JP2011510630A - 試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出するための核酸プローブの使用 - Google Patents

試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出するための核酸プローブの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2011510630A
JP2011510630A JP2010544454A JP2010544454A JP2011510630A JP 2011510630 A JP2011510630 A JP 2011510630A JP 2010544454 A JP2010544454 A JP 2010544454A JP 2010544454 A JP2010544454 A JP 2010544454A JP 2011510630 A JP2011510630 A JP 2011510630A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
sample
fluorosurfactant
nucleic acid
target
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2010544454A
Other languages
English (en)
Inventor
ドーソン,エリオット,ピー.
シモンズ,スティーブン,ジェイ.
レイ−コックス,ローリ,ジェイ.
ベーカー,ジェニファー,エム.
ウォンブル,クリスティー,イー.
マッデン,ジュディス
セラパン,サブラマニ
ハーン,アンドリュー
セミナラ,サル
Original Assignee
バイオベンチャーズ,インコーポレイテッド
セルシス インターナショナル リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by バイオベンチャーズ,インコーポレイテッド, セルシス インターナショナル リミテッド filed Critical バイオベンチャーズ,インコーポレイテッド
Publication of JP2011510630A publication Critical patent/JP2011510630A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6816Hybridisation assays characterised by the detection means

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、試料中に存在する核酸配列の同定方法および検出方法に関する。該核酸はRNAあるいはDNA、またはその両方であってもよい。本発明はさらに、試料中に種々の微生物が存在するかどうか、またその種が何であるかを判定するための方法に関する。さらに、出願人らは、グラム陰性菌のrRNA内に存在する1組のオリゴヌクレオチドの核酸配列を突き止めた。この1組をプールしてまたは組み合わせて使用することで、たとえばハイブリダイゼーション分析等において、グラム陰性菌を大まかな分類として同定することが容易となる。この1組のオリゴヌクレオチドは、グラム陰性菌の大まかな分類に属する生物の存在を示す配列を検出する一方、グラム陽性菌や真菌または他の微生物等を誤って同定してしまう可能性はほとんどあるいはまったくない。この分析は、少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列と、少なくとも1つの核酸プローブと、フッ素界面活性剤と、ヌクレアーゼとを同時にインキュベートすることを含む。この分析はまた、試料中に存在する標的核酸配列を検出および/または同定するために、または、さらにまた別の特異的プローブを使用することによって、細菌、真菌または他の微生物を検出するために使用してもよい。本発明はさらに、結合分析において、非特異結合を低減させて複合体の形成を促進する方法に関する。この結合分析は核酸ハイブリダイゼーション分析または免疫測定であってもよいが、これらに限定されない。本発明はさらに、少なくとも1つの目的とする標的(ヌクレオチド配列であってもよい)と、少なくとも1つのプローブ(核酸プローブであってもよい)と、ヌクレアーゼとを使用する検出方法に関する。

Description

本出願は、2008年1月24日に出願された米国仮特許出願第61/023,348号に基づく優先権を主張する、2009年1月23日に出願された米国特許出願第12/359,263号に基づく優先権を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
本発明は、試料中に存在する目的核酸配列の同定方法および検出方法に関する。該核酸はRNAあるいはDNA、またはその両方であってもよい。本発明はさらに、試料中に種々の微生物が存在するかどうか、またその種が何であるかを判定するための方法に関する。さらに、出願人らは、グラム陰性菌のリボソームRNA(rRNA)内に存在する1組のオリゴヌクレオチドの核酸配列を突き止めた。この1組をプールしてまたは組み合わせて使用することで、たとえばハイブリダイゼーション分析等において、グラム陰性菌を大まかな分類として同定することが容易となる。この1組のオリゴヌクレオチドは、グラム陰性菌の大まかな分類に属する生物の存在を示す配列を検出する一方、グラム陽性菌や真菌または他の微生物等を誤って同定してしまう可能性はほとんどあるいはまったくない。この分析はまた、試料中に存在する標的核酸配列を検出および/または同定するためだけでなく、さらにまた別の特異的プローブを使用することによって、細菌、真菌または他の微生物を検出するために使用してもよい。
本発明はさらに、少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列と、検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、任意でフッ素界面活性剤とヌクレアーゼとを同時にインキュベートすることを含む分析に関する。この分析はまた、さらにまた別の特異的プローブを使用することによって、裸のヌクレオチド配列だけでなく、細菌、真菌または他の微生物を検出するために使用することができ、また試料中に存在する標的核酸配列を検出および/または同定するために使用してもよい。本発明はさらに、結合分析において、非特異結合を低減させて複合体の形成を促進する方法に関する。この結合分析は、免疫測定、マイクロ流体分析、ベッセルの不動態化、細胞培養または核酸ハイブリダイゼーション分析であってもよいが、これらに限定されない。本発明はさらに、少なくとも1つの目的とする標的(これはヌクレオチド配列であってもよい)と、少なくとも1つのプローブ(たとえば核酸プローブ)と、ヌクレアーゼとを使用する検出方法に関する。検出可能なその他の分子および化合物としては、タンパク質、ペプチド、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖、多糖、脂質等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明はさらに、このような分析を行うためのキットに関する。
ウイルスを除くあらゆる生物は、各細胞にリボソームを含み、したがってリボソームRNAを含む。リボソームは3つの別個の一本鎖RNA分子、すなわち巨大分子と中型分子と小型分子とを含む。2つの大きいrRNA分子は、生物によってその大きさが異なる。リボソームRNAは直接の遺伝子産物であり、rRNA遺伝子によってコードされる。この遺伝子のDNA配列は、rRNA分子を合成するためのテンプレートとして使用される。rRNAサブユニットの各々に対し、別個の遺伝子が存在する。大部分の生物には複数のrRNA遺伝子が存在し、核rRNA遺伝子とミトコンドリアrRNA遺伝子との両方を有する多くの高等生物も、これに含まれる。植物および他の特定の生物は、核rRNA遺伝子、ミトコンドリアrRNA遺伝子および葉緑体rRNA遺伝子を有する。単純化するために、これら3つの別個のrRNA遺伝子をまとめてrRNA遺伝子と呼ぶこととする。
あらゆる生物のあらゆる細胞中に、多数のリボソームが存在する。典型的な細胞では、トータルRNAの約85〜90%がrRNAである。大腸菌等の細菌は、細胞1個当たり約10個のリボソームを含み、一方哺乳動物の肝細胞は、1個当たり約5×10個のリボソームを含む。各リボソームが各rRNAサブユニットのうち1つを含むため、細菌細胞および哺乳細胞は、各rRNAサブユニットをそれぞれ10個および5×10個含む。
リボソームRNA以外のリボ核酸、特にメッセンジャーRNAは、同定、代謝あるいは病気の状態、またはRNAウイルスやDNAウイルスによる活動性ウイルス感染の有無を判定する上で非常に有用である。転写産物の同定および発現レベルの測定のうちいずれかまたは両方を実施することにより、種々の品質管理分析だけでなく診断法および生命科学の研究においても多大な恩恵がもたらされる。マイクロRNA等の、RNAのさらなる形態の測定も同様に、診断測定、特にがんにおける測定において、非常に有益であり得る。
当技術分野でよく知られた方法である核酸ハイブリダイゼーションは、非関連配列が過剰に存在する状況下においても、極めて少量または大量の特定の核酸配列を特異的に検出するために使用されてきた。従来技術における核酸ハイブリダイゼーションの使用については、細胞およびウイルスの遺伝子発現、細胞およびウイルスの分子遺伝学、生物の遺伝子解析、生物および核酸配列の進化論および分類学、疾患過程における分子機構、ならびに細胞および生物内のウイルスおよび細菌の検出を含む、特定の目的のための診断法に関する出版物に多くを見出すことができる。
おそらく、最も特性決定がなされ、かつ最もよく研究されている遺伝子および遺伝子産物と言えば、rRNA遺伝子およびrRNAであろう。従来技術には、生物およびリボソーム遺伝子配列の進化論的・分類学的分類だけでなく、遺伝子解析におけるrRNAとリボソーム遺伝子とのハイブリダイゼーションの使用が含まれる。遺伝子解析には、たとえば、種々の生物中のリボソームRNA遺伝子の数、細胞中に存在する複数のリボソームRNA遺伝子の類似性、ならびに細胞中のrRNA合成の速度と程度およびそれらをコントロールする要因を判定することが含まれる。進化論的・分類学的研究は、rRNA遺伝子の塩基配列を、関連する生物および大きく異なる生物からのものと比較することを含むことが多い。
リボソームRNA遺伝子のヌクレオチド配列は、大きく異なる生物間においても、その少なくとも一部は類似していることが知られている。たとえば、大腸菌の細菌性リボソームRNA遺伝子のDNAは、植物、哺乳動物および種々の細菌種のrRNAとハイブリダイズする。このような他の種とハイブリダイズする大腸菌遺伝子断片は、生物の類似度によって異なる。実質的には、あらゆるrRNA遺伝子配列が近縁種のrRNAとハイブリダイズするが、遠縁種のrRNAとはそれほどハイブリダイズしない。
特定の生物群のrRNAに特異的なプローブを利用することによってその群を検出する際の感度および容易さは、各細胞中に一本鎖の核酸分子として存在する多数の両rRNA分子によって大いに高められる。しかしながら、このrRNAは一本鎖の分子ではあるが、通常とは異なる非常に複雑な二次構造・三次構造をとっているため、特定のセグメントにプローブが極めて到達しにくい可能性がある。溶液中で変性させたとしても、このrRNAがスナップバックしてこのような二次構造・三次構造を再構成しようとする傾向は、部分的にしか緩和されない。このスナップバックは分子内でのリフォールディングであって拡散律速ではないため、この傾向は急速に生じる。この問題を克服するために、RNAを変性させ、ニトロセルロースもしくはその他の支持体に吸着させる等の技術を使用して、この変性状態のRNAを固定化してもよく、あるいは標的セグメントの内部相補体よりも融解温度(Tm)の高いプローブを使用して、リボソーム分子の自己アニールを妨害してもよい。
また、rRNAだけでなく、他の種類の細胞核酸に特異的なrRNAプローブを使用し、核酸ハイブリダイゼーションすることによって、特定の生物群または細胞群を検出、同定、または定量してもよい。たとえば、rRNAは、約6000の塩基長を有する前駆体分子として、細菌である大腸菌内で合成される。次いでこの前駆体分子が処理され、rRNAサブユニット(総塩基数約4500)といくつかの余分なRNA配列(総塩基数1500)とが生成するが、前者はリボソームに取り込まれ、後者は廃棄される。
よく知られた増幅方法として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。PCRでは、目的とする特定のヌクレオチド配列における特徴的な断片を、特定のプライマーを用いて増幅する。このプライマーが標的部位を見つけると、遺伝物質の配列が100万倍に増殖する。
PCRの過程において、生じたDNAは、複製のテンプレートとして使用される。これによって連鎖反応が起こり、DNAテンプレートが指数関数的に増幅される。PCRによれば、1つのDNA断片の1〜数コピーを利用して数桁の増幅を行い、数百万あるいはそれ以上のDNA断片コピーを得ることができる。PCRは、多様な遺伝子操作を行うために広範囲な変更を行うことができる。
PCRアプリケーションでは、ほとんどすべての場合に耐熱性DNAポリメラーゼを使用する。その一例として、もともと好熱菌(Thermus aquaticus)から単離された酵素であるTaqポリメラーゼが挙げられる。このDNAポリメラーゼは、テンプレートとしての一本鎖DNAおよびDNA合成の開始に必要なDNAオリゴヌクレオチド(DNAプライマーとも呼ばれる)を使用し、DNA構成要素であるヌクレオチドから新たなDNA鎖を酵素的に構築する。大多数のPCR法は、温度サイクルを使用しており、つまり、あらかじめ定められた一連の温度ステップに従い、PCR試料の加熱と冷却とを交互に繰り返す。これらの温度サイクルステップは、低温でのDNA合成においてDNAポリメラーゼが標的DNAを選択的に増幅するためのテンプレートとして使用するDNA二重らせんの鎖を、高温で物理的に分離(DNA融解)するために必要である。PCRの選択性は、特定の温度サイクル条件下で増幅を行う標的とするDNA領域に相補的なプライマーの使用に起因する。
PCR反応は、通常サイクルと呼ばれる、20〜40回繰り返される一連の温度変化からなる。各サイクルは、一般的には、2〜3の別個の温度ステップからなる。最も一般的なPCR増幅は、3つの温度ステップを有するサイクルを用いて実施される。温度サイクルは、高温(>90℃)における一定温度のステップ(ホールドと呼ばれる)で始まることが多く、次いで最終産物を伸長または短期保存するための1ホールドで終了する。用いる温度、および各サイクルにおけるそれらの温度の持続時間は、種々のパラメータに依存する。パラメータとしては、DNA合成に用いる酵素、反応における二価イオンおよびdNTPの濃度、ならびにプライマーの融解温度(Tm)が挙げられる。
開始ステップでは、約94〜96℃(耐熱性の非常に高いポリメラーゼを使用する場合は98℃)まで反応温度を上げ、その温度を1〜9分間維持する。このステップを必要とするのは、ホットスタートPCRによる熱活性化を必要とするDNAポリメラーゼのみである。
熱変性ステップは通常のサイクルにおける最初のイベントであり、94〜98℃まで反応温度を上げ、20〜30秒間維持することからなる。このステップで、DNA鎖の相補的塩基対間の水素結合が破壊され、DNAテンプレートおよびプライマーが融解して、DNAの一本鎖が生成する。
次いで、アニーリングステップ反応では、温度を約50〜65℃に低下させて20〜40秒間維持することによって、プライマーをアニーリングさせ一本鎖DNAテンプレートを生成する。一般に、アニーリング温度は、使用するプライマーのTmよりも約3〜5℃低くする。プライマー配列がテンプレート配列と厳密に一致する場合にのみ、安定したDNA−DNA水素結合が形成される。ポリメラーゼはこのプライマーとテンプレートとのハイブリッドに結合し、DNA合成を開始する。
伸長ステップの温度は、使用するDNAポリメラーゼに依存する。たとえば、Taqポリメラーゼの最適活性温度は約75〜80℃であり、この酵素は一般に72℃で使用される。このステップで、DNAポリメラーゼは、テンプレートであるDNA鎖に対して5’→3’方向に相補的なdNTPを加えることにより、dNTPの5’位のリン酸基と新生(伸長しつつある)DNA鎖の3’位の水酸基とを縮合させ、テンプレートに相補的な新しいDNA鎖を合成する。伸長時間は、使用するDNAポリメラーゼ、および増幅するDNA断片の長さに依存する。DNAポリメラーゼは、最適温度においては、一般に1000塩基/分の速度で重合を行う。最適条件下、すなわち、制限基質や制限試薬による制限がない条件下では、各伸長ステップにおいて標的DNAの量は2倍になり、特定のDNA断片が指数関数的(幾何学的)に増幅される。
最後のPCRサイクルの後、残っている一本鎖DNAを完全に伸長するため、70〜74℃で5〜15分間の最終的な伸長を行うこともある。反応物の短期保存のために4〜15℃の最終ホールドを実施してもよい。
上記の分析において、たとえば、DNA断片を分離するアガロースゲルを使用して、定性的評価を行ってもよい。最も単純なケースでは、この定性的評価は、プライマーが標的とする部位が分析試料中に存在するという情報を提供するものである。
PCR技術から発展したまた別の技術として定量的PCRがあるが、これは、存在する微生物量と増幅されたDNA量との相関を確立しようとするものである。さらに、逆転写酵素PCRでは、試料中のRNA種の検出が可能であり、検出されたRNAを利用して、生きている生物か死んだ生物か、またはフリーのDNAであるかを識別することができる。しかしながら、偽陽性の発生を防止し、試料中のRNAからの増幅産物のみを生成させるため、試料中のDNAは徹底的に除去しなければならない。
PCRの長所として、特異性が高いこと、および比較的短時間で実施できることが挙げられる。主な短所は、汚染による影響を受けやすく偽陽性が発生しやすいこと、逆転写酵素PCRを行われなければ上記した生細胞、死細胞、裸のDNAの識別ができないこと、および、阻害物質の存在に起因する偽陰性が発生する危険性があることである。これらの短所の多くは、適切な実験室的手技やプロトコル設計の適用により克服できるが、それにはコスト、装置、設備条件、時間、および実施に必要な専門知識をかなり増やさなければならないことが想定され得る。
蛍光標識したオリゴヌクレオチドを用いたin situハイブリダイゼーションの使用もまた別の有用な方法であり、これは1990年代の初めに開発された。この方法は、多くの環境試料において成功裏に使用されており、(Amann et al.,Fluorescent−oligonucleotide probing of whole cells for determinative,phylogenetic,and environmental studies in microbiology,172(2)J.BACTERIOL.762−770(1990))、一般に「FISH」(蛍光in situハイブリダイゼーション)として知られている。FISH技術は、試料中に存在する微生物を特異的に検出するためのツールであり、あらゆる細胞に存在するリボソームリボ核酸(リボソームRNA)が、保存性の高い配列と可変(すなわち属特異的さらには種特異的)配列とをいずれも有することを前提としている。相補的なオリゴヌクレオチドは、これらの配列ドメインに対して生成され、さらに、微生物の種、属または群の識別を可能にする、検出可能なマーカーで標識されてもよい。FISH法は、生物群集の実際のin situ条件を歪みなく示し、培養も記述もされていない微生物を同定できる可能性のある方法として、一般に知られている唯一の方法である。
FISHでは、プローブが分析試料中の細胞に入り込み、細胞内の標的配列に結合するため、プローブの標識による細胞の検出が可能となる。FISHはまた、従来の培養では検出の難しい微生物を同定するために使用されてもよく、これによって多くの試料中の微生物集団の検出が可能となる。FISHは、培養による検出よりも迅速に微生物を検出するために使用されてもよい。
FISHはさらに、細胞および/または組織を可視化することによって、特定の形態を同定するために使用されてもよい。阻害物質の存在による偽陰性は、汚染に起因すると考えられる偽陽性と同程度に排除することができる。
ここ数年の間に、分子生物学に関する多くの文献が公表されている。これらの文献は、微生物の培養プロトコル、rRNAのような核酸の構造および機能、微生物の同定に関する方法、核酸ハイブリダイゼーション技術、および核酸プローブの決定について開示している。
以下の文献は、細菌および他の微生物を培養し、核酸を抽出するためのプロトコルおよび方法に関する。
Brian W.Bainbridge,Microbial techniques for molecular biology:bacteria and phages in ESSENTIAL MOLECULAR BIOLOGY:A PRACTICAL APPROACH xv−xvii,21−54(T.A.Brown,ed.2000);
Laura G.Leff et al.,Comparison of Methods of DNA Extraction from Stream Sediments,61(3)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.1141−1143(1995);
Yu−Li Tsai&Betty H.Olson,Rapid Method for Direct Extraction of DNA from Soil and Sediments,57(4)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.1070−1074(1991);
TECHNOTE 302 MOLECULAR BIOLOGY(Bangs Laboratories,Inc.2002).
以下の文献は、リボソームRNAの構造および機能の研究に関する。
Sebastian Behrens et al.,In Situ Accessiblity of Small−Subunit rRNA of Members of the Domains BacteriaArchaea,and Eucarya to Cy3−Labeled Oligonucleotide Probes,69(3)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.1748−1758(2003);
Soumitesh Chakravorty et al.,A detailed analysis of 16S ribosomal RNA gene segments for the diagnosis of pathogenic bacteria,69(2)J.MICROBIOL.METHODS 330−339(2007);
Darrell P.Chandler et al.,Sequence versus Structure for the Direct Detection of 16S rRNA on Planar Oligonucleotide Microarrays,69(5)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.2950−2958(2003);
Bernhard M.Fuchs et al.,Unlabeled Helper Oligonucleotides Increase the In Situ Accessibility to 16S RNA of Fluorescently Labeled Oligonucleotide Probes,66(8)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.3603−3607(2000);
Danielle A.M.Konings&Robin R.Gutell,A comparison of thermodynamic foldings with comparatively derived structures of 16S and 16S−like rRNAs,1 RNA 559−574(1995);
Harry F.Noller et al.,Studies on the structure and function of 16S ribosomal RNA using structure−specific chemical probes,8(3&4)PROC.INT.SYMP.BIOMOL.STRUCT.INTERACTIONS,SUPPL.J.BIOSCI.747−755(1985);
Alex Pozhitkov et al.,Tests of rRNA hybridization to microarrays suggest that hybridization characteristics of oligonucleotide probes for species discrimination cannot be predicted,34(9)NUCLEIC ACIDS RES.e66(2006);
Miguel Angel Reyes−Lopez et al.,Fingerprinting of prokaryotic 16S rRNA genes using oligodeoxyribonucleotide microarrays and virtual hybridization,31(2)NUCLEIC ACIDS RES.779−789(2003);
Achim Schmalenberger et al.,Effect of Primers Hybridizing to Different Evolutionarily Conserved Regions of the Small−Subunit rRNA Gene in PCR−Based Microbial Community Analyses and Genetic Profiling,67(8)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.3557−3563(2001);
S.−C.Tao et al.,Room−Temperature Hybridization of Target DNA with Microarrays in Concentrated Solutions of Guanidine Thiocyanate,34(6)BIOTECHNIQUES 1261,1262(2003);
C.R.Woese et al.,Secondary structure model for bacterial 16S ribosomal RNA:phylogenetic,enzymatic and chemical evidence,8(10)NUCLEIC ACIDS RES.2275−2293(1980);
L. Safak Yilmaz&Daniel R.Noguera,Mechanistic Approach to the Problem of Hybridization Efficiency in Fluorescent In Situ Hybridization,70(12)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.7126−7139(2004);
L. Safak Yilmaz et al.,Making All Parts of the 16S rRNA of Escherichia coli Accessible In Situ to Single DNA Oligonucleotides,72(1)APPL.ENVIRON.MICROBIOL.733−744(2006).
以下の文献は、細菌および他の微生物の同定および識別に関する。
Sven Klaschik et al.,Real−Time PCR for Detection and Differentiation of Gram−Positive and Gram−Negative Bacteria,40(11)J.CLIN.MICROBIOL.4304−4307(2002);
Elizabeth M.Marlowe et al.,Application of an rRNA Probe Matrix for Rapid Identification of Bacteria and Fungi from Routine Blood Cultures,41(11)J.CLIN.MICROBIOL.5127−5133(2003).
