JP2011511937A - 質量分析におけるイオンフラグメンテーション - Google Patents

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Abstract

イオンフラグメンテーションのための衝突セルを使用するタンデム質量分析計において、システム構成要素の放電上限に到達することなく、またはそれを超えることなく、衝突誘起解離(CID)のために必要とされる衝突エネルギーの上限が拡大され得る。本教示は、イオンの電位エネルギーをCIDフラグメンテーションのために十分な所定のレベルまで引き上げる一方、無放電条件を満たす方法について説明する。また、本教示は、生成イオンが質量分析のための十分なエネルギーを有するように、CIDフラグメンテーション後、フラグメントイオンの電位エネルギーを引き上げる方法について説明する。

Description

本教示は、タンデム質量分析におけるイオンフラグメンテーション向上のための方法および装置に関する。
タンデム質量分析技術は、典型的には、質量分析計内で物理的変化を受けたイオンの検出を伴う。多くの場合、物理的変化は、選択された前駆体イオンを解離またはフラグメント化し、得られたフラグメントまたは生成イオンの質量スペクトルを記録することを伴う。例えば、タンデム質量分析(MS/MSまたはMS2)スペクトルを得るために使用される一般的アプローチは、好適なm/z分析器によって、選択された前駆体イオンを隔離し、解離を誘起するための中性ガスと前駆体イオンをエネルギー衝突させ、最後に、質量スペクトルを発生させるために、生成イオンを質量分析することを含み得る。生成イオン質量スペクトル内の情報は、多くの場合、前駆体イオンの構造を解明する際の有用な補助となり得る。
典型的には、イオンは、不活性ガスの標的分子との衝突の作用によって、衝突セル内でフラグメント化または解離される。衝突のための駆動力は、概して、セル内での励起場の印加によって、またはイオンがセル中へと移動する間のイオンの軸方向エネルギーを増加させることによって誘起される。イオンの軸方向エネルギーは、衝突セルと、セルの上流に位置するイオンガイドまたは静電レンズ等の1つ以上の構成要素との間の電位差の関数であり得る。
概して、質量分析計システムは、イオンが発生される領域(イオン源)と、イオンが質量分析される領域との間に延在する電位勾配によって動作する。システム内の任意の2つの構成要素間に印加され得る最大電位は、局在圧力または構成要素の幾何学形状等の局在的条件下、静電放電限によって制限される。結果として、システムを通じて電位勾配を維持するが、イオンに対して利用可能な軸方向エネルギーの上限範囲は、システムの各構成要素に印加される対応する電圧によって制限され得る。例えば、リン酸ポリペプチド等のある分子は、高m/z値(約2200ダルトン以上)を伴うイオンを有するものとして特徴付けられ、それによって、解離のために必要とされる衝突エネルギーは、非常に高く、200−300eVを超過し得る。このレベルのエネルギーを大イオンに付与するためには、高DC電圧(>500V)を1つ以上の構成要素に印加する必要がある場合がある。しかしながら、これは、放電のための電位の理由から、選択肢とはなり得ない。低無放電電圧は、持続され得るが、イオンに付与される低軸方向エネルギーは、効率的衝突誘起解離を達成するためには不十分である場合がある。
上述に照らして、本教示は、質量分析のためのイオンフラグメンテーション向上の方法を提供する。本方法は、イオン源からイオンを受け入れ、イオンを低電位エネルギーで保存するように構成された高圧イオンガイドを提供することを含む。障壁静電場が、例えば、イオンを保存するための高圧イオンガイドの1つ以上の端部に確立され得る。保存されたイオンの電位エネルギーは、例えば、高圧イオンガイドの下流の衝突誘起解離のためのエネルギー要件による所定のレベルまで、高圧イオンガイドのDCオフセット電圧を増加させることによって上昇され得る。保存されたイオンが障壁静電場を克服するために十分なエネルギーを有すると、保存されたイオンは、高圧イオンガイドから放出および加速され得る。また、放出されたイオンは、前駆体イオンが、CIDフラグメンテーションのための十分な電位エネルギーによって、衝突セル内へと透過され得るように、完全質量透過または質量選択的透過を受け得る。CIDフラグメンテーションによって生成される生成イオンは、飛行時間質量分析器または四重極質量分析器等の質量分析器によって分析され得る。
