JP2011516580A - トウサイカチgleditsiasinensislamの抽出物を用いる抗癌方法 - Google Patents
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Abstract
トウサイカチ(Gleditsia sinensis Lam)の選択的アポトーシス抽出物が提供される。また、特定の細胞、特にヒトにおいてアポトーシスを誘導するために前記抽出物を使用する方法が提供される。さらにまた、アポトーシスの選択的誘導用の医薬を調製するためのトウサイカチの抽出物の使用が提供される。
【選択図】図1A、図1B、図1C、図1D
【選択図】図1A、図1B、図1C、図1D
Description
本発明は、植物抽出物組成物に関し、さらに詳しくはトウサイカチ(Gleditsia sinensis Lam)に属する植物種の抽出物を含有する組成物に関する。また、本発明は、このような植物抽出物組成物を使用する方法及び調製する方法に関する。
(相互参照及び優先権主張)
(相互参照及び優先権主張)
本出願は、2008年4月11日付け出願の米国特許仮出願第61/044,396号から米国特許法35U.S.C.§119(e)の下で優先権を主張し、前記米国特許仮出願は、その全体を参照することにより本明細書において援用される。
癌細胞の特徴は、制御されていない増殖にある。確認されている制御されない増殖の原因の中で、見たところ重要な1つは、プログラムされた細胞死(アポトーシスとしても知られている)のプロセスに対する抵抗性である。アポトーシスは、多細胞生物が、制御されない細胞増殖を阻止するために及び病気になっている細胞、極めて有害になっている細胞又は必要がなくなっている細胞を除くために用いるプロセスである。アポトーシスのプロセスは、タンパク分解酵素及びDNAエンドヌクレアーゼの共同作用によって細胞が内部から分解され、アポトーシス小体の形成をもたらし、次いでこれがスカベンジャー細胞によって取り除かれるという多段階カスケードを含む。現在までの研究により、細胞内分解の多くは、アスパラギン酸残基に隣接して開裂するタンパク分解酵素のファミリーであるカスパーゼの作用によって行われることが明らかにされている。
乳癌治療の最近の進歩にもかかわらず、現行の治療計画は、多くの場合、有害な(時には治療を制限する)副作用をもたらす。また、現行の治療は、転移性乳癌に対してはほとんど効果がない。早期スクリーニング及び治療は、多くの患者について予後を向上させることができるが、このようなスクリーニングは、一様ではなく、幾つかの癌は、日常的なスクリーニングでは初期の段階で検出できないほど早く増殖する。毒性が低いか、後期癌に対して活性であるか又はその両方である治療選択肢に対する要求が依然としてある。
1つの特に難治型の癌は、エストロゲン受容体陰性乳癌である。米国で乳癌について現在承認されている治療法は全て、エストロゲン受容体陽性癌に極めて有効である。乳癌は、エストロゲン受容体陰性組織で開始する可能性があるか、又は癌療法に対する適応反応としてエストロゲン受容体を発現しなくなる可能性がある。エストロゲン受容体陰性乳癌を有する患者について、選択肢はほとんどない。従って、乳癌がエストロゲン受容体陰性であるこれらの患者のための治療選択肢に対する要求がある。
エストロゲン受容体陰性癌の1つのサブクラスは、エストロゲン受容体(ER)に陰性であり且つプロゲステロン受容体(PR)及び/又はヒト上皮増殖因子2(Her2/neu)の一方又は両方に陰性である乳癌である。ER陰性癌のこのサブクラスの特に難治性のサブセットは、いわゆる「三重陰性」乳癌−すなわち、ER、PR及びHer2/neuに陰性である乳癌である。三重陰性乳癌を有するこれらの患者について、治療選択肢は極めて限定される。従って、この群の患者の治療選択肢に対する現在の要求がある。
難治性の癌、特に乳癌は、あいにくありふれていてよく起こる。患者が癌について1つ又はそれ以上の治療レジメンを受けていると、その患者の癌に対する別の治療の選択肢は、さらに限定されてしまい、さらに害になる可能性がある。従って、癌についてすでに先立つ1つ又はそれ以上の治療ラウンドを受けているが、その癌が治療に反応しなかったか又は反応することをやめた患者のための選択肢に対する要求がある。
前記の要求及びその他の要求は、付属の特許請求の範囲及び図面を含め以下の開示においてさらに詳細に説明される本発明の実施形態によって取り扱われる。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することからなる、方法を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有するエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を製造するためのトウサイカチの抽出物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することからなる、方法を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬を製造するための、トウサイカチの抽出物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を投与することからなる、方法を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、前記のオレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のオレアノール酸を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有するエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約1〜100gである。幾つかの実施形態において、癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を製造するための、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する組成物の使用を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、記経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を投与することからなる、方法を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、レアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を治療するための医薬を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のオレアノール酸を含有し、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を治療するための医薬を製造するための、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体の使用を提供する。幾つかの実施形態において、オレアノール酸の治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量の少なくとも1種のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を投与することからなり、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外(in vitro)で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、方法を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約1〜約100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量の少なくとも1種のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を含有する医薬組成物であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2、及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約1〜約100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を含有する、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、TORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2、及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約1〜約100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬を製造するための、治療有効量のサポニンの使用を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2、及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約1〜約100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量のサポニンを投与することからなり、前記サポニンがmTORC1、mTORC2、及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、方法を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、TORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のサポニンを含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効であり且つ前記サポニンがmTORC1、mTORC2、及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬組成物を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、治療有効量のサポニンを含有する、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2、及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。
サポニンの治療有効量が1日当たり約0.001〜約100gである、請求項191に記載の医薬。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬を製造するためのサポニンの使用であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものであるサポニンの使用を提供する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、Akt阻害活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、脂質ラフトを破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンは、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する。幾つかの実施形態において、サポニンは、mTORC1、mTORC2、及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する。幾つかの実施形態において、サポニンの治療有効量は、1日当たり約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
本明細書に述べた全ての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照することにより援用されることが具体的に及び個々に示されているかのように同じ程度に参照することより本明細書において援用される。
本発明の新規な特徴を、特に添付の特許請求の範囲に記載する。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細な説明、及び以下の添付図面を参照することにより得られるであろう:
本明細書において、特にトウサイカチと呼ばれる植物の分類学上の種の抽出物を含有する医薬組成物が開示される。本明細書に開示される別の実施形態は、本明細書に記載の組成物を使用する選択的アポトーシス方法を提供する。本明細書に記載の選択的アポトーシス組成物は、異常分裂細胞、例えば癌細胞でアポトーシスを誘導し、同時に正常細胞の正常な細胞プロセスを妨害しない活性を有する。理論によって制限されることを望まないが、開示された医薬組成物の有効成分は、カスパーゼ経路によって作用して、アポトーシスのプロセスにより自己調節能を失っている細胞においてアポトーシスを誘導すると考えられる。このような有効成分(これらは、トウサイカチ、特にその果実から抽出される)は、癌細胞においてAKT(セリン/トレオニンプロテインキナーゼ)及びmTORキナーゼの活性を阻害し、それによって癌性細胞においてアポトーシスを誘導するか又は修復する活性を示唆する。
トウサイカチの水性抽出物(水溶液1mL当たり乾燥固形抽出物0.5mg)による乳癌細胞の処理は、癌細胞株の多数において顕著な細胞死を誘導する。正常な乳房上皮細胞及び線維芽細胞は、トウサイカチ抽出物の細胞障害作用に耐性がある。トウサイカチ抽出物に感受性であった乳癌細胞は、アポトーシス細胞死を起こす(DNA断片化、カスパーゼ活性化、PARPの切断及びアネキシンV染色によって確認される)。カスパーゼ3の他に、カスパーゼ4及び9(これらは、小胞体ストレスによって誘導されるアポトーシスに関連している)の活性化もまた、トウサイカチの水性抽出物0.090mg/mLによって誘導されることが観察された。この溶液は、乳癌においてAKT及びmTORキナーゼの急速な不活性化を誘導するが、非形質転換細胞では誘導しなかった。周知のアポトーシス促進特性及び抗増殖特性を有する幾つかの遺伝子の発現もまた、トウサイカチの水性抽出物によって誘導された。従って、本発明の態様は、多細胞生物、例えば哺乳動物、特にヒトの治療用のトウサイカチの抽出物の選択的アポトーシス促進作用を利用することにある。
トウサイカチの抽出物
トウサイカチの抽出物
前記の医薬組成物、医薬、医薬を製造するための使用(方法)及び癌、例えばER陰性乳癌を治療する方法に用いられる有効成分は、トウサイカチ又はそのアポトーシス活性成分の抽出物を含有する。幾つかの実施形態において、有効成分は、本質的にトウサイカチ又はそのアポトーシス活性成分のみからなる。幾つかの実施形態において、有効成分は、トウサイカチ又はそのアポトーシス活性成分のみからなる。
「抽出物」とは、植物部分を、抽出溶媒と、植物由来の1種又はそれ以上の化合物に適した条件下で接触させて植物物質から抽出溶媒に分配する際に得られる溶液、濃縮液又は残留物(乾燥抽出液)である。前記溶液は、次いで、場合により濃縮されて濃縮物又は残留物を形成する。
本発明に適した抽出媒体としては、水及びエチルアルコールが挙げられる。具体的には、水が抽出溶媒である場合には、精製水が適している。精製水としては、蒸留水、脱イオン水、注射用水、限外濾過水、及び精製された他の形態の水が挙げられる。本発明の幾つかの実施形態において用いられるエチルアルコールは、穀粒エタノール、特に未変性エタノール(例えば、場合により若干の水、例えば最大約10%までの水を含有していてもよい純穀粒エタノール)である。幾つかの実施形態において、抽出溶媒は、水、エタノール又はこれらの混合物である。濃縮物又は残留物は、抽出液を濃縮する(例えば、蒸発させるか又は凍結乾燥する)ことによって調製してもよい。最初の抽出溶媒、濃縮物又は残留物の形態にかかわらず、これらの調製物のそれぞれは、本発明の目的の「抽出物」とみなされる。
本発明の植物抽出物の製造方法は、場合により、植物物質を、その表面積と容積との比を増大させ且つ抽出プロセスの効率を同時に高めるために最初に粉砕することからなる。植物物質を粉砕する方法は、粉砕、細断、混合、寸断、微粉砕、磨砕などを含む。
次いで、抽出媒体(溶媒)は、植物物質と、1種又はそれ以上の植物化学物質、特に選択的アポトーシス植物化学物質を生じさせるのに適した条件下で接触させ、植物物質から抽出溶媒に分配させる。(トウサイカチの抽出物のアポトーシス成分はアポトーシス植物化学物質、例えばオレアノール酸が挙げられる。)このような条件としては、幾つかの場合には、室温を超える温度までの抽出媒体の加熱、撹拌、接触時間などが挙げられる。典型的な抽出温度は、約50℃から抽出溶媒の沸点までである。水が抽出溶媒である場合は、抽出温度は、一般的に室温から約100℃までであり、約50℃から約80℃までの温度が特に適しており、約75℃の温度が特に適している。抽出溶媒としてエタノールの場合には、抽出温度は、一般的に室温から約78.5℃までであり、約50℃から約78℃までの温度が特に適しており、約75℃の温度が特に適している。当業者には、一方の抽出効率と、他方の植物化学物質の安定性との間で適切な均衡が設けられるべきであることが認識されるであろう。
抽出媒体と植物物質が組み合わされると、これらは、場合により、植物物質から抽出媒体への選択的アポトーシス化合物の効率的な交換を確実にするために撹拌され、植物物質から抽出媒体への有用な量のアポトーシス植物化学物質を抽出するのに十分な時間を接触させておく。このような時間(例えば、約5分〜約10時間、さらに詳しくは約10分〜約5時間、特に約30分〜約2時間)が経過した後に、アポトーシス植物化学物質を含有する抽出媒体は、植物物質から分離される。このような分離は、当該技術で認識されている方法で、例えば濾過、デカントなどによって達成される。
本発明の組成物としては、本明細書に記載の植物抽出物又は本明細書に記載の植物抽出物を含有する組成物が挙げられる。このような実施形態において、本明細書に記載の組成物は、場合により1種又はそれ以上の追加成分を含有していていもよい。このような追加成分は、不活性であってもよいし又は活性であってもよい。不活性成分としては、溶媒、賦形剤又は他の担体が挙げられる。活性成分としては、活性医薬成分(API)、例えば本明細書に記載の植物抽出物と組み合わせて相乗活性を示す活性医薬成分が挙げられる。
トウサイカチ
トウサイカチ
