図1に、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置10の断面図を示す。
本実施形態に係る液晶表示装置10は、アクティブマトリクス基板20と、アクティブマトリクス基板20に対向して配置されている対向基板40と、アクティブマトリクス基板20と対向基板40との間に挟持されている液晶層50と、アクティブマトリクス基板20の下方に配置されているバックライト30と、からなる。
アクティブマトリクス基板20は、第1透明基板21と、第1透明基板21上に形成されているゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22に形成されている第1の絶縁膜23と、第1の絶縁膜23を覆うようにゲート絶縁膜22上に形成されている第2の絶縁膜24と、第2の絶縁膜24上に形成されている反射電極25と、第2の絶縁膜24上において反射電極25と一部重なり合って形成されている透明電極26と、第1透明基板21上に形成されている薄膜トランジスタ31と、液晶層50とは反対側において、第1透明基板21上に形成されている第1−1位相差板27と、第1−1位相差板27上に形成されている第1−2位相差板28と、第1−2位相差板28上に形成されている第1偏光板29と、からなっている。
バックライト30は第1偏光板29の下方に配置されている。
対向基板40は、第2透明基板41と、第2透明基板41上に形成された第2−1位相差板42と、第2−1位相差板42上に形成された第2−2位相差板43と、第2−2位相差板43上に形成された第2偏光板44と、からなっている。
なお、対向基板40には、液晶層50と接して、第2透明基板41上に透明電極及び配向膜(何れも図示せず)が形成されている。
また、アクティブマトリクス基板20には、液晶層50と接して、反射電極25及び透明電極26上に配向膜(図示せず)が形成されている。
アクティブマトリクス基板20には、光が透過する光透過領域Aと、光が反射する光反射領域Bとが形成されており、反射電極25は光反射領域Bに形成されており、透明電極26は光透過領域Aに形成されている。
第1の絶縁膜23は光反射領域Bにおいては、凸状に散点状に形成され、第1の絶縁膜23を覆う第2の絶縁膜24は凹凸状に形成されている。また、光透過領域Aにおいては、第1の絶縁膜23は平坦状に形成されている。従って、光反射領域Bにおいて、第2の絶縁膜24上に形成されている反射電極25も凹凸状をなしており、また、光透過領域Aにおいて、第2の絶縁膜24上に形成されている透明電極26は平坦状をなしている。
図1では以上のようであるが、この構成に限定されるわけではない。光透過領域Aにおいても光反射領域Bと同様に、第1の絶縁膜23は凸状に散点状に形成され、第1の絶縁膜23を覆う第2の絶縁膜24も凹凸状に形成されていてもかまわない。
また、光反射領域Bにおいても、第1の絶縁膜23は平坦状に形成され、第2の絶縁膜24も平坦状に形成されていてもよい。この場合には、反射光の散乱は対向基板40により行われる。
バックライト30から発せられる光150は光透過領域Aを透過し、液晶パネル上に所定の表示を行う。また、液晶表示装置10の外部から進入してきた入射光160は反射電極25において反射することにより、液晶パネル上に所定の表示を行う。
薄膜トランジスタ31は、第1透明基板21上に形成されているゲート電極32と、ゲート電極32の上方において、ゲート絶縁膜22上に形成されているa−Si層33aと、a−Si層33a上に部分的に形成されているn+型a−Si層33bと、n+型a−Si層33b及びa−Si層33aを覆ってゲート絶縁膜22上に形成されているドレイン電極34と、n+型a−Si層33b及びa−Si層33aを覆ってゲート絶縁膜22上に形成されているソース電極35と、からなっている。
反射電極25は、コンタクト部36において、ソース電極35と接している。
なお、第1−1位相差板27のリターデーションは140nmであり、第1−2位相差板28のリターデーションが250nmである。
なお、第1−1位相差板27のリターデーションは135nm乃至160nmの範囲内にあればよく、第1−2位相差板28のリターデーションは250nm乃至300nmの範囲内にあればよい。
図2は、図1に示した本実施形態に係る液晶表示装置10の平面図である。図1は、図2のA−A'線における断面図に相当する。
