JP2011502512A - 減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを有する低アシルジェランゲル - Google Patents

減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを有する低アシルジェランゲル Download PDF

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トッド エー. タラシェク
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Abstract

【課題】本発明は、ほとんど熱ヒステリシスおよびシネレシスを有さないゼラチン様ゲルである組成物を提供する。
【解決手段】本発明の組成物は、水、低アシルジェランガム、およびタマシン種子のキシログルカンから調製される。その組成物はさらに、30mMのイオン強度と等しい量まで塩を含み得る。そのゲルは、凝固温度と融解温度との差として定義される熱ヒステリシス(典型的には、約5℃未満)および検知できないシネレシスを示す。100Paおよび1,000Paのオーダーの貯蔵弾性率の値、ならびに約30℃および40℃の融解温度をそれぞれ有するゲルを調製するための方法もまた開示される。
【選択図】図1

Description

多糖ベースのゲル化製品は、しばしば、多くの理由のために動物由来のゼラチンより好まれる。本発明によれば、ジェランガムの形態が、種々の用途、特に特定の食品の用途においてゼラチンの代替として使用され得ることが記載される。
ジェランガムは、細菌Sphingomonas elodeaによって産生される莢膜多糖類である。ジェランガムは、容易に利用可能な炭水化物源とSphingomonasの適切な菌株とを発酵することによって製造される。ジェランガムを構成する糖は、2:1:1のモル比のグルコース、グルクロン酸およびラムノースである。それらは、直鎖状の四糖類繰り返し単位を含む一次構造を与えるように結合される(非特許文献1;非特許文献2)。X線回折解析により、ジェランガムが、遷移温度以下の温度で三重の左巻きの平行な二重らせん構造をとることが示されている(非特許文献3;非特許文献4)。天然または高アシル(HA)形態において、2つのアシル置換基である、酢酸塩およびグリセリン酸塩が存在する。両方の置換基は、平均して同じグルコース残基に位置し、1つの繰り返し単位あたり1つのグリセリン酸塩が存在し、2つの繰り返し単位ごとに1つの酢酸塩が存在する。低アシル(LA)形態において、アシル基が、そのような基を実質的に欠く直鎖状の繰り返し単位を生成するために除去されている。ガムの脱アシル化は、通常、アルカリで発酵ブロスを処理することによって実施される。
ジェランガムのHA形態は、ゲル形成のための任意の物質の付加を必要としない。ただし、ガム濃度は、臨界濃度より高い。HAジェランガムは、その溶液が凝固温度以下に冷却された場合、柔軟な弾力性のある、壊れやすくないゲルを生成する。HAジェランガムゲルは、凝固温度に近い温度で加熱し、融解すると軟化する。
ジェランガムのLA形態は一般に、ゲル形成のために塩または酸などのゲル化剤を必要とする。例えば、LAジェランガムは、ゲル促進カチオン、好ましくはカルシウムおよびマグネシウムなどの二価カチオンの存在下で冷却された場合、硬く、非弾性で、壊れやすいゲルを形成する。LAジェランガムゲルは、凝固および融解温度の間で注目すべき熱ヒステリシスを示す。加えたイオンの濃度が増加するにつれて、融点温度も増加する。LAジェランガムの凝固温度がイオン濃度にほとんど感受性がないため、熱ヒステリシスは、イオン濃度が増加するにつれて次第に大きくなる。
ゲルLAジェランガムに対するゲル化剤の必要性の問題が特定の用途について存在する場合がある。LAジェランガムのゲル化の一般的な機構は、塩または酸などのゲル化剤が、ジェランガム分子間の静電反発力を遮断し、二重らせん構造におけるジェランガム分子間の側方会合を促進するということである。会合部分は、浸透したゲルネットワークにおける架橋領域としての役割を果たすだけではなく、それらが会合していない分子と比べてより熱的に安定になるため、融解温度を劇的に高めることの原因にもなる。高い融解温度は、ゼラチンが主に使用される軟カプセルなどの多くの用途においてLAジェランガムの使用を制限する。高融点温度はまた、ゲルが口の中にて体温で融解して、好ましい食感をつくり出し、風味を放出することを目的とする食品の用途におけるLAジェランガムの使用を制限する。
