JP2011510282A - マルチプレックス細胞シグナリングアッセイ - Google Patents

マルチプレックス細胞シグナリングアッセイ Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、イメージング装置を用いる化合物スクリーニングのためのマルチプレックス細胞ベースアッセイに有用な方法を提供し、該アッセイは試験剤の生物学的能力、潜在的薬剤候補のオフターゲット効果及び細胞毒性に関するハイコンテントな情報を提供する。
【解決手段】
開示されているのは、イメージング装置を用いる化合物スクリーニングのためのマルチプレックス細胞ベースアッセイに有用な方法である。本明細書に記載されている方法は、試験剤の生物学的能力、潜在的薬剤候補のオフターゲット効果及び細胞毒性に関するハイコンテント情報を与える。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハイコンテント(high-content)細胞スクリーニングアッセイ、そしてより特定的には、単一細胞又は細胞の単一集団において細胞刺激剤についてスクリーニングする及びレポーターのマルチプレックス(multiplex)モニタリングを用いるアッセイに関する。
新規治療薬を発見するプロセスは、慣用的に以下の段階を含む:i)薬剤標的の同定、ii)該標的の検証、iii)該標的の活性に影響する化合物のスクリーニング、iv)毒性についてリード化合物を試験すること、v)副作用についてリード化合物を試験すること、及びvi)患者において又は適切なモデルシステムにおいて、リード化合物の代謝及び安定性を試験すること。可能性のある治療標的が同定されそして検証されたら、創薬の最初の段階は、適切な療法的様式で該標的を制御する化合物を同定するため、しばしば数十万の化合物のスクリーニングを必要とする。このスクリーニングプロセスは、目的の標的因子を調節する化合物の能力を迅速にそして安価に測定し得るアッセイ技術の開発を必要とする。これらのハイスループットスクリーニングアッセイは、レセプター活性化、RNA、タンパク質濃度、酵素活性又は機能的複合体を形成するタンパク質の物理的相互作用を測定するための比色分析、蛍光、放射測定又はルミネッセンスに基づいた検出にしばしば頼っており、細胞ベース又は生化学的アッセイを含む多様な形態をとることが可能である。創薬分野が直面する恒常的課題は、可能性のあるリード化合物が化合物ライブラリースクリーンで試験される幾万の化合物から同定され、そしてその後、新規薬剤に最適化される速度及び効率を増加させることである。リード最適化の間に遭遇する共通の問題は、一つ又は数種の特異的標的タンパク質の活性を変調するその能力のため本来同定された薬剤候補は、しばしば一つ以上の反対の相互作用を有することである。有害作用は化合物の特異性の欠如により引き起こされることがあり得るので、該剤が意図された標的に加え、広範な因子及び生物学的プロセスを標的とする原因となる。毒性応答を惹起する化合物は、正常な細胞及び組織機能を破壊し、そして細胞死を導くことが可能であるので、他の関心事には薬物毒性及び代謝が含まれる。ある種の化合物は、それら自身の代謝を調節し、それにより標的剤の分解及び体からの排出を誘発して減少した薬剤効力を導くことも示されている。
現在のハイスループットスクリーニングアッセイは一般的に、単一の因子又は標的の活性を調節することにおける化合物の有効性を測定することに焦点を当てており、特異性及び毒性のような化合物機能の他の特性を決定するための二次スクリーニングの拡張プロセス及び追跡分析に頼っている。このことは、高い療法的指標(即ち、高い効力、高い特異性、低い毒性)を有する薬剤へ化合物を発展させる及び最適化するために必要とされる時間及びコストを増加させる。結果として、標的に対するそれらの活性故に本来選択された多くの化合物は、引き続いて発見された副作用のため最終的に廃棄され、最終的に不十分であると証明された薬剤リードを評価することにおける無駄な努力を生じさせている。
創薬及びリード最適化のプロセスにおいて、より速い、より効果的な、より安価な、そして特に、多様な化合物特性及び多様な細胞経路に対するそれらの影響(即ち、効力、特異性、毒性及び薬物代謝)についての同時情報を提供する情報に富んだスクリーニングアッセイに対する要求が存在する。
例えば、以前にとられている一つのアプローチがUS2005/0164321(Promega Corp)に記載されており、それは、ATPのような酵素反応の補因子、分子に結合する及び/又は分子のコンホメーションを変化させるタンパク質(ペプチド又はポリペプチド)、例えば、ペプチド又はポリペプチド基質を修飾する又は切断するタンパク質、又はタンパク質により結合されている及び/又は改変された分子を含む、一つ以上の部分のサンプル中の量(例えば、活性)又は存在を検出するため、同一ウェルにおけるマルチプレックス発光性及び非発光性アッセイのための酵素媒介反応を使用する方法を開示している。
WO98/58074(Allelix Biopharma)は、Gタンパク質共役レセプターを含むレセプターのリガンドを同定するための化合物のスクリーニングに有用なアッセイ法及び組成物を記載している。該発明は、目的のレセプターが環状ヌクレオチドによりゲート開閉されるイオンチャネルに対する二次メッセンジャーシステムを介して共役されている細胞を用いている。レセプター刺激が二次メッセンジャーシステムを呼び起こして環状ヌクレオチドを産生し、それは該チャネルを通した測定可能なイオン流入を生じる。該発明は、異なるレセプター型を発現している混合細胞培養物がイオン流入の異なる蛍光レポーターとともに含まれるマルチプレックス化システムも提供している。
EP1439384(Cellomics Inc)は、特定の生物学的機能へ特異的に影響する多数の化合物のスクリーニングの目的で、蛍光標識レポーター分子の細胞中での分布、環境又は活性の決定のための方法及び分析システムを提供している。
Bertelsen, M., (Methods in Enzymology, (2006), 414, 348-363) は、ハイコンテントイメージングシステムを使用する、細胞内タンパク質トランスロケーションを伴う炎症性シグナリングのマルチプレックス分析を記載している。
Howell, B.J. et al. (Methods in Enzymology,(2006), 414, 284-300, 2006)は、蛍光顕微鏡検査法を用いる、細胞増殖、細胞周期段階及びアポトーシスをモニタリングするためのマルチプレックス化された、細胞ベースイメージングアッセイの開発及び実行を記載している。
Nickischer, D. et al. (Methods in Enzymology,(2006), 414, 389-418) は、キナーゼ阻害剤についてのMAPKモジュール選択性プロファイリングを提供する三つの分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)細胞内シグナル経路イメージングアッセイの開発及び実行を記載している;MK2−EGFPトランスロケーション、c−JUN及びERK活性化。
Hanson, B. et al. (J. Biomolecular Screening, (2006), 11, 644-651) は、一つの細胞株で二つのGタンパク質共役レセプターアッセイ薬物スクリーニングを可能にする、fluo−4カルシウム動員アッセイ及びベータラクタマーゼレポーターシステムの組み合わせを介したマルチプレックス細胞内アッセイを記載している。
Jonas, J-C. et al. (Diabetes, (1998), 47, 1266-1273) は、細胞内Ca2+濃度と、グルコースで刺激された単離膵島細胞の細胞灌流液からの細胞外インスリン分泌との間の時間的及び定量的関係を記載している。培養膵島に、グルコース含有培地に溶解したカルシウム指示薬fura-PE3 を加え、一つの膵島を潅流チャンバーに移した。[Ca2+]は、蛍光顕微鏡検査法により測定し、一方、インスリンは灌流液から下流で採取した分画のRIAにより決定した。この論文は、それ故、[Ca2+]と、大きな、混合された(即ち、異種)細胞集団からのインスリン分泌との関係を記載しており、従って、単一細胞レベルでの細胞刺激と付随するアナライト産生との間の特異的相関はない。さらに、Jonas et al は、マルチプレックス化アッセイ又は細胞随伴分子/アナライトの測定については記載していない。
Marriott et al. (J. Cellular Physiology, 1998, 177, 2, 232-240) は、インターロイキン−6 mRNA発現の誘導及びマウス腹腔マクロファージにおける細胞カルシウム測定について記載している。mRNAは細胞により分泌されないので、mRNA及び細胞カルシウム測定の両方が細胞内イベント(event)である。
Veronesi et al. (Neurotoxicology, 2003, 24, 463-473) は、気管支−気管上皮細胞の細胞内カルシウム及び細胞外IL−6測定について記載している。この論文において、IL−6は細胞随伴性ではなく、ELISAによりダウンストリームで測定される。
細胞洗浄工程なしに実施される、細胞内カルシウムの測定及びダウンストリームラジオイムノアッセイによるヒト単球からの細胞外IL−6測定は、McMillen et al. (Clinical Care Medicine, 1995, 23, (1) 34-40) に記載されている。
Drucker et al. (Blood, 2002, 100, (11) Abstract number 5025) は、細胞洗浄工程なしのダウンストリームELISAによる、多発性骨髄腫細胞株からの細胞内カルシウム及び細胞外IL−6の測定を報告している。
同一細胞集団における細胞内カルシウム及び神経ペプチドY(NPY)免疫化学的染色の測定は、Kohno et al. (Diabetes, 2003, 52, (4) 948-956)に開示されている。NPYは、非生存細胞に対する4%パラホルムアルデヒドでの細胞固定化後に検出した。
Lundgren et al. (World Journal of Surgery, 1996, 20, (7) 727-735) は、細胞洗浄工程を使用せずに、ダウンストリームラジオイムノアッセイによるヒト副甲状腺細胞からの細胞内カルシウム及び細胞外PTH測定を記載している。
前述の方法のいずれも、細胞内及び細胞随伴シグナル伝達因子が細胞の単一均質集団からの細胞中で測定される、刺激生存細胞からの時間的及びマルチプレックス化されたハイコンテント情報を与える方法を提供していない。前述の方法はそれ故、特異的細胞内イベントと細胞随伴アナライト(cell-associated analyte)のダウンストリーム産生を相関させることが不可能である。本発明は、これらの制限、ならびに既知の方法に優る多数の利点を提供することに取り組んでいる。
米国特許2005/0164321号 国際特許98/58074号 欧州特許1439384号
Bertelsen, M., Methods in Enzymology, (2006), 414, 348-363 Howell, B.J. et al. Methods in Enzymology, (2006), 414, 284-300, 2006 Nickischer, D et al. Methods in Enzymology, (2006), 414, 389-418 Hanson, B. et al. J .Biomolecular Screening, (2006), 11, 644-651 Jonas, J-C. et al. Diabetes, (1998), 47, 1266-1273 Marriott et al. J Cellular Physiology, 1998, 177, 2, 232-240 Veronesi et al. Neurotoxicology, 2003, 24,463-473 McMillen et al. Clinical Care Medicine, 1995, 23, (1) 34-40 Drucker et al. Blood, 2002, 100, (11) Abstract number 5025 Kohno et al. Diabetes, 2003, 52, (4) 948-956 Lundgren et al. World Journal of Surgery, 1996, 20, (7) 727-735
本発明は、イメージング装置を用いる化合物スクリーニングのためのマルチプレックス細胞ベースアッセイに有用な方法を提供し、該アッセイは試験剤の生物学的能力、潜在的薬剤候補のオフターゲット効果及び細胞毒性に関するハイコンテントな情報を提供する。それ故、本発明の第一の側面に従うと、生存細胞の単一集団における少なくとも一つの細胞内イベント及び細胞随伴アナライトを測定する方法が提供され、該少なくとも一つの細胞内イベント及び細胞随伴アナライトは、該細胞中で作動している協奏的生化学的プロセスの各成分であり、該方法は:
a)生存細胞の単一集団を含有しているサンプルを提供すること;
