(詳細な説明)
本明細書に開示する装置、方法、及びシステムを幾つかの方法で使用して、身体の循環系、臓器、及び領域にアクセスすることができ、閉塞又は灌流で温血動物の多数の問題を治療することができる。本明細書に開示する装置、方法、及びシステムを使用して、温血動物の循環系に接触せずに、又は限定的に接触して、薬物又は他の治療製品を局所過灌流を使用して標的領域に送達できるようにすることもでき、それによって、治療領域に繰り返し中間アクセスできるようになり、麻酔の繰り返しが全く不要になる。本明細書に開示する装置、方法、及びシステムを使用して、温血動物の循環系に接触せずに、又は限定的に接触して、薬物又は他の治療製品を局所過灌流を使用して標的領域に送達できるようにすることもでき、それによって、治療領域に繰り返し中間アクセスできるようになり、麻酔の繰り返しが全く不要になる。こうした実施態様を温血動物の循環系に接触している実施態様と組み合わせることができる。
一部の態様では、局所過灌流を使用して、血流量及び血圧を増加させ、温血動物の標的の1つ以上の臓器、1つ以上の肢、1つ以上の領域、又は1つ以上の身体部分に与える治療法の集中度を上げることができる。局所過灌流は、全般的に、標的の1つ以上の臓器、1つ以上の領域、1つ以上の肢、或いは1つ以上の身体部分への正常な心臓血管の循環よりも、増加した流量、上昇した血圧、及び/又は増量した治療物質又は治療法を温血動物の標的の1つ以上の臓器、1つ以上の肢、1つ以上の領域、或いは1つ以上の身体部分に送達するものである。
しかし、本明細書に開示する全ての態様で治療の一部として過灌流を使用する必要はない。幾つかの態様を過灌流と併せて、又は過灌流を用いずに使用することができる。一部の態様は、複数のアクセスポートで温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に同時に、又は別々に、間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能な装置、方法、及びシステムを提供する。こうしたアクセスを提供することにより、以前は難しかった治療が、今では最善の結果をもたらし、他の方法では不可能であり、又はさらに難しく、結果が最善ではない広範な治療が可能になる。例えば、幾つかのシステム、方法、及び装置を、治療で使用される1つ以上の治療薬、血液、或いは流体を身体の外部で改変し、かつ/又は身体から廃棄し、或いは部分的に取り出すことが望ましい場合に使用することができる。
他の例は、このシステム、方法、及び装置を使用して、温血動物の標的の1つ以上の臓器、1つ以上の肢、1つ以上の領域、或いは1つ以上の身体部分に比較的高濃度の治療薬を導入し、次いで、その治療薬を身体から除去し、又は実質的に除去して、治療が身体に与える悪影響及び/又は副作用を軽減し、或いは最小限に抑えるものである。
他の例は、例えば、限定的ではないが、薬物療法、化学療法、高圧療法、低温療法、温熱、低体温、及び/又は(通常に使用されるよりも細胞毒の量を増加し、かつ/又は濃度を高くした)細胞毒灌流(cytotoxic perfusion)など他の治療法と併せて、本明細書の装置、方法、及びシステムを使用するものである。複数アクセスポートで、同時に、又は別々に、温血動物の動脈及び/或いは静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための開示の移植可能なシステムをバルーンカテーテルと組み合わせて、幾つかの結果を得ることもできる通常、バルーンは治療のために身体の特定の領域を隔離するために使用される。当然、開示の治療を様々な方法で組み合わせて使用することもできる。
本明細書に開示する方法、システム、及び装置の一態様はアクセス装置である。幾つかの実施態様では、この装置を使用して、温血動物の循環系にアクセスし、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、幾つかの他の治療法、或いは上記の組み合わせを多様な圧力で循環させることができる。
以下で論じるアクセス装置の典型的な例が図で示されている。多くの実施態様で、このアクセス装置はハウジングを有する。幾つかの実施態様では、ハウジングは生体適合性であり、又はハウジングの一部は生体適合性であり、皮膚線及び皮下組織を通って延び、循環系の1つ以上の血管と流体連通することができる。ハウジングは、例えば、シリコーン、不活性弾性プラスチック、熱可塑性プラスチック、及び/又はエラストマー材料など多くの材料で作製することができ、所望の場合は、多様な材料で被覆することができる。例えば、装置に何らかの治療的利点又は何らかの機能的利点を与える材料又は物質でハウジングを被覆することができる。例えば、血液凝固阻止薬、抗生物質、及び/又は減摩コーティング(PTFE、又は低摩擦材料、及び/或いは拡張PTFE)である。幾つかの実施態様では、ハウジング又はハウジングの一部を、十分な可撓性、耐亀裂性、耐断裂性の材料、又はこうした特性を組み合わせて作製して、所望の場合にハウジングを何度もクランプオフできるようにすることが望ましい。幾つかの態様では、ハウジングを、限定的ではないが、表面加工した材料を含む、単一の材料、又は材料を組み合わせて作製することができる。幾つかの態様では、ハウジングを外側管及び内側スリーブで作製することができ、又はハウジングの様々な部分を様々な材料の組み合わせで構築することができる。幾つかの態様では、ハウジング、又は身体内に延びるハウジングの部分を、ポリエステル、Gore-Tex、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン、鋼、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、又は他の形状記憶合金、銅、銀、金、白金、Keviar繊維、炭素繊維、或いはそれらの組み合わせなど、生体適合性及び/又は非生体適合性の材料から製造することができる。非生体適合性材料が解剖学的構造と接触する可能性がある場合、非生体適合性材料から作製された構成要素を生体適合性材料でカバー又は被覆することができる。一部の態様では、プランジャ先端部とハウジングの間の摩擦係数を最小限に抑え、又は過剰に大きい摩擦力の生成が十分に防止されるようにする。プランジャ先端部とハウジングの間の適した摩擦係数をもたらす手段を本明細書に開示する。こうした力は、プランジャの挿入/除去中に、ハウジングを伸長し、吻合部位に望ましくない力を生成する恐れがある。一部の態様では、ハウジング或いはハウジングの一部の内面の粗さを平滑にし、又は十分に平滑にして、血栓形成性を低減し、又は最小限に抑えるべきである。一部の態様では、ハウジング又はハウジングの一部が、プランジャ先端部を正しい距離に停止した状態で保持するように長手方向に十分に硬いことが望ましい。一部の態様では、外部の金属構造のストラットなど補強構造を使用して、十分な硬さを与えることができる。十分に硬いハウジングを提供する手段を本明細書に開示する。一部の態様では、ハウジング又はハウジングの一部を十分に可撓性にして、ハウジング又はハウジングの一部を標準のクランプを使用して、3、5、10、20、28日間、2又は3カ月間にわたり、1日当たり1、2、3、4、或いは5回クランプオフできるようにする必要がある。換言すれば、ハウジング又はハウジングの一部は、使用中の長期間にわたるクランプオン及びオフに対する十分な耐疲労性を有する。一部の態様では、そのハウジング又はハウジングの一部が、80から500mmHgまで、120から400mmHgまで、100から350mmHgまで、300mmHgまで、200mmHgまで、又は500mmHgまでのポンピング圧に確実に耐える必要がある。一部の態様では、ハウジング又はハウジングの一部が十分な壁の厚さを有して、皮下トンネル内の組織によって生成される圧力下でつぶれないようにする。一部の態様では、ハウジングの長さは、通常、プランジャ先端部が引き込められた後にハウジングをクランプするための十分な空間が可能になる長さである。一部の態様では、アクセス装置のハウジングは、流体又は血液の流量を計算できるようにする十分な内径を要する。例えば、限定的ではないが、4から12mm、5から9mm、又は6から8mmの内径である。
幾つかの実施態様では、ハウジングを挿入する場合、身体に十分近い、又は実質的に近い角度で挿入し、使用中にアクセス装置が衝突し、又は部分的に取り外される可能性を低減することが望ましい。幾つかの態様では、温血動物の挿入部位でのハウジング及びアクセス装置の身体表面に対する挿入角度は追加の利点をもたらすことができる。カテーテル又はバルーンシステムの挿入及び/又は除去を容易に行うことができる角度にハウジングを配置することができる。角度は、カテーテル又はバルーンシステムが身体又は血管内に配置される位置に依存する。幾つかの実施態様では、カテーテル又はバルーンシステムの挿入及び/又は除去を容易に行うことができる角度でハウジングを有することが有用であることが多い。幾つかの実施態様では、ハウジングは、それぞれ挿入点で身体の表面に対して、約5°から約175°、約5°から約40°、約5°から約45°、約10°から約40°、約65°から約90°、約60°から約90°、約70°から約85°、約65°から約80°、約15°から約175°、約25°から約150°、約35°から約150°、約35°から約120°、約40°から約60°、又は約75°から約110°の角度で配置される。一部の態様では、このハウジングは、挿入点で身体の表面に対して、約35°、約40°、約45°、約55°、約65°、約75°、又は約90°である。身体の表面に対する角度を、アクセス装置の挿入点の上の身体の表面上の点からアクセス装置に対して測定することができる。
本明細書に開示する実施態様を使用することにより、間欠的かつ周期的なアクセス、及び温血動物の循環系への流体又は血液の流量の制御によって、周期的な、より柔軟な患者の治療が可能になる。従って、特定の臓器、領域、又は身体部分への血液又は流体の供給、かつ/又はそれらからの排液を完全に、実質的に、又は部分的に制御することができる。血液の供給及び排液を所望のレベルで制御した後、治療薬を隔離した臓器、領域、又は身体部分に、こうした薬剤を体循環系に循環させずに、実質的に循環させずに、又は部分的に循環させずに、送達することができる。本明細書に開示する実施態様の一利点は、治療薬又は治療を標的治療領域により有効に送達することができ、同時に、治療を受けない身体の領域への治療薬の送達を最小限に、部分的に最小限に抑え、低減し、或いは実質的に低減することができることであり、それによって、望ましくない副作用を低減し、実質的に低減し、又は部分的に低減することである。
本明細書に開示する実施態様を使用して、治療薬又は治療が治療領域と接触、実質的に接触、又は部分的に接触する時間を、約90%から約5%、約90%から約10%、約80%から約20%、約70%から約30%、約70%から約20%、約60%から約40%、約60%から約10%、約60%から約20%、又は約50%から約30%、短縮することができる。本明細書に開示する実施態様を使用して、治療薬又は治療が身体と接触、実質的に接触、又は部分的に接触する時間を、約90%から約5%、約90%から約10%、約80%から約20%、約70%から約30%、約70%から約20%、約60%から約40%、約60%から約10%、約60%から約20%、又は約50%から約30%、短縮することができる。本明細書に開示する実施態様を使用して、治療薬又は治療が身体の非治療領域と接触、実質的に接触、又は部分的に接触する時間を、約90%から約5%、約90%から約10%、約80%から約20%、約70%から約30%、約70%から約20%、約60%から約40%、約60%から約10%、約60%から約20%、又は約50%から約30%、短縮することができる。
本明細書に開示する実施態様の他の利点は、過去に多くの望ましくない副作用を引き起こした治療薬又は治療を使用できるようになることである。本明細書に開示する実施態様を使用することによって、上記の変形態様を様々な組み合わせで使用して、より有効な治療法又は薬剤を送達し、同時に、望ましくない副作用を最小限に抑え、部分的に最小限に抑え、軽減し、又は実質的に軽減し、或いは部分的に軽減することができることである。
本明細書に開示する幾つかの実施態様の使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置によって、間欠的なアクセス、及び/又は治療領域の過灌流中に加えられる圧力の調整が可能になり、血管の側副成長をより良好に制御することができるようになることである。例えば、一部の実施態様では、こうした治療の結果;血管の発生に影響を与える壁の張力及びせん断応力が調整され;かつ/又は流量及び圧力特性を連続的に調整することができるようになる。こうした利点は、より有効な過灌流治療を可能にする。本明細書に開示する幾つかの過灌流の実施態様の1つの望ましい結果は、血管新生因子のアップレギュレーションが刺激されることである。本明細書に開示する幾つかの過灌流の実施態様の他の望ましい結果は、成長抑制因子が抑制され、又は低減されて、脈管形成が促進されることである。幾つかの実施態様では、本明細書に開示する過灌流を使用して、血管新生因子を刺激し、血管新生抑制因子を減少させ、又はそれらの組み合わせを行うことができる。例えば、開示の幾つかの実施態様を使用して、身体内のエンドスタチン又はアンジオスタチンなど成長因子を抑制し、又は減少させることができる。例えば、1つの付随的(collateral)成長因子は単球走化性タンパク質(Monocyte Chemo attractant Protein)(MCP1)である。この物質は、後の血管外遊出で単球の走化性を刺激する。使用することができる脈管形成を促進する他の例は、アンジオポエチン-1、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor)(bFGF)、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor)(VEGF)、又はそれらの組み合わせでもよい。使用することができる脈管形成の抑制因子の例は、エンドスタチン、アンジオスタチン、AZD2171(Recentin(商標)-AstraZeneca)、レスペラトロール、ゲニステイン、カテキン、又はそれらの組み合わせでもよい。最終結果は側副成長である。長期間にわたるMCP1の連続注入の結果、温血動物にかなりの動脈形成をもたらすことができる。約5時間から約100時間、約10時間から約80時間、又は約20時間から約60時間にわたるMCP1の連続注入により、温血動物に脈管形成を行うことができる。例えば、約20時間、約30時間、約40時間、約50時間、約60時間、又は約70時間にわたるMCP1の連続注入により、動物にかなりの動脈形成を行うことができる。応力の使用を増加するとMCP1の生産が増加する。例えば、本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用して、ヒト患者に過灌流を5から30時間、10から25時間、5から25時間、又は10から20時間にわたり処置し、次いで5から15時間、又は5から10時間の治療の休止を与え、次いで必要に応じて追加の回数だけ治療を繰り返す(例えば1回、2回、3回、又は4回の追加の治療を繰り返す)ことができる。幾つかの治療では、患者は、20から30時間の治療を1から3回、治療の合間に6から10時間の適切な休止を入れて受ける。治療期間を1日から28日、3日から6日、3日から10日、4日から7日、又は特定の治療に必要とされるだけ延長することができる。治療をこれよりも長い期間にわたり休止することができる。幾つかの実施態様では、治療を4から12時間、又は所望の治療時間だけ行い、次いで2時間から40日間、12時間から20日間、1日から22日間、2日から10日間、3日から15日間、5日から26日間、8日から15日間、又は他の所望の期間にわたり休止することができる。装置は28日間の使用が認められており、これは、治療を26日間まで停止できることを指す。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの治療時間が少なくとも1つの非治療時間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも2つの治療時間が少なくとも1つの非治療時間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも3つの治療時間が少なくとも2つの非治療時間と組み合わされる。他の変形態様も企図される。
本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置によって、動脈及び/又は静脈の壁への圧力を上昇させずに、又は実質的に上昇させずに、動脈及び/又は静脈を通る流量を増加させることができることである。これは、血管の内皮のせん断応力を増加させることになる。一部の態様では、それによって、血管の平滑筋細胞のせん断応力又は壁張力が定常的に、又は実質的に定常的に、或いは脈動的に増加することになる。それによって、正常な治療前の流れと比較して、定常的に、又は実質的に定常的に血管の内皮のせん断応力が増加し、時間がたつと、血管が拡張して、流体速度が低下し、せん断応力が低減される。
本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置によって、動脈又は静脈の平滑筋細胞が連続的に拡張し、それによって、平滑筋細胞の収縮が阻止され、実質的に阻止され、又は低減されることによって、脈管形成が促進されることである。それによって、血管の平滑筋細胞の壁の張力が増加される。
本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置によって、脈圧が制御されることである。脈圧とは、治療すべき領域内の収縮期圧と拡張期圧の差を指す。それによって、血管壁を定常的に、又は実質的に定常的に拡張し、血管壁の応力を増加させて、過灌流中の脈管形成を促進する。これは、過灌流中の血管の灌流を増大させることになる。脈圧の上昇は、他の周知の方法で起こる傾向があるが、患者を虚血性梗塞から出血性梗塞に変える可能性を高め、又は実質的に高めるものである。
本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置は、治療される動脈、血管、臓器、又は身体の領域のビートトゥビートの直接注入をより良好に制御することができることである。
本明細書に記載した幾つかの実施態様を使用する他の利点は、このシステム、方法、及び/又は装置が、幾つかの生理反応を誘発しない、低減しない、又は実質的に低減しないことである。例えば、限定的ではないが、主動脈の完全な、又は部分的な閉塞による全身性交感神経反応;アンギオテンシン反応によって起きる全身性高血圧;脳血管の収縮(cerebrovaso constriction)を引き起こすアドレナリン反応;迷走神経反応による大動脈と頚動脈の受容体の介在によって起きる心拍数の低下(徐脈);及び/又はそれらの合併症などである。
幾つかの実施態様では、アクセス装置はアクセス装置の上部に配置されたヘッドアセンブリを有する。本明細書に開示するように、用途に応じて、ヘッドアセンブリの構成の幾つかの変形態様がある。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは流体が、アクセス装置を通って循環系に入り、かつ/又はそれから出ることができるようにすることができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、1時間から1年、10時間から6カ月、又は1日から6カ月間、2日から4カ月間、2日から3カ月間、1日から2カ月間、又は1日から45日間の期間にわたり間欠的アクセスを提供することができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、少なくとも1つの血管に間欠的にアクセス可能にすることができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、他の装置及び/又は流体が少なくとも1つの血管に間欠的にアクセスできるようにすることができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、少なくとも1つのカテーテルをアクセス装置を通して少なくとも1つの血管内に挿入し、かつ/又は除去できるようにすることができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、少なくとも1つのバルーンカテーテルをアクセス装置を通してアクセスされる少なくとも1つの血管内に挿入し、かつ/又はそれから除去できるようにすることができる。幾つかの態様では、ヘッドアセンブリは、複数のカテーテル及び/又はバルーンアセンブリをアクセス装置を通してアクセスされる少なくとも1つの血管内に挿入し、かつ/又はそれから除去できるようにすることができる。
幾つかの態様では、アクセス装置を温血動物の体内に挿入し、所望の用途に構成した後、装置を治療期間にわたり、又は要望通りに、定位置に配置したままにすることができ、アクセス装置の温血動物の体内に挿入した部分を取り外す必要がない。それによって、所望の治療領域に間欠的かつ周期的にアクセスすることができ、アクセスを望む度に、温血動物に麻酔し、カテーテルを再挿入する必要がなくなる。また、身体の標的領域又は循環系の標的部分に頻繁にアクセスすることができるようになる。
幾つかの実施態様では、ヘッドアセンブリは、少なくとも1つのハウジング、少なくとも1つのプランジャステム、少なくとも1つのプランジャヘッド、少なくとも1つのハンドル、少なくとも1つのロックピン、少なくとも1つのプランジャステムが突き出る少なくとも1つの着脱可能なキャップ、少なくとも1つの流入/流出ポート、及び/又はそれらの組み合わせと関連する。プランジャヘッドを多様な材料から構築することができる。幾つかの態様では、プランジャヘッドをPTFEなど生体適合性材料で構築することができる。幾つかの態様では、プランジャヘッドを、例えば、限定的ではないが、PTFEの幾つかの組成物、高密度ポリエチレン(high density poly ethylene)(HDPE)、又は他の非弾性プラスチックなど、十分に非弾性の材料で作製することができる。幾つかの態様では、プランジャヘッドが血液適合性であり、又は実質的に血液適合性であり、血球損傷、血栓、細胞接着、及び血小板活性化を引き起こさない、又は実質的に引き起こさないことが望ましい。幾つかの態様では、プランジャシャフト及び/又はプランジャヘッドを、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、適した特性が得られる限り、適した材料から構築することができる。幾つかの態様では、プランジャヘッドは、プランジャシャフトに結合され、又はプランジャシャフトと協働する。幾つかの態様では、プランジャヘッド及びシャフトを1つの統合片として構築することができ、又は2つ以上の片として構築することもできる。一部の態様では、プランジャヘッドの形状を変更し、例えば、プランジャヘッドが、リブ、凹部を有し、又は、同心の1つ以上のリングなど外面からセクションが除去され、或いはそれらの組み合わせを有することができる。一部の実施態様では、第1のリブ、リング、又は凹部をプランジャヘッドの遠位端に十分近接するように配置して、第1のリブ、リング、又は凹部がハウジング管の前部から不慮に押し出される可能性を最小限に抑えるようにする。幾つかの態様では、プランジャヘッドの外面と管腔の内面との接触表面積を調整して、プランジャヘッドを管腔に挿入し、それから取り外すのに必要とされる力を低減し、又は増加することが望ましい。幾つかの態様では、管腔又はプランジャヘッド(或いはその両方)の接触表面積を調整して、管腔から取り外しやすくし、又は取り外しにくくすることが望ましい。プランジャ先端部の形状を変えることができる。通常、プランジャ先端部は、平坦、実質的に平坦、又は凹面、実質的に凹面、凸面、或いは実質的に凸面、若しくはそれらの組み合わせである。一部の態様では、プランジャ先端部は、通常、ハウジング又は管腔から0.1から2mm、0.2から1mm、0.25から0.75mm、又は0.4から0.6mmだけ僅かに突き出る。プランジャヘッド先端部の幾つかの実施態様の一機能は、管腔の近位端をシールし、使用の際に血栓の形成を阻止し、又は低減することである。血栓の形成を阻止又は低減するプランジャヘッド手段を本明細書に開示する。ハウジングと協働する際のプランジャヘッドの他の機能は、流体又は血液が、70から500mmHg、80から300mmHg、100から160mmHg、150mmHgまで、120mmHgまで、200mmHgまで、300mmHgまで、又は500mmHgまでの血管圧下で血管に入るのを阻止することである。流体又は血液が、70から500mmHg、80から300mmHg、100から160mmHg、150mmHgまで、120mmHgまで、200mmHgまで、300mmHgまで、又は500mmHgまでの血管圧下で血管に入るのを阻止するための、ハウジングと協働するプランジャヘッド手段を本明細書に開示する。一部の態様では、プランジャヘッド機構は、特に付着領域でのハウジングとの摩擦を最小にしなければならない。プランジャヘッドの幾つかの実施態様の他の機能は、流体又は血液の不規則な流れを最小限に抑え、又は低減することである。流体の不規則な流れを最小限に抑え、又は低減するプランジャヘッド手段を本明細書に開示する。プランジャヘッドの他の機能は、吻合に空洞を生成しない、又は空洞を最小限に抑えることである。一部の態様では、プランジャヘッド先端部の径を縮小して、付着領域との干渉を防ぎ、さらに管を充填して死腔をなくさなければならない。一部の態様では、プランジャヘッドはスタイレットと適合性があり、スタイレットの挿入を可能にし、プランジャヘッドとスタイレットとの嵌合又は協働によって、適したシールが十分に生成されるようになされる。
別法として、プランジャヘッドを、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から構築することができる。幾つかの態様では、プランジャを、挿入及び除去中に吻合に加えられる張力を低減するように設計することができる。幾つかの態様では、アクセス装置のハウジングが血管に幾つかの角度で取り付けられる場合、角度を付けたプランジャとハウジング管の端部にある角度を付けた切り込みが一致するように、遠位端の角度を「合わせ」なければならない。これは、アクセス装置の他の構成要素の設計によっては不要である。幾つかの実施態様では、プランジャシャフト及びプランジャヘッドをカニューレ状にして、血管造影のため、及び、例えば生理食塩水、デキストロース、或いはヘパリン溶液などの点滴容液など、本明細書に記載した任意の治療など、治療を追加するため、プランジャシャフト及びプランジャヘッドの一部を通るアクセスを提供することができる。通常、プランジャシャフト及びヘッドがカニューレ状になされる場合、他の手段を設けて、アクセス穴へのアクセス部を開放し、又は閉鎖する。一例は、本明細書に開示するスタイレットの使用である。血管造影又は点滴のアクセス部をプランジャの表面の凹部によって設けることができることも企図される。やはり、アクセス装置の使用中にこうしたアクセス部を開放し、又は閉鎖する手段を設ける必要がある。幾つかの態様では、プランジャシャフトカニューレをプランジャシャフトの中心に位置付けることができるが、他の実施態様では、プランジャシャフトが、それぞれ使用中にアクセス部を開放し、又は閉鎖する手段を有するカニューレを、0、1、2、3、又は4つ含むことができる。例えば、協働する1つ以上のスタイレットを使用することができる。
幾つかの実施態様では、プランジャの硬さを変えることができる。一部の態様では、プランジャを適した材料で作製して、プランジャを剛性、実質的に剛性、可撓性、又は実質的に可撓性にすることができる。プランジャの所望の可撓性、又は非可撓性は、特定の用途、及び使用される特定の装置に依存する。幾つかの状況では、適したハウジング管と組み合わせた場合、装置を患者の身体に近づけてテープでとめ、又は何らかの方法で固定することがあるため、可撓性のプランジャ、又は実質的に可撓性のプランジャの使用が望ましい。それによって、患者に取り付けた場合に、装置の不慮の衝突を防止することができる。
一部の実施態様では、アクセス装置に安全キャップを装備して、アクセス装置からの血液又は流体の漏れを防ぐ。さらに、安全キャップを使用して、プランジャシャフト及びスタイレットの不慮の取り外しを防ぐことができる。一部の態様では、安全部は、手で締める際の助けをすることが意図された外部形状を有する。
本明細書に開示するアクセス装置は、幾つかの実施態様では、プランジャ型でなくてもよく、循環系と灌流システムとの間の間欠的な結合を可能にする他の種類のアクセス装置を使用することができる。例えば、アクセス装置は、開放した場合に、循環系と灌流システムの間のアクセスを可能にする経皮的に制御可能な弁でもよい。こうした弁を、金属、組織、又は高分子材料から構築することができ、例えば、流量制御手段として、傾斜円板、フラップ、ボール、又は膜など任意の適した流量制御機構を組み込むことができる。
幾つかの実施態様では、プランジャステムを所望の位置にロックし、ある位置にロックされた場合にプランジャステムの移動を阻止することができることが望ましい。例えば、プランジャステム又はプランジャヘッドを、患者の動脈系の逆圧がプランジャステム又はプランジャヘッドの位置を変えるのを阻止し、又は実質的に阻止する位置にロックできることが望ましい。幾つかの実施態様では、能動的に使用されないが患者に取り付けられているときに、無菌抗生物質含有物、及び/又は抗凝固流体をハウジング又は管腔内に配置することが望ましい。一部の態様では、ハウジングの内部にも繰り返しアクセスして残留流体又は血液を全て除去することができるヘッドアセンブリを有することが望ましい。一部の態様では、ロックリングを使用して、シャフトのシールをアクセス装置のハウジング上にクランプする助けをすることができる。
幾つかの実施態様では、装置は縫合用脚(suture foot)を使用して、吻合の助けをする。縫合用脚を多様な形状に構成することができ、その形状をアクセス装置を血管に結合する角度によって変えることができる。一部の態様では、血管壁と共に形成される空洞が平滑又は実質的に平滑であるように脚を形付けることが望ましい。一部の態様では、吻合領域中に生成又は形成される死腔を最小限に抑えるように脚を形付けることが望ましい。脚を幾つかの材料で作製することができる。一部の態様では、例えば、限定的ではないが、(織物状、或いは編物状)ePTFE、(織物状、或いは編物状)Dacron、又はそれらの組み合わせなど、耐断裂性、又は断裂抵抗性の縫合材料から脚を作製することが望ましい。一部の態様では、血管壁を刺激しない材料を選択することができる。機械的又は化学的付着手段、又はそれらの組み合わせを使用する幾つかの方法で、脚をハウジングに取り付けることができる。例えば、シリコーンハウジングと脚をシアノアクリレート接着剤とプライマーの組み合わせを使用して付着することができる。他の接着剤を使用することもできる。一部の態様では、作製された機械的又は化学的付着は、使用中に受ける物理的力に耐えることができなければならない。一部の態様では、試験中に、0.5から6kg、1から5kg、2から4kg、少なくとも2kg、少なくとも3kg、又は少なくとも5kgの引張荷重に耐える必要がある。一部の態様では、シアノアクリレート接着剤を使用してePTFE縫合用脚をシリコーンハウジングに付着することができ、接着部が実質的に漏れを防止し、滅菌(EtO)又は時間によって実質的に劣化しないことが望ましい。許容し得る接着剤の一例は、Loctite接着剤4061シアノアクリレート接着剤、及び7701ポリオレフィンプライマーである。
一部の実施態様では、アクセス装置に補強手段又は補強構造を任意選択で追加して、取り付けたアクセス装置をさらに安定化させることが望ましい。幾つかの方法で、これを行うことができる。例えば、(動脈血管連結キャップなど)構造物を血管に、アクセス装置が血管と連通する位置に近接するように固定することができる。他の例は、高い灌流圧が存在する際に吻合を支持する補強スリーブである。こうした補強構造を、生体適合性材料、及び/或いは非生体適合性材料、又はそれらの組み合わせから製造することができる。例えば、限定的ではないが、ポリエステル、Gore-Tex、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン、鋼、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、又は他の形状記憶合金、銅、銀、金、白金、Kevlar繊維、炭素繊維、又はそれらの組み合わせである。幾つかの態様では、非生体適合性材料が解剖学的構造と接触する可能性がある場合、非生体適合性材料から作製された構成要素を生体適合性材料でカバー又は被覆することができ、ハウジングと血管の結合部を補強し、又は支持することができる。本明細書に開示する装置は、皮膚線、又はその付近に支持、又は補強構造、或いはスカートを任意選択で設けて、皮膚又は組織にハウジングを固定する助けをすることができる。これは、結合位置での装置の移動を最小限に抑え、かつ/又は感染の可能性を低減する助けをすることができる。さらに、幾つかの実施態様では、少なくとも1つの第2のスカート又は外側保護層を使用することができる。こうした補強構造又はスカートを、生体適合性材料、及び/或いは非生体適合性材料、又はそれらの組み合わせから製造することができる。例えば、限定的ではないが、ポリエステル、Gore-Tex、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン、鋼、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、又は他の形状記憶合金、銅、銀、金、白金、Kevlar繊維、炭素繊維、又はそれらの組み合わせである。幾つかの態様では、非生体適合性材料が解剖学的構造と接触する可能性がある場合、非生体適合性材料から作製された構成要素を生体適合性材料でカバー又は被覆することができ、ハウジングと血管の結合部を補強し、又は支持することができる。例えば、図32、33、及び34を参照されたい。これらの図は、幾つかの態様に追加して、縫合カフからの流体又は血液の漏れを防止し、又は低減するための補強スカートを示している。これらの図は、皮膚の線、或いはその付近に取り付けられ、又は血管に取り付けられた補強スカートを示している。
アクセスポートを使用するこうした実施態様では、アクセスポートの数、及びアクセスポートの構造を、構造と共に変えて、複数の様々なカテーテル及びバルーンシステムを同時に使用することができる。アクセスポートは、循環系への間欠的又は連続的なアクセスができるように多様に機能することができる。幾つかの態様では、アクセスポートの数を0から6、1から6、2から4、3から5、1から3、及び2から3の間で変えることができる。幾つかの態様では、アクセスポートの数をアクセス装置の内径、及びカテーテルの外径によって限定することができる。