LAジェランガムのゲルネットワークは、二重らせん構造においてLAジェランガム分子がより会合するにつれてより粗くなる。このように、LAジェランゲルは、らせん間の会合を増加させながら内部液体を次第に放出する傾向にある。ゲル形成の際のゲルからの液体形態の分離は、シネレシスといわれる。シネレシスは、多くの用途において回避されなければならない。なぜなら、それは、通常、製品品質の悪化と認識されるからである。LAジェランガムの使用に好ましい用途は、シネレシスに起因して頻繁に制限される。
O’Neill M.A.ら,Carbohydrate Research,1983年,第124巻,123ページ Jansson,P.E.ら,Carbohydrate Research,1983年,第124巻,135ページ Chandrasekaran,R.ら,Carbohydrate Research,1988年,第175巻,1−15ページ Chandrasekaran,Rら,Carbohydrate Research,1988年,第181巻,23−40ページ
LAジェランガムを用いて産生されるゲルを提供する産業において、そのLAジェランガムが減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを有する必要性が存在する。さらに、多くの用途においてゼラチンより多糖が好ましいが、しかし、ゼラチンの代替物は上記の理由のために制限されている。
本明細書に記載される1つの発明は、ゲル化成分としてLAジェランガム、およびゲル化剤としてキシログルカンを含むゲルの組成物であり、ここで、熱ヒステリシスおよびシネレシスはほとんど示されない。ゲルは、約0.05%〜1.5%、より好ましくは約0.2%〜1.2%、最も好ましくは約0.3%〜1.0%のジェランガム、および約0.25%〜2.5%、より好ましくは約0.4〜1.5%、最も好ましくは約0.5%〜1.0%のキシログルカンの2成分の多糖混合物を含む。少なくとも約2,500Paの貯蔵弾性率の値を有するかなり強固なゲルは、融解温度が約40℃未満のままであり、熱ヒステリシスが10℃未満であるが、約1.0%のLAジェランガムおよび約1.5%のキシログルカンを混合することによって形成される。この熱可逆的なゲル化系は、軟カプセルを含む非食品用途においてゼラチン代替物としての可能性を有する。より強固なゲルは、より多いガムのレベルで得られ得るが、融解温度もまた増加し、より広い熱ヒステリシスの原因となる。例えば、1.5%のジェランガムおよび2.25%のキシログルカンを含むゲルは、約8,500Paの非常に大きい貯蔵弾性率の値を示すが、融解温度および熱ヒステリシスは、それぞれ、約67℃および30℃以上になる。
本明細書に記載される系は、ゲルが、好ましくは、口の中にて体温で融解する食品の用途においてゼラチンの代わりになる能力を有する。生じるゲルの貯蔵弾性率の値は、350Paより大きくなり得るが、融解温度は約30℃のままである。顕微鏡および流動学的研究に基づいて、ジェランガムのゲル化のこの新規の手段の内在する機構は、大きな流体力学的体積を占めるが、それ自体ゲルを生成しないキシログルカンの体積排除効果に起因している。この考えを支持するために、自己会合する傾向のある多糖(例えば、キサンタンガム、ガラクトマンナン)またはイオン性多糖(例えば、キサンタンガム、CMC)は、塩を加えずにジェランガムのゲル化を誘導できない。
上述の概要は、本発明の詳細な説明および図1〜5と併せて読むとよりよく理解されるだろう。
図1は、LAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的相互作用を示し、低レベルのヒステリシスを与える。 図2aは、LAジェランガムとキシログルカンとの間の相互作用での貯蔵弾性率に対するイオン強度の効果を示す。 図2bは、LAジェランガムとキシログルカンとの間の相互作用での凝固温度および融解温度に対するイオン強度の効果を示す。 図3は、凝固温度および融解温度に対するLAジェランガムとキシログルカンとの混合比の効果を示す。 図4は、構造的遷移温度以下および以上の両方の温度でのLAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的相互作用を示す。 図5aは、軟カプセル用途において利点があるLAジェランガム/キシログルカン混合ゲルのゲル凝固/融解特性を示す。 図5bは、軟カプセル用途において利点があるLAジェランガム/キシログルカン混合ゲルのゲル凝固/融解特性を示す。 図5cは、軟カプセル用途において利点があるLAジェランガム/キシログルカン混合ゲルのゲル凝固/融解特性を示す。