図2に示すように、アクティブマトリクス基板20は、相互に直交するゲート配線1及びドレイン配線2とを備えており、これらのゲート配線1及びゲート配線2で囲まれる画素領域の各々にスイッチング素子としての薄膜トランジスタ31が形成されている。
反射電極25は、各画素領域に入射する光を反射するとともに、アクティブマトリクス基板20と対向基板40とに挟持された液晶層50に電圧を印可する。
また、反射電極25に隣接して形成されている透明電極26は、バックライト30から発せられる光を透過させる。
ゲート電極32はゲート配線1に、ドレイン電極34はドレイン配線2に、ソース電極35は反射電極25にそれぞれ電気的に接続されている。
本実施形態に係る液晶表示装置においては、第1−1位相差板27と第2−1位相差板42とでは、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定されており、同様に、第1−2位相差板28と第2−2位相差板43とでは、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定されている。
すなわち、第1透明基板21に接して形成されたN個の第1位相差板を液晶層50に近い方から第1−1、第1−2、……第1−N位相差板とし、第2透明基板41に接して形成されたN個の第2位相差板を液晶層50に近い方から第2−1、第2−2、……第2−N位相差板とすると、第1−1位相差板と第2−1位相差板、第1−2位相差板と第2−2位相差板、……第1−N位相差板と第2−N位相差板が対応し、対応する位相差板どうしでは、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定されている。
なお、以下に述べる例においては、液晶層50の厚み方向中央部の液晶分子の配向方向に対して直交する方位を基準方向とし、対向基板40からアクティブマトリクス基板20へたどったときの液晶層50の液晶のねじれ方向を正方向とする。
第1の例では、光反射領域において、黒表示する場合に色付きの発生を防止し、かつ高コントラストを得るための先願である特願2001−022485に従って、第2−1位相差板42、第2−2位相差板、第2偏光板44を設定する。すなわち、位相差板、偏光板のリタデーションを選択し、配置角を設定する。
次に、光透過領域のみに影響する第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第1偏光板29としてそれぞれ対応する第2−1位相差板42、第2−2の位相差板43、第2偏光板44と同じリタデーションを有する位相差板を用い、かつそれぞれ対応する位相差板、偏光板とでは、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定する。
図3(A)は、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43相互間の光学軸の配置角の関係の第1の例を示している。
図3(B)は、第1の例における印加電圧と光透過率(または光反射率)との関係を示すグラフである。
この第1の例においては、図3(A)に示すように、第1偏光板29の吸収軸は基準方向に対して0度傾斜しており、第2偏光板44の吸収軸は基準方向に対して90度傾斜している。
また、アクティブマトリクス基板20のラビング角は126度であり、対向基板40のラビング角は54度である。
第1の例においては、第1−1位相差板27及び第2−1位相差板42はおおむね4分の1波長(λ/4)の位相差をを有する位相差板からなり、第1−2位相差板28及び第2−2位相差板43はおおむね半波長(λ/2)の位相差を有する位相差板からなっている。
第1−1位相差板27の光学軸の配置角は基準方向に対して105度である。この第1−1位相差板27に対応する第2−1位相差板42の光学軸の配置角は基準方向に対して15度である。このように、第1−1位相差板27と第2−1位相差板42とでは、光学軸の配置角が90度ずれて設定されている。
また、第1−2位相差板28の光学軸の配置角は基準方向に対して165度である。この第1−2位相差板28に対応する第2−2位相差板43の光学軸の配置角は基準方向に対して76度である。このように、第1−2位相差板28と第2−2位相差板43とでは、光学軸の配置角がほぼ90度(正確には、89度)ずれて設定されている。
