JP2011500825A - 膜タンパク質の高分解能結晶を得るための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、2007年10月22日に提出された米国仮出願第60/999,951号;2007年10月24日に提出された米国仮出願第61/000,325号;2008年6月9日に提出された米国仮出願第61/060,107号;および、2008年10月1日に提出された米国仮出願第61/194,961号の恩典を主張し、そのそれぞれはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、NIH Roadmap Initiative助成金P50 GM073197、Protein Structure Initiative P50 GM62411(R.C.S.に対して)、NIH Roadmap Initiative助成金R21 GM075811およびNINDS助成金NS028471、NIH助成金F32 GM082028;ならびにNIH助成金R01 GM056169の下で、米国政府の支援を受けてなされた。GM/CA-CATビームライン(23-ID)は、National Cancer Institute(Y1-CO-1020)およびNational Institute of General Medical Sciences(Y1-GM-1104)による支援を受けた。政府は本発明において一定の権利を有する。
天然に存在するポリペプチドまたはタンパク質は、多くの場合、フォールディングして、化学的および生理学的な機能性の両者を決定する複雑な三次元形状になる。このため、タンパク質の徹底した理解のためには、それらの空間的トポロジーの詳細な描写が必然的に必要となる。タンパク質結晶学の分野はこの20年間で非常に盛んになり、タンパク質構造の知識基盤(knowledge bas)の急速な増加をもたらして、生化学、医薬開発および細胞生物学を含む他の学問分野が長足の進歩を遂げることを可能にした。しかし、構造生物学の分野は、水性媒質中に元々可溶性であるか、または界面活性剤ミセル中への組み入れによって可溶化されたタンパク質を用いた取り組みに大きく制約されてきた。本発明は、より自然な膜二重層環境内での、膜に埋め込まれたタンパク質(すなわち、内在性膜タンパク質)の研究を可能にする方法および組成物を提供する。本発明は、エネルギーおよびシグナル伝達を含む種々の細胞プロセスにおいて鍵となる役割を果たす、膜に埋め込まれた重要なクラスのポリペプチドのより詳細な分析を可能にする。
本明細書で説明する本発明は、2〜3オングストロームという小さな分解能で回折する膜タンパク質の結晶構造を生成させるための方法および組成物を提供する。1つの態様において、本方法は、脂質立方相中でのタンパク質の結晶化を伴い、ここでホスト脂質は、添加物、例えば、コレステロールなどのステロールを含む。本発明はまた、結晶化された膜タンパク質それ自体も提供し、ここで結晶化された膜タンパク質はGPCRまたは修飾GPCRを含む。結晶化されたタンパク質はまた、結合したリガンド、天然アゴニスト、アンタゴニストおよび/またはアロステリックエフェクターを含むこともできる。本発明はさらに、(結晶から得られた)タンパク質の三次元構造を、インビトロまたはインビボでのタンパク質のコンフォメーションおよび/または活性に影響を及ぼす新規リガンド、薬物および他の有用な分子のスクリーニングのために用いる方法も提供する。
特許請求の範囲および本明細書で用いる用語は、別に指定する場合を除き、以下に説明したように定義される。別に定義する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
1つの局面において、本発明は、タンパク質を結晶化するための改変された脂質立方相中間相法(modified lipidic cubic mesophase method)(例えば、Cherezov et al., Biophysical J., v.83, 3393-3407 (2002)を参照)を提供する。本明細書に記載した新規方法は、膜タンパク質の回折特性結晶を生じさせており、G-タンパク質共役受容体タンパク質(「GPCR」)の結晶を生成させるために特に有用である。本方法は現在では、この重要なタンパク質ファミリーの多様なメンバーに対しても成功裏に適用され、2.5Åの範囲の分解能で回折する結晶を生じさせている。他の利点の中でもとりわけ、本方法は、結晶中にタンパク質と結合した安定化抗体が全く存在しなくても膜タンパク質の回折品質結晶を生成させることを可能にする。
上記の脂質立方相結晶化法の諸局面は、脂質立方相マトリックスの内部での共結晶化の試行を通じて、内在性膜タンパク質の内部の低親和性脂質結合部位を決定する目的で改変することができる。この方法では、組成の異なるさまざまな脂質を種々の濃度でモノオレイン中に組み入れるが、ここでモノオレインはクロロホルム中に可溶化されているか、またはその流体等方性相になるまで加熱されている。続いて結晶成長を目視検査によって判定し、実験内部の任意の結晶性材料に関して回折データを収集する。脂質は低親和性であるため、本方法は、環状のものから非環状のタンパク質結合部位への脂質の自由な交換を導く環境を必要とする。結晶パッキング界面と関連性のない解釈可能な電子密度の存在により、膜環境における膜タンパク質の状況下での特定の脂質に関する特異的結合部位の推論が可能になる。結合は膜内部で起こるため、界面活性剤分配という複雑化要素は排除され、会合の熱力学はより現実的なものになる。本方法はそれ故に、膜タンパク質の以前には到達できなかった領域を詳細に特徴づけること、ならびに他の様式では検出されないままであると考えられる結合相互作用を記述および活用することを可能にする。さらに、この手法は、リガンドが水相への分配に依拠して脂質平面に並置されている膜タンパク質上のある部位を占有して、その部位の飽和を可能にするという、リガンド結合試験に適用することができる。これは刺激の強い有機共溶媒に対するタンパク質の曝露を制限し、さらには脂質立方相溶媒チャンネル内部で結晶化する可溶性タンパク質にとっても有用性がある可能性がある。
G-タンパク質共役受容体は、例えば細胞内シグナル伝達タンパク質、酵素またはチャンネルといった下流エフェクターに細胞外シグナルを間接的に伝達する細胞表面受容体である。G-タンパク質共役受容体膜タンパク質は、少なくとも6つのクラス(すなわち、A、B、C、D、EおよびF)の1つにグループ分けされる。哺乳動物G-タンパク質共役受容体の一例は、GPCRのクラスAサブファミリーの受容体の1つであるβ2A受容体である。
当業者に公知である機能アッセイの任意の1つを、候補化合物の生物活性を決定するために用いることができる。
本発明の方法に従って同定された阻害物質および/または活性化物質は、さまざまな源から入手しうる化合物のライブラリーから得ることができ、または当技術分野で公知のコンビナトリアル化学アプローチによって導き出すこともできる。そのようなライブラリーには、利用可能なChemical Director、Maybridgeおよび天然物コレクション(natural product collection)が非限定的に含まれる。本発明の1つの態様においては、構造が公知であるか予想されている化合物のライブラリーを、本発明のヒトβ2ARの構造とドッキングさせることができる。別の態様において、リガンド結合部位に対するリガンド結合に関するライブラリーは、カラゾロールおよび関連化合物を含みうる。別の態様において、ライブラリーはリンカー成分またはモイエティを含みうる。いくつかの態様において、リンカーは約10〜22個の原子を含むことができ、かつC、O、N、Sおよび/またはH原子のうち1つまたは複数を含みうる。別の態様において、ライブラリーは、リガンド結合部位(リガンド、アゴニストまたはアンタゴニスト結合ポケットとしても知られる)成分またはモイエティを含みうる。いくつかの態様において、ライブラリーは薬物様分子、すなわち、GPCRと結合すること、および/またはその生理的機能に影響を及ぼすことが知られている1つまたは複数の化合物を含みうる。
タンパク質-リガンドのドッキングは、タンパク質受容体、例えばヒトβ2ARが、分子基質および化合物を認識し、相互作用して会合する原理を利用することで、所与の化合物と三次元構造が知られている標的タンパク質との間の会合によって生じる構造を予測することを目指している。
以下は、本発明を実施するための具体的な態様の例である。これらの例は例示のみを目的として提供され、本発明の範囲を限定することは全く意図していない。用いる数字(例えば、量、温度など)に関して正確であるように努力は払っているが、ある程度の実験的誤差および偏差は当然ながら許容されるべきである。
本実施例は、カラゾロールと結合させた、β2ARタンパク質の回折品質結晶、特にヒトβ2ARとT4リゾチームとの融合タンパク質であるβ2AR-T4Lの結晶の生成について説明する。本タンパク質およびその合成の詳細な説明は実施例4に提示されている。手短に述べると、T4リゾチームを、β2ARに対する3種類の異なる修飾によって作製した:(1)T4Lによる第3の細胞内ループの置換によって融合物タンパク質を作り出した、(2)カルボキシル末端の48アミノ酸を削除した、および(3)Asn187のグリコシル化部位をグルタミン酸置換によって除去した。β2AR-T4LをSf9昆虫細胞で発現させ、1%ドデシルマルトシド中で可溶化して、抗体およびリガンドによる連続アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
