JP2004504622A - 多段階質量分析実施能力をもつ3連四重極子質量分析計 - Google Patents

多段階質量分析実施能力をもつ3連四重極子質量分析計 Download PDF

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Abstract

物質をイオン化して連続イオン列を形成する段階を含む、物質を分析する方法。イオンは次いで第1の質量分析段階にかけられる。一実施形態において、イオンは、一次フラグメントイオンを形成するために、既知の態様で加速されて衝突セルに送り込まれる。これらの一次フラグメントイオンは次いで、二次フラグメンテーションを促進するために、加速されて下流の質量分析器に送り込まれる。発明の別の実施形態において、イオンは、フラグメンテーションをおこさずに、衝突セルを通過し、次いで衝突セルから、加速されて、質量分析器またはイオンを集めてコリメートするためのロッドセットとすることができる低圧区画に送り込まれる。これは、フラグメンテーションを促進する条件の下でなされる。低圧区画の動作条件は、イオンの質量に依存するイオンの収集または保持を促進するような、さらに詳しくは、低質量イオンを排除するような、条件とすることができる。これにより、一次フラグメントイオンを冷却し、引き続いて、一次フラグメントイオンがある程度のエネルギーを散逸した後に一次フラグメントイオンから二次フラグメントイオンを形成することが可能になる。よって、二次フラグメンテーション過程の制御が可能になり、複雑なイオンを分析するための数多くの機会が提供される。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は質量分析計に関する。さらに詳しくは、本発明は、多段階質量分析または選択の実施を目的とする、縦列接続質量分析計に関する。
【0002】
発明の背景
現在では、様々な質量分析/質量分析(MS/MSまたはMS)法が知られている。これらの手法は、質量分析計内に存在している間に物理的変化を受けたイオンの検出を提供する。多くの場合、物理的変化には選択された親イオンのフラグメンテーションが含まれ、生じたフラグメントイオンの質量スペクトルが記録される。フラグメントイオン質量スペクトルにある情報は、親イオンの構造を明らかにする上で大いに役立つことが多い。MS/MSスペクトル得るために用いられる一般的な手法は、選ばれる親イオンを適当なm/z(質量対電荷比)分析計により質量選択し、親イオンに解離を生じさせる中性原子または分子との激しい衝突を受けさせて、最後に、フラグメントイオンを再びm/z分析計により質量分離することである。
【0003】
3連四重極子質量分析計(TQMS)は、フラグメンテーション段階のための与圧反応領域で隔てられた2基の四重極子質量分析計の使用により、上記の各段階を順次完遂する。MS/MS過程の上記の3つの段階は相異なる空間域で実行されるから、3連四重極子質量分析計を用いるMS/MSは“空間縦列”と称される。TQMSによるMS/MSスペクトルは、用いられる数10電子ボルトの実験室系衝突エネルギー及び、いったんフラグメントイオンが形成されると、このフラグメントイオンがさらに分解を受けて次の第2世代イオンをつくり、以下第3世代イオン、第4世代イオン等の形成が続くという事実により、質量分解されたピークの数に関して極めて複雑になり得る。得られるMS/MSスペクトルは、エネルギー的に許される、親イオンからフラグメントイオンへの、さらにフラグメントイオンから別のフラグメントイオンへの、フラグメンテーション過程の全ての合成である。このようなピークが豊富なペクトル分布は、MS/MSライブラリーデータベースを検索している場合には、化合物同定に有益であることが多い。しかし同じ複雑なスペクトル分布でも、全く未知の化合物の構造の同定は、スペクトル分布内のフラグメントイオンの必ずしも全てが親イオンからの第1世代生成物ではないことから、困難になり得る。
【0004】
MS/MSスペクトルからは、親イオンの構造的に些細な部分の喪失に相当する、1つまたは2つのフラグメントイオンピークしか得られないという状況もある。そのようなMS/MSスペクトルからのデータは、未知の親イオンの構造の決定にはそれほど役に立たない。
【0005】
MS/MS/MSまたはMSを与える、上で略述したMS/MS方式にさらに追加されたMS段は、上で略述した問題のいずれに対しても有用なツールとなり得る。MSスペクトルに非常に多くのフラグメントイオンピークがある場合、引き続いて、特定のフラグメントイオンを質量単離し、選択されたフラグメントイオンを解離させて、得られたイオンを質量分離するという手法は、元の親イオンの解離経路の解明に役立つ。そのような手法は、MSスペクトルにある全ての質量ピークの形成機構の説明にも役立つ。MSスペクトルが優勢な一次フラグメントイオンで占められ、構造情報がほとんどない場合にも、MSは、そのような一次フラグメントイオンを分解して、関心のある情報をもたらすことが多い、別のすなわち二次フラグメントイオンを生成する機会を提供する。
【0006】
3次元イオントラップは、(n段MSを実行できるためMSと称されることが多い)多段MS/MS能力を提供する。親イオン単離、フラグメンテーション及びこれに続く質量分析が同じ空間域内で実施されるから、いかなる数のMS段も実施でき、実行限界要因は各段の後で保持される全イオン数の減損である。一般に、イオントラップは、不要なイオンの全てをトラッピング容積内で不安定にさせ、よって親イオンを単離するように動作する。次に、ある範囲のフラグメントイオンがつくられて装置内にトラップされるように、トラップ条件が部分的に変更される。この目的のため、ヘリウムのような中性ガスの存在の下で、イオンの運動エネルギーを高めるAC励起周波数の印加により、親イオンが衝突活性化される。このような低エネルギー衝突によって、フラグメントイオン生成がおこる。最後に、フラグメントイオンを質量選択的に走査して3次元イオントラップからイオン検出器に向けて射出させることができる。追加のMS/MS段は、イオントラップからのイオンを走査する前に質量単離及び衝突活性化を単に繰り返すことにより達成される。
【0007】
TQMS計器では、2つの質量分析器及び1つの衝突活性化領域しかないから、真のMS実験は達成が困難である。追加のフラグメンテーション段階は、特定のフラグメントイオンが活性化されてさらに解離されるように、適切なAC励起周波数を四重極子ロッドに印加することによりRF限定衝突セル内で実施することができる。しかし、TQMS計器は通常は流過装置として動作するから、特定のイオンを単離し、RF限定衝突セル内に特定のイオンが存在するわずかな時間の間にそのイオンを衝突活性化するには、普通は、時間が十分ではない。
【0008】
