JP2011256831A - 整流部材及び遠心圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る整流部材1は、気体Gが流動する流路31を備える吸気ダクト3と、流路31を介して気体Gが導入される吸気口23を備える遠心圧縮機2との間に設けられる整流部材であって、遠心圧縮機2に着脱自在に設けられ、吸気口23と連通する貫通孔部を備える台座部11と、貫通孔部の内周面に、周方向に並んで間隔を空けて配置される複数の整流板12とを有する、という構成を採用する。
【選択図】図1
Description
上記整流装置は、複数の可動板の向きを調整して、回転翼に導入される気体を上記軸周り方向で旋回させる。気体が旋回しつつ回転翼に導入されることで、少流量側での遠心圧縮機の作動域を拡大することができる。
以上のように、特許文献1に開示された整流装置は、遠心圧縮機の作動域を拡大させるためのものである。
遠心圧縮機には、気体が流動する流路を備える吸気ダクトが接続されているが、設置スペース等の関係から、この吸気ダクトが曲がりを有する場合がある。そして、吸気ダクト内の気体がこの曲がり部を通過することで、気体の流れに偏流や旋回流、剥離等が発生し、気体に圧力分布の偏りが生じる。この偏流や圧力分布の偏りが生じたまま気体が回転翼に導入されることで、遠心圧縮機の効率が低下していた。
ここで、特許文献1に開示された整流装置は、流動する気体を旋回させるためのものであり、上記偏流や圧力分布の偏りを積極的に解消することはできないという課題があった。
本発明に係る整流部材は、気体が流動する流路を備える吸気ダクトと、流路を介して気体が導入される吸気口を備える遠心圧縮機との間に設けられる整流部材であって、遠心圧縮機に着脱自在に設けられ、吸気口と連通する貫通孔部を備える台座部と、貫通孔部の内周面に、周方向に並んで間隔を空けて配置される複数の整流板とを有する、という構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、台座部が遠心圧縮機に着脱自在に設けられ、且つ複数の整流板が台座部に配置されていることから、整流部材は遠心圧縮機に着脱自在に設置されている。
また、吸気ダクトが曲がりを有し、この曲がりによって吸気ダクトの内周面近傍に気体の流動における偏流や旋回流、剥離、それらを原因とする圧力分布の偏りが生じた場合にも、台座部に複数の整流板が配置されているため、この整流板によって偏流や圧力分布の偏りが解消される。
このような構成を採用する本発明では、吸気ダクトが曲がりを有する場合には、この曲がりにより吸気ダクトの内周面近傍に略周方向での気体の流れが生じるが、この気体の流れを、貫通孔部の径方向と略平行する整流板、すなわち周方向と略直交する整流板が規制し、気体の流動における偏流や旋回流の発生が防止される。
このような構成を採用する本発明では、吸気ダクトが曲がりを有する場合に、その曲がり部の下流側近傍に整流板が突出して設けられることで、曲がりによって生じる気体の偏流や圧力分布の偏りを迅速に解消することが可能となる。また、整流板によって気体の流れは僅かに乱流化するが、整流板が遠心圧縮機の回転翼に向けて突出していないことで、整流板を通過した後に生じる気体の乱流が沈静化するための十分な間隔を確保することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、例えば気体の流量や流速が変化した場合に、周方向に関して偏流や圧力低下部分の生じる箇所が変化したとしても、整流板が全周に亘り配置されているため、上記偏流等を解消することが可能となる。
このような構成を採用する本発明では、回転翼と整流板との間における共振の発生が防止され、回転翼及び整流板の破損を防ぐことが可能となる。
H/D>0.1
を満たす、という構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、吸気ダクト内を流動する気体の偏流、いわゆるディストーションが整流部材を通過することで十分に除去される。
L/D>0.12
を満たす、という構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、吸気ダクト内を気体が周方向に旋回して流動する旋回流、いわゆるスワールが整流部材を通過することで十分に除去される。
H/S>0.8
を満たす、という構成を採用する。
このような構成を採用する本発明では、吸気ダクト内を気体が周方向に旋回して流動する旋回流、いわゆるスワールが整流部材を通過することで十分に除去される。
本発明によれば、遠心圧縮機に着脱自在に設けられる整流部材によって、気体の流動における偏流や圧力分布の偏り等が解消され、遠心圧縮機の効率を改善できるという効果がある。また、整流部材は遠心圧縮機に着脱自在であることから、吸気ダクトの仕様変更等に柔軟に対応できるという効果がある。
整流部材1は、気体Gを圧縮するコンプレッサ2(遠心圧縮機)と、コンプレッサ2に導入される気体Gが流動するダクト3(吸気ダクト)との間に設けられ、気体Gの流れを整えてその偏流や圧力分布の偏り等を解消するための部材である。なお、コンプレッサ2及びダクト3を最初に説明し、整流部材1の説明は後述する。
ダクト3は、コンプレッサ2に気体Gを供給するための略円筒状の管である。ダクト3の内部には、気体Gが流動する流路31が形成されている。また、ダクト3は曲がり部32と、接続部33とを有している。