タンパク質溶液(30mg/ml)をホスト脂質または脂質混合物と、典型的には2:3の容積比で、シリンジ混合器を用いて混合した(Cheng, et al., Chem Phys Lipids 95, 11 (1998)。混合すると(約100回の通過、2〜3分)、試料は均質で透明な立方相を自発的に形成し、それを結晶化の試行に直接用いた。インメソ(in meso)結晶化ロボットを用いて自動装置試行を行った(Cherezov, et al., Acta Cryst D 60, 1795 (2004))。6ウェルのガラスサンドイッチプレート(Cherezov, et al., Acta Cryst D 60, 1795 (2004);Cherezov, J Appl Cryst 36, 1372 (2003))の各ウェル内に、25nLまたは50nLのタンパク質高含有脂質立方相の小滴を満たして、その上を800μLの沈殿剤溶液で覆い、ガラス製カバースリップで密封した。手作業での設定は、Impactマイクロバッチプレート(Hampton Research cat# HR3-293)、Innovaplate SD-2置滴プレート(Hampton Research cat# HR3-083)またはVDX48懸滴プレート(Hampton Research cat# HR3-275)で行った。気密性10μLシリンジをつないだ改良型反復シリンジディスペンサー(Cherezov, et al., J Appl Cryst 38, 398 (2005))を用いて1ウェル当たり70nLの立方相小滴を送出し、微量ピペットを用いて1〜2μLの沈殿剤溶液を添加した。InnovaplateプレートおよびVDX48プレートの貯留槽(reservoir)はそれぞれ50および100μLの沈殿剤で満たした。脂質およびタンパク質の混合から始まるすべての操作は室温(約21〜23℃)で行った。設定後にプレートを、20℃に維持されている自動インキュベーター/撮像装置(RockImager 1000, Formulatrix Inc.)の中に移した。プレートの撮像は最初の3日間は12時間毎に行い、その後は第7日までは毎日、さらにその後は第10日および第14日に行った。
初期試行は、ホスト脂質としてのモノオレインと混合した濃度30mg/mLのタンパク質溶液を用いて、6種の市販のスクリーニングセット(Hampton Research製のIndex HT、SaltRx HTおよびMemFac HT、Nextal製のJCSG+およびMbClass、ならびにMolecular Dimensions製のMemSys&MemStart)設定に対して2回ずつ行った。3つの異なるウェルで検出された初期ヒットは、極めて小さな5μm未満の針状の複屈折性結晶シャワー(shower)を含んでいた。LCPにおけるこのような小さな無色タンパク質結晶の検出は、最適化された光学特性を有する特別に開発されたガラスサンドイッチプレートによって実現可能になった(Cherezov, et al., Acta Cryst D 60, 1795 (2004);Cherezov et al., J Appl Cryst 36, 1372 (2003))。沈殿剤としての30%v/vのPEG 400、低濃度の硫酸Li、およびpH 6.5または7.5の緩衝剤を含む化学組成によるヒット条件は類似していた。
結晶条件の最適化は、X線結晶学の当業者には周知である。以下は、結晶化混合物成分の1つまたは複数を濃度に関して系統的に変化させるか化学類似体によって置換する、一般に適用可能な最適化アプローチの具体的な一例である。最適化の初期ラウンドは、主な沈殿剤であるPEG 400の濃度、緩衝剤のpHおよび実体、塩の実体および濃度を変化させることに焦点を置いた。その結果、硫酸Liが硫酸Naに置き換えられ、有用な濃度およびpHの範囲が確定された。結晶を依然としてかなり小さく、ほぼ15×5×1μmのサイズに達する程度であった。
結晶はガラスサンドイッチプレートから直接採取したが(図2)、これはこの方法がマイクロバッチプレートまたは蒸気分散プレートを用いて得られるものよりも優れた結果を与えたためである。これらのプレートは、スクリーニングおよび最適化のステージのみで最適に動作するように特別に設計されている(Cherezov, et al., Acta Cryst D 60, 1795 (2004);Cherezov and M. Caffrey, J Appl Cryst 36,1372 (2003))。高性能両面粘着テープによって強く結合したスライドガラスを分離する困難さが理由で、それらからの採取は以前は試みられていなかった。したがって、別の局面において、本明細書に開示した本発明は、個々のウェルを開けてそれらから結晶を採取するための特別な手法を提供する。キャピラリーカッティングストーン(capillary cutting stone)(この場合にはHampton Research製)の角を用いて、上面ガラスにウェルの外周に沿って傷を付ける。スライドガラスを傷のすぐ外側でそっと押すことにより、ガラスの最も奥まで傷が伝播する。続いて、鋭い針を用いて、傷の入った外周のすぐ外側の一点でスライドガラスを割る。この穴を用いてスライドガラスを持ち上げて、立方相を採取のために露出させる。脱水を減らすために、沈殿剤のほぼ5μLの小滴をウェルにさらに添加する。この手法を用いることで、試みたウェルの80%超を開けてそれから結晶を首尾良く採取することが可能であった。
APSのビームラインGM/CA CATでのこれらの結晶の回折に関するスクリーニングの間に(図3)、マウントしたループ内に結晶それ自体を観察することはできなかった(図1a)。このため、ループ内の結晶を同定するために、ビームを変化させながらループ材料の系統的スクリーニングを実施した。続いて、低線量X線による回折の最適化を用いて、結晶のセンタリングを行い、最終的にはGM/CA CATでの10μm×10μmミニビーム設定を用いた完全データ収集を行えるようにした。続いて、この完全データセットを、σカットオフによってフィルター処理したデータと比較する(表1)。データのすべてを構造の解明および精密化のために用いた。
β2AR-T4L/カラゾロール構造(実施例1、3および4)に加えて、LCP/ステロールマトリックスは、多様な受容体-リガンド系を結晶化させるために成功裏に用いられている。
E122W突然変異を含むβ2AR-T4Lの耐熱性構築物は、アルプレノロール、チモロール、エレンブトロールおよびカラゾロールを含む、アゴニスト性およびアンタゴニスト性リガンドの両者の存在下で結晶化されている。β2AR-T4L(E122W)の脂質立方相(LCP)結晶化のために、インメソ結晶化ロボットを用いて自動装置試行を行った(Cherezov et al., 2004)。96ウェル方式のガラスサンドイッチプレート(Cherezov and Caffrey, 2003;Cherezov et al., 2004)の各ウェル内に、25nLまたは50nLのタンパク質高含有LCP小滴を満たして、その上を0.8μlの沈殿剤溶液で覆い、ガラス製カバースリップで密封した。脂質およびタンパク質の混合から始まるすべての操作は室温(ほぼ21〜23℃)で行った。結晶は、28%(v/v)のPEG 400、0.3Mのギ酸カリウム、0.1MのBis-trisプロパン pH 7.0、およびホスト脂質としてのモノオレイン中に10%(w/w)のコレステロールを用いた飽和濃度のリガンド(例えば、チモロールの場合は2mM)中で得られた。回折データを4種のリガンド複合体のすべてに関して収集し(図4参照)、アルプレノロール(3.2Å)、チモロール(2.8Å)およびカラゾロール(2.8Å)に関して構造を決定した。
非生体アミン受容体の結晶化におけるモノオレインコレステロール系の適用可能性も、高親和性選択的アンタゴニストZM241385と結合したヒトA2Aアデノシン受容体(A2AR-T4L)の、2.6Å分解能での構造決定によって実証された。図4参照。インメソでのヒトA2Aアデノシン受容体の脂質立方相(LCP)結晶化のためには、ガラスサンドイッチプレート(Cherezov, et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr, 60, 1795 (2004))の各ウェル内に、50nlの受容体-コレステロール-モノオレインLCP小滴を満たして、その上を0.8μlの沈殿剤溶液で覆い、ガラス製カバースリップで密封した。脂質:受容体LCP混合物には典型的には、モノオレイン:コレステロール(54%:6%(w/w))および受容体(40%(w/w))を含めた。結晶化の設定は周囲温度(22±2℃)で行った。自動インキュベーター/撮像装置(RockImager 1000, Formulatrix)を用いて、プレートを20℃でインキュベートして撮像した。データ収集品質の結晶(ほぼ100μm×10μm×5μm)が、30%(v/v)のPEG 400(28〜32%の範囲)、186mMの硫酸リチウム(180〜220mMの範囲)、100mMのクエン酸ナトリウム(pH 6.5)(5.5〜6.5の範囲)および200μMのZM241385中で得られた。このタンパク質は単純単斜晶空間群P21として結晶化し、非対称単位当たり1分子を有し、推算溶媒含量は52%であった。
挿入されたT4リゾチームを欠くβ2AR(E122W)の初期結晶も得られた。タンパク質は、0.5%w/vのドデシルマルトシド(DDM)、0.1%w/vのコレステリルヘミスクシネート(CHS)および1mMのチモロールの混合物を用いて昆虫細胞膜から抽出した。チモロールは精製の第1段階の全体を通じて1mMに維持した。抽出したタンパク質を、Talon(商標)を固定化した金属親和性樹脂に対して一晩結合させ、その後に標準的な洗浄および200mMイミダゾールによる溶出を行うことによって精製した。5mMのアデノシン三リン酸を10mMのMgCl2と組み合わせたものを用いて、シャペロンタンパク質の混入物を除いた。溶出したタンパク質を2.5mLに濃縮して、PD10脱塩カラム(GE-Biosciences)を用いて0mMイミダゾール緩衝液中で脱塩した。続いてタンパク質を、グリコシル化を除去するためにPNGase(New England Biolabs)の存在下で100μLのNi-セファロース固定化金属親和性樹脂と結合させて、一晩インキュベートした。インキュベーションの後にタンパク質をカラム上で洗浄し、構造解明のためにチモロールをカラゾロールに置き換えた。カラゾロールと結合したタンパク質をNi-セファロースカラムから溶出させ、100mMのクエン酸Na pH 7.5で処理した上で、50mg/mLに濃縮した。
