本発明の目的では、「流体」なる用語は、流動可能で、形状を変化させるような力が作用すると一定の比率で形状が変化する液体などの物質として定義され、以下の用語:液体、水、アルコール、シリコーン、オイル、エマルジョン、又はこれらの流体用語の任意の組み合わせ若しくは任意の更なる可溶性成分との任意の組み合わせと、互換可能に用いられるか又はこれらの用語を表すものである。
本発明において望ましい流体とは、特定の孔構造内部で流動可能な低粘度の配合物を生成するものであり、送達のために毛管作用が働くように粘度は充分に低く、圧力を一切必要としないような種類のものである。
更に、「吸上作用」及び「毛管作用」なる用語は、本発明の目的では等価なものとみなされ、互換可能に使用することができる。
本明細書で用いる「脱毛装置」なる用語は、それぞれの脱毛領域、カミソリカートリッジ、乾式ひげそり器脱毛領域、毛抜領域、又はレーザー脱毛領域を有するカミソリ、乾式ひげそり器、毛抜器、又はレーザー(光に基づいたシステム)を含む湿式及び/又は乾式ひげそりシステムを表わす。
ここで図1を参照すると、フェルト化の前の発泡体又は吸上材料の従来技術の楔状片が示されている。吸上作用とは、毛管作用による流体の吸出しを意味するものとして一般的に知られている。米国特許第6,994,932号「燃料電池用の流体燃料リザーバ」(Fluid Fuel Reservoir for Fuel Cells)に述べられるように、同特許の吸上構造は、毛管勾配を有する発泡体、すなわち傾斜発泡体で形成されているため、流体燃料の流れが構造体の1つの領域から別の領域へと2つの領域間の毛管力の差に基づいて方向付けられ、その際、流体の毛管流の方向は発泡体の毛管力の低い領域から毛管力の高い領域へと、別の言い方として、低密度領域から高密度領域へと向かうようになっている。
毛管勾配を有する材料を製造するための方法の1つは、発泡体を長さに沿って異なる圧縮度又は孔径に、「フェルト化」するか、又は圧縮するか、又は熱固定することである。毛管勾配を有する材料を製造するための別の方法は、個々に異なる毛管力(又は圧縮比)を有する個別の構成部が互いに物理的に結合された複合体を組み立てることである。
発泡体又は吸上材料の小片は、一般的に概ね一定の大きさの多数の細孔を有することが知られており、1平方cm当たり所定の数の細孔(個/平方インチ(pores per square inch=ppi))を有するものとして通常記述される。発泡体にはPPIの表記が一般的に用いられている。発泡体中により多くの細孔(単位面積当たり)が存在すると細孔はより小さくなることになり、これにより発泡体の気孔率はより低くなる。発泡体中の細孔の数がより少ないと、細孔の径はより大きくなり、これにより発泡体の気孔率はより高くなる。図1及び2に関して下記に述べるように、一定の孔径を有する発泡体の小片中の孔径は変化させることができる。発泡体片中の孔径を変化させる(すなわち気孔率の傾斜を変化させる)ことによって、発泡体の一方の側面の気孔率が他方よりも高くなる。したがって、発泡体中に置かれる流体はすべて、より気孔率の高い領域(最大の細孔)から気孔率が最小の領域(圧縮された最小の細孔)に向かって流れる傾向を有する。
連続気泡型の発泡体を製造すると、発泡体は全体的な発泡構造体内部に材料の薄層の「窓」を有している。これらの窓を通常、化学的に、あるいはフラッシュ火炎によるザッピングプロセスによって除去することによって、網状発泡体として述べられる連続気泡構造体が生成される。網状化された発泡体を用いて傾斜発泡体を製造することが望ましい。
図1及び2は、毛管勾配を有する発泡体などの吸上材料の前後の概略図を示したものである。
図1に示されるように、一定の密度及び一定の孔径を有する発泡体の楔形小片10は、第1の端部11において第1の厚さT1を、第2の端部15において第2の厚さT2を有している。発泡体10は所定の開始材料及び気孔率を有し、物理的に所定の角度で切断されることによって図1に示されるような楔形を形成している。発泡体片10は均等な間隔で一定の孔径を有する細孔16を有し、それぞれの細孔16の最初の孔径は、好ましくは、約3.1個/平方cm(20個/平方インチ(ppi))〜約18.6個/平方cm(120ppi)の範囲である。傾斜の角度は、厚さT1及びT2及び発泡体片17の長さによって異なる。