前記トウサイカチ種は、中程度の速度で12mまで育つ落葉樹である。その花は、雌雄同体であり、雄性器官及び雌性器官の両方を有し、昆虫によって受粉する。この植物は、窒素固定することが知られている。この植物は、軽質(砂質)土壌、中質(ローム質)土壌及び重質(粘土質)土壌を好み、水はけのよい土壌を必要とする。この植物は、酸性土壌及び中性(アルカリ性)土壌を好む。この植物は、日陰では育つことができない。この植物は、乾燥又は湿潤土壌を必要とし、干ばつに耐えることができる。この植物は、大気汚染に耐えることができる。樹木は、軽い枝葉を有する。これらは、春の終わり頃に葉を出し、初秋にその葉を落とす。
抽出物の調製
抽出物の調製
特定の実施形態において、果実が、木から収穫され、収穫後短期間内に抽出媒体と接触させられる。抽出媒体は、適当な液状溶媒、例えば酢酸エチル、水又はエタノールである。抽出媒体は、ある場合には酢酸エチル、水、エタノール又は別の比較的極性の液状溶媒である。ある場合には、抽出媒体は、希釈又は濃縮される。抽出媒体は、完全に濃縮されていてもよく、それによって抽出物は残留物(残留抽出物)の形態をとる。従って、抽出物は、場合により溶媒に溶解されていてもよい少なくとも1種又はそれ以上の植物由来の化合物(植物化学物質)であって、これらは、抽出媒体と植物又は植物部分を接触させる1つ又はそれ以上の工程によって抽出媒体中に取り出される化合物を含有する。濃縮抽出物又は残留抽出物は、再構成抽出物を形成するために、適当な希釈剤、例えば酢酸エチル、水及び/又はエタノールを加えることによって再構成されていてもよい。
幾つかの実施形態において、植物抽出物を含有する組成物は、純粋な抽出物又は分配抽出物(抽出物中の1種又はそれ以上の選択的アポトーシス活性化合物に富む抽出物を含む)及びこのような抽出物と1種又はそれ以上の追加成分の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、固体、半固体、液体、コロイドなどを含め種々の物理的形状の組成物を含む。組成物が医薬用途を目的とする場合には、追加成分は、製薬学的に許容できる。本発明の組成物が生体に関するものではないアッセイ又はその他の用途を目的とする場合には、添加成分(1つ又は複数)は製薬学的に許容できるものであってもよいし又は許容できないものであってもよい。
幾つかの実施形態において、純粋な抽出物は、1種又はそれ以上の有機溶媒と組み合わせてもよい。このような有機溶媒は、種々の極性をもつものであってもよい。幾つかの実施形態において、適当な溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン類、(C1−C4)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、並びにその他の溶媒、例えば製薬学的に許容し得る溶媒及びヒトに使用するのに安全であると一般的にみなされている(GRAS)溶媒を包含する。
幾つかの実施形態において、前記組成物は、純粋な抽出物を含有するか、あるいは抽出物と1種又はそれ以上の追加溶媒との組み合わせを含有する。幾つかの実施形態において、抽出物は、分配されるか又はさらに精製された抽出物を包含する。分配又は精製は、クロマトグラフィーを含め種々の分離法を使用して行ってもよい。幾つかの実施形態において、抽出物は、抽出物中の活性薬剤をさらに濃縮するために、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー又は排除クロマトグラフィーによって得られる精製又は分配抽出物である。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、液体クロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の1つ又はそれ以上の工程によって得られる。幾つかの実施形態において、高速液体クロマトグラフィーは、分取規模の高速液体クロマトグラフィーである。幾つかの実施形態において、HPLCは、逆相クロマトグラフィー又はイオン交換クロマトグラフィーである。その他の分離の手段、例えば分液ロートあるいはその他の二相又は多相分離メカニズムでの分離を、抽出物を精製又は分配するのに使用してもよい。幾つかの実施形態において、精製又は分配抽出物は、1種又はそれ以上の追加の活性又は不活性成分、例えば溶媒、希釈剤などと組み合わせてもよい。幾つかの実施形態において、適当な溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリル、ヘキサン類、(C1−C4)アルコール(例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、i−ブタノールなど)、クロロホルム、アセトン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、石油エーテル、並びにその他の溶媒、例えば製薬学的に許容し得る溶媒及びヒトに使用するのに安全であると一般的にみなされている(GRAS)溶媒を包含し得る。
適当な追加成分としては、溶媒が挙げられる。溶媒は、製薬学的に許容し得る溶媒及び非製薬学的に許容し得る溶媒に細分化し得る。これに関連して、幾つかの製薬学的に許容し得る溶媒として注射用水(WFI)が挙げられ、これは予め選択されたpH又はpH範囲、例えば約2〜約8、さらに具体的には約4.0〜約7.5、さらに詳しくは約4.9〜約7.2にpH調整されていてもよい及び/又は緩衝されていてもよいことが理解されるべきであり。
製薬学的に許容し得る溶媒は、さらに、1種又はそれ以上の製薬学的に許容し得る酸、塩基、塩又はその他の化合物、例えば担体、賦形剤などを含有していてもよい。製薬学的に許容し得る酸としては、HCl、H2SO4、H3PO4、安息香酸などが挙げられる。製薬学的に許容し得る塩基としては、NaOH、KOH、NaHCO3などが挙げられる。製薬学的に許容し得る塩としては、NaCl、NaBr、KClなどが挙げられる。酸及び塩基は、特定の予め選択されたpH、特別には約2〜8の範囲内のpH、さらに特別には約5.0〜約7.2の範囲内のpHで、製薬学的に許容し得る溶液を緩衝するために適当な割合で加えてもよい。
医薬組成物
医薬組成物
本発明は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。本明細書に記載の幾つかの実施形態において、前記医薬組成物は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有するエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬の形態である。本明細書に記載の他の実施形態は、治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効である医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬の形態である。トウサイカチの抽出物の治療有効量としては、癌の少なくとも1つの症状からの救済を提供する量、癌の大きさ及び/又は増殖速度を抑制する量が挙げられる。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物又は医薬は、さらに1種又はそれ以上の賦形剤を含有する。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物又は医薬は、1種又はそれ以上の賦形剤と、トウサイカチの抽出物のみから本質的になる。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物又は医薬は、1種又はそれ以上の賦形剤と、トウサイカチの抽出物のみからなる。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物又は医薬は、経口投与用の1種又はそれ以上の賦形剤と、トウサイカチの抽出物を含有してなるか、経口投与用の1種又はそれ以上の賦形剤と、トウサイカチの抽出物のみから本質的になるか、あるいは経口投与用の1種又はそれ以上の賦形剤と、トウサイカチの抽出物のみからなる。幾つかの実施形態において、前記医薬組成物はまた、ある量のタンパク質p38の阻害剤又はアンタゴニストを含む。幾つかの実施形態において、前記のある量のp38と、前記のある量のトウサイカチの抽出物とは、一緒になって、癌の治療において相乗的である。幾つかの実施形態において、前記のある量のp38量と、前記のある量のトウサイカチの抽出物とは、一緒になって、ER陰性乳癌の治療において相乗的である。幾つかの実施形態において、前記のある量のp38と、前記のある量のトウサイカチの抽出物とは、一緒になって、PR陰性乳癌の治療において相乗的である。幾つかの実施形態において、前記のある量のp38と、前記のある量のトウサイカチの抽出物とは、一緒になって、Her2/neu陰性乳癌の治療において相乗的である。幾つかの実施形態において、前記のある量のp38と、前記のある量のトウサイカチの抽出物とは、一緒になって、三重陰性(ER、PR及びHer2/neu陰性乳癌)に対して相乗的である。
幾つかの実施形態において、前記の医薬組成物又は医薬に用いられるトウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gであるか、乾燥重量で約0.01〜約10gであるか、乾燥重量約0.1〜約10gであるか、又は乾燥重量で約1〜約10gである。24時間の時間枠内で投与し得るトウサイカチの抽出物の具体的な量としては、乾燥重量で約50mg、乾燥重量で約100mg、乾燥重量で約150mg、乾燥重量で約250mg、乾燥重量で約300mg、乾燥重量で約400mg、乾燥重量で約500mg、乾燥重量で約600mg、乾燥重量で約700mg、乾燥重量で約800mg、乾燥重量で約900mg、乾燥重量で約1g、乾燥重量で約2g、乾燥重量で約3g、乾燥重量で約4g、乾燥重量で約5g、乾燥重量で約6g、乾燥重量で約7g、乾燥重量で約8g、乾燥重量で約9g又は乾燥重量で約10gが挙げられる。
幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、前記治療有効量は、1日当たりトウサイカチの抽出物の乾燥重量で約10〜約100g、乾燥重量で約20〜約100g、乾燥重量で約30〜約100g、乾燥重量で約10〜約80g、乾燥重量で約20〜約80g、乾燥重量で約30〜約80g、乾燥重量で約10〜約60g、乾燥重量で約20〜約60g、乾燥重量で約30〜約60g、乾燥重量で約10〜約50g、又は乾燥重量で約20〜約50gである。24時間の時間枠内で投与し得るトウサイカチの抽出物の具体的な量としては、乾燥重量で約10g、乾燥重量で約15g、乾燥重量で約20g、乾燥重量で約25g、乾燥重量で約30g、乾燥重量で約35g、乾燥重量で約40g、乾燥重量で約45g、乾燥重量で約50g、乾燥重量で約55g、乾燥重量で約60g、乾燥重量で約65g、乾燥重量で約70g、乾燥重量で約75g、乾燥重量で約80g、乾燥重量で約85g、乾燥重量で約90g、乾燥重量で約95g又は乾燥重量で約100gが挙げられる。
前記の医薬組成物又は医薬は、トウサイカチの抽出物の他に、前記医薬組成物又は医薬の形態に応じて1種又はそれ以上の追加賦形剤を含有していてもよい。患者に投与するための幾つかの適当な形態としては、経口製剤及び非経口製剤が挙げられる。経口製剤としては、液状及び固形製剤が挙げられる。非経口製剤は、一般に液状である。適当な経口液は、一般に水又はその他の希釈剤及び1種又はそれ以上の追加賦形剤、例えば1種又はそれ以上の甘味剤、香味剤及び/又は風味マスキング剤を含有する。固形製剤としては、錠剤及びカプセル剤、並びに水又はその他の製薬学的に許容し得る希釈剤と組み合わせてもよい散剤及び錠剤が挙げられる。錠剤は、一般に、1種又はそれ以上の結合剤を含有し、また1種又はそれ以上の乾燥固形希釈剤、分散剤、崩壊剤、流動促進剤、被覆剤などを含有していてもよい。カプセル剤は、カプセルシェルそれ自体の他に、追加賦形剤、例えば分散剤、崩壊剤などを含有していてもよい。溶解用の散剤は、トウサイカチの乾燥抽出物の他に、1種又はそれ以上の香味剤、甘味剤及び/又は風味マスキング剤を含有していてもよい。あるいは、溶解用の散剤は、1つの容器(例えば、第一の小袋)にトウサイカチの乾燥抽出物(単独で又は1種又はそれ以上の賦形剤との混合物で)を有し且つ第二の容器(例えば、第二の小袋)に1種又はそれ以上の賦形剤を有するキットに包装することができる。トウサイカチの乾燥抽出物と賦形剤とに適した容器は、気密性、防水性、遮光性又はこれらの組み合わせで有り得る。
幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1種又はそれ以上の錠剤、あるいは1種又はそれ以上のカプセル剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、場合により1種又はそれ以上の賦形剤、例えば香味剤、甘味剤、及び/又は風味マスキング剤との混合物での濃縮経口エリキシル剤である。幾つかの特定の実施形態において、単位用量は、1日用量であるか又は分割された1日用量である。1日用量は、単一の投与単位であってもよいし、又は2回、3回、4回又はそれ以上の投与単位の間で分割されていてもよい。幾つかの現在好ましい実施形態において、1日用量は、単一用量として、すなわち1日当たり1回(q.d.)として提供されてもよく、また1日用量は、単一の投与単位に含有される。幾つかの他の現在好ましい実施形態において、1日用量は、2つの別個の用量(b.i.d.)として提供され、1日用量は、互いに都合よく接続され、共通の容器に密封されていてもよいし又は容易に区別できる1日投薬単位を形成するように互いに関連し得る別個の投薬単位に入れられる。現行の好ましい実施形態において、1日用量は、2つの別個の投薬単位の間に均一に分割されるが、他の実施形態においては、1日用量は、別個の投薬単位の間で均一に分割される必要はない。
本発明の医薬組成物及び医薬を用いて治療し得る具体的な癌としては、トウサイカチの抽出物がアポトーシスを誘導する癌が挙げられる。トウサイカチの抽出物によるアポトーシスの誘導に感受性であると認められている癌としては、エストロゲン受容体を発現しない癌、特にエストロゲン受容体α(ERα)を発現しない癌が挙げられる。従って、治療有効量のトウサイカチの抽出物を用いて治療し得る幾つかの癌としては、エストロゲン受容体陰性乳癌、プロゲステロン陰性乳癌、Her2/neu陰性乳癌、ER、PR及びHer2/neuのうちの2つ又は3つ全部に陰性である乳癌が挙げられる。幾つかの実施形態において、ERを発現しない癌、は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
トウサイカチの抽出物は、前記のようにして溶液又は乾燥形態で調製し得る。溶液の形態では、トウサイカチの抽出物は、フレーバーティー(flavored tea)又はノンフレーバーティーの形態で投与されてもよい。従って、賦形剤は、幾つかの実施形態において、幾つかの調味料、例えば甘味剤(これは、前記抽出物の苦味を中和するために望ましいものであり得る)を包含する。溶液もまた、乾燥抽出物からティー又はエリキシルの形態で調製することができる。また、調味料、例えば甘味剤が望ましいものであり得る。風味マスキングが、医薬組成物の患者許容性を向上させるために用いてもよい。甘味剤は、を含む。
乾燥抽出物は、経口利用できる形態として、例えばカプセル、錠剤、カプレットなどとして製剤し得る。カプセルは、適当量の乾燥抽出物を1つ又はそれ以上のゼラチンカプセルシェルに測り取り、カプセルを組み立てることによって調製し得る。錠剤及びカプレットは、乾燥抽出物を、1種又はそれ以上の結合剤及び場合によっては1種又はそれ以上の崩壊剤と組み合わせることによって調製し得る。錠剤、カプレット、カプセルなどは、胃の不調を防止するために、例えば腸溶性コーティングで被覆されていてもよい。
前述の乾燥抽出物はまた、水又は他の適当な溶媒に溶解することができる散剤の形態に調製し、患者に投与することもできる。幾つかの実施形態において、この形態は、経口形態である。幾つかの具体例において、散剤は、あり得る。
乾燥抽出物又は濃縮抽出液は、1種又はそれ以上のゲル化剤と組み合わせ、ゲルカプセルに挿入してもよい。また、乾燥抽出物又は濃縮抽出液は、ゲル化剤及び場合によっては食用ゲルとして経口投与するための1種又はそれ以上の香味剤と組み合わせてもよく、又はノンフレーバー変種(variant)を、直腸坐薬ゲル又はゲルカプセルとして投与してもよい。
抽出物の単位用量は、剤形内に含まれる当量の乾燥抽出物によって特徴付けられる。例えば、幾つかの実施形態において、単位投薬量は、1mg〜約10gの乾燥抽出物又はその均等物を含有し得る。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約1mg〜約10mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約1000mg(1g)、約1mg〜約10000mg(10g)の乾燥抽出物又はその均等物を含有するであろう。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約10mg〜約100mg、約10mg〜約1000mg又は約10mg〜約10000mgの乾燥抽出物又はその均等物を含有する。幾つかの実施形態において、前記単位用量は、約100mg〜約5000mg、約100mg〜約2500mg、約100mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約100〜約1000、約100〜約800mgの乾燥抽出物又はその均等物を含有する。トウサイカチの乾燥抽出物の均等物は、トウサイカチの乾燥抽出物と同じ量のアポトーシス活性成分(active)を含有するトウサイカチの抽出物のある量の乾燥物、液体、ゲル又は他の混合物である。従って、トウサイカチの乾燥抽出物0.090mg/mLを含有するティー(tea)30mLは、15mgの乾燥トウサイカチGleditsia sinensisに相当する単位用量である。トウサイカチの乾燥抽出物、結合剤、充填剤、崩壊剤のそれぞれを100mg含有する錠剤は、100mgの乾燥抽出物それ自体(neat)に相当する。他の投薬量、例えば1日当たり乾燥重量で10〜100gの投薬量も、本明細書にさらに詳しく記載されるように意図される。
幾つかの実施形態において、前記医薬組成物は、p38 MAPキナーゼ阻害剤を含有する。幾つかの実施形態において、p38 MAPキナーゼ阻害剤は、SB203580、SB202190、SB239063、LY479754、ARRY−797、ARRY−614、LP−590、PD169316、VX−702、又はこれらの製薬学的に許容し得る塩又は組み合わせである。p38 MAPキナーゼ阻害剤は、分裂誘発MAPキナーゼを阻害する化合物であり、これは炎症反応に関与し且つアポトーシスに、潜在的に細胞をアポトーシスから保護するものとして関係している。
治療方法
治療方法
