JP2011251940A - 光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 (ポリ)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法において、前記チオ尿素中のカルシウムの含有量が、0.1重量%以下である、光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 (ポリ)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法において、前記チオ尿素中のカルシウムの含有量が、0.1重量%以下である、光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法、および光学材料用樹脂組成物に関し、さらには、それを用いたプラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録基盤、フィルター等の光学材料に関する。中でも本発明はプラスチックレンズとして好適に使用される。
プラスチック材料は軽量かつ靭性に富み、また染色が容易であることから、各種光学材料、特に眼鏡レンズに近年多用されている。光学材料、中でも眼鏡レンズに最も要求される主な性能は物理的性質として低比重、化学・熱的性質として低黄色度、高耐熱性で、機械特性として高強度等であり、光学性能としては高透明性、高屈折率と高アッベ数である。高屈折率はレンズの薄肉化を可能とし、高アッベ数はレンズの色収差を低減するが、屈折率が高いほどアッベ数は低くなるため、両者を同時に向上させる検討が実施されている。これらの検討の中で代表的な方法としてエピスルフィド化合物を重合硬化させて得られるポリエピスルフィド樹脂が無色透明で高屈折率、高アッベ数であり、衝撃性、染色性、加工性等に優れた光学材料であり、プラスチックレンズに最適な樹脂の一つであることが知られている(特許文献1〜7参照)。
(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法は、従来数多くの方法が知られている。例えば、アルケンを硫化カルボニルを用いて直接合成する方法、ジアゾアルカン化合物に硫黄またはチオケトンを反応させる方法、チオケトンと硫黄イリドを反応させる方法、エポキシ化合物に硫化水素を付加させ再び環化させる方法、エポキシ化合物にチオ尿素、チオシアン酸塩、トリフェニルホスフィンスルフィド、3−メチルベンゾチアゾール−2−チオン等のチア化剤を反応させる方法等が挙げられる。
なかでも、エポキシ化合物にチア化剤としてチオ尿素を反応させエピスルフィド化合物を製造する方法は、その他の製造方法と比較して、収率が高く、副生物が少なく、操作性に優れ、得られた製品の品質が良い場合が多く一般的に最も良く用いられているエピスルフィド化合物の製造方法の一つである(特許文献1、2、4〜6、8参照)。その際、用いられるチオ尿素は、石灰窒素と硫化水素、または水硫化カルシウムから製造される。また、チオ尿素含有溶液を強イオン塩基性イオン交換樹脂により精製することが知られている(特許文献9参照)。
しかしながら、上記製造方法においても得られる(ポリ)エピスルフィド化合物を重合硬化して製造した光学材料が着色、白濁、熱安定性が低下する場合があり、安定した物性を得るための(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法の開発が望まれていた。
特許第3491660号公報 特許第3315090号公報 特許第3738817号公報 特許第3864998号公報 特許第3883272号公報 特許第3987179号公報 特許第4127169号公報 特開2000−186087号公報 特開昭48−49722号公報
そのため、これらの(ポリ)エピスルフィド化合物を重合硬化して製造した光学材料のこのような問題の発生を極力抑え、着色、白濁のない熱安定性に優れたポリエピスルフィド樹脂からなるプラスチックレンズを安定的に世の中へ提供する必要があった。
本発明は、(ポリ)エポキシ化合物をチオ尿素と反応させて得られる(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法に関し、重合硬化して製造した光学材料が着色、白濁のない熱安定性に優れたポリエピスルフィド樹脂となり得る(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法に関する。また、本発明の方法により得られる(ポリ)エピスルフィド化合物からなる重合性組成物を重合させることにより、着色や白濁を抑え、熱安定性に優れた無色透明なポリエピスルフィド樹脂ならびに光学材料として有用なプラスチックレンズを提供するものである。
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリエピスルフィド樹脂の着色、白濁、熱安定性の低下が、(ポリ)エピスルフィド化合物の製造時に使用するチオ尿素の品質に由来することを突き止めた。
そこで、チオ尿素の純度、チオ尿素に含まれる微量の不純物量などの品質が、ポリエピスルフィド樹脂の着色や白濁、熱安定性にどのように影響するかについて鋭意検討を続けた。その結果、チオ尿素に含まれる不純物量が特定量以上である場合に、得られる(ポリ)エピスルフィド化合物を重合硬化して製造した光学材料に着色、白濁が観察され、熱安定性が低下することが判明した。その不純物の特定を鋭意検討した結果、不純物の主成分がカルシウムであることを特定するに至った。その結果、カルシウムの含有量が特定量以下であるチオ尿素を原料として(ポリ)エピスルフィド化合物を製造すれば、これを用いて着色、白濁が抑制され、熱安定性に優れた無色透明なポリエピスルフィド樹脂が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
1)(ポリ)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法において、前記チオ尿素中のカルシウムの含有量が、0.1重量%以下である、光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
2)前記(ポリ)エピスルフィド化合物がβ−エピチオプロピル基を有する鎖状化合物、分岐化合物、脂肪族環状化合物、芳香族化合物またはヘテロ環化合物である、1)記載の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
3)前記(ポリ)エピスルフィド化合物が、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドまたはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドである1)記載の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
4)1)〜3)のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物を含む重合性組成物。
5)1)〜3)のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(a)(ポリ)エピスルフィド化合物と(b)(ポリ)チオール化合物とを含む重合性組成物。
6)(a)請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物と(b)(ポリ)チオール化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を含む重合性組成物。
7)4)〜6)のいずれかに記載の重合性組成物を硬化させて得られる樹脂。
8)7)に記載の樹脂を含む光学材料。
9)7)に記載の樹脂を含むレンズ。
上記8)〜9)において、「樹脂を含む」とは、当該光学材料または当該レンズの全部が当該樹脂で構成されている場合、および、当該光学材料または当該レンズの一部が当該樹脂で構成されている場合の双方を含む趣旨である。