b)該細胞の単一集団中の少なくとも一つの生存細胞と、該少なくとも一つの細胞が細胞随伴アナライトを産生することを引き起こす又は引き起こすと推測される試験剤を接触させること;
c)少なくとも一つの細胞内イベントの尺度として該少なくとも一つの細胞中の物理学的特性の変化を測定すること;
d)細胞外液を除去するために該細胞を洗浄すること;
e)該細胞随伴アナライトの存在、量又は活性を測定すること;及び
f)該少なくとも一つの細胞中の該少なくとも一つの細胞内イベントの変化と該細胞随伴アナライトの存在、量又は活性を関連付けること;
の工程を含む。
本発明はそれ故、細胞に作用する外因性剤の生物学的活性についてのデータを得ることが可能である、ハイコンテント、ハイスループット細胞ベースアッセイ法を提供する。生存細胞は、時間及び空間で調節されている生化学的経路の複雑なネットワークを介し、それらの環境中の必須なシグナルに定常的に応答して、協調的応答のために必須である情報の統合された変化を細胞に提供する。ホルモン、増殖因子及び神経伝達物質は、中でも、最も広く研究されているシグナル伝達剤である。さらに、本発明は、同じ細胞中で起きている複数のイベントを測定するための、情報に富んだ方法を提供し、該方法は、生化学的経路分析に助力することが可能である。このことは順に、癌、アテローム性動脈硬化、乾癬、関節リウマチ、多発性硬化症、喘息及び慢性閉塞性肺疾患のような臨床状態と関連する多様な経路を評価することを助けるであろう。適切には、本明細書に記載した方法において用いられるサンプルは、細胞の単一集団を含有するであろう。本方法に従うと、細胞と試験剤を接触させ、下流の生化学的プロセス(又はイベント)のカスケードの引き金を引くように細胞が刺激される。こうしたプロセスは、細胞内ホルモン、二次メッセンジャー、ガス、酵素、転写因子、応答エレメント及び/又は遺伝子発現産物の変化したレベルを生じさせることができる。さらに、一つ以上の対応する細胞内エフェクター分子のレベル又は量の変化により特徴付けられる細胞刺激後の観察された細胞内イベントの変化と、こうした細胞刺激に応答して産生された細胞随伴アナライトの形成を相関させることが可能である。
本発明の目的は、細胞に作用する外因性剤の生物学的活性についてのデータを得ることが可能である、ハイコンテント、ハイスループット細胞ベースアッセイ法を提供することである。
明確化の目的で、本発明のある種の態様が、以下の図を参照して、例としてここで記載されるであろう。
図1は、実施例1に従ったコンビネーションアッセイの結果を示している。単一集団由来のカルシウムイオノフォアA23187刺激U2OS細胞で生じる細胞質細胞内カルシウムの増加は、カルシウム感受性、細胞透過性色素Fluo−4への結合により検出された。蛍光発光(λem=535nm)は、INCell Analyzer 1000光学イメージングシステムを使用して測定し、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット、200ms暴露を使用してイメージ化した。 図2は、免疫細胞化学的分析のイメージであり、実施例4に従った、単一集団由来のA23187刺激U2OS細胞からの細胞随伴、分泌ヒトIL−6を示している。蛍光は、INCell Analyzer 1000で測定した。 図3は、U2OS細胞からのカルシウムイオノフォア刺激IL−6発生を示し、実施例3に従ったA23187刺激U2OS培養細胞の単一集団からの細胞随伴IL−6分泌を示している。細胞を4時間試験剤(カルシウムイオノフォアA23187)と接触させ、試験剤で細胞刺激後、細胞随伴IL−6を測定した。刺激後、細胞上清をデカントし、抗IL−6抗体とインキュベートする前に細胞をPBSで3回十分に洗浄した。細胞を化学発光基質の添加前にPBSで3回洗浄した。カルシウムトランジェントからの結果は、同一の細胞集団を使用してIL−6の結果に先だって得られた。データは、図1に示された結果と組み合わせて得た。結果(図3)は、化学発光基質及び発光シグナルレポーター(酵素西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された抗IL−6)を使用し、20秒曝露するLEADseeker Multimodalityイメージングシステムを使用して得た。 図4は、実施例2に従ったコンビネーションアッセイの結果を示している。単一集団由来のヒスタミン刺激U2OS細胞で生じる細胞質細胞内カルシウムの増加は、カルシウム感受性、細胞透過性色素Fluo−4への結合により検出された。蛍光発光(λem=535nm)は、INCell 1000 Analyzerを使用して測定し、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット、200ms暴露を使用してイメージ化した。 図5は、実施例3に従った単一集団由来のヒトU2OS細胞からのヒスタミン刺激IL−6発生を示している。細胞を一晩ヒスタミン試験剤と接触させ、細胞刺激後、細胞随伴IL−6を測定した。結果は、化学発光基質及び発光シグナルレポーター(酵素西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された抗IL−6)を使用し、20秒曝露するLEADseeker Multimodalityイメージングシステムで得た。 図6は、実施例3に従った化学発光アッセイ(R&D Systems,カタログコードQ6000B)を使用し、既知量の組換えIL−6を使用する(0.48〜1500pg/ml)、既知量の組換えIL−6の検量線を示している。結果は、LEADseeker Multimodalityイメージングシステムで測定した。 図7は、実施例4に従ったIL−6測定と組み合わせて得られた、培養で増殖させたカルシウムイオノフォアA23187刺激ヒトU2OS細胞からのカルシウムトランジェントを示している。イメージ分析は、IN Cell 1000 Analyzerで測定し、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット、200ms暴露を使用してイメージ化した。蛍光測定は非刺激(ゼロイオノフォア)対照と比較し、細胞内カルシウムの増加を示している。 図8は、A23187刺激U2OS細胞での細胞内カルシウムと細胞随伴IL−6との関係を示しており、細胞内及び細胞随伴分子の両方が、イオノフォアA23187の濃度を増加させることによる用量依存的上昇を示している。細胞は、単一集団由来であった。結果は、実施例4に従ったINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。 図9は、単一集団由来のA23187刺激U2OS細胞での細胞内と細胞随伴IL−6の関係を示している。データは、細胞を試験剤のみと接触させた場合の細胞内カルシウム及び細胞随伴IL−6の増加を示している。非刺激(対照)細胞では、細胞内と細胞随伴IL−6間の相関は示されなかった。結果は、実施例4に従ってINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。 図10は、単一集団由来のA23187刺激ヒトU2OS細胞での細胞内カルシウムと細胞随伴IL−6との優秀な相関(相関係数>0.99)を示している。結果は、実施例4に従ってINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。 図11は、EGFPトランスロケーション及びPDGF測定(細胞随伴分子)のコンビネーションアッセイからのEGFP−NFAT1cトランスロケーションを示している。 図12は、EGFP−NFAT1cトランスロケーションと組み合わされた、EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞からのイオノマイシン刺激PDGF放出を示している。 図13は、単一集団からのイオノマイシン−刺激EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞での細胞内NFAT1cトランスロケーションと細胞随伴PDGF間の関係を示す。 図14は、イメージングシステムを使用して測定された、イオノマイシン+PMAでのトランスフェクト細胞の刺激によるEGFP−NFAT1cトランスロケーションを示す。 図15は、EGFP−NFAT1cトランスロケーションと組み合わせて得られた、EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞からのイオノマイシン+PMA刺激TNFα放出を示す。 図16は、イオノマイシン+PMA刺激EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞での、細胞内NFAT1cトランスロケーションと細胞随伴ヒトTNFα間の相関を示す。
一つの態様において、細胞内イベントの変化及び試験剤の存在下で測定された細胞随伴アナライトの存在、量又は活性の変化を、少なくとも一つの細胞内イベントの各々及び試験剤の不存在下での細胞随伴アナライトの存在、量又は活性についての対照値と比較することができる。対照値は、都合良くは、データベース又は他の電子フォーマットにおいて電子的に保存することができる。
試験剤は、薬剤、食用色素、ホルモン、毒素、アルキル化剤、酸化剤、又は発癌物質のような化学的実在物であることができる。もしくは、電磁放射線(例えば、UV、X線、マイクロ波)、β放射線又は熱のような物理的変化を生じさせるもの(physical agent)である。
細胞外液を除去するための洗浄工程d)は、工程b)の後、しかし工程c)の前に実施することができることを当業者は理解するであろう。
本明細書に開示した用語「マルチプレックスアッセイ」又は「マルチプレックス化法」は、同一源からの二つ以上のメッセージからの情報又はシグナルの測定又はコミュニケーションの方法に関連する又はである(マルチプレックスアッセイの例はUgozzoli, et al. (Analytical Biochemistry, 2002, 307, 47-53) )により記載されている。
本明細書で使用する用語「ハイコンテントスクリーニング」とは、分子発見のためのテストチューブ(test tube)として生存細胞を使用する創薬法である。それは、一つのアウトプットのみの単一実験よりも、個々の実験からより多くを発見する空間的又は時間的分解法の使用を記載している。それは分子ツールを用いる細胞生物学と、典型的には、自動化高解像度顕微鏡及びロボット的取り扱いとの組み合わせを使用する(Giuliano et al., J Biomol Screen. ,1997, 2, 249-259)。本明細書に記載した方法は、生存細胞でのアッセイ法を使用する。
本明細書に開示した用語「細胞内イベント」は、例えば、レセプター活性化、カルシウム放出、二次メッセンジャー産生、一酸化窒素放出、リン酸化反応、酵素活性化、転写因子及び応答エレメントの活性化及び遺伝子発現を含む細胞シグナリング及びシグナル伝達に関連した基本的細胞プロセスを意味することを意図している。従って、本発明の文脈において、細胞内イベントの尺度としての物理的特性は、細胞内エフェクター分子のレベルの又は量の変化、又は細胞内酵素の活性、二次メッセンジャー、一酸化窒素、転写因子、応答エレメント又は遺伝子発現の一つ以上の産物の変化の存在又は不在の検出又は測定を意味することを意図している。好ましくは、細胞内イベントはイオン濃度(例えば、細胞内カルシウム)の増加及び/又は遺伝子発現の増加である。
本明細書に開示した用語「細胞プロセス」とは、生存細胞が行う正常プロセスを含み、そして生合成、取り込み、輸送、調節、レセプター結合及び内部移行、代謝、細胞生理学、生化学的応答、細胞呼吸、増殖及び細胞死を含む。追加の細胞プロセスとしては、細胞が別の細胞又は細胞接着分子を介して内在する基質又はマトリックスに付着する細胞接着、細胞シグナリング、形態形成、複製及び刺激に対する応答を含むことができる。
本明細書に開示した用語「細胞随伴アナライト」とは、一般的に協奏的生化学プロセス又は経路で、細胞の刺激により産生される細胞成分を指すことが意図されており、そしてそれは続いて細胞により分泌されるが、細胞随伴アナライトの存在、量又は活性の測定中は細胞に物理的に付随している。本発明は、細胞内及び細胞外液に存在する二つ以上の異なったアナライトを測定するように設計されているコンビネーション又はマルチプレックスアッセイを記載している。例えば、細胞内分子は細胞質及び核内に存在することができ、一方、細胞随伴アナライトは細胞のすぐ表面の液体内に存在することができる。好ましい態様において、本アッセイは細胞と密接に付随している、例えば、細胞膜に結合されている、もしくは細胞にすぐ接近した環境に存在する細胞随伴アナライトを測定するように設計されており、なぜなら、このことは発現のレベル及び分泌された因子又はアナライトの発生レベルの時間的性質の正確な尺度を与えるからである。
