JP2011255338A - 廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で、塩素を含有する廃棄物を処理する方法を提供する。
【解決手段】塩素を含む廃棄物を高温で分解脱塩し且つ乾燥する廃棄物の処理方法において、
廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を、反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、前記反応容器内で気化した塩素を該反応容器内の過熱水蒸気によって反応容器外に導出し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出することを特徴とする廃棄物の処理方法。
【選択図】なし
【解決手段】塩素を含む廃棄物を高温で分解脱塩し且つ乾燥する廃棄物の処理方法において、
廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を、反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、前記反応容器内で気化した塩素を該反応容器内の過熱水蒸気によって反応容器外に導出し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出することを特徴とする廃棄物の処理方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、塩素を含む廃棄物を処理する方法に関する。
生ゴミ、食品廃棄物、農業廃棄物、林産廃棄物等の有機性廃棄物を容器内に収容し、高温・高圧の水蒸気によって廃棄物を数十分間加熱(蒸煮)した後、容器内圧力を瞬間的に解放し、水の断熱膨張のエネルギーによって固体成分を粉砕(爆砕)する水蒸気爆砕(蒸煮爆砕)方式の廃棄物処理装置が知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、これらの方法では、多大な熱量が必要であるとともに、廃棄物中の塩素が残留してしまい、固形燃料として使用するには適さない。
しかしながら、これらの方法では、多大な熱量が必要であるとともに、廃棄物中の塩素が残留してしまい、固形燃料として使用するには適さない。
また、特許文献3には、有機性廃棄物を反応器内に導入し、2.3〜3.0MPaの圧力を有する飽和水蒸気を供給して処理することにより、固形燃料を得る方法が記載されている。しかしながら、この処理方法においても、高圧・高温が必要となり、それに対応した装置が必要となる。また、この処理方法では、分解された塩素が無機塩類として表面水として残存するため、固液分離による脱塩及び乾燥工程が必要となり、工程も煩雑になってしまう。
従って、本発明の目的は、簡便な方法で、塩素を含有する廃棄物を処理する方法を提供することにある。
本発明者らは、斯かる実情に鑑み、種々検討した結果、廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下の廃棄物を用い、過熱水蒸気で処理すれば、従来より少ないエネルギーで塩素を効率良く除去できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、塩素を含む廃棄物を高温で分解脱塩し且つ乾燥する廃棄物の処理方法において、
廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を、反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、前記反応容器内で気化した塩素を該反応容器内の過熱水蒸気によって反応容器外に導出し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出することを特徴とする廃棄物の処理方法を提供するものである。
廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を、反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、前記反応容器内で気化した塩素を該反応容器内の過熱水蒸気によって反応容器外に導出し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出することを特徴とする廃棄物の処理方法を提供するものである。
本発明によれば、従来より少ないエネルギーで塩素を含む廃棄物を分解し、塩素を効率良く除去することができ、常圧で連続処理することが可能である。また、乾燥工程を必要とせず、一工程で脱塩された固形燃料を得ることができ、プロセスを簡略化することができる。更に、粉砕性も良好である。
本発明で対象とする廃棄物は、塩素を含有するプラスチックを含むもので、例えば、医療ゴミ、廃プラ、建築廃棄物、廃自動車シュレッダーダスト、都市ゴミ等の廃棄物(これら廃棄物を加工したRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)なども含む)である。
