JP2011253868A - p型拡散層形成組成物、並びに、太陽電池セルおよびその製造方法 - Google Patents

p型拡散層形成組成物、並びに、太陽電池セルおよびその製造方法 Download PDF

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香 岡庭
Mitsunori Iwamuro
光則 岩室
Shuichiro Adachi
修一郎 足立
Keiko Kizawa
桂子 木沢
Tetsuya Sato
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Abstract

【課題】結晶シリコン基板を用いた太陽電池セルの製造工程において、シリコン基板中の内部応力、基板の反りの発生を抑制しつつp型拡散層および裏面電極を形成することが可能なp型拡散層形成組成物、および、これを用いて形成された太陽電池セルの提供を提供する。
【解決手段】p型拡散層形成組成物を、金属粒子と、アクセプタ元素を含むガラス粒子と、樹脂と、溶剤と、を含んで構成する。また、半導体基板上に該p型拡散層形成組成物を塗布した後、熱処理することで形成されたp型拡散層および電極を備える太陽電池セルである。
【選択図】なし

Description

本発明は、p型拡散層形成組成物、ならびに、太陽電池セルおよびその製造方法に関する。
従来の結晶シリコン太陽電池セルの製造工程においては、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、テクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って、基板に一様にn型拡散層を形成する。この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、表面のみならず、側面、裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面のn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行う。また、裏面のn型拡散層はp型拡散層へ変換する必要があり、裏面にアルミペーストを印刷し、これを焼成して、n型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミペーストは導電率が低く、シート抵抗を下げるためには、通常裏面全面に形成したアルミ層は焼成後において30μm以上の厚みを有していなければならない。さらに、このように厚いアルミ層を形成すると、シリコンとアルミニウムでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、結晶粒界のダメージ、結晶欠陥増長及び反りの原因となる場合があった。
この問題を解決するために、ペースト組成物の塗布量を減らし、裏面電極層を薄くする方法がある。しかしながら、ペースト組成物の塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
そこで、例えば、アルミニウム粉末と、有機質ビヒクルと、熱膨張率がアルミニウムよりも小さく、かつ、溶融温度、軟化温度および分解温度のいずれかがアルミニウムの融点よりも高い無機化合物粉末とを含むペースト組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−223813号公報
しかしながら、特許文献1に記載のペースト組成物を用いた場合でも、充分に反りを抑制することができない場合があった。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、結晶シリコン基板を用いた太陽電池セルの製造工程において、シリコン基板中の内部応力、基板の反りの発生を抑制しつつp型拡散層および電極を形成することが可能なp型拡散層形成組成物ならびに、これを用いる太陽電池セルの製造方法および該製造方法で製造された太陽電池セルを提供することを課題とする。
<1> 金属粒子と、アクセプタ元素を含むガラス粒子と、樹脂と、溶剤と、を含むp型拡散層形成組成物。
<2> 前記アクセプタ元素が、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)及びGa(ガリウム)から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載のp型拡散層形成組成物。
<3> 前記ガラス粒子が、B、Al及びGaから選択される少なくとも1種のアクセプタ元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、Tl、SnO、ZrO、及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する前記<1>又は<2>に記載のp型拡散層形成組成物。
<4> 前記ガラス粒子中の前記アクセプタ元素含有物質の含有比率が、1質量%以上80質量%以下である前記<3>に記載のp型拡散層形成組成物。
<5> 前記金属粒子は、銀粒子、および銀被覆された銅粒子から選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜<4>もいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
<6> 半導体基板上に前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、熱処理により、p型拡散層の形成と電極の形成とを行う熱処理工程と、を有する太陽電池セルの製造方法。
<7> 半導体基板上に、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を付与し、これを熱処理して形成されたp型拡散層および電極を備える太陽電池セル。
本発明によれば、結晶シリコン基板を用いた太陽電池セルの製造工程において、シリコン基板中の内部応力、基板の反りの発生を抑制しつつp型拡散層および電極を形成することが可能なp型拡散層形成組成物、ならびに、これを用いる太陽電池セルの製造方法および該製造方法で製造された太陽電池セルを提供することができる。
本発明において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
<p型拡散層形成組成物>
本発明のp型拡散層形成組成物は、金属粒子の少なくとも1種と、アクセプタ元素を含むガラス粒子の少なくとも1種と、樹脂の少なくとも1種と、溶剤の少なくとも1種と、を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
かかる構成であることにより、電極を形成する際の熱処理時に、特定の部分にのみp型拡散層を形成することが可能となる。
[金属粒子]
本発明のp型拡散層形成組成物は金属粒子の少なくとも1種を含有する。前記金属粒子としては、焼成により電極を形成可能な金属粒子であれば特に制限はなく、例えば、銀粒子、銅含有粒子、白金含有粒子、パラジウム含有粒子、コバルト含有粒子等を挙げることができる。
前記金属粒子としては、銀粒子単独、又は銀粒子と銅含有粒子の少なくとも1種とを含むことが好ましい。
(銀粒子)
本発明のp型拡散層形成組成物は、金属粒子として銀粒子の少なくとも1種を含むことが好ましい。銀粒子を含むことで、形成される電極としての抵抗率がより低下する。さらに太陽電池モジュールとした場合のはんだ接続性が向上するという効果も得られる。
前記銀粒子を構成する銀は、不可避的に混入する他の原子を含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、Mo、Ti、およびCo等を挙げることができる。
