険を予測し、別の電気装置と組み合わせて防止することもできるので、この測定エレメントの利用により装置全体の安全性が大幅に向上する。
測定装置のデータを評価するために、さらに評価エレメントが紡糸空間内に配置される。
得られた情報、又は評価された情報をさらに処理し、場合によっては紡糸空間内又はその外側に配置された別の電気装置の動作を制御する同様の電気装置は、制御システムである。これは、リレー又はトランジスタなどをベースとするプロセッサ又は他の論理回路を含む。
その中の状態、又はポリマー・マトリクスのパラメータを改変する観点から紡糸空間内に配置することが有利である他の電気エレメントは、例えば機械エレメントの駆動装置である。その動作は、これらの状態又はパラメータに影響を及ぼす。
この次に、紡糸空間内にもたらされる電気エネルギーは、さらに、紡糸空間、又はその中に配置されたいくつかのエレメントの温度を間接的に上昇させるために利用することができる。これにより、場合によってはいくつかの種類のポリマー・マトリクスの静電紡糸が容易になり、可能にもなる。このような場合に紡糸空間内に配置される電気装置は、少なくとも1つの加熱抵抗器である。
本発明による、ポリマー・マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置の2つの変形例が、概略的に添付の図面に示されている。
本発明による、液体マトリクスの静電紡糸によるナノファイバ製造装置、及びその原理を、図1に概略的に示された実施形態の実施例に基づいて説明する。この図を分かりやすく簡単にするために、装置のいくつかのエレメントは、それらの実際の構造又は大きさにかかわらず簡略化して示されているだけである。一方、本発明の原理を理解するのに不可欠ではなく、その構造又は相互配置が当業者には明らかである他のエレメントはまったく示されていない。
ポリマー・マトリクスの静電紡糸装置は、紡糸空間を画定する紡糸チャンバ1を含む。その上部には収集電極2が配置されている。収集電極2は、紡糸チャンバ1の外側に配置された直流高電圧源3の一方の極に接続されている。図示の収集電極2は金属板で作られている。しかし、図示されていない別の実施形態の実施例においては、技術的要件又は空間的な可能性に応じて、収集電極2の他の既知の構造、場合により任意の種類のいくつかの収集電極2、又はそれらの組み合わせを使用してもよい。
収集電極2の下の空間には、既知の手段によって、基板4の図示されていない案内部が形成されている。基板4は、ナノファイバの層を堆積し、その結果生じたものを紡糸空間の外側へ搬送する働きをする。図示の実施形態の実施例では、非導電性布地が基板4として使用されている。しかし、使用される基板4の具体的な種類、紡糸空間内におけるその移動方法、及び例えば導電性のようなその物理的特性は、まず第一には、使用される収集電極2の種類、及び製造技術の種類によって決まる。図示されていない他の実施形態の実施例においては、基板4として、例えば静電表面仕上げをした布地及び金属箔などの導電性材料を使用することもできる。これに反して、例えばCZ PV 2007−727により知られる特別な種類の収集電極2を適用すると、基板4はまったく使用されない。そして、製造されたナノファイバは収集電極2の表面に直接堆積され、その後そこから取り出される。
図示の実施形態の実施例においては、紡糸チャンバ1の下部には、開放容器で作られたポリマー・マトリクス51のタンク5が配置されている。ポリマー・マトリクス51は液体状態のポリマー溶液である。また、図示されていない別の実施形態の実施例においては、ポリマーの溶融物の静電紡糸の際に本発明の原理を用いることもできる。さらには、液体状態の溶融物を保持するためのタンク5及び図示されていない手段の構成をした変形例がこれに相当する。
タンク5の近くに、紡糸エレメント6を含む紡糸電極が取り付けられている。紡糸電極は、収集電極2に対して反対側の直流高電圧源3の極に接続されている。紡糸電極6は、塗布位置と紡糸位置との間において調整可能な間隔で移動可能である。塗布位置においては、紡糸電極6は収集電極2から遠ざけられており、ポリマー・マトリクス51がその上に塗布される。反対に、紡糸位置においては、紡糸電極6は収集電極2に近づけられる。それによって、紡糸電極6と収集電極2との間において静電紡糸電界が誘導され、紡糸エレメント6の表面に塗布されたポリマー・マトリクス51の紡糸が行われる。本発明の原理は、紡糸電極すなわちその紡糸エレメント6の形状及び原理に全く依存しないので、さらなる変更も伴わずに、紡糸電極のすべての周知の構造に適用可能である。周知の構造としては、例えば、CZ PV 2006−545又はCZ PV 2007−485による可動線(moveable wire)、チェコ共和国特許第294274号による回転円筒体、或いは、例えば米国特許出願公開第2005067732号による1つのノズル又は一群のノズルがある。同様に、本発明の原理は、収集電極2及び紡糸電極すなわちその紡糸エレメント6にもたらされる電圧の極性によって、並びにそれらの一部を接地することによって、限定されることはない。