CXCR4はフーシンとも呼ばれ、リンパ球に強力な走化活性を生じさせる分子であるストロマ由来因子-1(SDF-1、CXCL12とも呼ばれる)に対して特異的なGPCRタンパク質である。本実施例は、CXCR4を含む融合タンパク質(CXCR4-T4L)の回折品質結晶を生成させるために本発明の方法をいかにして用いうるかを予測的に教示する。
力価判定を行ったウイルスを手にしたところで、小規模な発現試験を5mL/実験の容積で行う。発現レベルは、平均蛍光強度(MFI)および発現スクリーニングベクターによってコードされるFLAGエピトープを発現する細胞のパーセンテージを測定するためのフローサイトメトリーを用いて評価する。発現細胞を透過処理の有無別に検査して、原形質膜中に挿入されたタンパク質と細胞輸送機構の内部にあるタンパク質との比を求める。細胞表面発現と全タンパク質発現との相関を示し、さら安定性と細胞表面発現/全発現の比との相関についても示す。これらのアッセイに加えて、回収可能なタンパク質の量ならびにサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される質を判定するために、ドデシルマルトシド(DDM)による可溶化後の小規模精製も行う。これらのデータに基づけば、T4L融合受容体が発現されること、およびそれがリガンド非依存的な様式で二量体化することが明らかであったが、これは他の受容体におけるC末端非特異的な相互作用の指標である。このようにして、CXCR4のC末端短縮突然変異体が作製される。
T4Lを融合させたCXCR4のC末端短縮の規模を生産サイズの発現(5〜10Lの細胞培養物)に拡大し、さらに結晶化の試行に向けて大規模精製の取り組みによる処理も行った。手短に述べると、5〜10Lの細胞培養物を遠心してPBSで洗浄し、その後に-80℃で凍結させた。続いて凍結細胞材料を、プロテアーゼ阻害薬(Roche)を補充した820mLの溶解緩衝液(10mM Hepes pH 7.5、10mM MgCl2、20mM KCl)中に再懸濁させた。細胞懸濁液をダウンスホモジナイザーによる20回の往復動作で溶解させ、Ti45超遠心管にて45,000rpmで30分間遠心した。その結果得られたペレットを上清から分離し、再懸濁させて、可溶性タンパク質材料を確実に完全に除去するためにこのプロセスを6回繰り返した。最終的な再懸濁段階では、40%v/vのグリセロールを含む100mLの溶解緩衝液中に膜を再懸濁させ、ダウンスホモジナイザーによる20回の往復動作でホモジネート化して、10mLアリコートを無期限の貯蔵のために-80℃で凍結した。
結晶化等級のβ2AR-T4Lタンパク質の人工的操作、機能特性、発現および精製は、実施例4により詳細に説明されている。手短に述べると、β2AR-T4Lを、β2ARに対する3種類の異なる修飾によって作製した:(1)T4Lによる第3の細胞内ループの置換によって融合タンパク質を作り出した、(2)カルボキシル末端の48アミノ酸を削除した、および(3)Asn187のグリコシル化部位をグルタミン酸置換によって除去した。β2AR-T4LをSf9昆虫細胞で発現させ、1%ドデシルマルトシド中で可溶化して、抗体およびリガンドによる連続アフィニティークロマトグラフィーによって精製した。コレステロールを加えた(-doped)モノオレイン立方相から結晶を成長させる、本明細書に記載した改変された脂質立方相(LCP)結晶化手順を用いて、2.2Åの分解能で回折するβ2AR-T4L結晶を得た。構造は2.4Åの分解能で解明された。界面活性剤中での結晶化と比較して、LCPは、結晶化のためのよりネイティブな脂質環境、ならびにI型パッキング相互作用の形成を通じて結晶化プロセスを助長する可能性のある二次元膜シートへのタンパク質の閉じ込めを提供する(Caffrey, Curr Opin Strnct Biol 10, 486 (2000);Deisenhofer, EMBO J 8, 2149 (1989);Landau et al., Proc Natl Acad Sci USA 93, 14532 (1996))。
脂質立方相結晶化
バイセルから成長させた、人工的に操作したヒトβ2AR(β2AR-T4L)は、3.5Åの分解能を超えて最適化することができなかった(図5)。このため、インメソ結晶化ロボット(Cherezov, et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 60, 1795 (2004))を用いて、脂質立方相(LCP)結晶化の試行を行った。96ウェルガラスサンドイッチプレート(Cherezov, et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 60, 1795 (2004);Cherezov, et al, J Membr Biol 195, 165 (2003))の各ウェル内に、25nLまたは50nLのタンパク質高含有LCP小滴を満たして、その上を0.8μLの沈殿剤溶液で覆い、ガラス製カバースリップで密封した。脂質およびタンパク質の混合から始まるすべての操作は室温(ほぼ21〜23℃)で行った。結晶は、30〜35%(v/v)のPEG 400、0.1〜0.2Mの硫酸ナトリウム、0.1MのBis-trisプロパンpH 6.5〜7.0、およびホスト脂質としてのモノオレイン中に8〜10%(w/w)のコレステロールを用いた5〜7%(v/v)の1,4-ブタンジオールの中で得られた(図6A)。コレステロールおよび1,4-ブタンジオールの添加は、結晶のサイズおよび形状を劇的に改善し、それによって高分解能回折を可能にした。この場合に、主なLCPホスト脂質であるモノオレイン(単独またはコレステロールとの組み合わせのいずれか)に対するリン脂質(ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、アゾレクチン)の添加は、結晶品質を改善することができなかった。
採取した結晶の平均サイズは30×15×5μmであった(最大の結晶は40×20×7μmであった)。結晶はガラスサンドイッチプレートから直接採取したが、これらのプレートはスクリーニングおよび最適化のために特別に設計されたものであった(Cherezov, et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 60, 1795 (2004);Cherezov, et al, J Membr Biol 195, 165 (2003))。結晶は、口径30μmまたは50μmのMiTeGen MicroMountsを用いてLCPから直接掬い取り、液体窒素中に投入した。不要なバックグラウンドを減らすために、結晶の周りの脂質はできるだけ引きずり込まないように注意を払った。PEG400の濃度を上昇させること、または鉱油を用いることのいずれかによって脂質を溶解させるための取り組みは、典型的には、結晶の回折能の低下をもたらした。
X線データは、Advanced Photon Source, Argonne、ILの23ID-Bビームライン(GM/CA CAT)にて10μmミニビーム(波長1.0332Å)およびMarMosaic 300CCD検出器を用いて収集した(図6B)。いくつかの完全データセットを、単一の結晶から、1フレーム当たり5×減衰ビーム、5秒間の曝露および振動角1゜を用いて2.8〜3.5Åの分解能で収集した。しかし、一部の結晶は、1×減衰ビームによる5秒間の曝露で、最高2.2Åの分解能で回折した。その結果、ウェッジ角10〜20゜の高分解能データが40個を上回る結晶から収集された(結晶の一部は2〜3回の並進(translation)が十分に可能であった)。続いて、27個の独立した結晶からの最良データセットのうち31個を組み合わせて、より低分解能の全データセットに対するスケーリングを行って、完全な2.4Åデータを得た。
2.8Åの分解能で回折する1つの結晶から、完全度90%、多重度2倍の単斜晶データセットを処理した。空間群C2における格子パラメーターおよび結晶方位の初期指数付け(indexing)は、HKL2000(Otwinowski, et al, in Methods in Enzymology C. W. J. Carter, R. M. Sweet, Eds. (Academic Press, New York, 1997), vol. 276, pp. 307-326)を用いて行った。精密化された格子パラメーターおよび空間群を、放射線崩壊、吸収および回転に関する誤差を明示的にモデル化する、スポットインテグレーション(spot integration)用のデータ処理プログラムXDSに組み込んだ(Kabsch, J Appl Crystallogr, 26, 795 (1993))。データは微結晶から10μmビームを用いて収集したため、ビームセンターでデータ収集中に結晶方位を維持することには特に問題があった。XDSは、φ軸周りの回転による結晶方位の誤差を、試行した他のデータ処理プログラムよりも良好にモデル化しており、より良いマージ統計値(merging statistics)が得られるように思われた。回転誤差に加えて、放射線崩壊もXDS処理プログラムによって部分的に補正された事項であり、異なる結晶および結晶並進からのデータセットのより信頼性の高いスケーリングが可能になった。この2.8Åデータを、はるかに高度の曝露下で収集した別のウェッジ角でのデータの組み入れのためのスケーリング基準として用いた。それぞれの新たなデータセットに対して、元の単位格子パラメーターを定数として用いてXDSで指数付けを行い、続いてそれらに結晶方位、ビームジオメトリー(beam geometry)およびモザイク性パラメーターを併せて精密化した。精密化は一般に安定であり、その後のスケーリングを可能にする極めて類似した単位格子定数がもたらされた。続いて、インテグレーションを行った諸ウェッジ角のデータのすべてをスケーリング基準セットに対して個々に検査し、そのデータを組み入れてもマージ統計値が依然として許容されるならば、スケーリングされた最終的なデータセットに含めた。27個の結晶からの合計31種のウェッジ角のデータをスケーリング参照データセットと組み合わせたところ、そのうち22種が2.4Åまたはより良好な分解能で回折した。比較的分解能の高いデータセットのそれぞれをはるかに大線量の放射線に曝露させ、強度の急速減衰(rapid decay)を生じさせた。典型的にはウェッジ角10゜〜20゜のものを各結晶または並進物から収集したが、そのうち5゜〜7゜のものは2.4Åでの回折データを有していた。このデータセットに関する最終的なマージ統計値を表2に示している。3つの結晶軸付近での反射の平均F/σ(F)に基づき、有効分解能は、b*およびc*の方向では2.4Å、a*の方向では2.7Åと推算された。この異方性のために、有意なI/σ(I)値にもかかわらず、最外郭側の少数の分解能シェル(last few resolution shells)ではマージしたR因子が高くなっている。異方性は、結晶の固有の性質であるか、またはマウント用ループの内部での結晶の選好的な配向の結果であるかのいずれかである。このため、より高分解能のシェルは高曝露レベルでの追加データの組み入れによって異方的に満たされていたが、一方、より低分解能のシェルは極めて高い多重度および低い異方性を有する。