本発明における銀粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%である場合における粒子径(D50%)が、0.4μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましい。0.4μm以上とすることで半導体との接続抵抗がより低下する。また10μm以下であることで電極中における銀粒子および銅含有粒子等の金属粒子どうしの接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。尚、銀粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製、MT3300型)によって測定される。
また前記銀粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等のいずれであってもよいが、低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
また本発明のp型拡散層形成組成物における銀粒子の含有率としては、形成される電極の低抵抗率の観点から、p型拡散層形成組成物に対して8.4〜85.5質量%であることが好ましく、8.9〜80.1質量%であることがより好ましい。
(銅含有粒子)
本発明における銅含有粒子は、熱処理により電極を形成可能であれば特に制限はない。具体的には例えば、銀被覆された銅粒子、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、無機金属化合物塩、有機金属化合物塩、ポリアニリン系樹脂、および金属アルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種で表面処理された銅粒子、並びに、リン含有銅合金粒子を挙げることができ、これらから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、銀被覆された銅粒子および表面処理された銅粒子から選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。また前記銅含有粒子は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記銅含有粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.4〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。0.4μm以上とすることで耐酸化性がより効果的に向上する。また10μm以下であることで電極中における銅含有粒子どうしの接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。尚、銅含有粒子の粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装社製、MT3300型)によって測定される。
また前記銅含有粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等のいずれであってもよいが、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる前記銅含有粒子の含有率、また既述の銀粒子を含む場合の銅含有粒子と銀粒子の総含有率としては、例えば、70〜94質量%とすることができ、耐酸化性と低抵抗率の観点から、72〜90質量%であることが好ましく、74〜88質量%であることがより好ましい。
また本発明においては、前記銅含有粒子以外の導電性の粒子を組み合わせて用いても良い。
−銀被覆銅粒子−
本発明における銀被覆銅粒子としては、銅粒子の表面の少なくとも一部が銀で被覆されているものであればよい。本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる銅含有粒子として、銀被覆銅粒子を用いることで、耐酸化性に優れ、抵抗率の低い電極を形成することができる。さらに銅粒子が銀で被覆されていることで、銀被覆銅粒子と銀粒子との界面抵抗が低下し、抵抗率がより低下した電極を形成することができる。またさらに、p型拡散層形成組成物としたとき、水分が混入した場合に、銀被覆銅粒子を用いることで、室温における銅の酸化を抑制でき、ポットライフを向上できるという効果を得ることができる。
前記銀被覆銅粒子における銀の被覆量(銀含有率)としては特に制限はない。具体的には例えば、銀被覆銅粒子の全質量に対して1質量%以上であるが、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、銀被覆銅粒子の全質量に対して1〜88質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜75質量%であることがさらに好ましい。
また銀被覆銅粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。0.4μm以上とすることでより効果的に耐酸化性が向上する。また10μm以下であることで電極中における銀被覆銅粒子どうしの接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。
また前記銀被覆銅粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等のいずれであってもよいが、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
前記銀被覆銅粒子を構成する銅は、不可避的に混入する他の原子を含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、Mo、Ti、およびCo等を挙げることができる。
前記銀被覆銅粒子の調製方法としては、銅粒子の表面の少なくとも一部を銀で被覆することができる調製方法であれば特に制限はない。例えば、硫酸、塩酸等の酸性溶液中に銅粉を分散し、該銅粉分散液にキレート化剤を加えて銅粉スラリーを作製する。得られた銅粉スラリーに銀イオン溶液を添加することで、置換反応により銅粉表面へ銀層を形成することができる。
前記キレート化剤としては特に制限はないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミン五酢酸、イミノ二酢酸等を用いることができる。また銀イオン溶液としては、例えば、硝酸銀溶液等を用いることができる。
本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる前記銀被覆銅粒子の含有率、また既述の銀粒子を含む場合の銀被覆銅粒子と銀粒子の総含有率としては、例えば、70〜94質量%とすることができ、耐酸化性と低抵抗率の観点から、72〜90質量%であることが好ましく、74〜88質量%であることがより好ましい。
また本発明において前記銀被覆銅粒子は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、銀被覆銅粒子の全質量に対する銀含有率が1〜88質量%である銀被覆銅粒子を、p型拡散層形成組成物に対して70〜94質量%(銀粒子を含む場合は、銀被覆銅粒子と銀粒子の総含有率)含むことが好ましく、銀含有率が5質量%〜75質量%である銀被覆銅粒子を、p型拡散層形成組成物に対して74〜88質量%(銀粒子を含む場合は、銀被覆銅粒子と銀粒子の総含有率)含むことがより好ましい。
また本発明においては、前記銀被覆銅粒子以外の導電性の粒子をさらに組み合わせて用いてもよい。
−表面処理された銅粒子−
本発明における銅含有粒子は、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、無機金属化合物塩、有機金属化合物塩、ポリアニリン系樹脂、および金属アルコキシドからなる群(以下、「表面処理剤」ということがある)から選ばれる少なくとも1種で表面処理された銅粒子であることもまた好ましく、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、および無機金属化合物塩からなる群から選ばれる少なくとも1種で表面処理された銅粒子であることがより好ましい。
