以下に、本発明にかかる通信システム、基地局および移動局の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に説明する実施の形態のうち、一つ以上の実施の形態を組み合わせた方法も本発明の範囲に含まれるものとする。
実施の形態1.
図1〜図8を参照してこの発明の実施の形態1を説明する。図1は、この発明における通信システムの実施の形態1の構成を示す図である。図1において、通信システムは、有線ネットワーク1と、基地局2と、n(nは自然数)台の移動局3(3−1〜3−nを示す)とを備えている。有線ネットワーク1と基地局2とは有線回線によって接続され、基地局2と移動局3とは無線回線によって接続され、移動局3は、基地局2および有線ネットワーク1を介して、有線ネットワーク1に接続される固定端末(図示せず)や、移動局とパケットを用いた相互通信を行なう。
この実施の形態1では、基地局2が有線ネットワーク1から受信したパケットを移動局3に送信する下り方向の通信について説明する。図2は、図1に示した基地局2の下り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図2において、基地局2は、有線回線のインタフェース機能を有し有線ネットワーク1からの信号(パケット)を受信する有線信号受信部201、有線信号受信部201によって受信されたパケットをバッファリングするパケットバッファ202、移動局3に送信する無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、無線転送ブロックのスケジューリング処理を実行するスケジューラ部208、スケジューラ部208によって選択されたパケットからスケジューラ部208が決定したサイズの無線転送ブロックを生成する無線転送ブロック生成部203、無線転送ブロック単位で移動局3との間の再送制御を行なう再送制御部204、無線転送ブロック生成部203によって生成された無線転送ブロックを送信する無線転送ブロック送信部207、無線回線のインタフェース機能を有し移動局3との信号を送受信する無線信号送受信部206、無線信号送受信部206によって受信された信号から再送制御情報を抽出する再送制御信号受信部205、および無線信号送受信部206によって受信された信号から下り方向の無線回線の無線回線品質情報を抽出する無線回線品質情報受信部209を備えている。
図3は、図1に示した移動局3の下り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図3において、移動局3は、無線回線インタフェース機能を有し基地局2との信号を送受信する無線信号送受信部301、無線信号送受信部301によって受信された信号から無線転送ブロックを抽出する無線転送ブロック受信部302、基地局2との間の再送制御を行う再送制御部304、再送制御部304によって生成される再送制御情報を送信する再送制御信号送信部303、無線転送ブロック受信部302によって受信された無線転送ブロックからパケットを再生するパケット再生部305、パケット再生部305によって再生されたパケットを受信して図示しない上位レイヤ処理部にパケットを出力するパケット受信部306、および下り方向の無線回線の無線回線品質情報を測定し、測定した無線回線品質情報を基地局2に送信する無線回線品質情報送信部307を備えている。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態1の動作を説明する。基地局2の有線信号受信部201を介してパケットを受信すると、パケットバッファ202は、受信したパケットをバッファリングするとともに、新規のパケットを受信したことをスケジューラ部208に通知する。スケジューラ部208は、新規のパケットに対応付けて送達確認量積算値を初期化して記憶する。
一方、基地局2の無線信号送受信部206を介して移動局3からの信号を受信すると、無線回線品質情報受信部209は、移動局3から受信した信号から移動局3の無線回線品質情報送信部307によって測定された下り方向の無線回線の無線回線品質情報を抽出し、抽出した無線回線品質情報をスケジューラ部208に出力する。
また、基地局2の再送制御信号受信部205は、無線信号送受信部206を介して移動局3から受信した信号から再送制御情報を抽出し、抽出した再送制御情報を再送制御部204に出力する。
基地局2の再送制御部204は、再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御情報が無線転送ブロックを正常に受信したことを示す送達確認の場合、基地局2の再送制御部204は、送達確認情報をスケジューラ部208に出力し、スケジューラ部208は、送達確認情報に基づいてパケットに対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新する。再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
予め定められている無線転送ブロックのスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部208は、無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定する。また、スケジューラ部208は、詳細には後述するが、パケットバッファ202にバッファリングされているパケット毎に対応付けて記憶している送達確認量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度にしたがって当該パケットから生成される無線転送ブロックに無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。そして、スケジューラ部208は、スケジューリング処理によって無線リソースを割り当てた無線転送ブロックを生成するパケットと無線転送ブロックのサイズとを含む無線転送ブロック生成情報を無線転送ブロック生成部203に出力するとともに、無線転送ブロックと割り当てた無線リソースとの情報を含む送信情報を再送制御部204に出力する。
基地局2の無線転送ブロック生成部203は、無線転送ブロック生成情報に基づいてパケットバッファ202にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成し、生成した無線転送ブロックを再送制御部204に出力する。
基地局2の再送制御部204は、送信情報および無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部207に出力する。無線転送ブロック送信部207は、送信情報に基づいて無線転送ブロックを無線信号送受信部206を介して移動局3に送信する。
移動局3の無線転送ブロック受信部302は、無線信号送受信部301を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部304に出力する。再送制御部304は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうか(データが誤っているかどうか)を判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部304は、無線転送ブロックをパケット再生部305に出力するとともに、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部303に通知する。
移動局3のパケット再生部305は、無線転送ブロックからパケットを再生する。基地局2の無線転送ブロック生成部203は、無線転送ブロックを生成する際に、無線転送ブロックがパケットの何番目の無線転送ブロックであるかを示す情報(無線転送ブロック番号)を無線転送ブロック内に含めている。移動局3のパケット再生部305は、この情報を用いて無線転送ブロックからパケットを再生する。パケット再生部305は、パケットを構成する全ての無線転送ブロックが正常に受信されてパケットを再生すると、再生したパケットをパケット受信部306に出力する。
一方、無線転送ブロックが正常に受信できなかった場合、移動局3の再送制御部304は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部303に通知する。
移動局3の再送制御信号送信部303は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部301を介して基地局2に送信する。
つぎに、図4および図6のフローチャートと、図5および図7とを参照して、基地局2のスケジューラ部208の動作を詳細に説明する。パケットバッファ202から新規のパケットを受信したことが通知されると(ステップS100)、スケジューラ部208は、新規パケットに対応付けて送達確認量積算値を初期化(この場合は「0」)して記憶する(ステップS101)。
再送制御部204から送達確認情報を受けると(ステップS102)、スケジューラ部208は、送達確認情報を受けた無線転送ブロックのパケットに対応付けて記憶している送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する(ステップS103)。
ここで、図5を参照してある1つのパケット(移動局3−1宛てのパケット)に着目した場合の送達確認量積算値の変化を説明する。図5において、基地局2内のパケット4、無線転送ブロック41a〜41c、無線回線上の無線転送ブロック42a,42b−1〜42b−3,42c、移動局3−1内の無線転送ブロック43a,43b,43c、および移動局3−1内のパケット44内の数字はパケット4のパケットサイズを「1」に正規化したときのそれぞれの無線転送ブロックまたはパケットのサイズを示しており、送達確認量積算値および無線転送ブロック42a,42b−1〜42b−3,42cの括弧内の数字はパケット4を「1」に正規化した場合の送達確認量の積算値を示している。
有線ネットワーク1から基地局2に到着したパケット4は、無線回線品質情報に基づいて決定されたサイズの無線転送ブロック41a〜41cに分割されて無線回線上に送信される。基地局2は、無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを「0.5」に決定して、パケット4を構成する最初の無線転送ブロック41aを無線転送ブロック42aとして無線回線に送信する。無線転送ブロック41aはパケット4の最初の無線転送ブロックであるので、パケット4に対応付けられた送達確認量積算値は「0」である。
移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42aを受信する。無線転送ブロック42aは無線転送ブロック43aとして正常に受信することができたため、移動局3−1は無線転送ブロック43aの送達確認45aを基地局2に送信する。
基地局2は、無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを「0.2」に決定して、パケット4を構成する2番目の無線転送ブロック41bを無線転送ブロック42b−1として無線回線に送信する。このとき、基地局2は、移動局3−1から送達確認45aを受信していないので、パケット4に対応付けられた送達確認量積算値は「0」のままである。
送達確認45aを受信すると基地局2は、送達確認45aから対応する無線転送ブロック41aのサイズを求めて送達確認量とし、送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する。
基地局2は送達確認45aを受信するまでに、無線転送ブロック41aと無線転送ブロック41bとを送信しているので、基地局2は送達確認45aが無線転送ブロック41aに対応するものであるのか、無線転送ブロック41bに対応するものであるのかを識別する必要がある。送達確認45aがどの無線転送ブロックに対応するものであるかは、移動局3−1が送達確認45a内に無線転送ブロック41aを識別するための情報として、無線転送ブロック43aを受信した際に取得する無線転送ブロック番号を含めておけばよい。そして、基地局2は、無線転送ブロック41aを生成したときの無線転送ブロック番号に対応付けて無線転送ブロックのサイズを記憶しておき、送達確認45a内の無線転送ブロック番号から無線転送ブロックのサイズ「0.5」を求めるようにして送達確認量積算値を更新する。
基地局2は、無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを「0.3」に決定して、パケット4を構成する3番目(この場合は最後)の無線転送ブロック41cを無線転送ブロック42cとして無線回線に送信する。このとき、基地局2は、無線転送ブロック41bの送達確認を受信していないので、パケット4に対応付けられた送達確認量積算値は「0.5」のままである。
移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42b−1を受信する。無線回線上の無線転送ブロック42b−1を正常に受信することができなかったため、無線転送ブロック42b−1の再送要求を基地局2に送信する。その後、移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42cを受信する。無線転送ブロック42cは無線転送ブロック43cとして正常に受信することができたため、移動局3−1は無線転送ブロック43cの送達確認45cを基地局2に送信する。
基地局2は、無線転送ブロック42b−1の再送要求を受信して、無線転送ブロック41bを無線転送ブロック42b−2として無線回線上に再送する。このとき、基地局2は、送達確認45cを受信していないので、パケット4に対応付けられた送達確認量積算値は「0.5」のままである。
送達確認45cを受信すると基地局2は、送達確認45cから対応する無線転送ブロック41cのサイズを求めて送達確認量とし、送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する。この場合、送達確認量積算値は「0.5」であり、無線転送ブロック41cのサイズは「0.3」であるので、送達確認量積算値は「0.8」に更新される。
移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42b−2を受信する。移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42b−2も正常に受信することができなかったため、無線転送ブロック42b−2の再送要求を基地局2に送信する。基地局2は無線転送ブロック42b−2の再送要求を受信して、無線転送ブロック41bを無線転送ブロック42b−3として無線回線上に再送する。このとき、パケット4に対応付けられた送達確認量積算値は「0.8」である。
移動局3−1は、無線回線上の無線転送ブロック42b−3を受信する。無線回線上の無線転送ブロック42b−3を無線転送ブロック43bとして正常に受信することができたため、移動局3−1は無線転送ブロック43bの送達確認45bを基地局2に送信する。
送達確認45bを受信すると基地局2は、送達確認45bから対応する無線転送ブロック41bのサイズを求めて送達確認量とし、送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する。この場合、送達確認量積算値は「0.8」であり、無線転送ブロック41bのサイズは「0.2」であるので、送達確認量積算値は「1」となる。すなわち、パケット4を構成する無線転送ブロック41a〜41cが移動局3−1に送達したことを意味している。したがって、基地局2は、送達確認量積算値が「1」となった場合には、パケット4の送信が完了したと判断して、パケット4に対応付けて記憶した送達確認量積算値を廃棄する。
一方、移動局3−1では、無線転送ブロック43bを正常に受信したことにより、パケットを構成する無線転送ブロック43a〜43cの受信が完了してパケット44を再生する。
基地局2のスケジューラ部208は、上述した移動局3−1宛てのパケットに着目した場合と同様に、各移動局3からの送達確認を受信する度に、送達確認に対応する無線転送ブロックが構成するパケットに対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新する。
図4に戻って、予め定められたスケジューリング時間になると(ステップS104)、スケジューラ部208は、パケットバッファ202にバッファリングされているパケット毎に対応付けて記憶している送達確認量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度にしたがって当該パケットから生成される無線転送ブロックに無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する(ステップS105)。
図6のフローチャートを参照して、スケジューラ部208が実行するスケジューリング処理の動作を詳細に説明する。スケジューラ部208は、パケットバッファ202にバッファリングされているパケット毎に対応付けて記憶している送達確認量積算値を無線転送ブロックをスケジューリングする際の優先度として使用する。すなわち、送達確認量積算値が大きいほど優先度が高いと判定する。スケジューラ部208は、最も高い優先度のパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして選択する(ステップS200)。
