JP2011514148A - パーキンソン病の予防および処置用の候補化合物を同定するための熱変性スクリーニングアッセイ - Google Patents

パーキンソン病の予防および処置用の候補化合物を同定するための熱変性スクリーニングアッセイ Download PDF

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Abstract

パーキンソン病の予防および処置のための候補化合物を同定するための熱変性スクリーニングアッセイ。本発明は、パーキンソン病の処置に有用な物質を同定するためのハイスループットスクリーニングアッセイを提供する。一実施形態では、該アッセイは、それぞれが被検化合物およびパーキンタンパク質を含む複数の被験サンプルを熱不安定化条件に曝露すること、および被験サンプル中のパーキンリガーゼ活性を、被験物質を含まないコントロールサンプルと比較して決定することを含む。パーキンリガーゼ活性が該コントロールサンプルのリガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質は、パーキンソン病の処置のための候補化合物と同定される。

Description

関連出願の引用
本願は、2008年1月31日に出願したUS 61/025,231号の利益を主張する。US 61/025,231号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
分野
パーキンソン病を処置するための物質を同定するスクリーニングアッセイを提供する。本発明は、医療および薬剤開発の分野に応用される。
背景
パーキンソン病(PD:Parkinson’s disease)は、神経病理学的には黒質のドーパミンニューロンの脱落を特徴とする神経障害である。こうしたニューロンの脱落は臨床的には運動緩慢、固縮および/または振戦などの動作の変化として現れる(非特許文献1)。ヒト遺伝学的データからは、PDの発症と関連している遺伝子が同定されている。そうした遺伝子の1つの位置が若年発症患者のコホートを用いて6番染色体に決定され、パーキンタンパク質と特定された(非特許文献2)。パーキンタンパク質はユビキチンプロテアソーム経路(UPS:ubiquitin−proteasome pathway)で機能するE3リガーゼタンパク質である(非特許文献3)。UPSは標的タンパク質の分解除去に関与する主要な細胞経路であり、E3リガーゼは基質を識別および標識して細胞内のプロテアソーム(非特許文献4)またはリソソーム(非特許文献5)による分解に導く働きをする。
PDのもう1つの特徴はレビー小体と呼ばれる不溶性タンパク質の細胞封入体の存在である。レビー小体は多くのタンパク質からなるが、最も代表的なものはαシヌクレインタンパク質である(非特許文献6)。αシヌクレイン遺伝子に点突然変異または重複が生じると、PDの原因となる(非特許文献7;非特許文献8)。
パーキンソン病を処置する新しい治療薬の一刻も早い開発が求められている。本発明は、新規な治療薬などパーキン活性を調節する物質を同定し確認するのに有用な新しい方法および材料を提供する。
Gelb et al.,Arch.Neurol.,56:33−39,(1999) Kitada et al.,Nature,392:605−608(1998) Shimura,Nature Genetics,25:302−305(2000) Hereshko et al.,Ann.Rev.Biochem.,67:425−479(1998) Hicke,Trends in Cell Biology,9:107−112(1999) Spillantini et al.,Nature,388:839−40(1997) Polymeropoulos et al.,Science,276:2045−7(1997) Kruger et al.,Nature Genetics,18:106−8(1998)
発明の簡単な説明
本発明は、パーキンソン病を予防および処置する候補化合物を同定するためのインビトロスクリーニングアッセイを提供する。パーキンタンパク質(「パーキン」)については、パーキンリガーゼ活性を低下させる条件(「熱不安定化条件」)に曝露する。熱不安定化条件への曝露は、被験物質の存在下または非存在下で行う。パーキンリガーゼ活性を維持する物質はパーキンソン病の処置の候補化合物となる。
一態様では、本発明は、a)それぞれがi)パーキンタンパク質およびii)複数の被験物質のうちの1種を含む複数の被験サンプルを熱不安定化条件に曝露するステップ;b)前記被験サンプル中のパーキンリガーゼ活性を、被験物質の非存在下で熱不安定化条件に曝露したパーキンタンパク質を含むコントロールサンプルと比較して決定し、パーキンリガーゼ活性がコントロールサンプル中のリガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質を、パーキンソン病を処置する候補化合物と同定するステップなどを含むスクリーニングアッセイを提供する。一実施形態では、被験物質の非存在下で熱不安定化条件に曝露したパーキンは、その当初のE3リガーゼ活性の40〜70%を維持する。熱不安定化条件の例として、45℃〜60℃の温度で30分〜180分間のインキュベーションが挙げられる。一例として、インキュベーションは約57℃で約90分間または約60℃で約150分間であってもよい。
このアッセイでは、適切な緩衝液中でパーキンタンパク質、ユビキチン活性化酵素E1、ユビキチン結合酵素E2、ATP、ユビキチンおよびパーキン基質を組み合わせて、組み合わせたものを20〜37℃でインキュベートし、パーキン基質のユビキチン化の速度または程度を測定することでパーキンリガーゼ活性を測定することができる。パーキン基質の例として、S5a(たとえば、GST−S5a)、セプチン4およびトロポニン1が挙げられる。
このアッセイでは、ドナー発色団がユビキチンに結合し、アクセプター発色団がパーキン基質に結合しているか、またはドナー発色団がパーキン基質に結合し、アクセプター発色団がユビキチンに結合している蛍光共鳴エネルギー転移(FRET:fluorescence resonance energy transfer)アッセイによりパーキンリガーゼ活性を決定してもよい。実施形態の1つでは、ドナー発色団はユーロピウムクリプレート(europium cryplate)であり、アクセプター発色団はアロフィコシアニンである。実施形態の1つでは、パーキン基質はS5aである。ある形態のアッセイでは、対応する被験サンプルのパーキンリガーゼ活性に応じて候補化合物をランク付けする。
パーキン安定剤であるパーキン活性の正のモジュレーターは、前記化合物の存在下および非存在下で減弱していないパーキンタンパク質をインキュベートすることでパーキンアゴニストである候補化合物と識別することができ、パーキンリガーゼ活性を増大させる化合物をパーキンアゴニストと同定し、パーキンリガーゼ活性を増大させない化合物をパーキン安定剤と同定する。
一態様では、本発明は、(a)パーキンの正のモジュレーターを同定すること;(b)パーキン以外のE3リガーゼタンパク質およびパーキン基質タンパク質を基質がユビキチン化される条件下で一緒にインキュベートすること;(c)(b)の条件下、E3リガーゼタンパク質およびパーキン基質タンパク質をパーキン活性の正のモジュレーターの存在下で一緒にインキュベートすること;(d)正のモジュレーターの存在下と非存在下とでE3リガーゼのリガーゼ活性を比較することにより、正のモジュレーターが存在するときにE3リガーゼ活性が増大すると、正のモジュレーターがパーキンに完全には特異的でないことが示唆され、増大がないときは正のモジュレーターがパーキンに完全に特異的であることが示唆される、パーキン活性の正のモジュレーターの特異性を評価するインビトロ法を提供する。ある形態のアッセイでは、正のモジュレーターの存在下で基質のユビキチン化の増大は、正のモジュレーターがパーキンについては完全には特異的でないが正のモジュレーターが不完全に特異的であることを示し、ここで、不完全に特異性(partial specificity)とは、非パーキンE3についてのEC10が100マイクロモル以下であり、パーキンについてのEC10よりも少なくとも4倍大きいことと定義される。
アッセイに使用されるパーキン基質の例としては、S5aおよびトロポニン1がある。アッセイのE3リガーゼタンパク質の例としては、RING E3リガーゼ、Mdm2、Nedd4、Murf1およびE6APが挙げられる。
一態様では、本発明は、(a)パーキン活性の正のモジュレーターを同定する;(b)(a)の正のモジュレーターをパーキン安定剤またはパーキンアゴニストと同定する;(c)パーキン以外のE3リガーゼによるパーキン基質のユビキチン化に対するモジュレーターの作用に基づきパーキン特異的である正のモジュレーターを選択する(d)パーキンによる複数のパーキン基質のユビキチン化を正に調節する能力に基づき基質特異的でない正のモジュレーターを選択することでパーキンソン病を処置する化合物を選択する方法を提供する。ある種の実施形態では、パーキン基質として、セプチン4、あるいはセプチン4およびS5aまたはトロポニン1の一方または両方が挙げられる。
一態様では、本発明は、パーキンソン病を処置する方法であって、そうした処置を必要とする患者に、本発明の方法により同定された候補化合物を投与するか、またはそうした候補化合物の誘導体を投与することを含む方法を提供する。
図1は、パーキン安定剤およびアゴニストを対象としたTR−FRETアッセイの説明図である。 図2は、パーキンの熱不安定化後のパーキンリガーゼアッセイの結果を示し、パーキン熱安定性の変化点が42℃〜47℃であることを示す。 図3は、熱変性アッセイの結果を示す。 図4は、S5aを基質としたパーキンおよびmdm2 E3リガーゼ活性に対する化合物の作用を示すグラフを示す。この化合物はパーキン活性を増大させ、そのEC50は2.8uMであったが、mdm2のE3リガーゼ活性については増大させなかった。
詳細な説明
ヒトのパーキンタンパク質の活性が低下すると、黒質のドーパミン作動性ニューロンが徐々に脱落し、最終的にはパーキンソン病を発症することになる。パーキン活性の低下を回復させたり、抑制したり、または防止したりする物質はパーキンソン病を処置および予防する候補化合物であることが判明している。本発明は、そうした物質を同定するスクリーニングアッセイおよび他の方法を提供する。
