JP2011254587A - 振動型駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動子の支持部に設けられた固定部からの振動エネルギーの消費を抑制し、出力及び効率の向上を図ることが可能となる振動型駆動装置を提供する。
【解決手段】少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と、電気−機械エネルギー変換素子が接合され接触部が形成された略矩形状の弾性振動体とを有し、接触部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
振動子の接触部と加圧接触し楕円運動によって相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
振動子は、略矩形状の弾性振動体におけるいずれか一方の対向する両側面側から対称形状に延出する支持部を有し、
支持部には、振動子を保持固定する振動子保持部と接合させるための固定部と、固定部と弾性振動体とを結合させるための連結部と、固定部の振動変位を抑制する振動変位抑制部と、が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波モータ等と称される振動型駆動装置に関する。
電気−機械変換素子を用いた振動子で被駆動体を駆動する振動型駆動装置として、例えば金属弾性部材から形成される振動板と圧電素子を接着等により一体化した振動子を用いるものがある(例えば特許文献1)。
この振動型駆動装置における振動子には、振動子の側方に延出するように2つの支持部が形成されている。
そして、この支持部には振動子を保持固定するための振動子保持部と接合させる固定部が設けられている。
特開2005−354787号公報
ところで、振動子を用いた振動型駆動装置の出力及び効率は、振動子に生じる振動エネルギーの被駆動体との相対運動への変換効率に依存する。
その際、振動子の振動エネルギーが消費される一因として、振動子に生じる振動エネルギーが被駆動体に伝達する際に、その振動エネルギーの一部が振動子の支持部に設けられた固定部に集中することによる場合がある。
すなわち、このような振動子の支持部に設けられた固定部からの振動エネルギーの消費量あるいは割合が、振動型駆動装置の性能に直接影響を及ぼすこととなる。
そのため、振動型駆動装置の性能の向上を図るためには、振動子の支持部に設けられた固定部からの振動エネルギーの消費を抑制することが必要となる。
本発明は、上記課題に鑑み、振動子の支持部に設けられた固定部からの振動エネルギーの消費を抑制し、出力及び効率の向上を図ることが可能となる振動型駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の振動型駆動装置は、少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合され接触部が形成された略矩形状の弾性振動体とを有し、前記接触部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の接触部と加圧接触し前記楕円運動によって相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記振動子は、前記略矩形状の弾性振動体におけるいずれか一方の対向する両側面側から対称形状に延出する支持部を有し、
前記支持部には、振動子を保持固定する振動子保持部と接合させるための固定部と、該固定部と弾性振動体とを結合させるための連結部と、該固定部の振動変位を抑制する振動変位抑制部と、
が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、振動子の支持部に設けられた固定部からの振動エネルギーの消費を抑制し、出力及び効率の向上を図ることが可能となる振動型駆動装置を実現することができる。
本発明の実施形態及び実施例1における振動型駆動装置の構成を説明する斜視図。 本発明の実施形態及び実施例1における振動型駆動装置の振動子の構成を説明する平面図。 本発明の実施例1における振動子の振動モードを表わす斜視図。 本発明の実施例1における別の形態による振動型駆動装置の構成例を説明する平面図。 本発明の実施例2における振動型駆動装置の振動板の構成を説明する平面図。 本発明の実施例2における振動子の振動モードを表わす斜視図。 本発明の振動変位抑制部を設けない振動体の振動モードを表わす斜視図。
本発明の実施形態における振動型駆動装置の構成例を、図1、図2を参照して説明する。
本実施形態の振動型駆動装置は、少なくとも電気−機械エネルギー変換素子13と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合され接触部12が形成された略矩形状の弾性振動体11とを有し、前記接触部12に楕円運動が生成可能に構成された振動子1を備える。
また、振動子1の接触部12と加圧接触し前記楕円運動によって相対移動する被駆動体3と、を備える。
振動子1は、前記略矩形状の弾性振動体11におけるいずれか一方の対向する両側面側から対称形状に延出する支持部を有している。
そして、支持部には、振動子1を保持固定する振動子保持部2と接合させるための固定部11−Bと、該固定部11−Bと弾性振動体11とを結合させるための連結部11−C、11−Dが形成されている。
さらに、固定部11−Bから弾性振動体11に向けて張り出された固定部の振動変位を抑制する振動変位抑制部(本発明においては張り出し部ともいう)11−Eが形成されている。
このような張り出し部11−Eとして、固定部に比して大きな振動変位を生じさせ、振動変位抑制部として機能する張り出し部を構成することによって、張り出し部11−Eに振動エネルギーを蓄えさせ、固定部11−Bへの振動エネルギーの集中を避けることができる。
