JP2011500034A - ロウソニア・イントラセルラリス(lawsoniaintracellularis)を培養する方法 - Google Patents
ロウソニア・イントラセルラリス(lawsoniaintracellularis)を培養する方法 Download PDFInfo
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Abstract
【選択図】図1
Description
再生実験は、この微生物が病原体ではないことを証明している。JoensとGlock(米国特許第5,610,059号)は、以前にPPE‐病原体、回腸炎病原体、IL−A、ATCC No.55370と呼ばれ、現在ロウソニア・イントラセルラリスとして公知のPPE微生物の分離および性状解析ならびに該微生物を使用した疾患の再現を記載し、主張する。初期の分離物は増殖性回腸炎疾患を再現することが示された。この初期の報告以後、少なくとも4種の付加的な分離物が得られ、ATCC 55370と同じ生育特性を実証することが示され、ATCC 55370がプロトタイプ微生物であることを確証している。
[定義]
本発明を記載することにおいて、以下の定義が使用される:
“好気性微生物(aerobic organism)”、“好気性菌(aerobe)”、および、“好気性微生物(aerophilic organism)”という用語は酸素を基礎にした代謝を有する微生物を表す。“好気性条件”という用語は、酸素濃度が大気に存在する濃度(すなわち約20%)とほぼ同じである条件を表す。
“係留(anchorage)システム”などの用語は細胞を培養するためのシステムを意味し、該システムでは細胞はシートを形成して容器の内壁または基質に係留されるか、または細胞は単層を形成して容器または基質に接着する。
“培養(cultivation)”および“培養すること(culturing)”という用語はL.イントラセルラリス微生物の生育、再生、および/または増殖を促進するプロセスを意味する。
“感染多重度”(MOI)という用語は、細胞毎の微生物の数の比を表し、該用語は与えられた感染物中でどのくらいの接種物が使用されることになるかを詳述する。
“初代細胞系”という用語は、限定された期間、in vitroで維持されうる細胞系を意味する。
“スピナーフラスコ”という用語は、培養物を攪拌し、その中に含まれる細胞を懸濁液の状態で維持するためにパドル、プロペラ、攪拌棒、または他の手段を利用するフラスコまたは他の容器を意味する。
一態様では、本発明はL.イントラセルラリス種、たとえばATCC55370ならびに類似の免疫原性特性を有するすべての系統およびその変異体によって引き起こされる増殖性回腸炎から保護するワクチンに関する。“免疫原性特性”は、増殖性回腸炎から動物、たとえばブタを保護するための能力を意味する。企図されたワクチンには、弱毒化ワクチン、不活性化ワクチン、改変生ワクチン、サブユニットワクチンおよび組換えワクチンが挙げられるが、それらに限定されない。本発明のワクチンは十分に高レベルの免疫原を生み出す場合、保護的および/または治療的であり、そしてアジュバント、安定化剤、および/または賦形剤を含んでいてもよい。L.イントラセルラリスの不活性化は好都合には微生物をBEI(バイナリーエチレンイミン)、BPL(ベータ−プロピオラクトン)、ホルマリン、ホルムアルデヒド、加熱またはいずれか他の当該技術分野で公知の薬剤によって処理することによって達成することができる。企図されたアジュバントには、Amphigen(登録商標)、Polygen(登録商標)、Carbopul(登録商標)水酸化アルミニウム、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、イズコム(Iscom)などが挙げられる。弱毒化ワクチンは、たとえば組織培養物中で連続継代することによって生産することができる。ワクチンはたとえば筋肉内、皮下、鼻腔内、蛍光、経皮または局所投与することができる。
[目的] この実験の目的は、摂氏(C)27°(自然の昆虫温度)対37℃において、およびCO2対特殊気体雰囲気条件下で、Sf9(スポドプテラ・フルギペルダ)細胞系を使用してロウソニア・イントラセルラリスの生育を評価することであった。
プロセスパラメータ。容器1および2の場合、温度は27℃に維持された。容器3および4の場合、温度は37℃に維持された。すべての容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。容器1および3の特殊気体雰囲気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターにより濾過された、10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後、容器は鉗子で閉じられた。5%CO2環境で維持された容器2および4は、鉗子で閉じない0.1μmフィルターハウジングを有した。それゆえ、フィルターハウジングを通して、5%CO2環境と自由な気体交換が起こりえた。
採取。試料は容器にSf9細胞を播種後、0、1、4、7、8(補充前)、9、10、11、14、15、および17日目に採取された。播種後11日目に、試料は容器3および4から得られた。細胞生存能力および細胞密度が非常に低かったため、それ以上の試料は採取されず、容器内容物の残余は大きなプラスチック容器に分注され、マイナス80℃で凍結された。播種後17日目に、試料は容器1および2から得られ、容器内容物の残余は大きなプラスチック容器に分注され、マイナス80℃で凍結された。