幾つかの実施態様では、使用されるカテーテルは、表面部分、中間部分、及び血管部分を有する。用途に応じて、使用されるカテーテルの径、及び長さを変えることができる。例えば、長さは、3cmから2メートル、5cmから1メートル、5cmから750cm、5cmから500cm、5cmから250cm、5cmから100cm、5cmから50cm、10cmから40cm、15cmから60cm、20cmから55cm、25cmから50cm、30cmから45cm、又は35cmから40cmの間で変えることができる。例えば、径は、0.1mmから5cm、0.1mmから4cm、0.1mmから3.5cm、0.1mmから3.0cm、0.1mmから2.5cm、0.1mmから2.0cm、0.1mmから1.5cm、0.1mmから1.0cm、0.1mmから9mm、0.1mmから8.0mm、0.1mmから7.0mm、0.1mmから6.0mm、0.1mmから5mm、0.1cmから4mm、0.15mmから3.5mm、0.25mmから3.0mm、0.5mmから2.5mm、0.75mmから2.0mm、1.0mmから5.0mm、又は1.0 mmから4.0mmの間で変えることができる。
幾つかの態様では、カテーテル管腔は、例えば、血管の中又は外への流体の流れ、監視或いは診断用機器若しくは装置の挿入、又は膨張或いは収縮ガスの供給など、様々な使用のための様々な別個の管腔を画定することができる、少なくとも1つの内部部分、少なくとも2つの内部部分、少なくとも3つの内部部分、少なくとも4つの内部部分、少なくとも5つの内部部分、又は少なくとも6つの内部部分を有することができる。通常、内部部分は、ガスを含む流体が管腔を通って移動できるようにすることができる。内部部分を使用して、ワイヤ、又は他の測定或いは監視装置、プローブ、若しくは制御装置が管腔の一部を通過するようにすることもできる。幾つかの実施態様では、閉塞部材を使用することが望ましい。
幾つかの態様では、カテーテルは、カテーテルシステムの表面部分及び血管部分と連通するカテーテル管腔を有する。カテーテル管腔の表面部分は、アクセス装置の上部と連通状態であり、血管部分は血管と連通状態でもよい。カテーテルは、表面部分、血管部分、及びアクセス装置のハウジング、又はカニューレと連通状態の中間部分を有することもできる。幾つかの態様では、カテーテル管腔の表面部分はアクセス装置上のポートと連通し、閉塞部材はカテーテル管腔の血管部分と連通する。幾つかの態様では、閉塞部材はエラストマーのバルーンでもよい。各バルーンは、少なくとも1つの膨張/収縮管腔、及び少なくとも1つの膨張/収縮ポートと連通することができる。
幾つかの態様では、カテーテル管腔は、流体又は血液が管腔を通って流れることもできるようにする。幾つかの態様では、管腔は、フィルタ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、SO2センサ、塩分センサ、及び他の測定又は監視装置など、他の装置を挿入することもできるようにする。幾つかの態様では、膨張ポートをアクセス装置の上方部分内に配置することができる。バルーンは、トロイダルバルーン、又は任意の他の適した形状の装置でもよく、流体流管腔の一部を取り囲み、血液及び他の流体が流体流管腔を通って流れることができるようにする。閉塞部材は、長手方向に可動でもよく、アクセス装置を通して血管内に挿入することができる。他の実施態様では、閉塞部材は、その中心に2つ以上の開口部を有し、血液を通過させるために流体流管腔の一部を取り囲むことができるバルーンを含むものでもよく、又は血液が動脈壁と膨張したバルーンの間の隙間を通過することができるようにする2つ以上の膨張可能なバルーンを含むものでもよい。幾つかの実施態様では、バルーンカテーテルシステムがアクセス装置と併せて使用される。バルーンの構造及び機能を特定の治療での使用に応じて変えることができる。
幾つかの実施態様では、バルーンカテーテルシステムが、最高収縮期のパンサイクルの血圧(pan-cycle pressure)に耐えることができ、又は実質的に耐えることができ、アクセスシステムに挿入し、それから除去するのに適していることが望ましい。こうした用途に使用されるバルーンカテーテルシステムは、200mmHgから400mmHgの最高収縮期のパンサイクルの血圧に耐えることができ、又は実質的に耐えることができる。他の態様では、使用されるバルーンカテーテルシステムは、120mmHgから160mmHg、160mmHgから200mmHg、200mmHgから240mmHg、240mmHgから350mmHg、又は350mmHgから400mmHgの最高収縮期のパンサイクルの血圧に耐えることができ、又は実質的に耐えることができる。他の態様は、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと冠動脈を過灌流するための少なくとも1つのバルーンカテーテルシステムとの組み合わせを含む。すなわち、該システムは大きい中央管腔を有することができ、拡張期に上行大動脈を閉塞することができ、又は実質的に閉塞することができ、カウンターパルセイションを行うことができ、上記のアクセスシステムと適合性があるものでもよい。拡張期に上行大動脈を閉塞できるようにするには、バルーンカテーテルシステムが70mmHgから200mmHgの圧力に耐えることができ、又は実質的に耐えることができることが好ましい。他の態様では、耐える圧力、又は実質的に耐える圧力は、70mmHgから300mmHg、90mmHgから250mmHg、90mmHgから180mmHg、70mmHgから180mmHg、又は70mmHgであることが望ましい。
幾つかの態様では、バルーンカテーテルシステムはカウンターパルセイションを行うことができる。こうした態様の多くでは、カウンターパルセイションバルーンカテーテルが、かなりの失血を起こさずに、アクセス装置を簡単にかつ有効に通過することができる。バルーンカテーテルシステムがアクセスシステムと適合性があることが好ましい。こうした処置の有効性を示すために測定可能な変数には、左及び/又は右の冠動脈内の血流量、心臓駆出分、心室仕事量、心拍出量、最高収縮期圧、最低拡張期圧、大動脈基部の平均血圧(mean root aortic pressure)、心室内拡張期圧、左心房内圧、中心静脈圧、及び肺動脈楔入圧が含まれる。例えば、図9及び11で開示したシステムでは、両方のシステムをカウンターパルセイションに使用することができる。
幾つかの実施態様では、0、1、2、3、4、5、又は6つの閉塞バルーン、並びに他の手段を血管又はその組み合わせを通る流体の流量を変えるために使用することが望ましい。例えば、肝臓の治療法の一実施態様では、様々な動脈内に3つのバルーン、かつ静脈内に1つのバルーンを使用することが望ましい。他の例として、腎臓では、腎臓の動脈に1つのバルーン、静脈に1つのバルーンを使用することが望ましい。脳の治療では、治療される脳の側部ごとに動脈に1つのバルーン、静脈に1つのバルーンを使用することが望ましい。脚又は腕など肢では、治療によって1つ又は2つのバルーンを使用するのが適切である。骨盤では、一部の実施態様は、動脈に1つ、静脈に1つの、2つのバルーンを使用することができる。心臓では、一部の実施態様では、2つのバルーンが使用され、1つが右冠動脈、1つが左冠動脈に使用される。上記の例は、単に例として開示するものであり、他の組み合わせのバルーン構成及び数が企図される。使用されるバルーンのサイズ及び形状を特定の用途、及びバルーンを使用する所望の効果によって変えることができる。例えば、心臓の治療に使用されるバルーンは、通常、他の用途のものよりも長く、可撓性である。幾つかの態様では、比較的長く比較的可撓性が高いバルーンが望ましい。なぜなら、バルーンが長くなるに従って、過灌流中に血管のシールを行うのに必要とされる平方cm当たりの圧力が低くなるからである。
他の態様では、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと、肝動脈の過灌流が可能であり、又は実質的に可能であり、腹腔動脈及び胃十二指腸動脈の他の枝を閉塞し、幾つかのアクセスシステムと適合性がある生体適合性バルーンを含むバルーンカテーテルシステムとの組み合わせを開示する。幾つかの実施態様では、バルーンカテーテルシステムが本明細書に開示するアクセスシステムと適合性があることが好ましい。幾つかの態様では、腹腔動脈及び胃十二指腸動脈の他の枝を閉塞して、肝動脈の過灌流を可能に、又は実質的に可能にするには、システムが85mmHgから350mmHgの治療圧に耐えることができることが望ましい。他の態様では、耐えるべき治療圧は、70mmHgから500mmHg、70mmHgから120mmHg、85mmHgから130mmHg、200mmHgから500mmHg、200mmHgから400mmHg、200mmHgから300mmHg、120mmHgから200mmHg、又は120mmHgから160mmHgであることが望ましい。
幾つかの実施態様では、外部に追加された閉塞バルーンを使用して、システムを通って流れる血液又は流体の方向及び/又は量を制御することが望ましい。こうしたシステム、装置、及び方法の一例が、図62に示されている。こうした外側バルーンを使用して、1つ以上の内側管腔バルーンを少なくとも1つの外部に加える血管閉塞バルーン(外側管腔バルーンシステム)と置換することができる。使用される外側バルーンを、例えば、シリコーン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、エラストマー、又は他の適した材料など、様々な適した材料で作製することができる。血液又は流体の流れは、バルーンを膨張させることによってポンプ内に向けられ、肢又は臓器を残りの身体から隔離する。一方向弁など様々な方法を使用して、要望通りに、外側バルーンを膨張させ、収縮させることができる。
幾つかの実施態様では、外側バルーンと内側バルーンの組み合わせを同じ用途に使用することが望ましい。
幾つかの実施態様では、幾つかのシステム、方法、及び装置で開示するプランジャを外側閉塞バルーンと置換することができる。こうしたシステム、装置、及び方法の一例が図63に示されている。幾つかの態様では、少なくとも1つの閉塞バルーンを少なくとも1つのプランジャと組み合わせて使用することができる。少なくとも1つの外側バルーンを使用する一利点は、外側バルーンが生血管とアクセス装置との間の死腔を最小限に抑え、又は実質的に最小限に抑えることができることである。
開示する方法、システム、及び装置の幾つかの実施態様では、過灌流又は他の開示する用途に関連する出血を最小限に抑え、又は実質的に最小限に抑えることが望ましい。問題を最小限に抑え、又は最小限に抑えるように試みるには、限定的ではないが、1つ以上の以下のことを含む様々な工程を取ることができる:血管とアクセスシステムの接合部で二重吻合を行うこと、流体シール装置をアクセスシステムの周囲に配置して、皮膚皮下組織への横方向の圧力を上げること、及び周囲の装置をシールして、バルーン制御装置の経皮的出口への圧力を上げることである。
開示するアクセス装置の幾つかの実施態様は、アクセス端に縫合用脚を有し、装置の使用の際に、血管と管腔との間の流体連通を提供する。アクセス装置は、装置及び管腔の支持、及び皮膚の貫通点、或いは血管の貫通点のシールを提供し、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避するためのスリーブを有する。アクセス装置は、1つ以上のコネクタ及び/又は1つ以上のエンドキャップでふたをされた1つ以上の流れポートを有する。1つ以上の流れポートを管腔内に挿入し、管腔に付着し、シールし、又は他の方法で結合して、様々な流れ、及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。コネクタは、外端でエンドキャップとアクセス装置を結合しやすくして、アクセス装置を保持構成内に配置し、使用しない場合に、管腔及びアクセス装置を通る流れが発生しない、又は実質的に発生しないようにする。アクセス装置、縫合用脚、管腔、スリーブ、1つ以上の流れポート、1つ以上のコネクタ、及び装置の1つ以上のエンドキャップを、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する任意の適した材料から構築することができる。アクセス装置にカニューレ状のプランジャシャフト及びスタイレットを装備することができる。摩擦の問題は、皮膚の境界を横断する(クランプオフに使用される)可撓性シリコーンセクションを有する装置によって低減することができる。次いでこのセクションは、プランジャとの締まり遊びばめを有する管のPTFEセクションに付着される。アクセス装置のヘッドは、プランジャシャフトを取り囲むシールシステムを有する。これは、プランジャがPTFEを通って引き込められ、シリコーンの遊びはめ状態になったときに、血液又は流体圧が装置から外に出るのが阻止されて、プランジャ先端部の下でクランプオフする時間が与えられることを指す。シールシステムはロックリング機構によって定位置に保持される。1つ以上のシールは、プランジャシャフト上の2つのピン及び1つのピンのキー溝システムを有することができ、それは、通常、装置が特定の方向に挿入されることを指す。この設計は、(Cook絞りシールを使用する)バルーンへの中央アクセスを有する特注の取り付け可能なポンプヘッドを有する。ポンプで送り出された戻り流はルアーフィッティングを使用して取り付けられる。
幾つかの実施態様では、角度を付けたプランジャではなく、形付けられた縫合用脚を使用して、角度を付けた吻合が用いられる。これは、他の構成要素のキーイング、及び方向付けが不要であることを指す。さらに、シール及び内部構成要素のサイズを縮小して、主本体の径を縮小し、装置が皮膚の近くにより快適に着座することができるようになされる。また、特定のプライマー材料を有する速硬化性の接着剤をシリコーンとPTFEの間に使用して、迅速なシール、非常に強靭な付着をもたらす。
開示するアクセス装置の幾つかの実施態様は、アクセス端に少なくとも1つの縫合用脚を有し、装置が使用されるときに、血管と管腔との間に流体連通を提供する。
アクセス装置の幾つかの実施態様では、プランジャ先端部と管のPTFEセクションとの摩擦が、リブを有するプランジャ先端部の設計の使用によってさらに改善され、シールが保持され、主アクセス管腔との接触面積、及び摩擦が最小限に抑えられる。こうした実施態様では、プランジャ先端部の修正によって摩擦の問題が克服され、PTFE前部管が必要になる。さらに、縫合用脚がePTFEから織物状Dacronに変更され、シリコーン接着剤を使用して、シリコーンクランプハウジングに接合しやすくなる。それによって、1つの重要な皮下の接合部が除去され、装置の使用に関連する危険性が低減される。
幾つかの実施態様では、約4mmのピッチ、及び約0.3mmのシリコーン管との干渉を有するリブを付けたプランジャ先端部が使用される。プランジャ先端部は平坦な面を有する。プランジャは、通常、先端部がシリコーンホースから約0.5mmだけ僅かに突き出るように設計される。第1のリブが約3mm近位に位置付けられ、リブが管の前部から外に不慮に押し出される可能性が最小限に抑えられる。ポリエステルの縫合用脚はePTFE、又は織物状Dacronから作製される。脚は、管の開通性を向上させ、伸長特性を向上させるように波形管にけん縮された、織物状ポリエステルを有する標準の血管移植片を使用する。所望の場合は、シリコーン管の外側に沿った金属補強ストラットを使用しなくてもよい。こうした実施態様では、プランジャ先端部との大きい摩擦によって管が伸長される問題が、リブを付けたプランジャ先端部の設計によって緩和される。感染カフが装置の脚端に向けて移動される。2つのシール可能なポートを有する追加のコネクタが流体流ルアーフィッティングと共に含まれる。それによって、戻り流体に加えて、圧力変換器又は血管造影用バルーンなど第2のバルーンへの追加のアクセスを有するバルーンシステムが可能になる。
開示する実施態様で使用されるプランジャシャフトを幾つかの材料で作製することができる。例えば、限定的ではないが、PTFE、他のプラスチック、金属、又はそれらの組み合わせである。一部の態様では、プランジャシャフトを十分に硬くして、治療中に必要に応じて挿入し、引き込め、挿入中に伝えられる長手方向の力に耐えることができるようにする必要がある。一部の態様では、プランジャシャフトはカニューレ状である。一部の態様では、プランジャシャフトの遠位端は、結合部をアクセス装置のヘッドの他のフィッティングに固定するためのロック機構を有する。例えばルアーロック機構など、多くのロック機構を使用することができる。一部の態様では、プランジャシャフトの外径をプランジャ先端部の外径よりも小さくすることができる。これは、生理食塩水/ヘパリン溶液の全流量をプランジャ先端部の背後に戻すことができるようにするのに有用である。一部の態様では、プランジャシャフトは、遠位端に切欠きを有して、無菌液を装置に逆流させ、溶液を排出して、アセンブリに圧力を加えないようにすることができる。一部の態様では、プランジャシャフトは、十分に平滑な表面を有して、シャフトのシールとの良好な界面が生成されるようにすることができる。一部の態様では、プランジャシャフトは、プランジャシャフトが過剰に遠くまで挿入されるのを阻止する肩部を有する。一部の態様では、プランジャシャフトは、取り外しツールを結合できるようにする肩部を有することができる。一部の態様では、プランジャシャフトは、交換可能なプランジャ先端部を簡単に結合できるようにするねじ式端部を有することができる。他の結合手段を使用することもできる。
開示するアクセス装置の幾つかの実施態様では、バリア材料又はカフがアクセス装置の遠位領域に含まれる。このバリア又はカフを幾つかの材料から作製することができ、機械的或いは化学的手段を使用してハウジングに取り付けることができる。例えば、織物状又はフェルトのePTFE、或いはDacronを幾つかの態様で使用することができる。一部の態様では、バリアは、ハウジングの周囲のバンドの形状であり、生体適合性接着剤を使用してハウジングに取り付けられたDacronで作製される。一部の態様では、接着剤は、Dacronとハウジングとの間に、感染経路、或いは実質的な感染経路が存在しないように、連続的な、又は実質的に連続的な付着を行うことが望ましい。一部の態様では、接着剤が装置の可能な引き抜きから生じる力に対する十分な抵抗力を有して、移植された場合に、Dacronフェルトカフ及び周囲の組織が吻合を保護することが望ましい。例えば、NuSil Med1134、又はNuSil MED6-6606分散を使用することができる。一部の態様では、装置を移植したときに、バリア又はカフが皮下に配置されるように、バリア又はカフをハウジング上に配置する。カフ又はバリアは感染に対するバリアを提供し、組織が成長することができるようにする。一部の態様では、感染に対する十分なバリアが提供されるように、バリア又はカフを十分に幅広にすることができる。例えば、3から14mm、4から12mm、5から10mm、又は7から9mmである。一部の態様では、1つ、2つ、又は3つのバリア或いはカフを使用することができる。一部の態様では、バリア又はカフが互いに重ねられず、バリア又はカフの間に間隔が設けられる。
開示するアクセス装置の幾つかの実施態様では、装置は、組み込まれた追加のシールシステム、又は第2のシールシステムを有することができる。こうした第2のシールは、第1のシール(プランジャ)を装置のハウジング内に引き込めて、漏れをなくし、又は実質的に低減して、ハウジングをクランプできるようにする。幾つかの態様では、第2のシールは、プランジャシャフトとの実質的に低摩擦の相互作用を有することができる。第2のシールを、様々なプラスチック、シリコーン、又はそれらの組み合わせなど、任意の許容され得る材料で作製することができる。一部の態様では、使用される材料は、シールが座部及びシャフトと一致して、十分なシールを提供することができるように、十分低い硬度を有することができる。一部の態様では、使用されるシールは、3から15%、4から12%、又は6から10%の圧縮に耐えることができなければならない。
幾つかの実施態様では、アクセス装置から、流体を移動させるポンプ又は他の装置への結合部は、例えばフィッティングに対するロックリングなど、装置で使用されているのと同じ結合方法を使用することができる。一部の態様では、ポンプハウジング又はコネクタは、カテーテルの漏れのない挿入を可能にすることができる。一部の態様では、ポンプハウジング又はコネクタは、血液又は流体が体外ポンプから吻合部位に流入できるようにすることができる。一部の態様では、血液若しくは流体の経路のうっ血領域を最小限に抑え、或いは実質的に最小限に抑え、かつ血栓の形成を防止し、或いは実質的に防止することが望ましい。一部の態様では、血液、若しくは流体の経路の、血液、若しくは流体の衝撃を最小限に抑え、或いは実質的に最小限に抑え、かつ溶血を防止し、或いは低減することが望ましい。一部の態様では、ポンプコネクタ戻りシステムは、同様の機能及び特性を有するべきである。一部の態様では、戻りがアクセス装置に接線方向であり、又は実質的に接線方向であり、血栓形成を引き起こす恐れがある停滞流の領域を回避するように、血液或いは流体の戻りを構成する。
一部の実施態様では、例えば図47で示したようなシール部材(ダックビル弁)を使用することができる。他のシール部材を、逆止め弁、及び/又は流量制御弁など幾つかの実施態様で使用することができる。一部の態様では、選択された弁が、流体が一方向にだけ流れることを可能にし、又は実質的に可能にすることが望ましい。一部の態様では、(例えばダックビル弁で)流体自体を使用して、又は、ばね弁、及び/或いは逆止め弁など他の弁構成を使用して、流体が一方向だけに流れ、流体が逆方向に移動するのを阻止することが可能な、又は実質的に可能な望ましい手段から、シール部材を選択することができる。一部の態様では、シール部材を、流体が一方向だけに流れ、かつ流体が逆方向に移動するのを阻止することが可能な、又は実質的に可能な、任意の望ましい手段から選択することができる。シール部材を、例えばシリコーンなど、本明細書に記載した任意の適した生体適合性又は非生体適合性の材料から構築することができる。多くの適した弁構成を使用することができる。一部の実施態様では、ダックビル弁は、ダックビル弁が挿入された部分を通る逆流を阻止し、又は制限し、ダックビル弁のローブを通るようにねじ込むことができるバルーンカテーテルに、管腔へのアクセスを提供することができる。ダックビル弁のリーフレットは、バルーンカテーテルなどの周囲に完全に、又は部分的に形成されて、関連するアクセスポートを通る漏れ、或いは逆流を制限することができる、適した材料を含むものでもよい。一部の態様では、シールは閉鎖中に、例えば、80から500mmHg、100から300mmHg、100から200mmHg、200mHgまで、300mmHgまで、又は400mmHgまでの全動脈圧に耐えることができなければならない。一部の態様では、シールは、挿入されるカテーテルによって開放された場合に、全ポンプ圧に対するバックアップシールを提供し、漏れ流れをさらに制限する。
本明細書のシステム、方法、及び装置を幾つかの他の構成要素と共に使用することができる。一態様では、開示する実施態様を使用して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、1つ以上の上記の組み合わせを循環させる。様々なポンプ構成要素、又は他の流体移動装置を使用して、様々な圧力構成が可能である。幾つかの態様では、1つの圧力範囲から他の圧力範囲に、かつ前後に、又は一連の圧力範囲から切り替えることも望ましい。例えば、幾つかの治療では、高圧から低圧に、ときには圧力範囲の間で前後に移動することが望ましい。低圧力とは、身体に送達されるものによって測定したときに、70mmHgから120mmHg、85mmHgから130mmHg、85mmHgから110mmHg、又は90mmHgから120mmHgを指す。高圧力とは、身体に送達されるときに、200mmHgから500mmHg、200mmHgから400mmHg、200mmHgから300mmHg、220mmHgから350mmHg、又は250mmHgから340mmHgであることを指す。他の圧力範囲、70mmHgから500mmHg、110mmHgから250mmHg、120mmHgから200mmHg、又は120mmHgから160mmHgでの送達も可能である。所望の治療圧を得るために、ポンプ又は流体移動装置の圧力設定を変えて、所望の治療圧を身体に与えることができる。流体或いは血液ポンプ、又は流体若しくは血液を移動させることができる他の装置を使用することができる。使用することができるポンプの例には、回転ポンプ、ローラポンプ、脈動ポンプ、無脈動ポンプ、又はそれらの組み合わせが含まれる。さらに、上記の治療圧を1分当たり10mlから1400ml、1分当たり5mlから40ml、1分当たり10mlから25ml、1分当たり25mlから1000ml、1分当たり50mlから1200ml、1分当たり10mlから180ml、1分当たり100mlから250ml、1分当たり140mlから500ml、1分当たり100mlから800ml、1分当たり500mlから1400ml、の流量と組み合わせることができる。所望の治療圧及び流量は行われる治療に依存する。
幾つかの実施態様では、ベースラインの血液又は流体の圧力が、定位置のアクセスシステムで時々測定される。その後、システムを使用して、血液又は流体の圧力を上昇させて、治療される領域を治療又は過灌流する。治療は、過灌流だけでもよく、又は他の治療と組み合わせることもできる。例えば、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は上記の1つ以上の組み合わせである。治療手順は、所望の治療に応じて変えることができる。行われる治療によって正確な組み合わせが幾らか決定される。例えば、限定的ではないが、過灌流の自動的なオンとオフ、1セッションの過灌流、過灌流なしで、過灌流と組み合わせて、又は過灌流の期間の合間の、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は1つ以上の上記の組み合わせの追加を含むことができる。正確な組み合わせは変わるが、アクセス装置が温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系への間欠的かつ周期的アクセスを提供できることが有利であることが多い。
この治療又は過灌流を選択した期間にわたって行うことができ、アクセス装置の温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的アクセスを提供する能力を使用し、治療の指示に従って繰り返すことができる。幾つかの態様では、過灌流をある期間しばしば実行し、次いである期間停止することができる。所望の治療では、しばしば、治療又は過潅流の期間の回数、及び長さ、並びに治療及び過灌流治療の合間の休止期間が指示される。例えば、治療又は過灌流を患者に4から12時間行い、次いで4から12時間停止し、次いで必要に応じて4から30時間繰り返し、その後、4から12時間などの期間にわたって停止し、また必要に応じて10から30時間繰り返し、次いで4から48時間停止し、次いで必要に応じて10から36時間繰り返し、次いで4から24時間停止し、次いで必要に応じて繰り返すことができる。幾つかの実施態様では、本明細書に開示するように、ヒト患者に過灌流を5から30時間、10から25時間、5から25時間、又は10から20時間にわたって処置し、次いで5から15時間、又は5から10時間の治療の休止を与え、次いで必要に応じて追加の回数だけ治療を繰り返す(例えば、1回、2回、3回、又は4回の追加の処置を繰り返す)ことができる。幾つかの治療では、ヒト患者は、治療の間に6から10時間の適切な治療の休止を入れて、20から30時間の治療を1から3回受ける。治療期間は、1日から28日、3日から6日、3日から10日、4日から7日、又は特定の治療に必要とされるだけ延長することができる。治療をこれよりも長い期間にわたり休止することができる。幾つかの実施態様では、治療を4から12時間、又は所望の治療期間だけ行い、次いで2時間から40日間、12時間から20日間、1日から22日間、2日から10日間、3日から15日間、5日から26日間、8日から15日間、又は他の所望の期間にわたり休止することができる。装置は28日間の使用が認められており、それは治療を26日まで停止することができることを指す。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの治療期間が少なくとも1つの非治療期間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも2つの治療期間が少なくとも1つの非治療期間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも3つの治療期間が少なくとも2つの非治療期間と組み合わされる。他の変形態様も企図される。治療又は過灌流が停止される期間中、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は上記の1つ以上の組み合わせを供給することを望む場合は、なお可能である。例えば、抗生物質又は生理食塩水の点滴である。アクセス装置、方法、及び/又はシステムを使用する治療と、限定的ではないが、注射、経口薬物投与、放射線など、他の治療を組み合わせることも可能である。過剰に長い期間にわたる治療又は過灌流の一懸念は、血餅が発生する恐れがあることである。従って、一部の態様では、血餅が発生する可能性を低減する薬物又は薬剤の使用が望ましい。開示する実施態様の多くの利点の一つは、治療が、要望通りにある期間及びプロトコルにわたって行われ、停止されるときに、アクセス装置のハウジング及び他の部分が定位置に存在することである。さらに、血液又は流体の圧力を要望通りに調整し監視することもできる。血液又は流体の圧力を、測定されたベースラインの血管内の血液又は流体の圧力よりも、約10%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%以上、上昇させることができる。
この治療(薬物治療、過灌流治療、又はそれらの組み合わせなど)を温血動物への間欠的かつ周期的なアクセスを提供できるアクセス装置の能力を使用して、治療の指示に従って、選択された期間にわたり行うことができ、繰り返すことができる。幾つかの態様では、該治療は、しばしば、ある期間にわたって行われ、ある期間にわたって停止される。所望の治療では、治療の回数、及び長さ、並びに治療の合間の休止期間が指示されることが多い。例えば、治療を患者に4から12時間行い、次いで4から12時間停止し、次いで必要に応じて4から30時間繰り返し、その後、4から12時間などの期間にわたって停止し、また必要に応じて10から30時間繰り返し、次いで4から48時間停止し、次いで必要に応じて10から36時間繰り返し、次いで4から24時間停止し、次いで必要に応じて繰り返すことができる。幾つかの実施態様では、本明細書に開示するように、温血動物を、5から30時間、10から25時間、5から25時間、又は10から20時間にわたり治療し、次いで5から15時間、又は5から10時間の治療の休止を与え、次いで必要に応じて追加の回数だけ治療を繰り返す(例えば、1回、2回、3回、又は4回の追加の処置を繰り返す)ことができる。幾つかの治療では、温血動物は、治療の合間に6から10時間の適切な休止を入れて、20から30時間の治療を1回から3回受ける。治療期間は、1日から28日、3日から6日、3日から10日、4日から7日、又は特定の治療に必要とされるだけ延長することができる。治療をこれよりも長い期間にわたり休止することができる。幾つかの実施態様では、治療を4から12時間、又は所望の治療期間だけ行い、次いで2時間から40日間、12時間から20日間、1日から22日間、2日から10日間、3日から15日間、5日から26日間、8日から15日間、又は他の所望の期間にわたり休止することができる。装置は28日間の使用が認められており、それは治療を26日間まで停止することができることを指す。幾つかの実施態様では、少なくとも1つの治療期間が少なくとも1つの非治療期間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも2つの治療期間が少なくとも1つの非治療期間と組み合わされる。幾つかの実施態様では、少なくとも3つの治療期間が少なくとも2つの非治療期間と組み合わされる。他の変形態様も企図される。例えば、非治療期間中、薬物、治療薬、他の薬剤、又はそれらの組み合わせをアクセス装置によって温血動物に与えることができる。治療が停止される期間中、所望の場合は、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は上記の1つ以上の組み合わせを供給することがさらに可能である。例えば、抗生物質、又は生理食塩水の点滴である。アクセス装置、方法、及び/又はシステムを使用する治療と、限定的ではないが、注射、経口薬物投与、放射線など、他の治療を組み合わせることも可能である。過剰に長い期間にわたる治療又は過灌流の一懸念は、血餅が発生する恐れがあることである。従って、一部の態様では、血餅が発生する可能性を低減する薬物又は薬剤の使用が望ましい。開示する実施態様の多くの利点の一つは、アクセス装置のハウジング及び他の部分が定位置に存在するため、治療を、要望通りにある期間及びプロトコルにわたって行い、停止することができることである。さらに、血液又は流体の圧力を要望通りに調整し監視することもできる。血液又は流体の圧力を、測定された血管内の血液又は流体のベースラインの圧力よりも、約10%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%以上、上昇させることができる。
幾つかの態様では、治療システム中に循環される血液或いは流体を濾過する機器を使用し、又は追加することが望ましい。幾つかの態様では、膜型又は気泡型の酸素化装置など血液酸素化装置、温熱治療機器、温熱機器、透析機器、動脈又は静脈の血液試料を採ることができるようにする装置、監視機器、濾過機器、(例えば、心臓の適用例では、心臓が拍動するたびにバルーンを収縮させることができ、心臓が休止するたびにバルーンを膨張させることができる)心臓に適用するためのカウンターパルセイション装置、或いはバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、様々な機器を制御或いは監視するためのコンピュータシステム、外部の管、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈、又は他の血液監視装置など、血液監視装置、サンプリング装置、(生理食塩水、或いはデキストロースの点滴など)栄養素供給装置、(例えば、化学及び物理フィルタを含む)血液或いは流体清浄若しくは洗浄装置、血液温度制御装置、又は他の適した装置、或いはそれらの組み合わせを使用し、又は追加することが望ましい。幾つかの態様では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又は流体から除去することができる装置或いは機器を追加し、又は使用することが望ましい。