本発明の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法は、工業的に適しており、本発明の製造方法によって得られる光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物からなる重合性組成物を用い、得られるポリエピスルフィド樹脂は着色および白濁が抑制され、熱安定性に優れた無色透明なものである。本発明によれば、光学材料および透明材料として有用な無色透明のポリエピスルフィド系レンズを安定的に提供することができ、当該分野の発展に貢献する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、(ポリ)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法に関する。本発明で使用されるチオ尿素中のカルシウムの含有量は特定量以下である。すなわち、カルシウムの含有量が0.1重量%以下であるチオ尿素が用いられる。
使用されるチオ尿素は、主として、石灰窒素と硫化水素とを反応させて製造される。チオ尿素に含まれる不純物として、未反応である石灰窒素、およびさらに副生される水酸化カルシウム、水硫化カルシウム等が挙げられる。すなわち、カルシウム分がチオ尿素中に特定量を超えて含まれると、得られる(ポリ)エポキシ化合物を重合硬化して得られるポリエピスルフィド樹脂が着色または白濁し、かつ耐熱性が低下する。
本発明に用いるチオ尿素のカルシウムの含有量は、ポリエピスルフィド樹脂の着色、白濁および耐熱性の低下の抑制の観点からは、好ましくは0.0005重量%以上、0.1重量%以下であり、より好ましくは0.0005重量%以上、0.05重量%以下、さらに好ましくは0.0005重量%以上、0.01重量%以下である。
カルシウムの含有量が0.1重量%以下であれば、当該チオ尿素を用いて製造された(ポリ)エピスルフィド化合物は、重合させて得られるポリエピスルフィド樹脂は、着色、白濁および耐熱性の低下が抑制され、無色透明なポリエピスルフィド系レンズとなる。
カルシウムの含有量の測定法は、次のとおりである。チオ尿素を酸性水溶液とした後、ICP発光分光分析法により定量する。
チオ尿素中のカルシウム含有量は、精製、酸処理、再結晶等によりこれを低減し、0.1重量%以下にすることができる。具体的には、カルシウム含有量は、例えば、塩酸、硫酸等による酸処理によって低減することができ、または水系からの再結晶法によっても、低減することができる。
もう一方の原料である(ポリ)エポキシ化合物は、一分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物であり、品質的には特に制限はない。
原料となる(ポリ)エポキシ化合物として、具体的には、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エポキシプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エポキシプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エポキシプロピルチオ)プロパン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,4−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1,3−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ブタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−3−(βエポキシプロピルチオメチル)ブタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ペンタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)ペンタン、1,6−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)ヘキサン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕エタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2−[〔2−(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオエチル〕チオ]エタン、テトラキス(β−エポキシプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(β−エポキシプロピルチオ)−2,2−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4−(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,5ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5−(β−エポキシプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エポキシプロピルチオ)4,7−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕メタン、1,1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオ)アセチルメチル〕プロパン、テトラ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕メタン、1、1,1−トリ〔2−(β−エポキシプロピルチオメチル)アセチルメチル〕プロパン、ビス(5,6−エポキシ−3チアヘキシル)セレニド、2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−セレナ−4−チアヘプチル)−1−(3,4−エポキシ−1−チアブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−2−セレナプロパン、ビス(4,5−チオエピキシ−2−チアペンチル)−3,6,9−トリセレナウンデカン1,11−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、1,4−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−セレナ−4−チアヘプチル)ブタン、トリス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−3−セレナ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、ビス(5,6−エポキシ−3−チアヘキシル)テルレド、2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−テルラ−4−チアヘプチル)−1−(3,4−エポキシ−1−チアブチル)プロパン、1,1,3,3,−テトラキス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−2−テルラプロパン、ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−3,6,9−トリテレラウンデカン−1,11−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、1,4−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−2,3−ビス(6,7−エポキシ−1−テルラ−4−チアヘプチル)ブタン、トリス(4,5−エポキシ2−チアペンチル)−3−テルラ−6−チアオクタン−1,8−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン、ビス〔4(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕メタン、 2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)1,4−ジチアン、2,5−ビス(β−エポキシプロピルチオエチルチオメチル)−1,4−ジチアン、(2,3または2,5または2,6)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1,4−ジセレナン、(2,3または2,5または2,6)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1,4−ジセレナン、(2,4または2,5または5,6)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1,3−ジセレナン、(2,4または2,5または5,6)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1,3−ジセレナン、(2,3または2,5または2,6または3,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−チア−4−セレナン、(2,3または2,5または2,6または3,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−チア−4−セレナン、(2,4または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1、3−ジセレノラン、(2,4または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1、3−ジセレノラン、(2,4または2,5または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−チア−3−セレノラン、(2,4または2,5または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−チア−3−セレノラン、2,6−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル−1,3,5−トリセレナン、ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)トリシクロセレナオクタン、ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチルジシクロセレナノナン、(2,3または2,4または2,5または3,4)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)セレノファン、(2,3または2,4または2,5または3,4)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)セレノファン、2(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−5−(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3または2,4または2,5または2,6または3,4または3,5または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3または2,4または2,5または2,6または3,4または3,5または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−セレナシクロヘキサン、(2,3または2,5または2,6)−ビス(3,4エポキシ−1−チアブチル)−1,4−ジテルラン、(2,3または2,5または2,6)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1,4−ジテルラン、(2,4または2,5または5,6)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1,3−ジテルラン、(2,4または2,5または5,6)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1,3−ジテルラン、(2,3または2,5または2,6または3,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−チア−4−テルラン、(2,3または2,5または2,6または3,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−チア−4−テルラン、(2,4または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1、3−ジテルロラン、(2,4または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1、3−ジテルロラン、(2,4または2,5または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−チア−3−テルロラン、(2,4または2,5または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−チア−3−テルロラン、2,6−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル−1,3,5−トリテルラン、ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチルトリシクロテルラオクタン、ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)ジシクロテルラノナン、(2,3または2,4または2,5または3,4)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)テルロファン、(2,3または2,4または2,5または3,4)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)テルロファン、2−(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−5−(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3または2,4または2,5または2,6または3,4または3,5または4,5)−ビス(3,4−エポキシ−1−チアブチル)−1−テルラシクロヘキサン、(2,3または2,4または2,5または2,6または3,4または3,5または4,5)−ビス(4,5−エポキシ−2−チアペンチル)−1−テルラシクロヘキサン、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオ)ベンゼン、(1,3または1,4)−ビス(β−エポキシプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エポキシプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(βエポキシプロピルチオ)ビフェニルなどが挙げられるが、本発明はこれら例示化合物に限定されるものではない。
本発明において、チオ尿素はこれら(ポリ)エポキシ化合物のエポキシ基数に対応するモル数、すなわち理論量を使用するが、生成物の純度、反応速度、経済性等を重視するのであれば、これ以下でもこれ以上の量を使用してもかまわない。好ましくは理論量〜理論量の5倍モル使用し反応する。より好ましくは理論量〜理論量の2.5倍モルを使用し反応する。
本発明において、チオ尿素とこれら(ポリ)エポキシ化合物とを反応させる溶媒として、チオ尿素が溶解可能な極性有機溶媒と(ポリ)エポキシ化合物が溶解可能な非極性有機溶媒の混合溶媒を使用する。通常、極性有機溶媒/非極性有機溶媒=0.1〜10.0の体積比で使用するが、好ましくは極性有機溶媒/非極性有機溶媒=0.2〜5.0の体積比で使用する。この場合も、体積比が0.1未満の場合はチオ尿素が溶解不十分となり反応が十分進行しないため収率が低下し、10.0を超えるとポリマーの生成が顕著となる。
本明細書でいう有機溶媒とは、極性有機溶媒もしくは非極性有機溶媒のことである。極性有機溶媒とは水溶性有機溶媒のことであり、非極性有機溶媒とは、非水溶性有機溶媒である。極性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のヒドロキシエーテル類等があげられる。非極性有機溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等があげられる。