また、本方法は、イオン源からイオンを受け入れるように構成された高圧イオンガイドを提供し、生成イオンを保存するように構成された衝突セルを提供することを含む。衝突セルは、例えば、負のDCオフセット電圧が高圧イオンガイドの上流の無放電条件を維持することを可能にする状態と、電位井戸が生成イオンを保存する状態とによって構成され得る。イオンは、高圧イオンガイドから加速し、衝突セル内へと透過される前駆体イオンをもたらし得る。また、加速されたイオンは、前駆体イオンが衝突セル内へと透過され得るように、完全質量透過または質量選択的透過を受け得る。前駆体イオンは、衝突セル内の背景ガスと衝突し、衝突セルの電位井戸内における保存のための生成イオンを生成し得る。保存された生成イオンの電位エネルギーは、飛行時間質量分析器または四重極質量分析器等の質量分析器による分析のために、衝突セルから生成イオンを放出するための十分な所定のレベルまで上昇され得る。
本教示のこれらおよび他の特徴は、本明細書に記載される。
当業者は、後述の図面が例証目的に過ぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも制限することを意図しない。
添付の図面は以下のとおりである。
図1は、本教示に従って使用され得る種類の従来技術の質量分析計の概略図である。 図2は、従来技術のイオン通路の概略図と、その対応する相対的電圧プロファイルである。 図3は、本教示に従う、イオン通路の概略図と、その対応する相対的電圧プロファイルである。 図4は、本教示の種々の実施形態の概略図である。 図5は、既知の化合物の例示的質量スペクトルであって、本教示に従う、タンデム質量分析計の性能を実証する。
図面中、同一参照番号は、同一部品を含む。
種々の要素を参照して、本教示と関連して使用される語句「a」または「an」は、別途明確に文脈に指示されない限り、「1つ以上」あるいは「少なくとも1つ」を包含することを理解されたい。最初に、図1を参照すると、本教示が使用され得る種類の従来技術の質量分析計20が図式的に示される。質量分析計20の構成要素は、着目試料からイオンを提供するように構成されるイオン源22を備える。(試料の種類に応じて)マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレー、またはイオンスプレー源等のレーザ脱離イオン化源であり得るイオン源22は、気圧または略気圧で動作する、あるいは背景ガスによって規定される圧力で動作する、高圧P0領域内に位置付けられ得る。イオン源22から、イオンは、矢印によって示されるように、軸方向Zに沿って、入口開口24(また、一般的に、オリフィスとしても知られる)を通じて、真空チャンバ26内へと進行し得る。真空チャンバ26は、チャンバ開口間28、30、32によって画定されるように、差動排気される段階へと分割され得る。真空チャンバ26の各段階における圧力P1、P2、P3、およびP4は、それぞれ、真空ポンプ34、36、38、40によって維持され得る。真空チャンバ26は、イオンガイドQ0、Q1、Q2と、質量分析器42とを含み得る一方、適切なRFおよびDC電圧が、電源44、46、48から、イオンガイドQ0、Q1、Q2に印加され得る。概して、1乃至10ミリトルの圧力P2で動作する高圧イオンガイドQ0によって受け取られるイオンは、米国特許第4,963,736号に説明されるように、半径方向閉じ込めおよび衝突集束に曝され得る一方、イオンガイドQ1は、選択的質量電荷比(m/z)を有するイオンを透過させるためのイオン質量フィルタとして(RF/DC電圧)、または全イオンを無差別に完全透過させるためのイオンガイドとして(RF電圧のみ)機能し得る。イオンガイドQ2は、主として、筐体50内に封入され、衝突セルとして機能するように構成される。筐体50は、衝突誘起解離(CID)によるフラグメンテーションのための前駆体イオンと衝突する標的分子の供給を維持するために、不活性ガスで裏込め充填され得る。開口24、28、30、32はそれぞれ、後述されるように、種々の電源に接続され、その間に、すなわち、異なるイオン機能を果たす種々の段階のためのイオンガイドQ0、Q1、Q2に対して、電場を確立する静電レンズとして構成され得る。
イオン源22からのイオンが、低電位エネルギーで保存され、より高い電位エネルギーへと上昇され、衝突誘起解離のために十分なエネルギーで放出される方法を理解する助けとして、次に、図2を参照する。図1による上述のイオンガイドおよびレンズは、イオン通路52によって表され得る一方、これらの構成要素に印加される対応する相対的電圧レベルは、電位プロファイル54(イオン通路52に沿った軸方向位置Zの関数としての電圧)によってグラフによって示される。便宜上、開口24、28、30は、さらなる静電レンズIQ2、IQ3とともに、それぞれ、オリフィスOR、スキマーSK、および四重極間レンズIQ1として指定されている。OR、SK、Q0、IQ1、Q1、IQ2、Q2、IQ3にかかる適切な電圧によって、電位プロファイル54によって示されるように、ORとレンズIQ3との間の電位勾配が確立され、対応する下流方向に軸方向電場を存続させ得る。