JP2011506516A - 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物 - Google Patents

膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療に特に適した医薬組成物を利用可能にする。適切な投与補助器具および適切なキットを利用可能にする。
【解決手段】本発明は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための医薬組成物であって、少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物、適切な投与補助器具、適切なキット、カートリッジ、膵嚢胞性線維症の予防および/または治療方法、および医薬組成物の適切な使用に関する。
シュードモナス菌への感染、特に緑膿菌への感染は、特に免疫抑制を受けている患者や、重い外傷および火傷のある患者の場合、重大な臨床的問題である。例えば、緑膿菌によって起こる菌血症の死亡率は、約20%である。肺炎または外科合併症がさらに存在する場合、この種の菌血症の死亡率は、30〜50%にも登り得る。緑膿菌の臨床的重要性は、特に、この種のシュードモナス菌が呼吸誘発性の肺炎のある患者の死亡例の約40%において重大な役割を果たすという事実によって示される。
特に緑膿菌は、膵嚢胞性線維症(膵線維症)のある患者において最も重要な臨床的重要性を持つ。膵嚢胞性線維症、または膵線維症は、遺伝的に起こる、常染色体性の劣性遺伝性代謝疾患である。これは、塩素イオンチャンネルCFTR(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子)遺伝子の突然変異に基づいている。CFTRタンパク質の遺伝子欠損は、様々な臨床的問題、特に肺や胃腸の症状につながる。臨床的視点からは、肺の症状は特に問題である。膵嚢胞性線維症の経過においてはシュードモナス菌、特に緑膿菌による慢性肺炎は、ほぼ全ての患者に発生し、これら患者の肺の破壊および早期死亡の主な理由となっている。膵嚢胞性線維症は、少なくとも欧州連合(EU)および米国においては、最も頻度の高い常染色体性劣性遺伝病である。出生2500人当たりに一人の割合で罹患し、EUだけでも、毎年約40,000人の小児および若年成人が、膵嚢胞性線維症を発症する。
特許文献1に、特定の感染症の予防および/または治療のための様々な物質の適用可能性が記載されている。ここでは特に、ウイルス感染の全身治療へのアミトリプチリンおよびイミプラミンの使用について記載している。
WO2004/017949A2 米国特許5,906,202号 米国特許5,718,222号
Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th edition, 1980, Mack Publishing Co., edited by Oslo et al. Wang et al., 「Review of Excipients and pHs for Parenteral Products Used in the United States」, J. Parent Drug Assn., 34(6) :452−462(1980) ; Wang et al., 「Parenteral Formulations of Proteins and Peptides: Stability and Stabilizers」, J. Parent. Sci. and Tech., 42:S4−S26 (Supplement in 1988); Lachman, et al., 「Antioxidants and Chelating Agents as Stabilizers in Liquid Dosage Forms−Part 1」,Drug and Cosmetic Industry, 102 (1): 3638, 40 and 146−148 (1968); Akers, M.J., 「Antioxidants in Pharmaceutical Products」, J. Parent. Sci. and Tech., I 36(5): 222−228 (1988); Methods in Enzymology, Vol. XXV, Colowick and Kaplan eds., 「Reduction of Disulfide Bonds in Proteins with Dithiothreitol」, by Konigsberg, pages 185−188).
膵嚢胞性線維症の予防や、特に対症治療を改善し、また特にこの点において先行技術における既知の問題を考慮するために、本発明は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療に特に適した医薬組成物を利用可能にするという課題に取り組む。また、本発明は、適切な投与補助器具および適切なキットを利用可能にするという課題に取り組む。
本発明によると、この目的は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療、特に、膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための医薬組成物または薬物によって達成され、前記医薬組成物は、少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む。
本発明は、とりわけ、肺にCftr(嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子)を発現しないマウスの肺上皮細胞にセラミドの蓄積が発生するという驚くべき発見に基づく。Cftrの場合、これは、マウスにとってCFTRに当たるものであり、Cftrを発現しないマウス、すなわち「Cftr欠損マウスまたはCftrノックアウトマウス」が、膵嚢胞性線維症の好適なモデル生物である理由である。換言すれば、膵嚢胞性線維症が存在下すると、健康な生体と比較して、肺のセラミド濃度が著しく上昇する。肺上皮細胞におけるセラミド濃度の上昇は、ここでは特に細胞内小胞内のpHの上昇(アルカリ化)に基づく。小胞内のpHの上昇のために、セラミド分解酵素である酸セラミダーゼは、セラミド放出酵素である酸性スフィンゴミエリナーゼよりも強く抑制される。酸性セラミダーゼおよび酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制に対するこの不均衡により、肺上皮細胞の細胞小胞内でのセラミドの蓄積または濃縮が起こる。セラミドの蓄積は、最終的に上皮細胞の死亡へとつながる。細胞が死亡すると、細胞成分、特にDNAが、気管支腔に到達する。肺に存在する病原体、特にシュードモナス菌が、これらの細胞成分に付着する可能性がある。そのため肺の微生物群またはコロニー形成が促進され、これによって、罹患した患者において最初に述べた膵嚢胞性線維症の肺症状が発現するリスクが増大する。また、セラミドは、Cftr欠損マウスの肺の慢性炎症につながる。
本発明の文脈において、興味深いことに、Cftr欠損マウスまたはCftrノックアウトマウスを用いて、本発明に係る組成物が、肺内投与、好ましくは吸入投与によって、酸性セラミダーゼよりも酸性スフィンゴミエリナーゼをより強く抑制することを示すことが可能であった。また、本発明に係る組成物は、実験動物の肺上皮細胞におけるセラミド濃度の広範な正常化につながることを示すことが可能であった。また、本発明に係る組成物投与後の肺上皮細胞の炎症反応の著しい減少を検知することが可能であった。特定の利点によって、本発明に係る組成物の投与後に、実験動物の肺病原体への易感染性、特に緑膿菌への易感染性が正常化したことも示すことが可能であった。
好ましい実施例では、分散剤中に抗うつ薬が分散して存在する。分散剤は、好ましくは液体である。特定の利点によって、分散剤は水性液体、特に生理液である。本発明によると、分散剤が溶剤であるか、そのような溶剤を含むと特に好ましい。好ましい分散剤は、水、エタノール、イソプロパノールおよび/またはジメチルスルホキシド(DMSO)から成る群より選択される。例えば、分散剤は、生理的電解質、緩衝剤または塩溶液、例えば食塩水であってもよい。
本発明に係る組成物は、好ましくは医薬製剤の形態で存在する。製剤自体は、気体、液体、半固体または固体の状態でもよい。それに応じて、組成物は、例えば、エアロゾル、スプレー、分散体、ゲル、ペースト、軟膏、タブレットまたは粉体として存在してもよい。液体の製剤、特に水性の製剤が特に好ましい。本発明によると、組成物は分散液として存在してもよく、特に懸濁液または溶液として存在してもよい。好ましくは、組成物は、水分散液、特に好ましくは水溶液として存在する。