これらのうち、本発明においては、廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を用いる。アルカリ量が3モル当量より多いと、塩素揮発が抑制されて無機塩として残存し、脱塩効率が低下してしまう。
従来、廃棄物中のアルカリ含有量が、廃棄物の脱塩挙動に影響することは知られていなかった。
これらのうち、本発明においては、廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を用いる。アルカリ量が3モル当量より多いと、塩素揮発が抑制されて無機塩として残存し、脱塩効率が低下してしまう。
従来、廃棄物中のアルカリ含有量が、廃棄物の脱塩挙動に影響することは知られていなかった。
なお、廃棄物中の全塩素濃度は、エシュカ法(JIS M8813「石炭類及びコークス類−元素分析方法」およびJIS Z7302−6「廃棄物固形化燃料−第6部:全塩素分試験方法」解説に記載の方法)により測定し、廃棄物中のアルカリ(Na、K、Mg、Ca)量を、蛍光X線においてファンダメンタルパラメーター法により測定した値を用い、アルカリの価数(例えば、Naは1モルでNaClとなり、1モルの塩素と、Caは1モルでCaCl2となり2モルの塩素と結合)を考慮して、モル当量を求める。
このような廃棄物を投入する反応容器の形状は特に限定されず、市販の様々な形状のものを用いることができる。例えば、バッチ式の反応容器のほか、連続的に処理する場合においては、コンベア型、ロータリーキルン型、多段型、ハドル型攪拌等の搬送機能のある反応容器が好ましい。
過熱水蒸気は、飽和水蒸気を発生させた後、過熱装置により飽和水蒸気を二次加熱することにより過熱水蒸気とし、反応容器に供給・排出される。飽和水蒸気を発生させる装置は特に限定されず、市販の水管ボイラ、丸ボイラ等を使用することができる。また、セメント製造工程等で発生する廃熱を用いて発生させる廃熱ボイラを用いても良い。過熱装置は飽和水蒸気が通過する管を外部より加熱することにより過熱水蒸気を発生させる装置であり、熱源は特に限定されず、燃料バーナー、高周波加熱等を用いたり、セメント製造工程等で発生する廃熱を用いても良い。
過熱水蒸気の温度は210〜350℃、特に235〜350℃のものが、熱分解による脱塩が十分に達成されるので好ましい。
従来の熱分解では、350℃以上の温度での処理が必要であったため、多大なエネルギーが必要であったが、本発明においては、これより低い温度での処理により、塩素を含む廃棄物を分解し、塩素を除去することが可能である。
過熱水蒸気の温度は210〜350℃、特に235〜350℃のものが、熱分解による脱塩が十分に達成されるので好ましい。
従来の熱分解では、350℃以上の温度での処理が必要であったため、多大なエネルギーが必要であったが、本発明においては、これより低い温度での処理により、塩素を含む廃棄物を分解し、塩素を除去することが可能である。
過熱水蒸気を得るための飽和水蒸気の温度は、一般的な低圧ボイラの100〜130℃程度が好ましく、二次加熱による過熱度は60〜250Kが好ましい。本発明の処理において、水分を含む廃棄物を処理した場合は乾燥効果も得られるため、より多くの水分を廃棄物から過熱水蒸気に移行させるには、過熱度が高いほど好ましい。
なお、過熱度とは、飽和水蒸気を二次加熱して所定の過熱水蒸気の温度まで上昇させる温度上昇分を示す。
なお、過熱度とは、飽和水蒸気を二次加熱して所定の過熱水蒸気の温度まで上昇させる温度上昇分を示す。
上記のような過熱水蒸気は、市販の過熱水蒸気装置を用いて供給することができる。
反応容器内において、廃棄物を過熱水蒸気で処理する時間は、10分以上、特に30分以上、更に60分以上であるのが好ましく、常圧で処理することができる。
用いる水蒸気の量は、反応槽の形状、充填率、処理する廃棄物の塩素含有量、含水率、性状等によって異なり、特に限定されないが、一例を挙げると、廃棄物1kg当り、180L/hrであるのが好ましい。
反応容器内において、廃棄物を過熱水蒸気で処理する時間は、10分以上、特に30分以上、更に60分以上であるのが好ましく、常圧で処理することができる。
用いる水蒸気の量は、反応槽の形状、充填率、処理する廃棄物の塩素含有量、含水率、性状等によって異なり、特に限定されないが、一例を挙げると、廃棄物1kg当り、180L/hrであるのが好ましい。
処理により、反応容器内で分解・気化した塩素は、過熱水蒸気とともに反応容器外に導出される。
排出された塩素を含む過熱水蒸気は、凝縮及び凝縮水の廃水処理(中和処理)等の工程により、無害化される。
排出された塩素を含む過熱水蒸気は、凝縮及び凝縮水の廃水処理(中和処理)等の工程により、無害化される。
一方、反応容器内に残留した固形分は、容器外に導出され、再生固形燃料として使用される。
この固形分は、本発明で対象とする、医療ゴミ、廃プラ、建築廃棄物、廃自動車シュレッダーダスト、都市ゴミ、RPF等の場合、塩素濃度が0.4質量%程度まで低減され、そのまま、固形燃料として利用可能なものである。
この固形分は、本発明で対象とする、医療ゴミ、廃プラ、建築廃棄物、廃自動車シュレッダーダスト、都市ゴミ、RPF等の場合、塩素濃度が0.4質量%程度まで低減され、そのまま、固形燃料として利用可能なものである。
