JP2011252284A - 建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震以外の通常においても建物の減衰装置を有効活用する。
【解決手段】通常時は、ダンパ74の減衰力を低くし、梁の振動を効果的に減衰することができる。計測した基礎28の振動のレベルが予め設定した基準値を超えた場合や、地震速報を受信した場合には、ダンパ74の減衰力を高めることで、建物10の揺れを効果的に抑える。
【選択図】図2

Description

本発明は、建築物の揺れを低減させる制震手段を備えた建物に関する。
建築物の地震等による揺れを抑えるために、制震手段を備えた建物が提案されている(例えば、特許文献1。)。上記建物では、例えば、床大梁天井大梁との梁軸方向の相対変位を抑制するように、梁同士を部材介して減衰装置で連結しており、地震によって建物が揺れ、床大梁天井大梁とが相対変位した際に、該相対変位を抑えることで建物の揺れを抑えるようにしている。
特開2008―248517号公報。
従来の建物では、減衰装置は地震等の大きな揺れのみを抑えることを目的としており、それ以外の通常時には何ら役目をしておらず、減衰装置の有効活用の点で改善の余地があった。
本発明は上記事実を考慮し、地震以外の通常においても減衰装置を有効活用可能な建物の提供を目的とする。
請求項1に記載の建物は、互いに離間して配置される2つの構造材を互いに連結し、一方の前記構造材と他方の前記構造材との相対変位を抑制する減衰装置を備えた建物であって、建物に設けられて建物の振動を検出する振動検出手段、及び地震速報を受信する地震速報受信手段の少なくとも一方と、前記振動検出手段による振動検出結果、及び前記地震速報の少なくとも一方に基いて前記減衰装置の作動を制御する制御手段と、を有する。
次に、請求項1に記載の建物の作用を説明する。
請求項1に記載の建物は、建物の振動を検出する振動検出手段、及び地震速報を受信する地震速報受信手段の少なくとも一方を備えており、制御手段は、振動検出手段で検出された建物の振動検出結果、及び地震速報の少なくとも一方に基いて減衰装置の作動を制御することができる。
例えば、通常時は、減衰装置の減衰力が小さくなるように減衰装置の作動を制御しておくことで、減衰装置の連結されている第1の構造材または第2の構造材の振動を抑えることが出来る。
一方、振動検出手段で検出された建物の振動レベルが予め設定した基準値を超えた場合や、地震速報受信手段が地震速報を受信した場合には、建物が大きく揺れて建物自体が変形することになるため、制御装置は、減衰装置の減衰力が高くなるように減衰装置の作動を制御して一方の構造材と他方の構造材との相対変位を抑制する。これにより、建物の揺れを低減することができる。
構造材とは、例えば、床大梁、天井大梁を上げることができるが、柱等、梁以外の部材であっても良い。
このように、請求項1に建物では、通常時、及び地震時の双方において、減衰装置を有効利用することができる。
なお、建物は、振動検出手段、及び地震速報受信手段の少なくとも一方を備えていれば良く、両方備えていても良い。
振動検出手段と地震速報受信手段の両方を備えている場合には、制御装置は、何れか早い方の情報に基いて減衰装置を制御することが好ましい。
例えば、震源地から建物の場所が遠く離れている場合には、建物が揺れる前に地震速報を受信することができ、建物が揺れる前に減衰装置の作動を制御することができる。
また、震源地に建物が位置している場合等では、振動検出手段が建物の振動を検出する方が、地震速報よりも早い場合があるので、このような場合には、振動検出手段による建物の振動検出結果に基いて減衰装置の作動を制御する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物において、妻方向に延びる前記2つの構造材の相対変位を制御する減衰装置と、桁方向に延びる前記2つ構造材の相対変位を制御する減衰装置と、を備え、前記振動検出手段は、妻方向の振動と桁方向の振動を検出し、前記制御手段は、前記振動検出手段による妻方向の振動検出結果に基いて前記妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を制御すると共に、前記振動検出手段による桁方向の振動検出結果に基いて前記桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を制御する。
次に、請求項2に記載の建物の作用を説明する。
請求項2に記載の建物では、制御装置は、妻方向の振動検出結果に基いて妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を制御し、桁方向の振動検出結果に基いて桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動をすることができる。
制御装置は、例えば、地震時等では、妻方向の振動検出結果に基いて妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の減衰力を高くし、該減衰装置の連結されている第1の構造材と第2の構造材との相対変位を抑制し、桁方向の振動検出結果に基いて桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の減衰力を高くして、該減衰装置の連結されている第1の構造材と第2の構造材との相対変位を抑制することができ、地震時等において、建物の妻方向、及び桁方向の揺れを抑制することができる。