更なる実施例において、組成物は、吸入薬または吸入剤の形態で存在する。ここで吸入薬または吸入剤は、スプレー、特に鼻または口のスプレー、または滴下液であってもよい。
更に好適な実施例では、組成物は、賦形剤または添加物、例えば、結混合物、可塑剤、希釈剤、滑剤、帯電防止、酸化防止剤、吸着剤、離型剤、分散剤、コーチング錠ラッカー、泡止剤、塗膜形成剤、乳化剤、増量剤、色素および/または賦形剤を含む。組成物が液体の形態で存在する場合、例えば、風味改良添加物、保存剤、安定剤および/または緩衝剤を含んでもよい。添加物は、無機および/またはまた有機性のものであってもよい。例えば、添加物は、脂肪、脂肪族アルコール、脂肪酸、ろう、多糖、砂糖、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、微量元素、塩、酸、塩基、アルコール、ポリマー等であってもよい。好適な糖類は、好ましくは単糖、二糖および/または糖アルコールである。好適な糖類の例は、グルコース、ショ糖、ラクトース、トレオース、ガラクトース、マンニトールおよびソルビトールから成る群より選択されてもよい。好適なタンパク質は、例えば、ヒト血清アルブミンである。好適な塩の例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムである。更に好適な賦形剤は、臭化セチルトリメチルアンモニウム、BDSA、コール酸塩、デオキシコール酸塩、ポリソルベート20および80、フシジン酸および脂質、特に陽イオン性脂質から成る群より選択される。本発明に係る組成物は、更に、溶解度を増強する添加物、好ましくはシクロデキストリン、親水性の添加物、好ましくは単糖またはオリゴ糖、吸収促進添加物、好ましくはコール酸塩、デオキシコール酸塩、フシジン酸またはキトサン、陽イオン性界面活性剤、好ましくは臭化セチルトリメチルアンモニウム、粘度を増強する添加物、好ましくはカルボキシメチルセルロース、マルトデキストリン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸徐放性基剤、例えば、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ヒドロゲル、粒状の徐放性デポー系、好ましくはポリ乳酸コグリコライド(PLG)、デポーフォーム、デンプン、又はセルロース誘導系から成る群のうち一種または二種以上の添加物を含んでもよい。本発明に係る組成物は、更に脂質を基にした担体、好ましくはエマルジョン、リポソーム、ニオソーム、又はミセルの形態のものを含んでもよい。また、本発明に係る組成物は、「二重層」を不安定化する添加物、好ましくはホスファチジルエタノールアミンを含んでもよい。更に可能な添加物は、例えば、融合誘導性の添加物、好ましくはヘミコハク酸コレステロールである。
また、本発明に係る可能な薬学的に許容され得る添加物または賦形剤は、揮発性または不揮発性であってもよい。この種の賦形剤の好適な種類の例は、気体、もしくは超臨界状態の液体または固体溶剤であるよって、好適な賦形剤は、特に水や、例えばメントール等のテルペン、例えばエタノール等のアルコール、プロピレングリコール、グリセロールおよび他の同様のアルコール、ジメチル−ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ろう、超臨界二酸化炭素、ドライアイスおよびそれらの混合物から成る群より選択される。
本発明に係る組成物は、さらに噴霧剤、例えば圧縮空気、窒素、ハイドロフルオロアルカン等を含んでもよい。ここで、原理的には、抗うつ薬に対して不活性であり、さらに必用に応じて本発明に係る組成物に含まれる薬学的に活性である化合物に対して不活性である全ての可能な噴射剤を使用してもよい。
上述の通り、本発明に係る組成物は、薬学的に許容され得るキャリア材料を分散剤の代わりに含んでもよく、または分散剤と併用してもよい。好適なキャリア材料は、非特許文献1に詳細に記載されている。キャリア材料は、本発明に係る組成物中に粒子の形態で存在してもよい、粒子自体が吸入不可である粒度を有するものであってもよい。例えば、キャリア材料は、粒度が10μm〜500μm、特に50μmおよび200μmの粒子を含んでもよい。
本発明に係る組成物が粉体として存在する場合、特に粉末製剤として存在する場合、この目的に好適なキャリア材料が基本的に全て可能である。好適例は、グルコース、ラクトース、ラクトース一水和物、ショ糖、トレハロース、例えばマンニトールまたはキシリトール等の糖アルコール、ポリラクチドおよび/またはシクロデキストリンである。
可能な液状キャリア・材料は、好ましくは水、緩衝液、電解質または食塩水、水性のデキストロース溶液および/またはグリコール溶液である。また、キャリア材料は様々な油、特に石油、動物油、植物油または合成油から選択されるものであってもよい。よって、可能な油は、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油等であってもよい。好適な医薬賦形剤は、 デンプン、セルロース、獣脂、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、その他から成る群より選択される。
好適な緩衝剤、特に等張緩衝剤は、水、塩化ナトリウム、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、アジパート、ベンゾアート、乳酸塩、マレイン酸エステル、リン酸塩、酒石酸塩、ホウ酸塩、トリヒドロキシメチルアミノメタン、グリシン、ヒスチジン、その他の有機酸またはそれらの塩を含んでもよい。
また、本発明によれば、組成物、特にその中に存在する薬学的に許容され得るキャリア材料が、一種または二種以上の安定剤、還元剤、酸化防止剤および/または錯体生成化合物を含むようにしてもよい。緩衝剤、安定剤、還元剤、酸化防止剤および錯体生成化合物の医薬組成物の製造への使用は、当業者には十分に知られている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、および非特許文献6)。
好適な塩は、例えば、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ショ糖、トレハロース等である。本発明に係る組成物が液状のキャリア材料を含む場合は、ことキャリア材料のpHが約4.5〜8.5であることが好ましい。しかし、本発明に係る組成物が粉末のキャリア材料を含む場合、キャリア材料のpHが生理的に許容され得、よって無毒の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る組成物の正確な体積的な投与量については、投与の正確性の要件を満たす投与可能量の単位を得るために、抗うつ薬を薬学的に不活性な賦形剤で希釈することが必要である場合がある。本発明に係る組成物は、好ましくは吸入器によって投与されるが、必要であれば、本発明に係る組成物の投与すべき量に、抗うつ薬が正確に所望の投与量含まれるような希釈を選択することが出来る。
医薬組成物は、更なる実施例では非経口投与用に設計される。可能な非経口投与形態は、基本的には当業者には既知の胃腸管の包囲を伴う投与形態全てである。例えば、組成物は、静脈内および/または動脈内投与用に設計してもよい。
特に好ましい実施例では、組成物は、肺内投与、好ましくは吸入投与用に設計される。特定の利点によって、組成物を肺内投与すると、良好な予防効果および/または治療効果を達成するために必要な抗うつ薬の量または投与量は、全身投与の場合よりも少量であることを実証することが出来る。このことは、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性の減少、細胞セラミド濃度の正常化、炎症反応の減少、および病原体による易感染性の正常化に関して特に該当する。よって、肺内投与の場合、抗うつ薬は、全身投与、例えば経口投与または静脈内投与において一般に使用されるように、投与量のうち約1/10〜1/1000に相当する投与量で使用することが出来る。換言すれば、抗うつ薬が、本発明に係る組成物中、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/10〜1/1000に相当する投与量で存在すれば好ましい。好ましくは、本発明に係る組成物は、0.01〜20mg、特に0.1および10mgの抗うつ薬の投与量を含む。アミトリプチリンの場合、例えば、0.1〜10mgの投与量が適当である。この方法では、抗うつ薬の望ましくない副作用、例えば疲労やアトニーを大幅に回避することが出来る。本発明によると、0.01〜20mg/日、特に0.1〜10mg/日の投与量での組成物の吸入投与によって抗うつ薬を供給するようにしてもよい。更なる利点として、組成物を肺内投与した場合、抗うつ薬の全身作用が起こらないという事実がある。換言すれば、肺内投与では、抗うつ薬は肺組織に限ってその効果を示し、その他の組織では効果を示さない。