流過与圧衝突セル内の、但し単離段階は含まれない、追加のフラグメンテーション段階が、カズンズ(Cousins)[質量分析法及び同系主題に関する第47回ASMS会議,1999年]により述べられたようなQqTOF計器について実地に示された。ここでは、親イオンが第1の四重極子質量分析器内で選択され、次いで加速されて衝突セルに送り込まれ、衝突セル内で一次フラグメントイオンがつくられる。選択された一次フラグメントイオンの次のフラグメンテーションが、特定の一次フラグメントイオンと共鳴する、適切に選択されたAC電圧源により誘起される。次いで、この励起された一次フラグメントイオンがバックグラウンド中性種との衝突をさらに受けて解離し、二次フラグメントイオンを生成する。この結果、データ解析を複雑にする、MSスペクトル上に重畳されたMSスペクトルが得られる。この複雑さはMS+MSスペクトルからMSスペクトルを差し引くことである程度克服できるが、この手法には時間がかかり得る上に、重要な低強度MSスペクトルピークを見落とすことになりかねない。
【0009】
別の手法はイオンを衝突セル内にトラップすることであり、この手法は通常の3次元イオントラップに用いられる手法と類似の手法を用いて、選択されるイオンの単離及びフラグメンテーションのいずれをも行う機会を提供する。理論的には、この手法は、上述した、次のフラグメンテーションに十分な時間が得られないという流過特性を克服するはずである。この手法にともなう問題は、衝突セルからイオンが放出されてしまうと、放出イオンパルスの時間幅は非常に狭いから、下流の質量分析計が極めて迅速に質量分析段階を実施しなければならないことである。このため下流の質量分析器は、TOF(飛行時間)型質量分析計のような、超高速走査型装置でなければならない。
【0010】
したがって、通常の走査型四重極子質量分析器等は、時間幅の狭いイオンパルスの処理には適していない。イオンを質量に依存する何らかの態様でトラップからともかく走査射出することができれば、上記の困難は克服できるであろう。
【0011】
初期の、国際特許出願公開第WO97/4702号明細書でもある、米国特許第6,177,668号明細書において、イオントラップをもつ多重極子質量分析計及びイオントラップからの軸方向射出法が開示されている。上記2つの特許出願明細書の内容は本明細書に参照として含まれる。
【0012】
上記2つの特許出願明細書に開示されている手法は、ロッドセット、例えば四重極子ロッドセットの入射口へのイオンの放射及び出射部材に障壁電場をつくることによる遠端におけるイオンのトラッピングに依存する。少なくとも障壁部材に隣接するロッドにRF電場が印加され、このRF電場がロッドセットの出射端及び障壁部材に隣接する引出し領域において相互作用して、フリンジ電場をつくる。引出し領域内のイオンは、質量選択的に、エネルギーを高められ、選択された質量対電荷比をもつ少なくともいくらかのイオンがロッドセットから軸方向に射出されて障壁電場を通過する。次いで、射出されたイオンを検出することができる。イオンを軸方向に射出するための様々な手法、すなわち、後端レンズすなわち障壁に印加される軸方向AC電場を掃引する手法、後端障壁に固定周波数軸方向電圧を印加しながらロッドセットに印加されるRF電圧を掃引する手法、並びにレンズへの軸方向AC電圧の印加及びロッドへのRF電圧の印加に加えてロッドセットに軸方向AC電圧を印加する手法が教示されている。
【0013】
3連四重極子の性能を高めてMS能力を提供するために、2次元リニアイオントラップ質量分析計を用い得ることが、今では認識されている。
【0014】
発明の概要
本発明の第1の態様にしたがえば物質を分析する方法が提供され、本方法は:
(1)物質をイオン化して、イオン流を形成するステップ;
(2)イオン流を第1の質量分析にかけて、親イオンとして、所望の質量対電荷比を有するイオンを選択するステップ;
(3)親イオンを衝突セル内に導入して、親イオンのフラグメンテーションを促進し、よって一次フラグメントイオンを生成するステップ;
(4)衝突セル内において、所望の質量電荷比を有する一次フラグメントイオンを選択し、その他のイオンを排除するステップ;
(5)選択された一次フラグメントイオンを加速して衝突セルから下流の質量分析器に送り込んで、二次フラグメンテーションを促進し、よって二次フラグメントイオンを生成するステップ;及び
(6)二次フラグメントイオンを質量分析して、質量スペクトルを生成するステップ;
を含む。
【0015】
本発明の第2の態様にしたがえば物質を分析する方法が提供され、本方法は:
(1)物質をイオン化して、イオン流を形成するステップ;
(2)イオン流を第1の質量分析にかけて、親イオンとして、所望の質量対電荷比を有するイオンを選択するステップ;
(3)親イオンを衝突セル内に導入して、親イオンのフラグメンテーションを促進し、よって一次フラグメントイオンを生成するステップ;
(4)衝突セルにおいて、所望の質量電荷比を有する一次フラグメントイオンを選択し、選択された一次フラグメントイオンの質量対電荷比より質量対電荷比が大きいイオンを除去し、別途に、選択された一次フラグメントイオンの質量対電荷比より質量対電荷比が小さいイオンを除去することにより、その他のイオンを排除するステップであって、選択された一次フラグメントイオンの質量対電荷比より質量対電荷比が大きいイオン及び小さいイオンの除去を実施する順序は不同となるものであるステップ;
(5)選択された一次フラグメントイオンに衝突をおこさせて、さらなるフラグメンテーションを促進し、二次フラグメントイオンを生成するステップ;及び
(6)二次フラグメントイオンを質量分析して、質量スペクトルを生成するステップ;
を含む。
【0016】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明のより良い理解のため及び本発明がどのように実施され得るかをより明快に示すため、例として、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面がここで参照される。
【0017】
初めに図1を参照すれば、本発明にしたがう装置が全体として参照数字10で示される。既知の態様で、装置10は、電子スプレー、イオンスプレー、コロナ放電装置またはその他のいずれかの既知のイオン源とすることができる、イオン源12を備える。イオン源12からのイオンは、アパーチャプレート16のアパーチャ14を通して導かれる。プレート16の反対側には、ガス源(図示せず)からカーテンガスが供給される、カーテンガスチャンバ18がある。カーテンガスは、コーネル・リサーチ・ファウンデーション社(Cornell Research Foundation Inc.)の米国特許第4,861,988号の明細書に説明されているような、アルゴン、窒素またはその他の不活性ガスとすることができ、この特許明細書は適するイオンスプレー装置も開示している。この特許明細書の内容は参照として本明細書に含まれる。
【0018】
イオンは次いでオリフィスプレート20のオリフィス19を通過して、差動排気真空チャンバ21に入る。イオンは次いでスキマープレート24のアパーチャ22を通過して第2の差動排気チャンバ26に入る。一般に、差動排気チャンバ21の圧力は2Torr(約2.67×10Pa)程度であり、質量分析計の第1のチャンバと見なされることが多い、第2の差動排気チャンバ26は約7ミリTorr(約0.93Pa)の圧力まで排気される。
【0019】
