JP2011258892A - 不揮発性記憶素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜のうちの少なくとも1つが酸化ガリウムを含まない場合に比べて、動作安定性の向上した不揮発性記憶素子を提供する。
【解決手段】不揮発性記憶素子10は、基板30上と、ソース電極34S及びドレイン電極34Dと、半導体層36と、トンネル絶縁膜38と、電荷蓄積層40と、中間絶縁膜42と、ゲート電極44Gと、を備えており、半導体層36、トンネル絶縁膜38、及び中間絶縁膜42が、酸化ガリウムを含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、不揮発性記憶素子に関する。
特許文献1では、絶縁性基板上に形成された半導体層と、半導体層上に形成された電荷蓄積層と、電解蓄積層の上方に形成されたゲート電極と、半導体層のチャネル形成領域に接続して形成されたソース・ドレイン領域と、を有する不揮発性記憶素子が提案されている。特許文献1では、絶縁性基板として、表面をシリコン膜で被覆されたシリコン基板を用い、半導体層として、ポリシリコンからなる半導体層を用いることが提案されている。
特許文献2には、不揮発性記憶素子における半導体層をシリコンにより構成し、半導体層をCVD(化学的気相成長)法等を用いて、500℃程度のプロセス温度で形成することが記載されている。
特許文献3には、基板上に、電極層や半導体層等による積層体を形成して半導体素子を作製した後に、該基板から該積層体を剥離し、剥離した積層体を可撓性の基板に貼り付けることで半導体素子を作製することが提案されている。
特許文献4には、基板上に剥離層を形成し、この剥離層上に、電極層や半導体層等による積層体を形成して半導体素子を作製した後に、該剥離層の層内または界面で剥離を行うことで、該基板と該積層体とを分離し、分離した積層体を可撓性の基板に貼り付けることで半導体素子を作製することが提案されている。
特開平11−087545号公報 特開2006−013534号公報 特開2008−211191号公報 特開2009−010356号公報
本発明は、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜のうちの少なくとも1つが酸化ガリウムを含まない場合に比べて、動作安定性の向上した不揮発性記憶素子を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、基板と、前記基板上に、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、電荷蓄積層と、ゲート電極と、前記半導体層と前記電荷蓄積層との間に設けられたトンネル絶縁膜と、前記電荷蓄積層と前記ゲート電極との間に設けられた、中間絶縁膜と、を備え、前記中間絶縁膜、前記半導体層、及び前記トンネル絶縁膜が酸化ガリウムを含む、不揮発性記憶素子である。
請求項2に係る発明は、前記電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む請求項1に記載の不揮発性記憶素子である。
請求項3に係る発明は、前記中間絶縁膜、前記半導体層、及び前記トンネル絶縁膜は、有機ガリウム化合物と活性化した酸素とを、酸素及び水素の少なくとも一方を含む雰囲気下にて100℃以下で反応させる工程を経て形成された、請求項1または請求項2に記載の不揮発性記憶素子である。
請求項4に係る発明は、前記電荷蓄積層が、有機ガリウム化合物と活性化した酸素とを、酸素及び水素の少なくとも一方を含む雰囲気下にて100℃以下で反応させる工程を経て形成された、請求項3に記載の不揮発性記憶素子である。
請求項1に係る発明によれば、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜のうちの少なくとも1つが酸化ガリウムを含まない場合に比べて、動作安定性が向上する。
請求項2に係る発明によれば、電荷蓄積層が酸化ガリウムを含まない場合に比べて、動作安定性が更に向上する。
請求項4に係る発明によれば、100℃を超える温度で電荷蓄積層を形成した場合に比べて、可撓性を有する基板を用いた場合であっても、動作安定性が更に向上する。
本実施の形態の不揮発性記憶素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 本実施の形態の不揮発性記憶素子の層構成の一例を示した概略構成図である。 (A)は、成膜装置の一例を側面から見た場合の概略断面図を表し、(B)は、(A)のA1−A2線断面図である。 プラズマ発生装置の他の例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明するが、これに限定されるわけではない。
[不揮発性記憶素子]
図1及び図2は、本実施の形態に係る不揮発性記憶素子の構成の一例を模式的に示した断面図である。図1及び図2中、特性が共通する部材には同一の符号が付してあり、30が基板、32が下地層、34Sがソース電極、34Dがドレイン電極、36が半導体層、38がトンネル絶縁膜、40が電荷蓄積層、42が、中間絶縁膜、44Gがゲート電極を表す。
以下、図1及び図2に示す不揮発性記憶素子の構成について順に説明する。
図1に示す不揮発性記憶素子10は、例えば、基板30上に、下地層32、ソース電極34S及びドレイン電極34D、半導体層36、トンネル絶縁膜38、電荷蓄積層40、中間絶縁膜42、及びゲート電極44Gがこの順に設けられている。ソース電極34S及びドレイン電極34Dは、半導体層36に接触して設けられ、且つ互いに離間した位置に設けられている。
なお、図1に示す例では、不揮発性記憶素子10は、下地層32の設けられた構成である場合を示したが、下地層32の設けられていない構成であってもよい。
なお、本実施の形態の不揮発性記憶素子10は、図1に示す構成に限られず、ゲート電極44Gがソース電極34S及びドレイン電極34Dより基板30側に設けられた構成であってもよい。
例えば、本実施の形態の不揮発性記憶素子10は、図2に示す構成の不揮発性記憶素子10Aであってもよい。図2に示す不揮発性記憶素子10Aでは、例えば、基板30上に、ゲート電極44G、中間絶縁膜42、電荷蓄積層40、トンネル絶縁膜38、半導体層36、ソース電極34S及びドレイン電極34Dがこの順に設けられている。以下、符号は省略して説明する。
なお、本実施の形態の不揮発性記憶素子を用いて、何らかの電子装置を作製する場合には、基板上に、本実施の形態の不揮発性記憶素子を複数搭載した構成(不揮発性記憶装置)として利用してもよく、この不揮発性記憶装置に、さらに他の素子や回路等を組み合わせてもよい。
本実施の形態の不揮発性記憶素子における、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜は、酸化ガリウムを含んでいる。
不揮発性記憶素子における中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜は、酸化ガリウムを含んだ構成であると、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜のうちの少なくとも1つが酸化ガリウムを含まない場合に比べて、動作安定性の向上した不揮発性記憶素子が提供されると考えられる。
その理由は定かではないが以下のとおりであると考えられる。
例えば、中間絶縁膜やトンネル絶縁膜の材料として従来用いられてきたSiO、SiN等に比べて、高誘電率のYやHfOを用いて中間絶縁膜やトンネル絶縁膜を形成すると、中間絶縁膜及びトンネル絶縁膜が結晶化して粒状になる場合がある。上記中間絶縁膜やトンネル絶縁膜が粒状になる現象は、高温(100℃を超える温度)で、中間絶縁膜やトンネル絶縁膜を形成する場合だけではなく、低温(100℃以下)で中間絶縁膜やトンネル絶縁膜を形成する場合でも起こりうる。
一方、本実施の形態では上記の通り、中間絶縁膜及びトンネル絶縁膜が酸化ガリウムを含む層であるため、これらの層及び膜が粒状になる現象が起こりにくいと考えられる。また、半導体層にも酸化ガリウムを用いるので、中間絶縁膜、トンネル絶縁膜、及び半導体層は、組成比が異なるのみで構成元素が同じであるので、これらの層間の構成元素が異なる場合に比べて同じ構成元素の層間の界面における不純物等の混入が抑制されると考えられる。このため、不揮発性記憶素子の動作安定性の向上が図れると考えられる。
なお、「動作安定性」とは、不揮発性記憶素子に書込及び消去を繰り返し行った後であっても、同じ電圧印加条件で書込及び消去が行われることを示し、繰り返し書込及び消去前後の閾値電圧の変動が少ないほど、動作安定性に優れることを示している。
なお、上述のように、本実施の形態における不揮発性記憶素子は、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜が、酸化ガリウムを含んだ構成であることが必須であるが、電荷蓄積層についても、酸化ガリウムを含んだ構成であることが好ましい。中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜に加えて、電荷蓄積層についても酸化ガリウムを含んだ構成とされていることで、不揮発性記憶素子の動作安定性が更に向上とすると考えられる。
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子を構成する各部材について詳細に説明する。
<中間絶縁膜>
中間絶縁膜は、電荷蓄積層とゲート電極とを絶縁する層である。
なお、本実施の形態において「絶縁」及び「絶縁性」とは、電気抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることを示している。
なお、この電気抵抗率の測定は半導体パラメータアナライザ(アジレント製、HP4156B)およびプローバーを用いて求める。
本実施の形態の不揮発性記憶素子においては、上述のように、中間絶縁膜は、酸化ガリウムを含む層であることが必須である。
中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおける、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の原子数を、それぞれIGa及びIとしたとき、I/IGaの値は1.3以上1.5以下であることが好ましく、1.4以上1.5以下がより好ましく、1.5が最も好ましい。I/IGaの値が上記範囲であることにより、中間絶縁膜の絶縁性が高く、耐圧性、透明性、水蒸気バリア性、及び酸素バリア性に優れ、かつ、経時的な物性変化が極めて小さくなると考えられる。