第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43が上述の第1の例のような関係を有している液晶表示装置を作成し、光透過領域Aを透過した透過光により表示を行った場合のコントラスト比を測定したところ、105であった。
これは、従来の液晶表示装置におけるコントラスト比(100以下)よりも改善された値である。
図4(A)は、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43相互間の光学軸の配置角の関係の第2の例を示している。
図4(B)は、第2の例における印加電圧と光透過率(または光反射率)との関係を示すグラフである。
第2の例では、第2−1位相差板42、第2−2位相差板43、第2偏光板44の位相差板、偏光板のリタデーション、配置角は第1の例と同じである。
残留リタデーションを第1−1位相差板27で補償するため、第1−1位相差板27のリタデーションは第1の例とは中心値を3nmずらしている。しかし、実質的にはほとんど同じである。むしろ、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28の配置角を第1の例とは変えており、それぞれ対応する第2−1位相差板42、第2−2位相差板43に対する配置角のずれは90度からずらして設定している。
この第2の例においては、図4(A)に示すように、第1偏光板30の吸収軸は基準方向に対して−1度傾斜しており、第2偏光板44の吸収軸は基準方向に対して90度傾斜している。
また、アクティブマトリクス基板20のラビング角は126度であり、対向基板40のラビング角は54度である。
第2の例においては、第1の例の場合と同様に、第1−1位相差板27及び第2−1位相差板42はおおむね4分の1波長(λ/4)の位相差をを有する位相差板からなり、第1−2位相差板28及び第2−2位相差板43はおおむね半波長(λ/2)の位相差を有する位相差板からなっている。
第1−1位相差板27の光学軸の配置角は基準方向に対して−2.8度である。この第1−1位相差板27に対応する第2−1位相差板42の光学軸の配置角は基準方向に対して15度である。
前述の第1の例においては、第1−1位相差板27の光学軸の配置角と第1−1位相差板27に対応する第2−1位相差板42の光学軸の配置角とは相互に90度ずれて設定されていたが、第2の例においては、第1−1の位相差板27により残留リターデーションを補償しているため、第1の例の場合とは異なり、第1−1位相差板27と第2−1位相差板42との光学軸の配置角の差は90度にはならない。
また、第1−2位相差板28の光学軸の配置角は基準方向に対して110度である。この第1−2位相差板28に対応する第2−2位相差板43の光学軸の配置角は基準方向に対して76度である。この場合も、前述のように、第1−2位相差板28と第2−2位相差板43との光学軸の配置角の差は90度にはならない。
第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43が上述の第2の例のような関係を有している液晶表示装置を作成し、光透過領域Aを透過した透過光により表示を行った場合のコントラスト比を測定したところ、500であった。
これは、従来の液晶表示装置におけるコントラスト比(100以下)よりも大幅に改善された値である。
図5(A)は、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43相互間の光学軸の配置角の関係の第3の例を示している。
図5(B)は、第1の例における印加電圧と光透過率(または光反射率)との関係を示すグラフである。
第3の例では、第1のステップとして、光反射領域Bにおいて、液晶層50の視角変化によるリタデーションの変化と、位相差フィルムの視角変化によるリタデーションの変化とが、総合的に打ち消しあうように、第2−1位相差板42、第2−2位相差板43、第2偏光板44を設定する。すなわち、位相差板、偏光板のリタデーションを選択し、配置角を設定する。以下では、光反射領域Bのみを形成した場合の効果、すなわち、光透過領域Aが存在しない場合の効果について記す。
図5においては、対向基板40のラビング角を54度とし、液晶層50のツイスト角と液晶層のセルギャップの積Δndの値は約0.27μmとなっている。ツイスト角については±4度程度、Δndの値については、±0.4μm程度の許容範囲がある。即ち、液晶層50のツイスト角は66度乃至74度とすることができ、液晶層50のΔndの値は、0.21μm乃至0.31μmとすることができる。