比較はσカットオフ値によってフィルター処理したデータと完全セットとの間で行っている。データのすべてを構造解明および精密化に用いた。
Rsym=Σhkl|I(hkl)−<I(hkl)>|/Σhkl(hkl)、式中、<I(hkl)>はI(hkl)の対称等価反射の平均である;R-meas=多重度に依存しないRsym;Rmrgd-F=振幅品質の示度。例えば、Murshudov, et al, Acta Crystallogr D D53, 240 (1997)を参照。
β2AR-T4Lに関する初期位相を、T4-リゾチーム(PDB ID Code 2LZM)およびロドプシン7回膜貫通バンドルのポリアラニンモデル(PDB ID Code 1U19)の両方を検索モデルとして用いる分子置換によって得た。残基12〜71を除去するためにリゾチーム検索モデルのトリミングが必要であったが、これはそのドメインがより大きな区間に比してシフトしたコンフォメーションを有していたためである。このドメインは後に、観測された密度へのフィッティングによってモデルに再導入した。分子置換は、プログラムPhaserを用いて、まず短縮リゾチーム(RFZ=3.74;TFZ=3.65)を配置し、その後にロドプシンモデル(RFZ=5.2;TFZ=7)を配置することによって行った(McCoy, Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 63, 32 (2007))。受容体の配置を最適化するために、7個のヘリックスのそれぞれを、Refmacに実装された剛体最大尤度精密化によって独立に精密化した(初期Rwork/Rfree=0.50/0.51)(Murshudov, et al, Acta Crystallogr D D53, 240 (1997))。
*最も高分解能のシェルは括弧内に示されている。Rsym=Σhkl|I(hkl)−<I(hkl)>|/Σhkl(hkl)、式中、<I(hkl)>はI(hkl)の対称等価反射の平均である。
β2AR-T4Lの最終的なモデルは442個のアミノ酸を含む。精製中に、遊離チオールを除去するためにβ2AR-T4Lをヨードアセトアミドで処理した。このモデルは、Cys341と共有結合したパルミチン酸を含み(GPCRはしばしば、C末端尾部のシステイン残基上にパルミチン酸による翻訳後修飾を受ける)、およびCys2656..27と結合したアセトアミド分子を含む。説明の全体を通じて、残基はβ2AR配列の内部でのそれらの位置、および該当する場合には、上付き記号としてのそれらのBallesteros-Weinstein名称によって指定される。Ballesteros-Weinstein番号付けは、本文全体を通じて、タンパク質番号付けに対する上付き記号としてとして用いられる。各ヘリックスの内部には、クラスA GPCRの間で最も保存されている単一の残基がある。この残基はx.50と命名されており、ここでxは膜貫通ヘリックスの番号である。そのヘリックス上の他のすべての残基は、この保存された位置を基準として番号付けされる。このモデルはまた、β2ARと相互作用する、1個のカラゾロール分子、3個のコレステロール分子、2個の硫酸イオンおよび2個のブタンジオール分子も含む。また、T4Lと結合した4個の硫酸イオン、1個の推定的な二糖(マルトースとしてモデル化)および1個のPEG 400分子も存在する。β2ARについては、リガンドであるカラゾロールおよび2つのジスルフィド結合Cys1063.25-Cys1915.30およびCys1844.76-Cys1905.29を含めて、残基29〜342に関して質の高い電子密度が観察されている。Cys341にあるパルミチン酸はFo-Fcオミットマップ(omit map)に明らかに描出されている;しかし、電子密度の質は受容体の残りの部分よりも低い。N末端(残基1〜28)、およびC末端の大半(残基343〜365)は秩序立っておらず、この構造内に描出されていない。
β2AR-T4Lタンパク質は、1つの非対称単位当たり1分子のC中心(C-centered)単斜晶格子内にパッキングされている(図10A)。膜タンパク質は一般に2種類の結晶パッキングを形成しうる:I型は、膜タンパク質の親水性部分の相互作用を介して三次元内に秩序立って並んだ二次元結晶の積み重なりである。II型結晶は、その疎水性部分が界面活性剤ミセルによって遮蔽され、すべての結晶接触が溶媒に露出したタンパク質分子の親水性部分を通じて形成されている膜タンパク質で構成される。これまでに脂質中間相の中で成長させたすべての結晶で観察されているように(Schwartz, et al., Annu Rev Pharmacol Toxicol 46, 481 (2006))、β2AR-T4L結晶はI型パッキングの形をとり、提唱されている結晶化機序に従った多層配置を特徴とする(Caffrey, Curr Opin Struct Biol 10, 486 (2000);P. Nollert, et al., FEBS Lett 504, 179 (2001))。各層の内部で、タンパク質分子は平行した対称関係にある二量体のアレイを形成する。各層の内部には4種の異なる結晶-パッキング相互作用があり、そのうち3つはT4Lによって媒介される。このアレイにおける第4の相互作用は、結晶学的な2回回転軸の関係にある2個の受容体分子の間のものである。これは対称関係にある受容体間の唯一の相互作用であり、6個のコレステロールおよび2個のパルミチン酸分子からなる秩序立って並んだ脂質によって主として媒介され、このうち後者は受容体のC末端部分にあるCys341と共有結合としている(O'Dowd et al., J Biol Chem 264, 7564 (1989))(図10B)。これらの8個の脂質分子は受容体間に2回対称性シートを形成する。唯一の直接的な受容体-受容体間接触には、ヘリックスI中のLys601.59の荷電アミン基と対称関係にある受容体からのヘリックスVIII中のGlu338との間の2.7Åのイオン相互作用対がかかわる。注目すべきことに、受容体対称接合面に埋没した515Å2のうち、結晶接触表面積の73%は秩序立って並んだ脂質によって媒介され、タンパク質-タンパク質間接触による寄与は27%に過ぎない。層の間のスタッキング相互作用は、T4Lと受容体の細胞外ループECL2およびECL3との間で形成される(図10A)。ECL3が小型であることおよびECL2の剛性の構造様式からみて、これらの接触がこれらのループの配向に影響を及ぼす可能性は低い。
β2ARを含む多くのGPCRは原形質膜内で二量体として存在すると考えられているが、二量体接合面の位置および二量体化の機能的な意味は明確でない(Milligan, Mol Pharmacol 66, 1(2004))。2個の対称関係にある分子間のヘリックスIおよびVIII接合面に秩序立って並んだ脂質が観察されていることは、この会合に生理的な意義があることを示唆する(Angers, et al., Proc Natl Acad Sci USA 97, 3684 (2000);Javitch, Mol Pharmacol 66, 1077 (2004);Mercier, et al., J Biol Chem 277, 44925 (2002))。ロドプシンの等価な領域間の会合が結晶構造中に見いだされている(Salom et al., Proc Natl Acad Sci USA 103, 16123 (2006);Schertler, Curr Opin Struct Biol 15, 408 (2005))(図10C)。
静電電荷分布をAPBS(Gether, Enodocr Rev 21,90 (2000))を用いて計算し、β2ARの分子表面表示の上にマッピングした。この分析により、分子内部の3つの分極区域が明らかになった(図11A)。第1に、受容体の細胞質側の面はGタンパク質相互作用に関与し、同じく全体的に正電荷を有すると予想されるICL3の非存在下においても正味の正電荷を保有する(図11B)。第2の部位は、脂質アルキル鎖に露出される可能性のあるヘリックスIII、IVおよびVの間の膜内部に位置する静電的に負の領域であり、原形質膜内部の電荷の埋没は熱力学的に有利でないため、このことは意外である。位置1223.41にあるグルタミン酸残基は、観測された電荷分布の部分的な原因になっていると考えられる。最終的に、結合部位クレフト(cleft)は負に荷電し、特異なECL2の構造様式、およびN末端相互作用の欠如により、溶媒に対して露出する。この負の電荷は、正に荷電したカテコールアミンの静電的注ぎ込み(funneling)を通じてリガンド結合を助長すると考えられる(図11B)。