本明細書に記載のトウサイカチの抽出物を含有する組成物は、エストロゲン受容体陰性(ER陰性)癌細胞、例えばER陰性乳癌細胞及び前立腺癌細胞においてアポトーシス活性を有する選択的トウサイカチを含む。従って、これらの組成物は、細胞の過剰増殖に特徴がある種々の疾患、例えば生物体、器官、組織又は細胞株において正常なアポトーシスプロセスの不全によって引き起こされる様々な疾患状態の治療において活性を有することが期待される。本明細書に記載の組成物を用いて治療できると想定される疾患の中に、癌、例えば以下に限定されないが、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、例えば軟組織の肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌又は子宮癌がある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、固形腫瘍、例えば乳癌、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、前立腺癌、胃癌、膵臓癌、卵巣癌、皮膚癌(黒色腫)、内分泌系癌、子宮癌、精巣癌及び膀胱癌の中から選択される1種又はそれ以上の癌と診断されている患者に投与される。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のトウサイカチの抽出物を含有する組成物は、良性の増殖性疾患、例えば良性の前立腺肥大、乾癬又は再狭窄(例えば、移植ステントの再狭窄)を治療するのに有効である。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載のトウサイカチの抽出物を含有する1つ又はそれ以上の組成物は、異常な細胞増殖、例えば癌、固形腫瘍、良性過剰増殖性疾患などの治療に有用な別の薬剤と組み合わせてもよい。このような追加薬剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的反応調節剤、抗体、細胞障害性薬物、抗ホルモン及び抗アンドロゲンの中から選択し得る。他の追加薬剤としては、p38 MAPキナーゼ阻害剤、例えばSB203580、SB202190、SB239063、LY479754、ARRY−797、ARRY−614、LP−590、PD169316、VX−702、あるいはこれらの製薬学的に許容し得る塩又は組み合わせが挙げられる。
トウサイカチの抽出物を含有する組成物の有効量は、本明細書に記載のように患者において治療効果を生じるのに有効な量である。幾つかの実施形態において、前記有効量は、患者において過剰増殖性細胞の1つ又はそれ以上の集団においてアポトーシスを誘導するのに十分な量である。幾つかの実施形態において、前記有効量は、生物体において過剰増殖性細胞疾患、例えば癌の1つ又はそれ以上の症状の軽減を生じるのに十分な量である。幾つかの実施形態において、前記有効量は、過剰増殖細胞疾患の進行を著しく遅らせるか、前記過剰増殖性疾患の部分的又は完全寛解を生じるか、前記過剰増殖細胞疾患の再発、広がり又は悪性増殖に対して部分的又は完全な予防を提供するのに十分な量である。幾つかの実施形態において、前記用量は、治療計画の成功に臨界的であり得る。トウサイカチの抽出物は、極めて無毒性であると思われるので、前記有効量は、以下で詳細に論じるように、乾燥抽出物、あるいはその溶液又はその他の製薬学的に許容し得る形態の均等物の1日当たり患者当たり約1mgから約100gまで変化させ得る。幾つかの実施形態において、前記有効量は、1日当たり患者当たり約1mg〜約10mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約1000mg(1g)、約1mg〜約10000mg(10g)である。幾つかの実施形態において、前記有効量は、1日当たり患者当たり約10mg〜約100mg、約10mg〜約1000mg又は約10mg〜約10000mgである。幾つかの実施形態において、前記有効量は、1日当たり患者当たり約100mg〜約5000、約100mg〜約2500mg、約100mg〜約2000mg、約100mg〜約1500mg、約100〜約1000、約100〜約800mgである。幾つかの実施形態において、1日用量は、以下で詳細に論じるように、1日当たりトウサイカチの乾燥重量で約10g〜約100gの範囲内である、
従って、本明細書に記載の本発明の幾つかの実施形態は、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することからなる、方法を提供する。本明細書に記載の別の実施形態は、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することからなる、方法を提供する。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物の治療有効量は、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、三重陰性乳癌である。幾つかの実施形態において、ER陰性乳癌は、転移性である。幾つかの実施形態において、トウサイカチの抽出物は、経口製剤である。幾つかの実施形態において、経口製剤は、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である。幾つかの実施形態において、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌は、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、治療日数は、非治療日数によって変化させてもよい。例えば、治療は、1日目に前記の有効量を用いて開始し得、3日目、5日目、7日目(又は8日目)、9日目、11日目、13日目などに有効量の投与が反復される。治療は、まる1週間1日に1回投与し、次いで1週間治療を休止し、次いで治療に少なくともさらに1週間投与し得る。トウサイカチの抽出物を用いた治療は、別の抗癌治療と交互に入れ替えてもよいし、又は癌治療の併用効果の利点を得るために別の抗癌治療と組み合わせてもよい。
さらなる癌治療としては、以下に限定されないが、固形腫瘍の全部又は一部の外科的切除、放射線治療、補助化学療法、抗炎症薬、鎮痛薬などが挙げられる。
既往療法
既往療法
幾つかの実施形態において、本発明は、癌、特に1つ又はそれ以上の既往療法に反応しなかった癌の治療のために患者に治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することを提供する。癌の治療のための種々の療法が知られており、本明細書に記載の使用に先行すると考え得る。例えば、乳癌患者は、多くの場合、癌病変の外科的切除、例えば腫瘍切除(広範囲局所切除としても知られている)、又は乳房切除を受ける。ある場合には、リンパ節も切除される(根治的乳房切除術)。ある場合には、患者は、病変の外科的切除の代わりとして、又はより一般的には病変の外科的切除の補助として放射線療法を受けてもよい。ある場合には、患者は、外科的治療及び/又は放射線治療の代替又は補助として化学療法を受けてもよい。後日、腫瘍が隣接組織又はさらに遠位の組織まで広がっているか又は転移していることを見つけ出すためにのみ前記治療の1つ又はそれ以上を患者が受けることは一般的である。治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物を、癌病変の既往外科的切除、乳房の予防的切除又は部分切除、放射線治療及び/又は化学療法を受けている患者に投与することは、本発明の態様であるとみなされる。幾つかの実施形態において、処置された癌は、既往の外科手術、放射線治療及び/又は化学療法に対して難治性になっている。
先に使用される化学療法としては、1種又はそれ以上の化学療法剤を用いた化学療法が挙げられる。乳癌を治療するのに利用できる具体的な化学療法剤としては、細胞障害性薬物、例えばドキソルビシン、シクロホスファミド、メトトレキセート、パクリタキセル〔タキソール(登録商標)、アブラキサン(登録商標)〕、ドセタキセル、チオテパ、ミトキサントロン、ビンクリスチン、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、アミノグルテチミド、フルオキシメステロン、ロイプロリド、ゴセレリン、プレドニゾン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
卵巣癌を治療するのに利用できる具体的な化学療法剤としては、シクロホスファミド、エトポシド、アルトレタミン、タモキシフェン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
子宮頸癌を治療するのに利用できる具体的な化学療法剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素、イリノテカン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、マイトマイシン、イホスファミド、フルオロウラシル、エトポシド、メトトレキセート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
前立腺癌を治療するのに利用できる具体的な化学療法剤としては、ドキソルビシン、エストラムスチン、エトポシド、ミトキサントロン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、及びプレドニゾンが挙げられる。
膵癌を治療するのに利用できる具体的な化学療法剤としては、5−フルオロウラシル(5−FU)、マイトマイシン、イホスファミド、ドキソルビシン、ストレプトゾシン、クロロゾトシン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
利用できる具体的な化学療法剤としてはまた、VGFR及びEGFR阻害剤、例えばゲフィニチブ、エルロチニブ、イマチニブ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
特定の用語の定義
特定の用語の定義
本明細書で使用される「方法」という用語は、所定の課題を達成するための作法、手段、技法及び手順、例えば以下に限定されないが、化学、薬理学、生物学、生化学、医学及びホメオパシー技術の熟練者によって公知の作法、手段、技法及び手順から知られているか又は容易に開発される作法、手段、技法及び手順を指す。
本明細書で使用される「活性を阻害する」という用語は、癌細胞の成長及び/又は増殖を、適切な位置で、すなわち、腫瘍形成の開始部位での成長及び増殖と、転移による増殖との両方を遅らせる、好ましくは停止させることを指す。活性を阻害するとは、癌性細胞を殺すことも包含し、実際に、それは本発明の最も好ましい実施形態である。
本明細書で使用される、「癌」という用語は、種々の型の悪性新生物を指し、その大部分は、ステッドマン医学辞典、第25版(Hensyl ed.1990)によって定義されているように、周囲組織を侵すことができ、種々の部位に転移し得る。本発明によって治療し得る癌の例としては、以下に限定されないが、脳腫瘍、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、乳癌、肺癌、口腔癌及び皮膚癌が挙げられる。本発明の現在好ましい実施形態において、治療される癌は、乳癌又は卵巣癌である。
本明細書で使用される、固形腫瘍癌細胞と本発明の抽出物と接触させるという文脈の「接触させる」という用語は、本発明の抽出物と標的癌細胞とを、前記細胞の活動に直接に又は間接に影響を及ぼすことができるような方法で一緒にすることを指す。本明細書で使用されるように、接触させるとは、生体外(in vitro)で行われる手順、すなわち本発明の対象である癌性細胞を患者の体外で調査する手順を指す。患者の体外で存在する細胞は、細胞培養皿に保持するか又は増殖させることができる。生物体の体外の細胞について、種々の周知の貫膜担体法及び直接細胞顕微注射法を用いて又は用いずに本発明の抽出物を接触させる多数の方法が存在し、当業者には周知である。
「生体内(in vivo)」という用語は、生体内で、例えば生きているヒト又はその他の哺乳動物、例えばマウス又はラット内での接触又は処置を指す。
本明細書で使用される「抽出物」とは、トウサイカチ又はその選択された部分を、好ましくは水、アルコール又はこれらの組み合わせの中で抽出プロセスに供した後に、乾燥又は凍結乾燥形態で得られる可溶性固体の残留物を指す。
本明細書で使用される「BN107」とは、トウサイカチの抽出物を指す。
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」及び[治療」という用語は、固形腫瘍癌及び/又はその付随する症状を軽減するか又は抑止する方法を指す。特に、前記の用語は、単純に、癌に侵された個人の寿命を延ばすこと又は疾患の1つ又はそれ以上の症状を軽減することを意味する。
本明細書で使用される「投与する」、「投与すること」又は「投与」とは、治療又は処置される特定の癌の治療に適する方法で、患者に本発明の1つ又は複数の抽出物、あるいは本発明の1つ又は複数の抽出物を含有する医薬組成物を送達させることを指す。この用語は、自己投与及び医療専門家又は他の医療提供者による投与を包含する。
本明細書で使用される「哺乳動物」という用語は、その癌が自己由来の(すなわち、哺乳動物において自然に生じる)ものであろうと、外因性(すなわち、異種)起源のものであろうと、癌に侵される哺乳動物を指す。「哺乳動物」という用語は、ヒト、並びにネズミ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ及びその他の哺乳動物種を包含する。
「患者」とは、固形腫瘍癌に感受性の高等生物を指す。このような高等生物の例としては、限定されることなく、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、魚類及び爬虫類が挙げられる。具体例において、「患者」とは、ヒトを指す。特定の実施形態において、患者は、癌、例えば乳癌又は本明細書に記載のその他の癌を患うヒトである。幾つかの実施形態において、癌は、転移性癌、例えば転移性乳癌又は本明細書に記載のその他の転移性癌である。幾つかの実施形態において、患者は治療未験者である。幾つかの好ましい実施形態において、患者は、以前に癌の治療を受けている。幾つかの実施形態において、患者は、現在、癌のその他の治療を受けている。幾つかの実施形態において、患者は、以前に1つ又はそれ以上の癌療法で治療を受けているが、療法に反応しなかった。幾つかの実施形態において、患者は、以前に、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上、特に1〜4つの既往療法で治療を受けているが、これらの治療アプローチに反応しなかった。従って、本発明の「患者」の好ましいサブクラスは、乳癌の1〜4種類の既往療法で以前に治療を受けているが、これらに反応しなかった転移性乳癌を患う患者である。
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、患者の癌の少なくとも1つの症状を治療するのに有効なトウサイカチの抽出物の量を指す。特定の実施形態において、このような量の抽出物は、次のリスト:(1)腫瘍の大きさを減少させる、(2)腫瘍転移を阻止する(すなわち、ある程度まで遅らせる、好ましくは停止させる)、(3)腫瘍成長をある程度まで阻止する(すなわち、ある程度まで遅らせる、好ましくは停止させる)、及び/又は(4)癌に付随する1つ又はそれ以上の症状をある程度まで軽減する(又は好ましくは除く)、(5)腫瘍の成長を安定化させる、(6)疾患の進行までの時間を引き延ばす、及び/又は(7)全生存率を向上させることからの少なくとも1つの効果を有する。
本明細書で使用される「医薬組成物」とは、本明細書に記載の抽出物の1つ又はそれ以上と、他の化学成分、例えば生理学的に許容し得る担体及び賦形剤との混合物を指す。薬理学的組成物の目的は、患者に対する本発明の1つ又は複数の抽出物の投与を促進することにある。
本明細書で使用される「製薬学的に許容し得る」とは、参照された薬剤又は賦形剤が、一般に、医薬組成物に使用するのに許容できるとみなされることを意味する。
本明細書で使用される「生理学的に許容し得る担体」とは、生体に有意な刺激を引き起こさず且つ投与された組成物の生物学的活性及び特性を抑止しない担体又は希釈剤を指す。
本明細書で使用される「賦形剤」とは、本発明の抽出物の投与をさらに促進するために医薬組成物に加えられる不活性物質を指す。従って、「賦形剤」という用語は、具体的には、他の有効成分、例えば、特に他の化学療法成分、例えば、以下に限定されないが、トウサイカチ以外の植物種由来の成分を除外する。
本明細書で使用される「のみからなる」という語句は、文章の以下の部分に特定されていない任意の要素、工程又は成分を除外する。
本明細書で使用される「のみから本質的になる」という語句は、文章の以下の部分の範囲を、特定された物質又は工程並びに特許請求された発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない物質又は工程に限定する。この場合には、抗癌活性を有することが知られている活性医薬成分は、特許請求された発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼすとみなされ、これに対して鎮痛剤又は抗炎症剤は、特許請求された発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼすとみなされない。
本明細書で使用される「1日当たり乾燥重量でのg」(さらには「g乾燥重量」)という用語は、トウサイカチの抽出物に関して、トウサイカチ(Fructa Gleditsia sinensis Lam)のある量が抽出され、抽出媒体が例えば蒸発又は凍結乾燥によって除去された後の残留物の乾燥重量(g)を意味する。
疾患、障害、症候群、状態又は症状の治療(及びその文法的変化 − 例えば、治療する、治療するために、治療しつつある、治療されたなど)は、臨床医がこのような治療を受ける被検体を確認し、この被検体に本発明の組成物を投与するという段階を含む。従って、治療は、本発明の選択的アポトーシス植物抽出物を被検体に投与することによって回復され、軽減され、改善され、除去され、治癒される可能性がある疾患、症候群、状態又は症状の診断を含む。治療はまた、疾患、障害、症候群、状態又は症状の同時回復、軽減、改善、除去又は治癒も含む。幾つかの実施形態において、治療とは、疾患、障害、症候群、状態又は症状の発症の防止又は遅延(すなわち、予防)、疾患、障害、症候群、状態又は症状の進行の防止又は遅延、及び/又は疾患、障害、症候群、状態又は症状の重症度の軽減を意味する。特に、新生物増殖の場合には、治療は、新生物増殖の軽減、及び逆転、停止又は遅延を含む。これに関して、治療はまた、寛解、例えば完全寛解及び部分寛解も含む。更年期症状の場合には、治療は、種々の症状の予防及び軽減を含む。