以下の文献は、分子生物学におけるハイブリダイゼーション技術の使用に関する。
Francois Coutlee et al.,Quantitative Detection of Messenger RNA by Solution Hybridization and Enzyme Immunoassay,265(20)J.BIOL.CHEM.11601−11604(1990);
Gary K. McMaster&Gordon G.Carmichael, Analysis of single− and double−stranded nucleic acids on polyacrylamide and agarose gels by using glyoxal and acridine orange,74(11)PROC.NATL.ACAD.SCI.USA 4835−4838(1977);
Southern Hybridization−Genomic ES Cell DNA.
以下の文献は、ARBソフトウェア(ARBは樹木を意味するラテン語のarborに由来する)を使用した場合の、リボソームRNAプローブのアクセシビリティに関する。
Yadhu Kumar et al.,Graphical representation of ribosomal RNA probe accessibility data using ARB software package,6 BMC BIOINFORMATICS 61(2005);
Yadhu Kumar et al.,Evaluation of sequence alignments and oligonucleotide probes with respect to three−dimensional structure of ribosomal RNA using ARB software package,7 BMC BIOINFORMATICS 240(2006);
Yadhu Kumar et al.,presentation entitled Visualization of Probe Accessibility of Ribosomal RNA using ARB Software.
以下の文献は、16S rRNAのプローブおよびプライマーに関する。
K. Greisen et al.,PCR Primers and Probes for the 16S rRNA Gene of Most Species of Pathogenic Bacteria,Including Bacteria Found in Cerebrospinal Fluid,32(2)J.CLIN.MICROBIOL.335−351(1994);
Philip Hugenholtz et al.,Design and Evaluation of 16S rRNA−Targeted Oligonucleotide Probes for Fluorescence In Situ Hybridization,179 METHODS.MOL.BIOL.29−42(2002);
Christopher Lay et al.,Design and validation of 16S rRNA probes to enumerate members of the Clostridium leptum subgroup in human faecal microbiota,7(7)ENVIRON.MICROBIOL.933−946(2005).
ヌクレアーゼプロテクションアッセイは、核酸、特にRNAを検出するために使用される、また別の方法である。ヌクレアーゼプロテクションアッセイで最も頻繁に使用されるのは、通常、DNA基質またはRNA基質のいずれかに対して特異的に一本鎖のヌクレオチド配列を分解するヌクレアーゼである。これらのヌクレアーゼは一般に、それぞれの基質核酸の二本鎖形態やキメラ二本鎖核酸、すなわちRNA:RNA、DNA:DNA、RNA:DNAからなる二本鎖に対しては、活性が相当低下しているか、あるいはまったく活性を示さない。特に、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイは、転写産物、エキソン/イントロン境界等を含むRNA種の同定および特性決定を可能にする。リボヌクレアーゼプロテクションアッセイは通常、RNAプローブと標的RNAとのハイブリダイゼーション、およびRNase(通常RNase A、RNase T1、RNase I、またはこれらのRNaseの組み合わせ)の作用による、ハイブリダイズされていないRNAの分解に依存する。反応としては、プローブRNAとその標的RNAとを混合し、次いで熱変性、さらにはアニーリングを行うことによって、二本鎖RNA複合体を生成する。このプローブ/標的複合体をRNaseで処理し、試料中のハイブリダイズされていない断片、ハイブリダイズされていないプローブ、その他のRNA分子をすべて分解する。一般に、分解されていないプローブ/標的RNA二本鎖断片だけがヌクレアーゼによる分解を免れ、次いで検出により分析される。
これらの分野で多くの研究活動が行われているにもかかわらず、動植物および微生物の様々な組織のような多くの異なる試料からDNAまたはRNAを単離・検出するための方法は、最先端の実験室、高価な装置、および信頼できる仕事を行うために十分に訓練され、高度な教育を受けた人員を必要とすることが多い。このような方法はまた、サンガー法、PCR、qRT−PCR、RT−PCR、FISH、アレイハイブリダイゼーション等の、最先端の主観的分析技術を必要とする。
さらに、核酸を単離および/または検出するためには、高精製されたトータル核酸、DNAまたはRNAと共に、温度条件および時間条件の注意深くかつ正確な管理が必要とされることが多い。全体として考えると、核酸の単離および分析にかかる時間は長く、通常、開始から終了まで3〜6時間を要する。実際、アレイベースの方法では、一晩かけてハイブリダイゼーションを行うことも珍しくはない。さらに、洗浄が必要な場合、特にハイブリダイゼーション分析においては、ストリンジェンシーを得るために、一般的には厳密な温度管理が行われる。
どのような分析においても、バックグラウンドシグナルおよび非特異的シグナルは擬似シグナルの一因となり、分析感度に内在的限界を課す可能性がある。そのため、分析におけるバックグラウンドシグナルを克服・低減するために、多くの試薬および技術が開発されている。しかし、非特異的発生源から生じるシグナルを低減するためには、さらなる改良を行う必要性がある。これは、分析系毎に、バックグラウンドシグナルまたは非特異的シグナルの要因となる特性があり、既存の方法ではこの問題に適切に対処することができないからである。免疫測定や核酸ハイブリダイゼーションのような既存の方法は、バックグラウンドシグナルおよび/または非特異的シグナルの低減による感度の改善がもたらす恩恵を受けることができる。
したがって、使いやすく感度の高い分析だけでなく、改良された単離方法、ハイブリダイゼーション試薬、それらの方法のための条件、および核酸プローブとして使用できるオリゴヌクレオチドを用いたより使いやすく感度の高い分析もまた必要とされている。さらに、最先端の機器、高度に精製された核酸、高度な教育を受けた人員を使用しなくてもよい分析、およびそのような分析を行うための設備が必要とされている。さらに詳しくは、研究・診断に用いるプローブおよび分析、ならびに一般的に人および/または動物に接触し、食品、廃水、医薬品、パーソナルケア製品、および環境において見いだされることの多い微生物を検出するためのプローブおよび分析が必要とされている。
本発明は、核酸プローブと標的核酸との存在下で少なくとも1つのヌクレアーゼを使用すると、このプローブと標的核酸とが検出可能なプローブ−標的複合体を容易に形成するという知見に関する。一方、ヌクレアーゼが存在しない場合には、検出可能なプローブ−標的複合体は形成されない。この場合の複合体は、ヌクレアーゼの存在下で形成される複合体よりも相当遅い速度で形成されたり、複合体を形成するために温度と溶媒に関して厳密に定められた条件を使用することが必要とされることもある。さらに、ある種のフッ素界面活性剤が、分析成分の非特異結合から生じる(バックグラウンド)シグナルを低減させ得ることがわかった。この低減によって、特に非常に感度の高い分析、たとえば検出方法として化学発光を使用するもの等において、分析感度を上げることができる。これらの知見の一方または両方を使用することにより、核酸ハイブリダイゼーション分析を改善することができる。これらの実施形態のうちいくつかについて、以下でより詳細に説明する。
本発明は、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的配列と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
を、ヌクレアーゼをプローブよりも前またはプローブと同時に試料すなわち目的配列に加えて混合することにより混合物を作製し、
これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
本発明はまた、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的配列と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと目的配列を分解することができるヌクレアーゼとの混合物と
を混合して混合物を作製し、
これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
本発明はさらに、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的配列と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
を、プローブを選択した時間内に試料すなわち目的配列に加えて混合することにより混合物を作製し、
これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
本発明はまた、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的配列と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
を、目的配列がプローブにハイブリダイズするよりも前に、ヌクレアーゼを試料すなわち目的配列とプローブとに加えて混合することにより混合物を作製し、選択したパーセンテージでハイブリダイズさせ、
これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
本発明は、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的配列と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
目的配列を分解することができるヌクレアーゼと、
少なくとも1つのフッ素界面活性剤と
を混合して混合物を作製し、
これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
本発明はまた、試料中に存在する少なくとも1つのヌクレオチド配列を検出するためのキットであって、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つのヌクレオチドプローブ、
フッ素界面活性剤、および
目的のヌクレオチド配列を分解することができるヌクレアーゼ
を含むキットに関する。
本発明のキットは、使用説明書をさらに含んでもよい。本キットはさらに試薬基質を含んでもよい。本キットはさらに溶解/抽出緩衝液、および/または洗浄緩衝液を含んでもよい。さらに、本発明のキットは、試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出するためのどのような方法に使用してもよい。
本発明はまた、試料中に存在する目的とする標的を検出する方法であって、
目的とする標的を含む可能性のある試料を提供すること、
該試料すなわち該目的とする標的と、
検出可能な標識で標識した少なくとも1つのプローブと、
少なくとも1つのフッ素界面活性剤と
を混合して混合物を作製し、
これによって目的とする標的とプローブとの複合体を形成させること、および
その存在が目的とする標的の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
を含む方法に関する。
目的とする標的は、タンパク質、ペプチド、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖類、多糖および脂質からなる群から選ばれてもよい。
本発明はさらに、アプリケーションにおける非特異結合を低減させる方法であって、
少なくとも1つのフッ素界面活性剤を緩衝液に加えること、および
アプリケーションを実行することを含み、
該少なくとも1つのフッ素界面活性剤の存在によって、表面への非特異結合が低減することを特徴とする方法に関する。
上記アプリケーションは、免疫測定、マイクロ流体分析、ベッセル表面の不動態化、細胞培養または組織培養であってもよいが、これらに限定されない。
本発明は、試料であるRNA(RNAが標的である場合)および少なくとも1つの核酸プローブの存在下において、酵素であるRNase Aまたは他のヌクレアーゼを同時に使用することにより、核酸の精製および単離が不要になるという長所を持つ。さらに、試料としてトータル核酸が使用され、DNAが標的である場合、非特異結合の低減を補助するためにRNase Aを使用してもよい。さらに、プローブがそれぞれの標的へ到達しやすくなるように、RNase Aまたは他のヌクレアーゼを使用することは新規であるだけでなく、FISHまたはマイクロアレイ分析等の他のプロトコルに適用することも可能である。さらに、本発明の分析は、熱やカオトロピック塩等の核酸を変性させる要素(核酸を単離するために通常必要とされる)も、RNAを分析する前または分析中における試料中RNAの変性も必要としない。ヌクレアーゼとして、RNase T1、RNase IおよびS1ヌクレアーゼを使用してもよい。
本発明はさらに、試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
分析の対象となる目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供するステップ、
該試料からヌクレオチド配列を抽出するステップ、
抽出した目的ヌクレオチド配列を、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出した目的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列を形成するステップ、
目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列を洗浄するステップ、
目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列に試薬基質を加えるステップ、および
その検出が目的ヌクレオチド配列の存在を意味する、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
本発明の別の実施形態は、グラム陰性菌をグラム陽性菌から識別する方法であって、
分析の対象となる目的核酸配列を含む微生物を含む可能性のある試料を提供するステップ、
該微生物を溶解するステップ、
該微生物から目的ヌクレオチド配列を抽出するステップ、
抽出した目的ヌクレオチド配列を、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出した目的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列を形成するステップ、
目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列を洗浄液で洗浄するステップ、
洗浄した目的物−プローブ複合体のヌクレオチド配列に試薬基質を加えるステップ、および
その検出がグラム陰性菌の存在を意味する、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
本発明はさらに、試料中に存在する核酸を検出する方法であって、
分析の対象となるRNAを含む可能性のある細胞試料を提供するステップ、
該細胞を溶解するステップ、
該細胞からRNAを抽出するステップ、
抽出したRNAを、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出したRNAにハイブリダイズし、RNA−プローブ複合体を形成するステップ、
RNA−プローブ複合体を洗浄液で洗浄するステップ、
洗浄したRNA−プローブ複合体に試薬基質を加えるステップ、および
その検出がRNAの存在を意味し該RNAにより細胞同定ができる、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
さらに、この進歩的な分析法により、細菌、真菌または他の微生物等の微生物を検出してもよい。
本発明の別の実施形態は、グラム陰性菌をグラム陽性菌から識別する方法であって、
分析の対象となるRNAを含む微生物を含む可能性のある試料を提供するステップ、
該微生物を溶解するステップ、
該微生物からRNAを抽出するステップ、
抽出したRNAを、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出したRNAにハイブリダイズし、RNA−プローブ複合体を形成するステップ、
RNA−プローブ複合体を洗浄液で洗浄するステップ、
洗浄したRNA−プローブ複合体に試薬基質を加えるステップ、および
その検出がグラム陰性菌の存在を意味する、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
本発明はさらに、試料中に存在する微生物を検出する方法であって、
分析の対象となるDNAを含む微生物を含む可能性のある試料を提供するステップ、
該微生物を溶解するステップ、
該微生物からDNAを抽出するステップ、
抽出したDNAを、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出したDNAにハイブリダイズし、DNA−プローブ複合体を形成するステップ、
DNA−プローブ複合体を洗浄液で洗浄するステップ、
洗浄したDNA−プローブ複合体に試薬基質を加えるステップ、および
その検出が微生物の存在を意味する、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
本発明の別の実施形態は、グラム陰性菌をグラム陽性菌から識別する方法であって、
分析の対象となるDNAを含む微生物を含む可能性のある試料を提供するステップ、
該微生物を溶解するステップ、
該微生物からDNAを抽出するステップ、
抽出したDNAを、少なくとも1つの核酸プローブとともにハイブリダイゼーション条件下でインキュベートし、これによって検出可能な標識で標識された少なくとも1つの核酸プローブが抽出したDNAにハイブリダイズし、DNA−プローブ複合体を形成するステップ、
DNA−プローブ複合体を洗浄液で洗浄するステップ、
洗浄したDNA−プローブ複合体に試薬基質を加えるステップ、および
その検出がグラム陰性菌の存在を意味する、該検出可能な標識によってハイブリダイゼーションのレベルを測定するステップ
を含む方法に関する。
本発明の分析に少なくとも1つのフッ素界面活性剤を使用してもよい。ゾニール(登録商標)FSA等のフッ素界面活性剤を使用することは新規であり、これを使用することにより試料中の非特異結合および発泡が低減される。さらに、本発明の新規かつ有利な特徴として、本分析に使用されるプローブおよびそれらの組み合わせ(単一プローブ、デュアルプローブおよびトリプルプローブを使用してもよい)、ハイブリダイゼーション時間が比較的短いこと、ハイブリダイゼーションステップと捕捉ステップとの間で洗浄が不要であること、同様の結果が得られるハイブリダイゼーション温度および捕捉温度の範囲が広いこと(すなわち、約20〜42℃、または最高約55℃まで)、および非ストリンジェントな洗浄ステップが挙げられる。
本発明で使用される少なくとも1つのフッ素界面活性剤は、陰イオンフッ素界面活性剤、陽イオンフッ素界面活性剤、両性(amphoteric)フッ素界面活性剤、非イオンフッ素界面活性剤、両性イオン(zwitterionic)フッ素界面活性剤、およびそれらの混合物からなる群から選んでよい。上記少なくとも1つのフッ素界面活性剤は、3−[2−(パーフルオロアルキル)エチルチオ]プロピオン酸のカルボン酸リチウム塩、リン酸アンモニウムビス[2−(パーフルオロアルキル)エチル]、鎖長が4未満のパーフルオロアルコール、フルオロ脂肪族リン酸エステルアンモニウム、またはそれらの混合物であってもよい。
本発明の方法において、必要に応じ、インキュベートする前に少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を試料から抽出してもよい。この抽出は、溶解/抽出緩衝液とともに試料をインキュベートすることにより行うことができる。
本発明の方法において、1、2または3つ以上の核酸プローブを使用してもよい。このプローブは、捕捉プローブおよびシグナルプローブの両方の機能を持つ単一プローブでもよく、一方が捕捉プローブであり他方がシグナルプローブである2つのプローブであってもよい。また、捕捉プローブ、シグナルプローブおよびブリッジプローブの3つのプローブを含むプローブ系も考えられる。捕捉プローブおよびシグナルプローブは検出可能な標識で標識することができ、そこに試薬基質が加えられる。
捕捉プローブの標識としてビオチンが挙げられ、シグナルプローブの標識としてアルカリホスファターゼが挙げられる。アルカリホスファターゼは、アダマンチル−1,2−ジオキセタンリン酸、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム、およびパラニトロフェニルリン酸からなる群から選ばれる試薬基質と反応する。
本発明の方法は、液相ハイブリダイゼーションを含んでもよく、次いで所望の核酸が捕捉され、さらに洗浄が行われる。ハイブリダイゼーションステップは、液相ハイブリダイゼーションまたは固相支持体上でのハイブリダイゼーションのいずれかで実施することができる。あるいは、液相ハイブリダイゼーションおよび固相支持体上でのハイブリダイゼーションの両方を利用したハイブリダイゼーション系で実施することもできる。
本発明の方法は、検出可能な標識によってハイブリダイゼーションレベルを測定する前に、複合体を固定化すること、非結合物質を除去するために洗浄緩衝液で複合体を洗浄すること、および複合体を保持することを含んでもよい。あるいは、複合体を固定化して、洗浄を省くこともできる。本発明の方法が洗浄ステップを含む場合、洗浄後に試薬基質を加えることをさらに含んでもよい。
本発明の方法は、微生物、細菌、ならびに酵母および糸状菌等の真菌を含むがこれらに限定されない、あらゆるタイプの試料からのDNAおよびRNAの検出に有用である。さらに、本発明の方法は、核酸以外の目的とする標的を検出するために使用することもできる。たとえば、この方法を、タンパク質、ペプチド、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖、多糖、および脂質を検出するために使用することができる。また、この方法を、免疫測定、マイクロ流体分析、細胞培養およびベッセル表面の不動態化等のアプリケーションにおいて、非特異結合を低減させるために使用することもできる。
当業者は、以下の図および詳細な説明を参照することによって、本発明の他の系、方法、特徴および利点を理解するだろう。このようなさらなる系、方法、特徴および利点はすべて本明細書に包含され、本発明の範囲内であり、請求項によって保護される。
本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例証し、詳細な説明とともに本発明の利点および原理を説明するものである。
大腸菌が有するリボソームRNA(rRNA)の小サブユニットの二次構造を示す図である。
用語の説明
以下の用語は、別途明確に述べられない限り、本明細書中で使用されているような以下の特定の意味を有する。
「ヌクレオチド」とは、リン酸基、五炭糖および窒素含有塩基からなる、核酸のサブユニットである。RNAに存在する五炭糖はリボースである。DNAに存在する五炭糖は2−デオキシリボースである。5’−ヌクレオチドは、五炭糖の5’位の炭素に水酸基(−OH)を含む。ヌクレオチドには、このようなサブユニットの類似体、特に、リボースの2’位にメトキシ基(−OMe)を有する類似体も含まれる。本明細書中では、「T」残基を含むメトキシオリゴヌクレオチドは、リボース部分の2’位にメトキシ基を有し、そのヌクレオチドの塩基位置にウラシルを有する。
「オリゴヌクレオチド」とは、2つ以上のヌクレオチドサブユニットが互いに共有結合したヌクレオチド重合体である。オリゴヌクレオチドは、通常約10〜100ヌクレオチド長である。このヌクレオチドサブユニットの糖群は、リボース、デオキシリボース、またはOMe基等で修飾されたこれらの修飾誘導体であってもよい。このヌクレオチドサブユニットは、リン酸ジエステル結合、修飾結合等の結合、またはオリゴヌクレオチドがその相補的な標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズすることを阻害しない非ヌクレオチド部分によって結合されてもよい。修飾結合は、通常のリン酸ジエステル結合が、ホスホロチオエート結合、メチルホスホン酸結合、および中性のペプチド結合のような別の結合と置き換わったものを含む。さらに、本発明よれば、オリゴヌクレオチドの構成成分は、窒素含有塩基の類似体でもよい。
「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」または「標的配列」は、オリゴヌクレオチドによってハイブリダイズされる、特定のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列である。
「ヌクレオチドプローブ」とは、標的核酸配列に対して十分に相補的なヌクレオチド配列を有し、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で検出可能なハイブリッドであるプローブ:標的の二本鎖を形成することができるヌクレオチドである。ヌクレオチドプローブは単離された化学種であり、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションを阻害しない限り、標的領域外に付加的なヌクレオチドを含んでもよい。本発明のプローブを使用した検出を容易にするために、プロモーター配列や制限酵素認識部位、または触媒活性部位のような所望の二次構造・三次構造を付与する配列等の非相補的配列を使用してもよい。ヌクレオチドプローブは、放射性同位元素、蛍光部分、化学発光部分、色素産生部分、酵素またはリガンド等の検出可能な部分で任意に標識してもよく、これらの検出可能な成分によって標的配列へのプローブハイブリダイゼーションを検出または確認でき、あるいは配列の同定が可能となる。さらに、ヌクレオチドプローブはヌクレオチド類似体を含んでもよい。ヌクレオチド類似体プローブは、ペプチド核酸(PNA)プローブ、ホスホチオエート含有プローブ、ロックされた核酸(LNA)プローブ、および2’−O−メチル残基含有核酸プローブを含む。ヌクレオチドプローブは、10〜100ヌクレオチド長の範囲であることが好ましい。