本発明の方法は、実質的にいかなるタイプの細胞においても適用可能である。一つの態様において、細胞の集団は、哺乳類、細菌、植物、昆虫及び酵母の細胞を含む起源に関していずれかの広く認められている生物源に由来する正常(即ち、未修飾の)細胞である。好ましい態様において、真核生物細胞タイプ、例えば、哺乳類細胞が用いられた。例としては、CHO、3T3、Cos−7、HEK−293、Jurkat、HeLa、Sf−9、HUVEC、HMEC、HL−60、U2OS、J774、BHK、ECV304及びTHP−1細胞が含まれる。代替細胞には、酵母及び昆虫細胞が含まれる。
別の態様において、発現調節エレメントに機能可能であるように連結された及び調節下の第一の検出可能なレポーター分子をコードする核酸配列を含む第一のレポーター遺伝子構築物を含む組換え発現ベクターでのトランスフェクションにより細胞が修飾された。この態様において、適切には、第一の側面に従った接触工程b)は、レポーター遺伝子構築物の発現を許容する条件下で実施する。
本明細書に開示した用語「機能可能なように連結された」とは、レポーター遺伝子構築物を含んでいるエレメントが、それらの意図される目的に合わせて機能するように配置されていることを示し、即ち、該レポーター遺伝子構築物は、転写がプロモーターで開始され、そしてレポーター分子をコードするDNA配列を介して進行するように配置されている。
さらなる態様において、該レポーター遺伝子構築物は追加的に目的のタンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ニトロレダクターゼ(NTR)レポーター又はルシフェリンとの反応を触媒して光を発生するルシフェラーゼ遺伝子をコードすることができる。細菌における別の共通のレポーターはlacZ遺伝子であり、それはタンパク質β−ガラクトシダーゼをコードし、それにより細胞は、基質類似体X−gal含有培地で増殖させた場合に青く見える遺伝子を発現するようになる。
本明細書に記載したレポーター遺伝子(又はレポーター)は、培養細胞の目的の別の遺伝子(例えば、ルシフェラーゼを発現する)に結合されている遺伝子である。ある種の遺伝子は、それらを発現している生物体に与える特徴が容易に同定できる及び測定できるので、又は該遺伝子が細胞内イベント又は分子の選択可能マーカーであり、そしてそれ故GFPトランスロケーションアッセイのような技術で使用し得るので、レポーターとして選択される。レポーター遺伝子は、目的の遺伝子が細胞に取り込まれていたか、又は発現されているか、又は遺伝子発現が細胞又は細胞集団中で活性化又は変化されているかどうかを決定するために使用される。生物体内にレポーター遺伝子を導入するため、レポーター遺伝子及び目的の遺伝子は、細胞又は細胞集団内に挿入される又はトランスフェクトされるべき同一の核酸構築物中に置かれる。例えば、細菌又は培養真核細胞については、該構築物は通常、公知の環状(プラズミド)DNAの形態である。
一つの態様において、第一のレポーター遺伝子構築物でのトランスフェクションにより修飾された細胞は、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はオワンクラゲ(Aequorea Victoria)由来の機能性GFP類似体をコードする核酸配列を含む。開示された方法での使用に好ましい蛍光タンパク質には、EGFP(Cormack, B. P. et.al., Gene, (1996), 173, 33-38);EYFP及びECFP(US 6066476,Tsien, R. et.al.);F64L−GFP(US 6172188, Thastrup, O. et.al.);BFP(US 6077707, Tsien, R. et.al.)が含まれる。他の蛍光タンパク質には、NFP(Clontech)及びウミシイタケ(Renilla)GFP(Stratagene)が含まれる。
別の態様において、修飾細胞は、酵素、例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びニトロレダクターゼをコードする核酸配列を含有する第一のレポーター遺伝子構築物を含む。特定の好ましい態様において、レポーター遺伝子構築物は、ニトロレダクターゼをコードする。適した酵素レポーターは、その酵素の基質存在下で検出可能な(例えば、蛍光又は発光)シグナルを発生することができるものである。特に適した酵素/基質には:ルシフェラーゼ/ルシフェリン;β−ガラクトシダーゼ/DDAOガラクトシド;β−ガラクトシダーゼ/フルオレセイン ジ−β−D−ガラクトピラノシド;アルカリホスファターゼ/Attophos;ニトロレダクターゼ/CytoCy5S(登録商標)(WO2005/118839に開示されている)が含まれる。
レポーター遺伝子として、種々の酵素遺伝子を使用する方法はよく知られている(総説については、Naylor LH., Biochemical Pharmacology, (1999), 58, 749-757を参照されたい)。レポーター遺伝子は、他の細胞性タンパク質の存在下で測定可能である遺伝子の産生を可能にするように選択され、宿主細胞における遺伝子発現の変化に応答する選択された調節配列の制御下、細胞内に導入される。典型的調節配列にはホルモン及び他の細胞制御及びシグナリング因子に応答するものが含まれる。例えば、7回膜貫通レセプターに結合するアゴニストは、cAMP応答エレメント、NFAT、SRE及びAP1を含むプロモーターエレメントを変調することが知られており;MAPキナーゼ活性化はSREの変調を導いてFos及びJun転写を導き;DNA損傷はDNA修復酵素及び腫瘍抑制遺伝子p53の転写の活性化を導く。適切な調節配列の選択により、研究下の選択された調節配列を含む細胞プロセスに対する添加した剤の効果をアッセイするため、レポーター遺伝子を使用することができる。
レポーターとして使用するため、ニトロレダクターゼ遺伝子を、公知の方法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press 1989 pp 14.5-14.20)の使用によるcDNAライブラリーからの増幅により単離することができる。単離されたら、ニトロレダクターゼ遺伝子を、研究下の遺伝子調節配列とともに及び制御下で、哺乳類プロモーターでの使用に適したベクター内に挿入することができる(Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press 1989 pp 16.56-16.57)。ニトロレダクターゼレポーター及び関連した調節配列を含有するベクターは次に、公知の技術(例えば、DEAEデキストラン又はリン酸カルシウムの使用により)を使用するトランスフェクションにより宿主細胞中に導入することができる(Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press 1989 pp 16.30-16.46)。他の適した技術も当業者には認識されるであろう。ニトロレダクターゼは、この様式で発現された場合、細胞中に保持されることが示されている(Bridgewater et al, Eur. J. Cancer 31a, 2362-70参照)。
DNA構築物は、当業者にはよく知られ、そしてSambrook, J. et al (1989), Molecular Cloning - A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press、に記載されている方法による、制限切断、ライゲーション、トランスフェクション及びプラズミド精製の標準組換え分子生物学的技術により調製することができる。もしくは、該構築物は確立された方法、例えば、Beaucage及びCaruthersにより記載されている(Tetrahedron Letters, (1981), 22, 1859-1869)ホスホラミダイト法、又はMatthes et al (EMBO J., (1984), 3, 801-805)により記載されている方法により合成的に製造することが可能である。ホスホラミダイト法に従うと、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNAシンセサイザー中で合成し、精製し、アニール化し、ライゲートしそして適したベクター内にクローン化する。DNA構築物は、例えば、US4683202 に又は Saiki et al,(Science, (1988), 239, 487-491)に記載されているような特異的プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により調製することもできる。PCR法の概説は、PCR protocols(1990), Academic Press, San Diego, California, U.S.A. に見ることができる。
DNA構築物の調製の間に、レポーターをコードする遺伝子配列は、細胞周期特異的破壊調節エレメント及び随意に空間的局在化調節エレメントの読み枠内に連結されていなければない。生じたDNA構築物は次に、適した細胞周期特異的発現調節エレメントの制御下に置くべきである。
細胞内イベント、例えば、細胞刺激によるホルモン、二次メッセンジャー又はカルシウムのレベルの変化の測定は、こうした分子に特異的な蛍光プローブを用いることにより、細胞から放出される蛍光を検出すること及び定量することで、適切に成し遂げることができる。細胞内ホルモン、二次メッセンジャー、転写因子などの測定は、既知の方法により成し遂げることができる。測定することができる細胞内イベント及びエフェクター分子の例には:
i)細胞内カルシウムフラックス又はカルシウムトランジェントアッセイ
こうしたアッセイは、カルシウムイオンへのプローブの結合の結果として蛍光発光の増加があるように、Fluo−2及びFluo−4のような細胞透過性蛍光指示薬色素分子を用いる。例えば、”Cellular Calcium, A Practical Approach”, Edited by McCormack and Cobbold (1991), IRL Press を参照されたい。
ii)GFPタグ付けトランスロケーションアッセイ
これらのアッセイは、細胞質と、細胞膜、初期エンドソーム又は核間に生じるタンパク質トランスロケーションを同定することが可能なように、GFPを発現する核酸構築物を必要とする。例えば、AKT−1の活性化を含む種々のシグナリングイベントをモニタリングする及び定量化するための生存細胞内GFPタグ付けタンパク質トランスロケーションアッセイを記載している、Hancock et al, The Society for Biomolecular Screening, 9thAnnual Conference and Exhibition, Drug Discovery at the Cutting Edge, (2003), Portland, Oregon 、を参照されたい。
iii)レポーター遺伝子アッセイ
レポーター遺伝子アッセイは、培養細胞に明白な又は即時の効果をほとんど有していない細胞タンパク質を産生する、目的の遺伝子の発現のためアッセイに使用することができる。ここで、レポーターは目的の遺伝子に直接的にタグ付けされて、遺伝子融合を作り出す。二つの遺伝子は、同一のプロモーターの制御下にあり、単一のメッセンジャーRNA分子に転写され、それはタンパク質、例えば、酵素レポーターに翻訳される。これらの例においては、両方のタンパク質がそれらの活性コンホメーションに適切に折りたたまれ、融合されているにもかかわらずそれらの酵素基質と相互作用できることが重要である。DNA構築物の形成において、レポーターと遺伝子産物間の干渉を最小化するように、フレキシブルポリペプチドリンカー領域をコードするDNAのセグメントが、しばしば含まれている。こうしたアプローチの例は、よく知られており、例えば、Bronstein et al, Chemiluminescent and Bioluminescent Reporter Gene Assays, Analytical Biochemistry, (1994), 219, 169-181、を参照されたい。
iv)細胞溶解アッセイ
ここでは、細胞内成分はしばしば、細胞膜を解離するために使用される界面活性剤を加えて、細胞溶解液中で測定される。こうした細胞溶解工程及びアッセイの例は、US6900019(Horton)に見ることができる;
が含まれる。
細胞随伴アナライトの存在、量又は活性を測定するアッセイはよく知られており、免疫細胞化学、タンパク結合アッセイ及び酵素アッセイが含まれる。アッセイの構成成分は、典型的には:
a)測定すべきアナライトを含有する又は含有すると疑われる細胞のサンプル;
b)該アナライトの非標識特異的結合パートナー、それは固体支持体上に固定されている又は固定化されることが可能である;
c)アナライトの特異的結合パートナー又は類似体、それは標識されている又は標識されていない、及び標識することが可能である;
を含むことができる。
一つの態様において、該アッセイは酵素アッセイである。この形式において、成分a)、b)及びc)は、マイクロウェルプレートのウェル中に含まれており、成分c)は、試験されている化合物の酵素標識特異的結合パートナーである。アッセイ測定は、酵素標識の検出のために適した検出試薬のウェルへの添加により始められる。例えば、Berg, J., Tymoczko J and Stryer L, Biochemistry, W. H. Freeman and Company, (2002) 、を参照されたい。