疾患、障害、症候群、状態又は症状の予防(及びその文法的変化)は、疾患、障害、症候群、状態又は症状を発症するリスクがある被検者を確認し、その被検体に前記の疾患、障害、症候群、状態又は症状の発症を未然に防ぐ又は遅らせる可能性のある十分な量の本明細書に記載の植物抽出物を投与することを含む。ある場合には、予防は、臨床医が、要求にかなう水準の医療を施し、ホルモン補充療法の必要があると考える閉経後の女性を確認し、その女性に本発明の植物抽出物を投与し、それによって1つ又はそれ以上の更年期症状を阻止するか又は遅らせることを含む。幾つかの実施形態において、骨粗鬆症の予防は、予防は、臨床医が、要求にかなう水準の医療を施し、骨粗鬆症を発症するリスクがあると考える閉経後の女性を確認し、その女性に本発明の植物抽出物を投与し、それによって骨量減少の開始を阻止するか又は遅らせることを含む。
軽減は、疾患、障害、症候群、状態又は症状の重症度、発生の回数及び/又は頻度の減少を含む。更年期症状の軽減には、ほてり、不眠症、失禁、うつ病などの頻度及び/又は重症度を減少させることを含む。
本発明は、以下の例示的及び非限定的な実施例を参照してさらに十分に理解し得る。
実施例1:生体外試験
トウサイカチの果実の抽出物は、ミトコンドリアアポトーシス経路によって乳癌細胞に対して増殖阻止特性を発揮すると思われる。細胞内のエストロゲン受容体(ER)の不在は、トウサイカチの抽出物の感受性と相関する。乳癌株内へのERα発現の導入は、トウサイカチのアポトーシス促進作用からの保護をもたらす。トウサイカチの抽出物で処理した感受性(ER−)株と非感受性(ER+)株とを比較するトランスクリプトーム分析により、感受性の原因である得る遺伝子発現の異なるパターンが明らかにされた。
トウサイカチの果実の抽出物は、ミトコンドリアアポトーシス経路によって乳癌細胞に対して増殖阻止特性を発揮すると思われる。細胞内のエストロゲン受容体(ER)の不在は、トウサイカチの抽出物の感受性と相関する。乳癌株内へのERα発現の導入は、トウサイカチのアポトーシス促進作用からの保護をもたらす。トウサイカチの抽出物で処理した感受性(ER−)株と非感受性(ER+)株とを比較するトランスクリプトーム分析により、感受性の原因である得る遺伝子発現の異なるパターンが明らかにされた。
トウサイカチの植物抽出物は、癌性細胞においてアポトーシスを選択的に誘導する。腫瘍及び非形質転換細胞株並びに細胞を、トウサイカチの果実の乾燥抽出物0.090mg/mL(90μg/mL)を含有する溶液で処理した。トウサイカチの果実の乾燥抽出物0.090mg/mLを含有する溶液はまた、本明細書ではBN107ともいう。認めることができるように、図1A〜1Dのグラフは、処理の24時間後にアネキシンVを結合した細胞の%を示す。
ERαは、BN107で誘導したアポトーシスにおいて役割を果たす。以下の表1−1において、細胞をBN107で処理し、アネキシンV/PI結合の分析のために24時間後に収穫した実験の結果である。3つの独立した実験を、各データポイントついて行った。
表1:細胞をBN107で処理し、アネキシンV/PI結合の分析のために24時間後に収穫した。示した概要は、3つの独立した実験の結果である。
興味深いことに、ERαの発現は、図2に示されるように、BN107で誘導したアポトーシスから細胞を救済する。特に、図2Aは、LacZ又はEraウイルスを感染させたMDA−MB231細胞を、エストロゲン(10mM)の存在下で、BN107で処理し、アネキシンV/PI結合で分析した実験の結果を表す。BN107は、半分のLacZ細胞の下でまもなく細胞死を引き起こし、これに対してEra細胞では比較的少ない細胞死が認められた。図2Bに示されるように、LacZ細胞はERα陰性(ERα−)であり、これに対してEra細胞はERαタンパク質に陽性であった(ER+)。図2Cに示されるように、WISP2(ERαの下流標的)の発現は、LacZ細胞ではほぼ消失し、これに対してEra細胞は有意な量のWISP2を産生した。以下の表1−2は、BN107で処理したBN107感受性(Hs578T)細胞及び非感受性(MCF7)細胞を使用して作製されたマイクロアレイデータのIngenuity Pathway Analysis(IPA)を要約する。
表2:BN107で処理したBN107感受性(Hs578T)細胞及び非感受性(MCF7)細胞を使用して作製されたマイクロアレイデータのIngenuity Pathway Analysis(IPA)に基づいて、BN107処理によって誘導された細胞経路/シグナル伝達経路
図3は、BN107で処理したHs578T細胞及びMCF7細胞に関するタンパク質発現分析の結果を示す。Hs578T細胞及びMCF7細胞を、BN107で処理し、示された時間点で収穫した。
生体外での実験は、ミトコンドリア介在アポトーシスがBN107の増殖阻止効果に介在する主要な細胞経路であるらしいということを実証している。機能的エストロゲン受容体の存在は、乳癌細胞の感受性を、BN107誘導アポトーシスに対して小さくする。BN107に感受性の細胞は、死を促進する(pro−death)分子の発現を高め且つ生存促進(pro−survival)/増殖経路を阻害することによって反応する。これに対して耐性細胞は、細胞を細胞周期停止に委ねることによって及び/又は細胞増殖に関与するタンパク質の活性を高めることによって反応する。従って、BN107、及び拡張によってトウサイカチの果実の抽出物は、一般的に、選択的アポトーシス活性を有すると結論が下される。従って、トウサイカチの果実の抽出物を含有する医薬組成物は、多細胞生物において、特にERαを発現しない組織、例えばERα陰性乳癌、前立腺癌などにおいてアポトーシス活性を有することが予期される。
実施例2:エストロゲン受容体陰性乳癌細胞に対するBN107及びオレアノール酸の選択的アポトーシス促進作用は、脂質ラフト上のmTORC1/mTORC2生存シグナル伝達の妨害によって介在される
ホルモン法、標的化法又は化学療法は、その同族受容体の発現に大きく依存し、多くの場合、耐え難い毒性を伴う。エストロゲン受容体陰性(ER−)乳癌に対する有効で毒性の少ない療法が、緊急に必要とされる。本実施例は、ER−乳癌細胞に関して、選択的アポトーシス促進作用誘導BN107及びその成分サポニン、オレアノール酸(OA)に介在する潜在的メカニズムを調査する。
一群の乳癌細胞株を調べ、ER−乳癌細胞株において最も顕著な細胞障害作用を観察した。アポトーシスは、BN107の細胞障害性に介在する主な細胞経路であると思われた。BN107に対する感受性は、ERαの発現がMDA−MB−231において誘導された場合に著しく低下し、BN107誘導アポトーシスにおけるERαの保護的役割を確認する。BN107、すなわちOA誘導体に富む抽出物は、おそらくは形質膜脂質ラフト(LR)及びLRにより介在されるシグナル伝達を妨害したコレステロールに結合することによって、コレステロールホメオスタシスにおいて急速な変化を引き起こした。ER−細胞におけるBN107又はOA処理は、LR、すなわちmTORC1、mTORC2及びAktに関連する重要な生存シグナル伝達複合体の急速且つ特異的な再分配又は分解/置換/阻害をもたらした。BN107又はOAとコレステロールの同時投与は、アポトーシス促進作用を特異的に消失させ、妨害された生存シグナル伝達を元の状態に戻した。これは、これらのシグナル伝達複合体に存在するタンパク質構成成分の量を調節することによるmTORC1/mTORC2/Akt活性の同時阻害を実証する。
治療選択肢の進歩が生存に好ましい影響をもたらしているにもかかわらず、現行のレジメンは、毒性副作用を招き、またエストロゲン受容体陰性(ER−)転移性乳癌に対してほとんど効果がない。現在、ER−/プロゲステロン受容体陰性(PR−)/HER2陰性(Her2−)腫瘍を有する患者は、未だに腫瘍専門医のための治療的挑戦を提示している。従って、最小毒性の新規且つ有効な治療法が、この患者群に緊急に必要とされる。
トウサイカチの果実又はそれから単離されたトウサイカチサポニン類の抗癌効果は、活性酸素種(ROS)を誘導し、テロメラーゼ、COX2発現、VEGF分泌及びプロテアソーム活性を阻害するその能力に関連するであろう細胞障害性の誘導に寄与している。BN107は、1群のヒト乳癌株に対して抗増殖活性を示すことが明らかにされているトウサイカチG.sinensisの水性抽出物である。トウサイカチG.sinensisの抽出物は、オレアノール酸(OA)と類似の基本構造を有するトリテルペノイドサポニン類に富む。これらのサポニン類が、オリゴ糖鎖及びモノテルペン単位の存在及び位置に大きく依存する腫瘍細胞に対して特異的細胞障害性を示すことが明らかにされている。また、OA及びその合成誘導体が、培養及び動物モデルにおける種々様々な腫瘍細胞において強い抗腫瘍活性を誘導することが明らかにされている。
トリテルペノイドサポニン類の生理活性は、通常、これらが形質膜コレステロールに複合する能力に関連する。現在、コレステロールが脂質ラフト(LR)(形質膜内の特殊なプラットフォーム)の機能に重要であること、並びにコレステロールを結合する及び/又は前記ラフトからコレステロールを抽出する薬剤が前記ラフト会合タンパク質の配置及び機能を変化させることが、十分に確立されている。LRは、細胞表面受容体及びシグナル伝達分子が集中しており且つ細胞表面でシグナル伝達を空間的に組織する部位である。LRは、ウイルス感染、エンドサイトーシス、コレステロール輸送、並びに細胞の増殖及び生存のような種々のプロセスに関与している。幾つかのタンパク質がLR中に選択的に分配していることが明らかにされている。これらのタンパク質としては、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカータンパク質、ミリストイル化又はパルミトイル化タンパク質(例えば、Akt、フロチリン)、二重アセチル化タンパク質(例えば、Src−ファミリーキナーゼ)、リン脂質結合タンパク質(例えば、アネキシン類)、及びコレステロール結合貫膜タンパク質(例えば、カベオリン類)が挙げられる。増殖及び生存に関与するタンパク質/タンパク質複合体の他の例もまた、LR中に分配することが明らかにされている。具体的には、受容体チロシンキナーゼ(すなわち、EGFR、PDGFR)の約60%が、LRに局在する。また、LRは、機能的タンパク質複合体の適切なアセンブリ用の「プラットフォーム」を提供することも明らかにされている。例えば、mTOR活性は、LR上にある複合体成分の存在に依存することが明らかにされている。
ラパマイシン(mTOR)経路のAkt/哺乳類動物標的は、癌の多数の種類において異常に活性化される典型的な生存経路である。この経路は、細胞表面受容体から生じる増殖調節シグナル及び生存の伝達の中心である。増殖因子及びサイトカインは、ホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェート[PI(4,5)P2]をリン酸化してAkt及びホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1(PDK1)のPHドメインに結合する[PI(1,4,5)P3]を生成し、これらを形質膜に補充するPI3キナーゼ(PI3K)によってAktを活性化する。膜内にあると、Aktは、Thr308ではPDK1によってリン酸化され及びSer473ではmTORC2によってリン酸化される。Aktが十分に活性化されると、Aktによるシグナル伝達は、mTORC1(タンパク質翻訳の主要調節因子)を含め基質の種々のアレイに伝播させることができる。Akt活性化はまた、抗アポトーシス遺伝子、例えばBcl−xL及びFLIPを調節する。
mTORは、環境ストレスに感受性の種々の細胞活動を調節するセリン/トレオニンキナーゼである。mTORそれ自体の活性化変異は確認されていないが、mTOR活性を調節する上流要素の調節解除は、癌において広く行われている。最近、mTORタンパク質複合体、RICTORの成分が、肝細胞癌及び神経膠腫において過剰発現することが明らかにされている。細胞でのmTOR調節の典型的なメカニズムは、PI3K/Akt経路の活性化によるが、mTORは、多数のシグナル伝達経路から情報を受ける。哺乳動物細胞において、2種類のmTOR/FRAP1含有複合体、すなわちmTOR複合体1(mTORC1)及びmTOR複合体2(mTORC2)が確認されている。mTORC1は、mTOR/FRAP1、RAPTOR及びmLST8からなる。mLST8の機能は十分に解明されていないが、RAPTORは、mTORC1基質、例えばp70S6K(リボソームp70S6キナーゼ)及び4E−BP(真核生物開始因子4E結合タンパク質)(両方は、タンパク質翻訳の調節因子)を補充するための足場として機能する。mTORC2は、mTOR/FRAP1、RICTOR、mLST8、sin1及び最近確認されたprotorを含有する。RICTOR及びsin1は、mTORC2の構造基礎を結合し、組み立てることによって互いを安定化させると思われる。活性化mTORC2は、アクチン骨格を調節し、Ser473においてAktをリン酸化し、これはPDK1介在リン酸化と共にAktの完全活性化を駆動する。mTOR/FRAP1ポリペプチド及びmTORC1とmTORC2との他の複合体成分がLR上に存在し、mTOR/FRAP1ポリペプチドがmTORC1及びmTORC2複合体の間で共有されることが提案されている。従って、mTORC2複合体が開裂すると(これは、mTOR/FRAP1ポリペプチドを解放する)、mTORC1活性が相互に増大する。
逆に言えば、mTORC2成分がLRに補充されると、AktがmTORC2キナーゼ活性によって前記ラフトにおいて活性化される。
mTORが細胞生存の節の調節因子であることを考慮に入れると、癌療法においてmTOR活性に対する分子を開発するのに、大変な努力が注がれている。mTOR阻害剤、ラパマイシン及び誘導体〔ラパローグ(rapalog)〕が、mTORC1複合体を標的とするために開発されている・これに対して、最近の証拠がラパマイシンを用いた長期インキュベーションもまたmTORC2の活性を低下させることを明らかにしているにもかかわらず、mTORC2はラパマイシンに比較的感受性である。mTORC1の妨害は、PI3K経路が構成的に活性である腫瘍細胞において顕著な抗腫瘍効果をもたらすことが予期される。実際に、幾つかのラパローグが、Akt依存性前立腺癌、Neu/Erb2依存性乳癌又はPTEN欠損腫瘍モデルにおいて見込みのある抗腫瘍活性を示している。また、幾つかのラパローグは、最近、転移性真性細胞癌の治療において顕著な活性を提供している。その他の固形腫瘍、例えば乳房腫瘍に対する活性は、目覚しいものではない。これらの感受性の相違の原因である分子メカニズムは、未だに明確に示されていない。mTORC1阻害が、経路再活性化:強力なPI3K−Akt再活性化を招くことができる直接的mTORC1基質p70 S6キナーゼによって通常的に開始される負のフィードバックループの解除を招き得ることを示す証拠が存在する。さらにまた。ラパローグは、2つの上流Aktキナーゼのうちの1つであるmTORC2を効率的に阻害することができない。要するに、これは、経路活性化及び再活性化は同時Akt及びmTOR阻害を招く(mTORC1及びmTORC2の両方を標的とする)薬剤によって回避できることを示唆する。
以下の実験は、LRが介在する生存シグナル伝達を妨害することによって、ER−乳癌細胞での選択的アポトーシスの誘導に対するBN107及びOAの作用のメカニズムを明らかにする。特に、BN107又はOAは、LR上に存在するmTORC1及びmTORC2複合体の両方を選択的に分離させ、それによってmTOR複合体成分及びその活性の置換/ダウンレギュレーションをもたらす。mTORC2活性の阻害は、さらに、ER−乳癌細胞においてAktシグナル伝達を選択的に不活性化させる。本発明者らが知る限りでは、これらの知見は、オレアノール酸が単一の薬剤としてAkt及びmTOR(mTORC1及びmTORC2)活性を同時に阻害するという最初の証拠を提供する。
結果
BN107は、ER−乳癌細胞においてアポトーシスを選択的に誘導し、ERαの発現の導入は、これらの細胞をBN107から保護した。先の研究は、トウサイカチG.sinensisのエタノール抽出物が、細胞障害性を誘導することにより多数の腫瘍細胞株に細胞障害性であることを明らかにしている。種々の起源由来の種々様々な固形腫瘍細胞株が、本明細書において分析される。サブコンフルエント(sub−confluent)培養物を、70μg/mlのBN107で18時間処理し、細胞死を、アネキシンV/PI結合、次いでフローサイトメトリーにより分析した。図4Aは、BN107に感受性であることが先に示されているMDA−MB−231細胞の〜50%を死滅させる用量での生存細胞(アネキシンV−、PI−)の%を示す。BN107が種々の起源由来の腫瘍細胞株において細胞死を種々の程度まで誘導することは、明らかである。具体的には、乳房腫瘍細胞株において、該細胞は、BN107に対して広い範囲の感受性を示した。これらの実験は、細胞の遺伝子型特性と感受性との間の相関関係があるかどうかを調べることを目的とする。表2−1に示すように、ER発現を欠いている細胞は、BN107に対して高感受性であり、これに対して機能性ERを含有する細胞は、この用量でBN107に比較的非感受性であると思われる。ER−株においてBN107によって誘導された細胞死は、アネキシンV結合、ミトコンドリア電位の消失、シトクロムCの細胞質ゾル放出、カスパーゼ類の活性化、及びDNA断片化から明らかなように、主にミトコンドリア経路が介在するという性質においてアポトーシスであった。
BN107は、ER−乳癌細胞においてアポトーシスを選択的に誘導し、ERαの発現の導入は、これらの細胞をBN107から保護した。先の研究は、トウサイカチG.sinensisのエタノール抽出物が、細胞障害性を誘導することにより多数の腫瘍細胞株に細胞障害性であることを明らかにしている。種々の起源由来の種々様々な固形腫瘍細胞株が、本明細書において分析される。サブコンフルエント(sub−confluent)培養物を、70μg/mlのBN107で18時間処理し、細胞死を、アネキシンV/PI結合、次いでフローサイトメトリーにより分析した。図4Aは、BN107に感受性であることが先に示されているMDA−MB−231細胞の〜50%を死滅させる用量での生存細胞(アネキシンV−、PI−)の%を示す。BN107が種々の起源由来の腫瘍細胞株において細胞死を種々の程度まで誘導することは、明らかである。具体的には、乳房腫瘍細胞株において、該細胞は、BN107に対して広い範囲の感受性を示した。これらの実験は、細胞の遺伝子型特性と感受性との間の相関関係があるかどうかを調べることを目的とする。表2−1に示すように、ER発現を欠いている細胞は、BN107に対して高感受性であり、これに対して機能性ERを含有する細胞は、この用量でBN107に比較的非感受性であると思われる。ER−株においてBN107によって誘導された細胞死は、アネキシンV結合、ミトコンドリア電位の消失、シトクロムCの細胞質ゾル放出、カスパーゼ類の活性化、及びDNA断片化から明らかなように、主にミトコンドリア経路が介在するという性質においてアポトーシスであった。