パーキンタンパク質はE3(ユビキチン)リガーゼである。パーキンは、ユビキチン活性化酵素E1およびユビキチン結合酵素E2と共にタンパク質をユビキチン/プロテアソームタンパク質分解経路に誘導する働きをする。E1酵素はATPを使用してユビキチンを活性化してコンジュゲートし、ユビキチンをE2酵素に移す。パーキンはE2酵素と相互作用し、ユビキチンを標的タンパク質のリジンのε−アミノ基に移すことで、標的タンパク質をユビキチン化する。ユビキチン化された基質にユビキチン部分が連続的に付加されることでポリユビキチン鎖を形成することができる。パーキンリガーゼ活性については、ユビキチン化の速度または程度を測定することによりインビトロでのアッセイが可能である。
一態様では、本発明のスクリーニングアッセイでは、それぞれがパーキンタンパク質および複数の被験物質のうちの1種を含む複数の被験サンプルを採取し、被験サンプルを熱不安定化条件(すなわち、未変性のパーキンタンパク質のリガーゼ活性を低下させるのに十分な高温)に曝露する必要がある。各被験サンプルのパーキンリガーゼ活性を決定して、被験物質の非存在下で熱不安定化条件に曝露したパーキンタンパク質を含むコントロールサンプルと比較してパーキン活性を維持または増大させる任意の被験物質(単数または複数)を同定する。パーキンリガーゼ活性がコントロールサンプル中のリガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質を、パーキンソン病を処置する候補化合物と同定する。本発明のこうした態様および他の態様については、以下に詳細に記載する。
被験サンプル
不安定化条件下でパーキン活性を維持する物質を同定するには、複数の被験サンプルを、被験物質を除いてパーキンリガーゼ活性を低下させる高温に曝露する。下記のように、各被験サンプルは、適切な媒体中にパーキンおよび被験物質を含む。特定のメカニズムに拘泥するものではないが、そうした物質の中には活性コンフォメーションでパーキンタンパク質を安定化し、および/または再生を触媒するもの(「安定剤」)もあれば、未変性のパーキンの活性を増大できるもの(「アゴニスト」)もあると考えられる。本発明のアッセイは安定剤およびアゴニストを相互に識別できると都合がよい。
i)パーキン
アッセイに使用するパーキンタンパク質は、ほとんどの場合、ヒトパーキンとほぼ同じ配列を持つ。ヒトパーキンタンパク質の例示的な配列はNCBI受託番号BAA25751で確認される(たとえば、配列番号1および配列番号2を参照されたい)。あるいは、非ヒト哺乳動物(たとえば、マウス)由来のパーキンタンパク質を用いてもよい。マウスパーキンタンパク質の例示的な配列はNCBI受託番号AAI13205で確認される(たとえば、配列番号3および配列番号4を参照されたい)。パーキンタンパク質は通常、科学文献に広く記載されている方法を用いて組換え発現により得られる。パーキンは真核細胞培養で作製しても、大腸菌で作製しても(たとえば、米国特許出願公開第2007/0212679号を参照されたい)、または当該技術分野において公知の他のタンパク質発現系で作製してもよい。
アッセイに使用するパーキンタンパク質は野生型配列を持っていてもよいし、あるいは対立遺伝子変異体もしくは他の自然発生変異体、または1つまたは複数の残基の置換、挿入、欠失を含む組換え変異体であってもよい。ただし、タンパク質は、少なくともある程度のリガーゼ活性を保持している。アッセイに使用する組換えパーキンはある程度まで修飾する場合が多い。たとえば、組換え発現タンパク質(たとえば、融合タンパク質)の場合、発現を促進するため1〜10個の残基をわずかに変化させること(たとえば、N末端メチオニンの欠失)がよくある。パーキンについては、生成、検出または精製を促進するためにエピトープタグの付加により修飾してもよく、使用してもよい(may be used)。本発明に使用するタンパク質の標識によく用いられるエピトープタグとして、FLAG、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST:glutathione−S−transferase)、ポリヒスチジン(His)(配列番号5)、Myc、マルトース結合タンパク質(MBP:maltose binding protein)が挙げられる。
本アッセイに好適なパーキン形は一般に、同モル量の野生型ヒトパーキンのリガーゼ活性の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、多くの場合少なくとも80%、非常に多くの場合少なくとも90%を保持する。リガーゼ活性を保持するパーキンフラグメントを用いてもよい。通常そうしたフラグメントは、天然パーキン配列の少なくとも400個の連続した残基を含み、多くの場合少なくとも500個の連続した残基を含む。いくつかの実施形態では、本発明に使用するパーキン変異体(variant)は、天然形のパーキンとの配列同一性を少なくとも90%、場合によって少なくとも95%、多くの場合少なくとも98%共有する。2つのタンパク質間の配列同一性は、2つのタンパク質配列を最適に整列させて決定すればよい。タンパク質は手作業で整列させても、またはデフォルトパラメーターを使用してClustalWおよびNCBIアライメントプログラムなどのコンピューター実行アルゴリズムにより整列させてもよい。
また、パーキンソン病のリスクの増大に関連するパーキン変異体を用いてもよいが、少なくともある程度のリガーゼ活性を保持しているものとする。リスクの増大に関連する変異体の例として、167番目のセリンの代わりにアスパラギンを持つパーキン;212番目のシステインの代わりにチロシンを持つパーキン;240番目のトレオニンの代わりにメチオニンを持つパーキン;275番目のアルギニンの代わりにトリプトファンを持つパーキン;289番目のシステインの代わりにグリシンを持つパーキン;または437番目のプロリンの代わりにロイシンを持つパーキンがある。
ii)被験物質
パーキンを安定化および/または活性化する能力に関してスクリーニングが可能な物質の種類については特に限定されるものではない。たとえば、多くの化合物の天然および合成ライブラリーを用いてもよい。たとえば、NCI Open Synthetic Compound Collection library,Bethesda,Md;Pirrung et al.,2008,「Synthetic Libraries of Fungal Natural Products」 ChemInform 39:2;Shang et al.,2005,「Advancing chemistry and biology through diversity−oriented synthesis of natural product−like libraries」 Curr Opin Chem Biol.9:248−58;Webb TR,2005, 「Current directions in the evolution of compound libraries」 Curr Opin Drug Discov Devel.8:303−8;Fodor et al.,1991,Science 251:767−73;Medynski,1994,BioTechnology 12:709−710;Ohlmeyer et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−26;Erb et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422−26;Jayawickreme et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1614−18;and Salmon et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:11708−712)を参照されたい。被験物質は、分子量1000未満、多くの場合500未満の分子など小分子であってもよい。好ましくは、被験物質は血液脳関門を通過できるものであるか、または血液脳関門を通過できる誘導体に改変してもよい。
被験サンプル中の被験物質の濃度は物質の性質によって異なるが、1nM〜5μMの範囲の濃度が一般的である。被験物質は、スクリーニングアッセイに使用する前に濃厚原液(たとえば、DMSOまたは他の適切な緩衝液もしくは溶媒に溶かした500μMの原液)として調製してもよい。候補化合物のスクリーニングおよび確認の過程で、いくつかの種類の濃度の被験物質に対してパーキン活性の作用を測定することができる(たとえば、1nM、10nM、100nM、1μM、10μM、20μMおよび100μM)。一実施形態では、スクリーニングアッセイで10μMおよび/または20μMの被験物質を使用する。被験物質の濃度とは、パーキンタンパク質を熱不安定化条件に曝露したときの状態をいう。以下の考察から、熱不安定化条件への曝露後に、パーキン活性を測定するための試薬を被験サンプルに加えて、容積を増加させ被験物質の濃度を低下させることが明らかになるであろう。
一般に、被験物質は熱不安定化条件への曝露のおりにパーキンとインキュベートする。さらに、被験物質は、数分から数時間(たとえば、1分〜5時間)にわたって非ストレス条件下(たとえば、4℃〜37℃)でパーキンとプレインキュベートしてもよい。通常、試薬の移動手順(たとえば、ピペッティング)により、被験物質をパーキンと組み合わせてから熱不安定化条件に曝露するまでに少なくともある程度の時間のずれが生じることになった。一実施形態では、被験物質をある温度(たとえば、4℃)でパーキンタンパク質に加えてから、熱不安定化条件に曝露する前に被験サンプルを様々な温度(たとえば、37℃)で一定期間インキュベートする。代替の実施形態では、被験物質を既に減弱したパーキンタンパク質に加える。なお別の代替の実施形態では、被験物質を既に減弱したパーキンタンパク質に加えてからさらに熱不安定化させる。
ほとんどの場合、各被験サンプルは、パーキンタンパク質および単一の被験物質を含む。しかしながら、1つの被験サンプルに被験物質の組み合わせを加えてもよい。組み合わせの検査は、たとえば、相加ないし相乗作用の確認に有用な場合がある。
熱不安定化条件