他の態様は、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと、少なくとも1つの生体適合性バルーンを含み、下大静脈を通る流れを実質的に閉塞することなく、肝静脈流を収集することができ、又は実質的に収集することができ、上記のアクセスシステムの実施態様と適合性がある、バルーンカテーテルシステムとの組み合わせを含む。この適用例では、アクセスシステムは、通常、カテーテルを受けるように十分大きく、少なくとも2つの隔離バルーンの間に負圧を生成し、その負圧下でつぶれないように十分硬く、下大静脈流を妨げない、又は実質的に妨げないように、十分大きい断面径を有する管を通る流れを有する。例えば、図23、24、及び25に開示されたシステムを参照されたい。これは、装置が肝臓から流出する血液を収集できるようにし、バルーンカテーテルが下大静脈内の流れを妨げないようにする形状によって可能になる。
周知の膨張可能なバルーンの一欠点は、それらが幾つかの方法で機能不全になる恐れがあることである。例えば、自然に起きる収縮、破裂、血管壁との衝突、及び長期にわたる過剰な膨張が、血栓による内部損傷、及び/又は内部過形成を引き起こす恐れがある。幾つかの実施態様では、流れを再方向付けする手段としてのバルーンを回避するため、生体適合性へら形装置を使用することができる。一部の実施態様では、こうしたへらが二重D流入/流出管の流入部と流出部との間に存在してもよく、低圧側と高圧側を隔離して血管を閉塞し、又は実質的に閉塞することができる。代替実施態様は、L形ロッドの外部排除装置である。アクセスシステムに近接すると、血管の高圧部分と低圧部分が分離される。他の実施態様では、システムを挿入人工移植片(interposition prosthetic graft)と共に使用して、血管壁の回帰移動、及び分離装置の閉塞による損傷の可能性を回避することができる。
本明細書に開示する幾つかの実施態様は、身体の標的領域に流入し、かつそれから流出する血液など流体の体積を制御できるようにするものである。本明細書に開示するカテーテル及びバルーンの様々な配置及び構成は、1つ以上の臓器、1つ以上の肢、又は1つ以上の身体部分の循環系に供給し、それを隔離することができるシステム及び装置を提供するものである。血液の代わりに、生理食塩水、血漿、合成及び/又は天然の血液製剤、幾つかの他の治療法、又は上記の組み合わせを使用することができる。こうしたシステムは、1つ以上の臓器、1つ以上の肢、又は1つ以上の身体部分から、循環流入を取り出し、かつ/又は循環流出を取り出し、それによって温血動物の循環系の一部を残りの循環系から隔離することができるようになる。幾つかの態様では、開示するシステムは標的領域への流入だけを隔離できるようにする。こうしたシステムを身体の循環系の多くの部分で使用することができる。通常、こうしたシステムは動脈での使用が望ましい構成である。具体的には、このシステムはある程度遮断された動脈で使用されるのが望ましい構成である。遮断された動脈に関連することが多い、身体の一部への動脈流入が不十分である、多くの疾患がある。一般的な例は、虚血性心疾患又は血栓性卒中、虚血性末梢血管疾患、(壊疽と関連することが多い)血管不全、及び血管性インポテンス(vasculogenic impotence)である。一利点は、アクセスシステムの一部の実施態様によって、末梢の血流量を増加させて、心送血量よりも多くなるようにすることができ、それによって、内皮のせん断応力が増し、実際に、新しい血管が成長することである。上記及びその他の疾患を、開示するシステム及び装置の様々な実施態様を使用して治療することができる。温熱療法、高濃度酸素投与(hyperoxygenation)、及び細胞毒性薬を含む血清の廃棄など、追加の処置を、本明細書の幾つかの実施態様などの細胞保存(cell saving)システムを使用して行うこともできる。
開示する幾つかの実施態様は、動脈と静脈の両方の循環が残りの循環系から隔離された状態の、身体の完全に隔離された領域に流入し、かつ/又はそれから流出する血液又は他の流体の体積を制御できるようにするものである。身体の一領域を隔離し、その隔離した領域に流入し、かつ/又はそれから流出する血液或いは他の液体の流量を制御することが望ましい多くの疾患、或いは他の治療状況がある。こうした治療状況又は疾患の一般的な例は、新形成異常、感染症、及び変性疾患である。開示するシステム及び装置の様々な実施態様を使用して、こうした状況を治療することができる。さらに、開示する実施態様を使用して、特定の領域の隔離の程度を、完全な隔離から、隔離が完全ではない様々な状況まで制御することができる。開示する実施態様を使用して、こうしたシステム及び装置で、特定の領域を所望の程度に実質的に隔離し、又は部分的に隔離することもできる。所望の場合は、治療の様々な時点で隔離の程度を変更することもできる。全体の隔離は、1つ以上の臓器、1つ以上の領域、1つ以上の肢、又は1以上の身体部分への、かなりの流体或いは血液の流量の大部分の、直接若しくは間接的な制御として定義される。結果として生じる病状に関連して、任意の臓器又は身体部分への流入が減少することがある。開示する末梢アクセスシステムの幾つかの実施態様は、何日も、何週間も、何カ月にもわたり、動脈及び静脈に間欠的にアクセスして、循環系による正常な動脈の供給よりも供給を増加させ、必要に応じて、静脈の輸出を取り除くことができるようにする。装置を体内に外科的に挿入する必要なく、循環系に長期間にわたり複数回アクセスすることによって、要望通りに治療を継続し、中断することができるようになる。このアクセスは、治療手順及びプロトコルに柔軟性を与える。本明細書に開示する幾つかの方法、システム、及び装置は、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に同時に、又は別々に、間欠的かつ周期的にアクセスできるようにする。幾つかの実施態様では、流量の測定が有用である。実施態様及び用途によって、流量は、例えば、限定的ではないが、1分当たり10mlから1400ml、1分当たり5mlから40ml、1分当たり10mlから25ml、1分当たり25mlから1000ml、1分当たり50mlから1200ml、1分当たり10mlから180ml、1分当たり100mlから250ml、1分当たり140mlから500ml、1分当たり100mlから800ml、1分当たり500mlから1400mlに変化する。所望の流量は行われる治療に依存する。一部の態様では、薬物治療は比較的小さい流量でもよいが、必ずしもそうではない。一部の態様では、過灌流は比較的大きい流量であるが、必ずしもそうではない。一部の態様では、治療中に流量を変えることが望ましい。
過灌流、及び隔離した過灌流によって、標的の1つ以上の領域、1つ以上の肢、1つ以上の臓器、又は1つ以上の身体部分への血流量及び血圧が、身体によって供給される流入圧よりも上がる。本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用して、所望の治療領域への間欠的かつ周期的なアクセスが可能になる。幾つかの実施態様では、本明細書に開示するシステムを間欠的かつ周期的なアクセスに使用し、過灌流を使用して、例えば、本明細書に開示する、末梢静脈疾患、及び他の疾患など幾つかの疾患を治療することができる。さらに、開示するシステム、方法、及び/又は装置の使用により、血管の側副成長がより良好に制御されるようになり、壁の張力、及び血管のせん断応力の強化の効果が調整される。末梢の抵抗が減少するに従って、所望の体積の流量の維持に必要な圧力が低下する。長期間にわたり流量及び圧力特性を連続して調整する能力により、より有効な治療、又は過灌流治療が可能になる。開示する過灌流システム、方法、及び装置は、血管壁への圧力をあまり上げずに、血管を通る流量を増加させることになる。開示する過灌流の実施態様は、血管内の平滑筋細胞を連続して拡張させ、それによってさらに脈管形成を回復させ、促進する助けになる。脈圧のより良好な制御を行うこともでき、治療の進行に従って、脈圧が低下する傾向がある。一部の態様では、治療中に、脈圧がゼロに向かい、又は近づく傾向がある。
幾つかの実施態様では、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと、特定の血管枝の過灌流が可能であり、又は実質的に可能であり、スループットカテーテルが末梢の領域、臓器、或いは肢に、正常な、又は実質的に正常な流量の供給を行うことができるようにするバルーンカテーテルシステムとの組み合わせが開示される。幾つかの態様では、開示するシステムは、特定の血管枝の過灌流が可能であり、又は実質的に可能であり、カテーテルが、末端の臓器、或いは肢に、正常な、又は実質的に正常な流量の供給を行うことができるようにし、システムが、70mmHgから500mmHg、70mmHgから120mmHg、70mmHgから90mmHg、90mmHgから500mmHg、200mmHgから400mmHg、又は80mmHgから200mmHgの治療圧に耐えることができることが望ましい。
幾つかの態様では、バルーンカテーテルシステムが本明細書に開示するアクセス装置と適合性があることが望ましい。特定の側枝の灌流又は過灌流の特定の例は、(左及び右の内胸動脈、又は移植片としても知られている)左、或いは右の内乳動脈、又は移植片の、灌流又は過灌流である。こうした動脈は動脈壁痙攣(血管痙攣)によって狭窄する恐れがある。これを、血管の局所狭窄の「索状サイン」として、X線診断で見ることができる。アクセス装置によって血管拡張薬と組み合わせた、特に乳動脈のパンサイクルの最高収縮期の過灌流はこの問題を治療する有効な方法である。内乳動脈が開通しており、正常に機能しても、冠動脈内への高濃度の注入は治療的価値があることが知られている。しかし、所与の全身のパンサイクルの最高収縮期の過灌流が血管収縮を向上させても、それが末梢虚血、潰瘍形成、壊疽、及び切断に至る可能性がある。肢の腫瘍(例えば骨原性肉腫)によって、治療薬の過灌流が腫瘍を有する主動脈の隔離されたセグメントに向けられると、その領域の薬剤濃度が高くなる。こうした腫瘍に流れる動脈流は複数源から流入することが多いため、従来の直接のカニューレ挿入が不可能であり、特定のカニューレ及びアクセス装置による局所灌流又は過灌流は主な利点である。例えば、図26に開示されたシステムを参照されたい。
隔離過灌流を使用して、1つ以上の肢、1つ以上の臓器、1つ以上の領域、又は1つ以上の身体部分の血流量及び血圧を、身体によって供給される入流圧よりも高くすることができる。全身性高血圧は、臓器、特に脳、腎臓、及び心臓など影響を受けやすい臓器に急性及び慢性の障害を引き起こすことが知られている。他の領域への損傷を回避するため、臓器への血液供給を残りの脈管系から隔離することができる。アクセスシステムと組み合わせたバルーンカテーテルシステムを急性又は慢性の用途に使用することができ、必要なだけ頻繁に長い間繰り返すことができる。開示するように、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈及び/又は静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと、アクセスシステムへの血液供給の入り口側と出口側に延びる特定の長さを有し、脳又は膵臓など、特定の臓器の過灌流が可能な、又は実質的に可能な、少なくとも1つのバルーンカテーテルシステムを組み合わせる。一部の腫瘍では、アクセス装置に取り付けることができる複数アクセスヘッドによって、複数の血管セグメントを完全に、又は実質的に完全に閉塞し、又は制御可能にすることができるようになる。例えば、上膵十二指腸動脈から血液供給を受ける膵頭部の癌腫を、バルーンカテーテルを上膵十二指腸動脈内の末梢に配置して、脾臓及び膵体部への治療薬が希釈されるのを防ぎ、同時に、上膵十二指腸動脈の開口部に近位の動脈を別のバルーンカテーテル又は他の閉塞部材で閉塞し、制御することによって、治療することができる。次いで、治療薬をバルーンカテーテルと閉塞部材との間のセグメントに灌流又は過灌流することによって、治療薬を膵頭部に選択的に投与することができる。幾つかの実施態様は、アクセスシステムへの血液供給の入り口側及び出口側に延びる特定の長さを有し、脳又は膵臓など特定の臓器の過灌流が可能、又は実質的に可能である。幾つかの態様では、脳の治療に適合された一部のシステムは、70mmHgから200mmHg、100mmHgから180mmHg、120mmHgから170mmHg、90mmHgから170mmHg、又は80mmHgから200mmHgの治療圧に耐えることができることが望ましい。幾つかの態様では、肢又は臓器の治療に適合された開示のシステムの一部が、70mmHgから500mmHg、70mmHgから350mmHg、70mmHgから150mmHg、200mmHgから500mmHg、200mmHgから400mmHg、100mmHgから300mmHg、120mmHgから200mmHg、又は120mmHgから160mmHgの治療圧に耐えることができることが望ましい。
本明細書に開示する幾つかの実施態様は、同時の動脈及び/又は静脈へのアクセス、及びアクセスシステムが閉鎖される治療の合間の血液供給の正常化を可能にする。こうした状況下で、動脈系及び/又は静脈系を制御し、必要に応じて時々体循環系から隔離することができる。
幾つかの態様では、流体又は血液を心周期中に100mmHg、I50mmHg、200mmHg、又は250mmHgよりも高い圧力で注入することができる末梢アクセスシステムで、間欠的かつ周期的な局所過灌流を行うことができる。他の実施態様では、圧力は、70mmHgから500mmHg、70mmHgから350mmHg、70mmHgから150mmHg、200mmHgから500mmHg、200mmHgから400mmHg、100mmHgから300mmHg、120mmHgから200mmHg、又は120mmHgから160mmHgである。幾つかの実施態様では、灌流過程を所望の期間にわたり繰り返すことができ、かつ要望通りに繰り返すことができる。例えば、治療又は過灌流を患者に4から12時間行い、次いで4から12時間停止し、次いで必要に応じて4から30時間繰り返し、その後、4から12時間などの期間にわたり停止し、また必要に応じて10から30時間繰り返し、次いで4から48時間停止し、次いで必要に応じて10から36時間繰り返し、次いで4から24時間停止し、次いで必要に応じて繰り返すことができる。治療又は過灌流が停止される期間中、所望の場合は、なお治療薬を投与することができる。幾つかの実施態様では、開示のシステムは、バイパス、動脈血管内膜切除、交感神経切除又は薬理処置など他の治療が適切でないと考えられる、小さい血管疾患を有する虚血性肢の治療に適している。この問題は糖尿病に一般的である。幾つかの実施態様の利点は、切断の必要性が回避され、又は制限されることである。上記の利点の他に、幾つかのシステムを使用し、開示の閉塞部材を使用して、肢又は臓器を同時に灌流することができる。
例えば、図37〜43、及び56〜59に、開示のシステムを使用した、ヒト患者の壊疽を有する小血管疾患の隔離過灌流に対する反応が示されている。この治療では、80ml/分(静止)から350ml/分に肢の血流を増加させるのに、約300mmHgのパンサイクル流入圧が必要であった。100mmHgの平均静止圧が心臓によって生成された。53時間の間欠的な隔離過灌流の後、体外ポンプから350ml/分を生成するのに必要とされた圧力は単に110mmHgであり、すなわち正常な心臓の動作に非常に近いものであった。患者は、隔離過灌流の前に最初に勧告された下腿切断が不要になり、流れが増加するとすぐに、休息痛及び感覚異常の症状が消えた。
開示のシステム、方法、及び装置の幾つかの実施態様の一利点は、アクセス装置を7日間、15日間、28日間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、又は6カ月間までの所望の期間、或いは延長期間にわたり身体内に置いておくことができることである。他の実施態様では、装置を身体内に、患者に実質的に悪影響を与えることなく、1日から7日間、2日から6日間、3日から6日間、1週間から4カ月間、1週間から3カ月間、1週間から2カ月間、2週間から4カ月間、2週間から3カ月間、2週間から2カ月間、3週間から4カ月間、又は3週間から2カ月間にわたり置いておくことができる。
脚の通常の治療では、ポンプ流量を圧力300mmHgで500ml/分で開始し、次いで血管がリモデリングすると、圧力が110mmHgの正常な心臓圧力に下がり、流れが500ml/分で維持され、かなり大きい径の血管になり、より多くの血液が血管を流れるようになる。従って、システムは、過灌流に必要な圧力及び体積を監視できるようにし、治療時間にわたり圧力を下げる必要があるため、治療が完了したと考えられるまで、過灌流圧力を上昇又は低下させることができる。
得られた結果の成功を計る他の方法は、足関節上腕血圧比(ankle brachial index)(ABI)などの使用である。足関節上腕血圧比(ABI-くるぶしの血圧を腕の血圧で割り算したもの)は末梢血管疾患の診断に使用される一般的な方法である。ABIは、くるぶしの動脈圧の腕の上腕動脈圧に対する比として説明することができる。正常な個人では、脚の収縮期圧が腕で見られる収縮期圧と同じ、又はそれよりも僅かに高く、1或いは1よりも大きいABIが得られる。約0.4から0.9の読取りは典型的に間欠性跛行が存在することを指す。0.25から0.4の読取りは、典型的に休息痛が存在することを指し、0.25未満の読取りは、典型的に潰瘍及び/又は壊疽を指す。通常、虚血性の肢の疾患を有するヒトでは、ABIが概ね0.9未満であり、0.5あたりであることが多い。0.5のヒトは、通常、その肢に痛みを感じる。典型的に切断が考えられる肢では、運動中のABIが0.2未満である。しかし、糖尿病の肢では、罹患肢の動脈硬化及び非圧縮性のために、ABI測定値が不正確であり、不当に高い測定値が得られる。幾つかの実施態様を使用すると、治療後にABIを10%、30%、50%、80%、120%、200%、250%、300%、400%、又は500%より大きく向上させることができる。ABIは末梢の血圧であり、従って血流である。しかし、一部の患者、特に糖尿病患者では、動脈硬化のためにABIが測定不可能である。ABIを補うため、レーザドップラーを使用して、試料領域の血流を測定することができる。サーモグラフィが皮膚の血液及び肢の生存度の正確な測定を行うことができることも実証されている。幾つかの実施態様の使用による改善を造影剤を使用して測定することもできる。表層の流れの改善を、サーモグラフィを使用して、治療前と後の皮膚温度の比較によって測定することもできる。
幾つかの実施態様では、比較的高い圧力が不要な、循環系へのアクセスを提供することが望ましい。例えば、治療法の送達が望まれる治療である。幾つかの実施態様では、例えば、高圧から低圧に切り替え、また高圧に戻り、又は低圧から高圧への切り替えなど、一圧力範囲から他の圧力範囲に切り替えることも望ましい。さらに、開示の実施態様を使用して、大量の血液及び酸素を身体の標的部位に送達する超収縮期圧を与えることができる。
また、幾つかの実施態様では、所望の場合、システムはスループットチャネルを含んで、末梢の非標的部分の通常の灌流を可能にすることができる。例えば、図7及び19を参照されたい。他の態様では、システムの一部の実施態様は、膜酸素供給器を含んで、酸素を付加し、又は十分な酸素化を維持することができる。他の態様では、細胞保存システムを使用して、毒作用を引き起こす恐れがある血清中の高濃度の治療薬など血液の他の成分を廃棄しながら、赤血球の保存を可能にすることができ、一部の実施態様は温熱システムを含むこともできる。例えば、シスプラチナムを使用して臓器の灌流を繰り返した後に、血清を除去し、かつ廃棄する細胞保存システムが、肝動脈及び上と下の腸間膜動脈へのアクセスの一部として望ましい。
他の態様では、カテーテルによる標的領域からの流出を回避できるようにするため、正常な静脈の出口が、静脈性高血圧を回避し、所望の血液を隔離及び/又は収集できるようにするスループットシステムが必要である。
他の態様では、上と下の腸間膜動脈、及び腹腔動脈の他の枝を間欠的に閉塞して、門静脈系を通る肝静脈流を減少させることが望ましい。幾つかの注入システムでは、アクセスシステムが、総大腿動脈、又は上肢、腋窩動脈に関与することが望ましい。静脈アクセスシステムは総大腿静脈に関与するものである。こうしたシステムの一利点は、繰り返し可能なアクセスである。他の利点は、治療に高濃度の治療薬を使用して、所望の細胞傷害効果をもたらし、毒性化学療法薬が全身の循環に漏れるのを制限し、又は実質的に制限し、脱毛症、胃腸の不調、及び骨髄低下を低減することができることである。こうした実施態様の他の利点には、カニューレ挿入によって動脈及び静脈の循環への損傷が低減され、又は最小限に抑えられること、及び心臓の致命的な結果を招く恐れがある、特に下大静脈の閉塞に関連する流れの変化が回避されることが含まれる。複数のアクセスポートの使用により、肝臓を隔離した場合に、上腸間膜動脈流入、並びに腹腔動脈の他の枝など、他の関連する血管を制御することができる。肝動脈による過灌流を使用することができる。すなわち、肝動脈を通る流れ及び圧力を増加することによって、毒性副作用がなく、注入時間を延長せずに、肝臓の完全な隔離が可能になる。
幾つかの実施態様では、本明細書に開示するアクセス装置は、体外ポンプと血管循環との間の接合部として働き、約28日間の移植期間にわたり身体の血管及び循環系に簡単に繰り返しアクセスすることができるようにする。アクセス装置を通る血液又は流体の流入と流出の両方が可能になる。一部の態様では、患者を約28日までの移植期間中に体外ポンプに繰り返し接続することができる。一部の態様では、装置が移植される期間中に患者が動くことができる。一部の態様では、ポンプによって生成される300mmHgまでの最高収縮期圧に耐え、過剰なせん断応力を生成することなく、400ml/分までの高流量が可能である。一部の態様では、外部と接続されない場合に、アクセス装置からの血液漏れが阻止され、又は実質的に低減される。一部の態様では、接続された場合に、血液の漏れが阻止され、又は実質的に低減される。一部の態様では、吻合部位の血液又は流体の乱れが許容され得るレベルに維持される。一部の態様では、かなりの溶血又は血栓の発生なしに、400mL/分までの高流量が可能である。一部の態様では、血栓又は塞栓が形成されにくい。一部の態様では、出口側が耐感染性であり、敗血症(全身感染)が防止される。一部の態様では、主動脈の簡単で、漏れのない、正確な吻合が可能である。一部の態様では、近位先端部の径が血管の大きさと適合性がある。一部の態様では、ISO10993により、28日間まで循環する血流と接触状態の外部連通装置に使用される材料が、生体適合性であり、所期の治療を受ける患者に適したものである。一部の態様では、ポンプからの高圧の戻り流によって生じる逆流が阻止される。一部の態様では、結合処置及び患者の運動中に取り外される危険性を最低限に抑えるように固定され、取り付けられ、又は構成される。一部の態様では、薬物、治療薬、及び他の診断材料(例えば血管造影剤)を注入することができ、材料は、使用される共通の薬物、治療薬、及び他の診断材料と適合性がなければならない。一部の態様では、もはや治療が必要でなくなった場合に、簡単に取り外すことができる。一部の態様では、限定的ではないが、プランジャ先端部及びプランジャシャフトシールを含む、プランジャアセンブリを定期的に変える必要がある。一部の態様では、装置が定期的に洗浄される。一部の態様では、ポンプシール構成要素、及び他の構成要素を使用後に毎回交換する必要がある。一部の態様では、コネクタ構成要素が、使用後に滅菌されるように構成される。一部の態様では、カテーテル及びポンプホースが使い捨て装置である。
上記に開示した治療の他に、開示する1つ以上の実施態様を使用して、広範な他の治療が可能である。本実施態様は、開示する特定の治療に限定されるものではなく、以下は単に例として提供するものである。
幾つかの実施態様を使用して、心臓の状態を治療することができる。幾つかの実施態様では、1つ以上のバルーンカテーテルのカウンターパルセイションを含むことによって、本明細書の過灌流バルーンシステム及び技法を変更することが望ましい。過灌流カテーテルが、十分大きい口径を有して、溶血を起こさずに、流れを生成し、正常よりも高い拡張期圧で、冠動脈流量を増加して、200ml/分を超えるようにすることが望ましいことが多い。幾つかの実施態様では、カテーテルの口径は、0.5mmから5mm、lmmから5mm、lmmから3mm、1.5mmから3.5mm、又は1mmから4mmである。通常、健康な人は250ml/分から800ml/分の血流量を有すが、この血流量はヒトによって変わる。一部の態様では、バルーンが上行大動脈を閉塞し、又は半閉塞して、大動脈弁とバルーンとの間のセグメントを閉鎖、又は実質的に閉鎖することができ、過灌流システムからの血液の唯一又は主な出口が冠動脈又は冠動脈バイパス移植片であることが好ましい。
動物実験では、大動脈基部の平均血圧が冠血流量を示す良い指数であり、冠動脈流に関連するものである。大動脈基部の平均血圧が増加すると、冠血流量が増加し、大動脈弁が損傷を受けていないと考えられる。カウンターパルセイション治療を使用し、心拍に対する大動脈内カウンターパルセイションバルーンの膨張の比を変えることによって(すなわち、1心拍ごとにバルーンの膨張が1回、2心拍ごとにバルーンの膨張が1回、3心拍ごとにバルーンの膨張が1回など)、又は大動脈内バルーンの膨張に使用されるヘリウムの体積を変えることによって、冠動脈流量を変えることができる。ヘリウムの体積を増加させるとバルーンの大きさが増大し、冠血流量が増加する。過灌流、カウンターパルセイション、及び圧力を冠血流量の指数として使用して、ハロタン吸入により、麻酔をかけたヒツジの心不全が誘導された。正常な対照のヒツジでは、大動脈基部の平均血圧は90mmHgであった。心不全が誘発されると、大動脈基部の平均血圧は30mmHgに低下する。大動脈基部のカウンターパルセイションだけで、血圧の平均値が45mmHgまで上昇した。過灌流とカウンターパルセイションを組み合わせると、大動脈基部の平均血圧は平均105mmHgに劇的に上昇した。さらなる実験により、血圧(すなわち、大動脈基部の平均血圧)を、必要に応じて過灌流ポンプ流量を変えることによって調整することができることが示された。
幾つかの実施態様では、カウンターパルセイションシステムは、心後負荷を低減することができる。すなわち、心臓が下行大動脈内のバルーンの収縮に加える圧力を低下させることにより、心血流量も増加する。一部の態様では、カウンターパルセイションだけの使用が治療的に有益である。カウンターパルセイション過灌流システムは、特に、治療抵抗性狭心症、手術不能の冠動脈疾患、うっ血性心不全、及び虚血性心筋症に多様に適用される。心筋梗塞の後の急性状態では、カウンターパルセイション及び過灌流を他の心臓治療薬と共に使用することができる。また、カウンターパルセイションと過灌流の組み合わせにより、一般に、患者からポンプを取り外す際に起きる合併症を克服する助けをすることができ、アクセスシステムを鼠径部又は腋窩から使用することができ、例えば、大動脈弁の手術など、システムを通常の体外バイパスの一部として使用することができ、次いで、心房-大腿バイパス(atrio-femoral bypass)にアクセスし、長期間の間欠的カウンターパルセイション過灌流を心臓移植へのブリッジとして使用することができる。システムを組み合わせる利点は、過灌流によって冠動脈に生じるせん断応力が側副成長を促進することである。
幾つかの実施態様では、心電図ECGのR波を使用して、冠動脈又は冠動脈バイパス移植片への脈動過灌流(pulse hyperperfusion flow)を開始することによって、冠動脈流量を増加させることができる。大動脈基部への流量の増加は拡張期に起き、それによって収縮期の外部ポンプに対する心臓のポンピングを回避することができる。こうした実施態様では、後負荷が低減されるため、大動脈弁への圧力増加に関連する大動脈弁閉鎖不全の危険性が低減される。幾つかの実施態様では、過灌流及びカウンターパルセイションを共に収容して、装置のサイズを縮小し、対応可能性を上げることができる。
本明細書に開示する幾つかの実施態様は、副行脳循環を利用して、急性虚血性発作及び閉塞性脳血管障害を治療するためのシステム、方法、及び装置を提供する。こうした実施態様は、循環系に間欠的かつ周期的にアクセスできるようにすることによって、温血動物に施される治療の柔軟性を大きくすることができる。開示の幾つかの態様を使用して、塞栓性又は血栓性の発作など虚血性発作後の血管再生を促進することができる。(血栓又は塞栓による)血管閉塞後に、正常に機能しないニューロンがある。こうした不十分な機能、又は非機能ニューロンによって形成される領域は本影又は影と呼ばれる。脳の領域への血流を妨げる血管の閉塞が発生すると、疾患脳組織の生存は、その側副動脈の数及びサイズに依存する。従って、脳の領域への血流が滞る時間が長くなるに従って、発生する傷害が大きくなるため、有効な発作の治療は迅速に対応して治療する能力に依存する。本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用して、ウイリス動脈輪を横切る対側血流への間欠的かつ周期的なアクセスを向上させて提供し、閉塞した頭蓋内/外の大脳動脈の末梢の虚血領域への灌流を向上させ、かつ維持することができ、従って、発作の患者に症状の開始後に即座に使用して、閉塞病変部がインターベンションによって除去され、又は時間と共に消散するまで、脳組織の生存力を維持することができる。
患者の頭蓋外血管が閉塞された場合、対側頭蓋外血管の(アクセス装置による)過灌流が行われる。次いで、脳のウイリス動脈輪を介して、同側頭蓋内血管を過灌流することができる。この交叉循環は、片側の完全な頭蓋外閉塞を有する多くの患者が全く無症候であるためである。過灌流によって、パンサイクルは制御可能に脳の灌流圧を上げることができる。「自動調整」は、血管流及び脳脈管系の圧力の内因性調節である。虚血性ニューロン組織はこの自動調整を失うため、それによって虚血領域への血流が増加する。
塞栓性脳閉塞又は隔離された脳内の末梢の閉塞を同側頚動脈により直接過灌流することができる。幾つかの態様では、間欠的かつ周期的にアクセスする過灌流と、血液が動脈に灌流される前に回路を通って流れる血栓性塞栓性壊死組織片を全て閉じ込める流体又は血液フィルタを組み合わせることが望ましい。幾つかの態様では、アクセス装置が移植され、適したカテーテルがガイドワイヤの助けで挿入され、第1のカテーテルの遠位端が対側頚動脈内に挿入される。血液を動脈から第1のカテーテルの管腔又はポートを通して吸引することができる。そこで、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む透析又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置など、様々な機器及び装置に血液を送り、ポンプを使用して過灌流し、第2のカテーテルの管腔及びポートを通して対側頚動脈内に再導入することができる。例えばバルーンなど、膨張可能な閉塞部材を第2のカテーテル上で遠位のポートに対して膨張させて、流量をより有効に制御することができる。
こうすると、増強された対側過灌流により、ウイリス動脈輪の血流の逆流を増大して、閉塞した動脈内の流量の急低下を補償することができる。アクセスシステムのポンプを使用し、バルーンを収縮又は膨張させることによって、流量を制御することができる。例えば、バルーンを収縮させると流量が増加する。ウイリス動脈輪中の逆流を助ける増強された対側の半球血流は、閉塞の遠位の虚血領域への逆行性の動脈の側副を強化し、かつ/又は閉塞病変部にわたる圧差を増幅することができ、それは、血栓性塞栓性物質を全て取り除くのに十分である可能性がある。症候性動脈から吸引される血液は、幾つかの実施態様では、血液が対側頚動脈に戻る前に塞栓性壊死組織片を全て閉じ込めるための、第1或いは第2のカテーテルの近位端、又はポンプ内に任意選択で含まれた血液フィルタを通過する。
本明細書に開示する実施態様の使用には、限定的ではないが、循環系への間欠的かつ周期的なアクセスを含む幾つかの利点があり、それによって、使用される治療及び薬剤の柔軟性を大きくすることができる。開示のシステムを使用して:発作の症状に苦しむ1人以上の発作の患者を治療し、神経保護薬を閉塞領域に局所的に供給することによって、局所により大きい利益をもたらし、全身性副作用を軽減し、急性発作の患者を治療する際に、血管形成装置として、バルーンを狭窄動脈管腔上で膨張させて、管腔径を拡張することによって、僅かな全身性副作用で虚血領域に体温降下流体又は血液を注入し、症候性椎骨動脈閉塞を治療し、大心胸郭手術を受ける無症候性の血流量を制限する頚動脈狭窄の患者、又は、例えば心原性或いは敗血症性ショックなど血液動態不安定の患者の脳の灌流を維持し、かつ/又は、閉塞を除去せずに、末梢の虚血領域の灌流を維持し、代替のインターベンションを考慮し、神経の損傷を最小限に抑えることができる。幾つかの態様では、ヘパリンをアクセス装置を通して投与し、血液凝固阻止することによって、血管内の血栓の形成を防ぐことができる。
幾つかの態様では、約32℃から34℃、30℃から36℃、又は31℃から35℃など、温和から中等度の低体温の血液をアクセスシステムによって疾患部位に送達し、又は戻すことができる。
開示する幾つかの実施態様の一利点は、局所過灌流を使用して、側副成長を増加させることによって、全体の末梢血流を増加させることである。慢性動脈閉塞は、疾患部位の虚血を招き、関連する機能の喪失、虚血性症状、及び徴候が現れる。虚血の程度は使用可能なバイパスチャネル(側副枝)の程度に関連する。こうした血管のサイズ及び数は、閉塞した動脈セグメントにわたる圧力勾配に依存する。通常、使用される勾配が大きくなるに従って、側副枝の発生がより促進される。このプロセスが内部壁のせん断応力によって伝えられる。過灌流により、血管を拡張させる流量、(せん断応力)、及び血圧が上がり、それによって側副壁の張力が増す。すなわち、せん断応力と壁の張力の両方が側枝の成長を促進する。
他の態様は、複数のアクセスポートで同時に、或いは別々に、温血動物の動脈/静脈の循環系に間欠的かつ周期的にアクセスするための移植可能なシステムと、左、右、或いは両方の骨盤血管の過灌流及び隔離が可能な、又は実質的に可能なバルーンカテーテルシステムとの組み合わせを含む。幾つかの態様では、バルーンカテーテルシステムが本明細書に開示するアクセスシステムと適合性があることが望ましい。動脈の過灌流は、側副血管の成長に関与するせん断応力を増大させることができる。血管性インポテンスには、動脈の閉塞、及び静脈の拡張の2つの主な病因がある。外陰静脈をアクセス装置によって選択的に過灌流して、新しい側副動脈を形成することができる。骨盤の過灌流を行い、それによって海綿体組織からの「静脈漏出」を最小限に抑える、海綿体流出に対する一連の塞栓形成によって、静脈性インポテンスを治療することができる。子宮、前立腺、膀胱の癌、及び他の骨盤血管から栄養素を引き出す癌腫を体循環系から選択的に隔離し、高濃度の治療薬で治療することができる。例えば、図26に開示したシステムを参照されたい。