発泡体片10はポリウレタンで形成されることが好ましく、これらに限定されるものではないが、以下の材料、すなわち、メラミン、セルロース誘導体、PVC、ポリスチレン、ポリエチレン、及びポリエステルのいずれかで形成することもできる。発泡体片の材料は異なり得るものであり、表面処理することによって他の表面エネルギー特性を作り出すことができる。例えば、発泡体片10を化学物質で表面処理することによって疎水性を高め(すなわち水に対する親和性が低い)てもよく、あるいは開始発泡体材料を本来疎水性のものとしてもよい。
毛管勾配を有する材料を製造するには、発泡体を長さに沿って異なる圧縮度で圧縮することができる。別の方法は、異なる毛管力及び異なる孔径を有する網状発泡体の幾つかの異なる小片を互いに積層して組み立てることによって複合材料を形成することである。
圧縮を行うには、発泡体片10に、所望の時間の高温圧縮を伴うフェルト化工程を行うことによって、発泡体片10を一定の厚さT3に圧縮し、厚さT3は、好ましくは図2に示されるようにT2以下でありかつ厚さT1よりも小さい厚さである。この種の圧縮後の発泡体片10から製造される発泡体が図2に示されているが、これを本明細書では傾斜発泡体20と呼ぶ。
第1の端部11において材料をT1からT3に圧縮するには、第2の端部15において材料をT2からT3に圧縮するのに必要とされる図1の矢印14で示される圧縮力よりもより大きな、図1の矢印12で示される圧縮力が必要とされる点に留意すべきである。
発泡体10が圧縮されると、細孔16の周囲の構成又は構造、すなわち空隙26が圧縮又は破壊されていることから発泡体20内の孔径もやはり図2に示されるように圧縮される。これは、圧縮によって細孔の周囲の構造が圧潰することによるものであり、多くの場合、「圧縮された細孔」は圧縮前の状態と同様には見えないが必ずしもより小さいとは限らない。この視覚的効果は空隙がより小さいことによるものであるが、これは圧縮率が大きいほど発泡体の長さにわたった空隙が小さくなることによる。一部の細孔は圧縮後もそのままの状態に維持される点に留意すべきである。本明細書における説明の目的では、「圧縮された細孔」なる用語は、図2の傾斜発泡体中に生成した細孔16及び空隙26の両方を一般に示すものである。
発泡体材料の圧縮比(T1/T2)は、傾斜発泡体20に対して約0〜約20の範囲である。圧縮率は、図2に示されるフェルト化物すなわち傾斜発泡体20の長さに沿って変化し、第2の端部22(T2からT3へ)と比較して第1の端部21では(T1からT3へ)圧縮率が最大となっている。
したがって圧縮後、圧縮された細孔16及び26は、第2の端部22におけるよりも第1の端部21においてより小さい。圧縮された細孔16及び26の圧縮比は、第1の端部21における約0から第2の端部22における約20倍に変化する。
毛管作用すなわち毛管力は有効毛管径に反比例し、有効毛管径は堅さ又は圧縮率が増大するにしたがって減少する。したがって、流体は傾斜発泡体の最も硬い部分(又は傾斜構造体の最も圧縮された部分)へと流れることになる。
図2の矢印24は、よりフェルト堅さ又は毛管力が低い領域からよりフェルト堅さ又は毛管力が高い領域へと向かう毛管流の方向を示している。したがって、吸上材料又は吸上構造体が、特定の毛管勾配を有する材料又は複合材料で形成されている場合、材料内に吸い上げられた流体はすべて、矢印24に示されるように、圧縮比がより低い材料の1つの領域から、圧縮比がより高い材料の別の領域へと、すなわち、圧縮された孔径がより大きい端部から圧縮された孔径がより小さい端部へと流れるように方向付けられる。傾斜発泡体20内の圧縮された細孔のため、この流体の流れは受動的かつ重力とは無関係に実現される。
次に図3を参照すると、本発明の好ましい一実施形態によるカミソリ30が示され、そのカミソリは、図2に示されるような外部環境に開放された傾斜発泡体20及び22を脱毛領域すなわちカミソリカートリッジ32の両側に備えている。カミソリは1つ以上の傾斜発泡体を備えることができ、各発泡体は同じ又は異なる気孔率の傾斜を有してもよく、更に同じ又は異なる流体成分又は配合物を含むことができる。