チャンバ26には標準的なRF限定多重極子イオンガイドQ0がある。イオンガイドQ0の機能はイオンの冷却及び集束を行うことであり、この機能はチャンバ26に存在する比較的高いガス圧により補助される。チャンバ26は大気圧イオン源とより圧力の低い真空チャンバとの間のインターフェースを提供する役割も果たし、よって、以降の処理の前に、イオン流からより多くのガスを除去するに役立つ。
【0020】
象限間アパーチャIQ1がチャンバ26を第2の主真空チャンバ30から隔てる。主チャンバ30には、ブルベーカー(Brubaker)レンズとしてはたらく、ST(軸長が短いロッドを示す“stubbies”の短縮形)標識付RF限定ロッドがある。四重極子ロッドセットQ1が真空チャンバ30内に配置され、真空チャンバ30はほぼ1〜3×10 Torr(約1.33〜4.0×10−3Pa)まで排気される。参照数字34で表示される衝突ガスが供給される衝突セル32に、第2の四重極子ロッドセットQ2が配置される。衝突セルは、米国特許第6,111,250号明細書でトムソン(Thomson)及びジョリッフェ(Jolliffe)により教示されるように、出射端に向かう軸方向電場が与えられるように設計される。セル32はチャンバ30内にあり、両端に象限間アパーチャIQ2及びIQ3を備え、一般には、5×10−4〜8×10 Torr(約6.67×10−2〜1.07Pa)の範囲の圧力、より好ましくは5×10−3Torr(約0.67Pa)の圧力に維持される。Q2に続いて、参照数字35で表示される、第3の四重極子ロッドセットQ3及び出射レンズ40が配置される。Q3領域の公称圧力はQ1と同じ、すなわち1〜3×10 Torr(約1.33〜4.0×10−3Pa)である。出射レンズ40を通して出射するイオンを検出するために検出器76が備えられる。
【0021】
四重極子Q1,Q2及びQ3に接続された、RF及び分解DC用電源36並びにRF,分解DC及び軸方向AC用電源38が備えられる。Q1は標準的な分解RF/DC四重極子である。RF及びDC電圧は、注目する親イオンだけをQ2に通すように選ばれる。Q2には、親イオンを解離して、すなわち親イオンのフラグメンテーションを行って、フラグメントイオンすなわち生成物イオンをつくるために、ガス源34から衝突ガスが供給される。Q3は、米国特許第6,117,668号明細書に説明されるような、リニアイオントラップ質量分析計として動作する。すなわち、イオンは、上掲の初期米国特許に教示される軸方向射出法を用いて、質量に依存する態様で走査されてQ3から射出される。
【0022】
好ましい実施形態において、イオン源12からのイオンは真空チャンバ30内に導かれ、そこでQ1により親イオンのm/zが選択される。親イオンの質量選択に続いて、イオンは、Q2への適切な電圧降下により加速されて、フラグメンテーションを誘起する、Q2に送り込まれる。第1世代フラグメントイオンは、IQ3に印加される適切な反発電圧によりQ2内にトラップされる。イオンがトラップされてしまうと、選択された質量より質量が大きいイオンの全てを不安定にするように、すなわち、そこではa値及びq値が正規マシュー安定度図の外側にくるように、Q2ロッドに印加されるRF電圧が調節される。注目する特定のイオンの質量より質量が大きいイオンの除去は、Q2ロッドに印加される、この場合には1.8ボルトの、比較的小さな分解DC電圧の付加により容易になる。次に、特定の質量より質量が小さいイオンを不安定にするように、RFが調節される。これらの2つの段階は、非常に迅速に、それぞれ1〜3ミリ秒程度で、達成することができる。結果として、さらに衝突活性化することができる、質量単離されたイオン集団が得られる。
【0023】
引き続く衝突活性化段階は、通常の3次元イオントラップ内と同様に、すなわち、適切な共鳴AC波形の印加により、達成することができる。しかし、これには精緻なエレクトロニクスが必要であり、トラッピングRF電圧が最小質量のフラグメントイオン及び親イオンがQ2内で同時に安定であるような電圧でなければならないという付加要件がある。
【0024】
代替手法は、単に、質量単離されたイオンを加速して後続の質量分析器に送り込むことである。Q2は高められた中性ガス圧、例えば5×10 Torr(約0.67Pa)で動作するから、IQ3と後続の質量分析器との間には中性ガス圧勾配が存在する。Q2内の質量単離されたイオンがこの圧力勾配を通して加速されてQ3リニアイオントラップに送り込まれれば、さらにフラグメンテーションを誘起するに十分な数の衝突がおこるであろう。この結果、MS質量スペクトルが得られる。
【0025】
例として、図1の装置を用いて得られた、以下の一組の実験結果を考察する。100pg/mLのレセルピン(MW(分子量)=608)試料がイオン源12に導入され、そこでイオン化されて真空チャンバ30内に導かれる。m/z=609にある0.7amu幅のプロトン化レセルピンイオンビームを通すように、Q1のRF及びDC電圧が調節される。Q1に対するQ2のDC電圧オフセットは、レセルピン親イオンの多量のフラグメンテーションをおこさせるに十分である、35ボルトに選ばれる。Q2は、入射する親イオンまたはQ2で生成されるフラグメントイオンが出射できないように、IQ3を適切な反発DC電圧に調節することにより、単純な蓄積イオントラップとして動作する。Q2は50ミリ秒間満たされ、その後、IQ2に印加される電圧がトラッピングIQ3値と同じ値まで高められる。この時点で、Q2内にはトラップされた一次フラグメントイオン及び残留親イオンの集団が滞留している。ここで、Q2内の全イオンがQ3リニアイオントラップ質量分析計に入ることが許されて、質量分析されれば、図2aに示されるMS質量スペクトルが得られる。m/z=397のイオンのMSデータを得るためには、Q3リニアイオントラップ質量分析計による質量分析の前に、上記のフラグメントイオンが単離されて、衝突活性化されなければならない。
【0026】
m/z=397のフラグメントイオンのイオン単離は、初めに、Q2ロッドに印加されるRF電圧を、m/z〜397よりm/zが大きいイオンがQ2内で不安定になって失われるように調節することによる、段階的進行態様で達成された。この段階の結果が図2bに示される。本図で、Q2内のイオン集団が、m/z>397のイオンによるMS質量スペクトルへの寄与がほとんどまたは全くないように改編されていることを見ることができる。
【0027】
〜397より小さいm/zをもつトラップされたイオンもQ2内で不安定になって失われるようにRF電圧を調節することにより、小質量イオンをQ2内イオン集団から排除することができる。質量分析前のこの段階の結果が、小質量イオンがQ2から効果的に排除され得ることを示す、図2cに示されている。
【0028】
したがって、上記の2つの段階の組合せによって、すなわち上記の2つの段階がQ2内で順次に実施されることによって、図2dに示されるように、Q2内のm/z=397のフラグメントイオンの良好な質量単離が得られる。質量単離段階に対して課せられる時間増分は、ほぼ2×2ミリ秒、すなわち合計で4ミリ秒である。Q2は高圧衝突セルであるから、Q1のような、真の質量フィルタリングはできず、特に、低圧質量分析区画では可能であるような、選択すなわち保持されるイオンと排除されるイオンとの間での鋭いカットオフを得ることは不可能である。この理由のため、所望のm/z=397のイオンだけを選択する挟幅ウインドウを適用することはできない。これを行うためのいかなる努力もm/z=397のイオンのかなりの喪失に終ることになろう。むしろ、注目する質量より大きい質量及び小さい質量の順次排除により、不必要なイオンの大部分を排除できることがわかった。図2a〜2eにおいて、縦軸目盛は、最も多数のイオンが100%で表示される相対強度を示していることに注意されたい。
