JP5435659B2 - トリプタンの経口腔粘膜投与用製剤形態 - Google Patents

トリプタンの経口腔粘膜投与用製剤形態 Download PDF

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Description

本発明は、トリプタン族に属する少なくとも1つの有効成分、特にスマトリプタンの経口腔粘膜による血液循環系瞬間投与用の製剤形態に関するものである。
本発明は、また、この製剤形態の製造方法及びその使用に関するものである。
トリプタンは、頭痛発作、特に、真に治療の緊急性を示す急性頭痛の形態である群発性頭痛(Algie Vasulaire de la Face(AVF))の治療に使用される薬理有効成分である。
スマトリプタンは、市販品の基準となる主要な偏頭痛剤であるが、全てのトリプタンが同じ物理化学的性質及び同じ中心血管作用方法を備えている。特に、ゾルミトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン及びフロバトリプタンが公知である。
トリプタンは、いくつかのセロトニン受容体、さらに正確には、5−ヒドロキシトリプタミン 1(5−HT1)の血管受容体を刺激する能力を備える。これらの受容体の刺激によって中央血管収縮を引き起こし、群発性頭痛(AVF)の発作の始まりの血管拡張及び浮腫現象を縮小させる。
トリプタンは、灌流による経静脈投与が可能であることが公知であるが、そのような投与は、極めて少量の投与でも臨床応答遅延時間が極めて短く、有効であることが示されているが、この用法は、現在の治療への適用が困難であるので、実験的にとどまっている。
実際、この投与方法は、専門従事者と特効のある材料の使用を必要とするので、コストが高く、入院を必要とする患者にとって重大であり、頭痛発作の治療には適用されない。従って、トリプタンの経静脈投与の利点は臨床的に評価されており、極めて満足できるものだが、この静脈に特定された製剤形態の市販品の開発はまだ企画されていない。
これらの発作は予期できないものであるので、患者によっては日々の治療が必要であり、従って、自己投与のみが考えられる。
現在では、複数のトリプタン自己投与方法が存在する。
第一の公知の方法は、錠剤の形態での投与である。
しかしながら、経腸投与されたトリプタンは、約2時間の作用遅延時間を示し、苦しむ患者が待つには異常に長い時間である。
消化管及び胃に導入されると、これらの有効成分は、いわゆる「第一の消化通過」作用を受ける。その作用とは、胃の環境または腸内生理機能の変化に関係する変化及び減退であり、胃の静止、頭痛に伴うものとして多く記載されている麻痺は、有効成分の吸収を少なくとも50%減少させる。
次に、いわゆる「第一の肝臓通過」作用を受け、それらの消化吸収及び/または多少とも強い分解を受け、多くの代謝物質が生成するが、その大部分は不活性または有毒性で、副作用を引き起こす。
従って、実際に生体利用可能な有効成分の服用量は極めて少なく、投与された量の残留性の強い部分だけが有効であり、期待される薬学的効果を生む。
そのように、例として、消化経路で投与されたスマトリプタンは、投与量の14%未満に減少した残留生物使用可能性を示し、同時に、最大プラズマ濃度に1〜1.5時間後にしか達しないときだけ、人体での理論的な平均分布量は200リットルであり、半減期は2時間である。
また、疾患に対する臨床効果の開始は、平均で摂取30分後からしか始まらないことが公知である。
実際、ここには二つの大きな問題点がある。
第一の問題は、主体の重量の状態、吸収、消化吸収、生体におけるこの有効成分の希釈及び分散状態を考慮して、有効成分の残留部分だけが5−ヒドロキシトリプタミン 1(5−HT1)を含む血管受容体に到達し、薬学的有効性を生じさせるように、患者に十分な服用量のトリプタンを投与しなければならないことである。
第二の問題は、分子が活動し、患者がその恩恵を感じる前の、生体での有効成分の吸収、消化吸収及び拡散に関係する潜伏時間が圧縮できないことである。
従って、消化経路による錠剤を使用したトリプタンの投与は、頭痛の迅速で有効な治療にも群発性頭痛(AVF)のような大異変の頭痛の救急治療にも適切ではない。
また、経口腔粘膜、経鼻腔粘膜及び皮下注射などのように、トリプタンの自己投与のその他の可能な方法が知られている。
経口腔粘膜によって、舌下、頬、歯肉、舌、口蓋または咽頭の粘膜を受動的に通過し、次に、舌下の静脈を通過し、心臓に送達され、全体を循環して、医薬を投与することができ、それによって、消化経路及び肝臓代謝は短絡される。
しかしながら、ゾルミトリプタンの口分散性錠剤などの現存する処方は、トリプタンは唾液などの生物学的液体に不溶の性質であるという理由から満足できるものではない。
これらの形態では、その分散性が経口によるものであるとき、不溶の有効成分は続いて嚥下され、錠剤の形態のトリプタンの運命と同じく消化吸収され、それらの法定の記載では、これらの二つの形態、経口分散及び錠剤によって要求される生体利用可能性の同等性を証明する。