抗うつ薬自体は、セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤および他のモノアミン作動性抗うつ薬から成る群より選択することが出来る。その他のモノアミン作動性抗うつ薬は、特にシナプス前のアルファ−2レセプタを抑制するノルアドレナリン作動性抗うつ薬、ノルアドレナリン作動性抗うつ薬およびとりわけセロトニン作動性抗うつ薬、2シナプス性抗うつ薬、セロトニン(%−HT)拮抗薬および再取り込み阻害剤、セロトニン再取込み賦活薬および/またはモノアミンオキシダーゼ阻害薬であってもよい。
更なる実施例において、抗うつ薬は、三環系および/または四環系抗うつ薬である。好ましくは抗うつ薬は、三環系抗うつ薬である。よって、抗うつ薬は、ジベンザゼピン誘導体、特に10,ll−ジヒドロ−5H−ジベンズ−[b、f]アザピンの誘導体であってもよい。好適な抗うつ薬は、アミトリプチリン型、イミプラミン型および/またはデシプラミン型の抗うつ薬である。
更なる実施例において、抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、アミトリプチリンオキシド、クロミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、ジベンゼピン、オピプラモール、マプロチリン、ドキセピン、ミアンセリン、ミルタザピン、ジベンゼピン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、レボキセチン、ビロキサジン、アミネプチン、ノミフェンシン、メジホキサミン、メチルフェニデート、ベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ブプロピン、トラゾドン、ネファゾドン、チアネプテン、モクロベミド、トラニルシプロミン、ベンズトロピン、クロミフェン、シプロヘプタジン、シクロベンザプリン、プロマジン、ペルヘキシリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択される。特に好ましくは、抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択される。本発明によると、特に抗うつ薬は生理的に許容され得る塩の形態、特に塩酸塩の形態で存在するようにしてもよい。
更なる有利な実施例では、抗うつ薬に加えて、医薬組成物は少なくともさらに一種の治療用有効成分を含む。有効成分は、特に抗体であってもよい。抗体は、通常酸性スフィンゴミエリナーゼに対する抗体である。
上述の通り、本発明に係る組成物は、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染または感染症の予防または対症治療に適する。本発明によると、感染または感染症は、緑膿菌、セパシア菌、黄色ブドウ球菌およびインフルエンザ菌から成る群のうち少なくとも一種の病原体によって発生する可能性がある。また本発明に係る組成物は、膵嚢胞性線維症における慢性炎症の予防および/または治療にも適する。
組成物は、有利な実施例として、無菌化された形態で存在する。組成物の無菌化については、基本的に医薬組成物、特に医薬製剤の無菌化に関して当業者に既知の全ての無菌化処理が適している。
好ましい実施例において、医薬組成物には、投与補助器具、特に吸入器が割り当てられる。好ましくは、医薬組成物は投与補助器具内に収容される。投与補助器具は、例えば、薬局において一般的に入手できるようなスプレー装置であってもよい。特定の利点を有する投与補助器具自体は、口金、噴霧器およびポンプを含む。
組成物は、更なる好ましい実施例では、エアロゾルとして存在する。好ましくは、組成物は粒子を含み、特に、直径、特に空気力学的直径が0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmのエアロゾル粒子を含む。本発明の文脈内での空気力学的直径とは、標準化した密度を持つ粒子の直径と理解し、例えば、 標準化した密度が1g/cmでは、標準の大気条件下の空気中では、沈降速度が粒子自体と同じである。
また本発明の更なる態様は、直径、特に空気力学的直径が0.1〜12μmの粒子を含む、エアロゾル化したまたは噴霧される医薬組成物に関し、ここで粒子は、少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む。更なる詳細および特徴については、特に抗うつ薬、キャリア材料および粒子に関しては、上述の記載を完全に参照する。
また投与補助器具、特に本発明に係る組成物を含む吸入器もまた本発明に含まれる。更なる特徴および詳細については、同様に上述の記載を参照する。
また、本発明は、膵嚢胞性線維症予防および/または対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のためのキットを含み、前記キットは、少なくとも一種の抗うつ薬および少なくとも一種の分散剤を含む。キットは緩衝液を、例えば、更なる構成要素として含んでもよい。好ましくは、抗うつ薬および分散剤が一つの容器に一緒に含まれている。容器は、特に抗うつ薬および分散剤の投与のための投与補助器具として設計してもよい。本発明によると、さらにキット内で、基本的に抗うつ薬および分散剤が互いに別個のものとして存在するようにしてもよい。この実施例では、抗うつ薬は粉末状または錠剤状で存在してもよい。キット、特に抗うつ薬、分散剤および投与補助器具の更なる特徴および詳細については、前出の記載を参照する。
また本発明は、以下のものを含むキットに関する:
−医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するための装置および前記装置に接続または取り付けられるカートリッジ、および
−エアロゾル化可能または噴霧可能、吸入可能な医薬組成物であって、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物。
組成物をエアロゾル化または噴霧するための装置は、過剰投与を防ぐよう設計してもよい。このことは、例えば、投与量を電子的に監視することによって行うことができる。許容される投与の回数が達成されれば、適当な電源切断要素または閉止要素またはロック要素を作動させることが出来、それにより本発明に係る組成物の投与を停止するか、少なくとも一定期間中断させる。また、組成物をエアロゾル化するための装置は、例えば投与の頻度を決定するためにプログラム可能であってもよい。また前記装置は、所望であれば、本発明に係る組成物の放出を可能にする複数の構成要素を含んでもよい。例えば、装置は、吸入に対する噴霧のタイミングを制御できるようにする構成要素を含んでもよい。また、装置は、吸入の割合および/または量に関するフィードバック信号を患者に供給する構成要素を含んでもよい。また、過剰投与を避け、無許可の人員による使用を防ぎ、および/または投与の経過を記録する構成要素を備えてもよい。また前記装置は、患者が一定の服用量を一定期間のみ使用できるようにし、その後患者に別の投与形態を用いるべきことを示すよう設計してもよい。このためには、例えば、比較的速やかに投与できる比較的高用量で患者が投薬を開始し、次に、第二の、より低用量が選択された場合のみ装置を作動させるよう装置をプログラムしてもよい。また、前記装置は、特定の患者用または医師用にプログラム可能であってもよい。装置は、より多量もしくは少量の医薬組成物を放出するよう、また特別な形態では、異なる割合でエアロゾルを放出するようプログラム可能であってもよい。前記装置は、それ自体では、必要な量の本発明に係る組成物を患者の肺に運ぶどんな装置を用いてもよいが、Aradigm AerxEssence(登録商標)という名称の装置が好ましい。好適な装置は、好ましくは吸入器であり、特に電子吸入器であるが、特許文献3(標題「薬のエアロゾル化送達に使用するための使い捨てパッケージ(Disposable package for use in aerosolized delivery of drugs)」)に記載されている。この発行された明細書の開示内容を、明示的に参照することによって本明細書に全体的に含める。よって、本発明に係る組成物は、特許文献3に記載の吸入器を用いて投与することが出来る。