スケジューラ部208は、無線リソースの残りがあるか否かを判定する(ステップS201)。無線リソースの残りがある場合、スケジューラ部208は、処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックに無線リソースを割り当てる(ステップS202)。
スケジューラ部208は、現在の処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックが構成するパケットのつぎに優先度が高いパケットを構成する無線転送ブロックを新たな処理対象ブロックとして選択する(ステップS203)。
スケジューラ部208は、無線リソースに残りがなくなるまで、処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、現在の処理対象ブロックとして選択している無線転送ブロックが構成するパケットのつぎに優先度の高いパケットを構成する無線転送ブロックを新たな処理対象ブロックとして選択する動作を繰り返す(ステップS201〜S203)。
図7は、基地局2が3台の移動局3−1〜3−3を収容している場合のスケジューリングの優先度の変化を示す図である。図7においては、周期的なスケジューリング時間t1〜t4の移動局3−1〜3−3宛てのパケットに対応する送達確認量積算値に基づいてどの無線転送ブロック(移動局3−1〜3−3宛ての無線転送ブロック)を優先的に扱うかを示しており、○内の数値はスケジューラ部208が無線リソースを割り当てる順番を示している。
スケジューリング時間t1においては、移動局3−1宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.3」であり、移動局3−2宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.0」であり、移動局3−3宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.0」である。スケジューラ部208は、送達確認量積算値が大きいほど優先度が高いと判定するので、ここでは、最初に移動局3−1宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、つぎに、移動局3−2宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、最後に移動局3−3宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当てる。優先度が同じ場合(この場合は、移動局3−2と移動局3−3)には、予め定められた順番で優先度を決定する。
スケジューリング時間t2においては、移動局3−1宛てのパケットを構成する無線転送ブロックが全て移動局3−1に送達しており、かつ移動局3−1宛ての新たなパケットをパケットバッファ202がバッファリングしていないため、移動局3−1宛てのパケットに対応する送達確認量積算値は存在しない。また、移動局3−3からスケジューリング時間t2以前に送信した無線転送ブロックの送達確認を受信したことにより、移動局3−3宛てのパケットの送達確認量積算値は「0.9」となっている。移動局3−2宛てのパケットの送達確認量積算値は「0.0」であるので、スケジューラ部208は、移動局3−3宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当てた後に、移動局3−2宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当てる。
スケジューリング時間t3においては、スケジューリング時間t2からスケジューリング時間t3の間に、移動局3−1宛てのパケットがパケットバッファ202にバッファリングされたため、移動局3−1宛てのパケットの送達確認量積算値の値が初期化(「0」)されている。また、移動局3−2からスケジューリング時間t3以前に送信した無線転送ブロックの送達確認を受信したことにより、移動局3−2宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.5」になっている。したがって、スケジューラ部208は、最初に最も優先度の高い(送達確認量積算値が大きい)移動局3−3宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、つぎに優先度の高い移動局3−2宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、最後に最も優先度の低い移動局3−1宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当てる。
スケジューリング時間t4においては、スケジューリング時間t3からスケジューリング時間t4の間に、移動局3−1および移動局3−2からそれぞれ送達確認を受信したため、移動局3−1宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.1」となり、移動局3−2宛てのパケットの送達確認量積算値が「0.8」となっている。また、移動局3−3宛てのパケットを構成する無線転送ブロックが全て移動局3−3に送達した後に、パケットバッファ202が新たに移動局3−3宛てのパケットをバッファリングしたため、移動局3−3宛てのパケットの送達確認量積算値は「0.0」となっている。
スケジューラ部208は、最初に最も優先度の高い移動局3−2宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、つぎに優先度の高い移動局3−1宛てのパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当て、最後に最も優先度の低い移動局3−3宛ての無線転送ブロックを処理対象ブロックとして無線リソースを割り当てる。
以上説明したように、この実施の形態1においては、無線転送ブロックが移動局に到達したことを示す送達確認が取れた無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送達確認量積算値に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当てるようにしているため、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、移動局3に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
また、この実施の形態1においては、送達確認量積算値の値が大きいほど優先度を高くして、送達確認のとれた割合の多いパケットに属する無線転送ブロックを優先的に送信するようにしているため、やむを得ず無線転送ブロックを廃棄する場合には送達確認のとれた割合の少ないパケットに属する無線転送ブロックが廃棄されることになり、移動局3でパケット組み立てができず廃棄される無線転送ブロックの量が少なくなり、周波数有効利用あるいはパケットレベルでのスループットを向上することができる。
なお、この実施の形態1では、送達確認量にパケットを正規化した値を用いるようにしたが、実際のデータ量を用いてもよい。
また、この実施の形態1では、基地局2が有線ネットワーク1から受信したパケットを無線転送ブロックに分割する場合を例に挙げて説明したが、図8に示すように、図1に示した有線ネットワーク1と基地局2との間に基地局制御装置5を備え、基地局制御装置5が有線ネットワーク1から受信したパケットを複数の分割セグメントに分割して基地局2に送信し、基地局2が複数の分割セグメントから無線転送ブロックを生成する通信システムであってもかまわない。
この場合、基地局制御装置5は、分割セグメント内にパケットの切れ目を識別するための識別子を含めておき、この識別子によって基地局2は複数の分割セグメントから1つのパケットのパケットサイズを求めるようにすればよい。
実施の形態2.
図9〜図12を用いてこの発明の実施の形態2を説明する。先の実施の形態1では、基地局2が有線ネットワーク1から受信したパケットを移動局3に送信する下り方向の通信について説明した。この実施の形態2では、移動局3が基地局2を介して有線ネットワーク1にパケットを送信する上り方向の通信について説明する。なお、この実施の形態2の通信システムの構成は、先の図1に示した実施の形態1の通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。
図9は、この発明における通信システムの移動局3の上り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図9において、移動局3は、送信すべきパケットを生成するパケット生成部311、パケット生成部311によって生成されたパケットをバッファリングするパケットバッファ312、制御部319の指示によってパケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成する無線転送ブロック生成部313、無線転送ブロック単位で基地局2との間の再送制御を行なう再送制御部314、無線転送ブロック生成部313によって生成された無線転送ブロックを送信する無線転送ブロック送信部317、基地局2に送信要求を送信する送信要求送信部320、無線回線インタフェース機能を有し基地局2との信号を送受信する無線信号送受信部316、無線信号送受信部316によって受信された信号から再送制御情報を抽出する再送制御信号受信部315、無線信号送受信部316によって受信された信号から送信指示を抽出する送信指示受信部318、および送信指示受信部318によって抽出された送信指示に基づいて無線転送ブロックの送信を制御するとともに、移動局3内の各構成要素を統括的に制御する制御部319を備えている。
図10は、この発明における通信システムの基地局2の上り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図10において、基地局2は、無線回線インタフェース機能を有し移動局3との信号を送受信する無線信号送受信部211、無線信号送受信部211によって受信された信号から送信要求を抽出する送信要求受信部218、無線信号送受信部211によって受信された信号から無線転送ブロックを抽出する無線転送ブロック受信部213、移動局3との間の再送制御を行なう再送制御部214、再送制御部214によって生成される再送制御情報を送信する再送制御信号送信部212、無線転送ブロック受信部213によって受信された無線転送ブロックからパケットを再生するパケット再生部215、有線回線のインタフェース機能を有しパケット再生部215によって再生されたパケットを有線ネットワーク1に送信する有線信号送信部216、送信要求受信部218によって抽出された送信要求とパケットの到達状態とに基づいて移動局3が送信する無線転送ブロックのスケジューリング処理を実行するスケジューラ部219、およびスケジューラ部219によってスケジューリングされた情報を送信指示として移動局3に送信する送信指示送信部217を備えている。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態2の動作を説明する。まず、移動局3において送信すべきパケットが発生した際の動作について説明する。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。
移動局3のパケットバッファ312は、新規のパケットをバッファリングしたことを制御部319に通知する。制御部319は、新規のパケットをバッファリングしたこと、すなわち基地局2に送信すべきパケットが発生したことを通知する送信要求を生成して送信要求送信部320に出力する。制御部319は送信要求内にパケットのサイズを示すパケットサイズ情報を含めておく。移動局3の送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送達確認量積算値およびパケットサイズを記憶する。このとき送達確認量積算値を初期化して記憶する。
つぎに、移動局3がパケットを構成する無線転送ブロックを送信する動作について説明する。移動局3の無線信号送受信部316を介して送信指示を受けると、送信指示受信部318は、受信した送信指示を制御部319に出力する。制御部319は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを無線転送ブロック生成情報として無線転送ブロック生成部313に出力する。
移動局3の無線転送ブロック生成部313は、無線転送ブロック生成情報に基づいて、パケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成し、生成した無線転送ブロックを再送制御部314に出力する。
移動局3の再送制御部314は、無線転送ブロックを受けると再送時に必要な処理を行なった後に無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部317に出力し、無線転送ブロック送信部317は無線信号送受信部316を介して無線転送ブロックを基地局2に送信する。
基地局2の無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部214に出力する。再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうかを判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部214は、無線転送ブロックをパケット再生部215に出力する。また、再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部212に通知するとともに、正常に受信できた無線転送ブロックの送信元である移動局3を識別するための情報および受信した無線転送ブロックのサイズを含めた送達確認情報をスケジューラ部219に通知する。
基地局2のパケット再生部215は、パケットを構成する全ての無線ブロックが正常に受信されてパケットを再生すると、再生したパケットを有線信号送信部216を介して有線ネットワーク1に送信する。
基地局2のスケジューラ部219は、無線転送ブロックを正常に受信できたことが通知されると、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新する。
一方、無線転送ブロックを正常に受信できなかった場合、基地局2の再送制御部214は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2の再送制御信号送信部212は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部211を介して移動局3に送信する。
移動局3の再送制御部314は、無線信号送受信部316および再送制御信号受信部315を介して受信した再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御部314は、再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
つぎに、図11のフローチャートと、図12とを参照して、基地局2のスケジューラ部219の動作を詳細に説明する。送信要求受信部218から送信要求を受けると(ステップS300)、スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて初期化した(この場合は「0」)送達確認量積算値と、送信要求に含まれるパケットサイズ情報とを記憶する(ステップS301)。
再送制御部214から無線転送ブロックを正常に受信したこと(移動局3に送達確認を送信すること)が通知されると(ステップS302)、スケジューラ部219は、送達確認を送信する移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する(ステップS303)。
ここで、図12を参照して移動局3−1からのパケットに着目した場合の送達確認量積算値の変化を説明する。図12において、移動局3−1内のパケット6、無線転送ブロック61a,61b−1〜61b−3,61c、無線回線上の無線転送ブロック62a,62b−1〜62b−3,62c、基地局2内の無線転送ブロック63a〜63c、および基地局2内のパケット64内の数字はパケット6のパケットサイズを「1」に正規化したときのそれぞれの無線転送ブロックまたはパケットのサイズを示しており、送達確認量積算値および無線転送ブロック62a,62b−1〜62b−3,62cの括弧内の数字はパケット6を「1」に正規化した場合の送達確認量の積算値を示している。
移動局3−1は、送信すべきパケット6が生成されると、送信要求65を基地局2に送信する。基地局2は、送信要求65を受けると、移動局3−1に対応付けて記憶する送達確認量積算値を「0」にする。基地局2は、予め定められたスケジューリング時間毎に無線回線品質情報に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によって割り当てた無線リソースの情報(無線リソース情報)を含む送信指示66a,66b−1〜66b−3,66cを移動局3−1に送信する。
