JP2011514358A - 改良された経粘膜組成物および剤形 - Google Patents

改良された経粘膜組成物および剤形 Download PDF

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Abstract

本発明は、活性化合物、胆汁酸塩および浸透圧調節成分を含む経粘膜医薬組成物を提供し、ここで浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、かつ、前記活性化合物の、前記粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間浸透圧レベルを維持する。本発明はまた、前出の組成物を含有する固形経粘膜剤形、ならびにそれを投与するステップを含む治療の方法を提供する。一実施形態では、活性化合物は、トリプタン化合物、たとえばスマトリプタンおよびゾルミトリプタンである。

Description

薬学的活性化合物の、経口経粘膜送達を含む経粘膜送達経路は周知である。経粘膜送達に関連した利点もまた公知であり、それは胃腸相互作用を回避し、かつ初回通過代謝を回避しながら、活性成分をレシピエントの系へより直接的に輸送することを含む。経粘膜送達経路に関する薬学分野での課題および困難は、貯蔵が安定であり、かつ活性成分をレシピエントの系に治療有効量で迅速に送達する賦形剤成分を調合することに関連していることが多い。さらに一層困難な課題は、これらの目的を達成する、固形剤形、たとえば錠剤を完成させることである。
かかる1つの経粘膜製剤技術(商標ORAVESCENT(登録商標)(CIMA LABS INC.(Eden Prairie,Minnesota)から入手可能)の下で公知であり、米国特許第6,200,604号明細書中に記載される)は、迅速に崩壊する固形経口剤形(錠剤)中で発泡性成分とpH調整物質の組み合わせを用い、特定の活性成分の粘膜組織を越える送達および輸送を促進する。
さまざまな粘膜吸収促進剤、例えばタウロコール酸ナトリウムは、特定の薬剤の吸収を促進することで知られている。経皮または粘膜吸収のいずれかを促進することで知られる物質の他の例として、テルペン、テルペノイド、精油、ピロリドン、脂肪酸およびエステル、スルホキシド、アルコール、グリコール、グリセリド、リン脂質、シクロデキストリン、キレート剤、アミノ酸誘導体、脂質合成阻害剤、酵素などがあげられる。
経粘膜剤形に関連した利点の恩恵を受けうる治療的処置の一例が、頭痛、特に片頭痛の軽減である。片頭痛は人口のかなりの割合を悩まし、症候は衰弱疼痛(debilitating pain)を含む。片頭痛に対する現行の治療は、血管収縮薬、鎮痛薬、および時として抗嘔吐薬と組み合わされた鎮痛薬の投与を含む。
トリプタン化合物は、片頭痛の治療用として一般に公知のインドール誘導体である。薬学的に有用なトリプタン塩は、安息香酸リザトリプタン、塩酸ナラトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、臭化水素酸エレトリプタンおよびリンゴ酸アルモトリプタンなどを含む。スマトリプタン、または3−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−1H−インドール−5−メタンスルホンアミド、およびそのコハク酸塩は、片頭痛の治療において特に有用であることが知られている。スマトリプタンおよびその誘導体は、たとえば、米国特許第4,816,470号明細書および米国特許第5,037,845号明細書(参照により本明細書中に援用する)に記載されている。コハク酸スマトリプタンの非晶質形態、およびその調製物は、米国特許第7,034,162号明細書に記載されている。コハク酸スマトリプタンは、次の化学構造を有する。
Figure 2011514358
特定の胆汁酸塩、例えばタウロコール酸塩は、粘膜組織を通じた特定の化合物の吸収を促進することが知られている。しかし、特定の化合物と胆汁酸塩の調合に伴う1つの困難は、それらが特定のアルカロイド化合物と塩複合体を形成し、結晶化または沈殿する傾向にあることであった。これは、胆汁酸塩を使用する剤形中での可溶化活性成分の量の減少をもたらす。特定の薬剤のイオン形態は、結晶化する傾向を有し、それは次いで、薬剤の、粘膜組織を越え、循環系に輸送する能力を阻害する。それらの相互の化学親和性および有意な塩複合体形成が原因で、それらの間での塩複合体を回避するスマトリプタンおよび胆汁酸塩を含有する調合物は、達成が困難であった。
特定の化合物および胆汁酸塩、例えばタウロコール酸塩の場合のもうひとつの課題は、それらの局所粘膜炎症を引き起こす傾向である。したがって、たとえばタウロコール酸塩の吸収特性を利用すると同時に、投与時の快適さおよび炎症の低減を得ることは困難でありうる。
活性成分の、それに伴う治療効果をもたらすのに有効な量での送達を促進する組成物を調合することは、薬学分野における重要な関心領域である。経粘膜薬剤送達技術に対する改善および強化についてはまた、常に検討され続けている。
薬学分野においては、有効量の活性化合物の、レシピエントの粘膜組織を越える、比較的短期間での輸送および送達を改善または促進し、レシピエントに活性化合物の治療効果の迅速な発現をもたらす剤形に対する需要が存在する。
本開示は、経粘膜薬剤送達のための組成物および、活性成分または化合物をレシピエントに治療有効量で有効かつ迅速に送達することが可能な固形経口剤形を提供する。固形経粘膜剤形は、その成分に基づいて、浸透圧および張性現象と粘膜吸収に対するそれらの関係を用いることにより、活性成分のレシピエントへの吸収および輸送を強化し、促進しうるように調製可能であることが見出されている。より詳細には、特定の活性成分または化合物の経粘膜吸収が、胆汁酸塩および浸透圧調節成分を組み合わせて調合される場合、有意に促進または強化されうることが見出されている。したがって、固形経粘膜剤形を調合し、賦形剤組成物中に、胆汁酸塩、たとえばタウロコール酸ナトリウムと、浸透圧調節成分、たとえば塩化ナトリウムとを含めることにより、活性化合物の改善または強化された経粘膜吸収を得ることが可能であることが見出されている。
本開示は、a)活性化合物;b)胆汁酸塩;およびc)浸透圧調節成分を含む経粘膜医薬組成物を提供し、ここで浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える、高張性で促進される(hypertonicity−facilitated)経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。一実施形態では、活性化合物は、コハク酸スマトリプタンおよび遊離塩基のゾルマトリプタンを含む、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択されるトリプタン化合物を含む。
もうひとつの態様では、本開示は、a)活性化合物;b)胆汁酸塩;およびc)浸透圧調節成分を含む固形経粘膜剤形を提供し、ここで浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える、高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。一実施形態では、剤形は、経口経粘膜口腔または舌下錠剤、好ましくは舌下錠剤であってもよい。
さらにもうひとつの態様では、本開示は、レシピエントにおける片頭痛を治療する方法であって、かかる治療を必要とするレシピエントに、a)活性化合物としてのトリプタン化合物;b)胆汁酸塩;およびc)浸透圧調節成分を含む経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法を提供し、ここで浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える、高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。特に、本方法は、前記レシピエントに剤形を提供するステップと、剤形をレシピエントの口腔内に配置するステップと、活性化合物の、レシピエントの粘膜を越える治療有効量での経粘膜送達を可能にするだけの十分な期間、剤形が原位置で滞留して原位置で崩壊することを可能にするステップとを含むことができる。一実施形態では、トリプタン化合物は、コハク酸スマトリプタンおよび遊離塩基のゾルマトリプタンを含む、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択してもよい。
もうひとつの態様では、本開示は、哺乳動物における活性化合物の経口経粘膜吸収を強化する方法であって、a)活性化合物と胆汁酸塩との組み合わせを含む組成物を調製するステップと、b)ステップa)の成分を浸透圧調節物質と結合させるステップとを含む、方法を提供し、ここでステップa)およびステップb)の成分の組み合わせは、前記成分が哺乳動物の口腔粘膜組織に隣接して原位置に配置される場合、任意の順序で、高張条件に合致する浸透圧レベルをもたらし、かつ、粘膜を越える前記活性化合物の輸送を促進する。
また、
a)活性化合物;
b)組成物の約5重量%〜約30重量%の量での胆汁酸塩;および
c)経粘膜医薬組成物の浸透圧が1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの浸透圧をもたらす量で存在する浸透圧調節成分
を含む経粘膜医薬組成物が提供される。
いくつかの実施形態では、活性化合物は、組成物の約5重量%〜約25重量%または組成物の約10〜20重量%または組成物の約15重量%〜約25重量%の量で存在する。
いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、組成物の約5重量%〜約30重量%または組成物の約10重量%〜約20重量%の量で存在する。
浸透圧調節成分は、いくつかの実施形態では、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの浸透圧をもたらす量で存在しうる。
いくつかの実施形態では、活性化合物は、トリプタン化合物またはトリプタン化合物の塩である。トリプタン化合物またはトリプタン化合物の塩は、安息香酸リザトリプタン、塩酸ナラトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、臭化水素酸エレトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸スマトリプタン、およびゾルミトリプタンから選択されうる。
いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、コール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、およびこれらの組み合わせから選択されうる。いくつかの実施形態では、胆汁酸塩は、ナトリウム塩、たとえばタウロコール酸ナトリウムである。
浸透圧調節成分は、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、スクロース、トレハロース、およびリン酸緩衝生理食塩水、またはこれらの混合物から選択されうる。いくつかの実施形態では、浸透圧調節成分は塩化ナトリウムである。