本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる銅含有粒子として、表面処理剤の少なくとも1種で表面処理された銅粒子を用いることで、耐酸化性に優れ、抵抗率の低い電極を形成することができる。さらにp型拡散層形成組成物としたとき、水分が混入した場合に、表面処理剤を用いることで、室温における銅の酸化を抑制でき、ポットライフを向上できるという効果を得ることができる。
また本発明において前記表面処理剤は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、表面処理された銅粒子は、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、無機金属化合物塩、有機金属化合物塩、ポリアニリン系樹脂、および金属アルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種で表面処理されているが、必要に応じてその他の表面処理剤を併用してもよい。
前記表面処理剤におけるトリアゾール化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリアゾール等が挙げられる。また、前記表面処理剤における飽和脂肪酸としては、例えば、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、前記表面処理剤における不飽和脂肪酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
また、前記表面処理剤における無機金属化合物塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、硫酸スズ、硫酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、硝酸ジルコニウム、ジルコニウム酸ナトリウム、塩化酸化ジルコニウム、硫酸チタン、塩化チタン、シュウ酸チタン酸カリウム等が挙げられる。また、前記表面処理剤における有機金属化合物塩としては、例えば、ステアリン酸鉛、酢酸鉛、テトラアルコキシジルコニウムのp-クミルフェニル誘導体、テトラアルコキシチタニウムのp-クミルフェニル誘導体等が挙げられる。また、前記表面処理剤における金属アルコキシドとしては、例えば、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、鉛アルコキシド、シリコンアルコキシド、スズアルコキシド、インジウムアルコキシド等が挙げられる。
その他の表面処理剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げることができる。
また、表面処理剤としてステアリン酸またはステアリン酸鉛を用いる場合、表面処理剤としてステアリン酸およびステアリン酸鉛の少なくとも1種と酢酸鉛とを併用することで、耐酸化性がより向上し、抵抗率のより低い電極を形成することができる。
本発明における表面処理された銅粒子は、銅粒子の表面の少なくとも一部が、前記表面処理剤の少なくとも1種で被覆されていればよい。表面処理された銅粒子に含まれる表面処理剤の含有量としては特に制限はない。具体的には表面処理された銅粒子の全質量に対して0.01質量%以上であるが、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、銅粒子の全質量に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましい。
前記表面処理された銅粒子を構成する銅は、不可避的に混入する他の原子を含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、Mo、Ti、およびCo等を挙げることができる。
また前記表面処理された銅粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.4μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜7μmであることがより好ましい。0.4μm以上とすることでより効果的に耐酸化性が向上する。また10μm以下であることで電極中における前記表面処理された銅粒子どうしの接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。
また前記表面処理された銅粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等のいずれであってもよいが、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
表面処理剤を用いた銅粒子の表面処理方法としては、用いる表面処理剤に応じて適宜選択することができる。例えば、表面処理剤を溶解可能な溶媒に表面処理剤を溶解した表面処理溶液を調製し、これに銅粒子を浸漬・乾燥することで、銅粒子の表面の少なくとも一部を該表面処理剤で被覆することができる。
前記表面処理剤を溶解可能な溶媒は、表面処理剤に応じて適宜選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビトール系溶剤、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のカルビトールアセテート系溶剤等を挙げることができる。
具体的には、例えば、表面処理剤としてベンゾトリアゾール、トリアゾール、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いる場合、アルコール系溶剤を用いて表面処理溶液を調製し、銅粒子を表面処理することができる。
また表面処理剤としてステアリン酸またはステアリン酸鉛を用いる場合、アルコール系溶剤を用いて表面処理溶液を調製することができる。
表面処理溶液における表面処理剤の濃度は、用いる表面処理剤の種類や所望の表面処理量に応じて適宜選択することができる。例えば、1〜90質量%とすることができ、2〜85質量%であることが好ましい。
本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる前記表面処理された銅粒子の含有率、また後述する銀粒子を含む場合の表面処理された銅粒子と銀粒子の総含有率としては、例えば、70〜94質量%とすることができ、耐酸化性と低抵抗率の観点から、72〜90質量%であることが好ましく、74〜88質量%であることがより好ましい。
また本発明において前記表面処理された銅粒子は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、無機金属化合物塩、有機金属化合物塩、ポリアニリン系樹脂、および金属アルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種が0.01〜10質量%含まれるように表面処理された銅粒子を、p型拡散層形成組成物に対して70〜94質量%(銀粒子を含む場合は、表面処理された銅粒子と銀粒子の総含有率)含むことが好ましく、トリアゾール化合物、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸および無機金属化合物塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が0.05〜8質量%含まれるように表面処理された銅粒子を、p型拡散層形成組成物に対して74〜88質量%(銀粒子を含む場合は、表面処理された銅粒子と銀粒子の総含有率)含むことがより好ましい。
また、本発明において前記表面処理された銅粒子以外の導電性の粒子を組み合わせて用いても良い。
−リン含有銅合金粒子−
リン含有銅合金としては、リン銅ろう(リン濃度:7質量%程度以下)と呼ばれるろう付け材料が知られている。リン銅ろうは、銅と銅との接合剤としても用いられるものであるが、本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる銅含有粒子としてリン含有銅合金粒子を用いることができる。