「シグナルプローブ」は、検出可能な標識を含む。シグナルプローブは、目的試料中に存在する標的核酸内の標的セグメントと選択的にハイブリダイズすることができ、通常15〜100、しばしば30〜70、好ましくは15〜29の標的核酸内の標的セグメントと選択的にハイブリダイズできるヌクレオチドで構成される。
「捕捉プローブ」は、金ナノ粒子、常磁性微粒子、マイクロタイタープレートのウェルの表面、プラスチック製のチューブ壁、または固体相がたとえば化合物で被覆されているメンブレン等の固体表面に結合することができる。この被覆する化合物は、たとえば、アビジンまたはストレプトアビジンでよく、この場合、捕捉プローブはビオチン化される。さらに、捕捉プローブは、目的試料中に存在する標的核酸内の標的セグメントと選択的にハイブリダイズすることができ、通常15〜100、しばしば30〜70のヌクレオチドで構成されるが、15〜29のヌクレオチドで構成されることが好ましい。
「ブリッジプローブ」は、通常標識されず、目的試料中に存在する標的核酸内の標的セグメントと選択的にハイブリダイズすることができる。ブリッジプローブは、通常15〜100、しばしば30〜70のヌクレオチドで構成されるが、10〜29のヌクレオチドで構成されることが好ましい。ブリッジプローブは、通常、本分析において使用するRNase Aによる分解から標的rRNAのセグメントを保護する。
さらに、プローブは、捕捉プローブおよびシグナルプローブの両方に属する単一プローブ、一方が捕捉プローブであり他方がシグナルプローブである2つのプローブを含む系、ならびに捕捉プローブ、シグナルプローブ、およびブリッジプローブの3つのプローブを含む系を含んでもよい。
絶対的な識別能、つまり標的核酸に対する特異的結合性を有する必要があるのは、これらのプローブのうち1つのみである。すなわち、シグナルプローブ、捕捉プローブのうち少なくともいずれか1つは、ハイブリダイゼーションにおいて、標的核酸の選択された標的セグメントに対する識別能を有するべきである。単一プローブ分析では、シグナルプローブを使用することができる。デュアルプローブ分析では、捕捉プローブおよびシグナルプローブを使用することができる。トリプルプローブ分析では、シグナルプローブ、捕捉プローブ、およびブリッジプローブを使用することができる。実際には、シグナルプローブのハイブリダイゼーションセグメントおよび捕捉プローブのハイブリダイゼーションセグメントは互いに代用でき、どちらもほぼ同様にグラム陰性菌をグラム陽性菌から識別できる。2つ以上のプローブセットを分析で使用する場合、通常、これらは標的核酸の隣接したセグメントにハイブリダイズする。しかしながら、標的核酸内のそれぞれの標的セグメントにこれらのプローブがハイブリダイズするとき、それぞれのプローブの末端と末端との間に小さな隙間が存在してもよい。この隙間は、通常10〜20ヌクレオチド長、より一般的には5〜10ヌクレオチド長、好ましくは0〜3ヌクレオチド長である。プローブ設計のための手順およびソフトウェアは当技術分野でよく知られており、一般的に使用されるリソースとして、GenBank(登録商標)およびthe European Molecular Biology Laboratory(EMBL)のような核酸データベース、ならびにthe Ribosomal Database Project(RDP)およびthe ARB Project(ARB)のようなソフトウェアが挙げられる。
「検出可能な部分」とは、核酸プローブに付着させたか、もしくはその一部として合成された分子である。この分子は、一意的に検出可能であるべきであり、この検出によってプローブを検出することができる。これらの検出可能な成分は、放射性同位元素、蛍光分子、化学発光分子、色素産生酵素、ハプテン、または特徴的なオリゴヌクレオチド配列であることが多い。
「ハイブリッド」または「二本鎖」とは、相補塩基間のワトソン・クリック型塩基対合または非標準塩基対合によって、2本の一本鎖核酸配列から形成された複合体である。
「ハイブリダイゼーション」とは、2本の核酸相補鎖が結合して、二本鎖構造(「ハイブリッド」すなわち「二本鎖」)を形成することである。
「相補性」とは、DNAまたはRNAの一本鎖上の塩基配列が、ワトソン・クリック型塩基対間の水素結合によって、DNA:DNA、RNA:RNA、またはDNA:RNAのハイブリッドすなわち二本鎖を形成する可能性を有する特性である。アデニン(A)は通常チミン(T)またはウラシル(U)に相補的であり、グアニン(G)は通常シトシン(C)に相補的である。
「ミスマッチ」とは、ハイブリッド内に存在する、標準的なワトソン・クリック型水素結合を形成しない2つのヌクレオチドからなるあらゆる対合である。さらに、以下の説明では、ミスマッチは、ハイブリッドのうち1本の鎖において挿入または欠失が起こった結果、対をなさなくなったヌクレオチドをも含む。
「ストリンジェンシー」は、ハイブリダイゼーションおよびそれに続く処理ステップにおける、温度および溶媒組成を説明するために使用される。高ストリンジェンシー条件下では、相補性の高い核酸ハイブリッドだけが形成され、十分な相補性がなければハイブリッドは形成されない。したがって、分析条件におけるストリンジェンシーによって、ハイブリッドを形成する2本の核酸鎖間で必要とされる相補性の度合いが決まる。ストリンジェンシー条件は、標的核酸との結合で形成されるハイブリッドの安定性と、非標的核酸との結合で形成されるハイブリッドの安定性との差が最大になるように選択される。典型的なストリンジェンシー条件は、以下の実施例で提示される。
「プローブの特異性」とは、標的配列と非標的配列とを識別するプローブの能力特性である。
「細菌」は、主要な三界のうちの1つと考えられている、真正細菌系統群に属する。
「Tm」とは、プローブの50%がハイブリダイズされた状態からハイブリダイズされていない状態に変化する温度である。
「抽出されたRNA」とは、A260/A280比が1.8未満のRNAである。
「抽出されたDNA」とは、A260/A280比が1.8未満のDNAである。
「トータル核酸」とは、A260/A280比が1.8未満のトータル核酸である。精製された状態では、上記3種の核酸それぞれのA260/A280比は、少なくとも1.8、通常1.8〜2.2である。
当業者は、本発明と実質的に同一であるプローブが、本明細書記載の配列とは異なっている場合もあり、それでもなお同一の標的核酸配列とハイブリダイズすることを理解するだろう。記載の核酸配列との差異は、その配列内に存在する記載の配列と同一の塩基のパーセンテージで表してもよく、またそのプローブと標的配列との間で完全に相補的な塩基のパーセンテージで表してもよい。これらのパーセンテージが100〜80%、または10ヌクレオチド標的配列中の0〜2塩基がミスマッチである場合、本発明のプローブは実質的に核酸配列に相当する。一実施形態においては、このパーセンテージは100〜85%である。別の実施形態においては、このパーセンテージは90〜100%である。また別の実施形態においては、このパーセンテージは95〜100%である。
「十分に相補的」または「実質的に相補的」とは、高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、検出できる安定なハイブリッドを形成するに足る、十分な量の隣接した相補的ヌクレオチドを核酸が有することである。
「核酸ハイブリッド」または「プローブ:標的二本鎖」とは、水素結合による二本鎖構造であり、好ましくは10〜100ヌクレオチド長、より好ましくは14〜50ヌクレオチド長である。この構造は、化学発光検出、生物発光検出、蛍光検出、オートラジオグラフィー、電気化学分析、ゲル電気泳動等の手段を用いた検出において十分に安定である。このようなハイブリッドは、RNA:RNA、RNA:DNA、またはDNA:DNAからなる二本鎖分子、およびPNA等の類似体を含む。
「選択的にハイブリダイズする」とは、適切なストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下において、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸とハイブリダイズし、安定したプローブ:非標的ハイブリッド(他の生物に由来する非標的核酸の存在を示す)を形成することなく、安定したプローブ:標的ハイブリッド(標的核酸の存在を示す)を形成することである。このように、プローブが非標的核酸と比べて十分に多くの標的核酸とハイブリダイズすることにより、当業者は、たとえば、腸内細菌科のようなグラム陰性菌の存在を正確に検出し、それらの存在と他の生物の存在とを正確に識別することができる。選択的ハイブリダイゼーションは、当技術分野で公知の技術を用いて測定してもよく、その技術は本明細書に記載されている。たとえば、本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)(酵母の一種)の核酸とのハイブリダイゼーションと比較して、腸内細菌科細菌の核酸を約50〜7,000倍選択的にハイブリダイズする。当業者は、特定の状況に応じて、具体的なストリンジェンシー条件またはその範囲を決定することができるだろう。すなわち、ストリンジェンシーは、実施する分析法、核酸のソース、使用するプローブ等に基づいて決定することができるが、これらの制限を受けない。
腸内細菌科の「標的核酸配列領域」とは、他の種の核酸中には存在しないが、腸内細菌科細菌の核酸中に存在する核酸配列またはそれに相補的な配列である。標的を増幅することによって、標的配列に相補的なヌクレオチド配列を有する核酸を作製してもよい。
「少なくとも1つの核酸プローブ」とは、1つ以上の核酸プローブである。この核酸は、RNA、DNA、またはPNA等のヌクレオチド類似体であってもよい。
「同時に」とは、すべての分析成分を同時にインキュベートすることである。より具体的には、すべての成分は反応ベッセルに同時に加えられ、これによって必要とされる成分すべてが反応全体にわたって存在することになる。
RNA一本鎖は通常高いコピー数となり、ある種のウイルスを除いては生細胞の代用となるため、DNAへのハイブリダイゼーションよりも、RNA、特にrRNAへのハイブリダイゼーションが好ましい。rRNAは一本鎖の分子ではあるが、通常とは異なる二次構造・三次構造をとっているため、プローブが特定のセグメントに到達することは極めて困難である。微生物を検出する分析においてrRNAをうまく使用するためには、二次構造・三次構造を破壊しなければならないが、ハイブリダイゼーションが起こる程度にとどめなければならない。rRNAを溶液中で変性させたとしても、スナップバックして二次構造・三次構造を再構成しようとする傾向を示す可能性がある。このスナップバックは、拡散律速ではない、分子内のリフォールディングにより急速に生じる。さらに、rRNA分子が広範囲に分解されていないことを確認しなければならない。とは言うものの、rRNAは、その配列情報の濃さおよび幅広さ、ならびに生細胞内に存在することおよびその豊富さに起因して、生物の識別を可能にする潜在能力を持つため、格好の標的となる。
驚くべきことにかつ予想外に、出願人らは、本発明を使用する技術者が微生物の検出分析および/または同定分析を簡単に手早く実施できる分析条件およびプロトコルを発見した。この条件は、フッ素界面活性剤等の試薬を使用することを含む。フッ素界面活性剤、すなわちフッ素で処理された界面活性剤は、類似の炭化水素系界面活性剤と比べて、水の表面張力をより効果的に低下させるフッ化炭素系界面活性剤である。本明細書において、フッ素界面活性剤は、分子内のフッ化炭素単位、フッ化炭素エンティティ、フッ化炭素基またはフッ化炭素セグメント部分に、全体として6つ以上のフッ素を有してもよい。
フッ素界面活性剤としては、デュポン社製のゾニール界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。この化合物はフッ素界面活性剤類および単量体類に属する。ゾニールFSAは、3−[2−(パーフルオロアルキル)エチルチオ]プロピオン酸のカルボン酸リチウム塩であり、RCHCHSCHCHCOOLiで表される。ゾニールFSEは、上記ゾニールFSAと同様の特性を持つ別の好適なフッ素界面活性剤であり、リン酸アンモニウムビス[2−(パーフルオロアルキル)エチル]として知られており、(RCHCHO)PO(ONH(OCHCHOH)3−x−yで表される。さらに、(RCHCHO)P(O)(ONHおよび(RCHCHO)P(O)(ONH)の混合物である、フッ素界面活性剤のゾニールFSPも本発明の分析に有用である。ゾニールを含む洗浄剤を使用すると、バックグラウンドシグナルが著しく低減され、技術者は、より明瞭で、かつ曖昧でない結果を得ることができる。さらに、ゾニール界面活性剤を使用することにより、分析中の試料の発泡も低減できる。他の有用なフッ素界面活性剤シリーズとして、セイミケミカル社製のサーフロン(登録商標)シリーズ、インペリアル・ケミカル・インダストリーズ製のAtsurf(登録商標)シリーズ、オムノバ・ソリューションズ製の鎖長が4未満のパーフルオロアルコールである、PolyFox(登録商標)シリーズ、Mason Chemical Company製のMasurf(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
一般に、フッ素界面活性剤は、アルキル基、アリール基、およびアルキル基で置換されたアリール基を有し、全フッ素置換されたセグメントを含むフッ素界面活性剤から選ぶことができ、これらのフッ素界面活性剤は他の官能基も含むことができる。これらの官能基には、第一級、第二級、第三級、および第四級の、またはそれらの機能を有する、リン酸基、カルボン酸基およびアミン基が含まれるが、これらに限定されない。さらに、フッ素界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性(amphoteric)、非イオン性、および両性イオン性(zwitterionic)等の、フッ素界面活性剤の公知である主要な分類から選ぶことができる。本発明の分析で使用される可能性のあるフッ素界面活性剤として、具体的には、3−[2−(パーフルオロアルキル)エチルチオ]プロピオン酸のカルボン酸リチウム塩、リン酸アンモニウムビス[2−(パーフルオロアルキル)エチル]、鎖長が4未満のパーフルオロアルコール、フルオロ脂肪族リン酸エステルアンモニウム、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、反応種が、反応pHにおいて正味の負電荷を有する被検体および活性試薬を含む場合、陰イオンフッ素界面活性剤が有用である。このような正味の負電荷には、ハイブリダイゼーション反応において核酸プローブおよび試料である核酸のリン酸塩主鎖によって生じるものが含まれる。ハイブリダイゼーション分析は、タンパク質相互作用を利用することも多い。たとえば、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチンの相互作用を利用する場合、使用されるこれらのタンパク質が正電荷を有する可能性があり、これらのタンパク質と核酸との間で電荷相互作用を起こして、非特異結合を生じることがある。以下の実施例において説明されるように、陰イオンフッ素界面活性剤を使用することによってこのような相互作用を低減することができる。
重要なことには、フッ素界面活性剤を使用することによる有益な効果は、反応pHにおいて主要な反応種が正味の正電荷を持つ、タンパク質に基づいた分析にも適用できる。たとえば、液相または固相の免疫測定において、核酸の代わりに、抗体等の反応成分を使用することができる。この場合、陽イオンフッ素界面活性剤を使用することにより、上記のような非特異相互作用およびバックグラウンドシグナルを低減することができる。核酸ハイブリダイゼーション分析およびタンパク質に基づいた分析の両方において、バックグラウンドおよび非特異結合を低減するために、陽イオン性、陰イオン性、および非イオン性のフッ素界面活性剤を使用することができ、特に、ポリスチレン、ポリカーボネート、ガラス、シリカ、酸化鉄、金属(たとえば、金)およびメンブレン(たとえば、硝酸セルロース、PVDF、酢酸セルロース等を含むメンブレン)等の表面とともにこれらを用いることができる。当業者は、分析成分として使用される有用なフッ素界面活性剤の望ましい物理的特性を正しく理解するだろう。このような物理的特性として、たとえば、所望の濃度におけるフッ素界面活性剤の水溶性、および他の分析成分を不活性化しないような、活性を有する生物学的成分(たとえば、抗体や酵素)との適合性が挙げられる。
しかしながら、当業者が容易に判断できるように、フッ素界面活性剤を用いてプロテアーゼやヌクレアーゼ等の、いくつかの分析成分を不活性化することが望ましい場合がある。フッ素界面活性剤の種類および濃度は、分析に使用するpH、塩類、緩衝剤、追加する洗浄剤、および他の分析成分に依存する。フッ素界面活性剤の濃度の有効範囲は、通常1〜0.0001%である。場合によっては、たとえばメンブレンまたは他の固体表面を不動態化するために、フッ素界面活性剤を有機溶媒または水/有機溶液(たとえば、DMSOやエタノール)に溶解してもよく、当業者は所望の適切な溶媒条件を正しく理解するだろう。フッ素界面活性剤は、分析のいくつかの時点で加えることができる。一実施形態では、フッ素界面活性剤を、他の成分(たとえば、ブロッキング剤としての成分、またはブロッキング剤とともに使用される成分)を混ぜ合わせる前に加えることができる。別の実施形態では、フッ素界面活性剤を、インキュベーションステップまたはハイブリダイゼーションステップにおいて加えることができる。また別の実施形態では、フッ素界面活性剤を洗浄ステップにおいて加えることができる。
さらに、驚くべきことに、少量のRNaseを使用することによって、RNAと核酸プローブとをより良くより完全にハイブリダイズさせることができる。RNaseを使用することによって、広範囲に構造を分解することなくRNAの二次構造・三次構造を破壊することができ、これによってハイブリダイズが可能となる。最終的には大部分のrRNAが分解されてもよいが、この分解が試験結果に著しい影響を与えるものであってはならない。他のヌクレアーゼを使用してもよく、たとえば非特異的ヌクレアーゼおよびDNaseが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、驚くべきことに、出願人らは、単一の分析用ベッセルを使用して、この進歩的な分析を実施できる可能性が高いことを発見した。
上記ヌクレアーゼは、複合体中の目的配列もプローブも実質的に分解しないヌクレアーゼである。反応ベッセルには、試料すなわち少なくとも1つの目的配列、検出可能な標識で標識された少なくとも1つのプローブ、およびヌクレアーゼを含む分析成分が加えられる。ヌクレアーゼを加えるタイミングは、他の反応成分との比較で言えば、目的配列およびプローブを加える前またはそれと同時であってよい。一実施形態では、ヌクレアーゼは目的配列およびプローブと同時に加えられる。
プローブを加える前に、あまりにも早くヌクレアーゼを加えると、分析の対象となる試料中に存在する標的配列の分解が起こることがあるため、ハイブリダイゼーション反応混合物へヌクレアーゼを加えるタイミングは重要である。目的標的配列を含む可能性のある試料にヌクレアーゼを加えてから1つ以上の本分析の核酸プローブを加える場合、ヌクレアーゼを加えた直後から2、3分以内に、プローブを加えることが好ましい。ヌクレアーゼを加えることができる時間として選択されるのは、たとえば、約0〜60分、約1〜30分、約1〜15分、約0〜5分、または約0〜2分である。これらの時間範囲は、プローブを加えた後にヌクレアーゼを加えるまでの時間を示し、ヌクレアーゼが活性を持つ温度またはその近辺の温度でヌクレアーゼが加えられる場合において重要になり得る。この温度は、中温性生物由来のヌクレアーゼの場合、約20〜50℃であり得る。室温よりもかなり高い温度でしか活性を持たない高温性ヌクレアーゼの一部は、室温以下では活性をほとんどまたはまったく示さない可能性があるが、ハイブリダイゼーション温度では適切な活性を持つため、プローブを加えるタイミングはそれほど重要ではない。
ヌクレアーゼを加える別の態様として、ヌクレアーゼが活性を持たない条件下において任意の順で反応成分を加えることも可能である。この例では、他の分析成分の必要な機能を損なわずにヌクレアーゼを活性化するため、後から条件を変更することができる。たとえば、ヌクレアーゼが通常不活性である約4℃の反応温度において、各成分を加える場合、すべての成分をほぼ同時に加えることができる。これに引き続き、分析温度をハイブリダイゼーションに適した温度まで上げることによって、ヌクレアーゼが本来の完全な活性を取り戻し、ハイブリダイゼーション反応を進ませることができる。
条件を変更することによりヌクレアーゼの不活性化または活性化を容易に行うための別の実施形態として、金属イオンの添加が挙げられる。金属イオン(たとえば、カルシウムイオンまたは亜鉛イオン)は、本分析で使用されるどのようなヌクレアーゼをも阻害する。金属イオンおよびヌクレアーゼを考慮に入れた適切な濃度において、ヌクレアーゼに作用させるためこれらの金属イオンを緩衝液に加え、これによって可逆的にヌクレアーゼを不活性化する。本分析のハイブリダイゼーションのための成分は、1つ以上の核酸を含む可能性のある試料、1つ以上の核酸プローブ、および可逆的に不活性化されたヌクレアーゼを含む。ハイブリダイゼーション成分を構築した後、使用した金属イオンのキレート化剤を加えることによってヌクレアーゼを活性化する。たとえば、ヌクレアーゼを阻害するためにカルシウムイオンの塩化物を使用する場合、カルシウムをキレート化して実質的にヌクレアーゼへの阻害作用をなくすために、EDTAまたはEGTAを使用することができる。カルシウムがキレート化されることによって、ヌクレアーゼが実質的にその完全な活性を取り戻し、これによってプローブと標的である可能性のあるものとのハイブリダイゼーション反応が容易となる。選択的かつ可逆的にヌクレアーゼを不活性化するこれらの方法によって、反応成分を構築することが容易となる。ハイスループットな処理を行う状況においてしばしばそうであるように、多数(たとえば、96、384、または1536等)の試料を分析する必要がある場合にこれらの方法はとりわけ有用である。温度を利用する実施形態およびキレート化を利用する実施形態は、それぞれを単独で使用することも併用することもでき、あるいは本分析で使用されるヌクレアーゼを選択的かつ可逆的に阻害する他の組み合わせも使用することができる。
ヌクレアーゼを選択的かつ可逆的に阻害する利点は、複数の分析試料におけるハイブリダイゼーション反応を同時に開始できることである。すべての試料においてヌクレアーゼをほぼ同時に活性化することができ、これによって本発明の分析の定量結果または定性結果を向上させることができる。これに対して、個々に構築された複数の反応系では、成分添加後のインキュベーション時間が最初に処理をした試料と最後に処理をした試料とで実質的に異なってくる。
本発明の分析は、液相ハイブリダイゼーションを含んでもよく、次いで所望の核酸が捕捉され、さらに洗浄ステップが実施される。これらのステップを含む場合、生物を検出する分析の大部分とは対照的に、初めのハイブリダイゼーション後および捕捉後の両方において洗浄ステップが必要となる。しかしながら、本発明のハイブリダイゼーションステップは、液相ハイブリダイゼーション、固相支持体を用いたハイブリダイゼーション、および液相ハイブリダイゼーションと固相支持体上でのハイブリダイゼーションとを両方用いるハイブリダイゼーション系のいずれでも行うことができる。
洗浄ステップが使用される場合、洗浄後の試料に試薬基質を加えることによって検出分析を行うことができる。一実施例において、1つの核酸プローブを使用する場合、該核酸プローブの一端をビオチンで、他端をアルカリホスファターゼで標識することができる。2つのプローブを使用する場合、第1プローブすなわち捕捉プローブをビオチンで標識することができ、第2プローブすなわちシグナルプローブをアルカリホスファターゼで標識することができる。3つのプローブを使用する系では、シグナルプローブおよび捕捉プローブを標識することができるが、通常ブリッジプローブは標識しない。アルカリホスファターゼをシグナルプローブの標識として使用する場合、試薬基質を、アダマンチル−1,2−ジオキセタンリン酸、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム、およびパラニトロフェニルリン酸からなる群から選んでよい。一般に、少なくとも2つの核酸プローブを使用する場合、各プローブの濃度は実質的に同一である。
標的核酸は多数のソースから単離または調製することができる。一実施形態では、細菌またはウイルスのような微生物から核酸を単離することができる。さらに、多細胞生物からの核酸も標的核酸として使用することができる。あるいは、裸の核酸を本発明に使用することもできる。
標的核酸を細胞またはウイルスから単離する必要がある場合、使用可能な核酸単離プロトコルが多数存在する。これらのプロトコルは、溶解/抽出緩衝液を使用した細胞の溶解やウイルスエンベロープおよび外被の破壊を含む場合がある。核酸は、さらにフェノール抽出やエタノール沈澱を含む様々な技術によって精製することができる。これらは核酸単離の簡単な例にすぎず、他のプロトコルも当技術分野でよく知られている。(たとえば、「Molecular Cloning−A Laboratory Manual」を参照。)
核酸が単離または他の方法により得られた後、この試料の脱塩が必要となる場合がある。よく知られている方法の1つとして、NAPカラムの使用が挙げられる。核酸試料を脱塩するには、試料をNAPカラムにアプライし、一連のチューブへ溶出する。試料がカラムを通過したら、エタノール沈澱を使用してさらに精製する。当業者は、核酸試料を脱塩するための他のプロトコルをさらに知っているかもしれない。
凝集物または沈殿が核酸試料に存在する場合、種々のよく知られたプロトコルを使用してこれらを除去することができる。たとえば、核酸試料を、メンブレン濾過、遠心分離等にかけることもできる。当業者は、試料およびそのソースに応じて、微粒子/凝集物を除去する最も効果的な方法を決定することができるだろう。