ポリマー・マトリクス51のタンク5の上で、紡糸電極6の軌道の外側の空間には、電気装置7が配置されている。図示の実施形態の実施例においては、電気装置7は照明エレメントである。電気装置7は、トランス8の二次巻線82に接続されている。トランス8は、高電圧に対して絶縁されている。トランス8の一次巻線81は、過電圧保護9を介して交流低電圧源10に接続されている。適切な交流低電圧源10は、特にその稼働性及び長期にわたり一定の出力を供給できることを考慮して、例えば公共配電網とすることができる。トランス8は、その構造及び電気的な機能によって、交流低電圧源10を紡糸空間内のすべてのエレメントから分離する。紡糸空間へ交流低電圧が給電されるか、または、収集電極2と紡糸電極6との間の電気紡糸電界により紡糸空間に直流高電圧が誘導される。しかし、同時に、トランス8は、交流電圧を、場合により他の電圧時間変化を、交流低電圧源10から電気装置7へ伝達する。交流低電圧がトランス8の一次巻線81に供給されると、その近辺に電磁誘導の交番する流れを伴う磁界が誘導される。この磁界はトランス8のコア83内に囲い込まれ、その時間変化によりトランス8の二次巻線82に交流低電圧が誘導される。その後、この電圧が電気装置7に加えられる。その値は、一次巻線81の巻数に対する二次巻線82の巻数の比と、トランス8の一次巻線81に供給される電圧の値とによって与えられる。適切に寸法設定されたトランス8を利用すると、その二次巻線82に、電気装置7に供給する必要のあるほぼ任意の値の交流電圧も得ることが可能である。通常、この電圧は、個々の電気装置7の種類、又はいくつかの電気装置7を接続する方法によって、1〜230Vの範囲内で、例外的には最大1000Vまでと様々である。
照明エレメントは、最も簡単な単なる電気装置7である。このエレメントには、トランス8を利用することによって紡糸空間内において電圧を加えることができる。しかし、より複雑な測定装置又は評価装置を利用すると、トランス8によって供給される入力電圧に加えて、これらの装置で取得されたデータをその後の処理のために紡糸空間の外に、通常は50Vまでの低電圧のパルスの形で引き出すことも通常必要になる。
図2は、静電紡糸によるナノファイバ製造装置を示しており、その紡糸空間内に電気装置7があり、電気装置7はトランス8によって電圧を加えられている。この実施形態の実施例においては、電気装置7は溶剤蒸気の濃度を監視する測定装置である。溶剤蒸気は、ポリマー・マトリクス51の成分であり、紡糸空間内において紡糸される。これらの蒸気の濃度上昇は、極端な場合には引火さらには爆発にもつながり得る。測定装置の出力チャネルは、出力トランス11の一次巻線111に接続されている。さらに、その二次巻線112には、データ処理装置12が接続されている。データ処理装置12は、紡糸チャンバ1の外側に置かれている。測定装置からの出力データは、低電圧のパルスの形であり、評価、及び/又は保存、及び/又は表示、及び/又は改変のためのデータ処理装置12に出力トランス11を用いて伝達される。同時に、トランス11の一次巻線111と二次巻線112の巻線比は、測定装置の出力が増幅されるように選択することができる。
出力トランス11の二次巻線112とデータ処理装置12との間に、図示されていない過電圧保護が挿入されることが有利である。また場合により、出力電気パルスをより簡単に迅速に評価する目的で出力電気パルスの改変装置も挿入され得る。
図示されていない他の実施形態の実施例においては、測定装置からの出力は、例えば光学的手段によって提供される。場合により、そのデータは、紡糸空間内に直接配置されたデータ処理装置12によって評価され、保存され、又は表示される。