ECLおよびGPCRのアミノ末端は、膜貫通ヘリックスの細胞外半分と合わせて、各受容体のリガンド結合性部位の範囲を定めると考えられている(Angers et al., Proc Natl Acad Sci U S A 97, 3684(2000))。このため、ECLは、どのような特定の受容体の全体的な薬理学的性質(pharmacology)においても重要な役割を果たす。一般に、低分子リガンドは膜貫通ドメインのヘリックスによって作り出された空間内部のより深いところで結合し、ペプチドなどのより大型のリガンドは膜表面により近い、ECLの付近で結合すると考えられている(Ji, et al., J Biol Chem 273, 17299(1998);Gether, Eodocr Rev 21, 90(2000))。突然変異誘発試験により、β2ARはそのリガンドと膜貫通ヘリックスバンドル内部の深いところで結合することが示唆されており、これはこの細胞外領域が膜貫通ヘリックスIIおよびIII、ならびにVIおよびVIIをつなぐ短いループを有するかなり単純な構造を有するという観察所見と関連する可能性がある(図12A)。ECL2はヘリックスIVおよびVを連結させ、これは予想外の幾分より大がかりな構造様式を有する。ロドプシン中のこのループが埋没したβ-シート構造であることとは対照的に(図12B)、β2AR中のECL2は溶媒に対してより露出しており、ヘリックス状セグメントを1つ余分に含む。さらに、Cys1844.76とCys1905.29の間にループ内ジスルフィド結合があり、これはより露出したECL2を安定化する一助になると思われる。ヘリックスIII中のCys1915.30とCys1063.25との間の第2のジスルフィド結合はECL2を膜貫通コアと効果的に結び付ける(Noda, et al., J Biol Chem 269, 6743 (1994))。ECL2の遠位部分はECL1と密な接触をなし、Asn1875.26にグリコシル化部位を含むが(Mialet-Perez, et al., J Biol Chem 279, 38603 (2004))、これはECL1上の芳香族残基のグループ化を遮蔽するのに役立つと思われる;この構築物において、Asn1875.26は結晶化を補助するためにグルタミン酸に突然変異させられている。
カラゾロールは、β2AR-T4Lに対してピコモル濃度単位の親和性で結合して、この受容体の基礎活性の低下を生じさせる部分的逆アゴニストである。その結晶構造から、カルバゾールモイエティをPhe2896.51、Phe2906.52およびTrp2866.48に隣接して配置させる、受容体とカラゾロールとの間の広範囲にわたる相互作用が判明している(図13A、図7および表5)。対照的に、シス-レチナールはロドプシンと共有結合している完全な逆アゴニストであり、トランスデューシンに向けられるすべての活性を抑制する(Palczewski, Annu Rev Biochem 75, 743 (2006))。カラゾロールおよびレチナールはそれらの各々の受容体の中で類似の空間を占有し、それはカラゾロールの非芳香族領域とかなり重複する。しかし、レチナールのβ-イオノン環はロドプシンの結合ポケット中の深くまで伸びてヘリックスVおよびVI上の残基と接触し、そこでそれはPhe2125.47とTyr2686.51との間に挟まれて、高度に保存されたTrp2656.48と相互作用する(図13B)。ロドプシンおよび関連ファミリーメンバーが活性化されるとTrp2656.48の回転異性体における変化が起こることが提唱されており、これは受容体活性化の「トグルスイッチ」となる(Schwartz, et al., Annu Rev Pharamacol Toxicol 46, 481 (2006))。このため、c/s-レチナールとTrp2656.48との間の相互作用は、ロドプシンの基礎活性の欠如の原因になる可能性が高い。カラゾロールはヘリックスVI上のトグルスイッチと直接的には相互作用しないものの、それは受容体の基礎活性を低下させるが、これはPhe2896.51およびPhe2906.52と相互作用して、高度に保存されたTrp2866.48を取り囲む拡張した芳香族ネットワークを形成することによってそれを行うと考えられる。その結果として、Trp2866.48は不活性状態に伴ってみられる回転異性体の形をとる。このために、Phe2906.52によって課せられる立体障害は、レチナールのβ-イオノン環とロドプシン上の保存されたTrp2656.48およびPhe2125.47との相互作用と構造的に近似するように思われる(Shi et al., J Biol Chem 277, 40989(2002))(図13C)。
クラスA GPCRは長い間、それらの予想される7回膜貫通ヘリックスバンドル、および膜貫通領域内部での配列の保存が理由となって、共通した類似の構造様式を有すると考えられてきた(Lefkowitz, Nat Cell Biol 2, E133 (2000))。本発明者らは、リガンド結合様式の類似性および差異を評価するために、β2AR-T4Lの構造を、ロドプシンの最も高分解能の構造(PDB ID Code 1U19)に対してアラインメントした。本発明者らは、β2AR-T4Lとロドプシンとの間のヘリックス配向の差異を明らかにするために、アラインメントを行った2つの構造間の非相違区域(nondivergent area)を選択するための差異距離行列(difference distance matrix)を選択した。アラインメントについては、β2AR上の残基をロドプシン上の等価な残基に対して、それぞれ以下の通りにアラインメントした:43〜59を47-63に対して;67〜95を71〜99に対して;122〜135を126〜139に対して;285〜296を264〜275に対して。
不活性な暗状態のロドプシン構造の決定以来(Palczewski et al., Science 289, 739 (2000))、他のクラスA GPCRのさまざまな相同性モデルが報告されている(Bissantz, et al., Proteins 50, 5 (2003);Fano, et al., J Chem Inf Model 46, 1223 (2006);Hobrath, et al., J Med Chem 49, 4470 (2006);Nowak, et al., J Med Chem 49, 205 (2006);Zhang, et al., PLoS Comput Biol 2, e13 (2006))。典型的には、相同性モデルは、ファミリー間で共通するいわゆるフィンガープリントモチーフのアラインメントによって始まる。これらのフィンガープリントモチーフを外挿することで、ヘリックスバンドル全体に対して座標を割り付ける。ループ領域は用途に応じて、無視するか、またはループのコンフォメーションのデータベースに基づいてモデル化する(Bissantz, et. al, Proteins 50, 5 (2003))。β2ARについてはさまざまなモデルが存在し、そのうちいくつかは、裏づけとなる生化学的データによって改良されている(Bissantz, et. al, Proteins 50, 5 (2003);Zhang, et al., PLoS Comput Biol 2, e13 (2006);Freddolino et al, Proc Natl Acad Sci U S A 101, 2736(2004);Furse, et al., J Med Chem 46, 4450 (2003);Gouldson et al., Proteins 56, 67 (2004))。しかし、本明細書で報告したβ2AR構造(本実施例で上述した方法による)と比較すると、これらのモデルはすべて、ロドプシンとの類似性がより高く、他の受容体に関するモデルも同様であった(例えば、ドパミン、ムスカリン性およびケモカイン)。このことは、単一の構造テンプレートから生成された相同性モデルにおける一般的な欠点を強く示すものである。β2ARとロドプシンとの間の構造的な相違は、ロドプシンのみをテンプレートとして用いて正確に予測することは極めて困難であると考えられる。
方法
哺乳動物発現構築物およびSf9発現構築物の作製のための分子生物学
ヒトβ2AR遺伝子の改変のためのテンプレートとして用いた昆虫細胞発現プラスミドは、以前に記載されている(Yao et al., Nat Chem Biol 2, 417 (2006)):ヒトβ2ARの野生型コード配列(Gly2に始まる)を、アミノ末端のHAシグナル配列およびそれに続くFlagエピトープタグ、およびN187Eとして突然変異させた第3のグリコシル化部位とともに、pFastbac1 Sf-9発現ベクター(Invitrogen)中にクローニングした。このテンプレートを用いて、TAA終止コドンをG1y365とTyr366との間に配置し、野生型β2ARの48個のC末端残基を伴わずに翻訳を終結させた(「β2AR365」)。T4リゾチーム(WT*-C54T、C97A)タンパク質をコードする合成DNAカセットは、50塩基のオリゴヌクレオチドのオーバーラッピング伸長PCRによって作製した。このカセットを増幅し、Quickchange Multiプロトコール(Stratagene)を用いて、β2AR365構築物中のIle2335.72とArg2606.22との間に挿入した(図21A)。対応する哺乳動物細胞発現プラスミドは、融合遺伝子全体を増幅して、それをpCDNA3(Invitrogen)中にクローニングすることによって作製した。Sf9細胞構築物および哺乳動物細胞構築物におけるさらなる欠失は、Quickchange Multiプロトコール(Stratagene)において、適切な合成オリゴヌクレオチドを用いて作製した。すべての構築物はシークエンシングによって確認した。
HEK293細胞を、5%ウシ胎仔血清を伴うダルベッコ変法イーグル培地(Cellgro)中で、プラスチック製培養皿上で37℃、5% CO2下にて培養した。個々の発現実験については、集密状態にある細胞を分割し、およそ100,000個の細胞を、同じ培地中にあるガラスカバースリップへの播種に用いた。2日後に、細胞に対して、1μgの所与のpCDNA3-受容体プラスミドおよび3μlのFugene 6試薬(Roche)の添加によりトランスフェクションを行った。トランスフェクションの48時間後に、細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定して、PBS+2%ヤギ血清によってブロックし、PBS+2%ヤギ血清+0.5% Nonidet P40(Sigma)で透過処理を行い、ブロッキング緩衝液中のAlexa488結合M1抗FLAG抗体(受容体に対して)+DAPI(核)で染色して、ブロッキング緩衝液で洗浄した。カバースリップをVectashield(Vector Labs)を用いて顕微鏡スライド上にマウントし、一晩乾燥させた。染色は、63倍対物レンズ、および緑色(Alexa488/FITC)または青色(DAPI/Hoechst)のフィルターセットを用いて、Axioplan 2蛍光画像化システムによって描出した。N末端FLAGタグ付加β1アドレナリン作動性受容体を発現するプラスミドpCDNA3-β1ARを、細胞表面染色に関する陽性対照として用いた。エンプティpCDNA3を、バックグラウンド染色を評価するための陰性対照として用いた。
