JP2011506516A - 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物 - Google Patents
膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明は、膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための医薬組成物、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための医薬組成物であって、少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物に関する。
【選択図】図1
Description
更なる実施例において、抗うつ薬は、三環系および/または四環系抗うつ薬である。好ましくは抗うつ薬は、三環系抗うつ薬である。よって、抗うつ薬は、ジベンザゼピン誘導体、特に10,ll−ジヒドロ−5H−ジベンズ−[b、f]アザピンの誘導体であってもよい。好適な抗うつ薬は、アミトリプチリン型、イミプラミン型および/またはデシプラミン型の抗うつ薬である。
−医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するための装置および前記装置に接続または取り付けられるカートリッジ、および
−エアロゾル化可能または噴霧可能、吸入可能な医薬組成物であって、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物。
−ノズル口を備えた容器、および
−エアロゾル化可能または噴霧可能、吸入可能な医薬組成物であって、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含むカートリッジ。
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧すること、および
−エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること。
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧すること、および
−前記エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること。
−患者における膵嚢胞性線維症を診断すること、
−少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧(スプレー)すること、
−前記エアロゾル化または噴霧(スプレー)した組成物を患者の肺内へ吸入すること、および
−膵嚢胞性線維症を治療するために、少なくとも一種の抗うつ薬を含む適切な量の粒子を、患者の肺内に付着させる。
1.1 Cftr欠損マウス
Cftr欠損マウスを、まずJackson Laboratories社(米国メーン州バーハーバー)から入手し、Cycnad社で自社飼育した。使用したマウスは、Cftrが欠損していた。これは、マウスにとってヒトCFTRに当たるものである。しかし、使用した実験動物は、腸にヒトCFTRを発現した。これは、脂肪酸結合タンパク(FABP)のプロモーターの制御下に達成された。このプロモーターは、CFTRの腸での発現を特異的に媒介する。使用したマウスは、C57BL/6、FVB/Nおよび129から成る、混合性の遺伝的背景を有していた。
吸入器(Pariboy(商標登録)SX)を用いて吸入を行った。この吸入器内の液溜めを空気ノズルに接続し、これにより、マウスによってマスクを通して吸入される微細なエアロゾルを生成することが可能となった。このために、実験動物の鼻を、マスクの開口部内へ入れて手で10分間押しつけた。これにより、吸入作業を良好に制御した。全てのマウスに、3回の吸入作業を12時間間隔で行った。
肺をショック凍結し、液体窒素下で均質化し、次に酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 1%の緩衝剤に転送した。次に均質化したものを、合計3時間超音波処理(超音波プロセッサ先端超音波処理器)した。次に、試料の一定分量を、酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 0.1%で希釈し、1試料(52mCi/mmol;MP Bio−medicals社、米国カリフォルニア州アーヴィン)あたり[14C]スフィンゴミエリン0.05μCiで培養した。[14C]スフィンゴミエリンの放射性試料を乾燥させ、酢酸ナトリウム(pH5.0)250mM、EDTA 1.3mMおよびNP40 0.1%中に再懸濁し、次に均質化した試料に加える前に、10分間超音波処理した。試料を合計30分間約37℃で培養した。次に、抽出(クロロホルムおよびメタノール(体積比率:クロロホルム/メタノール2:1)の混合溶剤による抽出)によって酵素反応を終了させた。次に試料を遠心分離し、その水相の一定分量を、各ケースにおいてシンチレーション測定に供し、[14C]スフィンゴミエリンからの[14C]ホスホリルコリンの放出を測定した。
実験動物を殺した後、肺を除去し、液体窒素下で均質化し、クロロホルム、メタノールおよび1N塩酸(100:100:1、v/v/v)の混合物に加えた。H2O 200μlを加えた後、試料を5分間遠心分離した(14,000rpm、毎分回転数)。次に下相を回収し、乾燥させ、0.1Nメタノリック水酸化カリウム水溶液中で、37℃で60分間、ジアシルグリセロールのアルカリ加水分解に供した。試料を再び抽出し、下相を乾燥させ、次に清浄液(ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)1mM中の7.5%(w/v)−オクチルグリコピラノシド20μl、カルジオリピン5mM)中に再懸濁した。超音波処理(10分間)の後、試料を、ジアシルグリセロールキナーゼ(GE Healthcare Europe社、ドイツ、ミュンヘン)10μl、0.1Mイミダゾール/HCl(pH6.6)、0.2mMジエチレントリアミン五酢酸(pH6.6)、70mM塩化ナトリウム、17mM塩化マグネシウム、1.4mM EGTA、2mM DTT、1μM ATPおよび[32P]γATP 10μCiを含む反応液70μlに加えた。