パーキンタンパク質および被験物質を含む被験サンプルについては、通常リガーゼ反応の開始前に熱不安定化条件に曝露する。熱不安定化条件は、被験物質の非存在下でパーキンタンパク質の熱不安定化(または「減弱」)が起こる温度およびインキュベーション時間を含む。熱不安定化はパーキンリガーゼ活性の低下として検出できる。アッセイに使用する典型的な熱不安定化条件では、パーキンリガーゼ活性が、熱不安定化させない(たとえば、アッセイの間4℃で維持される)パーキンタンパク質に比べて約10%〜100%低下する。多くの場合、高温に曝露されていないパーキンを含むコントロールの約40〜80%までパーキン活性を低下させる熱不安定化条件を選択する。好ましくは、コントロールの40〜60%などコントロールの約40%〜70%までパーキン活性を低下させる条件を選択する。熱不安定化条件に曝露したパーキンタンパク質は、「減弱したパーキン」と呼ぶことがある
パーキン減弱のための最適な時間および温度パラメーターは、使用するパーキンタンパク質の緩衝液、濃度、被験サンプル容積および形態によりやや異なる。熱不安定化およびリガーゼアッセイステップに共に好適な緩衝液の1つはアッセイ緩衝液A(50mMのHEPES pH8.8、1mMのDTT、0.005%Tween(登録商標)20および0.1%Pluronic(登録商標)F−127)である。もう1つの好ましい緩衝液は、アッセイ緩衝液B(50mMのHEPES pH8.8、1mMのDTTおよび0.005%Tween(登録商標)20)である。パーキンは通常、0.1マイクログラム/ml〜10mg/mlの範囲の濃度で熱不安定化条件に曝露するが、より高い濃度またはより低い濃度を用いてもよい。被験サンプルの容積は使用するフォーマットによって異なるが、多くの場合50ナノリットル〜50マイクロリットル、より頻繁には500ナノリットル〜5マイクロリットルの範囲である。たとえば、一部のマイクロ流体フォーマットでは被験サンプル容積を小さくしてもよい。一実施形態では、500ナノリットルの反応容量に対してアッセイ緩衝液A中で0.1mg/ml溶解しているパーキンを用いて測定したときに、パーキン活性を約40〜80%低下させる熱不安定化条件を選択する。
パーキンの熱不安定化は通常、45℃を超える温度に曝露することで達成される。実施例1に示すように、以下の、パーキンの熱安定性の変化点は42〜47℃の範囲である。1,536ウェルマイクロタイタープレートのウェルで変性が起こる実験では、これよりもやや高い温度が最適であった。一般に、熱変性条件は45〜60℃の範囲の温度を含み、インキュベーション時間は30分〜3時間の範囲とする。例示的な熱不安定化条件としては、45〜60℃で30〜120分間が挙げられる。たとえば、熱変性は57℃で90分間行ってもよい。他の例では、熱不安定化条件は60℃で150分である。一実施形態では、アッセイ緩衝液A中でパーキン(0.5mg/ml)および被験物質(10μM)を57℃で90分間インキュベートする。
パーキンタンパク質および被験物質を含む被験サンプル中のパーキン活性の測定だけでなく、任意の被験物質の非存在下での減弱したパーキン、さらには熱不安定化条件に曝露されていないパーキンの測定も並行して行われる。これについては、以下の「対照サンプル」という表題のセクションで詳述する。
パーキンリガーゼ活性の決定:材料、フォーマットおよび方法
熱不安定化条件への曝露後、被験(および対照)サンプル中のパーキンリガーゼ活性を決定する。パーキンリガーゼ活性のアッセイは当該技術分野において公知であり、本発明のスクリーニング方法には様々なフォーマットおよび試薬の組み合わせを使用することができる。当然のことながら、本発明のスクリーニング方法はパーキン活性を決定する任意の特定の方法に限定されるものではない。
多くのパーキンリガーゼアッセイの基本的な成分はパーキンタンパク質、ユビキチン活性化酵素E1(たとえば、UBA1、UBA2)、ユビキチン結合酵素E2(たとえば、UbcH7、UbcH6、UbcH8、UbcH13)、ATP(たとえば、Mg−ATP)、ユビキチン、基質(たとえば、標的タンパク質)および適切な緩衝液または反応媒体である。一実施形態では、E1、E2、ATP、ユビキチン、パーキン基質を、減弱したパーキンを含む被験サンプルに一緒に加えてライゲーション反応を開始する。あるいは、アッセイ成分を別々に加えても、連続的に加えてもよい。たとえば、E1、E2、ユビキチンおよびパーキン基質を一緒に被験サンプルに加えてから、ATPを加えてライゲーション反応を開始してもよい。なお別の変更例では、一部のアッセイ成分(たとえば、ATP)を、不安定化条件に曝露する前に加えても構わない。
アッセイ成分は市販されており(たとえば、Boston Biochem Inc.,840 Memorial Drive,Cambridge,MA 02139)、および/またはどの成分も当該技術分野において公知の方法または下記の方法により取得することができる。たとえば、Wee et al.,2000,J.Protein Chemistry 19:489−98;and Zhang et al.,2000 Proc Natl Acad Sci U S A.97:13354−9を参照されたい。アッセイ成分は精製されており、および/または組換え体であってもよく、ヒト、哺乳動物、マウスまたは他の真核生物由来でもよい。いくつかのアッセイ形態では、その成分が同一種由来である(たとえば、パーキン、S5a、E1、E2およびユビキチンがすべてヒト由来、マウス由来など)。
例示的なユビキチン活性化酵素E1としてUBA1(GenBank受託番号X55386)がある。好適なユビキチン結合酵素E2としては、UbcH7、UbcH5、UbcH13およびUbcH13/Uevlが挙げられる。アッセイに使用することができるパーキン基質には、、αシヌクレイン、セプチン−4、26SプロテアソームサブユニットS5a、トロポニン1、推定Gタンパク質共役受容体Pael−R(Imai et al.,2001,Cell 105:891−902)およびパーキンタンパク質自体(自己ユビキチン化)があるが、これに限定されるものではない。好ましい基質はS5a、トロポニン1およびセプチン−4である。
S5aはパーキン基質である(参照によって本明細書に援用する同時係属の米国特許出願第60/898,947号を参照されたい)。S5aは、そのユビキチン相互作用モチーフを介してポリユビキチン鎖に結合するマルチユビキチン結合タンパク質である。S5aについては、Ferrell et al.,1996,「Molecular cloning and expression of a multiubiquitin chain binding subunit of the human 26S protease」FEBS Lett.381(1−2),143−148;Coux et al.,「Structure and functions of the 20S and 26S proteasomes」Annu.Rev.Biochem.65,801−847(1996);Wang et al.,2005,J Mol Biol.348(3):727−39;van Nocker,1996,Mol Cell Biol 16:6020−28;Katzmann et al.,2002,Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.3:893;and Young et al.,1998,J.Biol.Chem.273:5461に記載されている。ヒトS5aの配列は、NCIタンパク質データベースの受託番号NP_002801である(たとえば、配列番号6および配列番号7を参照されたい)。
S5a基質は、アッセイに使えるように修飾してもよい。たとえば、S5aを融合タンパク質として発現させてもよく、たとえば、GSTまたはHisなどのエピトープタグを含ませもよい。GSTタグ付きS5aはBioMol,Inc.(Plymouth Meeting,PA)から購入できる。Hisタグ付きS5aは、Walters et al.,2002 Biochemistry 41:1767−77に記載されているように調製できる。パーキンによりユビキチン化される能力を保持する切断型またはフラグメントを使用してもよく、通常天然S5a配列の少なくとも200個の連続した残基、多くの場合少なくとも300個の連続した残基、多くの場合少なくとも350個の連続した残基、場合によっては少なくとも370個の連続した残基を含む。いくつかの実施形態では、天然ヒトタンパク質との配列同一性が少なくとも90%であるS5aの変異体(NP_002801)を使用し、配列同一性は場合によっては少なくとも95%、配列同一性は多くの場合少なくとも98%である。2つのタンパク質間の配列同一性は、2つのタンパク質配列を最適に整列させて決定すればよい。タンパク質は手作業で整列させても、またはデフォルトパラメーターを使用してClustalWおよびNCBIアライメントプログラムなどのコンピューター実行アルゴリズムにより整列させてもよい。
トロポニン1はトロポニンのサブユニットである(参照によって本明細書に援用する国際公開第2008/095126号を参照されたい)。トロポニンは細い筋フィラメントにおいてアクチンに結合してトロポニン−トロポミオシン複合体を適当な位置に保持する。トロポニン1は融合タンパク質として発現させてもよく、たとえば、GSTまたはHisなどのエピトープタグを含ませもよい。トロポニン1は市販されているか、またはよく知られたプロトコルにより調製することもできる。パーキンによりユビキチン化される能力を保持するトロポニン1の切断型またはフラグメントを使用してもよく、通常天然トロポニン配列の少なくとも150個の連続した残基、多くの場合少なくとも180個の連続した残基、多くの場合少なくとも200個の連続した残基、場合によっては少なくとも205個の連続した残基を含む。いくつかの実施形態では、天然ヒトタンパク質との配列同一性が少なくとも90%であるトロポニン1の変異体(NCIタンパク質データベース受託番号NP_000354;たとえば、配列番号8を参照されたい)を使用し、配列同一性は場合によっては少なくとも95%、配列同一性は多くの場合少なくとも98%である。2つのタンパク質間の配列同一性は、2つのタンパク質配列を最適に整列させて決定すればよい。タンパク質は手作業で整列させても、またはデフォルトパラメーターを使用してClustalWおよびNCBIアライメントプログラムなどのコンピューター実行アルゴリズムにより整列させてもよい。