一方、通常時は、妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の減衰力を小さくして、該減衰装置の連結されている第1の構造材又は第2の構造材の振動を抑制し、桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の減衰力を小さくして、該減衰装置の連結されている第1の構造材又は第2の構造材の振動を抑制することができる。
また、妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動と、桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を夫々独立で制御できるので、相対変位の大きさに応じて、例えば、一方の減衰装置は減衰力を小さくして第1の構造材又は第2の構造材の振動を抑え、他方の減衰装置は減衰力を高くして第1の構造材と第2の構造材との相対変位を抑える、といった制御もでき、建物の揺れを抑えつつ、第1の構造材又は第2の構造材の振動を抑えることもできる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の建物において、前記制御手段は、通常時は減衰力が低くなるように前記減衰装置の作動を制御し、予め設定した基準値を超えた振動を前記振動検出手段が検出した際に前記減衰装置の減衰力が高くなるように前記減衰装置の作動を制御する。
次に、請求項3に記載の建物の作用を説明する。
請求項3に記載の建物では、地震等で予め設定した基準値を超えた振動を振動検出手段が検出した際には、制御装置は、減衰力が高くなるように減衰装置の作動を制御し、建物の揺れを抑制するモードとする。一方、通常時(振動検出手段が検出した振動が、予め設定した基準値以下の時(振動零も含む))は、制御装置は、減衰力が低くなるように減衰装置の作動を制御し、振動を抑制するモードとする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の建物において、前記減衰装置は、一方の構造材に連結される第1の部材と、他方の構造材に連結される第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在して温度変化によって粘度が変化する粘性流体と、前記粘性流体の温度を変更する温度変更手段を含んで構成され、前記制御手段は、前記温度変更手段を制御することで前記減衰装置の減衰力を変更する。
次に、請求項4に記載の建物の作用を説明する。
請求項4に記載の建物の減衰装置は、第1の部材と第2の部材との間に粘性流体が介在しているので、一方の構造材と他方の構造材とが相対変位することで第1の部材と第2の部材との間の粘性流体に減衰力となる剪断抵抗が生じ、第1の構造材と第2の構造材との相対変位が抑えられる。
粘性流体は、温度変化によって粘度が変化するものが用いられているので、粘性流体の温度を変更することで粘性流体の粘度、即ち、減衰装置の減衰力を変更することができる。例えば、粘性流体は、温度を上げることで粘度が低下し、温度を下げることが粘度が高くなるので、粘性流体の温度を下げることで減衰装置の減衰力を上げることができ、粘性流体の温度を下げることで減衰装置の減衰力を上げることができる。
したがって、制御手段は、温度変更手段で粘性流体の温度を変更することで、減衰装置の減衰力を容易に変更することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の建物において、前記一方の構造材と前記他方の構造との相対変位量を検出する変位センサを備え、前記制御装置は、前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えた場合に表示装置に表示を行う。
次に、請求項5に記載の建物の作用を説明する。
請求項5に記載の建物では、変位センサが、一方の構造材と他方の構造との相対変位量を検出する。制御装置は、変位センサで計測した一方の構造材と他方の構造との相対変位量が予め設定した基準値を超えた場合に、表示装置に表示を行う。
例えば、地震後に計測した一方の構造材と他方の構造との相対変位量が、予め設定した基準値を超えている場合には、地震によって一方の構造材と他方の構造とが地震前に比較してずれていることになるので、地震によって建物が変形(塑性変形)し、場合によっては損傷していることになる。
したがって、建物の居住者は、表示装置を見ることで、建物全体を点検しなくても建物が変形ないし損傷していることを把握できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の建物において、前記制御装置は、前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えた場合に、予め設定された通信相手に対して前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えたことを通信手段を用いて通信する。
次に、請求項6に記載の建物の作用を説明する。
変位センサで計測した一方の構造材と他方の構造材との相対変位量が、予め設定した基準値を超えた場合には、制御装置は、予め設定された通信相手に対して変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えたことを通信手段を用いて自動的に通信する。