塞栓摘出術を使用して、下肢の急性塞栓性イベントを治療することができるが、この治療は、不完全であり、肢や指を失うことが多い。幾つかの実施態様は、局所隔離過灌流を使用して、局所の流入圧及び流量を増加させ、新しい血管の成長を促進し、かつ/又は存在する血管及び損傷を受けた血管の循環能力を向上させる。こうした実施態様は、肢又は指を切断しないですむ可能性を高める。ヒツジの動物実験では、本明細書に開示する実施態様を使用して、側副枝を通る局所の流量を増加することができることが示された。図1は、下肢が結紮糸で虚血された設計の一例を示す図である。図2の2つのグラフは外部ポンピングを有する、又は有さない、結紮糸の遠位の圧力を示すものである。これらの結果は、結紮を使用せずに、心臓が正常な循環によって生成することができる流量よりも多い流量を、外部ポンプの助けで側副枝を通してポンプで送ることができることを示している。
移植片は、一部には、移植片の下端の組織に血液を循環させる血管が十分でないためにうまく機能しないことが多い。従って、移植片内にうっ血が生じ、それが血栓になる。幾つかの実施態様は、新しい血管の成長を促進し、かつ/又は側副成長によって損傷を受けた血管を強化する過灌流システムを提供する。これは、虚血領域への循環の向上をもたらす。この側副成長は、存在する治療の改善を示すものである。さらに、体調不良の患者にアクセスシステム及び過灌流を用いることができ、大抵のバイパス移植片とは対照的に、局所麻酔を使用することができる。局所麻酔の使用が重要なのは、患者がしばしば介入疾患、心臓病、呼吸器疾患、及び/又は腎機能障害を有し、そのために患者に全身麻酔が適切でないためである。アクセス装置の移植は比較的小さい手術であるため、局所麻酔により適しており、また、特定の灌流又は過灌流のための装置に繰り返しアクセスするのに、全身又は局所の麻酔が不要である。さらに、開示する幾つかの態様は、不十分な血流に関連する下肢の再発が多い移植片の失敗を回避することができる。過灌流を使用して、(自然又は合成の)移植片を通る流量を増加して、側副成長、及び移植片の遠位の流量を増加し、長期間の開通性を向上させることができる。開示の幾つかの態様は、内乳動脈が血管造影的に痙攣を示す(「索状サイン」を生成する)冠動脈バイパス移植を可能にする。開示の幾つかの過灌流システムを使用して、血管拡張と同時に発生する痙攣を克服することができる。
慢性の動脈の問題に対する幾つかの実施態様の他の態様は、55歳未満の男性の17%が患う血管性インポテンスに関連するものである。大多数の血管性インポテンスは勃起組織の基底の閉塞によって生じる。幾つかの実施態様を使用して、勃起組織への全体流量を増加し、血管新生を促進することができる。例えば図26を参照されたい。灌流カテーテルを内腸骨動脈内に挿入して、カニューレを直接挿入し、バルーンで内陰部血管を隔離することができる。200mmHgを超えるパンサイクル過灌流を送達して、末梢の血管の血管新生を促進することができると考えられる。
例えば、癌、又は他の疾患を治療するための多くの周知の治療薬があるが、現在の方法では、患者に与えると、患者の身体に毒性、或いは望ましくない反応、かつ/又は副作用が誘発されるために使用されていない。幾つかの実施態様を使用すると、こうした治療薬を、特定の臓器など身体の標的領域に送達することができ、骨髄低下、胃腸の不調、及び脱毛症など毒性副作用を誘発することなく、又は軽減して、療法を局所化することができる。こうした薬物の例は、5-フルオロウラシル(5-FU)、又はシスプラチンである。幾つかの他の実施態様では、こうした治療薬を身体の標的領域に送達し、次いで、こうした治療薬を身体の外に洗い流し、それによって、治療しない身体の部分に治療薬が吸収される時間を短縮することができる。この薬剤を標的に導入し、迅速に身体から洗い流す能力により、治療薬によって生じる毒性副作用、又は他の望ましくない反応が軽減され、問題の疾患が治療される。薬剤の洗い流しの成功を、身体内に導入される血液、又は流体の体積に注目し、身体の外に出る血液又は流体の量を測定することによって測定することができる。治療の成功の測定を、寛解時、治癒率、5年の生存、及び大/小の合併症で見ることができる。
幾つかの実施態様では、他の方法で処方されるよりも高い濃度、又は多い投与量の治療薬を、毒性副作用を誘発せずに、又は軽減して、特定の臓器など身体の標的領域に送達することができる。
幾つかの好ましい実施態様では、隔離した臓器、肢、又は身体部分への動脈流入として静脈還流を使用する、完全な体外循環で、注入される臓器への血流を閉塞することによって、治療薬での治療を行うことができる。アクセスシステムの複数のアクセスヘッドを介した局所化がしばしば重要なのは、繰り返し可能であるからである。投与量の滴定及び治療サイクルのタイミングによって、アクセスシステムを配置する位置、使用頻度、及び原位置に置いておく期間が決定されることが多い。
幾つかの実施態様では、開示のシステムは、高濃度の治療薬を特定の領域に送達することができるようにする。こうしたシステムには:少なくとも1つの動脈供給部に入れる少なくとも1つのカテーテル;膨張可能なバルーンなど閉塞部材による残りの動脈循環系の隔離;動脈供給部の遠隔から治療物質を導入するための少なくとも1つのポート;標的領域からの流出をカテーテルによって回避する能力;及び静脈流出からポンプに向かって入り、動脈流入によって治療領域内に入る循環を制御するための外部の制御可能なポンプを含むことができる。
肝臓の続発性腫瘍成長、又は他の肝疾患の治療のための肝臓隔離は、この原理を示すものである。1つ以上の治療薬の流入、流出、及び再循環の制御により、脱毛症など全身性副作用、汎血球減少症など増血異常、悪心嘔吐など胃腸の異常、及び腎毒性など生命維持に不可欠な臓器の機能不全を最小限に抑えることができる。この例では、隔離のためのシステムの使用手順には:流通カテーテルを通るIVCの流れを可能にしながら、特に肝静脈からの血液を除去すること;治療薬を加えること; ポンプを使用して血流を肝動脈に戻すこと;及び肝動脈を通る肝臓への流入と流出管内への門血流を制御することが含まれる。血液は(上下の上腸間膜動脈、並びに腹腔動脈内の流量を制御することによって)大腿深動脈内に流れ、静脈など循環系の他の部分に流れる。
図1に一部の実施態様の一例示の実施態様が示されている。図1に概略的に示されている過灌流システム10は、この場合、心側動脈11と浅大腿動脈12との間に結合される。システム10は、出口17で皮下組織15及び皮膚線16を貫通する流出カニューレ14の内端で動脈コネクタ13によって動脈11に結合される。カニューレ14の外端にはねじ式コネクタ18があり、ねじ式コネクタ18によって、流出カニューレ14が、血液ポンプ又は血液透析機械など、外部医療装置19の低圧側に管20によって結合される。
医療装置19の高圧側は管21によってねじ式コネクタ22に流入カニューレ23の外端で結合され、流入カニューレ23は入口24を通って皮膚線16に入り、皮下組織15を貫通する。流入カニューレ23の内端は浅大腿動脈12に動脈コネクタ25によって結合される。この実施態様では、過灌流システム10が患者の下肢に結合され、血液が超収縮期圧(super-systolic pressure)で総大腿動脈26に向けて、次いで大腿深動脈27に向けてポンプで送り込まれる。総大腿動脈26は、動脈11と総大腿動脈26との間の流れを選択的に遮断し、ポンピングシステムが患者の正常な循環系と本質的に直列に働くことができるようにする移植閉塞装置又はバルーン28によって閉塞される。幾らかの変更を加えたこの実施態様を、腕、足、又は手など身体の他の部分に使用することもできる。この実施態様を使用すると、大量の血液及び酸素を身体の標的部分に送達できるようにする最高収縮期圧を加えることができる。
図2、及び3で示したカニューレは、使用することができるアクセス装置の幾つかの実施態様の例である。アクセス装置31は、ハウジング32、及びヘッド34、ハンドル35を有するプランジャステム33、並びにロックピン36を有する。ハウジング32の上端は着脱可能なキャップ37によって閉鎖され、着脱可能なキャップ37を通ってプランジャステム33が突き出る。着脱可能なキャップ40及び41によって閉鎖された流入/流出ポート38及び39は、アクセス装置31の管腔42と流体連通状態である。図2及び3で示したアクセス装置は、高圧が不要な循環系にアクセス可能にすることもできる。幾つかの実施態様では、高圧が不要な循環系にアクセスできるようにすることが望ましい。例えば、治療方法の送達が望ましい治療である。
図2及び3で示したように、生体適合性ハウジング32は、皮膚線16を通って延び、皮下組織15を貫通して、動脈43に結合される。動脈切開部44により、動脈43と管腔42との流体連通が可能になる。プランジャヘッド34をポリテトラフルオロエチレン又はHDPEなど、生体適合性材料で構築することができる。ロックピン36はプランジャステム33を任意の所望の位置にロックして、患者の正常な動脈系の逆圧によるプランジャステム33の望ましくない移動を阻止するように適合される。動脈連結キャップ45が動脈切開部44に設けられて、ハウジング32の動脈43への結合を強化する。同様に、皮膚線16には、ハウジング32を皮膚に固定して、移動を最小限に抑え、感染の可能性を低減する連結キャップ46が存在する。図2及び3で示した実施態様の様々な構成要素の構造及び設計は、行われる機能が維持される限り変更可能である。例えば、流入及び流出ポートの構造、並びにキャッピング、又はポートの数を変え、変更することができる。幾つかの実施態様はポート上のキャップを持たなくてもよい。幾つかの実施態様では、プランジャを取り除き、他の機構を使用して同様の機能を行うことができる。
アクセス装置31の例示の実施態様が示されており、図2ではプランジャヘッド34が閉位置にあり、図3では、プランジャヘッドが、開位置にあり、ポート38、及び39を超えたハウジング32の上部空洞47内に位置付けられて、流体又は血液が矢印48及び49で示したようにカニューレ31の管腔42を通って流れることができる状態である。使用の際は、キャップ41が取り外され、ポート39が外部血液ポンプ装置に至る管50に結合される。キャップ40を選択的に取り外して、装置31の内部にアクセスできるようにし、閉塞装置及び/又は医薬品の挿入を可能にすることができる。使用しない場合は、管腔42に抗凝固生理食塩水を含む無菌抗生物質を充填することもできる。キャップ40を取り外すことによって、ハウジング32の内部にアクセスし、残留流体又は血液を全て除去することもできる。
図4で示した過灌流システム60は、図2及び3で示した高圧アクセス装置が両方に組み込まれた流入カニューレ62及び流出カニューレ63と流体連通状態の血液ポンプ61を含む。閉塞装置64は、カニューレ63内のポート66を通過した後に動脈65内に位置付けられる。血流が矢印67、68、69、70、71、及び72で示されている。図5で示した過灌流システム80は、流出カニューレが下流で第1の流出カニューレ部分81と第2の流出カニューレ部分82に分割されている点で、図4で示したカニューレの変更態様である。第1の部分81は総大腿動脈26に結合され、第2の部分82は、セクション83で閉塞装置85によって閉塞された大腿深動脈84に結合される。このアクセス装置は、循環系と灌流システムとの間欠的な結合を可能にする他の種類のアクセス装置を使用することができるため、上記のようなプランジャ型でなくてもよい。例えば、アクセス装置は、開放されると、循環系と灌流システムとの間のアクセスを可能にする経皮的に制御可能な弁でもよい。こうした弁を、金属、組織、又は高分子材料から構築することができる。弁は、弁の流量制御手段として、例えば、傾斜円板、フラップ、ボール、又は膜など任意の適した流量制御手段を組み込むことができる。
図6で示した連続アクセス装置47は、両方の血流に使用されるアクセス装置を示すものである。図6の実施態様と共通の図2及び3の実施態様の構成要素は同じ参照数字を有する。この場合、生血管43内に配置されたバルーンカテーテル28が、血液ポンプに結合された入口67及び出口69を有する血流管68の下端を取り囲んでいる。ポンプから血管43内に血液が管50によって最高収縮期圧で流入される。皮膚は数字16で表され、最高収縮期圧での戻り流の方向が矢印40で示されている。左右の内乳動脈(RIMA、LIMA)が冠動脈への閉塞の迂回に使用されることが多い。
上記その他の同様の血管の隔離が図7に示されている。鎖骨下、大動脈、腸骨、又は大腿の血管でもよい主供給動脈43は、膨張カテーテル91に結合された近位バルーン28を有する。数字67は近位バルーンカテーテル28の入口を示す。RIMA、LIMA、腎、又は末梢の血管でもよい標的動脈87の下流で、遠位バルーン88が収縮カテーテル92に結合される。過灌流カテーテルは数字90で、主な流入補強管は数字86で示されている。図8の断面図のこの実施態様の管システムは、周囲に、圧力感知システム89、近位バルーン28用の膨張、収縮カテーテル91、遠位バルーン88用の膨張及び収縮バルーンカテーテル92、並びに血液ポンプからの過灌流カテーテル90が配置された流入補強カテーテル86からなり、これらは全て主供給動脈43の内側壁85内に配置される。
このバルーンシステムを、連続アクセス装置14を使用して、又は経皮的に、導入することができる。図9は、アクセスシステムと拡張期の大動脈内のバルーンの間欠的な膨張を組み合わせた他の実施態様を示す図である。この状況では、冠動脈バイパス移植片又は冠動脈自体の過灌流を拡張期に行うことができる。この実施態様では、膨張バルーン95と、左冠動脈96及び右冠動脈97の起点と、冠動脈バイパス移植片の起点98との間の圧力を上昇させることが目的である。
図9で分かるように、下行大動脈が数字99で示されている。腕頭動脈は100、左総頚動脈は101、左鎖骨下動脈は102である。バルーンが上行大動脈内で拡張期に閉塞、又は半閉塞され、注入カテーテル103を通る圧力が最高拡張期圧まで、又は最高収縮期圧までも上昇される。バルーンを膨張させて、標準の拍動系としての体積を変位させずに、隔離セグメントが生成されるようにして、バルーンと閉鎖された大動脈弁との間の血管を過灌流する。その結果、冠動脈流量、又は冠動脈バイパス流量が非常に大幅に増加する。バルーン注入カテーテルは105であり、拡張期中に閉塞し、又は部分的に閉塞するように、膨張かつ収縮させるように、十分大きくなければならない。圧力感知カテーテル106は、過灌流された隔離セグメント内の圧力の測定に使用される。
図10は開示するシステムの他の実施態様を示す図である。ポンプ39への流入部は提供者の血管11に直結される。ポンプ38に向かう矢印40で示した方向の流れが促進され、標的血管に戻される。例えば、右鎖骨下動脈は収縮期中に流入を受け、次いでそれがポンプ38で促進され、上行大動脈内の閉鎖されたセグメントに戻される。過灌流心臓カテーテルは103であり、他端が上行大動脈内に存在する。
図11に、バルーンシステム自体が、過灌流、すなわち正常な冠血流圧を超える流圧の生成装置として働き、従って冠血流量を増加させる他の実施態様が示されている。この状況では、別個の過灌流ポンプが不要である。大動脈内のバルーン95は拡張期にのみ膨張し、バルーン95と左右の冠動脈の開口部98との間に閉鎖セグメントが作製される。バルーンのセグメント106、107、及び108内の体積が収縮すると、バルーン95と冠動脈の開口部98との間の閉鎖セグメント内の体積及び圧力が増加する。従って、冠動脈内の圧力及び流量が増加する。流量の全体の増加はセグメント106、107、及び108の体積に依存する。生成される圧力は標準のカウンターパルセイションバルーンシステムよりも大きい。
図12は、幾つかの実施態様によるシステムの概略平面図であり、以下の実施例1で使用される構成の一例である。図12は、閉塞によって血流が阻止され、又は実質的に阻止される、浅大腿動脈117の閉塞を治療するためのシステムを示す平面図であり、このシステムを他の動脈の閉塞に全般的に適用することができる。図12では、矢印110で示したように、総腸骨動脈111から外腸骨動脈114内に流れる血液が閉塞バルーン113を使用して流出管115に向けられる。流出管115内の血液は、体外でもよい外部ポンプ(図示せず)内に流れ、同じポンプ又は異なるポンプから流入管116内に戻ることができる。流入管116は、外腸骨動脈114と大腿深動脈118との間の領域を過灌流する制御された流量と圧力で、血液及び流体を総大腿動脈内に導入する。流入管116を通って戻る血圧は、矢印119で示した圧力よりも高い。血流は、側副枝120、膝窩動脈122、及び脛骨腓骨トラック121内に循環する。圧力変換器123は、浅大腿動脈117の閉塞部の末梢側に配置され、過灌流の前、最中、及び後の膝窩動脈122内の圧差の測定に使用される。他の変換器はこの図に示されていないが、例えば頚動脈など他の主な動脈内に配置することができる。
追加の圧力変換器(図示せず)を、実施例1の頚動脈内など、治療部位の遠隔の他の身体部分に配置して、体血圧を測定し、圧力変換器123の圧力と比較することができる。
一部の実施態様では、閉塞部の末梢側の圧力と体血圧の差を末梢圧と体血圧の比として表すことができる。この比率は、過灌流の前は、約0.1から約0.8、約0.2から約0.7、約0.3から約0.6、又は約0.4から約0.5など、約0から約0.9であり、過灌流の60分後は、約0.8から約1.15、約0.85から約1.10、約0.9から約1.05など、約0.7から約1.2に上がり、過灌流の3時間後は、約0.90から約1.35、約1.0から約1.30、約1.05から約1.25、又は約1.10から約1.20など、約0.85から約1.40である。
図13は、図12で示したシステムを使用したヒツジの後脚の実施例1の局所過灌流の結果を示すものである。頚動脈大腿動脈指数CFI(carotid femoral index)は、体血圧として追加の圧力変換器を使用して頚動脈で測定した圧力を使用する、装置130の出口ポート137を通る管腔過灌流指数の一例である。過灌流した脚は、対照と比較した場合に、CFIの測定による流量が統計的に大幅に増加した。実際、過灌流した脚は、CFIで示したように、結紮の存在しない体血圧と比較して、圧力が1よりもかなり上昇した。図14は、以下の実施例2で詳細に説明するように、ヒト患者の長期間の過灌流の結果を示すものである。この結果は、同様の流量が維持されつつ、戻り圧力が低下したことを示し、血流に対する末梢の抵抗が低下し、血管を通って脚の末端部分に流れることができる血液量が増加したことを示している。
図15は、一部の実施態様で使用することができるアクセス装置130及びシステムの一実施態様を示す図である。アクセス装置130は、管腔138を収容するカニューレ131を有する。カニューレ131及び管腔138は、皮膚143、浅筋膜146、及び深筋膜147を通り、動脈切開部148を通って、患者の循環系にアクセスする。カニューレ131は内面142を有する。通常、カニューレ131、或いは身体内に延びるカニューレ131の一部、及び管腔138は、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせから作製される。一部の実施態様では、カニューレ131及び/或いは管腔138が、抗生物質、血液凝固阻止薬、薬物、若しくは他の治療用物質で被覆され、又は、生体適合性の潤滑剤、シーラント、或いはシアノアクリレートなどの接着剤など、特定の治療を助ける材料で被覆することができる。一部の実施態様では、アクセス装置130は、皮膚に対して、70から35度、65から40度、60から45度、又は50から55度など、75から30度の鋭角など(皮膚に対して最小の角度で)、約90度以外の角度で循環系にアクセスすることができる。アクセス装置130は、管腔138の外端に流出ポート137を有し、この流出ポート137を通って血液が血管136から流れる。矢印902で示したように、流出ポート137を通って流れる血液は、血管136の近位部分144を通って流れた血液と同じ又は異なる流量或いは圧力でもよい。流出ポート137は、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置を含む、外部の管、装置、又は機器と流体連通するように管腔138を配置するためのコネクタ手段137aを有することができる。こうした装置又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又は流体から除去することができる。
アクセス装置130は、流入結合手段139aを有する流入ポート139も有する。血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は上記の2つ以上の組み合わせを、流入ポート139を通して管腔138及び血管136内に、流出ポート137を通して取り出される流体と同じ又は異なる圧力及び流量で供給することができる。一部の実施態様では、流入ポート139を通って流れる流体は、流出ポート137を通って流れる流体、バルーンカテーテルの膨張前に血管136の近位部分144に流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位に遠隔の部位で測定された体血圧よりも増加した圧力及び/或いは流量である。結合手段139aは、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など、管腔138との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよく、結合手段137aと同じ、又は異なるものでもよい。
アクセス装置130は、ステム132、ハンドル134、及びヘッド133を有するプランジャアセンブリ135を有し、それを作動させて、ヘッド133と管腔138の内側壁138bとの相互作用によって、管腔138を通り、流出ポート137及び流入ポート136を通るアクセスを制御することができ、それによって、十分に作動させた場合に、液密シールを形成することができる。ヘッド133を、例えば、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなど、任意の適した生体適合性材料で構築することができる。一部の実施態様では、ハンドル134に十分な力を加えて、ヘッド133を管腔138内に、又はその外に移動させることによって、プランジャアセンブリ135を作動させることができる。一部の実施態様では、ヘッド133の位置は、上記の様々な機器及び装置の任意のものによって行われる分析から得られるパラメータを含む、任意の適したパラメータに基づいて制御することができる自動制御システムを使用して制御される。一部の実施態様では、1つ以上のロックピンなど任意の適したロック機構を使用して、流出ポート137及び流入ポート139を通る管腔138へのアクセスが制限されない完全な開放から、流出ポート137及び流入ポート139を通る流体流が部分的に制限される任意の数の部分的開放位置を通り、流出ポート137及び流入ポート139を通る管腔138への流体のアクセスが完全に阻止される完全な閉位置まで、プランジャアセンブリ135をその可動域中の任意の位置にロックすることができる。一部の実施態様では、ロック機構は、患者の正常な動脈系の逆圧がヘッド133の位置を変えるのを十分に阻止するものである。一部の実施態様では、動脈或いは皮膚の連結キャップなど、追加の支持、固定手段、及び/或いは補強を動脈切開部148に、又はカニューレ131が皮膚143を貫通する点に与えることができる。
結合手段は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など、管腔138との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよい。一部の実施態様では、1つ以上の隔離又はバルーンカテーテル140をアクセス138内に血管136の近位部分144まで挿入することができ、その地点で閉塞バルーン141を膨張させて、血液及び流体の流れを矢印902で示したように血管136の近位部分144からカテーテル140の流出管149を通るように向け、それによって、流体の流れを血管136の近位部分144から遠位部分145まで実質的に隔離することができる。通常、流体は、流体、又は流体の物理的、化学的、或いは動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、矢印901で示したように、流入ポート139を通して血管136に再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは、治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物(cellular degradation product)、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、又は特に治療で使用される薬物、若しくは治療など、他の成分を除去して、流体を戻すことができる。隔離又はバルーンカテーテル140を任意の適した1つ以上の生体適合性材料から作製することができる。
図15は、隔離又はバルーンカテーテル140を1つしか示していないが、複数のカテーテル、及び/又は2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、或いは8つの閉塞バルーンなど複数の閉塞バルーンを使用して、血管若しくは血管系の流体流を管腔138に向けて再方向付けし、又は体循環による治療領域のパイパスを提供し、或いは体循環から治療領域への流入を阻止し、若しくは制限することができる。カニューレ131を任意の適した生体適合性材料から構築することができ、カニューレ131は、剛性、半剛性、又は可撓性でもよく、剛性或いは半剛性の部分、及び可撓性の部分を有することができる。一部の実施態様では、カニューレ131の外側部分がクランプされるように十分に可撓性でもよい。図15で示した実施態様の様々な構成要素の構造及び設計を、装置を使用して行う用途に応じて幾つかの方法で変更することができる。例えば、様々なシール及び結合部を流入及び流出ポートに使用することができ、追加の流入/流出ポートを含めることができ、ハウジング及びカテーテルの形状とサイズを血管のサイズ、タイプ、及び位置、並びにアクセス装置を実施する用途によって変えることができる。一部の実施態様では、追加の支持手段、シール手段、固定手段、及び/或いは動脈連結キャップ157など補強手段、若しくは他の適した手段を動脈切開部148に与え、又は連結キャップ158をカニューレ131が皮膚143を貫通する点に与えて、生体適合性接着剤を使用し、又は使用せずに、カニューレを定位置にさらに固定し、或いは接着して、及び/或いは皮膚143若しくは血管136の貫通点の日和見感染、刺激、或いは炎症を防ぎ、又は制限することができる。バリア材料又はカフ900をアクセス装置の遠位領域付近に含めることができる。このバリア材料又はカフを、幾つかの材料から作製することができ、機械的、或いは化学的手段を使用して、ハウジングに取り付けることができる。例えば、織物状、又はフェルトのePTFE、或いはDacronを幾つかの態様で使用することができる。一部の態様では、本明細書で示したように、バリアはハウジングの周囲のバンドの形状であり、生体適合性接着剤を使用してハウジングに取り付けられたDacronで作製される。カフ又はバリアは、感染に対するバリアを設け、組織の成長を可能にする。一部の態様では、バリア又はカフは、感染に対する十分なバリアが設けられるように十分に幅広のものでもよい。例えば、3から14mm、4から12mm、5から10mm、又は7から9mmである。
幾つかの実施態様では、この装置を使用して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを、より高圧で循環させることができる。一部の態様では、より高圧とは、患者の正常な体血圧を超える治療の地点の圧力を指す。幾つかの実施態様では、高圧が不要な循環系にアクセスできるようにすることが望ましい。一例は、治療法の送達のためのものである。幾つかの実施態様では、例えば、高圧から低圧に、高圧に、又は低圧から高圧など、1つの圧力範囲から他の圧力範囲に切り替えることも望ましい。
図16は、流れ及び過灌流の方向が図15で示したものと逆である、一部の実施態様によるアクセス装置、及びシステムの幾つかの実施態様を示す図である。幾つかの実施態様では、この装置を使用して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせをヒトなど動物の循環系の一部で、システムの使用前の対象の血管内の圧力よりも高い圧力で循環させることができる。圧力上昇は、使用前の対象点の治療前の血管圧よりも、50%、200%、300%、10〜20%、20〜49%、51〜99%、100%、101〜199%、又は201〜299%まで可能である。一部の実施態様では、図15に関して上記で論じたように、圧力を治療部位の末梢側の地点の体血圧と比較した比として表すことができる。しかし、一部の実施態様では、例えば様々な治療法の送達など、治療前の圧力よりも圧力が上昇されない場所でこの装置を使用することができる。幾つかの実施態様では、例えば、高圧から低圧に、高圧に、又は低圧から高圧など、1つの圧力範囲から他の圧力範囲に切り替えることも望ましい。幾つかの実施態様では、過灌流圧が治療前(正常血圧)と同じ、又は治療前よりも低いことが望ましい。
アクセス装置156は、カニューレ131を有し、カニューレ131は、患者の皮膚143の外部の位置から、皮膚143、浅筋膜146、及び深筋膜147を通り、動脈切開部148を通って、血管136内に延びることができる。アクセス装置156は、血管136と、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡或いは膜型型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置など、様々な外部の機器及び装置(図示せず)との間に、管腔138、流出ポート151、及び流入ポート152を通る流体連通を提供することができる。こうした装置又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又は流体から除去することができる。
通常、カニューレ131、又は身体内に延びるカニューレ131の一部、及び管腔138は、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせから作製される。一部の実施態様では、カニューレ131及び/或いは管腔138が、抗生物質、血液凝固阻止薬など治療用物質、若しくは他の治療用物質で被覆され、又は生体適合性の潤滑剤、シーラント、或いはシアノアクリレートなどの接着剤など、特定の治療を助ける物質で被覆することができる。一部の実施態様では、アクセス装置156は、皮膚に対して、角度90度、又は別法として約90度以外の角度で循環系にアクセスすることができる。
流出ポート151が管腔138の外端138に存在してもよく、血液及び他の流体は、血管136の上流部分を通って流れたのと同じ又は異なる流量或いは圧力で、血管136から管腔138を通り、流出ポート151の外に流れることができる。流出ポート151は、流出管150に結合するためのコネクタ手段904を有し、それによって、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、或いは他の血液監視装置、血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置などバルーンカテーテル監視及び制御装置、又はバルーン加圧制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置を含む、外部の管、装置、又は機器と流体連通するように管腔138を配置することができる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又は流体から除去することができる。結合手段151は、例えば、ルアー、ねじ式、圧印、又は衛生的結合など、管腔138との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよい。通常、流体は、流体、又は流体の物理的、化学的、或いは動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、流入ポート152を通して血管136に導入され、又は再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、若しくは異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物、若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。
流入ポート152は、流入管155に結合する流入結合手段903を有し、矢印154で示したように、それを通して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを、流出ポート150を通って取り出される流体と同じ或いは異なる圧力及び流量で管腔138及び血管136内に供給し、若しくは再導入することができる。一部の実施態様では、流入ポート152を通って流れる流体は、流出ポート151を通って流れる流体、バルーンカテーテルの膨張前に血管136の上流部分を流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の末梢側の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量である。結合手段903は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など管腔138との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよく、結合手段904と同じ、又は異なるものでもよい。一部の実施態様では、1つ以上の隔離又はバルーンカテーテル905をアクセス装置156内に流入ポート152及び管腔138を通して血管136の下流部分まで挿入することができ、その地点で、閉塞バルーン153を膨張させて、血管136の上流部分を下流部分から隔離し、流入ポート152を通って流れる血液及び流体を、隔離カテーテル905を通り、血管136の下流部分に入るように向けることができる。
アクセス装置156は、ステム132、ハンドル134、及びヘッド133を有するプランジャアセンブリ135を有し、それを作動させて、ヘッド133と管腔138の内側壁との相互作用によって、流出ポート151及び流入ポート152を通る管腔138へのアクセスを制御することができ、それによって、十分に作動させた場合に、液密シールを形成することができる。ヘッド133を、例えば、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせで構築することができる。