標的核酸は、ニトロセルロースや、ガラス製またはプラスチック製の顕微鏡用スライド等の表面に固定化することができる。一実施形態において、RNAが標的であり、かつそのRNAを完全に保つことが適切に考慮されている場合、標的核酸は、ホルマリン固定されたパラフィン包埋組織もしくは細胞、またはエタノール固定後に透過処理をした細胞等の固定化された細胞内に含まれる。ハイブリダイゼーションは、ヌクレアーゼの存在下においてプローブ−標的二本鎖が形成できる適切な条件下で実施され、検出可能な標識の性質およびその検出に必要とされる条件を考慮に入れた適切な方法によってシグナルが検出される。さらに、プローブ、標的、耐熱性シグナルプローブおよび捕捉プローブ、ならびに耐熱性ヌクレアーゼを混合し、反応混合物中のヌクレオチド配列を変性できる温度に短時間さらしてもよい。次いで、プローブおよび標的ヌクレオチドがハイブリダイズして安定で識別可能な二本鎖を形成することができかつヌクレアーゼが活性を有する温度にまで混合物を冷却することができる。ヌクレアーゼは、高温性または耐熱性であることが好ましく、ヌクレアーゼがRNase Aである場合には、ハイブリダイゼーション温度においてヌクレアーゼがリフォールディングし完全に活性化することができる。標的がRNAである場合、RNAが広範囲にまたはその最小限が分解するように、高温にさらす時間は5分未満であるべきである。適温は約85〜95℃である。
出願人らは、多種類の試料からのDNAおよびRNAを検出するために本発明を広く応用できることを認識しているが、本発明の特徴を最適化するため、リボソームRNA(rRNA)の小サブユニット(SSU)を使用して本発明を評価した。具体的には、細菌および真菌からのSSU rRNAを本分析の開発で使用した。
十分な設備を有する分子生物学実験室における経験を積んだスタッフによる実験レベルから、実際の製造条件に分析をスケールアップする際、場合によっては、PCR阻害剤、高レベルのヌクレアーゼ、および分析を阻害する可能性のある他のものが著しい障害となりうる。さらに、rRNAの二次構造は、その配列相同性によって、種間を適切に識別するプローブの設計が困難となるため、難題となり得る。さらに、リボソームRNAが形成する強固な二次構造・三次構造によって、核酸プローブとのハイブリダイゼーションが困難となり得る。従って、出願人らは、現在の技術と比べて本発明が卓越していることおよび新規であることを実証するためにSSU rRNAを使用した。
必要に応じてジルコニア/シリカビーズを使用して微生物の溶解を行うと、RNAへの到達が容易になり、ハイブリダイゼーションが起こりやすくなる。溶解は緩衝液系を必要とする場合があり、この緩衝系は、3−(N−モノホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、SDS、ジチオスレイトール(DTT)、シリコーンポリマー系消泡剤、および水希釈可能な活性シリコーン(すなわち、水溶液系で発泡を抑制するように設計されたもの)で構成されてもよい。溶解/抽出緩衝液の組成および濃度は最適化することができる。たとえば、溶解/抽出緩衝液は、約100〜300mM MOPS、約10〜30mM EDTA、約1〜3%SDS、約5〜15mM DTT、約0.5〜1.5%シリコーンポリマー系消泡剤、および約0.5〜1.5% 活性シリコーンを30%含有する水分散可能なエマルジョン(すなわち、水溶液系で発泡を抑制するように設計されたもの)で構成されてもよい。あるいは、この溶解/抽出緩衝液は、約150〜250mM MOPS、約15〜25mM EDTA、約1.5〜2.5%SDS、約7.5〜12.5mM DTT、約0.75〜1.25%シリコーンポリマー系消泡剤、および約0.75〜1.25% 活性シリコーンを30%含有する水希釈可能なエマルジョン(すなわち、水溶液系で発泡を抑制するように設計されたもの)で構成されてもよい。具体的には、この溶解/抽出緩衝液は、約200mM MOPS、約20mM EDTA、約2%SDS、約10mM DTT、約1%シリコーンポリマー系消泡剤、および約1% 活性シリコーンを30%含有する水希釈可能なエマルジョン(すなわち、水溶液系で発泡を抑制するように設計されたもの)で構成されてもよい。溶解後、抽出したRNAから細胞残屑を取り除くために、シリンジフィルタユニットを用いて試料を個々に濾過することができる。試料は、ゲル排除クロマトグラフィー、スピンカラム、および当技術分野で公知の他の方法等の技術を用いて濾過および脱塩することができる。
次いで、抽出したRNAを、ハイブリダイゼーション条件下で核酸プローブとヌクレアーゼとともに同時にインキュベートする。具体的には、本発明は少なくとも1つのプローブを使用する。一実施形態では、本発明は単一プローブを使用し、これはシグナルプローブでもよい。別の実施形態では、本発明は、シグナルプローブおよび捕捉プローブの2つのプローブを使用する。さらなる実施形態では、本発明は、捕捉プローブ、ブリッジプローブおよびシグナルプローブの3つのプローブを使用する。これらのプローブはそれぞれ16ヌクレオチド以下の標的核酸配列に相補的な配列を持っており、プローブの組み合わせで構成されてもよい。たとえば、1つ以上のシグナルプローブを組み合わせて、すなわちプールして使用してもよい。別の例では、1つ以上の捕捉プローブを組み合わせて、すなわちプールして使用してもよい。このように組み合わせたプローブ、すなわちプローブセットを使用すると、1つ以上の目的配列を検出することができる。
捕捉プローブおよびシグナルプローブの両方が使用され、これらのプローブが、同一のSSU rRNA種上のそれぞれの標的とハイブリダイズする場合、一本鎖RNA上にあるこれらの標的間に余分な空間が存在することがある。このとき、もしブリッジプローブが適所になければ、RNaseがこの介在配列を切断して、捕捉プローブとシグナルプローブとが別個のRNA−プローブ複合体に分かれてしまい、検知ステップにおいて検出ができなくなることが予測される。しかしながら、驚くべきことに、ブリッジプローブを使用しない例であっても、このような、検出ができなくなる状況は発生しない。本発明では、予測に反し、RNAの2つのセグメント間がRNaseの作用によって切断されることはない。したがって、これらのRNAセグメントは互いから分割されず、捕捉プローブおよびシグナルプローブが縦に並んだ外観が保たれる。
RNaseは、少なくとも1つの核酸プローブとともに、抽出したRNAのインキュベーション中に加えられる。これによって、RNAは破壊されるが、ハイブリダイズが可能な程度でとどまる。加えるRNaseが多すぎれば、RNAは完全に分解される。インキュベーション中に加えてもよいRNaseの量は、約10〜40ng、あるいは約15〜25ngである。反応混合物に加えるRNaseの量は、約25ngであってもよい。
ハイブリダイゼーション分析で使用されるヌクレアーゼの有用濃度は、約1.0−12〜2.0ユニット、または約0.002〜0.16ユニットであり得る。たとえば、ハイブリダイゼーション反応量150μlに対して、RNase Aの濃度または量は、約0.01〜1μg、好ましくは約1〜80ng、特に約4〜40ngの範囲である。品質の高いすなわちより純粋なRNase Aは、この酵素活性の典型的な分析に基づくと、純粋な酵素1マイクログラム当たり2ユニットの範囲において特異的な活性を持っている。当業者は、ヌクレアーゼのこのような濃度が、分析に使用されるヌクレアーゼまたはヌクレアーゼの組み合わせだけでなく、反応量、標的およびプローブヌクレオチド濃度、分析時間、および温度に依存することを認識するだろう。
単一塩基のみが異なるような非常に相同性の高い標的配列同士を識別する場合、実質的により高い濃度の1つのヌクレアーゼまたは複数のヌクレアーゼが必要とされる。このような単一塩基を識別可能なヌクレアーゼの濃度範囲は、通常上記の濃度範囲よりも2〜1000倍高い。しかしながら、ほとんどの場合、非常に相同性の高い標的を識別するために必要な濃度は2〜100倍である。また、本発明の分析で使用される核酸プローブによって、標的配列とそれと相同な非標的配列とを単一塩基の差で識別するためには、鎖切断モチーフに対してより広い特異性を持つ複数のヌクレアーゼが必要とされることもある。たとえば、アルカリホスファターゼで標識されたシグナルプローブとビオチン化された捕捉プローブとを使用する場合、反応温度約20〜50℃におけるRNase Aの最適な濃度として、約1〜120ngが挙げられる。当業者は、異なる反応量およびプローブ濃度等により条件の最適化が必要となること、および本明細書の開示によりそのような条件は容易に決定できることを認識するだろう。
RNaseとして、ウシの膵臓由来のRNase A、またはそれと同等の、一本鎖RNAには作用するが二本鎖RNAやRNA−DNAハイブリッドには作用しない、その他のRNaseが好適である。RNase Aは、一本鎖RNAのピリミジン残基の3’リン酸結合を特異的に切断し、ピリミジン3’リン酸、および末端ピリミジン3’リン酸を持つオリゴヌクレオチドを生じる。この酵素は、活性化に補因子および二価陽イオンを必要としない。一般に、RNase Aを、
a)RNAまたはDNAマッピングにおける、RNA:DNAハイブリッドからのハイブリダイズされていないRNA領域の切断、
b)DNAミニプレップに混入したRNAの除去、
c)組み換えタンパク質の調製、
d)リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、
e)プラスミドおよびゲノムDNA単離、および
f)DNAまたはRNA中の単一塩基変異のマッピング
等のアプリケーションに使用してもよい。
別のヌクレアーゼとして、RNase T1が好ましい。RNase T1は、たとえば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)から単離することができ、一本鎖RNAのG残基を特異的に分解するエンドリボヌクレアーゼである。RNase T1は、3’−グアニン残基と、隣接するヌクレオチドの5’−OH残基との間のリン酸ジエステル結合を切断し、これらに対応する中間体である2’,3’−環状リン酸を形成する。この反応による産物は、3’−GMPおよび末端3’−GMPを持つオリゴヌクレオチドである。RNase T1は、活性化に金属イオンを必要としない。
RNase T1も種々のアプリケーションに使用してよい。RNase T1を、
a)DNA調製物からのRNAの除去、およびRNAの塩基配列決定、
b)リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、
c)RNase Aとの併用、
d)組み換えタンパク質調製物からのRNAの除去、および
e)「G−less cassette」を含むDNAテンプレートからインビトロで合成されたRNA転写レベルの測定
に使用してもよい。
RNase T1の阻害剤として、金属イオンとモノヌクレオチドが挙げられる。RNase T1の特異的阻害剤として、グアニリル−2’,5’−グアノシンが挙げられる。
本発明で使用してもよい第3のRNaseとして、RNase Iが挙げられる。RNase Iは大腸菌(Escherichia coli)から単離してもよい。シトシンとウリジンの後ろだけを切断するRNase Aとは異なり、RNase Iは、あらゆるジヌクレオチド間を切断することによって、2’,3’−環状モノリン酸中間体を経由させて、一本鎖RNAをヌクレオシド3’−モノリン酸に分解する。さらに、この酵素は、70℃で15分間加熱することにより完全に不活性化されるため、後に続く多数の処理を行う前にこの酵素を除去する必要はない。
RNase Iを
a)DNA調製物からのRNA除去、および、
b)RNA:RNAおよびRNA:DNAハイブリッド内に存在する単一塩基対のミスマッチを検出するための、RNaseプロテクションアッセイ
等のアプリケーションに使用してもよい。
さらに、当業者は、分析で使用するRNaseの量を様々な基準に応じて最適化してもよいことを理解するだろう。たとえば、当業者は、分析で使用するRNaseの最適な量を決定し、分析量、存在する標的物質の量、分析反応時間、および分析反応温度等の特定の変量を考慮して、この量を修正することができるだろう。
本発明中で使用してもよい別の酵素として、S1ヌクレアーゼが挙げられる。具体的には、S1ヌクレアーゼは、一本鎖のDNAおよびRNAをエンドヌクレアーゼ的に分解し、5’位をホスホリル基で終端された産物を生成する。二本鎖の核酸(DNA:DNA、DNA:RNAまたはRNA:RNA)は、この酵素の濃度が非常に高い場合を除き、この酵素による分解に対して耐性を示す。S1ヌクレアーゼを、二本鎖DNAからの一本鎖末端の除去、一本鎖DNAの選択的開裂、およびRNAの転写マッピングに使用してもよい。
ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(NPA)は、細胞から抽出されたヘテロRNA試料中に存在する個々のRNA分子を同定するための、生化学および遺伝学で使用される検査手技である。この技術によれば、総濃度が低くても、配列が既知である1つ以上のRNA分子を同定することができる。NPAでは最初に、抽出したRNAを、その配列すなわち目的配列に相補的なアンチセンスRNAまたはDNAプローブと混合し、これらの相補鎖をハイブリダイズさせ、二本鎖のRNA(またはDNA−RNAハイブリッド)を形成させる。次いで、二本鎖のRNAに対し活性を示さず一本鎖RNAのみを特異的に切断するリボヌクレアーゼを混合物に作用させる。反応が終わりに近づくと、感受性のRNA領域が、非常に短いオリゴマーまたは個々のヌクレオチドに分解される。残存したRNA断片は、添加したアンチセンス鎖に相補的なものであり、したがって目的配列を含む。プローブがDNA分子である場合はS1ヌクレアーゼを使用し、プローブがRNAである場合は一本鎖に特異的なリボヌクレアーゼのいずれを使用してもよい。残存したプローブ−RNA相補体が検出される。ヌクレアーゼプロテクションアッセイは、イントロンならびに転写遺伝子領域の5’末端および3’末端をマッピングするために使用される。もとの細胞抽出物に存在する標的RNAの量についての定量的結果を得ることができ、標的がメッセンジャーRNAである場合、この定量的結果は細胞の遺伝子の転写レベルを表す。
本発明で使用されるヌクレアーゼは、試料中の目的ヌクレオチド配列を分解できる。しかしながら、目的ヌクレオチド配列が反応中に形成される複合体に結び付けられていない、すなわち、その複合体中に含まれていない場合、ヌクレアーゼによりこの目的ヌクレオチド配列が分解される可能性がある。目的ヌクレオチド配列および核酸プローブを含む複合体が形成されると、ヌクレアーゼが目的配列やプローブを分解する可能性は低い。
ハイブリダイゼーション条件として、液相ハイブリダイゼーションまたは固相支持体を用いたハイブリダイゼーションで使用される条件を使用することができる。あるいは、ハイブリダイゼーション条件として、液相ハイブリダイゼーションで使用する成分および固相支持体を用いたハイブリダイゼーションで使用する成分の両方を使用することもできる。
ハイブリダイゼーション反応では、緩衝液(MOPS、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、ツウィーン(登録商標)20、アジ化ナトリウム、およびカルボン酸リチウムを含む陰イオンフッ素界面活性剤)、プローブ1(配列番号:1、表2参照)および、プローブ2(配列番号:2、表2参照)を使用することができる。プローブの使用量は、1プローブ当たり、約1〜100pmol、約2〜50pmol、または5pmolであってよい。プローブ成分の量は、分析終了時の全体量に依存する。通常、分析の対象となる標的核酸に対し実質的に過剰量のプローブを使用する。これらのプローブは、通常、互いに等モル量で使用される。場合によっては、これらのプローブが互いに異なるモル比であると有利なこともある。たとえば、2つのプローブを用いたハイブリダイゼーションにおいて、捕捉プローブがシグナルプローブよりも高い濃度であると有利な場合がある一方、他の状況においては、この逆の割合でプローブを使用すると好ましい場合もある。
ハイブリダイゼーション緩衝液、プローブおよびRNase Aを混合してからインキュベートする。ハイブリダイゼーション反応および分析全体は環境温度または高温のいずれで行ってもよい。ハイブリダイゼーションは約20〜55℃の温度範囲で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応を約31℃または約42℃で行ってもよい。
ハイブリダイゼーション緩衝液を、特定の濃度の様々な成分で構成してもよい。たとえば、ハイブリダイゼーション緩衝液を、約100〜300mM MOPS、約1〜3M塩化ナトリウム、約0.01〜0.1%(v/v)ツウィーン20、約0.005〜0.015%アジ化ナトリウム、および約0.1〜0.3%(v/v)ゾニールFSA(カルボン酸リチウムを含む陰イオンフッ素界面活性剤)で構成してもよい。ハイブリダイゼーション緩衝液のpHは、約6〜8、約6.5〜約7.5、または約6.9であってもよい。上記ハイブリダイゼーション緩衝液を、約150〜250mM MOPS、約1.5〜3.5M塩化ナトリウム、約0.02〜0.07%(v/v)ツウィーン20、約0.007〜0.012%アジ化ナトリウム、および約0.15〜0.25%(v/v)ゾニールFSA(カルボン酸リチウムを含む陰イオンフッ素界面活性剤)で構成してもよい。上記ハイブリダイゼーション緩衝液を、約200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、約0.05%(v/v)ツィーン20、約0.01%アジ化ナトリウム、約0.2%(v/v)ゾニールFSA(カルボン酸リチウムを含む陰イオンフッ素界面活性剤)で構成し、約pH6.9としてもよい。上記の補助成分を含む、トリス緩衝食塩水等の他の緩衝液も、同様の効果を伴って使用することができ、このような緩衝液は当技術分野においてよく知られている。緩衝液は、検出を妨げたり他の分析成分を不活性化する成分を含んではならない。たとえば、SDSはアルカリホスファターゼを不活性化するため、アルカリホスファターゼで標識したプローブを使用するハイブリダイゼーションでは使用してはならない。
本発明で使用するために評価された好適なハイブリダイゼーション緩衝液として、以下のものが挙げられる。
TMAC[3M TMAC、50mM MOPS、0.1%ツウィーン20、0.0067%アジ化Na];
TBS[0.1Mトリス、0.15M NaCl、0.05%ツウィーン20、0.01%アジ化Na];
MOPS/マンノース[50mM MOPS、200mMマンノース、150mM NaCl、0.01%ツウィーン20];
3M TMAC、TE(3.3mMトリス、0.33mM EDTA)、0.1%SDS;
0.2M TEAC、TE(3.3mMトリス、0.33mM EDTA)、0.1%SDS;
SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na)、0.05%ツウィーン20;
SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na)、0.05%ツウィーン20、1%高分子量PEG;
SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na)、0.05%ツウィーン20、1%低分子量PEG;
SSC(0.15M NaCl、0.015Mクエン酸Na)、0.05%ツウィーン20、10mM D−マンノース;
0.2M TEAC;
1M TEAC;
3M TMAC;
SSC(0.9M NaCl、0.09Mクエン酸Na)、0.1%SDS;および
1×PCR緩衝液(プロメガ社製、cat#M8901)、5mM塩化マグネシウム。
上記の緩衝液のいずれを使用しても、それぞれのSSU rRNAを識別するように設計されたプローブを用いて、異なる標的生物を適切に検出かつ識別することができた。一実施形態として、実施例1で使用されるハイブリダイゼーション緩衝液が好ましい。ハイブリダイゼーション緩衝液は、2×濃縮で調製しておき、その後、実施例9で使用されているような、ハイブリダイゼーション緩衝液の1×作業濃度に希釈することができる。
ヌクレアーゼとハイブリダイゼーション成分とを組み合わせる別の実施形態は、試料中に標的ヌクレオチド酸配列が存在する場合に、その配列と少なくとも1つの標識された核酸プローブとがどのぐらいハイブリダイズしたかという程度に関するものである。たとえば、ヌクレアーゼは、プローブ:標的ハイブリダイゼーション複合体またはハイブリダイゼーションのパーセンテージが、約0〜95%、約5〜95%、約5%〜75%、約15〜65%、または約15〜50%進んだ後に加えられる。あるいは、このハイブリダイゼーションのパーセンテージは約40〜95%である。当業者は、このハイブリダイゼーションの程度を利用して、ヌクレアーゼとハイブリダイゼーション反応の他の成分とを組み合わせる適切な時点を決定できることを認識するだろう。
フッ素界面活性剤はゾニールFSAでもよく、これを使用することによってハイブリダイゼーションにおける非特異結合と試料の発泡との両方を低減できる。核酸プローブはハイブリダイゼーション前に希釈緩衝液で希釈するが、この希釈緩衝液はトリス、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムおよびアジ化ナトリウムで構成されてもよい。
ハイブリダイゼーションは液相で行うことができる。しかしながら、捕捉プローブを捕捉するのではなく、固相に固定化してもよい。プローブを固定化する方法は当技術分野でよく知られている。好適な固相:捕捉プローブの実施形態として、10ナノメートル〜1ミクロンのナノ粒子が挙げられ、このサイズの粒子を用いることによって、液相で行った場合と非常によく似た反応およびハイブリダイゼーション動態を得ることができる。捕捉プローブを結合するのに適した粒子は、量子ドット、常磁性粒子、蛍光として検出できるビーズ、または金が挙げられる。一実施形態では、マイクロタイタープレート、個々のチューブ、またはチューブストリップの壁もしくはウェルに捕捉プローブを付着させる。別の実施形態では、固相はニトロセルロース等のメンブレンである。別の実施形態では、捕捉プローブはフローストリップ等に固定化される。
特に、2つまたは3つのプローブを用いた実施形態では、固定化された捕捉プローブを用いて単一のチューブ内でハイブリダイゼーションを行うことができる。単一のチューブ内においてハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼによる分解を行い、次いで非結合種を除去するために洗浄し、さらに標的プローブセット複合体中のシグナルプローブを検出する。実施例において説明されるように、ハイブリダイゼーションを1本のチューブ内で行い、さらに捕捉および検出を行うため別個のチューブに移してもよい。さらに、単一のプローブを使用した別の実施形態では、標識された単一の蛍光プローブと、プローブの標的核酸を含むまたは含む可能性のある試料と、ヌクレアーゼとを合わせ、次いで変性を起こし、ハイブリダイズされたプローブ:標的二本鎖を蛍光偏光法によって検出する。
本分析で使用されるシグナルプローブ、捕捉プローブおよびブリッジプローブを、約0.75〜1.75pmol/μl、または約1〜1.5pmol/μlに希釈してもよい。これらのプローブを、AP(アルカリホスファターゼ)希釈緩衝液で約1.25pmol/μlに希釈することもできる。AP希釈緩衝液を、約50〜150mMトリス、約50〜150mM塩化ナトリウム、約1〜10mM塩化マグネシウム、および約0.001〜0.02%アジ化ナトリウムで構成してもよい。AP希釈緩衝液のpHは、約8〜10、約8.5〜9.5、または約9.0であってよい。AP希釈緩衝液を、約75〜125mMトリス、約75〜125mM塩化ナトリウム、約2.5〜7.5mM塩化マグネシウム、および約0.0075〜0.015%のアジ化ナトリウムで構成してもよい。さらに、AP希釈緩衝液を、約100mMトリス、約100mM塩化ナトリウム、約5mM塩化マグネシウム、および約0.01%アジ化ナトリウムで構成し、pH約9.0としてもよい。
本発明の分析で使用されるプローブは、本分析で使用されるヌクレアーゼまたはヌクレアーゼの組み合わせに対して耐性または不活性であるべきである。本分析においてRNaseを使用する場合、プローブはDNA組成物であってもよく、本分析においてS1ヌクレアーゼを使用する場合、プローブはRNAであってもよい。当業者は、本分析でRNaseが使用されているにもかかわらずプローブがRNAで構成されている場合、プローブが2’−O−メチルリボヌクレオチド等の修飾ヌクレオチドで構成されるようにするなど、ヌクレオチド配列プローブの主鎖に修飾を加えて、ヌクレアーゼに対する耐性を持たせることができることを熟知しているだろう。同様に、DNA標的またはRNA標的を対象とするプローブの主鎖のヌクレオチド結合は、ホスホチオエート、ペプチド結合(たとえば、PNA)、またはモノホリノ基で構成することができる。このヌクレオチド配列の長さは、10〜100ヌクレオチド、12〜30ヌクレオチド、または12〜25ヌクレオチドであり得る。
当業者は、プローブの長さおよびヌクレオチド組成がハイブリダイゼーション温度に影響を及ぼすことを認識かつ理解することができる。さらに、この組成と長さは、選択された標的ヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションの特異性、および非標的ヌクレオチド配列との交差反応の可能性に影響を及ぼす。このことは、標的が類似した生物や相同な遺伝子からの相同配列であり、微細なセグメントの変化(たとえば、がんのp53遺伝子のSNP)を検出するように、あるいは異なる生物のリボソームRNAの小/大ユニットを識別するように本分析を設計する場合に特に当てはまる。このような場合、標的配列とプローブとのハイブリダイゼーションを最大限にし、かつ非標的配列とのあらゆる交差反応を最小限にするため、プローブを短くすべきであり、その長さは通常12〜18ヌクレオチド長である。
別の実施形態では、標的配列とハイブリダイズすることができる単一プローブを、放射性物質である32Pおよび33P、ならびにテトラメチルローダミンおよびCy3等の蛍光標識等の検出可能な標識で標識する。一実施形態では、プローブは検出可能な標識を有する単一プローブである。別の実施形態中では、試料中に存在する可能性のある複数の標的配列を検出できるように、別々に検出できかつ別々に識別可能な標識が付着したプローブを複数使用する。たとえば、遺伝子内のSNPの存在を検出するために、一方のプローブが標的遺伝子の野生型対立遺伝子を検出するためにCy3で標識され、他方のプローブが変異型対立遺伝子を標的とする、2つのプローブを使用してもよい。さらに、別々に検出可能かつ識別可能な標識を有する多数のプローブを調製することができ、この場合は、このようなプローブを用いたマルチプレックスアッセイで使用される標識を識別する方法の性能によってのみ制限される。重要なことには、断片解析法によって複数のプローブとそれぞれの標的とのハイブリダイゼーションを検出する場合、複数のプローブ:標的二本鎖を識別するための追加手段として、形成された二本鎖のサイズを利用することができる。
既に述べたように、標的核酸を検出するために使用されるプローブは、捕捉プローブおよびそれと組となるシグナルプローブのセットで構成することができる。一実施形態では、捕捉プローブとシグナルプローブとの1ペアを、試料中に存在する他のヌクレオチド配列から標的ヌクレオチド配列を検出するために調製する。別の実施形態では、単一のシグナルプローブについて上述したことを考慮に入れると、試料中に存在する複数の標的ヌクレオチド配列を検出するために、別々に検出可能かつ識別可能な複数のシグナルプローブを有する、捕捉プローブおよびシグナルプローブのペアを複数組使用することができる。