本発明のように過熱水蒸気による処理では、乾燥効果もあるため、従来のように乾燥工程を必要とせず、一工程で脱塩された固形燃料を製造することができる。固形燃料において、乾燥工程は重要であるが、この工程を特別に設けなくても乾燥された固形燃料が得られることは非常に有利である。
また、廃棄物に含まれていた塩素は十分に除去されつつ、燃料となり得る他の化学成分(炭素、水素等)は、ほとんど除去されていないので、固形燃料として用いた際の総発熱量も高いものである。
また、廃棄物に含まれていた塩素は十分に除去されつつ、燃料となり得る他の化学成分(炭素、水素等)は、ほとんど除去されていないので、固形燃料として用いた際の総発熱量も高いものである。
また、本発明の処理により得られる固形分は、被粉砕性も良好なものである。
例えば、固形燃料をセメントキルンで好適に使用できる条件として、粒度が1.5mm以下の割合を90%以上とするのが好ましいが、本発明の処理物は、このような粒度に粉砕することが可能である。
例えば、固形燃料をセメントキルンで好適に使用できる条件として、粒度が1.5mm以下の割合を90%以上とするのが好ましいが、本発明の処理物は、このような粒度に粉砕することが可能である。
実施例1
表1に示す廃棄物について、図1に示す過熱水蒸気装置(サンケイエンジニアリング社製;装置の概要を以下に示す)を用い、以下の処理条件で処理を行った。
処理前後の廃棄物中の全塩素濃度を、エシュカ法(JIS M8813「石炭類及びコークス類−元素分析方法」およびJIS Z7302−6「廃棄物固形化燃料−第6部:全塩素分試験方法」解説に記載の方法)にて測定した。また、廃棄物中のアルカリ(Na、K、Mg、Ca)量を、蛍光X線においてファンダメンタルパラメーター法により測定した値を用い、アルカリの価数を考慮して、モル当量を求めた。
また、処理後に得られた処理物について、ボンブ法(JIS M8814「石炭類及びコークス類−ボンブ熱量計による総発熱量の測定方法及び真発熱量の計算方法」)にて総発熱量を測定した。
結果を表1に併せて示す。
表1に示す廃棄物について、図1に示す過熱水蒸気装置(サンケイエンジニアリング社製;装置の概要を以下に示す)を用い、以下の処理条件で処理を行った。
処理前後の廃棄物中の全塩素濃度を、エシュカ法(JIS M8813「石炭類及びコークス類−元素分析方法」およびJIS Z7302−6「廃棄物固形化燃料−第6部:全塩素分試験方法」解説に記載の方法)にて測定した。また、廃棄物中のアルカリ(Na、K、Mg、Ca)量を、蛍光X線においてファンダメンタルパラメーター法により測定した値を用い、アルカリの価数を考慮して、モル当量を求めた。
また、処理後に得られた処理物について、ボンブ法(JIS M8814「石炭類及びコークス類−ボンブ熱量計による総発熱量の測定方法及び真発熱量の計算方法」)にて総発熱量を測定した。
結果を表1に併せて示す。
(過熱水蒸気装置)
・バッチ式処理反応槽
・ステンレスメッシュ反応容器
・飽和水蒸気・過熱水蒸気連続生成
(IHヒーターにより、100℃の飽和水蒸気を連続して二次加熱し過熱水蒸気を生成)
(処理条件)
・廃棄物充填量:10g
・飽和水蒸気発生量:1.8kg/hr (100℃)
・過熱度:130K
・処理時間:90分間
・バッチ式処理反応槽
・ステンレスメッシュ反応容器
・飽和水蒸気・過熱水蒸気連続生成
(IHヒーターにより、100℃の飽和水蒸気を連続して二次加熱し過熱水蒸気を生成)
(処理条件)
・廃棄物充填量:10g
・飽和水蒸気発生量:1.8kg/hr (100℃)
・過熱度:130K
・処理時間:90分間
表1の結果より、廃棄物中の塩素に対するアルカリ量が3モル当量以下の廃棄物を用いた場合には、過熱水蒸気処理により、塩素濃度が0.4質量%以下に低減した。
また、本発明により処理して得られる処理物(実施例1〜5)は、総発熱量が高く、固形燃料として用いた場合には、燃料品位が良好なものである。
また、本発明により処理して得られる処理物(実施例1〜5)は、総発熱量が高く、固形燃料として用いた場合には、燃料品位が良好なものである。
Claims (4)
- 塩素を含む廃棄物を高温で分解脱塩し且つ乾燥する廃棄物の処理方法において、
廃棄物中のアルカリ量が、塩素量に対して3モル当量以下である廃棄物を、反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、前記反応容器内で気化した塩素を該反応容器内の過熱水蒸気によって反応容器外に導出し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出することを特徴とする廃棄物の処理方法。 - 過熱水蒸気の温度が210〜350℃である請求項1記載の処理方法。
- 過熱水蒸気の過熱度が60〜250Kである請求項1又は2記載の処理方法。
- 過熱水蒸気の処理時間が10分以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の処理方法。
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