別の態様において、標識された特異的結合パートナーは蛍光標識を含み得る。免疫細胞化学分析法によるアナライトの測定に適した蛍光標識は、よく知られているであろうし、そして例えば、フルオレセイン、ローダミン及びシアニン色素が含まれるであろう。
別の態様において、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)アッセイが、細胞随伴アナライトの測定に用いられた。Czerkinsky, C, et al, J. Immunol. Methods, (1983), 65 (1-2), 109-21) を参照されたい。この態様において、細胞随伴アナライトは、抗体又は他の結合試薬のための固体支持体として働く半透明(PVDF)膜で測定することができ、細胞随伴アナライトを酵素標識プローブ及び蛍光基質で検出する。
さらなる態様において、細胞随伴アナライトの測定は、生存細胞−ELISA技術を使用して実施することができ、測定すべきアナライトを含有する可能性がある細胞のサンプルは容器中に含まれており、細胞随伴アナライトは、適したプローブ及び発光又は蛍光基質で検出される。例えば、Grunow, R. et al, J. Immunological Methods, (1994), 171, 93-102 、を参照されたい。
細胞随伴アナライトの性質は、アナライトの存在、活性又は量が細胞内イベントと相関し得る限り、本発明には重要ではない(細胞内成分又はレポーター遺伝子活性化又はGFPトランスロケーションの変化により測定するので)。対する特異的結合パートナーが入手可能であるいずれの細胞随伴アナライトも、原則として本発明で利用し得る。本発明での使用に適した典型的な特異的結合パートナーの組み合わせは:ハプテン−抗体、リガンド−レセプター、DNA−DNA、RNA−RNA、DNA−RNA、ビオチン−ストレプトアビジン、タンパク質−抗体、ペプチド−抗体、及びポリペプチド−抗体相互作用;から選択することができる。好ましくは、特異的結合アッセイは、タンパク結合アッセイ、より特定的には免疫細胞化学アッセイである。典型的なアナライトには、タンパク質、ペプチド、神経伝達物質、ニューロトロフィン、ビタミン、ペプチドホルモン、酵素、増殖因子、ステロイド、プロスタグランジン、インテグリン、マトリックス成分、アドヘシン、分化分子のクラスター、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン及びロイコトリエンなどが含まれる。ある種の細胞内成分の測定は、細胞内イベントの変化を示し、こうした成分には、二次メッセンジャー、ADP、ATP、AMP、環状ADPリボース、細胞内カルシウム、cGMP、cAMP、IP、IP、IP、セリン−スレオニンキナーゼ、PI3−キナーゼ、ジアシルグリセロール、AKT−1、リボソームタンパク質S6キナーゼ、SMAD−9、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼCデルタ−1、アミロイドベータ前駆体タンパク質、ras相同体遺伝子{いでんし}ファミリー、メンバーA、PARAPARA(ARHA)、レセプター相互作用性セリン/スレオニンキナーゼ2、熱ショック70−kDタンパク質1A(HSPA1A)、スフィンゴシンキナーゼ−1(SPHK1)、SPHK2、フォークヘッドボックスO1A(FOXO−1A)、グルココルチコイドレセプター(GCCR)、カスパーゼ、AKT1及び転写因子が含まれる。個々には、これらの細胞内アナライトは、例えば、GFPトランスロケーションマーカー、レポーター遺伝子アッセイ、蛍光又は発光プローブ、酵素媒介アッセイ、タンパク質結合技術、電気生理学、分光学、核磁気共鳴技術、フローサイトメトリー、イオン輸送、顕微鏡及びラジオメトリックアッセイを使用して測定することができる。
蛍光強度の変化の検出及び測定は、電荷結合デバイス(CCD)イメージング装置(走査型イメージング装置又は領域イメージング装置のような)を組み入れた装置を用いる光学イメージング法を使用して行うことができる。例えば、LEADseeker(登録商標)、Multimodality イメージングシステム(GE Healthcare )は、単一ライトパスで高密度マイクロウェルプレートの定量的蛍光イメージングを可能にするCCDカメラを特色とする。もしくは、INCell Analyzer 1000 光学イメージングシステム(GE Healthcare)を使用し、細胞を、「生存細胞」形式でイメージ化することができる。この形式において、適した細胞マーカーは、目的の化合物の蛍光発光とは異なった及び識別可能である蛍光発光波長を有する細胞質、核又は膜蛍光標識のように、細胞内に導入されなければならない。
本発明によると、方法論が一体化されており、それは試験剤で処理された単一細胞又は細胞の単一均質集団において、細胞内及び細胞外細胞随伴イベントが平行してモニターされることを可能にする。本発明は、従って、単一細胞又は細胞の単一集団に対する推定薬物又は剤の効果を直接的に決定するための方法を提供し、それ故に、高い治療効果を有する化合物を開発する及び最適化するために必要な時間及びコストを減少させる。
1.イオノフォアA23187刺激U2OS細胞におけるカルシウムトランジェントの測定
材料
カルシウムフラックス緩衝液(1mM MgSO、100mM HEPES、10mM D−グルコース、145mM NaCI及び1mM CaCIを含有する45mM KCI、pH7.4);
Fluo−4(InVitrogen);
Hoescht 33342(InVitrogen);
7.5%アルブミン(Sigma);
カルシウムイオノフォアA23187(Sigma) ;
U2OS細胞(European Collection of Cell Cultures, Porton Down, UK)。
1.2 方法及び結果
i)U2OS細胞を、100μlの完全McKoys培地中、6000細胞/ウェルで96ウェルGreiner クラスタープレートに蒔き、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
ii)添加緩衝液(loading buffer)は、42.8mlのカルシウムフラックス緩衝液及び6.65mlの7.5%アルブミンで調製した。この緩衝液は37℃で保存した。
iii)120mlの維持緩衝液は、118.16mlのカルシウムフラックス緩衝液及び1840μlの7.5%アルブミンで調製した。
iv)5mgのカルシウムイオノフォアA23187を1mlのDMSOに溶解した。イオノフォアを引き続いて完全維持緩衝液に希釈して、1.56〜100μMの範囲のイオノフォアの最終濃度を得た。Fluo−4色素は、50μgバイアルに456μlのDMSOを加えることにより調製し、バイアルを十分に混合して100μMのFluo−4保存濃度を提供する。100μlの100μM Fluo−4色素及び6μlの16mM Hoescht核色素を、9.894mlの添加緩衝液に加えた。細胞培養プレートから培養液を除去し、100μl/ウェルの温めた完全添加緩衝液を加えた。プレートを37℃、5%COで40分インキュベートした。インキュベーション後、添加緩衝液を除去し、150μl/ウェルの維持緩衝液を加えた。プレートを、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット(Fluo−4)、200ms暴露、360/460フィルターセット(Hoescht)、300ms暴露を使用するINCell Analyzer 1000(Kinetic Module)に移した。イメージは以下の時間:0.5〜60秒、5秒毎に取得した。20秒後、イオノフォアを分注し、イメージ取得を継続した。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(object intensity algorithm)(INCell Investigator software)を使用して解析した。
v)図1は、培養で増殖させたU2OS細胞のカルシウムイオノフォアA23187(1.56〜100μM)による刺激後の細胞内カルシウム濃度のコンビネーションアッセイからの結果を示している。細胞随伴IL−6の増加が図3に示されている。データは、カルシウムイオノフォアでの刺激により、細胞透過性色素Fluo−4(λem=535nm)から発光された蛍光の増加により示されるように、細胞が細胞質性細胞内カルシウムの増加で応答することを示している。図1は、8分にわたる細胞内カルシウムの上昇、及びピーク及び下落を伴う細胞内カルシウムレベルの経時変化を示している。細胞内イベントの変化は、アッセイに用いられたカルシウムイオノフォアの用量にも依存している。
2.ヒスタミン刺激U2OS細胞におけるカルシウムトランジェントの測定
1.1材料
カルシウムフラックス緩衝液(1mM MgSO、100mM HEPES、10mM D−グルコース、145mM NaCI及び1mM CaCIを含有する45mM KCI、pH7.4);
Fluo−4カルシウム蛍光剤(InVitrogen);
Hoescht 33342 DNA 染色剤(InVitrogen);
7.5%アルブミン(Sigma);
ヒスタミン(Sigma) ;
U2OS細胞(European Collection of Cell Cultures, Porton Down, UK)。
2.2 方法及び結果
i)U2OS細胞を、100μlの完全McKoys培地中、6000細胞/ウェルで96ウェルGreiner クラスタープレートに蒔き、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
ii)添加緩衝液は、42.8mlのカルシウムフラックス緩衝液及び6.65mlの7.5%アルブミンで調製した。この緩衝液は37℃で保存した。
iii)120mlの維持緩衝液は、118.16mlのカルシウムフラックス緩衝液及び1840μlの7.5%アルブミンで調製した。
iv)25.3mgのヒスタミンを秤量し、1mlの温めた維持緩衝液に溶解した。ヒスタミンを引き続いて完全維持緩衝液で希釈して、1.56〜100μMの範囲のヒスタミンの最終濃度を得た。Fluo−4色素は、50μgバイアルに456μlのDMSOを加えることにより調製し、バイアルを十分に混合して100μMのFluo−4保存濃度を提供する。100μlの100μM Fluo−4色素及び6μlの16mM Hoescht核色素を、9.894mlの添加緩衝液に加えた。細胞培養プレートから培養液を除去し、100μl/ウェルの温めた完全添加緩衝液を加えた。プレートを37℃、5%COで40分インキュベートした。インキュベーション後、添加緩衝液を除去し、150μl/ウェルの維持緩衝液を加えた。プレートを、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット(Fluo−4)、200ms暴露、360/460フィルターセット(Hoescht)、300ms暴露を使用するINCell Analyzer 1000(Kinetic Module)に移した。イメージは以下の時間:0.5〜60秒、5秒毎に取得した。20秒後、ヒスタミンを分注し、イメージ取得を継続した。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム( INCell Investigator software)を使用して解析した。
v)図4は、培養で増殖させたU2OS細胞のヒスタミン刺激(1.56〜100μM)後の細胞内カルシウム濃度のコンビネーションアッセイからの結果を示している。細胞随伴IL−6の増加が図5に示されている。データは、ヒスタミン試験剤での刺激により、細胞透過性色素Fluo−4(λem=535nm)からの発光された蛍光の増加により示されるように、細胞の集団が細胞質性細胞内カルシウムの増加で応答することを示している。図4は、8分にわたる細胞内カルシウムの上昇、及びピーク及び下落を伴う細胞内カルシウムレベルの経時変化も示している。細胞内イベントの変化は、アッセイに用いられたカルシウムイオノフォアの用量にも依存している。
3.カルシウムトランジェントの測定に続くヒスタミン又はカルシウムイオノフォアA23187刺激U2OS細胞ヒトインターロイキン−6のコンビネーションアッセイ
3.1 材料
抗ヒトIL−6抗体(R&D Systems Q6000B);
発光基質(R&D Systems Q6000B);
カルシウムイオノフォアA23187(Sigma);
ヒスタミン(Sigma);
U2OS細胞(European Collection of Cell Cultures, Porton Down, UK)。
3.2 方法及び結果
i)U2OS細胞を、100μlの完全McKoys培地中、6000細胞/ウェルで96ウェル組織培養プレートに蒔き、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