このような構成とすることより、固定部の振動変位を抑制し、固定部からのエネルギーの消散を防ぐことが可能となる。
その際、連結部は対称面の法線方向に対して一定の角度が与えられていることが望ましい。これにより振動部と固定部とを連結する連結部の長さを稼ぐことができ、固定部への振動エネルギーの伝搬を更に低減することができる。
また、連結部の少なくとも一部は、固定部11−B及び張出し部11−Eより薄く形成されていることが望ましい。これにより、連結部の剛性を下げることができ、固定部への振動エネルギーの伝搬を更に低減することが可能となる。
また、前記楕円運動を生成するため、弾性振動体11に2つの異なる形状の面外曲げ振動モードを励振し、これら振動モードの合成振動により弾性振動体11の表面に設けた接触部を介して被駆動体との相対運動を行うように構成することが望ましい。これにより、特に振動形態に適応する支持部を形成することができ、薄型且つ小型で振動エネルギー効率に優れる振動子を実現することができる。
本発明において、振動変位抑制部(張り出し部)の形状、大きさ、質量については、他の振動特性、加工上、コスト上の問題がなければ特に制約はない。例えば、板状(方形、円形)、棒状、ブロック状の形状を採用することができる。また質量調整等を行う為に必要に応じて振動変位抑制部(張り出し部)に孔、又は溝を設けることもできる。
本発明において振動変位抑制部(張り出し部)は以下の手順により容易に設計することができる。
(1)接触部の振動変位量を測定する(振動子の振動変位の代表値として用いることで容易に振動変位抑制部の効果を確認することができるが、他の振動の基準となる個所の変位量を採用することもできる)。
(2)支持部の平均振動変位量を測定する。
(3)=(2)/(1)が小さくなるように振動変位抑制部(張り出し部)の大きさ、形状、質量を調整する。
振動変位量の測定方法としては、振動子に接触させずに測定できることが望ましく、レーザ振動計等を用いれば良い。
上記(3)の工程において(2)/(1)の値は理想的には0となるように設計することであるが、本発明者らの知見によれば、上記のように求めた(3)の値ではModeAの場合好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。同様にModeBの場合好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下である。また振動変位抑制部(張り出し部)の大きさ、形状、質量の調整方法は、張り出し部の切断、切削、穴あけ加工、或いは、接着、溶接等による質量体を増加させる加工を行うことによって調整することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明の振動型駆動装置の構成を適用した超音波モータの構成例を図1を用いて説明する。
本実施例の超音波モータ4は、図1に示すように主として、振動子1と、振動子1を保持固定するための振動子保持部2、振動子1に加圧接触状態で保持される被駆動体3とを備える。
超音波モータ4は、振動子1と外部との電気的な接続を行うフレキシブル基板、被駆動体3のガイド部材等を備えるが、これらの構成要素は公知であるのでそれらの詳細な説明は省略する。
被駆動体3は、磁石材料から成る角棒状の被駆動体基部31と、被駆動体基部31に接合され、高摩擦係数と摩擦耐久性を兼ね備える材料、及び本実施例では、表面を窒化処理したマルテンサイト系のSUS440Cから成る板状の摩擦部材32とを備える。
振動子1は、例えば厚さ0.3mmの強磁性のマルテンサイト系ステンレスであるSUS420J2の板材から加工される。
その一方の面における後述する2つの接触部12(図2)で被駆動体3の摩擦部材32が加圧接触する矩形平板状の弾性振動体11と、同様に矩形平板状である。弾性振動体11の他方の面に接着等で接合された例えば厚さ0.5mmの圧電素子板13(電気−機械エネルギー変換素子)とから成り、いわゆるユニモルフ構造をなす。
被駆動体基部31を構成する磁石材料は、弾性振動体11を構成する強磁性のSUS420J2と協働して磁気回路を形成する。
また、摩擦部材32は、振動子1に対する被駆動体3の加圧時に接触部12との間で摩擦力を発生する。
図2は、図1における振動子1の平面図である。
図2の振動子1において、弾性振動体11は略矩形の振動部11−Aを備える。また、振動子保持部2と接合して振動子1の保持固定を行う固定部11−B(図中網かけ部)、及び振動部11−Aと固定部11−Bとの結合を行う連結部11−C、11−D、及び振動変位抑制部である張り出し部11−Eが形成されている。
振動子1は図中XZ面に対して対称形状に形成されている。
超音波モータ4を動作させるには、圧電素子板13に交流電界を印加して、振動子1に2つの面外曲げモードを励振する。
図3に、このとき用いられる振動モードの形状を示す。
MODE−Aは、弾性振動体11に図中X方向に平行に2つの節が現れる面外曲げ一次モードである。
MODE−Bは弾性振動体11に図中Y方向に略平行に3つの節が現れる面外曲げ二次モードである。
これら二つのモードを重ね合わせることで接触部12の表面に楕円運動が発生し、接触部12と加圧接触している被駆動体3と振動子1との間に相対運動が発生する。
同様に、図7に本発明の振動変位抑制部である張り出し部を設けない振動子の振動モードの形状を示す。
超音波モータ4の出力や効率に対して、振動子1の2つの振動モードの変位量や振動時のエネルギー消費は、超音波モータ4の出力や効率に直接影響を及ぼす。
そのために、振動子1の固定方法は超音波モータ4の性能に対して重要な要件である。
具体的には図2に示した二つの振動モードにおいて固定部11−Bの振動変位が小さいことが求められる。
本実施例においてはMODE−Aの振動モード形状においての節位置近傍に連結部11−Dを形成して固定部11−Bの振動変位の増大を防いでいる。