同様に、プローブセットの一実施形態では、試料中に存在する標的ヌクレオチド配列を検出するように設計したプローブセットは、捕捉プローブ、ブリッジプローブ、およびシグナルプローブのセットで構成することができる。デュアルプローブについて上述したように、単一のシグナルプローブついて上述したことを考慮に入れると、トリプルプローブを使用する別の実施形態では、試料中に存在する複数の標的ヌクレオチド配列を検出するために、それぞれが別々に検出可能かつ識別可能なシグナルプローブを有する、試料中の複数の標的ヌクレオチド配列を検出するように設計されたトリプルプローブセットを複数組使用する。
分析の対象となる試料中の標的ヌクレオチド配列の予測される濃度に対し、実質的に過剰量のプローブを使用することが好ましく、プローブと標的の比率は、通常10:1〜1000:1である。当業者によって理解されるように、バックグラウンドまたは非特異結合に起因すると考えられるシグナルを最小限にすることができる場合、標的に対するプローブの比率をより高くすることができる。さらに、標的に対するプローブの比率をより低くすることもできる。しかしながら、この場合、ハイブリダイズするのに必要な時間は実質的に増加する。
本分析で複数のプローブを使用する場合、これらのプローブの濃度が同様、またはほぼ同一、すなわち1:1であることが好ましい。別の実施形態では、複数の上記デュアルプローブセットまたはトリプルプローブセットが本分析に使用され、それぞれのシグナルプローブは共通の捕捉プローブを持つが、これらのシグナルプローブが別々に検出可能かつ識別可能であることによって、試料中の異なる標的ヌクレオチド配列の識別が可能となる。さらに別の実施形態では、それぞれのシグナルプローブが試料中に存在する異なる標的ヌクレオチド配列を識別することができ、これらと組をなす、捕捉プローブとブリッジプローブとが同一の配列を有してもよい。
プローブは、液相または凍結乾燥状態で提供されてもよい。さらに、プローブを凍結乾燥する場合、再形成した際にヌクレアーゼおよびプローブが本分析に適切な濃度となるよう、ヌクレアーゼをプローブとともに凍結乾燥してもよい。
プローブ末端、すなわちスペーサーは、当技術分野で公知であり、上述されている。別の実施形態では、プローブ末端すなわちスペーサーは、ジップコード(zip code)またはバーコード配列で構成されている。表面(たとえば、アレイ)、または蛍光として検出できるビーズ(たとえば、ルミネックス社(テキサス州オースティン)やPolyAn Gmbh(ドイツ、ベルリン)から入手可能なビーズ)に固定化されたジップコードまたはバーコードの相補的配列と、プローブ:標的複合体が有するジップコード末端またはバーコード末端とが対応することによって、プローブ:標的複合体を捕捉することができる。
進歩的な本分析で使用してもよい核酸プローブには種々のものがある。これらのプローブは、プローブの5’または3’末端のどちらかに付加されたスペーサーを有してもよく、ハイブリダイゼーション中のステアリン酸による阻害を低減するために、これらのスペーサーを使用してもよい。このようなスペーサーは、ポリエチレングリコールスペーサー、アルキル鎖、または同種のヌクレオチドが7〜10個連なったポリT鎖等であってよい。ポリエチレングリコールスペーサーおよびアルキル鎖スペーサーを、ビオチンとともに使用してよい。これらのプローブは、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、蛍光標識、酵素標識および色素体標識からなる群から選ばれる検出可能な部分で標識される。これらのプローブは、配列番号:1〜4を含む特定のオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
化学発光標識は、アルカリホスファターゼ(ALP)、アデノシン三リン酸(ATP)、アデニル酸キナーゼ(AK)、ルミノールおよびルシフェラーゼ/ルシフェリンの組み合わせからなる群から選ばれてもよい。化学発光標識および生物発光標識は、化学発光反応および生物発光反応によって最終的に検出される前駆体でもよい。試薬基質の添加に際して、これらの検出可能な標識は特徴的な挙動を示し、特定の微生物の検出を可能にする。Celsis Advance(登録商標)Luminometer等のルミノメーターを使用して、これらの特徴的な挙動を検出してもよい。
化学発光標識または生物発光標識で標識したプローブを使用する場合、試薬基質は、ルシフェラーゼ/ルシフェリン/アデノシン二リン酸(ADP)の組み合わせ、ルシフェラーゼ/ルシフェリンの組み合わせ、およびATPからなる群から選ばれる。さらに、アルカリホスファターゼとLumigen社によって提供されているLumi−Phos530、Lumi−Phos480、Lumi−Phos Plus等の1,2−ジオキセタン化合物やロシュ社(インディアナ州インディアナポリス)によって提供されている類似の基質を含むリン酸化された潜在化学発光基質との組み合わせ、および西洋ワサビペルオキシダーゼやルミノールを使用することができる。アダマンチル−1,2−ジオキセタンリン酸やその同等物は、アルカリホスファターゼの直接基質であり、Attoglow(登録商標)AP Substrate 450LB(Michigan Diagnostics社、アメリカ、ミシガン州ロイヤルオーク)等の商品名で販売されている。シグナルを生成する酵素としてアルカリホスファターゼを使用する利点として、BCIP/NBT(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム)等の肉眼で見えるものや、パラニトロフェニルリン酸等の化学発光の基質としては適度の感度を有するものに基質を変更することによって、広範囲な望ましい分析感度を選択することができることが挙げられる。
別の実施形態では、本分析の緩衝液および個々の成分は、試薬を添加および組み合わせる際の視覚的な指標として使うことができる色素または他の着色剤を含んでもよく、これによって確実かつ適切に試薬を構築し、混合し、これらのpHの調整をすることができる。好適な着色剤として、米国食品医薬品局が承認した7種のFD&C着色剤が挙げられる。
(FD&C青色1号−ブリリアントブルーFCF、E133(青色系)、
FD&C青色2号−インジゴチン、E132(紺青色系)、
FD&C緑色3号−ファストグリーンFCF、E143(青みがかった緑色系)、
FD&C赤色40号−アルラレッドAC、E129(赤色系)、
FD&C赤色3号−エリスロシン、E127(桃色系)、
FD&C黄色5号−タートラジン、E102(黄色系)、および
FD&C黄色6号−サンセットイエローFCF、E110(橙色系)。)
視覚的指標として使用するのに適切な濃度は、所望の着色度および視覚化に対する適合性に依存することが多く、通常、色素の濃度は0.001〜0.1重量%である。色素を様々に組み合わせることによって、可視スペクトルの大部分に及ぶ多様な色が得られ、それらは個々の試薬に加えたときに他と難なく識別することができる色となる。さらに、試薬を混合することによって色素も混合され、識別可能な異なる色となる。このような色の変化は、成分の添加が正しく行われていること、また数種類の試薬の混合が行われる場合にはその順序が適切であることを示す視覚的な指標となる。
目的とする核酸配列および/または微生物を検出および同定するキットを調製してもよく、このキットは、検出可能な標識で標識された少なくとも1つのヌクレオチドプローブ、フッ素界面活性剤、および目的配列を分解できるヌクレアーゼを含んでもよい。別の実施例では、試薬基質、溶解/抽出緩衝液、ハイブリダイゼーション緩衝液、および/または洗浄緩衝液を含んでもよい。さらに、微生物を溶解するのに有用なジルコニア/シリカビーズをキットに含んでもよい。上述したような分析に常磁性ビーズを使用する場合、このようなビーズをキットに含んでもよい。このような常磁性ビーズは、RNAに結合するプローブで標識されてもよく、RNAと結合する追加の1つまたは複数のプローブを使用して検出を行う。リポソームで被包された発光試薬を使用してもよく、検出可能なシグナルをさらに大きく増幅することができる。
キットは、抽出された目的ヌクレオチド配列のクリーンアップ用カラムおよび分析チューブをさらに含んでもよい。分析チューブを、検出分析に有用な化合物(たとえば、ストレプトアビジン)でコーティングしてもよい。
本発明の検出分析は、様々な試料中に存在する、細菌、真菌または他の微生物等の微生物を検出するために使用してもよい。さらに、本発明の検出分析は、試料中に存在する目的核酸配列を検出するために使用してもよい。このような試料として、食品、環境試料、臨床試料、水、飲料、液体ソープ、日焼け止め、化粧品、練り歯磨き、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、化粧水、およびパーソナルケア製品(PCP)が挙げられる。さらに、本分析によって、グラム陰性菌とグラム陽性菌とを識別することができる。グラム陰性菌に特異的なプローブを使用した場合、この種の細菌のみが陽性を示すため、大多数のグラム陽性菌は検出されない。
さらに、本検出分析の産物をPCRおよびRT−PCR等の追加分析で使用してもよい。これらの分析は、核酸配列を増幅するために使用できる。増幅することにより、検出は簡便かつ再現性の高いものとなる。PCRまたはRT−PCRを用いることにより、分析の感度を増加させるだけでなく、産物を定量することが可能となる。
本発明は、さらに、タンパク質、ペプチド、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖、多糖、脂質等の、目的とする標的の検出分析に関する。これらに適切なプローブは、検出可能な標識で標識することができる。たとえば、抗原を、放射性標識、化学発光標識、生物発光標識、蛍光標識または電気化学標識で標識することができ、それによって対応する抗体による検出が可能となる。
さらに、多くのアプリケーションにおいて、非特異結合や不要な結合を低減するために、フッ素界面活性剤を使用することができる。上述したように、少なくとも1つのフッ素界面活性剤を、緩衝液または他の液体に加えてアプリケーションを実施すれば、非特異結合は低減する。さらに、フッ素界面活性剤は、多くの材料の表面へのまたは相互間の接着または結合を防ぐ。たとえば、本発明は、細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子の非特異結合を低減させる方法であって、少なくとも1つのフッ素界面活性剤を緩衝液に加えること、および該細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子を該緩衝液と接触させることを含み、該少なくとも1つのフッ素界面活性剤の存在によって、該細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子の、表面へのまたは相互間の非特異結合が低減することを特徴とする方法に関する場合もある。この方法は、細胞、タンパク質、ペプチド、核酸、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖類、多糖、および脂質に使用されるが、これらに限定されない。この方法は、非常に有益な効果を示し、より簡便であり、より再現性のよい結果をもたらす。
どの薬剤または物質が、非特異結合を低減または実質的に低減することができるのかを判断する場合、特定の所望の性質として以下のものが含まれるが、これらに限定されない。
・非特異性の疎水性結合、イオン結合、および共有結合を含む、表面への分析成分の非特異結合(NSB)の抑制
・反応ベッセルや反応容器の表面、またはメンブレン等の他の表面と分析成分または試料成分との間の非特異性相互作用の抑制
・特に、プロテインA、プロテインG、アビジン、ストレプトアビジン、核酸、グリコシル基、脂肪酸、脂質、炭水化物等の分析成分と、抗体との間で交差反応性がないこと
・固定化および/または乾燥に付随して相転移とともに起こりうるタンパク質変性による影響の最小化
・一般に冷蔵保存または凍結保存される希釈用試薬に使用するタンパク質または他の分子の安定化
・(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼの)夾雑酵素活性がまったくないか、またはほとんどないこと
・分析中に酵素活性が存在する場合、その抑制
・固定化された分析成分が破壊されていないこと、または目的の生体分子または特定のタンパク質の検出が阻害されていないこと
・感染性因子を含まないこと
・再現性のあるパフォーマンス
本明細書に記載のフッ素界面活性剤は、本明細書の記載により例証されるような特性を有し、本開示の実施形態および実施例で説明されるような形態で使用される。
本発明を、以下の実施例でさらに詳細に説明するが、これらに限定されない。通常の方法および上述されかつ以下で例証されるキットを考慮に入れたうえで、当業者は、本発明の範囲内である様々な選択肢を容易に決定することができるだろう。
実施例1
微生物保存培養株の増殖および調製
American Type Culture Collection(ATCC(登録商標)、アメリカ、バージニア州マナッサス)から入手した既知の微生物を使用して、下流分析に適した核酸を得るために使用される溶解プロトコルを試験した。
Figure 2011510630
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger、ATCC 16404)を除くこれらの微生物をすべて、保存微生物株に添付された供給者の推奨に従い原培養から増殖させた。増殖後、適切な培地中で密集成長させた各微生物5mlに80%グリセロールを1.875ml加えて、各微生物の30%グリセロールストックを調製した。次いで、各微生物のグリセロールストックを、ガスケット付スクリューキャップを有する2mlポリプロピレン製滅菌チューブに配分してそれぞれ500μlの分割試料とし、菌株別保存用グリセロールストックの1セットを得た。これらの菌株別保存用グリセロールストックは、使用するまで−80℃で保存した。
アスペルギルス・ニガー(ATCC 16404)を除き、各微生物の核酸を単離するための作業用グリセロールストックを以下のように調製した。滅菌した150ml Sterile Universal Container(Celsis社(イリノイ州シカゴ):部品番号1280200、Greiner Bio−One社(ノースカロライナ州モンロー)等)のそれぞれに、レシチンとポリソルベート80(ツウィーン80)(ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー、アメリカ、メリーランド州スパークス)とを含むDifco(登録商標)Letheen Broth 100mlを入れ、ここへ微生物ごとの保存用グリセロールストック1本を加えた。上記の容器はそれぞれ、微生物を植菌した後しっかりと蓋を閉じ、C25 Incubator Shaker(登録商標)(New Brunswick Scientific社、アメリカ、ニュージャージー州エジソン)等のインキュベータシェーカー上にて、200rpm、31℃で24時間インキュベートした。80%グリセロール37.5mlおよび密集成長させた各微生物100mlを使用して作業用グリセロールストックを調製し、これらの作業用グリセロールストックを、ガスケット付スクリューキャップを有する2mlポリプロピレン製滅菌チューブに配分して1400μlの分割試料とした。これらの作業用グリセロールストックを、使用するまで−20℃で保存した。
アスペルギルス・ニガー(ATCC 16404)は、その成長特性により以下のように増殖させ、菌株別グリセロールストックおよび作業用グリセロールストックを得た。アスペルギルス・ニガーの30%グリセロールストックを以下のように調製した。滅菌脱イオン(DI)水6mlをアスペルギルス・ニガー(ATCC 16404)の胞子株に加え、次いで15ml組織培養用円錐形チューブ(フィッシャー・サイエンティフィック社、ペンシルバニア州ピッツバーグ)に移し、蓋をしっかりと閉め、振盪せずに室温で一晩インキュベートした。インキュベーション後、80%グリセロールを2.25ml加え、インキュベートした胞子の30%グリセロール溶液を得た。このインキュベートした胞子の30%グリセロール溶液を、紫外(UV)光下で処理した0.5mlフラットキャップチューブに配分して50μlの分割試料とした。分割試料の一部は、作業用グリセロールストックチューブを得るためのものとして、使用時まで−20℃で保存し、残りの分割試料チューブは、菌株保存用グリセロールストックとして、使用時まで−80℃で保存した。
核酸単離用の菌種別培養
表1の各微生物の作業用グリセロールストック1本を解凍し、Letheen Broth 100mlを入れたそれぞれ別の滅菌済み150ml容器へ移した。各微生物を、C25 Incubator Shaker等のインキュベータシェーカー上にて200rpm、31℃で24時間培養した。各微生物の増殖量は、メーカー推奨のプロトコルに従い、Celsis Rapiscreen(登録商標)Reagent(Celsis社、アメリカ、イリノイ州シカゴ)等のATP用発光分析を使用して、Celsis Advance Luminometer等のルミノメーターで解析することにより測定した。表1に列記した微生物の培養物をRapiscreenで測定した結果はそれぞれ陽性であり、核酸単離用の微生物が十分量増殖されたことが示された。
一晩培養物の溶解
一晩培養した各微生物500μlを、それぞれ別の溶解チューブに加えた。各溶解チューブ(1.5ml円錐形・スクリューキャップ付き)は、溶解/抽出緩衝液500μlおよび0.5mmのジルコニア/シリカビーズ1gを含んでいた。この溶解/抽出緩衝液は、200mM 3−(N−モノホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS);20mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA);2%SDS;10mMジチオスレイトール(DTT);1%シリコーンポリマー系消泡剤(Antifoam A等(シグマアルドリッチ社));1% 活性シリコーンを30%含有する水希釈可能なエマルジョン(水溶液系で発泡を抑制するように設計されたもの)(Antifoam Y−30等(シグマアルドリッチ社));および100μM Alumion(登録商標)(シグマアルドリッチ社)として販売されているオーリントリカルボン酸(または、アンモニウム塩等のその塩)で構成されていた。
上記の一晩培養物500μlを含む溶解チューブを、Deluxe PulseVortex(登録商標)Mixer(フィッシャー・サイエンティフィック社)等のパルシングボルテックスミキサーにセットし、3000rpm、30秒間と休止、10秒間とからなる工程を10分間繰り返すようにプログラムしたパルス設定を用いてボルテックスした。
濾過およびカラム脱塩
ボルテックスした後、Luer−Lok(登録商標)Tip(ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー、アメリカ、メリーランド州スパークス)等のロックチップで3mlシリンジに取り付けられた、アクロディスク(登録商標)シリンジフィルタ(Pall Corporation、アメリカ、ミシガン州アナーバー)等の0.8/0.2μmのシリンジフィルタを有するそれぞれ別のシリンジフィルタユニットに溶解した各試料を移して濾過し、Celsis Advance Cuvette(12×75mm、ポリスチレン製)に注いだ。各試料につき、全量約700〜800μlの濾液がキュベットに回収された。1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)であらかじめ平衡化した、illustra Nap(登録商標)−5 column(GEヘルスケア社、アメリカ、ニュージャージー州ピスカタウェイ)等の架橋デキストランゲルビーズDNAグレードカラムに各試料の濾液500μlをロードした。濾液をカラムにロードすると同時にカラムから溶出した500μlの緩衝液は、廃液として排出した。カラムから濾液を溶出するために、1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)1mlを使用した。核酸を含む溶出液1mlを、Celsis Advance Cuvetteに回収した。
ゲル電気泳動
上記各試料から回収した1mlのカラム溶出液中にrRNAが存在することを確認するため、ゲル電気泳動を使用した。各試料の溶出液500μlを、マイクロコン(登録商標)30(ミリポア株式会社、アメリカ、マサチューセッツ州ベッドフォード)等の遠心式フィルタユニットを使用して、14,000gで25分間遠心および1,000gで1分間逆回転して濃縮し、濃縮した試料溶出液を回収した。FlashGel(登録商標)RNA Cassette(ロンザ社、アメリカ、メイン州ロックランド)等の1.2%アガロースゲル上で電気泳動するために、濃縮溶出液の分割試料2.5μlと、MOPS緩衝液(ロンザ社)中に、ホルムアルデヒド、ホルムアミド、および追跡用色素を含むFormaldehyde Sample Buffer 2.5μlとを使用して試料を調製した。0.5〜9kbのRNA断片(ロンザ社)を含むFlashGel RNA Marker 1μlおよびFormaldehyde Sample Buffer 4μlをサイズマーカーとして使用した。上記の調製した試料を65℃で5分間変性させ、次いでこれらの試料をFlashGel RNA Cassetteのそれぞれ別のウェルにロードし、225ボルトで8分間電気泳動した。ゲルメーカー推奨のプロトコルに従い、FlashGel RNA Cassetteを約20分間染色した。FlashGel RNA Cassetteを、ハイパフォーマンス紫外線トランスイルミネーターにセットし、画像をKodak Gel Logic 100(登録商標)カメラ(コダック社、アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター)等のゲルを撮影するために設計されたイメージングシステムを用いて取り込んだ。残りの試料500μlは、検出分析において使用するまで−20℃で保存した。
結果
ゲル写真においてrRNAバンドが適切なサイズおよび相対強度で観察されたこと、およびそれらの外観より、ゲノムDNAが存在することだけでなく結果が陽性であることが示された。この結果から、上記の培養、溶解および核酸単離に使用した方法により、解析用のrRNAおよびゲノムDNAを十分な量で得られることが示された。
パーソナルケア製品に存在する微生物汚染の検出
上記の方法の有用性を評価するために、代表的なパーソナルケア製品(PCP)の1セットを、見いだされることの多い5種の微生物で人為的に汚染させ、これらを試験した。人為的に汚染させるために使用した微生物は、大腸菌(Escherichia coli)ATCC 8739、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC 6633、セパシア菌(Burkholderia cepacia)ATCC 25416、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 9027、および表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)ATCC 12228であった。パーソナルケア製品の非汚染培養物およびモデル汚染培養物は、以下のように調製した。5種の微生物それぞれにつき、上述した作業用グリセロールストック1本を新たに解凍して使用することにより、培養物を構築した。5種の微生物に対しそれぞれ3つの培養系を、150ml Greiner社製容器中で以下のものと混合することによって調製した:100mlのLetheen Brothのみ;1%(w/v)のシャンプー(ダヴ(登録商標)2in1モイスチャーシャンプー・アンド・コンディショナー(ユニリーバ社、アメリカ、コネチカット州トランブル))を含むLetheen Broth(1gのシャンプーおよび99mlのLetheen Broth);または1%(w/v)の日焼け止め(バナナボート(登録商標)サンクスリーンSPF8(Sun Pharmaceuticals Corporation、アメリカ、フロリダ州デルレイビーチ))を含むDifco TATブロス(ベクトンディッキンソン・アンド・カンパニー)等のトリプトン−アゾレクチン−ツウィーン ブロス(1gの日焼け止めおよび1gのツウィーン80+98mlのTATブロス)。これらの培養系を、C25 Incubator Shaker上にて200rpm、31℃で24時間インキュベートした。増殖を測定するために、24時間培養した微生物50μlを、メーカーによるプロトコルに従いRapiScreen分析を利用しCelsis Advance機器を用いて、duplicateで分析した。
核酸は上述の方法を使用して培養物から単離した。Celsis Advance Cuvetteに回収されたカラム溶出液1mlを、それぞれ培養するため、2×500μlの分割試料に分けた。溶出液の分割試料のうちの1つはrRNAの存在を電気泳動で確認するため濃縮した。電気泳動の結果、すべての培養物が核酸、特にrRNAの存在を示した。もう一方の分割試料は、下記の検出分析で使用した。
検出分析
上記のモデル微生物汚染培養から単離した核酸を、以下の方法によって分析した。簡潔に説明すれば、この方法は、培養物から単離した核酸をグラム陰性菌を検出するように設計された1組のプローブでハイブリダイズすることと、次いで標的rRNAとプローブとがハイブリダイズすることによって形成された複合体を固相に捕捉することとからなっていた。複合体を捕捉した後、非結合反応成分を洗浄によって除去した。固相に結合した複合体を好適な検出方法によって検出した。
ハイブリダイゼーションおよび捕捉