ii)細胞をA23187又はヒスタミンで刺激し(前記実施例1及び2を参照されたい)、カルシウムトランジェントを測定した(図1及び4を参照されたい)。イオノフォア又はヒスタミンで刺激後、細胞上清をデカントし、抗IL−6抗体とインキュベートする前に細胞をPBSで3回十分に洗浄した。化学発光基質の添加の前に細胞をPBSで3回洗浄した。カルシウムトランジェントの結果は、IL−6結果に先だって、同一の細胞の単一集団を使用して得られた。
iii)IL−6データは、図1及び4に示した結果と組み合わせて得られた。結果(表1及び図3、イオノフォア刺激;図5、ヒスタミン刺激)は化学発光基質及び発光シグナルレポーター(酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された抗IL−6)を使用するLEADseeker Multimodalityイメージングシステム(20秒曝露)で得た。
iv)標準物質として既知量の組換えIL−6を使用する検量線の結果は表2及び図6に示されており、細胞随伴IL−6の正確な測定を可能にしている。結果(表2及び図6)は、IL−6の濃度を増加させることによる化学発光シグナルの増加を示している。これらのデータは、LEADseeker Multimodalityイメージングシステムで得た。
Figure 2011510282
Figure 2011510282
4.INCell 1000を用いた、カルシウムイオノフォアA23187刺激U2OS細胞からの細胞内カルシウム及びヒトインターロイキン−6のコンビネーションアッセイ
4.1 材料
抗IL−6(R&D Systems):
ヤギ抗ヒトIgG、 Cy−5連結(GE Healthcare);
カルシウムイオノフォアA23187(Sigma)
U2OS細胞(European Collection of Cell Cultures, Porton Down, UK)。
4.2 方法及び結果
i)U2OS細胞を、100μlの完全McKoys培地中、6000細胞/ウェルで96ウェル組織培養プレートに蒔き、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
ii)実施例1に記載のごとく、INCell 1000 Analyzerでのカルシウムトランジェント測定8分前に、細胞をA23187で刺激した。図7は、IL−6測定(データは図2に示されている)と組み合わせて得られた、培養で増殖させたカルシウムイオノフォアA23187刺激ヒトU2OS細胞からのカルシウムトランジェントを示している。このアッセイからの結果は、10x対物レンズ、505ライトパス二色性475/535フィルターセット、200ms暴露を使用するINCell Analyzer 1000で測定した。蛍光測定は非刺激(ゼロイオノフォア)対照と比較し、細胞内カルシウムの増加(1.56μMイオノフォア)を示している。
iii)図2は、培養液中のA23187刺激U2OS細胞集団からの細胞随伴IL−6(細胞随伴アナライト)を示している、コンビネーションアッセイ(細胞内カルシウムとの、図1参照)からの免疫細胞化学を示している。細胞を試験剤(カルシウムイオノフォアA23187)と4時間接触させ、試験剤での細胞刺激後に細胞随伴IL−6を測定した。イオノフォアで刺激後、上清をデカントし、細胞をPBSで3回十分に洗浄した。細胞随伴IL−6は、抗ヒトIL−6抗体(抗IL−6モノクローナル抗体)及び蛍光染料標識抗ヒトIgG(抗ヒトgG、Cy5連結(GE Healthcare))と局在化していた。モノクローナル抗IL−6抗体と60分インキュベーション後、細胞を3回洗浄し、色素標識抗ヒトIgGを加えた。蛍光標識二次抗体と60分インキュベーション後、細胞をPBSで3回洗浄し、10x対物レンズ、51008bs二色性620/700フィルターセット(Cy5フィルターセット)、500ms暴露を使用するINCell 1000 Analyzerで蛍光を検出した。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator software)を使用して解析した。結果(図2)は、細胞随伴IL−6を明瞭に示している。
iv)図8は、A23187刺激U2OS細胞での細胞内カルシウムと細胞随伴IL−6との関係を示しており、細胞内及び細胞随伴分子の両方が、イオノフォアA23187の濃度を増加させることによる用量依存的上昇を示している。細胞は、単一集団由来であった。結果は、前記のINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator ソフトウェア)を使用して解析した。
v)図9は、単一集団由来のA23187刺激U2OS細胞での細胞内と細胞随伴IL−6の関係を示している。データは、細胞を試験剤のみと接触させた場合の細胞内カルシウム及び細胞随伴IL−6の二相性増加を示している。非刺激(対照)細胞では、細胞内と細胞随伴IL−6間の相関は示されなかった。結果は、前記のINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator ソフトウェア)を使用して解析した。
vi)図10は、単一集団由来のA23187刺激ヒトU2OS細胞での細胞内カルシウムと細胞随伴IL−6との相関(相関係数>0.99)を示している。結果は、前記のINCell Analyzer 1000光学イメージングシステムで得た。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator ソフトウェア)を使用して解析した。
5.遺伝子工学処理細胞を使用するEGFP NFATアッセイ
5.1 NFATタンパク質
活性化T細胞の核内因子(NFAT)タンパク質は転写因子であり、その活性化は、Ca2+/カルモジュリン依存性ホスファターゼ、カルシニューリンにより制御されている。NFATシグナリングは、リンパ球分化及び活性化、骨格筋遺伝子発現、リモデリング及び発生、循環器系の機能を含む多くのプロセスに関与する。これまで五つの異なったNFAT遺伝子が同定されている;NFATc(NFATc1又はNFAT2)、NFATp(NFATc2又はNFAT1)、NFAT4(NFATc3又はNFATx)、NFAT3(NFATc4)及びNFAT5。
NFATc1サブタイプはT細胞中の抗原シグナリングにより活性化されサイトカイン発現を生じるが、哺乳類心臓の形態形成にも関与することが示されている。NFATの活性化を導く上流レセプター−リガンド相互作用は、ほとんどの細胞型で特徴付けられていない。しかしながら、タンパク質(NFATc1−c4)のNFATc(細胞質)ファミリーメンバーは、PLCを活性化し、細胞内貯蔵からのカルシウムのIP媒介一過性放出を誘導する種々のGPCRにより活性化し得る。ほとんどの細胞型において、特殊化カルシウム放出活性化カルシウム(CRAC)チャネルを介した追加のカルシウム流入が、NFATc標的遺伝子の活性化に必要とされる。IPはGAPジャンクションに及ぶことができ、隣接細胞のCRACチャネル及びNFATc標的遺伝子を活性化することも可能である。
NFATの活性化を生じる第二の経路が、肥満細胞のようないくつかの細胞型に存在する。肥満細胞のFcεR1活性化は、Rasスーパーファミリー、Ras及びRac−1のGTPアーゼにより調節された経路と共同して作用するカルシニューリン制御シグナリングにより媒介される。
不活性型NFATcは細胞質に存在する。それはセリン残基でリン酸化され、そのことはその核移行配列(NLS)を覆い、そしてその核外移行配列(NES)を提示する。持続的に上昇したカルシウム濃度に応答して、NFATcはカルシニューリンにより脱リン酸化され、そのNLSを露出し、そして迅速に核にトランスロケートされる。核において、それはAP−1、GATA4、GATA2及びMEF2のような他の転写因子と転写複合体を形成する。もしカルシウム濃度が低下したら、NFATcは再リン酸化され、NESを露出し、そして該タンパク質を細胞質へ輸送し戻す。
NFATc脱リン酸化反応及び核トランスロケーションは細胞性産物及び医薬品の両方により阻害し得る。カルシニューリンホスファターゼ複合体の四つの細胞性阻害剤が同定されている;骨格タンパク質AKAP79、CAIN又はCABINタンパク質、カルシニューリンB相同体、CHP及びダウン症候群必須領域1関連遺伝子、MCIP1、2及び3。微生物産物、FK506及びシクロスポリン−Aは、それぞれ細胞内タンパク質、FKBP及びシクロフィリンに結合し、そして続いてカルシニューリンに結合し、ホスファターゼ活性をブロックする。移植組織に対する免疫応答を防止するその能力のため、これらの剤は移植療法に大変革をもたらした。多様なキナーゼが、GSK3、カゼインキナーゼ1、MEKK−1及びp38MAPKを含むNFATの負の制御に結び付けられてきた。
5.2 EGFP−NFATアッセイ
本特許明細書は、細胞分泌、細胞随伴アナライトでNFATC1シグナル経路をモニタリングする方法を記載している。該アッセイ法は、安定的にトランスフェクトされた哺乳類細胞におけるEGFP−NFATc1融合タンパク質の細胞内トランスロケーションに基づいている。NFATc1はT−細胞シグナリング及び組織発生に関与する転写因子である。不活性NFATc1転写因子は細胞質に存在する。アゴニストでの活性化後、これらは核に移動される。NFATアッセイはNuclear Trafficking-Analysis Moduleを使用するINCell Analysis System(GE Healthcare)でのイメージ取得及び分析に最適化されているが、本アッセイは他のシステムでもイメージ化し得る。Nuclear Trafficking-Analysis Moduleは、アゴニストの添加による細胞質から核へのEGFP−NFATトランスロケーションの程度を測定する。
5.3 U2OS由来親細胞株
親細胞株U2OS(ATCC HTB−96)は、15歳の少女の脛骨の中程度に分化した肉腫から誘導された。U2OS細胞株は、染色体的に高度に改変されており、染色体数は高三倍体範囲であり、インスリン様増殖因子I及びIIレセプターを発現する。
5.4 U2OS由来EGFP−NFATc1発現細胞株
U2OS細胞を、製造者説明書に従ったFuGENE6トランスフェクション法(Roche Applied Science)を使用し、pCORON1000 EGFP−NFATc1ベクター(GE Healthcare)でトランスフェクトした。組換え融合タンパク質を発現する安定なクローンは、500μg/mlジェネテシンをおよそ2週間使用して選択した。安定発現株をクローン化し、蛍光活性化細胞選別機を使用して選別し、均一細胞株を得た。継代数はFACS後を1に設定した。選別後、細胞は凍結する前にさらに8代増殖させた。試験された細胞は、マイコプラズマ、細菌及び酵母混入が陰性であった。
5.5 EGFP−NFATc1発現ベクター
8.6kb pCORON1000−EGFP−NFATc1は、細菌性アンピシリン耐性遺伝子及び哺乳類ネオマイシン耐性遺伝子を含有する。
5.6 必要な材料及び装置
マイクロプレート。INCellを使用する分析のため、Packard Black 96-well View Plates (Perkin Elmer 6005182)を使用した;
CASY 1細胞計数器及び分析機器システム(Model TT)(Scharfe System GmbH)が、播種に先立った正確な細胞計数を確実にするため推奨される。もしくは、血球計算器を使用することができる;
環境的に制御されたインキュベーター(5%CO、95%相対湿度、37℃);
イメージング装置(例えば、INCell 1000 GE Healthcare);
層流細胞培養ベンチ;
組織培養フラスコ(Tフラスコ)及びピペット;
1分当たり1℃の凍結速度を提供する制御された凍結速度デバイス;
標準組織培養試薬及び設備。
5.6.1 ソフトウェア要件
INCell Analyses System:EGFP−NFATアッセイの自動イメージ解析のため、Nuclear Trafficking-Analysis Moduleが、GE Healthcareから入手可能である。解析されたデータは、ASCIIフォーマットの数的ファイルとして移入した。ASCIIフォーマットデータは、さらなるデータ分析のため、マイクロソフトエクセル、マイクロソフトアクセス又はいずれかの同様のパッケージに移入することができる。
U2OS由来EGFP−NFATc1発現細胞株の培養及び維持
5.6.2 必要な組織培養液及び試薬
以下の培地及び緩衝液は、細胞の培養、維持及び調製するため及びアッセイを実施するために必要とされる。
Glutamax-1、InVitrogen Life Technologies 31966-021又は均等物を含むGIBCOダルベッコ改良イーグル培地(DMEM);
ウシ胎児血清(FBS)、JRH Biosciences 12103又は均等物。水浴中、56℃で30分のインキュベーションによる、熱不活性化血清;
GIBCOペニシリン−ストレプトマイシン(P/S)、(5000単位/mlペニシリンGナトリウム及び5000μg/ml硫酸ストレプトマイシン)InVitrogen Life Technologies 15140-122又は均等物;
ジェネテシン(G418)、Sigma G-7034又は均等物;