一部の実施態様では、ハンドル134に十分な力を加えて、ヘッド133を管腔138内に、又はその外に移動させることによって、プランジャアセンブリ135を作動させることができる。一部の実施態様では、ヘッド133の位置は、上記の様々な機器及び装置の任意のものによって行われる分析から得られるパラメータを含む、任意の適したパラメータに基づいて制御することができる自動制御システムを使用して制御される。一部の実施態様では、例えば1つ以上のロックピンなど、任意の適したロック機構を使用して、流出ポート151及び流入ポート152を通る管腔138へのアクセスが制限されない完全な開放から、流出ポート151及び流入ポート152を通る流体流が部分的に制限される任意の数の部分的開放位置を通り、流出ポート151及び流入ポート152を通る管腔138への流体のアクセスが完全に阻止される完全な閉位置まで、プランジャアセンブリ135をその可動域中の任意の位置にロックすることができる。一部の実施態様では、ロック機構は、患者の正常な動脈系の逆圧がヘッド133の位置を変えるのを十分に阻止するものである。一部の実施態様では、追加の支持手段、シール手段、固定手段、及び/又は動脈連結キャップ、或いはバリア157など補強手段、若しくは他の適した手段を動脈切開部148に与え、又は連結キャップ158をカニューレ131が皮膚143を貫通する点に与えて、生体適合性接着剤を使用し、又は使用せずに、カニューレを定位置にさらに固定或いは接着し、かつ/又は、皮膚143若しくは血管136の貫通点の日和見感染、刺激、或いは炎症を防ぎ、又は制限することができる。
図16は、隔離又はバルーンカテーテル153及び905を1つしか示していないが、複数のカテーテル、及び/又は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、或いは8つの閉塞バルーンなど複数の閉塞バルーンを使用して、血管又は血管系の流体流を管腔138に再方向付けすることができる。図16で示した実施態様の様々な構成要素の構造及び設計を、装置を使用して行う用途に応じて幾つかの方法で変更することができる。例えば、様々なシール及び結合部を流入及び流出ポートに使用することができ、追加の流入及び/又は流出ポートを含めることができ、ハウジング及びカテーテルの形状とサイズを血管のサイズ、タイプ、及び位置、並びにアクセス装置を実施する用途によって変えることができる。
幾つかの実施態様では、本明細書に開示するアクセス装置を複数の流入及び/又は流出ポートと共に使用して、追加のカテーテル、診断用装置、サンプリング、薬物、治療、ナノ装置、栄養素、抗生物質、血液凝固阻止薬、生理食塩水、緩衝剤、血漿、血液或いは血球、又は他の適した血液付加成分の追加を行うことができる。例えば、図17a及び17bはこうした装置の幾つかの実施態様を示す図である。
図17aは装置160を示す平面上面図であり、図17bは複数のアクセスポート160a、161、及び162を有する幾つかの実施態様で使用される同じ装置を示す平面側面図である。各アクセスポートを使用して、さらなるサンプリング、処理、或いは診断のために血液又は流体を血管から取り出し、又は、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせなど、任意の適した血液添加化合物(blood addition compound)、組成物、若しくは流動溶液を追加することができる。ヘモリダクション(haemoreduction)弁164を有するアクセスポート161が示されている。ルアー、ねじ式、圧印、又は衛生的結合など多様な結合手段の任意のものを使用してヘモリダクション弁164を取り付けることができ、ヘモリダクション弁164はシリコンシール164aを含むことができる。一部の実施態様では、アクセスポート162は、生理食塩水など点滴溶液、緩衝剤、或いは点滴薬液、又は他の治療の供給に使用され、この図では、ルアーロック結合部を使用して結合される。図17の装置160を本明細書に記載した様々な他の装置と組み合わせ、又はそれに取り付けることができる。例えば、図15及び16で示した装置では、プランジャ及び装置の上部の関連するアイテムを除去し、プランジャヘッド163をカニューレに結合することによって、装置160と交換することができる。ヘッド163を図15及び16で示したアクセス装置に、任意のロック機構、或いはねじ込み機構、又はこうした装置を機械的に取り付ける他の周知の手段を使用して取り付けることができる。この複数アクセスポート装置を、多様な治療法に使用することができる。例えば、幾つかの実施態様では、血液ポンプ、カテーテルバルーンを使用する過灌流システム、カウンターパルセイションシステム、及び/又は膨張システムとして使用することができる。
図18は、特に動脈と静脈への同時のアクセスが望ましい場合に、幾つかの実施態様で使用することができるアクセス装置184及びシステムを示す図である。アクセス装置184を、カニューレ176で皮膚143、浅筋膜、及び深筋膜147を貫通して、動脈181と静脈182内に入れ、1つ以上の血管と流体連通するように配置することができる。カニューレ176は、それぞれフィステルを形成する動脈181及び静脈182と流体連通状態に配置された2つの管腔185及び186を有する。
管腔185と186は管腔分割部183によって分離され、管腔分割部183は管腔185と186を互いから完全に、又は部分的に隔離することができる。一部の実施態様では、管腔分割部183は、管腔185と186との間の流体連通を阻止することができるが、他の実施態様では、管腔分割部183は管腔185と186との間の1つ又は2つの流体連通を可能にすることができる。一部の実施態様では、管腔分割部183は、管腔185と186との間のフィルタとして働き、例えば、分子量、電荷、疎水性、濃度、又はサイズなど、成分の任意の適した特性により、流れる流体の1つ以上の成分が1つの管腔から他方に移動することができるようにする。一部の実施態様では、管腔分割部183は、剛性、又は半剛性でもよく、多孔性、半多孔性、又は非多孔性でもよい。他の実施態様では、管腔分割部183は、多孔性、半多孔性、又は非多孔性の可撓性膜でもよい。カニューレ176は任意の適切な生体適合性材料から作製することができ、可撓性のクランプ可能な部分182を備えることができる。
2つの管腔185及び186を有するところが図に示されているが、3つ、又は4つ、或いは5つの管腔など、3つ以上の管腔をアクセス装置184の一部の実施態様で使用することができ、それぞれ管腔分割部183で他方から分離することができる。管腔分割部183は他の管腔を分離する他の管腔分割部と同じ、又は異なるものでもよい。例えば、静脈血にアクセスする管腔の間にある管腔分割部は多孔性、又は半多孔性でもよいが、同じ管腔を動脈血にアクセスする管腔から分離する管腔分割部は非多孔性でもよい。各管腔分割部が独立して多孔性、半多孔性、又は非多孔性でもよく、剛性、半剛性、又は可撓性でもよい。理解されるように、管腔分割部のタイプの組み合わせが特に企図される。
アクセス装置184では、血液は静脈182から管腔186を通って流れ、流出ポート178から出る。流出ポート178を管腔186の外端に配置することができ、血液及び他の流体は、静脈182の末梢部分を通って流れたのと同じ又は異なる流量或いは圧力で、静脈182から管腔186を通って流れ、流出ポート178から出ることができる。流出ポート178は流出管179に結合する結合手段を有し、それによって、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置などを含む、外部の管、装置、又は機器と流体連通するように管腔186を配置することができる。こうした装置又は機器では、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、様々な物質を流体に加え、かつ/又は除去することができる。
結合手段は、例えば、ルアー、ねじ式、圧印、又は衛生的結合など、管腔186との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよい。通常、流体は、流体、又は流体の物理的、化学的、或いは動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、流入ポート176を通して動脈181内に導入され、又は再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。
流入ポート176は、流入管177に結合する流入結合手段を有し、それを通して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを、流出ポート179を通して取り出される流体と同じ或いは異なる圧力及び流量で、管腔185及び動脈181内に供給し、又は導入することができる。一部の実施態様では、流入ポート176を通って管腔185の外端内に流れる流体は、流出ポート179を通って流れる流体、静脈182を流れる流体、任意のバルーンカテーテルの膨張前に動脈181の末梢部分を流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の末梢側の部位で測定された全身の血圧/流量よりも高い圧力及び/又は流量である。流出ポートにある結合手段は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など管腔185との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよく、流入ポートの結合手段と同じ、又は異なるものでもよい。一部の実施態様では、1つ以上の隔離又はバルーンカテーテル(図示せず)をアクセス装置184に、それぞれ流入ポート176、又は流出ポート179、及び管腔185と186を通して、それぞれ動脈181、及び/又は静脈182の一部に挿入することができる。その位置で、閉塞バルーンを膨張させて、動脈181及び/又は静脈182の一部を隔離することができる。
アクセス装置184は、ステム172及び173、並びにヘッド175及び174を有するプランジャアセンブリ170及び171を有し、それを独立して作動させて、ヘッド175及び174と内側壁の相互作用によって、流入ポート176及び流出ポート179を通る管腔185及び186へのアクセスを制御することができ、それによって、十分に作動させた場合に液密シールを形成することができる。ヘッド175及び174を、例えば、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせで構築することができる。
一部の実施態様では、ハンドルに十分な力を加えて、プランジャ170及び/又は171を管腔185及び186の中に、又はその外に移動させることによって、プランジャ170、及び/又は171を作動させることができる。一部の実施態様では、プランジャ170及び/又は171の位置は、上記の様々な機器及び装置の任意のものによって行われる分析から得られるパラメータを含む、任意の適したパラメータに基づいて制御することができる自動制御システムを使用して制御される。一部の実施態様では、例えば1つ以上のロックピンなど、任意の適したロック機構を使用して、流入ポート176及び流出ポート179を通る管腔185及び186へのアクセスが制限されない完全な開放から、流入ポート176及び流出ポート179を通る流体流が部分的に制限される任意の数の部分的開放位置を通り、流入ポート176及び流出ポート179を通る管腔185及び186への流体のアクセスが完全に阻止される完全な閉位置まで、プランジャ170及び/又は171をその可動域中の任意の位置にロックすることができる。
一部の実施態様では、ロック機構は、患者の正常な循環系の逆圧がヘッド175及び174の位置を変えるのを十分に阻止するものである。一部の実施態様では、追加の支持手段、シール手段、固定手段、及び/或いは連結キャップなど補強手段、若しくは他の適した手段をカニューレ176が動脈181、及び/或いは静脈182を貫通する点、又はカニューレ176が皮膚143を貫通する点に与えて、生体適合性接着剤を使用し、又は使用せずに、ハウジングを定位置にさらに固定し、或いは接着し、かつ/又は、皮膚143、動脈181、若しくは静脈182の貫通点の日和見感染、刺激、或いは炎症を防ぎ、或いは制限することができる。
この装置は、動脈或いは静脈に個々にアクセスし、又は動脈或いは静脈の間の代替アクセスを提供することもできる。図で示した構成では、2つのプランジャが示されているが、他の態様では、プランジャが1つだけ必要とされるように、他の実施態様では、3つ、4つ、或いは5つのプランジャが必要とされるように、アクセス装置を構成することができる。
図19は、本明細書に開示する幾つかの実施態様を示す図である。図19は、循環系の一部を区分化し、又は隔離して、隔離領域の治療を提供するために使用することができるシステムを示す図である。カニューレ130が皮膚143、浅筋膜146、及び深筋膜147を通って、血管200内に貫通することによって、アクセス装置130を血管200と流体連通状態に配置することができる。アクセス装置130は、図16で示した装置と同様であるが、管構成及びカテーテル構成へ流れが変更されている。図19の装置は、流入ポート152に取り付けられたアクセスポート203及び204、並びに流出ポート151に結合されたアクセスポート205及び206を有する。隔離カテーテル197は、隔離又は閉塞バルーン196が膨張した状態で示されており、血管200の近位部分198で隔離又は閉塞バルーン196及び194を通って流れる流体を、2つの異なる場所:血管200の遠位部分199と、管腔138、流出ポート151を通り、流出管192内に入り、それによって隔離領域195を迂回するように向ける。隔離又は閉塞バルーン194をアクセス装置130に近位の位置で膨張させ、隔離又は閉塞バルーン196を遠位の位置で膨張させることによって、隔離領域195を形成することができる。隔離領域195は循環系の一部でもよく、又は過灌流することができる臓器、或いは臓器の一部でもよい。要約すれば、図で示した実施態様の目的は、バルーン116及び194を使用して血管195を隔離し;末梢部分への連続注入を可能にし;近位の血管199から末梢部分に血液を使用し;血管195を過灌流することである。
流出管192を通って流れる流体を、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置など、追加の管、機器、及び装置に結合することができ、次いで、ポンプ190を通して流入管191内にポンプで送り込むことができる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又は流体から除去することができる。一部の実施態様では、流入管191内に流れる流体は、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせでもよい。
流入管191を、上記で示したように、追加の管、機器、及び装置に結合し、隔離又は閉塞カテーテル193、及び閉塞バルーン194を通って隔離領域195内に、流出ポート151を通って取り出される流体と同じ又は異なる圧力及び流量で送ることもできる。通常、カテーテル193内の流体は、血管200の近位部分198内の流体と比較すると、流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変されている。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様ではカテーテル193を通って流れる流体は、流出ポート150を通って流れる流体、任意のバルーンカテーテルの膨張前に血管200の近位部分198を流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の末梢側の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量である。カテーテル201は、流体が、近位部分198から閉塞バルーン194及び管腔138を通って流れ、アクセスポート206から出るように向ける。次いで流体を、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、或いは任意の他の適した装置など、追加の管、機器、及び装置に向け、次いで、アクセスポート204、又はアクセスポート203を通して戻してもよく、又は戻さなくてもよい。一部の実施態様では、カテーテル201は、血管200の近位部分198を流れる血液、すなわち治療領域に入る前の血液についての情報の診断情報及び試料を提供する。
アクセスポート203は、カテーテル201から流体が戻るためのアクセス、又は、血液、他の流体、薬物又は薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は2つ以上の上記の組み合わせを血管200の末梢部分199に追加するためのアクセスを提供する。薬物又は他の治療薬を203で導入し、199に流れるようにすることができる。
図20は、図19のシステムと共に使用することができるバルーンカテーテルシステムの一実施態様の一部を示す拡大図である。隔離バルーン194、及び196が膨張され、それによって標的領域又は標的臓器の動脈流入部208が血管200から隔離されている。カテーテル193は、流体を、外部ポンプ、機器、及び装置からカテーテル193の終端193aの孔209を通り、それによって標的領域又は標的臓器の動脈流入部208を通して標的臓器に注入し、かつ/又は過灌流するように向ける。孔209は任意の適した形状及びサイズでもよく、使用目的、必要とされる作動圧、及び流量、並びに他の物理及び化学パラメータに応じて変えることができる。
図19のシステムと違い、このシステムには図で示したカテーテル201が存在せず、カテーテル197は血管200内を流れる流体を近位部分198から遠位部分199にだけ向け、流体が流出ポートを通って血管200から出るように向けない。さらに、カテーテル193内を流れる流体はカテーテル197と同じ方向に流れ、従って、図19とは異なる方向から隔離領域195にアクセスする。理解されるように、これらを含むように図20のシステムを変更することができる。
図21は、心臓の一部を区分化又は隔離し、カウンターパルセイションシステム及び方法を使用して、心臓過灌流を可能にするのに使用することができるシステムを示す図である。こうしたシステム及び方法は、所望の場合は、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを治療領域に、従来の技術、システム、及び方法よりも柔軟に送達することもできる。こうした物質又は方法を治療領域に、過灌流が使用されるのと同時に、過灌流の前、又は後に、或いは組み合わせて、導入することができる。本明細書に開示する幾つかの実施態様では、カウンターパルセイションシステム又は方法の使用によって、治療される心臓の虚血領域の冠血流量を増加させることにより、隔離領域の治療が可能になり、狭心症の症状、及び他の虚血に関連する疾患、並びに他の末梢血管疾患を軽減することができるようになる。換言すれば、本明細書に開示するように、1つ以上のバルーンが膨張されると、開示するシステム及び方法により、大動脈内に人工的により高い圧力が生成され、それによって冠動脈の灌流が増加される。大動脈弁が開く直前に1つ以上のバルーンが収縮されると、大動脈の圧力及び体積が減少し、心臓への血行力学的負担の一部が軽減される。こうした生理学的反応により、患者の心送血量及び冠循環が改善され、血行動態が改善される。
図22a〜eは、図21の実施態様に含まれる実施態様で使用することができるバルーンカテーテルシステムの一実施態様を示す拡大図である。図22aは、カテーテル220を示す側面図である。カテーテル220は、隔離又は閉塞バルーン222、流通端233を有する流体流管腔221、及び固定案内及び支持手段223を有する。カテーテル220は、流入又は流出ポート内に、又はそれを通して配置された場合に、ポートに液密シールを確保する適したシール手段を含むことができ、液密シールは流体流管腔221の外側部分上の固定案内及び支持手段223の下に配置されてもよく、又はそうでなくてもよい。別法として、カテーテル220がそれを通して配置される幾つかの実施態様によって、固定案内及び支持手段223を、アクセス装置の流入又は流出ポートの液密シールとして働くように構成することもできる。結合手段224は、外部の管、機器、及び装置とカテーテル220の結合を行い、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合を含む、使用に応じた任意の適した結合部でもよい。カテーテル220及び隔離又は閉塞バルーン222を、例えば、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせなど、任意の適した材料で構築することができる。
図22Bは、流通端233を有する流体流管腔221、隔離又は閉塞バルーン222、固定案内及び支持手段223、加圧ポート225、圧力変換器ポート226、及び流体流ポート227を有する流体流管腔221を示す、カテーテル220の正面図である。加圧ポート225は隔離又は閉塞バルーン222と流体連通状態であり、結合手段224に結合される加圧制御システム(図示せず)を使用して、例えばヘリウムなど不活性ガスで隔離又は閉塞バルーン222を膨張させ、収縮させるために使用することができる。別法として、隔離又は閉塞バルーン222を、加圧制御装置を使用する任意の適した隔離方式に従って、膨張させ、収縮させることもでき、例えば、カウンターパルセイションカテーテル法で使用することができる。その場合、バルーン222は、拡張期中は膨張され、収縮期中は収縮される。圧力変換器ポート226は隔離又は閉塞バルーン222と流体連通状態であり、圧力変換器管腔229へのアクセスを提供して、隔離又は閉塞バルーン222の圧力を測定し、かつ/又は制御できるようにする。流体流ポート227は、結合手段224を通して流体流管腔221へのアクセスを提供し、例えば、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせなど、流体を血管から取り出し、又はそれに追加するために使用することができる。
図22Cは、流体流管腔221、加圧制御管腔228、及び圧力変換器管腔229を示す、固定案内及び支持手段223の下、かつ隔離又は閉塞バルーン222の上でカテーテル220を通るスライスの端面図である。加圧制御管腔228を図22Bからの加圧ポート225と併せて使用して、隔離又は閉塞バルーン222への流体連通アクセスを提供し、ヘリウムなど不活性ガスを使用して隔離又は閉塞バルーン222を膨張させ、収縮させることができる。こうした膨張及び収縮を任意の適した手動又は自動の制御システムを使用して制御することができる。圧力変換器管腔229を図22Bからの圧力変換器ポート226と併せて使用することができ、隔離又は閉塞バルーン222内の瞬時圧力、平均圧力、並びに膨張、収縮、及び/又は保留中の圧力プロファイルなど、圧力に関する情報を監視し、提供するために使用することができ、手動又は自動の制御システムを併せて使用して、アクセスポート225及び加圧制御管腔228を通して隔離又は閉塞バルーン222内の圧力を制御し、フィードバック信号をこうしたシステムに送ることなどが可能になる。
図22Dは、収縮した状態の隔離又は閉塞バルーン222を示す分解図である。隔離又は閉塞バルーン222は、1つ以上の剛性、又は半剛性の支持部230を有して、隔離又は閉塞バルーン222が膨張又は収縮した状態の場合に、隔離又は閉塞バルーン222及びバルーンの壁231の位置付け、配置、及び支持を助けることができる。バルーンの壁231は、図22Cで示した加圧制御管腔228、及び図22Bで示した加圧ポート225と流体連通状態の膨張/収縮ポート232を通して加えられる圧力下で膨張する。バルーンの壁231を、適切な圧力を受けた場合に、十分に膨張し、収縮して、幾つかの実施態様による所望の隔離、又は閉塞を行うように、十分に弾性の任意の適した生体適合性材料から構築することができる。こうした生体適合性材料には、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料など生体適合性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせが含まれる。幾つかの実施態様では、隔離又は閉塞バルーン222は、膨張した場合に、図22Eで示したように見える。
図23は、一部の実施態様による1つ以上のアクセス装置を使用して、肝臓250を隔離し、過灌流するために使用することができる過灌流システムを示す図である。肝臓250にある下大静脈(inferior vena cava)(「IVC」)251の一部を、隔離又は閉塞バルーン253及び254を有する1つ以上の隔離カテーテル252を使用して隔離することができ、隔離又は閉塞バルーン253及び254を、1つ以上のアクセスポート257を有するアクセスシステム256を通して腸骨静脈258に挿入することによって、位置付けることができる。1つ以上の隔離カテーテル252は、流通管259及び流出カテーテル260を含む。流出カテーテル260は、肝静脈261からIVC251の隔離部位262内に流れる圧力よりも、低い圧力又は吸引を受けてもよい。血液及び流体は、IVC251を通って隔離カテーテルバルーン252、及び254の遠位に、流通管259を通って流れ、心臓に向かって流れ続ける。肝静脈261から隔離部位262内に流れる血液及び流体を、ポンプ263又は他のポンプ(図示せず)を使用して、流出カテーテル260、アクセスシステム256、及び1つ以上の流出ポート257を通して吸引し、又はポンプで送り出すことができる。
管264は、1つ以上の流出ポート257から血液及び流体を、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型若しくは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置など、任意選択の機器又は装置を通して輸送し、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、血液及び流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。
流出管264は、任意選択の機器又は装置の前又は後に、血液及び流体を治療薬濃縮システム267を通して輸送することができる。その場合、治療の一部として消費されなかった治療を捕獲し、濃縮して、再使用し、又は廃棄することができ、様々な毒性の治療の副産物、或いは分解産物を除去して、ポンプ263に送ることもできる。管265は、ポンプ263から血液及び流体を任意選択の膜型酸素化装置266、及び上記に示した任意の他の任意選択の機器、並びに装置を通して、注入ポート268を通過させて、アクセスシステム256と同じ、或いは異なるアクセスシステム271の流入ポート270を通して、腸骨動脈269に輸送する。図18の実施態様と同様のこうした実施態様など、一部の実施態様では、単一のアクセスシステムを使用して、腸骨静脈258と腸骨動脈269との間にフィステルを形成することができる。他の実施態様では、2つ以上のアクセスシステムを使用して、腸骨静脈258と腸骨動脈260に別々にアクセスすることができる。注入ポート268を使用して、血液、他の流体、薬物また薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は上記の2つ以上の組み合わせを、管265を通って流れる流体に加えることができる。
複数の隔離又はバルーンカテーテル272を、流入ポート270を通り、腸骨動脈269を通り、下行大動脈273の一部を通り、腹腔動脈(図示せず)内に、次いで肝動脈274内に送り込み、胃十二指腸動脈(図示せず)も有効に隔離することができる。追加の隔離又は過灌流カテーテルを使用して、脾動脈(図示せず)及び左胃動脈(図示せず)を腹腔動脈を介して閉塞し、上下の腸間膜動脈275及び276を下行大動脈273を介して閉塞することができる。各隔離又は過灌流カテーテル272を使用して、指摘された血管を閉塞し、かつ/又は血液及び流体を管265から隔離又はバルーンカテーテル272を介してそれぞれ閉塞した血管に供給することができる。血液及び流体が血管に供給されると、血液及び流体は、通常、肝静脈261内の流体と比較して、流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様では、カテーテル272を通って流れる流体は、肝静脈261を通って流れる流体、隔離又は閉塞バルーン253及び254の膨張前にIVC251を通って流れる流体、及び/又は一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量である。
一部の実施態様では、単一の隔離又はバルーンカテーテル272を腹腔動脈(図25を参照)で使用して、それぞれ、脾動脈(図25を参照)、左胃動脈(図25を参照)、胃十二指腸動脈(図25を参照)、及び肝動脈274を隔離することができる。この実施態様では、ポンプ266から隔離又はバルーンカテーテル272を通って流れる血液及び流体に、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを加えて、又は加えずに、注入ポート268から、肝動脈及び肝臓に単一の隔離或いはバルーンカテーテルによって注入し、又は過灌流し、脾動脈、左胃動脈、及び胃十二指腸動脈を閉塞することができる。肝臓の血流を隔離することによって、薬物及び他の物質を肝臓に供給し、体循環に入る前に肝臓から取り出し、それによって隔離した肝臓治療システムを提供することができる。
図24は、図23からの隔離カテーテル252の一実施態様、及び隔離領域279を示す詳細図である。隔離カテーテル252は、隔離又は閉塞バルーン253及び254を有し、IVC251内に配置されて、肝臓250から肝静脈261を通ってIVC251に入る血液を残りの循環系から隔離する。血液は、IVC251内で、矢印277で示された方向に、カテーテル252の流通管259を通って流れ、残りの循環系内に続けて流れる。流出カテーテル260を静脈圧と共に(この図では示されていない)図23からの外部ポンプ263によって生成される吸引下に配置することによって、肝静脈261から流れる血液を流出カテーテル260の孔278を通して取り出すことができる。
図25は、図23からの隔離カテーテル272の一実施態様280を示す詳細図である。この実施態様では、隔離カテーテル280が、図23で示したように腸骨動脈269からではなく、腹腔動脈281の上方の位置から下行大動脈273内に送り込まれる。カテーテル280は隔離又は閉塞バルーン282を有し、隔離又は閉塞バルーン282は、脾動脈283、左胃動脈284、及び胃十二指腸動脈285の枝の近位の腹腔動脈281内の位置から肝動脈274内に延びる。隔離又は閉塞バルーン282を膨張させると、脾動脈283、左胃動脈284、及び胃十二指腸動脈285が隔離され、流入カテーテル286がポンプ263(図23を参照)から流れる血液及び流体に、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを加え、又は加えずに、注入ポート268(図23を参照)から肝動脈及び肝臓に注入し、又は過灌流することができる。
図26は、骨盤臓器及び組織318の血管隔離、並びに過灌流に使用することができる実施態様を示す図である。隔離カテーテル302a及び302bの隔離又は閉塞バルーン301a及び301bを膨張させることによって、それぞれ左右の内腸骨静脈300aと300bを隔離し、又は閉塞することができ、それによって左右の総腸骨静脈304a及び304b、並びに下大静脈(IVC)321を通って体循環に入る骨盤静脈の還流が最小限に抑えられる。隔離カテーテル302a及び302bを、左右の内腸骨静脈300a及び300b内の、それらと左右の外腸骨静脈303a及び303bが結合して、左右の総腸骨静脈304a及び304bを形成する位置に、右総大腿静脈305a及び左総大腿静脈305bへのアクセスを提供することができるアクセス装置(図示せず)を使用して挿入することができる。右内腸骨静脈300aから流れる血液及び流体を流出カテーテル306aによって右外腸骨静脈302a、右総大腿静脈305a、及びアクセス装置(図示せず)を通して循環系から外に、ポンプ307に向かって流出管308a内に輸送することができる。左内腸骨静脈300bから流れる血液及び流体を流出カテーテル306bによって左外腸骨静脈302b、右総大腿静脈305b、及びアクセス装置(図示せず)を通って循環系の外に、ポンプ307に向かって流出管308b内に輸送することができる。
流出管308aと308b内を流れる血液をポンプ307に到達する前に結合することができる。この結合の前、かつ/又は後に、ポンプ入口309を通ってポンプ307に入る前、かつ/又は後に、ポンプ出口310を通ってポンプ307から出る前、かつ/又は後に、かつ/又は、流入管311aと311b内に分割される前、かつ/又は後に、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、膜型或いは気泡型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置など、1つ以上の装置又は機器で、血液及び流体を処理し、又は分析することができる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。通常、流入管311a及び311bb内の流体は、流出管308a及び308bからの流体と比較すると、流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変されている。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。
血液及び流体は、ポンプ入口309を通ってポンプ307に入った後、ポンプ出口310を通してポンプで送り出され、その位置で、流入管311aと311bに分割される。流入管311aは血液及び流体をアクセス装置を通して隔離又はバルーンカテーテル313aの流入カテーテル312aに輸送することができる。アクセス装置は、(フィステルの実施態様が使用された場合などの)流出管308aに使用したアクセス装置と同じでも、異なる装置でもよい。流入カテーテル312aは、右総大腿動脈314aで循環系にアクセスすることができ、血液及び流体を右外腸骨動脈315aを通して、隔離又は閉塞バルーン316aを通して右内腸骨動脈317aに輸送し、そこで血液及び流体を骨盤臓器及び組織318に注入又は過灌流する。隔離又は閉塞バルーン316aを右内腸骨動脈317aの起点に位置付けることができ、膨張されると、右内腸骨動脈317aを腹大動脈319から右総腸骨動脈320aを通って流れる血液から隔離することによって、体循環の注入を最小限に抑えることができる。