通信相手は、通信を受信することで、変位センサで計測される一方の構造材と他方の構造材との相対変位量が、予め設定した基準値を超えていること、即ち、建物が変形乃至損傷していることが分かる。
例えば、通信相手を、建物の建築業者や建物の販売業者とすることで、建物の居住者から連絡がなくても、建築業者や販売業者は、建物が地震等によって変形乃至損傷していることを把握でき、建物のメンテナンス等を行う際に役立つ。
以上説明したように請求項1に記載の建物によれば、減衰装置は、地震等による建物の揺れを抑えるのみならず、通常時の構造材の振動をも抑えることが可能であり、減衰装置の有効利用を図ることが出来る。
請求項2に記載の建物によれば、妻方向の揺れ及び桁方向の揺れを各々独立して抑制することができ、建物の揺れ及び振動を同時に抑制することが可能となる。
請求項3に記載の建物によれば、振動検出手段が建物の振動をリアルタイムで検出することができるので、振動検出手段による振動検出結果に基いて減衰装置の作動を確実に制御することができる。
請求項4に記載の建物によれば、減衰装置の減衰力を、粘性流体の温度を変更することで容易に変更することができる。また、減衰力を変更可能な調整装置を備えた特殊な減衰装置を用いず、粘性流体で減衰力を発生する一般的な減衰装置に、例えば、ペルチェ素子等の温度変更手段を取り付けることで本発明の構成を容易に実現できる。
請求項5に記載の建物によれば、表示装置を見ることで、建物全体を目視等で点検しなくても建物が変形ないし損傷しているか否かを把握できる。また、建物が変形ないし損傷しているかが即座に分かるので、建物のメンテナンスを促すことが可能なる。
請求項6に記載の建物によれば、建物が変形乃至損傷したことを通信相手に知らせることができ、これにより通信相手は、建物のメンテナンスを行う際の判断材料等とすることができる。
建物ユニットを複数連結して構成された本発明の実施形態に係る建物の斜視図である。 制震装置の正面図である。 ダンパの一部を断面にした正面図である。 制御装置の概略構成を示すブロック図である。 固定外筒(粘性流体)の温度と減衰力との関係を示すグラフである。 他の実施形態に係る制震装置の正面図である。
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る建物の一実施形態について説明する。
(本実施形態に係る建物の全体構成)
図1には、本発明の適用された建物10が示されている。本実施形態の建物10は、複数個の建物ユニット60からなる2階建てのユニット建物である。
なお、説明の便宜上、建物ユニット60の各部材に名称付けをしておく。建物ユニット60は、4本の柱32と、互いに平行に配置された長短二組の天井大梁42、44と、これらの天井大梁42、44に対して上下に平行に配置された長短二組の床大梁52、54とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。但し、ユニット構成は上記に限られることなく、他の箱形の架構構造としてもよい。本実施形態では、天井大梁42、44、及び床大梁52、54に、断面コ字形状のチャンネル鋼(溝形鋼)が用いられている。
建物ユニット60は、矩形枠状に組まれた天井フレーム62と床フレーム64とを備えており、これらの間に4本の柱32が立設される構成となっている。天井フレーム62は四隅に天井仕口部(柱)66を備えており、この天井仕口部66に長さが異なる天井大梁42、44の長手方向の端部が溶接されている。
同様に、床フレーム64は四隅に床仕口部(柱)68を備えており、この床仕口部68に長さが異なる床大梁52、54の長手方向の端部が溶接されている。
そして、上下に対向して配置された天井仕口部66と床仕口部68との間に、柱32の上下端部が溶接により剛接合されて及びボルトにより仮固定されて建物ユニット60が構成される。
なお、各建物ユニット60は、基礎28(図2参照)の上に搭載され、床大梁52、及び床大梁54が基礎28に設けられたアンカーボルト(図示省略)で基礎28に固定されている。なお、
(制震装置)
本実施形態の建物10の建物ユニット60に設けられている制震装置22について説明する。図1、及び図2に示すように、本実施形態の1階の建物ユニット60には、床大梁52と天井大梁42との間、及び天井大梁44と床大梁54との間に制震装置22が取り付けられている。
なお、以下に、代表して1階の床大梁52と天井大梁42との間に設置される制震装置22を説明する。本実施形態の制震装置22は、以下に説明する、固定フレーム12、ダンパ74、第1のダンパ取付部材70、第2のダンパ取付部材72、サブフレーム76、振れ止めブラケット78等から構成されている。
図2に示すように、天井大梁42の下面に、制震装置22を構成する固定フレーム12が取り付けられている。固定フレーム12は、鉛直方向に延びる鋼製の第1の柱部材14、及び第1の柱部材14に対して傾斜する第2の柱部材16備えている。第2の柱部材16の下端は、第1の柱部材14の側面下側に溶接されている。なお、固定フレーム12の形状は他の形状であっても良い。
第1の柱部材14の上端には、天井大梁42に取り付けるためのフランジ板20が溶接されている。なお、第2の柱部材16の上端にも同様のフランジ板20が溶接されている。