移動局3−1は、無線転送ブロックサイズ情報が「0.5」の送信指示66aを受けると、パケット6を構成する最初の無線転送ブロックとしてサイズ「0.5」の無線転送ブロック61aを生成し、生成した無線転送ブロック61aを無線転送ブロック62aとして無線回線に送信する。
基地局2は、無線回線上の無線転送ブロック62aを受信する。無線転送ブロック62aは無線転送ブロック63aとして正常に受信することができたため、移動局3−1の送達確認量積算値「0.0」に送達確認量「0.5」を加算して送達確認量積算値を「0.5」に更新する。
移動局3−1は、無線転送ブロックサイズ情報が「0.2」の送信指示66b−1を受けると、パケット6を構成する2番目の無線転送ブロックとしてサイズ「0.2」の無線転送ブロック61b−1を生成し、生成した無線転送ブロック61b−1を無線転送ブロック62b−1として無線回線に送信する。
基地局2は、無線回線上の無線転送ブロック62b−1を受信する。基地局2は無線転送ブロック62b−1を正常に受信することができなかったため、再送要求を移動局3−1に送信する。無線転送ブロック62b−1を正常に受信することができなかったため、移動局3−1に対応する送達確認量積算値は「0.5」のままとなる。
移動局3−1は、無線転送ブロックサイズ情報が「0.3」の送信指示66cを受けると、パケット6を構成する3番目(この場合は最後)の無線転送ブロックとしてサイズ「0.3」の無線転送ブロック61cを生成し、生成した無線転送ブロック61cを無線転送ブロック62cとして無線回線に送信する。
基地局2は、無線回線上の無線転送ブロック62cを受信する。無線転送ブロック62cは無線転送ブロック63cとして正常に受信することができたため、移動局3−1に対応する送達確認量積算値「0.5」に送達確認量「0.3」を加算して送達確認量積算値を「0.8」に更新する。
移動局3−1は、無線転送ブロックサイズ情報が「0.2」の送信指示66b−2を受けると、再送要求されているパケット6を構成する2番目の無線転送ブロックである無線転送ブロック61b−2を無線転送ブロック62b−2として無線回線に送信する。
基地局2は、無線回線上の無線転送ブロック62b−2を受信する。基地局2は無線転送ブロック62b−2を正常に受信することができなかったため、再送要求を移動局3−1に送信する。無線転送ブロック62b−2を正常に受信することができなかったため、移動局3−1に対応する送達確認量積算値は「0.8」のままとなる。
移動局3−1は、無線転送ブロックサイズ情報が「0.2」の送信指示66b−3を受けると、再送要求されているパケット6を構成する2番目の無線転送ブロックである無線転送ブロック61b−3を無線転送ブロック62b−3として無線回線に送信する。
基地局2は、無線回線上の無線転送ブロック62b−3を受信する。無線転送ブロック62b−3は無線転送ブロック63bとして正常に受信することができたため、移動局3−1に対応する送達確認量積算値「0.8」に送達確認量「0.2」を加算する。これにより送達確認量積算値は「1」となる。すなわち、パケット6を構成する無線転送ブロック61a〜61cが到達したことを意味している。しがたって、基地局2は、送達確認量積算値が「1」となった場合には、パケットを構成する全ての無線転送ブロックの受信が完了したと判断して、移動局3−1に対応付けて記憶した送達確認量積算値を廃棄する。そして、無線転送ブロック63a〜63cを用いてパケット64を再生する。
基地局2のスケジューラ部219は、上述した移動局3−1からのパケットに着目した場合と同様に、各移動局3から送信要求を受けると移動局3に対応付けた送達確認量積算値を初期化し、無線転送ブロックを正常に受信する度に、対応する送達確認量積算値の値を更新する。
図11に戻って、予め定められたスケジューリング時間になると(ステップS304)、スケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度にしたがって移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する(ステップS305)。なお、スケジューリング処理は、先の図6のフローチャートを参照して説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。
以上説明したように、この実施の形態2においては、基地局2が、移動局3から受信した送信要求に含まれるパケット長および無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、移動局3が送信した無線転送ブロックを正常に受信した無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送達確認量積算値に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて移動局3が送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、無線転送ブロックのサイズおよび無線リソースの割り当てを含む送信指示を移動局3に送信する。移動局3は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズに基づいて送信すべきパケットを分割して無線転送ブロックを生成し、送信指示に含まれる無線リソースの割り当てに基づいて生成した無線転送ブロックを基地局2に送信する。これにより、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
また、この実施の形態2においては、送達確認量積算値の値が大きいほど優先度を高くして、送達確認のとれた割合の多いパケットに属する無線転送ブロックを優先的に送信するようにしているため、やむを得ず無線転送ブロックを廃棄する場合には送達確認のとれた割合の少ないパケットに属する無線転送ブロックが廃棄されることになり、基地局2でパケット組み立てができず廃棄される無線転送ブロックの量が少なくなり、周波数有効利用あるいはパケットレベルでのスループットを向上することができる。
なお、この実施の形態2では、移動局3がパケットを無線転送ブロックに分割する場合を例に挙げて説明したが、先の図8に示すように、図1に示した有線ネットワーク1と基地局2との間に基地局制御装置5を備えるシステムであってもかまわない。この場合、移動局3の無線転送ブロック生成部313は、送信すべきパケットを分割した分割セグメントを生成し、生成した分割セグメントを分割して無線転送ブロックを生成し、基地局2のパケット再生部215は、無線転送ブロックから分割セグメントを再生して基地局制御装置5に送信し、基地局制御装置5が分割セグメントからパケットを再生するようにすればよい。
実施の形態3.
図13および図14を用いてこの発明の実施の形態3を説明する。先の実施の形態1および2では、送達確認の取れた割合の多いパケットを構成する無線転送ブロックの優先度を高くして無線リソースを割り当てることで、パケットの再生ができずに廃棄される無線転送ブロックの量を低減して、周波数を有効に利用するとともにパケットレベルでのスループットを向上させるようにした。
しかしながら、有線ネットワーク1から基地局2にパケットが到達してから、または移動局3において送信すべきパケットが発生してからの滞留許容時間を考慮していないため、再送回数の上限に達する前に滞留許容時間を超過してしまう場合には、送信されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らすことはできない。
このような問題を改善するために、この実施の形態3では、無線転送ブロックを無線リソースに割り当てるスケジューリングの優先度に滞留許容時間を考慮するものである。具体的には、送信側装置にパケットが到着してから送達確認を取るまでの滞留許容時間を設け、滞留許容時間を越えたパケットを廃棄する。なお、滞留中のパケットが滞留許容時間超過により廃棄されるまでの時間を滞留猶予時間とする。
この実施の形態3の通信システムの構成は、先の図1に示した通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、下り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図2および図3に示した実施の形態1の基地局2および移動局3と同じであり、上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
この実施の形態3と、先の実施の形態1または2との相違点は、先の図6のフローチャートを参照して説明したスケジューリング処理の優先度を決定する動作であるので、ここでは、優先度の決定動作を含めたスケジューリング処理の動作についてのみを、下り方向の通信を例に挙げて説明する。
スケジューラ部208は、パケットバッファ202から新規のパケットを受信したことを通知されると、送達確認量積算値を初期化して記憶するとともに、自局の計時機能を用いて新規のパケットの滞留許容時間の計測を開始し、常に各パケットの滞留許容時間を把握しておく。
図13は、ある1つのパケットに着目した時の滞留許容時間の一例を示している。図13において、基地局2のパケットバッファ202にバッファリングされたパケットは、パケット到着から滞留許容時間の計測が開始される。パケットの到着から滞留許容時間内に移動局3からパケットを構成する全ての無線転送ブロックの送達確認を受信することができなかった場合、スケジューラ部208は、対応するパケットを廃棄する。現在時刻が廃棄時刻に近づくほど滞留許容残時間は小さくなる。スケジューラ部208は、この滞留許容残時間が小さいほど優先度を高くして無線転送ブロックに無線リソースを割り当てる。
図14のフローチャートを参照して、この実施の形態3のスケジューリング処理の動作を説明する。スケジューラ部208は、パケットを構成する各無線転送ブロックについて、滞留許容残時間と送達確認量積算値から優先度を求める(ステップS400)。具体的には、滞留許容残時間と送達確認量積算値の2つの優先度指標の計数を用いて、下記の式によって各無線転送ブロックの優先度Ptotalを算出する。
Ptotal=α×Pact+Β×Pdelay ・・・(式)
なお、上記式において、Pactは送達確認量積算値による優先度を示し、Pdelayは滞留許容残時間による優先度を示し、αは送達確認量積算値による優先度の係数(重み付け)を示し、Βは残留許容残時間による優先度の係数(重み付け)を示している。すなわち、スケジューラ部208は、送達確認量積算値が大きい順に送達確認量積算値による優先度を高く決定し、残留許容残時間が小さい順に残留許容残時間による優先度を高く決定し、送達確認量積算値による優先度および残留許容残時間による優先度にそれぞれ重み付けをして加算した値を、無線転送ブロックの優先度とする。
スケジューラ部208は、最も高い優先度のパケットを構成する無線転送ブロックを処理対象ブロックとして選択する(ステップS401)。すなわち、上記式によって算出した各無線転送ブロックの優先度Ptotalの値が小さいものを高優先度として、処理対象ブロックを選択する。
スケジューラ部208は、無線リソースの残りがあるか否かを判定する(ステップS402)。無線リソースの残りがある場合、スケジューラ部208は、処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックに無線リソースを割り当てる(ステップS403)。
スケジューラ部208は、現在の処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックが構成するパケットのつぎに優先度が高いパケットを構成する無線転送ブロックを新たな処理対象ブロックとして選択する(ステップS404)。
スケジューラ部208は、無線リソースに残りがなくなるまで、処理対象ブロックとして選択した無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、現在の処理対象ブロックとして選択している無線転送ブロックが構成するパケットのつぎに優先度の高いパケットを構成する無線転送ブロックを新たな処理対象ブロックとして選択する動作を繰り返す(ステップS402〜S404)。
以上説明したように、この実施の形態3においては、現在時刻から無線転送ブロックを滞留することができる時刻までの時間を示す滞留許容残時間と送達確認量積算値とに基づいて優先度を決定するようにしているため、パケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
なお、この実施の形態3では、滞留許容残時間と送達確認量積算値とに基づいて優先度を決定するようにしたが、無線回線品質情報と送達確認量積算値、または無線回線品質情報、滞留許容残時間、および送達確認量積算値の組合せによって優先度を決定するようにしてもよい。無線回線品質情報を用いる場合には、無線回線品質情報が回線の状態がよいことを示すほど優先度を高くするようにすればよい。
実施の形態4.
図15を用いてこの発明の実施の形態4を説明する。実施の形態1〜3では、送達確認量や滞留許容残時間を用いてパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当てる優先度を決定した。この実施の形態4では、優先度を用いて伝送品質を制御するものである。
この実施の形態4の通信システムの構成は、先の図1に示した通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、下り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図2および図3に示した実施の形態1の基地局2および移動局3と同じであり、上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
この実施の形態4と、先の実施の形態1または3との相違点は、スケジューラ部208が、送達確認量や滞留許容残時間を用いて決定した優先度を用いて、無線回線品質情報受信部209が抽出した無線回線品質情報を補正し、補正した無線回線品質情報を用いて伝送品質を制御することであるので、ここでは、下り方向の通信を例に挙げて、伝送品質の制御のみを説明する。
スケジューラ部208は、無線回線品質情報を用いて伝送品質を制御するために、無線回線品質情報テーブルを備えている。無線回線品質情報テーブルには、図15に示すように、無線回線品質に対応付けて、変調方式、符号化率、および送信電力が登録される。スケジューラ部208は、無線回線品質情報受信部209が抽出した無線回線品質情報を補正し、補正した無線回線品質情報に対応付けて登録されている変調方式、符号化率、および送信電力を選択して無線転送ブロック送信部207に通知し、無線転送ブロック送信部207は、通知された変調方式、符号化率、および送信電力を用いて無線転送ブロックを無線信号送受信部206を介して送信する。
つぎに、無線回線品質情報の補正動作について説明する。スケジューラ部208は、無線回線品質情報受信部209から無線回線品質情報を受信する。スケジューラ部208は、先の実施の形態1〜3で説明したように送達確認量や滞留許容残時間を用いてパケットを構成する無線転送ブロックの優先度を決定する。
スケジューラ部208は、優先度の高い無線転送ブロックに対応する無線回線品質情報に所定の値を加算することで、無線回線品質情報を補正する。たとえば、優先度が最も高い無線転送ブロックに対応する無線回線品質情報の値に「2」を加算し、つぎに優先度が高い無線転送ブロックに対応する無線回線品質情報の値に「1」を加算する。これにより、無線回線品質情報が「4」であって、かつ優先度が最も高い無線転送ブロックの無線回線品質情報は「6」となり、無線回線品質情報が「3」であって、かつ優先度が2番目に高い無線転送ブロックの無線回線品質情報は「4」となる。したがって、優先度の最も高い無線転送ブロックは、変調方式「16QAM」、符号化率「2/3」、送信電力「20」で送信され、優先度が2番目に高い無線転送ブロックは、変調方式「16QAM」、符号化率「1/3」、送信電力「20」で送信される。
このようにこの実施の形態4では、優先度の高い無線転送ブロックの無線回線品質情報に所定の値を加算することで無線回線品質情報を補正し、補正した無線回線品質情報に基づいて伝送品質を選択するようにしているので、優先度の高いものほど無線転送ブロックの受信成功の確率を高くすることができ、パケット組み立てができず廃棄される無線転送ブロックの量を低減して周波数有効利用あるいはパケットレベルでのスループットを向上することができる。
なお、この実施の形態4では、優先度に応じて無線回線品質情報の値に所定の値を加算して無線回線品質情報を補正するようにしたが、無線回線品質情報の値から所定の値を減算して無線回線品質情報を補正するようにしてもよい。この場合は、優先度が最も低い無線転送ブロックに対応する無線回線品質情報から優先度の低い順に補正するようにすればよい。すなわち、優先度に応じて相対的に無線回線品質情報を補正するようにすればよい。
また、この実施の形態4では、伝送品質を変調方式、符号化率、または送信電力としたが、周波数や空間のダイバーシチ効果を利用するようにしてもよい。
実施の形態5.