同様に、流入管311bは、血液及び流体をアクセス装置を通して隔離カテーテル313bの流入カテーテル312bに輸送することができる。アクセス装置は、(フィステルの実施態様が使用された場合などの)流出管308aに使用したアクセス装置と同じでも、異なる装置でもよい。流入カテーテル312bは、左総大腿動脈314bで循環系にアクセスすることができ、血液及び流体を左外腸骨動脈315bを通り、隔離又は閉塞バルーン316bを通り、左内腸骨動脈317bに入るように輸送し、左内腸骨動脈317bで血液及び流体を骨盤臓器及び組織318に注入又は過灌流することができる。隔離又は閉塞バルーン316bを左内腸骨動脈317bの起点に位置付けることができ、バルーンが膨張すると、左内腸骨動脈317bを腹大動脈319から左総腸骨動脈320bを通って流れる血液から隔離し、それによって体循環の注入の最小限に抑えることができる。
図27は、血管内の流れの制御に隔離又は閉塞バルーンを使用してしない一部の実施態様によるアクセスシステムを示す図である。アクセス装置330は、可動へら334によって分離された流出管腔332と流入管腔333を通して、カニューレ348で、移植片挿入法(interposition graft)、又は動脈切開術などで血管331を貫通することによって、血管331への流体アクセスを提供する。流出管腔332、流出ポート346、及び流出管335へのアクセスを、プランジャアセンブリ336を使用して制御することができる。プランジャアセンブリ336は、ハンドル337、ステム338、及びヘッド339を有する。ヘッド339は、定位置にある場合は、流出管腔332の壁340と相互作用した場合に、液密シールを形成することによって、血管331と流出管腔332との間の流体連通を阻止する。図で27示したように、ハンドル337は、ハンドル337に力を加えることによって、管腔332内に完全に作動され、それによって、プランジャヘッド339をステム338によって血管331に向けて移動させ、血管331から流出管腔332内への流体のアクセスを阻止する。
同様に、流入管腔333、流入ポート347、及び流入管341へのアクセスを、プランジャアセンブリ342を使用して制御することができる。プランジャアセンブリ342は、ハンドル343、ステム344、及びヘッド345を有する。ヘッド345は、流入管腔333の壁346と相互作用した場合に、液密シールを形成することによって、流入管腔333と血管331との間の流体連通を制限することができる。図27で示したように、ハンドル343は、ハンドル343に力を加えることによって、管腔333内に完全に作動され、それによって、ヘッド345をステム344によって血管331に向けて移動させ、血管331から流出管腔332内への流体のアクセスを阻止する。
ヘッド339及び345を、例えば、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料、又は、例えば、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせなど、任意の適した生体適合材料で構築することができる。一部の実施態様では、ハンドル337及び343に十分な力を加えて、プランジャアセンブリ336及び342を管腔332及び333の中に、又はその外に移動させることによって、プランジャアセンブリ336、及び342を作動させることができる。一部の実施態様では、プランジャアセンブリ336及び342の位置を自動制御システムを使用して制御することができる。一部の実施態様では、例えば1つ以上のロックピンなど、任意の適したロック機構を使用して、流出ポート346及び流入ポート347を通る管腔332及び333へのアクセスが制限されない完全な開放から、流出ポート346及び流入ポート347を通る流体流が部分的に制限される任意の数の部分的開放位置を通って、流出ポート346及び流入ポート347を通る管腔332及び333への流体のアクセスが完全に阻止される完全な閉位置まで、プランジャアセンブリ336及び342をその可動域中の任意の位置にロックすることができる。一部の実施態様では、ロック機構は、患者の正常な循環系の逆圧がヘッド339及び345の位置を変えるのを十分に阻止するものである。
可動へら334を血管331内に作動させることによって、血管331を部分的に、又は完全に閉塞し、血管331内の血液及び流体を流出管腔332内に向けることができる。可動へら334を血管331に対して、血管331を完全に閉塞する位置から、血管331を部分的に閉塞する位置を通って、血管331を閉塞しない位置まで任意の数の間を作動させることができ、1つ以上のロックピンなど任意の適したロック機構又はロックシステムを使用して、それら任意の数の位置にロックすることができる。
プランジャアセンブリ336が流出管腔332から十分に引き込められると、血液が流出管腔332を通り、流出ポート346を通り、流出管335内に流れることができる。流出ポート346は、流出管335に結合する流出コネクタ、又は結合手段349を有することができ、それによって流出管腔332を、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、膜型或いは気泡型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置を含む、外部の管、装置、又は機器と流体連通状態に配置することができる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。結合手段349は、例えば、ルアー、ねじ式、圧印、又は衛生的結合など、流出管腔332との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよい。通常、流体は、流体の物理的、化学的、或いは動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、流入ポート347を通して血管331内に導入され、又は再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。
流入ポート347は、流入管341に結合する流入コネクタ又は結合手段350を有し、それを通して、血液、他の流体、薬物或いは薬液、血液凝固阻止薬、抗生物質、造影用流体、診断用流体、治療、栄養素、生理食塩水、緩衝剤、血漿、合成或いは天然の血液製剤若しくは因子、抗体、タンパク質或いはそのフラグメント、ペプチド或いはそのフラグメント、遺伝子或いはそのフラグメント、DNA、RNA、核酸、ナノ装置、血球、及び/又は、上記の2つ以上の組み合わせを、プランジャアセンブリ342が流入管腔333から十分に引き込められた場合に、流出ポート346を通って取り出される流体と同じ或いは異なる圧力及び流量で管腔333及び血管331内に供給し、若しくは再導入することができる。一部の実施態様では、流入ポート347を通って流れる流体は、流出ポート346を通って流れる流体、血管331を可動へら334で閉塞する前に血管331の上流(近位)部分351に流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量である。結合手段350は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など管腔333との衛生的、又は無菌、或いは滅菌可能な連通を提供する任意の適した手段でもよく、結合手段349と同じでもよく、又は異なるものでもよい。
図28は、図27のアクセス装置330の一部の実施態様を示す図である。図28では、プランジャアセンブリ336及び342が作動されて、流出管腔332及び流入管腔342を完全に開放し、それらを血管331と流体連通状態に配置している。さらに、可動へら334が血管331内に完全に作動され、それによって血管331を閉塞し、血流を矢印352で示したように流出管腔332内に向け、流出ポート346を通って管335内に流れ、様々な外部の機器及び装置に流れることができるようになされている。また、矢印353で示したように、流体を流入管341から流入ポート347及び流入管腔333を通って血管331内に導入することができる。
図29は、血管内に挿入されておらず、プランジャアセンブリ(図示せず)が完全な開位置にある場合の、可動へら334を有する、カニューレ348、流出管腔332、及び流入管腔333を見下ろすアクセス装置330を示す断面図である。
図30は、カニューレ348を見下ろす別の断面図である。分割システムの外部の別個の管は163である。図27及び28も参照されたい。
図31は、過灌流又は灌流に関わる実施態様を含む、一部の実施態様で使用することができる隔離又はバルーンカテーテル360を示す図である。バルーンカテーテル360は、複数のアクセスポート:加圧ポート364、流体流ポート365、及び圧力変換ポート366を有する。加圧ポート364はコネクタ又は結合手段361を有する。コネクタ361は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など、任意の適したコネクタ又は結合部でもよい。加圧ポート364を固定ガイド367を使用して加圧管腔373と流体連通状態に配置することができる。加圧制御システムをコネクタ361に結合し、ガスを加圧ポート364及び加圧管腔373を介して加え、又は除去することによって、ヘリウムなど不活性ガスを隔離又は閉塞バルーン369に注入し、かつ/又はそれから除去して、バルーン369を膨張させ、又は収縮させることができる。
流体流ポート365は、コネクタ又は結合手段362を有する。コネクタ362は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など、任意の適したコネクタ又は結合部でもよい。流体流ポート365を固定ガイド及び支持手段367を使用して流体流管腔372と流体連通状態に配置することができ、開口部375を有する流入/流出ポート370を通して血液及び流体を血管に加え、又は取り出するために使用することができる。開口部375を通して流体を加え、又は取り出することができる。カテーテル360は、流入或いは流出ポート内に、又はそれを通して配置された場合に、ポートに液密シールをもたらす適したシール手段を含むことができ、液密シールは、流体流管腔372の外部にある固定ガイド及び支持手段367の下に配置されてもよく、又はそうしなくてもよい。別法として、固定ガイド及び支持手段367を、それを通してカテーテル367を配置することができるアクセス装置の流入又は流出ポートにある液密シールとして働くように構成することもできる。
圧力変換ポート366は、コネクタ又は結合手段363を有する。コネクタ363は、例えば、ルアー、圧印、ねじ式、又は衛生的結合など、任意の適したコネクタ又は結合部でもよい。圧力変換ポート366を固定ガイド367を使用して圧力変換管腔371と流体連通状態に配置することができ、圧力変換器と共に使用して、バルーン369内の圧力を測定し、加圧ポート364に結合された加圧制御システムにフィードバック信号を送り、バルーン369の膨張及び収縮の制御を助けることができる。別法として、圧力変換器は、フィードバック信号を送らずに、バルーン369内の圧力を測定し、報告することもできる。
バルーン369は、1つ以上の剛性又は半剛性の支持部374を含み、バルーン369が膨張又は収縮状態の場合に、バルーン369及びバルーンの壁376の位置付け、配置、及び支持を助けることができる。バルーンの壁376は、加圧制御管腔373及び加圧ポート364と流体連通状態の加圧ポート364を通して加えられる圧力下で膨張する。バルーンの壁376を、所望の圧力に露出されると十分に膨張し収縮するように十分に弾性の任意の適した生体適合性材料から構築して、一部の実施態様による所望の隔離又は閉塞を行うことができる。こうした生体適合性材料には、シリコーン、或いは他の適した生体適合性のエラストマー及び/若しくは熱可塑性材料、又は、ポリ塩化ビニル、亜硝酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミン、ポリアミド、PET、ポリエステル、ポリエーテル、及びこうした材料のランダム或いはブロック共重合体、こうした材料の架橋実施態様、こうした材料の層状の組み合わせなどの組み合わせが含まれる。
図32は、幾つかの実施態様による、アクセス装置の管腔が血管の管腔端に結合される、アクセスシステムを示す図である。図32は、血管402を離断点404で離断し、縫合スリーブ408及び第2のシールスリーブ410を使用して、血管402とアクセス装置400との間の吻合を作製することによって、アクセス装置400の管腔406が正常な流れに沿って血管402と直接流体連通するように挿入された、血管402内の流体流の方向と一致するように配置されたアクセス装置400を示す図である。縫合スリーブ408は、アクセス装置400を血管402に縫合し、第2のシールスリーブ410は、アクセス装置400と血管402の結合部での血管からの流体の漏れを制限し、アクセス装置400及び吻合の位置付けを強化する。この構成を使用する場合、閉塞部にできるだけ近いところで血管を離断することが望ましいことが多い。閉塞部に隣接する離断された血管の遠位端をクランプし、縛り、又は他の方法でシールして、流体が血管から漏れるのを防ぎ、感染を回避することができる。バルーンカテーテル411が流出ポート412を通って血管400内に挿入され、血管400の枝に近接するように位置付けられたところが示されている。
バルーン414は膨張されると、血管402を閉塞し、血管402内を流れる流体がバルーンカテーテル411及び流出ポート412を通り、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、CO2、脈など血液監視装置、或いは他の血液監視装置、気泡型若しくは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置を含む、外部の管、装置、或いは機器内に入るように向ける。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。次いで、流体を、流入ポート416及びアクセス装置400の管腔406を通り、血管402の枝418内に戻すことができる。
通常、流体は、流体又は流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、流入ポート416によって血管402に導入され、又は再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力、又は異なる温度で、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様では、流体は、流出ポート412を通って流れる流体、バルーン414で血管402を閉塞する前に血管402の近位部分401を流れる流体、及び/又は、一部の実施態様での頚動脈血圧など、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧流量よりも高い圧力及び又は流量の流量又は圧力で戻される。管腔406、バルーンカテーテル411、縫合スリーブ408、及び第2のシールスリーブ410を、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、生体適合性材料、非生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、適した材料から構築することができる。こうした生体適合性及び/又は非生体適合性の材料の例を本明細書に開示する。非生体適合性材料が解剖学的構造と接触する可能性がある場合、非生体適合性材料から作製された構成要素を生体適合性材料でしばしばカバー又は被覆することができる。
図33は、血管402の離断した端部に結合されたアクセス装置400の管腔406を示す、図32で示したシステムのより詳細な図である。アクセス装置400の管腔406は、血管402の壁422に縫合することができる縫合スリーブ408を介して血管402と流体連通状態である。シールスリーブ(又は第2のシールスリーブ、或いは補強スカート)410を、外膜縫合(adventitial suture)424又は他の縫合を使用して、血管402に直接縫合することができる。シールスリーブ410も、ニカワ、接着剤、又は他の付着など、縫合又は他の結合手段で管腔406に取り付けられる。
図34は、通常、本明細書に開示するように、所望の角度で血管の側壁を通って血管428にアクセスするアクセス装置426を示す図である。図32及び33と同様に、アクセス装置426を縫合スリーブ430及びシールスリーブ432を介して血管428に結合することができる。所望の場合は、図32、33、及び34で示したシールスリーブ又は補強スカートを本明細書に開示する多くの他の実施態様と共に使用することができる。このスリーブ又はスカートは、皮膚、血管、又は組織をハウジング或いは管腔に固定する助けをするための追加の支持、若しくは補強構造を与えることができる。それによって、結合点での装置の移動を最小限に抑え、かつ/又は感染の可能性を低減する助けをすることができる。こうした補強構造又はスカートを、本明細書に開示するように、生体適合性材料、及び/又は非生体適合性材料、或いはそれらの組み合わせから構築することができる。例えば、図32、33、及び34を参照されたい。これらの図は、図で示した補強スカートが縫合スリーブからの流体又は血液の漏れを防止し、又は低減することができることを示している。幾つかの実施態様では、第2のスカート(例えば、図33の408を参照)、又は外側保護層を使用することが望ましい。追加のスカートの一利点は、装置が取り付けられる患者の部位の感染の可能性がさらに低減されることである。少なくとも1つの補強構造又はスカートを、本出願に開示する多くの実施態様と共に使用することができ、本開示で示したものと異なる構成を有することができる。さらに、少なくとも1つの第2のスカート又は外側保護層が、異なる構成を有することもできる。
図36は、脳の治療のためのシステムの幾つかの実施態様を示す図である。アクセス装置452は総大腿動脈454内に挿入される。一例として、図で示したアクセス装置452は図16の実施態様のアクセス装置である。アクセス装置454は流出ポート456及び流入ポート458を有する。バルーンカテーテル460は、流入ポート458を通って総大腿動脈454内に、腹部及び胸郭の大動脈462の様々な部分を通り、大動脈弓464を通って左総頚動脈466内に向けられる。使用の際は、バルーンカテーテル460のバルーン468を膨張させて、左総大腿動脈454を心臓からの流れから閉塞し、隔離して、治療に備えることができる。アクセス装置452を使用して、流体を、総大腿動脈454から、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、或いは他の血液監視装置、気泡型若しくは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水或いはデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置を含む、外部の管、装置、或いは機器内に抜き取る。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。次いで、流体を、バルーンカテーテル460を通して総頚動脈454内に戻すことができる。
通常、流体は、流体又は流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、バルーンカテーテル460によって総頚動脈454に導入され、又は再導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様では、流体は、バルーン468で閉塞する前に総頚動脈454内を流れる流体、及び/又は、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量の流量又は圧力で戻される。左内頚動脈の閉塞又は閉塞に近い症状がある場合に、同様の方法で右総頚動脈血管を灌流して、ウイリス動脈輪を通る右半球又は左半球への血流を増加させることができる。同様に、右内頚動脈の閉塞又は閉塞に近い症状がある場合に、脳の右側を左総頚動脈によって灌流することができる。
図37は、アクセス装置500の幾つかの実施態様を示す図である。アクセス装置500は、アクセス端501に縫合用脚502を有し、縫合用脚502は、使用の際に、アクセス装置500を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔504との間の流体連通をもたらす。アクセス装置500はスリーブ506を有し、スリーブ506は、アクセス装置500及び管腔504を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避する。アクセス装置500は、コネクタ508及びエンドキャップ510でふたをされた流れポート507を有する。流れポート507を管腔504内に挿入し、管腔504に付着し、シールし、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。コネクタ508は、外端512でエンドキャップ510をアクセス装置500に結合しやすくして、アクセス装置500を図で示した保留構成に配置し、管腔504、及び装置500を通る流れが生じないようにする。アクセス装置500を血管内に挿入した場合に、この構成を治療の合間、又は治療前に使用することができる。その場合、アクセス装置500が使用されないときに、エンドキャップ510が装置500に結合されて、感染を制限又は防止し、血管のアクセスを隔離する。
アクセス装置500、縫合用脚502、管腔504、スリーブ506、流れポート507、コネクタ508、及びエンドキャップ510を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ506、及び/又は縫合用脚502をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔504は、全体的又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート507、コネクタ508、及びエンドキャップ510は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図38は、図37の装置を示す断面図である。アクセス装置500は、アクセス端501に縫合用脚502を有し、縫合用脚502は、使用の際に、アクセス装置500を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔504との間の流体連通をもたらす。アクセス装置500はスリーブ506を有し、スリーブ506は、装置500及び管腔504を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避する。アクセス装置500は、コネクタ508及びエンドキャップ510でふたをされた流れポート507を有する。流れポート507を管腔504内に挿入し、管腔504に付着し、シールし、又は他の方法で結合し、或いはシールして、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して様々な装置に結合することができる。コネクタ508は、外端512でエンドキャップ510をアクセス装置500に結合しやすくして、アクセス装置500を図で示した保留構成に配置し、管腔504、及び装置500を通る流れが生じないようにする。アクセス装置500を血管内に挿入した場合に、この構成を治療の合間、又は治療前に使用することができる。その場合、アクセス装置500が使用されないときに、エンドキャップ510が装置500に結合されて、感染を制限又は防止し、血管のアクセスを隔離する。
アクセス装置500、縫合用脚502、管腔504、スリーブ506、流れポート507、コネクタ508、及びエンドキャップ510を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、管腔504を、全体的又は部分的にシリコーンで作製することができる。一部の実施態様では、管腔504を2つ以上の生体適合性、又は被覆した非生体適合性材料から構築することができる。例えば、一部の実施態様では、管腔504は、シリコーンである可撓性部分、及び、即硬性接着剤、或いは他の適した接着剤、若しくは付着材料を使用してシリコーン部分に付着することができる、金属、又はPTFE、或いは他の適した材料の第2の部分を含むことができる。一部の態様では、スリーブ506、及び/又は縫合用脚502をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、流れポート507、コネクタ508、及びエンドキャップ510は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図で示したように、アクセス装置500は管腔504内に挿入されたプランジャ513を有する。プランジャ513はカニューレ状になされたプランジャシャフト516を備えることができる。図で示したように、プランジャシャフト516は固体のプランジャシャフトを含むことができ、プランジャヘッド514を有することができる。プランジャヘッド514はリブ515を有することができ、又はリブがなくてもよい。一部の実施態様では、リブ515は、管腔504をシールして、血管内を流れる流体が管腔504にアクセスするのを阻止し、リブのないプランジャヘッドと比較すると、プランジャヘッド514と管腔504の接触表面積をより制限することによって、プランジャ513が管腔504内でより容易に可動になるようにする。幾つかの態様では、プランジャ513及びプランジャシャフト516を、全体又は部分的に金属で作製することができ、プランジャヘッド514をHDPEで作製することができる。別法として、それらを、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、又はこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から構築することができる。
プランジャシャフト516をカニューレ状にして、血管造影、及び、例えば、生理食塩水、デキストロース、或いはヘパリン溶液などの溶液の点滴など、本明細書に記載した任意の治療などの治療を追加するための、管腔504及び/又は血管へのアクセスを提供することができる。この図では、プランジャシャフト516のカニューレ内の適所にあるスタイレット517を有するアクセス装置500が示されている。この図では、プランジャシャフトカニューレ516aがプランジャ内の中心に位置付けられ、アクセス装置500の端部512からプランジャシャフト516及びプランジャヘッド514を通って延びているところが示されている。他の実施態様では、プランジャシャフトカニューレ516aがプランジャシャフト516内の中心に位置してもよく、他の実施態様では、プランジャシャフト516は、それぞれ個々の協働するスタイレットを有する0、1つ、2つ、3つ、又は4つのカニューレを含むことができ、又はスタイレット517をそれぞれ個々のカニューレ内に嵌る複数のシャフトを有するように構成することができる。スタイレット517を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、又はこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から作製することができる。
スタイレット517を設けて、流体又は血液がプランジャヘッド514内のカニューレを通って漏れるのを阻止することができる。スタイレット517の端部部分519はプランジャヘッド514と協働して、プランジャヘッド514と十分な締まりばめを行い、流体或いは血圧のスタイレットからの損失を阻止し、実質的に阻止し、又は低減し、プランジャシャフトカニューレ516aを通る流体或いは血液の漏れを阻止し、実質的に阻止し、又は低減することができる。一部の態様では、スタイレットの長さは、スタイレットがプランジャシャフトカニューレ516a内にプランジャヘッド514を通して完全に挿入された場合に、スタイレットが僅かに突き出るように着座する長さである。こうした突出の大きさは、例えば、限定的ではないが、0.25から0.75mm、0.1から1mm、0.2から0.8mm、又は0.3から0.6mmである。一部の実施態様では、スタイレットの遠位端519aを、ルアー結合又はねじ式結合など適した結合を使用して、プランジャシャフト516の遠位端に結合して、エンドキャップ510を取り外したときに、スタイレット517が定位置に保持されるが、他の実施態様では、スタイレット517がプランジャシャフトカニューレ516a内に単に配置されるように構築することができる。スタイレット517の端部部分519aは、幾つかの態様では、例えば丸形を有するなど、血栓形成の可能性を低減するように形付けられる。
図39は、エンドキャップが除去された図38の装置の一部を示す詳細断面図である。この図は、図38で示した装置の実施態様の遠位端に関する詳細の一部を示す図である。図で示したように、管腔504はその中に配置された流れポート507を有する。コネクタ508はシール部材524を流れポート507のシール肩部526に対して保持する。シール部材524は管腔504をシールして、外来物質が管腔504に侵入するのを阻止し、プランジャシャフト516の遠位端に構造的支持を与え、プランジャ513の肩部513aとの相互作用によって、プランジャ513の管腔504内への過剰な挿入を阻止する。肩部513aを、単独、又はプランジャを管腔504から取り外す除去装置、或いはツールの結合部、又は治療、或いは他の流体、若しくは装置供給部の結合部との結合手段513bと併せて助けるように構成することができる。図で示した実施態様では、スタイレット517はプランジャシャフトカニューレ516a内に挿入され、部分的にシール部材525によって定位置にシールされる。
図40は、エンドキャップ及びスタイレットが除去された図38の装置を示す断面図である。この構成では、アクセス装置500を使用して、適した機器及び溶液をプランジャシャフト516の遠位端に結合することによって、血管内の血管造影、又は他の試験処置のアクセスのために、例えば、生理食塩水、デキストロース、又はヘパリン溶液などの点滴容液など、本明細書に記載した任意の治療などの治療を、プランジャシャフトカニューレ516aを通して供給し、又は加えることができる。この実施態様のカニュレーションの径は、例えばa5フレンチカテーテル(a 5 French catheter)など、診断用カテーテルと適合性があるものである。一部の態様では、追加の任意の溶液(例えば生理食塩水、及び/又はヘパリン)の適した流れをプランジャヘッド514の背後に充填することができるように、プランジャシャフト516の外径はプランジャヘッド514の径よりも小さくてもよい。プランジャシャフト516を、挿入及び引き抜き中の長手方向の力に耐えるように十分に硬くすることができる。一部の実施態様では、プランジャシャフト516は、遠位端に切欠きを有して、無菌液で装置をバックフラッシュし、装置アセンブリを過剰に加圧しないように溶液を排出できるようにすることができる。幾つかの態様では、プランジャシャフトは、平滑、又は実質的に平滑な表面を有して、シャフトのシールと所望の界面が生成されるようにすることができる。一部の態様では、プランジャシャフト516は、交換可能なプランジャヘッド514の単純な結合を可能にするねじ式端部を有することができる。図41は、プランジャが部分的に除去された状態の図37から図40のアクセス装置500を示す断面図であり、図42は、プランジャ及びコネクタが完全に除去された状態の図42のアクセス装置500を示す断面図である。図42の構成では、アクセス装置500は、患者の治療に備えて、追加の結合部、アクセス部、又は治療キャップを受けるように構成される。管腔504が、流体がそれを通って流れ、又はバルーンカテーテル或いは他の装置を挿入するために完全に開放されているところが示されている。
図43は、複数アクセス治療キャップ608を有するアクセス装置600の一実施態様を示す図である。アクセス装置600は、アクセス端601に縫合用脚602を有し、縫合用脚602は、使用の際に、アクセス装置600を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔604との間の流体連通を提供する。図で示した実施態様では、管腔604は、本明細書に記載した、生体適合性材料、又は被覆された非生体適合性材料の任意の組み合わせなど様々な材料で構築することができ、付着、或いは他の方法で結合し、若しくは互いに接着することができる、2つの異なる部分603及び603aを含むことができる。例えば、一部の実施態様では、部分603aはPTFEを含み、部分603はシリコーンを含み、即硬性接着剤など接着剤を使用して、それらの部分を互いに付着し、又は互いに接着することができる。アクセス装置600は、装置600及び管腔604を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/或いは漏れを最小限に抑え/回避するスリーブ606を有する。さらに、スリーブ606は、補強部材606aを管腔604に対して支持し、かつ/又は結合する。
アクセス装置600は、複数アクセス治療キャップ608でふたをされた流れポート607を有する。流れポート607を管腔604内に挿入し、管腔604の部分603に付着、シール、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。本明細書に記載した、ねじ式、ルアー、圧印、又は任意の他の結合など、任意の適した結合を使用して、複数アクセス治療キャップ608を流れポート607に結合することができる。複数アクセス治療キャップ608は、患者の治療のための、本明細書に記載した様々な外部の管、機器、及び装置に結合することができるアクセスポート609及び610を有することができる。アクセス装置600を血管内に挿入した場合に、図で示した構成をこうした管、機器、及び装置と併せて使用して患者を治療することができる。