[目的] この実験の目的は27℃対32℃においてSf9(スポドプテラフルギペルダ)細胞系を使用したロウソニア・イントラセルラリスの生育を評価することであった。該目的はまた、27℃対32℃における5%血清の添加の影響を評価することであった。それはまた、27℃対32℃における感染多重度(MOI)を増加させる影響を評価することであった。最後に、該目的は27℃でのSf9細胞におけるロウソニア・イントラセルラリスの2回目の継代を評価することであった。
プロセスパラメータ。容器1、3、5、および7の場合、温度は27℃に維持された。容器2、4、および6の場合、温度は32℃に維持された。すべての容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。すべての容器中の培地上方の大気は特殊気体であった。容器中の大気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターを通して濾過された、10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後容器は鉗子で閉じられた。
プロセスパラメータ。容器1、2、3、および4の場合、温度は27℃に維持された。容器5の場合、温度は29.5℃に維持された。容器6の場合、親培地の温度は29.5℃であった。それは0日に32℃にまで上げられ、0日〜6日までこの温度を維持され、その後6日から24日まで29.5℃に下げられた。容器7の場合、温度は32℃に維持された。容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。すべての容器中の培地上方の大気は特殊気体であった。容器中の大気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターを通して濾過された、10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後、器は鉗子で閉じられた。
プロセスパラメータ。容器1、2、3、および4の場合、温度は27℃に維持された。容器5の場合、温度は0〜6日まで32℃に維持され、その後6〜29日まで27℃に下げられた。すべての容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。すべての容器中の培地上方の大気は特殊気体であった。容器中の大気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターを通して濾過された10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後、器は鉗子で閉じられた。
採取。試料は容器にSf9細胞を播種後、0、3、6(補充前)、8、10、14、17、21、25および29日目に採取された。しかし、細胞数が少なかったため、29日目の容器5から試料は採取されなかった。容器5から25日目の試料、および容器1〜4から29日目の試料を得た後、容器内容物の残余は大きなプラスチック容器に分注され、マイナス80℃で凍結された。
[目的] この実験の目的は、Ex−Cell(登録商標)420培地またはIPL−41培地のいずれかにおけるSf9(スポドプテラフルギペルダ)細胞系を使用したロウソニア・イントラセルラリスの生育を比較することであった。該目的はまた、およそ31用量でのSf9細胞におけるロウソニア・イントラセルラリスの感染多重度(MOI)を評価することであった。最後に、該目的は、生化学的分析および質量分析中に、Sf9陰性対照(非感染細胞)とロウソニア・イントラセルラリスに感染したSf9細胞を比較することであった。
プロセスパラメータ。温度はすべての容器に対して27℃に維持された。容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。容器1および3の大気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターを通して濾過された、10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後、器は鉗子で閉じられた。周囲条件のままにしておく容器2および4は、鉗子で閉じられない0.1μmフィルターハウジングを有した。それゆえ通常の大気条件下で、フィルターハウジングを通して自由な気体交換が起こりえた。
採取。試料は容器にSf9細胞を播種後、0、3、4、7(補充前)、9、11、および14日目に採取された。容器から14日目の試料を得た後、容器内容物の残余は大きなプラスチック容器に分注され、マイナス80℃で凍結された。
[目的] この実験の目的は、係留システムにおいて、3種の異なる密度で播種されたSf9(スポドプテラフルギペルダ)細胞系を使用してロウソニア・イントラセルラリスの生育を比較することであった。
採取。Sf9細胞を容器に播種後0、7、10、および13日目に試料が採取された。
[結果] 評価されたSf9細胞密度のそれぞれはロウソニア・イントラセルラリスの有意な生育をもたらした(表16を参照されたい)。2E+7、1E+7、および5E+7細胞密度で播種された容器はそれぞれ、15.3、24.5および27.9倍の増加をもたらした。
[目的] この実験の目的はCEV−1鳥類細胞系を使用して、CO2対特殊気体雰囲気条件下での摂氏(C)37°のロウソニア・イントラセルラリスの生育を評価することであった。