カルシウム又はマグネシウムを含まないGIBCOトリプシン−EDTAのHBSS溶液、InVitrogen Life Technologies 25300-054又は均等物;
GIBCO HEPES緩衝液、1M溶液、InVitrogen Life Technologies 15630-056又は均等物;
ウシ血清アルブミン(BSA)、Sigma A-7888又は均等物;
GIBCOリン酸緩衝塩溶液(PBS)、重炭酸カルシウム、マグネシウム又はナトリウムを含まないダルベッコ、InVitrogen Life Technologies 14190-094又は均等物;
ジメチルスルホキシド(DMSO)、Sigma D-5879又は均等物;
Glutamax を加えたGIBCO 栄養混合物F−12培地、InVitrogen Life Technologies 31765-027又は均等物;
イオノマイシン、カルシウム塩、Calbiochem, 407952;
Hoechst 33258, Molecular Probe H-3569 。
5.6.3 試薬調製
増殖培地:DMEM+Glutamax-1に、10%(v/v)FBS、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン及び5mg/mlジェネテシンを追加した。
凍結培地:DMEM+Glutamax-1に、10%(v/v)FBS、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシン及び10%(v/v)DMSOを追加した。
アッセイ培地:栄養混合物F−12培地+Glutamaxに10mM HEPES、0.5%(w/v)BSA及び3.0μM Hoechst核染色イオノマイシンを追加した。100%DMSOで1mM保存液を調製する。これは−20℃で保存できる。4μM希釈作業液をアッセイ培地で調製する(最終濃度の4倍)。これにより、アッセイにおいて0.1%(v/v)のDMSO最終濃度を生じる。0.4%(v/v)DMSO(最終濃度の4倍)を、対照ウェルのためのアッセイ培地として調製すべきである。
5.6.4 細胞解凍手順
1.貯蔵庫からクリオバイアル(cryo-vial)を取り出す。
2.クリオバイアルを保持し、37℃の水浴中にクリオバイアルの底部3/4を浸漬し、内容物が解凍するまで穏やかに1〜2分回す。
3.水浴からクリオバイアルを取り出し、70%(v/v)エタノールで拭く。すぐにT−25フラスコに細胞を移し、細胞損傷を防ぐため、前もって温めた5mlの増殖培地を滴加した。さらに2mlの増殖培地を加え、37℃でインキュベートする。
5.6.5 細胞継代手順
インキュベーション:37℃、5%CO、湿度95%。
細胞が90%コンフルエントに達した場合、細胞を1:10の比率で分割しなければならない;週2又は3回。
1.全ての試薬を37℃に温める。
2.細胞から培地を吸引し、廃棄する。
3.PBSで細胞を洗浄するが、洗浄する間に細胞層を損傷しないように気をつけ、しかも細胞表面は確実に洗浄する。
4.PBSを細胞から吸引し、廃棄する。
5.トリプシン−EDTA(T−75フラスコについては2ml及びT−162フラスコについては4ml)を加え、全ての細胞と溶液との接触を確実にする。細胞がラウンドアップする(round up)/ほぐれる(loosen)まで3〜10分待つ。
6.細胞がほぐれたら、フラスコを穏やかにたたいて細胞を取り外す。増殖培地(T−75フラスコついては6ml及びT−162フラスコついては8ml)を加え、全ての凝集塊が分散するまで10mlピペットで細胞を穏やかに再懸濁する。
7.細胞懸濁液を吸引し、新しい培養容器に1mlの細胞を分注する。
5.6.6 細胞播種手順
1.以下の手順は、96ウェルマイクロプレート中に播種される、標準T−75フラスコ及びT−162フラスコでの細胞増殖に最適化されている。
2.37℃に全ての試薬を温める。
3.細胞から培地を吸引し、廃棄する。
4.PBSで細胞を洗浄する。洗浄する間に細胞層を損傷しないように気をつけ、しかも細胞表面は確実に洗浄する。
5.PBSを細胞から吸引し、廃棄する。
6.トリプシン−EDTA(T−75フラスコについては2ml及びT−162フラスコについては4ml)を加え、全ての細胞と溶液との接触を確実にする。細胞がラウンドアップする/ほぐれるまで3〜10分待つ。
7.細胞がほぐれたら、フラスコを穏やかにたたいて細胞を取り外す。増殖培地(T−75フラスコついては6ml及びT−162フラスコついては8ml)を加え、全ての凝集塊が分散するまで10mlピペットで細胞を穏やかに再懸濁する。
8.自動細胞計数器又は血球計算器を使用して細胞を計数する。
9.新鮮な増殖培地を使用し、各ウェルに所望の細胞数を供給するため細胞密度を調節する。例えば、200μlの容量でウェル当たり1.0x10細胞を加えるには、懸濁液をml当たり5x10細胞に調節する。
10.マイクロプレートの各ウェル内に、200μlの細胞を分注する。
11.アッセイを始める前に、播種した細胞を37℃で24時間インキュベートする。
5.6.7 細胞凍結手順
1.細胞を回収し、計数する。
2.細胞を300xgで5分遠心分離する。細胞から培地を吸引する。
3.凍結培地1ml中1x10細胞濃度で、凝集塊が残存しなくなるまで細胞を穏やかに再懸濁し、クリオバイアルに移した。各バイアルは、凍結培地の1ml中に1x10細胞を含有すべきである。
4.バイアルを急速凍結(cryo-freezing)装置に移し、−80℃で16〜24時間冷凍する。
5.バイアルを、液体窒素保存装置の気相に移す。
5.6.8 増殖特性
標準増殖条件下、CASY1細胞計数器及び分析機器システム(Model TT)を使用して測定し、細胞を平均18.5μMのサイズに維持すべきである。対数増殖期における細胞株の倍加時間は、標準条件下において14時間である。
5.6.9 アゴニストアッセイプロトコル(96ウェルフォーマット)
1.マイクロプレートを、37℃、5%CO及び湿度95%でインキュベートする。
2.アッセイを開始する前日、200μlの増殖培地中、ウェル当たり1x10細胞を播種する。37℃で24時間インキュベートする。もし、細胞プレート上のウェルの一つをフラットフィールド補正のために使用するならば、それは細胞を含んでいてはならない。
3.アッセイの当日、試験化合物、溶媒対照(もし使用するならば)及び基準アゴニスト対照(イオノマイシン)を調製する。これらのサンプルを、典型的にはアッセイ培地中、最終濃度の4倍で調製した。
4.細胞プレートからの増殖培地をデカントし、全ての過剰な液体を除去し、200μlを加える。細胞培養培地を使用し、細胞を洗浄する。洗浄液をデカントする。
5.試験剤を含有する150μlのアッセイ培地を加える。60分インキュベートする。
6.全容量は、200μlである。適したインキュベーション期間の後、プレートを適切なフィルター及び二色性ミラーを使用したINCell 1000でイメージ化する。
7.Nuclear Trafficking-Analysis Moduleを使用してデータ分析を実行する。
6.遺伝子工学処理細胞を使用するCHO−M1ニトロレダクターゼ遺伝子レポーターアッセイ
6.1
レポーター遺伝子アッセイ技術は、シグナル伝達及び遺伝子発現に関連する細胞イベントをモニターするために広く用いられている。用語レポーター遺伝子は、内因性タンパク質のバックグラウンドから容易に区別し得る、敏速に測定可能な表現型を有する遺伝子を定義するために使用される。レポーター遺伝子構築物は、レポーター遺伝子の発現を駆動する誘導可能な転写調節エレメントを含む。
一般的に、こうしたレポーターは、アッセイの感度、ダイナミックレンジ、利便性及び信頼性に基づいて選択される。ニトロレダクターゼ(NTR)は、大腸菌Bから単離されたFMN依存性酵素である。NTRは、四つのフラビンタンパク質を含有する、構造的に相同的なファミリーの一員であり、その結晶構造は解析されている。このファミリーは、二つの群、ニトロレダクターゼ(NTRはそのメンバーである)及びFRase 1のようなフラビン還元酵素に分割できる。ニトロレダクターゼはさらに、二つのクラス:酸素感受性及び非感受性、に細分することができる。このシステムに記載されているNTRは、酸素非感受性クラスの酵素に属する。NTRの構造は、FMNの二つの分子が結合された48kDaのホモ二量体から成り、多数のニトロ含有化合物を還元することが可能である。NTRの発現は、多数の哺乳類細胞で示されており、いかなる毒性も報告されていない。ニトロ基を還元する(分子の蛍光を消光する共通の機構である)この酵素の能力は、NTRの発現及び細胞透過性消光シアニン色素−CytoCy5Sに基づいた都合のよい遺伝子レポーターアッセイシステムの開発を導いた。CytoCy5Sは膜浸透性であり、そして該酵素の基質として働き、生きている哺乳類細胞における遺伝子発現のレポーターとしてのNTRの使用を可能にしている。該基質は、反応産物の細胞保持を改善するため最適化されてきた。典型的には、入手可能な現在のレポーター遺伝子システムは、侵襲的でありそして遺伝子レポーター発現(ホタルルシフェラーゼ)を測定するために細胞の破壊を必要とし、又は酵素的増幅が存在しないため限定された感受性(GFP)しか有していない。これらの限界を克服するため、細胞透過性蛍光発生基質を使用する非侵襲的生存細胞レポーターシステムとしてのNTR遺伝子レポーターシステムが開発されてきた。INCell 1000でのNTR遺伝子レポーターアッセイの分析は、単一の生存細胞中の遺伝子発現の可視化を可能にする。NTR遺伝子レポーターシステムは簡潔であり、使用に便利である。
6.2 トランスフェクション法
レポーター遺伝子アッセイを確立するため、該レポーター遺伝子は、プロモーター又は最小プロモーターを伴ったエンハンサーの転写制御下に置かれる。該プロモーター+レポーター遺伝子は、増殖抑制化合物、例えば、ネオマイシンのような抗生物質に耐性を与える選択可能なマーカーを含有するプラズミドのような適したベクター内に挿入される。レポーターDNAは細胞内に導入されて一過性アッセイを提供するか又は、宿主細胞株のゲノム内に安定的に組み入れられて安定なレポーター細胞株を提供する。哺乳類細胞内へのプラズミド構築物の導入はトランスフェクションと称され、細胞内にDNAを送達するための多数の市販試薬があり、こうした例にはリポソーム、リン酸カルシウム及びデンドリマー技術が含まれる。
プラズミドでの一過性トランスフェクションは、大変用途が広く技術の実行が容易である。一過性トランスフェクションは、一般的に一晩実施され、ベクターDNAの機能性についての情報を提供するであろう単一の「一回限り(one-off)」の実験を研究者が行うことを可能にする。ベクターDNA分子は、宿主クロマチン内に組み込まれないが、典型的には24〜96時間の寿命で染色体外分子として存在し、その後、DNA及びレポーター遺伝子の発現は消失する。一過性トランスフェクションでの一つの主な制限は、トランスフェクション効率の変動であり、それは不均一な細胞の集団を産生し、もし内部標準が含まれていなければよい結果が得られない。
安定的トランスフェクションは、宿主ゲノム内に組み込まれたレポーター遺伝子+選択マーカー(即ち、遺伝性遺伝子型)を含有する細胞株を提供する。
6.3 安定に及び一過性にトランスフェクトされた細胞株の産生
6.3.1 一過性トランスフェクション
6.3.1.1 方法−プラズミドに基づいたトランスフェクション
1.滅菌60mm組織培養処理ペトリ皿内に細胞を播種する。培養皿を37℃で一晩インキュベートする。
2.細胞が50〜70%コンフルエンスに達した時、培地を3mlの新鮮な増殖培地に置換する。
3.各培養皿にレポーターDNA/トランスフェクション試薬複合体を加える(DNAとトランスフェクション剤の比率は、供給者使用説明書に従って調製しそして最適化した)。37℃で一晩インキュベートする。
4.一晩のインキュベーション後、各培養皿から培地を除去する(DNAとトランスフェクション剤の比率は、供給者使用説明書に従って調製し、最適化した)。37℃で一晩インキュベートする。
5.一晩のインキュベーション後、各培養皿から培地を除去し、細胞単層を3mlのリン酸緩衝塩溶液(PBS)で洗浄する。トリプシン処理し、そして各培養皿からの細胞をプールして、トランスフェクトした細胞の懸濁液を作製する。
6.3.2 安定的トランスフェクション
安定発現株を確立するプロセスは、数多くの変数を含んでおり、その多くは細胞株依存性である。細胞株発生のための標準方法及びガイドラインは:Freshney R.I. Cloning and Selection of Specific Cell Types in Culture of Animal Cells, 3rd edition, Wiley-Liss Inc, Chapter 11,pp 161-178, 1994、に見ることができる。簡潔には、安定発現株産生のためには、pCORON−1003NFAT−NTRベクターにはG418、又はpCORON5023NFAT−NTRベクターにはハイグロマイシンが必要である。トランスフェクション24〜48時間後、細胞を適切な濃度の抗生物質による選択にかける。