上述のように、電場を生成する方法の1つは、種々のDC電圧を静電レンズに印加することであって、種々の実施形態では、DCオフセット電圧が、RF電圧に加え、イオンガイドQ0、Q1、Q2のそれぞれに印加され得る。DCオフセット電圧は、各イオンガイドQ0、Q1、Q2に均等に印加されるため、電位は、示されるように、各イオンガイドの長さに沿って一定であって、したがって、イオン運動を存続させるための任意の付加的軸方向勾配場を欠く。しかしながら、Q0のDCオフセット電圧とORにかかる電圧との電位差は、イオン源からのイオンが、ORから加速され、高圧イオンガイドQ0によって受け入れられ、続いて、ORとスキマー(SK)との間を透過されるイオン群の運動エネルギーが増加され得るように構成可能である。エネルギーは、周知のように、真空チャンバ26に侵入後、試料イオン上に留まり得る溶媒分子を最小限にすることによって、イオンをクラスタ分離する助けとなる。簡潔にするために、OR電圧とQ0のDCオフセット電圧との間の電位差は、図2に示されるように、クラスタ分離電位(DP)と称され得る。DPが高い程、イオンに付与されるエネルギーも増加するが、DPが高過ぎる場合、望ましくないフラグメンテーションが生じる場合がある。
イオンがQ0から移行すると、56に示される電位降下が、十分な運動量によってIQ1とQ1との間のイオンを加速させ、イオンはイオンガイドQ1を通じて透過され続け得る。上述のように、イオンガイドQ1に印加される電圧の性質に応じて、イオンは、無差別に完全質量透過される(RFのみ)か、または質量選択的に透過され得る(分解RF/DC)。概して、MS/MS実験では、前駆体イオンは、その質量電荷(m/z)比に基づいて、質量選択され、それらの選択された前駆体のみ、分析のために透過可能となる。
Q1透過イオンは、Q1とQ2衝突セルとの間の電位降下によって、さらなる加速を経験し得る。イオンが十分な運動エネルギーを有することを条件として、イオンは、衝突セル内へと加速し、背景ガス分子と衝突し、イオン解離(フラグメンテーション)をもたらし、生成イオンを生成し得る。故に、図2に示されるように、Q0のDCオフセット電圧とQ2のDCオフセット電圧との間の電位差は、イオンの衝突エネルギー(CE)を確立するために使用され得る。図2から分かるように、オリフィス(OR)電位は、DPとCEとの合計以上であり得る。上述の実施例の場合、リン酸ポリペプチド分子は、典型的には、CIDフラグメンテーションのために、約200−300ボルトのCEを必要とし、したがって、ORに印加される電圧は、約500ボルトとなり得る。典型的動作では、しかしながら、ORは、概して、圧力P1領域が約1トルであり得る環境に位置するため、本実施例によって特徴付けられる条件は、静電放電にとって好ましく、静電放電が回避されるべき場合、十分なDPおよび/またはCEレベルを提供する可用性が損なわれ得る。
上述の説明では、CEは、イオン通路52に沿って、構成要素に印加される相対的静電位に依存する。本出願人は、CEを提供するための機能と、DPを提供するための機能が、妥協せずに、より高いCEを達成するために好ましい条件を維持するように分離され得ることを認める。本教示に従って、最初に、イオンの電位エネルギーが確立され、DP要件を満たす一方、典型的動作圧力下、無放電条件を維持し得る。次に、イオンの電位エネルギーは、十分なCEがCIDフラグメンテーションのために利用可能となるように変化され得る。種々の実施形態では、例えば、図3を参照すると、イオン通路52の構成要素に印加される相対的電圧レベルは、t=t1およびt=t2に対応する時間を伴う電位プロファイル58によって表され得る。時間t1では、DPは、ORにかかる電圧が無放電レベルに維持され得る一方、ORとQ0との間の電位降下が、ORとSKとの間のクラスタ分離プロセスのために、十分な運動エネルギーをイオンに提供し得るように選択可能である。t=t1における図3の電位プロファイル58によると、Q0のDCオフセット電圧は、比較的に低レベル、例えば、接地レベルまたは略接地レベルであって、Q0イオンガイドにイオンを受け入れさせるための構成であり得る。時間t1の間、Q0イオンガイドの片方または両方の軸方向端に障壁静電場が構築され、イオン群をQ0容積内に保存する際の補助となるように、イオンが端部を越えて移動しないように防止し得る。これは、低電位エネルギーを有するイオン群が障壁を克服する可能性がないように、IQ1レンズに印加される適切な電圧レベル60によって達成され得る。イオン群が、Q0の容積内に保存されたままである間、イオンの電位エネルギーは、低レベルを保持する。時間t2では、Q0のDCオフセット電圧は、保存されたイオンの電位エネルギーをより高いレベル、例えば、400Vまで上昇させるように増加され得る。保存されたイオンの電位エネルギーが、Q2内のCIDフラグメンテーションのために必要とされるCEに対応する所定のエネルギーレベルまで増加する間に、保存されたイオンは、障壁を克服するために十分なエネルギーを有し、容積から放出され得る。放出されると、保存されたイオンは、Q1を通じて、Q2衝突セル内へと透過するために加速され得る。