本発明は、ゼラチンゲルの凝固/融解挙動を模倣するゲルの調製を可能にするLAジェランガムについての新規のゲル化剤としてキシログルカンが使用される組成物を提供する。
LAジェランガムは、他の多糖とほとんど相乗効果を示さないが、いくつかの他の多糖の対は、それらの相乗的相互作用について公知である。特に、キサンタンとガラクトマンナンとの間の相乗的相互作用、およびκ−カラギーナンとガラクトマンナまたはコンニャクグルコマンナンとの間の相乗的相互作用は、食品産業においてすでに利用されている。
種々の分子機構が誘導されて、二分子の多糖系において相乗的相互作用を示す場合がある。キサンタンとガラクトマンナンとの対の場合において、キサンタンとガラクトマンナンとの間の分子間結合は、それらの混合系からX線繊維回折像で調べられており、キサンタンとガラクトマンナンの不規則な骨格の間の結合に起因する。限定することを意図しないが、このモデルは、少なくとも1つの最もらしい理論であり、グルカンとマンナン骨格との間の立体互換性を考慮する(Chandrasekaran,R.ら,Carbohydrate Polymers,第32巻,pp.201−208,1997)。
κ−カラギーナンと、ガラクトマンナンまたはグルコマンナンとの対に関して、分子間結合についての直接的な証拠は報告されていない。示差走査熱量(DSC)および電子スピン共鳴(ESR)に基づく実験結果は、ガラクトマンナンまたはグルコマンナン鎖が、κ−カラギーナンの局所凝集または微結晶領域の表面に結合され、それらの局所的に凝集/結晶化された領域に結合して、ネットワークを形成することを示唆する(Williams,P.A.ら,Macromolecules,第26巻,pp.5441−5446,1993)。
LAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的相互作用についての明らかな証拠(例えば、Ikeda,S.ら,Food Hydrocolloids,第18巻,pp.669−675,2004)により、減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを示す新規のゲル系としてLAジェランガム/キシログルカン混合物を用いる考えが与えられている。キシログルカンは、高等植物の一次細胞壁に広く生じる構造的多糖類である。商業的に利用可能な食品グレードのキシログルカンの主な起源は、世界中の熱帯地方で生育するタマリンドの木(Tamarindus indica)の種子である。キシログルカンは、1→4結合β−D−グルコースの骨格を有し、そのうちの約4分の3は、6位でα−D−キシロース−(1→6)に置換される。キシロース残基のうちの約3分の1は、2位でβ−D−ガラクトース−(1→2)にさらに置換される。セルロース骨格上の大きい側基の存在は、キシログルカンに対して水溶性を与える。キシログルカンの溶液特性は、熱、pH、および機械的攪拌に対してかなり安定である。キシログルカンは、アルコールまたは十分な量の糖(約40重量%より多い)の存在下でのみゲルを形成する。
矛盾する結果が、ジェランガムとキシログルカンとの間の相互作用の分子機構について報告されている。DSCの特性により、κ−カラギーナン/グルコマンナン系についてのものと同様の傾向(同様の分子機構;すなわち、ジェランガムの局所的凝集/結晶領域に対するキシログルカン鎖の表面結合を誘導する可能性があること)が示されている。円偏光二色性(CD)研究により、ジェランガムのらせん形遷移温度よりわずかに高い温度での楕円率の異常温度依存が明らかにされており、ジェランガムとキシログルカンとの間の分子間結合がこの温度範囲で生じ得ることが示される。しかしながら、核磁気共鳴(NMR)および原子間力顕微鏡法(AFM)の両方は、ジェランガムとキシログルカンとの間の分子間結合についての証拠を検出できなかった。