機能性ERがBN107誘導アポトーシスにおいて保護的役割を果たすことを確認するために、ERα発現を、BN107に高感受性であり且つER発現には存在しない(null)MDA−MB−231細胞に形質導入した。図5Aは、形質導入後のERαタンパク質の発現を表し、図2Cは、機能性ERステータスを示すWISP2 RNAの発現、(ER反応遺伝子)を表す。ERα形質導入細胞及びLacZ形質導入対照細胞を、BN107で18時間処理し、アネキシンV PI結合を用いて細胞死を分析した。図5Bは、MDA−MB−231細胞でのERα発現は、BN107誘導アポトーシスから細胞を著しく保護したことを表す。また、より多くの上皮マーカーを再発現するために間葉表現型を逆転させようとして、ER−MDA−MB−231細胞を、トリコスタチンA(TsA)(分化誘導剤)で処理した。例えば、MDA−MB−231細胞は、長期間の低用量TSA処理に際し、ERα、E−カドヘリン及びCD24を再発現し且つCD44、カベオリン及びビメンチンの発現をダウンレギュレートすることが明らかにされた。これらの遺伝子のRNA発現のレベルを、TsAで2日間処理したMDA−MB−231細胞において調べ、先の観察を確認した。次いで、これらのTsA分化MDA−MB−231細胞を、BN107で処理した。図2Cは、これらの細胞がBN107に対してよりいっそう耐性を付与し、ERαステータスがBN107誘導アポトーシスに対して保護的役割を果たすという仮説と一致することを表す。
BN107処理によって調節される主要な細胞経路 − BN107によって誘導される活性酸素種(ROS)産生又はp38活性化は、アポトーシス促進作用に介在するを主要なメカニズムではないかもしれない。ER−乳癌細胞においてBN10のアポトーシス促進作用に介在する主要な根本メカニズムを調べるために、BN107で4時間処理したHs578T(ER−、感受性)細胞及びMCF7(ER+、非感受性)細胞について発現アレイ分析を行った(補足データ)。発現プロフィールを、Ingenuity Pathway Analysisを使用して分析して総合的にBN107誘導死の原因である可能な細胞経路を確認した。これらの2つの細胞株の間のIPA分析により、BN107に応答して遺伝子発現の異なるパターンが明らかにされた。具体的には、ER−乳癌細胞は、細胞死、酸化ストレス応答、MAPKシグナル伝達、及びコレステロール合成/取り込み経路に関与する遺伝子をアップレギュレートすることによってBN107に反応した。これに対してER+乳癌細胞は、増殖受容体及び生存シグナル伝達に関与する比較的小さい一組の遺伝子を調節することによってBN107に反応した。
酸化ストレス応答がBN107処理Hs578T細胞で示されたことから、ROS産生が誘導されるか否か及びこれがBN107による死の原因であり得るか否かを調べた。細胞透過性のROS感受性プローブCM−H2DCFDAを使用し、BN107が、2つの感受性乳癌細胞株Hs578T及びMDA−MB−231においてROSの顕著な蓄積を誘導することを明らかにした。これに対して、BN107は、MCF7細胞に対して影響を及ぼさなかった(図6A)。BZL101は、強いROS産生を誘導することがすでに明らかにされており、陽性対照として使用された。BN107が酸化ストレス応答を誘導することをさらに確認するために、Nrf2(酸化ストレスに応答して核内に位置を変える重要な転写因子)の量を、BN107処理細胞において調べた。ウェスタンブロット分析により、BN107処理Hs578T細胞での核Nrf2量の有意且つ持続した増加及びMCF7細胞での有意でなく且つ過渡的な増加が明らかにされた。しかし、ROSの著しい産生は、コメットアッセイ又はアビジン−FITCによる8−オキソグアニンについての染色によって測定されるように、広範囲にわたる酸化的DNA損傷をもたらさなかった。また、細胞のN−アセチルシステイン(NAC)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、すなわち2種類の強力なROS捕捉剤とのプレインキュベーションは、BN107誘導アポトーシスから細胞を部分的に保護しただけであった(図6B)。これらの観察は、酸化ストレスはBN107によって誘導された死の主な原因ではないことを示唆した。
MAPKシグナル伝達の変化を、ウェスタン分析により確認した。図6Cに示すように、phospho−Erkの量は、Hs578T細胞及びMCF7細胞の両方において急速に誘導され、これに対してphospho−p38の量は、感受性Hs578T細胞において誘導されたのみであった。Hs578T細胞において特異的に高められたp38の活性がBN107誘導アポトーシスの原因であるか否かを調べるために、細胞を、特異的p38アンタゴニストSB20219と共にプレインキュベートし、その後にBN107で処理した。図6Dに示すように、p38アンタゴニストとBN107との同時処理が相乗性細胞障害性を生じたことから、p38活性化が生存メカニズムであると思われる。
BN107によって誘導されたコレステロールの枯渇は、もしかするとそのアポトーシス促進作用の原因であるであろう。コレステロール合成/輸送遺伝子もまた、BN107処理ER−Hs578T細胞においてアップレギュレートされた遺伝子の中にあり、コレステロール又はコレステロール合成経路の中間体がBN107のアポトーシス促進作用において役割を果たすことを示唆する。コレステロール合成経路は、細胞生存に不可欠な幾つかのシグナル伝達タンパク質、例えばRAS又はRAS関連タンパク質の機能に重要であるイソプレノイド前駆物質を提供する。これらのタンパク質のイソプレニル化は、これらの適切な膜の局在及び活性のために翻訳後修飾を提供する。具体的には、ファルネシルピロリン酸及びゲラニルゲラニルピロリン酸由来のファルネシル部分及びゲラニルゲラニル部分が、RAS及びRAS関連タンパク質のC末端に共有結合される。これらのピロリン酸に対応するアルコール、ファルネソル(FOH)及びゲラニルゲラニオール(GGOH)は、メバロン酸枯渇によって変化している細胞機能、すなわちコレステロール合成経路における基質を元の状態に戻す。従って、外から加えられたイソプレノイド前駆物質FOH又はGGOHを有する細胞の提供は、BN107誘導細胞死から細胞を救済できると仮定された。図7Aに示すように、Hs578T細胞のFOH又はGGOHとのプレインキュベーションは、BN107誘導アポトーシスから細胞を保護せず、イソプレノイド前駆物質の欠乏が死の根本的原因ではないことを示唆する。
オレアナンサポニン類が、コレステロールと複合体を形成し、赤血球膜の外面からコレステロールを取り除くことができることが明らかにされている。全細胞コレステロールの量が測定され、処理の4時間後に減少があることが観察された(図7B)。全細胞コレステロールの著しい減少は、BN107のアポトーシス促進作用の原因であろうと仮定された。次に、ER−Hs578T細胞又はMDA−MB−231細胞をコレステロール及びBN107で同時処理し、処理の18時間後に細胞死を分析した。図7Cは、コレステロールの添加は、BN107誘導死から細胞を完全に及び特異的に救済し、これに対してBZL101又はタキソールで誘導した死には影響を及ぼさなかったことを表す。LDL及びBN107の同時処理もまた、BN107のアポトーシス促進作用を完全に消滅させた。興味深いことに、BN107の処理後2時間での培地へのコレステロールの添加も、細胞を死から保護した。これらの観察は、コレステロール枯渇は、もしかするとBN107のアポトーシス促進作用の原因となる主な根本メカニズムであるという仮説を確認した。
脂質ラフトは、BN107によって破壊された:コレステロールは、LR(シグナル伝達、例えば細胞生存を組織化する形質膜内の特殊プラットフォーム)の機能にきわめて重要である。従って、BN107中に豊富に存在するオレアナンサポニン類を考慮に入れると、BN107が、LR介在生存シグナル伝達を順次妨害する膜コレステロールを取り除く/枯渇させると仮説を立てることが合理的である。LR中のコレステロール量を最初に測定した。また図7Bは、脂質ラフト領域のコレステロールの量もまた、BN107処理MDA−MB231細胞において枯渇し、細胞コレステロールの全体量の減少と一致したことを表す。次に、カベオリン及びCD44、すなわち2種類のLR存在タンパク質の分布パターンを、免疫蛍光染色を使用して観察した。図8Aは、BN107処理が、4時間以内に、これら2種類のLR存在タンパク質の細胞内リソソーム様局在への急速な再分布を生じたことを表す。この観察は、生化学的細胞下分画アプローチを使用して得られたデータによって確認された。具体的には、BN107処理の4時間後に、細胞質ゾルカベオリンタンパク質の量が増大し且つ形質膜カベオリンタンパク質の量が相互に減少し、これに対してカベオリンタンパク質の全体量は、相変わらず変化しなかった。これらのデータは、膜LR及びLR介在生存シグナル伝達がBN107によって妨害されるであろうと仮説を立てることを促した。
mTORC1及びmTORC2成分は、mTORC1及びmTORC2活性の阻害をもたらす脂質ラフトから置換/分解された。脂質ラフト介在生存シグナル伝達がBN107によって妨害されるか否かを調べるために、トリトン−X100可溶化溶解液の超遠心分離により得られた脂質ドラフト画分を、スクロース濃度勾配を使用して分析した。脂質ラフト領域は、未処理細胞においてガングリオシドGM−I(脂質ラフト領域用マーカー)に富む画分を用いて確認した。図8Bに示すように、ドットブロット分析によって測定されたGM−Iの量は、BN107処理MDA−MB−231細胞のLR画分において著しく減少し、それによってBN107のラフトの破壊が確認された。コレステロール補充は、LR画分におけるGMIの再出現によって明らかにされたラフト構造を再構成した。BN107耐性MCF7細胞において、GM−Iの量は、変化がないと思われた。
Akt/mTOR(主な生存シグナル伝達経路)は、LR上で生じることに関与していることから、BN107及び同様にOAがLR上のこれらの複合体のシグナル伝達を妨害すると仮定された。BN107又はOA処理されたHs578T又はMCF7溶解液のスクロース−密度−遠心分離により収集された画分を、透析し、濃縮した。LR(画分3〜5)画分、非LR形質膜(f6)画分、及び細胞質ゾル(f8)画分からの同じ量のタンパク質を、ウェスタンブロッティングにより分析した。最初に、RAPTOR、Akt、4E−BP、p70S6キナーゼの量を、これらの採取画分において観察し、これらのキナーゼ全てが、LR画分に富むことが確認された(データは示さない)。次いで、phospho−mTOR、total mTOR、並びにmTORC1及びmTORC2複合体パートナーRAPTOR及びRICTORそれぞれを、BN107又はOA処理したHs578T細胞において測定した。全部が、処理の4時間後にHs578TのLR画分において著しく減少しており、mTORC1及びmTORC2複合体の成分がこの領域から分離/置換されたことを示す。mTOR/FRAP1及びRAPTORタンパク質の量は、BN107又はOAで処理されたHs578T細胞から単離された脂質ラフト領域において減少していることから、mTORC1活性が阻害されたか否かという疑問が発せられた。mTORC1の活性を、その基質4E−BP及びp70S6キナーゼのリン酸化を測定することによって調べ(図8C)、実際にmTORC1活性が著しく阻害されたことを見出した。
また、mTOR/FRAP1ポリペプチドの同じプールがmTORC1及びmTORC2複合体の間で共有され且つmTORC2複合体パートナーRICTORがBN107又はOA処理Hs578T細胞の脂質ラフトにおいて減少していることから、mTORC2活性も同様に阻害されるであろうと仮定された。mTORC2がSer473においてAktをリン酸化する主なキナーゼであり且つAktシグナル伝達がLR上で生じることに関与しているという最近の発見を考慮に入れると、Ser473リン酸化Aktの量を、LR画分においてmTORC2活性についての読み取りとして分析した。図8Cにおいて、BN107又はOA処理は、Ser473−リン酸化Aktの量を減少させるが、LR上のAktの全体量に影響を及ぼさないことが表される。これらのデータは、Aktの上流調節因子がLRにおいて破壊され、少ないtotal mTOR/FRAP1及びRICTOR成分を有することを示すmTORC2複合体であるらしいということを示唆した。逆に言えば、外因性コレステロールの添加は、BN107又はOAによって妨害されたこれらのシグナル伝達事象を元の状態に戻した(図8C)。これらの変化のいずれも、耐性MCF7細胞では観察されなかった(右側のパネル、図8C)。非LR形質膜領域を標識するトランスフェリン受容体(TR)及び細胞質ゾル画分を標識するGAPDHの量は、BN107処理又はOA処理によって両方の細胞株において影響を受けなかった。
これらのシグナル伝達の変化がLRで生じたことを確認するために、実際に全細胞レベルに翻訳した。図8Dは、これらのシグナル伝達タンパク質の全体量を示す。脂質ラフト画分内に示されたデータと一致して、total mTOR/FRAP1、phospho−mTOR、RAPTOR、及びRICTORの量は、全てBN107処理の1時間以内に減少し、4E−BP及びp70S6キナーゼ、並びにSer473−Aktそれぞれをリン酸化するために最小mTORC1及びmTORC2活性をもたらした。翻訳後に対応するmRNAの量として生じたmTOR/FRAP1、RAPTOR及びRICTORの全タンパク質量の減少は、感受性ER−Hs578T細胞においてBN107又はOA処理によって調節されなかった(データは示さない)。また、LRの量に一致して、Ser−473リン酸化Aktが劇的に減少し、これに対して全細胞Aktの量は依然として変化がなかった。これらのデータは、全体として、LR及びLR介在増殖/生存シグナル伝達が、BN107及びOAによって特異的に妨害されることを示した。これらの結果は、外因性コレステロールの添加がこれらの事象を逆転させると思われることから、おそらくはLRに対するこれらのコレステロール結合/除去効果によると思われる(図8C)。
考察
進行型の乳癌の分子標的を確認することは、個別の療法の探求において画期的な出来事である。原発性腫瘍の遺伝子発現プロファイリングは、次の下位カテゴリー:ルミナール(luminal)A、ルミナールB、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)及び基底細胞様(basal−like)サブタイプをもたらしている。全ての乳癌の約16%は、基底/間葉様(base/mesenchymal−like)であり、これらの腫瘍は、利用できる標的療法に反応しないし、患者は、多くの場合、診断の2年以内に死亡する。これらの腫瘍を区別するものは、ER又はPRを発現しないし、HER2も増殖させない、「三重陰性」乳癌と呼ばれる異なる多数の乳癌、すなわち基底/間葉様腫瘍が、あまり分化しないし、一般的により進行性であることである。三重陰性腫瘍を有する女性は、ER(タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤)又はHER2(トラスツズマブ)を標的とする治療にふさわしくない。その代わりに、彼女らは、限定された効果や多数の副作用を有する従来の化学療法で治療される。従って、これらの患者のための代替治療法を確認することが極めて重要である。この研究において、BN107及びその主要なオレアナンサポニン類、オレアノール酸は、間葉様ER−乳癌細胞を特異的に標的とし、これに対して、ER乳癌細胞、ER発現細胞は、これらの治療に感受性がないことが実証された。種々の乳癌株の公的に入手可能な発現プロフィールを、これらのBN107に対する感受性に従ってクラスター形成させた場合には、多数のER下流標的の発現が、BN107に対する非感受性に関連することが認められた。BN107又はOAによって誘導されたアポトーシス促進作用は、Her2又はEGFRステータスと相関関係を示さなかった(表2−1)。また、ERステータスが、アデノウイルスを用いた強制発現又は脱アセチル化剤TsAを用いた誘導発現による機能性ERを欠いている乳癌細胞において元の状態に戻されると、これらの細胞でのBN107に対する感受性が著しく低下することが明らかにされた。全体として、これらの知見は、機能性ERステータスがBN107誘導アポトーシスにおいて保護的役割を果たすことを実証し且つ三重陰性乳癌患者集団のためのBN107又はオレアナンサポニンに基づいた治療法を開発する可能性を示唆した。
進行型の乳癌の分子標的を確認することは、個別の療法の探求において画期的な出来事である。原発性腫瘍の遺伝子発現プロファイリングは、次の下位カテゴリー:ルミナール(luminal)A、ルミナールB、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)及び基底細胞様(basal−like)サブタイプをもたらしている。全ての乳癌の約16%は、基底/間葉様(base/mesenchymal−like)であり、これらの腫瘍は、利用できる標的療法に反応しないし、患者は、多くの場合、診断の2年以内に死亡する。これらの腫瘍を区別するものは、ER又はPRを発現しないし、HER2も増殖させない、「三重陰性」乳癌と呼ばれる異なる多数の乳癌、すなわち基底/間葉様腫瘍が、あまり分化しないし、一般的により進行性であることである。三重陰性腫瘍を有する女性は、ER(タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤)又はHER2(トラスツズマブ)を標的とする治療にふさわしくない。その代わりに、彼女らは、限定された効果や多数の副作用を有する従来の化学療法で治療される。従って、これらの患者のための代替治療法を確認することが極めて重要である。この研究において、BN107及びその主要なオレアナンサポニン類、オレアノール酸は、間葉様ER−乳癌細胞を特異的に標的とし、これに対して、ER乳癌細胞、ER発現細胞は、これらの治療に感受性がないことが実証された。種々の乳癌株の公的に入手可能な発現プロフィールを、これらのBN107に対する感受性に従ってクラスター形成させた場合には、多数のER下流標的の発現が、BN107に対する非感受性に関連することが認められた。BN107又はOAによって誘導されたアポトーシス促進作用は、Her2又はEGFRステータスと相関関係を示さなかった(表2−1)。また、ERステータスが、アデノウイルスを用いた強制発現又は脱アセチル化剤TsAを用いた誘導発現による機能性ERを欠いている乳癌細胞において元の状態に戻されると、これらの細胞でのBN107に対する感受性が著しく低下することが明らかにされた。全体として、これらの知見は、機能性ERステータスがBN107誘導アポトーシスにおいて保護的役割を果たすことを実証し且つ三重陰性乳癌患者集団のためのBN107又はオレアナンサポニンに基づいた治療法を開発する可能性を示唆した。