1階の天井大梁42の内部には、鋼板で形成された枠形のブラケット26が挿入されており、ブラケット26の上面は天井大梁42の上側板部分42A、ブラケット26の下面は天井大梁42の下側板部分42Bに密着して天井大梁42を補強している。
2階の床大梁52の内部にもブラケット26が挿入されており、ブラケット26の上面は床大梁52の上側板部分52A、ブラケット26の下面は床大梁52の下側板部分52Bに密着して床大梁52を補強している。
フランジ板20、天井大梁42の下側板部分42B、及び天井大梁42のブラケット26の下部は、図示しないボルトで互いに連結されている。天井大梁42と床大梁52との間にはスペーサー53が配置されており、天井大梁42のブラケット26の上部、天井大梁42の上側板部分42A、スペーサー53、2階の床大梁52の下側板部分52B、及び床大梁52のブラケット26の下部は、図示しないボルトで互いに連結されている。また、2階の床大梁52のブラケット26の上部は、上側板部分52Aに図示しないボルトで固定されている。
第1の柱部材14の下端付近の側面には、第1のダンパ取付部材70が図示しないボルトで固定されている。一方、1階の床大梁52の上面には、サブフレーム76が固定されており、図3に示すように、サブフレーム76の上端側の側面には、第2のダンパ取付部材72がボルト80で固定されている。
図2に示すように、1階の床大梁52の内部には、2階の床大梁52と同様のブラケット26が挿入されており、ブラケット26の上面は床大梁52の上側板部分52A、ブラケット26の下面は床大梁52の下側板部分52Bに密着して床大梁52を補強している。
ブラケット26の上部と床大梁52の上側板部分52A、及びサブフレーム76は図示しないボルトで固定されている。本実施形態では、ブラケット26の下部と床大梁52の下側板部分52Bとは基礎28に設けられた図示しないアンカーボルトで固定されている。
床大梁52の上面には、第1の柱部材14の下方に、振れ止めブラケット78が図示しないボルトで取り付けられている。振れ止めブラケット78は、第1の柱部材14の下端側の一部分を挟み込む格好のコ字形状を呈しており、第1の柱部材14の下端側の一部分は、振れ止めブラケット内に梁長手方向に沿ってスライド自在に挿入されて固定フレーム12が面外方向(図2の紙面裏表方向)へ倒れることを防止している。
図2、及び図3に示すように、第1のダンパ取付部材70と第2のダンパ取付部材72との間にはダンパ74が水平に配置されている。ダンパ74は、第1のダンパ取付部材70と第2のダンパ取付部材72との相対変位(床大梁52の軸方向、及び天井大梁42の軸方向の相対変位であって、図2、3では、矢印A方向の相対変位。)時に減衰力を発生するものである。
(ダンパの構成)
図3にしたがって、本実施形態のダンパ74の構成を以下に説明する。
図3に示すように、このダンパ74は、中空部を有して筒状に形成された固定外筒82と、この固定外筒82の中空部内に収容されると共に、固定外筒82に対して回転自在に支承された回転内筒86と、先端部がこの回転内筒86に挿入されたボールネジ軸88と、このボールネジ軸88に螺合する固定されたナット90を備えている。
固定外筒82の一端にはピン受け92が固定されており、固定外筒82は、ピン受け92に支持されたピン48を介して第1のダンパ取付部材70に揺動自在に連結されている。なお、ピン受け92、ピン48、及び第1のダンパ取付部材70によって一種のクレビスジョイントが構成されている。
一方、ボールネジ軸88の基端部にはピン受け94が固定されており、ボールネジ軸88は、ピン受け94に支持されたピン48を介して、第2のダンパ取付部材72に揺動自在に支持されている。なお、ピン受け94、ピン48、及び第2のダンパ取付部材72によって一種のクレビスジョイントが構成されている。
固定外筒82は、一定内径の内周壁を有して筒状に形成されると共に、一端は隔壁98によって閉塞されており、全体としては有底筒状に形成されている。また、固定外筒82の隔壁98と反対側における開放された他端部には回転ベアリング100の外輪が固定されており、この回転ベアリング100を介して中空部内に回転内筒86が支承されている。
一方、回転内筒86は、固定外筒82の内径よりも小さな外径を有して筒状に形成されており、回転ベアリング100によって固定外筒82の中空部内に回転自在に支承されている。また、この回転内筒86は固定外筒82の隔壁98に対向する底板102を有しており、全体としては固定外筒82よりも小さな有底筒状に形成されている。
底板102と反対側における開放された回転内筒86の端部には回転ベアリング100の内輪が固定され、内輪に円筒状のブラケット104を介してナット90が固定されている。したがって、ナット90の回転がブラケット104及び回転ベアリング100の内輪を介して回転内筒86に伝達される。なお、内輪にナット90を直接固定しても良い。
このナット90が螺合したボールネジ軸88は、その外径が回転内筒86の内径よりも小さく設定されており、ナット90を貢通したボールネジ軸88の先端が回転内筒86の中空部内に挿入されている。
回転内筒86の外周面と固定外筒82の内周面とは所定の隙間を介して対向しており、これらの間には粘性流体が充填される円筒状作用室106が形成されている。回転内筒86の底板102と固定外筒82の隔壁98とは所定の隙間を介して対向しており、これらの問にも粘性流体が充填されている。