第2の透明基板41の液晶層50の外側には、第2−1位相差板42、第2−2位相差板43、及び第2偏光板44が順次配置されている。第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43のそれぞれについて、550nmの単色光に対するリタデーションは、145nm乃至180nm及び250nm乃至300nmの範囲におのおの設定されている。
図5に示すように、液晶層50における液晶の配向状態は、対向基板40及びアクティブマトリクス基板20の配向膜に対する配向処理方向によって決められ、対向基板40の界面からアクティブマトリクス基板20の界面に向けて連続的に捻れるように配向されている。第2−1の位相差板42の光学軸、第2の位相差板43の光学軸、第2偏光板44の偏光吸収軸は、液晶層50の対向基板側配向方向と液晶層50のアクティブマトリクス基板側配向方向とを2等分する方向である液晶層50の厚み方向中央部の液晶分子の配向方向に対して直交する方向を基準とし、対向基板40側からアクティブマトリクス基板20側へたどったときの液晶のねじれ方向を正として、それぞれ、配置角α、β、γの角度となるように配置されている。
本実施形態においては、配置角αを−15度乃至15度、配置角βを45度乃至75度、及び配置角γを60度乃至90度とすることにより、観察方向の変化による表示の着色を解消することができる。
本実施形態の光反射領域Bにおいては、電圧無印加時には、明状態を示すノーマリーホワイトの素子であり、入射した光は第2偏光板44、第2−2位相差板43、及び第2−1位相差板42を順次通過することにより、円偏光又は円偏光に近い偏光状態の光に変換され、液晶層50に入射する。対向基板40の共通透明電極(図示せず)を介して液晶層50に電界を作用させることにより、液晶の配向状態を変化させて入射光が反射電極25に反射されて使用者に届く光の強度が変化して表示することができる。
本実施形態においては、第2−1位相差板42および第2−2位相差板43を形成する材料としては、ポリカーボネート系高分子や、ポリサルフォン系高分子や、ノルボルネン系高分子、あるいはポリビニルアルコール系高分子等を使用することができる。
上述のように、本実施形態の構成とすることにより、明るく、高コントラスト比で、ムラのなく、明表示時において視角を変化させても、表示が黄色っぽく着色することがない良好なフルカラー画像を表示することができる光反射領域Bを得ることができる。
次に、第2ステップとして、光透過領域の残留リタデーションを第1−1位相差板27で補償するため、第1−1位相差板27のリタデーションを125nm乃至155nmに設定する。第1−2位相差板28には第2−2位相差板43と同じリタデーションのものを用いる。第1−2位相差板28の配置角も設定する。第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第1偏光板29の配置角は、それぞれ対応する位相差板、偏光板と、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定する。
この第3の例においては、図5(A)に示すように、第1偏光板29の吸収軸は基準方向に対して163度傾斜しており、第2偏光板44の吸収軸は基準方向に対して73度傾斜している。
また、アクティブマトリクス基板20のラビング角は126度であり、対向基板40のラビング角は54度である。
第3の例においても、第1及び第2の例と同様に、第1−1位相差板27及び第2−1位相差板42はおおむね4分の1波長(λ/4)の位相差をを有する位相差板からなり、第1−2位相差板28及び第2−2位相差板43はおおむね半波長(λ/2)の位相差を有する位相差板からなっている。
第1−1位相差板27の光学軸の配置角は基準方向に対して90度である。この第1−1位相差板27に対応する第2−1位相差板42の光学軸の配置角は基準方向に対して0度である。このように、第1−1位相差板27と第2−1位相差板42とでは、光学軸の配置角が90度ずれて設定されている。
また、第1−2位相差板28の光学軸の配置角は基準方向に対して149度である。この第1−2位相差板28に対応する第2−2位相差板43の光学軸の配置角は基準方向に対して59度である。このように、第1−2位相差板28と第2−2位相差板43とでは、光学軸の配置角が90度ずれて設定されている。