原理的に、電気装置7として、任意の既知の電気装置を任意の値の電源電圧で使用することができる。この電源電圧は、トランス8の二次巻線82と一次巻線81の巻数比、及び/又はトランス8の一次巻線81に供給される交流電圧の値を対応して選択することによって得られる。照明エレメント、測定エレメント及び評価エレメント、制御システム又はパーソナル・コンピュータに加えて、紡糸空間内に加熱抵抗器を置くことも可能である。この抵抗器では、供給された交流電圧の電気入力が、例えば式P=U2/Rに従って、いわゆるジュール−レンス(Lence)熱に変換される。この熱は、紡糸空間の間接加熱、又は紡糸空間内に配置されたナノファイバ製造装置のいくつかのエレメントの間接加熱に利用可能である。場合によって、温度が上昇すると、特定の種類のポリマー・マトリクス、例えば粘性が高いポリマー溶融物又はポリマー溶液の紡糸が容易になり、さらに可能となる。
紡糸空間内に配置された電気装置7の別の実現可能なものは活性エレメント(active element)である。これは、制御電圧パルス源から供給される高調波交流電圧以外の電圧パルスに基づいて機械的動作を行う。または、活性エレメントはその機械的動作を他のエレメントへ伝達する。このような活性エレメントは、例えば、タンク5内のポリマー・マトリクス51を確実に循環させるための活性エレメントの駆動装置などである。これらの活性エレメントを利用すると、紡糸空間内に配置された他の電気装置7、例えば活性エレメントと協働する測定エレメントとこれらを組み合わせた場合に、最も高い効果が得られる。
1 紡糸チャンバ
2 収集電極
3 直流高電圧源
4 基板
5 タンク
51 ポリマー・マトリクス
6 紡糸電極
7 電気装置
8 トランス
81 トランス一次巻線
82 トランス二次巻線
83 トランス・コア
9 過電圧保護
10 交流低電圧源
11 出力トランス
111 出力トランス一次巻線
112 出力トランス二次巻線
12 データ処理装置
2 収集電極
3 直流高電圧源
4 基板
5 タンク
51 ポリマー・マトリクス
6 紡糸電極
7 電気装置
8 トランス
81 トランス一次巻線
82 トランス二次巻線
83 トランス・コア
9 過電圧保護
10 交流低電圧源
11 出力トランス
111 出力トランス一次巻線
112 出力トランス二次巻線
12 データ処理装置
Claims (10)
- 紡糸空間内におけるポリマー・マトリクス(51)の静電紡糸によるナノファイバ製造装置であって、前記紡糸空間において収集電極(2)と紡糸電極とが互いに向かい合わせに配置されており、これらの間には高強度の電界が誘導されており、前記紡糸空間中に少なくとも1つの電気装置(7)が配置されている、ナノファイバ製造装置において、前記電気装置(7)が、高電圧に対して絶縁されているトランス(8、11)の巻線に接続されており、トランス(8、11)の二次巻線が、前記紡糸空間の外側に配置された電圧パルスを発生及び/又は評価するための装置に接続されていることを特徴とする、ナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が、高電圧に対して絶縁されている前記トランス(8)の二次巻線(82)に接続されており、前記トランス(8)の一次巻線(81)が、前記紡糸空間の外側に配置された交流電圧源(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が、高電圧に対して絶縁された前記出力トランス(11)の一次巻線(111)に接続されており、前記出力トランス(11)の二次巻線(112)が、前記紡糸空間の外側に配置されたデータ処理装置(12)に接続されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記交流電圧源(10)が公共配電網であることを特徴とする、請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が照明エレメントであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が測定エレメントであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が評価エレメントであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が制御システムであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が、前記紡糸空間内に配置された機械エレメントの駆動装置であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
- 前記電気装置(7)が加熱抵抗器であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたナノファイバ製造装置。
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