セプチン4(「Sept4」)は、細胞分裂で役割を果たす保存されたタンパク質ファミリーのメンバーである。これまでにセプチン4には以下の3つのスプライスバリアント:Sept4var1(NCBI受託番号NP_004565)、Sept4var2(「ARTS」とも呼ばれる)(NP_536340)およびSept4var3(NP_536341)が同定されている。Sept4var1およびSept4var3は、Sept4var1がN末端にさらに21個のアミノ酸を含む以外は同一配列を持つ。Sept4var2(ARTS)は、残基1〜247については変異体1および3と配列同一性を共有し、アミノ酸247〜274については配列が異なる(参照によって本明細書に援用するLarisch et al.,2000,Nature Cell Biol 2:915−20を参照されたい)。さらに、それぞれを参照によって本明細書に援用するChance et al.,2006,「Inherited focal,episodic neuropathies:hereditary neuropathy with liability to pressure palsies and hereditary neuralgic amyotrophy」Neuromolecular Med.8(1−2):159−74;Spiliotis et al.,2006「Here come the septins:novel polymers that coordinate intracellular functions and organization」 J Cell Sci 119(pt 1):4−10;Hall et al.,2004,「The pathobiology of the septin gene family」J Pathol.204(4):489−505も参照されたい。Sept4var3はパーキン基質であることが示されている(データなし)。参照によって本明細書に援用する同時係属の米国特許出願第60/939,335号を参照されたい。
本発明のアッセイでは、Sept4タンパク質はSept4var3としてもよい。あるいはSept4タンパク質はSept4var1であってもよい。あるいはSept4タンパク質はSept4var2であってもよい。アイソフォームの変異体、フラグメントおよび混合物を使用してもよい。Sept4のアイソフォーム1およびアイソフォーム3はアミノ末端の21個のアミノ酸残基が異なるだけで、パーキンとの相互作用は同等と考えられる。Sept4var2(ARTS)はアミノ末端の1〜247残基が相同性を持つ。Sept4var2はユビキチン化され、神経細胞の免疫共沈降実験からSept4var2およびパーキンが互いに相互作用することが明らかになった。
いくつかの実施形態では、本発明の方法と共にSept4の切断型を使用してもよい。たとえば、以下の実験例で明らかなように、Sept4変異体は最大N末端の117個のアミノ酸を欠損してもパーキンによりユビキチン化される能力を保持しているため、本発明のアッセイに使用することができる。いくつかの実施形態では、たとえば、挿入、欠失または置換により異なるSept4変異体などSept4の他の変異体を用いて本発明の方法を実施してもよい。有用な変異体はパーキンユビキチン化基質であるという特性を保持しており、これについては当該技術分野において公知であり、本明細書に記載のアッセイにより検査できる。本発明に使用できるSept4の他の変異体としては、Sept4タンパク質との配列同一性を90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%共有する変異体が挙げられる。当業者であれば、2つのタンパク質配列を最適に整列させて変異体が親タンパク質と共有する相同性を容易に決定できる。ClustalWおよびNCBIアライメントプログラムなどのアライメントプログラムは、2つのタンパク質配列を最適に整列させるのに使用できる例示的なプログラムである。
Sept4タンパク質は融合タンパク質として発現させてもよく、たとえば、精製および/またはマイクロタイターウェルなどの基板に対する結合を促進するため、エピトープタグを含ませてもよい。たとえば、Iharaらはバキュロウイルス系を用いて、ヒトおよびマウスからクローニングされたヒスチジンタグ付きSept4タンパク質を発現させている(Ihara et al.,2007,Neuron,53:519−33)。
アッセイの個々のフォーマットに応じて、アッセイ成分を標識または修飾してもよい。たとえば、ユビキチンおよび/または他の成分をビオチン化、タグ化、蛍光標識化(fluorescenated)しても、または別の物質と複合体形成してもよい。たとえば、ビオチン化パーキン基質、およびユビキチンとユーロピウムクリプテートとの複合体を用いて以下に記載するホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF:Homogeneous Time−Resolved Fluorescence)を行う。
上述のように、パーキンリガーゼ反応は、アッセイ試薬を減弱したパーキンを含む調製物に加えることで開始することができる。好適な緩衝液またはキャリア(たとえば、アッセイ緩衝液A)中でE1、E2、Mg−ATP、ユビキチンおよび基質を含む「前混合物」を調製すると都合がよい。一実施形態では、パーキン減弱ステップおよびパーキンリガーゼアッセイを共に同じ媒体(たとえば、アッセイ緩衝液A)で行う。ライゲーション反応は、20〜37℃の範囲の濃度(たとえば、室温、30℃または37℃)で、たとえば、30分〜4時間進行させる。一実施形態では、ライゲーション反応を30℃で180分間行う。
基質(たとえば、S5a)のユビキチン化の速度または程度は、様々なやり方で測定することができる。一方法では、ユビキチン化反応を行い、その反応混合物中のタンパク質を電気泳動により分離し、分離したタンパク質をウエスタンブロットし、このウエスタンブロットを抗基質(たとえば、抗S5a)または抗ユビキチン抗体でプローブし、基質に対するユビキチンの結合を反映する移動度の変化を検出する。図2を参照されたい。ただし、リガーゼ活性の測定には、免疫学に基づくアッセイ(ELISA、免疫沈降、参照によって本明細書に援用するHarlow and Lane,1988,ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい)、質量分光法、電磁スペクトル分光法、クロマトグラフ法、検出可能に標識したユビキチンを用いたアッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)型アッセイなどどのような方法を用いてもよい。好ましいアッセイの1つは蛍光共鳴エネルギー転移(FRET型)アッセイであり、その例を以下に記載する。一実施形態では、ドナー発色団がユビキチンに結合し、アクセプター発色団がパーキン基質に結合しているか、アクセプター発色団がユビキチンに結合し、ドナー発色団がパーキン基質に結合しているFRETアッセイで、パーキンリガーゼ活性を決定する。
アッセイは、特定のエンドポイントにおける基質の単位質量当たりの全ユビキチン化、および/または基質分子のポリ−ユビキチン化の程度(すなわち、ユビキチン鎖の長さ)を測定するように設計してもよい。アッセイは、複数の時点でユビキチン化を測定して、単位時間当たりのユビキチン化レベル(ユビキチン化の「速度」)を決定するように設計しても、または様々な条件下で測定するように設計してもよい。
スクリーニングアッセイは、種々のフォーマットのうちどれを用いて行ってもよい。たとえば、パーキンをマイクロ遠心チューブ内で熱不安定化条件に曝露し、リガーゼ活性アッセイに供してもよい。しかしながら、好ましくはハイスループットスクリーニング(HTS:highthroughput screening)に好適なフォーマットでアッセイを行う。一アプローチでは、マルチウェルプレートを、好ましくは、試薬およびサンプルの自動(ロボット)ハンドリングと併用する。マルチウェルプレートマイクロタイタープレートは、96ウェルプレート、384ウェルプレートおよび1,536ウェルプレートなど複数のフォーマットで入手可能である。別のアプローチでは、マイクロ流体アッセイ装置を用いる。
スクリーニングアッセイでは、複数の被験サンプルを同時にスクリーニングする。各アッセイでスクリーニングする被験物質の数は一般的に少なくとも20、より一般的には少なくとも50、好ましくは少なくとも100、多くの場合少なくとも200、300または400である。スクリーニングアッセイは多くの場合、同一の被験物質を含む複数の被験サンプル(複製および/または濃度の異なるもの)、および対照サンプル(以下に記載)を含む。当然のことながら、本発明のアッセイは、特に安定剤またはアゴニストと推定される被験物質の確認または特徴付けを行うため、単一の被験物質を含めより少ない数の被験物質を用いて行ってもよい。
対照サンプル
アッセイは一般に被験サンプルのほかに、対照または「コントロール」サンプルを含む。
対照サンプルの1つはパーキンを含むが、被験物質を含まず、被験サンプルと同じやり方で別途処理(減弱ステップなど)する。こうした対照のリガーゼ活性は、被験サンプル中のパーキンリガーゼ活性と比較するベースラインとなる。パーキンリガーゼ活性が対照サンプル中のリガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質を、パーキンソン病を処置する候補化合物と同定する。
第2のタイプの対照サンプルは、減弱していないパーキンおよび被験物質を含む。
第3のタイプの対照サンプルは減弱していないパーキンを含むが、被験物質を含まない。こうした対照のリガーゼ活性は、リガーゼアッセイの陽性コントロールとなる。
減弱したパーキンの安定剤である被験物質は、被験サンプルと対照サンプル(単数または複数)とのリガーゼ活性を比較することでパーキン活性のアゴニストと識別することができる。アゴニストであれば、減弱していないパーキン単独の場合と比較して、減弱していないパーキンおよび被験物質(アゴニスト)を含む対照サンプル中の活性を増大させる。このため、本発明はまた、前記化合物の存在下および非存在下で減弱していないパーキンタンパク質をインキュベートすることで、パーキン安定剤である候補化合物をパーキンアゴニストである候補化合物と識別する方法であって、パーキンリガーゼ活性を増大させる化合物をパーキンアゴニストと同定し、パーキンリガーゼ活性を増大させない化合物をパーキン安定剤と同定する方法も提供する。前述の決定は被験物質を減弱したパーキンとインキュベートして候補化合物を同定する一次スクリーンと同時に行ってもよく、および/または候補化合物(単数または複数)を同定してから別のステップとして行ってもよい。1つの被験物質がアゴニスト活性および安定剤としての活性を共に持つ場合があることを理解されよう。
蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)型アッセイ
一実施形態では、スクリーニングに、ホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF)による基質−ユビキチン化アッセイを用いる。このアッセイを図1に図示する。図に示すように、パーキンタンパク質および被験物質を含む被験サンプルを、ビオチン化パーキン基質、E1、E2、ユビキチンユーロピウムクリプレート(Cryplate)複合体[Ub−Eu(K)]をスパイクしたユビキチン、およびMg−ATPを含む前混合物と組み合わせる。一実施形態では、基質はビオチン化S5a(Bt−S5a)である。Ub−Eu(K)は、ATPの存在下でE1によりE2に移され(Ub−Eu(K)−E2)、次いでE2はUb−Eu(K)を基質に移れるように高エネルギーチオールエステル結合で保持する。Ub−Eu(K)はE2からビオチン化基質S5a(Bt−S5a)に移る。アロフィコシアニン標識ストレタビジン(stretavidin)(SA−APC)を加える。Ub−Eu(K)がBt−S5Aに移された場合、Eu3+およびAPCは近接するため、この2つの蛍光標識間でエネルギーの移行が可能になる。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を測定するには、Eu3+を320nmの波長で励起する。次いで時間分解蛍光発光が685nmで検出される。FRETシグナルを補正するには、時間分解蛍光発光を615nm(その波長でのUb−Eu(K)の発光)でも記録する。表示値は以下の通り計算される:比=665nmでの発光/615nmでの発光×10,000。このアッセイでは、基質に移されたユビキチンのみが検出される。遊離Ub−Eu(K)またはUb−Eu(K)−E2からはアッセイシグナルが得られない。好都合なことに、このアッセイでは減弱したパーキンの安定剤およびパーキンアゴニストを共にスクリーニングすることができる。さらに、この種のアッセイの利点として、パーキンの代わりに別のE3リガーゼを用いることで、ヒットと決定された任意の被検化合物の選択性の特徴付けを行えることが挙げられる。本発明のスクリーニング方法には、たとえば、様々なドナー−アクセプター対を使用する変更例(たとえば、Cy3/Cy5;さらに、Kainmuller and Bannwarth,2006,Helvetica Chimica Acta 89:3056−70を参照されたい)など種々のFRET型アッセイを使用できることが、本開示に基づく当業者であれば分かるであろう。
リガーゼ特異性のスクリーン
上述の熱不安定化アッセイにより同定される正のモジュレーターは、パーキンに対する特異性を決定するため追加のスクリーニングステップによりさらに特徴付けが行われる。「特異性」とは、正のモジュレーターが検査対象の複数のE3リガーゼに対してアゴニストまたは安定剤ではないが、もっぱらパーキンのみ、または他のE3リガーゼよりパーキンをより効果的に調節することを意味する。
以下の実施例3に示すように、S5aは複数のE3リガーゼに対する基質である。本発明は、パーキン以外のE3リガーゼを評価することでS5aのライゲーションに対するパーキン活性の正のモジュレーターの特異性を決定するインビトロ法を提供する。一実施形態では、このアッセイでは、(1)パーキン以外のE3リガーゼタンパク質およびS5aタンパク質を、S5aタンパク質がユビキチン化される条件下で一緒にインキュベートする;(2)(1)の条件下、E3タンパク質およびS5aタンパク質を、パーキンの正のモジュレーターの存在下で一緒にインキュベートする;(3)パーキンの正のモジュレーターの存在下でのS5aのユビキチン化の速度または程度を、パーキンの正のモジュレーターの非存在下でのS5aのユビキチン化の速度または程度と比較し、パーキン活性のモジュレーターの存在下でS5aのユビキチン化が相対的に増加することから、パーキン活性モジュレーターが非パーキンE3リガーゼ活性の活性を正に調節する(たとえば、非パーキンE3リガーゼのアゴニストである)ことが明らかにされる。パーキンによるS5aのユビキチン化は調節するが、非パーキンE3によるS5aのユビキチン化を調節することが検出できないパーキン活性モジュレーターを、パーキン特異的な正の調節活性を持つものと同定する。以下の実施例4を参照されたい。また、このアッセイは、E1、E2および上記で論じた他の反応成分の存在下でユビキチン化され得るトロポニン1または他の任意のパーキン基質など異なるパーキン基質を用いて使用してもよい。
パーキンの正のモジュレーターであって、非パーキンのE3によるS5aのユビキチン化も調節するが、パーキン活性を調節するよりも効果が小さいモジュレーターについては、パーキンについて不完全に特異的である、パーキンの正の調節活性を持つと同定する。この文脈において「効果が小さい」とは、パーキン活性を10%増大させるのに必要な化合物の量(濃度)(「EC10」)がパーキンの場合よりも非パーキンについてのE3の場合の方が大きいことを意味する。このアッセイでは、化合物の非存在下での十分な活性の(すなわち、減弱したり、または変性したりしていない)E3リガーゼの総活性を100%と定義する。非パーキンのE3についてのEC10がパーキンについての場合の2倍を超えて大きくなると、不完全に特異的(partial specificity)であることを示し、ただし、非パーキンのE3のEC10は100マイクロモル以下である。好ましくは、EC10は少なくとも5倍、10倍、20倍または100倍大きい。このため、1マイクロモルの濃度でパーキン活性を100%〜110%増大させ、25マイクロモルの濃度で非パーキン活性を100%〜110%増大させる化合物は、不完全特異性を示す。いくつかのアッセイ形態では、パーキンおよび非パーキンのE3が不完全に減弱されていて、十分な活性のリガーゼの活性が100%未満であってもよい。こうした例では、1マイクロモルの濃度で減弱したパーキン活性を50%〜60%増大させ、25マイクロモルの濃度で減弱した非パーキン活性を55%〜65%増大させる化合物は、不完全特異性を示す。当該技術分野において公知の方法により用量反応曲線を作成してもよい。通常は2倍または3倍段階希釈を使用する。通常、検査する濃度は100マイクロモルから50ピコモルの範囲である。非パーキンのE3リガーゼ(単数または複数)のEC10が100マイクロモルを超え、パーキンのEC10よりも少なくとも4倍大きい場合、その化合物はパーキンに対して完全に特異的と見なされる。
非パーキンのE3リガーゼ活性のアッセイ条件は、結果の比較を行うパーキンアッセイで使用する条件と同じでもよいが、必ずしも同じとは限らない。たとえば、E3間の最適な反応条件または補助因子の違いを理由に、修正を行っても構わない。たとえば、E3がMdm2またはMurf1である場合、E2タンパク質はUbcH5としてもよいが、対応するパーキンアッセイでは好ましいE2タンパク質はUbcH7である場合がある。特異性については、アッセイ反応条件および/または検査対象の非パーキンのE3リガーゼ(単数または複数)を参照して報告すればよい。たとえば、実施例4に記載する実験から、検査対象の化合物はMdm2と比較してパーキンに特異的であることが明らかにされる。
熱不安定化アッセイを用いる場合、E3リガーゼは熱変性の条件、すなわち、E3活性を、高温に曝露していないコントロールの約30〜80%まで低下させる条件下でインキュベートする。E3活性をコントロールの40〜60%などコントロールの約40%〜70%まで低下させる条件を選択してもよい。熱不安定化条件に曝露されたE3タンパク質は、「減弱したE3」と呼ぶ場合がある。各E3リガーゼにより変性条件は異なるが、実施例に記載されているように決定すればよい。以下に示すように、E3であるE6APは41℃で1時間のプレインキュベーション後、その活性が50%低下すると考えられる。E3であるMurf1は60℃で1時間のプレインキュベーション後、その活性が50%低下すると考えられる。活性を40〜70%低下させる個々のE3リガーゼの熱変性条件を決定することは、本開示に基づく当業者の技術の範囲内である。
パーキン基質を用いた特異性アッセイには、その基質をユビキチン化できる、哺乳動物の任意のE3リガーゼを用いることができる。たとえば、実施例4に示すように、CHIP、Nedd4、Murf1、E6AP、Mdm2およびSiah2はS5aをユビキチン化することができる。CHIP(Hsp70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)は、熱ショックタンパク質と相互作用し、シャペロン機能を負に制御するテトラトリコペプチド反復配列を含むタンパク質である(たとえば、Ballinger et al.,1999,Mol.Cell.Biol.19:4535−45;Connell et al.,2001,Nat.Cell Biol.3:93−96を参照されたい)。Nedd4(神経前駆細胞の発生に伴い発現が抑制されるタンパク質4)はE3ユビキチンリガーゼファミリーに属する原型タンパク質で、N末端にC2ドメイン、タンパク質の中に2〜4個のWWドメイン、およびC末端の触媒部位にHECTドメインを持つ(たとえば、Ingham et al.,2004,Oncogene 23:1972−1984を参照されたい。Murf1(筋特異的リングフィンガータンパク質1)は、筋肉萎縮の発生の際に重要なタンパク質である(たとえば、Attaix et al.,2005,Essays Biochem.41:173−186を参照されたい)。Mdm2(p53結合タンパク質Mdm2)は、腫瘍抑制因子p53のトランス活性化ドメインに結合するオンコプロテインである(Kussie et al.,1996,Science 274:948−953)。E6AP(ヒトパピローマウイルスE6結合タンパク質)は、ヒトパピローマウイルスE6オンコプロテインとp53との相互作用に関与する(Huibregtse et al.,1993,MoI.Cell.Biol.13:775−784を参照されたい)。Siah2(Seven in absentia homolog 2)は、低酸素に対する細胞応答の制御に関係していると考えられている(たとえば、Nakayama et al.,2004,Cell 117:941−952を参照されたい)。当業者は医学文献を参照すれば他の哺乳動物のE3リガーゼも容易に同定できる。非限定的な例示して、E3ユビキチンリガーゼアトロフィン相互作用タンパク質4(AIP(atrophin−interacting protein)4);EDD(またはHYD);Smurf2;アトロギン−1/MAFbx;RNF8;c−IAP1;SCf−Cdc4;Herc4;gp78;RINCK;Pirh2;Phr1;Triad1;RNF125/TRAC−1;Ufd2p;Ligand−of−Numb protein X1;Cullin4B;HRD−1;DDB2;BRCA1 RING;c−Cbl;HACE1;RNF5;Skp2;mind bomb 1;およびHuwe1が挙げられる。