一般的な通信システムにおいては、送信側および受信側間において再送制御を行なっているが、再送回数の上限値を超過した無線転送ブロックについては再送を行なうことなく廃棄する。そのため、再送回数の上限値を超過した無線転送ブロックは受信側に到達することがないので、パケットを再生することができずに他の無線転送ブロックが無駄になってしまうという問題があった。
このような問題を改善するために、実施の形態5では、送達回数や滞留許容残時間を用いて決定した優先度を用いて無線転送ブロックの再送回数の上限値を制御するものである。なお、この実施の形態5の通信システムの構成は、先の図1に示した通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、下り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図2および図3に示した実施の形態1の基地局2および移動局3と同じであり、上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
この実施の形態5と、先の実施の形態1〜4との相違点は、スケジューラ部208,219が、送達確認量や滞留許容残時間を用いて決定した優先度を用いて、再送回数の上限値を補正し、補正した再送回数の上限値を用いて再送を制御することであるので、ここでは、下り方向の通信を例に挙げて伝送再送制御の上限値を決定する動作のみを説明する。
スケジューラ部208は、先の実施の形態1〜3で説明したように、送達確認量や滞留許容残時間を用いてパケットを構成する無線転送ブロックの優先度を決定する。スケジューラ部208は、優先度の高い無線転送ブロックの再送回数の上限値に所定の値を加算して再送回数の上限値を補正する。スケジューラ部208は、補正した再送回数の上限値を再送制御部204に通知する。
再送制御部204は、通知された再送回数の上限値を用いて再送制御を行なう。すなわち、再送制御部204は、移動局3への無線転送ブロックの送信回数を記憶しておき、再送回数が再送回数の上限値を超えた場合に、無線転送ブロックを廃棄する。
以上説明したように、この実施の形態5では、パケットから複数の無線転送ブロックを生成して送信する際に、優先度に基づいて再送回数の上限値を大きく設定するようにしたため、送達確認のとれた割合の多いパケットに属する無線転送ブロックの再送回数の上限値が大きくなり、移動局3に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
また、やむを得ず無線転送ブロックを廃棄する場合には送達確認のとれた割合の少ないパケットに属する無線転送ブロックが廃棄されることになり、移動局3でパケット組み立てができず廃棄される無線転送ブロックの量が少なくなり、周波数有効利用あるいはパケットレベルでのスループットを向上することができる。
なお、この実施の形態5では、下り方向の通信を例に挙げて説明したが、上り方向の通信の場合には、スケジューラ部219が、下り方向の通信時と同様に、優先度によって無線転送ブロックの再送回数の上限値を決定し、決定した再送回数の上限値を移動局3に通知し、移動局3の再送制御部314が通知された再送回数の上限値を用いて再送制御を行なうようにすればよい。
実施の形態6.
この実施の形態6では、パケットを構成する無線転送ブロックの数に応じて無線転送ブロックの伝送品質を変化させ、パケットのエラー率を一定に保つものである。この実施の形態6の通信システムの構成は、先の図1に示した無線通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、下り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図2および図3に示した実施の形態1の基地局2および移動局3と同じであり、上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
この実施の形態6では、パケット長および無線伝送品質情報に基づいて、パケットを構成する無線転送ブロックの数(パケットの分割数)および伝送品質を決定する動作のみを説明する。
スケジューラ部208は、パケット長から無線転送ブロックの数および伝送品質を選択するパケットテーブルを備えている。パケットテーブルには、図16に示すように、パケット長と無線回線品質情報とに対応付けて、伝送品質インデックスとパケット分割数とが登録される。図16において、無線回線品質情報が「1」であって、かつパケット長が「200Byte」の場合、伝送品質インデックスは「2」、パケット分割数は「2」が登録されている。また、無線回線品質情報が「1」であって、かつパケット長が「400Byte」の場合、伝送品質インデックスは「2」、パケット分割数は「4」が登録されている。
スケジューラ部208は、パケットバッファ202から新規のパケットを受信したことが通知されると、新規パケットのパケット長、および無線回線品質情報受信部209から通知される無線回線品質情報を用いて、図16に示したパケットテーブルを検索して、伝送品質インデックスおよび無線転送ブロック分割数を選択する。
スケジューラ部208は、選択した伝送品質インデックスを用いて予め定められた変調方式、符号化率、または送信電力を選択して無線転送ブロック送信部207に通知する。また、スケジューラ部208は選択したパケット分割数を無線転送ブロック生成部203に通知し、無線転送ブロック生成部203は通知されたパケット分割数にパケットを分割して無線転送ブロックを生成する。
無線転送ブロック送信部207は、スケジューラ部208から通知された変調方式、符号化率、または送信電力で無線転送ブロック生成部203が生成した無線転送ブロックを、スケジューラ部208が上述した実施の形態1〜3のスケジューリング処理によって割り当てた無線リソースを用いて無線信号送受信部206を介して送信する。
以上説明したように、この実施の形態6においては、パケット長と無線回線品質情報とに基づいて、パケットを分割する無線転送ブロックのサイズおよび伝送品質を選択するようにしているため、パケット長や無線回線品質が変化した場合でも、パケットのエラー率の劣化を抑制することができる。
なお、この実施の形態6では、伝送品質を変調方式、符号化率、または送信電力としたが、周波数や空間のダイバーシチ効果を利用するようにしてもよい。
また、この実施の形態6では、伝送品質インデックスおよびパケット分割数の選択をスケジューラ部208がパケットバッファ202から新規のパケットを受信した時点で行うようにしたが、無線転送ブロックを送信するたびにその時点での最新の無線回線品質情報を利用して伝送品質インデックスおよびパケット分割数を求めなおすようにしてもよい。
さらに、この実施の形態6では、分割された各無線転送ブロックの送信タイミングについては言及していないが、新規のパケットを受信した時点で決定した伝送品質インデックスおよびパケット分割数の正確性を維持するために、無線回線品質の変化が少ない短時間の間に同一パケットから分割される無線転送ブロックをまとめて送信するようにしてもよい。
実施の形態7.
図17〜図19を参照してこの発明の実施の形態7を説明する。先の実施の形態1〜6は、移動局が1台の基地局に接続している場合について説明したが、この実施の形態7では、移動局が現在接続している基地局から他の基地局にハンドオーバを行うハンドオーバ要求時において未到達である無線転送ブロックの優先度をあげることで、パケットの送達完了までのハンドオーバ遅延時間(無線回線品質測定から得られるハンドオーバ要求時刻と実際のハンドオーバ実行時刻との差)を短縮するものである。
図17は、この発明における通信システムの実施の形態7の構成を示す図である。図17において、通信システムは、有線ネットワーク1と、m(1<m,mは自然数)台の基地局2a(2a−1〜2a−mを示す)と、n台の移動局3a(3a−1〜3a−nを示す)とを備えている。有線ネットワーク1と基地局2aとは有線回線によって接続され、基地局2aと移動局3aとは無線回線によって接続され、移動局3aは、基地局2aおよび有線ネットワーク1を介して、有線ネットワーク1に接続される固定端末(図示せず)や、移動局とパケットを用いた相互通信を行なう。また、移動局3aは、移動によって基地局2a間をハンドオーバする。
この実施の形態7では、基地局2aが有線ネットワーク1から受信したパケットを移動局3aに送信する下り方向の通信について説明する。図18は、先の図17に示した移動局3aの下り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図18に示した移動局3aの下り方向の通信に関する構成は、先の図3に示した実施の形態1の移動局3の下り方向の通信に関する構成に、基地局2aに対してハンドオーバを要求するハンドオーバ要求部308が追加されている。先の図3に示した実施の形態1の移動局3の下り方向の通信に関する構成と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
ハンドオーバ要求部308は、現在通信中の基地局2aおよび現在通信中の基地局2aと隣接しており自局と通信可能な基地局2aと自局間の無線回線品質を予め定められた周期毎に測定し、測定した無線回線品質に基づいて現在通信中の基地局2aから他の基地局2aへのハンドオーバを要求するか否かを判断する。ハンドオーバ要求部308は、ハンドオーバを要求すると判断した場合には、無線信号送受信部301を介してハンドオーバ要求を当該基地局2aに送信する。
図19は、図17に示した基地局2aの下り方向の通信に関する構成を示すブロック図である。図19に示した基地局2aの下り方向の通信に関する構成は、先の図2に示した実施の形態1の基地局2の下り方向の通信に関する構成に、ハンドオーバの処理を実行するハンドオーバ制御部210が追加されている。先の図2に示した実施の形態1の基地局2の下り方向の通信に関する構成と同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
ハンドオーバ制御部210は、無線信号送受信部206を介して移動局3aからのハンドオーバ要求を受信すると、受信したハンドオーバ要求をスケジューラ部208に出力する。また、ハンドオーバ制御部210は、スケジューラ部208からハンドオーバ実行許可を受けると、ハンドオーバ実行のための処理を行なう。
スケジューラ部208は、ハンドオーバ制御部210からハンドオーバ要求を受けると、ハンドオーバ要求を行った移動局3aに対する優先度および/または伝送品質を高くして無線転送ブロックをスケジューリングする。また、スケジューラ部208は、ハンドオーバ要求を行った移動局3aに対するパケットの送達が完了すると、ハンドオーバ実行許可をハンドオーバ制御部210に出力する。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態7の動作を説明する。この実施の形態7と先の実施の形態1または3〜6との相違点は、移動局3aがハンドオーバを行う際の動作のみであるので、ここではハンドオーバに関する動作のみを説明する。
予め定められた周期毎の測定時間になると、移動局3aのハンドオーバ要求部308は、現在接続中の基地局2aおよび現在通信中の基地局2aと隣接しており自局と通信可能な基地局2aと自局間の無線回線品質を測定する。ハンドオーバ要求部308は、測定した無線回線品質に基づいてハンドオーバを実行するか否かを判断する。ハンドオーバを実行するか否かの判断は、一般的な従来技術を用いる。たとえば、現在接続中の基地局2aとの無線回線品質が予め定められた閾値以下であって、かつ通信可能な基地局2aの中で現在接続中の基地局2aとの無線回線品質よりも無線回線品質が良好な基地局2aが存在する場合にハンドオーバを実行すると判断する。ハンドオーバを実行すると判断した場合、ハンドオーバ要求部308は、無線信号送受信部301を介してハンドオーバ要求を当該基地局2aに送信する。
ハンドオーバ要求を受信すると、基地局2aのハンドオーバ制御部210は、受信したハンドオーバ要求をスケジューラ部208に出力する。スケジューラ部208は、ハンドオーバ要求を受けた時点で、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する未送達のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックの優先度を高く設定する。これにより、スケジューリング時間に実行するスケジューリング処理において、送達確認量積算値に依存することなく、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する優先度が最も高くなり、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する無線転送ブロックに優先的に無線リソースを割り当てられる。
また、基地局2aのスケジューラ部208は、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する伝送品質を現在の伝送品質よりも高く設定する。伝送品質としては、変調方式や符号化率、送信電力などを用いる。たとえば、変調方式として「64QAM」、「16QAM」、「QPSK」の何れかを設定可能であり、かつハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対して現在「64QAM」の変調方式が設定されている場合には、スケジューラ部208は、「16QAM」または「QPSK」の変調方式を設定する。また、符号化率として「1/3」、「1/2」、「2/3」のいずれかを設定可能であって、かつハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対して現在「2/3」の符号化率が設定されている場合には、スケジューラ部208は、「1/3」または「1/2」の符号化率を設定する。また、送信電力については、現在の送信電力よりも大きい送信電力を設定する。
基地局2aのスケジューラ部208は、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対するパケットの送達が完了すると、ハンドオーバ実行許可をハンドオーバ制御部210に出力する。ハンドオーバ制御部210は、ハンドオーバ実行許可を受けるとハンドオーバ実行のための処理を開始する。
以上説明したように、この実施の形態7においては、移動局3aからのハンドオーバ要求を受けると、送達確認量積算値に依存することなくハンドオーバ要求を送信した移動局に送信中のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックの優先度および/または伝送品質を高く設定し、ハンドオーバ要求を送信した移動局に送信中のパケットの送信が終了した後にハンドオーバを実行するようにしているため、ハンドオーバ遅延時間を短縮することが可能となり、無線回線品質が悪くなる前にハンドオーバを実行できる可能性が高くなり、通信品質を向上することができる。
また、基地局間で転送する下り方向の未送達のパケットの数を削減することができ、基地局間伝送路における通信量を削減することができる。
なお、この実施の形態7においては、基地局2aから移動局3aにユーザデータを送信する下り方向の通信を例に挙げて説明したが、移動局3aから基地局2aにユーザデータを送信する上り方向の通信においても同様に実施することは可能であり、また同様の効果を得ることができる。この場合、先の図9に示した実施の形態2の移動局3の上り方向の通信に関する機能に、この実施の形態7のハンドオーバ要求部308を備え、先の図10に示した実施の形態2の基地局2の上り方向の通信に関する機能に、この実施の形態7のハンドオーバ制御部210を備えるようにすればよい。
実施の形態8.