図2に該当するような説明と同様に、図3によると、t=t2では、CEは、Q0のDCオフセット電圧とQ2のDCオフセット電圧との間の電位差によって規定されるが、しかしながら、CEは、現時点では、より低い電位エネルギーで先に保存されたイオンに関連付けられ、CIDフラグメンテーションのために好適なより高い電位エネルギーまで引き上げられる(上昇される)。その結果、CE機能とOR機能との間の関係を効果的に分離し、したがって、独立して電圧を割り当てる可能性を提供する。CEが確立される方法にかかわらず、結果として放出される保存されたイオンは、完全質量透過または質量選択的透過のために、Q1内へと透過され得る。別途指定されない限り、前駆体イオンとは、完全透過、または質量選択的透過、あるいはそれらの組み合わせから生じるイオン群を含むものとして一般化され得る。通常、前駆体イオンは、CIDフラグメンテーションのために、Q2衝突セル内へと透過され得る。衝突セル内で形成される生成イオンと、完全にフラグメント化されない場合のいくつかの残留前駆体イオンとは、質量分析器42によって分析されるか、あるいは質量分析に先立って、さらなるフラグメンテーションまたは反応等の他の形態のイオン処理に曝され得る。簡潔にするために、生成イオンとは、残留前駆体イオンと、前駆体イオンの解離から生成されるイオンとの混合物を含み得る。本教示における典型的質量分析器42は、飛行時間(TOF)質量分析器、四重極質量分析器、およびイオントラップ質量分析器(線形、3D、および軌道トラップ型を含む)を含み得る。
本教示は、種々の実施形態に関連して説明されたが、本教示がそのような実施形態に制限されることを意図しない。対照的に、本教示は、当業者には理解されるように、種々の代替、修正、および同等物を包含する。例えば、本出願人は、一旦、保存されたイオンの電位エネルギーが上昇すると、イオンの電位エネルギーが、障壁場電位60を下回る場合にはイオンがQ0内に保存され得ることを認める。指定持続時間後、例えば、t=t3では、IQ1レンズ障壁電圧が低下し、保存されたイオンを放出させ得る。
種々の実施形態では、t=t2における図3によると、スキマー(SK)に印加される電圧は、参照番号62によって示されるように、オリフィス(OR)およびQ0イオンガイドにかかる電圧と比較して、より高いレベルに保持され得る。これは、Q0への入口に相対的電位障壁を生成し、さらなるイオンがQ0内に受け入れられるのを効果的に防止する。代替として、スキマー(SK)は、本教示の譲受人に譲渡された米国特許第7,256,395号に説明されるように、P1圧力(典型的には、上述のように、1トル領域内)で動作し、さらなるイオン集束およびクラスタ分離を提供する、四重極イオンガイド等のさらなるイオンガイドから成る構成と置換され得る。さらなるイオンガイドは、上述のように、相対的電位障壁を確立するように構成され得る。
種々の実施形態では、Q2衝突セルの動作は、イオンを保存し、CE機能およびDP機能を分離可能とするために構成され得る。例えば、図4に例証されるように、電位プロファイル64の時間t=t1の間、絶対的OR電位は、無放電条件を満たすために十分に低いレベルに維持され得る一方、Q2のDCオフセット電圧は、最初に、負の値に設定され得る。電位プロファイル64によって例証されるDPおよび電位降下56は、Q0イオンガイド内へとイオンを受け入れさせ、続いて、CIDフラグメンテーションのために、Q2衝突セル内への透過のために加速させる。上述のように、Q2衝突セルに先立って、イオンは、Q1を通じて、完全質量または質量選択的透過を受け、前駆体イオンのQ1から衝突セルQ2内への透過をもたらし得る。負のQ2のDCオフセット電圧とQ0オフセット電圧との間の電位差は、CIDフラグメンテーションのための十分なCEを提供し得る。本実施例では、構成は、Q0のDCオフセット電圧が、Q0イオンガイドにイオンを受け取らせるために絶対的OR電位に対して正の電圧、例えば、+300ボルトに維持され、Q2のDCオフセット電圧が、+600ボルトのCEを提供するために、負の電圧、例えば、−300ボルトに維持され得るようなものである。