【0029】
最後に、Q2とQ3との間の相対DC電圧オフセットを(図2a〜2cで用いられた)5ボルトから25ボルトに高めることにより、m/z=397のイオンが加速されて、Q3リニアイオントラップMSに送り込まれる。Q2の出射口及びQ3の入射口における衝突によりm/z=397のイオンのフラグメンテーションがおこり、この結果、図2eに示されるMSスペクトルが得られる。期待されるように、質量がm/z=397より小さい質量範囲の二次フラグメントイオンがスペクトルに存在する。縦軸はやはり相対強度を示し、m/z=397の残留一次フラグメントイオンが未だに、強度100%で示される、最多数のイオンであり、小質量の二次フラグメントイオンはこれにしたがって示されている。
【0030】
上記の手順は、図2aの基準レセルピンMSスペクトルの主要なフラグメントイオンのそれぞれについて別個に実施できる。この結果が図3に示され、図3のそれぞれのスペクトルで最高ピークを示す質量は、そのMSスペクトルを得るために用いられた単離MS一次フラグメントイオンの質量に対応している。すなわち、図3aはm/z=609に対する完全なMSスペクトルを再び示し、図3b〜3eはそれぞれ、m/z=448,397(図2eと同じ),195及び174の一次フラグメントイオンに対するMSスペクトルを示す。
【0031】
本手法が広く適用されるためには、衝突活性化が広い範囲のMSフラグメントイオンを提供するに十分に強くなければならない。m/z=609のレセルピンイオンのフラグメンテーションを行い得る能力は、m/z=174及び195のイオンを観察するにはほぼ30eV実験室系のエネルギーが必要であるから、フラグメンテーションの強さのよい尺度である。
【0032】
図4は、Q2内に残留するm/z=609のイオンの単離後に得られたMSスペクトルを示す。すなわち、本図ではm/z=609の残留親イオンが保持され、一次フラグメントイオンの全てが排除されている。m/z=609の残留親イオンは次いで、Q2とQ3との間の30ボルトの電圧降下を用いる衝突活性化を受けた。MSスペクトル(図2a)の主要なフラグメントイオンの全てが図4に存在しているが、フラグメンテーション過程の衝突エネルギーの変化に依存して相対強度が既知の態様で変わるであろうから、相対強度は異なっていることがわかる。このことは、MSを得るための方法が、多くの潜在的に重要な化合物に対してフラグメンテーションをおこさせるに十分に強い衝突を提供することを実証している。
【0033】
イオン単離段階がノッチ付広帯域単離法により達成できることがわかる。この方法は、欧州特許出願公開第WO00/33350号明細書でダグラス(Douglas)等により説明されるように、トラップされたイオンに、イオントラップ内の単離されるべきイオンの共鳴周波数に相当する非励起信号のノッチをもつ、周波数ドメインにおいて一様に間隔がとられた複数の励起信号をかけるステップを含む。
【0034】
本発明の発明者等は、Q2→Q3イオン加速過程中にQ3リニアイオントラップに印加されるRF電圧値が、Q2リニアイオントラップからQ3リニアイオントラップへのイオン転送における重要な実験パラメータの内の1つであることも発見し、確認した。Q3で受け取られるイオンは、そのイオンにともなうq値が〜0.9より小さい場合にだけ、Q3内でのトラップに成功することができる。図5は、m/z>350のイオンだけが<0.9のq値を有するようにRF電圧が設定されている間に、m/z=609にあるレセルピン分子イオンが加速されてQ2からQ3に送り込まれたときに、質量対電荷比値が350より大きい生成物イオンだけが最終質量スペクトルで観測されることを示す。Q3フィル段階中のq=0.9となるRF電圧に関係付けられるm/z値は“Q3フィル質量”と称され、これが単一質量を示唆する限り、図5に示されるように、質量範囲に対して現実に下限を定める。
【0035】
発明者等は、Q3RF電圧がフィル質量に保たれている時間がもう1つの重要なパラメータであることを見いだした。この時間は“Q3フィル時間”と称される。Q3フィル時間はQ2イオントラップを空乏化するに必要な実時間より一般に長い。米国特許第6,111,250号明細書でトムソン及びジョリッフェにより教示されるように、軸方向DC電場を用いることで、イオンをQ2から極めて迅速に取り出すことができる。現在の計器で用いられる圧力及び時間では、Q2内の全イオンは、“転送時間”と規定することができる、2ミリ秒より短い時間でQ3イオントラップに転送されるはずである。上記の2ミリ秒またはその他の転送時間より長いがQ3フィル時間よりは短いどのような時間も、“遅延時間”と称される。
【0036】
図5に示されるスペクトルが得られた実験に対するQ3フィル時間は50ミリ秒(すなわち2ミリ秒の転送時間及び48ミリ秒の遅延時間)であった。この値を5ミリ秒(すなわち2ミリ秒の転送時間及び3ミリ秒の遅延時間)に短縮すると、図6の質量スペクトルが得られる。図5の質量スペクトルと図6の質量スペクトルとの間の最も明白な違いは、図6における、Q3フィル質量より小質量の生成物イオンの出現である。
【0037】
図6の質量スペクトルにおける質量対電荷比が小さい生成物イオンの出現の理由を理解するためには、走査手順の詳細を考察することが必要である。ここで用いた特定の走査関数が、Q3フィル段階から先のタイミングステップを示す、図7に示される。Q3フィル段階の間、IQ3の値は、参照数字20で表示されるように、イオンがQ2からQ3に流れ込み得るように設定される。同時に、RF電圧22がロッドセットQ3に供給される。同時に、Q2のQ3に対するDCロッド電圧オフセット値(図7には示されていない)が、所望の実験室基準系衝突エネルギーの値に調節される。出射レンズ40には、Q3フィル段階の間、適切なトラッピング電圧を与えるために、参照数字24で表示される、高電圧が供給される。駆動RF電圧22、したがってQ3フィル質量は、Q3フィル段階の間はある最適値に設定され、フィル段階終了時に、質量走査の開始時に用いられるべきRF電圧28まで急速に(参照数字26で表示されるように、100マイクロ秒より短い時間で)変えられる。
【0038】
参照数字30で表示されるように、フィル時間の終了時に、象限間アパーチャIQ3の電圧が参照数字32で表示される電圧まで高められる。この時に、出射レンズ40の電圧は維持され、よってQ3はイオントラップとして作用する。
【0039】
冷却時間の終了時に、出射レンズ40の電圧は参照数字34で表示されるように電圧36まで低められ、Q3へのRF電圧及び励起AC電圧がともに、それぞれ参照数字38及び40で表示されるように、漸次高められる。このランプ電圧により、Q3イオントラップにトラップされているイオンの質量スペクトルが得られる。走査段階の終了時に、IQ3の電圧が参照数字42で表示されるように低電圧44に低下する。同時に、RF及びAC電圧がそれぞれ、参照数字46及び48で表示されるように、最終電圧50及び52まで低められる。