図20および図21を参照してこの発明の実施の形態8を説明する。この実施の形態8では、ハンドオーバ遅延許容時間を考慮して効率的なハンドオーバを実施するものである。この実施の形態8の通信システムの構成は、先の実施の形態7の通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。この実施の形態8の移動局3aの構成は、先の実施の形態7の移動局3aと同じであるが、ハンドオーバ要求部308には、先の実施の形態7のハンドオーバ要求部308の機能に加えてハンドオーバ遅延許容時間を予測する機能が追加されている。
また、この実施の形態8の基地局2aの構成は、先の実施の形態7の基地局2aと同じであるが、スケジューラ部208は、先の実施の形態7のスケジューラ部208の機能に加えて、ハンドオーバ要求に含まれるハンドオーバ遅延許容時間および現在のトラフィック負荷状況などから求めた送達完了所要時間に基づいて、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対するパケットに対する未到達の無線転送ブロックを送信した後にハンドオーバを実行するか否かを判断する機能が追加されている。
つぎに、この発明における実施の形態8の通信システムの動作について説明する。なお、この実施の形態8の通信システムの動作は、先の実施の形態7の通信システムとほぼ同じであり、相違点は、移動局3aのハンドオーバ要求部308がハンドオーバ許容遅延時間を求めて基地局2aに通知し、基地局2aのスケジューラ部208が通知されたハンドオーバ許容遅延時間に基づいてスケジューリングを行うことであるので、相違点のみを説明する。
まず、図20を参照して、移動局3aのハンドオーバ要求部308の動作について説明する。図20は、無線回線品質の劣化と時間の関係を示す図である。移動局3aが移動することによって基地局2aと移動局3aとの距離が離れたり、基地局2aと移動局3aとの無線環境の変化によって、図20に示すように、基地局2aと移動局3a間の無線回線品質は時間の経過によって劣化する。ハンドオーバ要求部308は、予め定められた周期毎の測定時間になると、現在接続中の基地局2aおよび現在通信中の基地局2aと隣接しており自局と通信可能な基地局2aと自局間の無線回線品質を測定している。ハンドオーバ要求部308は、現在の測定時間以前に測定した無線回線品質を予め定められた数分記憶しておく。ハンドオーバ要求部308は、ハンドオーバを要求すると判断すると(図20においては現在時刻)、記憶している現在時刻より前に測定した無線回線品質に基づいてハンドオーバ許容遅延時間を予測する。具体的には、記憶している無線回線品質から無線回線品質の劣化の速度を求め、求めた無線回線品質の劣化の速度で無線回線品質が劣化した場合に、現在時刻から無線回線品質が予め定められた閾値(通信可能な無線回線品質の値)以下となる時刻までの時間を示すハンドオーバ許容遅延時間を求める。ハンドオーバ要求部308は、求めたハンドオーバ許容遅延時間を含めたハンドオーバ要求を送信する。
つぎに、図21を参照して、基地局2aのスケジューラ部208の動作について説明する。ハンドオーバ制御部210からハンドオーバ許容遅延時間を含めたハンドオーバ要求を受けると、スケジューラ部208は、現在のトラヒック負荷状況およびハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する未送達のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックのデータ量に基づいて、未送達パケットの送達完了所要時間を見積もる(ステップS501)。
スケジューラ部208は、見積もった送達完了所要時間とハンドオーバ要求に含まれるハンドオーバ許容遅延時間とを比較する。比較の結果、送達完了所要時間がハンドオーバ許容遅延時間より大きい場合(ステップS502,Yes)、すなわち、ハンドオーバ許容遅延時間内に未送達のパケットの未送達の無線転送ブロックをすべて送信することができない場合、スケジューラ部208は、未送達の無線転送ブロックの送信を継続してもハンドオーバ前に移動局3aがパケットを完成させることはできないと判断し、直ちにハンドオーバを開始させるためにハンドオーバ実行許可をハンドオーバ制御部210に出力する(ステップS503)。
送達完了所要時間がハンドオーバ許容遅延時間以下の場合(ステップS502,No)、すなわちハンドオーバ許容遅延時間内に、未送達のパケットの未送達の無線転送ブロックをすべて送信することができる場合、スケジューラ部208は、ハンドオーバ前に移動局3aがパケットを完成させることができると判断し、先の実施の形態7と同様に、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する未送達のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックの優先度および/または伝送品質を高く設定してスケジューリングを実行する(ステップS504)。
以上説明したように、この実施の形態8においては、移動局3aが、無線回線品質に基づいて無線回線品質の劣化の速度を求め、求めた速度から現在接続している基地局と通信可能なハンドオーバ許容遅延時間を予測し、予測したハンドオーバ許容遅延時間を含めたハンドオーバ要求を送信し、基地局2aは、ハンドオーバ要求を送信した移動局に送信中のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックを送信するために必要な送達完了所要時間を求め、送達完了所要時間がハンドオーバ要求に含まれるハンドオーバ許容遅延時間以下の場合には送達確認量積算値に依存することなくハンドオーバ要求を送信した移動局に送信中のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックの優先度および/または伝送品質を高く設定し、ハンドオーバ要求を送信した移動局に送信中のパケットの送信が終了した後にハンドオーバを実行し、送達完了所要時間が前記ハンドオーバ要求に含まれるハンドオーバ許容遅延時間より大きい場合には直ちにハンドオーバを実行するようにしているため、ハンドオーバを遅延させた上にパケットが完成しないという事態を避けることができる。
なお、この実施の形態8においては、送達完了所要時間がハンドオーバ許容遅延時間以下の場合に、ハンドオーバ要求を送信した移動局3aに対する未送達のパケットを構成する未送達の無線転送ブロックの優先度および/または伝送品質を高く設定してスケジューリングを実行するようにしたが、ハンドオーバ許容遅延時間に余裕がある場合には、ハンドオーバ許容遅延時間内に未送達パケットの未送達無線転送ブロックを送信すればよいので、ハンドオーバ許容遅延時間と送達完了所要時間に応じて優先度を高く設定すればよい。
具体的には、たとえば、ハンドオーバ許容遅延時間が予め定められた値より小さい場合には優先度を高く設定し、ハンドオーバ許容遅延時間が予め定められた値以上の場合には優先度を変更することなく、送達確認量積算値に応じた優先度によってスケジューリングを行うようにする。また、ハンドオーバ許容遅延時間と送達完了所要時間の差を用いるようにしてもよい。これにより、ハンドオーバ要求によってハンドオーバを要求していない他の移動局の優先度が不当に低くなることが無くなり、各移動局の公平性を著しく損なうことを防止することができる。
実施の形態9.
先の実施の形態2では、上り方向の通信において基地局2のスケジューラ部219は、無線転送ブロックを正常に受信できたことが再送制御部214から通知されると、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新し、更新した送信送達量積算値に基づいてスケジューリングを行うようにした。
この実施の形態9では、移動局3が送達確認量積算値を管理し、基地局2から無線転送ブロックを正常に受信できたことを示す送達確認を受信した際に、移動局3が送達確認量積算値を更新して基地局2に通知し、基地局2のスケジューラ部219が、通知された送達確認量積算値に基づいてスケジューリングを行う。
なお、この実施の形態9の通信システムは先の図1に示した実施の形態1の通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態9の移動局3および基地局2は先の図9および図10に示した実施の形態2の移動局3および基地局2と同じであるが、移動局3の制御部319が自局の送達確認量積算値を記憶しており、基地局2から無線転送ブロックを正常に受信できたことを示す送達確認を受信した際に送達確認量積算値を更新する点と、移動局3の制御部319が予め定められた送信要求報告タイミングになると送達確認量積算値を基地局2に送信する制御を行う点が異なる。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態9の動作を説明する。まず、移動局3が基地局2に送達確認量積算値を通知し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。移動局3のパケットバッファ312は、パケットをバッファリングする。
移動局3の制御部319は、予め定められた送信要求報告タイミングになると、記憶している送達確認量積算値とパケットサイズ情報とを含む送信要求を生成し、生成した送信要求を送信要求送信部320に出力する。送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送達確認量積算値およびパケットサイズ情報を記憶する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度に従って移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。なお、スケジューリング処理は、先の図6のフローチャートを参照して説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。送信指示送信部217は、スケジューラ部219が無線回線品質情報およびパケットサイズ情報に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によって割り当てた無線リソースの情報(無線リソース情報)を含む送信指示を各移動局3に送信する。
なお、移動局3が対象とするパケットサイズを送信要求に含めておき、基地局2のスケジューラ部219は、送達確認量積算値が同じ移動局3については、パケットサイズが大きい移動局3を優先するようにスケジューリングを行うようにしてもよい。
つぎに、移動局3がパケットを構成する無線転送ブロックを送信する動作について説明する。移動局3の無線信号送受信部316を介して送信指示を受けると、送信指示受信部318は、受信した送信指示を制御部319に出力する。制御部319は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを無線転送ブロック生成情報として無線転送ブロック生成部313に出力する。
移動局3の無線転送ブロック生成部313は、無線転送ブロック生成情報に基づいて、パケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成し、生成した無線転送ブロックを再送制御部314に出力する。
移動局3の再送制御部314は、無線転送ブロックを受けると再送時に必要な処理を行なった後に無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部317に出力し、無線転送ブロック送信部317は無線信号送受信部316を介して無線転送ブロックを基地局2に送信する。
基地局2の無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部214に出力する。再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうかを判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部214は、無線転送ブロックをパケット再生部215に出力する。また、再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2のパケット再生部215は、パケットを構成する全ての無線転送ブロックが正常に受信されたパケットを再生すると、再生したパケットを有線信号送信部216を介して有線ネットワーク1に送信する。
一方、無線転送ブロックを正常に受信できなかった場合、基地局2の再送制御部214は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2の再送制御信号送信部212は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部211を介して移動局3に送信する。
移動局3の再送制御部314は、無線信号送受信部316および再送制御信号受信部315を介して受信した再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御部314は、再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
再送制御部314から無線転送ブロックが基地局2にて正常に受信されたこと(移動局3が送達確認を受信したこと)が通知されると、制御部319は、記憶している送達確認量積算値に送達確認量を加算して送達確認量積算値を更新する。あるパケットを構成する無線転送ブロックすべてについて送達確認を受信した場合には、送達確認量積算値を初期化する。
以上説明したように、この実施の形態9においては、基地局2が、移動局3から受信した送信要求に含まれるパケット長および無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、送信要求に含まれる基地局2から送達確認が取れた無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送達確認量積算値に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて移動局3が送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、無線転送ブロックのサイズおよび無線リソースの割り当てを含む送信指示を移動局3に送信する。移動局3は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズに基づいて送信すべきパケットを分割して無線転送ブロックを生成し、送信指示に含まれる無線リソースの割り当てに基づいて生成した無線転送ブロックを基地局2に送信する。すなわち、移動局3が送達確認量積算値を管理し、基地局2から無線転送ブロックを正常に受信できたことを示す送達確認を受信した際に、移動局3が送達確認量積算値を更新して基地局2に通知し、基地局2が、通知された送達確認量積算値に基づいてスケジューリングを行う。これにより、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
また、移動局3が送達確認量積算値を管理して基地局2に通知するようにしているため、基地局2から移動局3へ通知される送達確認に伝送上の誤りが生じた場合でも、実際の送達確認量積算値とスケジューラが認識する送達確認量積算値に差異が生じることがなくなり、正確な送達確認量積算値を用いてスケジューリングを行うことができる。
なお、移動局3が送信指示を受けた場合、記憶している送達確認量積算値とパケットサイズ情報に基づく優先度の高い論理チャネルを選択し、その論理チャネル内のデータから無線転送ブロックを生成するようにしてもよい。
また、先の実施の形態3で記載したように、スケジューラ部219が「滞留許容残時間」を考慮するようにしてもよい。この場合、移動局3から送達確認量積算値およびパケットサイズ情報とともに「滞留許容残時間」を基地局2に通知するようにすればよい。
実施の形態10.