経粘膜医薬組成物は、固形剤形であってもよい。
また、被検体における片頭痛に関連した1つ以上の症候を治療または緩和する方法であって、被検体に、
a)活性化合物;
b)組成物の約5重量%〜約30重量%の量での胆汁酸塩;および
c)経粘膜医薬組成物の浸透圧が1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの浸透圧をもたらす量で存在する浸透圧調節成分
を含む経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法が提供される。
また、
a)トリプタン化合物またはその塩;
b)組成物の約10重量%〜約20重量%の量でのタウロコール酸ナトリウム;および
c)1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの組成物の浸透圧をもたらす量での塩化ナトリウム
を含む経粘膜医薬組成物が提供される。
被検体における片頭痛に関連した1つ以上の症候を治療または緩和する方法であって、被検体に、
a)トリプタン化合物またはその塩;
b)組成物の約10重量%〜約20重量%の量でのタウロコール酸ナトリウム;および
c)1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの組成物の浸透圧をもたらす量での塩化ナトリウム
を含む経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法が提供される。
本開示に関連したこれらや他の態様および利点は、次の開示から明白になるであろう。
本発明は、次の図面によってさらに例示され、それらの中で、必ずしも本発明を限定するものとして解釈されるように意図されるものは全くない。
コハク酸スマトリプタンを含有するさまざまな調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 コハク酸スマトリプタンを含有するさまざまな調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 コハク酸スマトリプタンを含有するさまざまな粉体混合調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフであり、ここで調合物は浸透圧が変化する。 コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの塩基成分ならびにさまざまな二次成分を含有するさまざまな調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 コハク酸スマトリプタンを含有し、かつタウロコール酸ナトリウムおよび浸透圧調節成分量が変化する圧縮粉末錠剤のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 コハク酸スマトリプタンを含有し、かつタウロコール酸ナトリウムおよび浸透圧調節成分量が変化する圧縮粉末錠剤のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 発泡性調合物中にゾルミトリプタンを含有する調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 さまざまな量のゾルミトリプタンを含有する調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。 ゾルミトリプタンおよび異なる浸透圧調節成分を含有する調合物のイヌインビボ薬物動態学的比較データのグラフである。
本明細書で使用される語句「経口経粘膜」は、薬剤送達および吸収の範囲内での、口腔に関連した1つ以上の粘膜組織タイプ、たとえば、舌下、口腔、歯肉、口蓋、食道領域の口腔粘膜組織を介する薬剤の取り込みのプレペリスタルティック(pre−peristaltic)段階を示すように意図される。より詳細には、同語句は、活性成分の主要な送達経路が口腔の粘膜組織を通じて生じることが意図される。
本明細書で使用される用語「約」は、他を特に除外しない限り、特定値の±10%からの値およびその機能的等価物の範囲を示す。たとえば、語句「約50mg」は、50の±10%、すなわち45mg〜55mgを含む。
本明細書で使用される用語「治療有効量」は、所与の投与経路において、確立された薬物動態学的方法および技術によって測定される場合、意図された、所与の活性成分に関連した生理的効果をもたらすために必要であると判定される量を示すように意図される。
本明細書で使用される語句「経口剤形」は、一般的意味で使用される場合、経口崩壊性/溶解性錠剤、カプセル、カプレット、ゲル、クリーム、フィルム、スプレーなどを含む。本発明の特定の範囲内で、本発明の経口剤形は、本発明によって定義される、活性成分の経口経粘膜吸収を促進し、強化する賦形剤調合物を伴う活性化合物を含む固形経口剤形としての本発明の医薬組成物を示す。
本明細書で使用される用語「実質的に」は、他に規定されない限り、当業者が得られるべき利益または所望される条件もしくは特性が満たされることを理解するような尺度で、規定された基準を満たす特定の特性、特徴または変数を示すように意図される。
本発明の組成物は、本明細書で、「前記活性化合物の前記レシピエントの口腔粘膜組織を越える経粘膜送達のため、レシピエントの口腔内部での滞留配置(resident placement)を意図して調合される」という一般的文脈の中で開示される。本明細書で使用されるこの語句および類似語句は、成分の集合的組み合わせ(collective combination)に基づいて、それらの個別の機能性および組み合わされた機能性、ならびに剤形の調製に用いられる技術は、活性成分のレシピエントの粘膜組織を越える送達を、かかる輸送を可能にするだけの十分な期間、粘膜組織に隣接して配置される場合に可能にする剤形を提供することを示すように意図される。
経口経粘膜送達を含む経粘膜送達は、従来の胃腸送達に関連した一般的不利を回避する。かかる不利は、胃腸管における活性低下、ならびに肝臓における通過および初回通過代謝を含む。
用語「浸透圧(osmolality)」および「浸透圧(osmolarity)」は、特定の溶液自体の特性を示す。浸透圧は、溶液中に存在する粒子の数の尺度であり、粒子サイズまたは粒子重量と独立し、粒子濃度のみに依存する溶液の特性、すなわち「束一的特性」の使用によってのみ測定されうる。束一的特性は、蒸気圧降下、凍結点降下、沸点上昇、および浸透圧を含む。
オスモル(Osm)は、溶液の浸透圧に寄与する化合物のモル数の尺度の単位である。浸透圧は溶液1リットルあたりの溶質のオスモルの尺度である一方、浸透圧は溶媒1キログラムあたりの溶質のオスモルの尺度である。浸透圧は、Osm/kgの単位で測定される場合、次の方程式を用いて測定されうる。
Osm=ΦnC
(式中、
Φは、浸透係数であり、溶液の非理想性の程度または溶質の解離度に相当する。
nは、分子が解離する粒子の数である。
Cは、溶液のモル濃度である。)
他方、用語「張性」は、特定の膜に関する溶液の特性を示す。張性はまた、「有効な」浸透圧または有効な浸透圧の尺度として定義されうる。張性は、所与の膜を越えて浸透力を発揮する能力を有する溶質の濃度の合計に等しい。用語「高張性」、「低張性」および「等張性」は、溶液の張性を細胞内環境内部の張性と比較することにより、細胞膜に関連して定義される。張性は浸透圧より小さく、すなわちそれは無効な溶質の濃度より小さい浸透圧に等しい。
本発明の範囲内で、組成物の浸透圧調節成分は、組成物中で胆汁酸塩と結合される場合、局在化された高浸透圧環境をもたらし、前記活性化合物の、粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間、浸透圧レベルを維持する。換言すれば、組成物特性に関連する浸透圧に対する変化が、粘膜組織に関連する張性に対する変化をもたらし、それは、浸透圧変化が胆汁酸塩と組み合される場合、活性成分の粘膜を越える輸送を有意に促進する。組成物を調合し、この現象を薬剤送達に活用することが可能であることが見出だされている。
一般に、本発明は、a)活性化合物、b)胆汁酸塩、およびc)浸透圧調節成分を含む経粘膜医薬組成物を含む。浸透圧調節成分は、組成物中で胆汁酸塩と組み合わされると、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。
本発明の組成物は、活性化合物を含む。2種以上の活性化合物または成分を使用してもよい。一実施形態では、本発明の組成物は、インドール化合物およびその誘導体を含んでもよい。インドール化合物は、トリプタン化合物およびその塩を含む。本発明と併用可能な塩形態での好適なトリプタン化合物は、安息香酸リザトリプタン、塩酸ナラトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、臭化水素酸エレトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、およびコハク酸スマトリプタン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。一部のトリプタンは、同様に遊離塩基形態、例えばゾルミトリプタンで送達してもよい。一実施形態では、トリプタン化合物は、スマトリプタンおよびゾルミトリプタン、例えばコハク酸スマトリプタンおよび遊離塩基のゾルマトリプタンからなる群から選択してもよい。
本発明と併用可能な活性化合物の量は、所望される有効用量および組成物中の残りの成分、たとえば剤形組成物成分に応じて変化しうる。活性成分としてのコハク酸スマトリプタンにおいては、量は、一般に、全組成物の約5重量%〜約25重量%の範囲であってもよい。
本発明の組成物は、他の活性化合物を粘膜を越えて送達するように機能し得ると考えられる。そのようにして、本発明の組成物を使用し、他の活性化合物を送達することは可能でありうる。本発明を用いて送達することが可能な活性化合物は、粘膜を介する吸収が可能な医薬成分を含む。薬学的活性成分は、限定はされないが、鎮痛薬、抗炎症薬、解熱薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗利尿薬、抗膨満薬、抗片頭痛薬、抗痙撃薬、睡眠薬、抗亢進薬(antihyperactives)、抗高血圧薬、抗不安薬、鼻づまり薬、β遮断薬、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチドおよび生体由来の他の物質、ならびにこれらの組み合わせを含む。他の活性成分は、Mantelle、米国特許第5,234,957号明細書(その本文は参照によって本明細書に援用する)においてあげられている。