中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の他に、第3の元素として水素(H)を含む水素含有酸化ガリウムであることが好ましい。中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムが水素(H)を含むと、酸化ガリウムのダングリングボンドや構造欠陥を水素が補償することにより、電気的安定性、化学的安定性、及び機械的安定性が向上し、高い硬度及び高い透明性が得られ、かつ、中間絶縁膜表面の高い撥水性や低摩擦係数が得られると考えられる。
中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムに水素(H)が含まれる場合、中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおける水素(H)の原子数をIとすると、I/(IGa+I)の値は0.01以上0.30以下が好ましく、0.05以上0.20以下がより好ましい。I/(IGa+I)の値が0.01以上であると、膜内部の構造的な乱れが低減され、電気的に安定で機械的特性が良好になり、I/(IGa+I)の値が0.30以下であると、中間絶縁膜の硬度や化学的安定性(特に耐水性)が良好となると考えられる。
また、不揮発性記憶素子における基板が、可撓性を有する基板である場合には、基板の折り曲げや歪みに、中間絶縁膜が耐えうるという観点から、I/(IGa+I)の値は、0.1以上0.2以下であることがさらに好ましい。
中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムには、炭素(C)が含まれていてもよい。この場合、中間絶縁膜中における炭素(C)の含有量は、15原子%以下であることが好ましい。中間絶縁膜中における炭素(C)の含有量が15原子%以下であると、炭素が、中間絶縁膜中で−CHや−CHとして存在することが抑制されるため、中間絶縁膜中の水素(H)含有量が低く抑えられ、中間絶縁膜中の大気中での化学的安定性等がより高められると考えられる。
なお、中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)以外の金属原子を含まない酸化ガリウムである。特に本実施の形態では、中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムが、希少な金属であるインジウム(In)を含まないため、インジウム(In)を用いずに不揮発性記憶素子を作製することにより、不揮発性記憶素子の価格が低く抑えられる。
中間絶縁膜の厚み方向の組成は、均一であってもよいが、Gaと酸素とを含む組成であれば、膜の厚み方向において組成に傾斜構造を有していたり、多層構造に構成されたものであったりしてもよい。
中間絶縁膜の厚み方向における酸素の濃度分布は、基板側に向かって減少していてもよいし、基板側に向かって増加していてもよい。
中間絶縁膜中に含まれるガリウム(Ga)、酸素(O)、炭素(C)等の元素の前記含有量は、ラザフォードバックスキャタリング(RBS)により求められる。
ここで、前記ラザフォードバックスキャタリング(RBS)について詳述する。RBSでは、加速器(NEC社製の3SDH Pelletron、エンドステーション、CE&A社製のRBS−400)及びシステムとして3S−R10が用いられ、解析にはCE&A社製のHYPRAプログラム等が用いられる。
RBSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle 109°
・RBS測定
測定では、厚み方向の分布を含めて測定される。具体的には、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームの方向に対して160°の位置にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と厚みを決定する。組成比と厚みを求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
また、中間絶縁膜中の水素の含有量は、ハイドロジェンフォワードスキャタリング(HFS)により求められる。HFSは、加速器(NEC社製の3SDH Pelletron、エンドステーション、CE&A社製のRBS−400)が用いられ、システムとして3S−R10が用いられる。解析には、CE&A社製のHYPRAプログラムが用いられる。
HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle 30°
・HFS測定
測定は、He++イオンビームの方向に対して、検出器が30°に、試料(中間絶縁膜)が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾う。このとき、検出器を薄いアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことがよい。定量は、参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによって行なう。参照用試料としては、Si中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用する。白雲母は、水素濃度が6.5atomic%であることが知られている。最表面に吸着している水素(H)は、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行なわれる。
中間絶縁膜全体中における各元素の含有量を測定する方法としては、上記方法の他、X線光電子分光(XPS)や二次電子質量分析法により測定する方法も挙げられる。
また、中間絶縁膜中の水素含有量を測定する方法としては、上記方法の他、赤外吸収スペクトル測定により、ガリウム−水素結合によるピークやN−H結合によるピークの強度から水素含有量を推定する方法も挙げられる。
中間絶縁膜の結晶性及び非結晶性は特に限定されず、例えば、微結晶、多結晶、又は非晶質が挙げられ、そのいずれであってもよい。
なお、中間絶縁膜は、安定性や硬度の観点からは、微結晶が含まれた非晶質、非晶質が含まれた微結晶、又は非晶質が含まれた多結晶であってもよいが、半導体膜表面の平滑性や摩擦の点からは非晶質であることが好ましい。結晶性及び非結晶性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別する。また、非晶質性は、X線回折スペクトル測定で回折角に固有の鋭いピークが現れないことによっても判別される。
中間絶縁膜は、その結晶性及び非結晶性が、微結晶、多結晶あるいは非晶質のいずれの場合においても、その内部構造に含まれる結合欠陥、転位欠陥、結晶粒界の欠陥などを不活性化するために、中間絶縁膜中に水素やハロゲン元素が含まれていてもよい。中間絶縁膜中の水素やハロゲン元素は、上記欠陥などに取り込まれて、反応活性点を消失させ、電気的な補償を行う働きを有する。従って、中間絶縁膜の欠陥準位による不必要なキャリア生成が抑制されると考えられる。
中間絶縁膜の厚みとしては、中間絶縁膜としての上述した特性を満たす厚みであればよく、中間絶縁膜の組成やガリウムと酸素の原子数比等によっても異なるが、例えば、20nm以上200nm以下の範囲が挙げられる。
<トンネル絶縁膜>
トンネル絶縁膜は、半導体層と電荷蓄積層とを絶縁すると共に、トンネル効果によって電荷蓄積層へ電荷を蓄積または電荷蓄積層に蓄積された電荷を放出させる。
本実施の形態の不揮発性記憶素子においては、上記特性を有するトンネル絶縁膜は、酸化ガリウムを含む層であることが必須である。
トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおける、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の原子数を、それぞれTGa及びTとしたとき、T/TGaの値は1.3以上1.5以下であることが好ましく、1.4以上1.5以下がより好ましく、1.5が最も好ましい。T/TGaの値が上記範囲であることにより、トンネル絶縁膜の絶縁性が高く(すなわち電気抵抗が高く)、耐圧性、透明性、水蒸気バリア性、及び酸素バリア性に優れ、かつ、経時的な物性変化が極めて小さくなると考えられる。
トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の他に、第3の元素として水素(H)を含む、水素含有酸化ガリウムであることが好ましい。トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムが水素(H)を含むと、酸化ガリウムのダングリングボンドや構造欠陥を水素が補償することにより、電気的安定性、化学的安定性、及び機械的安定性が向上し、高い硬度及び高い透明性が得られ、かつ、トンネル絶縁膜表面の高い撥水性や低摩擦係数が得られると考えられる。なお、トンネル絶縁膜の酸化ガリウムに含まれる水素(H)の好ましい量は、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
またトンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムには、炭素(C)が含まれていてもよい。トンネル絶縁膜の酸化ガリウムに含まれる炭素(C)の好ましい量も、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムは、中間絶縁膜の場合と同様に、ガリウム(Ga)以外の金属を含まない酸化ガリウムである。特に本実施の形態では、トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムが、希少な金属であるインジウム(In)を含まないため、インジウム(In)を用いずに不揮発性記憶素子を作製することにより、不揮発性記憶素子の価格が低く抑えられる。
トンネル絶縁膜の組成、厚み方向における組成分布、厚み方向における酸素の濃度分布、元素含有量の測定方法、結晶性については上記中間絶縁膜の場合と同様であるため、説明を省略する。