好ましくは、カートリッジ32はカミソリ刃36を包囲するオーバーフレーム34を有する。傾斜発泡体20及び22は、オーバーフレーム34の両側にピンによって所定位置に固定又はロックされるか、又はスナップ嵌め若しくはクリップ留めされることが好ましい。好ましくは、傾斜発泡体20及び22は、カートリッジ32に物理的に結合させるホルダー(図示せず)に連結されるか、あるいはカートリッジ32に直接取り付けられてもよい。傾斜発泡体20及び22は耐水性接着剤を用いてオーバーフレーム34に接着してもよく、溝又は開口部(図示せず)を通じてオーバーフレーム34に物理的に挿入することもできる。湿潤時の発泡体20及び22の膨張を考慮したものであれば、発泡体20及び22を所定位置に固定又はロックするあらゆる機構を使用することができる。好ましくは図5に示されるように、発泡体20及び22のアプリケーター表面領域37は、カミソリ刃36の刃先高さ52よりも上に又はこれを超えて延びていることはなく、これにより、使用者が毛をそることができるようにカミソリ30のカミソリ刃36が使用者の皮膚に効果的に接触することが可能である。
オーバーフレーム34は、図4に示されるように傾斜発泡体24によってほぼ覆うこともできる。図に示されるように、この代替的実施形態における傾斜発泡体24は、カミソリ刃36の外周を本質的に包囲しているが、図5に示されるようにカミソリ刃36の刃先高さ52よりも上に又はこれを超えて延びてはいないことが好ましく、これにより、使用者が毛をそることができるようにカミソリ30が使用者の皮膚に効果的に接触することが可能である。
使用者はハンドル38を握持して、ハンドルを有する他のあらゆるカミソリと同様の皮膚に触れた動きを用いてカミソリ30でそることが可能である。
図3及び4にそれぞれ示される傾斜発泡体20,22,及び24は、オイル、ソープ若しくはひげそりジェル、又は皮膚を滑らかにする又はひげそり前処理するうえであるいはポストヘアマネージメント関連効果を与えるうえで望ましい他の任意の配合物などの流体を充填又は吸い上げており、送達された流体は、皮膚と接触状態に置かれると、毛管作用に基づいてアプリケーター表面領域37から傾斜発泡体20の外に流れ出る。傾斜発泡体中に吸い上げられる流体は、図3に示される発泡体20及び22の両方で同じである必要はない。例えば、図3の傾斜発泡体20が単純なソープ組成物を含有してよいのに対して、傾斜発泡体22は保湿剤組成物を含有してもよい。更に、発泡体20の流体又は成分は、発泡体22の流体又は成分との相互作用により、皮膚表面に塗布される第3の流体成分又は構成物を反応/形成することも考えられる。
しかしながら、本発明の好ましい態様によれば、こうした流体は、ポンプ、圧力又は他の能動的機構を用いずに傾斜発泡体20,22及び24のアプリケーター表面領域37へと流れる。流体が流れるためには皮膚表面とわずかに接触するだけでよい。
流体で充填された傾斜発泡体と結合された本発明のカミソリ30は、使用者がひげをそるのとほぼ同時にかつ流体に直接手を触れる必要なく皮膚を流体で易滑化することが可能であるという点において、ひげそり工程が2工程ではなく1工程であるような一体型装置を使用者が手にすることを可能とするものである。
傾斜発泡体20及び22のアプリケーター表面領域37は、好ましくは図3に示されるようにドーム型の形状を有するが、図4に示されるような平板な形状又は他の任意の所望形状であってもよい。アプリケーター表面領域37は、任意の所望形状に変更又は彫刻することが可能であり、表面37上に突出する、丸みを帯びた、若しくは斜角を付けたこぶ、又は任意の種類の異なるエッジを有してもよく、これにより露出したアプリケーター表面領域37を必要とされるあらゆる流体の放出に合わせて調整することができる。
傾斜発泡体20中の流体は、使用によって消費されるか、又は時間とともに乾燥するか若しくは蒸発する。この時間は、発泡体20中に最初に充填される流体の量に依存する。傾斜発泡体20中の流体の大部分が消費されるか又は乾燥したなら、「空の」傾斜発泡体20を取り外して、流体で予め充填されている、新しい発泡体20若しくは新しいカートリッジ32と交換するか、又は「空の」傾斜発泡体20に流体を再充填することができる。