本発明の組成物は、組成物内部に少なくとも1種の胆汁酸塩を含む。組成物のこの部分はまた、以後、組成物の「胆汁酸塩成分」と称される。本明細書で使用される胆汁酸塩は、その対応する胆汁酸のカチオン塩形態を示し、たとえば胆汁酸のタウロコール酸は、胆汁酸塩としてのタウロコール酸(ナトリウム)である。本発明で使用することが可能な胆汁酸塩は、限定はされないが、タウロコール酸ナトリウム(TC)、グリココール酸ナトリウム(GC)、グリコデオキシコール酸ナトリウム(GDC)、タウロデオキシコール酸ナトリウム(TDC)、コール酸ナトリウム(C)、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム(TCDC)、およびタウロウルソデオキシコール酸ナトリウム(TUDC)、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される胆汁酸塩を含む。好ましくは、使用される胆汁酸塩は、タウロコール酸のナトリウム塩、すなわちタウロコール酸ナトリウムである。本発明を例示する目的で、ナトリウムはカチオンと称されるが、他のカチオンを使用し、胆汁酸塩を形成することは可能でありうる。
使用可能な胆汁酸塩の量は、選択される特定の胆汁酸塩に応じて変化することになる。一般に、胆汁酸塩の量は、比較的低く、本発明の利点を得るような最小有効濃度から最大許容毒性に対応する量の範囲内に含まれることになる。最小および最大胆汁酸塩量パラメータは、さまざまな胆汁酸塩の中で異なることになる。タウロコール酸ナトリウムにおいては、本発明において使用可能な量は、100mgの目標重量を有する圧縮錠調合物に組み込まれる場合、たとえば、全組成物の約5%重量対重量〜約30%重量対重量、好ましくは約10%〜約20%重量対重量、すなわち100mg錠の約10mg〜約20mgの範囲であってもよい。
本発明の組成物は、浸透圧調節成分をさらに含む。浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。浸透圧調節成分は、組成物内部で使用される場合、その重量に対して十分に高い浸透圧レベルを生成することが可能であると仮定すると、イオン性または非イオン性でありうる。しかし、多価イオン性浸透圧成分は、重量を基準としてより高い浸透圧生成を伴うことから好ましい。
種々の医薬的に許容できる化合物は、浸透圧調節成分として機能しうる。使用可能な好適な浸透圧調節成分は、限定はされないが、塩、糖類、緩衝液、電解質、等張化剤、浸透圧剤、キレート剤、造孔剤、pH変性剤、崩壊剤および抗酸化剤を含む。浸透圧調節成分として機能する塩の例として、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムがあげられる。浸透圧調節成分として使用可能な糖類の例として、デキストロース、マンニトール、スクロースおよびトレハロースがあげられる。乾燥状態の圧縮粉末剤形においては、塩化ナトリウムは浸透圧調節成分として好ましい。液体剤形においては、リン酸緩衝生理食塩水は、浸透圧調節成分として使用することが可能である。
使用可能な浸透圧調節成分の量は、残りの成分の機能に実質的に悪影響を与えることなくその機能性(経粘膜送達促進)が得られるという条件で、使用される特定の浸透圧調節成分に応じて変化しうる。一般に、使用可能な浸透圧調節成分の量は、1.5gの水で測定される場合、得られる調合物の浸透圧を、約400mOs/kg〜約2000mOs/kg、好ましくは約800mOs/kg〜最大約1000mOs/kgの範囲まで調節する量である。浸透圧の増加が活性成分の吸収を増大させるという一般的傾向が認められているが、浸透圧の増加は、粘膜組織の炎症に関連して均衡を保たれなければならない。したがって、浸透圧調節剤としての塩化ナトリウムに関しては、約1000mOs/kgより高い浸透圧レベルが粘膜組織の炎症の増大によって得られることも認められている。最適なスマトリプタンの吸収が、1.5gの水で測定される場合、約1000mOs/kgの浸透圧条件をもたらす調合物中で生じた。
追加的な吸収を促進する作用剤または物質を本発明の医薬組成物と併用することは可能でありうる。吸収を促進する物質の例として、限定はされないが、テルペン、テルペノイド、精油、ピロリドン、脂肪酸およびエステル、スルホキシド、アルコール、グリコール、グリセリド、リン脂質、シクロデキストリン、キレート剤、アミノ酸誘導体、脂質合成阻害剤、酵素などがあげられる。
本発明によると、医薬組成物の吸収促進特性は、口腔、舌下、歯肉、口蓋、または食道粘膜組織の場合に有効である必要がある。本発明の医薬組成物の好ましい投与部位は、口腔または舌下粘膜を越える送達のため、経口経粘膜剤形の形態であってもよい。本発明の場合に使用可能な好適な剤形は、限定はされないが、口腔錠、舌下錠または歯肉錠(gingival tablet)を含む。好ましい実施形態では、剤形は、レシピエントの粘膜組織に隣接する口腔内部での滞留配置のために調合される経口経粘膜舌下錠剤である。かかる位置で、剤形は、活性化合物の、レシピエントの粘膜を越える治療有効量での経粘膜送達を可能にするだけの十分な期間、原位置に滞留し、原位置で崩壊する。
好ましい実施形態では、本発明に従って調製される剤形は、モノリシックな単相組成物からなる圧縮固形経口経粘膜剤形である。剤形は、さらに好ましくは、脆弱性が比較的低い特性を有し、かつ、粘膜組織内部に隣接してかつ唾液と接触する状態でレシピエントの口腔内に配置されて滞留するとき、原位置で崩壊するように調合された、頑丈で、より高密度で、包装が安定しており、非多孔質の剤形である。本発明に従って調製される剤形のもうひとつの重要な態様は、剤形は、活性成分の経粘膜送達のために調合されることから、ODTすなわち経口崩壊錠(oral disintegrating tablet)(すなわち1分以内に崩壊する)であるべきではない点である。本発明を用いて経粘膜送達を最適化し、活性成分の所望の全身吸収を得るため、剤形における好ましい口腔粘膜滞留時間は、少なくとも1分であり、好ましくは約5分〜約10分の範囲である。一般に、口腔粘膜滞留時間は、製剤に対する患者の快感、許容性およびコンプライアンスなどの実際的な考慮事項のため、制限されうる。
剤形としての剤形経粘膜経口崩壊錠、たとえば口腔または舌下経口経粘膜圧縮錠の場合、本発明に従って調製される剤形は、追加的成分を、本発明の医薬組成物と組み合わせて含んでもよい。
本発明に従って調製される剤形の利点を十分に認識するため、本発明の重要な態様は、粘膜組織に隣接する剤形は、a)局在化された高浸透圧環境をもたらし、かつb)浸透圧条件を、剤形中での胆汁酸塩の存在下で、活性化合物の、粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすレベルで維持するだけの十分な期間、原位置で滞留しなければならない点である。この期間は、本発明の組成物に伴う特定の調合物、成分および量に従って変化しうる。本発明に従って調製される圧縮錠剤形における好ましい崩壊時間は、粘膜組織に隣接してレシピエントの口腔内部へ配置した場合、たとえば舌下配置した場合、約5分〜10分の範囲であってもよい。
種々の二次成分を本発明の組成物に添加することで、所与の活性成分にとって適した関連の賦形剤調合物(excipient formulation)を、かかる成分が個別的または集合的に本発明に必須の浸透圧条件および機構と有意に干渉しないという条件で、調製することが可能である。好適な二次成分は、限定はされないが、充填剤、結合剤、香味剤、着色剤、潤滑剤、崩壊剤などを含む。
特定の二次成分の選択は、調製対象の得られた剤形の所望される特性に依存することになる。それに対し、イオン性高分子の賦形剤成分および生体接着性ポリマー、特にクロスカルメロースナトリウム(NaCMC)を、本発明に従って調製される組成物から除外し、胆汁酸塩成分、たとえばタウロコール酸ナトリウムに対するシークエステラント(sequesterant)効果を低減または回避し、それにより活性成分の吸収に対する胆汁酸塩の有効な役割を低下させることは好ましい。公知の胆汁酸塩シークエステラントは、本発明の組成物内部の成分として回避されるべきである。
圧縮錠剤形を調製するために使用可能な有望な賦形剤は、緩衝液としてのリン酸カリウム(一塩基性)、崩壊剤としての重炭酸ナトリウム、および/または結合剤としてのマルトデキストリン、充填剤としての微結晶性セルロース、潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウム、および甘味料としてのスクラロースを含む。
一実施形態によると、本発明の組成物は、医薬処方および製造分野、たとえば圧縮粉末錠剤を作製するためのプロセスおよび装置において公知の容易に利用可能な方法によって調製することが可能である。一般に、成分の混合物は、最初に所与の調合物に従って調製してもよい。次いで、混合物は、好適なタンブルミキサー(たとえばTURBULA(登録商標)ミキサーまたはPatterson−Kelly V−ブレンダー)で好適な期間混合することが可能である。潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを混合物に加え、さらなる時間をかけて混合することが可能である。次いで、混合物は、一旦十分に混合すると、ロータリー錠剤プレスに移し、予め選択されたサイズおよび重量の錠剤に圧縮することが可能である。次いで、調製された錠剤は、品質制御についてアッセイし、種々の技術、例えばバルクパッケージングまたはブリスターパッケージングを用いて包装することが可能である。
治療の方法
本発明は、疾患または障害を治療する方法であって、レシピエントに本発明の医薬組成物を含有する剤形を投与するステップを含む、方法を含む。一実施形態では、疾患または障害として片頭痛の場合、本発明は、レシピエントにおける片頭痛を治療する方法であって、かかる治療を必要とするレシピエントに、本発明の経口経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法を提供する。この特定の方法によると、組成物は、a)活性化合物としてのトリプタン化合物、b)胆汁酸塩、およびc)浸透圧調節成分を含み、ここで浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、浸透圧レベルを、活性化合物の、粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間維持する。用語「レシピエント」は、ヒトを含む哺乳類を示すように意図される。好適なトリプタン化合物およびその塩は、安息香酸リザトリプタン、塩酸ナラトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、臭化水素酸エレトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、およびコハク酸スマトリプタン、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。特定のトリプタンは、その遊離塩基形態、例えばゾルミトリプタンで使用してもよい。好ましい方法は、活性成分として、スマトリプタンまたはゾルミトリプタン、例えばコハク酸スマトリプタンおよび遊離塩基のゾルマトリプタンを含む。
圧縮錠が本発明による剤形として調製される場合、錠剤は、その使用が意図される所望される位置に従い、レシピエントの口腔内部の粘膜組織に隣接して原位置に配置してもよい。したがって、錠剤は、舌下投与においてはレシピエントの舌下に、または口腔に投与される錠剤の場合には頬と歯茎の間に配置してもよい。レシピエント自身が生成した唾液は、錠剤の崩壊プロセスを開始させ、次いで活性成分の粘膜を越える化学環境および輸送を開始させる。最適な剤形滞留時間は、特定の剤形において選択される剤形のサイズ、崩壊時間、および成分に従って変化しうる。