報告されているCDデータにより、無秩序のジェランガム分子におけるカルボキシル基のまわりの分子環境が、キシログルカンの存在によって影響されないことが示唆されている(Nitta,Y.ら,Biomacromolecules,4,1654−1660,2003)。しかしながら、本発明者らの流動学的データによれば、ジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的相互作用は、ジェランガム分子が無秩序状態になるはずである高温でさえも証明されている。例えば、混合系は、凝固温度より高い温度で個々の系より損失弾性率の著しく大きな値を示す。従って、ジェランガムとキシログルカンとの間の相乗効果が、それら2つの多糖間の分子間結合から生じることは起こりそうもない。なぜなら、秩序だったジェランガム分子および無秩序のジェランガム分子の両方は、キシログルカン分子と立体的に適合することがあり得ないからである。
最も起こりそうな機構は、2つの多糖がそれ自体によって占められる体積から互いを排除するので、各成分の有効濃度がバルク濃度より高くなることである。さらに、キシログルカン分子の存在は、2つのジェランガム分子間の接触を阻害し、二重らせん構造におけるジェランガム分子間の減少した程度の側方会合を有するジェランガムのより細かいネットワークの形成を導く。本明細書で重要なことは、ジェランガム/キシログルカン混合ゲルが、減少したらせん間会合に起因して減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを示すことが予想されることである。この分子機構の妥当性は、ジェランガム/キシログルカン混合ゲルにおける多くの遊離キシログルカン分子の存在を調べた顕微鏡研究によって試験され、確認されている。
その結果として、LAジェランガムについての新規のゲル化剤としてのキシログルカンの使用は、塩および酸などの従来のゲル化剤より2つの主要な利点を生じる。まず第一に、キシログルカンは、二重らせん構造におけるLAジェランガムの過剰な結合を防ぐ。結果として、融解温度は凝固温度よりわずかに高くなるのみであり、従って、受容可能なレベル内で熱ヒステリシスを与える。ゲル強度は、ガムレベルの総量、およびジェランガムとキシログルカンとの混合比を操作することにより、5℃以上に熱ヒステリシスが増加することなく、制御され得る。第二に、ジェランガムネットワーク内の遊離キシログルカン分子の存在は、ジェランガム/キシログルカン混合ゲルからシネレシスを効果的に減少させる。なぜなら、それらは、多くの親水基およびゲル系の浸透圧の増加をもたらすからである。当業者は、カチオンの欠如およびキシログルカンの使用が、ジェラン系の減少したシネレシスをもたらすことを理解するだろう。
以下の実施例は、減少した熱ヒステリシスおよびシネレシスを有するLAジェランガムゲルの調製方法および特性を例示するために示される。全てのパーセント、濃度、割合などは、他に記載されない限り、重量である。これらの実施例は例示のみであり、本発明の特許請求の範囲の全範囲を必ずしも含むわけではない。
(実施例1)
図1において、LAジェランガム/キシログルカン混合ゲルのゲル凝固および融解特性を、個々の多糖類のものと比較する。表1に、ガムサンプルに残留する主なカチオンの成分を与える。秤量した量のガムを室温で純粋に分散させ、熱湯で15分間、加熱する。高温溶液を、70℃にプレセットした、コーンおよびプレートの試験装置を備えた圧力を制御したBohlinレオメータに入れ、水の損失を防ぐためにすぐにシリコーン油で覆った。そのサンプルを、4℃/分の速度で10℃まで冷却し、120秒間、10℃で平衡にし、次いで4℃/分の速度で70℃より高く加熱した。熱処理の間、貯蔵弾性率および損失弾性率の値を0.1の歪みを付与することによって測定した。
表1.ガムサンプルに残留する主なカチオンの組成
Figure 2011502512
図1は、LAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗効果を示す。0.5%ジェランガムと1%キシログルカンとの混合物の初期冷却時に、ゾルからゲルへの遷移に相当する貯蔵弾性率(G’)の急速な増加が、30℃付近で見られ得る。貯蔵弾性率は10℃で350Paより高くなるが、ゲルは、その後の加熱で30℃付近にて融解する。この系の熱ヒステリシスは5℃未満である。ジェランガム自体は、10Pa以下の非常に小さい貯蔵弾性率の値を示し、キシログルカンがLAジェランガムについての非常に効果的なゲル化剤であることを確認した。キシログルカン自体は、ゲル化しない多糖である。1%キシログルカンの溶液は、10〜70℃の温度範囲において損失弾性率の温度依存性の推移変化を示さない。