【0040】
発明者等は、Q3フィル段階持続時間、すなわち図7で参照数字26及び30で表示される電圧変化までのQ3フィル時間が、Q3フィル質量の質量対電荷比より質量対電荷比が小さいイオンが観測されるか否かに影響する非常に重要な要因であることを見いだした。このことは、図5及び6におけるm/z=609にあるプロトン化レセルピン分子イオンについての生成物イオン質量スペクトルの間の差により示される。2つのスペクトルの間の唯一の違いは、図5についての50ミリ秒(すなわち2ミリ秒のQ2→Q3転送時間及び48ミリ秒の遅延時間)のQ3フィル時間と図6についての5ミリ秒(すなわち2ミリ秒のQ2→Q3転送時間及び3ミリ秒の遅延時間)のQ3フィル時間であり、その他のパラメータは全て同じであって、Q2→Q3加速エネルギー=35ボルト、Q3フィル質量=350である。
【0041】
〜0.908の第1の安定領域限界より外見上大きいq値をもつイオンが観測された理由は、特有のQ2→Q3フラグメンテーション環境にあると考えられる。イオンパルスは、35eV実験室系の並進エネルギーでQ3リニアトラップに導入された。Q3内の中性ガス圧は比較的低く、ほぼ3×10 Torr(約4.0×10−3Pa)であるから、衝突頻度も対応して低い。すなわち、短い時間幅では、少なくとも通常の高圧衝突セル(B.A.トムソン(Thomson)等著,Anal. Chem.,1995年,第34巻,p.1696〜1704)に比較して、Q3内での運動量散逸衝突は少しかおこらないであろう。5ミリ秒の短いQ3フィル時間後には、かなりの量の並進運動エネルギーがフラグメント化されていないどの親イオンにも残っているであろう。Q3フィル期間の終了の特徴は、参照数字26で表示されるQ3RF電圧の急速な低下、すなわちQ3リニアイオントラップ内のその時点で安定な最小m/zのイオンの減少である。Q3イオントラップ内のいずれかの親イオンが十分な内部エネルギーを保持していれば、その親イオンは中性ガス原子または分子と衝突して、(図7のタイミング図に参照数字28で示される)冷却期間中のRF電圧で定められる第1の安定領域内に入るq値をもつ生成物イオンをつくることができ、この生成物イオンはトラップされて、引き続く質量走査の間に検出され得る。図6の5ミリ秒Q3フィル時間スペクトルにおける小質量生成物イオンの存在は、十分なエネルギーがQ3イオントラップ内にトラップされた親イオン集団により保持され、よってRF電圧が“冷却時間”段階において低められたときに、これらの親イオンが有効なフラグメンテーションを提供でき、次いで、フラグメントイオンがQ3内で安定であったであろうことの、明白な証拠である。対照的に、図5の50ミリ秒Q3フィル時間スペクトルは、イオンがQ3に注入される時点とQ3RF電圧が冷却段階の低レベルまで低められる時点との間が長すぎて、その間のエネルギー散逸量が大きすぎるため、十分な数の親イオンがフラグメントイオンの生成に十分な高い運動エネルギーを保持し得ないことを示す。また、フィル時間の間にいずれかのフラグメント/生成物イオンがつくられたとしても、それらは大質量カットオフにより排除されるであろう。したがって、長い遅延時間により、質量対電荷比の小さいレセルピンのいかなる生成物イオンの有意な量の形成も妨げるに十分な回数の衝突を、親イオンはQ3リニアトラップ内で受けている。すなわち、本方法により、親イオンに配され、さらに重要なことには、より軽いイオンがQ3内で安定でいられることになる冷却段階の開始まで保持される、平均内部エネルギー量を変化させることが可能となる。この変化は、単に、2ミリ秒のQ2→Q3転送時間とQ3フィル時間を終了させて冷却時間を開始させる、Q3RF振幅が低められる時点との間の遅延時間を変えることでおこる。
【0042】
Q3フィル質量を大きくして計器を動作させることの利点の1つは、生成物イオン質量スペクトルの強度が、Q3フィル質量を小さくして得られる生成物イオン質量スペクトルに比較して高いことである。図8は、Q3フィル質量を180として得られた、m/z=609のプロトン化レセルピンイオンの生成物イオン質量スペクトルを示す。この質量スペクトルの(Q3フィル質量が350であること以外は同じ条件の下で得られた)図6の質量スペクトルとの比較は、より大きい350のQ3フィル質量により約20倍の感度増大が得られることを示す。Q3フィル質量が350の質量スペクトルについての感度増大は、Q3フィル段階の間にいかなる散乱イオンもより強く閉じ込める、より大きな径方向ウエル深さによると思われる。強度は、Q3フィル質量が親イオンの質量対電荷比のほぼ1/2であるときに最大化されるが、最適化特性値の幅は広い。
【0043】
より大きなQ3フィル質量の使用の別の利点は、m/zがQ3フィル質量より小さいイオンは、遅延時間の間の親イオンのなんらかの衝突緩和後の、より運動エネルギーの低い親イオンの生成物であるので、そのようなイオンは、m/zがQ3フィル質量より大きいイオンより後の(冷却時間後の)時間帯に、つくられることである。すなわち、親イオンのエネルギーは、フィル時間の間にQ3内での比較的稀な衝突のいくつかにより減じられている。したがって、質量がより小さい生成物イオンが集められるときに親イオンがもつ内部エネルギーはより小さいから、m/zがQ3フィル質量より小さいイオンを生成する連続フラグメンテーション過程が有利になることはほとんどない。よって、得られる生成物イオンがもつ内部エネルギーはより小さく、したがってさらにフラグメンテーションがおきる確率が低められて、第2世代生成物前駆体→生成物イオン対生成が抑制される。このことにより、様々な解離経路の同定及び弁別に特に有用であり得る、第1世代前駆体→生成物イオン対の識別を、より容易に行うことができる。
【0044】
一例は、ホッフガートナー(Hopfgartner)等(J. Mass Spectrom.,1996年,第31巻,p.39〜76)により研究されたボセンタンの生成物イオンのマッピングである。ホッフガートナー等は、m/z=552のボセンタン分子イオンの生成物イオンスペクトルの主要なm/z=280の生成物イオンのイオンピークが、分子イオンから直接に生じたのではなく、m/z=508の分子イオンの、m/z=311のイオンを経て最終的にm/z=280の生成物イオンに至る、フラグメンテーションが関わる、2段階過程で生じていることを見いだした。m/z=552の分子イオンの生成物イオン質量スペクトルが図9に示される。このスペクトルは、m/z=552の親イオンをQ1で質量選択し、このイオンを加速して通常のQ2衝突セルに送り込み、得られた生成物イオン及び残留親イオンをQ3リニアイオントラップにトラップして、Q3から生成物イオン及び親イオンを質量選択的に走査して出射させることにより得られた。この質量スペクトルは、ホッフガートナー等により報告された質量スペクトルと事実上同じである。m/z=280にある強い生成物イオンピークに注意されたい。
【0045】