更に、カミソリ30は、カミソリ30の内部、好ましくは傾斜発泡体20及び22に接するか又はその近傍、例えば、図5に示されるような発泡体の底面の下側又は後方に1つ以上の流体リザーバ42を有してもよい。1つ以上の流体リザーバ42を、図6に示されるようにハンドル38の内部に配置することもできる。リザーバ42は、スナップ密閉部を介してハンドル38に結合してもよい。流体リザーバ42は、カミソリ30の傾斜発泡体20及び22に更なる流体を送達することにより、傾斜発泡体20中の流体を使い切るか乾燥しきった後に流体を補充する。
したがって、カミソリ30は、発泡体中の流体の量及び交換可能な(replaceable with)カミソリカートリッジ32の望ましい又は可能な使用回数に応じて、1回使用又は複数回の使用が可能な使い捨てカミソリとして扱うことができる。したがって、傾斜発泡体自体を使い捨て又は新しい傾斜発泡体ごと交換可能としてもよく、あるいは、発泡体を含むカミソリカートリッジ32を丸ごと使い捨てとするか、新しい傾斜発泡体を有する新しいカミソリカートリッジと交換可能としてもよい。流体リザーバ42は又、リザーバ内の流体が空になった場合に新しい、完全に充填されたリザーバ42をハンドルにスナップ嵌めするか、新しい発泡体と一緒に加えることができるように、交換可能とすることができる。
傾斜発泡体20,22,24の発泡体材料はポリウレタンで形成されることが好ましいが、以下の材料:メラミン、セルロース誘導体、PVC、ポリスチレン、ポリエチレン、又はポリエステルのいずれかに限定されるものではないが、このいずれかで形成することもできる。更に、発泡体20は、図2に示されるような異なる圧縮孔径(すなわち連続的な気孔率の傾斜)を有する単一の連続した発泡体材料としてもよく、あるいは、発泡体20は、それぞれが異なる毛管力又は圧縮比を有する幾つかの発泡体(図示せず)の積層体又は複合体とすることにより、積層された発泡体の気孔率の傾斜を生ずるようにしてもよい。
発泡体20は任意の色、形状であってよく、あるいは特定の用途で望ましい任意の種々の細孔寸法を有してもよい。好ましくは、圧縮前の傾斜発泡体20の孔径の初期の範囲は、概ね約3.1個/cm2(20ppi)〜約18.6個/cm2(120ppi)である。
したがって、最大のひげそり快適性を他の効果とともに得るためには、アプリケーター表面領域、発泡体の密度、硬さ、形状/寸法、カートリッジ内又はその周囲における泡の分布又は向き、及び発泡体のロックの設計に対する改変を含む、傾斜発泡体のあらゆる最適化が、本発明の代替的な実施形態において考慮される。
更に、結合された傾斜発泡体20を有するカミソリ30を、簡易シャワー壁固定具又は他の種類のドッキングステーションなどの他の任意の装置又は表面に取り付けられるようにしてもよい。
図7で本発明の好ましい実施形態に示されるような、アプリケーター表面領域37を覆うキャップ62は、非使用時に傾斜発泡体20の乾燥が促進されることを防止するものである。場合によっては、流体は直ちに乾燥することはなく(すなわちオイルベースの配合物)、キャップ又はカバーは必要とされる場合も、されない場合もある。本発明の代替的な一実施形態では、キャップを使用する代わりに、発泡体又はリザーバ内の流体の乾燥を防止するのに役立つ不揮発性の配合物を用いる。キャップ62は、プラスチック材料で、限定されるものではないが、射出成形されたプラスチックポリマー材料(例、ポリプロピレン)などで形成されることが好ましい。
本発明においては、傾斜発泡体中の1乃至複数の流体は、流動可能な液体などの任意の物質であってよい点が企図される。上記に述べたように、流体は、傾斜発泡体20中に吸い上げられるか、あるいは傾斜発泡体20を充填する。流体は、少なくとも1種類の成分又は構成物から多数の複雑な成分までを有する水性又は非水性のものであってよい。傾斜発泡体中の流体は「流動可能」である必要がある。すなわち、流体は発泡体を通じて自由に移動できるだけの充分に低い粘度を有さなければならない。流体の粘度が高いほど(例えばゲル又はクリームなど)、流体は細孔を通じて流体を押す圧力の必要なくしては発泡体を通じて移動しにくくなる。したがって、本発明で使用される流体の粘度は約0.1〜約2000センチポアズの範囲であることが好ましい。更に、水性又は非水性の流体が適切に流れるためには、発泡体及び/又は流体の特定の化学的性質及び表面エネルギーのプロファイルについて経験的な判断を要する。所定の流体の適切な送達を行うためには、発泡体20を化学的に又はプラズマエッチングによって改質する必要がある場合がある。