また、反応液中に酸および/または酸無水物等を重合抑制剤として、添加することは、反応成績を上げる面から有効な手段である。酸と酸無水物等の具体例としては、硝酸、塩酸、過塩素酸、次亜塩素酸、二酸化塩素、フッ酸、硫酸、発煙硫酸、塩化スルフリル、ホウ酸、ヒ酸、亜ヒ酸、ピロヒ酸、燐酸、亜リン酸、次亜リン酸、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、硫化リン、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、青酸、クロム酸、無水硝酸、無水硫酸、酸化ホウ素、五酸化ヒ酸、五酸化燐、無水クロム酸、シリカゲル、シリカアルミナ、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等の無機の酸性化合物、蟻酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ナフテン酸、メチルメルカプトプロピオネート、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンカルボン酸、チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸酢酸、マレイン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、サリチル酸、2−メトキシ安息香酸、3−メトキシ安息香酸、ベンゾイル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ベンジル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸類、モノ、ジおよびトリメチルホスフェート、モノ、ジおよびトリエチルホスフェート、モノ、ジおよびトリイソブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリブチルホスフェート、モノ、ジおよびトリラウリルホスフェート等のリン酸類およびこれらのホスフェート部分がホスファイトとなった亜リン酸類、ジメチルジチオリン酸に代表されるジアルキルジチオリン酸類等の有機リン化合物、フェノール、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、2,6−ジ−t−ブチルエチルフェノール、レゾルシン、ハイドロキノン、フロログルシン、ピロガロール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ヒドロキシフェニル酢酸アミド、ヒドロキシフェニル酢酸メチル、ヒドロキシフェニル酢酸エチル、ヒドロキシフェネチルアルコール、ヒドロキシフェネチルアミン、ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルフェノール、ビスフェノール−A、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビスフェノール−F、ビスフェノール−S、α−ナフトール、β−ナフトール、アミノフェノール、クロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール等のフェノール類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、o−クレゾールスルホン酸、メタニル酸、スルファニル酸、4B−酸、ジアミノスチルベンスルホン酸、ビフェニルスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、ペリ酸、ローレント酸、フェニルJ酸等のスルホン酸類、等があげられ、これらのいくつかを併用することも可能である。添加量は通常反応液総量に対して0.001〜10wt%の範囲で用いられるが、好ましくは0.01〜5wt%である。添加量が0.001wt%以下ではポリマーの生成が顕著となって反応収率が低下し、10wt%以上では収率が著しく低下する。
本発明の製造方法において、反応温度は非常に重要である。具体的には、反応温度は10〜30℃で実施する。反応温度が10℃未満の場合、反応速度の低下に加えてチオ尿素が溶解不十分となり反応が十分進行しないため反応収率が低下し、30℃を超える場合、ポリマーが析出するため反応収率が低下する。反応時間は上記の温度条件下で反応が完結する時間であればかまわないが通常20時間以下が適当である。
反応生成物は酸性水溶液を用いた洗浄によって、得られる化合物の安定性を向上せしめることが可能である。酸性水溶液に用いる酸の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸、ホウ酸、ヒ酸、燐酸、青酸、酢酸、過酢酸、チオ酢酸、蓚酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸等があげられる。また、これらは単独でも2種類以上を混合して用いても良い。これらの酸の水溶液は通常pH6以下で効果を現すが、より効果的な範囲はpH3以下である。
洗浄後の反応混合物中に水や有機溶剤が残存している場合は、これを減圧下で留去することは、得られる光学材料の透明性や耐熱性などの品質を向上させる有効な手段である。減圧下での留去は、通常0.1〜10000Paで10〜100℃で実施する。留去時間は上記の各種条件下で留去が完結する時間であればかまわないが通常24時間以下が適当である。
本発明の製造方法で得られた(ポリ)エピスルフィド化合物を、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶やろ過等のその他のさまざまな精製方法により精製することは、光学材料の品質をさらに高める上から好ましい。
本発明の製造方法では、無色透明で着色の抑制された(ポリ)エピスルフィド化合物が得られる。本発明で製造される(ポリ)エピスルフィド化合物は、一分子中の一部のエポキシ基が未反応で残存していても良く、それらエポキシ基が残存する化合物と(ポリ)エピスルフィド化合物の一種または二種以上を主成分とする混合物でもよい。
本発明の重合性組成物は(ポリ)エピスルフィド化合物中のエピチオ基と反応可能な官能基を1個以上有する化合物、あるいは、これらの官能基1個以上と他の単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物、これらの単独重合可能な官能基を1個以上有する化合物、さらには、エピチオ基と反応可能でかつ単独重合も可能な官能基を1個有する化合物と硬化重合して製造することもできる。これらの化合物の具体例としては、チオール化合物類、エポキシ化合物類、イソ(チオ)シアネート類、カルボン酸類、カルボン酸無水物類、(チオ)フェノール類、アミン類、ビニル化合物類、アリル化合物類、アクリル化合物類、メタクリル化合物類等が挙げられる。
本発明で使用する(b)化合物である(ポリ)チオール化合物としては、メルカプタン類、チオフェノール類、および、ビニル、芳香族ビニル、メタクリル、アクリル、アリル等の不飽和基を有するメルカプタン類、チオフェノール類等があげられる。より具体的には、メルカプタン類としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、アリルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタン、tert−ノニルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、4−クロロベンジルメルカプタン、メチルチオグリコーレート、エチルチオグリコーレート、n−ブチルチオグリコーレート、n−オクチルチオグリコーレート、メチル(3−メルカプトプロピオネート)、エチル(3−メルカプトプロピオネート)、3−メトキシブチル(3−メルカプトプロピオネート)、n−ブチル(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルヘキシル(3−エルカプトプロピオネート)、n−オクチル(3−メルカプトプロピオネート)等のモノメルカプタン類;メタンジチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、 ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェジチオール等のポリメルカプタン類をあげることができる。