キナーゼ反応を30分間室温で行い、次に、クロロホルム:メタノール:1 N HCl(100:100:1、v/v/v)1ml、緩衝生理食塩水(135mM塩化ナトリウム、1.5mM塩化カルシウム、0.5mM塩化マグネシウム、5.6mMグルコース、10mM HEPES、pH7.2)170μlおよび100mM EDTA溶液30μlを加えることによって終了させた。次に試料をボルテックスし、得られた各相を分離した。下相を回収し、乾燥させ、クロロホルム/メタノール混合物(1:1、v/v)20μl中に溶解し、薄層クロマトグラフィー(シリカ G60 TLCプレート、クロロホルム:メタノール:酢酸(65:15:5、v/v/v))によって分離した。次に薄層クロマトグラフィープレートを、各ケースにおいてX線フィルムで覆った。セラミドスポットを、C16−セラミド標準の共遊走によって識別した。スポットがプレートから消滅したため、セラミド中の[32P]の取り込みを、液体シンチレーション測定によって定量化した。セラミドの量を、C16−セラミドを基質として用い検量線との比較によって測定した。
細菌を、14〜14.5時間、TSA寒天板(Becton Dickinson社)上で培養した。このために、新鮮なプレートを最長2週間使用した。次に細菌を、予熱した無菌の緩衝剤(TSB、Becton Dickinson社)40mlの入ったエルレンマイヤーフラスコに移した。光学濃度(OD)または吸光を、0.225(5.5×108CFU/mlに相当)に調節し、細菌を60分間37℃で、125rpmで振盪しながら培養した。寒天板の質とTSBの質、および振盪速度は、再現可能な結果を得るために決定的であった。この方法で、正確に対数期初期(細菌が60分の培養時間内に約10倍に増殖する)の緑膿菌群を得ることが出来た。細菌が、対数期初期の細菌であったという事実は、実験動物の次の感染における再現可能な条件を得るために非常に重要であった。細菌を、2800rpm(1600xg)で50mlのチューブ内で遠心分離した。次に上澄みを慎重に除去し、細菌を、10mM HEPES(pH7.3)を補充したRPMI−1640 10ml中に再懸濁した。懸濁液を15mlのチューブに移し、次に二回洗浄した。最後に、細菌を予熱したHEPES/塩(HS;132mM NaCl、20mM HEPES(pH7.4)、5mM KCl、1mM CaCl2、0.7mM MgCl2、0.8mM MgSO4)中に再懸濁し、細菌の光学濃度を測定した。次に予熱したH/Sで、細菌を108CFU/20μlの濃度に希釈した。次にマウスをその後の10分間内に感染させた。この目的のために、体積1mlの30ゲージ針の注射器を使用した。マウスにエーテル中で10〜15秒間麻酔をかけた。これに続き、直ちにマウスの鼻内に針を2mm挿入し、細菌を慎重に注射した。この方法による生存可能な細菌コロニーの形成にばらつきが生じるのを避けるために、感染させた最初のマウスと最後のマウスとの間に経過する時間間隔が最長10分間となるようにした。通常、1回の実験につき感染させるマウスを、10匹以下とした。また、一つの実験群につき1匹以上のマウスは感染させなかった。緑膿菌を投与した2時間後にマウスを殺した。次に、肺内の細菌数を、マウスの緑膿菌感染症を発症した感度の尺度として測定した。このために、肺を除去し、機械的に均質化し、細胞内細菌を37℃のサポニン5mg/mlで10分間処置することによって放出し、試料をPBS(リン酸緩衝食塩水)10mlで洗浄し、ペレットをPBS中に取り上げ、その一定分量をTSA寒天板上に延ばした。37℃で増殖を行った15時間後に、細菌コロニーを肺内の細菌数の尺度、すなわち感染の尺度として数えた。
インターロイキン−1βの濃度を測定するために、最後の吸入から60分後に肺を除去し、液体窒素下で均質化し、125mM NaCl、25mM トリスHCl(pH7.4)、10mM EDTA、10mMピロりん酸ナトリウム、3% NP40、アプロチニン10μg/マイクログラムおよびロイペプチン10μg/マイクログラム中で10分間溶解した。次に、一定分量をインターロイキン−1βについて分析した。このために、市販のインターロイキン−1β用ELISAを使用した。ここで、正確に供給者のプロトコルに従ってアッセイを行った。
2.1 肺細胞中の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性に対する様々な抗うつ薬の影響の測定
野生型マウスおよびCftr欠損マウス(Cftrノックアウトマウス)が、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入した。このために、全物質を水またはDMSO中に溶解し、次に、0.9%塩化ナトリウム溶液中で少なくとも1:100(DMSOについては:少なくとも1:1000)の比率で希釈した。マウスは、溶液を10分間吸入した。吸入には吸入器(Pariboy(登録商標))を使用した。吸入時間の途中で、投与した溶液のうち約2mlを噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。最後の吸入から60分後に肺を除去し、酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を肺抽出物中で測定した。
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス。
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器(Pariboy(登録商標))を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、肺抽出物中の肺中のセラミド濃度を測定した。
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス)。
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器(Pariboy(登録商標))を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、緑膿菌に対する実験動物の易感染性を測定した。