前記装置は、エアロゾル化または噴霧すべき組成物用に一つまたは二つ以上の吐出開口部を含んでもよい。一つまたは複数の吐出開口部は、特に開口部または多孔質膜の孔であってもよく、エアロゾルを生成するために、それを通して組成物がその投与中に押し出される。ここで開口部または孔は、全て均一の大きさであってもよく、特に互いから均一の距離にあってもよい。しかしながら、本発明によると、開口部または孔は異なる大きさであってもよく、特に膜上で不規則に配列してもよい。開口部の大きさが異なる場合、エアロゾル形成中に形成される粒子の大きさもまた異なる。一般的に、吐出開口部の直径が約0.25〜6μmであるのが好ましい。この方法では、吸入適用に特に好ましい、直径が約0.5〜12μmの粒子を生成することが出来る。吐出開口部の直径が0.25〜1μmの範囲にある場合、それにより直径が0.5μm〜2μmの範囲にある粒子を持つエアロゾルを生成することが出来る。この粒径は、肺胞管および気嚢(肺胞)への、本発明に係る組成物の投与、特に抗うつ薬の投与に特に有利である。直径が約1〜2μmの吐出開口部は、直径が約2〜4μmの粒子を生成することが出来る。これらの粒径は、本発明に係る組成物の投与、特に、肺胞管より上且つ小気管支より下での抗うつ薬の投与に、特定の利点がある。一方、直径が2〜4μmの吐出開口部は、直径が4〜8μmの粒子を生成することが出来る。一方でこれらの粒径は、特定の利点により、小気管支から上部の気道内での本発明に係る組成物の投与、特に抗うつ薬の投与を可能にする。好適な装置は、例えば、特許文献2に記載されており、その開示内容も明示的に参照することにより、同様に本明細書中に含む。
本発明の更なる様相は、カートリッジ、特に有効成分の肺内の放出に使用するカートリッジに関し、カートリッジは以下のものを含む:
−ノズル口を備えた容器、および
−エアロゾル化可能または噴霧可能、吸入可能な医薬組成物であって、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含むカートリッジ。
本発明の文脈において使用することが出来る包装容器は、基本的に異なる形態であってもよい。例えば、容器は一用量のパック、例えばブリスターパックであってもよく、好ましくは液状で無菌の組成物を含む。容器はさらに、体積が少なくとも約0.035〜0.095cm、特に0.045〜0.070cmであってもよい。本発明によると、容器は、本発明にかかる抗うつ薬を含む、乾燥粉を含むカプセルであってもよい。
また本発明は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための方法、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための方法に関し、この方法では、本発明に係る組成物が、特に治療上効果的な量において、患者に投与される。患者は、ヒトまたは動物、例えばウマ、ウシ、ブタ、サル、ラット、マウスまたはハムスターであってもよい。しかし好ましくは、前記方法はヒトに用いられる。前記方法は、基本的に男女両方に等しく適している。小児も前記方法で治療することが出来る。
好ましい実施例において、組成物は肺内に、好ましくは吸入で投与される。肺内投与、好ましくは吸入投与には、一般にこれに適する投与補助器具、特に吸入器が使用される。使用する投与補助器具は、例えば、スプレー装置であってもよい。好ましくは、本発明に係る組成物は、吸入投与のために噴霧またはエアロゾル化される。
さらに本発明は、患者の肺内の酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制のための方法に関し、下記工程を含む:
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧すること、および
−エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること。
また本発明は、患者の肺内のセラミド濃度を低下させるための方法に関し、下記工程を含む:
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧すること、および
−前記エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること。
最終的に、本発明は、膵嚢胞性線維症の対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の治療のための方法に関し、下記工程を含む:
−患者における膵嚢胞性線維症を診断すること、
−少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧(スプレー)すること、
−前記エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること、および
−膵嚢胞性線維症を治療するために、少なくとも一種の抗うつ薬を含む適切な量の粒子を、患者の肺内に付着させる。
特定の利点により、粒子を再び吐き出されることなく肺組織内に簡単に吸入することが出来る粒子が形成されるように、組成物をエアロゾル化または噴霧する。好ましくは、本発明に係る方法におけるエアロゾル化した医薬組成物は、直径、特に空気力学的直径が、0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmの粒子を含む。
抗うつ薬は、好ましくは、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/10〜1/1000に相当する投与量で投与される。特に好ましくは、抗うつ薬は、0.01〜20mg、特に0.1〜10mgの日用量で投与される。
本発明に係る方法の更なる特徴および詳細については、上述の記載を完全に参照する。
また本発明は、医薬組成物の製造のための少なくとも一種の抗うつ薬の使用、または膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための薬物または製薬の使用に関し、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための使用に関する。これに関する更なる特徴および詳細については、特に好適な抗うつ薬に関しては、同様に前出の特徴を完全に参照する。
本発明の更なる様相は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療、特に、膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための薬物または薬剤の本発明に係る組成物の製造への使用に関する。これに関する更なる特徴および詳細については、同様に前出の特徴を完全に参照する。
本発明の既に述べた特徴および更なる特徴は、従属請求項および図に関連した例の以下の記載により明らかとなる。ここで、個々の特徴は、各ケースにおいて別々にまたは互いと組み合わせて一緒に実現できる。ここに、明示的な参照によって図を記載の一部分とする。
図は、以下を概略的に示す:
無処置Cftr欠損マウスと無処置野生型マウスとの比較における、Cftr欠損マウスにおける酸性スフィンゴミエリナーゼの活性に対する様々な抗うつ薬の影響、 無処置Cftr欠損マウスと無処置野生型マウスとの比較における、Cftr欠損マウスの細胞のセラミド濃度に対する様々な抗うつ薬の影響、 無処置Cftr欠損マウスと無処置野生型マウスとの比較における、Cftr欠損マウスの易感染性に対する様々な抗うつ薬の影響、 無処置Cftr欠損マウスと無処置野生型マウスとの比較における、Cftr欠損マウスの炎症性メディエータ、インターロイキン−1βの肺内濃度に対する様々な抗うつ薬の影響、 Cftr欠損マウスおよび野生型マウスにおける酸性スフィンゴミエリナーゼの活性に対するアミトリプチリンの様々な投与形態における影響、 Cftr欠損マウスおよび野生型マウスの細胞のセラミド濃度に対するアミトリプチリンの様々な投与形態における影響、 Cftr欠損マウスおよび野性型マウスにおける易感染性に対するアミトリプチリンの様々な投与形態における影響。
1.方法
1.1 Cftr欠損マウス