トンネル絶縁膜の厚みとしては、トンネル絶縁膜としての上述した特性を満たす厚みであればよく、トンネル絶縁膜の組成やガリウムと酸素の原子数比等によっても異なるが、例えば、5nm以上15nm以下の範囲が挙げられ、8nm以上12nm以下の範囲が更に好ましい。
<半導体層>
半導体層は、ソース電極及びドレイン電極間にドレイン電流が流れることによってチャネル領域の形成される層である。
本実施の形態の不揮発性記憶素子における半導体層は、酸化ガリウムを含む層である。
半導体層に含まれる酸化ガリウムにおける、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の原子数を、それぞれSGa及びSとしたときのS/SGaの値は、前記I/IGaの値(中間絶縁膜内の酸素とガリウムの原子数比)よりも小さいことが好ましい。このように、酸素とガリウムとの原子数比を調整することで、上述の特性を有する中間絶縁膜及び半導体層が容易に形成される。
具体的なS/SGaの値は、1.1以上1.5以下が好ましく、1.1以上1.4以下がより好ましく、1.1以上1.3以下がさらに好ましい。S/SGaの値が1.1以上であることにより、大気中の酸素や酸化雰囲気中においても耐酸化性に優れ、経時的な物性変化(電気的物性や機械的特性の物性変化)が小さくなると考えられる。またS/SGaの値が1.1未満である場合に比べて、金属ガリウムの性質が付与されて柔らかくなることが抑制されると考えられる。
半導体層の酸化ガリウムに含まれる酸素(O)の含有量は、30原子%以下であることが好ましい。上記酸素(O)の含有量が30原子%以下であると、半導体層の抵抗が高くなりすぎることによる不揮発性記憶素子の特性の悪化が抑制されると考えられる。
半導体層に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の他に、第3の元素として水素(H)を含む水素含有酸化ガリウムであることが好ましい。半導体層に含まれる酸化ガリウムが水素(H)を含むと、酸化ガリウムのダングリングボンドや構造欠陥を水素が補償することにより、電気的安定性、化学的安定性、及び機械的安定性が向上し、高い硬度及び高い透明性が得られ、かつ、半導体層表面の高い撥水性や低摩擦係数が得られると考えられる。半導体層の酸化ガリウムに含まれる水素(H)の好ましい量は、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
また半導体層に含まれる酸化ガリウムには、炭素(C)が含まれていてもよい。半導体層の酸化ガリウムに含まれる炭素(C)の好ましい量も、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
半導体層に含まれる酸化ガリウムは、中間絶縁膜の場合と同様に、ガリウム(Ga)以外の金属を含まない酸化ガリウムである。特に本実施の形態では、半導体層に含まれる酸化ガリウムが希少な金属であるインジウム(In)を含まないため、インジウム(In)を用いずに不揮発性記憶素子を作製することにより、不揮発性記憶素子の価格が低く抑えられると考えられる。
半導体層の組成、厚み方向における組成分布、厚み方向における酸素の濃度分布、元素含有量の測定方法、結晶性については上記中間絶縁膜の場合と同様であるため、説明を省略する。
半導体層の厚みとしては、半導体層としての上述した特性を満たす厚みであればよく、半導体層の組成やガリウムと酸素の原子数比等によっても異なるが、例えば、50nm以上200nm以下の範囲が挙げられる。
<電荷蓄積層>
電荷蓄積層は、中間絶縁膜とトンネル絶縁膜との膜間に配置されている。この電荷蓄積層は、その中に電荷を保持する特性を有し、電荷蓄積層中に電荷が蓄積されると、蓄積された電荷により電界が発生するため、不揮発性記憶素子の閾値電圧が変化する。この変化により、不揮発性記憶素子にデータが記憶される。
この電荷蓄積層は、上記特性を有する層であればよく、金属または半導体によって構成される。具体的には、電荷蓄積層としては、窒化シリコン、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、アルミニウム(Al)、金(Au)、及び酸化ガリウム等を含む構成が挙げられる。
これらの中でも、不揮発性記憶素子の更なる動作安定性の向上の観点から、電荷蓄積層は、酸化ガリウムを含む層であることが好ましい。
電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムにおける、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の原子数を、それぞれFGa及びFとしたときのF/FGaの値は1.1以上1.4以下であることが好ましく、1.1以上1.3以下がより好ましく、1.1が最も好ましい。F/FGaの値が上記範囲であることにより、電気的に安定であり、且つ、大気中の酸素や酸化雰囲気中においても耐酸化性に優れると考えられる。
また、電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の他に、第3の元素として水素(H)を含む水素含有酸化ガリウムであることが好ましい。電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムが水素(H)を含むと、酸化ガリウムのダングリングボンドや構造欠陥を水素が補償することにより、電気的安定性、化学的安定性、及び機械的安定性が向上し、高い硬度及び高い透明性が得られ、かつ電荷蓄積層表面の高い撥水性や低摩擦係数が得られると考えられる。
なお、電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、この酸化ガリウムに含まれる水素(H)の好ましい量は、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様であるため説明を省略する。
また電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムには、炭素(C)が含まれていてもよい。電荷蓄積層の酸化ガリウムに含まれる炭素(C)の好ましい量も、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様であるため説明を省略する。
なお、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムは、中間絶縁膜の場合と同様に、ガリウム(Ga)以外の金属を含まない酸化ガリウムである。特に本実施の形態では、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムが、希少な金属であるインジウム(In)を含まないため、インジウム(In)を用いずに不揮発性記憶素子を作製することにより、不揮発性記憶素子の価格が低く抑えられる。
なお、電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、この電荷蓄積層の組成、厚み方向における組成分布、厚み方向における酸素の濃度分布、元素含有量の測定方法、結晶性については上記中間絶縁膜の場合と同様である。
電荷蓄積層の厚みとしては、電荷蓄積層としての上述した特性を満たす厚みであればよく、電荷蓄積層の組成等によっても異なるが、例えば、5nm以上50nm以下の範囲が挙げられる。
ここで、電荷蓄積層は、上述した電荷を蓄積する特性を満たす構成として、具体的には、トンネル絶縁膜、中間絶縁膜に比べてより導電性である構成であることが好ましい。
このような電気的特性を満たすように、電荷蓄積層を調整する方法としては、これらの層や膜の厚みを調整する方法や、電荷蓄積層を上述のように酸化ガリウムを含む構成とし、この電荷蓄積層に含まれるガリウム(Ga)と酸素(O)との原子数比を調整する方法が挙げられる。
原子数比を調整する場合には、以下の方法が挙げられる。具体的には、トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおけるガリウム(Ga)の原子数をTGa、酸素(O)の原子数をTとし、とする。また、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムにおけるガリウム(Ga)の原子数をFGa、酸素(O)の原子数をFとする。そして、TGa/T、FGa/Fの関係が、TGa/T>FGa/Fの関係を満たすように、ガリウムと酸素の原子数比を上述した範囲内で調整すればよい。
電荷蓄積層を、上述のように酸化ガリウムを含む構成とし、この電荷蓄積層に含まれるガリウム(Ga)と酸素(O)との原子数比を調整することで、上述した特性を満たす電荷蓄積層を形成すれば、中間絶縁膜、半導体層、及びトンネル絶縁膜と同じ材料構成で層が形成されるので、層間の密着性の向上や、各層の信頼性の向上や、製造工程の簡略化等が容易に実現されると考えられる。
<下地層>
下地層は、基板と、基板上に設けられる電極(ソース電極及びドレイン電極、またはゲート電極)等の各層と、を絶縁する特性を有する層である。
この下地層としては、絶縁性を有する層であればよく、下地層の構成材料としては、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、及び酸化ガリウム等を含む構成が挙げられる。
これらの中でも、密着性の観点から、下地層についても、酸化ガリウムを含む層であることが好ましい。
下地層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムにおけるガリウム(Ga)及び酸素(O)の原子数を、それぞれLGa及びLとしたときL/LGaの値が1.3以上1.5以下であることが好ましく、1.4以上1.5以下がより好ましく、1.5が最も好ましい。L/LGaの値が上記範囲であることにより、良好な絶縁層となると考えられる。
また、下地層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、下地層に含まれる酸化ガリウムは、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の他に、第3の元素として水素(H)を含む、水素含有酸化ガリウムであることが好ましい。
なお、下地層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、この酸化ガリウムに含まれる水素(H)の好ましい量は、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