アクセス装置600、縫合用脚602、管腔604、スリーブ606、補強部材606a、流れポート607、及び複数アクセス治療キャップ608を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ606及び/又は縫合用脚602をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔604は全体的又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート607及び複数アクセス治療キャップ608は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図44は、複数アクセス治療キャップ608ではなく、エンドキャップ630及びコネクタ632を有する図43の実施態様を示す断面図である。アクセス装置600は、アクセス端601に縫合用脚602を有し、縫合用脚602は、使用の際に、アクセス装置600を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔604との間の流体連通をもたらす。アクセス装置600はスリーブ606を有し、スリーブ606は、装置600及び管腔504を支持し、皮膚の貫通又は血管の貫通点をシールし、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避し、感染を防止又は低減する。アクセス装置600は、コネクタ632及びエンドキャップ630でふたをされた流れポート607を有する。流れポート607を管腔604内に挿入し、管腔604の部分603に付着し、シールし、又は結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。コネクタ632は、外端612でエンドキャップ630をアクセス装置600に結合しやすくして、アクセス装置600を図で示した保留構成に配置し、管腔604、及び装置600を通る流れが生じないようにする。アクセス装置600を血管内に挿入した場合に、この構成を治療の合間、又は治療前に使用することができる。その場合、アクセス装置600が使用されないときに、エンドキャップ630を装置600に結合して、感染を制限又は防止し、血管のアクセスを隔離することができる。
アクセス装置600、縫合用脚602、管腔604、スリーブ606、流れポート607、コネクタ632、及びエンドキャップ630を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、管腔604を、全体的又は部分的にシリコーンで作製することができる。一部の実施態様では、管腔604を、本明細書に記載した、2つ以上の生体適合性、又は被覆した非生体適合性の材料から構築することができる。例えば、一部の実施態様では、管腔604は、シリコーンである可撓性部分、及び、即硬性接着剤、或いは他の適した接着剤、若しくは付着材料を使用してシリコーン部分に付着することができる、金属、又はPTFE、或いは他の適した材料の第2の部分を含むことができる。一部の実施態様では、管腔604は、PTFEでもよい部分603a、及びシリコーンでもよい部分603を備える。他の実施態様では、部分603及び603aは、本明細書に記載した、生体適合性材料と被覆した生体適合性材料の任意の適した組み合わせでもよく、それぞれこうした組み合わせが特に企図される。一部の態様では、スリーブ606、及び/又は縫合用脚602をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、流れポート607、コネクタ632、及びエンドキャップ630は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図で示したように、アクセス装置600は、管腔604内に挿入されるプランジャ613を有する。プランジャ613は、図で示したようにカニューレ状のプランジャシャフト616を備えることができ、又は固体のプランジャシャフトを備えることができ、図で示したようにリブのない、或いはリブを持つことができるプランジャヘッド614を有することができる。一部の実施態様では、プランジャヘッド614は、管腔604をシールして、血管内を流れる流体が管腔604にアクセスするのを阻止する働きをすることができる。幾つかの態様では、プランジャ613及びプランジャシャフト616を全体的又は部分的に金属で作製することができ、プランジャヘッド614をHDPEで作製することができる。別法として、それらを、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から構築することもできる。
プランジャシャフト616をカニューレ状にして、血管造影、及び、例えば、生理食塩水、デキストロース、或いはヘパリン溶液などの溶液の点滴など、本明細書に記載した任意の治療などの治療を追加するため、管腔604又は血管へのアクセスを提供することができる。この図では、プランジャシャフト616のカニューレ内の適所にあるスタイレット617を有するアクセス装置600が示されている。この図では、プランジャシャフトカニューレ616aが中心に位置付けられたところが示されている。他の実施態様では、プランジャシャフトカニューレ616aがプランジャシャフト616内の中心に位置してもよく、他の実施態様では、プランジャシャフト616は、それぞれ個々の協働するスタイレットを有する0、1つ、2つ、3つ、又は4つのカニューレを含むことができ、又はスタイレット617をそれぞれ個々のカニューレ内に嵌る複数のシャフトを有するように構成することができる。スタイレット617を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料、或いはこうした材料の組み合わせなど、任意の適した材料から作製することができる。
スタイレット617を設けて、流体又は血液がプランジャヘッド614内のカニューレを通って漏れるのを阻止することができる。スタイレット617の端部部分619はプランジャヘッド614と協働して、プランジャヘッド614と十分な締まりばめを行い、流体或いは血圧のスタイレットからの損失を阻止し、実質的に阻止し、又は低減し、プランジャシャフトカニューレ616aを通る流体或いは血液の漏れを阻止し、実質的に阻止し、又は低減することができる。一部の態様では、スタイレットの長さは、スタイレットがプランジャシャフトカニューレ616a内にプランジャヘッド614を通して完全に挿入された場合に、スタイレットが僅かに突き出るように着座する長さである。こうした突出の大きさは、例えば、限定的ではないが、0.25から0.75mm、0.1から1mm、0.2から0.8mm、又は0.3から0.6mmである。一部の実施態様では、スタイレットの遠位端619aを、ルアー結合又はねじ式結合など適した結合を使用して、プランジャシャフト616の遠位端に結合して、エンドキャップ510を取り外したときに、スタイレット617が定位置に保持されるが、他の実施態様では、スタイレット617がプランジャシャフトカニューレ616a内に単に配置されるように構築することができる。スタイレット617の端部部分619aは、幾つかの態様では、例えば丸形を有するなど、血栓形成の可能性を低減するように形付けられる。
図45は、アクセス装置600のアクセス端601を示す、図44の実施態様の一部を示す詳細断面図である。図で示したように、縫合用脚602は管腔604に付着される。プランジャヘッド614はアクセス端601内に配置されて、管腔604内への流体の流れを阻止する。同様に、スタイレット617はプランジャシャフトカニューレ616aをシールする。シール部材634はスタイレット617と相互作用して、スタイレット617のアクセス端617aに支持を与え、スタイレット617がプランジャシャフトカニューレ616aをシールする助けをする。
図46は、治療構成のアクセス装置650の一実施態様を示す図である。アクセス装置650は、アクセス端651に縫合用脚652を有し、縫合用脚652は、使用の際に、アクセス装置650を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔654との間の流体連通を提供する。図で示した実施態様では、管腔654は、本明細書に記載した、生体適合性材料、又は被覆された非生体適合性材料の任意の組み合わせなど様々な材料で構築することができ、付着、或いは他の方法で結合し、若しくは互いに接着することができる、2つの異なる部分653及び653aを含むことができる。例えば、一部の実施態様では、部分653aはPTFEを含むことができ、部分653はシリコーンを含むことができ、即硬性接着剤など接着剤を使用して、それらの部分を互いに付着し、又は互いに接着することができる。アクセス装置650は、装置650及び管腔654を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/或いは漏れを最小限に抑え/回避するスリーブ656を有する。
アクセス装置650は、治療キャップ658でふたをされた流れポート657を有する。流れポート657を管腔654内に挿入し、管腔654の部分653に付着、シール、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。本明細書に記載した、ねじ式、ルアー、圧印、又は他の結合など、任意の適した結合を使用して、治療キャップ658を流れポート657に結合することができる。治療キャップ658は、患者の治療のための、本明細書に記載した様々な外部の管、機器、及び装置に結合することができるアクセスポート659を有することができる。アクセス装置650を血管内に挿入した場合に、図で示した構成をこうした管、機器、及び装置と併せて使用して、患者を治療することができる。図で示した実施態様では、バルーンカテーテル660がアクセスポート659及び管腔654を通して配置されている。バルーンカテーテル660は、バルーン680、流れ管腔682、及び膨張管腔684を有する。治療の一部として、膨張管腔684を使用してバルーン680を膨張させて、血管、循環系の一部、臓器、及び/又は他の組織を閉塞又は隔離することができ、流体を、流れ管腔682を通って、血管、循環系の一部、臓器、及び/又は他の組織の中に、又はそれから外にポンプで送り出し、或いは他の方法で送ることができる。
アクセス装置650、縫合用脚652、管腔654、スリーブ606、流れポート657、治療キャップ608、バルーンカテーテル660、バルーン680、流れ管腔682、及び膨張管腔684を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ656、及び/又は縫合用脚652をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔654は全体的又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート657及び治療キャップ658は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図47は図46の実施態様を示す断面図である。図で示したように、バルーンカテーテル660はシール部材686、688、及び690を通って管腔604内に挿入される。シール部材686、688、及び690は、Oリング又はガスケットなど任意の適したシール部材でもよく、例えば、シリコーンなど、本明細書に記載した任意の適した生体適合性材料又は被覆した非生体適合性材料から構築することができる。幾つかの実施態様では、逆止め弁及び/又は流量制御弁など、他のシール部材を使用することができる。一部の態様では、選択した弁によって、流体が一方向だけに流れるのを可能に、又は実質的に可能にすることが望ましい。流体自体(例えばダックビル弁で)、又は、ばね弁、及び/或いは逆止め弁など他の弁構成を使用して、使用されるシール部材によって、流体が逆方向に移動するのが阻止されることが望ましい。一部の実施態様では、シール部材688は、例えばシリコーンなど、本明細書に記載した、任意の適した生体適合性材料又は被覆した非生体適合性材料から構築することができるダックビル弁でもよい。任意の適したダックビル弁構成を使用することができる。
一部の実施態様では、ダックビル弁は、ダックビル弁が挿入されたポートを通る逆流を阻止又は制限することができ、ダックビル弁のローブを通してねじ込むことができるバルーンカテーテルが管腔604にアクセスできるようにすることができる。ダックビル弁のリーフレットは、こうしたバルーンカテーテルの周囲に完全に又は部分的に形成されて、関連するアクセスポートを通る漏れ又は逆流を制限することができる適した材料のものでもよい。
図48は、ボルテックスキャップ708を有するアクセス装置700の一実施態様を示す図である。アクセス装置700は、アクセス端701に縫合用脚702を有し、縫合用脚702は、使用の際に、アクセス装置700を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔704との間の流体連通をもたらす。アクセス装置700はスリーブ706を有し、スリーブ706は、装置700及び管腔704を支持し、皮膚の貫通又は血管の貫通点をシールし、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避する。アクセス装置700は、ボルテックスキャップ708でふたをされた流れポート707を有する。流れポート707を管腔704内に挿入し、管腔704に付着し、シールし、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して様々な装置に結合することができる。ボルテックスキャップ708を、本明細書に記載した、ねじ式、ルアー、圧印、又は任意の他の結合など、任意の適した結合を使用して流れポート707に結合することができる。ボルテックスキャップ708は、ボルテックスポート709、及び本明細書に記載した任意の適した結合手段を使用して、患者の治療のための、本明細書に記載した様々な外部の管、機器、及び装置に結合することができるアクセスポート710を有することができる。アクセス装置700を血管内に挿入した場合、図で示した構成をこうした管、機器、及び装置と併せて使用して、患者を治療することができる。
アクセス装置700、縫合用脚702、管腔704、スリーブ706、流れポート707、及びボルテックスキャップ708を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ706、及び/又は縫合用脚702をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔704は、全体的又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート707及びボルテックスキャップ708は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図49は、管腔704、流れポート707、及びボルテックスキャップ708の内側部分を示す、図48の実施態様の断面図である。ボルテックスキャップが結合キャップ720を有するところが示されており、結合キャップ720は、管、装置、及び機器の結合を容易にし、それらは、アクセス装置700への本明細書に記載した任意の管、装置、又は機器でもよい。
図50は、ボルテックスキャップ708の断面を示す、図49の実施態様の一部の詳細断面図である。図で示したように、ボルテックスキャップ708は、アクセスポート710を通して配置することができる管、装置、及び機器をシールするためのシール部材722及び724を含む。使用の際は、バルーンカテーテル(図示せず)を使用して、流体が、アクセスポート710を通って取り出され、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置などを含む、様々な外部の管、装置、又は機器に送られる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。次いで、流体を、ボルテックスポート709を通して、管腔704及び血管(図示せず)内に戻すことができる。
通常、流体は、流体又は流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変された後に、ボルテックスポート709を通して導入される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様では、流体は、閉塞バルーンで閉塞する前に血管内を流れる流体、及び/又は、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量の流量又は圧力で戻される。ボルテックスポート709は、流体をボルテックスキャップ708の内側壁708a及び管腔704に沿って戻して、戻る流体中の様々な成分に与えるせん断損傷の可能性を低減するように特別に構成される。幾つかのの態様では、ボルテックスヘッドは、血液又は流体をアクセス装置本体内にポンプで送り込む場合に、うっ血領域を最小限に抑え、又は実質的に最小限に抑えるように設計される。一部の実施態様では、これは、ボルテックスポートが実質的に接線方向にボルテックスキャップ708を貫通し、湾曲した三角形の凹面709aを有するように構成することによって実現される。ポート709の貫通をこのように構成することによって、流体がボルテックスキャップの壁に沿って渦巻き状に下降して管腔704内に流れることができ、戻り流体に加わるせん断及び速度の影響が低減され、アクセスポート710を通して挿入されたバルーンカテーテルの周囲を流れることができる。
図51は、複数アクセス治療キャップ758を有するアクセス装置750の一実施態様を示す断面図である。アクセス装置750は、アクセス端751に縫合用脚752を有し、縫合用脚752は、使用の際に、アクセス装置750を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔754との間の流体連通を提供する。アクセス装置750は、装置750及び管腔754を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/或いは漏れを最小限に抑え/回避するスリーブ756を有する。アクセス装置750は、複数アクセス治療キャップ758でふたをされた流れポート757を有する。流れポート757を管腔754内に挿入し、管腔754に付着、シール、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。本明細書に記載した、例えば、ねじ式、ルアー、圧印、又は任意の他の結合など、任意の適した結合を使用して、複数アクセス治療キャップ758を流れポート757に結合することができる。複数アクセス治療キャップ758は、患者の治療のための、本明細書に記載した様々な外部の管、機器、及び装置に結合することができるアクセスポート759、760、及び761を有することができる。アクセス装置750を血管内に挿入する場合に、図で示した構成をこうした管、機器、及び装置と併せて使用して、患者を治療することができる。ダックビル弁759a及び760aは、それぞれアクセスポート759及び760内に挿入され、結合キャップ762及び763によって定位置に保持される。ダックビル弁759a及び760aは、任意のシール部材、又は本明細書に記載したものなど、適したダックビル弁でもよい。複数アクセス治療キャップ758は、シール部材757aとの相互作用によって流れポート757をシールすることができ、Oリング、又はガスケットなど、任意の適したシール部材でもよい。
アクセス装置750、縫合用脚752、管腔754、スリーブ756、流れポート757、ダックビル弁759及び760、シール部材757a、並びに複数アクセス治療キャップ758を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ756、及び/又は縫合用脚752をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔754は、全体的又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート757、及び複数アクセス治療キャップ758は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図52は、治療構成の図51のアクセス装置の一実施態様を示す断面図である。図で示したように、カテーテル770が、アクセスポート760及びダックビル弁760aを通り、管腔754を通って、血管772内に挿入されている。この構成を使用して、流体を、カテーテル770を通して、かつ/又はアクセスポート759及びダックビル弁759aを通して取り出し、或いは戻すことができる。使用の際は、カテーテル770を使用してアクセスポート760を通して、流体を血管772から取り出し、又は血管772内に導入し、かつ/又はアクセスポート759を通して、例えば、ポンプ、流量制御装置、薬物送達装置、血液pH、SO2、脈など血液監視装置、又は他の血液監視装置、気泡型或いは膜型の酸素化装置など血液酸素化装置、サンプリング装置、生理食塩水又はデキストロースの点滴など栄養素供給装置、化学及び物理フィルタを含む、透析、又は他の血液清浄或いは洗浄装置、心臓に適用するカウンターパルセイション装置、又はバルーン加圧制御装置など、バルーンカテーテル監視及び制御装置、血液温度制御装置、又は任意の他の適した装置などを含む、様々な外部の管、装置、及び機器に送り、それから戻すことができる。こうした装置、又は機器では、特定の治療法により、かつ使用される1つ以上の個々の装置により、流体を監視し、かつ/又はサンプリングすることができ、流体の化学的、物理的、或いは動力学的特性を変えることができ、流体に様々な物質を加え、かつ/又はそれから除去することができる。次いで、流体を、カテーテル770及びアクセスポート760を通り、又はアクセスポート759及びダックビル弁759aを通して管腔704及び血管772内に戻すことができる。
通常、流体は、流体又は流体の物理的、化学的、又は動力学的特性が何らかの方法で改変された後に戻される。例えば、異なる流量、或いは圧力で、又は異なる温度、pH、若しくはSO2で、又は、栄養素、或いは治療、薬物、若しくは他の因子など他の成分を加えて、又は、トキシン、有害な化学薬品、或いは薬物、過剰な細胞分解産物、過剰なCO、CO2、リン酸塩、尿素、抗体、抗生物質など様々な成分、或いは特に治療で使用される薬物若しくは治療など他の成分を除去して、流体を戻すことができる。一部の実施態様では、流体は、閉塞バルーンで閉塞する前に血管内を流れる流体、及び/又は、治療部位の遠位の部位で測定された体血圧よりも高い圧力及び/又は流量の流量又は圧力で戻される。
図53は、複数アクセス治療キャップ810を有するアクセス装置800の一実施態様を示す図である。アクセス装置800は、アクセス端801に縫合用脚802を有し、縫合用脚802は、使用の際に、アクセス装置800を血管に縫合することによって、血管(図示せず)と管腔804との間の流体連通をもたらす。アクセス装置800はスリーブ806を有し、スリーブ806は、装置800及び管腔804を支持し、皮膚の貫通点又は血管の貫通点をシールし、かつ/又は漏れを最小限に抑え/回避する。
アクセス装置800は、複数アクセス治療キャップ808でふたをされた流れポート807を有する。流れポート807を管腔804内に挿入し、管腔804に付着し、シールし、又は他の方法で結合して、様々な流れ及び/又はエンドキャップを使用して、様々な装置に結合することができる。本明細書に記載した、ねじ式、ルアー、圧印、又は任意の他の結合など、任意の適した結合を使用して、複数アクセス治療キャップ808を流れポート807に結合することができる。複数アクセス治療キャップ808は、患者の治療のための、本明細書に記載した様々な外部の管、機器、及び装置に結合することができるアクセスポート809、810、及び811を有することができる。アクセス装置800を血管内に挿入する場合に、図で示した構成をこうした管、機器、及び装置と併せて使用して患者を治療することができる。アクセスポート809に結合キャップ809aが取り付けられたところが示されている。アクセスポート810にヘモリダクション弁812が取り付けられたところが示されている。アクセスポート811がルアー結合端811aを有するところが示されている。
アクセス装置800、縫合用脚802、管腔804、スリーブ806、流れポート807、複数アクセス治療キャップ808、及びヘモリダクション弁812を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。一部の態様では、スリーブ806及び/又は縫合用脚802をポリエステル、PTFE、又はePTFEから構築することができる。一部の実施態様では、管腔804をは、全体に、又は部分的にシリコーンを含むことができ、流れポート807及び複数アクセス治療キャップ808は、ステンレス鋼など金属、又はプラスチック、或いはその組み合わせを含むことができる。
図54は、管腔804、流れポート807、及び複数アクセス治療キャップ808の内部部分を示す、図53のアクセス装置の一実施態様を示す断面図である。結合キャップ809aが、アクセスポート809内にダックビル弁820を保持しているところが示されている。結合キャップ809aを、本明細書に記載した任意の適した結合手段を使用してアクセスポート809に結合することができる。一部の実施態様では、ダックビル弁820をアクセスポート809内に挿入し、結合キャップ809aをアクセスポート809にねじ込むなどして結合し、それによってダックビル弁820を定位置に保持することができる。ダックビル弁820は、逆流を制限し、又は阻止し、バルーンカテーテルが管腔804にアクセスできるようにする任意の適したダックビル弁でもよい。幾つかの実施態様では、例えば、限定的ではないが、逆止め弁及び/又は流量制御弁など、他のシール部材を使用することができる。一部の態様では、選択した弁によって、流体が一方向だけに流れるのを可能にし、又は実質的に可能にし、流体自体、ばね弁、及び/或いは逆止め弁など他の弁構成、又はそれらの組み合わせを使用して、使用されるシール部材によって、流体が逆方向に移動するのが阻止されることが望ましい。こうしたシール部材を所望の機能を行う任意の適した材料から構築することができる。
ダックビル弁820を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。ヘモリダクション弁812を、本明細書に記載した任意の適した結合など、任意の適した結合を使用して、アクセスポート810に結合することができる。ヘモリダクション弁812は任意の適した弁でもよく、任意の適した手段を使用して制御することができる。図で示したように、ヘモリダクション弁はアイリス絞り822を有し、アイリス絞り822は、ヘモリダクション弁812及びアクセスポート810の中心を通って走るアクセス部812aの周囲でヘモリダクション弁812をねじることによって、開放され、部分的に開放され、又は閉鎖される。一部の実施態様では、アイリス絞り822は、管の各端に剛体的に固定された可撓性材料の管から構成され得るので、ヘモリダクション弁812がねじれ、アクセスポート810に向かって移動されると、可撓性材料がカメラレンズの絞りと同様に流路の中心に向かってねじれる。材料がさらにねじれると、流路が完全に遮断されるまで、使用可能な流路のサイズが縮小される。こうした絞りは、その開位置にわたって同心の円形開口部を提供し、全般的に漏れがなく、血球又は他の血液成分など脆い材料に優しいものである。アイリス絞り822を、本明細書に開示するように、それらの所期の機能を果たす適した特性を有する、本明細書の他の部分に記載した、生体適合性材料、又は生体適合性材料で被覆した非生体適合性材料など、任意の適した材料から構築することができる。
図55は、図53のアクセス装置の一実施態様の一部を示す詳細断面図である。図で示したように、アクセスポート809は、その中に挿入されたダックビル弁820を有する。結合キャップ809aは、アクセスポート809の面と相互作用するダックビルの弁肩部826に対してガスケット又はOリング824を圧縮することによって、ダックビル弁820を定位置に保持することができ、ダックビル弁820を保持し、ダックビル弁820がアクセスポート809内にさらに入るのを阻止する。結合キャップ809aをアクセスポート809にねじ込み、又は結合し、ガスケット又はOリング824を圧縮することによって、ダックビル弁820が定位置に保持され、シールが形成され、流体がアクセスポート809の外に漏れるのが阻止され、又は制限される。
図56は、幾つかの実施態様によるアクセス装置958の構成要素を示す部分分解図である。この図では、アクセスハウジング又は管950、アクセスハウジングを取り囲むスリーブ951、ハウジング950に結合され、又はハウジング950と連通するアクセス装置ヘッド954、及び縫合カフ964が示されている。アクセス装置ヘッド954に取り付け、又はねじ込むことができる(アクセスポート953を有する)複数アクセスヘッド952も示されている。他の構成要素は、カテーテルキャップ964、安全キャップ955、及びロックリング956である。中央アクセスポート及びルアーロック結合部を有するプランジャ957は、プランジャの上部に配置されたOリングシール圧縮器956、及びプランジャシャフト上のOリングシール圧縮器の下に配置された2つのOリングシール959を有する。プランジャ957は、プランジャシャフト961、多重リブ963をもつプランジャ先端領域962を有する。図56には、シャフト及びスタイレット先端部966を有するスタイレット960も示されている。
図57は、幾つかの実施態様によるアクセス装置970の組み立てた図である。この図は、とりわけ、プランジャ971、アクセスハウジング又は管976、及び管のクランプ可能な部分975、安全キャップ973でアクセスハウジングに結合されたアクセス装置ヘッド972を有するアクセス装置を示している。この実施態様のアクセス装置のハウジングは、管976と975の2つの部分を含む。ハウジングは生体適合性であり、又はハウジングの一部は生体適合性であり、皮膚の線、及び皮下組織を通って延び、循環系の1つ以上の血管と流体連通することができる。ハウジングを、例えば、シリコーン、不活性弾性プラスチック、熱可塑性プラスチック、及び/又はエラストマー材料など、多くの材料で作製することができ、所望の場合は、様々な材料で被覆することができる。この図で示した実施態様では、クランプオフされるハウジングの部分を、十分な可撓性、耐亀裂性、耐断裂性、又はこうした特性を組み合わせた材料で作製して、ハウジングを何度もクランプオフできるようにする。幾つかの態様では、ハウジングを、単一の材料、又は材料の組み合わせ、或いは嵌合される異なる径を有する材料の部分の組み合わせで作製することができる。幾つかの態様では、ハウジングを外側管と内側スリーブで作製し、ハウジングの様々な部分を様々な材料の組み合わせで構築することができる。
図58は、幾つかの実施態様によるアクセス装置を示す部分的に分解された図である。この図では、とりわけ、アクセスハウジング又は管980、クランプ可能な管981、及び金属アクセス装置ヘッド1000が示されている。アクセス装置ヘッド1000はハウジング又は管981に結合され、又はそれと流体連通状態である。(アクセスポート1004、金属カテーテルキャップ1003、及びカテーテル管1002の一部を有する)金属複数アクセスヘッド1005も示されている。複数アクセスヘッド1005をアクセス装置ヘッド1000に取り付け、又はねじ込むことができる。金属安全キャップ1001も示されている。中央アクセスポート、金属ルアーロックコネクタ、金属プランジャシャフト986、金属ロックリング985、非金属Oリングシール983、非金属プランジャ先端部982を有するプランジャアセンブリ999も示されている。図58には、金属シャフト、スタイレットの上部988、及びスタイレットの下部に配置されたスタイレット先端部984を有するスタイレット987も示されている。プランジャアセンブリ999は、スタイレット987と適合性があり、スタイレット987を挿入することができ、プランジャとスタイレットの嵌合又は協働は、適したシールを生成するのに十分なものである。この図で示したプランジャアセンブリシャフト986は、管腔又はスタイレットにアクセスできるようにカニューレ状になされる。図59は、図58で示した構成要素の一部を示すクローズアップ図である。この図には、とりわけ、安全キャップ1001、プランジャシャフト986の一部を含むプランジャアセンブリの一部、(アクセスポート1004、金属カテーテルキャップ1003、及びカテーテルアクセスポート1006を有する)複数アクセスヘッド1005が示されている。プランジャアセンブリの上部に配置されるプランジャヘッド1007の一部、及びプランジャヘッドに結合することができるロックリング1008、及び複数アクセスヘッド1005も示されている。
図60は、開示する幾つかの実施態様と共に使用することができる複数アクセスヘッド1012を示す図である。複数アクセスヘッド1012は、アクセスポート1011、ダックビルシール1010を定位置に備えるカテーテルアクセスポート1013を持つカテーテルキャップ1009を有する。ダックビルシール部材を、例えばシリコーンなど、本明細書に記載した任意の適した生体適合性材料又は非生体適合性の材料から構築することができる。多くの適したダックビル弁構成を使用することができる。一部の実施態様では、ダックビル弁は、ダックビル弁が挿入されたポートを通る逆流を阻止又は制限することができ、ダックビル弁のローブを通してねじ込むことができるバルーンカテーテルが管腔にアクセスできるようにすることができる。ダックビル弁のリーフレットは、こうしたバルーンカテーテルなどの周囲に完全に、又は部分的に形成されて、関連するアクセスポートを通る漏れ又は逆流を制限することができる適した材料を含むことができる。
図61は、幾つかの開示の実施態様と共に使用することができる複数アクセスヘッド1021を示す図である。図で示した複数アクセスヘッド1021は、3つのアクセスポート:中央アクセスポート1020、並びに2つの側部アクセスポート1025及び1026を有する。アクセスポート1026に関連するのは、ダックビルシール1022、Oリングシール1023、及びアクセスポートキャップ1024である。ポート1025に関連するのは、ダックビルシール1027、Oリングシール1028、及びアクセスポートキャップ1029である。ダックビルのアセンブリに使用される材料、並びにこうしたシールの使用及び機能は本明細書の他の部分に開示されている。
図35a及びbは、幾つかの実施態様によるボルテックスヘッドコネクタを示す図である。図35aは、ボルテックスヘッドコネクタ1030を示す断面図である。この図では、図で示していない適したシールを受けるように構成されたバルーンカテーテルアクセスポート1031、この実施態様では、ルアータイプの結合フィッティング1033に嵌合されているところが示されているコネクタポート又はパイプも示されている。図35aには、コネクタルアーパイプに取り付けるためのテーパを付けた雌ねじ部1034が示されている。図62bでは、主付着接着剤1035の位置が示されている。図35b及び35cは異なる観点から見たボルテックスヘッドを示す図である。ボルテックスヘッドは、血液又は流体をアクセス装置本体内にポンプで送り込む場合に、うっ血領域を最小限に抑え、又は実質的に最小限に抑えるように設計される。ボルテックスアセンブリは、流体及び/又は血液を1032を通してボルテックスキャップの内側壁及び管腔に沿って戻して、戻り流体中の様々な成分にせん断損傷を与える可能性を低減するように構成される。こうした方法で流体及び/又は血液を戻すことによって、戻り流体に与えるせん断及び速度の影響が低減され、流体が管腔内に下降する渦巻き状にボルテックスキャップの壁に沿って流れることができ、アクセスポート1031を通して挿入されたバルーンカテーテルの周囲を流れることができる。