Cftr欠損マウスを、まずJackson Laboratories社(米国メーン州バーハーバー)から入手し、Cycnad社で自社飼育した。使用したマウスは、Cftrが欠損していた。これは、マウスにとってヒトCFTRに当たるものである。しかし、使用した実験動物は、腸にヒトCFTRを発現した。これは、脂肪酸結合タンパク(FABP)のプロモーターの制御下に達成された。このプロモーターは、CFTRの腸での発現を特異的に媒介する。使用したマウスは、C57BL/6、FVB/Nおよび129から成る、混合性の遺伝的背景を有していた。
更なるCftrノックアウトマウスを生成するため、B6.129P2(CF/3)−CftrTgH(neoim)Hgu(CftrMHHと略記する)に関して遺伝的に均一なマウスを使用した。近親交配によって生成されたCF系統CF/3−CftrTgH(neoim)Hguを、原型CftrTgH(neoim)Hguの変異マウスから開始して、兄弟姉妹である個体を厳密に交配することよって飼育した。後者は、Cftr−1エキソン10での「挿入変異」によって生成された。マウスは少量のCftrを生成した。
また、CftrMHH型の遺伝的に均一な系統は、近親交配によって生成した背景B6における標的変異の戻し交配によって産生された。ここで、遺伝的に同一であるB6マウスを対照動物として使用した。実験動物の衛生状態を、2002年に発行されたFELASA(Federation of European Laboratory Animal Science Associations)の推奨に従って定期的にチェックした。
1.2 吸入
吸入器(Pariboy(商標登録)SX)を用いて吸入を行った。この吸入器内の液溜めを空気ノズルに接続し、これにより、マウスによってマスクを通して吸入される微細なエアロゾルを生成することが可能となった。このために、実験動物の鼻を、マスクの開口部内へ入れて手で10分間押しつけた。これにより、吸入作業を良好に制御した。全てのマウスに、3回の吸入作業を12時間間隔で行った。
1.3 酸性スフィンゴミエリナーゼの活性の測定
肺をショック凍結し、液体窒素下で均質化し、次に酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 1%の緩衝剤に転送した。次に均質化したものを、合計3時間超音波処理(超音波プロセッサ先端超音波処理器)した。次に、試料の一定分量を、酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 0.1%で希釈し、1試料(52mCi/mmol;MP Bio−medicals社、米国カリフォルニア州アーヴィン)あたり[14C]スフィンゴミエリン0.05μCiで培養した。[14C]スフィンゴミエリンの放射性試料を乾燥させ、酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 0.1%中に再懸濁し、次に均質化した試料に加える前に、10分間超音波処理した。試料を合計30分間約37℃で培養した。次に、抽出(クロロホルムおよびメタノール(体積比率:クロロホルム/メタノール2:1)の混合溶剤による抽出)によって酵素反応を終了させた。次に試料を遠心分離し、その水相の一定分量を、各ケースにおいてシンチレーション測定に供し、[14C]スフィンゴミエリンからの[14C]ホスホリルコリンの放出を測定した。
1.4 セラミド濃度の測定
実験動物を殺した後、肺を除去し、液体窒素下で均質化し、クロロホルム、メタノールおよび1N塩酸(100:100:1、v/v/v)の混合物に加えた。HO 200μlを加えた後、試料を5分間遠心分離した(14,000rpm、毎分回転数)。次に下相を回収し、乾燥させ、0.1Nメタノリック水酸化カリウム水溶液中で、37℃で60分間、ジアシルグリセロールのアルカリ加水分解に供した。試料を再び抽出し、下相を乾燥させ、次に清浄液(ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)1mM中の7.5%(w/v)−オクチルグリコピラノシド20μl、カルジオリピン5mM)中に再懸濁した。超音波処理(10分間)の後、試料を、ジアシルグリセロールキナーゼ(GE Healthcare Europe社、ドイツ、ミュンヘン)10μl、0.1Mイミダゾール/HCl(pH6.6)、0.2mMジエチレントリアミン五酢酸(pH6.6)、70mM塩化ナトリウム、17mM塩化マグネシウム、1.4mM EGTA、2mM DTT、1μM ATPおよび[32P]γATP 10μCiを含む反応液70μlに加えた。キナーゼ反応を30分間室温で行い、次に、クロロホルム:メタノール:1 N HCl(100:100:1、v/v/v)1ml、緩衝生理食塩水(135mM塩化ナトリウム、1.5mM塩化カルシウム、0.5mM塩化マグネシウム、5.6mMグルコース、10mM HEPES、pH7.2)170μlおよび100mM EDTA溶液30μlを加えることによって終了させた。次に試料をボルテックスし、得られた各相を分離した。下相を回収し、乾燥させ、クロロホルム/メタノール混合物(1:1、v/v)20μl中に溶解し、薄層クロマトグラフィー(シリカ G60 TLCプレート、クロロホルム:メタノール:酢酸(65:15:5、v/v/v))によって分離した。次に薄層クロマトグラフィープレートを、各ケースにおいてX線フィルムで覆った。セラミドスポットを、C16−セラミド標準の共遊走によって識別した。スポットがプレートから消滅したため、セラミド中の[32P]の取り込みを、液体シンチレーション測定によって定量化した。セラミドの量を、C16−セラミドを基質として用い検量線との比較によって測定した。
1.5 感染
細菌を、14〜14.5時間、TSA寒天板(Becton Dickinson社)上で培養した。このために、新鮮なプレートを最長2週間使用した。次に細菌を、予熱した無菌の緩衝剤(TSB、Becton Dickinson社)40mlの入ったエルレンマイヤーフラスコに移した。光学濃度(OD)または吸光を、0.225(5.5×10CFU/mlに相当)に調節し、細菌を60分間37℃で、125rpmで振盪しながら培養した。寒天板の質とTSBの質、および振盪速度は、再現可能な結果を得るために決定的であった。この方法で、正確に対数期初期(細菌が60分の培養時間内に約10倍に増殖する)の緑膿菌群を得ることが出来た。細菌が、対数期初期の細菌であったという事実は、実験動物の次の感染における再現可能な条件を得るために非常に重要であった。細菌を、2800rpm(1600xg)で50mlのチューブ内で遠心分離した。次に上澄みを慎重に除去し、細菌を、10mM HEPES(pH7.3)を補充したRPMI−1640 10ml中に再懸濁した。懸濁液を15mlのチューブに移し、次に二回洗浄した。最後に、細菌を予熱したHEPES/塩(HS;132mM NaCl、20mM HEPES(pH7.4)、5mM KCl、1mM CaCl、0.7mM MgCl、0.8mM MgSO)中に再懸濁し、細菌の光学濃度を測定した。次に予熱したH/Sで、細菌を108CFU/20μlの濃度に希釈した。次にマウスをその後の10分間内に感染させた。この目的のために、体積1mlの30ゲージ針の注射器を使用した。マウスにエーテル中で10〜15秒間麻酔をかけた。これに続き、直ちにマウスの鼻内に針を2mm挿入し、細菌を慎重に注射した。この方法による生存可能な細菌コロニーの形成にばらつきが生じるのを避けるために、感染させた最初のマウスと最後のマウスとの間に経過する時間間隔が最長10分間となるようにした。通常、1回の実験につき感染させるマウスを、10匹以下とした。また、一つの実験群につき1匹以上のマウスは感染させなかった。緑膿菌を投与した2時間後にマウスを殺した。次に、肺内の細菌数を、マウスの緑膿菌感染症を発症した感度の尺度として測定した。このために、肺を除去し、機械的に均質化し、細胞内細菌を37℃のサポニン5mg/mlで10分間処置することによって放出し、試料をPBS(リン酸緩衝食塩水)10mlで洗浄し、ペレットをPBS中に取り上げ、その一定分量をTSA寒天板上に延ばした。37℃で増殖を行った15時間後に、細菌コロニーを肺内の細菌数の尺度、すなわち感染の尺度として数えた。
1.6 インターロイキン−1β分泌の測定