(実施例2)
表1に示すように、LAジェランガムおよびキシログルカンのサンプルの両方は、比較的少量のカチオンを含む。従って、ジェランガム/キシログルカン相互作用に対する塩付加の効果を調べた。秤量した量のガムを、室温でNaCl水溶液に分散させ、熱湯で15分間、加熱した。高温溶液を、70℃にプレセットした、圧力を制御したBohlinレオメータのコーンおよびプレートの試験装置に入れ、水の損失を防ぐためにすぐにシリコーン油で覆った。そのサンプルを、4℃/分の速度で10℃まで冷却し、120秒間、10℃で平衡にし、次いで4℃/分の速度で70℃より高く加熱した。熱処理の間、貯蔵弾性率および損失弾性率の値を0.1の歪みを付与することによって測定した。凝固温度を、冷却時に貯蔵弾性率の値が1Paに到達した温度として定義した。融解温度を、加熱時に貯蔵弾性率の値が1Paに到達した温度として定義した。
図2aは、10℃で測定した貯蔵弾性率の値に対するイオン強度の効果を示す。ジェランガム/キシログルカン混合ゲルの弾性率の値は、混合していないジェランガムゲルのものより大きいが、弾性率の増加分は、塩の付加がないときに最も高くなる。LAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗効果は、50mM以上のイオン強度と等しい高レベルの塩の存在によって抑制されるように見える。図2bは、凝固温度および融解温度に対するイオン強度の効果を示す。凝固温度は主に、イオン強度の関数として測定され、キシログルカンの影響がほとんどない。融解温度は、イオン強度が増加すると急激に増加する(10mMあたり約7℃)が、キシログルカンの存在は、全てのイオン強度で6〜9℃のさらなる増加の原因となる。これらの結果により、キシログルカンが、比較的高レベルの塩の存在によって誘導されるジェランガムのらせん間会合を防ぐのに、ほとんど影響を示さないことが示唆される。このことにより、LAジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的相互作用を利用し、約5℃より狭い範囲の熱ヒステリシスに限定するために、全体の系におけるイオン強度を約30mMより低くすべきであるということが示唆される。
(実施例3)
LAジェランガムとキシログルカンとの混合比の重要性を図3に示す。ガムの総含有量を1.5%に固定し、2つのガムの混合比を変化させた。秤量した量のガムを、室温で純粋に分散させ、熱湯で15分間、加熱した。高温溶液を、70℃にプレセットした、圧力を制御したBohlinレオメータのコーンおよびプレートの試験装置に入れ、水の損失を防ぐためにすぐにシリコーン油で覆った。そのサンプルを、4℃/分の速度で10℃まで冷却し、120秒間、10℃で平衡にし、次いで4℃/分の速度で70℃より高く加熱した。熱処理の間、貯蔵弾性率および損失弾性率の値を0.1の歪みを付与することによって測定した。凝固温度を、冷却プロセス時に貯蔵弾性率の値が1Paに到達した温度として定義した。融解温度を、加熱時に貯蔵弾性率の値が1Paに到達した温度として定義した。
図3において、凝固温度は、ジェランガム含有量を増加するにつれて次第に増加する。これは、ジェランガムサンプルにおいて比較的高レベルの残留イオンを反映しているように見える(表1を参照のこと)。融解温度は、ジェランガムの割合が0.5未満である場合、ほとんど一定である。ジェランガムの割合が0.5より高い場合、融解温度は、ジェランガムの割合が増加するにつれて急激に増加する。これらの結果により、ジェランガムの含有量が、ジェランガムサンプルにおける比較的高レベルの残留イオンのために、5℃より高い著しい熱ヒステリシスを防ぐために、特定のレベルに制限されなければならないことが示される。