チオフェノール類としては、チオフェノール、4−ter−ブチルチオフェノール、2−メチルチオフェノール、3−メチルチオフェノール、4−メチルチオフェノール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン等のチオフェノール類をあげることができる。また、不飽和基を有するメルカプタン類、チオフェノール類を以下に具体的に示す。不飽和基を有するメルカプタン類としては、アリルメルカプタン、2−ビニルベンジルメルカプタン、3−ビニルベンジルメルカプタン、4−ビニルベンジルメルカプタン等があげられる。不飽和基を有するチオフェノール類としては、2−ビニルチオフェノール、3−ビニルチオフェノール、4−ビニルチオフェノール等からなる群より選択される一種または二種以上を主成分とする(ポリ)チオール化合物が挙げられるが、これら例示化合物に限定されるものではない。耐熱性の観点から、好ましい化合物は(ポリ)エピスルフィド化合物中のエピチオ基と反応可能な官能基を2個以上有する(ポリ)チオール化合物である。
本発明で使用する(c)化合物である硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物とは、硫黄、硫化水素、二硫化炭素、セレノ硫化炭素、硫化アンモニウム、二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、チオ炭酸塩、硫酸およびその塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、次亜硫酸塩、過硫酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、二塩化硫黄、塩化チオニル、チオホスゲン等のハロゲン化物、硫化硼素、硫化窒素、硫化珪素、硫化リン、硫化砒素、金属硫化物、金属水硫化物等があげられる。これらの中で好ましいものは硫黄、二硫化炭素、硫化リン、硫化セレン、金属硫化物および金属水硫化物であり、より好ましくは硫黄、二硫化炭素および硫化セレンであり、特に好ましくは硫黄である。
セレン原子を有する無機化合物とは、硫黄原子を含む無機化合物の具体例として挙げたセレノ硫化炭素、硫化セレンを除き、この条件を満たす無機化合物をすべて包括する。具体例としては、セレン、セレン化水素、二酸化セレン、二セレン化炭素、セレン化アンモニウム、二酸化セレン等のセレン酸化物、セレン酸およびその塩、亜セレン酸およびその塩、セレン酸水素塩、セレノ硫酸およびその塩、セレノピロ硫酸およびその塩、四臭化セレン、オキシ塩化セレン等のハロゲン化物、セレノシアン酸塩、セレン化硼素、セレン化リン、セレン化砒素、金属のセレン化物等があげられる。これらの中で好ましいものは、セレン、二セレン化炭素、セレン化リン、金属のセレン化物であり、特に好ましくはセレンおよび二セレン化炭素である。これら硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物は、単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。
本発明の光学材料用重合性組成物には、重合硬化のために、必要に応じて重合触媒を添加することができる。重合触媒としては、アミン類、ホスフィン類、第4級アンモニウム塩類、第4級ホスホニウム塩類、アルデヒドとアミン系化合物の縮合物、カルボン酸とアンモニアとの塩、ウレタン類、チオウレタン類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩、第3級スルホニウム塩類、第2級ヨードニウム塩類、鉱酸類、ルイス酸類、有機酸類、ケイ酸類、四フッ化ホウ酸類、過酸化物、アゾ系化合物、酸性リン酸エステル類を挙げることができる。
重合触媒は、重合硬化を発現するものであれば、特に限定されるものではない。また、これら重合触媒は単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましい具体例は、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、1−n−ドデシルピリジニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中で、さらに好ましい具体例は、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドおよび/またはテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイドである。
重合触媒の添加量は、(a)、(b)および(c)化合物の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、好ましくは0.002〜5重量部であり、より好ましくは0.005〜3重量部である。
本発明の光学材料用重合性組成物には、重合硬化する際に、ポットライフの延長や重合発熱の分散化などを目的として、必要に応じて重合調節剤を添加することができる。重合調節剤は、長期周期律表における第13〜16族元素のハロゲン化物を挙げることができる。
これら重合調節剤は、単独でも2種類以上を混合して使用してもかまわない。これらのうち好ましいものはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンのハロゲン化物である。より好ましくはケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物であり、さらに好ましくはアルキル基を有するゲルマニウム、スズ、アンチモンの塩化物である。最も好ましいものの具体例はジブチルスズジクロライド、ブチルスズトリクロライド、ジオクチルスズジクロライド、オクチルスズトリクロライド、ジブチルジクロロゲルマニウム、ブチルトリクロロゲルマニウム、ジフェニルジクロロゲルマニウム、フェニルトリクロロゲルマニウム、トリフェニルアンチモンジクロライドである。
重合調節剤の添加量は、(a)、(b)および(c)化合物の合計100重量部に対して、0.001〜5重量部であり、好ましくは0.002〜5重量部であり、より好ましくは0.005〜3重量部である。
本発明の光学材料用重合性組成物において、任意成分として、公知の酸化防止剤、ブルーイング剤、紫外線吸収剤、消臭剤等の各種添加剤を必要に応じて加え、得られる材料の実用性をより向上せしめることはもちろん可能である。また、本発明の光学材料が重合中に型から剥がれやすい場合には公知の外部および/または内部密着性改善剤を、または型から剥がれにくい場合には公知の外部および/または内部離型性改善剤を、重合硬化に用いるガラスもしくは金属製の型に塗布するか、光学材料用組成物に添加して、得られる光学材料と型の密着性または離型性を向上せしめることも有効である。
本発明の光学材料用重合性組成物は、上記(a)、(b)及び(c)化合物、並びに必要に応じて用いられる任意成分を通常の方法で混合・攪拌することにより得られるが、(a)化合物と(c)化合物については、両者を先に予備重合反応させた後、他の成分と混合させるのが、固体の(c)化合物をハンドリングする際には有効な手段であり、得られる光学材料の透明性も良好となり望ましい。
光学材料用重合性組成物の製造方法は、詳しく述べるならば以下の通りである。(a)化合物と(b)化合物および/または、(a)化合物と(b)化合物と(c)化合物および/または、(a)化合物と(c)化合物を予備重合反応して得られる予備重合反応物と(b)化合物、さらに組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、重合調節剤、密着性改善剤または離型性改善剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、紫外線吸収剤、消臭剤等の各種添加剤等は、全て同一容器内で同時に撹拌下に混合しても、各原料を段階的に添加混合しても、数成分を別々に混合後さらに同一容器内で再混合しても良い。各原料および添加剤等はいかなる順序で混合しても構わない。さらに、各成分の2種類((a)化合物と(c)化合物の組み合わせ以外の)以上をあらかじめ、予備的な反応を行った後、混合しても構わない。