図22〜図26を用いてこの発明の実施の形態10を説明する。この実施の形態10では、先の実施の形態9の通信システムを3gpp Long Term Evolutionに適用した場合について説明する。まず、移動局3から基地局2に送達確認量積算値およびパケットサイズ情報を通知する無線インタフェースについて説明する。送達確認量積算値は、送達確認が取れた無線転送ブロックのサイズの積算値、すなわちパケット内の送達確認が取れた割合であり、パケットサイズは、対象となるパケットのサイズである。以下、送達確認量積算値とパケットサイズとをまとめてSegmentation Status(セグメンテーションステータス)と呼ぶことがある。
3gpp Long Term Evolutionには、移動局の送信バッファの状態を報告するBuffer Status Report(バッファ状態報告)がある。移動局3は、このバッファ状態報告を送信要求として用いて、パケットバッファ312内に蓄積されているパケットのデータ総量とセグメンテーションステータスとを基地局2に通知する。
具体的には、予め定められた送信要求報告タイミングになると、制御部319がパケットバッファ312内に蓄積されているパケットのデータ総量、送達確認量積算値、およびパケットサイズを送信要求送信部320に通知する。そして、送信要求送信部320が、通知されたデータ総量、送達確認量積算値、およびパケットサイズからバッファ状態報告を生成し、生成したバッファ状態報告を無線信号送受信部316を介して基地局2に送信する。基地局2の送信要求受信部218は、無線信号送受信部211を介してバッファ状態報告を受信すると、バッファ状態報告からセグメンテーションステータスを抽出してスケジューラ部219に出力する。
なお、移動局3がバッファ状態報告を基地局2に送信する送信要求報告タイミングは、移動局3内に送信すべきパケットが存在する場合でもよいし、予め定められた周期毎であってもよいし、セグメンテーションが発生した場合であってもよい。なお、予め定められた周期は、基地局2から指定される最大無線転送ブロックサイズに依存して規定されることとしてもよい。
また、バッファ状態報告は、移動局3内の複数論理チャネル単位毎に通知してもよいし、特定のチャネル(たとえば、優先度の高いチャネル)のみを通知するようにしてもよく、複数論理チャネルをまとめて移動局3単位で通知するようにしてもよい。
また、送達確認量積算値およびパケットサイズをバッファ状態報告に含める場合、送達確認量積算値およびパケットサイズの値をそのまま含めた場合、1バイト以上が必要となるが、パケットバッファ312に蓄積されているデータがない(セグメントされているデータが存在しない)場合、セグメンテーションステータスを格納するバッファ状態報告の領域が無駄になる。この無駄を無くすために、バッファ状態報告にビット数削減のためにセグメンテーションステータスの有無を示す制御ビットを設けるようにしてもよい。また、複数論理チャネルをまとめてバッファ状態報告を生成する場合にそのいずれの論理チャネルについてもセグメントされているデータが存在しない場合には、バッファ状態報告に論理チャネルで共通の制御ビットを設けるようにすればよい。
さらに、セグメンテーションステータスのビット数を削減するために、図22および図23に示すように、送達確認量積算値およびパケットサイズの値をインデックスで表すようにしてもよい。図22は、送達確認量積算値をインデックス化する場合の一例を示す図である。図22において、SS1は送達確認量積算値を示しており、セグメントが存在しない場合のインデックスを「0」とし、「0%<送達確認量積算値≦10%」をインデックス「1」で表し、「10%<送達確認量積算値≦20%」をインデックス「2」で表し、「20%<送達確認量積算値≦30%」をインデックス「3」で表し、「30%<送達確認量積算値≦40%」をインデックス「4」で表し、というように送達確認量積算値を10%刻みにしてインデックスに対応付けている。これにより、直値で表わすと7ビット必要な送達確認量積算値を4ビットで表すことが可能となる。
また、図23は、パケットサイズをインデックス化する場合の一例を示す図である。図23において、SS2はパケットサイズを示しており、「0バイト<パケットサイズ≦100バイト」をインデックス「0」で表し、「100バイト<パケットサイズ≦200バイト」をインデックス「1」で表し、「200バイト<パケットサイズ≦300バイト」をインデックス「2」で表し、「300バイト<パケットサイズ≦400バイト」をインデックス「3」で表し、というようにパケットサイズを100バイト刻みにしてインデックスに対応付けている。これにより、直値で表すと11ビット以上必要なパケットバイト数を4ビットで表すことが可能となる。
図24は、バッファ状態報告を伝送するために3gpp TS25.321に記載されているMAC−e PDUを拡張した拡張MAC−e PDUのフォーマットの一例を示す図である。図24において、拡張MAC−e PDUは、対応するMAC−es PDUのチャネルIDとサイズとが格納されるDDIフィールドおよび対応するMAC−es PDUの個数が格納されるNフィールドとを組とするMAC−es PDUの個数分(この場合はn(nは自然数)個)のフィールドと、スケジューリング情報の有無を示す情報が格納されるDDI0フィールドと、n個のMAC−es PADフィールドと、スケジューリング情報が格納されるSIフィールドと、パディングが格納されるPadiingフィールドとで構成される。SIフィールドは、移動局3の送信電力の残量値が格納されるUPH(UE Power Headroom)フィールドと、移動局3内の全てのバッファの総量が格納されるTEBS(Total E-DCH Buffer Status)フィールドと、最も優先度の高いチャネルIDのバッファのデータ量が格納されるHLBS(Highest priority Logical channel Buffer Status)フィールドと、最も優先度の高いチャネルIDが格納されるHLID(Highest priority Logical channel ID)フィールド、送達確認量積算値が格納される送達確認量積算値フィールドと、パケットサイズが格納されるパケットサイズフィールドとで構成される。この拡張MAC−e PDUを用いることで、セグメーションステータスを移動局3から基地局2に通知することが可能となる。
なお、ここまでは移動局3のパケットバッファ312(送信バッファ)の状態を基地局2に報告するバッファ状態報告を用いてセグメンテーションステータスを報告する場合について説明したが、バッファ状態報告ではなくMACレイヤの制御情報(MAC Control PDU)を用いて独立した報告タイミングでセグメンテーションステータスを基地局2に報告するようにしてもよい。
図25は、バッファ状態報告の伝送にMAC Control PDUを用いる場合の3gpp TS25.321に記載されているMAC−e PDUを拡張した拡張MAC−e PADのフォーマットの構成の別の一例を示す図である。図25において、拡張MAC−e PADは、後続情報がデータ情報であるのか制御情報であるのかを識別する情報が格納されるD/Cフィールドと、対応するMAC−es PDUのチャネルIDとサイズとが格納されるDDIフィールドおよび対応するMAC−es PDUの個数が格納されるNフィールドとを組とするMAC−es PDUの個数分(この場合はn(nは自然数)個)のフィールドと、スケジューリング情報の有無を示す情報が格納されるDDI0フィールドと、n個のMAC−es PADフィールドと、MACレイヤの制御情報が格納されるMAC−c PDUフィールドと、パディングが格納されるPadiingフィールドとで構成される。MAC−c PDUは、対応するValueのMAC Control PDUの種別が格納されるTypeフィールドと、対応するValueの長さが格納されるLengthフィールドと、MAC制御情報が格納されるValueフィールドとを組としたn個のフィールドで構成される。移動局3の送信要求送信部320は、Valueフィールドにセグメンテーションステータス(送達確認量積算値およびパケットサイズ)を格納する際には、Typeフィールドにセグメンテーションステータスが含まれている旨を示す種別として「SSTAT」を格納し、基地局2の送信要求受信部218は、Typeフィールドに「SSTAT」が格納されている場合、対応するValueフィールドにセグメンテーションステータスが格納されていると認識することで、セグメンテーションステータスを移動局3から基地局2に通知することが可能となる。
つぎに、レイヤ間インタフェースについて説明する。基地局2や移動局3は、一般的に、各機能をレイヤで実現しており、レイヤ間で情報をやりとりして各レイヤの処理を行う。ここでは、移動局3の制御部319によるパケットバッファ312の制御やセグメント処理、および再送制御部314による再送処理を実現するRLC(Radio Link Control)レイヤと、制御部319による基地局2がスケジューリング処理や無線伝送制御処理を実現するために必要な情報を通知する処理を行なうMAC(Medium Access Control)レイヤとの間で伝送する情報について説明する。
RLCレイヤとMACレイヤとの間では、送達確認量積算値とパケットサイズとが伝送される。すなわち、上述した無線インタフェースにおけるセグメンテーションステータスがRLCレイヤとMACレイヤとの間でもやりとりされる。RLCレイヤとMACレイヤ間においても、セグメンテーションステータスは、移動局3内の複数論理チャネル単位毎に通知してもよいし、特定のチャネル(たとえば、優先度の高いチャネル)のみを通知するようにしてもよく、複数論理チャネルをまとめて移動局3単位で通知するようにしてもよい。
また、セグメンテーションステータスの通知タイミングは、送信要求報告タイミングと同様に、移動局3内に送信すべきパケットが存在する場合でもよいし、予め定められた周期毎であってもよいし、セグメンテーションが発生した場合であってもよい。
図26は、3gpp TS25.321を拡張したRLCレイヤとMACレイヤとの間の伝達情報(プリミティブ)を示す図である。図26においては、ParameterとしてRequest、Indication、Response、およびConfirmが定義されている。MAC−DATAのRequestとしては、Data、BO(Buffer Occupancy)、UE−ID(User Equipment識別子)、type Indicator、RLC Entity Info、Segmentation Statusを挙げており、MAC−DATAのIndicationとしては、Data、No_TB(Transport Block番号)、TD(Note)、およびError Indicationを挙げている。また、MAC−STATUSのIndicationとしては、No_PDU(Packet Data Unit番号)、PDU_Size(Packet Data Unitサイズ)、Tx Status、およびStatus_Report_REQを挙げており、MAC−STATUSのResponseとしては、BO(Buffer Occupancy)およびRLC Entity Infoを挙げている。すなわち、RLCレイヤからMACレイヤに対して、ParameterのRequestにSegmentation Statusを追加している。
以上説明したように、この実施の形態10においては、送信要求としてバッファ状態報告を用い、レイヤ間の伝達情報として3gpp TS25.321を拡張してParameterのRequestにセグメンテーションステータスを含めるようにしているため、従来の無線インタフェースやレイヤ間インタフェースを大きく変更することなく、スケジューリングに必要な情報を伝達することができる。
実施の形態11.