インターロイキン−1βの濃度を測定するために、最後の吸入から60分後に肺を除去し、液体窒素下で均質化し、125mM NaCl、25mM トリスHCl(pH7.4)、10mM EDTA、10mMピロりん酸ナトリウム、3% NP40、アプロチニン10μg/マイクログラムおよびロイペプチン10μg/マイクログラム中で10分間溶解した。次に、一定分量をインターロイキン−1βについて分析した。このために、市販のインターロイキン−1β用ELISAを使用した。ここで、正確に供給者のプロトコルに従ってアッセイを行った。
2.実験
2.1 肺細胞中の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性に対する様々な抗うつ薬の影響の測定
野生型マウスおよびCftr欠損マウス(Cftrノックアウトマウス)が、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入した。このために、全物質を水またはDMSO中に溶解し、次に、0.9%塩化ナトリウム溶液中で少なくとも1:100(DMSOについては:少なくとも1:1000)の比率で希釈した。マウスは、溶液を10分間吸入した。吸入には吸入器(Pariboy(登録商標))を使用した。吸入時間の途中で、投与した溶液のうち約2mlを噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。最後の吸入から60分後に肺を除去し、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を肺抽出物中で測定した。
結果を図1に図示する。ここで、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性[pmol/min/mg protein]を縦座標に示す。無処置Cftr欠損マウスおよび無処置野生型マウスとの比較における、上記の抗うつ薬溶液で処置したCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス。
図1に図示した結果は、処置を行ったCftr欠損マウスでは、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を大幅に減少させることができたことを示している。
2.2 肺中のセラミド濃度に対する様々な抗うつ薬の影響の測定
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器(Pariboy(登録商標))を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、肺抽出物中の肺中のセラミド濃度を測定した。
結果を図2に図示する。肺中のセラミド濃度[pmol/マイクログラム protein]を、図中の縦座標にプロットした。無処置Cftr欠損マウスおよび無処置野生型マウスとの比較における各抗うつ薬溶液で処置したCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス)。
図2に図示した結果は、Cftr欠損マウス(膵嚢胞性線維症を発症したマウス)において、上記の抗うつ薬溶液の吸入投与によって肺中のセラミド濃度を実質的な正常化することが可能であったことを示している。
2.3 緑膿菌に関する易感染性に対する様々な抗うつ薬の影響の測定
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器(Pariboy(登録商標))を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、緑膿菌に対する実験動物の易感染性を測定した。
ここで得られた結果を図3に概略的に示す。肺組織1g当たりの緑膿菌のコロニー形成単位(CFU)の数を、図中の縦座標に示す。無処置Cftr欠損マウスおよび無処置野生型マウスとの比較における各抗うつ薬溶液で処置したCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス。
図3に図示した結果は、上記の抗うつ薬溶液を用いたCftrノックアウトマウスの吸入処置における緑膿菌への感染に対する実験動物の易感染性を実質的に正常化することが可能であったことを示している。ここで実験動物は、緑膿菌に感染する前に60分間抗うつ薬溶液を吸入した。図3に図示した結果は、無処置Cftr欠損マウスとは対照的に、実験動物が緑膿菌による感染にほぼ耐性があることを示している。無処置Cftr欠損マウスは、緑膿菌への感染しやすさが高いことが判明した。このことは、緑膿菌による感染の可能性に対する本発明に係る組成物の予防作用を確証するものである。
2.4 インターロイキン−1βの分泌に対する様々な抗うつ薬の影響の測定
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した(Pariboy(登録商標))。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、肺組織中のインターロイキン−1β(IL−1β)の濃度を測定した。
結果を図4に図示する。
インターロイキン−1βの濃度(μg/g lung protein)を、図中の縦座標に示す。無処置Cftr欠損マウスおよび無処置野生型マウスとの比較における、抗うつ薬溶液で処置したCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス)。
2.5 アミトリプチリン溶液の例による様々な投与形態の影響
野生型マウスおよびCftr欠損マウスが、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(HO 4mg/l)1mlを、一般的な薬局で入手可能な吸入装置を用いて20分間吸入した。よって、実際に投与したアミトリプチリンの量は、約4μgであった。これと並行して、その他の野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、これらの動物に実際に投与するアミトリプチリンの量が250μgとなるよう、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(HO 2.5g/l)100μlを投与した。1日2回、2日間にわたって、注射を行った。
吸入処置の場合、吸入終了から60分後または12時間後にマウスの肺を抽出したが、12時間実験の場合は、6時間後に吸入を繰り返した。注射液によって処置したマウスの場合、それらマウスの肺は最後の注射から12時間後に除去した。
各ケースにおいて、肺抽出物を、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性、セラミド濃度および緑膿菌による群について調査した。
以下の結果は、実際に当試験で得られたものである:
2.5.1 酸性スフィンゴミエリナーゼの活性
無処置野性型マウスの肺抽出物中に、405±19pmol/min/mg proteinの酵素活性を検知した。無処置、Cftr欠損マウスの肺抽出物は、375±19pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。
吸入処置を行った60分後に抽出した野生型マウスの肺内で、176±18pmol/min/mg proteinの活性を測定した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物中で、148±17pmol/min/mg proteinの酵素活性を測定した。
12時間後に抽出した吸入処置した野生型マウスの肺は、200±14pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物は、167±9pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。
注射液により処置した野生型マウスの肺は、168±19pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物は、151±17pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。
これらの結果を、図5に概略的に示す。pmol/min/mg proteinで測定した酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を、縦座標にプロットする。野生型およびCftr欠損マウスおよび様々な投与形態または提示形態を、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:野生型マウス、無処置;