本発明におけるリン含有銅合金に含まれるリン含有率としては、特に制限はない。具体的にはリン含有銅合金粒子の全質量に対して0.01質量%以上である。本発明においては、耐酸化性と低抵抗率の観点から、0.01質量%以上8質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上7.8質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上7.5質量%以下であることがより好ましい。
リン含有銅合金に含まれるリン含有率が8質量%以下であることで、より低い抵抗率を達成可能であり、また、リン含有銅合金の生産性に優れる。また0.01質量%以上であることで、より優れた耐酸性を達成できる。
前記リン含有銅合金粒子は、銅とリンを含む合金であるが、不可避的に混入する他の原子をさらに含んでいてもよい。不可避的に混入する他の原子としては、例えば、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Sn、Al、Zr、Mo、Ti、およびCo等を挙げることができる。
前記リン含有銅合金粒子の粒子径としては特に制限はないが、積算した重量が50%の場合における粒子径(以下、「D50%」と略記することがある)として、0.4〜10μmであることが好ましく、1〜7μmであることがより好ましい。0.4μm以上とすることでより効果的に耐酸化性が向上する。また10μm以下であることで電極中におけるリン含有銅合金粒子どうしの接触面積が大きくなり、抵抗率がより効果的に低下する。
また前記リン含有銅合金粒子の形状としては特に制限はなく、略球状、扁平状、ブロック状、板状、および鱗片状等のいずれであってもよいが、耐酸化性と低抵抗率の観点から、略球状、扁平状、または板状であることが好ましい。
リン銅合金は、通常用いられる方法で製造することができる。また、リン含有銅合金粒子は、所望のリン含有率となるように調製したリン含有銅合金を用いて、金属粉末を調製する通常の方法を用いて調製することができ、例えば、水アトマイズ法を用いて定法により製造することができる。水アトマイズ法は金属便覧(丸善)等に記載されている。
具体的には例えば、リン含有銅合金を溶解し、これをノズル噴霧によって粉末化した後、得られた粉末を乾燥、分級することで、所望のリン含有銅合金粒子を製造することができる。また、分級条件を適宜選択することで所望の粒子径を有するリン含有銅合金粒子を製造することができる。
本発明のp型拡散層形成組成物に含まれる前記リン含有銅合金粒子の含有率、また後述する銀粒子を含む場合のリン含有銅合金粒子と銀粒子の総含有率としては、例えば、70〜94質量%とすることができ、耐酸化性と低抵抗率の観点から、72〜90質量%であることが好ましく、74〜88質量%であることがより好ましい。
また本発明において前記リン含有銅合金粒子は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに本発明においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、リン含有率が0.01質量%以上8質量%以下であるリン含有銅合金粒子を、p型拡散層形成組成物に対して70〜94質量%含むことが好ましく、リン含有率が1〜7.5質量%であるリン含有銅合金粒子を、p型拡散層形成組成物に対して74〜88質量%含むことがより好ましい。
また本発明においては、前記リン含有銅合金粒子以外の導電性の粒子を組み合わせて用いてもよい。
本発明のp型拡散層形成組成物は、銀粒子の少なくとも1種と前記銅含有粒子の少なくとも1種とを含むこともまた好ましい。前記銅含有粒子に加えて銀粒子を含むことで耐酸化性がより向上し、電極としての抵抗率がより低下する。さらに太陽電池モジュールとした場合のはんだ接続性が向上するという効果も得られる。このことは例えば、以下のように考えることができる。
一般に電極形成温度領域である600℃から900℃の温度領域では、銅中への銀の少量の固溶、および銀中への銅の少量の固溶が生じ、銅と銀との界面に銅−銀固溶体の層(固溶領域)が形成される。銅含有粒子と銀粒子の混合物を高温に加熱後、室温へゆっくりと冷却した場合、固溶領域は生じないと考えられるが、電極形成時には高温域から常温に数秒で冷却されることから、高温での固溶体の層は、非平衡な固溶体相または銅と銀の共晶組織として銀粒子および銅含有粒子の表面を覆うと考えられる。このような銅−銀固溶体層は、電極形成温度における銅含有粒子の耐酸化性に寄与すると考えることができる。
また銅−銀固溶体層は、300℃から500℃以上の温度で形成され始める。従って、示差熱−熱重量同時測定において最大面積を示す発熱ピークのピーク温度が280℃以上である銅含有粒子に、銀粒子を併用することで、より効果的に銅含有粒子の耐酸化性を向上することができ、形成される電極の抵抗率がより低下すると考えることができる。
本発明のp型拡散層形成組成物において、前記銅含有粒子の粒子径(D50%)と前記銀粒子の粒子径(D50%)の関係としては特に制限はないが、いずれか一方の粒子径(D50%)が他方の粒子径(D50%)よりも小さいことが好ましく、いずれか一方の粒子径に対する他方の粒子径の比が1〜10であることがより好ましい。これにより、電極の抵抗率がより効果的に低下する。これは例えば、電極内における銅含有粒子および銀粒子等の金属粒子どうしの接触面積が大きくなることに起因すると考えることができる。
本発明においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、前記銅含有粒子と前記銀粒子の総量を100質量%としたときの銅含有粒子の含有率が9〜88質量%となることが好ましく、17〜77質量%となることがより好ましい。
前記銅含有粒子の含有率が9質量%以上となることで、例えば、太陽電池としたときのエネルギー変換効率向上を目的とした電極形成シリコン基板のフッ酸水溶液処理において、電極材の耐フッ酸水溶液性(フッ酸水溶液によって電極材がシリコン基板から剥離しない性質)が向上する。
また前記銅含有粒子の含有率が88質量%以下となることで、銅含有粒子に含まれる銅がシリコン基板と接触することがより抑制され、電極の接触抵抗がより低下する。
また本発明のp型拡散層形成組成物においては、耐酸化性、電極の低抵抗率、シリコン基板への塗布性の観点から、前記銅含有粒子および前記銀粒子の総含有量が70質量%以上94質量%以下であることが好ましく、74質量%以上88質量%以下であることがより好ましい。前記銅含有粒子および前記銀粒子の総含有量が70質量%以上であることで、p型拡散層形成組成物を付与する際に好適な粘度を容易に達成することができる。また前記銅含有粒子および前記銀粒子の総含有量が94質量%以下であることで、p型拡散層形成組成物を付与する際のかすれの発生をより効果的に抑制することができる。
さらに本発明のp型拡散層形成組成物においては、耐酸化性と電極の低抵抗率の観点から、前記銅含有粒子および前記銀粒子の総含有率が70質量%以上94質量%以下であって、後述するガラス粒子の含有率が0.1質量%以上10質量%以下であって、後述する溶剤および後述する樹脂の総含有率が3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、銅含有粒子および銀粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が0.5質量%以上8質量%以下であって、溶剤および樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、銅含有粒子および銀粒子の総含有率が74質量%以上88質量%以下であって、ガラス粒子の含有率が1質量%以上7質量%以下であって、溶剤および樹脂の総含有率が7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
[ガラス粒子]
本発明のp型拡散層形成組成物は、アクセプタ元素を含むガラス粒子の少なくとも1種を含有する。ガラス粒子がアクセプタ元素を含むことで、電極形成温度において、シリコン基板上にp型拡散層またはp型拡散層が形成されるとともに、電極とシリコン基板とのオーミックコンタクトが形成される。