Bac-to-Bacシステム(Invitrogen)を以前に記載された通りに用いて、組換えバキュロウイルスをpFastbac1-β2AR-T4Lから作製した(Yao et al., Nat Chem Biol 2, 417 (2006))。このバキュロウイルスを感染させたSf9昆虫細胞においてβ2AR-T4Lタンパク質を発現させ、以前に記載された方法に従って可溶化した(Kobilka, Anal Biochem 231, 269 (1995))。ドデシルマルトシドで可溶化した、N末端FLAGエピトープ(DYKDDDA)を有する受容体を、M1抗体アフィニティークロマトグラフィー(Sigma)によって精製し、TCEP/ヨードアセトアミドで処理して、機能性GPCRのみを単離するためにアルプレノロール-セファロースクロマトグラフィーによってさらに精製した(Kobilka, Anal Biochem 231, 269 (1995))。溶出したアルプレノロール結合受容体をM1 FLAG樹脂に再び結合させ、30μMカラゾロールとのリガンド交換をカラム上で行った。この最終的なカラムから、0.2mg/mlのFLAGペプチドを含むHLS緩衝液(0.1%ドデシルマルトシド、20mM Hepes、100mM NaCl、pH 7.5)+30μMのカラゾロールおよび5mM EDTAを用いてβ2AR-T4Lを溶出させた。N結合型グリコシル化物を、PNGaseF(NEB)での処理によって除去した。タンパク質を、100kDa分子量カットオフ値のVivaspin濃縮器(Vivascience)を用いてほぼ5mg/mlから50mg/mlに濃縮し、HLS緩衝液+10μMのカラゾロールに対して透析した。
バキュロウイルスに感染したSf9細胞からの膜の調製は、以前に記載された通りに行った(Swaminath, et al., Mol Pharmacol 61, 65 (2002))。各結合反応に関して、0.7μgの全膜タンパク質を含む膜を用いた。[3H]-ジヒドロアルプレノロール(DHA)の飽和結合を、500μlの結合緩衝液(0.4mg/ml BSAを補充した75mM Tris、12.5mM MgCl2、1mM EDTA、pH 7.4)中に再懸濁させた膜を、20pM〜10nMの間の12通りの濃度の[3H]DHA(Perkin Elmer)とともにインキュベートすることによって測定した。230rpmの振盪下での1時間のインキュベーションの後に、Brandelハーベスターを用いて結合反応物から膜を濾過し、結合緩衝液で洗浄した上で、結合した[3H]DHAをBeckman LS6000シンチレーションカウンターを用いて測定した。非特異的結合は、同一の反応を1μMのアルプレノロールの存在下で行うことによって評価した。競合結合については、500μlの結合緩衝液中に再懸濁させた膜を、0.5nMの[3H]DHA+増加する濃度の競合リガンド(化合物はすべてSigmaから購入した)とともにインキュベートした。(-)-イソプロテレノールおよび(-)-エピネフリンについては、濃度を100pM〜1mMとし、それぞれ10倍ずつ上昇させた。サルブタモールについては、濃度を1nM〜10mMとした。ICI-118,551およびフォルモテロールについては、濃度を1pM〜10μMとした。非特異的結合は、1μMの非標識アルプレノロールを競合リガンドとして用いることによって測定した。図2AおよびS1中の曲線における各データポイントは、それぞれ3回ずつ行った3つの別々の実験の平均を表している。結合データは、Graphpad Prismを用いて非線形回帰分析によって分析した。[3H]DHAのKdおよび他のリガンドのKiを表6に示している。
野生型β2ARおよび融合タンパク質β2AR-T4Lに対する種々のリガンドの結合親和性。図22に示されている飽和および競合結合の曲線を、プログラムGraphpad Prismを用いて、理論的な飽和および一部位競合結合モデルに対してフィッティングさせた。Ki値は、Cheng-Prusoff式:Ki=IC50(1+[リガンド]/Kd)を用いて計算した。
β2AR-T4Lおよびβ2AR365を、2つの重要な違いの下で、上記の通りに精製した。第1に、ヨードアセトアミド処理の前に、2.5μMのFLAG-純粋受容体(可溶性[3H]DHA結合により測定)を、5μMのモノブロモビマンとともに4℃で1時間インキュベートした。第2に、ビマンで標識したアルプレノロールセファロース精製受容体をM1抗体樹脂に対して結合させた後に、溶出の前に、カラムをリガンド非含有緩衝液で十分に洗浄した。過去の先例(Ghanouni, et al., Proc Natl Acad Sci U S A 98, 5997 (2001))によれば、このプロトコールはCys2656.27を蛍光団誘導体化の主な標的にすると予想される。蛍光分光法を、Spex FluoroMax-3分光蛍光計(Jobin Yvon Inc.)により、フォトン計数モードで、5nmの励起および発光帯域を用いて実施した。実験はすべて25℃で行った。発光スキャンについては、本発明者らは励起を350nmに設定し、417〜530nmの発光を積分時間1.0s nm-1を用いて測定した。リガンドの影響を判定するには、種々の化合物との15分間のインキュベーションの後にスペクトルを測定した(飽和濃度で:[(-)-イソプロテレノール]=100μM;[ICI-118,551]=10μM;[サルブタモール]=500μM)。すべての実験において、蛍光強度は緩衝液およびリガンドからのバックグラウンド蛍光に関して補正した。図22Bに示されている曲線はそれぞれ、並行して行った3回ずつの実験の平均である。それぞれ種々のリガンドとともにインキュベートしたβ2AR-T4Lおよびβ2AR365に関するλmax値および強度変化を、表7に表形式で示している。
リガンド非結合性の、ならびに種々のリガンドともに15分間インキュベートしたβ2AR365およびβ2AR-T4Lに関するビマン蛍光応答。上のパネルは、リガンドとの15分間のインキュベーション後の蛍光発光スペクトル(励起350nm、発光417〜530nm)に関するλmaxを示している。各値は、並行して行った3回ずつの実験の平均±標準偏差である。下のパネルは、リガンドのλmaxでの強度と対照のリガンド非存在下(「なし」)応答のλmaxでの強度との比として表した、リガンドとのインキュベーション後の蛍光強度の変化を示している。
限定的なトリプシンタンパク質プロトコールを、Jiang et al., Biochemistry 44, 1163 (2005)を変更して行った。カラゾロールが結合したβ2AR-T4Lまたは野生型β2AR(それぞれ30mg/ml)をHLS緩衝液(上記参照)中に10倍に希釈し、TPCK-トリプシンを1:1000の比(wt:wt)で添加した。消化物を室温でインキュベートした。さまざまな時点で、アリコートを取り出して、ドライアイス/エタノール上で急速凍結させた。最後のアリコートを取り出した後に、すべての試料を解凍し、それぞれに同容積の10% SDS/PAGEローディング緩衝液を添加した。続いて試料を、12%ポリアクリルアミドゲル上での電気泳動を行った後にクーマシーブルーで染色することによって分析した(図16)。
リガンド非結合性のβ2AR365およびβ2AR-T4Lを、ビマン実験のためにそれぞれ上記の通りに精製した。HLS緩衝液中にある200μlの0.02mg/ml受容体を、加熱ブロック上で37℃でインキュベートした。図17に表記した時点で、試料を短時間遠心して、穏やかにボルテックス処理し、16.5μlを取り出して、HLS中に18.2倍に希釈した(合計300μl)。続いて、全結合の決定のために4×5μlを取り出し、非特異的結合のために2×5μlを取り出した。可溶性結合を測定するためには、5μlの希釈受容体を、10nMの[3H]DHA±10μMの非放射性アルプレノロールを含む105μlのHLS(受容体の最終的な希釈度は400倍)に添加した。反応物を室温で30分間インキュベートし、その後は処理時まで氷上に置いた。タンパク質を残留性の非結合[3H]DHAから分離するために各反応物の100μlを1mlのG50カラムに適用し、1.1mlの氷冷HLSを用いて受容体を溶出させた。結合した[3H]DHAをBeckman LS6000シンチレーションカウンターにて定量した。
β2AR365を、カラゾロールが結合した状態で、β2ART4Lに関して上述した通りのプロトコールに従って精製した。カラゾロールが結合した受容体(およそ50μMの濃度)を、暗所にて、1Lの透析緩衝液(20mM HEPES pH7.5、100mM NaCl、0.1%ドデシルマルトシド、300μMアルプレノロール)に対して、室温で撹拌しながら透析した。指定した時点で、パラフィルムで密封した開口透析チャンバーから2つの試料を取り出し、新たな透析緩衝液中に希釈した後に、カラゾロール発光スペクトルをSpex FluoroMax分光蛍光計を用いて入手した(330nmでの励起および335〜400nmでの発光を使用)。すべての時点に関する内部標準として、試料を、Bio-Rad Protein DCキットを用いるタンパク質濃度の決定のために取り出した(図19)。