また、固定外筒82の内周部には、回転ベアリング100に隣接してリング状のシール部材108が嵌められており、シール部材108は回転内筒86の外周面に接して円筒状作用室106に封入された粘性流体が外部に漏れだすのを防止している。
ボールネジ軸88の外周面には螺旋状のボール転動溝が形成されており、ナット90はボール転動構を転動する多数のボール(図示せず)を介してボールネジ軸88に螺合しており、これらナット90とボールネジ軸88で所謂ボールスクリューを構成している。ナット90はボールネジ軸88の軸方向に沿った進退運動を回転内筒86の回転運動に変換している。
このように構成された本実施形態のダンパ74は、ボールネジ軸88の端部側が固定されたサブフレーム76に対し、固定外筒82の端部側が固定された第1のダンパ取付部材70がダンパ軸方向に沿って相対変位すると、かかる相対変位は固定外筒82に対するボールネジ軸88の軸方向への進退運動となり、この進退運動に伴ってナット90の固定された回転内筒86が固定外筒82の中空部内でボールネジ軸88の周囲を回転することになる。
回転内筒86が固定外筒82に対して回転すると、円筒状作用室106の粘性流体に対して剪断力が作用し、回転内筒86の運動エネルギが粘性流体の熱エネルギに変換されて消費され、回転内筒86の運動エネルギが減衰され、これにより、梁長手方向の相対変位を減衰される。
なお、固定外筒82に対して回転内筒86が回転すると、円筒状作用室106の粘性流体が剪断摩擦力によって発熱し、かかる粘性流体の体積は膨張する。このような粘性流体の体積変化を吸収するために、固定外筒82の上部に、円筒状作用室106と連通するバッファタンク110が設けられている。なお、バッファタンク110には、所定量の粘性流体が貯められている。
固定外筒82の外周面には、固定外筒82の温度を計測する温度センサ112と、固定外筒82の加熱、及び冷却を行うペルチェ素子114が取り付けられている。
温度センサ112は、ダンパ内部の粘性流体の温度を固定外筒82を介して間接的に計測する。なお、温度センサ112は、回転内筒86に干渉しなければ固定外筒82の内部に設けても良い。
また、ダンパ74には、ペルチェ素子114の外周全体を覆うような断熱材を設けても良い。これにより、粘性流体を効率的に冷却又は加熱することができる。
図2に示すように、本実施形態では、基礎28に振動センサ116が取り付けられている。本実施形態の振動センサ116は、基礎28の桁方向の振動、及び妻方向の振動を検出可能な、いわゆる2方向(2軸)振動センサであるが、この振動センサ116の代わりに、例えば、桁方向の振動のみを検出する振動センサと、妻方向の振動のみを検出する振動センサの2つの振動センサを用いても良く、3方向(3軸)振動センサを用いても良い。
図3に示すように、サブフレーム76には、変位センサ118が取り付けられている。変位センサ118は、固定外筒82に取り付けられた反射部材120に向けて光ビームを出射し、反射した光ビームを受光することで、変位センサ118から反射部材120までの距離を測定することができる。
なお、本実施形態では、変位センサ118に光学式のものを用いたが、距離を測定可能なセンサであれば特に形式を問わず、光学式以外の他の形式の距離センサー等を用いても良い。
温度センサ112、ペルチェ素子114、振動センサ116、及び変位センサ118は、制御装置130に接続されている。
制御装置130は、振動センサ116で検出した基礎28の振動、及び温度センサ112で検出した固定外筒82の温度に基いて、ペルチェ素子114に印加する電圧を制御することができる。
図9に示すように、粘性流体の温度が低くなると粘性流体の粘度が高くなるため減衰力は大となり、粘性流体の温度が高くなると粘性流体の粘度が低下するので減衰力が低下する。したがって、本実施形態では、ダンパ74の粘性流体の温度を変更することでダンパ74の減衰力が変更可能となっている。
粘性流体としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル等を用いることができる。粘性流体の粘度を迅速に変更するためには、粘性流体自身の温度変化を迅速に行うことが必要である。内外筒間に介在する粘性流体の温度変化を迅速に行うには、粘性流体よりも熱伝導率の高い物質、例えば、金属粉等を粘性流体に分散させることが好ましい。
(制御装置)
制御装置130はコンピュータ等を含んで構成されており、温度センサ112からの温度検出データ、振動センサ116からの振動検出データ、及び後述する地震速報データが入力されるデータ取り込み/変換部136、入力したデータを処理するデータ処理部138、入力したデータを管理する管理部140、時計部142、予め設定した各種基準等が記憶された判断基準データベース144、制御装置130の種々の設定を行う各種設定部146、メッセージ等を表示する表示部148、外部とのデータの送受信を行う送受信部150、ペルチェ素子114を制御するペルチェ素子制御部152等を備えている。
時計部142は、年、月、日、時、分、秒のカウントを行う。
データ処理部138は、ダンパ74の温度の監視、変位センサ118から反射部材120までの距離の監視、地震速報の解析、建物10の振動の監視等を行う。
変位センサ118から反射部材120までの距離の監視は、新築時の距離から現在の距離がどの程度ずれているかを監視することであり、そのずれが、判断基準データベース144に予め設定しておいた基準値を超えた場合にデータ処理部138は建物10が変形ないし損傷していると判断する。