しかしながら、フラグメンテーション後、Q2のDCオフセット電圧は、最初に、負の値に設定されたため、生成イオンと任意の残留前駆体イオンとの電位エネルギーは、さらなるイオン処理のためには不十分であり得る。これは、イオンがフラグメンテーションのための十分な運動エネルギーを所持し得るが、結果として得られる生成イオンは、IQ2と、Q2と、IQ3との間の電圧レベルによる所定の電位井戸内に捕捉および保存され得ることを意味する。概して、生成イオンの電位エネルギーが上昇され得ない限り、または、概して、参照番号66によって示される電位井戸の下流障壁が低下され得ない限り、生成イオンは、衝突セル内に捕捉されたままであり得る。しかしながら、下流電位障壁66を低下させることは、質量分析器42またはQ2の下流の他のイオン処理機能が、典型的には、Q2のDCオフセット電圧を超えるレベルに設定され、Q2内の捕捉条件を効果的に維持する場合、選択肢とはなり得ない。
その結果、時間t=t2では、保存された生成イオンの電位エネルギーは、保存された生成イオンがQ2衝突セルから放出され得るように、Q2のDCオフセット電圧を増加させることによって、所定のレベルに上昇され得る。続いて、放出される生成イオンは、質量分析器42による質量分析等のイオン処理にさらに曝され得る。種々の実施形態では、例えば、t=t2では、レンズIQ2に印加される電圧は、参照番号68によって示されるように、Q0および衝突セルQ2にかかる電圧と比較して、より高いレベルに保持され得る。これは、Q2への入口で相対的電位障壁を生成し、さらなるイオンがQ2内へと受け入れられるのを効果的に防止する。
(実施例)
図5は、本教示に従う、C90フラーレンのMALDI試料から得られ、m/z1080の前駆体イオンのフラグメントを監視した、タンデム質量分析計のCIDスペクトルを示す。典型的には、200Vの衝突エネルギーを下回るフラーレンの場合、フラグメンテーションはほとんど観察されない。しかしながら、300VのQ0のDCオフセット電圧および−190VのQ2のDCオフセット電圧を使用することによって、CEは、490Vとなり、標識されたピークによって示されるように、フラグメント生成物が観察された。

Claims (9)

  1. タンデム質量分析を行なう方法であて、
    イオンを受け入れるように構成された高圧イオンガイドを提供することと、
    該高圧イオンガイド内に該イオンを保存することと、
    該保存されたイオンが衝突誘起解離のための所定のエネルギーレベルを有するように、該保存されたイオンの電位エネルギーを上昇させることと、
    該高圧イオンガイドから該保存されたイオンを放出することと、
    前駆体イオンを衝突セル内へと透過させることであって、該衝突セルは、背景ガスを有する、ことと、
    該前駆体イオンを該背景ガスと衝突させ、該前駆体イオンを解離し、生成イオンを生成することと、
    該生成イオンを分析することと
    を含む、方法。
  2. 前記衝突セル内への透過のために、前記放出される保存されたイオンから前駆体イオンを質量選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記イオンを保存しながら前記高圧イオンガイドを略接地電位で動作させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記保存されたイオンの電位エネルギーを上昇させることは、前記高圧イオンガイドのDCオフセット電圧を増加させることによる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記生成イオンは、飛行時間分析器によって分析される、請求項4に記載の方法。
  6. タンデム質量分析を行なう方法であって、
    イオンを受け入れるように構成された高圧イオンガイドを提供し、かつ、生成イオンを保存するように構成された衝突セルを提供することと、
    該高圧イオンガイドからの該イオンを加速し、かつ、前駆体イオンを該衝突セル内へと透過させることであって、該衝突セルは、背景ガスを有する、ことと、
    該前駆体イオンを該背景ガスと衝突させ、生成イオンを生成することと、
    該衝突セル内に該生成イオンを保存することと、
    該衝突セルから該生成イオンを放出するために、該生成イオンの電位エネルギーを所定の十分なレベルまで上昇させることと、
    該生成イオンを分析することと
    を含む、方法。
  7. 前記衝突セル内への透過のために、イオン群から前駆体イオンを質量選択することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記高圧イオンガイド構成は、前記イオンを受け入れるために、正のDCオフセット電圧で動作することを含み、前記衝突セル構成は、前記生成イオンを保存するための負のDCオフセット電圧で動作することを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記生成イオンは、飛行時間分析器によって分析される、請求項8に記載の方法。
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