第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43が上述の第3の例のような関係を有している液晶表示装置を作成し、光透過領域Aを透過した透過光により表示を行った場合のコントラスト比を測定したところ、800であった。
これは、従来の液晶表示装置におけるコントラスト比(100以下)よりも大幅に改善された値である。
なお、前述の第2の例においては、アクティブマトリクス基板20の第1−1位相差板27により残留リターディーションを補償したが、この第3の例においては、対向基板40の第2−1位相差板42により補償している。
このように、残留リターディーションはアクティブマトリクス基板20の第1−1位相差板27で補償しても良く、あるいは、対向基板40の第2−1位相差板42で補償してもよい。あるいは、アクティブマトリクス基板20の第1−1位相差板27と対向基板40の第2−1位相差板42との双方で残留リターディーションを補償することも可能である。
図6(A)は、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43相互間の光学軸の配置角の関係の第4の例を示している。
図6(B)は、第1の例における印加電圧と光透過率(または光反射率)との関係を示すグラフである。
第4の例では、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第1偏光板29の位相差板、偏光板のリタデーション、配置角は、第1−1位相差板27を除いて、第3の例と同じである。残留リタデーションを第2−1位相差板42で補償するため、第2−1位相差板42のリタデーションを第3の例とは中心値を6度ずらしている。しかし、実質的にはほとんど同じである。むしろ、第1−1位相差板27の配置角を第3の例とは変えており、対応する第2−1位相差板42に対する配置角のずれは90度からずらして設定している。
この第4の例においては、図6(A)に示すように、第1偏光板29の吸収軸は基準方向に対して163度傾斜しており、第2偏光板44の吸収軸は基準方向に対して73度傾斜している。
また、アクティブマトリクス基板20のラビング角は126度であり、対向基板40のラビング角は54度である。
第4の例においても、第1乃至第3の例と同様に、第1−1位相差板27及び第2−1位相差板42はおおむね4分の1波長(λ/4)の位相差をを有する位相差板からなり、第1−2位相差板28及び第2−2位相差板43はおおむね半波長(λ/2)の位相差を有する位相差板からなっている。
第1−1位相差板27の光学軸の配置角は基準方向に対して105度である。この第1−1位相差板27に対応する第2−1位相差板42の光学軸の配置角は基準方向に対して0度である。このように、第1−1位相差板27と第2−1位相差板42とでは、光学軸の配置角が90度以上ずれて設定されている。
また、第1−2位相差板28の光学軸の配置角は基準方向に対して149度である。この第1−2位相差板28に対応する第2−2位相差板43の光学軸の配置角は基準方向に対して59度である。このように、第1−2位相差板28と第2−2位相差板43とでは、光学軸の配置角が90度ずれて設定されている。
第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43が上述の第4の例のような関係を有している液晶表示装置を作成し、光透過領域Aを透過した透過光により表示を行った場合のコントラスト比を測定したところ、330であった。
これは、従来の液晶表示装置におけるコントラスト比(100以下)よりも大幅に改善された値である。
なお、前述の第2の例においては、アクティブマトリクス基板20の第1−1位相差板27により残留リターディーションを補償したが、この第4の例においては、第3の例の場合と同様に、対向基板40の第2−1位相差板42により補償している。
以上のように、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第2−1位相差板42及び第2−2位相差板43における各配置角の関係を上述の第1乃至第4の例の何れかにすることによって、すなわち、第1−1位相差板27及び第2−1位相差板42の間、並びに、第1−2位相差板28及び第2−2位相差板43の間において、基準方向に対する光学軸の配置角がほぼ90度ずれるように設定することにより、従来の液晶表示装置と比較して、光透過領域Aを透過した透過光により表示を行った場合のコントラスト比を大幅に改善することが可能である。