各ハイブリダイゼーション反応を行うため、薄壁のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用12連200μlチューブストリップ(フィッシャー・サイエンティフィック社)に、モデル微生物汚染培養物からそれぞれ単離した核酸60.5μlに加えて、下記のハイブリダイゼーション混合物89.5μlを仕込んだ。各ハイブリダイゼーション反応において、ハイブリダイゼーション混合物は、ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.2%(v/v)ゾニールFSA(陰イオン性のカルボン酸リチウムフッ素界面活性剤)で構成され、pH6.9であるもの];プローブ1(配列番号:1、表2参照)5μl;プローブ2(配列番号:2、表2参照)5μl;プローブ3(配列番号:3、表2参照)2μl;およびRNase A(RPAグレード)2.5μl(滅菌DI水で新しく10ng/μlに希釈したもの)で構成されていた。上記のプローブは、事前にAP希釈緩衝液[100mMトリス、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、および0.01%アジ化ナトリウムで構成され、pH9.0であるもの]で1.25pmol/μlに希釈したものであった。単離した核酸の残りの439.5μlは、−80℃で保存した。さらに、2種のコントロールも分析した。ネガティブコントロールは水60.5μlからなっており、ポジティブコントロールは水59.5μlに加えプローブ4(配列番号:4、表2参照)1μlからなっていた。ハイブリダイゼーション混合物と、核酸またはコントロールとを含むチューブをPTC−200サーモサイクラー(バイオ・ラッド社、アメリカ、カリフォルニア州ハーキュリーズ)等のサーモサイクラーにセットし、42℃で30分間処理した。次いで、チューブをサーモサイクラーから取り外し、各チューブの内容物を、SuperBlock(登録商標)Blocking Buffer(Pierce社)等のブロッキング緩衝液を含む、Reacti−Bind(登録商標)Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips(Pierce社、アメリカ、イリノイ州ロックフォード)等のストレプトアビジンがコーティングされたポリスチレン製8ウェルプレートのそれぞれ別のウェルに移した。このプレートを室温で30分間インキュベートしてハイブリダイゼーションを行い、プレートに捕捉させた。次いで、それぞれのウェルを洗浄緩衝液250μl[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]で洗浄し、1分間超音波攪拌した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、プレートを軽くはじいてウェルの内容物を廃棄した。洗浄緩衝液250μlを用いて1分間の超音波攪拌を行う上記洗浄工程を、5回繰り返した。超音波攪拌は、Model 840 Jewelry Cleaner(Standard Products Corp.、アメリカ、マサチューセッツ州ホイットマン)等のジュエリークリーナーの中に、間に合わせで作製した浮遊するラックを水の浮力を利用して浮かせ、そのラックにチューブを立てて行った。
Figure 2011510630
基質のインキュベーション
次いで、以下のように、基質を用いて洗浄したウェルを処理した。最終の洗浄後、リン酸ジナトリウム3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニル(CSPD(登録商標)基質)(ロシュ・ダイアグノスティックス社、アメリカ、インディアナ州インディアナポリス)200μlを各ウェルに加えた。アルミホイルで遮光しながら、各ウェルの基質を室温で20分間インキュベートした。基質のインキュベーションが終了した後、インキュベートした基質200μlをCelsis Advance Cuvetteへ移した。このキュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、および相対発光量(RLU)のキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。RLUは任意の値に対する相対発光量を表し、この機器によって検出される放射光の単位である。
検出分析の結果
Figure 2011510630
ネガティブコントロールの平均RLUの2倍値を陰性結果のカットオフとして設定した(カットオフRLU902)。グラム陰性菌を植菌したモデル微生物汚染培養では、培養物の平均RLUはいずれもネガティブコントロールの平均RLUの2倍値以上を示し、結果はすべて陽性であった。グラム陽性菌を植菌したモデル微生物汚染培養では、培養物の平均RLUはいずれもネガティブコントロールの平均RLUの2倍値未満を示し、結果はすべて陰性であった。この検出分析では、ブロスのみで増殖させた場合のみならず、代表的なパーソナルケア製品を含むブロスで増殖させた場合にも、グラム陰性菌とグラム陽性菌とが識別された。
驚いたことに、RNaseを使用することによって、試験したリボソームRNAを変性させずとも、プローブと試験した非変性リボソームRNAとの間でハイブリダイゼーションが十分に生じた。すなわち、カオトロピック試薬を使用することも、リボソームRNAを変性させるために十分に加熱することも、プローブとリボソームRNAとをハイブリダイズするためには必要でなかった。上記と実質的に同一の条件下において、RNase Aを添加しなかった場合、試験したリボソームRNAはネガティブコントロールと実質的に同一のシグナルを示した。さらにそして予想外に、ブリッジプローブ(上記表2の配列2(配列番号:2))を添加せずにリボソームRNAを試験すると、グラム陰性菌のシグナル低下は約20%にとどまり、ネガティブコントロールと近い数値を有するグラム陽性菌では数値に影響は見られなかった。ブリッジプローブを添加せずとも、リボソームRNAを対象とする上記と同一組の捕捉プローブおよびシグナルプローブを用いると、グラム陰性菌とグラム陽性菌とが適切に識別された。さらに、超音波攪拌を行わずに処理した試料と比較すると、温和な超音波攪拌をすることによって、コントロールおよび試料であるリボソームRNAから得られるシグナルの再現性が改善されたことが認められた。
実施例1と実質的に同じ方法を使用して、代表的なパーソナルケア製品(PCP)のより幅広い1セットを、見いだされることの多い以下の5種の微生物で人為的に汚染させた:大腸菌(Escherichia coli)ATCC 8739、枯草菌(Bacillus subtilis)ATCC 6633、セパシア菌(Burkholderia cepacia)ATCC 25416、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 9027、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538。パーソナルケア製品の非汚染培養物およびモデル汚染培養物は、150ml Greiner社製容器中で、100mlのLetheen Brothのみ;または以下の製品1gを含む100mlのLetheen Brothを混合して調製した。
・ボディウォッシュ(ダヴ ビューティーボディウォッシュ(ユニリーバ社、アメリカ、コネチカット州トランブル))
・日焼け止め(バナナボート サンスクリーンSPF8(Sun Pharmaceuticals Corporation、アメリカ、フロリダ州デルレイビーチ))
・鎮咳薬(ヴイックス44Custom Care(プロクター・アンド・ギャンブル社、アメリカ、オハイオ州シンシナティ))
・マスカラ(ロレアルVoluminous(ロレアルアメリカ社、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク))
・練り歯磨き(コルゲートCavity Protection(コルゲート・パーモリーブ社、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク))
・柔軟材(Suavitel Field Flowers(コルゲート・パーモリーブ社、アメリカ、ニューヨーク州ニューヨーク))
・マルチ表面洗浄剤(Mr Clean Summer Citrus(プロクター・アンド・ギャンブル社、アメリカ、オハイオ州シンシナティ))
・マグネシアミルク(Philips(バイエルヘルスケア社、アメリカ、ニュージャージー州モリスタウン))
・オートミールバストリートメント(Aveeno(ジョンソン・アンド・ジョンソン社、アメリカ、ニュージャージー州スキルマン))
コントロールおよび上記製品を添加したブロスに、上記5種の微生物をそれぞれ植菌した。その際、植菌した試料それぞれに含まれる成長可能な微生物細胞数が100未満となるように、定量的微生物製剤(Quanticult(登録商標)(Remel社、アメリカ、カンザス州レネクサ))を使用した。試料を、インキュベータシェーカーにて200rpm、30〜32℃で24時間インキュベートした。
各微生物の増殖量は、メーカー推奨のプロトコルに従い、Celsis Rapiscreen Reagent Kit(Celsis社、アメリカ、イリノイ州シカゴ)等のATP用発光分析、およびCelsis AKuScreen(登録商標)Reagent Kit(Celsis社、アメリカ、イリノイ州シカゴ)等の標識酵素アデニル酸キナーゼ(AK)用発光分析を使用し、Celsis Advance Luminometer等のルミノメーターで解析して測定した。植菌した試料をRapiscreenおよびAKuScreenで測定した結果は、それぞれ陽性であり、核酸単離用の微生物が十分量増殖されたことが示された。1つの例外を除き、植菌しなかった試料の結果はそれぞれ陰性であり、意図されたものではない汚染が存在しなかったことが示された。この例外とはオートミールバストリートメントであり、成長可能な胞子を含んでいたことが判明した。
保存用緩衝液を除去するために、脱塩用スピンカラム(BioVentures社)を、以下のようにして準備した。脱塩用スピンカラムの底のつまみをねじり取り、上部のスクリューキャップを4分の1回転させてから、回収用チューブであるCelsis Advance Cuvette(55mm×12mmのポリスチレン製チューブ)へ仕込んだ。次いで、このカラム−チューブアセンブリをそれぞれ1,000gで1分間遠心分離した。回収チューブは不用なものとして廃棄し、遠心分離したスピンカラムをそれぞれ、新しいCelsis Advance Cuvetteに移して、スピンカラム−チューブアセンブリを作製した。パルスボルテックスすることにより得られた細胞溶解物各100μlを、それぞれに対して準備した別個のスピンカラム−チューブアセンブリに移し、duplicateで各溶解物の脱塩を行った。アプライした溶解物を含む各アセンブリを1000gで2分間遠心分離し、カラム濾液をアセンブリのチューブ部分に回収した。アプライした各溶解物より、それぞれの回収チューブに、〜100μlの濾液が得られた。
各ハイブリダイゼーション反応を行うため、薄壁の3.5mlポリプロピレン製チューブ(Simport社)に、上記の植菌した試料および植菌しなかった試料からそれぞれ単離した核酸75μlに加えて、下記のハイブリダイゼーション混合物75μlを仕込んだ。各ハイブリダイゼーション反応において、ハイブリダイゼーション混合物は、ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.2%(v/v)ゾニールFSA(陰イオン性のカルボン酸リチウムフッ素界面活性剤)で構成され、pH6.9であるもの];プローブ1(配列番号:1、表2参照)5μl;プローブ2(配列番号:2、表2参照)5μl;プローブ3(配列番号:3、表2参照)2μl;およびRNase A(RPAグレード)2.5μl(滅菌DI水で新しく10ng/μlに希釈したもの)で構成されていた。上記のプローブは、事前にAP希釈緩衝液[100mMトリス、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、および0.01%アジ化ナトリウムで構成され、pH9.0であるもの]で1.25pmol/μlに希釈したものであった。
さらに、2種のコントロールも分析した。ネガティブコントロールはハイブリダイゼーション混合物75μlおよび1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)75μlからなっており、ポジティブコントロールはハイブリダイゼーション混合物75μl、1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)75μl、およびプローブ4(配列番号:4、表2参照)1μlからなっていた。ハイブリダイゼーション混合物と、核酸またはコントロールとを含むチューブを、加熱ブロック(Troemner社、アメリカ、ニュージャージー州ソロフェア)にセットし、42℃で30分間処理した。
次いで、各チューブの内容物を、ストレプトアビジンがコーティングされたそれぞれ別々のポリスチレン製チューブ(Microcoat社、ドイツ、ベルンリート)に移し、42℃で30分間さらにインキュベートして捕捉させた。次いで、各ウェルを洗浄緩衝液1ml[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]を用いて、すべてのチューブをボルテックスしながら洗浄した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、チューブを軽くはじいてチューブの内容物を廃棄し、上記の洗浄工程をさらに3回繰り返した。
次いで、洗浄したチューブを、基質を用いて以下のように処理した。最終の洗浄後、化学発光基質(SAP1113(Michigan Diagnostics社、アメリカ、ミシガン州ロイヤルオーク))200μlをすべてのチューブに加え、直ちにCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、および相対発光量(RLU)のキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。RLUは任意の値に対する相対発光量を表し、この機器によって検出される放射光の単位である。
先の例と同様に、グラム陰性菌を植菌したモデル微生物汚染培養では、培養物の平均RLUが概してネガティブコントロールの平均RLUの2倍以上を示し、結果は陽性であった。グラム陽性菌を植菌したモデル微生物汚染培養では、培養物の平均RLUが概してネガティブコントロールの平均RLUの2倍未満を示し、結果は陰性であった。
実施例2
実施例1における結果のPCRによる検証
実施例1における検出分析で得た結果(表3参照)を確認するために、検証方法としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行った。PCR増幅は、グラム陰性菌に特異的な2種のプライマーを使用して、実施例1のモデル微生物汚染培養から単離した核酸それぞれに対して行った。使用したフォワードプライマーおよびリバースプライマーの配列は、それぞれ5’−CCG CAG AAG AAG CAC CGG C−3’(配列番号:5)および5’−TGT RTG AAG AAG GYC T−3’(配列番号:6)からなっており、どちらもIDT社より入手した。Rはプリン(アデニンまたはグアニン)と定義される。Yはピリミジン(チミンまたはシトシン)と定義される。
実施例1のモデル微生物汚染培養から単離した核酸を凍結したものそれぞれを−80℃から取り出して解凍し、次いで滅菌脱イオン水で1:100に希釈しテンプレートとして使用した。15種の凍結した核酸のPCR増幅をduplicateで行った。20μlの反応物を調製するため、PCR反応成分を以下のようにして構築した。PCR反応成分は、10×(10%)PCR緩衝液2μl(ABI社、アメリカ、カリフォルニア州フォスターシティ)[2mM塩化マグネシウム、2%ジメチルスルホキシド(DMSO)、5mMジチオスレイトール(DTT)、および200μM dNTP];Taq DNAポリメラーゼ0.125μl(5U/μlのAmpliTaq Gold(登録商標)(アプライドバイオシステムズ社、アメリカ、カリフォルニア州フォスターシティ));アセトニトリルを2%含有する0.1×トリス−EDTA(TE)0.2μlに100pmol/μlで含まれるリバースプライマー(配列番号:6)(10pmol);アセトニトリルを2%含有する0.1×TE0.2μlに100pmol/μlで含まれるフォワードプライマー(配列番号:5)(10pmol);および全体が20μlになるように加えられた滅菌DI水からなっていた。これらのPCR成分を、2.0mlチューブ中で混合して穏やかに混ぜた。このPCR混合物を、96ウェルPCRプレート(Multiplate(登録商標)、バイオ・ラッド社、アメリカ、カリフォルニア州ハーキュリーズ)の30ウェルそれぞれに20μlずつ分配した。1:100に希釈したテンプレート核酸1μlを適切なウェルへ加えた。Microseal(登録商標)フィルム(バイオ・ラッド社)等のフィルムシールを、PCRプレートを密閉するために使用した。PTC−200サーマルサイクラー(バイオ・ラッド社)を用いて、変性95℃12分→95℃30秒、60℃20秒、および72℃40秒を30サイクル→最終伸長72℃6分→ホールド4℃でPCRを行った。プログラム終了後、各反応物2μlを、NuSieve(登録商標)3:1 Plus Agarose gel(Cambrex社(アメリカ、メイン州ロックランド))等の標準的な融点を有する高解像度20ウェル4%アガロースゲル上にて、200ボルトで25分間ゲル電気泳動を行うことによって解析した。アガロースゲルをハイパフォーマンス紫外線トランスイルミネーターにセットし、画像をKodak Gel Logic 100カメラで取り込んだ。PCR産物のサイズは、BioMarker(登録商標)M1A(BioVentures社)等のDNAサイズマーカーを使用して推定した。
結果
グラム陰性菌である大腸菌および緑膿菌は、それぞれのPCR反応において陽性であった。グラム陰性菌であるセパシア菌のPCR増幅において、Letheen Broth/1%シャンプーおよびTATブロス/1%日焼け止めではかなり弱い陽性であったが、Letheen Brothのみではバンドは認められなかった。グラム陽性菌である枯草菌および表皮ブドウ球菌のPCR増幅は、それぞれのPCR反応において陰性であった。各グラム陽性菌の陰性結果が正確であったことを確認するために、PCRをさらに7サイクル行った。残った各反応物18μlを含むPCRプレートを、PTC−200サーモサイクラーにセットし、Microsealフィルムで密閉した。PCR増幅をさらに7サイクル実施し、合計37PCRサイクルとなった。プログラム終了後、各PCR反応物2μlを上述したゲル電気泳動によって解析した。
37サイクルを実施後、グラム陰性菌である大腸菌、緑膿菌およびセパシア菌は、4%NuSieve 3:1 Plus Agarose gel上に明るいバンドを示し、PCR陽性であった。グラム陽性菌である枯草菌および表皮ブドウ球菌はいずれも4%NuSieve 3:1 Plus Agarose gel上でバンドを示さなかった。
これらの結果によって、核酸を単離するため、また、PCRで使用するのに適したゲノムDNAを提供するために、実施例1の方法を使用してもよいことが実証された。これらの結果によって、さらに、グラム陰性菌に特異的なプライマーが、グラム陰性菌とグラム陽性菌とを識別することが実証された。さらに、上述したような溶解プロトコルより単離したDNAは、PCRに適していることが実証された。
実施例3
実施例1に関して、出願人らが驚いたことには、ハイブリダイゼーション緩衝液および洗浄緩衝液に使用したゾニールFSA界面活性剤が、出願人らが実験的に評価した従来の非特異的ブロッキング剤、すなわちウシ血清アルブミンならびにツウィーン20、SuperBlock Blocking Buffer、デンハルト液、および種々のポリエチレングリコール等の洗浄剤等と比較して、非特異バックグラウンドシグナルに対して優れた低減力を示すことが認められた。上記の従来のブロッキング剤はすべて、一般に認められている文献に記載の方法に従った濃度において使用され、実施例1で使用したゾニールFSAによって得られたバックグラウンドと比較して、許容できない高いバックグラウンドを生じた。出願人らは、ハイブリダイゼーションプロトコルにおいて従来の洗浄剤または界面活性剤を使用した場合、ボルテックスおよび/または振盪によって著しい発泡および妨害が生じたことを認めた。この発泡は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄において使用される緩衝液の完全な除去を妨げるものである。さらに、出願人らが驚いたことには、実施例1において述べたように、ゾニールFSA界面活性剤を用いると、ツウィーン20が存在していても、強くボルテックスしたときに発泡がほとんど生じないだけでなく、振盪によっていくらか発泡しても速やかに消散することを見いだした。従って、ゾニールFSA界面活性剤を使用すると非特異的バックグラウンドが低減され、発泡による妨害を実質的に除去することで緩衝液をより完全に除去できることから、実施例1に従いゾニールFSA界面活性剤を使用した。
実施例4
RNase A
ハイブリダイゼーションに使用するRNase Aの最適量を決定するため実験を行った。滅菌DI水を用いて、1μg/μl、200ng/μl、40ng/μl、8ng/μlおよび1.6ng/μlからなるRNase A(RPAグレード)の希釈系列を作製した。各反応おいて、ハイブリダイゼーション混合物は、ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.2%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH6.9であるもの];100ng/μlの大腸菌rRNA10μl;プローブ1(配列番号:1)5μl;1:100希釈のAPシグナルプローブ2μl(AP保存緩衝液[3M塩化ナトリウム、30mMトリス、1mM塩化マグネシウムおよび0.1mM塩化亜鉛]中の250pmol/μlのアルカリホスファターゼと共役させ、AP希釈緩衝液[100mMトリス、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、0.01%アジ化ナトリウム、およびゾニールFSA0.15μlで構成され、pH9.0であるもの]で希釈した、5’−CGG TGC TTC TTC TGC GTT TTT TTT TT−3’(配列番号:3));プローブ2(配列番号:2)5μl;およびハイブリダイゼーション混合物量が149μlになるように加えた滅菌DI水51.9μlからなる成分で構成されていた。すべてのRNase A希釈物に対して、それぞれduplicateで反応を実施し、合計10の反応を実施した。ハイブリダイゼーション混合物を、Reacti−Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips with SuperBlock Blocking Bufferの10ウェルに加えた(1ウェル当たりハイブリダイゼーション混合物149μl)。希釈したRNase A 1μlをそれぞれ2つのウェル(duplicate)に加えた。ストリップを31℃の水浴に30分間浸した。次いで、それぞれの反応物を洗浄緩衝液250μl[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]で洗浄した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、ストリップを軽くはじいて洗浄緩衝液を廃棄した。各洗浄において洗浄緩衝液250μlを用い、上記洗浄工程を5回繰り返した。Attoglow AP Substrate 450LBをAP希釈緩衝液で1:10に希釈し、希釈したこの基質200μlを各ウェルに加え、遮光しながら室温で20分間インキュベートした。次いで、この基質200μlをCelsis Advance Cuvetteに移した。これらのキュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLUのキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。
上記のパラメータにおいて、10〜40ngのRNase Aが最適であるという結果が示された。
実施例5
1mMクエン酸ナトリウムで平衡化したillustra Nap−5 Columnと平衡化していないillustra Nap−5 Columnとの比較
実施例1で述べたように、1mMクエン酸ナトリウム(pH6.4)であらかじめ平衡化したillustra Nap−columnを用いて、溶解物の精製を行った。最終的なキット構成を容易に製造および構築するため、出願人らは、カラムの平衡化を前もってしない方が好ましいと考える。
あらかじめ平衡化したillustra Nap−5 columnと平衡化していないillustra Nap−5 columnとの比較を行った。濾過プロセスにおいて、平衡化したillustra Nap−5 columnおよび平衡化していないillustra Nap−5 columnsの両方を使用したことを除いては、先に実施例1で述べた方法と同様に溶解および濾過を行った。実施例1に記載した検出分析を使用して試料を解析した。
陽性結果のRLUは、ネガティブコントロールの平均RLUの2倍を超えると考えられた。グラム陰性菌である、マルトフィリア菌(S.maltophilia)、ラルストニア・ピッケティ(R.pickettii)およびセレウス菌(B.cereus)はすべて陽性であった。一方、グラム陽性菌であるセレウス菌(B.cereus)は陰性であった。平衡化していないカラムを用いた試料のRLUはすべてわずかに低かったが、カラムを平衡化するように変更を加えなければならないほど低くはなかった。illustra Nap−5 column、または0.15%Kathon(登録商標)CG/ICP Biocide等の広域スペクトルを有する殺生物剤溶液を含む水性懸濁液で調製された、これと同等のカラムは、核酸のクリーンアップに適している。
実施例6
ストレプトアビジンコーティングキュベットとPierce社製のハイブリダイゼーション複合体捕捉用ストレプトアビジンコーティングウェルとの比較
バックグラウンドに対してシグナルおよび比率を増加することができるかを判断するために、Pierce社製Reacti−Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips with SuperBlock Blocking Bufferとストレプトアビジンコーティングキュベットとの比較を行った。
実施例1による試料調製、溶解および濾過で概説したステップに従って、Letheen Broth中で増殖させた大腸菌、セパシア菌、枯草菌、および表皮ブドウ球菌から新たに単離した核酸を調製した。
各ハイブリダイゼーション反応において、ハイブリダイゼーション混合物は、ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、1mM塩化マグネシウム、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、0.2%ゾニールFSA、および25ng/75μlのRNase A(RPAグレード)で構成され、pH6.9であるもの];プローブ1とプローブ2との混合物(それぞれ、配列番号:1および配列番号:2)(それぞれ1pmol/μlの濃度のプローブ1およびプローブ2を事前に組み合わせたもの)5μl;およびAP保存緩衝液[3M塩化ナトリウム、30mMトリス、1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛、および0.05%アジ化ナトリウム]に含まれる1.25pmol/μlプローブ3(配列番号:3、表2参照)2μlからなる成分で構築されていた。