これは、また、特許文献1に記載の経粘膜投与用のスプレーまたはチュアブルゼラチンカプセルの場合である。これらの処方は、投与の正確さ、吸収回収率及び投与された服用量に保証された生体利用可能性に関して満足できない特徴をしめす。
それは、スマトリプタン、特に、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、安息香酸などの分子を可溶性にし、安定化させ、スプレーによって送達されるための極めて特殊な粘度状態を作るための多数の成分の組み合わせを備える複雑な液体の処方に関する。しかしながら、投与のとき、口腔内の送達は拡散し、不確実であり、スプレーで散布された粒子を受けると、即座に口腔内に反射的及び物理的に生成した唾液と混合される。この混合物は、通常、有効成分が口腔粘膜を越えて静脈血管通路に入る機会を持つ前に、患者によって自動的に嚥下される。従って、配合された有効成分の極めて僅かな分画だけが経粘膜通過によって直接利用できる。それは投与された単位服用量の約20〜25%であり、その有効性は経静脈または皮下路によって得られる有効性からはまだはるかに遠いものである。
経鼻路は、液体状の噴霧(スプレー)によって有効成分を経粘膜吸収することを可能にする。偏頭痛剤の分野では、特に、4つの賦形剤を含む水性溶液中のスマトリプタン塩基によって構成される鼻スプレーが公知である(イミグラン(Imigrane))。この経鼻路が腸溶性路より僅かに優れた投与量/作用の収率を示すとき、鼻の内部での服用量20mgの投与の30分後、スマトリプタンの最大濃度は、プラズマで13.1〜14.14ng/mlと測定される。従って、投与された服用量の平均の生体利用性は、10%以下である。この収率は不十分であるうえに、粘液が鼻路に占めることができる可能なサイズから、常に不確実である。従って、経鼻投与のためのこれらの処方もまた満足できるものではない。
さらに別の投与方法がある。それは約二十年前にスマトリプタン用に開発されたものであり、医師または看護士の管理による皮下注射または自己注射である。研究の結果、一回の服用量が6mgのスマトリプタンの皮下注射により、平均15分の遅延時間で群発性頭痛(AVF)発作の鎮静が75%提供されることが分かった。
しかしながら、この投与方法は、単位コストが高く、特定の材料、自己注射器の使用を必要とし、従って、明白に発作状態にある患者にとって、あまり人間工学的ではなく、苦痛であり、錠剤の単純な摂取やスプレーの使用より侵襲性が高い。
また、発作の治療における現在存在する最も有効な自己投与の唯一の形態ではあるが、3〜4分後に90%の鎮静作用を生じさせる経静脈路によって得られる有効性からはまだはるかに遠い。
国際特許出願第2005/032518号
従って、あまり高価ではなく、使用が容易で、侵襲性が低く、即座に生体利用可能な量のトリプタンを投与することができ、それによって、頭痛の発作の苦痛の症状や日常生活に支障をきたす困難を極めて迅速且つ有効に治療することが可能な、使用の簡単な製剤処方が必要とされている。
本発明は、トリプタン族の少なくとも一つの有効成分の瞬間的な経口腔粘膜投与を保証することのできる極めて特効のある製剤形態であって、少なくとも、
‐塩基及び塩の形態の前記有効成分、及び、
‐少なくとも15度のアルコール含有量を示す含水アルコール溶液、
を含み、前記有効成分が含水アルコール溶液中に安定した、完全な溶解状態で存在する極めて特効のある製剤形態を提案することによって、上記の問題を解決しようとするものである。
本発明は、また、偏頭痛発作の苦しい症状または日常生活に支障をきたす障害の治療または予防のためのこの処方の調製方法及び使用を提案するものである。
本発明による処方によって、セロトニンの脳受容体5−HT1に服用量全体を送達するために、静脈系にほとんど瞬間的に放出されるトリプタン分子の唾液による希釈及び嚥下を制限して、好ましくは、トリプタンを主成分とする治療用調製物の瞬間的且つ完全な経粘膜通過を可能にすることができる。
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の本発明の説明から明らかになるであろう。
従って、本発明は、第一の特徴によると、トリプタン族の少なくとも一つの有効成分の経口腔粘膜投与用の処方であって、少なくとも、
‐塩基及び塩の形態の前記有効成分、及び、
‐少なくとも15度のアルコール含有量を示す含水アルコール溶液、
を含み、前記有効成分が含水アルコール溶液中に安定した、完全な溶解状態で存在し、それによって、口腔及び/または中咽頭の粘膜を通して該有効成分を迅速に吸収することができる処方を目的とする。
「経口腔粘膜」とは、舌、舌下、歯肉、口蓋、頬の粘膜、または、口腔及び中咽頭を構成する他のいずれかの粘膜を通した脂肪親和性または両親媒性分子の全ての受動的通過を意味する。
「安定した完全な溶解状態」とは、有効成分を分子状態に戻し、その溶解媒中で僅かにイオン化した溶解状態を意味し、その溶解状態は、時宜を得ずに再結晶化する可能性を完全に予防する。