幾つかの態様では、ボルテックスヘッドは、血液又は流体をアクセス装置本体内にポンプで送り込む場合に、うっ血領域を最小限に抑え、又は実質的に最小限に抑えるように設計される。
幾つかの実施態様では、腔内バルーンシステムによって血流方向及び量を制御する他の手法(例えば、図1、5、6、7の28;図4の64;図7の88;図10の103;図18の116及び194を参照)は、1つ以上の腔内バルーンを少なくとも1つの外側に与えられた血管閉塞バルーン(腔外(exoluminal)バルーンシステム)と置換することである。図62はこうしたシステムを示すものである。図62は図1と同様である。図62では、一方向弁1051を有する外側バルーンは1050である。バルーンを膨張させ、肢又は臓器を残りの身体から隔離することによって、流れがポンプに向けられる。その後、収縮によって正常な流れが回復される。
幾つかの実施態様では、プランジャを外側閉塞バルーンと置換することができる。図63はこうしたシステムを示す図である。図63では、図2及び3のプランジャ33、34、35が制御弁1051を有する外側閉塞バルーン1050と置換されている。図63で示したシステムは、流入システム及びポンプからの流出システムを通る流れを制御する。こうしたバルーン1050は、生血管とアクセス装置との間の死腔を最小限に抑える。
図64AからEは、閉塞バルーン血管交合器を示す図である。図64Aでは、閉塞すべき血管がバルーン1061の内径で取り囲まれている。バルーン1060の2つの端部をベルト1066の2つの端部によって閉塞することができる。ベルト1066はバルーン1062の外側部分と共に連続している。膨張管1065への結合部は1063である。流入管1064をバルーン1067に結合するスタッドは図69B及びDでは1067である。図64Cは平面図であるが、64Eには斜位像が示されている。図65は完成した血管外閉塞バルーンである。
外側バルーンシステムは選択的脳過灌流での使用が有用である。外側バルーン及び局所過灌流の使用の一例は、塞栓性脳卒中の治療においてである。外部(extrinsic)バルーンが近位の総頚動脈を閉塞した状態で、過灌流用カニューレを外頚動脈血管内に配置することができる。同側大脳半球の血流の制御を過灌流がパンサイクルのときに行うことができる。最高流入圧を上昇させずに大脳の血流量を増加させ、それによって脳内出血を最小限に抑えることができる。例えば、薬理学的注入を使用して、半影(生存可能であるが非機能の神経組織)への血流量を増加させる研究では、患者の機能が正常に戻った場合(例えば、発語、力、感覚の回復)の平均血圧は156/98/mmHgである。この圧力は117mmHgパンサイクルと等しい。毛細血管脆弱症が、脈圧、すなわち収縮期血圧と拡張期血圧の差に関連することも周知であり、パンサイクル過灌流では最小である。従って、脳内出血の危険性を最小限に抑えて、虚血脳への血流量を増加させることができる。これは、虚血脳への血流増加の取り組みに関する問題である。
図66は、局所脳過灌流のための幾つかの実施態様を示す図であり。右鎖骨下血管が大脳への血液供給源である。同様に、総大腿腸骨又は任意の他の脳以外の血液供給を使用して脳血流を補足することができる。図66では、大動脈弓は1100、左総頚動脈は1101、左鎖骨下動脈は1102、無名動脈は1103、バルーン及びカテーテルは1104、及び右総頚動脈血管は1105である。左鎖骨下血管はポンプ1112からの増加された血流を供給する。流れの方向が矢印で示されている。近位の無名血管は、ポンプによって増加した血流を大脳に供給する。吻合は1107、皮膚の線は1108、アクセス管は1109、プランジャは1110、及び流入管は1111である。この方法で、大脳への血流を制御し調整することができる。冷却システムをポンプに取り付けることによって、脳代謝を制御することもできる。脳の温度が1℃下がるごとに、代謝率が67%低下する。これは、虚血による損傷を最小限に抑えることが知られている。他の脳の保存剤を選択的に大脳の特定の領域に送達することもできる。
幾つかの実施態様では、過灌流での出血を阻止し、又は最小限に抑えることが望ましい。過灌流を受ける患者は、血液凝固が極度に阻止され、非常に高い流入圧を受けるため、一部の患者に出血が起きることが多い。側副枝が拡張するため、皮膚の血流が劇的に増加する。その結果、排出部位、及び幾つかの開示の実施態様のアクセスシステムの出口が連続的な血液損失を助長することになる。この問題を最小限に抑え、又は最小限に抑えることを試みるには、限定的ではないが、以下の1つ以上を含む幾つかの工程を取ることができる:二重吻合を血管とアクセスシステムの接合部に行うこと、流体シール装置をアクセスシステムの周囲に配置して、皮膚皮下組織への横方向の圧力を上げること、及び周囲の装置をシールし、それによってバルーン制御装置の経皮的出口への圧力を上げることである。
図67は、こうした血液シール装置の幾つかの実施態様を示す図である。図67では、血液シール装置は1200である。膨張システムへの結合部は1201である。皮膚は1202、皮下組織は1203である。バルーン血管圧迫装置は1204である。同様の装置が同じ理由でアクセスシステムの本体の周囲に使用される。作用の機構は、周囲のシール装置によって皮膚及び皮下組織に加えられる圧力に関連すると考えられる。管1201に損傷を与えずに縫合によって装置を定位置に固定することができる。
(実施例1)
アクセス装置及び過灌流治療の安全性、並びに有効性を評価するため、健康な40〜50kgのヒツジ(メリノ雑種去勢雄羊)に動物試験を行った。この実施例の目的は、開示された装置の幾つかの実施態様を使用して、大型動物の虚血肢の動脈虚血の治療及び血管再生を証明することであった。他の目的は、利用できる動物モデルの治療の安全性、及び治療の有効性を試験し証明することであった。この研究では12頭の動物を使用したが、そのうちの6頭が「処置」グループであり、6頭が「対照」グループであった。全ての動物の鼠径部を切開し、大腿動脈及び大腿深動脈を確認し切開した。全ての動物の末梢大腿動脈内に18Gカニューレを配置し、べースライン圧力を15分間記録した。別の18Gカニューレを首の頚動脈内に挿入し、試験中に、処置部位から遠隔の領域の体血圧を記録した。次いで、全ての動物の大腿動脈を結紮及び閉塞血管クランプで閉塞した。変換器が大腿動脈の虚血領域の血圧を記録するように、この閉塞を圧力変換器に対して近位(上方)に配置した。所定の位置の閉塞で安定した圧力が得られるまで、この状態を15分間継続した。
処置動物において:大腿動脈及び大腿深動脈をVessiloopで制御し、動脈切開(動脈の切開)を行い、カニューレを大腿動脈内に挿入した。ポンプカニューレを体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に取り付けた。次いで、ポンプのスイッチを入れ、初期の流量を200mL/分に設定した。圧力及び流量測定値を次の3時間にわたり15分ごとに取った。3時間後、ポンプのスイッチは切ったが、動脈には結合したままにした。圧力測定値を次の30分間測定し、処置後のベースライン圧力を得た。
対照動物において:ポンプカニューレを大腿動脈に結合しなかった。末梢血圧及び体血圧を測定し、「処置」相の3時間にわたり、次いで(処置動物グループと一致させるため)その後30分間にわたり記録した。次いで、全ての動物のポンプカニューレを除去し、大腿動脈を修復し、切開部を層状に閉鎖した。ヒツジは全て回復し、小屋に戻った。
結果:閉塞が位置付ける前と後のベースライン測定値は2つのグループで相違がなかった。処置グループの大腿動脈内にポンプを配置すると、図13で示したように、末梢血圧の初期の上昇が観察された。処置グループでは、3時間の実験中にこの末梢血圧が時間とともに上昇するのが観察された。対照グループも上昇を示したが、それより小さいものであった。図14を参照されたい。末梢血圧と体血圧の比を観察すると、約60分後に0.4(過灌流処置前)から1.0に増大し、後続の3時間の処置後に約1.25に増大したことが判明した。換言すれば、閉塞の末梢側の動脈の圧力が、心臓が生成する圧力よりも25%高かったことになる。
処置グループでは、ポンプ処置の終わりに、末梢血圧が、実験の開始時に最初に閉塞された時よりも低下した。梢血圧は、次の15分にわたり緩やかに上昇した。これは、ポンプのスイッチを切ったときに、末梢動脈が拡張し(従って、径が大きくなり、血圧が下がり)、その後、正常な血管状態に緩やかに戻った(動脈壁の筋肉が緩やかに正常に戻り、径が収縮され、それによって血圧が僅かに上昇した)ことを示す。
(実施例2)
倫理委員会(Human ethics committee)にヒトの治療のパイロット試験を開始するための認可を求め、受理された。この試験は、切断以外に下肢虚血の治療の選択肢がない患者に限定された。
患者1:左脚にある非常に大きい血餅による重症の末梢性虚血の52歳の男性である。この血栓は、彼の膝窩、頚骨、及び腓骨の動脈(彼の膝より下の全ての主動脈)に関与するものであった。3人の血管外科医の意見では、この患者には下腿切断以外の治療の選択肢がないということであった。
図57、58、及び59で示した末梢アクセス装置を、概ね中間大腿レベルで患者の大腿動脈内に移植した。装置の移植に続いて、カテーテルを末梢アクセス装置を通して挿入し、体外ポンプ(Rotaflow, Maquet)に結合した。ポンプは、約200〜300mL/分で稼働するように初期設定し、150〜200mmHgの最初の戻り圧力を生成した。圧力及び流量測定値を約15分ごとに記録した。この患者は、5日間にわたり合計52時間の間欠的「オンポンプ」治療を受けた。患者は、先ず治療及び過灌流を31時間受け、次いで2日間治療を中断し、次いで21時間の過灌流を受けた。治療の合間はカテーテル及びバルーンを取り外し、プランジャを近い位置に移動させて、血管からの血液の逆流を防ぎ、流体がハウジング内に残らないようにした。さらに、ハウジングをクランプオフして、外部の汚染からシールした。その後、新しいセットのカテーテルを患者に挿入し、過灌流を21時間続けた。
52時間の治療にわたり、ポンプを通る血流量を約300〜400mL/分に維持した。治療の期間中、ポンプからの戻り圧力が低下し続けた。治療の最初の6時間は、平均戻り圧力が約240mmHg(流量320mL/分)であり、18〜24時間で約170mmHg(流量355mL/分)に下がり、治療の終わりまでに戻り圧力が130mmHg(流量400mL/分)になった。この同様の流量での戻り圧力の低下は、末梢の抵抗が低下し、より多くの血液が血管を通って脚の末端領域内に移動することができたことを示す。肢の血管写像は、主動脈の閉塞が変化しておらず、従って、脚を下行する増量した血流が小さい側副動脈を通って移動したに違いないことを示した。過灌流治療の最初の60分未満で、患者の脚が温かくなり、ピンク色になり、治療の期間中、そのままの状態であったことが観察された。患者は、自分の脚が温かくなったと感じ、痛みが緩和され、感覚が増したと述べた。
フォローアップ期間中(約12カ月)、患者にはこの治療からの悪影響が全くなく、自分の脚の動脈へのさらなるインターベンションを受けなかった。彼の脚は温かく、ピンク色で、良好に灌流されていた。虚血性潰瘍が全て治癒され、治癒された状態が維持されていた。患者は、痛みが大幅に緩和され、温かさが増したと述べた。
患者2:糖尿病及び重症の両側性末梢性動脈疾患(bilateral peripheral artery disease)を有する57歳の男性(RB)である。彼は、以前に左下腿切断を受けている。
このアクセス装置は、図4で示したものと同様であり、患者の右大腿動脈内に移植され、同じ処置中に、ふくらはぎの筋肉死及び仕切り症候群のための医療及び外側筋膜切開が行われた。過灌流が即座に開始された。過灌流治療期間中(4日間にわたり約30時間)に戻り圧力が(130mmHgから200mmHgに)上昇し、流量が(330mL/分から200mL/分に)減少した。最大限の努力にもかかわらず、血流量を増加させることができなかった。患者の脚は、治療の2日目に筋膜切開部から制御不能に出血し始め、残りの治療中、この状態が続いた。しかし、これはなお、末端への血流量の増加が起こったことを良好に示すものである。患者は全身的に体調不調になり、播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulopathy)(DIC)が進行した。治療が停止され、患者は切断を受けるに至った。
(理論実施例3)
切断後の断端治癒のための肢の過灌流を、本明細書に開示する実施態様を使用して行う。本明細書に開示する実施態様の使用により、感染率、創傷治癒率、及び切断後の断端の虚血状態を緩和することができる。切断は、一般に約15%(BMJ 2005; 330: 1104)であると言われている非常に高い感染率と関連する。さらに、血流不足(虚血)による不十分な創傷治癒は、切断を受けた患者の5〜30%に影響を与える。こうした患者に繰り返し可能な灌流治療が有益であるのは、それによって、(肢の循環の体循環からの隔離の有無に関わらず)医薬品を灌流して、手術部位の創傷の感染を防止又は治療することができるからである。また、同じ治療法が肢全体の治療、又は肢の主動脈の不完全閉塞症(sub-total occlusion)に使用されるため、この治療法を使用する血液の過灌流が可能になり、比較的大きい新しい動脈の成長を促進し、残りの肢への血流量を増加することもできるからである。
患者は適切なレベルでの脚の切断を受ける。切断後、例えば図57、58、及び59で示した末梢アクセス装置を概ね中間大腿レベルで患者の大腿動脈内に移植することができる。装置の移植に続いて、カテーテルを末梢アクセス装置を通して挿入し、体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に結合することができる。カテーテルを通して適切な抗生物質を、感染を防ぎ、又は低減し、断端の創傷治癒率を向上させるレートで供給することができる。同時に、切断後に残された断端領域が過灌流される。ポンプを約200〜300mL/分で稼働するように初期設定し、150〜200mmHgの初期の戻り圧力を生成する。圧力及び流量測定値を約15分ごとに記録することができる。次いで、抗生物質を切断された脚の領域に送達して、感染を防止又は低減する。同時に、切断後に残された断端領域が過灌流される。この患者は、連続5日間にわたり合計で約52時間の間欠的「オンポンプ」治療及び投薬を受ける。治療時間の長さ及び送達される抗生物質の量を、切断された脚の治療に対する反応の程度、及び感染が検出された場合はその感染に応じて変えることができる。その後、カテーテル及びバルーンを取り外すことができ、プランジャを近い位置に移動させて、血管からの血液の逆流を防ぎ、ハウジング内に流体が全く残らないようにすることができる。さらに、ハウジングをクランプオフして、外部の汚染からシールすることができる。次の治療期間の初めに、新しいセットのカテーテルを患者に挿入し、過灌流及び抗生物質の治療を継続することができる。この過程が5日間にわたり繰り返される。52時間の治療にわたり、ポンプを通る血流量を約300〜400mL/分に維持する。治療期間中、ポンプからの戻り圧力が低下し続ける。治療の最初の6時間は、平均戻り圧力が約240mmHg(流量320mL/分)であり、18〜24時間で約170mmHg(流量355mL/分)に下がり、治療の終わりまでに戻り圧力が約130mmHg(流量400mL/分)になる。この同様の流量での戻り圧力の低下は、末梢の抵抗が低下し、より多くの血液が血管を通って断端の切断された末端領域内に移動することができることを示す。断端の血管写像を撮ることができ、それによって、主動脈の閉塞が変化しておらず、従って、脚を下行する増量した血流が小さい側副動脈を通って移動したに違いないことが示される。過灌流治療の最初の60分未満で、患者の断端を有する脚が温かくなり、ピンク色になり、治療期間中、そのままの状態であったことが観察される。患者は、自分の脚が温かくなったと感じ、痛みが緩和され、感覚が増したと述べる。抗生物質治療により、患者に、感染がなく、又は感染が大幅に低減されたことも判明する。
(理論実施例4)
実施例3のように、標的への抗生物質又は他の医薬品を断端領域に送達する、切断後の脚の治療により、過灌流せずに、又は最小限の過灌流で、感染率、及び創傷治癒率が低下される。
患者は適切なレベルでの脚の切断を受ける。切断後、例えば図34〜42、及び52で示した末梢アクセス装置を概ね中間大腿レベルで患者の大腿動脈内に移植する。装置の移植に続いて、末梢アクセス装置を通してカテーテルを挿入し、体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に結合する。適切な抗生物質を、カテーテルを通して、感染を防止又は低減し、断端の創傷治癒率を向上させるのに十分な送達レート及び投与量で供給する。ポンプを(切断のレベル及び灌流される組織の質量によって)約50〜300mL/分で稼働するように初期設定し、200〜300mmHgの初期の戻り圧力を生成する。圧力及び流量の測定値を約15分ごとに記録する。その後、カテーテル及びバルーンを取り外し、プランジャを近い位置に移動させて、血管からの血液の逆流を防止し、流体がハウジング内に残らないようにする。さらに、ハウジングをクランプオフして、外部の汚染からシールする。次の治療期間の初めに、新しいセットのカテーテルを患者に挿入し、過灌流及び抗生物質の治療を継続する。この過程を5日間にわたり繰り返す。患者は5日間にわたり約50時間の治療を受ける。5日間の終わりに、患者に感染がなく、又は感染が大幅に低減され、創傷治癒が進んだことが判明する。これは、抗生物質を特定の治療領域に投与したためである。使用されるアクセス装置は、必要に応じて、創傷、及び感染症域にアクセス装置システムを通して間欠的にアクセスできるようにする。治療時間の長さ及び送達される抗生物質の量を、切断された脚の治療に対する反応の程度、及び感染が検出された場合はその感染に応じて変えることができる。
(理論実施例5)
実施例3のように、標的への抗生物質又は他の医薬品を断端領域に送達する、切断後の脚の治療により、感染率、及び創傷治癒率が下がる。
患者は適切なレベルで脚の切断を受ける。切断後、例えば図37〜42、及び52で示した末梢アクセス装置を概ね中間大腿レベルで患者の大腿動脈内に移植する。装置の移植に続いて、カテーテルを末梢アクセス装置を通して挿入し、体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に結合する。適切な抗生物質を、カテーテルを通して、感染を防止又は低減し、断端の創傷治癒率を向上させるのに十分な送達レート及び投与量で供給する。ポンプを(切断レベル及び灌流される組織の質量によって)約50〜300mL/分で稼働するように初期設定し、正常血圧から300mmHgまでの最初の戻り圧力を生成することができる。圧力及び流量の測定値を約15分ごとに記録することができる。患者は5日間にわたり約50時間の治療を受ける。5日間の終わりに、患者に感染がなく、又は感染が大幅に低減され、創傷治癒が進んだことが判明することになる。これは、抗生物質の特定の治療領域への投与、及び治療領域の過過潅流によるものである。使用されるアクセス装置は、必要に応じて、創傷、及び感染症域にアクセス装置システムを通して間欠的にアクセスできるようにする。
(理論実施例6)
肢過灌流は不完全閉塞症の治療にも使用される。肢の末梢動脈疾患を有する多くの患者は、主動脈(例えば、脚の大腿動脈、又は腕の上腕動脈)の完全な閉塞を有していない。動脈が完全に閉塞されていないこうした患者は、不完全閉塞症と呼ばれ、やはり、本明細書に開示する実施態様を使用する隔離肢過灌流に適している。不完全閉塞症の治療では、しばしば、末梢の閉塞を一時的に生成して、残りの体循環から隔離される主動脈の長さを長くする必要があり、それを過灌流して、側副血管の成長を促進する。この末梢の閉塞は、側副動脈に増量した血流量を送るのに必要とされることが多い、動脈の隔離セクション内の血圧を上昇させるために望ましい。
患者:例えば50歳の男性で、右脚に不完全閉塞症による末梢虚血を有する患者を本明細書に開示する実施態様を使用して治療する。この血栓が関係する動脈は、膝窩、頚骨、及び腓骨の動脈(彼の膝より下の全ての主動脈)である。
末梢の閉塞を一時的に生成して、残りの体循環から隔離される主動脈の長さを長くする。末梢閉塞部を過灌流して、側副血管の成長を促進する。図37〜42で示した末梢アクセス装置を概ね中間大腿レベルで患者の大腿動脈内に移植する。装置の移植に続いて、図19で示した構成に、カテーテルを末梢アクセス装置を通して挿入し、体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に結合する。ポンプを約200〜300mL/分で稼働するように初期設定し、150〜200mmHgの最初の戻り圧力を生成する。圧力及び流量の測定値を約15分ごとに記録する。この患者は、5日間にわたり合計50時間の間欠的「オンポンプ」治療を受ける。患者は毎日約10時間にわたり過灌流される。その後、カテーテル及びバルーンを取り外し、プランジャを近い位置に移動させ、血管からの血液の逆流を防止し、流体がハウジング内に残らないようにする。さらに、ハウジングをクランプオフして、外部の汚染からシールする。翌日、新しいセットのカテーテルを患者に挿入し、過灌流が続けられる。この過程を4から6日間にわたり繰り返す。50時間の治療にわたり、ポンプを通る血流量を約300〜400mL/分に維持する。治療期間中、ポンプからの戻り圧力が低下し続ける。治療の最初の6時間は、平均戻り圧力が約200から270mmHg(流量320〜400mL/分)であり、18〜24時間で約150〜200mmHg(流量300〜400mL/分)に下がり、治療の終わりまでに戻り圧力が110〜150mmHg(流量375〜425mL/分)に下がる。この同様の流量での戻り圧力の低下は、末梢の抵抗が低下し、より多くの血液が血管を通って脚の末端領域内に移動することができたことを示す。撮影した肢の血管写像は、主動脈の閉塞が変化しておらず、従って、脚を下行する増量した血量が小さい側副動脈を通って移動したに違いないことを示す。過灌流治療の最初の40〜120分未満で、患者の脚が温かくなり、ピンク色になり、治療期間中、そのままの状態であったことが観察される。患者は、自分の脚が温かくなったと感じ、痛みが緩和され、感覚が増したと述べる。
フォローアップ期間中(約12カ月)、患者はこの治療からの悪影響が全くなく、自分の脚の動脈にさらなるインターベンションを受けない。彼の肢は温かく、ピンク色であり、良好に灌流されたままである。虚血性潰瘍が治癒され、治癒された状態が維持される。患者は、痛みが大幅に緩和され、温かさが増したと述べる。
(実施例7)
患者:重症の壊疽性指を有し、目視観察で、小指から3本の指(last three digits)が紫色に見え、そのうち2本の指の先端に虚血性潰瘍を有する、85歳の男性。患者はこれらの指の激しい痛みを訴えた。
図37〜42、及び52で示した末梢アクセス装置を使用し、患者の肩の腋窩動脈内に移植することができる。装置の移植に続いて、カテーテル(DLP 13Fr RCSPカテーテル)を末梢アクセス装置を通して挿入し、体外ポンプ(Rotaflow、Maquet)に結合した。ポンプを約300mL/分で稼働するように初期設定し、124〜135mmHgの最初の戻り圧力を生成した。圧力及び流量の測定値を約30分ごとに記録した。この患者は、2週間にわたり合計で約56時間の間欠的「オンポンプ」治療を受けた。患者は、先ず27時間の治療及び過灌流を受け、次いで6日間治療が中断され、次いで29時間過灌流された。治療の合間は、カテーテル及びバルーンを取り外し、プランジャを近い位置に移動させて、血管からの血液の逆流を防ぎ、流体がハウジング内に残らないようにした。さらに、ハウジングをクランプオフして、外部の汚染からシールした。その後、新しいセットのカテーテルを患者に挿入し、過灌流を29時間続けた。
治療の最初の27時間にわたり、ポンプを通る血流量を約493mL/分に維持した。治療期間中、ポンプからの戻り圧力が低下し続けた。過灌流治療の最初の30分未満で、患者の手が温かくなり、ピンク色になったのが観察され、治療期間中、その状態が維持された。患者は、手と指の温かみを感じ、痛みが緩和され、感覚が増したと述べた。
患者の装置を2週間移植した後に除去した。1週間のフォローアップで、患者の指はピンク色に見えた。薬指の壊疽性の指先が良好に区別された。治療前と比較して、痛みが大幅に緩和され、患者はこの治療からの有害事象が全くなく、自分の手の指にさらなるインターベンションを受けなかった。2週間のフォローアップで、患者の指をさらに治癒した。患者は指に関連する痛みを感じなくなっていた。臨床的観察では、前回のフォローアップ(1週間前)よりが僅かに治癒が進んだ。観察では、治癒の進行が示された。
スクリーニング中、治療後1週間、及び治療後2週間目に患者のサーモグラムを取った。このタイプのサーモグラフィの正確さは±2℃未満であるが、温度差を示す場合は非常に正確であることは注目すべきである。誤りのないように、カラースケールを一定に保持した。サーモグラフィからの観察は、皮膚温度分布であり、領域中の灌流のレベルを示すものである。治療前のスクリーニングに来診中に撮影した患者の可視画像では、小指から3本の指が紫色に見えた。患者はこれらの指の激しい痛みを訴えた。スクリーニングに来診中、左手の小指から3本の指が患者の他の指より冷たいことが、サーモグラムから明らかであった。右手(正常)の小指から3本の指は、人差し指と同様の温度を示した。治療前の期間中に得られた別のサーモグラムでは、罹患手の非常に冷たい指が示された。これは、これらの指の循環が不十分であることを示している。治療後1週間後に撮られた可視画像では、中指及び小指がピンク色に見え、薬指の壊疽性の指先が良好に区別された。これは治癒を示すものであった。良好な臨床的観察にも関わらず、サーモグラフィ画像では、治療前のサーモグラムと比較すると、温度分布に皆無かそれに近い変化しか示されなかった。治療後2週間後に撮られた患者の手の可視画像では、指先はまだ紫色に見えたが、問題の領域が良好に区別され、区別されるまで灌流が向上したことが示された。治療後2週間後に撮られたサーモグラムでは、罹患指の熱分布が正常な手に非常に近いものに見えた。3本の罹患指の熱分布が正常な人差し指のものと似たものであった。
(理論実施例8)
腫瘍学:現在、毎年、人口100万人当たり約5000件の癌の新たな症例がある。これは、毎年、合衆国に約150万件の癌の新たな症例があるに等しい。化学療法は癌治療の最も一般的な形の一つであり、外科手術及び/又は放射線療法と併せて使用されることが多い。化学療法を、原発腫瘍を縮小させるためのネオアジュバント化学療法(術前治療)に使用し、それによって局所療法(外科手術又は放射線療法)をあまり破壊性でないものにし、又はより有効にすることもできる。アジュバント化学療法(術後治療)を、癌の証拠がほとんど見られないが、再発の恐れがある場合に使用することができる。これは、腫瘍が発現する抵抗の発生の可能性を低減する助けをする。身体の他の部分に拡散した癌性細胞を全て殺す際にも有用である。これは、新しく成長する腫瘍が急速に分裂し、従って、非常に影響を受けやすいために有効であることが多い。
化学療法治療は、患者に肉体的疲労を起こすことがある。現在の化学療法技法は、例えば、免疫系、胃腸管、及び毛嚢の細胞など、主に身体の急速に分裂する細胞に影響を与える様々な副作用がある。重要な一般的な副作用には:悪心嘔吐、下痢又は便秘、貧血、栄養不良、記憶喪失、免疫系の低下、及びそれによる(致命的となり得る)感染及び敗血症、出血、続発性新生物、心臓毒性、肝毒性、腎毒性、聴器毒性、死亡、及び/又はその併発が含まれる。本明細書に開示する実施態様の使用により、化学療法を特定の領域、臓器、又は身体部分に向けることによって、化学療法の影響を選択した臓器、領域、又は身体部分に隔離することができる。
患者に、隔離に適している臓器、領域、又は身体部分の腫瘍(適した臓器は、限定的ではないが、脳、甲状腺、副甲状腺、乳房、肝臓、胆嚢、腎臓、脾臓、膵臓、小腸、大腸、膀胱、子宮、膣、前立腺、睾丸を含む)が確認され、又はその疑いがある場合、本明細書に開示するアクセス装置が(大腿動脈、腋窩動脈など)適した末梢動脈内に移植され、その装置を通して動脈隔離カテーテルが配置される。こうした動脈隔離カテーテルは閉塞バルーンを有することができ、流体の灌流に適している。1つ以上のカテーテルをアクセス装置を通して配置し、臓器、身体部分、又は領域への血流を完全に、又は実質的に完全に制御することができる。(肝動脈及び門静脈から血液を受ける肝臓など)複数の源から血液供給を受ける臓器の場合、複数の動脈閉塞カテーテルを使用することができる。
(図18で示したように)アクセス装置を動静脈瘻に吻合(接合)して、動脈と静脈に同時にアクセスできるようにすることが望ましい。別法として、第2のアクセス装置を適した末梢静脈に吻合して、静脈へのアクセスを可能にすることもできる。こうした構成のいずれかを使用して、閉塞静脈排液カテーテルを特定の静脈内に配置し、選択された臓器、領域、又は身体部分からの静脈の排液を制御し、又は大幅に制御することができる。その一例は、肝臓から下大静脈(IVC)内への静脈排液を制御するための図23及び24で記載したカテーテルである。動脈及び静脈の閉塞カテーテルが1つ以上のアクセス装置を通して同時に使用される場合、特定の臓器、領域、又は身体部分からの血液供給及び排液を完全に、実質的に、又は部分的に制御することができる。血液供給及び排液が所望のレベルで制御された後、治療薬を、隔離された臓器、領域、又は身体部分に送達し、体循環内のこうした薬剤の循環を、全体的に、実質的に、又は部分的に阻止し、或いは制限することができる。例えば、肝細胞癌(HCC;肝癌)を有する患者は、末梢動脈及び静脈内に移植された1つ以上のアクセス装置を有し、こうした装置を通してカテーテルを配置して、肝動脈、肝静脈、及び上下の腸間膜動脈(肝臓にも供給する門静脈への主な供給部)を制御することができる。HCCに向けられた特定の治療薬が、次いで、肝臓に送達され、肝静脈から排液されて、治療薬が身体の残りの部分に影響を与えないようにすることができる。こうした治療薬は、シスプラチナムなど現在入手可能な薬剤、(臓器が体循環から隔離されているため)通常の投与量よりも多い量の現在入手可能な薬剤、又は(腎毒性又は胸膜水腫など)全身毒作用のために、知られているが安全な送達方法がない新規の薬剤でもよい。医薬品の送達の他に、温熱、低体温、血液の高酸素化(hyper-oxygenation)又は低酸素化(hypo-oxygenation)など、他の治療法を、残りの体循環に影響を与えず、実質的に影響を与えず、又は部分的に影響を与えて、隔離された臓器、領域、又は身体部分に送ることもできる。
開示する実施態様の他の用途は、幹細胞送達及び遺伝子工学の領域である。本明細書に開示する幾つかの実施態様を使用して、幹細胞治療又は遺伝子工学治療を、アクセス装置を使用して、隔離臓器、領域、又は身体部分に向けることもできる。例えば、腎臓病の患者では、幹細胞又は遺伝子工学治療は、腎臓には臨床的にかなり有利であるが、肝臓、心臓、又は脳など他の臓器に与える危険性が大きくなる恐れがある。この状況では、本明細書に開示するシステム、方法、及び/又は装置を使用して、隔離カテーテルを1つ以上の腎動脈及び1つ以上の腎静脈内に配置して、腎臓が、残りの体循環から隔離され、実質的に隔離され、又は部分的に隔離されるようにすることができる。それによって、腎臓を残りの身体から分離させて、実質的に分離させて、又は部分的に分離させて、必要に応じて治療を間欠的に繰り返すことができるようになる。この手法により、臨床医が病変部を隔離して、実質的に隔離して、又は部分的に隔離して治療することができ、身体の他の臓器或いは領域に有害事象が発生する危険性が低減され、この治療を行う際に、現在入手可能であるが、安全な送達機構がない薬物又は治療を安全に有効に管理することがきるようになる。
本明細書に開示する実施態様の一利点は、治療薬又は治療法を標的治療領域により有効に送達し、同時に、治療を受けない身体の領域への治療薬又は治療の送達を最小限に抑え、部分的に最小限に抑え、低減し、又は実質的に低減し、それによって、望ましくない副作用を軽減し、実質的に軽減し、又は部分的に軽減することができることである。本明細書に開示する実施態様の他の利点は、治療薬又は治療法を標的治療領域により有効に送達し、同時に、治療薬又は治療が治療領域及び/又は身体と接触する時間を最小限に抑え、部分的に最小限に抑え、短縮し、又は実質的に短縮し、それによって、望ましくない副作用を軽減し、実質的に軽減し、又は部分的に軽減することである。本明細書に開示する実施態様の使用により、治療薬又は治療が治療領域と接触する、実質的に接触する、又は部分的に接触する時間を約90%から約5%まで、約90%から約10%まで、約80%から約20%まで、約70%から約30%まで、約70%から約20%まで、約60%から約40%まで、約60%から約10%まで、約60%から約20%まで、又は約50%から約30%まで短縮することができる。本明細書に開示する実施態様の使用により、治療薬又は治療が身体と接触する、実質的に接触する、又は部分的に接触する時間を約90%から約5%まで、約90%から約10%まで、約80%から約20%まで、約70%から約30%まで、約70%から約20%まで、約60%から約40%まで、約60%から約10%まで、約60%から約20%まで、又は約50%から約30%まで短縮することができる。本明細書に開示する実施態様の使用により、治療薬又は治療が治療を受けない身体の領域と接触する、実質的に接触する、又は部分的に接触する時間を約90%から約5%まで、約90%から約10%まで、約80%から約20%まで、約70%から約30%まで、約70%から約20%まで、約60%から約40%まで、約60%から約10%まで、約60%から約20%まで、又は約50%から約30%まで短縮することができる。
本明細書に開示する実施態様の他の利点は、望ましくない過剰に多い副作用を起こす治療薬又は治療法を使用することができるようになることである。本明細書に開示する実施態様を使用することによって、上記の変形態様を様々な組み合わせで使用して、治療法又は薬剤をより有効に送達し、同時に、望ましくない副作用を最小限に抑え、部分的に最小限に抑え、軽減し、又は実質的に軽減し、或いは部分的に軽減することができる。
その後、ヒトの試験的治療を開始するための倫理委員会の認可が求められ、受理された。幾人かの患者が開示する装置、システム、及び方法の幾つかの実施態様で治療された。こうした治療の結果及び幾つかの詳細を以下の表1に示す。
本明細書に幾つかの実施態様を示し記載したが、明らかなように、こうした実施態様は単に例として提供するものである。当業者は、開示し教示する本発明から逸脱することなく、本明細書の開示に基づいて、幾つかの変形態様、変更態様、及び代替態様を思いつくであろう。理解されるように、本明細書に記載した本発明の実施態様の多様な代替態様を本発明の実施に使用することができる。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を記載するものであり、方法、装置、及びシステム、並びにその等価のものはこの特許請求の範囲内に包含されるものとする。