次の実施例は、本発明をさらに例示し、必ずしも本発明を限定するように解釈されることは意図されない。他に特定されない限り、麻酔下イヌモデル実験を、IACUCの認可の下で行い、プロトコルに従って行った。
実施例1
インビボでの血清濃度比較試験(麻酔下イヌモデル)
麻酔下イヌモデルを使用し、本発明以外の異なる成分を使用して調製した調合物ならびにさまざまな成分量を伴う本発明に従って調製した調合物を評価し、比較した。麻酔下イヌモデルを使用し、試料を、表面積が限定された試験ウェル内に置き、イヌ被検体の口腔粘膜に接着させた。
試験調合物は、物理的形態(粉体混合物および錠剤)がさまざまであり、浸透圧を調節したが(NaCl含量によって350mOs/kg〜1000mOs/kg)、10mgのスマトリプタン用量および18mgもしくは20mgの胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)では共通であった。次の比較調合物を次のように調製した。
調合物1 1.5gの水で測定する場合、塩化ナトリウムで1000mOs/kgまで調節した粉体混合物の調製
約14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウムおよび45.5mgの塩化ナトリウムを測定し、小試験管内に沈殿させた。試験管をキャップし、試験管を手作業で数回反転させることによって成分を混合した。調合物の浸透圧を、蒸気圧浸透圧計を使用し、1.5gの水で測定する場合、約1000mOs/kgで測定した。調合物1を次にまとめる。
Figure 2011514358
調合物2 1.5gの水で測定する場合、塩化ナトリウムで350mOs/kgまで調整した粉体混合物の調製
約14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウムおよび45.5mgの塩化ナトリウムを測定し、小試験管内に沈殿させた。試験管をキャップし、試験管を手作業で数回反転させることによって成分を混合した。調合物の浸透圧を、1.5gの水で測定する場合、約350mOs/kg(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)モデル5520を使用)で測定した。
Figure 2011514358
調合物3 タウロコール酸ナトリウムを含有する圧縮舌下生体接着錠剤の調製
1kgの粉体混合組成物を、重量/重量基準で、17%酸化ポリエチレン(Dow Chemical Co.(Midland,Michigan)から入手可能なPOLYOX(登録商標)WSR N−80)、8.5%ナトリウムカルボキシメチルセルロース、15%マルトデキストリン(Grain Processing Corp.(Muscatine,Iowa)から入手可能なMALTRIN(登録商標)M150)、15%マンニトール、10%リン酸一カリウム、1%ステアリン酸マグネシウム、0.60%ネオターム(Neotame)(NutraSweet Co.(Chicago,Illinois)から入手可能)、0.75%スクラロース、18.2%タウロコール酸ナトリウム、および14%コハク酸スマトリプタンといった成分を調剤することによって調製した。マルトデキストリン、マンニトール、リン酸一カリウム、ネオターム、スクラロース、タウロコール酸ナトリウムおよびコハク酸スマトリプタンを、好適な容器に移し、低剪断タンブルミキサー(Glenn Mills,Inc.(Clifton,New Jersey)製TURBULA(登録商標)T10−B)を使用し、15rpmの速度で15分間混合した。次いで、酸化ポリエチレンおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースを、容器に移し、15rpmでさらに50分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を15rpmでさらに10分間混合した。
次いで、粉体混合物をロータリー錠剤プレス(SMI Inc.(Lebanon,New Jersey)製のPICCOLA(登録商標)Type−D)に移し、目標重量が100mgである平板状の面取り成型された5/16インチ錠剤に圧縮した。調合物は、1.5gの水中、4.5〜5.5kNの圧縮力で測定するとき、約230mOs/kgの浸透圧値を得た(WESCOR,Inc.(Logan,Utah)製のWESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
調合物3は、次の成分および量を有した。
Figure 2011514358
調合物4 タウロコール酸ナトリウムを含有しない圧縮舌下生体接着錠剤の調製
1kgの粉体混合組成物を、重量/重量基準で、22.4%酸化ポリエチレン(POLYOX(登録商標)WSR N−80)、11.2%ナトリウムカルボキシメチルセルロース、20%マルトデキストリン(MALTRIN(登録商標)M150)、20%マンニトール、10%リン酸一カリウム、1%ステアリン酸マグネシウム、0.60%ネオターム、0.75%スクラロース、および14%コハク酸スマトリプタンに対して成分を調剤することによって調製した。マルトデキストリン、マンニトール、リン酸一カリウム、ネオターム、スクラロースおよびコハク酸スマトリプタンを、好適な容器に移し、低剪断タンブルミキサー(TUBULA(登録商標)T10−B)を使用し、15rpmの速度で15分間混合した。次いで、酸化ポリエチレンおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースを、容器に移し、15rpmでさらに50分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を15rpmでさらに10分間混合した。
次いで、粉体混合物をロータリー錠剤プレス(PICCOLA(登録商標)Type−D)に移し、7.0〜7.6kNの圧縮力で、目標重量が100mgである平板状の面取り成型された5/16インチ錠剤に圧縮した。調合物は、1.5gの水で測定する場合、約230mOs/kgの浸透圧値を得た(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
調合物4は、次の成分および量を有した。
Figure 2011514358
調合物5 1.5gの水を使用した測定によると、約1000mOs/kgに調整されたタウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する圧縮錠
100gの粉体混合物を、%重量/重量基準で、25.7%塩化ナトリウム、5.0%重炭酸ナトリウム、35%リン酸一カリウム、0.6%スクラロース、1.5%ステアリン酸マグネシウム、18.2%タウロコール酸ナトリウム、および14%コハク酸スマトリプタンに対して調剤することによって調製した。塩化ナトリウム、スクラロース、重炭酸ナトリウム、コハク酸スマトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムを、好適な容器に移し、容器を反転させることによって手作業で混合した。リン酸一カリウムを容器に加え、15rpmでさらに50分間混合した。ステアリン酸マグネシウムを容器に加え、15rpmでさらに10分間混合した。次いで、得られた粉体混合物をロータリー錠剤プレス(PICCOLA(登録商標)Type−D)に移し、0.5〜2.0kNの圧縮力で、目標重量が100mgである平板状の面取り成型された1/4インチ錠剤に圧縮した(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
調合物5は、次の成分および量を有した。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
調合物1〜5を、麻酔下インビボイヌモデル(8kg〜12kgの重量の雄および雌のビーグル犬)を使用して評価し、実験をプロトコルおよびIACUCの認可の下で行った。
調合物1および2においては、実験の目的は、経口経粘膜吸収に対するコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する粉末組成物に対する浸透圧の効果を評価することであった。調合物1および2として調製した粉末試料を、義歯接着剤によって口腔粘膜に位置づけ、接着した直径1インチのテフロン(登録商標)製リザーバを使用し、イヌに導入した。リザーバ内の領域を、約1.5mlの脱イオン水で約10分間水和する。水和流体を、リザーバから吸引し、廃棄する。試料調合物を、リザーバ内に沈殿させ、1.5mlの脱イオン水で水和する。試料を、部位上で60分間の暴露時間維持し、試料を、試験部位から吸引し、分析のために保持する。リザーバを1.5mlの脱イオン水で2回すすぎ、リザーバを除去し、粘膜部位を清浄する。
血液試料(3mL)を、橈側皮静脈において留置カテーテルを介し、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の間隔で採取し、質量分析(Becton−Dickinson(Franklin Lakes,New Jersey))を用い、投与後のVACUTAINER(登録商標)血清セパレータ(serum separator)を使用して分析した。
調合物3および4においては、実験の目的は、固形生体接着錠剤として調製した、コハク酸スマトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムの組成物内部に生体接着剤を含有する調合物と、経粘膜吸収に対する効果を評価することであった。調合物1および2において用いた場合と同様の手順を用い、錠剤を、リザーバ内、次いで1.5mlの脱イオン水中に置く。試料を約60分間維持し、次いで試料をリザーバから吸引する。3mLの血液試料を、0、5、10、20、25、30、40、55、75、90、120および180分経過時に採取し、血清セパレータを使用して処理し、質量分析を用いて分析した。
調合物5を使用する試験は、経粘膜吸収に対するコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する固形錠剤組成物を評価することであった。上記と同様のリザーバ手順およびイヌモデルを用い、3mlの試料を、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の間隔で採取し、分析した。
次の表は、試験調合物1〜5の一次成分および対応する調節された浸透圧値をまとめたものである。
Figure 2011514358
調合物1〜5からの血清データを図1に示す。図1は、調合物1〜5の粉末および錠剤組成物を使用した、スマトリプタン調合物におけるPK血清濃度比較データを示す。
データからわかるように、血清スマトリプタンレベルによって示されるように、350mOs/kg〜1000mOs/kgの浸透圧の調節により、スマトリプタンの吸収における2倍の増大がもたらされた。データは、スマトリプタンのより迅速かつ多量のスマトリプタン経粘膜吸収が、胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)および浸透圧調節剤(塩化ナトリウム)を含有する調合物を送達部位での高浸透圧条件をもたらす濃度で使用して、得られうることを示す。さらに、より多量のスマトリプタンの吸収は、より高い浸透圧値と、それに対応するさらなる高浸透圧条件をもたらす調合物を使用して得られる。