プロセスパラメータ。両方の容器に対して、温度は37℃に維持された。両方の容器は100rpmで攪拌された。酸素(O2)レベルは可変であった。pHレベルはモニターされないか、または管理された。容器1における特殊気体雰囲気を確立する場合、容器は、汚染を防ぐために0.1μmのフィルターを通して濾過された、10%水素、10%CO2および80%窒素を含む特殊気体を散布された。培地250mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を1分間であった。培地500mlに対して散布速度は5〜10cc/秒を2分間であった。拡散を防ぐために、気体を満たした後、容器は鉗子で閉じられた。5%CO2環境で維持される容器2は、鉗子で閉じられない0.1μmフィルターハウジングを有した。それゆえ、フィルターハウジングを通して、5%CO2環境と自由な気体交換が起こりえた。
採取。試料は容器にCEV−1細胞を播種後、1、4、7、8(補充前および補充後の両方)、9、10、11、および14日目に採取された。
実施例8.Sf−21昆虫細胞におけるロウソニア・イントラセルラリスの培養
[材料と方法] グレース(Grace)昆虫細胞培地(Gibco カタログ番号11605−094)の一瓶を使用前に30分間、27℃に温めた。1mlにつき106のSf−21細胞を含む1mlのクライオバイアル(cryovial)が得られ、凍結した懸濁物がすべて消失したことを確実にするために、37℃で15分間解凍された。細胞懸濁物のためのグレース培地中10%のウシ胎児血清(FBS;JRH カタログ番号12103−500M)プラス1%のL−グルタミン(L−glut;Gibco カタログ番号25030−081)。
[材料と方法] 約106のSf−21細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS;JRH カタログ番号12103−500M)プラス1%のL−グルタミン(L−glut;Gibco カタログ番号25030−081)を含む10mlのグレース昆虫細胞培地(Gibco カタログ番号11605−094)に添加された。再懸濁された細胞10mlすべてはCorning T−75cm2フラスコ(カタログ番号430641;ベントキャップ)に移され、付加的な5mlのグレース中10%FBS、1%L−glutを添加して、培養フラスコ中の容量を15mlにした。フラスコは27℃で1時間インキュベーションされ、15mlのグレース中10%FBS、1%L−glutを完全に再供給し、死細胞または非接着Sf−21細胞をいずれも除去した。
Claims (25)
- 以下のaからdを含む、非哺乳動物細胞においてロウソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)を生育させるための方法:
a.適切な培地を含む容器に細胞を播種すること;
b.該細胞にL.イントラセルラリスを接種すること;
c.接種された細胞を生育させること;および
d.L.イントラセルラリスを採取すること。 - 細胞が昆虫細胞、シュナイダー(Schneider)細胞、および鳥類細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記昆虫細胞がSf9細胞、SF21細胞、SF+細胞、Hi−Five細胞、または昆虫幼生細胞から選択される、請求項2に記載の方法。
- 細胞がSf9昆虫細胞である、請求項3に記載の方法。
- 前記鳥類細胞がCEV−1細胞または鳥類胚細胞から選択される、請求項2に記載の方法。
- 培地が動物蛋白質を含まない、請求項1に記載の方法。
- 培地が動物蛋白質を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記生育が約20℃から約39℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が昆虫細胞であり、そして生育が約25℃から約29℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が鳥類細胞であり、そして培養が約35℃から約39℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
- 容器が微好気性または好気性条件を含む、請求項1に記載の方法。
- 微好気性条件が約10%水素、約10%CO2および約80%窒素からなる気体の混合物を含む、請求項11に記載の方法。
- 定量リバーストランスクリプターゼポリメラーゼ連鎖反応(qRT−PCR)によって測定される感染多重度(MOI)が約0.000001から約10までである、請求項1に記載の方法。
- qRT−PCRを使用するMOIが約0.0001から約10までである、請求項1に記載の方法。
- 細胞にL.イントラセルラリスを接種後、L.イントラセルラリスが約5日から約25日まで採取される、請求項1に記載の方法。
- 細胞にL.イントラセルラリスを接種後、L.イントラセルラリスが約9日から約15日まで採取される、請求項1に記載の方法。
- 細胞が1mlにつき約100,000から約10,000,000細胞までの密度で播種される、請求項16に記載の方法。
- 細胞が1mlにつき約500,000細胞から1mlにつき約1,500,000細胞までの密度で播種される、請求項16に記載の方法。
- 培地が動物蛋白質を含まない、請求項16に記載の方法。
- 細胞が約10,000から約1,000,000までの密度で播種される、請求項19に記載の方法。
- 細胞が1cm2につき約60,000から約250,000細胞までの密度で播種される、請求項19に記載の方法。
- 培地が動物蛋白質を含む、請求項19に記載の方法。
- 動物蛋白質が約0.5%から約10%までの濃度で存在する、請求項22に記載の方法。
- 接種された細胞が少なくとも2から3リットルの容量の培地で生育される、請求項1に記載の方法。
- 接種された細胞が少なくとも100リットルの容量の培地で生育される、請求項24に記載の方法。
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