ガラス粒子は、例えば、アクセプタ元素含有物質とガラス成分物質とから構成することができる。
アクセプタ元素とは、シリコン基板中にドーピングさせることによってp型拡散層を形成することが可能な元素である。アクセプタ元素としては第13族の元素が使用でき、例えばB(ほう素)、Al(アルミニウム)及びGa(ガリウム)等が挙げられる。
アクセプタ元素をガラス粒子に導入するために用いるアクセプタ元素含有物質としては、B、Al、及びGaが挙げられ、B、Al及びGaから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、ガラス粒子は、必要に応じて成分比率を調整することによって、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性等を制御することが可能である。更に以下に記すガラス成分物質を含むことが好ましい。
ガラス成分物質としては、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、TlO、V、SnO、ZrO、MoO、LaO3、Nb、Ta、Y、TiO、GeO、TeO及びLu等が挙げられ、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、TlO、SnO、ZrO、及びMoOから選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、TlO、SnO、ZrO、及びMoOから選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
アクセプタ元素を含むガラス粒子の具体例としては、B−SiO系、B−ZnO系、B−PbO系、Al−SiO系、B−Al系、Ga−SiO系、Ga−B系、B単独系などのガラスから構成されるガラス粒子が挙げられる。
上記では1成分ガラスあるいは2成分を含む複合ガラスを例示したが、B−SiO−NaO等必要に応じて3種類以上の複合ガラスでもよい。
ガラス粒子中のアクセプタ元素含有物質の含有比率は、アクセプタ元素のシリコン基板中へのドーピング濃度、ガラス粒子の溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性を考慮して、1質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
ガラス粒子中のアクセプタ元素含有物質の含有比率が1質量%未満の場合、アクセプタ元素のシリコン基板中へのドーピング濃度が低すぎて、p型拡散層が充分に形成されない場合がある。またアクセプタ元素含有物質の含有比率が80質量%より大きい場合、アクセプタ元素含有物質が熱拡散処理中に揮散してしまう場合があり、アクセプタ元素の拡散が側面及び裏面にも及び、p型拡散層形成組成物を塗布した表面のみならず、所望の部位以外の側面、裏面にもp型拡散層が形成される恐れがある。
更に、ガラス粒子中のアクセプタ元素含有物質の含有比率は、2質量%以上80質量%以下であることが好ましく、10質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
特に、p型拡散層が充分に形成されるアクセプタ元素の量を勘案しつつ、p型拡散層形成組成物にアクセプタ元素を一定量以上添加しても形成したp型拡散層を有する表面のシート抵抗は一定値以上には低下しなくなる点と、アクセプタ元素含有物質の揮散の影響を抑える必要がある点を考慮すると、ガラス粒子中のアクセプタ元素含有物質の含有比率は30質量%以上70質量%以下であることがいっそう好ましい。
また、ガラス粒子中のガラス成分物質の含有比率は、溶融温度、軟化点、ガラス転移点、化学的耐久性を考慮して適宜設定することが望ましく、一般には、0.1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
具体的には、B−SiO系ガラスの場合には、Bの含有比率は、1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、3質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
ガラス粒子の軟化点は、拡散処理時の拡散性、液だれの観点から、200℃〜1000℃であることが好ましく、300℃〜900℃であることがより好ましい。
ガラス粒子の粒径は、50μm以下であることが望ましい。50μm以下の粒径を有するガラス粒子を用いた場合には、平滑な塗膜が得られやすい。更に、ガラス粒子の粒径は10μm以下であることがより望ましい。
アクセプタ元素を含むガラス粒子は、以下の手順で作製される。
最初に原料を秤量し、るつぼに充填する。るつぼの材質としては白金、白金−ロジウム、イリジウム、アルミナ、石英、炭素等が挙げられるが、溶融温度、雰囲気、溶融物質との反応性等を考慮して適宜選ばれる。
次に、電気炉でガラス組成に応じた温度で加熱し均一な融液とする。このとき融液が均一となるよう攪拌することが望ましい。
続いて均一になった融液をジルコニア基板やカーボン基板等の上に流し出して融液をガラス化する。
最後にガラスを粉砕し粉末状(粒子状)とする。粉砕にはジェットミル、ビーズミル、ボールミル等公知の方法が適用できる。
p型拡散層形成組成物中のアクセプタ元素を含むガラス粒子の含有比率は、塗布性、アクセプタ元素の拡散性等を考慮し決定される。一般には、p型拡散層形成組成物中のガラス粒子の含有比率は、0.1質量%以上95質量%以下であることが好ましく、1質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
(樹脂および溶剤)
本発明のp型拡散層形成組成物は、溶剤の少なくとも1種と樹脂の少なくとも1種とを含む。これにより本発明のp型拡散層形成組成物の液物性(例えば、粘度、表面張力等)を、シリコン基板に付与する際の付与方法に応じて必要とされる液物性に調整することができる。
前記溶剤としては特に制限はない。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶剤;ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素系剤;テトラヒドロフラン、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トリオキサンなどの環状エーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系化合物;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノプロピオレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリエチル−1,3−ペンタンジオールモノアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのエステル系溶剤;ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテルなとの多価アルコールのエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレンなどのテルペン系溶剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明における前記溶剤としては、p型拡散層形成組成物をシリコン基板に形成する際の塗布性、印刷性の観点から、多価アルコールのエステル系溶剤、テルペン系溶剤、および多価アルコールのエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、多価アルコールのエステル系溶剤およびテルペン系溶剤から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において前記溶剤は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また前記樹脂としては焼成によって熱分解されうる樹脂であれば、当該技術分野において通常用いられる樹脂を特に制限なく用いることができる。具体的には例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール類;ポリビニルピロリドン類;アクリル樹脂;酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体;ポリビニルブチラール等のブチラール樹脂;フェノール変性アルキド樹脂、ひまし油脂肪酸変性アルキド樹脂のようなアルキド樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ロジンエステル樹脂等を挙げることができる。