振動の監視とは、振動センサ116で基礎28の振動を常時監視することであり、データ処理部138は、基礎28の振動(揺れ)が予め設定された基準を超えているか否かの判断を行う。
管理部140は、各センサで計測した値等の(履歴)記録を行う。
制御装置130は、各種設定部146にて制御装置130の各種設定、基準の記憶等を行う。
判断基準データベース144には、図9に示すような、固定外筒82の温度(粘性流体の温度)とダンパ74の減衰力との関係、及び後述するダンパ74の第1の減衰力A及び第2の減衰力B、固定外筒82の第1の温度a及び第2の温度b等が記憶されている。
送受信部150は、例えば、監視結果等を、予め設定した通信相手(例えば、建物の施工業者、建物販売会社、管理センター等)に対して、インターネット、電話回線等の通信回線(有線、無線)を用いて送信することができ、通信相手から送信されたデータを受信することもできる。
ペルチェ素子制御部152は、ペルチェ素子114に印加する電圧を制御する。
(作用)
以下に、本実施形態の建物10の作用を説明する。
本実施形態の制御装置130は、基礎28の妻方向、及び桁方向の振動を常時監視している。
計測した基礎28の振動のレベルが予め設定した基準値以下の場合、即ち、通常時は、制御装置130は制震装置22の取り付けられている、例えば、天井大梁42、44の振動を減衰するためにダンパ74の減衰力を、第1の減衰力A(図5参照)に設定する。制御装置130は、ダンパ74の減衰力を第1の減衰力Aとするために、固定外筒82の温度を温度センサ112で計測し、ペルチェ素子114に印加する電圧をフィードバック制御してダンパ74の固定外筒82の温度を予め設定した第1の温度aとする。
第1の温度aは、図5に示すような判断基準データベース144に予め設定されているものである。なお、第1の温度aは制御装置130において任意に設定可能である。したがって、通常時は、低い減衰力に設定されたダンパ74によって、例えば、2階の床の振動に起因する天井大梁42、44の振動を効果的に減衰することが可能となる。
また、地震発生時に、地震速報を受信、または基礎28の揺れが基準値を超えた場合には、制御装置130は、何れか早い方の情報に基いてダンパ74の減衰力を高める。
例えば、地震速報が先に受信された場合には、制御装置130は、全てのダンパ74において、固定外筒82の温度が予め設定した第2の温度b(第1の温度aよりも低温)となるように、固定外筒82の温度を温度センサ112で計測し、ペルチェ素子114に印加する電圧をフィードバック制御する。したがって、地震時は、高い減衰力に設定されたダンパ74によって、建物10の揺れを効果的に減衰することが可能となる。なお、ここでの高い減衰力とは、予め想定した規模の地震時において、梁、柱等の構造材が破壊されないように建物10の揺れを効果的に減衰可能な値に設定するのは勿論のことである。
建物10の位置が震源地から遠い場合には、振動センサ116が振動を検出する前に地震速報を受信するため、このような場合には、建物10が大きく揺れる前に、ダンパ74の減衰力を高くすることができる。
一方、地震速報よりも先に振動センサ116によって振動が検出された場合を以下に説明する。例えば、建物10の位置が震源地にある場合等では、振動センサ116による振動の検出が、地震速報の受信よりも先になる場合が考えられる。
制御装置130は、振動センサ116によって建物10の妻方向、及び桁方向の振動を常時計測しているので、例えば、妻方向の振動が、予め設定した基準値を超えた際には、制御装置130は地震等によって建物10が妻方向に大きく揺れていると判断し、妻方向に延びる天井大梁44と床大梁54とを連結するダンパ74の減衰力を高める。制御装置130は、固定外筒82の温度が第2の温度bとなるようにペルチェ素子114に印加する電圧をフィードバック制御する。これにより、ダンパ74は、妻方向に延びる天井大梁44と床大梁54との相対変位を効果的に抑え、建物10の損傷を抑えるべく建物10の妻方向の揺れを効果的に抑えることができる。
一方、桁方向の振動が、予め設定した基準値を超えた際には、制御装置130は地震等によって建物10が桁方向に揺れていると判断し、桁方向に延びる天井大梁42と床大梁52とを連結するダンパ74の減衰力を高めるべく、該ダンパ74の固定外筒82の温度を第2の温度bとなるようにペルチェ素子114に印加する電圧をフィードバック制御する。これにより、ダンパ74は、桁方向に延びる天井大梁42と床大梁52との相対変位を効果的に抑え、建物10の損傷をおさえるべく建物10の桁方向の揺れを効果的に抑えることができる。
なお、地震時に、妻方向の振動が予め設定した基準値を超えており、桁方向の振動が予め設定した基準値以下の場合には、桁方向に延びる天井大梁42と床大梁52とを連結するダンパ74は、固定外筒82の温度が第1の温度aのままであり、減衰力は低く設定されているので、例えば、桁方向に延びる天井大梁42の地震に起因する異音の原因となる振動を抑制することができ、異音により居住者が不安感を抱かないようにする効果がある。
同様に、地震時に、桁方向の振動が予め設定した基準値を超えており、妻方向の振動が予め設定した基準値以下の場合には、妻方向に延びる天井大梁44と床大梁54とを連結するダンパ74は、固定外筒82の温度が第1の温度aのままであり、減衰力は低く設定されているので、例えば、妻方向に延びる天井大梁44の地震に起因する異音の原因となる振動を抑制することができる。