2:Cftr欠損マウス、無処置;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から60分後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性);
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から60分後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性);
5:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
7:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
8:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性。
図5は、本発明に係る組成物が、特定の利点により、膵嚢胞性線維症の存在下で酸性スフィンゴミエリナーゼを顕著に抑制することを明らかにしている。この結果は特に、Cftr欠損マウスにおける酸性スフィンゴミエリナーゼの細胞の総活性に基づいて、セラミドを放出する酵素の抑制が、55〜66%であり得ることを示している。本発明に係る組成物の吸入投与の場合、さらに有利であるのは、低量のアミトリプチリンの投与(吸入投与における(アミトリプチリンの有効な投与量は4μgであった)で、この作用を達成し得ることである。よって、アミトリプチリンの投与量を増加させることで通常起こる望ましくない副作用を、避けることが出来る。
2.5.2 セラミド濃度:
無処置野生型マウスの肺抽出物において、2.3±0.5pmol/μg proteinのセラミド濃度を測定することが可能であった。無処置、Cftr欠損マウスの肺抽出物は、16±1.6pmol/μg proteinのセラミド濃度を示した。
12時間後に抽出した野生型マウスの肺において、1.6±0.3pmol/μg proteinのセラミド濃度を測定した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物は、5.2±0.79pmol/μg proteinのセラミド濃度を示した、
非経口的処置を行った野性型マウスの肺抽出物は、1.5±0.4pmol/μg proteinのセラミド濃度を示した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物中のセラミド濃度は、4.9±0.7pmol/μg proteinであった。
上記に挙げた結果を、図6に概略的に示す。pmol/ug lung proteinで測定したセラミド濃度を、縦座標に示す。様々な投与形態または提示形態を含む野生型およびCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:野生型マウス、無処置;
2:Cftr欠損マウス、無処置;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後のセラミド濃度;
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後のセラミド濃度;
5:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後のセラミド濃度;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後のセラミド濃度。
本発明に係る組成物は、特に膵嚢胞性線維症の存在下でセラミド濃度の正常化の達成に適することが、図6より明らかである。2.5.1で更なる利点に関して既に述べた事項を参照する。
2.5.3 緑膿菌に対する易感染性の測定
これらの実験では、野生型 マウス およびCftr欠損マウス に、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(HO 4mg/l)1mlを二重吸入させた後に、1×10CFU(コロニー形成単位)の緑膿菌株762を鼻内に投与した。無処置マウスを対照として使用した。投与から2時間後にマウスを殺した。次に、肺内の細菌数を、マウスの緑膿菌感染症を発症する感度の尺度として測定した。このために、肺を除去し、機械的に均質化し、細胞内細菌を37℃のサポニン5mg/mlで10分間処置することによって放出し、試料をPBS(リン酸緩衝食塩水)10mlで洗浄し、ペレットをPBS中に取り上げ、その一定分量をTSA寒天板上に延ばした。37℃で増殖を行った15時間後に、細菌コロニーを肺内の細菌数の尺度、すなわち感染の尺度としてとして数えた。以下の結果は、当試験で得られたものである:
無処置野生型マウスの肺中、4700±2160CFUの細菌数を測定することが可能であった。無処置、Cftr欠損マウスの除去した肺は、6.3×10±1.87×10CFUの細菌数を示した。吸入処置した野生型マウスの肺は、3600±2892CFUの細菌数を示した。吸入処置を行ったCftr欠損マウスの肺において、12300±4075CFUの細菌数測定することが可能であった。注射液により処置した野生型マウスの肺は、細菌数が2780±1740CFUであった。同様に処置したCftr欠損マウスの肺は、細菌数が11250±2360CFUであった。
上記の結果を、図7に図示する。肺1グラムで測定した細菌数(CFU、コロニー形成単位)を、図中の縦座標にプロットした。様々な投与形態含む無処置または処置した野生型マウスまたはCftr欠損マウスを、横座標に示す。横座標上の数字は、以下のものを指す:
1:野生型マウス、鼻腔内感染2時間後の肺中の細菌数、これ以上の処置なし;
2:Cftr欠損マウス、鼻腔内感染2時間後の肺中の細菌数、これ以上の処置なし;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
5:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数。
ここで図7から、本発明に係る組成物の投与が、緑膿菌に対する易感染性の実質的な正常化につながることが明らかに推測される。図7は、特に膵嚢胞性線維症に関連して発生する感染または感染症の予防および/または治療のための本発明に係る組成物の適合性を示している。2.5.1で更なる利点に関して既に述べた事項を同様に参照する。
2.6 全身作用の可能性の調査
最後の吸入から60分後に、実験マウスから脾臓を除去した。次に脾臓を機械的に粉砕した。脾細胞を、H/S中で二回洗浄し、250mM酢酸ナトリウム(pH5.0)、1.3mM EDTAおよび1%NP40中で溶解した。次に酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を、前述の通り測定した。ここで、抗うつ薬の吸入投与は、実験動物の脾臓細胞(脾細胞)中の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性には全く影響しないことが判明した。このことは、吸入投与の場合全身作用が起こらないことを示している。

Claims (34)

  1. 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための医薬組成物であって、少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物。