ハイブリダイゼーション反応において、単離した核酸試料68μlに加えて、ハイブリダイゼーション混合物82μlをポリプロピレン製キュベットに仕込んだ。さらに、2種のコントロールも分析した。ネガティブコントロールは水68μlからなり、ポジティブコントロールは水67μlに加えプローブ4(配列番号:4)1μlからなっていた。ハイブリダイゼーション混合物と試料またはコントロールとを含むポリプロピレン製キュベットを、Isotemp Modular Block Dry−Bath Incubator(フィッシャー・サイエンティフィック社)等のモジュラーブロックを使用したドライバスインキュベータにセットし、42℃で30分間インキュベートした。次いで、キュベットをドライバスインキュベータから取り外し、Pierce社製Reacti−Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips with SuperBlock Blocking Bufferまたはストレプトアビジンコーティングキュベットに試料を移した。キュベットおよびウェルのサイズが異なる場合、下記のように異なる方法で処理を行う必要がある。
Pierce社製Reacti−Bind
大腸菌、セパシア菌、枯草菌および表皮ブドウ球菌を、それぞれduplicateで、Reacti−Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips with SuperBlock Blocking Bufferの別個のウェルに移し、室温で30分間インキュベートしてハイブリダイゼーションを行い、ウェルに捕捉させた。次いで、それぞれのウェルを洗浄緩衝液250μl[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]で洗浄した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、プレートを軽くはじいてウェルの内容物を廃棄した。各洗浄において洗浄緩衝液250μlを用い、上記洗浄工程を5回繰り返した。最後の洗浄液を廃棄した後、AP Substrate200μlを各ウェルに加えた。アルミホイルで遮光しながら、各ウェルの基質を室温で20分間インキュベートした。基質のインキュベーションが終了した後、基質200μlをCelsis Advance Cuvetteへ移し、Celsis Advance Luminometerにセットした。
ストレプトアビジンコーティングキュベット
大腸菌、セパシア菌、枯草菌および表皮ブドウ球菌を、それぞれduplicateで、別個のストレプトアビジンコーティングキュベットに移し、室温で30分間インキュベートしてハイブリダイゼーションを行い、キュベットに捕捉させた。次いで、それぞれのウェルに洗浄緩衝液2.0ml[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]を加え、キュベットに蓋をして転倒混和することにより洗浄した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、キュベットを軽くはじいてキュベット内の内容物を廃棄した。各洗浄において洗浄緩衝液2.0mlを用い、上記洗浄工程を5回繰り返した。最終の洗浄後、キュベットをペーパータオル上で逆さにして水分を吸い取らせた。次いで、AP Substrate200μlを各キュベットに加えた。アルミホイルで遮光しながら、各キュベットの基質を室温で20分間インキュベートした。
結果
Pierce社製ウェルまたはCelsis社製キュベットで作製した試料を含む各キュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLUのキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。
Figure 2011510630
同じ比率計算方法を使用して、Pierce社製Reacti−Bind Streptavidin Coated Wellsと比較すると、ストレプトアビジンコーティングキュベットでは、グラム陰性菌のRLUシグナルが増加し、かつネガティブコントロールのRLUシグナルに対するグラム陰性菌のRLUシグナルの比率が増加した。Pierce社製ウェルでの大腸菌の比率と比較して、Celsis社製キュベットでの大腸菌の比率は8.6倍増加した。セパシア菌の比率は4.0倍増加した。グラム陽性菌である、枯草菌および表皮ブドウ球菌のRLUは、いずれの捕捉方法においてもネガティブコントロールの平均RLUの2倍未満であり、試験結果は陰性であった。
実施例7
ストレプトアビジンコーティングキュベットにおける42℃での捕捉と室温での捕捉との比較
この実施例は、環境温度から42℃に捕捉温度を増加させた結果を比較することによって分析シグナルの差異を評価することを目的としたものである。
実施例1に従って、大腸菌および枯草菌の−80℃で保存した単離核酸を調製し、分析に使用した。
各ハイブリダイゼーション反応において、ハイブリダイゼーション混合物は、ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、1mM塩化マグネシウム、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.2%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH6.9であるもの];25ng/75μlのRNase A(RPAグレード);プローブ1とプローブ2との混合物(それぞれ1pmol/μlの濃度のプローブ1(配列番号:1)およびプローブ2(配列番号:2)(表2参照)を事前に組み合わせたもの)5μl;およびAP保存緩衝液[3M塩化ナトリウム、30mMトリス、1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛、および0.05%アジ化ナトリウム]で1.25pmol/μlに希釈したプローブ3(配列番号:3(表2参照))2μlからなる成分で構築されていた。
ハイブリダイゼーション
大腸菌については4つのキュベット(four replicates)で反応を行い、それ以外はすべて各々2つのキュベット(duplicate)で反応を行った。各ハイブリダイゼーション反応において、単離した核酸試料75μlに加えて、ハイブリダイゼーション混合物82μlをポリプロピレン製キュベットに仕込んだ。さらに、2種のコントロールも分析した。ネガティブコントロールは水75μlからなり、ポジティブコントロールは水75μlに加えてプローブ4(配列番号:4)1μlからなっていた。ハイブリダイゼーション混合物と試料またはコントロールとを含むポリプロピレン製キュベットを、モジュラーブロックを使用したドライバスインキュベータにセットし、42℃で30分間インキュベートした。次いで、キュベットをドライバスインキュベータから取り外し、試料をストレプトアビジンコーティングキュベットに移した。大腸菌試料のうちの2つは室温で30分間インキュベートし、その他の反応はドライバスインキュベータにおいて42℃で30分間インキュベートして、ハイブリダイゼーションを行いキュベットに捕捉させた。次いで、それぞれのウェルを洗浄緩衝液1.0ml[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]で洗浄し、各洗浄につき10秒間ボルテックスした。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、キュベットを軽くはじいてキュベットの内容物を廃棄した。各洗浄において洗浄緩衝液1.0mlを用い、上記洗浄工程を3回繰り返した。次いで、AP Substrate200μlを各キュベットに加えた。アルミホイルで遮光しながら、各キュベットの基質を室温で20分間インキュベートした。
結果
これらのCelsis社製キュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLUのキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。
Figure 2011510630
驚いたことに、42℃で捕捉させた大腸菌試料のRLUは、室温で捕捉させた試料のRLUよりも35%高かった。
実施例8
グラム陰性菌とグラム陽性菌との識別モデルとしてのハイブリダイゼーション
変性DNAすなわち一本鎖DNAを表すテンプレートとして合成一本鎖DNAを使用し、以下の実験を行った。5種のDNAテンプレートを、大部分の腸内細菌科グラム陰性菌の標的部位を代表する合成DNAオリゴマーに加えて、バシラス属、スタヒロコッカス属、ストレプトコッカス属またはリステリア属の細菌の標的部位を代表するように設計した。
各反応につき、ハイブリダイゼーション混合物は、プローブ1(配列番号:1)5μl;AP保存緩衝液[3M塩化ナトリウム、30mMトリス、1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛、および0.05%アジ化ナトリウム]中の250pmol/μlのアルカリホスファターゼと共役させ、AP希釈緩衝液[100mMトリス、100mM塩化ナトリウム、5mM塩化マグネシウム、および0.01%アジ化ナトリウムで構成され、pH9.0であるもの]で1:100に希釈したAPシグナルプローブ2μl(5’−CGG TGC TTC TTC TGC GTT TTT TTT TT−3’(配列番号:3));250ng/μlのRNase A 1μl;ハイブリダイゼーション緩衝液75μl[200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH6.9であるもの];およびハイブリダイゼーション混合物量が149μlになるように加えた滅菌DI水66μlからなる成分で構築されていた。ハイブリダイゼーション混合物を、Pierce社製Reacti−Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity Clear 8−well Strips with SuperBlock Blocking Bufferの24ウェルに加えた(1ウェル当たりハイブリダイゼーション混合物149μl)。標的またはコントロール当たり4つの反応を実施できるように、5種の合成DNA標的および1つのネガティブコントロールを各ウェルに加えた。1反応当たり、0.5pmol/μlの各標的を1μl使用した。滅菌DI水(1μl)をネガティブコントロールとして使用した。12ウェル(各標的およびネガティブコントロールそれぞれのduplicate)を、31℃の水浴に30分間浸した(表6−水参照)。その他の12ウェル(各標的およびネガティブコントロールそれぞれのduplicate)は、31℃のインキュベータ(Model No.120、Lab−Line Instruments社、イリノイ州メルローズパーク)にセットし、30分間インキュベートした(表6−インキュベータ参照)。次いで、それぞれのウェルを洗浄緩衝液250μl[100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2であるもの]で洗浄した。次いで、実質的にすべての液体を除去するため、プレートを軽くはじいて洗浄液を廃棄した。各洗浄において洗浄緩衝液250μlを用い、上記洗浄工程を5回繰り返した。最後の洗浄液を廃棄した後、AP希釈緩衝液で1:10に希釈したAttoglow AP Substrate 450LB 200μlを各ウェルに加え、アルミホイルで遮光しながら各ウェルの基質を室温で20分間インキュベートした。基質のインキュベーションが終了した後、ピペットで基質200μlをCelsis Advance Cuvetteへ移した。これらのキュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLUのキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。基質は過剰なバックグラウンドを有していたので、洗浄緩衝液250μlでウェルをさらに2回洗浄し、別の基質を使用した。2回目の測定では、CSPD基質200μlを各ウェルに加えた。アルミホイルで遮光しながら、この基質を室温で20分間インキュベートした。基質のインキュベーションが終了した後、ピペットで基質200μlをCelsis Advance Cuvetteへ移した。これらのキュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLUのキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。代表的なDNAセグメントを使用すると、プローブはグラム陽性菌よりもグラム陰性菌の標的部位に特異性を示す。
Figure 2011510630
Figure 2011510630
実施例9
核酸単離用の菌種別培養
上記の表1および実施例1に記載されているような、以下の菌種別培養物を、核酸を単離するためにLetheen培地で増殖させた:大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、セパシア菌(B.cepacia)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、セレウス菌(B.cereus)、ラルストニア・ピッケティ(R.pickettii)、エンテロコッカス・ガリナラム(E.gallinarum)、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、緑膿菌(P.aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス・プチダ(P.putida)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、コクリア・リゾフィラ(K.rhizophila)、およびマルトフィリア菌(S.maltophilia)。
一晩培養物の溶解
一晩培養した上記の各培養物3mlを、それぞれ別の3.5ml、55mm×12mmのポリスチレン製滅菌チューブ(Sarstedt社)に配分し、2,000gで3分間遠心分離して、各培養細胞のペレットを作製した。上澄みをデカントして廃棄した。各ペレットに、溶解/抽出緩衝液500μlを加えて穏やかにボルテックスし、各ペレットを再懸濁した。次いで、これらのペレットを、0.5mmの乾燥ジルコニア/シリカビーズ0.5g(BioSpec Products社、オクラホマ州バートルズヴィル)を含むそれぞれ別の1.5ml skirted conical tube(Simport社)に移した。上記で使用した溶解/抽出緩衝液は、100mM 3−(N−モノホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS);10mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA);1%SDS;5mMジチオスレイトール(DTT);シリコーンポリマー系消泡剤として代表的な、0.5%Antifoam A(シグマアルドリッチ社);水溶液系で発泡を抑制するように設計された水分散可能な消泡剤として代表的な、0.5% 活性シリコーンを30%含有するエマルジョンであるAntifoam Y−30(シグマアルドリッチ社);およびAlumion(シグマアルドリッチ社)として販売されている、50μMオーリントリカルボン酸(または、アンモニウム塩等のそれらの塩)で構成され、これらを混合した最終pHは7.0であった。
次いで、溶解チューブを、Deluxe PulseVortex Mixer(フィッシャー・サイエンティフィック社)にセットし、3000rpm、30秒間と休止、10秒間とからなる工程を10分間繰り返すようにプログラムしたパルス設定でボルテックスした。溶解に続いて、溶解物を含むチューブを脱塩するために残しておいた。
脱塩と濾過
保存用緩衝液を除去するために、脱塩用スピンカラム(BioVentures社)を、以下のようにして準備した。脱塩用スピンカラムの底のつまみをねじり取り、上部のスクリューキャップを4分の1回転させてから、回収用チューブであるCelsis Advance Cuvette(55mm×12mmのポリスチレン製チューブ)へ仕込んだ。次いで、このカラム−チューブアセンブリをそれぞれ1,000gで1分間遠心分離した。回収チューブは不用なものとして廃棄し、遠心分離したスピンカラムをそれぞれ、新しいCelsis Advance Cuvetteに移して、スピンカラム−チューブアセンブリを作製した。
パルスボルテックスすることにより得られた細胞溶解物各100μlを、それぞれに対して準備した別個のスピンカラム−チューブアセンブリに移し、duplicateで各溶解物の脱塩を行った。アプライした溶解物含む各アセンブリを1000gで2分間遠心分離し、カラム濾液をアセンブリのチューブ部分に回収した。アプライした各溶解物より、それぞれの回収チューブに、〜100μlの濾液が得られた。次いで、各溶解物の核酸をゲル電気泳動で評価し、各濾液75μlを下記のハイブリダイゼーション反応および検出反応で使用した。
ゲル電気泳動
上記各試料から回収した100μlのカラム濾液中にrRNAが存在することを確認するため、ゲル電気泳動を使用した。濾液の分割試料4μlおよびFormaldehyde Sample Buffer 1μl(ロンザ社)を使用して、FlashGel RNA Cassette(ロンザ社、アメリカ、メイン州ロックランド)等の1.2%アガロースゲル上で電気泳動するために試料を調製した。0.5〜9kb(0.5,1,1.5,2,2.5,3,4,5,6,および9kb)のRNA断片(ロンザ社)を含むFlashGel RNA Marker 1μlおよびFormaldehyde Sample Buffer 4μlをサイズマーカーとして使用した。上記の調製した試料を65℃で5分間変性させ、次いでこれらの試料をFlashGel RNA Cassetteのそれぞれ別のウェルにロードし、225ボルトで8分間電気泳動した。ゲルメーカー推奨のプロトコルに従い、FlashGel RNA Cassetteを約20分間染色した。FlashGel RNA Cassetteを、ハイパフォーマンス紫外線トランスイルミネーターにセットし、画像をKodak Gel Logic 100カメラ(コダック社、アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター)を用いて取り込んだ。
電気泳動解析の結果
ゲル写真においてrRNAバンドが適切なサイズおよび相対強度で観察されたこと、およびそれらの外観より、ゲノムDNAが存在することだけでなく結果が陽性であることが示された。この電気泳動の結果から、上記の培養、溶解および核酸単離に使用した方法により、十分な量のrRNAおよび解析をするのに十分な品質のゲノムDNAが得られることが示された。
検出分析
上記の菌種別培養からの単離した核酸を、本開示記載のハイブリダイゼーションを行うことと、他の微生物の中からグラム陰性菌の16S rRNAを選択的に識別および検出するように設計された1組のプローブセットを用いて固相に捕捉することとからなる方法によって分析した。
ハイブリダイゼーションと捕捉
各ハイブリダイゼーション反応を行うため、凍結乾燥された2つのプローブ(Celsis社)各5pmol(A260に基づく)を含むハイブリダイゼーションチューブにおいて、上記の溶解およびスピンカラムで精製された菌種別培養から得られた各濾液75μlとハイブリダイゼーション緩衝液75μlとを混合した。これらの2つのプローブのうち、一方はビオチン化されたDNAオリゴヌクレオチド・捕捉プローブからなり、他方はアルカリホスファターゼで標識されたDNAオリゴヌクレオチド・シグナルプローブからなっていた。本開示の記載に従い、これらの2つのプローブはグラム陰性菌の16S rRNAセグメントにハイブリダイズするように設計された。ハイブリダイゼーション緩衝液は、200mM MOPS、3M塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、0.2%(v/v)ゾニールFSA(陰イオン性のカルボン酸リチウムフッ素界面活性剤)、1mM塩化マグネシウム、および25ngのRNase A(Worthington Biochemical社、アメリカ、ニュージャージー州レークウッド)で構成され、最終pHは7.5であった。上記で使用したRNaseは、10mM HEPESに溶解した1mg/mlのRNase A、20mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、0.1%トリトン−X、および50%グリセロールからなり、pH6.9である保存溶液から得た。本実施例において使用した、グラム陰性菌を検出するための2つのプローブは、表2に列記された捕捉プローブおよびシグナルプローブとは異なる配列を持つものであった。本分析のパフォーマンスをモニターするために、1mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.4)75μlからなるネガティブコントロールとポジティブコントロールとを使用した。このポジティブコントロールは、1mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.4)75μlと、ハイブリダイゼーションチューブ中に存在する凍結乾燥された2つのプローブに相補的であり、かつこれらのプローブの標的であるグラム陰性菌に存在する16S rRNAのセグメントに完全に対応するDNAオリゴヌクレオチド2.5pmolとからなっていた。ハイブリダイゼーション緩衝液と、培養物を溶解・濾過したものまたはコントロールとを含むハイブリダイゼーションチューブを、Isotemp Modular Block Dry−Bath Incubator(フィッシャー・サイエンティフィック社)にセットし、42℃で30分間インキュベートした。次いで、各ハイブリダイゼーションチューブをドライバスインキュベータから取り外し、各ハイブリダイゼーション混合物をそれぞれに対応する別々のストレプトアビジンコーティング捕捉キュベット(Celsis社製)に移した。次いで、これらの捕捉キュベットを、モジュラーブロックを使用したドライバスインキュベータにセットし42℃で30分間インキュベートした。インキュベートした各捕捉キュベットを3回洗浄した。100mMトリス、150mM塩化ナトリウム、0.05%(v/v)ツウィーン20、0.01%アジ化ナトリウム、および0.1%(v/v)ゾニールFSAで構成され、pH7.2である洗浄緩衝液1mlを用いて10秒間ボルテックスして、各キュベットを洗浄した。次いで、実質的にすべての洗浄液を除去するため、キュベットを軽くはじいて最終洗浄による内容物を廃棄した。次いで、アルカリホスファターゼの基質である、AP SUBSTRATE(Michigan Diagnostics社、ミシガン州ロイヤルオーク)200μlを各キュベットに加えた。次いで、基質を含むキュベットを、Celsis Advance Luminometerで速やかに解析した。
解析と結果
解析するために、基質を含むCelsis社製のストレプトアビジンキュベットをCelsis Advance Luminometerにセットした。このルミノメーターを、インジェクター不使用、測定時間:10秒、zero cal cutoff、およびRLU(相対発光量)のキャリブレーションファクター:0.6のパラメータで操作した。処理した細胞培養およびコントロールに対して、ルミノメーターから得られた結果を表に示した。各試料において二重測定した測定値(RLU1およびRLU2)、およびそれらの平均値(AVG RLU)を以下の表8に示す。
Figure 2011510630
陰性結果のカットオフを5000RLU以下として設定すると、グラム陰性菌の検出を示す陽性のカットオフは5001RLU以上と考えられた。グラム陰性菌を植菌した菌種別培養では、培養物の平均RLUはいずれも5001RLUより大きく、結果はすべて陽性であった。非グラム陰性菌を植菌した菌種別培養では、培養物の平均RLUはいずれも5000RLUより小さく、結果はすべて陰性であった。グラム陰性菌から得られた溶解物のみが陽性の結果を示した。
追加プローブセットの凍結乾燥の評価
黄色ブドウ球菌検出用の凍結乾燥された1組のプローブセットを含むハイブリダイゼーションチューブを提供するために、他の微生物から黄色ブドウ球菌の16S rRNAを選択的に識別および検出するように設計された、ビオチン化されたDNAオリゴヌクレオチド・捕捉プローブおよびアルカリホスファターゼで標識されたDNAオリゴヌクレオチド・シグナルプローブからなる1組のプローブを、ポリプロピレン製チューブ(Celsis社)に、チューブ1本当たりそれぞれ5pmol入れて凍結乾燥した。同様に、上記のグラム陰性プロテオバクテリアまたは真菌をそれぞれ検出できるハイブリダイゼーションチューブを提供するために、グラム陰性プロテオバクテリアに属する微生物または真菌を検出するそれぞれのプローブセットから各プローブを5pmol使用して、凍結乾燥されたプローブを含むハイブリダイゼーションチューブを調製した。
大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、セパシア菌(B.cepacia)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、セレウス菌(B.cereus)、ラルストニア・ピッケティ(R.pickettii)、エンテロコッカス・ガリナラム(E.gallinarum)、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、緑膿菌(P.aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス・プチダ(P.putida)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)、コクリア・リゾフィラ(K.rhizophila)、およびマルトフィリア菌(S.maltophilia)の溶解物を、実施例9に記載した溶解物の一晩培養および脱塩・濾過で概説したステップに従って調製した。グラム陰性プロテオバクテリア、黄色ブドウ球菌および真菌に対し、上記実施例9の溶解物、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールを使用し、実施例9に記載の方法によって反応および解析を行った。
黄色ブドウ球菌のポジティブコントロールが5001を超えるRLUを有したことおよび陰性結果を示す微生物がすべて5000以下のRLUを示したことより、解析された微生物からの黄色ブドウ球菌のポジティブコントロールの識別が達成された。次いで、実施例9の方法において実質的に説明したように、単離した黄色ブドウ球菌16S rRNA核酸は、5001を超えるRLUを有し、陽性の結果を示すことが判明した。
カンジダ・アルビカンスおよびサッカロミセス・セレビシエが5001を超えるRLUを有したことおよび陰性結果を示す微生物がすべて5000以下のRLUを示したことより、他の解析された微生物からのカンジダ・アルビカンスおよびサッカロミセス・セレビシエの識別が達成された。
この結果より、これらのプローブセットは、凍結乾燥した後、交差反応または非特異結合を引き起こすことなく、かつそれぞれの生物を検出する機能性および有用性を損なうことなく、反応において使用できることが示された。