いくつかの実施形態では、非パーキンのE3はRINGファミリーのメンバーである。いくつかの実施形態では、E3リガーゼはMdm2、Nedd4、Murf1およびE6APから選択される。一実施形態では、E3リガーゼはMurf1またはE6APである。一実施形態では、E3リガーゼはMurf1である。いくつかの形態では、特異性アッセイは、たとえば、トロポニン1などS5a以外のパーキン基質を使用する。
創薬方法
一態様では、本発明は、パーキンソン病の治療および予防に使用される、パーキン活性の正のモジュレーターに関する方法であって、表1Aまたは1Bに示すステップを含む方法を提供する。
ステップ1〜4はどのような順序で行ってもよいが、ただし、ステップ2〜4についてはステップ1と同時か、またはステップ1の後に行う。ステップ4は、セプチン4がパーキン基質ではあるが、他のE3リガーゼの基質でないことを発見したことによる。ステップ1は好ましくは本明細書に上述した熱変性アッセイを用いて行う。いくつかの実施形態では、ステップ2を省略する。いくつかの実施形態では、ステップ2および4を省略する。
候補化合物
パーキンリガーゼ活性が対照サンプル中のリガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質を、「ヒット」またはパーキンソン病を処置する候補化合物と同定する。好ましくは、候補化合物(たとえば、パーキン安定剤)は、熱不安定化(destabization)により低下したリガーゼ活性の少なくとも10%を保持する。たとえば、減弱していないパーキンを含む対照サンプルを100%のリガーゼ活性を持つものと定義し、減弱したパーキンを含むが被験物質を含まない対照サンプルのリガーゼ活性が50%である場合、熱不安定化(destabization)により低下したリガーゼ活性の少なくとも10%を保持するパーキン安定剤は、少なくとも55%の活性を持つことになる。一層好ましくは、候補化合物は、熱不安定化(destabization)により低下したリガーゼ活性の少なくとも25%、リガーゼ活性の少なくとも30%、リガーゼ活性の少なくとも50%、またはリガーゼ活性の少なくとも75%を保持する。
候補物質はパーキン活性を保持する能力に応じてランク付けしてもよい。その順位を記録してもよい(たとえば、印刷する、および/またはコンピューター読み取り可能な媒体に保存する)。
本明細書で使用する場合、「パーキンソン病の処置に有用な物質」または「パーキンソン病を処置する候補化合物」とは、パーキンソン病の患者に対して他の化合物よりも治療効果または予防効果を示す可能性が高いと見なされた化合物、すなわち、薬剤候補をいうことが理解されよう。創薬プロセスに精通した人であれば、薬剤候補については患者に投与する前にさらに試験(たとえば、動物を用いたインビボ試験)を行う場合があることが理解されよう。また、ヒトへの投与が認められた物質は薬剤候補の誘導体または化学修飾体であってもよいことは言うまでもない。
例として、リード化合物を修飾してプロドラッグ形態を製造してもよい。たとえば、リード化合物にエステル結合を加えて薬学的に許容されるエステル(たとえば、化合物またはその塩を製造するのに生理的に適切な条件下で加水分解するエステル)を製造しても、または化合物に保護基を加えてもよい。好適なエステル基の説明例として、ホルマート、アセタート、プロピオナート、ブチラート、スクシナートおよびコハク酸エチルがあるが、これに限定されるものではない。種々の保護基については、たとえば、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に開示されている。好適なプロドラッグ誘導体の選択および調製に関する従来の手順は当該技術分野において公知であり、たとえば、「Design of Prodrugs,」H.Bundgaard ed.,Elsevier,1985,and B.Testa「Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology,2003,Wiley−VCHに記載されている。
同様に、ポリケチド化合物の水溶性も、可溶化官能基を含む基を化合物に加えるか、または化合物から疎水基を除去して化合物の親油性を低下させることで向上させることができる。可溶化官能基を含む典型的な基として、2−(ジメチルアミノエチル)アミノ、ピペリジニル、N−アルキルピペリジニル、ヘキサヒドロピラニル、フルフリル、テトラヒドロフルフリル、ピロリジニル、N−アルキルピロリジニル、ピペラジニルアミノ、N−アルキルピペラジニル、モルホリニル、N−アルキルアジリジニルメチル、(1−アザビシクロ[1.3.0]ヘキス−1−イル)エチル、2−(N−メチルピロリジン−2−イル)エチル、2−(4−イミダゾリル)エチル、2−(1−メチル−4−イミダゾリル)エチル、2−(1−メチル−5−イミダゾリル)エチル、2−(4−ピリジル)エチルおよび3−(4−モルホリノ)−1−プロピルがあるが、これに限定されるものではない。
本発明により同定される化合物の修飾体は他にも多くあり、薬化学の技法により得られることが当業者には明らかであろう。
候補生成物(修飾の有無は関係ない)は、保存、安定性または投与の観点から使用前に製剤化してもよい。たとえば、生成物は、薬学的に許容される塩として製剤化してもよい。化合物の薬学的に許容される好適な塩として、たとえば、化合物の溶液を塩酸、臭化水素酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、炭酸または同種のものなど薬学的に許容される酸の溶液と混合して形成できる酸付加塩が挙げられる。化合物に1つまたは複数の酸性部分がある場合、薬学的に許容される塩は、化合物の溶液を水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、アルキルアミンまたは同種のものなど薬学的に許容される塩基の溶液と処理して形成することができる。
生成物は被検体への投与の前に、たとえば、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせるなど当該技術分野において周知の方法により医薬組成物として製剤化してもよい。「薬学的に許容されるキャリア」という用語は、化合物の所望の剤形を調製するのに使用される媒体をいう。薬学的に許容されるキャリアは、1種または複数種の溶媒、希釈液もしくは他の液体ビヒクル;分散液もしくは懸濁助剤;界面活性剤;等張剤;増粘剤もしくは乳化剤;防腐剤;固体バインダー;潤滑剤;および同種のものを含んでもよい。Remmington and Gennaro,2006 Remington the science and practice of pharmacy.21st Edition.Baltimore,Md,Lippincott Williams & Wilkins and Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe ed.(American Pharmaceutical Assoc.2000)には、医薬組成物の製剤化に使用される様々なキャリアおよびそれを調製する周知の技法が開示されている。
組成物は、固形、半固形または液状など任意の好適な形態で投与すればよい。Allen et al.,(2005).Ansel’s pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems.Philadelphia,Lippincott Williams & Wilkins 8th Editionを参照されたい。例示であり限定ではないが、実施形態の1つでは、ポリケチドは外用、内用または非経口用に好適な有機または無機キャリアまたは賦形剤と混合して組み合わせる。活性成分は、たとえば、通常の無毒の薬学的に許容されるキャリアと配合して錠剤、ペレット、カプセル、坐剤、ペッサリー、溶液剤、エマルジョン、懸濁剤および使用に好適な他の任意の形態としてもよい。使用できるキャリアとしては、水、グルコース、ラクトース、ゴムアカシア、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトスターチ、尿素、および固形、半固形または液状の調製物の製造に使用するのに好適な他のキャリアが挙げられる。さらに、補助安定化剤、増粘剤および着色剤および芳香剤を使用してもよい。
一態様では、本発明は、上記に開示した方法により同定されるパーキン活性の正のモジュレーターを提供する。この物質は、分子量1000未満、多くの場合500未満の分子など小分子であってもよい。一実施形態では、この物質は、パーキンを安定化したり(すなわち、過剰発現したときでもパーキンを活性コンフォメーションに維持する)、またはミスフォールドしたパーキン変異体を本来のフォールディングに導いたりすることができる「化学シャペロン」である。本発明はさらに、治療有効量の化合物を投与してパーキンソン病と診断された被検体を処置する方法も提供する。本発明はさらに、予防有効量の化合物を投与してパーキンソン病の発症リスクが平均より高いと決定された被検体を処置する方法も提供する。
(実施例1)
パーキンタンパク質の熱減弱のパラメーター