混合にあたり、設定温度、これに要する時間等は基本的には各成分が十分に混合される条件であればよいが、過剰の温度・時間は、各原料や添加剤間の好ましくない反応が起こり易くなり、さらには粘度の上昇をきたし注型操作を困難にする場合がある、などの理由により適当ではない。
混合温度は−50℃から100℃程度の範囲で行われ、好ましい温度範囲は−30℃から70℃、さらに好ましくは、−5℃から50℃である。混合時間は、1分から12時間、好ましくは5分から10時間、最も好ましくは5分から6時間程度である。必要に応じて、活性エネルギー線を遮断して混合してもかまわない。またその後、以下の方法で脱気処理を行ってもよい。
本発明の光学材料用重合性組成物の製造方法においては、上記混合により重合性組成物を調製後、脱気処理を行う場合がある。光学材料用組成物を重合硬化前にあらかじめ脱気処理することは、重合硬化して得られる光学材料の高度な透明性を達成する面から好ましい。
脱気処理は、(a)化合物、(b)化合物、(c)化合物、および各種組成成分の一部もしくは全部と反応可能な化合物、重合触媒、重合調節剤、各種添加剤の混合前、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。好ましくは、混合時あるいは混合後に、減圧下に行う。
脱気処理条件は、0.1〜15000Paの減圧下、1分間〜24時間、0℃〜100℃で行う。減圧度は、好ましくは1〜10000Paであり、より好ましくは1〜5000Paであり、これらの範囲で減圧度を可変しても構わない。脱気時間は、好ましくは5分間〜18時間であり、より好ましくは10分間〜12時間である。脱気の際の温度は、好ましくは5℃〜80℃であり、より好ましくは10℃〜60℃であり、これらの範囲で温度を可変しても構わない。
脱気処理の際は、撹拌、気体の吹き込み、超音波などによる振動などによって、光学材料用組成物の界面を更新することは、脱気効果を高める上で好ましい操作である。脱気処理により、除去される成分は、主に硫化水素等の溶存ガスや低分子量のメルカプタン等の低沸点物等であるが、脱気処理の効果を発現するのであれば、特に限定されない。
このようにして得られる光学材料用重合性組成物は、重合硬化の直前にフィルター等で不純物等をろ過し精製することができる。光学材料用組成物をフィルターに通して不純物等をろ過し精製することは、本発明の光学材料の品質をさらに高める上から望ましいことである。ここで用いるフィルターの孔径は0.05〜10μm程度であり、一般的には0.1〜1.0μmのものが使用される。フィルターの材質としては、PTFEやPETやPPなどが好適に使用される。
本発明の光学材料は、上記光学材料用重合性組成物を重合硬化して得られる。重合硬化は通常、光学材料用重合性組成物をガラスや金属製の型に注入後、電気炉を用いて加熱したり、活性エネルギー線発生装置等を用いて紫外線などの活性エネルギー線を照射したりすることによって行われる。重合時間は0.1〜100時間、通常1〜48時間であり、重合温度は−10℃〜160℃、通常−10℃〜140℃である。重合は所定の重合温度で所定時間のホールド、0.1℃〜100℃/hの昇温、0.1℃〜100℃/hの降温およびこれらの組み合わせで行うことができる。
また、重合終了後、材料を50℃から150℃の温度で5分から5時間程度アニール処理を行う事は、光学材料の歪を除くために好ましい処理である。さらに必要に応じて染色、ハードコート、反射防止、防曇性、防汚性、耐衝撃性付与等の表面処理を行うことができる。
このようにして、本発明の重合性組成物を硬化させて得られるポリエピスルフィド系樹脂は、高屈折率で低分散であり、耐熱性、耐久性に優れ、軽量で耐衝撃性に優れた特徴を有しており、さらには着色、白濁のない熱安定性に優れており、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学材料素材として好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、用いたチオ尿素の分析、および得られる(ポリ)エピスルフィド化合物および重合して得られる光学材料の分析は以下の方法で行った。
[チオ尿素中のカルシウム含有量]
チオ尿素を水に溶解させ、酸性水溶液とし、その後にICP発光分光分析法により測定した。
[(ポリ)エピスルフィド化合物の色相(APHA)]
得られた(ポリ)エピスルフィド化合物の色相を評価する分析項目としてAPHAを採用した。APHAは、JIS K 0071−1に従って測定した。具体的には、APHAは、白金およびコバルトの試薬を溶解して調製した標準液を用い、試料の色と同等の濃さの標準液稀釈液を比較により求めた。その「度数」を測定値とした。この度数は小さいほど色相が良好である。
[ポリエピスルフィド系樹脂の耐熱性測定]
サンプルを厚さ3mmに切り出し、0.5mmφのピンに10gの加重を与え、30℃から10℃/分で昇温してTMA測定(セイコーインスツルメンツ製、TMA/SS6100)を行い、軟化点を測定した。
[ポリエピスルフィド系樹脂の色相(YI)]
分光色彩計JS555(カラーテクノシステム社製)を用いて、ポリエピスルフィド系樹脂から得られるプラスチックレンズのYIを測定した。厚さ2.5mm、φ60mmのプラスチックレンズの円形平板を作成後に測定を行った。
[ポリエピスルフィド系樹脂の白濁発生率]
ポリエピスルフィド系樹脂から得られる、厚さ10.0mm、φ83mmのプラスチックレンズの円形平板100枚を高圧水銀灯下、目視で観察し、濁りが確認されたレンズは白濁があるものと判定し、白濁発生率を算出した。
[ポリエピスルフィド系樹脂の熱安定性]
ポリエピスルフィド系樹脂の熱安定性の評価は、初期、加熱後の色相(YI)と耐熱性(TMA測定による軟化点)を測定することで行った。加熱方法は、150℃で1時間とした。
(チオ尿素中のカルシウム含有量の低減方法)
チオ尿素中のカルシウム(Ca)含有量は、以下の手順により低減させた。攪拌機、ジムロート、窒素導入管、および温度計を取り付けた2リットル3つ口丸底フラスコ内に、蒸留水1250重量部、0.82重量%のCaを含む純度98.98%のチオ尿素350.0重量部を入れ、40℃に昇温し、不溶解物を熱時濾過により除去した。その後、濾液を5℃に冷却させてチオ尿素を析出させ、3時間同温度で晶析させた。濾過してチオ尿素を取り出し、40℃、700Paにて減圧乾燥させ、Caの含有量が0.09重量%、純度99.67%のチオ尿素315.5gを得た(実施例3)。
また、他の実施例および比較例においても、上述と同様の方法を用いて、晶析時間を適宜調整することにより、種々のCa含有量を有するチオ尿素を得た。
[実施例1]
(ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドの合成)
攪拌器、温度計、窒素導入管、滴下ロ−トを装着したフラスコに、ビス(β−エポキシプロピル)スルフィド120gと予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.008重量%、純度99.90%のチオ尿素250gと無水酢酸10gと、さらに溶媒としてトルエン500mlおよびメタノール700mlを仕込み、20℃で10時間反応した。反応後トルエン1200mlを添加し、10%硫酸240mlで洗浄し、続いて150mlの水で4回水洗を行った。溶媒を留去したのち、蒸留精製しビス(β−エピチオプロピル)スルフィド124gを得た。得られたビス(β−エピチオプロピル)スルフィドのAPHAは4であり、濁りはなかった。
(プラスチックレンズの製造)
上記で得られたビス(β−エピチオプロピル)スルフィド100重量部に硬化触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1重量部を20℃にて混合溶解させた。この均一液を1000Paにて30分間、20℃で脱気処理を行った。その後、得られた光学材料用組成物を1.0μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過し、2枚のガラスモールドとテープから構成されるモールド型に注入し、30℃から100℃まで20時間かけて徐々に昇温させ、最後に100℃で1時間加熱し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化した樹脂を得た。得られた樹脂をさらに110℃で15分間アニールを行った。得られた樹脂のYIは2.1であり、耐熱性はTMA測定で沈込みが測定されなかった、白濁発生率は1%であった。さらに熱安定性評価を行った結果、加熱後のYIは3.9、耐熱性はTMA測定で沈込みが測定されなかった。評価結果を、表1に示す。