図26Aおよび関連する考察の基盤となる、文献中に記載されているCAM(構成的活性突然変異体)は以下の通りである:L124A(Tao, et al., Mol Endocrinol 14, 1272 (2000))、C116F(Zuscik, et al., J Biol Chem 273, 3401 (1998))、D13OA(Rasmussen et al., Mol Pharmacol 56, 175 (1999))、L272C(Jensen et al., J Biol Chem 276, 9279 (2001))およびC285T (Shi et al., J Biol Chem 277, 40989 (2002))。図26Cに関して用いた、文献からのUCM(アンカップリング突然変異)は以下の通りである:D79N(Chung, et al., J Biol Chem 263, 4052 (1988))、F139A(Moro, et al., J Biol Chem 269, 6651 (1994))、T164I(Green, et al., J Biol Chem 268, 23116 (1993))、N318K(Strader et al., Proc Natl Acad Sci U S A 84, 4384 (1987))、N322A(Barak, et al., Biochemistry 34, 15407 (1995))、P323A(Barak, et al. Biochemistry 34, 15407 (1995))、Y326A(Barak, et al. Biochemistry 34, 15407 (1995))、L339A(Gabilondo et al., Proc Natl Acad Sci U S A 94, 12285 (1997))およびL340A(Gabilondo et al., Proc Natl Acad Sci U S A 94, 12285 (1997))。
T4リゾチームがGPCRの第3の細胞内ループの大部分を置き換えているβ2AR融合タンパク質(「β2AR-T4L」)は、ネイティブ性に近い薬理特性を保っている。上記の実施例に記載した通りに、β2AR-T4Lタンパク質を脂質立方相の中で結晶化させたところ、結果的に得られた2.4Å分解能の結晶構造から、受容体と部分的逆アゴニストであるリガンドのカラゾロールとの接合面が明らかになった。リガンドの効率は、GPCRの機能的特性に対するリガンドの影響を記述する。実施例のみの中では、アゴニストは受容体を完全に活性化するリガンドと定義される;部分的アゴニストは、飽和濃度であっても最大に満たない活性化を誘導する;逆アゴニストは基礎的な受容体活性を阻害し、アンタゴニストは基礎活性に何ら影響を及ぼさないが、他のリガンドの接近を競合的にブロックする。カラゾロールは、それがβ2ARの基礎活性を50%のみ抑制するため、部分的逆アゴニストと定義される。構造と照らし合わせた突然変異誘発データの分析は、逆アゴニスト結合における種々のアミノ酸の役割を明らかにし、結合ポケットの再編成がアゴニスト結合に随伴することを暗示する。加えて、構造は、構成的活性またはアゴニスト結合のアンカップリングおよびGタンパク質活性化を引き起こすことが知られている突然変異が、リガンドとの相互作用に起因する側鎖の変化がその構造を通じてGタンパク質相互作用の部位へと伝達されうるように、タンパク質のリガンド結合性ポケットと細胞質表面との間にどのように分布するかも明らかにする。
T4Lタンパク質(C54T、C97A)をコードするDNA(Matsumura, et al., Proc Natl Acad Sci U S A 86, 6562 (1989))を最初に、クラスA GPCR間のICL3の長さおよび配列の比較を手引きとして、ヒトβ2AR遺伝子中にクローニングした(Horn et al., Nucleic Acids Res 31, 294 (2003)):β2ARの残基2345.37〜2596.21を、T4Lの残基2〜164によって置き換えた(図21A中の構築物「E3」)。加えて、受容体を、ロドプシンのカルボキシル末端の位置とほぼ並ぶ、位置365で切断して短縮させた。これらの改変は、Sf9細胞において効率的に発現される受容体をもたらしたが、受容体とT4L末端との間の接合部の長さを短くするために、上記の方法に記載したように、さらに最適化を行った。いくつかの候補構築物を図21Aが図示されており、トランスフェクションおよび透過処理を受けたHEK293細胞の選択された免疫蛍光画像が図21Bに示されている。初期構築物に比して、本発明者らは、ヘリックスVの細胞質末端からの3個の残基、T4LのC末端からの3個の残基、およびヘリックスVIのN末端からの3個の残基を、いずれも著しい細胞表現発現の損失を伴うことなしに除去することができた。結晶化の試行のために用いた最終的な構築物(「β2AR-T4L」)は、β2ARの残基2315.70〜2626.24が、T4Lのアミノ酸2〜161によって置き換えられている(図21A中の「1D」)。リンカー長の最小化を通じての柔軟性の同様な低下は、可溶性融合タンパク質に関する以前の結晶化試験で重要であった(Smyth, et al., Protein Sci 12, 1313 (2003))。
本発明者らは、β2AR-T4Lに対する[3H]DHAの飽和結合、ならびに逆アゴニストICI-118,551およびいくつかのアゴニストの競合結合を測定した(図22A、図15および表6)。その結果は、β2AR-T4Lがアンタゴニスト[3H]DHAおよび逆アゴニストICI-118,551に対して野生型の親和性を有する一方で、アゴニスト(イソプロテレノール、エピネフリン、フォルモテロール)および部分的アゴニスト(サルブタモール)の両者に対する親和性は野生型β2ARに比して2〜3倍の高さであることを示している。より高いアゴニスト結合親和性は、GPCRの構成的活性突然変異体(CAM)に伴ってみられる特性である。β2ARのCAMはまた、Gsの基礎的なアゴニスト非依存的な活性化の亢進も呈し、典型的にはより低い発現レベルおよび低下した安定性を有する(Gether et al., J Biol Chem 272, 2587 (1997);Rasmussen et al., Mol Pharmacol 56, 175 (1999))。β2ART4LはCAMの結合特性を呈するが、それはSf9細胞培養物1リットル当たり1mgを上回るレベルで発現し、野生型β2ARよりもトリプシンタンパク質分解に対して抵抗性であり(図16)、かつ37℃の界面活性剤中で野生型受容体と同じ程度の結合活性を保っている(図17)。
β2AR-T4L融合物戦略のバリデーションを、等方性分解能3.4Å/3.7Åで決定した、その構造と、ICL3のアミノ末端およびカルボキシル末端からなる三次元エピトープを認識するFabと複合体化した野生型β2AR複合体の構造との比較によって行った(Rasmussen et al., Nature, 7168:355-6 (2007))。図23Aは、β2AR結晶化に対する融合物アプローチと抗体複合体アプローチとの間の、いずれの戦略もヘリックスVとVIとの間の可溶性タンパク質パートナーの結び付け(それぞれ共有結合性または非共有結合性)という点での類似性を図示している。2つの構造間の主な違いは、β2AR-Fab複合体では細胞外ループおよびカラゾロールリガンドをモデル化することができなかったが、一方、β2AR-T4Lの構造ではこれらの領域が解明されていることである。しかしながら、T4L挿入が受容体を著しくは変化させないことは明らかである。2つの構造の重層化(図18)は、特にFab複合体の分解能がそれほど高くないことを考慮に入れれば、受容体成分の膜貫通ヘリックスが極めて類似していることを図示している(モデル化された154個の共通の膜貫通Cα位置に関するRMSD=0.8Åであり、これに対してβ2AR-T4Lとロドプシンにおける154個の等価な残基との間では2.3Å)。
β2AR-T4L融合タンパク質を精製し、逆アゴニストであるカラゾロールとの複合体として結晶化させた。カラゾロールは、β2ARを極度のpHおよび温度に対して安定化するが、これはおそらくその非常に高い結合親和性(Kd<0.1nM)および緩徐な解離動態(t1/2がほぼ30時間)が関係していると考えられる(図19)。カラゾロールとβ2AR-T4Lとの間の相互作用を図24に模式的に描写している。カルバゾール環系は膜平面に対して概ね垂直方向を向き、アルキルアミン鎖(モデル中の原子15〜22)は複素環とほぼ平行している(図25A〜B)。上記の実施例3で述べたように、カラゾロールは、このリガンドのラセミ混合物を結晶化に用いたにもかかわらず、電子密度中に(S)-(-)異性体としてモデル化されたが、これはこのエナンチオマーの親和性がより高いためであった。Asp1133.32、Tyr3167.43およびAsn3127.39は、リガンドのアルキルアミンモイエティおよびアルコールモイエティに対する極性官能基の立体配置(constellation)を呈示し、Asp1133.32およびAsn3127.39側鎖はカラゾロールのO17原子およびN19原子と密な接触(<3Å)を形成する(図24および25A〜B)。Asp1133.32は、リガンド結合のために重要であることが示された最初のβ2AR残基の1つであった;注目されることに、D113N突然変異はアンタゴニストに対する検出可能な親和性の完全喪失(Strader et al., Proc Natl Acad Sci U S A 84, 4384 (1987))、および細胞ベースのGタンパク質活性化に対するアゴニストの効力の4桁を上回る低下を引き起こす(Strader et al., J Biol Chem 263, 10267 (1988))。同様に、Asn3127.39の突然変異はアゴニストおよびアンタゴニストに対するβ2ARの結合を擾乱させる:非極性アミノ酸(AlaまたはPhe)に対する変化は親和性を検出不能なレベルまで低下させ、一方、極性官能基(ThrまたはGln)の保持は部分的親和性を与える(Suryanarayana, et al., Mol Pharmacol 44, 111 (1993))。リガンドのヘリックスV近くの反対側の末端で、カルバゾール複素環のN7はSer2035.42の側鎖ヒドロキシルと水素結合を形成する。興味深いことに、Ser2035.42の突然変異は、カテコールアミンアゴニスト、ならびにピンドロール(Liapakis et al., J Biol Chem 275, 37779 (2000))、および暗示的にはカラゾロールなどの、窒素含有複素環を有するおよびアリールオキシアルキルアミンリガンドに対するβ2ARの親和性を特異的に低下させる。したがって、結晶構造中に観察されたカラゾロールと受容体との間の極性相互作用は、公知の生化学データと合致する。アンタゴニストおよびアゴニストの親和性に対するTyr3167.43の寄与については今後の検討が必要である;この残基は、シークエンシングが行われたすべてのアドレナリン作動性受容体遺伝子においてチロシンとして保存されている(Horn et al., Nucleic Acids Res 31, 294 (2003))。