本明細書に説明される方法を用いて、ボセンタンについての生成物イオン質量スペクトルが得られた。ここでも親イオンがQ1により質量選択され、次いで、本発明にしたがい、ここではフラグメンテーションを排除するために低エネルギーで、親イオンがQ2に導入されてQ2内にトラップされた。次いで、Q2内にトラップされているイオンが、30eVの実験室系衝突エネルギーで加速され、400のQ3フィル質量及び5ミリ秒(すなわち2ミリ秒の転送時間及び3ミリ秒の遅延時間)のQ3フィル時間で、Q3リニアイオントラップに送り込まれた。すなわち、Q3イオントラップ内で5ミリ秒のフィル時間の間安定でいるであろう生成物イオンだけが400より大きいm/zを有する。(図7の26における)Q3フィル時間終了後直ちに、Q3RF電圧を、m/zが400より小さいいかなる生成物イオンもトラップできるであろう、m/z=100に相当する電圧まで下げた。遅延時間が短いので、親イオン及び第1世代フラグメントイオンは、衝突し、フラグメンテーションをおこして、より軽い、この時点では安定なイオンを形成するに十分なエネルギーを保持しているはずである。この結果が、図9の結果とは若干異なる、図10の生成物イオン質量スペクトルであり、図10ではm/z=280の生成物イオンのイオンピークの相対強度が図9の相対強度よりかなり小さくなっている。
【0046】
10ミリ秒のQ3フィル時間(すなわち2ミリ秒の転送時間及び8ミリ秒の遅延時間)に対してQ3フィル質量を400に設定し、その他の条件は図10と同じとして得られた、m/z=552のボセンタン分子イオンの生成物イオン質量スペクトルが図11に示される。上記のQ3フィル質量における追加の5ミリ秒の経過は質量スペクトルに著しい効果を有する。この延長された遅延時間により、親イオンがある程度のエネルギーを散逸する時間を取ることができ、したがって、安定帯がより広い冷却時間の開始後には、残留親イオン及び第1世代フラグメントイオンがさらにフラグメンテーションをおこすに十分なエネルギーをもつことはほとんどありそうにない。同じ生成物イオンのイオンピークのほとんどが未だに認められるが、フィル質量より小さいm/zでは強度がかなり低下している;m/zが480より小さい質量範囲における強度は10倍して示されていることに注意されたい。図11の質量スペクトルが、m/z=280の生成物イオンのイオンピークの事実上完全な排除を示していることも注目に値する。このことは、m/z=280の生成物イオンが二次フラグメンテーション生成物であるか、あるいはより高い出現エネルギーを有する(すなわち、m/zが400より小さいほかの生成イオンより高いエネルギーを親イオンが有していなければならない)ことの強力な証拠である。これらの結果は、ホッフガートナー等の結果と一致している。
【0047】
可変Q3フィル質量の使用の唯一の制限は、親イオンはQ3リニアイオントラップ内で安定でなければならず、したがってQ3フィル質量が親イオンの質量対電荷比より小さくなければならないことである。
【0048】
本方法は、図12に実証されるように、ペプチド生成物イオンスペクトルの単純化に有用であることもわかった。図12は、トリプシンの存在の下でのβ−カゼインの消化によるm/z=1094の2価荷電ペプチド生成物イオンの2つの生成物イオンスペクトルを示す。図12aは、通常のQ1→Q2加速及びQ2衝突セルにおけるフラグメントイオン生成を用い、続いてQ3リニアイオントラップを用いて質量分析した、最適化生成物イオンスペクトルである。得られたスペクトルには、順次フラグメンテーション及び内部生成物イオン生成物により、質量対電荷比の小さい領域で特にピークが豊富である。図12bは、同じβ−カゼイン試料からのm/z=1094の2価荷電イオンの、Q2→Q3加速生成物イオンの、すなわちフラグメンテーションを実質的におこさずにQ2を通過したイオンによる、質量スペクトルである。図12bは、Q3フィル質量を600とし、Q3フィル時間を7ミリ秒として得られた。2つのスペクトルは同様であるが、Q3フィル質量よりm/zが小さい領域において、図12bは混雑をほとんど全く示していない。図13は、図12の生成物イオンスペクトルの質量対電荷比が小さい側の領域の拡大図を示す。生成物イオンスペクトルにおける質量ピークの指定が含まれている。図13bはQ2→Q3加速法を用いて得られ、上記の質量対電荷比領域におけるY−イオンだけを示す。図13aの標準的なQ1→Q2加速データは、同じY−イオン及び、b−イオン及び内部生成物イオンを含む、その他の多くのフラグメンテーション生成物を示す。図13aに示される混雑のため、順序固有生成物イオンの同定が、不可能ではないにせよ、困難になる。しかし、図13bは順序固有Y−イオンだけを含む。b−イオン生成物及び内部フラグメンテーション経路から得られる生成物に対する差別は、より大きなQ3フィル質量を用いる、トリプシン消化物から得られるペプチドのQ2→Q3加速衝突解離について一般的な現象であることがわかった。
【0049】
公称RF限定衝突セル内のイオン単離及びこれに続く、フラグメンテーションをともなう、イオン加速の手法は、その他のQq(MS)(Qは通常のRF/DC分解四重極子質量分析計を、qは圧力が高い公称RF限定衝突セルを表し、ここではQ1及びQ2でそれぞれ実施される)計器にも適用可能であり、ここでMS段はリニアイオントラップ質量分析計以外の別の高速走査質量分析計とすることができる。そのような装置の1つはQqTOF縦列接続質量分析計である。TOFは、パルスイオン源との使用に最適であり、衝突セルから出てくるイオンはパルスイオンであるから、最終分析器への使用に特によく適している。さらに、それぞれのイオンパルスに対して全質量スペクトルを得ることができ、より高い総合効率が得られる。
【0050】
さらに、ある状況においては、衝突セルを排除して、何らかの別の機構によりQ3へのイオン流に衝突ガスを与えることが可能であり得る。さらに、Q3を収める区画の基本要件は、イオンを集めてコリメートすることができる低圧区画であろうということである。Q3区画には、例えば、質量分析器として作用せずに上記の機能だけを提供する多重極子ロッドセットを備えることができるであろう。フィル質量を設定することが望ましい場合には、多重極子ロッドセットが所要の精度でこのカットオフ質量を定めることができなければならない。つづいて、質量分析器を下流に設けることができる。
【0051】
MSフラグメントイオンを質量分析する最終段階は、3次元イオントラップのような、単一イオンパルスについて全質量スペクトルを与える別の質量分析器を用いて実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明にしたがう装置の略図である
【図2a】
質量609のレセルピンに対するMS/MSスペクトルを示す
【図2b】
質量397より大きな質量が除去されている、図2aのスペクトルを示す
【図2c】
質量397より小さな質量が除去されている、図2aのスペクトルを示す
【図2d】
質量397より大きな質量と小さな質量のいずれもが除去されている、図2aのスペクトルを示す
【図2e】
図2dに示されるような質量397の二次フラグメンテーションにより得られた、質量397のMS/MS/MSスペクトルを示す
【図3a】
図2aと同様の、質量609のMS/MSスペクトルを示す
【図3b】
図3aのスペクトルに示される4つの主要なイオンの内の第1のイオンのMS/MS/MSスペクトルを示す