十分な細胞まで増殖した時点で、選択抗生物質を含有する培地中、それらを適した培養皿又はプレート内に低密度で播種する。選択抗生物質の最適濃度は、細胞型及び増殖速度に従って変動するであろうが、使用者はトランスフェクションに先立って宿主細胞に対する死亡曲線を作製しなければならない。選択抗生物質を含有する培地は、薬剤耐性コロニーが出現するまで週2回交換しなければならない。これには細胞型に依存して2〜6週間要するであろう。選択手順の有効性を決定するために、非トランスフェクト細胞の陰性対照が含まれるべきである。対照細胞の死は、選択後3〜10日間に観察されるべきである。細胞株のライブラリーを作り出すため、単一コロニーを選択し、そして拡大させるべきである。個々のクローン細胞株は、正確な生物学的応答及び使用者の判断基準に基づいた最適アッセイ遂行についてスクリーニングすべきである。
6.4 CHO−M1 NFAT−NTR細胞株の細胞培養
6.4.1 細胞解凍手順
貯蔵庫からクリオバイアルを取り出す。
クリオバイアルを保持し、37℃の水浴中にクリオバイアルの底部3/4を浸漬し、内容物が解凍するまで穏やかに1〜2分回す。生存率が低下するので、細胞を3分より長く解凍してはならない。
水浴からクリオバイアルを取り出し、70%(v/v)エタノールで拭く。すぐに細胞を、37℃の増殖培地を含有するTフラスコに移す。CHO−M1 NFAT−NTR細胞は、10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを補給したHam’s F12 培地中、1:10でルーチン的に継代される。選択は、0.5mg/mlネオマイシン(G418)及び0.25mg/mlハイグロマイシンで維持する。細胞は162cm組織培養処理フラスコ中、単層として増殖し、5%CO含有雰囲気中、37℃でインキュベートした。凍結保存から細胞を取り出した時、細胞がフラスコに接着するまで(典型的には一晩)、0.5mg/ml G−418及び0.25mg/mlハイグロマイシンを除くことが推奨される。細胞が培養で確立されたら、0.5mg/ml G−418及び0.25mg/mlハイグロマイシンでの選択を維持すべきである。
6.4.2 アッセイプロトコル
レポータープラズミドは、NTR遺伝子の上流にNFAT応答エレメントの4リピートを含有するように構築された。該プラズミドをCHO−M1細胞内に導入し、クローンが得られるまで二重の選択下に維持した。単一クローンは限界希釈法を使用して単離し、増殖させ、そして生物学的応答について評価した。
6.5 試薬調製
6.5.1 リン酸緩衝塩溶液
GIBCO BRL 14190-094
代替製剤及び市販の濃縮製剤などを使用することができる。
6.5.2 CytoCy5S溶液
1〜5mMの濃度にDMSOで再構築する。アッセイ緩衝液中、通常10倍希釈保存液として細胞に加えられて、必要とされる最終濃度が得られる、所与の溶液(典型的には、5〜10μM)を得るため、さらなる希釈を行わなければならない。
6.5.3 カルバコール
Sigma C4382-1g
100mMPBS保存溶液を調製する。ボルテックスして内容物を再懸濁する。必要とされる濃度にアッセイ培地で希釈する。
6.5.4 Hoechst試薬
もし、イメージ分析に核染色が必要とされるならば、アッセイ緩衝液でHoechst溶液の保存液を調製する。Hoechstをフェノールレッド/無血清培地中で25μMに調製し、ウェル当たり10μlを加える。INCell Analyzer 1000でのイメージングプレートについては、適した細胞マーカーが細胞内に導入されるべきである。一例は核マーカーHoechstである。この標識は、分析の間、対象としての細胞の同定を可能にするために十分に明るくなければならず、シグナルを妨害しないように、分光学的にCytoCy5Sと分離されていなければならない。典型的には、Hoechstについては2.5〜5μM間の濃度を使用した。
6.5.5 トランジェントアッセイの対照
6.5.5.1 トランスフェクトされていない対照
これは、各実験において含まれるべきである。トランスフェクトされていない対照は、蛍光のバックグラウンドレベルについての情報を提供し、三つの宿主細胞株にNTR様活性が存在しないことを確認するためにチェックする。アッセイは、アゴニストと及び無しで実行しなければならない。
6.5.5.2 非刺激対照
非刺激対照は、選択された細胞株においてNFAT応答エレメントの制御下にあるNTR遺伝子のベースライン発現についての情報を提供する。この対照からの値は、異った細胞株及びアッセイセットアップ条件で変動してもよい。
6.6 96ウェルアッセイプロトコルの例
2mM L−グルタミン及び10%FCSを含有する完全Ham’s F12(選択剤なし)培地中、ml当たり2.5x10細胞でCHO−M1 NFAT−NTR細胞を調製する。96ウェルマイクロプレートの各ウェル内に200μl(5x10細胞)を分注する。プレートを37℃で一晩インキュベートする。
1.一晩インキュベーションの後に、培地を除去し、200μl PBSで細胞単層を洗浄する。
2.適切なウェルに、90μlのアゴニスト(例えば、カルバコール)アッセイ培地溶液、及び対照ウェルに90μlのアッセイ培地を加え、プレートを37℃で16時間インキュベートする。
3.16時間インキュベーション後、10μlの10μM CytoCy5Sアッセイ培地溶液を分注する(最終濃度は、典型的には0.5μM〜1μMである)。
4.37℃でさらに2時間インキュベートする。
5.10μlの25μM Hoechst核色素フェノールレッド/無血清培地溶液を加える。室温で30分インキュベートする。
6.プレートをイメージ化する。CytoCy5Sのための適切なフィルター(励起フィルター620/60nm;発光フィルター700/75nm)を使用する。アッセイは、オブジェクトインテンシティーアルゴリズムを使用してINCell Analyses 1000でイメージ化した。
7.分泌/細胞随伴アナライトの測定のためのELISPOTアッセイ
7.1
ELISPOT(酵素結合免疫スポット)アッセイは、単細胞レベル又は極めて低い細胞数での細胞からの抗体又サイトカイン産生を測定する有効な方法を提供する。
7.2 試薬
1.抗TNF抗体(Sigma)
2.ELISPOTプレート(Millipore HTS カタログ番号 MSIPS4510)
3.イオノマイシン又はカルバコール(Sigma)
4.ビオチン化抗TNF抗体(R&D Systems)。
7.3 方法
1日目
1.ELISPOTプレート(Milhpore HTS カタログ番号 MSIPS4510)を、一次抗体でコートする(下記参照)。
2.15μlの35%エタノールで1分間、各ウェルを前もって湿らせる。エタノールが蒸発する前に150μlの滅菌PBSで3回すすぐ。
3.プレートを、100μl(10μg/ml)(例えば)抗TNF抗体の滅菌PBS溶液でコートする。4℃で一晩インキュベートする。
4.以下の対照ウェルを、アッセイに組み込む:
5.細胞なし;
6.一次抗体なし;
7.試験剤刺激なし。
2日目
1.膜をブロックする。
2.一次抗体溶液をデカントする。
3.ウェル当たり150μlの滅菌PBSで結合されていない抗体を洗い流す;洗浄液をデカントし、繰り返す。
4.ウェル当たり150μlの細胞培地(RPMI−1640、10%ウシ胎児血清、1%非必須アミノ酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミン)で、37℃で少なくとも2時間膜をブロックする。
5.細胞を調製する、例えば、野生型U2OS(ECAAC)、又はEGFP−NFATc1融合タンパク質を発現するU2OS由来細胞株(GE Healthcare)、又はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)NFAT−NTR細胞(GE Healthcare)。
6.滅菌PBS中で細胞を洗浄し、細胞培地中、2.5x10細胞/mlの最終濃度で細胞を再懸濁した。
7.試験剤(例えば、イオノマイシン又はカルバコール)で細胞を刺激する。
8.細胞を付着させる(Plate out)。
9.ELISPOTプレートからブロッキング培地をデカントする。
10.ウェル当たり100μlの細胞培地中の細胞を加える。
11.37℃、5%CO及び湿度95%で18〜48時間インキュベートする。
3日目
1.細胞をデカントする。
2.プレートをPBS/0.01%Tween 20で6回洗浄する。十分な洗浄を確実に行うためにスクイーズボトルを利用することができる。
3.PBS/0.5%BSAに2μg/mlまでビオチン化抗TNF抗体を希釈する。0.45μMフィルターを通して濾過する。ウェル当たり100μlを加える。
4.37℃、5%CO及び湿度95%で2時間インキュベートする。
5.PBS/0.01%Tween 20で6回洗浄する。
6.滅菌PBS中、1:1000でストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ酵素コンジュゲートを調製する。
7.ウェル当たり100μlのストレプトアビジン−アルカリホスファターゼを加える。室温で45分インキュベートする。
8.ストレプトアビジンをデカントし、PBS/0.01%Tween 20で3回洗浄し、続いてPBSで3回洗浄する。
9.100μl/ウェルのBCIP/NBT+基質を加える。5分インキュベートする。
10.流水下でスポット発生を停止し、よく洗浄する。洗浄の間に、プレート下のプレートシールを除去し、すすぎを続ける。
11.過剰の液体を除去するためにプレートを吸い取り、吸収ティッシュでウェルの裏側を乾燥させる。このことは、基質が膜から完全に除去されることを確かにするであろう。
12.細胞/スポットイメージを直ちに捕捉するが、もしくは、ELISPOTプレートを暗所で一晩乾燥させる。
13.INCell Analyser 1000 イメージングシステムを使用し、明視野設定でプレートを分析する。
8.INCell 1000でのEGFPトランスロケーションアッセイ及びトランスフェクトU2OS細胞を使用する、イオノマイシン、イオノマイシン+PMA又はカルシウムイオノフォアA23187刺激EGFP−NFATc1からのヒトTNF、IL−8又はPDGFのコンビネーションアッセイ
8.1 材料
ウサギ抗ヒトTNF又はウサギ抗ヒトIL8抗体(Sigma);
抗ウサギ抗PDGF−A(N−30)抗体(Santa Cruz Biotechnology, sc-128);
抗ウサギIgG(全分子)R−フィコエリトリンコンジュゲート(Sigma; P9537);
抗ウサギIgG(全分子)フルオレセインコンジュゲート(GE Healthcare;N1034);
イオノマイシン(Sigma; 13909);
カルシウムイオノフォアA23187(Sigma;C7522);
PMA(Sigma;P1585) 。
8.2 方法
1.アッセイを始める前日に、EGFP−NFATc1トランスフェクトU2OS細胞を、200μlの増殖培地中、ウェル当たり1x10細胞で播種する。
2.アッセイ当日に、試験剤(イオノマイシン、イオノマイシン+PMA、A23187)を調製する。これらのサンプルは典型的には、アッセイ培地で調製する。
3.細胞プレートから増殖培地をデカントして全ての過剰な液体を除去し、200μlを加える。細胞培地を使用して細胞を洗浄する。洗浄液をデカントする。
4.試験剤を含有する150μlのアッセイ培地を加える。60分インキュベートする。
5.全容量は200μlである。適したインキュベーション期間後、適したフィルター及び二色性ミラーを使用し、INCell 1000でプレートを画像化する。
6.Nuclear Trafficking Analysisモジュールを使用してデータ分析を実行する。
7.細胞を、さらに3〜18時間試験剤と接触させ、細胞随伴TNF、IL−8又はPDGFを、試験剤で刺激後に測定した。
8.試験剤で刺激後、上清をデカントし、細胞をPBSで3回洗浄した。細胞随伴TNF、IL−8又はPDGFを抗ヒトTNF、IL−8、又はPDGF抗体及び蛍光色素標識抗ウサギIgG(抗ウサギIgG(全分子)、R−フィコエリトリンコンジュゲート(Sigma;P9537)、又は抗ウサギIgG(全分子)フルオレセインコンジュゲート(GE Healthcare; N1034)で局在化した。
9.ウサギ抗体と60分インキュベーション後、細胞を3回洗浄し、色素標識抗ウサギIgGを加えた。蛍光標識二次抗体と60分インキュベーション後、細胞をPBSで3回洗浄し、10x対物レンズ、適したフィルターセット及び二色性、500ms暴露を使用し、INCell 1000 Analyser(GE Healthcare)で蛍光を検出した。結果は、オブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator ソフトウェア)を使用して分析した。
図11は、EGFPトランスロケーション及びPDGF測定(細胞随伴分子)のコンビネーションアッセイからのEGFP−NFAT1cトランスロケーションを示す。トランスフェクトU2OS細胞をイオノマイシン又はカルシウムイオノフォアA23187で刺激し、生じるEGFP−NFAT1c細胞応答をINCellで測定した。