しかし、MODE−Bにおける節位置はMODE−Aと異なる箇所であり、結果として連結部11−Dの振動変位は大きな状態である。
本実施例では、連結部11−Dの変位を固定部11−Bで抑えるように、支持部周辺の構成をつぎの(1)〜(4)のように構成する。
(1)連結部11−Dの曲げ剛性を下げるため、弾性振動体11の他の部位より板厚を薄く形成する。また、XZ面に対して角度をもって延出することにより長さを確保するように構成する。
(2)第2の連結部11−Cを固定部11−BよりX方向に幅を狭くし、Y方向に延出することで長さを確保し、曲げ剛性を下げるように構成する。
(3)第2の連結部11−Cは連結部11−Bとの結合箇所よりもY方向に延出し、この部分に変位を発生させることにより、振動エネルギーを蓄えさせて支持部11−Bの振動エネルギーの集中を避けるように構成する。
(4)支持部11−Bから振動部11−Aに向けて張り出し部11−Eを形成させ、この張り出し部11−Eに振動エネルギーを蓄えさせて支持部11−Bの振動エネルギーの集中を避けるように構成する。
以上の構成により、図3に示すMODE−Bのように、支持部の変位量を抑えるようにした超音波モータを実現することができる。
本実施例においては、以下の振動子の代表点の変位量を測定することで、変位抑制部(張り出し部)の有無と支持部の変位量との関係を調べた。その結果を表1に示す。
表中の値は、以下の(3)の値を示し、数値が小さい方が変位抑制効果が大きい。
(1)振動子代表点の振動変位
図2の11−A部における、Y方向中央、X方向端部
(2)支持部の平均振動変位量
(3)=(2)/(1)
表1から明らかなように、本発明の変位抑制部(張り出し部)を設けることにより、支持部の変位量(平均振動変位量)を小さくすることができる。
[表1]
Figure 2011254587
上記した実施例1の構成と異なる形態の振動型駆動装置の構成例を、図4を用いて説明する。
本実施例においては、被駆動体3は円環形状であり、その中心軸回りに回転運動を行うように構成されている。
振動子1及び振動子保持部2は2対が用いられており、被駆動体の中心軸に対して対向する位置に配置されている。
各々の振動子1は振動子保持部2を介して円環形状の固定部材5に固定されている。
弾性振動体11の部位11−B〜11−Eは、図2に示した弾性振動体11と同様の構成と機能を持つが、本実施例では、図4に示すように固定部材の内外径に投影的に収まるように形状が決められている。
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2に係る振動型駆動装置に用いられる振動子1の平面図である。
図2で説明した弾性振動体11と異なる部分のみについて、以下で説明する。
弾性振動体11により形成される振動子1と不図示の被駆動体3とは、図中X方向に相対運動を行う。この相対運動方向と直交する図中Y方向に11−B〜11−Eが延出している。
弾性振動体11はYZ面に対して対称形状を成している。連結部11−DはYZ面に対して略並行に振動部11−Aから延出している。
連結部11−Dの弾性が十分に得られる場合は、本実施例に示すように連結部11−DはYZ面に対して角度を持たせる必要はない。
弾性振動体11を用いた振動子における駆動時の振動モードを図6に示す。
図3に示した実施例1における振動モードとは、振動部11−Aの変形形状は同一である。
本実施例においてはMODE−Bの振動モード形状においての節位置近傍に連結部11−Dを形成して固定部11−Bの振動変位の増大を防いでいる。
しかしMODE−Aにおける節位置はMODE−Bと異なる箇所であるので連結部11−Dの振動変位は大きな状態となっている。
本実施例においても、実施例1と同様に支持部11−Bの変位量を抑えることが実現できる。
1:振動子
2:振動子保持部
3:被駆動体
4:超音波モータ
11:弾性振動体
13:圧電素子板(電気−機械エネルギー変換素子)

Claims (5)

  1. 少なくとも電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が接合され接触部が形成された略矩形状の弾性振動体とを有し、前記接触部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
    前記振動子の接触部と加圧接触し前記楕円運動によって相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
    前記振動子は、前記略矩形状の弾性振動体におけるいずれか一方の対向する両側面側から対称形状に延出する支持部を有し、
    前記支持部には、振動子を保持固定する振動子保持部と接合させるための固定部と、該固定部と弾性振動体とを結合させるための連結部と、該固定部の振動変位を抑制する振動変位抑制部と、
    が形成されていることを特徴とする振動型駆動装置。
  2. 前記振動変位抑制部が、前記固定部に比して大きな振動変位を生じる張り出し部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置。
  3. 前記連結部は、前記支持部が延出する方向に対して角度を与えて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動型駆動装置。
  4. 前記連結部は、その少なくとも一部が前記固定部及び前記張出し部よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
  5. 前記楕円運動が、前記弾性振動体に2つの異なる形状の面外曲げ振動モードの励振による、これら振動モードの合成振動により形成される楕円運動であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の振動型駆動装置。
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