このように、本実施形態の建物10では、各ダンパ74の減衰力を上記の様に変更することで、地震時のみならず通常においてもダンパ74を活用しており、ダンパ74が有効利用されている。
なお、建物10の揺れが収まった後、建物10に異常がなければ、妻方向に延びる天井大梁44と床大梁54との軸方向の位置関係、及び桁方向に延びる天井大梁42と床大梁52との軸方向の位置関係は地震前の状態に戻るはずであるが、これらの位置関係、即ち
、変位センサ118から反射部材120までの距離が地震前と変わると、建物10が塑性変形等していることとなる。
本実施形態では、変位センサ118から反射部材120までの距離が、判断基準データベース144に予め設定しておいた基準値を超えた場合にデータ処理部138は建物10が変形ないし損傷していると判断し、制御装置130は、表示部148に建物10の損傷、損傷箇所(ダンパ74の位置)等を示唆するメッセージを表示させると共に、送受信部150を用いて損傷箇所、ずれた距離のデータ等を通信相手に送信する。
これにより、建物10の居住者は、表示部148を見ることで、建物10の損傷箇所を容易に把握することができる。
一方、通信相手、例えば、建物10の施工業者、販売会社、管理を行う管理センター等は、送信されたデータを受信することで、建物10の居住者から連絡が無くとも建物10が損傷している事が分かる。管理センター等の通信相手は、制御装置130の取り付けられた複数の建物10を管理し、各建物10から送信されたデータを受信することで、建物10の特定と、建物10の損傷箇所及び損傷程度を把握でき、受信したデータを利用して、例えば、損傷箇所の損傷レベルに応じてメンテナンス業者の訪問宅の優先順位等を決定することができる。
本実施形態の制震装置22は、固定フレーム12を天井大梁に取り付け、サブフレーム76を床大梁に取り付けている。床大梁52と基礎28とは緊結されているので、地震時に床大梁52と基礎28とが相対移動することは無いが、床大梁52に対して天井大梁42は梁長手方向に相対移動する。
地震により、固定フレーム12は天井大梁42と共に変位するが、固定フレーム12の下端はダンパ74を介して床大梁52のサブフレーム76に連結されているので、固定フレーム12からサブフレーム76に伝達される力は、ダンパ74によって吸収され、サブフレーム76が固定フレーム12から受ける力は小さいものとなる。したがって、図2に示すように、床大梁52のサブフレーム取り付け部分は、天井大梁42の固定フレーム取り付け部分に比較して補強が少なくて済む。
なお、ダンパ74が作動している際に、床大梁52や天井大梁42が変形すると、その分、ダンパ74に入力させる力が減少し、建物10の揺れを抑える効果が減少してしまう。
本実施形態の建物10は、予め制震装置22を設けているので、1階の床大梁52の内部に設けたブラケット26を基礎28のアンカーボルトで床大梁52に固定しているが、リフォーム等で制震装置22を後から取り付ける場合には、床大梁52の内部にブラケット26を追加はするものの、ブラケット26によって床大梁52の補強は十分であり、ブラケット26をアンカーボルトで基礎28に固定しなくても床大梁52の変形は十分に抑えられる。
基礎28の上には床大梁が配置されているため、既存の建物の基礎にアンカーボルトを新設することは困難である。建物10に制震装置22を追加する場合、本実施形態の様にサブフレーム76を床大梁に取り付ければ、制震装置22の取り付け部分にアンカーボルトを新設する必要が無く、リフォーム等で制震装置22を容易に取り付けることができる。
即ち、大規模な工事(基礎破壊、基礎増設、建物移動等)無しで、既存の建物10に制震装置22を取り付けることができる。また、本実施形態の制震装置22は、組み付けの際に、室内側から行うことが出来るため、足場を必要とせず施工ができる。例えば、制震装置22を取り付ける部分の、内壁除去、一部の天井板、一部の床板等を外すのみで制震装置22を組み付け可能であるため、施工が短時間で済み、住み替えの必要も無い。
本実施形態では、ダンパ74を床大梁52,54に近い部分に設けているため、梯子等を必要とせず、ダンパ74のメンテナンス作業等を容易に行うことが出来る。
また、本実施形態では、下階の天井大梁42,44と上階の床大梁52,54を連結して梁剛性を高めているので、例えば、上階の歩行振動を低減することが可能である。
本実施形態の固定フレーム12では、第1の柱部材14の上端部を1階の天井大梁42,44に固定したが、図6に示すように、第1の柱部材14を2階の天井大梁42まで延長して2階の天井大梁42に固定することもできる。
また、送受信部150は、通信相手からの通信を受信することもでき、表示部148は、受信した通信内容を表示することもできる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態では、建物10の損傷を梁のずれに基いて間接的に把握したが、これに限らず、建物10の梁、柱等に歪ゲージを貼り付け、歪ゲージで検出した歪のレベルが予め設定した基準レベルを超えた場合に、歪ゲージの取り付けられている箇所が損傷したと判断することもできる。