また下地層に含まれる酸化ガリウムには、炭素(C)が含まれていてもよい。下地層の酸化ガリウムに含まれる炭素(C)の好ましい量も、中間絶縁膜の酸化ガリウムにおける場合と同様である。
また、下地層が、酸化ガリウムを含む層である場合には、この下地層の組成、厚み方向における組成分布、厚み方向における酸素の濃度分布、元素含有量の測定方法、結晶性についても上記中間絶縁膜の場合と同様である。
下地層の厚みとしては、下地層としての上述した特性を満たす厚みであればよく、下地層の組成等によっても異なるが、例えば、10nm以上10μm以下の範囲が挙げられる。
<電極>
上述したソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極は、導電性(電気抵抗率1×10−4Ω・cm以下)であり、電極としての特性を有する。
これらのソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極に用いられる電極材料は、特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、金属、金属酸化物、導電性高分子等が使用される。
金属としてはマグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、クロム、タンタル、インジウム、パラジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。
金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化膜があげられる。
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリピリジン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等があげられる。
<基板>
本実施の形態の不揮発性記憶素子に用いられる基板としては、リン等を高濃度にドープしたシリコン単結晶やガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂等のプラスチック基板等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特に、電子ペーパー又はデジタルペーパーや携帯電子機器等の可撓性を求められる電子機器に用いられる電子回路に、本実施の形態の不揮発性記憶素子を適用する場合には、基板としては、可撓性を有する基板を用いることが望ましい。可撓性を有する基板とは、具体的には、曲げ弾性率が1000MPa以上、好ましくは曲げ弾性率が5000MPa以上の基板であることを示す。不揮発性記憶素子の基板として、このような可撓性を有する基板を用いることで、不揮発性記憶素子が、可撓性を要求される表示素子の駆動回路や電子回路に適用される。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子の製造方法を説明する。
本実施の形態の不揮発性記憶素子は、製造対象の不揮発性記憶素子の構成に応じて、基板上に、上述したソース電極、ドレイン電極、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、中間絶縁膜、及びゲート電極を設けることによって作製される。
なお、以下では、一例として、図1に示す構成の不揮発性記憶素子(図1の不揮発性記憶素子10参照)を作製する場合を説明するが、図2に示す構成の不揮発性記憶素子10Aについても、各層の形成順序を変更するのみで、同じ方法を用いて作製される。
<基板、下地層、ソース電極、ドレイン電極の形成>
まず、基板上に、下地層、ソース電極及びドレイン電極を形成する。
この下地層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法が用いられる。なお、下地層を、酸化ガリウムを含む層とする場合には、後述する中間絶縁膜と同じ製法で作製すればよい。なお、下地層を、酸化ガリウムを含む層とした場合の該下地層の作製方法については、下地層特有の上述した特性の実現される組成比や厚みとなるように、成膜時のガスの流量や成膜時間を調整する以外は、後述する中間絶縁膜の製造方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
ソース電極及びドレイン電極の形成方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法が用いられる。これらの電極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、キャスト法、スピンコート法、浸漬塗布法、LB法、インクジェット法、バーコート法、ナノインプリンティング法などが挙げられる。さらに具体的には、例えば、上記の電極材料を、蒸着法やスパッタ等の公知の薄膜形成方法を用いて作製した薄膜を、公知のフォトリソグラフィー法やリフトオフ法を利用して形成する方法、インクジェット等によりレジストを用いて所望のパターン(電極形状)にエッチングする方法、アルミニウムなどの電極材料を直接熱転写する方法等が挙げられる。また、電極材料として導電性高分子を用いる場合には、例えば、これを溶媒に溶解させ、インクジェット等によりパターニングする方法も挙げられる。
<半導体層の形成>
次に、基板、下地層、ソース電極及びドレイン電極の積層体上に半導体層を形成する。本実施の形態の不揮発性記憶素子における半導体層は、上述のように、酸化ガリウムを含む。
この酸化ガリウムを含む半導体層の作製方法としては、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法等が挙げられ、これらの中でも、リモートプラズマ有機金属化学堆積法を用いることが好ましい。
なお、半導体層の作製方法としては、活性化手段によって、酸素を含む物質を活性種とし、この酸素を含む物質の活性種と、活性化していないガリウム(Ga)を含む有機金属化合物とを反応させることにより、半導体層を形成する方法を用いることが好ましい。なお、上記「活性化手段」とは、反応に必要なエネルギー状態又は励起状態に活性化するための各種部材を示している。
これにより、半導体層を形成する対象の基材に熱的な損傷を与えることなく、上述した特性を有する半導体層が形成される。
なお、本実施の形態においては、基材とは、基板と、各膜や層を形成するときに該基板上に既に形成されている各膜や電極等と、の積層体を示す。このため、不揮発性記憶素子が図1に示す構成の不揮発性記憶素子10である場合には、基材とは、基板30、下地層32、ソース電極34S及びドレイン電極34Dの積層体を示す。
ここで、上記酸素を含む物質の活性種と、活性化していないガリウム(Ga)を含む有機金属化合物と、の反応は、例えば、反応室(成膜室)内に、半導体層を形成する対象の基材を配置し、この基材の配置された反応室内に、酸素を含む物質、Ga原子を含む有機金属化合物、又はこれらを気化したガスを供給しつつ、反応を終えたガスを反応室から排気しながら行なわれる。この反応室内において、Gaを含む有機金属化合物またはこれらを気化したガスは、活性化手段より下流側に導入されることが好ましい。すなわち、半導体層は、これらの活性化した酸素と、活性化していないGaを含む有機金属化合物と、を酸素及び水素の少なくとも一方を含む雰囲気下にて反応させる工程を経て形成されることが好ましい。
半導体層の成膜工程における、基材表面の最高温度は、100℃以下であることが好ましく、40℃以下であることがより好ましく、常温(25℃)であることが特に好ましい。この半導体層の成膜工程における基材表面の最高温度が100℃以下であると、基材の変形が抑えられ、基材に含まれる有機材料の分解等の抑制によりその物性が良好に保たれると考えられる。このため、不揮発性記憶素子の基板として、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEDOT(ポリエチレンテレフタレート)や、PSS(ポリスチレンスルホン酸)等の熱により変形しやすい材料を用いた場合であっても、低温(100℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは常温)で半導体層が形成され、半導体層の形成時における基板の変形や変性が抑制されると考えられる。
以下、リモートプラズマ有機金属化学堆積法を用いた半導体層の作製方法について図3を参照して詳細に説明する。図3は、成膜装置の一例を示す概略構成図であり、図3(A)は、成膜装置を側面から見た場合の概略断面図であり、図3(B)は、図3(A)中のA1−A2線断面図である。
成膜装置50は、図3に示すように、成膜室25、排気口11、基材回転部12、基材ホルダー13、基材14、ガス導入管15、シャワーノズル16、プラズマ拡散部17、高周波電力供給部18、平板電極19、ガス導入管20、及び高周波放電管部21を含んで構成されている。
図3に示す成膜装置50において、成膜室25の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口11が設けられており、成膜室25の排気口11が設けられた側と反対側には、高周波電力供給部18、平板電極19、及び高周波放電管部21から構成されたプラズマ発生装置18Aが設けられている。
このプラズマ発生装置18Aは、高周波放電管部21と、高周波放電管部21内に配置され、放電面が排気口11側に設けられた平板電極19と、高周波放電管部21外に配置され、平板電極19の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部18とから構成されている。なお、高周波放電管部21には、高周波放電管部21内にガスを供給するためのガス導入管20の一端が接続されており、このガス導入管20の他端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、成膜装置50に設けられたプラズマ発生装置18Aに代えて、図4に示すプラズマ発生装置18Bを用いてもよい。この場合、プラズマ発生装置18Bを、高周波コイル22、石英管23、及びガス導入管20を含んだ構成とすればよい。と同様である。高周波コイル22は、石英管23の外周面沿って巻き付けられており、石英管23の一端には成膜室25(図4中は不図示)が接続されている。また、石英管23の他端には、石英管23内にガスを導入するためのガス導入管20が接続されている。