β2AR-T4L/カラゾロール接合面での埋没表面積への寄与。溶媒到達可能表面積の計算は、CNSソフトウエアパッケージ(Brunger et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 54, 905 (1998))により、プローブ半径1.4Åを用いて行った。個々の残基の埋没表面積への寄与は、完全β2ART4L/カラゾロールモデルに関して1残基当たりの溶媒到達可能表面積を計算し、これらの数値を、カラゾロールを伴わない受容体モデルに関して計算された値から差し引くことによって求めた。
β2ARの機能に影響を及ぼす突然変異の分析は、受容体活性化の際に起こる可能性の高い構造再編成についての洞察を与える。図26Aは、その突然変異が基礎的なアゴニスト非依存的な活性の亢進を招くアミノ酸(構成的活性突然変異、CAM)、ならびにその突然変異がアゴニスト活性化を障害させるアミノ酸(アンカップリング突然変異、UCM)の場所を図示している。CAMが記載されている残基は、受容体を不活性コンフォメーションに維持する相互作用に関与する可能性が高い。これらのアミノ酸はヘリックス IIIおよびVI上の中央に位置する。対照的に、UCMが観察されている位置は、活性状態を安定化する分子内相互作用を形成する可能性が高い。UCMのクラスターはヘリックスVIIの細胞質末端に見られる。CAMおよびUCMはいずれも、アゴニスト結合に直接的には関与しない。CAMおよびUCMは配列中で直接つながってはいないが、その構造から、一方の動きがもう一方のパッキングに影響を及ぼすというように、それらがパッキング相互作用を通じて結び付いていることは明白である。例えば、図26A(右のパネル)は、中央に位置する2つのCAMであるLeu1243.43(Tao, et al., Mol Eodocrinol 14, 1272(2000))およびLeu2726.34(Jensen et al., J Biol Chem 276, 9279(2001))の4Å以内にある原子を有するすべてのアミノ酸を示している。これらのCAMに対してパッキングを行ういくつかのアミノ酸は、1つまたは複数のUCMとも相互作用する。Trp2866.48は結合ポケットの基部にある。アゴニスト結合はTrp2866.48の回転異性体状態の変化を招き、それは引き続いて、Pro2886.50によって形成されるヘリックスキンクの角度の変化を招くことが提唱されている(Shi et al., J Biol Chem 277, 40989(2002))。アゴニストにより誘導されるTrp2866.48の回転異性体状態の変化が、パッキング相互作用を通じてCAMおよびUCMの側鎖の変化と結び付き、それがGタンパク質および他のシグナル伝達分子と相互作用するヘリックスの細胞質末端および関連する細胞内ループへと伝播されるという可能性は高い。
Claims (47)
- ポリエチレングリコールまたは修飾ポリエチレングリコール;
0.01〜1Mの塩;
ホスト脂質;
脂質添加物、ここで該脂質添加物はホスト脂質に対して10〜60%v/vの比で存在する;
緩衝剤;および
1〜100mg/mlの膜タンパク質
を含む、膜タンパク質の脂質立方相(lipidic cubic phase)結晶化用の組成物。 - ポリエチレングリコールがPEGまたは修飾PEGであり、PEGまたは修飾PEGの平均分子量が200〜20,000である、請求項1記載の組成物。
- PEGまたは修飾PEGの平均分子量が400〜8000である、請求項2記載の組成物。
- PEGまたは修飾PEGの平均分子量が400〜2000である、請求項3記載の組成物。
- PEGまたは修飾PEGの平均分子量が400である、請求項4記載の組成物。
- 塩が硫酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩およびギ酸塩からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
- 塩が0.1〜0.2Mの濃度で存在する、請求項6記載の組成物。
- 緩衝剤が0.05〜0.5Mの濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
- 緩衝剤がBis-trisプロパンである、請求項1記載の組成物。
- 緩衝剤がクエン酸ナトリウムである、請求項1記載の組成物。
- 緩衝剤がpH 4.5〜8.0を有する、請求項1記載の組成物。
- 1〜10%v/vの濃度で存在するアルコールをさらに含む、請求項1記載の組成物。
- アルコールが5〜7%v/vの濃度で存在する、請求項12記載の組成物。
- アルコールがジオールまたはトリオールである、請求項12記載の組成物。
- アルコールが1,4-ブタンジオールである、請求項13記載の組成物。
- アルコールが2,6-ヘキサンジオールである、請求項13記載の組成物。
- 脂質添加物がホスト脂質中に1〜20%w/wの濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
- 脂質添加物がホスト脂質中に8〜10%w/wの濃度で存在する、請求項17記載の組成物。
- 脂質添加物が2-モノオレイン、ホスファチジルコリン、カルジオリピン、リゾ-PC(lyso-PC)、ポリエチレングリコール-脂質、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(「DOPE」)、DOPE-Me、ジオレオイルホスファチジルコリン(「DOPC」)、アゾレクチンおよびステロールからなる群より選択される、請求項17記載の組成物。
- 脂質添加物がステロールである、請求項19記載の組成物。
- 脂質添加物がコレステロールである、請求項20記載の組成物。
- ホスト脂質がモノパルミトレイン、モノバクセニン(monovaccenin)およびモノオレインからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
- ホスト脂質がモノオレインである、請求項22記載の組成物。
- 組成物中の結晶化しようとするタンパク質が1〜100mg/mLの濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
- 組成物中の結晶化しようとするタンパク質が40〜60mg/mLの濃度で存在する、請求項1記載の組成物。
- 膜タンパク質がG-タンパク質共役受容体である、請求項1記載の組成物。
- 膜タンパク質がβ2ARタンパク質を含む、請求項1記載の組成物。
- G-タンパク質共役受容体がβ2AR(E122W)およびβ2AR(E122W)-T4Lからなる群より選択される、請求項27記載の組成物。
- カラゾロール、チモロール、アルプレノロールおよびクレンブテロールからなる群より選択されるリガンドをさらに含む、請求項28または29記載の組成物。
- 脂質添加物をホスト脂質と混合して脂質混合物を形成させる段階であって、該脂質添加物がステロール、DOPE、DOPE-Me、DOPCおよびアゾレクチンからなる群より選択され、該脂質添加物が該ホスト脂質中で5〜20%w/wである段階;ならびに
脂質立方相組成物の形成のために適した条件下で該脂質混合物を膜タンパク質溶液と組み合わせる段階
を含む、膜タンパク質の結晶を生成させる方法。 - 脂質添加物の量が脂質中で8〜10%w/wである、請求項30記載の方法。
- プレートを脂質立方相組成物で満たす段階であって、該プレートが画像化と適合性がある段階;
該脂質立方相組成物を含む該プレートを、タンパク質の結晶化のために適した条件下に置く段階;および
該プレートにおける該タンパク質の結晶の存在を検出する段階
をさらに含む、請求項30記載の方法。 - プレートを第2のプレートで覆う段階をさらに含む、請求項30記載の方法。
- タンパク質が無色のタンパク質である、請求項30記載の方法。
- タンパク質がGPCRである、請求項34記載の方法。
- タンパク質がβ2ARを含む、請求項35記載の方法。
- タンパク質がβ2AR(E122W)およびβ2AR(E122W)-T4Lからなる群より選択される、請求項36記載の方法。
- 脂質添加物がホスト脂質中に1〜20%w/wの濃度で存在する、請求項30記載の方法。
- 脂質添加物がホスト脂質中に8〜10%w/wの濃度で存在する、請求項38記載の方法。
- 第2のプレートがガラスを含む、請求項34記載の方法。
- プレートから結晶を直接採取する段階をさらに含む、請求項34記載の方法。
- 脂質立方相組成物の立方相とスポンジ相との間から結晶を採取する段階をさらに含む、請求項41記載の方法。
- 結晶中に拡散性リガンドまたは候補リガンドを染み込ませる段階をさらに含む、請求項35記載の方法。
- GPCRタンパク質、ホスト脂質および脂質添加物を含む液体立方相組成物を調製する段階;
該組成物を第1のX線ビームに曝露させて、該第1のX線ビームの方向または強度の変化を決定する段階;
該組成物を第2のビームに曝露させて、該第2のX線ビームの方向または強度の変化を決定する段階;
該GPCR結晶が該組成物中に存在する区域を同定する段階;および
該同定された区域を少なくとも第3のX線ビームに曝露させる段階
を含む、液体立方相組成物中に存在するGPCRの結晶のスクリーニングの方法。 - 第1のビームがスリットを通した(slitted)100×25μmビームである、請求項44記載の方法。
- 前記結晶が無色である、請求項44記載の方法。
- GPCR結晶がβ2AR(E122W)およびβ2AR(E122W)-T4Lである、請求項44記載の方法。
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