先の実施の形態9においては、移動局3が送達確認量積算値を管理し、基地局2から無線転送ブロックを正常に受信できたことを示す送達確認を受信した際に、移動局3が送達確認量積算値を更新して基地局2に通知し、基地局2のスケジューラ部219が、通知された送達確認量積算値に基づいてスケジューリングを行うようにしたが、この実施の形態11では、送達確認量積算値の代わりに送信済みデータ量積算値を用いる場合について説明する。
なお、この実施の形態11の通信システムは先の図1に示した実施の形態1の通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態11の移動局3および基地局2は先の図9および図10に示した実施の形態2の移動局3および基地局2と同じであるが、移動局3の制御部319が自局の送信済みデータ量積算値を記憶しており、無線転送ブロックを送信すると送信済みデータ量積算値を更新する点と、移動局3の制御部319が予め定められた送信要求報告タイミングになると送信済みデータ量積算値を基地局2に送信する制御を行う点が異なる。ここで、送信済みデータ量積算値とは、移動局3が送信したデータ量、すなわち移動局3が送信した無線転送ブロックのサイズの積算値である。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態11の動作を説明する。まず、移動局3が基地局2に送信済みデータ量積算値を通知し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。移動局3のパケットバッファ312は、パケットをバッファリングする。
移動局3の制御部319は、予め定められた送信要求報告タイミングになると、記憶している送信済みデータ量積算値とパケットサイズ情報とを含む送信要求を生成し、生成した送信要求を送信要求送信部320に出力する。送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送信済みデータ量積算値およびパケットサイズ情報を記憶する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している送信済みデータ量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度に従って移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。なお、スケジューリング処理は、先の図6のフローチャートを参照して説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。送信指示送信部217は、スケジューラ部219が無線回線品質情報およびパケットサイズ情報に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によってスケジューリングした情報を送信指示として各移動局3に送信する。
なお、移動局3が対象とするパケットサイズを送信要求に含めておき、基地局2のスケジューラ部219は、送信済みデータ量積算値が同じ移動局3については、パケットサイズが大きい移動局3を優先するようにスケジューリングを行うようにしてもよい。
つぎに、移動局3がパケットを構成する無線転送ブロックを送信する動作について説明する。移動局3の無線信号送受信部316を介して送信指示を受けると、送信指示受信部318は、受信した送信指示を制御部319に出力する。制御部319は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを無線転送ブロック生成情報として無線転送ブロック生成部313に出力する。また、制御部319は、記憶している送信済みデータ量積算値に送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを加算して送信済みデータ量積算値を更新する。制御部319は、あるパケットを構成する無線転送ブロックを全て送信済みとした場合には、送信済みデータ量積算値を初期化する。
移動局3の無線転送ブロック生成部313は、無線転送ブロック生成情報に基づいて、パケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成し、生成した無線転送ブロックを再送制御部314に出力する。
移動局3の再送制御部314は、無線転送ブロックを受けると再送時に必要な処理を行なった後に無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部317に出力し、無線転送ブロック送信部317は無線信号送受信部316を介して無線転送ブロックを基地局2に送信する。
基地局2の無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部214に出力する。再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうかを判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部214は、無線転送ブロックをパケット再生部215に出力する。また、再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2のパケット再生部215は、パケットを構成する全ての無線転送ブロックが正常に受信されたパケットを再生すると、再生したパケットを有線信号送信部216を介して有線ネットワーク1に送信する。
一方、無線転送ブロックを正常に受信できなかった場合、基地局2の再送制御部214は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2の再送制御信号送信部212は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部211を介して移動局3に送信する。
移動局3の再送制御部314は、無線信号送受信部316および再送制御信号受信部315を介して受信した再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御部314は、再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
以上説明したように、この実施の形態11においては、基地局2が、移動局3から受信した送信要求に含まれるパケット長および無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、送信要求に含まれる移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送信済みデータ量積算値に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて移動局3が送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、無線転送ブロックのサイズおよび無線リソースの割り当てを含む送信指示を移動局3に送信する。移動局3は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズに基づいて送信すべきパケットを分割して無線転送ブロックを生成し、送信指示に含まれる無線リソースの割り当てに基づいて生成した無線転送ブロックを基地局2に送信する。すなわち、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送信済みデータ量積算値を基地局2に通知し、基地局2が、通知された送信済みデータ量積算値に基づいてスケジューリングを行う。これにより、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
なお、この実施の形態11の通信システムを3gpp Long Term Evolutionに適用する場合は、先の実施の形態9を3gpp Long Term Evolutionに適用した実施の形態10の送達確認量積算値の代わりに、送信済みデータ量積算値を用いるようにすればよい。これにより、従来の無線インタフェースやレイヤ間インタフェースを大きく変更することなく、スケジューリングに必要な情報を伝達することができる。
また、移動局3が送信指示を受けた場合、記憶している送信済みデータ量積算値に基づく優先度の高い論理チャネルを選択し、その論理チャネル内のデータから無線転送ブロックを生成するようにしてもよい。
さらに、先の実施の形態3で記載したように、スケジューラ部219が「滞留許容残時間」を考慮するようにしてもよい。この場合、移動局3から送信済みデータ量積算値とともに「滞留許容残時間」を基地局2に通知するようにすればよい。
実施の形態12.
先の実施の形態2においては、上り方向の通信において基地局2のスケジューラ部219は、無線転送ブロックを正常に受信できたことが再送制御部214から通知されると、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新し、更新した送信送達量積算値に基づいてスケジューリングを行うようにした。
この実施の形態12では、上り方向の通信において基地局2のスケジューラ部219が、送達が確認された無線転送ブロックの送達確認量積算値ではなく、スケジューリング処理によって無線リソースを割り当てて移動局3に送信させる無線転送ブロックのサイズの積算値、すなわち送信指示によって移動局3が送信する無線転送ブロックのサイズの積算値である送信済みデータ量積算値を用いてスケジューリングを行うものである。
なお、この実施の形態12の通信システムは先の図1に示した実施の形態1の通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態12の移動局3および基地局2は先の図9および図10に示した実施の形態2の移動局3および基地局2と同じであるが、基地局2のスケジューラ部219が、無線転送ブロックを正常に受信できたことが再送制御部214から通知されると、移動局3に対応付けて記憶している送達確認量積算値を更新するのではなく、スケジューリング処理を実行した後にスケジューリング処理によって割り当てた無線転送ブロックサイズを移動局3に対応付けて記憶している送信済みデータ量積算値に加算して送信済みデータ量積算値を更新し、つぎのスケジューリング処理において、この送信済みデータ量積算値を用いて無線リソースを割り当てる点が異なる。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態12の動作を説明する。まず、移動局3において送信すべきパケットが発生した際の動作について説明する。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。
移動局3のパケットバッファ312は、新規のパケットをバッファリングしたことを制御部319に通知する。制御部319は、新規のパケットをバッファリングしたこと、すなわち基地局2に送信すべきパケットが発生したことを通知する送信要求を生成して送信要求送信部320に出力する。制御部319は送信要求内にパケットのサイズを示すパケットサイズ情報を含めておく。移動局3の送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送信済みデータ量積算値およびパケットサイズを記憶する。このとき送信済みデータ量積算値を初期化して記憶する。
つぎに、移動局3がパケットを構成する無線転送ブロックを送信する動作について説明する。移動局3の無線信号送受信部316を介して送信指示を受けると、送信指示受信部318は、受信した送信指示を制御部319に出力する。制御部319は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを無線転送ブロック生成情報として無線転送ブロック生成部313に出力する。
移動局3の無線転送ブロック生成部313は、無線転送ブロック生成情報に基づいて、パケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成し、生成した無線転送ブロックを再送制御部314に出力する。
移動局3の再送制御部314は、無線転送ブロックを受けると再送時に必要な処理を行なった後に無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部317に出力し、無線転送ブロック送信部317は無線信号送受信部316を介して無線転送ブロックを基地局2に送信する。
基地局2の無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部214に出力する。再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうかを判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部214は、無線転送ブロックをパケット再生部215に出力する。また、再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2のパケット再生部215は、パケットを構成する全ての無線ブロックが正常に受信されてパケットを再生すると、再生したパケットを有線信号送信部216を介して有線ネットワーク1に送信する。
一方、無線転送ブロックを正常に受信できなかった場合、基地局2の再送制御部214は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2の再送制御信号送信部212は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部211を介して移動局3に送信する。
移動局3の再送制御部314は、無線信号送受信部316および再送制御信号受信部315を介して受信した再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御部314は、再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
つぎに、基地局2のスケジューラ部219の動作について説明する。予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している送信済みデータ量積算値に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度にしたがって移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。なお、スケジューリング処理は、先の図6のフローチャートを参照して説明した実施の形態1のスケジューリング処理とほぼ同じであり、相違点は、実施の形態1では送達確認量積算値を無線転送ブロックをスケジューリングする際の優先度として使用したのに対して、この実施の形態12では送信済みデータ量積算値を無線転送ブロックをスケジューリングする際の優先度として使用する点であるので、ここではその説明を省略する。
スケジューリング処理が終了すると、スケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している送信済みデータ量積算値にスケジューリング処理によって割り当てた無線転送ブロックサイズを加算して送信済みデータ量積算値を更新する。また、あるパケットを構成する無線転送ブロックをすべて送信済みとした場合には、スケジューラ部219は、送信済みとした移動局3に対応付けて記憶している送信済みデータ量積算値を初期化する。
以上説明したように、この実施の形態12においては、基地局2が、移動局3から受信した送信要求に含まれるパケット長および無線回線品質情報に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、移動局3に対応付けた当該移動局に送信した送信指示に含まれる無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送信済みデータ量積算値に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて移動局3が送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、無線転送ブロックのサイズおよび無線リソースの割り当てを含む送信指示を移動局3に送信する。移動局3は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズに基づいて送信すべきパケットを分割して無線転送ブロックを生成し、送信指示に含まれる無線リソースの割り当てに基づいて生成した無線転送ブロックを基地局2に送信する。すなわち、基地局2は、送信指示によって移動局3が送信する無線転送ブロックのサイズの積算値である送信済みデータ量積算値を用いてスケジューリングを行う。これにより、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
なお、先の実施の形態3で記載したように、スケジューラ部219が「滞留許容残時間」を考慮するようにしてもよい。この場合、移動局3から「滞留許容残時間」を基地局2に通知するようにすればよい。
実施の形態13.