パーキンの減弱(熱不安定化)およびインビトロアッセイを50ulのエッペンドルフチューブアッセイフォーマットで行い、続いてS5aに対する抗体のウエスタンブロッティングし、パーキンによるS5aのユビキチン化の程度を評価した。
パーキンタンパク質を37、42、47および51℃で2時間プレインキュベートし、パーキンタンパク質を熱不安定化させた。2種類のパーキンタンパク質調製物を使用した。調製物1(「His−パーキン」)はヒスチジンタグ付きパーキンである(米国特許出願公開第2007/0212679号に記載)。調製物2(「GST−パーキン」)はグルタチオンS−トランスフェラーゼタグ付きパーキンである。熱不安定化後、パーキンを氷上で10分間インキュベートし、次いでE1、E2(UbcH7)、S5a、Mg−ATPおよびユビキチンを含むリガーゼアッセイ反応混合物を加えた。
反応混合物を37℃で90分間インキュベートし、4×Laemmliサンプル緩衝液で止めてから、S5aに対する抗体で免疫ブロットした。
結果を図2に示す。2種類の方法を用いて作製され、2つの異なるエピトープタグを持つパーキン調製物から同じ熱不安定化パラメーターが確認されたため、この実験によりパーキンが安定にフォールディングされない固有の温度が示唆される。パーキン熱安定性の変化点は42℃〜47℃である。
(実施例2)
FRETスクリーンの確認
図3は、上述のFRETフォーマットを用いた熱変性アッセイの結果を示す。1,536ウェルアッセイプレートを使用した。この実験では、被検化合物を加えなかった。サンプルは表記したように、十分に活性なパーキンまたは減弱したパーキンを含むか、またはパーキンを含んでいなかった。アッセイの表示値から、サンプルが明確に分離されることが示される。
(実施例3)
パーキン安定剤およびアゴニストの超ハイスループットスクリーン(UHT(Ultra−High−Throughput)スクリーン)
本発明のFRET型アッセイを用いて260,691個の化合物をスクリーニングし、784個の化合物を、パーキンソン病を処置する候補化合物として確認した。パーキンは、被検化合物の存在下で57℃にて90分間曝露して熱減弱させた。減弱後、アッセイ試薬混合物(E1、E2、Eu−(K)−ユビキチン、Mg−ATPおよびビオチン化S5a)を加え、30℃でインキュベートし、残存するパーキン活性を測定した。ビオチン化基質Bt−S5aのユビキチン化(ubiquitinylation)を、アロフィコシアニンAPC(XL−665、Cisbio Inc.,Bedford,MA 01730)を架橋したストレプトアビジン結合アクセプター試薬を加えて基質のEu−(K)−ユビキチンとAPCとの間のFRETシグナルを測定することで決定した。このアッセイについては、以下の段落でより詳細に記載する。
熱不安定化
i)アッセイ緩衝液A(50mMのHepes pH8.8、1mMのDTT、0.005%Tween(登録商標)20および0.1%Pluronic(登録商標)F−127)に溶かした0.05mg/mlのGST−パーキン1uLを1536ウェルプレートのウェルに加えた。
ii)被験サンプルのウェルに10または20nLの被験物質(DMSOに溶かした500uMの原液)を加え、対照サンプルのウェルに未希釈DMSOを加えた。
iii)サンプルを57℃で90分間インキュベートした。
減弱していないパーキンの対照サンプル
i)アッセイ緩衝液Aに溶かした0.05mg/mlのGST−パーキン1uLを1,536ウェルプレートのウェルに加えた(十分に活性なパーキンを含むウェル)。
ライゲーションアッセイおよび検出
i)アッセイ成分を含む500nLの前混合物を最終濃度:
15nMのE1
300nMのE2
1mMのMg−ATP
400nMのBt−S5a
20nMのUb−Eu(K)
800nMのUb
になるように各ウェルに加えた。
ii)ライゲーション(ユビキチン化(ubiquitinylation))反応を30℃で180分を進行させた。
iii)3uLの停止−検出混合液を、100mMのNaPi pH7.0、100nMのストレプトアビジン結合XL665(SA−XL665)、400mMのKF、16mMのEDTAおよび0.1%BSAを含む原液に最終濃度が75nMのSA−XL665、300mMのKF、12mMのEDTAになるように加えた。
iv)4uLの反応混合物を室温で45分インキュベート(incubation)した。
v)以下のパラメーターを用いてEnVision装置(ParkinElmer)でHTRFを読み取った:
a)励起320nm。
b)測定した発光665nmおよび615nm。
c)ディレイタイム:70μs。
d)時間窓100μs。
e)照射間隔:2000μs。
一次スクリーンの結果
i)260,691個の化合物それぞれの反復試験片4〜5個を20uMでスクリーニングした。
ii)平均の減弱効率は61%であった。
iii)ヒットの閾値は、全プレートの中央値3*σ(すなわち、対照の閾値は18.62%活性化)または特定のプレートの個別の3*σのいずれか大きい方とした。
iv)3288個の一次ヒット化合物が同定され、1.3%のヒット率を示した。
確認スクリーンの結果
i)3,288個の一次ヒット化合物それぞれの反復試験片4〜5個を試験した。
ii)平均の減弱効率は67.4%であった。
iii)対照のヒットの閾値は14.72%であった。ヒットが「確認される」閾値を超える反復試験片は半数未満でなければならない。
iv)784個の化合物をヒットと確認し、確認率は24%を示した。
(実施例4)
選択性スクリーニングの代替E3リガーゼ
この実施例では、本明細書に開示したスクリーニング方法を用いてパーキン活性の正のモジュレーターの特異性が確認できることを説明する。この方法では、パーキン活性の正のモジュレーターの特異性を、a)パーキン以外のE3リガーゼタンパク質およびパーキン基質タンパク質を基質がユビキチン化される条件下で一緒にインキュベートし;(b)(a)の条件下、E3リガーゼタンパク質およびパーキン基質タンパク質をパーキン活性の正のモジュレーターの存在下でインキュベートし;(c)正のモジュレーターの存在下および非存在下でのE3リガーゼのリガーゼ活性を比較し、正のモジュレーターが存在するときにE3リガーゼ活性が増大すると、正のモジュレーターがパーキンに完全には特異的でないことが示され、増大がないときは、正のモジュレーターがパーキンに完全に特異的であることが示されることにより決定する。
E3リガーゼはユビキチン化酵素の最大のファミリーであり、現在、数百の推定配列が同定されている。E3リガーゼには、以下の構造および作用機序に基づき分類された3つのファミリーがある:(1)E6APカルボキシ末端と相同性のあるもの(HECT:omologous to 6AP arboxy erminus)、(2)非常に興味深い新しい遺伝子(RING:eally nteresting ew ene)および(3)UFD2ホモロジー(U−box)。本発明のアッセイは、たとえば、RING E3でも、U−box E3でも、またはHECT E3でもよい。パーキンはRINGファミリーのメンバーであるため、化合物スクリーニングの代替リガーゼとしては別のRINGファミリーのE3を用いるのが最も有用と考えられる。しかしながら、E3リガーゼはこれまでのところ発現させるのが難しい。したがって、我々は各ファミリーからE3リガーゼを選択してS5aをユビキチン化する能力を検査した。二次スクリーンに使用する理想的なE3リガーゼは、十分に発現し、パーキン用のユビキチン化アッセイで使用する反応条件下で高活性を持ち、熱変性アッセイにおいてパーキンの破壊に使用するのと同様の条件下で熱変性できるものであろう。パーキンは変性温度が45〜60℃であることが判明している。特異性スクリーニングの理想的なE3リガーゼは、熱変性温度の範囲が、パーキンのスクリーニング用に開発された熱ストレスアッセイで使用する45〜60℃であろう。
我々は、下記(セクションB)のように6種のE3リガーゼ(CHIP、Nedd4、Murf1、Mdm2、E6APおよびSiah2)を発現させ精製した。Siah2を除いてどのE3リガーゼもS5aを高活性でユビキチン化することができた。Siah2はS5aをユビキチン化したが、非常に低活性であった。以下のセクションCを参照されたい。
次いで我々は、4℃〜60℃の範囲の温度でのプレインキュベーション後、E3リガーゼがS5aをユビキチン化する能力を試験した。CHIPおよびSiah2を除く全E3について熱変性温度を評価した。以下のセクションCを参照されたい。試験対象のE3それぞれについて活性の約50%が失われた温度を表2に示す。
我々は、この実験を踏まえてNedd4、E6APおよびMurf1がどれも優れた発現、精製およびS5aに対する活性を示すと結論した。CHIPはよく発現し、S5aに対する活性も適切であったが、あまり純粋なサンプルではなかった。Siah2はよく発現し、精製されたが、S5aに対して非常に低い活性を示した。Nedd4、E6AP、Murf1およびMdm2の熱変性の特性を評価した。Nedd4は37℃で60分間のインキュベーション後に活性であったが、90分後には活性が失われた。Mdm2は60℃でのプレインキュベーション後も十分な活性を持っていた。E6APは41℃で熱変性を示し、Murf1は60℃で熱変性を示した。
こうした結果をすべて考慮すると、E6APおよびMurf1の2種が、熱変性に基づく特異性スクリーニングに使用するのに最も有望なE3リガーゼであった。Murf1はパーキンと同様、RING E3であるため、リガーゼの二次スクリーンにはMurf1が特に好適である。
A.E3リガーゼの発現および精製
E3リガーゼのGST融合体をコードする発現プラスミドをBL21 DE3 pLysS細胞に形質転換し、アンピシリン耐性で選択した。細胞を選択培地で一晩増殖させ、翌朝1:10倍に希釈した。細胞密度がOD600で測定して対数増殖期に達したら、1mMのIPTGで発現を誘導した。発現は温度および時間によって異なった。これを以下の表3に示す。さらに、E3タンパク質の精製に使用したアフィニティーカラムの種類およびタンパク質を透析した最終緩衝液も掲載する。
発現および精製はPAGEによりクマシー染色を用いてモニターし、目的のタンパク質を含む溶出画分を同定した。
B.基質としてのS5aの使用能力