[実施例2]
実施例1で用いたチオ尿素に代えて、予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.04重量%、純度99.81%のチオ尿素を用いた他は、実施例1と同様にビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを合成した。得られたビス(β−エピチオプロピル)スルフィドのAPHAは7であり、濁りはなかった。このジエピスルフィドを用いて、実施例1と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例3]
実施例1で用いたチオ尿素に代えて、予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.09重量%、純度99.67%のチオ尿素を用いた他は、実施例1と同様にビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを合成した。得られたビス(β−エピチオプロピル)スルフィドのAPHAは12であり、濁りはなかった。このジエピスルフィドを用いて、実施例1と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例4]
(プラスチックレンズの製造)
ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド10重量部、硬化触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.1重量部、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1重量部を、20℃にて混合溶解させた。混合溶解を確認した後、引き続きこの混合溶解した液へ、予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.008重量%、純度99.90%のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス(β−エピチオプロピル)スルフィド90重量部を添加混合し、混合均一液とした。この均一液を1000Paにて30分間、20℃で脱気処理を行った。その後、得られた光学材料用組成物を1.0μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過し、2枚のガラスモールドとテープから構成されるモールド型に注入し、30℃から100℃まで20時間かけて徐々に昇温させ、最後に100℃で1時間加熱し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化した樹脂を得た。得られた樹脂をさらに110℃で1時間アニールを行った。得られた樹脂のYIは0.7であり、耐熱性は106℃、白濁発生率は1%であった。さらに熱安定性評価を行った結果、加熱後のYIは1.2、耐熱性は106℃であった。評価結果を、表1に示す。
[実施例5、6]
表1に示した種々のカルシウム含有量のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを用いて、実施例4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例7]
(プラスチックレンズの製造)
硫黄16重量部、予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.008重量%、純度99.90%のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス(β−エピチオプロピル)スルフィド84重量部の合計100重量部に、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1重量部を加え、60℃でよく混合し均一とした。次いで、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール0.5重量部を加え、硫黄が20℃において析出しなくなるまで60℃で予備重合反応させた。その後、得られた組成物を20℃に冷却した。そこへ、m−キシリレンジチオール7重量部、重合触媒としてトリエチルベンジルアンモニウムクロライド0.035重量部、重合調節剤としてジ−n−ブチルスズジクロライド0.22重量部を加えよく混合し均一な組成物とし、4000Pa、20分間、20℃の条件下で脱気処理した。得られた光学材料用組成物を1.0μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過し、2枚のガラスモールドとテープから構成されるモールド型に注入し、30℃で10時間加熱し、その後30℃から100℃まで10時間かけて昇温させ、最後に100℃で1時間加熱し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化した樹脂を得た。得られた樹脂をさらに120℃で15分間アニールを行った。得られた樹脂のYIは3.1であり、耐熱性は72℃、白濁発生率は1%であった。さらに熱安定性評価を行った結果、加熱後のYIは3.8、耐熱性は72℃であった。評価結果を、表1に示す。
[実施例8、9]
表1に示した種々のカルシウム含有量のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを用いて、実施例7と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例10]
(プラスチックレンズの製造)
予め再結晶して得たカルシウムの含有量が0.008重量%、純度99.90%のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス( β − エピチオプロピル) スルフィド5 9重量部、m − キシリレンジイソシアネート15重量部、ビス( 2 − メルカプトエチル) スルフィド20重量部、硫黄6重量部の合計100重量部に触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0. 1 重量部、重合調節剤としてジ−n−ブチルスズジクロライド0.05重量部、紫外線吸収剤として2 − ( 2 − ヒドロキシ− 5− t e r t − オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール0.1重量部、抗酸化剤として2 ,6 − ジ− t e r t − ブチル− 4 − メチルフェノール0 .1重量部を混合し、室温で攪拌し均一液とした。ついで組成物を3000Pa、30分間、25℃の条件下で脱気処理した。得られた光学材料用組成物を1.0μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過し、2枚のガラスモールドとテープから構成されるモールド型に注入し、10℃から120℃ まで22時間かけて昇温して重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型し、硬化した樹脂を得た。得られた樹脂をさらに110℃で1時間アニールを行った。得られた樹脂のYIは1.2であり、耐熱性は75℃、白濁発生率は2%であった。さらに熱安定性評価を行った結果、加熱後のYIは2.0、耐熱性は75℃であった。評価結果を、表1に示す。
[実施例11、12]
表1に示した種々のカルシウム含有量のチオ尿素を用いて実施例1と同様に合成したビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを用いて、実施例10と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例13、14]
(ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドの合成とプラスチックレンズの評価)
攪拌器、温度計、窒素導入管、コンデンサーを装着したフラスコに、ビス(β−エポキシプロピル)ジスルフィド100gと、予め再結晶して得た表1に示した種々のカルシウム含有量のチオ尿素100gと酢酸2gと、さらに溶媒としてトルエン250mlおよびメタノール200mlを仕込み、15℃で16時間反応した。反応後トルエン150mlを添加し、1%硫酸50mlで洗浄し、続いて50mlの水で4回水洗を行った。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド59gを得た。種々のカルシウム含有量のチオ尿素を用いて得られたビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドのAPHAは表1に示した通りであり、いずれも濁りはなかった。合成したジエピスルフィドを用いて、実施例4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたジエピスルフィドとプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[実施例15、16]
(1,2−ビス[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]−3−(β−エピチオプロピルチオ)プロパンの合成とプラスチックレンズの評価)
攪拌器、温度計、窒素導入管、滴下ロ−トを装着したフラスコに、1,2−ビス[(2−β−エポキシプロピルチオエチル)チオ]−3−(β−エポキシプロピルチオ)プロパン85.7gと予め再結晶して得た表1に示した種々のカルシウム含有量のチオ尿素91.3gと無水酢酸2.5gと、さらに溶媒としてトルエン120mlおよびメタノール170mlを仕込み、20℃で12時間反応した。反応後トルエン300mlを添加し、10%硫酸80mlで洗浄し、続いて50mlの水で4回水洗を行った。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製を行い、1,2−ビス[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]−3−(β−エピチオプロピルチオ)プロパン56.3gを得た。種々のカルシウム含有量のチオ尿素を用いて得られた1,2−ビス[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]−3−(β−エピチオプロピルチオ)プロパンのAPHAは表1に示した通りであり、いずれも濁りはなかった。合成したトリエピスルフィドを用いて、実施例4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたトリエピスルフィドとプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[比較例1〜4]
実施例1で用いたチオ尿素に代えて、カルシウムの含有量が0.12重量%、純度99.60%のチオ尿素を用いた他は、実施例1と同様にビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを合成した。得られたジエピスルフィドのAPHAは15であり、僅かに濁りが見られた。このジエピスルフィドを用いて、実施例1、4、7、10と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[比較例5、6]
実施例1で用いたチオ尿素に代えて、カルシウムの含有量が0.20重量%、純度99.32%のチオ尿素を用いた他は、実施例1と同様にビス(β−エピチオプロピル)スルフィドを合成した。得られたジエピスルフィドのAPHAは20であり、僅かに濁りが見られた。このジエピスルフィドを用いて、実施例1、4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[比較例7]
実施例13、14で用いたチオ尿素に代えて、カルシウムの含有量が0.12重量%、純度99.60%のチオ尿素を用いた他は、実施例13、14と同様にビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドを合成した。得られたジエピスルフィドのAPHAは18であり、僅かに濁りが見られた。このジエピスルフィドを用いて、実施例4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
[比較例8]
実施例15、16で用いたチオ尿素に代えて、カルシウムの含有量が0.12重量%、純度99.60%のチオ尿素を用いた他は、実施例15、16と同様に1,2−ビス[(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ]−3−(β−エピチオプロピルチオ)プロパンを合成した。得られたトリエピスルフィドのAPHAは20であり、僅かに濁りが見られた。このトリエピスルフィドを用いて、実施例4と同様にプラスチックレンズを製造して評価した。得られたプラスチックレンズの評価結果を、表1に示す。
Figure 2011251940
以上の結果、カルシウムの含有量が0.1重量%以下のチオ尿素を用いて得られる(ポリ)エピスルフィド化合物は、色相に優れており濁りもなく、この(ポリ)エピスルフィド化合物を用いて製造されたポリエピスルフィド樹脂からなるプラスチックレンズは色相および透明性、熱安定性において優れていた。これに対し、比較例1〜8にてカルシウムの含有量が0.1重量%を超えるチオ尿素を用いて得られる(ポリ)エピスルフィド化合物は色相が悪化し、得られるポリエピスルフィド樹脂からなるプラスチックレンズも色相および透明性、熱安定性においても悪化していた。
本発明によって、着色の抑制された無色透明の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物、ならびに着色および白濁の抑制された熱安定性に優れた無色透明のポリエピスルフィド樹脂の製造が可能となる。本発明は、光学材料および透明材料の中でも特に、眼鏡用のプラスチックレンズの安定的な提供に大きく寄与する。

Claims (9)

  1. (ポリ)エポキシ化合物とチオ尿素とを反応させて(ポリ)エピスルフィド化合物を製造する方法において、前記チオ尿素中のカルシウムの含有量が、0.1重量%以下である、光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
  2. 前記(ポリ)エピスルフィド化合物がβ−エピチオプロピル基を有する鎖状化合物、分岐化合物、脂肪族環状化合物、芳香族化合物またはヘテロ環化合物である、請求項1記載の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
  3. 前記(ポリ)エピスルフィド化合物が、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドまたはビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項1記載の光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物を含む重合性組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(a)(ポリ)エピスルフィド化合物と(b)(ポリ)チオール化合物とを含む重合性組成物。
  6. (a)請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された光学材料用(ポリ)エピスルフィド化合物と(b)(ポリ)チオール化合物と(c)硫黄原子および/またはセレン原子を有する無機化合物を含む重合性組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の重合性組成物を硬化させて得られる樹脂。
  8. 請求項7に記載の樹脂を含む光学材料。
  9. 請求項7に記載の樹脂を含むレンズ。
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