平板電極19の放電面側には、図3に示すように、放電面と平行な棒状のシャワーノズル16が接続されており、シャワーノズル16の一端はガス導入管15に接続され、このガス導入管15は成膜室25外に設けられた不図示の第2のガス供給源に接続されている。
また、成膜室25内には、基材回転部12が設けられており、円筒状の基材14が、シャワーノズルの長手方向と基材14の軸方向とが平行に対面するように基材ホルダー13を介して基材回転部12に取り付けられるようになっている。成膜に際しては、基材回転部12が回転することによって、基材14が周方向に回転する。なお、図3には、基材ホルダー13の外周面に基材14を曲げて筒状にした状態で設置した場合を示したが、基材ホルダー13の代わりに平板状の基材を固定する基材ホルダーを用いて、基材14を曲げずに平板状にして設置してもよい。成膜に際しては、基材回転部12の回転に伴って、基材回転部12に固定された基材14が周方向に回転し、基材14の外周に半導体層が形成される。なお、半導体層に特定の形状を持たせる場合には、当該形状の開口を有するマスクで覆って成膜してもよいし、全面を成膜した後にエッチング等により当該形状をパターニングしてもよい。
半導体層の形成は、上記の成膜装置50を用いて、例えば以下のように実施される。
まず、HガスとHeガスと酸素ガスとをガス導入管20から高周波放電管部21内に導入すると共に、高周波電力供給部18から平板電極19に13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極19の放電面側から排気口11側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部17が形成される。ここで、ガス導入管20から導入された3種類のガスは、成膜室25を平板電極19側から排気口11側へと流れる。平板電極19は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
次に、水素をキャリアガスとして用いて希釈したトリメチルガリウムガスをガス導入管15、活性化手段である平板電極19の下流側に位置するシャワーノズル16を介して成膜室25に導入することによって、基材14の表面に、酸化ガリウムを含む半導体層が成膜される。
この成膜時における各ガスの流量や成膜時間を調整することで、成膜される半導体層に含まれる酸化ガリウムにおける酸素とガリウムとの原子数比や、酸素、ガリウム、水素、及び炭素等の含有量や、厚み等が容易に調整される。
なお、この、半導体層の成膜時には、上述したように、基材14の表面温度は、100℃以下が好ましく、40℃以下が好ましく、常温または常温に近い温度であることが特に好ましい。
なお、基材14の表面温度を上記範囲に調整する方法としては、不図示の加熱装置及び/または冷却装置を成膜装置50に設けて、これらの装置によって基材14の表面温度を調整すればよい。なお、基材14を冷却する冷却装置としては、基材14の内側に冷却用の気体又は液体を循環させる装置が挙げられる。
なお、成膜時の放電によって基材14の表面温度が上昇する場合があるので、基材14の表面温度を測定する不図示の温度測定装置を成膜装置50に設けて、この温度測定装置による温度測定結果に基づいて、上記冷却装置によって基材14の表面温度を制御すればよい。なお、成膜時の放電による基材14の表面温度の上昇を抑制する方法としては、基材14の表面に当たる高エネルギーの気体流を調節する方法を用いてもよい。この気体流の調整方法としては、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する方法が挙げられる。なお、基材14の表面温度の調整は、これらの調整方法を組み合わせて用いてもよい。
Gaを含むガスとしては、例えば、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等を含むガスが用いられる。また、これらのガスは、2種以上混合してもよい。
なお、Gaの供給材料として酸素原子を含む有機金属化合物を用い、Gaと酸素とを主に含むGaO膜を形成する場合、成膜室25内には活性水素が存在することが好ましい。活性水素は、キャリアガスとして使用する水素ガスや有機金属化合物に含まれる水素原子から供給されるものでもよい。また、キャリアガスとして、ヘリウムなどの希ガスや水素を組み合わせて用いれば、ヘリウムなどの希ガスと水素とによる基材14の表面で成長する膜のエッチング効果により、100℃以下の低温でも、高温成長時と同等の水素の少ない非晶質のGaと酸素の化合物が形成される。
上述した方法により、活性化された水素、酸素、希ガス、及びGaが基材14の表面近傍に存在し、さらに活性化された希ガスや水素が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。それゆえ、基材14の表面には、水素含有量が少なく、酸素とGaが三次元的な結合を構成する硬質膜の半導体層が低温で形成される。
なお、本実施の形態では、成膜装置50のプラズマ発生手段としては、高周波発振装置を用いたものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いたり、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いたりしてもよい。また、高周波発振装置をプラズマ発生手段として用いる場合には、誘導型であっても容量型であってもよい。
さらに、これらの装置を2種以上組み合わせて用いてもよく、あるいは同種の装置を2つ以上用いてもよい。なお、プラズマの照射によって基材14表面の温度が上昇しないためには、高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を防止する装置を別途設けてもよい。
なお、2種以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起されるようにすることが好ましい。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けてもよい。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基材14の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図3に示す成膜装置を例に挙げると、シャワーノズル16を電極として成膜室25内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用される。この場合、ガス導入管15を介して、シャワーノズル16に高周波電圧を印加して、シャワーノズル16を電極として成膜室25内に放電を起こさせる。あるいは、シャワーノズル16を電極として利用する代わりに、成膜室25内の基材14とプラズマ発生領域である平板電極19とに挟まれた位置に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して成膜室25内に放電を起こさせてもよい。
また、異なる2種のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーが大きく変わり、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧で行なってもよい。大気圧で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
ここで、下地層を、酸化ガリウムを含む層とした場合には、下地層及び半導体層は、これらの層の接する領域の界面の密着性が従来に比べて良好となると考えられる。
<トンネル絶縁膜の形成>
次に、上記半導体層上に、トンネル絶縁膜を形成する。
ここで、本実施の形態の不揮発性記憶素子におけるトンネル絶縁膜は、上述のように、酸化ガリウムを含む層である。このため、トンネル絶縁膜は、上述した半導体層と同じ製造方法を用いて作製される。なお、トンネル絶縁膜の詳細な製造方法については、上記半導体層の製造方法と同様であるため説明を省略する。
ただし、トンネル絶縁膜の作製時に用いられる基材14としては、基板上に、下地層、ソース電極とドレイン電極、及び半導体層がこの順に積層された積層体を用いればよい。
また、トンネル絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおける酸素とガリウムとの原子数比や、酸素、ガリウム、水素、及び炭素等の含有量や、厚み等は、成膜時の各ガスの流量や成膜時間を調整することによって容易に調整される。
このため、本実施の形態の不揮発性記憶素子においては、半導体層とトンネル絶縁膜とは同じ成膜室内で、成膜時の各ガスの流量を調整することで連続して形成されることから、これらの界面の密着性が従来に比べて良好となると考えられる。また、半導体層とトンネル絶縁膜との電荷のやりとりも良好となると考えられることから、不揮発性記憶素子の信頼性向上や動作安定性向上にもつながると考えられる。
<電荷蓄積層の形成>
次に、トンネル絶縁膜上に電荷蓄積層を形成する。
この電荷蓄積層の形成方法としては、従来公知の形成方法を用いればよいが、電荷蓄積層を、酸化ガリウムを含む層とする場合には、上述した半導体層と同じ製造方法を用いて作製すればよい。なお、この場合の電荷蓄積層の詳細な製造方法については、上記半導体層の製造方法と同様であるため説明を省略する。
ただし、電荷蓄積層の作製時に用いられる基材14としては、基板上に、下地層、ソース電極とドレイン電極、半導体層、及びトンネル絶縁膜がこの順に積層された積層体を用いればよい。
また、電荷蓄積層に含まれる酸化ガリウムにおける酸素とガリウムとの原子数比や、酸素、ガリウム、水素、及び炭素等の含有量や、厚み等は、成膜時の各ガスの流量や成膜時間を調整することによって容易に調整される。
電荷蓄積層を、酸化ガリウムを含む層とすれば、半導体層とトンネル絶縁膜と電荷蓄積層とが、同じ成膜室内で、成膜時の各ガスの流量や成膜時間を調整することで形成されるため、こられの層の界面の密着性が更に良好となると考えられ、不揮発性記憶素子の更なる信頼性向上や動作安定性向上にもつながると考えられる。
<中間絶縁膜の形成>
次に、上記電荷蓄積層上に、中間絶縁膜を形成する。
ここで、本実施の形態の不揮発性記憶素子における、中間絶縁膜は、上述のように、酸化ガリウムを含む層である。このため、中間絶縁膜は、上述した半導体層と同じ製造方法を用いて作製される。なお、中間絶縁膜の詳細な製造方法については、上記半導体層の製造方法と同様であるため説明を省略する。