「X度のアルコール含有量を示す含水アルコール溶液」とは、含水アルコール溶液中に含まれる純粋なアルコール(100°)の容積とこの溶液の全体の容積との比に対応するアルコール度Xを示す溶液を意味する。含水アルコール溶液のアルコール度は、溶液を形成するために使用されるアルコール度と溶液の水/アルコールの比に応じて変化する。例えば、最初の100度のアルコールで、水/アルコール比が50/50の場合、含水アルコール溶液のアルコール度は50度である。
トリプタン族の有効成分は、塩基の形態及び塩の形態で存在し、例えば、コハク酸塩、塩酸塩、または、硫酸塩の形態である。好ましくは、有効成分は塩基の形態で5〜95%と、塩の形態で5〜95%の範囲で存在する。さらに好ましくは、有効成分は塩基の形態で5〜40%と、塩の形態で60〜95%の範囲で存在する。
特に使用される実施態様では、有効成分はスマトリプタンである。
本発明による製剤形態は、好ましくは、アルコールを15〜85質量%含み、水の含有量が15〜85%の含水アルコール溶液の形態を示す。さらに好ましくは、本発明による処方は、アルコールを30〜85質量%含み、水の含有量が15〜70%の含水アルコール溶液の形態を示す。
含水アルコール溶液のアルコール度は可変であり、15度以上、好ましくは15〜95度、さらに好ましくは、20〜70度、理想的には45度近辺である。
含水アルコール溶液は、好ましくは、本発明による処方で使用される唯一の溶媒である。
また、含水アルコール溶液のアルコールは、希釈剤の役だけではなく、加速される経粘膜吸収の促進剤の役割を果たし、その速度は使用されるアルコール度が上昇するにつれて増大する。
本発明の好ましい一実施態様によると、含水アルコール溶液は水及びエタノールを主成分にして作製される。
例えば、エタノール中のスマトリプタンの溶解係数によって、35%エタノール0.75mlで、スマトリプタンの高さ2mg、4mgまたは6mgの該有効成分の完全な溶解を得ることができる。この係数は、アルコール度及び使用する水/エタノール比に応じて変化させることができる。
本発明による製剤形態は、また、pH補正剤を備えることがある。
pH補正剤とは、一つまたは複数の有効成分の物理化学的性質を変更しないあらゆる酸性剤またはあらゆる塩基性剤を意味する。
pH補正剤は、好ましくは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリエタノールアミン、ソーダ(NaOH)及びカリウム(KOH)、さらに、塩酸剤、硫酸剤、リン酸剤、クエン酸剤、マレイン酸剤、乳酸剤、コハク酸剤及び/または酪酸剤の中から選択される。
好ましくは、本発明による処方のpHは4.0〜9.0、さらに好ましくは4.0〜8.0の範囲である。
本発明による製剤形態によって、有効成分は、投与後30秒未満の遅延時間で口腔粘膜を受動的に通過することができる。この極めて迅速な吸収遅延時間によって、溶液と有効成分が口腔雰囲気中で沈滞し、それらを変化させることのできる唾液と時宜ならぬ混合を実施し、それによって、一つまたは複数の有効成分の溶解の連続性及び安定性に切れ目を形成することを防止することができる。この短い遅延時間によって、また、溶液及び溶液が含む有効成分の反射嚥下を全て防止することができる。
外側上皮膜の側で本発明による溶解状態で存在する、選択的親和性によって親油性分子を受動的に吸収するリン脂質構造によって構成された有効成分の経口腔粘膜通過は、該膜のもう一方の側への浸透力に基づくものであり、その力には、溶解した有効成分の濃度及び該含水アルコール溶液の濃度がともに関与している。浸透力は、吸収促進剤として働くアルコール度が高くなるほど、活発化し、強くなる。本発明によるスマトリプタンの特定のケースでは、使用されるアルコール度は15〜95度、好ましくは、20〜70度である。これによって、スマトリプタンのより優れた溶解及び安定化係数を確実に得て、調整すると同時に、約10秒の遅延時間のその経粘膜通過を促進することができる。特に利用される一実施態様は、スマトリプタン2mg、4mgまたは6mgについて、アルコール度45°の含水アルコール溶液0.75mlに対応する。
口の粘膜は、ほとんどスポンジ状の、極めて密度の高い微小管網を有し、従って、アルコール溶媒及び溶解した有効成分の分子は、上皮膜の親油性孔を通過して、血液のミクロ循環によって即座に捕獲され、舌下及び口底の静脈の方へ集められる。この現象は、血管拡張及び粘膜の局所微小血管流の増大を引き起こす。
従って、アルコールによって局所的に増大した、この高い循環流量によって、膜の両側の均衡は存在せず、口の内部の濃度は常にかなり高く、吸収すべき分子の欠乏によって機構が使い果たされる。
このように、いわゆる「舌下」の他の形態とは全く異なり、本発明によって溶解したアルコール及び有効成分の全体は、数秒間で口腔粘膜を通過する。