結果はまた、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する粉末と圧縮粉末錠剤の剤形との双方が、1.5mlの水で測定する場合、約1000mOs/kgの浸透圧値を生成することができ、かついずれもスマトリプタンの吸収に対して同様の効果をもたらしたことを示す。調合物4の投与からは、血清スマトリプタンは全く検出されなかった。
実施例2
インビボ血清濃度比較試験(麻酔下イヌモデル)
スマトリプタンの吸収をほとんどもたらさない成分および条件を決定することを目的として、異なる調合物を、調製し、麻酔下イヌモデルに投与した。活性経粘膜吸収に好ましい影響および有害な影響を与える成分を同定するため、さまざまな調合物を試験した。
調合物1、2、3、および4を、実施例1に示されるように調製した。調合物6、7、8および9を、次のように調製した。
調合物6 1.5gの水で測定する場合に1000mOs/kgに調節した、コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム、ならびにコレスチラミンを含有する粉体混合物の調製
調合物6の試料を、14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウムおよび45.5mgの塩化ナトリウム、ならびに30mgのコレスチラミンを小試験管内で測定することによって調製した。試験管をキャップし、試験管を数回繰り返す条件下で手作業で反転させることによって成分を混合した。粉体混合物における浸透圧を、1.5gの水で測定する場合、1000mOs/kg(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)で確認した。
Figure 2011514358
調合物7 タウロコール酸ナトリウムおよび微結晶性セルロースを含有する粉体混合物の調製
調合物7を、14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース(AVICEL(登録商標)PH102)を小試験管内で測定することによって調製した。試験管をキャップし、手作業で反転を数回繰り返すことによって成分を混合した。粉体混合物における浸透圧を、1.5gの水で測定する場合、100mOs/kg(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)で測定した。
Figure 2011514358
調合物8 粉体コハク酸スマトリプタンの調製
調合物8の試料を、14mgのコハク酸スマトリプタンを小試験管内で測定することによって調製した。浸透圧を、1.5gの水で測定する場合、30mOs/kg(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)で測定した。
Figure 2011514358
調合物9 微結晶性セルロースを含有する粉体混合物の調製
調合物9の試料を、14mgのコハク酸スマトリプタンおよび6mgの微結晶性セルロース(AVICEL(登録商標)PH102)を小試験管内で測定することによって調製した。試験管をキャップし、試験管を手作業で数回反転させることによって成分を混合した。組成物の浸透圧は、WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520を使用して1.5gの水で測定して30mOs/kgであった。
Figure 2011514358
調合物6〜9中で使用される一次成分を次の表にまとめる。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
調合物1および2の試験および評価を、実施例1に示される実験条件および説明に従って行った。同様に、調合物3および4も、実施例1に示されるように評価した。
調合物6の場合の試験の目的は、イヌ口腔粘膜を越えるコハク酸スマトリプタンの吸収に対する、コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する粉末組成物中のコレスチラミン樹脂に対する効果を判定することであった。試験を、麻酔下イヌモデルの場合に行い、イヌ被検体は、8〜12kgの重量の雄および雌ビーグル犬であった。
粉末試料を、義歯接着剤を使用して口腔粘膜に接着させた直径1インチの専用化したテフロン(登録商標)製リザーバを使用して被検体に導入した。リザーバ内の口腔粘膜を、最初に1.5mlの脱イオン水で約10分間水和した。水和流体を、リザーバから吸引し、廃棄する。次いで、1.5mLの脱イオン水を容器に加え、粉末組成物と混合し、粉末試料を溶解または懸濁した。混合物をリザーバ内に移し、リザーバ内で約60分間の暴露時間維持する。60分後、試料を、リザーバから吸引し、後の分析のために保持する。次いで、リザーバを1.5mlの脱イオン水で2回すすぎ、次いでリザーバとともに廃棄する。その部位を残存する接着剤から清浄する。
投与後、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の時間間隔で、血液試料(3mL)を、橈側皮静脈において留置カテーテルを介してVACUTAINER(登録商標)血清セパレータに採取した。試料を、当該技術分野で公知の方法および機器を使用する質量分析を用い、血清スマトリプタン含量について分析した。
調合物7を、調合物6の場合と同様の手順を用いて評価した。投与後、0、5、10、20、25、30、40、55、75および90分の時間間隔で、血清セパレータVACUTAINER(登録商標)を使用して試料(3.0ml)を採取した。試料を、質量分析を用い、スマトリプタン含量について分析した。
調合物8を、イヌ口腔粘膜に対するスマトリプタンの吸収に対する高浸透圧の効果を判定するように評価した。手順は、粉体コハク酸スマトリプタンの試料を直接リザーバに加え、その直後に1.44g/LのKHPO、90.0g/LのNaCl、および7.95g/LのNaHPO・7HOを含有する1.5mlの浸透圧緩衝液をリザーバに加えた以外では、上記の場合と同様であった。緩衝液の浸透圧を、蒸気圧浸透圧計(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)によって測定し、3080mOs/kgであった。試料を、リザーバ内で約60分間維持し、除去するかまたはすすいだ。血液試料(3ml)を、0、5、10、20、30、45、60、90、120および180分経過時に採取した。
調合物9を試験し、経粘膜吸収に対するコハク酸スマトリプタンを含有する粉末組成物中の微結晶性セルロースの効果を評価した。イヌモデルに対しては、上記の手順に従って実行した。粘膜およびリザーバを、予め1.5mlの脱イオン水で10分間水和し、除去し、次いで粉体混合物を沈殿させ、次いで1.5mlの脱イオン水で水和し、60分の暴露時間を設けた。血液試料(3mL)を、0、5、10、20、25、30、40、55、75および90分の時間間隔で採取した。
図2は、未圧縮粉末または圧縮粉末錠剤のいずれかの中にコハク酸スマトリプタンを含有し、イヌ口腔粘膜と接触される調合物の薬物動態学的比較データ(血清濃度対時間)を示す。調合物1〜4を、実施例1に見出されるように調製し、試験した。調合物6は、コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムおよびコレスチラミン樹脂(公知の胆汁酸塩シークエステラント)を含有する粉体混合物であった。調合物7は、コハク酸スマトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムを含有し、塩化ナトリウムを含有しない粉体混合物であった。調合物8は、リン酸塩緩衝溶液および塩化ナトリウムとともにコハク酸スマトリプタンを含有した。調合物9は、微結晶性セルロースとともにコハク酸スマトリプタンを含有した。
データからわかるように、結果は、血清スマトリプタンレベルが、コハク酸スマトリプタンのみ、タウロコール酸ナトリウムのみと組み合わされたコハク酸スマトリプタン、または浸透圧調節成分のみと組み合わされたコハク酸スマトリプタンを含有する粉末組成物中で低いかまたは認められないことを示す。換言すれば、イヌ口腔粘膜を通じたより高レベルのスマトリプタン吸収を得るため、コハク酸スマトリプタンが胆汁酸塩(タウロコール酸ナトリウム)および浸透圧調節成分を、高浸透圧条件をもたらす量で伴う必要があることが認められた。これは、調合物8(高浸透圧条件をもたらすが、タウロコール酸ナトリウムが不在の調合物)の場合であっても認められた。
血清スマトリプタンレベルは、調合物4、6および9の投与から全く検出されなかった。調合物4および9はタウロコール酸ナトリウムを含有しない一方、調合物6はコレスチラミン樹脂を含有した。コレスチラミンは、公知の胆汁酸塩シークエステラントであり、データに基づくと、他の場合であれば、シークエステラントの不在下でスマトリプタン(胆汁酸塩+浸透圧調節成分)の吸収の増大を可能にする条件下で、スマトリプタンの吸収を有効に阻害した。
実施例3
さまざまな浸透圧を有する粉体混合調合物の比較
14mgのコハク酸スマトリプタンおよび18mgのタウロコール酸ナトリウムを含有する粉体混合調合物を調製し、ここで各調合物は、浸透圧剤としての塩化ナトリウムで調節されたさまざまな浸透圧を有する1.5mLの接触溶液として調製した。4つの浸透圧、すなわち350mOs/kg、750mOs/kg、1000mOs/kgおよび2150mOs/kgについて試験した。
調合物10は、最初に14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウムおよび32.3mgの塩化ナトリウムを小試験管内で結合させることによって調製した、750mOs/kgの調節された浸透圧を有する粉体混合物であった。試験管をキャップし、手作業で数回反転させ、成分を混合した。組成物の浸透圧を、1.5gの水で測定する場合、WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520によって測定し、750mOs/kgに調節した。
Figure 2011514358
調合物11においては、14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウムおよび97.8mgの塩化ナトリウムを含有する粉体混合物を、成分をキャップしたバイアル内で結合させ、手作業で数回反転させることによって調製した。浸透圧を、2150mOs/kgに調整した(1.5gの水でWESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520を使用して測定した)。
Figure 2011514358
この実験の調合物を、次の表にまとめる。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