本発明における前記樹脂としては、焼成時における消失性の観点から、セルロース系樹脂、およびアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、セルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明において前記樹脂は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のp型拡散層形成組成物において、前記溶剤と前記樹脂の含有量は、所望の液物性と使用する溶剤および樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、溶剤と樹脂の総含有量が、p型拡散層形成組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
溶剤と樹脂の総含有量が前記範囲内であることにより、p型拡散層形成組成物をシリコン基板に付与する際の付与適性が良好になり、所望の幅および高さを有する電極をより容易に形成することができる。
(その他の成分)
さらに本発明のp型拡散層形成組成物は、上述した成分に加え、必要に応じて、当該技術分野で通常用いられるその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、フラックス、可塑剤、分散剤、界面活性剤、無機結合剤、金属酸化物、セラミック、有機金属化合物等を挙げることができる。
本発明のp型拡散層形成組成物の製造方法としては特に制限はない。前記金属粒子、ガラス粒子、溶剤、樹脂等を、通常用いられる分散・混合方法を用いて、分散・混合することで製造することができる。
本発明のp型拡散層形成組成物は、シリコン基板上に付与され、乾燥後に、酸素の存在下(例えば、大気中)で焼成されることで、シリコン基板上にp型拡散層を形成するとともに抵抗率の低い電極を形成することができる。
p型拡散層形成組成物をシリコン基板上に付与する方法としては、例えば、スクリーン印刷、インクジェット法、ディスペンサー法等を挙げることができるが、生産性の観点から、スクリーン印刷による塗布であることが好ましい。
前記p型拡散層形成組成物のシリコン基板への付与量としては、特に制限されないが、例えば、固形分付与量として、3〜100g/mとすることができる。また形成される電極の厚さが5〜50μmとなる付与量とすることもでき、5〜25μmとなる付与量であることが好ましい。
尚、p型拡散層形成組成物における固形分とは、不揮発性成分の総量を意味する。
本発明のp型拡散層形成組成物をスクリーン印刷によって塗布する場合、80〜1000Pa・sの範囲の粘度を有することが好ましい。尚、p型拡散層形成組成物の粘度は、ブルックフィールドHBT粘度計を用いて25℃で測定される。
また本発明のp型拡散層形成組成物を用いてp型拡散層および電極を形成する際の熱処理条件(焼成条件)としては、当該技術分野で通常用いられる熱処理条件を適用することができる。
一般に、熱処理温度(焼成温度)としては800〜900℃であり、良好な特性を有する電極を形成することができる。
また熱処理時間は、熱処理温度等に応じて適宜選択することができ、例えば、1秒〜300秒とすることができる。
一般には、電極を形成するための熱処理時間はなるべく短くすることが電極性能の観点から好ましく、一方で、アクセプタ元素を熱拡散させるための熱処理時間は、なるべく長くすることが好ましい。よってこれらの兼ね合いと、p型拡散層形成組成物の組成に応じて、適宜熱処理時間を調整することが好ましい。
<太陽電池セル>
本発明の太陽電池セルは、シリコン基板上に付与された前記p型拡散層形成組成物を、熱処理して形成されたp型拡散層および電極を有する。これにより、良好な特性を有し、反りの発生が抑制された太陽電池セルが得られ、該太陽電池セルの生産性に優れる。
次に、本発明のp型拡散層形成組成物を用いた太陽電池セルの製造方法について説明する。
まず、p型半導体基板である結晶シリコンにアルカリ溶液を付与してダメージ層を除去し、テクスチャー構造をエッチングにて得る。
詳細には、インゴットからスライスした際に発生するシリコン表面のダメージ層を20質量%苛性ソーダで除去する。次いで1質量%苛性ソーダと10質量%イソプロピルアルコールの混合液によりエッチングを行い、テクスチャー構造を形成する。太陽電池セルは、受光面(表面)側にテクスチャー構造を形成することにより、光閉じ込め効果が促され、高効率化が図られる。
次に、オキシ塩化リン(POCl)、窒素、酸素の混合ガス雰囲気において800〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。このとき、オキシ塩化リン雰囲気を用いた方法では、リンの拡散は側面及び裏面にも及び、n型拡散層は表面のみならず、側面、裏面にも形成される。そのために、側面のn型拡散層を除去するために、サイドエッチングが施される。
そして、p型半導体基板の裏面すなわち受光面ではない面のn型拡散層の上に、上記p型拡散層形成組成物を塗布する。本発明では、塗布方法には制限がないが、例えば、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法などがある。
なお、p型拡散層形成組成物の組成によっては、塗布後に、組成物中に含まれる溶剤を揮発させるための乾燥工程が必要な場合がある。この場合には、80〜300℃程度の温度で、ホットプレートを使用する場合は1〜10分、乾燥機などを用いる場合は10〜30分程度で乾燥させる。この乾燥条件は、p型拡散層形成組成物の溶剤組成に依存しており、本発明では特に上記条件に限定されない。
上記p型拡散層形成組成物を塗布した半導体基板を、600〜1200℃(好ましくは800〜900℃)で熱処理する。この熱処理により、半導体基板中へアクセプタ元素が拡散し、p型拡散層が形成されるとともに、p型拡散層上に金属粒子が焼成されて電極が形成(オーミックコンタクト)される。熱処理には公知の連続炉、バッチ炉等が適用できる。また、熱処理時の炉内雰囲気は、空気、酸素、窒素等に適宜調整することもできる。
熱処理時間は、p型拡散層形成組成物に含まれるアクセプタ元素の含有率などに応じて適宜選択することができる。例えば、1秒〜300秒間とすることができる。
また、従来の製造方法では、裏面にアルミペーストを印刷し、これを焼成してn型拡散層をp型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。しかしながら、アルミペーストは導電率が低く、シート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミ層は焼成後において30μm以上の厚みを有していなければならない。さらに、このように厚いアルミ層を形成すると、シリコンとアルミでは熱膨張率が大きく異なることから、焼成および冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力を発生させ、反りの原因となる。
この内部応力は、結晶の結晶粒界に損傷を与え、電力損失が大きくなるという課題があった。また、反りは、モジュール工程における太陽電池セルの搬送や、タブ線と呼ばれる銅線との接続において、セルを破損させ易くしていた。近年では、スライス加工技術の向上から、結晶シリコン基板の厚みが薄型化されつつあり、更にセルが割れ易い傾向にある。