本発明による製剤形態を使用することによって、粘膜と接触されるとすぐに吸収される服用量のトリプタンを受動的に投与することができ、それによって、血管経路によってすぐに送達され、その薬学上の作用に遅延時間はまったくなく、消化器や肝臓の通過の主な予備作用を受けることもない。従って、本発明による製剤形態によって、トリプタン分子の完全な組織吸収の即時性が可能になり、その結果、生体の中央循環にそれらを送達することができ、「フラッシュ」型の急速な薬理学的レスポンスを管理することができる。
例えば、45°のエチルアルコール0,75mlに可溶化したスマトリプタン2mgから作製した本発明による製剤形態では、ほとんど瞬間的且つ受動的にかなり大きな量である2mgのスマトリプタンを投与することができる。それは、通常、血管経路によって投与される量に対応し、すなわち、通常、経口投与される量(50mg)の25分の1である。
本発明によるアルコール度が15°以上の含水アルコール溶液は、また、親油性であってもトリプタン分子を可溶化するという利点があり、それによって、その自発的な経粘膜吸収を可能にし、抗菌保存剤を導入する必要も無く、微生物汚染から製薬処方を保護することができる。
そのように、本発明による含水アルコール溶液は、下記の四つの長所を備える;
‐親油性分子で、低分子量のトリプタン族の有効成分の溶媒の役割を果たし、
‐溶解し、従って、親油性膜の位置で分子状態であるこの有効成分の経粘膜通過を活性化し、
‐アルコール度は、浸透作用によって、及び、局所的微小循環流量を増大させる反射微小血管拡張を引き起こして、粘膜吸収速度を倍に増大させ、及び、
‐それ自体の安定化剤であり、それによって、従来の添加剤の使用が避けられる。
本発明は、好ましくは、実施が極めて簡単であり、極めて良好な製剤安定性を提供する。水/アルコール溶液によって、従来の製剤形態で使用される多くの賦形剤を使用せずに、有効成分を可溶化を確実にする。従って、それによって、製造コストを減少させ、同時に、有効成分と賦形剤の間の不寛容性の危険及び起こり得る相互作用を縮小することができる。
特に、本発明による製剤形態の遅延時間は、現在、存在する自己投与用のトリプタンを主成分とする医薬の吸収の緩慢さと比較すると、極めて短い。
ほとんど瞬間的な薬理送達によって、患者は、循環中のすばやいトリプタンの静脈注射の効果と等しい効果で、製品を自分自身に自己投与することができる。
従来のトリプタンのあらゆる投与方法と比較して、簡単さ、外傷性ではない投与の利用しやすさ、及び、単位及び治療コストに関して、優れた投与方法である。
この場合、遅延時間なしで得られる治療効果について92〜96%の分量を差し引いて、経口での基準服用量の重量の4〜8%しか使用しないので、単位量/効果の比に関する利得はかなり大きい。
さらに、トリプタン分子は、脳動脈循環での瞬間送達に大きな障害が無く、数秒で獲得するので、投与される基本服用量が少なくなり、要求される薬学上の活性を働かせるのに有効な量に近くなる。この服用量は、もちろん、求められる効果に応じて変えられる。好ましくは、投与容積で、すなわち、含水アルコール溶液の容積が5ml未満、好ましくは、0.5〜1mlのとき、スマトリプタンが0.5〜6mgの範囲である。
また、口腔粘膜は、その組織が絨毛で覆われ、襞がついた特徴から、極めて広い吸収総面積を有するので、本発明による製剤形態の投与には、不都合な嚥下や誤った進路という危険性はない。実際、極めて迅速な経粘膜通過が可能であり、投与された有効成分の唾液による溶解や嚥下を防止し、また、例えば「舌下」と呼ばれる従来のいくつかの処方の場合のように、例えば界面活性誘導体によって粘膜を不安定にすることがないという利点がある。
また、アルコールの作用は小さい。例えば、35°のエタノール0.75mlで、循環する血液中のアルコール含有量は血液1lあたり0.004mg未満にしかならず、フランスで法定許容量である1lあたり0.5gの125分の1である。
特に利用される、本発明による製剤形態の製造方法は、下記の;
‐塩基の形態のトリプタン族の少なくとも一つの有効成分をアルコール中に導入し、
‐前記有効成分が完全に溶解するまで調製物を攪拌し、
‐調製物に精製水、次に、塩の形態の該有効成分を添加し、
‐完全に溶解するまで調製物を攪拌し、
‐所望の容積にするために必要ならば水を添加する、
段階を備える。
好ましい一実施態様によると、本発明の方法は、下記の;
‐塩基の形態のトリプタン族の少なくとも一つの有効成分、好ましくは、スマトリプタン塩基を攪拌しながらアルコール中に導入し、
‐完全に溶解するまで、好ましくは、10〜60分間、調製物を攪拌し、
‐調製物に精製水、次に、塩の形態の該有効成分、好ましくは、コハク酸スマトリプタンを添加し、
‐完全に溶解するまで、好ましくは、10〜60分間、調製物を攪拌し、
‐所望の容積にするために必要ならば水を添加し、
‐pH補正剤を添加して、4.0〜9.0、好ましくは、4.0〜8.0の範囲の生理学的に両立するpHにし、
‐調製物を濾過し、
‐得られた溶液を、容量が5mlより小さい、適した容器、好ましくは、茶色のガラスまたは不透明なポリマー製の容量2mlの小瓶に配分し、安定性を確実なものにする
段階を備える。
本発明は、トリプタン、特に、スマトリプタンの減少した分量での瞬間的な組織投与に使用できる。