実施例10
実施例9と実質的に同じ方法を使用して、グラム陰性菌の16S rRNAにハイブリダイズするように設計されたプローブ、黄色ブドウ球菌の16S rRNAにハイブリダイズするように設計されたプローブ、および真菌の18S rRNAにハイブリダイズするように設計されたプローブを、1つのハイブリダイゼーション反応で組み合わせ、これらのプローブが互いに干渉せずに、または偽性の非特異シグナルおよび妨害シグナルを生じることなく、標的微生物を選択的に識別できるかどうかを判断するために実験を行った。
溶解と濾過
大腸菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスの溶解物を、実施例9に記載した溶解物の一晩培養および脱塩・濾過で概説したステップに実質的に従って調製した。
3つのプローブセットを組み合わせた反応
各溶解物、ネガティブコントロールおよびポジティブコントロールのそれぞれに対して、3つの異なるプローブセットの組み合わせを含む反応物をduplicateでポリプロピレン製チューブに構築した。この反応物は、実施例9に述べられているようなハイブリダイゼーション緩衝液75μlからなっており、このハイブリダイゼーション緩衝液は、ビオチン化されたDNAオリゴヌクレオチド・捕捉プローブ5pmolおよびグラム陰性菌の16S rRNAにハイブリダイズするように設計されかつアルカリホスファターゼで標識されたDNAオリゴヌクレオチド・シグナルプローブ5pmol;ビオチン化されたDNAオリゴヌクレオチド・捕捉プローブ5pmolおよび黄色ブドウ球菌の16S rRNAにハイブリダイズするように設計されかつアルカリホスファターゼで標識されたDNAオリゴヌクレオチド・シグナルプローブ5pmol;ならびにビオチン化されたDNAオリゴヌクレオチド・捕捉プローブ5pmolおよびカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・ニガー、およびサッカロミセス・セレビシエまたは類似の真菌に共通の18S rRNAの相同セグメントにハイブリダイズするように設計されかつアルカリホスファターゼで標識されたDNAオリゴヌクレオチド・シグナルプローブ5pmolを含んでいた。各溶解物の反応において、溶解物75μlを、ハイブリダイゼーション緩衝液および3つのプローブセットを含むハイブリダイゼーションチューブに加えた。ネガティブコントロールは、1mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.4)75μlからなっていた。ポジティブコントロールは、1mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.4)75μl、および3つの合成DNAオリゴヌクレオチド標的から実質的になっていた。この3つの合成DNAオリゴヌクレオチド標的は、グラム陰性プロテオバクテリア微生物(以下、グラム陰性菌と呼ぶ)の16S rRNAにハイブリダイズするように設計された捕捉プローブおよびシグナルプローブに相補的であり、かつこれらのプローブの標的である、グラム陰性菌に存在する16S rRNAのセグメントに完全に対応するDNAオリゴヌクレオチド;黄色ブドウ球菌の16S rRNAにハイブリダイズするように設計された捕捉プローブおよびシグナルプローブに相補的であり、かつこれらのプローブの標的である、黄色ブドウ球菌に存在する16S rRNAのセグメントに完全に対応するDNAオリゴヌクレオチド;ならびにカンジダ・アルビカンス、アスペルギルス・ニガーおよびサッカロミセス・セレビシエまたは類似の真菌(以下、真菌と呼ぶ)に共通の18S rRNAの相同セグメントに完全に対応するDNAオリゴヌクレオチドからなっており、それぞれ0.5pmolずつ含まれていた。
個々のプローブセットの反応
ビオチン化された捕捉プローブ5pmolとアルカリホスファターゼで標識されたシグナルプローブ5pmolとを含むハイブリダイゼーション緩衝液75μl、ならびに以下の表9に示す標的微生物それぞれに対応する培養物からの溶解物75μlを使用して、上記で3つのプローブセットを組み合わせる際に使用された、グラム陰性プロテオバクテリア微生物、黄色ブドウ球菌または真菌のうちのいずれかを標的とするそれぞれのプローブセットを含む反応物を、ポリプロピレン製チューブにduplicateで調製した。
ハイブリダイゼーションと捕捉
ハイブリダイゼーション緩衝液、プローブ、および溶解物またはコントロールを含むハイブリダイゼーションチューブを、インキュベートおよび洗浄し、記載の方法にて解析するため調製した。
実施例11
結果
Figure 2011510630
陰性結果のカットオフを5000RLU以下として設定すると、グラム陰性プロテオバクテリア微生物、黄色ブドウ球菌、または真菌の検出を示す陽性のカットオフは5001RLU以上であると考えられた。同一の反応において、3つのプローブセットすべてを組み合わせると、グラム陽性菌である表皮ブドウ球菌のRLUは陰性であった。3つのプローブセットを組み合わせても、大腸菌、黄色ブドウ球菌およびカンジダ・アルビカンスのRLUはすべて陽性のままであった。これらのデータより、グラム陰性プロテオバクテリア微生物もしくは黄色ブドウ球菌の16S rRNA、または真菌の18S rRNAにハイブリダイズするように設計されたプローブを同一の反応において組み合わせることができ、かつバックグラウンドシグナルを著しく増加することなく、それぞれの標的に対する特異性を維持できることが示された。
本発明の種々の実施形態を上述したが、これらは一例として挙げられているのみであり、これらに限定されないと理解されるべきである。したがって、本発明の幅広さおよび範囲は、好例である上記の実施形態のいずれにもよっても限定されず、以下の請求項およびそれらと同等のものによってのみ定義される。
本発明について十分に述べられたことから、当業者は、本発明の範囲またはそのいかなる実施例にも影響を及ぼすことなく、同等の広範な条件、処方および他のパラメータ内で本発明の方法を実施できることを理解するだろう。本明細書で引用された特許、特許出願および刊行物はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (29)

  1. 試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
    a)少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
    iii)目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
    を、ヌクレアーゼをプローブよりも前またはプローブと同時に試料に加えて混合することにより混合物を作製し、
    これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  2. 試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
    a)少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと目的配列を分解することができるヌクレアーゼとの混合物と
    を混合して混合物を作製し、
    これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  3. 試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
    a)少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
    iii)目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
    を、プローブを選択した時間内に試料に加えて混合することにより混合物を作製し、
    これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  4. 前記選択した時間が、ヌクレアーゼを加えた後約0〜15分間であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
    a)少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
    iii)目的配列を分解することができるヌクレアーゼと
    を、目的配列がプローブにハイブリダイズするよりも前に、ヌクレアーゼを試料とプローブとに加えて混合することにより混合物を作製し、選択したパーセンテージでハイブリダイズさせ、
    これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  6. 前記選択したハイブリダイゼーションのパーセンテージが約5〜95%であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 試料中に存在する少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を検出する方法であって、
    a)少なくとも1つの目的ヌクレオチド配列を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブと、
    iii)目的配列を分解することができるヌクレアーゼと、
    iv)少なくとも1つのフッ素界面活性剤と
    を混合して混合物を作製し、
    これによって目的配列とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的配列の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  8. 前記フッ素界面活性剤が、陰イオンフッ素界面活性剤、陽イオンフッ素界面活性剤、両性(amphoteric)フッ素界面活性剤、非イオンフッ素界面活性剤、両性イオン(zwitterionic)フッ素界面活性剤およびそれらの混合物の群から選ばれることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 少なくとも1つのフッ素界面活性剤を加えることをさらに含む、請求項1、2、3、5のいずれかに記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのフッ素界面活性剤が、陰イオンフッ素界面活性剤、陽イオンフッ素界面活性剤、両性(amphoteric)フッ素界面活性剤、非イオンフッ素界面活性剤、両性イオン(zwitterionic)フッ素界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. 前記混合物を作製する前に、前記試料から目的ヌクレオチド配列を抽出することをさらに含む、請求項1、2、3、5、7のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ヌクレアーゼが、RNase A、RNase T1、RNase IおよびS1ヌクレアーゼからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1、2、3、5、7のいずれかに記載の方法。
  13. 前記複合体が固定化されていることを特徴とする、請求項1、2、3、5、7のいずれかに記載の方法。
  14. 前記複合体を洗浄緩衝液で洗浄することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記複合体に試薬基質を加えることをさらに含む、請求項1、2、3、5、7のいずれかに記載の方法。
  16. 前記プローブがビオチンで標識された捕捉プローブとアルカリホスファターゼで標識されたシグナルプローブとを含むことを特徴とする、請求項1、2、3、5、7のいずれかに記載の方法。
  17. 前記複合体に試薬基質を加えることをさらに含み、該試薬基質が、アダマンチル−1,2−ジオキセタンリン酸、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム、およびパラニトロフェニルリン酸からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  18. a)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブ、
    b)少なくとも1つのフッ素界面活性剤、および
    c)目的のヌクレオチド配列を分解することができるヌクレアーゼ
    を含むキット。
  19. 前記キットの使用説明書をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. 基質試薬をさらに含む、請求項18に記載のキット。
  21. 試料中に存在する目的とする標的を検出する方法であって、
    a)目的とする標的を含む可能性のある試料を提供すること、
    b)i)該試料と、
    ii)検出可能な標識で標識した少なくとも1つのプローブと、
    iii)少なくとも1つのフッ素界面活性剤と
    を混合して混合物を作製し、
    これによって目的とする標的とプローブとの複合体を形成させること、および
    c)その存在が目的とする標的の存在を意味する、複合体中の該検出可能な標識のレベルを測定すること
    を含む方法。
  22. 前記少なくとも1つのフッ素界面活性剤が、陰イオンフッ素界面活性剤、陽イオンフッ素界面活性剤、両性(amphoteric)フッ素界面活性剤、非イオンフッ素界面活性剤、両性イオン(zwitterionic)フッ素界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 前記目的とする標的が、タンパク質、ペプチド、小型化学分子(small chemical molecule)、炭水化物、リポ多糖、多糖、および脂質からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  24. 細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子の非特異結合を低減させる方法であって、
    a)少なくとも1つのフッ素界面活性剤を緩衝液に加えること、および
    b)該細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子を該緩衝液と接触させること
    を含み、該少なくとも1つのフッ素界面活性剤の存在によって、該細胞、細胞内小器官、生体分子または化学分子の、表面へのもしくは相互間の非特異結合が低減することを特徴とする方法。
  25. 前記少なくとも1つのフッ素界面活性剤が、陰イオンフッ素界面活性剤、陽イオンフッ素界面活性剤、両性(amphoteric)フッ素界面活性剤、非イオンフッ素界面活性剤、両性イオン(zwitterionic)フッ素界面活性剤およびそれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  26. 前記アプリケーションが、免疫測定、マイクロ流体分析、ベッセル表面の不動態化、および細胞培養からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
  27. a)検出可能な標識で標識した少なくとも1つの核酸プローブ、
    b)少なくとも1つのフッ素界面活性剤、および
    c)目的の配列を分解することができるヌクレアーゼ
    を含む、請求項1〜15のいずれかに記載の方法で使用するためのキット。
  28. 前記キットの使用説明書をさらに含む、請求項27に記載のキット。
  29. 基質試薬をさらに含む、請求項27に記載のキット。
JP2010544454A 2008-01-24 2009-01-23 試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出するための核酸プローブの使用 Withdrawn JP2011510630A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US2334808P 2008-01-24 2008-01-24
PCT/US2009/031918 WO2009094597A2 (en) 2008-01-24 2009-01-23 Use of nucleic acid probes to detect nucleotide sequences of interest in a sample
US12/359,263 US20090203017A1 (en) 2008-01-24 2009-01-23 Use of Nucleic Acid Probes to Detect Nucleotide Sequences of Interest in a Sample

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011510630A true JP2011510630A (ja) 2011-04-07

Family

ID=40901649

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010544454A Withdrawn JP2011510630A (ja) 2008-01-24 2009-01-23 試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出するための核酸プローブの使用

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20090203017A1 (ja)
EP (1) EP2245193A4 (ja)
JP (1) JP2011510630A (ja)
CN (1) CN102016066A (ja)
AU (1) AU2009206267A1 (ja)
BR (1) BRPI0906500A2 (ja)
CA (1) CA2720932A1 (ja)
WO (1) WO2009094597A2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5356951B2 (ja) * 2009-08-27 2013-12-04 シスメックス株式会社 免疫測定用試薬及び免疫測定用試薬キット
CA2936532A1 (en) * 2010-04-20 2011-10-27 Ventana Medical Systems, Inc. Two-color chromogenic in situ hybridization
KR101613612B1 (ko) 2010-07-29 2016-04-20 다카라 바이오 가부시키가이샤 표적 염기를 검출하기 위한 rna를 함유한 프로브를 제조하기 위한 방법
EP2675920A4 (en) * 2011-02-18 2015-04-08 Nvs Technologies Inc QUANTITATIVE HIGHLY MULTIPLEXED DETECTION OF NUCLEIC ACIDS
US20130309700A1 (en) * 2012-05-21 2013-11-21 Celsis International Limited Methods, devices, and systems of detecting microorganisms
US9932620B2 (en) 2012-05-21 2018-04-03 Celsis Ltd. Methods, devices, and systems of detecting microorganisms
WO2014047141A1 (en) * 2012-09-19 2014-03-27 Beckman Coulter, Inc. USE OF DIVALENT IONS, PROTEASES, DETERGENTS, AND LOW pH IN THE EXTRACTION OF NUCLEIC ACIDS
CN108138221B (zh) * 2015-05-10 2021-11-05 康代思锐公司 用于检测核酸的超高灵敏度探针
CN105467113A (zh) * 2015-11-10 2016-04-06 国家纳米科学中心 一种基于荧光素和萤光素酶生物发光反应的免疫分析方法
CN113215289B (zh) * 2020-01-21 2022-10-14 上海市园林科学规划研究院 一种利用古菌分子标记otu66快速检测城市搬迁地土壤有效锌含量的方法
DE102020103957B4 (de) * 2020-02-14 2022-01-13 Testo bioAnalytics GmbH Verfahren zum Nachweis von Mikroorganismen und ein fluidisches Kanalsystem
DE102020103971B4 (de) * 2020-02-14 2022-02-24 Testo bioAnalytics GmbH Verfahren zum Nachweis von lebenden Mikroorganismen und ein fluidisches Kanalsystem
CN111334501B (zh) * 2020-03-13 2024-03-15 北京安诺优达医学检验实验室有限公司 适于冠状病毒保存和稀释复合缓冲液及其应用
TWI812288B (zh) * 2022-06-16 2023-08-11 財桂生物股份有限公司 Pcr綜合診斷儀之液體處理模組

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5541057A (en) * 1989-09-18 1996-07-30 Biostar, Inc. Methods for detection of an analyte
DE4216949C2 (de) * 1992-05-22 1997-07-24 Christoph Prof Dr Dr Cremer Nichtenzymatisches Verfahren zur In-situ-Hybridisierung bei spezifischen Proben
EP0880598A4 (en) * 1996-01-23 2005-02-23 Affymetrix Inc RAPID EVALUATION OF NUCLEIC ACID ABUNDANCE DIFFERENCE, WITH A HIGH-DENSITY OLIGONUCLEOTIDE SYSTEM
US6472153B1 (en) * 1999-10-26 2002-10-29 Epoch Biosciences, Inc. Hybridization-triggered fluorescent detection of nucleic acids
KR101041106B1 (ko) * 2003-11-25 2011-06-13 한면기 핵산과 단백질의 신규한 실시간 탐지방법
US7807354B2 (en) * 2005-12-28 2010-10-05 Agilent Technologies, Inc. Low volume hybridization

Also Published As

Publication number Publication date
WO2009094597A3 (en) 2009-10-01
AU2009206267A1 (en) 2009-07-30
CA2720932A1 (en) 2009-07-30
EP2245193A4 (en) 2011-04-13
US20090203017A1 (en) 2009-08-13
BRPI0906500A2 (pt) 2015-12-01
WO2009094597A2 (en) 2009-07-30
EP2245193A2 (en) 2010-11-03
CN102016066A (zh) 2011-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011510630A (ja) 試料中に存在する目的ヌクレオチド配列を検出するための核酸プローブの使用
EP1966395B1 (en) Controls for nucleic acid testing
EP2130929B1 (en) Internally controlled multiplex detection and quantification of microbial nucleic acids
US20050227225A1 (en) Stabilization of biomolecules in samples
US9416398B2 (en) Generic buffer for amplification
CA2802548C (en) Qualitative and quantitative detection of microbial nucleic acids
EP2598654B2 (en) Generic sample preparation
EP2598656B1 (en) Control nucleic acids for multiple parameters
US9719133B2 (en) Qualitative and quantitative detection of microbial nucleic acids
US7879581B2 (en) Nucleic acid amplification and detection of mycobacterium species
US20080176220A1 (en) Method, Kit and System for Enhanced Nested Pcr
US20100233717A1 (en) Methods for detecting toxigenic microbes
EP2598653B1 (en) Generic pcr
JP2022518510A (ja) 薬物耐性mycoplasma genitaliumの検出
EP0948648A2 (en) NUCLEIC ACID PRIMERS AND PROBES FOR DETECTING $i(LEGIONELLA PNEUMOPHILA)
US20170283888A1 (en) Use of rnase h for the selective amplification of viral dna
US20110189665A1 (en) Methods for detecting drug-resistant microbes
CN103866045B (zh) Hav检测
JP2001346589A (ja) Hads分解菌に特異的なポリヌクレオチド、並びに該ポリヌクレオチドを用いるhads分解菌の検出および定量方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111214

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20130131