ただし、中間絶縁膜の作製時に用いられる基材14としては、基板上に、下地層、ソース電極とドレイン電極、半導体層、及び電荷蓄積層がこの順に積層された積層体を用いればよい。
また、中間絶縁膜に含まれる酸化ガリウムにおける酸素とガリウムとの原子数比や、酸素、ガリウム、水素、及び炭素等の含有量や、厚み等は、成膜時の各ガスの流量や成膜時間を調整することによって容易に調整される。
このため、本実施の形態の不揮発性記憶素子においては、半導体層と、トンネル絶縁膜と、酸化ガリウムを含む層とした場合の電荷蓄積層と、中間絶縁膜とは、同じ成膜室内で成膜時の各ガスの流量や成膜時間等を調整することで連続して形成され、これらの層及び膜の界面の密着性が従来に比べて良好となると考えられる。また、不揮発性記憶素子の信頼性向上にもつながると考えられる。
<ゲート電極の形成>
次に、中間絶縁膜上に、ゲート電極を形成する。このゲート電極は、上述したソース電極及びドレイン電極と同じ製造方法を用いて作製されるため、詳細な説明を省略する。
以上の工程を経ることによって、本実施の形態の不揮発性記憶素子が作製される。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<不揮発性記憶素子の作製>
基板として厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラー)を用意した。
―下地層の形成―
この基板上に下地層を成膜した。なお、下地層の成膜は、図3に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、成膜装置の成膜室25内の基材ホルダー13に基板を載せ固定した。
次に排気口11を介して成膜室25内を、圧力が0.1Paになるまで真空排気した。次に、Heガスと水素ガスと酸素ガスとを混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの平板電極19が設けられた高周波放電管部21内に、450sccmの混合ガス(水素ガス200sccm、Heガス150sccm,5%He希釈酸素ガス100sccm)を導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図3中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力80Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入管15を介してシャワーノズル16から成膜室25内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が4sccmとなるように導入した。さらにHeガスをキャリアガスとした酸素ガスを1.5sccmで導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室25内の反応圧力は40Paであった。この条件で35分間成膜することにより、厚み0.13μmの、水素を含むGaO膜を下地層として形成した。
―ソース電極及びドレイン電極の形成―
上記に成膜した下地層上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、メタルマスクを用いて、ソース電極及びドレイン電極を金で形成した。形成されたソース電極及びドレイン電極の厚みは0.1μmであった。またこれらの電極のチャネル長、及びチャネル幅はそれぞれ、50μm、500μmであった。
―半導体層の形成―
次に、半導体層を形成した。なお、半導体層の成膜は、図3に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
この半導体層の成膜は、原料ガスの流量及び成膜時間を以下の条件とした以外は、下地層と同じ条件で行った。
具体的には、高周波放電管部21内に450sccmの混合ガス(水素ガス200sccm、Heガス150sccm,5%He希釈酸素ガス100sccm)を導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図3中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力80Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入管15を介してシャワーノズル16から成膜室25内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が4sccmとなるように導入した。さらにHeガスをキャリアガスとした酸素ガスを0.5sccmで導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室25内の反応圧力は40Paであった。そして、20分間成膜することにより、厚み0.05μmの、水素を含むGaO膜を半導体層として形成した。
―トンネル絶縁膜の形成―
次に、上記半導体層の成膜に連続してトンネル絶縁膜の形成を行った。
このトンネル絶縁膜の成膜は、下地層における成膜時間(35分間)を、3分間とした以外は、下地層と同じ条件で行った。これにより、厚み11nmの、水素を含むGaO膜をトンネル絶縁膜として形成した。
―電荷蓄積層の形成―
次に、上記トンネル絶縁膜の成膜に連続して電荷蓄積層の形成を行った。
この電荷蓄積層の形成は、半導体層と同じ成膜条件で行った。これによって、厚み0.05μmの、水素を含むGaO膜を、電荷蓄積層として形成した。
―中間絶縁膜―
次に、上記電荷蓄積層の成膜に連続して中間絶縁膜の形成を行った。
この中間絶縁膜の成膜は、下地層における成膜時間(35分間)を、8分間とした以外は、下地層と同じ成膜条件で行った。これにより、厚み30nmの、水素を含むGaO膜を中間絶縁膜として形成した。
―ゲート電極の形成―
上記に成膜した中間絶縁膜上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、ゲート電極を金で形成した。形成されたゲート電極の厚みは0.1μmであった。
―不揮発性記憶素子1の形成―
上述の工程を経て形成された、基板、下地層、ソース電極及びドレイン電極、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、中間絶縁膜、及びゲート電極の積層体を、反応性イオンエッチングを用いて、複数の不揮発性記憶素子に分離した。これによって不揮発性記憶素子1を作製した。
なお、下地層、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の成膜に際しては、加熱は行わなかった。また、Alパイプに貼り付けておいたサーモテープの色を、成膜後に確認したところ、40℃であった。これは、各層の成膜時における基材表面の最高温度が、40℃であったことを意味する。
<中間絶縁膜、半導体層、トンネル絶縁膜、及び電荷蓄積層の分析・評価>
―組成分析―
上記の、中間絶縁膜、半導体層、トンネル絶縁膜、及び電荷蓄積層をPETフィルム(基板)へ成膜する際、それぞれ同時にSi基板へも成膜し、各々のサンプル膜(中間絶縁膜サンプル膜、半導体層サンプル膜、トンネル絶縁膜サンプル膜、及び電荷蓄積層サンプル膜)を形成した。これらの中間絶縁膜サンプル膜、半導体層サンプル膜、トンネル絶縁膜サンプル膜、及び電荷蓄積層サンプル膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、いずれも微小のGa−H結合、Ga−O結合に起因するピークが確認された。これらのことから、中間絶縁膜サンプル膜、半導体層サンプル膜、トンネル絶縁膜サンプル膜、及び電荷蓄積層サンプル膜には、ガリウムと酸素と水素とが含まれていることがわかった。
中間絶縁膜サンプル膜、半導体層サンプル膜、トンネル絶縁膜サンプル膜、及び電荷蓄積層サンプル膜のRHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像には、いずれもハローパターンのみが見え、膜は非晶質膜であることがわかった。
Si基板上に形成された、中間絶縁膜サンプル膜及びトンネル絶縁膜サンプル膜の組成をラザフォード・バック・スキャタリングとハイドロジェン・フォワードスキヤタリングを用いて測定した。その結果、ガリウムと酸素と水素がそれぞれ33.3、50.0、16.7原子%であることが分った。ガリウムと酸素の原子数比は1:1.5となる。すなわち、I/IGa及びT/TGaの値は1.5であった。
また、酸素は膜全体に分布しており、炭素は検出されなかった。この結果、中間絶縁膜及びトンネル絶縁膜サンプル膜は、非晶質膜で、水素を含んだ膜であることが分った。
Si基板上に作製された半導体層サンプル膜及び電荷蓄積層サンプル膜も同様で、各元素(ガリウムと酸素と水素)の比は、36.3、43.6、17.6原子%であることが分った。また、残りの2.5原子%は炭素であった。ガリウムと酸素の原子数比は1:1.2となる。すなわち、S/SGa及びF/FGaの値は1.2であった。
―比誘電率―
中間絶縁膜サンプル膜及びトンネル絶縁膜サンプル膜の比誘電率を、JISC2317に準じて測定した。具体的には、インピーダンスアナライザ126(Solartron社製)を用い、周波数10Hzの交流電圧100Vを印加して比誘電率を測定したところ、これらの中間絶縁膜サンプル膜及びトンネル絶縁膜サンプル膜の比誘電率は10であることが確認された。
―電気伝導性―
中間絶縁膜サンプル膜及びトンネル絶縁膜サンプル膜の電気抵抗率の測定は半導体パラメータアナライザ(アジレント製、HP4156B)およびプローバーを用いて求めた。電気抵抗率は、1×1013Ω・cmであることが確認された。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
JIS D0202−1988に準拠した碁盤目テープ剥離試験により、密着性を評価した。
上述した不揮発性記憶素子1の作製工程において、基板上に設けられた下地層上に半導体層を成膜した後に、表面に幅2mm間隔に5×5のマス目となるように縦横それぞれ6本の切り込みを入れた。この上にセロテープ(登録商標)を貼り付け、90度の角度で急激に剥離した。密着性評価の判定は25マスの内、剥離しないマス目の数で表し、半導体層が全く剥離しない場合を25/25、完全に剥離する場合を0/25として表したところ、本実施例における半導体層では、基板側の層に対する密着性評価値は25/25となり、良好な密着性が確認された。