調合物1、2、10および11を、一次成分としてコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する粉末組成物を使用し、経粘膜吸収に対するさまざまな浸透圧条件の効果を判定するように評価した。麻酔下イヌモデルを使用し、溶液を約60分の接触時間でイヌ粘膜上に沈殿させた。部位を、組成物の沈殿前に10分間、まず1.5mlの脱イオン水で水和した。水和流体を、リザーバから吸引し、廃棄した。組成物を、リザーバに移す前に1.5mLの脱イオン水に予備溶解した。60分間の滞留後、リザーバを吸引し、組成物をすすぎ出し、廃棄した。
投与後、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の時間間隔で、血液試料をイヌ被検体から血清セパレータに採取し、分析し、スマトリプタンの血清濃度を計算した。結果をグラフによってプロットした。
図3は、さまざまな調節された浸透圧値を有する、一次成分としてコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する粉体混合調合物の薬物動態学的比較データを示す
上記結果からわかるように、1000mOs/kgの浸透圧条件を有する調合物(formula)の場合、最適なスマトリプタンの吸収が認められた。結果はまた、胆汁酸塩の存在下でのスマトリプタンの吸収が、口腔粘膜に接触した溶液中で発生する浸透圧の機能であることを示す。しかし、スマトリプタンの吸収レベルは、約1000mOs/kgの浸透圧値で比較的一定である。
さらに、毒性の増大が、2150mOs/kgの浸透圧条件下の投与部位で浮腫として認められた。イヌ口腔粘膜を通じたスマトリプタンの吸収が、2150mOs/kgの実験条件では、1000mOs/kgの条件で得られる場合よりも実質的に増大しないことから、また投与部位での炎症の増大が2150mOs/kgの条件で生じたことから、タウロコール酸ナトリウムを含有しかつ少なくとも1000mOs/kgを生じる調合物が、スマトリプタンの吸収に対して最適であることが認められる。
実施例4
粉体混合物と賦形剤の適合性の比較
多数の調合物を、調製し、賦形剤の適合性、すなわち基本となる一定の調合物を調製し、追加的な賦形剤成分と結合させる場合での吸収に対する効果を判定するように評価した。調合物のすべてが、粉体混合物として14mgのコハク酸スマトリプタンおよび18mgのタウロコール酸ナトリウムを含有し、それを異なる賦形剤成分(および対照)と結合させ、次いで浸透圧剤としてNaClを有する1.5mLの接触溶液を調製し、各調合物に対して1000mOs/kgに調節した。
調合物1および2を、上で示される手順および組成物に従って調製した。調合物12を、14mgのコハク酸スマトリプタン、18mgのタウロコール酸ナトリウム、45.5mgの塩化ナトリウムおよび30mgのベヘン酸グリセリル(COMPRITOL(登録商標)888ATO、Gattefosse Corp.(Paramus,New Jersey)から入手可能)を小試験管内で測定し、キャップすることによって調製した。次いで、試験管を手作業で数回反転させ、成分と結合、混合させた。浸透圧は、1.5gの水で測定する場合、1000mOs/kgであった(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
Figure 2011514358
調合物13を、30mgのリン酸カルシウム二塩基性を二次成分として(ベヘン酸グリセリルの代わりに)加えることを除き、調合物12における場合と同様の手順によって調製した。浸透圧を、1.5gの水において1000mOs/kgで測定した。
Figure 2011514358
調合物14を、30mgのステアリン酸マグネシウムを二次成分として使用することを除き、調合物12における場合と同様の手順によって調製した。浸透圧を、1.5gの水において1000mOs/kgで測定した。
Figure 2011514358
調合物15を、35mgのクロスポビドンを二次成分として使用することを除き、調合物12における場合と同様の手順によって調製した。浸透圧を、1.5gの水において1000mOs/kgで測定した。
Figure 2011514358
調合物16を、35mgのケイ化微結晶性セルロース(PROSOLV(登録商標) SMCC HD90)を二次成分として加えることを除き、調合物12における場合と同様の手順によって調製した。浸透圧を、1.5gの水において1000mOs/kgで測定した。
Figure 2011514358
次の表は、実験において使用される調合物をまとめたものである。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
本発明で用いる剤形を開発するため、実験を行い、典型的には圧縮錠剤形中で使用されるさまざまな医薬成分の適合性を判定した。実験の目的は、コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有する組成物中での、スマトリプタンの経粘膜吸収に対するさまざまな二次成分の考えられる効果を評価することであった。調合物2を除き、この実験でのすべての試験調合物は、約1000mOs/kgの浸透圧値を有した。
粉末試料を、1インチの専用化したテフロン(登録商標)製リザーバを使用して導入するとともに、粘膜部位を1.5mlの脱イオン水で水和し、水和流体を廃棄した。試料を、最初に試験管内、1.5mlの脱イオン水に溶解し、次いでリザーバに移した。試料を、60分間維持し、次いでリザーバ/サンプリング部位の吸引およびすすぎを行った。吸引流体を分析のために保持した。
血液試料(3.0ml)を、イヌ被検体から、橈側皮静脈において留置カテーテルを介し、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の時間間隔で採取した。試料を、VACUTAINER(登録商標)血清セパレータを使用して採取し、質量分析を用いて分析した。
図4は、さまざまな二次医薬成分と組み合わせて、粉体混合物中にコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含有するさまざまな調合物を使用したイヌにおける薬物動態学的比較データを示し、ここで組成物は、1.5mL水で測定する場合、1000mOs/kgの浸透圧レベルを有する。
データからわかるように、ステアリン酸マグネシウムまたはベヘン酸グリセリルなどの特定の成分が、スマトリプタンの吸収と干渉し、粘膜を越えるスマトリプタンの吸収を阻害することが認められる。リン酸カルシウム二塩基性、クロスポビドン、およびケイ化微結晶性セルロースなどの他の成分は、本発明の組成物またはスマトリプタンの吸収に対して有意な阻害効果を有するようには認められない。
実施例5
スマトリプタンの10mg調合物の剤形滞留時間比較
浸透圧調節成分としてコハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含有する、調合物5と称される圧縮粉末錠剤を、調合物1において上に示される粉体混合物から本発明に従って調製した。調合物5(圧縮錠としての調合物1)を、麻酔下イヌモデルにおいて、スマトリプタンの吸収および送達の反復性および一貫性を判定するように評価した。
インビボイヌ実験
インビボ実験を、上記実験の場合とは、錠剤の粘膜部位上での滞留時間が(60分ではなく)10分でありかつ使用した脱イオン水の量を0.6mLに減らしたこと以外では同様の手順を用い、イヌ口腔粘膜に対して行った。これらの時間短縮および水の条件は、使用可能な舌下唾液量および意図される圧縮粉末錠剤製品の意図される滞留時間をより十分に示すように選択した。
錠剤試料を、リザーバを使用してイヌに導入し、1.5mLの水で粘膜部位を10分間予備水和した。水和流体を、吸引し、廃棄し、0.1mLの脱イオン水をリザーバ内に貯め、その直後、錠剤試料を、リザーバ内、粘膜部位上および0.10mLの脱イオン水に沈殿させた。1分に1回、追加分量として0.10mLの脱イオン水を合計5分間リザーバに加え、全部で0.60mLの脱イオン水をリザーバに加えた。試料を、10分間維持し、次いでリザーバから吸引し、分析のために保持した。リザーバを1.5mlの脱イオン水で2回すすぎ、吸引物を廃棄した。次いで、リザーバを除去し、部位を清浄した。
図5Aは、圧縮錠形態でのスマトリプタン調合物の、イヌにおける薬物動態学的データを示す。剤形(圧縮錠)を、実施例1における調合物用に用いられる60分の暴露時間より短い滞留時間(10分)で送達した。
データからわかるように、イヌ口腔粘膜を越える迅速かつ多量のスマトリプタンの吸収が、実施例1の調合物と比べて、錠剤滞留時間が10分に短縮され、試験錠剤の懸濁に使用する脱イオン水の量が少ないにもかかわらず、調合物5の場合に得られた。条件の違いを利用し、錠剤製品の意図される使用を見込んでの想定される経口条件をより綿密に再現した。結果に基づき、本発明に従って調製した剤形を使用し、スマトリプタンの吸収促進効果の良好な再現性が認められた。
実施例6
スマトリプタン(10mg)調合物の調製および薬物動態学的データ
異なる調合物を有するいくつかの異なるモノリシックな圧縮粉末舌下錠(約5/16インチの直径)を調製し、それぞれは(コハク酸スマトリプタンとして)10mgのスマトリプタン用量および、舌下投与後、約5〜10分の目標錠剤崩壊時間を有した。調合物は、タウロコール酸ナトリウム含量(10mg〜20mgの間で変化)および調節された浸透圧(1.5mgの参照で400mOs/kg〜1000mOs/kgの間で変化)の組み合わせならびに、対応する全錠剤重量/サイズに対して異なった。次いで、剤形を、麻酔下イヌモデルを使用し、成分であるタウロコール酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの最適な範囲と、スマトリプタンの吸収に対するそれらの効果を判定するように評価した。
個々の成分を、表5(調合物17)、表6(調合物18)、表7(調合物19)および表8(調合物20)に示される、重量/重量基準での組成物との粉体混合物の量を得るだけの十分な量で調合した。
調合物を、一般に次のように調製した。塩化ナトリウム、マルトデキストリン(組成物中の場合)、リン酸カリウム、コハク酸スマトリプタン、タウロコール酸ナトリウム、スクラロース、重炭酸ナトリウム、および微結晶性セルロース(組成物中の場合)を、好適な容器に移し、TURBULA(登録商標)T10−B装置内で、15rpmで約50分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを容器に加え、混合物を15rpmでさらに10分間混合した。次いで、得られた粉体混合物を、ロータリー錠剤プレス(PICCOLA(登録商標) Type−D)に移し、圧縮し、次の表に示されるような目標の重量および圧縮力を有する平板状の面取り成型された(FFBE)5/16インチ錠剤を形成した。
得られた調合物を次の表に示す。
Figure 2011514358
Figure 2011514358
Figure 2011514358
Figure 2011514358