BN107によって誘発されるER−乳癌細胞に対する選択的アポトーシス促進作用に介在するメカニズムを解明するために、発現プロファイリング分析を行い、感受性(ER−)細胞株と非感受性(ER+)細胞株の発現パターンを比較し、対比した。感受性株では、細胞死、酸化ストレス、MAPKシグナル伝達、及びコレステロール合成/取り込み経路と一致した遺伝子発現パターンが確認された。実際に、酸化ストレスが誘導され、同時にBN107誘導死にごく部分的に寄与したことが明らかにされた。確認された遺伝子のその他の顕著なクラスターは、MAPKシグナル伝達経路の活性化であった。p38がER−感受性株においてBN107処理に応答して選択的に活性化されることが、確認された。しかし、p38活性化を妨害するとBN107処理により相乗的死を招くことから、p38活性化が生存メカニズムであると推測した。最後に、外因性コレステロール又はコレステロール均等物(すなわちLDL)を供給すると、細胞がBN107及びOAによって誘導される死から特異的に及び完全に保護されることから、イソプレノイド前駆物質ではなく脂質ラフトコレステロールの枯渇が、BN107誘導アポトーシスの原因であるらしいということが明らかにされた。脂質ラフトの完全性は、まさにコレステロールの存在に依存する。コレステロール捕捉剤(メチル−β−シクロデキストリン、MβCD)を用いた処理によるか、増加したステロールによるか、又はその新規合成を阻止することによる脂質ラフトからのコレステロールの減少は、ラフト会合タンパク質の減少及び細胞生存の低下をもたらす。
さらに、BN107又はオレアノール酸誘導アポトーシスは、コレステロールに富むLR上で生じるその生存シグナル伝達事象、すなわちAkt/mTOR経路を阻害する能力に基づいていることが明らかにされた。Akt/mTOR経路の異常活性化は、多数の癌に存在し、悪性腫瘍細胞が増殖し、死のシグナル伝達を回避するか又は種々の療法に対して耐性になることを可能にすることが明らかにされている。多大な努力が、mTOR活性を標的とする治療薬を開発することに払われてきたにもかかわらず、ほとんどの臨床試験は、固形腫瘍癌に対して期待できる結果を示さなかった。これらのmTOR阻害剤、すなわちラパマイシン及びその類似体の印象的でないデータは、特にmTORC2活性を伴うmTOR経路の調節に関する本発明者らの不完全な理解を指摘している。最近のデータは、Akt上のSer473をPDK1と共にリン酸化し、Aktの十分な活性化を促進する主要なキナーゼとしてmTORC2活性に関係している。ラパマイシンは、長期インキュベーションがmTORC2に対してあるレベルの阻害をもたらすのにもかかわらず、mTORC1に比べてmTORC2に対して最小急性阻害作用を示した。ラパマイシンによるmTORC1阻害は単独で、PI3K/Akt経路の再活性化をもたらすことができる。逆に言えば、mTORC2活性単独の破壊はまた、mTORC1活性の上昇をもたらし得る。要するに、これらの観察は、経路活性化及び再活性化は、同時Akt及びmTOR阻害(mTORC1及びmTORC2の両方を標的とする)をもたらす薬剤によって回避できることを示唆する。ここで、BN107及びOAが、ER−乳癌細胞のLRにおいてmTORC1及びmTORC2活性を選択的に低下させ、これはおそらくはAkt活性の同時阻害をもたらすであろうということが報告される。しかし、コレステロール枯渇の結果としてLRにおける[PI(4,5)P2]の量の減少がAkt膜補充及びリン酸化の低下を招き得るという可能性は、除外することができない。
mTORC1及びmTORC2活性の阻害は、脂質ラフト(LR)上のmTORC1及びmTORC2複合体の形成の崩壊に基づくと思われる。これは、LR上に存在する複合体成分、すなわちmTOR/FRAP1、RAPTOR及びRICTORの量が少ないことに起因するものであった。複合体の崩壊は、これらのタンパク質の分解をもたらすと思われる。その理由は、これらの全細胞量も同時に減少を示したからである。mTOR/FRAP、RAPTOR、及びRAPTORの全タンパク質量の減少は、これらの定常状態RNAレベルのダウンレギュレーションの結果ではなかった(データは示さない)。しかし、BN107又はOAが転写後にこれらのタンパク質の量を特異的にダウンレギュレートし、LR上のmTORC1及びmTORC2の減少を招くという可能性を除外することができない。ファルネシルチオサリチル酸及びクルクミンが、mTOR/FRAP1−RAPTOR複合体を解離させることによってmTORC1活性を阻害するであろうという報告はさておき、最も良く理解されるように、これは、LR上のmTORC成分の量及び全細胞量を減少させる薬剤で細胞を処理することによってmTOR複合体の活性を調節する可能性を実証する最初の報告である。
コレステロールは、腫瘍の進行に関係している。実験的及び疫学的証拠は、コレステロールが癌の発生と進行において促進的役割を果たし得ることを示唆している。膜コレステロールの漸進的増加は、ラフトの拡大に寄与し、細胞シグナル伝達の発癌経路(例えば、Akt)を増強し得ることが提案されている。これらの知見は、総合的に、LRにおいてコレステロールホメオスタシスを妨害する薬剤、例えばBN107及びOAが、腫瘍細胞生存シグナル伝達を妨害する新規アプローチに相当することを示唆している。
ラフト破壊性化学薬品の可能な臨床応用に関連した主な関心事は、これらの薬剤がまた、LRを非選択的に変化させ、心臓、肝臓、腎臓、膵臓などのような生命維持に必要な器官の細胞において機能を妨害し得ることである。この概念とは全く反対に、MβCD誘導体は、非経口用途の水不溶性薬剤用の担体として広く使用されており、これらの化合物の低用量が最終的に著しい全身毒性を及ぼさないことを暗示する。トウサイカチサポニン類が、生体外で赤血球から形質膜コレステロールを取り除くことが明らかにされているにもかかわらず、抗腫瘍用量のOAが、動物において最小毒性を示すことが明らかにされている。また、異なる型のLR類が、それらの生化学的組成、区画化及び機能において異なることが確認されていることに注目しなければならない。実際に、多数の研究が、細胞からのコレステロールの枯渇が、LPの破壊や、バルク形質膜へのラフト構成成分の放出をもたらすことを明らかにしている。しかし、必ずしもLRの全部が、コレステロール枯渇に同じように感受性であるとは思われない。例えば、MβCDを用いた処理による腸細胞外植片からのコレステロールの枯渇は、微絨毛コレステロールの70%を除去したが、ラフトマーカータンパク質、ガレクチン−4が低密度トリトンX−100不溶性膜画分に局在する能力に影響を及ぼさなかった。同様に、Rajendranらは、ジャーカット細胞やU937細胞において、数種のラフトタンパク質、例えばlck、lyn及びLATは、MβCDを用いた処理によってラフトから遊離されるが、フロチリン類は低密度界面活性剤耐性ドメインに留まることを明らかにした。これらの知見は、そのコレステロール依存性又はコレステロールとの相互作用の観点からLR集団に異質性が存在することを示唆している。この概念と一致して、Ostapkowiczらは、脂質ラフトがER+(すなわちMCF7)乳癌細胞からより侵襲性の(MDA−MB−231)乳癌に転移する間に有意な構造再構成を起こすことを明らかにした。従って、LR類の特定のサブセット又は組成物のみが、ER−乳癌細胞においてBN107又はOAによって阻害されたAkt/mTORシグナル伝達を支持するということが可能である。しかし、どのようにERαがBN107誘導脂質ラフト破壊の保護及びアポトーシスに寄与するかは、全く知られておらず、調査中である。Akt/mTORシグナル伝達に関連するラフト成分を選択的に標的とする薬剤の開発を促進するであろうBN107/OAと種々のLR成分との間の特異的相互作用のさらに詳細な特定が、この段階で重要であると思われる。
材料及び方法
試薬及び抗体
BN107は、トウサイカチGleditsia senensis(Sichuan Medicines and Health Products、Chengdu、China Campbell’s paper)の粉砕果実の水性調製物である。手短に言えば、10gの粉砕粉末を秤量し、100mlの蒸留水に加えた。この薬草混合物を一定に攪拌しながら沸騰させた。沸点に達したら、加熱を弱めて温度を70℃に保ち、さらに40分間煮た。次いで、この薬草混合物を、ホットプレートに取り、50℃まで冷却し、その後に3000RPMで、4℃で20分間、遠心分離した。上清を新たな遠心管にデンカントし、さらに20分間遠心分離した。この上清を分割し、後で使用するために−80℃で保存した。上清1mlを、収量を調べるために一夜凍結乾燥した(典型的収量50〜55mg/ml)。活性喪失がないことを保証するために、3ヶ月毎に新しいバッチを作製した。OAはDMSOに溶解し、コレステロールは100%エタノールに溶解した。
試薬及び抗体
BN107は、トウサイカチGleditsia senensis(Sichuan Medicines and Health Products、Chengdu、China Campbell’s paper)の粉砕果実の水性調製物である。手短に言えば、10gの粉砕粉末を秤量し、100mlの蒸留水に加えた。この薬草混合物を一定に攪拌しながら沸騰させた。沸点に達したら、加熱を弱めて温度を70℃に保ち、さらに40分間煮た。次いで、この薬草混合物を、ホットプレートに取り、50℃まで冷却し、その後に3000RPMで、4℃で20分間、遠心分離した。上清を新たな遠心管にデンカントし、さらに20分間遠心分離した。この上清を分割し、後で使用するために−80℃で保存した。上清1mlを、収量を調べるために一夜凍結乾燥した(典型的収量50〜55mg/ml)。活性喪失がないことを保証するために、3ヶ月毎に新しいバッチを作製した。OAはDMSOに溶解し、コレステロールは100%エタノールに溶解した。
全ての化学薬品は、特に明記しない限りはSigma社から購入した。CM−H2DCFDAは、Invitrogen社から購入した。以下の抗体は、明記した以外はCell Signal社から購入した。phospho−mTOR、total mTOR、RICTOR、RAPTOR、phospho−4EBP、total 4EBP、pS6キナーゼ、total S6キナーゼ、phospho−AKT、total AKT(Santa Cruz社)、Nrf2(Santa Cruz社)、カベオリン1(BD Biosciences社)、TBP(Abcam社)、CD44(Epitomics社)、ERa( )及びシトクロムC(Biovision社)。GM−Iは、HRP(Invitrogen社)に複合させたCTサブユニットBのサブユニットを使用することによって検出した。
細胞培養及び処理
使用した細胞株は全て、ATCC社から購入した。細胞は、70μg/mlのBN107(凍結乾燥重量に基づいて算出した)で処理した。用量は、処理後18時間でHs578T又はMDA−MB−231細胞の50%を殺すそれぞれのバッチのEC50に基づいて決定される。前記細胞を、種々のアッセイについて示したように種々の時間点について110μM(Hs578TのEC50)又は125μM(MDA−MB−231のEC50)のOAで処理した。
使用した細胞株は全て、ATCC社から購入した。細胞は、70μg/mlのBN107(凍結乾燥重量に基づいて算出した)で処理した。用量は、処理後18時間でHs578T又はMDA−MB−231細胞の50%を殺すそれぞれのバッチのEC50に基づいて決定される。前記細胞を、種々のアッセイについて示したように種々の時間点について110μM(Hs578TのEC50)又は125μM(MDA−MB−231のEC50)のOAで処理した。
ERα形質導入
60%密集MDA−MB−231細胞に、0日目に4μg/mlのポリブレンの存在下でLacZ又はERαを発現するアデノウイルス粒子を用いて形質導入した。感染細胞(300,000個)を、トリプシン処理し、1日目の午前に、6ウエルプレートに、ウエル当たり10nMエストラジオールの存在下で移植した。これらの細胞の処理は、1日目の午後に開始し、16時間継続した。
60%密集MDA−MB−231細胞に、0日目に4μg/mlのポリブレンの存在下でLacZ又はERαを発現するアデノウイルス粒子を用いて形質導入した。感染細胞(300,000個)を、トリプシン処理し、1日目の午前に、6ウエルプレートに、ウエル当たり10nMエストラジオールの存在下で移植した。これらの細胞の処理は、1日目の午後に開始し、16時間継続した。
細胞死/アポトーシスの測定
細胞の生存を、製造業者の取扱説明書(Invitrogen社)に従ってアネキシンV−alexa 488/PI結合細胞のFACS分析を使用して測定した。ミトコンドリア貫膜電位(MTP)を、生存細胞においてJC−1I色素(Invitrogen社)を使用して測定し、フローサイトメトリーを使用して分析した。カスパーゼ3及び9活性を、FITCに複合させた特異的カスパーゼペプチド阻害剤(Calbiochem社)を使用して測定し、次いでフローサイトメトリー分析により測定した。細胞質ゾルシトクロムCの放出を、細胞質ゾルをミトコンドリア(Biovision社)から分離することによって調べ、細胞質ゾル中に放出されたシトクロムCを、免疫ブロット法を使用して明らかにした。
細胞の生存を、製造業者の取扱説明書(Invitrogen社)に従ってアネキシンV−alexa 488/PI結合細胞のFACS分析を使用して測定した。ミトコンドリア貫膜電位(MTP)を、生存細胞においてJC−1I色素(Invitrogen社)を使用して測定し、フローサイトメトリーを使用して分析した。カスパーゼ3及び9活性を、FITCに複合させた特異的カスパーゼペプチド阻害剤(Calbiochem社)を使用して測定し、次いでフローサイトメトリー分析により測定した。細胞質ゾルシトクロムCの放出を、細胞質ゾルをミトコンドリア(Biovision社)から分離することによって調べ、細胞質ゾル中に放出されたシトクロムCを、免疫ブロット法を使用して明らかにした。
ROS細胞を、BN107又はBZL101(強力なROS誘導剤)で15分間処理し、その後にCM−H2DCFDAを加えた。
免疫染色
20,000個のMDAMB−231細胞を、0日目に8チャンバースライドの1つのウエルに移植した。この細胞を、70μg/mlのBN107で4時間処理し、冷PBS中4%パラホルムアルデヒドで10分間固定するか、又はメタノール:アセトン(1:1)で、−20℃で5分間固定した。この細胞を、PBS中で洗浄し、PBS中2%BSA中で1時間ブロックし、その後にPBS中2%BSA中の抗カベオリン(1/1000)又は抗CD44(1:250)を4℃で一夜適用した。このチャンバースライドを、PBSで洗浄し、適当なAlexa 488複合二次抗体と共に1時間インキュベートした。核を1μg/mlのHoechst 33258で5分間染色し、このスライドをFluoromount−G(SouthernBiotech社)に取り付け、その後観察した。
20,000個のMDAMB−231細胞を、0日目に8チャンバースライドの1つのウエルに移植した。この細胞を、70μg/mlのBN107で4時間処理し、冷PBS中4%パラホルムアルデヒドで10分間固定するか、又はメタノール:アセトン(1:1)で、−20℃で5分間固定した。この細胞を、PBS中で洗浄し、PBS中2%BSA中で1時間ブロックし、その後にPBS中2%BSA中の抗カベオリン(1/1000)又は抗CD44(1:250)を4℃で一夜適用した。このチャンバースライドを、PBSで洗浄し、適当なAlexa 488複合二次抗体と共に1時間インキュベートした。核を1μg/mlのHoechst 33258で5分間染色し、このスライドをFluoromount−G(SouthernBiotech社)に取り付け、その後観察した。
コレステロール含有量測定
全細胞コレステロール量を、細胞をRIPA緩衝液に溶解することにより測定し、クロロホルムを使用して抽出した(3回)。脂質ラフト領域のコレステロール含有量を、スクロース又はNycodenz勾配を使用して細胞分画後に収集した画分のドットブロット分析によって測定されるように、GM−1を富化させた画分を使用することによって測定した(同様の結果を得る)。GM−1発現に陽性の画分を、クロロホルム抽出に供した(3回)。このプールした有機相を、乾燥し、真空に供した。Amplex Redコレステロールアッセイキットを使用して、試料(Invitrogen社)中のコレステロール及びコレステロールエステルの量を定量した。
全細胞コレステロール量を、細胞をRIPA緩衝液に溶解することにより測定し、クロロホルムを使用して抽出した(3回)。脂質ラフト領域のコレステロール含有量を、スクロース又はNycodenz勾配を使用して細胞分画後に収集した画分のドットブロット分析によって測定されるように、GM−1を富化させた画分を使用することによって測定した(同様の結果を得る)。GM−1発現に陽性の画分を、クロロホルム抽出に供した(3回)。このプールした有機相を、乾燥し、真空に供した。Amplex Redコレステロールアッセイキットを使用して、試料(Invitrogen社)中のコレステロール及びコレステロールエステルの量を定量した。
脂質ラフトの単離
Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)製のNycodenzを使用する密度勾配遠心分離の変法を使用して、TritonX−100に可溶性の膜及びトリトンX−100に不溶性の膜、並びに細胞骨格サブドメイン及び複合体を分別した。同じ容量の細胞ペレットを、2%トリトンX−100と氷の上で1分間混合し、その後に同じ容量のPBSで希釈することによって、細胞溶解液を調製した。得られた溶解液(タンパク質3〜4mg)を、氷上で5分間インキュベートし、同じ容量のPBS中35%Nycodenz[5´−(N−2,3−ジヒドロキシプロピルアセトアミド)−2,4,6−トリヨード−N,N−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−イソフタルアミド]でさらに希釈して、17.5%のNycodenz最終濃度を得た。漸増濃度のNycodenz(35%、25%、22.5%、20%;17.5%、15%、12%、8%及び4%中の溶解液)のアリコート0.5mLを、Beckman社(Palo Alto、CA)13×51mmポリアロマー管に、連続的に加えることによって密度段階的勾配を作製した。溶解液を、17.5%Nycodenzに予め混合したNycodenz勾配の中間に置いた。管を、Beckman 55 Tiローターにおいて4℃で、46,000rpmで16時間遠心分離した。遠心分離後に、0.5mLの複数の画分を、注意深く取り出し、小さなペレットを、0.5%SDS及び1%トリトンX−100を含有するPBSに再懸濁した(画分10)。合計10個の画分及び対照インプット溶解液を、ウェスタンブロットによりタンパク質の分布について分析した。典型的には、light脂質ラフトの成分を、最初の3〜5画分に分配し(GM−1で標識されるように)、非脂質ラフト細胞膜成分を画分6に分配した(受容体を移すことによって標識されるように)、可溶性細胞成分、例えば細胞質ゾルタンパク質(画分7及び8に残る)及び細胞骨格会合高密度画分を、画分9、10に分配した。得られた画分を、PBSに透析して勾配糖類を除去し、Amicon Ultra 4遠心分離フィルターデバイス(Millipore社)を使用して濃縮し、その後にタンパク質定量した(BCA試薬、Thermo Fisher社)。画分中のGM1の発現を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合コレラ毒素Bサブユニット(Invrtrogcn社)及びドットブロット分析を使用して試験した。