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン溶液(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス。
野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、アミトリプチリン4mg/l、トリミプラミン12.5mg/l、デシプラミン9mg/l、クロルプロチキセン8mg/l、フルオキセチン4.5mg/l、アムロジピン5mg/lおよびセルトラリン35mg/lの溶液を吸入させた。このため、物質を水またはDMSO中に溶解し、次に0.9%塩化ナトリウム溶液中に上記の通り希釈した。マウスは、これに適した吸入器を用いて上記の抗うつ薬溶液を吸入した(Pariboy(登録商標))。投与した溶液のうち約2mlを、吸入時間中噴霧した。吸入は、合計3時間、12時間間隔で行った。吸入から60分後に肺を実験動物から除去し、肺組織中のインターロイキン−1β(IL−1β)の濃度を測定した。
1:Cftr欠損マウス、無処置;
2:野生型マウス、無処置;
3:アミトリプチリン溶液(4mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
4:トリミプラミン溶液(12.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
5:デシプラミン溶液(9mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
6:アムロジピン溶液(5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
7:セルトラリン(35mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
8:フルオキセチン溶液(4.5mg/l)吸入後のCftr欠損マウス;
9:クロルプロチキセン溶液(8mg/l)吸入後のCftr欠損マウス)。
野生型マウスおよびCftr欠損マウスが、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(H2O 4mg/l)1mlを、一般的な薬局で入手可能な吸入装置を用いて20分間吸入した。よって、実際に投与したアミトリプチリンの量は、約4μgであった。これと並行して、その他の野生型マウスおよびCftr欠損マウスに、これらの動物に実際に投与するアミトリプチリンの量が250μgとなるよう、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(H2O 2.5g/l)100μlを投与した。1日2回、2日間にわたって、注射を行った。
2.5.1 酸性スフィンゴミエリナーゼの活性
無処置野性型マウスの肺抽出物中に、405±19pmol/min/mg proteinの酵素活性を検知した。無処置、Cftr欠損マウスの肺抽出物は、375±19pmol/min/mg proteinの酵素活性を示した。
1:野生型マウス、無処置;
2:Cftr欠損マウス、無処置;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から60分後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性);
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から60分後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性);
5:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
7:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性;
8:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性。
無処置野生型マウスの肺抽出物において、2.3±0.5pmol/μg proteinのセラミド濃度を測定することが可能であった。無処置、Cftr欠損マウスの肺抽出物は、16±1.6pmol/μg proteinのセラミド濃度を示した。
非経口的処置を行った野性型マウスの肺抽出物は、1.5±0.4pmol/μg proteinのセラミド濃度を示した。同様に処置したCftr欠損マウスの肺抽出物中のセラミド濃度は、4.9±0.7pmol/μg proteinであった。
1:野生型マウス、無処置;
2:Cftr欠損マウス、無処置;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後のセラミド濃度;
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後のセラミド濃度;
5:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後のセラミド濃度;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後のセラミド濃度。
これらの実験では、野生型 マウス およびCftr欠損マウス に、各ケースにおいてアミトリプチリン溶液(H2O 4mg/l)1mlを二重吸入させた後に、1×108CFU(コロニー形成単位)の緑膿菌株762を鼻内に投与した。無処置マウスを対照として使用した。投与から2時間後にマウスを殺した。次に、肺内の細菌数を、マウスの緑膿菌感染症を発症する感度の尺度として測定した。このために、肺を除去し、機械的に均質化し、細胞内細菌を37℃のサポニン5mg/mlで10分間処置することによって放出し、試料をPBS(リン酸緩衝食塩水)10mlで洗浄し、ペレットをPBS中に取り上げ、その一定分量をTSA寒天板上に延ばした。37℃で増殖を行った15時間後に、細菌コロニーを肺内の細菌数の尺度、すなわち感染の尺度としてとして数えた。以下の結果は、当試験で得られたものである:
無処置野生型マウスの肺中、4700±2160CFUの細菌数を測定することが可能であった。無処置、Cftr欠損マウスの除去した肺は、6.3×106±1.87×106CFUの細菌数を示した。吸入処置した野生型マウスの肺は、3600±2892CFUの細菌数を示した。吸入処置を行ったCftr欠損マウスの肺において、12300±4075CFUの細菌数測定することが可能であった。注射液により処置した野生型マウスの肺は、細菌数が2780±1740CFUであった。同様に処置したCftr欠損マウスの肺は、細菌数が11250±2360CFUであった。
1:野生型マウス、鼻腔内感染2時間後の肺中の細菌数、これ以上の処置なし;
2:Cftr欠損マウス、鼻腔内感染2時間後の肺中の細菌数、これ以上の処置なし;
3:野生型マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
4:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン溶液(4mg/l)1ml吸入から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
5:野生型マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数;
6:Cftr欠損マウス、アミトリプチリン250マイクログラム腹腔内注射から12時間後および鼻腔内感染から2時間後の肺中の細菌数。
最後の吸入から60分後に、実験マウスから脾臓を除去した。次に脾臓を機械的に粉砕した。脾細胞を、H/S中で二回洗浄し、250mM酢酸ナトリウム(pH5.0)、1.3mM EDTAおよび1%NP40中で溶解した。次に酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を、前述の通り測定した。ここで、抗うつ薬の吸入投与は、実験動物の脾臓細胞(脾細胞)中の酸性スフィンゴミエリナーゼの活性には全く影響しないことが判明した。このことは、吸入投与の場合全身作用が起こらないことを示している。
Claims (34)
- 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療のための、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のための医薬組成物であって、少なくとも一種の抗うつ薬および好ましくは少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物。
- 前記抗うつ薬が、前記分散剤中に分散して存在することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記分散剤は液体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の医薬組成物。
- 前記分散剤は水性液体、特に生理液であることを特徴とする、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 製剤、好ましくは液体製剤の形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 水分散液、特に水溶液の形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 非経口投与、特に肺内投与、好ましくは吸入投与用に設計されることを特徴とする、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬が、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/10〜1/1000に相当する投与量で前記組成物中に存在することを特徴とする、前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記組成物が、0.01〜20mg、特に0.1〜10mgの量の前記抗うつ薬を含むことを特徴とする、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、セロトニン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、セロトニン/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤および他のモノアミン作動性抗うつ薬から成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、三環系または四環系抗うつ薬、好ましくは三環系抗うつ薬であることを特徴とする、前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、ジベンザゼピン誘導体、特に10,ll−ジヒドロ−5H−ジベンズ−[b、f]アザピンの誘導体であることを特徴とする、前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、アミトリプチリンオキシド、クロミプラミン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、ジベンゼピン、オピプラモール、マプロチリン、ドキセピン、ミアンセリン、ミルタザピン、ジベンゼピン、フルボキサミン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、レボキセチン、ビロキサジン、アミネプチン、ノミフェンシン、メジホキサミン、メチルフェニデート、ベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ブプロピン、トラゾドン、ネファゾドン、チアネプテン、モクロベミド、トラニルシプロミン、ベンズトロピン、クロミフェン、シプロヘプタジン、シクロベンザプリン、プロマジン、ペルヘキシリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、前記請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記組成物が、前記抗うつ薬に加えて、少なくともさらに一種の治療有効成分、特に抗体を含むことを特徴とする、前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記感染または感染症が、緑膿菌、シュードモナス種、黄色ブドウ球菌、セパシア菌およびインフルエンザ菌から成る群のうち少なくとも一種の病原体によって起きることを特徴とする、前記請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 