すなわち、傾斜発泡体20を改質して疎水性又は親水性材料などの異なる性質を有する材料を送達することができる。上記に述べたような本発明の流体組成物には、ソープ、保湿剤、皮膚活性化若しくは毛の活性化の治療剤、抗菌活性物質若しくは芳香剤成分、又は望ましい効果を与えるこれらの任意の組み合わせが含まれる。発泡体中の流体の量は異なってよい。
本発明の更なる別の好ましい実施形態では、傾斜発泡体を、図8に示されるような電気カミソリであってよい乾式ひげそりシステム、又は更には図9に示されるような毛抜器又はシステムと結合(カミソリに関して上記に述べたのと同様にして)することができる。
ここで図8を参照すると、乾式ひげそり器80が、乾式ひげそり器80の乾式ひげそり器脱毛領域82の周囲に傾斜発泡体84を備えるように示されている。同様に図9に関して、毛抜器90が毛抜器90の毛抜領域92の周囲に傾斜発泡体94を備えるように示されている。ひげそり器80及び毛抜器90は1つ以上の傾斜発泡体を任意の配置で備えることができる。複数の発泡体を使用する場合、各発泡体は同じ又は異なる気孔率の傾斜を有してもよく、更に同じ又は異なる流体成分又は配合物を含有してもよい。傾斜発泡体84及び94はそれぞれアプリケーター表面領域85及び95を有している。ひげそり器80及び毛抜器90の傾斜発泡体84及び94は同様に機能し、同じ性質及び特徴を有し、更に図3〜7に関して上記に述べたようなものと同様の実施形態において実施することができる。図には示していないが、同様にレーザー(光に基づいた装置)も上記に述べたような傾斜発泡体を備えることができる。
カミソリ、乾式ひげそり器、及び毛抜器の実施形態のそれぞれにおいて、傾斜発泡体を装置の上部又はその付近(例えばカートリッジ又は他の脱毛領域の近く)に取り付けることにより、脱毛の際に流体を塗布しなければならないという使用者の第2の工程を省略し(すなわち易滑化とひげそりがほぼ同時に行われる)、更に、使用者の手が傾斜発泡体から流れる前記流体と接触することがない点に留意すべきである。
したがって傾斜発泡体が配置される一般的な領域に対する用語は、実施形態とは関係なく脱毛領域の付近であり、脱毛領域には、カミソリカートリッジ、乾式ひげそり器脱毛領域又は毛抜領域が包含されてよい。
アプリケーター表面領域(37、85及び95)に対する、本発明の好ましい実施形態に関連して上記に述べたもののような傾斜発泡体からの平均的流体放出物の全般的な関係を図10のグラフに示す。図に示されるように、ほぼ直線の関係が成り立つことにより、アプリケーター表面積が増大するにしたがって、放出される流体の量は正比例して増大する。図10のグラフに示されるデータは、特定の配合物及び特定の傾斜発泡体、特定の塗布速度(例えば皮膚を横断するカミソリの速度)で皮膚表面に送達される用量について経験的に求められるものである点に留意することは重要である。
これらの結果(すなわち、所定の配合物についてアプリケーター表面積を増大させることにより、用量が直線的に増大する)は、所定の種類の圧縮発泡体又は傾斜発泡体から送達される所定の種類の流体又は配合物について一般的に成り立つ。別の言い方をすれば、単位面積当たり、配合物当たり、塗布速度及びアプリケーター表面積の種類について同じ用量プロファイルが得られることが予想される。
本明細書に開示される寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、こうした寸法はいずれも、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものである。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。
「発明を実施するための形態」で引用した文献はすべて、関連部分において本明細書に援用するものであるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行うことができることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような変更及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲で網羅するものとする。