Sigma−Aldrich社(St.Louis、MO)製のNycodenzを使用する密度勾配遠心分離の変法を使用して、TritonX−100に可溶性の膜及びトリトンX−100に不溶性の膜、並びに細胞骨格サブドメイン及び複合体を分別した。同じ容量の細胞ペレットを、2%トリトンX−100と氷の上で1分間混合し、その後に同じ容量のPBSで希釈することによって、細胞溶解液を調製した。得られた溶解液(タンパク質3〜4mg)を、氷上で5分間インキュベートし、同じ容量のPBS中35%Nycodenz[5´−(N−2,3−ジヒドロキシプロピルアセトアミド)−2,4,6−トリヨード−N,N−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)−イソフタルアミド]でさらに希釈して、17.5%のNycodenz最終濃度を得た。漸増濃度のNycodenz(35%、25%、22.5%、20%;17.5%、15%、12%、8%及び4%中の溶解液)のアリコート0.5mLを、Beckman社(Palo Alto、CA)13×51mmポリアロマー管に、連続的に加えることによって密度段階的勾配を作製した。溶解液を、17.5%Nycodenzに予め混合したNycodenz勾配の中間に置いた。管を、Beckman 55 Tiローターにおいて4℃で、46,000rpmで16時間遠心分離した。遠心分離後に、0.5mLの複数の画分を、注意深く取り出し、小さなペレットを、0.5%SDS及び1%トリトンX−100を含有するPBSに再懸濁した(画分10)。合計10個の画分及び対照インプット溶解液を、ウェスタンブロットによりタンパク質の分布について分析した。典型的には、light脂質ラフトの成分を、最初の3〜5画分に分配し(GM−1で標識されるように)、非脂質ラフト細胞膜成分を画分6に分配した(受容体を移すことによって標識されるように)、可溶性細胞成分、例えば細胞質ゾルタンパク質(画分7及び8に残る)及び細胞骨格会合高密度画分を、画分9、10に分配した。得られた画分を、PBSに透析して勾配糖類を除去し、Amicon Ultra 4遠心分離フィルターデバイス(Millipore社)を使用して濃縮し、その後にタンパク質定量した(BCA試薬、Thermo Fisher社)。画分中のGM1の発現を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ複合コレラ毒素Bサブユニット(Invrtrogcn社)及びドットブロット分析を使用して試験した。
ウェスタンブロッティング
細胞をタンパク質ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤の存在下でPBSに擦り取り、氷冷RIPA緩衝液を用いて溶解することによって得られた細胞抽出物を、SDS−PAGE上に、レーン当たり25〜30μg載せた。同じ量のタンパク質(25μg)を、脂質ラフト画分から沈殿させ、3〜7%TAゲル又は4〜12%ビス−トリスゲル上に載せた。分離されたタンパク質を、ニトロセルロース膜(iBlot、Invitrogen社)上に移し、製造業者の取扱説明書に従って特異抗体を用いてプローブするのに使用した。ブロットは、必要な場合には穏やかなストリッピング(Restore、ThermoFisher社)の後に数回再使用した。セイヨウワサビペルオキシダーゼ及びSuperSignal West Dura Extended Duration基質に複合させた二次抗体を使用して、Kodakイメージャーで画像を展開させた。
表3.ERがない細胞は、BN107誘導アポトーシスによりいっそう感受性であり、これに対してHer2ステータスは、BN107感受性と相関関係がないように思われる。細胞は、BN107で処理し、アネキシンV/PI結合の分析のために18時間後に収穫した。示した概要は、3回の独立した実験の結果である。
細胞をタンパク質ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤の存在下でPBSに擦り取り、氷冷RIPA緩衝液を用いて溶解することによって得られた細胞抽出物を、SDS−PAGE上に、レーン当たり25〜30μg載せた。同じ量のタンパク質(25μg)を、脂質ラフト画分から沈殿させ、3〜7%TAゲル又は4〜12%ビス−トリスゲル上に載せた。分離されたタンパク質を、ニトロセルロース膜(iBlot、Invitrogen社)上に移し、製造業者の取扱説明書に従って特異抗体を用いてプローブするのに使用した。ブロットは、必要な場合には穏やかなストリッピング(Restore、ThermoFisher社)の後に数回再使用した。セイヨウワサビペルオキシダーゼ及びSuperSignal West Dura Extended Duration基質に複合させた二次抗体を使用して、Kodakイメージャーで画像を展開させた。
実施例3:非盲検用量増加投与試験
トウサイカチの抽出物(治験薬)の安全性及び最大耐量(MTD)を評価するために、以下のプロトコールを実施する。
トウサイカチの抽出物(治験薬)の安全性及び最大耐量(MTD)を評価するために、以下のプロトコールを実施する。
治験薬は、適当な大きさのゼラチンカプセルまたは水に溶解させ、トウサイカチの抽出物を1mg(1週目)、10mg(2週目)、100mg(3週目)又は1000mg(4週目)含有する。(以下、トウサイカチの抽出物を、「治験薬」と呼び得る)。前記用量は、必要に応じて2個又はそれ以上のゼラチンカプセルに分割してもよく、および/または、場合によってはお茶として1日に1回もしくは2回、投与されてもよい。18歳〜60歳の標準的な健常ボランティアに、1週目については治験薬を1日当たり1mg投与し、2週目については治験薬を1日当たり10mg投与し、3週目については治験薬を1日当たり100mg投与し、4週目については治験薬を1日当たり1000mg投与する。被検体は、何らかの有害事象の出現について監視される。いかなる時にも、被検体が現行の用量に耐えられないように見える場合には、担当医療スタッフがこのような不耐性に注目するであろう。最大耐量は、被検体のそれぞれが前記用量に耐える最大用量とみなされるか、又は被検体が不耐容を経験しない場合には、1日当たり治験薬1000mgとみなされる。
実施例4:用量漸増試験
トウサイカチの抽出物(治験薬)の安全性及び最大耐量(MTD)を評価するために、より高い又はより厳密な投薬量範囲のトウサイカチの抽出物を、適当な患者集団、例えば確認できるER陰性乳癌、PR陰性乳癌、Her2/neu陰性乳癌及び/又は三重陰性乳癌を有する患者集団に投与する。選択された1人又はそれ以上の患者は、癌について以前の治療が失敗に終わったことを特徴とする。1つ又はそれ以上の追加用量範囲、例えば100mg〜1000gの間の用量、又は1000mg〜10gの間の用量、又は10g〜1000gの間の用量を選択して、薬剤の治療指数及びその最大治療薬量を評価する。評価し得る投薬量は、トウサイカチの乾燥重量で500mg、1000mg、10g、20g、30g、40g、50g、60g、75g及び100gを含む。
トウサイカチの抽出物(治験薬)の安全性及び最大耐量(MTD)を評価するために、より高い又はより厳密な投薬量範囲のトウサイカチの抽出物を、適当な患者集団、例えば確認できるER陰性乳癌、PR陰性乳癌、Her2/neu陰性乳癌及び/又は三重陰性乳癌を有する患者集団に投与する。選択された1人又はそれ以上の患者は、癌について以前の治療が失敗に終わったことを特徴とする。1つ又はそれ以上の追加用量範囲、例えば100mg〜1000gの間の用量、又は1000mg〜10gの間の用量、又は10g〜1000gの間の用量を選択して、薬剤の治療指数及びその最大治療薬量を評価する。評価し得る投薬量は、トウサイカチの乾燥重量で500mg、1000mg、10g、20g、30g、40g、50g、60g、75g及び100gを含む。
本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し、説明したが、このような実施形態が単なる例として提供されることは、当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の改変、変化及び置換を思い付くであろう。本発明の実施において本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替を使用し得ることが、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること及びそれによってこれらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにこれらの均等物が保護されることが意図される。
Claims (208)
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチGleditsia sinensis Lamの抽出物を投与することからなる、方法。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項1に記載の方法。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである、請求項2に記載の方法。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである、請求項2に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項1に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌がプロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項1に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項1に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項1に記載の方法。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項1に記載の方法。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項9に記載の方法。
- 治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するのに有効である医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである、請求項12に記載の医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである、請求項12に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項11に記載の医薬組成物。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項19に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有するエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項21に記載の医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである、請求項22に記載の医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである、請求項22に記載の医薬。
- 前記癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項21に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項21に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌がプロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項21に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項21に記載の医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項21に記載の医薬。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項29に記載の医薬。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を製造するためのトウサイカチの抽出物の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項31に記載の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約10gである、請求項32に記載の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約1〜100gである、請求項32に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項31に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項31に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項31に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項31に記載の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項31に記載の使用。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項39に記載の使用。
- エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に有効な治療有効量のトウサイカチの抽出物を投与することからなる、方法。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項41に記載の方法。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項41に記載の方法。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
- 治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効である医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項45に記載の医薬組成物。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項45に記載の医薬組成物。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のトウサイカチの抽出物を含有する、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項49に記載の医薬。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項49に記載の医薬。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載の医薬。
- エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬を製造するための、トウサイカチの抽出物の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物の治療有効量が、1日当たり前記抽出物の乾燥重量で約0.001〜約100gである、請求項53に記載の使用。
- 前記トウサイカチの抽出物が経口製剤である、請求項53に記載の使用。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項53に記載の使用。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を投与することからなる、方法。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項57に記載の方法。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項58に記載の方法。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約1〜100gである、請求項58に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項57に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項57に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項57に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項57に記載の方法。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項57に記載の方法。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項65に記載の方法。