図4は、ジェランガムの割合と動的弾性率の値との間の関係を示す。10℃で測定した貯蔵弾性率の値は、ジェランガムの割合が2分の1未満である場合、個々の系(G’∝C)についての値の算術平均より大きい。より高いジェランガムの割合において、貯蔵弾性率の値は算術平均より小さいが、貯蔵弾性率とジェランガム濃度(G’∝C)との間の仮定のべき法則の関係に基づいて予想される値よりも大きい。ジェランガムの割合と貯蔵弾性率との間の3次曲線(cubic)の関係により、キシログルカンの相乗的効果が、より高いジェランガムの割合でイオン濃度を増加することにより次第に抑制されることが示される。初期冷却時に40℃で測定した損失弾性率の値もまた、図4にプロットする。ほとんどの値は、個々の系についての算術平均の値より大きく、ゾル−ゲル遷移温度より高い温度で生じるジェランガムとキシログルカンとの間の相乗的効果を示す。これらの結果により、無秩序および秩序だったジェランガム分子の両方が、キシログルカン分子と相乗的に相互作用することが示される。相乗的効果を最大化し、熱ヒステリシスを最小化するために最適な混合比は、1.5%のガム総含有量にて0.5%LAジェランガムと1.0%キシログルカンとの組み合わせによって達成される。
(実施例4)
ゼラチンが現在使用されている軟カプセルの用途が、LAジェランガム/キシログルカン混合系についての目的の範囲の1つである。この種の用途において、最終的なカプセル製品が、熱でカプセルの2つの部分の周辺を融解することによって密閉されるため、低温および低い融解温度での大きな弾性率の値が必要とされる。秤量した量のガムを、室温で15%グリセロール水溶液に分散させ、熱湯で15分間、加熱した。高温溶液を、80℃以上にプレセットした、圧力を制御したBohlinレオメータのコーンおよびプレートの試験装置に入れ、水の損失を防ぐためにすぐにシリコーン油で覆った。そのサンプルを、4℃/分の速度で10℃まで冷却し、120秒間、10℃で平衡にし、次いで4℃/分の速度で90℃より高く加熱した。熱処理の間、貯蔵弾性率および損失弾性率の値を0.1の歪みを付与することによって測定した。
図5aは、1%のLAジェランガムと1.5%のキシログルカンとの混合物が、10℃で約2,500Paの貯蔵弾性率(G’)の値を有するかなり強固なゲルを形成することを示す。さらに、損失弾性率(G’’)の値が、貯蔵弾性率の値より高くなる温度として定義される融解温度は、40℃で低いままである。この融解温度は、10℃未満の熱ヒステリシスに相当し、同時に、軟カプセルの用途に使用される典型的なゼラチンゲルが融解される範囲内である。より強固なゲルは、より高いガムのレベルで得られ得るが、融解温度もまた、おそらく、対イオンおよびガム中の不純物として含まれる他のイオンのレベルの比例的な増加に起因して増加する。図5bは、1.2%のLAジェランガムと1.8%のキシログルカンとを含むゲルが、10℃で約4,200Paの非常に大きな貯蔵弾性率を与えることを示す。しかしながら、融解温度および熱ヒステリシスは、それぞれ、約48℃および15℃になる。図5cは、1.5%のLAジェランガムと2.25%のキシログルカンとを含むゲルが、10℃で約8,500Paの非常に大きな貯蔵弾性率の値を有するが、融解温度および熱ヒステリシスが、それぞれ、約67℃および30℃以上になることを示す。

Claims (9)

  1. 低アシルジェランガム、キシログルカン、および水を含む組成物であって、前記組成物は、減少した熱ヒステリシスを示す、組成物。
  2. 前記組成物は、測定可能なシネレシスを示さない、請求項1に記載の組成物。
  3. イオン強度が、約30mM以下である、請求項1に記載の組成物。
  4. 約10℃未満の熱ヒステリシスを有し、検知可能なシネレシスを有さない、請求項2に記載の組成物。
  5. 前記組成物が、約0.05%〜約1.5%のジェランガムおよび約0.25%〜約2.5%のキシログルカンを含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記組成物が、約0.1%〜約1.0%のジェランガムおよび約0.3%〜約1.5%のキシログルカンを含む、請求項4に記載の組成物。
  7. 前記組成物が、100Paのオーダーの貯蔵弾性率の値、約30℃の融解温度、および約5℃未満の熱ヒステリシスを有する、請求項5に記載の組成物。
  8. 前記組成物が、約0.5%〜約1.5%のジェランガムおよび約1.0%〜約2.5%のキシログルカンを含む、請求項3に記載の組成物。
  9. 前記組成物が、1,000Paのオーダーの貯蔵弾性率の値、および約40℃の融解温度を有する、請求項7に記載の組成物。
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