特に、本発明による製剤形態は、一般的には頭痛、特に、群発性頭痛(AVF)発作の治療用医薬の製造に使用できる。そのような医薬は、極めて短い遅延時間で、従来の服用量に対して極めて減少した服用量で抗頭痛治療活性を示す。
極めて小さい液体容積に対応する本発明による処方は、投与が極めて容易である。患者は、その口内に、面積が減少した正確な粘膜区域と直接接触させて、その処方を含むことが容易にできる。好ましくは、患者は、唾液の分泌から逃れた粘膜区域、例えば、一方が外側の下方歯肉冠によって、もう一方が頬の下方内側面及び下唇によって限定された頬の溝の位置に本発明による処方を配置しなければならない。この通路は、平均で、長さ約18cm、深さ1〜1.5cmの閉じたタンクであり、その粘膜吸収表面は、35〜55cmである。
最後の特徴によると、本発明による処方は、その使用を安全化し、単純に且つ人間工学的にし、空気と接触した有効成分の劣化を防止するために、特殊な産業的包装を必要とする。
特定の一実施態様は、好ましくは、サイズの小さい、プラスチックまたは柔軟な金属プラスチック、または、ガラス製の、組成物の安定性を保護し、酸素及び紫外線の不透過性のため、窒素などの不活性雰囲気に充填された不透明な包装を使用することからなる。これらの包装は、本発明による含水アルコール溶液中に溶解した有効成分の溶解及び経時的な安定性を保証する。
好ましくは、これらの包装は、本発明による溶液の適切な粘膜区域との接触する正確な配置を可能にするカニューレを備える。
患者による使用の快適さのため、輸送の簡単さのため、特定の気密性のカバーの形態の包装を使用することが好ましい。さらに好ましくは、本発明による製剤形態は、有効成分を適切な服用量で提供するため、単位服用量が0.5〜5mlのパッケージに包装される。
好ましくは、この包装は、輸送が容易で、一日のどのような瞬間でもその製剤形態を容易に使用することができる。
容積が0.75mlの、本発明によるスマトリプタン処方の複数の実施例、特に、数分の遅延時間のみで脳の位置での有効性を生じさせるのに適した実施例を挙げることができる。
処方1
−スマトリプタン 6.0mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 1.20mg
コハク酸スマトリプタン 6.72mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン6.72mg中のスマトリプタンの量は4.8mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基1.20gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン6.72gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方2
−スマトリプタン 4.0mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.8mg
コハク酸スマトリプタン 4.48mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン4.48mg中のスマトリプタンの量は3.2mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.8gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン4.48gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方3
−スマトリプタン 2.0mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.4mg
コハク酸スマトリプタン 2.24mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン2.24mg中のスマトリプタンの量は1.6mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.40gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン2.24gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方4
−スマトリプタン 1.0mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.20mg
コハク酸スマトリプタン 1.12mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン1.12mg中のスマトリプタンの量は0.8mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.20gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン1.12gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方5