【図3c】
図3aのスペクトルに示される4つの主要なイオンの内の第2のイオンのMS/MS/MSスペクトルを示す
【図3d】
図3aのスペクトルに示される4つの主要なイオンの内の第3のイオンのMS/MS/MSスペクトルを示す
【図3e】
図3aのスペクトルに示される4つの主要なイオンの内の第4のイオンのMS/MS/MSスペクトルを示す
【図4】
図3aのスペクトルから得られる質量609の残留イオンのMS/MS/MSスペクトルを示す
【図5】
m/z=609のレセルピン分子イオンのMS/MSスペクトルである
【図6】
m/z=609のレセルピン分子イオンの、フィル質量及びフィル時間が異なる、別のMS/MSスペクトルである
【図7】
Q2→Q3MS/MSスペクトルを生成するために用いられる、様々な段階のタイミングを示す走査関数である
【図8】
m/z=609のレセルピン分子イオンの、フィル質量及びフィル時間が異なる、別のMS/MSスペクトルである
【図9】
従来の加速法を用いて衝突セルに送り込んで得られた、m/z=552のボセンタン分子イオンのMS/MSスペクトルである
【図10】
m/z=552のボセンタン分子イオンの、加速条件を変え、フィル質量及びフィル時間を変えて得られた、MS/MSスペクトルである
【図11】
m/z=552のボセンタン分子イオンの、加速条件を図10と同じとし、フィル質量及びフィル時間を変えて得られた、MS/MSスペクトルである
【図12a】
酵素のトリプシンにより消化されたβ−カゼインからの、衝突セル内への通常の加速により得られた、二価荷電m/z=1094のイオンのMS/MSスペクトルを示す
【図12b】
酵素のトリプシンにより消化されたβ−カゼインからの、衝突セルからの加速射出により得られた、二価荷電m/z=1094のイオンのMS/MSスペクトルを示す
【図13a】
酵素のトリプシンにより消化されたβ−カゼインからの、衝突セル内への通常の加速により得られた、同じ二価荷電m/z=1094のイオンのMS/MSスペクトルの質量対電荷比尺度拡大図を示す
【図13b】
酵素のトリプシンにより消化されたβ−カゼインからの、衝突セルからの加速射出により得られた、同じ二価荷電m/z=1094のイオンのMS/MSスペクトルの質量対電荷比尺度拡大図を示す
【符号の説明】
10  3連四重極子質量分析装置
12  イオン源
14,22  アパーチャ
16  アパーチャプレート
18  カーテンガスチャンバ
19  オリフィス
20  オリフィスプレート
21,26  差動排気真空チャンバ
24  スキマープレート
30  主真空チャンバ
32  衝突セル
34  衝突ガス源
36,38  電源
40  出射レンズ
76  検出器
Q0  RF限定多重極子イオンガイド
Q1,Q2,Q3  四重極子ロッドセット

Claims (27)

  1. 物質を分析する方法において、前記方法が:
    (1)前記物質をイオン化して、イオン流を形成するステップ;
    (2)前記イオン流を第1の質量分析にかけて、親イオンとして、所望の質量対電荷比を有するイオンを選択するステップ;
    (3)前記親イオンを衝突セル内に導入して、前記親イオンのフラグメンテーションを促進し、よって一次フラグメントイオンを生成するステップ;
    (4)前記衝突セルにおいて、所望の質量対電荷比を有する一次フラグメントイオンを選択し、その他のイオンを排除するステップ;
    (5)前記衝突セルから、前記選択された一次フラグメントイオンを加速して、下流の質量分析器に送り込んで、二次フラグメンテーションを促進し、よって二次フラグメントイオンを生成するステップ;及び
    (6)前記二次フラグメントイオンを質量分析して、質量スペクトルを生成するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記ステップ(3)が、前記親イオンを加速して前記衝突セルに送り込んで、ガスとの衝突によるフラグメンテーションを促進するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ステップ(4)における前記一次フラグメントイオンの選択が、前記選択された一次フラグメントイオンの質量対電荷比より質量対電荷比が大きいイオンを除去するステップ、及び、別途に、前記選択された一次フラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が小さいイオンを除去するステップを含み;前記選択された一次フラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が大きい前記イオン及び小さい前記イオンの前記除去を実施する順序は不同であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記選択された一次フラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が大きい一次フラグメントイオン及び小さい一次フラグメントイオンの除去を、前記衝突セルにおいて実施するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記ステップ(4)の間、前記一次フラグメントイオン及びいかなる残留親イオンも前記衝突セルにトラップするステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. リニアイオントラップ質量分析計における軸方向射出法による前記下流の質量分析器からのイオンの走査射出により前記ステップ(6)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 質量分析のために前記イオンを飛行時間型計器に送り込むことにより前記ステップ(6)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  8. 物質を分析する方法において、前記方法が:
    (1)前記物質をイオン化して、イオン流を形成するステップ;
    (2)前記イオン流を第1の質量分析にかけて、親イオンとして、所望の質量対電荷比を有するイオンを選択するステップ;
    (3)前記親イオンを衝突セル内に導入して、前記親イオンのフラグメンテーションを促進し、よって一次フラグメントイオンを生成するステップ;
    (4)前記衝突セルにおいて、所望の質量対電荷比を有する一次フラグメントイオンを選択し、その他のイオンを、前記選択された一次フラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が大きいイオンを除去し、別途に、前記選択された一次フラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が小さいイオンを除去することにより、排除するステップであって、前記選択された一次イフラグメントイオンの前記質量対電荷比より質量対電荷比が大きい前記イオン及び小さい前記イオンの前記除去を実施する順序は不同となるものであるステップ;