各E3リガーゼについて、S5aを基質として用いたユビキチン化アッセイを行った。簡単に説明すると、ユビキチン化反応物は、50nMのE1、1mMのMgATP、5μMのUbcH7、0.2mg/mLのE3、200nMのユビキチンおよび200nMのS5aを含んでいた。ユビキチン化反応物を37℃で1時間インキュベートし、サンプルを0、30’および60’時に採取した。サンプルをSDS−PAGEにかけ、イモビロンにトランスファーし、S5aに対するモノクローナル抗体(BioMol)を用いてウエスタンブロットした。
C.E3リガーゼの熱変性
熱変性特性E3リガーゼの特徴付けを行うため、E3を4℃〜60℃の範囲の温度(Mdm2およびNedd4は4、37、45、50および60℃;Murf1は4、37、50、60、70および80℃;E6APは37、39、41、43および45℃で90分間プレインキュベートした。90分時に、50nMのE1、1mMのMg−ATP、5μMのUbcH7(Mdm2およびMurf1ではUbcH5)、200nMのユビキチンおよび200nMのS5aを含む前混合物を作製した。この前混合物を0.2mg/mLのE3リガーゼに加え、37℃で60分間インキュベートした。サンプルをSDS−PAGEにかけ、S5aに対するモノクローナル抗体(BioMol)を用いてウエスタンブロッティングにより評価した。
パーキンは45℃〜50℃でその活性の約50%を失ったが、これは先の実験と整合している。Mdm2は60℃でのプレインキュベーション後も活性を保持するようだ。Nedd4は、試験した条件下、4℃を除くどの温度でもプレインキュベーション後に活性を失うようであった。E6APは、41℃でのプレインキュベーション後にその活性の50%を失うと見られたため、我々は37℃〜45℃の温度範囲でこの実験を繰り返し、E6APが熱変性を受けるより具体的な温度を決定した。Murf1は、60℃でその活性の50%を失うようであった。
(実施例5)
リガーゼ選択性のスクリーニング
パーキンのE3リガーゼ活性を阻害または増強する物質(以下「正のモジュレーター」という場合がある)は、S5aをパーキン基質としたアッセイを用いて同定することができる。本明細書に開示した新たなスクリーニング方法を用いれば、パーキン−S5a相互作用に対する正のモジュレーターの特異性を確認することができる。パーキンによるS5aのユビキチン化は調節するが、別のE3リガーゼによるS5aのユビキチン化は調節しない物質は、パーキンに特異的な正の調節活性を持つ物質と同定される。
図4は、パーキン活性の正のモジュレーター(GST−パーキンPS/UbcH7を用いたEC50=2.8uM)についてE3リガーゼMdm2に対する作用を試験した実験を示す。GST−Mdm2は、1536ウェルフォーマットに100nMのUbcH5aと一緒に0.005mg/mlの濃度で使用した。図に示すように、パーキン活性の正のモジュレーターはMdm2の活性を増大させなかったことから、この正のモジュレーターがパーキンに対して特異性を持つことが明らかになった。この実験では熱変性ステップを用いなかった。
本明細書に引用する刊行物および特許文書(特許、公開された特許出願および未公開の特許出願)はすべて、参照によって本明細書に援用するために、そうした各刊行物および文書を具体的に個々に示しているかのように参照によって本明細書に援用する。刊行物および特許文書の引用は、そうした文書のいずれかが適当な従来技術であることを認めることを意図するものではなく、そうした文書の内容または日付を承認することにもならない。本発明について書面による説明および実施例によって記載してきたが、当業者であれば、本発明が種々の実施形態により実施することができ、かつ前述の説明および実施例は説明のためのものであり、以下の特許請求の範囲を限定するものでないことを理解するであろう。

Claims (25)

  1. a)それぞれが
    i)パーキンタンパク質および
    ii)複数の被験物質のうちの1種
    を含む複数の被験サンプルを熱不安定化条件に曝露すること;
    b)該被験サンプル中のパーキンリガーゼ活性を、被験物質の非存在下で熱不安定化条件に曝露したパーキンタンパク質を含むコントロールサンプルと比較して決定すること
    を含むスクリーニングアッセイであって、
    パーキンリガーゼ活性が該コントロールサンプル中の該リガーゼ活性を上回る被験サンプル中に含まれる被験物質は、パーキンソン病の処置のための候補化合物と同定される
    アッセイ。
  2. 被験物質の非存在下で前記熱不安定化条件に曝露したパーキンはその当初のE3リガーゼ活性の40〜70%を保持する、請求項1に記載のアッセイ。
  3. 前記熱不安定化条件は45〜60℃の温度での30〜180分間のインキュベーションを含む、請求項2に記載のアッセイ。
  4. 前記熱不安定化条件は約57℃の温度での約90分間のインキュベーションを含む、請求項2に記載のアッセイ。
  5. 前記熱不安定化条件は約60℃の温度での約150分間のインキュベーションを含む、請求項2に記載のアッセイ。
  6. パーキンリガーゼ活性はパーキンタンパク質、ユビキチン活性化酵素E1、ユビキチン結合酵素E2、ATP、ユビキチンおよびパーキン基質を適切な緩衝液中で組み合わせ、その組み合わせたものを20〜37℃でインキュベートし、該パーキン基質のユビキチン化の速度または程度を測定することで決定される、請求項1に記載のアッセイ。
  7. 前記パーキン基質はS5a、セプチン4またはトロポニン1である、請求項6に記載のアッセイ。
  8. 前記パーキン基質はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現されるS5aである、請求項7に記載のアッセイ。
  9. パーキンリガーゼ活性はドナー発色団がユビキチンに結合し、アクセプター発色団がパーキン基質に結合しているか、またはドナー発色団がパーキン基質に結合し、アクセプター発色団がユビキチンに結合している蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイを用いて決定される、請求項1に記載のアッセイ。
  10. 前記ドナー発色団はユーロピウムクリプレート(cryplate)であり、前記アクセプター発色団はアロフィコシアニンである、請求項9に記載のアッセイ。
  11. 前記パーキン基質はS5aである、請求項9に記載のアッセイ。
  12. 1536ウェルプレートで行われる、請求項9に記載のアッセイ。
  13. パーキン安定剤であるパーキン活性の正のモジュレーターをパーキンアゴニストである候補化合物と識別することをさらに含む請求項1に記載のアッセイであって、
    該化合物の存在下および非存在下で、減弱していないパーキンタンパク質をインキュベートし、パーキンリガーゼ活性を増大させる化合物はパーキンアゴニストと同定され、パーキンリガーゼ活性を増大させない化合物はパーキン安定剤と同定されること
    を含む、アッセイ。
  14. 前記候補化合物をそれに対応する被験サンプルの前記パーキンリガーゼ活性に応じてランク付けすることをさらに含む、請求項1に記載のアッセイ。
  15. パーキン活性の正のモジュレーターの特異性を評価するインビトロ法であって、該インビトロ法は、
    (a)請求項1に記載の方法を用いてパーキンの正のモジュレーターを同定すること
    (b)パーキン以外のE3リガーゼタンパク質およびパーキン基質タンパク質を該基質がユビキチン化される条件下で一緒にインキュベートすること;
    (c)(b)の条件下、該E3リガーゼタンパク質および該パーキン基質タンパク質をパーキン活性の正のモジュレーターの存在下で一緒にインキュベートすること;
    (d)該正のモジュレーターの存在下および非存在下で該E3リガーゼのリガーゼ活性を比較することを含み、該正のモジュレーターが存在する場合、E3リガーゼ活性における増大は、該正のモジュレーターがパーキンに完全には特異的でないことを示し、増大がないことは、正のモジュレーターがパーキンに完全に特異的であることを示す、
    インビトロ法。
  16. 前記正のモジュレーターの存在下での基質のユビキチン化の増大は、該正のモジュレーターがパーキンに完全には特異的でないが、正のモジュレーターは不完全に特異的であることを示し、ここで、不完全に特異的とは、前記非パーキンのE3についてのEC10が100マイクロモル以下であり、パーキンについてのEC10よりも少なくとも4倍大きいことと定義される、請求項15に記載のインビトロアッセイ。
  17. 前記パーキン基質はS5aである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記パーキン基質はトロポニン1である、請求項15に記載の方法。
  19. 前記E3リガーゼタンパク質はRING E3リガーゼである、請求項15に記載の方法。
  20. 前記E3リガーゼタンパク質はMdm2、Nedd4、Murf1およびE6APからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  21. 前記E3リガーゼタンパク質はMurf1である、請求項20に記載の方法。
  22. パーキンソン病の処置のための化合物を選択する方法であって:(a)パーキン活性の正のモジュレーターを同定すること;(b)(a)の正のモジュレーターをパーキン安定剤またはパーキンアゴニストと同定すること;(c)パーキン以外のE3リガーゼによるパーキン基質のユビキチン化に対する該モジュレーターの作用に基づき、パーキン特異的である正のモジュレーターを選択すること(d)パーキンによる複数のパーキン基質のユビキチン化を正に調節する能力に基づき、基質特異的でない正のモジュレーターを選択することを含む、方法。
  23. 前記複数のパーキン基質はセプチン4を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記複数のパーキン基質はセプチン4と、S5aまたはトロポニン1の一方または両方とを含む、請求項22に記載の方法。
  25. パーキンソン病を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者に請求項1に記載の方法により同定された候補化合物を投与すること、またはそのような候補化合物の誘導体を投与することを含む、方法。
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