- 治療有効量のオレアノール酸を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するのに有効である医薬組成物。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項68に記載の医薬組成物。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約1〜100gである、請求項68に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記癌が転移性である、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項67に記載の医薬組成物。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項75に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項77に記載の医薬。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項78に記載の医薬。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約1〜100gである、請求項78に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項77に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項77に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項77に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項77に記載の医薬。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項77に記載の医薬。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項85に記載の医薬。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を製造するための、治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する組成物の使用。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項87に記載の使用。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項88に記載の使用。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約1〜100gである、請求項88に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項87に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項87に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項87に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項87に記載の使用。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項87に記載の使用。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項95に記載の使用。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を投与することからなる、方法。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項97に記載の方法。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項97に記載の方法。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
- 治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効である医薬組成物。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項101に記載の医薬組成物。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項101に記載の医薬組成物。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項101に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のオレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体を含有する、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を治療するための医薬。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項105に記載の医薬。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項105に記載の医薬。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項105に記載の医薬。
- 治療有効量のオレアノール酸を含有し、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を発現しない癌を治療するための医薬を製造するための、オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体の使用。
- 前記オレアノール酸の治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項109に記載の使用。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項109に記載の使用。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項109に記載の使用。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量の少なくとも1種のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を投与することからなり、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、方法。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項113に記載の方法。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項113に記載の方法。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項113に記載の方法。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項113に記載の方法。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項117に記載の方法。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項113に記載の方法。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項119に記載の方法。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約1〜約100gである、請求項119に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌がエストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項113に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項113に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項113に記載の方法。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項113に記載の方法。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項113に記載の方法。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項126に記載の方法。
- 治療有効量の少なくとも1種のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を含有する医薬組成物であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである医薬組成物。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項138に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約1〜約100gである、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記癌が転移性である、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記オレアノール酸あるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項128に記載の医薬組成物。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項141に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のサポニン又はその製薬学的に許容し得る塩を含有する、エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、医薬。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約1〜約100gである、請求項143に記載の医薬。
- 前記癌が、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項143に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項143に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項143に記載の医薬。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項143に記載の医薬。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項143に記載の医薬。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項156に記載の医薬。
- エストロゲン受容体(ER)陰性乳癌を治療するための医薬を製造するための治療有効量のサポニンの使用であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものであるサポニンの使用。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有する、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項162に記載の使用。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約10gである、請求項158に記載の使用。
- 前記のサポニンの治療有効量が、1日当たり約1〜約100gである、請求項165に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が、エストロゲン受容体α(ERα)陰性である、請求項158に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が、プロゲステロン受容体(PR)及び/又はHer2/neuの1つ又は両方にも陰性である、請求項158に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が三重陰性乳癌である、請求項158に記載の使用。
- 前記ER陰性乳癌が転移性である、請求項158に記載の使用。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項158に記載の使用。
- 前記経口製剤が、エリキシル剤、散剤、1つ又はそれ以上の錠剤、あるいは1つ又はそれ以上のカプセル剤である、請求項171に記載の使用。
- エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者に治療有効量のサポニンを投与することからなり、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、方法。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項173に記載の方法。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項173に記載の方法。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項173に記載の方法。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項173に記載の方法。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項177に記載の方法。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項173に記載の方法。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項173に記載の方法。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項173に記載の方法。
- 治療有効量のサポニンを含有する医薬組成物であって、前記治療有効量がエストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するのに有効であり且つ前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)破壊するものである医薬組成物。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項186に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項182に記載の医薬組成物。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項182に記載の医薬組成物。
- 治療有効量のサポニンを含有し、エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、医薬。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項191に記載の医薬。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項191に記載の医薬。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項191に記載の医薬。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項191に記載の医薬。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項195に記載の医薬。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項191に記載の医薬。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項191に記載の医薬。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項191に記載の医薬。
- エストロゲン受容体(ER)を発現しない癌を治療するための医薬を製造するためのサポニンの使用であって、前記サポニンがmTORC1、mTORC2及び/又はAkt阻害活性を有する及び/又は生体外で脂質ラフト(LR)を破壊するものである、サポニンの使用。
- 前記サポニンが、mTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項200に記載の使用。
- 前記サポニンがAkt阻害活性を有する、請求項200に記載の使用。
- 前記サポニンが脂質ラフトを破壊する、請求項200に記載の使用。
- 前記サポニンが、生体外でmTORC1及びmTORC2活性を有する、請求項200に記載の使用。
- 前記サポニンが、mTORC1、mTORC2及びAkt阻害活性を有し且つ生体外で脂質ラフト(LR)を破壊する、請求項204に記載の使用。
- 前記サポニンの治療有効量が、1日当たり約0.001〜約100gである、請求項200に記載の使用。
- 前記サポニンあるいはその製薬学的に許容し得る塩又は誘導体が経口製剤である、請求項200に記載の使用。
- 前記ERを発現しない癌が、骨癌、脳幹神経膠腫、乳癌、副腎皮質癌、肛門部癌、膀胱癌、内分泌系癌、食道癌、頭部又は頸部癌、腎臓癌、尿管癌、副甲状腺癌、陰茎癌、小腸癌、甲状腺癌、尿道癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、卵管癌、腎盂癌、膣癌、外陰癌、慢性又は急性白血病、結腸癌、皮膚又は眼内黒色腫、神経膠腫、ホジキン病、肺癌、リンパ球性リンパ腫、中枢神経系(CNS)の新生物、卵巣癌、膵癌、下垂体腺腫、原発性CNSリンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、肉腫、皮膚癌、骨髄軸腫瘍、胃癌、子宮癌、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項200に記載の使用。
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