なお、上述の第1乃至第4の例においては、アクティブマトリクス基板20及び対向基板40にそれぞれ2個ずつの位相差板が形成されている場合を想定したが、位相差板の数は2個には限定されない。アクティブマトリクス基板20及び対向基板40にそれぞれ1個ずつの位相差板を形成しても良く、あるいは、それぞれ3個以上の位相差板を形成することも可能である。
本実施形態に係る液晶表示装置10においては、光反射領域Bにおけるセルギャップ、すなわち、液晶層の厚みDrは光透過領域Aにおけるセルギャップ、すなわち、液晶層50の厚みDfよりも大きく設定されている。
なお、光反射領域Bにおける反射電極25は凹凸状をなしているため、光反射領域BにおけるセルギャップDrとしては、光反射領域Bにおける光路長の平均値をとる。
このように、セルギャップDrをセルギャップDfよりも大きく設定するによって、本液晶表示装置における表示の色味を改善すること、すなわち、白の色温度を高くすることができる。反射透過兼用の液晶表示装置では、通常、光反射領域Bの輝度が最大になるようにセルギャップDrを設定する。従って、光透過領域AのセルギャップDfも同じ値にすることによって、光透過領域Aの輝度最大を最大に設定することができる。
図9(A)にセルギャップと透過率との関係をシミュレーションした結果を示す。この結果からは、セルギャップ3.2μmで輝度が最大になる。ただし、印加電圧―透過率特性において、ジャンプが見られるので、セルギャップとしては3μmが望ましい。そこで、光反射領域Aのセルギャップは3μmに設定する。
一方、図9(B)に示すセルギャップと色別の透過率のシミュレーション結果から、光透過領域AのセルギャップDfを3μmより小さく設定すると、青の輝度が向上することが分かる。つまり、セルギャップDfを輝度最大のセルギャップより小さくすることによって、白の色温度を高くすることができる。
また、光反射領域Bにおける反射電極25は凹凸状をなしているため、光反射領域BにおけるセルギャップDrとしては、光反射領域Bにおける光路長の平均値をとる。セルギャップを確保するために、液晶層に球形のミクロパール(ギャップ材料)を入れる場合、光反射領域Bでは、ミクロパールは反射電極25の表面の凹凸より直径の小さい球形を成しているため、光反射領域Bでセルギャップを制御することは難しいが、透過電極26の表面は平坦なため、ミクロパールでセルギャップを容易に制御することができる。
また、セルギャップDrをセルギャップDfとほぼ等しく、あるいは、全く等しく設定することも可能である。既に説明したように、通常、光反射領域Bの輝度が最大になるようにセルギャップDrを設定する。従って、光透過領域AのセルギャップDfも同じ値にすることによって、光透過領域Aの輝度最大を最大に設定することができる。この場合も、平坦な光透過領域Aにおいてセルギャップの制御は容易である。
次いで、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る液晶表示装置10におけるアクティブマトリクス基板20の製造方法を説明する。
先ず、図7(A)に示すように、ガラスからなる第1透明基板21上に、スパッタ法により、クロム膜を成膜する。
次いで、フォトリソグラフィー及びエッチングにより、クロム膜をパターニングし、ゲート配線1(図2参照)及びゲート電極32を形成する。
なお、クロム膜に代えて、モリブデン、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などの抵抗が低く、薄膜形成及びフォトリソグラフィーによるパターニングが容易な金属からなる金属膜を形成してもよい。
また、アルミニウム膜と、その上にチタンなどのバリアメタル膜を形成した積層構造からなる配線膜を形成することもできる。
次いで、CVD法により、ゲート絶縁膜22となる窒化シリコン膜を全面に成膜する。
次いで、ゲート絶縁膜22上に、ドーピングされていない非晶質シリコン膜と、n+型にドーピングされた非晶質シリコン膜とをCVDにより成膜した後、パターニングし、a−Si層33aとn+型a−Si層33bとを形成する。a−Si層33aは薄膜トランジスタ31の能動層となるものであり、n+型a−Si層33bはドレイン電極34及びソース電極35とa−Si層33aとのオーミックコンタクトを確保するためのものである。