図5Bは、スマトリプタン調合物の薬物動態学的血清濃度比較データを示す。図5Bでは、各曲線は、各部分調合物(sub−formula)から得られる血清値の集合平均である。たとえば、調合物19は、3つの部分調合物(sub−formulation)19a、19b、および19cを含む。各部分調合物19a、19b、および19cを少なくとも2匹のイヌにおいて評価し、図5B中の調合物19における曲線は、調合物が組成物中で十分に近く、PK結果が結果をグループ化できるほど十分に類似するという考えの下での、イヌ8匹からの血清結果の平均である。調合物17における曲線は、イヌ14匹において試験した5つの部分調合物における血清結果の平均である。調合物18における曲線は、イヌ8匹において試験した4つの部分調合物における血清結果の平均である。調合物20における曲線は、イヌ8匹において試験した4つの部分調合物における血清結果の平均である。
図5Bでグラフ化されたデータからわかるように、血清スマトリプタンレベルは、タウロコール酸ナトリウムおよび浸透圧調節成分の量によって実質的に作用を受ける。他の成分に加え、調合物17および18は、20mgのタウロコール酸ナトリウムと、1.5gの水で測定する場合、約1000〜約400mOs/kgの浸透圧を得るのに十分な浸透圧調節成分とをそれぞれ組み込む。他の成分に加え、調合物19および20は、10mgのタウロコール酸ナトリウムと、約1000〜約400mOs/kgの浸透圧レベルを得るのに十分な浸透圧調節成分とをそれぞれ組み込む。結果はまた、浸透圧調節成分の量が、イヌ口腔粘膜を越えるスマトリプタンの吸収に対し、タウロコール酸ナトリウムの量より実質的な効果を有する場合があることを示す。しかし、図1および2に示されるように、高浸透圧条件の吸収促進効果を得るため、一般に胆汁酸塩、特にタウロコール酸ナトリウムが組成物中に存在しなければならない。
実施例7
ゾルミトリプタンでの薬物動態比較試験
ゾルミトリプタンの吸収に対する、約1000mOs/kgをもたらす条件での、タウロコール酸ナトリウムを含有する組成物中でのゾルミトリプタンの用量応答を判定することを目的として、麻酔下イヌモデルを用い、異なる調合物を調製し、投与した。
調合物21 2000mOs/kg(1.5gの水で測定)での発泡性錠剤の調製
100gの粉体混合物を、ゾルミトリプタンと全マンニトールの半分を好適な容器内で結合させることによって調製し、容器を数回反転させることによって手作業で混合した。次いで、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、残りのマンニトール、デンプングリコール酸ナトリウムを容器に移し、低剪断タンブルミキサー(TUBULA(登録商標)T10−B)上で、15rpmで約60分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを加え、15rpmでさらに10分間混合した。個々の成分を、重量/重量基準で、48.5%マンニトール、21%重炭酸ナトリウム、15%クエン酸、10%無水炭酸ナトリウム、3%デンプングリコール酸ナトリウム、2%ステアリン酸マグネシウムおよび0.5%ゾルミトリプタンの組成物との100gの粉体混合物を得るだけの十分な量で調合した。
粉体混合物を、ロータリー錠剤プレス(Piccola Type−D)に移し、目標重量が200mgである平板状の面取り成型された5/16インチ錠剤に圧縮した。得られた調合物は、圧縮力5.4kN、1.5gの水で測定する場合、約1000mOs/kgの浸透圧を得る(Wescor Vapro 5520)。
Figure 2011514358
調合物22を、1mgのゾルミトリプタンおよび10mgのタウロコール酸ナトリウムを小試験管内で測定することによって調製した。試験管をキャップし、手作業で数回反転させ、成分を混合した。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
試験は、IACUCにより認可され、プロトコル下で実施された。実験目的は、イヌ口腔粘膜を通じたゾルミトリプタンの吸収に対する、ゾルミトリプタンおよび発泡性調合物の他の成分を含有する圧縮粉末錠剤の組成物に対する浸透圧の効果を評価することであった。発泡性試験試料は、タウロコール酸ナトリウムを含有しない。8〜12kgの重量の、麻酔下、雄および雌の実験用(purpose bred)ビーグル犬を使用した。
錠剤を、粘膜に接着させた専用設計の1インチのテフロン(登録商標)製リザーバを使用してイヌに導入した。部位を、1.5mLの脱イオン水で10分間水和し、吸引し、廃棄した。錠剤を、リザーバ内、次いで0.75mLの脱イオン水中に沈殿させる。試料を、約60分間の暴露時間維持し、吸引し、分析のため保持する。リザーバを1.5mlの脱イオン水で2回すすぎ、吸引し、廃棄する。部位を最後に清浄する。
投与後、0、5、10、20、30、45、60、90、120および180分の時間間隔で、血液試料(3mL)を、血清セパレータVACUTAINER(登録商標)を使用し、橈側皮静脈に配置した留置カテーテルを介して採取した。試料を、当該技術分野で公知の方法および技術を使用する質量分析によって分析した。
上記と同様の手順およびモデルを用い、目的は、イヌ口腔粘膜を通じるゾルミトリプタンの吸収に対する、ゾルミトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムを含有する粉末組成物に対する浸透圧の効果を評価することであった。
調合物22の粉末試料を、10分間の予備水和したリザーバに導入した。その直後、試料を、水の代わりに0.75mLのリン酸緩衝生理食塩水で、沈殿後に水和し、リザーバ内で320もしくは1000mOs/kgの浸透圧を得た。試料を、約60分間維持し、次いで吸引し、分析のために保持した。リザーバを1.5mlの脱イオン水で2回すすぎ、廃棄した。リザーバを除去し、清浄した。
試料(3ml)を採取し、調合物21の試験において使用した場合と同様の技術および機器を使用して分析した。
図6は、イヌ被検体における、圧縮錠および粉体混合物の双方の中にスマトリプタンではなく活性ゾルミトリプタン(遊離塩基形態)を有する、さまざまな調合物の薬物動態学的比較データを示す。錠剤は、約1000mOs/kgの浸透圧(1.5gの水で測定する場合)を有するが、タウロコール酸ナトリウムが不在の発泡性剤形であった。粉末調合物は、320もしくは1000mOs/kgのいずれかをもたらすリン酸緩衝生理食塩水溶液中にゾルミトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムを含有した。
上記結果からわかるように、組成物の浸透圧が320〜1000mOs/kgの浸透圧条件に増加するにつれて、ゾルミトリプタンの増加が認められた。結果はまた、所与の量のタウロコール酸ナトリウムの存在下でゾルミトリプタンの吸収が、口腔粘膜と接触した溶液中にもたらされる浸透圧の機能であることを示す。しかし、タウロコール酸ナトリウムが不在の組成物中では、たとえ組成物の浸透圧がタウロコール酸ナトリウムを含有する組成物に相当するとしても、ゾルミトリプタンの吸収がほとんど認められなかった。
実施例8
さまざまな浸透圧を有する粉体混合調合物比較
ゾルミトリプタンの吸収に対する浸透圧の範囲の効果を判定することを目的として、イヌモデルを用い、異なる調合物を調製し、投与した。
調合物23を、最初に1mgのゾルミトリプタン、10mgのタウロコール酸ナトリウム、および16mgの塩化ナトリウムを小試験管内で測定することによって調製した。試験管をキャップし、手作業で数回反転させ、成分を混合した。浸透圧を、0.75mL、pH6のクエン酸塩/リン酸塩緩衝液(62%の0.2M NaHPO・7HOおよび38%の0.1M C)で測定する場合、1000mOs/kgで測定した(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
Figure 2011514358
調合物24は、最初に2.5mgのゾルミトリプタン、11.7mgのタウロコール酸ナトリウムおよび15.9mgの塩化ナトリウムを小試験管内で結合させることによって調製した、タウロコール酸ナトリウムを含有する粉体混合物であった。試験管をキャップし、手作業で数回反転させ、成分を混合した。浸透圧は、0.75mL、pH6のクエン酸塩/リン酸塩緩衝液(62%の0.2M NaHPO・7HOおよび38%の0.1M C)で測定する場合、1000mOs/kgであった(WESCOR(登録商標)VAPRO(登録商標)5520)。
Figure 2011514358
インビボイヌ実験
実験の目的は、タウロコール酸ナトリウムを含有する調合物中でのゾルミトリプタンの用量応答を評価し、イヌ口腔粘膜を通じるゾルミトリプタンの吸収に対する1000mOs/kgをもたらすことであった。
麻酔下イヌ被検体は、8〜12kgの雄および雌のビーグル犬であった。粉末試料を、口腔粘膜に接着させた専用の1インチ直径リザーバを使用してイヌに導入した。部位を1.5mlの脱イオン水で10分間水和し、次いで流体を吸引し、廃棄した。次いで、粉末試験試料、その直後に0.75mL、pH6のクエン酸塩/リン酸塩緩衝液を粘膜上に直接導入し、60分間滞留させておいた。次いで、リザーバ試料を吸引し、分析のために保持し、部位を1.5mlの脱イオン水で2回すすぐ。リザーバを除去し、部位を清浄する。
投与後、0、5、10、20、30、45、60、90、120および150分の時間間隔で、血液試料(3.0mL)を、血清セパレータVACUTAINER(登録商標)を使用し、橈側皮静脈において留置カテーテルを介して採取した。次いで、試料を、容易に理解される技術を用いる質量分析を用いて分析した。
図7は、タウロコール酸ナトリウムを含有する粉体混合物中にゾルミトリプタン(遊離塩基)およびゾルミトリプタンの2つの投与レベルを含有する、イヌ被検体におけるさまざまな調合物の薬物動態学的比較データを示す。粉体混合物における浸透圧を塩化ナトリウムで調節した。
上記のデータからわかるように、血清ゾルミトリプタンの増加がゾルミトリプタン用量の増加とともに認められた。結果は、ゾルミトリプタンの吸収がゾルミトリプタン用量の増加とともに増大することを示し、これは、所与量のタウロコール酸ナトリウムおよび2つの用量での浸透圧に対して同じ一般的吸収促進機構が存在することを示した。
図8は、粉体混合物中にゾルミトリプタンおよびタウロコール酸ナトリウムを含有する、イヌ被検体におけるさまざまな調合物の薬物動態学的比較データを示す。1つの実験では、浸透圧をリン酸緩衝生理食塩水を使用して調節する一方、もう一方の浸透圧を粉体混合物に組み込まれた塩化ナトリウムを使用して調節する。
結果からわかるように、血清ゾルミトリプタンレベルは、浸透圧が実験で使用されるリン酸緩衝生理食塩水によって提供されるかまたは粉体混合物に加えられる塩化ナトリウムによって提供されるかに無関係にほぼ等しい。結果は、ゾルミトリプタンの吸収が、これら2つの条件で浸透圧調節成分の供給源に依存しないことを示す。しかし、ゾルミトリプタンの吸収は、リン酸緩衝生理食塩水を使用する実験条件下でより迅速であることが確かに認められる。これは、リン酸塩緩衝溶液が吸収促進のために1000mOs/kgの浸透圧をすぐにもたらす一方、乾燥粉体成分としての塩化ナトリウムが浸透圧条件をもたらす前にまず溶液に溶解する必要があるという事実に帰着させることが可能である。