曲がり部32は、ダクト3において曲がりが生じている箇所である。
接続部33は、ダクト3の一端部であって、不図示の接続ボルト等を用いて整流部材1及びコンプレッサ2と接続される箇所である。接続部33の開口部は後側から見たときに略円形に形成され、その内径は吸気口23の径と略同一に形成されている。なお、接続部33における内径を符号Dで表している。
図2は、本実施形態における整流部材1の構成を示す概略図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線視断面図、(c)は斜視図である。
図1に示すように、整流部材1は、コンプレッサ2とダクト3との間に設けられており、気体Gの流れを整えて、その偏流や圧力分布の偏り等を解消するための部材である。整流部材1は、台座部11と、複数のフィン12(整流板)とを有している。本実施形態における台座部11とフィン12とは、機械加工や鋳造等によって一体的に成形されている。なお、それぞれを別に成形し、台座部11に対してフィン12を接合する構成であってもよい。
第1孔部13は、台座部11の略中央部に設けられ且つコンプレッサ2の吸気口23と連通する略円形の孔部であって、吸気口23と略同一の径で形成されている。なお、第1孔部13は、ダクト3の流路31とも連通しており、接続部33における内径Dと略同一の径で形成されている。
第2孔部14は、台座部11をコンプレッサ2に接続するために用いられるものであって、コンプレッサ2と接続部33との接続に用いられる不図示の接続ボルト等が貫通できる位置及び径で形成されている。
複数のフィン12は、第1孔部13の中心軸方向で延在する略矩形の板部材であり、第1孔部13の内周面13aの全周に亘り、その周方向で並んで間隔を空けて配置されている。また、フィン12は、台座部11の板面から前方すなわちダクト3側に突出して設けられており(図1参照)、フィン12の前方側の端部はダクト3の曲がり部32に近接して設けられている。一方、フィン12の後方側の端部は、台座部11の板面と同一位置に設けられている。
また、フィン12は、第1孔部13の径方向と略平行する姿勢で設けられており、ダクト3の内周面近傍を周方向に沿って流れる気体Gを規制することができる。
フィン12の高さHは、ダクト3の形状により生じる吸気口23近傍での気体Gの圧力分布と、フィン12により生じる気体Gの流動に関する損失との関係に応じて設定されている。すなわち、気体Gの流動における偏流や圧力分布の偏り等を解消することによるコンプレッサ2の効率改善の程度と、フィン12を配置することにより生じる気体Gの流動に関する損失とを比較して、フィン12の高さHを設定することで、コンプレッサ2の効率を最大化することが可能となる。
まず、気体Gが、ダクト3の流路31内を、コンプレッサ2に向かって流動する。
ここで、ダクト3には曲がり部32が存在し、気体Gが曲がり部32近傍を流動することで、気体Gには偏流(いわゆるディストーション)、気体Gが周方向に旋回して流動する旋回流(いわゆるスワール)、剥離及びこれらを原因とする圧力分布の偏りが生じる。
一方、曲がり部32における曲がりの内側では、上流側からの気体Gが直進しようとするため、気体Gに剥離が発生する。また、この剥離を原因とする圧力分布の偏りも生じる。
また、フィン12は、ダクト3に向かって突出し、フィン12の先端部は曲がり部32の近傍に配置されているため、曲がり部32の曲がりの内側で生じる気体Gの剥離を解消することができる。よって、気体Gの剥離を原因とする圧力分布の偏りを解消することができる。
図3は、気体Gの流量とコンプレッサ2の効率との関係を示す図である。
図3において、実線は、吸気ダクトが直管である場合のコンプレッサ2の効率を示し、鎖線は、本実施形態における整流部材1を用いずにダクト3をコンプレッサ2と直接接続した場合のコンプレッサ2の効率を示し、一点鎖線は、本実施形態における整流部材1を介してダクト3をコンプレッサ2に接続した場合のコンプレッサ2の効率を示している。
図3に示すように、整流部材1をコンプレッサ2とダクト3との間に設置することで、曲がり部32を有するダクト3を直接にコンプレッサ2へ接続した場合に比べ、コンプレッサ2の効率を改善できることが判明した。
上述したように、フィン12は、ダクト3内を流動する気体Gに生じるディストーションやスワール等を除去する作用を有している。なお、フィン12の寸法(高さHや長さL等)を変化させることで、ディストーションやスワールの除去率及び整流部材1を通過する気体Gの圧力損失の値が変化する。そこで、ディストーションやスワールを十分に除去できるフィン12の設計指針を以下に説明する。また、ディストーションやスワールを除去することに加えて圧力損失を抑制できるフィン12の設計指針も説明する。
図4は、フィン12の高さHとダクト3の内径Dとの間の比を変化させたときの、気体Gにおけるディストーションの除去率の変化を示すグラフである。また、図5は、フィン12の高さHとダクト3の内径Dとの間の比を変化させたときの、気体Gが整流部材1を通過するときの圧力損失係数の変化を示すグラフである。
H/D>0.1 …(1)
を満たすことが望ましい。
H/D<0.16 …(2)
を満たすことが望ましい。
0.1<H/D<0.16 …(3)
を満たすことが望ましい。