    (5)前記選択された一次フラグメントイオンに衝突をおこさせて、さらなるフラグメンテーションを促進させ、二次フラグメントイオンを生成するステップ;及び
    (6)前記二次フラグメントイオンを質量分析して、質量スペクトルを生成するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  9. 前記ステップ(3)が、前記親イオンを加速して衝突セルに送り込んで、ガスとの衝突によるフラグメンテーションを促進するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記ステップ(4)の間、前記一次フラグメントイオン及びいかなる残留親イオンも前記衝突セルにトラップするステップを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記衝突セルから、イオンを加速して、下流の質量分析器に送り込んで、二次フラグメンテーションを促進することにより、前記ステップ(5)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  12. 軸方向射出法による前記下流の質量分析器からのイオンの走査射出により前記ステップ(6)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 質量分析のために前記イオンを飛行時間型計器に送り込むことにより前記ステップ(6)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記ステップ(4)及び(5)を順次繰り返して、多段階質量分析サイクルを実施するステップを含み;各サイクルにおいて、前記ステップ(4)は、前フラグメンテーションステップにより生成されたフラグメントイオンからの次世代のフラグメントイオンを選択するステップ及び質量対電荷比の異なるイオンを排除するステップを含み、前記ステップ(5)は、前記次世代のフラグメントイオンに衝突をおこさせて、さらなるフラグメンテーションを促進させ、別の世代のフラグメントイオンを生成するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  15. 物質を分析する方法において、前記方法が:
    (1)前記物質をイオン化して、イオン流を形成するステップ;
    (2)前記イオン流を第1の質量分析にかけて、親イオンとして、所望の質量対電荷比を有するイオンを選択するステップ;
    (3)前記親イオンを衝突ガスとともに加速して低圧区画内に送り込んで、前記親イオンのフラグメンテーションを促進し、よって一次フラグメントイオンを生成するステップ;及び
    (4)前記フラグメントイオンを第2の質量分析にかけて、質量スペクトルを生成するステップ;
    を含むことを特徴とする方法。
  16. 前記ステップ(3)が:前記低圧区画に受け取られるイオンの少なくとも収集促進及び集束のための、多重極子ロッドセットを前記低圧区画に備えるステップ;及びイオンを集束させるために前記多重極子ロッドセットに少なくともRF電圧を与えるステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記多重極子ロッドセットとして四重極子ロッドセットを提供するステップ及び所望のイオンの質量対電荷比のほぼ1/2である高フィル質量を提供するように前記四重極子ロッドセットのq値を設定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 飛行時間型質量分析器において前記ステップ(4)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  19. 前記多重極子ロッドセットを通してイオンを飛行時間型質量分析器に送り込み、前記飛行時間型質量分析器において前記イオンを質量分析して、前記ステップ(4)を実施するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  20. 前記多重極子ロッドセットに前記イオンをトラップし、前記多重極子ロッドセットから軸方向にイオンを走査射出して、前記ステップ(4)の前記第2の質量分析を実施するステップを含むことを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
  21. イオンの収集促進及び集束を行う前記ステップの間、前記m/zが小さいイオンのq値がq=0.9より大きくなるように、前記RF電圧を与えて、前記多重極子ロッドセットによる質量対電荷比(m/z)が小さいイオンの少なくとも遅延捕獲するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  22. 所望の質量対電荷比をもつイオンに対する感度を高めるように前記RFレベルを設定するステップを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. あらかじめ定められた遅延時間の間の第1のRF電圧として高められたRFレベルを与えて、前記一次フラグメントイオンに前記衝突ガスとの衝突によるエネルギー散逸をおこさせるステップ;及び
    次いで、m/zがより小さいイオンをトラップすることができるように、前記RFレベルを第2のより低いRF電圧まで下げるステップ;
    を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  24. 二次フラグメントイオンの形成を実質的に抑制するのに十分なレベルまで前記一次フラグメントイオンのエネルギーを小さくするように前記遅延時間を設定するステップ;及び、引き続いて、前記ステップ(4)の前記第2の質量分析のために、前記RFレベルを前記第2の、より低いRF電圧まで下げるステップを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記多重極子ロッドセットにイオンをトラップし、イオンを走査射出して、前記ステップ(4)の前記第2の質量分析を実施するステップを含むことを特徴とする請求項21,22,23または24に記載の方法。
  26. 前記多重極子ロッドセットに印加されるRF電圧及びAC電圧の内の少なくとも1つを漸次高めて、軸方向射出により前記多重極子ロッドセットからイオンを走査射出するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 前記RF電圧を前記第2のRF電圧まで下げた後、前記ステップ(4)の前記第2の質量分析を実施する前に、衝突による前記イオンのいかなる過剰エネルギーの散逸も可能にするための冷却期間を提供するステップ;及び前記多重極子ロッドセットからイオンを走査射出することにより前記第2の質量分析を実施するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
JP2002514755A 2000-07-21 2001-06-26 多段階質量分析実施能力をもつ3連四重極子質量分析計 Pending JP2004504622A (ja)

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