また、地震波には、P波(縦揺れ)とS波(横揺れ)とがあり、P波の方がS波よりも早く地中を伝達する。また、建物10が大きく揺れるのは主にS波が到達してからであるので、振動センサ116をP波を検出可能な3方向(3軸)振動センサとし、制御装置130は、振動センサ116でP波を検出した際にダンパ74の減衰力を高めるように制御しても良い。これにより、S波が到達する前、即ち、建物10が大きく揺れる前にダンパ74の減衰力を高めることが出来る。
上記実施形態では、ダンパ74の内部に封入している粘性流体の温度を変更することで減衰力を変更した例を示したが、固定外筒82と回転内筒86との間に介在させる粘性流体の量を変更することで、ダンパ74の減衰力を変更することもできる。例えば、内外筒間に粘性流体を供給したり、内外筒間に介在する粘性流体を吸引することで、内外筒間に介在する粘性流体の量を変更する装置を固定外筒82に取り付け、通常時は、固定外筒82と回転内筒86との間に少量の粘性流体を介在させておき、減衰力を高めたい場合には、装置を作動させて固定外筒82と回転内筒86との間に粘性流体を供給し、減衰力を高めることが出来る。なお、装置は、例えば、粘性流体が貯留されるタンク、タンクの粘性流体をダンパ74に供給したり吸引するポンプ、切り替え弁等を含んで構成することができる。なお、制御装置130はポンプ等の作動を制御する。
上記実施形態のダンパ74は、固定外筒82の内部で粘性流体を介して回転内筒86を回転させてダンパ効果を得る構造のものであったが、本発明に用いるダンパはこれに限らず、例えば、磁気粘性流体を用いて減衰力を変更する減衰力可変ダンパ、摩擦力によってダンパ効果を得る可変摩擦ダンパ等、減衰力を可変可能なものであれば上記実施形態以外の構造のものであっても良い。
上記実施形態のダンパ74は、天井大梁と床大梁の相対変位を抑制するように取り付けられていたが、本発明はこれに限らず、建物10が揺れた際に相対変位する2つの構造材を連結するようにダンパ74が設けられていれば良く、ダンパ74を連結する構造材としては、例えば、柱等の梁以外の構造体であっても良い。
上記実施形態では、地震速報と、実際の建物10の振動の両方に基いてダンパ74の制御をおこなったが、何れか一方に基いてダンパ74の制御を行っても良い。
10 建物
42 天井大梁(構造材)
44 天井大梁(構造材)
52 床大梁(構造材)
54 床大梁(構造材)
74 ダンパ(減衰装置)
82 固定外筒(第1の部材)
86 回転内筒(第2の部材)
114 ペルチェ素子(温度変更手段)
116 振動センサ(振動検出手段)
118 変位センサ
130 制御装置
148 表示部(表示装置)
150 送受信部(通信手段)

Claims (6)

  1. 互いに離間して配置される2つの構造材を互いに連結し、一方の前記構造材と他方の前記構造材との相対変位を抑制する減衰装置を備えた建物であって、
    建物に設けられて建物の振動を検出する振動検出手段、及び地震速報を受信する地震速報受信手段の少なくとも一方と、
    前記振動検出手段による振動検出結果、及び前記地震速報の少なくとも一方に基いて前記減衰装置の作動を制御する制御手段と、
    を有する建物。
  2. 妻方向に延びる前記2つの構造材の相対変位を制御する減衰装置と、桁方向に延びる前記2つ構造材の相対変位を制御する減衰装置と、を備え、
    前記振動検出手段は、妻方向の振動と桁方向の振動を検出し、
    前記制御手段は、前記振動検出手段による妻方向の振動検出結果に基いて前記妻方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を制御すると共に、前記振動検出手段による桁方向の振動検出結果に基いて前記桁方向の相対変位を抑制する減衰装置の作動を制御する、請求項1に記載の建物。
  3. 前記制御手段は、通常時は減衰力が低くなるように前記減衰装置の作動を制御し、予め設定した基準値を超えた振動を前記振動検出手段が検出した際に前記減衰装置の減衰力が高くなるように前記減衰装置の作動を制御する、請求項1または請求項2に記載の建物。
  4. 前記減衰装置は、一方の構造材に連結される第1の部材と、他方の構造材に連結される第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に介在して温度変化によって粘度が変化する粘性流体と、前記粘性流体の温度を変更する温度変更手段を含んで構成され、
    前記制御手段は、前記温度変更手段を制御することで前記減衰装置の減衰力を変更する、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の建物。
  5. 前記一方の構造材と前記他方の構造との相対変位量を検出する変位センサを備え、
    前記制御装置は、前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えた場合に表示装置に表示を行う、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の建物。
  6. 前記制御装置は、前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えた場合に、予め設定された通信相手に対して前記変位センサで計測した前記相対変位量が予め設定した基準値を超えたことを通信手段を用いて通信する、請求項5に記載の建物。
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