−スマトリプタン 1.0mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.20mg
コハク酸スマトリプタン 1.12mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
−水酸化ナトリウム qsp pH7.5
コハク酸スマトリプタン1.12mg中のスマトリプタンの量は0.8mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.20gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン1.12gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
溶液のpHを7.5に調節するために、水酸化ナトリウムを添加する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方6
−スマトリプタン 0.75mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.15mg
コハク酸スマトリプタン 0.84mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン0.84mg中のスマトリプタンの量は0.60mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.15gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン0.84gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方7
−スマトリプタン 0.50mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.10mg
コハク酸スマトリプタン 0.56mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.3ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン0.56mg中のスマトリプタンの量は0.4mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.10gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン0.56gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方8
−スマトリプタン 0.25mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 0.05mg
コハク酸スマトリプタン 0.28mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.4ml
−精製水 qsp0.75ml
コハク酸スマトリプタン0.25mg中のスマトリプタンの量は0.2mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.3l及びスマトリプタン塩基0.05gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン0.28gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
処方9
−スマトリプタン 2.00mg
下記の形態で導入
スマトリプタン塩基 1.6mg
コハク酸スマトリプタン 0.56mg
−エチルアルコール95%V:V: 0.4ml
−精製水 qsp0.75ml
−重炭酸ナトリウム qs pH7.5
コハク酸スマトリプタン0.56mg中のスマトリプタンの量は0.4mgである。
この処方例は、以下に記載する方法の実施によって一組1000回分、すなわち、0.75lを得ることができる。
エタノール95%V/V、0.4l及びスマトリプタン塩基1.6gをステンレス鋼製槽に導入する。
プロペラ式攪拌器を使用して、スマトリプタン塩基が完全に溶解するまで調整物を攪拌する。
混合物に精製水0.450l、次にコハク酸スマトリプタン0.56gを添加する。
プロペラ式攪拌器を使用して、均質な懸濁及び完全な溶解が得られるまで調製物を攪拌する。
溶液のpHを7.5に調節するために、重炭酸ナトリウムを添加する。
多孔度5μmのポリプロピレンまたは相当物のフィルタで調製物を濾過し、その調製物を一回分の服用量である0.75mlの小瓶に配分する。
群発性頭痛(AVF)の急性発作に対する、特に、処方2及び3の臨床効果を示すために、パイロット実験を行った。
23人の患者に実験を行った。