  2. 前記抗うつ薬が、前記分散剤中に分散して存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記分散剤は液体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 前記分散剤は水性液体、特に生理液であることを特徴とする、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 製剤、好ましくは液体製剤の形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 水分散液、特に水溶液の形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 非経口投与、特に肺内投与、好ましくは吸入投与用に設計されることを特徴とする、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 前記抗うつ薬が、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/10〜1/1000に相当する投与量で前記組成物中に存在することを特徴とする、前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記組成物が、0.01〜20mg、特に0.1〜10mgの量の前記抗うつ薬を含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 前記抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤および他のモノアミン作動性抗うつ薬から成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 前記抗うつ薬は、三環系または四環系抗うつ薬、好ましくは三環系抗うつ薬であることを特徴とする、前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 前記抗うつ薬は、ジベンザゼピン誘導体、特に10,ll−ジヒドロ−5H−ジベンズ−[b、f]アザピンの誘導体であることを特徴とする、前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、アミトリプチリンオキシド、クロミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、ジベンゼピン、オピプラモール、マプロチリン、ドキセピン、ミアンセリン、ミルタザピン、ジベンゼピン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、レボキセチン、ビロキサジン、アミネプチン、ノミフェンシン、メジホキサミン、メチルフェニデート、ベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ブプロピン、トラゾドン、ネファゾドン、チアネプテン、モクロベミド、トラニルシプロミン、ベンズトロピン、クロミフェン、シプロヘプタジン、シクロベンザプリン、プロマジン、ペルヘキシリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  15. 前記組成物が、前記抗うつ薬に加えて、少なくともさらに一種の治療有効成分、特に抗体を含むことを特徴とする、前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  16. 前記感染または感染症が、緑膿菌、シュードモナス種、黄色ブドウ球菌、セパシア菌およびインフルエンザ菌から成る群のうち少なくとも一種の病原体によって起きることを特徴とする、前記請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  17. 投与補助器具、特に吸入器を割り当てられており、好ましくは投与補助器具内に収容されることを特徴とする、前記請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. 前記組成物が、エアロゾルの形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. 前記組成物が、直径が0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmのエアロゾル粒子を含むことを特徴とする、前記請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. エアロゾル化した医薬組成物であって、空気力学的直径が約0.1〜12μmの範囲の粒子を含み、前記粒子が少なくとも一種の薬学的に許容され得る、吸入可能なキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物。
  21. 前記粒子の直径が約1〜12μm、特に2〜12μmであることを特徴とする、請求項20に記載のエアロゾル化した医薬組成物。
  22. 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、請求項20または21に記載のエアロゾル化した医薬組成物。
  23. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む投与補助器具、特に吸入器。
  24. 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のためのキットであって、少なくとも一種の抗うつ薬および少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含むキット。
  25. −医薬組成物を噴霧するための装置、および
    −前記装置に接続されるカートリッジからなるキットであって、エアロゾル化可能、吸入可能な医薬組成物は、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含むキット。
  26. 有効成分の肺内での放出に使用するカートリッジであって、
    −ノズル口を備えた容器、および
    −エアロゾル化可能、吸入可能な医薬組成物を有するカートリッジであって、
    前記医薬組成物が、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む、カートリッジ。
  27. 患者の肺内の酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制のための方法であって、
    −少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
    −前記エアロゾル化または噴霧した医薬組成物を患者の肺内へ吸入するステップとからなる患者の肺内の酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制のための方法。
  28. 患者の肺内のセラミド濃度を低下させるための方法であって、
    −少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
    −前記エアロゾル化または噴霧した医薬組成物を患者の肺内へ吸入するステップとからなる患者の肺内のセラミド濃度を低下させるための方法。
  29. 膵嚢胞性線維症の対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の治療のための方法であって、
    −患者における膵嚢胞性線維症を診断するステップと、
    −少なくとも一種の抗うつ薬および少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
    −前記エアロゾル化または噴霧した組成物を患者の肺内へ吸入するステップと、
    −膵嚢胞性線維症を治療するために、少なくとも一種の抗うつ薬を含む適切な量の粒子を、患者の肺内に付着させるステップとからなる膵嚢胞性線維症の対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の治療のための方法。
  30. 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記エアロゾル化した医薬組成物が、直径が0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmの粒子を含むことを特徴とする、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記抗うつ薬を、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/100〜1/1000に相当するような日用量で投与することを特徴とする、請求項27〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記抗うつ薬は、0.01〜20mg/日、特に0.1〜10mg/日の投与量で投与されることを特徴とする、請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物の、膵嚢胞性線維症の前記予防および/または対症治療のための薬物または薬剤、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の前記予防および/または治療のための薬物または薬剤の製造への使用。
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