さらに、ディストーションの除去率と圧力損失とのバランスから、フィン12の高さHが内径Dとの関係において、
0.1<H/D<0.12 …(4)
を満たすことが望ましい。
図6は、フィン12の長さLとダクト3の内径Dとの間の比を変化させたときの、気体Gにおけるスワールの除去率の変化を示すグラフである。また、図7は、フィン12の長さLとダクト3の内径Dとの間の比を変化させたときの、気体Gが整流部材1を通過するときの圧力損失係数の変化を示すグラフである。
L/D>0.12 …(5)
を満たすことが望ましい。
L/D<0.6 …(6)
を満たすことが望ましい。
0.12<L/D<0.6 …(7)
を満たすことが望ましい。
さらに、スワールの除去率と圧力損失とのバランスから、フィン12の長さLが内径Dとの関係において、
0.12<L/D<0.3 …(8)
を満たすことが望ましい。
図8は、フィン12の高さHとフィン間ピッチSとの間の比を変化させたときの、気体Gにおけるスワールの除去率の変化を示すグラフである。また、図9は、フィン12の高さHとフィン間ピッチSとの間の比を変化させたときの、気体Gが整流部材1を通過するときの圧力損失係数の変化を示すグラフである。
H/S>0.8 …(9)
を満たすことが望ましい。
H/S<1.3 …(10)
を満たすことが望ましい。
0.8<H/S<1.3 …(11)
を満たすことが望ましい。
H/S=1.0 …(12)
で取りうる最大の枚数とする。ただし、式(12)に基づいたフィン12の枚数と、インペラ翼24aの枚数とが同一である場合は、フィン12の枚数は、式(12)に基づいたフィン12の枚数を1枚増加又は減少させた枚数とする。これは、複数のフィン12とインペラ24との共振の発生を防ぐためである。
本実施形態によれば、コンプレッサ2に着脱自在に設けられる整流部材1によって、流動する気体Gにおけるディストーションやスワール、圧力分布の偏り等が解消され、コンプレッサ2の効率を改善できるという効果がある。また、整流部材1はコンプレッサ2に着脱自在であることから、ダクト3の仕様変更等に柔軟に対応できるという効果がある。
図10は、本実施形態に係る整流部材1の一変形例を示す概略図である。
図10に示す整流部材1Aは、フィン12が、第1孔部13の内周面13aに気体Gの流動特性に応じた分布に基づいて配置されている。すなわち、気体Gのディストーションや圧力低下が生じやすい箇所のみにフィン12を配置しており、効果的に上記ディストーション等を解消でき、且つフィン12の枚数を減らすことでフィン12により生じる流動に関する損失を低減させることができる。
また、気体Gのディストーションや圧力低下が生じやすい箇所には長さLを長くしたフィン12を配置し、それ以外の部分ではより短くしたフィン12を配置してもよい。すなわち、異なる長さLを有するフィン12を使用してもよい。
Claims (9)
- 気体が流動する流路を備える吸気ダクトと、前記流路を介して前記気体が導入される吸気口を備える遠心圧縮機との間に設けられる整流部材であって、
前記遠心圧縮機に着脱自在に設けられ、前記吸気口と連通する貫通孔部を備える台座部と、
前記貫通孔部の内周面に、周方向に並んで間隔を空けて配置される複数の整流板とを有することを特徴とする整流部材。 - 請求項1に記載の整流部材において、
前記整流板は、前記貫通孔部の径方向と略平行する姿勢で設けられていることを特徴とする整流部材。 - 請求項1又は2に記載の整流部材において、
前記整流板は、前記吸気ダクト側に向けて突出していることを特徴とする整流部材。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の整流部材において、
前記整流板は、前記貫通孔部の内周面に、全周に亘り配置されていることを特徴とする整流部材。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の整流部材において、
前記整流板の固有振動数は、前記遠心圧縮機における回転翼の固有振動数と異なる値に設定されていることを特徴とする整流部材。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載の整流部材において、
前記貫通孔部の径方向での前記整流板の高さをHとし、前記吸気ダクトの内径をDとすると、
H/D>0.1
を満たすことを特徴とする整流部材。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の整流部材において、
前記貫通孔部の貫通方向での前記整流板の長さをLとし、前記吸気ダクトの内径をDとすると、
L/D>0.12
を満たすことを特徴とする整流部材。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の整流部材において、
前記貫通孔部の径方向での前記整流板の高さをHとし、隣り合う前記整流板の内側端部の間における前記貫通孔部の中心軸線周りの円弧の長さをSとすると、
H/S>0.8
を満たすことを特徴とする整流部材。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の整流部材を有することを特徴とする遠心圧縮機。
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