この後、a−Si層33a及びn+型a−Si層33b上に、スパッタ法により、クロム膜を成膜し、このクロム膜をパターニングし、ドレイン電極34及びソース電極35を形成する。
次いで、n+型a−Si層33bがエッチングされるガス系によってドライエッチングを行い、ドレイン電極34とソース電極35との間のn+型a−Si層33bを除去する。これは、ドレイン電極34とソース電極35との間をn+型a−Si層33bを介して直接電流が流れることを防止するためである。
次いで、CVD法により、窒化シリコン膜を成膜し、さらに、パターニングすることにより、パッシベーション膜(図示せず)を形成する。このパッシベーション膜はイオンなどの不純物がa−Si層33aに拡散し、薄膜トランジスタ31が動作不良を起こすことを防止するためのものである。
以上の工程により、図7(A)に示すように、第1透明基板21上に薄膜トランジスタ31が形成される。
次いで、図7(B)に示すように、反射電極25に所定の凹凸を形成するための第1の絶縁膜23aを光反射領域Bに形成し、第1の絶縁膜23aよりも高さの高い第1の絶縁膜23bを光透過領域Aに形成する。
次いで、図7(C)に示すように、第1の絶縁膜23a,bに表面形状変換プロセス処理を施し、角部を丸め、なだらかな凸形状にする。
次いで、図7(D)に示すように、第1の絶縁膜23a,bを覆う第2の絶縁膜24を形成するとともに、反射電極25とソース電極35とを接続するためのコンタクトホール36を形成する。
第1の絶縁膜23a,b及び第2の絶縁膜24は表示領域内部の全面に形成し、かつ、表示領域の外縁に位置する画素の外側(図7の左側)において、第1の絶縁膜23aよりも第2の絶縁膜24が外側まで形成されるようにし、第1の絶縁膜23a及び第2の絶縁膜24によって急峻な段差が形成されないようにしている。
第1の絶縁膜23a,bとしては、感光性を有しない樹脂または感光性を有する樹脂の何れをも用いることができる。
感光性を有しない樹脂を用いる場合の形成工程は、(1)第1の絶縁膜23a,bの成膜、(2)第1の絶縁膜23a,bのパターニング用レジストの成膜、(3)露光、(4)現像、(5)第1の絶縁膜23a,bのエッチング、(6)レジスト剥離の各工程からなる。
感光性を有する樹脂を用いる場合の形成工程は、(1)第1の絶縁膜23a,bの成膜、(2)露光、(3)現像の各工程からなり、レジストの成膜及び剥離の工程を省略することができる。
図7(C)に示す表面形状変換プロセス処理においては、摂氏80乃至300度の熱処理を行うことにより、パターニング後の第1の絶縁膜23a,bの表面を溶融させ、滑らかな形状にしている。
ただし、表面形状変換プロセス処理は熱処理に限定されるものではなく、その他の処理、例えば、薬品による溶融処理を用いることもできる。また、第2の絶縁膜24により十分になだらかな表面が形成できる場合には、表面形状変換プロセス処理を施す必要はない。
なお、本実施形態においては、第1の絶縁膜23a,b及び第2の絶縁膜24としては、ポリイミド膜を使用した。ただし、第1の絶縁膜23a,b及び第2の絶縁膜24は同一の有機樹脂材料を用いる必要は必ずしもなく、異なる材料を用いることも可能である。例えば、第1の絶縁膜23a,b及び第2の絶縁膜24として、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂、シリコン窒化膜及びアクリル樹脂、シリコン酸化膜及びポリイミド樹脂などの組み合わせを用いることもできる。
次いで、図8(E)に示すように、ITOなどの透明材料からなる膜26aを成膜した後、この膜26aを覆うようにレジスト(図示せず)を形成し、透明電極26を残す領域のみレジストパターンを形成する。
次いで、このレジストパターンをマスクとして、膜26aをエッチングした後、レジストパターンを除去する。この結果、図8(F)に示すように、透明電極26が形成される。
次いで、全面にモリブデン膜25aとアルミニウム膜25bとを成膜する。これらのモリブデン膜25a及びアルミニウム膜25bを覆うようにレジスト(図示せず)を形成し、反射電極25を残す領域のみレジスタパターンを形成する。
次いで、このレジストパターンをマスクとして、モリブデン膜25a及びアルミニウム膜25bをエッチングした後、レジストパターンを除去する。この結果、図8(G)に示すように、モリブデン膜25a及びアルミニウム膜25bからなる反射電極25が形成される。