図12は、EGFP−NFAT1cトランスロケーション(図11)と組み合わされた、EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞でのイオノマイシン刺激PDGF放出を示す。
図13は、単一集団からのイオノマイシン−刺激EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞での細胞内NFAT1cトランスロケーションと細胞随伴PDGF間の関係を示す(相関係数0.9629)。結果は、前記のINCell Analyser Optical Imaging Systemで得た。
図14は、INCell 1000 Analyser Optical Imaging System で測定された、イオノマイシン+PMAでのトランスフェクト細胞の刺激によるEGFP−NFAT1cトランスロケーションを示す。
図15は、EGFP−NFAT1cトランスロケーション(図14)と組み合わせて得られた、EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞からのイオノマイシン+PMA刺激TNFα放出を示す。
図16は、単一集団からのイオノマイシン+PMA刺激EGFP−NFAT1cトランスフェクトU2OS細胞での、細胞内NFAT1cトランスロケーションと細胞随伴ヒトTNFα間の相関を示す(相関係数0.9975)。結果は、前記のINCell AnalyserOptical Imaging Systemで得た。
9.INCell 1000上、イオノマイシン+PMA刺激EGFP−NFATc1トランスフェクトU2OS細胞での、細胞随伴アナライト及びEGFPトランスロケーションのためのELISPOTアッセイを使用するヒトTNFのコンビネーションアッセイ
9.1 試薬
1.抗TNF抗体(Sigma)
2.ELISPOTプレート(Millipore HTS カタログ番号 MSIPS4510)
3.イオノマイシン又はカルバコール(Sigma)
4.ビオチン化抗TNF抗体(R&D Systems)。
9.2 方法
1.ELISPOTプレート(Millipore HTS カタログ番号 MSIPS4510)を一次抗体でコートする。
2.15μlの35%エタノールで1分、各ウェルを前もって湿らせる。エタノールを蒸発させる前に150μlの滅菌PBSで3回すすぐ。
3.プレートを、100μl(10μg/ml)の(例えば)抗TNF抗体滅菌PBS溶液でコートする。4℃で一晩インキュベートする。
4.以下の対照ウェルが本アッセイに組み込まれた;
5.細胞なし
6.一次抗体なし
7.試験剤刺激なし。
8.一次抗体溶液をデカントする。
9.非結合抗体を、ウェル当たり150μlの滅菌PBSで洗い流した;デカント洗浄を繰り返した。
10.膜をウェル当たり150μlの細胞培地(RPMI−1640、10%ウシ胎児血清、1%非必須アミノ酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミン)で少なくとも2時間、37℃にてブロックする。ELISPOTプレートからブロッキング培地をデカントする。
11.細胞(EGFP−NFATc1融合タンパク質(GE Healthcare)を発現している細胞株)を調製し、滅菌PBS中で細胞を洗浄し、そして2.5x10細胞/mlの最終濃度で細胞を細胞培地に再懸濁する。
12.ウェル当たり100μl細胞培地中の細胞を付着させる(plate out)。
13.試験剤(例えば、イオノマイシン+PMA)で細胞を刺激する。
14.全容量は、200μlである。
15.60分インキュベートする。1μMの最終濃度でHoescht 染色液を加える。
16.細胞をアッセイ培地で洗浄する。
17.Nuciear Trafficking Analysis Moduleを使用し、INCell 100 で細胞レベルの解析を実行する。
18.37℃、5%CO及び湿度95%でさらに18〜48時間.アッセイ培地中の細胞をインキュベートする。
19.細胞をデカントする。
20.PBS/0.01% Tween20で6回プレートを洗浄する。スクイーズボトルを、適切な洗浄を確実にするために利用し得る。
21.ビオチン化抗TNF抗体をPBS/0.5%BSAで2μg/mlまで希釈する。0.45μMフィルターを通して濾過する。100μl/ウェルを加える。
22.37℃、5%CO、及び湿度95%で2時間インキュベートする。
23.PBS/0.01%Tween20で、6回洗浄する。
24.滅菌PBS中、1:1000でストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ酵素コンジュゲートを調製する。
25.ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼをウェル当たり100μl加える。室温で45分インキュベートする。
26.ストレプトアビジンをデカントし、PBS/0.01%Tween20で3回洗浄し、続いてPBSで3回洗浄する。
27.100μl/ウェルのBCIP/NBTプラス基質を加え、5分間インキュベートする。
28.流水下でスポット発生を停止させ、よく洗浄する。洗浄の間、プレート下のプレートシールを除去し、すすぎを続ける。
29.過剰の液体を除去するためにプレートを吸い取り、吸収ティッシュでウェルの裏側を乾燥させる。このことは、基質が膜から完全に除去されることを確かにするであろう。
30.プレートを暗所で一晩乾燥させる。
31.INCell Analyser 1000 イメージングシステムを使用し、明視野設定でプレートを分析する。
10.NFAT1c−NTR細胞内レポーター遺伝子アッセイの測定によるカルバコール−刺激CHO−M1NFAT−NTR及びヒトインテグリン5アルファ(細胞随伴アナライト)のコンビネーションアッセイ
10.1 試薬
カルバコール(Sigma)
CytoCy5S(GE Healthcare)
Hoechst核色素(InVitrogen)
ウサギ抗ハムスターインテグリン5抗体(Antibodies OnLine ABIN219718)
フルオレセイン標識抗ウサギIgG(GE Healthcare)
10.2 方法
1.CHO−M1 NFAT−NTR細胞を2mMLグルタミン及び10%FCSを含有する完全Ham’s F12 培地(選択剤なし)中、ml当たり2.5x10細胞で調製する。96ウェルマイクロプレートの各ウェル内に200μl(5x10細胞)を分注する。プレートを37℃で一晩インキュベートする。
2.一晩インキュベーション後、培地を除去し、200μlのPBSで細胞単層を洗浄する。
3.90μlのアゴニスト(例えば、カルバコール)含有アッセイ培地を適切なウェルに、及び90μlのアッセイ培地を対照ウェル加える。プレートを37℃で16時間インキュベートする。
4.16時間インキュベーション後、10μlの10μM CytoCy5S含有アッセイ培地を分注する(最終濃度は典型的には0.5μM〜1μMである)。
5.37℃でさらに2時間インキュベートする。
6.10μlの25μM Hoechst核色素含有フェノールレッド/無血清培地を加える。室温で30分インキュベートする。
7.イメージプレートはCytoCy5Sに適切なフィルター(励起フィルター620/60nm;発光フィルター700/75nm)を使用する。アッセイは、オブジェクトインテンシティーアルゴリズムを使用するINCell Analyzer 1000でイメージ化した。
8.細胞を37℃、5%COで一晩インキュベートする。
9.細胞をさらに18時間試験剤と接触させ、細胞随伴インテグリンアルファ5を、試験剤で刺激後に測定した。試験剤で刺激後、上清をデカントし、細胞をPBSで3回洗浄した。細胞随伴インテグリンは、ウサギ抗ハムスターインテグリン5抗体及び蛍光色素標識抗ウサギIgG(全分子)フルオレセインコンジュゲート(GE Healthcare; N1034)で局在化させた。
10.ウサギ抗体細胞と60分インキュベーションした後、細胞を3回洗浄し、色素標識抗ウサギIgGを加えた。蛍光標識二次抗体と60分インキュベーション後、細胞をPBSで3回洗浄し、10x対物レンズ、適したフィルターセット及び二色性、500ms暴露を使用し、INCell 1000 Analyser(GE Healthcare)で蛍光を検出した。結果はオブジェクトインテンシティーアルゴリズム(INCell Investigator ソフトウェア)を使用して分析した。

Claims (17)

  1. 生存細胞の単一集団における少なくとも一つの細胞内イベント及び細胞随伴アナライトを測定する方法であって、前記少なくとも一つの細胞内イベント及び前記細胞随伴アナライトは、前記細胞中で作動している協奏的生化学的プロセスの各成分であり:
    a)生存細胞の単一集団を含有しているサンプルを提供すること;
    b)前記細胞の単一集団中の少なくとも一つの生存細胞と、前記少なくとも一つの細胞が細胞随伴アナライトを産生することを引き起こす又は引き起こすと推測される試験剤を接触させること;
    c)少なくとも一つの細胞内イベントの尺度として、前記少なくとも一つの細胞中の物理学的特性の変化を測定すること;
    d)細胞外液を除去するために前記細胞を洗浄すること;
    e)前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性を測定すること;及び
    f)前記少なくとも一つの細胞中の前記少なくとも一つの細胞内イベントの変化と前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性を関連付けること;
    の工程を含む、前記方法。
  2. 工程a)において前記集団中の各細胞が、発現制御エレメントに機能可能なように連結された及び制御下にある、第一の検出可能レポーター分子をコードする核酸配列を含む第一のレポーター遺伝子構築物を含み;及び前記接触工程b)が前記第一のレポーター遺伝子構築物の発現を許容する条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第一のレポーター遺伝子構築物が、蛍光タンパク質をコードする核酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は機能的GFP類似体である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第一のレポーター遺伝子構築物が、酵素をコードする核酸配列を含む、請求項2に記載の方法。
  6. 前記酵素が、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びニトロレダクターゼから成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記細胞内イベントが、イオン濃度の増加及び/又は遺伝子発現の増加である、請求項1に記載の方法。
  8. 工程c)において、前記少なくとも一つの細胞内イベントが、細胞から放出される蛍光の変化により測定される、請求項1に記載の方法。
  9. 工程c)において、前記少なくとも一つの細胞内イベントが、光学イメージング法により測定される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性が、免疫化学的方法により測定される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性が、光学イメージング法により測定される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記細胞の集団が、真核細胞から成る、請求項1〜12のいずれかに記載の細胞。
  13. 前記細胞が、哺乳類細胞、酵母細胞及び昆虫細胞から成る群より選択される、請求項12に記載の細胞。
  14. 前記試験剤が、薬剤、食用色素、ホルモン、毒素、アルキル化剤、酸化剤及び発癌物質から成る群より選択される化学物質である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記試験剤が、電磁放射線(例えば、UV、X線、マイクロ波)、β放射線及び熱から成る群より選択される物理的変化を生じさせるもの(physical agent)である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  16. さらに:
    a)前記試験剤の存在下、請求項1〜15のいずれかに記載の方法を実行すること;及び
    b)前記少なくとも一つの細胞内イベントの変化及び前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性の変化と、前記試験剤の不存在下での前記少なくとも一つの細胞内イベント及び前記細胞随伴アナライトの存在、量又は活性の各々についての対照値を比較すること;
    を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記対照値が、データベース又は他の電子フォーマットに電子的に保存されている、請求項16に記載の方法。
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