同様にして、上述した不揮発性記憶素子1の作製工程において、半導体層上にトンネル絶縁膜を成膜した後、該トンネル絶縁膜上に中間絶縁膜を成膜した後の各々のサンプルについて、表面に幅2mm間隔に5×5のマス目となるように縦横それぞれ6本の切り込みを入れた。この上にセロテープ(登録商標)を貼り付け、90度の角度で急激に剥離した。そして、上記下地層と同様にして密着性評価を行ったところ、本実施例におけるトンネル絶縁膜及び中間絶縁膜の何れにおいても、密着性評価値は25/25となり、基板側の層との良好な密着性が確認された。
<不揮発性記憶素子1の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した不揮発性記憶素子1に、半導体パラメータアナライザ(アジレント製、HP4156B)およびプローバーを用いて、データの書込及び消去を行い、データの書込及び消去を行う前における閾値電圧Vthと、データの書込及び消去を繰り返し行った後における閾値電圧Vthと、を比較することによって、不揮発性記憶素子1の動作安定性を評価した。
なお、不揮発性記憶素子1へのデータ書込時には、ソース電極及びドレイン電極の電極間に20Vの電圧(Vds)を印加し、ゲート電極及びソース電極の電極間にも20Vの電圧(Vgs)を印加した。これらの電圧印加によって、電荷蓄積層に電荷が注入されて蓄積され、データ書込が行われる。一方、データの消去時には、ゲート電極及びソース電極の電極間の電圧(Vds)として、負極の電圧を印加した。この電圧印加によって、電荷蓄積層に蓄積されていた電荷がゲート電極を介して放電され、データ消去が行われる。
まず、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の不揮発性記憶素子1について、閾値電圧Vthを測定したところ、0.5Vであった。
次に、この不揮発性記憶素子1について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子1の閾値電圧Vthを測定したところ5Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加した後に、再び不揮発性記憶素子1の閾値電圧Vthを測定したところ0.5Vであった。
このため、不揮発性記憶素子1の良好な動作安定性が確認された。
また、上記動作安定性の評価を行った不揮発性記憶素子1を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子1の閾値電圧Vthを測定したところ5Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び不揮発性記憶素子1の閾値電圧Vthを測定したところ0.5Vであった。
このため、不揮発性記憶素子1の良好な電荷保持性が確認された。
(実施例2)
<不揮発性記憶素子2の作製>
上記実施例1で作製した不揮発性記憶素子1において、電荷蓄積層を、下記方法により作製した以外は、実施例1における不揮発性記憶素子1と同じ条件で不揮発性記憶素子2を作製した。
→確認しました。
―電荷蓄積層の形成―
電荷蓄積層は、Al(アルミニウム)により作製した。作製法は、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、にAl(アルミニウム)蒸着を行うことで形成した。形成されたAl(アルミニウム)の厚みは20nmであった。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
実施例1と同様にして、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価値を求めたところ、半導体層の基板側の層に対する密着性評価値は25/25であり、トンネル絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値も25/25であり、良好な密着性が確認された。
一方、電荷蓄積層の基板側の層に対する密着性評価値は20/25であり、中間絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は20/25であった。
<不揮発性記憶素子2の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した不揮発性記憶素子2について、実施例1と同様にして、不揮発性記憶素子2の動作安定性を評価した。
データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の不揮発性記憶素子2について、閾値電圧Vthを測定したところ、0.5Vであった。
次に、この不揮発性記憶素子2について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子2の閾値電圧Vthを測定したところ4Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加した後に、再び不揮発性記憶素子2の閾値電圧Vthを測定したところ0.5Vであった。
このため、不揮発性記憶素子1よりは劣るものの、後述する比較例で作製した比較素子に比べて、不揮発性記憶素子2の良好な動作安定性が確認された。
また、上記動作安定性の評価を行った不揮発性記憶素子2を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子2の閾値電圧Vthを測定したところ3.8であった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び不揮発性記憶素子2の閾値電圧Vthを測定したところ0.7Vであった。
このため、不揮発性記憶素子1よりは劣るものの、後述する比較例で作製した比較素子に比べて、不揮発性記憶素子2の良好な電荷保持性が確認された。
(実施例3)
<不揮発性記憶素子3の作製>
上記実施例1で作製した不揮発性記憶素子1において、下地層を、下記方法により作製した以外は、実施例1における不揮発性記憶素子1と同じ条件で不揮発性記憶素子3を作製した。
―下地層の形成―
下地層は、窒化シリコン膜を用いた。作製法は、スパッタ装置(アルバック製スパッタ装置)により、窒化シリコン膜成膜を行うことで形成した。形成された窒化シリコン膜の厚みは150nmであった。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
実施例1と同様にして、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価値を求めたところ、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁層の各々の基板側の層に対する密着性評価値は何れも25/25であり、良好な密着性が確認された。
一方、半導体層の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であった。
<不揮発性記憶素子3の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した不揮発性記憶素子3について、実施例1と同様にして、不揮発性記憶素子3の動作安定性を評価した。
データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の不揮発性記憶素子3について、閾値電圧Vthを測定したところ、0.5Vであった。
次に、この不揮発性記憶素子3について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子3の閾値電圧Vthを測定したところ4.8Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び不揮発性記憶素子3の閾値電圧Vthを測定したところ0.5Vであった。
このため、後述する比較例で作製した比較素子に比べて、不揮発性記憶素子3の良好な動作安定性が確認された。
また、上記動作安定性の評価を行った不揮発性記憶素子3を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後の不揮発性記憶素子3の閾値電圧Vthを測定したところ4.8であった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び不揮発性記憶素子3の閾値電圧Vthを測定したところ0.5Vであった。
このため、後述する比較例で作製した比較素子に比べて、不揮発性記憶素子3の良好な電荷保持性が確認された。
(比較例1)
<比較素子1の作製>
基板として厚さ50μmのPENフィルム(帝人デュポンフィルム社製、テオネックス)を用意した。
―ゲート電極の形成―
上記基板上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、メタルマスクを用いて、基板上にAl(アルミニウム)蒸着を行うことで形成した。形成されたゲート電極の厚みは0.05μmであった。
―中間絶縁膜の形成―
次に、上記ゲート電極上に中間絶縁膜を形成した。
この中間絶縁膜の成膜は、上記ゲート電極上に、Oプラズマアッシングを行うことで4nmのAlOx膜を形成した後に、テトラデシルホスホン酸を溶かした2−プロパノール溶液に浸し、2nmの自己組織化単分子膜(SAM)を形成することによって行った。これによって、厚み6nmの中間絶縁膜を形成した。
―電荷蓄積層の形成―
次に、上記中間絶縁膜上に電荷蓄積層を形成した。
電荷蓄積層の形成は、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、Al(アルミニウム)を中間絶縁膜上に蒸着することにより形成した。形成された電荷蓄積層の厚みは15nmであった。
―トンネル絶縁膜の形成―
トンネル絶縁膜の成膜は、上記電荷蓄積層上に、Oプラズマアッシングを行うことで4nmのAlOx膜を形成した後に、テトラデシルホスホン酸を溶かした2−プロパノール溶液に浸し、2nmの自己組織化単分子膜(SAM)を形成することによって行った。これによって、厚み6nmのトンネル絶縁膜を形成した。
―半導体層の形成―
次に、半導体層を形成した。なお、半導体層の成膜は、ペンタセンを真空蒸着法(装置名:VPC−1100(真空機工(株)製)、条件:成膜レート:5〜8nm/s,圧力:1.3×10−4Pa)により成膜した。このときの厚みは50nmとした。