しかし本発明の製造方法によれば、上記本発明のp型拡散層形成組成物によってn型拡散層をp型拡散層に変換するとともに、p型拡散層の上に電極が形成される。そのため裏面の電極形成に用いる材料(p型拡散層形成組成物に含まれる金属粒子)はアルミニウムに限定されず、例えば、銀粒子や銅含有粒子などを適用することができる。導電率の高い金属粒子を用いることで、裏面の電極の厚さも従来のものよりも薄く形成することが可能となり、焼成および冷却の過程で発生するシリコン基板中の内部応力及び反りを低減できる。
上記形成したn型拡散層の上には反射防止膜を形成される。反射防止膜は公知の技術を適用して形成される。例えば、反射防止膜がシリコン窒化膜の場合には、SiHとNHの混合ガスを原料とするプラズマCVD法により形成する。このとき、水素が結晶中に拡散し、シリコン原子の結合に寄与しない軌道、即ちダングリングボンドと水素が結合し、欠陥を不活性化(水素パッシベーション)する。
より具体的には、上記混合ガス流量比NH/SiHが0.05〜1.0、反応室の圧力が0.1〜2Torr、成膜時の温度が300〜550℃、プラズマの放電のための周波数が100kHz以上の条件下で形成される。
表面(受光面)の反射防止膜上に、表面電極用金属ペーストをスクリーン印刷法で印刷塗布乾燥させ、表面電極(表面電極用金属ペースト層)を形成する。表面電極用金属ペーストは、金属粒子とガラス粒子とを必須成分とし、必要に応じて樹脂バインダー、その他の添加剤などを含む。
上記表面電極用金属ペースト層を焼成して、太陽電池セルを完成させる。600〜900℃の範囲で数秒〜数分間焼成すると、表面側では電極用金属ペーストに含まれるガラス粒子によって絶縁膜である反射防止膜が溶融し、更にシリコン表面も一部溶融して、ペースト中の金属粒子(例えば銀粒子)がシリコン基板10と接触部を形成し凝固する。これにより、形成した表面電極とシリコン基板とが導通される。これはファイアースルーと称されている。
尚、表面電極の形成は、裏面電極の形成およびp型拡散層形成と同時に行なってもよい。
表面電極の形状について説明する。表面電極は、バスバー電極、及び該バスバー電極と交差しているフィンガー電極で構成される。
このような表面電極は、例えば、上述の金属ペーストのスクリーン印刷、又は電極材料のメッキ、高真空中における電子ビーム加熱による電極材料の蒸着などの手段により形成することができる。バスバー電極とフィンガー電極とからなる表面電極は受光面側の電極として一般的に用いられていて周知であり、受光面側のバスバー電極及びフィンガー電極の公知の形成手段を適用することができる。
なお上述のp型拡散層及び太陽電池セルの製造方法では、p型半導体基板である結晶シリコンにn型拡散層を形成するのに、オキシ塩化リン(POCl)、窒素および酸素の混合ガスを用いているが、n型拡散層形成組成物を用いてn型拡散層を形成してもよい。n型拡散層形成組成物にはP(リン)やSb(アンチモン)などの第15族の元素がドナー元素として含有される。
n型拡散層の形成にn型拡散層形成組成物を用いる方法では、まず、p型半導体基板の表面である受光面にn型拡散層形成組成物を塗布し、裏面に本発明のp型拡散層形成組成物を塗布し、600〜1200℃で熱拡散処理する。この熱拡散処理により、表面ではp型半導体基板中へドナー元素が拡散してn型拡散層が形成され、裏面ではアクセプタ元素が拡散してp型拡散層と裏面電極が形成される。この工程以外は上記方法と同様の工程により、太陽電池セルが作製される。
なお、本発明のp型拡散層形成組成物は、太陽電池電極の用途に限定されるものではなく、例えば、プラズマディスプレイの電極配線及びシールド配線、セラミックスコンデンサ、アンテナ回路、各種センサー回路、半導体デバイスの放熱材料等の用途にも好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<実施例1>
(a)p型拡散層形成組成物の調製
銀粒子を77質量%、B−CeO系ガラス(B:39.6%、CeO:10%、BaO:10.4%、MoO:10%、ZnO:30%)粒子を10質量%、エチルセルロースを0.5質量%、ターピネオール12.5質量%をメノウ製乳鉢で20分間混合してペースト化し、p型拡散層形成組成物Aを調製した。なお、銀粒子の粒子径(D50%)は1.8μmであり、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.0μmであった。
(b)太陽電池セルの作製
受光面にシート抵抗100Ω/cmを示すn型半導体層、テクスチャーおよび反射防止膜(窒化珪素膜)が形成された膜厚190μmのp型半導体基板を用意し、125mm×125mmの大きさに切り出した。その受光面にスクリーン印刷法を用い、電極用ペースト(デュポン社製)を用いて、150μm幅のフィンガーラインと1.1mm幅のバスバーで構成され、焼成後の膜厚が20μmとなるような電極パターンとなるように印刷した。印刷条件(スクリーン版のメッシュ、印刷速度、印圧)を適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、裏面に上記で得られたp型拡散層形成組成物を同様にスクリーン印刷で全面に印刷した。焼成後の膜厚が20μmとなるよう印刷条件は適宜調整した。これを150℃に加熱したオーブンの中に15分間入れ、溶剤を蒸散により取り除いた。
続いて、赤外線急速加熱炉内で大気雰囲気下、850℃で10秒間の加熱処理(焼成)を行って、表面に所望の電極が、裏面にp型拡散層および電極が、それぞれ形成された太陽電池セル1を作製した。
得られた太陽電池セル1には、反りが発生していなかった。
<実施例2>
実施例1において、電極形成時の加熱処理(焼成)を850℃で1分間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル2を作製した。
得られた太陽電池セル2には、反りが発生していなかった。
<実施例3>
実施例1において、ガラス粒子をB−ZnO系ガラス(B:40%、ZnO:40%、CeO:10%、MgO:5%、CaO:5%)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Bを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.2μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル3を作製した。
得られた太陽電池セル3には、反りが発生していなかった。
<実施例4>
実施例1において、ガラス粒子をB−SiO系ガラス(B:30%、SiO:50%、CeO:10%、ZnO:10%)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Cを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は2.9μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル4を作製した。
得られた太陽電池セル4には、反りが発生していなかった。
<実施例5>
実施例1において、ガラス粒子をB−PbO系ガラス(B:30%、PbO:50%、ZnO:20%)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Dを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.1μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル5を作製した。
得られた太陽電池セル5には、反りが発生していなかった。
<実施例6>
実施例1において、ガラス粒子をB−SiO系ガラス(B:40%、SiO:10%、PbO:30%、ZnO:10%、CaO:10%)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Eを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.0μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル6を作製した。