図8(G)に示すように、透明電極26の端部の上にモリブデン膜25aを形成し、さらにモリブデン膜25aの上にアルミニウム膜25bを形成することによって、アルミニウム膜25bから成る反射電極と透明電極26を電気的に接続する。アルミニウム膜25bの下地としてモリブデン膜25aを形成して透明電極26と接続するのは、電池効果を防ぐためである。
電池効果防止を確実にするために、図8(G)に示すように、透明電極26上のアルミニウム膜25bの端部はモリブデン膜25aの端部からさらに距離aだけ反射電極側に後退させる。距離aは1μm以上確保することが望ましい。
また、下地のモリブデン膜25aの膜厚は100乃至3000Å、アルミニウム膜25bの膜厚は500乃至5000Åが望ましい。アルミニウム膜25bの膜厚が500Å未満では半透過になり、反射膜として充分機能しない。一方、アルミニウム膜25bの膜厚が5000Åを超えると表面が白濁し、反射率が低下するため、反射膜として充分機能しない。モリブデン膜25aの膜厚を100Å以上にするのは電池効果の防止を確実にするためである。
下地膜としてはモリブデンの他、クロム、チタン、タンタルを用いることもできる。第2の絶縁膜24に有機樹脂材料を用いる場合、これらの金属を下地として用いることにより、第1の絶縁膜24と下地膜25aとの密着性を増すことができる。
以上の工程により、本実施形態に係る液晶表示装置10におけるアクティブマトリクス基板20が形成される。
上述の第1の実施形態に係る液晶表示装置10は各種の電子機器に応用することが可能である。以下、その応用例を挙げる。
図10は、液晶表示装置10を応用した携帯型情報端末250のブロック図である。液晶表示装置10は、本携帯型情報端末250においては、液晶パネル265の構成要素として用いられる。
本携帯型情報端末250は、液晶パネル265、バックライト発生手段266及び映像信号を処理する映像信号処理部267からなる表示部268と、本携帯型情報端末250の各構成要素を制御する制御部269と、制御部269が実行するプログラムあるいは各種データを記憶する記憶部271と、データ通信を行うための通信部272と、キーボードまたはポインターからなる入力部273と、本携帯型情報端末250の各構成要素へ電力を供給する電源部274と、からなっている。
液晶表示装置10を用いた液晶パネル265を用いることにより、表示部268における開口率が改善され、表示部268の輝度を向上させることができる。
また、液晶表示装置10を用いた液晶パネル265は、携帯型パーソナルコンピュータあるいはノート型パーソナルコンピュータあるいはデスクトップ型パーソナルコンピュータのモニタに適用することもできる。
図11は、液晶表示装置10を応用した携帯電話機275のブロック図である。
携帯電話機275は、液晶パネル265、バックライト発生手段266及び映像信号を処理する映像信号処理部267からなる表示部276と、本携帯電話機275の各構成要素を制御する制御部277と、制御部277が実行するプログラムあるいは各種データを記憶する記憶部278と、無線信号を受信するための受信部279と、無線信号を送信するための送信部281と、キーボードまたはポインターからなる入力部282と、本携帯電話機275の各構成要素へ電力を供給する電源部283と、からなっている。
液晶表示装置10を用いた液晶パネル265を用いることにより、表示部276における開口率が改善され、表示部276の輝度を向上させることができる。
なお、上記の実施形態の説明においては、本発明の特徴となる部分について主に説明し、本分野において通常の知識を有する者にとって既知の事項については特に詳述していないが、たとえ記載がなくてもこれらの事項は上記の者にとっては類推可能な事項に属する。
なお、本実施形態においては、第1透明基板21、第1−1位相差板27、第1−2位相差板28、第1偏光板29及びバックライト30はいずれも接しているように表現しているが、実施にあたりこれらの要素が接している必要は特になく、一部又は全部が独立して配置されていても本発明の有効性は損なわれない。
また、このことは対向側の第2透明基板41、第2−1位相差板42、第2−2位相差板43、第2偏光板44においても同様である。
また、本実施形態では、位相差板2枚をそれぞれ液晶層50の上下に用いているが、2枚にする必要はなく、必要に応じてN枚(Nは自然数)を使ってもいい。