―ソース電極及びドレイン電極の形成―
上記半導体層上に、EB蒸着(昭和真空製EB蒸着装置)により、メタルマスクを用いて、ソース電極及びドレイン電極をAl(アルミニウム)蒸着により形成した。形成されたソース電極及びドレイン電極の厚みは0.1μmであった。またこれらの電極のチャネル長、及びチャネル幅はそれぞれ、50μm、500μmであった。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
実施例1と同様にして、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価値を求めたところ、半導体層の基板側の層に対する密着性評価値は0/25であり、トンネル絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は0/25であった。また、電荷蓄積層の基板側の層に対する密着性評価値は0/25であり、中間絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は0/25であった。
このように、何れの層においても、基板側の層に対する密着性は、実施例に比べて劣っていた。
<比較素子1の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した比較素子1について、実施例1と同様にして、比較素子1の動作安定性を評価した。
データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の比較素子1
について、閾値電圧Vthを測定したところ、1Vであった。
次に、この比較素子について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の比較素子1の閾値電圧Vthを測定したところ−1Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び比較素子1の閾値電圧Vthを測定したところ0Vであった。
このため、比較素子1は、不揮発性記憶素子としての動作はするものの、繰り返しの書込及び消去後の閾値電圧に変動がみられ、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて動作安定性に劣っていた。
また、上記動作安定性の評価を行った比較素子1を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後の比較素子1の閾値電圧Vthを測定したところ−0.5Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び比較素子1の閾値電圧Vthを測定したところ0Vであった。
このため、比較素子1は、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて電荷保持性に劣ることが確認された。
(比較例2)
<比較素子2の作製>
上記実施例1で作製した不揮発性記憶素子1において、トンネル絶縁膜を、下記方法により作製した以外は、実施例1における不揮発性記憶素子1と同じ条件で比較素子2を作製した。
―トンネル絶縁膜の形成―
トンネル絶縁膜を酸化シリコンで形成した。酸化シリコンは、スパッタ装置により成膜した。膜厚は20nm堆積した。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
実施例1と同様にして、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価値を求めたところ、半導体層の基板側の層に対する密着性評価値は25/25であり、トンネル絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であった。また、電荷蓄積層の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であり、中間絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であった。
このように、トンネル絶縁層と基板側の層に対する密着性は、実施例に比べて劣っていた。
<比較素子2の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した比較素子2について、実施例1と同様にして、比較素子2の動作安定性を評価した。
データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の比較素子2について、閾値電圧Vthを測定したところ、1Vであった。
次に、この比較素子2について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の比較素子2の閾値電圧Vthを測定したところ3Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び比較素子2の閾値電圧Vthを測定したところ1.5Vであった。
このため、比較素子2は、不揮発性記憶素子としての動作はするものの、繰り返しの書込及び消去後の閾値電圧に変動がみられ、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて動作安定性に劣っていた。
また、上記動作安定性の評価を行った比較素子2を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後に比較素子2の閾値電圧Vthを測定したところ2Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加した後に、再び比較素子2の閾値電圧Vthを測定したところ1Vであった。
このため、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて電荷保持性に劣ることが確認された。
(比較例3)
<比較素子2の作製>
上記実施例1で作製した不揮発性記憶素子1において、トンネル絶縁膜及び半導体層を、下記方法により作製した以外は、実施例1における不揮発性記憶素子1と同じ条件で比較素子2を作製した。
―トンネル絶縁膜の形成―
トンネル絶縁膜を酸化シリコンで形成した。酸化シリコンは、スパッタ装置により成膜した。膜厚は20nm堆積した。
―半導体層の形成―
半導体層を形成した。なお、半導体層の成膜は、ペンタセンを真空蒸着法(装置名:VPC−1100(真空機工(株)製)、条件:成膜レート:5〜8nm/s,圧力:1.3×10−4Pa)により成膜した。厚みは50nmとした。
−半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価−
実施例1と同様にして、半導体層、トンネル絶縁膜、電荷蓄積層、及び中間絶縁膜の密着性評価値を求めたところ、半導体層の基板側の層に対する密着性評価値は25/25であり、トンネル絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であった。また、電荷蓄積層の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であり、中間絶縁膜の基板側の層に対する密着性評価値は10/25であった。
このように、トンネル絶縁層と基板側の層に対する密着性は、実施例に比べて劣っていた。
<比較素子3の動作安定性及び電荷保持性の評価>
上記で作製した比較素子3について、実施例1と同様にして、比較素子3の動作安定性を評価した。
データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を行う前の比較素子3について、閾値電圧Vthを測定したところ、1Vであった。
次に、この比較素子3について、データ書込のための電圧印加及びデータ消去のための電圧印加を1サイクルとして1000サイクル連続して電圧印加を行った後に、データ書込のための電圧印加を行った後の比較素子3の閾値電圧Vthを測定したところ2Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加し、再び比較素子3の閾値電圧Vthを測定したところ1.5Vであった。
このため、比較素子3は、不揮発性記憶素子としての動作はするものの、繰り返しの書込及び消去後の閾値電圧に変動がみられ、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて動作安定性に劣っていた。
また、上記動作安定性の評価を行った比較素子3を、80℃90%RHの環境下に一ヶ月間放置した後に、データ書込のための電圧印加を行った後に比較素子3の閾値電圧Vthを測定したところ2Vであった。その後、データ消去のための電圧を印加した後に、再び比較素子3の閾値電圧Vthを測定したところ1Vであった。
このため、実施例で作製した不揮発性記憶素子に比べて電荷保持性に劣ることが確認された。
10,10A 不揮発性記憶素子、30 基板、34S ソース電極、34D ドレイン電極、36 半導体層、38 トンネル絶縁膜、40 電荷蓄積層、42 中間絶縁膜、44G ゲート電極

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、電荷蓄積層と、ゲート電極と、前記半導体層と前記電荷蓄積層との間に設けられたトンネル絶縁膜と、前記電荷蓄積層と前記ゲート電極との間に設けられた、中間絶縁膜と、
    を備え、
    前記中間絶縁膜、前記半導体層、及び前記トンネル絶縁膜が酸化ガリウムを含む、不揮発性記憶素子。
  2. 前記電荷蓄積層が、酸化ガリウムを含む請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
  3. 前記中間絶縁膜、前記半導体層、及び前記トンネル絶縁膜は、有機ガリウム化合物と活性化した酸素とを、酸素及び水素の少なくとも一方を含む雰囲気下にて100℃以下で反応させる工程を経て形成された、請求項1または請求項2に記載の不揮発性記憶素子。
  4. 前記電荷蓄積層が、有機ガリウム化合物と活性化した酸素とを、酸素及び水素の少なくとも一方を含む雰囲気下にて100℃以下で反応させる工程を経て形成された、請求項3に記載の不揮発性記憶素子。
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