得られた太陽電池セル6には、反りが発生していなかった。
<実施例7>
実施例1において、ガラス粒子をB−SiO系ガラス(B:40%、SiO:10%、PbO:20%、ZnO:20%、NaO:10%)とした以外は、実施例1と同様にして、太陽電池n型拡散層形成機能付与電極用ペースト組成物Fを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.5μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望の電極が形成された太陽電池セル7を作製した。
得られた太陽電池セル7には、反りが発生していなかった。
<実施例8>
実施例1において、ガラス粒子をB−ZnO系ガラス(B:30%、ZnO:40%、CaO:20%、Al:10%)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Gを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は2.8μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル8を作製した。
得られた太陽電池セル8には、反りが発生していなかった。
<実施例9>
実施例1において、ガラス粒子をB−SiO系ガラス(B:50%、SiO:10%、ZnO:30%、CaO:10)とした以外は、実施例1と同様にして、p型拡散層形成組成物Hを調製した。なお、ガラス粒子の粒子径(D50%)は3.2μmであった。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル9を作製した。
得られた太陽電池セル9には、反りが発生していなかった。
<実施例10>
実施例1において、銀粒子を特開平14-100191号公報に記載された方法に準じて調製した銀被覆銅粒子(日立化成工業(株)製、銀被覆量20質量%、粒子径5.8μm)とした以外は、実施例1と同様にしてp型拡散層形成組成物Iを調製した。次いで、実施例1と同様にして、所望のp型拡散層および電極が形成された太陽電池セル10を作製した。
得られた太陽電池セル10には、反りが発生していなかった。
<比較例1>
実施例1におけるp型拡散層形成組成物の調製においてB−CeO系ガラス(B:39.6%、CeO:10%、BaO:10.4%、MoO:10%、ZnO:30%)粒子を用いずに、PbO-SiO系ガラス(PbO:65%、SiO:35%)粒子とした以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物C1を調製した。
次いで、電極形成用組成物C1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池セルC1を作製した。
得られた太陽電池セルC1には、反りが発生していなかった。
<比較例2>
実施例1におけるp型拡散層形成組成物の調製においてB−CeO系ガラス(B:39.6%、CeO:10%、BaO:10.4%、MoO:10%、ZnO:30%)粒子を用いずに、NaO-SiO系ガラス(NaO:35%、SiO:65%)粒子とした以外は、実施例1と同様にして電極形成用組成物C2を調製した。
次いで、電極形成用組成物C2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池セルC2を作製した。
得られた太陽電池セルC2には、反りが発生していなかった。
<比較例3>
実施例2においてp型拡散層形成組成物Aの代わりに、比較例1における電極形成用組成物C1を用いたこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池セルC3を作製した。
得られた太陽電池セルC3には、反りが発生していなかった。
<比較例4>
実施例2においてp型拡散層形成組成物Aの代わりに、アルミニウム電極ペースト(PVG Solutions社製)を用いて、焼成後の膜厚が20μmとなるように印刷条件を調整したこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池セルC4を作製した。
得られた太陽電池セルC4には、反りが発生していなかった。
<比較例5>
実施例2においてp型拡散層形成組成物Aの代わりに、アルミニウム電極ペースト(PVG Solutions社製)を用いて、焼成後の膜厚が50μmとなるように印刷条件を調整したこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池セルC4を作製した。
得られた太陽電池セルC5には、反りが発生していた。
<評価>
作製した太陽電池セルの評価は、擬似太陽光として(株)ワコム電創製WXS−155S−10、電流−電圧(I-V)評価測定器としてI−V CURVE TRACER MP−160(EKO INSTRUMENT社製)の測定装置を組み合わせて行った。太陽電池としての発電性能を示すEff(変換効率)、FF(フィルファクター)、Voc(開放電圧)およびJsc(短絡電流)は、それぞれJIS−C−8912、JIS−C−8913およびJIS−C−8914に準拠して測定を行なうことで得られたものである。得られた各測定値を、比較例1の測定値を100.0とした相対値に換算して表1に示した。
また、作製した太陽電池セルを50%フッ酸と硝酸を1:1(質量比)で混合した混酸中に30分間浸漬して、裏面電極を溶解除去し、裏面電極が除去された部分におけるシリコン表面のシート抵抗を評価した。
Figure 2011253868
以上から、本発明のp型拡散層形成組成物を用いることで、p型拡散層形成組成物を形成した部分におけるシリコン表面のシート抵抗を低下させることができ、アクセプタ元素であるB(ホウ素)を有効に拡散できたことが確認できる。
また同時に電極も良好に焼結させることができ、これによって、優れた特性を示す太陽電池を構成できたことが分かる。

Claims (7)

  1. 金属粒子と、アクセプタ元素を含むガラス粒子と、樹脂と、溶剤と、を含むp型拡散層形成組成物。
  2. 前記アクセプタ元素が、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)及びGa(ガリウム)から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のp型拡散層形成組成物。
  3. 前記ガラス粒子が、B、Al及びGaから選択される少なくとも1種のアクセプタ元素含有物質と、SiO、KO、NaO、LiO、BaO、SrO、CaO、MgO、BeO、ZnO、PbO、CdO、V、Tl、SnO、ZrO、及びMoOから選択される少なくとも1種のガラス成分物質と、を含有する請求項1又は請求項2に記載のp型拡散層形成組成物。
  4. 前記ガラス粒子中の前記アクセプタ元素含有物質の含有比率が、1質量%以上80質量%以下である請求項3に記載のp型拡散層形成組成物。
  5. 前記金属粒子は、銀粒子、および銀被覆された銅粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物。
  6. 半導体基板上に請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を塗布する工程と、
    熱処理により、p型拡散層の形成と電極の形成とを行う熱処理工程と、
    を有する太陽電池セルの製造方法。
  7. 半導体基板上に、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のp型拡散層形成組成物を付与し、これを熱処理して形成されたp型拡散層および電極を備える太陽電池セル。
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