本発明は、医薬組成物および剤形の調製において有用であり、ここで所望される薬剤送達経路は経口経粘膜経路であり、発現は比較的迅速である(たとえば、Cmaxは比較的短いtmaxで生じる)。本発明は、インドール化合物、例えばトリプタン(それらの一部は片頭痛の治療に有用であることが知られている)の送達にとって特に有用であり、ここで迅速な発現は所望の速やかな緩和効果を提供する。
本発明は、さまざまな特定の実施形態および技術に対して、本明細書中に前述されている。しかし、合理的な改良および変形が、特許請求の範囲によって定義される、本発明の精神または範囲のいずれかから実質的に逸脱することなく、かかる実施形態および技術からなされうることは、当業者によって理解されるであろう。

Claims (45)

  1. a)活性化合物;
    b)胆汁酸塩;および
    c)浸透圧調節成分;
    を含む経粘膜医薬組成物であって、
    ここで前記浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、かつ、前記活性化合物の、前記粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間浸透圧レベルを維持する、経粘膜医薬組成物。
  2. 前記活性化合物はトリプタンである、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記トリプタンは、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記浸透圧調節成分は塩化ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記浸透圧調節成分は、高浸透圧条件と、1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの範囲の浸透圧とをもたらす、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記浸透圧は、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの範囲である、請求項6に記載の組成物。
  8. a.活性化合物;
    b.胆汁酸塩;
    c.浸透圧調節成分;
    を含む固形経粘膜剤形であって、前記浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、前記活性化合物の、前記粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間浸透圧レベルを維持する、固形経粘膜剤形。
  9. 前記剤形は、前記活性化合物の、レシピエントの口腔粘膜組織を越える経粘膜送達のため、前記レシピエントの口腔内部での滞留配置を意図して調合された経口経粘膜錠剤の形態である、請求項8に記載の剤形。
  10. 前記活性化合物はトリプタンである、請求項8に記載の剤形。
  11. 前記トリプタンは、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択される、請求項10に記載の剤形。
  12. 前記胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウムである、請求項8に記載の剤形。
  13. 前記浸透圧調節成分は塩化ナトリウムである、請求項8に記載の剤形。
  14. 前記浸透圧調節成分は、高浸透圧環境と、1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの範囲の浸透圧とをもたらす、請求項8に記載の剤形。
  15. 前記浸透圧は、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの範囲である、請求項14に記載の剤形。
  16. レシピエントにおける片頭痛を治療する方法であって、前記治療を必要とする前記レシピエントに、
    a.トリプタン化合物;
    b.胆汁酸塩;および
    c.浸透圧調節成分
    を含む剤形の形態の経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含み、ここで前記浸透圧調節成分は、局在化された高浸透圧環境をもたらし、および前記活性化合物の、前記粘膜組織を越える高張性で促進される経粘膜輸送をもたらすだけの十分な期間浸透圧レベルを維持する、方法。
  17. a)前記レシピエントに前記剤形を提供するステップと、
    b)前記レシピエントの口腔内に前記剤形を配置するステップと、
    c)治療有効量の前記活性化合物の、前記レシピエントの粘膜を越える経粘膜送達を可能にするだけの十分な期間、剤形が原位置に滞留し、かつ、原位置で崩壊することを可能にするステップと、
    を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記トリプタン化合物は、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
  20. 前記浸透圧調節成分は塩化ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
  21. 前記剤形は、高浸透圧環境と、1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの範囲の浸透圧とをもたらす、請求項16に記載の方法。
  22. 前記浸透圧は、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの範囲である、請求項19に記載の方法。
  23. 哺乳動物における活性化合物の経口経粘膜吸収を促進する方法であって、
    a)活性化合物と胆汁酸塩との組み合わせを含む組成物を調製するステップと、
    b)ステップa)の成分を浸透圧調節成分と組み合わせるステップと、
    を含み、ここでステップa)およびステップb)の成分の前記組み合わせは、前記成分が前記哺乳動物の口腔粘膜組織に隣接して原位置に配置される場合、任意の順序で、高張条件に一致する浸透圧レベルをもたらし、かつ、前記活性化合物の粘膜を越える輸送を促進する、方法。
  24. 前記活性化合物はトリプタンである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記トリプタンは、スマトリプタンおよびゾルミトリプタンからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウムである、請求項23に記載の方法。
  27. 前記浸透圧調節成分は塩化ナトリウムである、請求項23に記載の方法。
  28. 前記剤形は、高浸透圧環境と、1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの範囲の浸透圧とをもたらす、請求項16に記載の方法。
  29. 前記浸透圧は、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの範囲である、請求項19に記載の方法。
  30. a)活性化合物;
    b)組成物の約5重量%〜約30重量%の量の胆汁酸塩;および
    c)経粘膜医薬組成物の浸透圧が1.5gの水で測定される場合、約400mOs/kg〜約2000mOs/kgの浸透圧をもたらす量で存在する浸透圧調節成分
    を含む経粘膜医薬組成物。
  31. 前記活性化合物は、前記組成物の約5重量%〜約25重量%の量で存在する、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  32. 前記胆汁酸塩は、前記組成物の約5重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  33. 前記胆汁酸塩は、前記組成物の約10重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  34. 前記浸透圧調節成分は、1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの浸透圧をもたらす量で存在する、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  35. 前記活性化合物は、トリプタン化合物またはトリプタン化合物の塩である、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  36. 前記トリプタン化合物またはトリプタン化合物の塩は、安息香酸リザトリプタン、塩酸ナラトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、臭化水素酸エレトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸スマトリプタン、およびゾルミトリプタンから選択される、請求項35に記載の経粘膜医薬組成物。
  37. 前記胆汁酸塩は、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、コール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、ならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  38. 前記胆汁酸塩はナトリウム塩である、請求項37に記載の経粘膜医薬組成物。
  39. 前記胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウムである、請求項37に記載の経粘膜医薬組成物。
  40. 前記浸透圧調節成分は、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、スクロース、トレハロース、およびリン酸緩衝生理食塩水、ならびにこれらの混合物から選択される、請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  41. 前記浸透圧調節成分は塩化ナトリウムである、請求項40に記載の経粘膜医薬組成物。
  42. 固形剤形中の請求項30に記載の経粘膜医薬組成物。
  43. 被検体における片頭痛に関連した1つ以上の症候を治療または緩和する方法であって、前記被検体に、請求項35に記載の経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法。
  44. a)トリプタン化合物またはその塩;
    b)組成物の約10重量%〜約20重量%の量のタウロコール酸ナトリウム;および
    c)1.5gの水で測定される場合、約800mOs/kg〜約1000mOs/kgの前記組成物の浸透圧をもたらす量の塩化ナトリウム
    を含む経粘膜医薬組成物。
  45. 被検体における片頭痛に関連した1つ以上の症候を治療または緩和する方法であって、前記被検体に、請求項44に記載の経粘膜医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む、方法。
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