実施例の処方2及び3を患者に投与した。
病理学の完全な鎮静である群発性頭痛(AVF)発作の全体の鎮静は、平均して、43.5%の患者で20分後に得られた。20分後の鎮静の得られた結果をパーセンテージで下記表1に示した。
Figure 0005435659
20分後のより大きな鎮静は、服用量4mg(60%)で得られることが分かった。また、服用量2mgでは、ほとんど20分以内に、20mgの鼻用溶液であるイミグラン(Imigrane)の2時間後の鎮静率に到達することができる。
また、激しい痛みを示す患者における痛みの評価を下記表2に示した。
Figure 0005435659
痛みの減少について最良の結果は、服用量4mgで得られ、それによって、患者の痛みを80%減少させることが分かった。
実験では、また、投与後20分で、全く痛みを感じなくなるか、または、痛みが弱くなる患者のパーセンテージを測定することができた。
Figure 0005435659
また、副作用は全く観察されなかった。
もちろん、本発明が上記に示した実施例に限定されるものでないことは明らかであり、あらゆる変形例を含むものである。

Claims (13)

  1. トリプタン族の少なくとも一つの有効成分の経口腔粘膜投与用の製剤形態であって、少なくとも、
    ‐塩基及び塩の形態の前記有効成分、及び、
    唯一の溶媒として、溶媒中の組成が体積比で、15%乃至70%を占める水と85%乃至30%を占めるエタノールからなる含水アルコール溶液
    を含み、前記有効成分が前記含水アルコール溶液中に安定した、完全な溶解状態で存在し、それによって、口腔の粘膜を通して該有効成分を迅速に吸収することができる製剤形態。
  2. 前記有効成分は、塩基の形態で5〜95%、及び、塩の形態で5〜95%の範囲で存在することを特徴とする請求項1に記載の製剤形態。
  3. 前記有効成分は、塩基の形態で5〜40%、及び、塩の形態で60〜95%の範囲で存在することを特徴とする請求項1または2に記載の製剤形態。
  4. 前記の少なくとも一つの有効成分は、塩基の形態及び該有効成分のコハク酸塩、塩酸塩または硫酸塩の形態であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の製剤形態。
  5. 前記の少なくとも一つの有効成分は、スマトリプタンであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の製剤形態。
  6. 前記含水アルコール溶液は、pH補正剤を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の製剤形態。
  7. 前記pH補正剤は、好ましくは、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、トリエタノールアミン、ソーダ、カリウム、及び/または、塩酸剤、硫酸剤、コハク酸剤、酪酸剤、リン酸剤、クエン酸剤、マレイン酸剤及び/または乳酸剤の中から選択されることを特徴とする請求項に記載の製剤形態。
  8. pHは、4.0〜9.0の範囲であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の製剤形態。
  9. 前記含水アルコール溶液の容積は、5mlであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載の製剤形態。
  10. 前記粘膜が歯肉及び/または頬粘膜である、請求項1〜9のいずれか一つに記載の製剤形態。
  11. 下記の;
    ‐塩基の形態のトリプタン族の少なくとも一つの有効成分をエタノール中に導入し、
    ‐前記有効成分が完全に溶解するまで調製物を攪拌し、
    ‐調製物に精製水、次に、塩の形態の該有効成分を添加し、
    ‐完全に溶解するまで調製物を攪拌し、
    ‐所望の容積にするために必要ならば水を添加する、
    段階を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の製剤形態の調製方法。
  12. 下記の;
    ‐スマトリプタン塩基を攪拌しながらアルコール中に導入し、
    ‐完全に溶解するまで、好ましくは、10〜60分間、調製物を攪拌し、
    ‐調製物に精製水、次に、コハク酸スマトリプタンを添加し、
    ‐完全に溶解するまで、好ましくは、10〜60分間、調製物を攪拌し、
    ‐所望の容積にするために必要ならば水を添加し、
    ‐pH補正剤を添加して、4.0〜9.0の範囲の生理学的に両立するpHにし、
    ‐調製物を濾過し、
    ‐得られた溶液を、容量が5mlより小さい、適した容器に配分する、
    段階を備えることを特徴とする請求項11に記載の調製方法。
  13. 頭痛の発作の治療及び救急治療用の薬品製造への請求項1〜10に記載の製剤形態への使用。
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