投与補助器具、特に吸入器を割り当てられており、好ましくは投与補助器具内に収容されることを特徴とする、前記請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記組成物が、エアロゾルの形態で存在することを特徴とする、前記請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 前記組成物が、直径が0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmのエアロゾル粒子を含むことを特徴とする、前記請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- エアロゾル化した医薬組成物であって、空気力学的直径が約0.1〜12μmの範囲の粒子を含み、前記粒子が少なくとも一種の薬学的に許容され得る、吸入可能なキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物。
- 前記粒子の直径が約1〜12μm、特に2〜12μmであることを特徴とする、請求項20に記載のエアロゾル化した医薬組成物。
- 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、請求項20または21に記載のエアロゾル化した医薬組成物。
- 請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む投与補助器具、特に吸入器。
- 膵嚢胞性線維症の予防および/または対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の予防および/または治療のためのキットであって、少なくとも一種の抗うつ薬および少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含むキット。
- −医薬組成物を噴霧するための装置、および
−前記装置に接続されるカートリッジからなるキットであって、エアロゾル化可能、吸入可能な医薬組成物は、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含むキット。 - 有効成分の肺内での放出に使用するカートリッジであって、
−ノズル口を備えた容器、および
−エアロゾル化可能、吸入可能な医薬組成物を有するカートリッジであって、
前記医薬組成物が、少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む、カートリッジ。 - 患者の肺内の酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制のための方法であって、
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
−前記エアロゾル化または噴霧した医薬組成物を患者の肺内へ吸入するステップとからなる患者の肺内の酸性スフィンゴミエリナーゼの抑制のための方法。 - 患者の肺内のセラミド濃度を低下させるための方法であって、
−少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料および少なくとも一種の抗うつ薬を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
−前記エアロゾル化または噴霧した医薬組成物を患者の肺内へ吸入するステップとからなる患者の肺内のセラミド濃度を低下させるための方法。 - 膵嚢胞性線維症の対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の治療のための方法であって、
−患者における膵嚢胞性線維症を診断するステップと、
−少なくとも一種の抗うつ薬および少なくとも一種の分散剤および/または少なくとも一種の薬学的に許容され得るキャリア材料を含む医薬組成物をエアロゾル化または噴霧するステップと、
−前記エアロゾル化または噴霧した組成物を患者の肺内へ吸入するステップと、
−膵嚢胞性線維症を治療するために、少なくとも一種の抗うつ薬を含む適切な量の粒子を、患者の肺内に付着させるステップとからなる膵嚢胞性線維症の対症治療、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の治療のための方法。 - 前記抗うつ薬は、イミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、クロルプロチキセン、フルオキセチン、アムロジピン、セルトラリン、それらの誘導体およびそれらを組み合わせたものから成る群より選択されることを特徴とする、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エアロゾル化した医薬組成物が、直径が0.1〜12μm、特に1〜12μm、好ましくは2〜12μmの粒子を含むことを特徴とする、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗うつ薬を、全身投与、特に経口投与もしくは静脈内投与される抗うつ薬の投与量の1/100〜1/1000に相当するような日用量で投与することを特徴とする、請求項27〜31のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗うつ薬は、0.01〜20mg/日、特に0.1〜10mg/日の投与量で投与されることを特徴とする、請求項27〜32のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物の、膵嚢胞性線維症の前記予防および/または対症治療のための薬物または薬剤、特に膵嚢胞性線維症において発生する感染および/または感染症の前記予防および/または治療のための薬物または薬剤の製造への使用。
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