図27を用いてこの発明の実施の形態13を説明する。この実施の形態13では、先の実施の形態12の通信システムを3gpp Long Term Evolutionに適用した場合について説明する。基地局2のスケジューラ部219は、パケットに対する送信済みのデータ量である送信済みデータ量積算値を用いてスケジューリング処理を行なう。そのため、移動局3から基地局2には、パケットバッファ312に蓄積されているパケットのデータ総量と、および基地局2に到着するパケットのサイズ(到着パケットサイズ)を通知する必要がある。まず、移動局3から基地局2にデータ総量および到着パケットサイズを通知する無線インタフェースについて説明する。
先の実施の形態10で説明したように、3gpp Long Term Evolutionには、移動局の送信バッファの状態を報告するBuffer Status Report(バッファ状態報告)がある。移動局3は、このバッファ状態報告を送信要求として用いて、パケットバッファ312内に蓄積されているパケットのデータ総量と到着パケットサイズとを基地局2に通知する。
具体的には、予め定められた送信要求報告タイミングになると、制御部319がパケットバッファ312内に蓄積されているパケットのデータ総量と送信要求の対象となるパケットのパケットサイズ(到着パケットサイズ)を送信要求送信部320に通知する。そして、送信要求送信部320が、通知されたデータ総量および到着パケットサイズからバッファ状態報告を生成し、生成したバッファ状態報告を無線信号送受信部316を介して基地局2に送信する。基地局2の送信要求受信部218は、無線信号送受信部211を介してバッファ状態報告を受信すると、バッファ状態報告から到着パケットサイズを抽出してスケジューラ部219に出力する。
なお、移動局3がバッファ状態報告を基地局2に送信する送信要求報告タイミングは、移動局3内に送信すべきパケットが存在する場合でもよいし、予め定められた周期毎であってもよいし、セグメンテーションが発生した場合であってもよい。なお、予め定められた周期は、基地局2から指定される最大無線転送ブロックサイズに依存して規定されることとしてもよい。
また、バッファ状態報告は、移動局3内の複数論理チャネル単位毎に通知してもよいし、特定のチャネル(たとえば、優先度の高いチャネル)のみを通知するようにしてもよく、複数論理チャネルをまとめて移動局3単位で通知するようにしてもよい。
また、到着パケットサイズをバッファ状態報告に含める場合、到着パケットサイズの値をそのまま含めた場合、1バイト以上が必要となるが、パケットバッファ312に蓄積されているデータがない(セグメントされているデータが存在しない)場合、到着パケットサイズを格納するバッファ状態報告の領域が無駄になる。この無駄を無くすために、バッファ状態報告にビット数削減のためにセグメンテーションステータスの有無を示す制御ビットを設けるようにしてもよい。また、複数論理チャネルをまとめてバッファ状態報告を生成する場合にそのいずれの論理チャネルについてもセグメントされているデータが存在しない場合には、バッファ状態報告に論理チャネルで共通の制御ビットを設けるようにすればよい。この無駄を無くすために、バッファ状態報告にビット数削減のために到着パケットサイズの有無を示す制御ビットを設けるようにしてもよい。また、複数論理チャネルをまとめてバッファ状態報告を生成する場合にそのいずれの論理チャネルについてもセグメントされているデータが存在しない場合には、バッファ状態報告に論理チャネルで共通の制御ビットを設けるようにすればよい。
さらに、到着パケットサイズのビット数を削減するために、到着パケットサイズをインデックスで表すようにしてもよい。この場合、先の図23を参照して実施の形態10においてパケットサイズをインデックス化したのと同様に、到着パケットサイズを予め定められたバイト数刻み(図23の場合は100バイト刻み)にしてインデックスに対応付けるようにすればよい。これにより、到着パケットサイズを直値で表す場合と比較して、ビット数を削減することが可能となる。
なお、この実施の形態13で用いるバッファ状態報告を転送する拡張MAC−e PDUのフォーマットは、先の図24を参照して実施の形態10で説明した拡張MAC−e PDUのフォーマットとほぼ同じであので、ここでは相違点のみを説明する。この実施の形態13においてバッファ状態報告を伝送するために3gpp TS25.321に記載されているMAC−e PDUを拡張した拡張MAC−e PDUを用いてパケットサイズを報告する場合には、先の図24に示した拡張MAC−e PDUのSIフィールドの送達確認量積算値フィールドを削除し、SIフィールドをUPHフィールド、TEBSフィールド、HLBSフィールド、HLIDフィールド、およびパケットサイズフィールドで構成すればよい。また、この実施の形態13においてMACレイヤの制御情報を用いて独立したタイミングでパケットサイズを報告する場合には、先の図25を参照して実施の形態10で説明した拡張MAC−e PADのValueフィールドにパケットサイズを格納すればよい。
つぎに、レイヤ間インタフェースについて説明する。先の実施の形態10においては、RLCレイヤとMACレイヤとの間で送達確認量積算値とパケットサイズとが伝送されたが、この実施の形態13では、RLCレイヤとMACレイヤとの間で到着パケットサイズが伝送される。すなわち、上述した無線インタフェースにおける到着パケットサイズが、RLCレイヤとMACレイヤとの間でもやりとりされ、到着パケットサイズは、移動局3内の複数論理チャネル単位毎に通知してもよいし、特定のチャネル(たとえば、優先度の高いチャネル)のみを通知するようにしてもよく、複数論理チャネルをまとめて移動局3単位で通知するようにしてもよい。
また、セグメンテーションステータスの通知タイミングは、送信要求報告タイミングと同様に、移動局3内に送信すべきパケットが存在する場合でもよいし、予め定められた周期毎であってもよいし、セグメンテーションが発生した場合であってもよい。
図27は、3gpp TS25.321を拡張したRLCレイヤとMACレイヤとの間の伝達情報(プリミティブ)を示す図である。図27においては、ParameterとしてRequest、Indication、Response、およびConfirmが定義されており、MAC−DATAのRequestとしては、Data、BO(Buffer Occupancy)、UE−ID(User Equipment)、type Indicator、およびRLC Entity Infoを、MAC−DATAのIndicationとしては、Data、No_TB(Transport Block番号)、TD(Note)、およびError Indicationを挙げている。また、MAC−STATUSのIndicationとしては、No_PDU(Packet Data Unit番号)、PDU_Size(Packet Data Unitサイズ)、Tx Status、およびStatus_Report_REQを挙げており、MAC−STATUSのResponseとしては、BO(Buffer Occupancy)、RLC Entity Info、およびArrived Packet Sizeを挙げている。
以上説明したように、この実施の形態13においては、送信要求としてバッファ状態報告を用い、レイヤ間の伝達情報として3gpp TS25.321を拡張してParameterのRequestにセグメンテーションステータスを含めるようにしているため、従来の無線インタフェースやレイヤ間インタフェースを大きく変更することなく、スケジューリングに必要な情報を伝達することができる。
なお、この実施の形態13においては、先の実施の形態12の通信システムを3gpp Long Term Evolutionに適用した場合について説明したが、Arrived Packet Sizeの代わりに送達確認量積算値を用いれば、先の実施の形態2の通信システムに適用することが可能である。
実施の形態14.
図28を用いてこの発明の実施の形態14を説明する。先の実施の形態11においては、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送信済みデータ量積算値を基地局2に通知し、基地局2のスケジューラ部219が、通知された送信済みデータ量積算値に基づいてスケジューリングを行うようにしたが、この実施の形態14では、送信済みデータ量積算値の代わりに移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックとパケットの位置関係を示す情報であるパケット位置情報を用いる場合について説明する。
なお、この実施の形態14の通信システムは先の図1に示した実施の形態1の通信システムと同じであるので、ここではその説明を省略する。また、この実施の形態14の移動局3および基地局2は先の図9および図10に示した実施の形態2の移動局3および基地局2と同じであるが、移動局3の制御部319が自局の送信済みデータ量積算値を記憶しており、無線転送ブロックを送信すると送信済みデータ量積算値とパケット位置情報を更新する点と、移動局3の無線転送ブロック生成部313が生成した無線転送ブロックに制御部319で更新したパケット位置情報を付与する制御を行う点が異なる。
ここで、パケット位置情報とは、無線転送ブロックがパケットのどの位置であるかを示す情報である。パケット位置情報は、図28に示すように、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックがパケットの先頭と最後尾を含む場合には「開始・終了」と定義し、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックがパケットの先頭を含み、パケットの最後尾を含まない場合には「開始・継続」と定義し、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックがパケットの先頭を含まず、パケットの最後尾を含む場合には「継続・終了」と定義し、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックがパケットの先頭と最後尾を含まない場合には「継続・継続」と定義する。なお、パケット位置情報は、送信済みデータ量積算値とパケットサイズから求めることができる。
つぎに、この発明における通信システムの実施の形態14の動作を説明する。まず、基地局2から送信指示を受信していない移動局3が基地局2に送信要求を通知し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。移動局3のパケットバッファ312は、パケットをバッファリングする。
移動局3の制御部319は、予め定められた送信要求報告タイミングになると、送信要求を生成する。ここで、送信要求に含める情報は、単に送信要求の有無(送信すべきパケットの有無)を表す少なくとも1ビットの情報としてもよいし、先の実施の形態10で説明したバッファ状態報告を含めてもよい。制御部319は、生成した送信要求を送信要求送信部320に出力する。送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。ここで、移動局3は基地局2から無線転送ブロックの送信指示を受信するまで連続的に送信要求を送信してもよい。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送信要求に含まれる情報を記憶する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、送信要求を記憶している移動局3に対してスケジューリング処理を実行する。ここで、送信要求を記憶している移動局3が複数存在する場合は、基地局2で測定した上り方向の無線回線品質情報が大きい移動局3、または、送信要求の送信回数が多い移動局3を優先して無線リソースを割り当ててもよい。
基地局2の送信指示送信部217は、スケジューラ部219が無線回線品質情報、および、バッファ状態報告に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によってスケジューリングした情報を送信指示として各移動局3に送信する。
つぎに、本実施の形態14の特長である、予め決められたスケジューリング時刻以前に基地局2から送信指示を受信している移動局3が基地局2にパケットを構成する無線転送ブロックとパケット位置情報を送信し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。
移動局3の無線信号送受信部316を介して送信指示を受けると、送信指示受信部318は、受信した送信指示を制御部319に出力する。制御部319は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを無線転送ブロック生成情報として無線転送ブロック生成部313に出力する。また、制御部319は、記憶している送信済みデータ量積算値に送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズを加算して送信済みデータ量積算値、および、パケット位置情報を更新する。制御部319は、あるパケットを構成する無線転送ブロックを全て送信済みとした場合には、送信済みデータ量積算値を初期化する。
移動局3の無線転送ブロック生成部313は、無線転送ブロック生成情報に基づいて、パケットバッファ312にバッファリングされているパケットから無線転送ブロックを生成する。無線転送ブロック生成部313は、生成した無線転送ブロックに制御部319で更新したパケット位置情報を付与した後に再送制御部314に出力する。
移動局3の再送制御部314は、無線転送ブロックを受けると再送時に必要な処理を行なった後に無線転送ブロックを無線転送ブロック送信部317に出力し、無線転送ブロック送信部317は無線信号送受信部316を介して無線転送ブロックを基地局2に送信する。
基地局2の無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号からパケット位置情報を抽出してスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、パケット位置情報を送信した移動局3に対応付けてパケット位置情報に含まれる情報を記憶する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶しているパケット位置情報に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度に従って移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。ここで、パケットの優先度は、パケット位置情報が「継続・継続」>「開始・継続」>「継続・終了」=「開始・終了」の順であることとする。なお、スケジューリング処理は、先の図6のフローチャートを参照して説明した動作と同じであるので、ここではその説明を省略する。送信指示送信部217は、スケジューラ部219が無線回線品質情報、および、バッファ状態報告に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によってスケジューリングした情報を送信指示として各移動局3に送信する。
無線転送ブロック受信部213は、無線信号送受信部211を介して受信した信号から無線転送ブロックを抽出して再送制御部214に出力する。再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたかどうかを判定する。無線転送ブロックを正常に受信できた場合、再送制御部214は、無線転送ブロックをパケット再生部215に出力する。また、再送制御部214は、無線転送ブロックを正常に受信できたことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2のパケット再生部215は、パケットを構成する全ての無線転送ブロックが正常に受信されたパケットを再生すると、再生したパケットを有線信号送信部216を介して有線ネットワーク1に送信する。
一方、無線転送ブロックを正常に受信できなかった場合、基地局2の再送制御部214は、無線転送ブロックを廃棄するとともに、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことを再送制御信号送信部212に通知する。
基地局2の再送制御信号送信部212は、無線転送ブロックが正常に受信できなかったことが通知された場合には再送制御情報として再送要求を、無線転送ブロックが正常に受信できたことが通知された場合には再送制御情報として送達確認を無線信号送受信部211を介して移動局3に送信する。
移動局3の再送制御部314は、無線信号送受信部316および再送制御信号受信部315を介して受信した再送制御情報に基づいて無線転送ブロック単位での再送を行なうか否かを決定する。再送制御部314は、再送制御情報が無線転送ブロックの再送を要求する再送要求の場合、再送を要求された無線転送ブロックに対して所定の再送処理を実行する。
以上説明したように、この実施の形態14においては、基地局2が、測定した無線回線品質情報、およびバッファ状態報告に基づいて無線転送ブロックのサイズを決定するとともに、移動局3が基地局2に送信した無線転送ブロックとパケットの位置関係を示す情報であるパケット位置情報に基づいて優先度を決定し、決定した優先度に基づいて移動局3が送信すべきパケットを構成する無線転送ブロックに無線リソースを割り当て、無線転送ブロックのサイズおよび無線リソースの割り当てを含む送信指示を移動局3に送信する。移動局3は、送信指示に含まれる無線転送ブロックサイズに基づいて送信すべきパケットを分割して無線転送ブロックを生成し、送信指示に含まれる無線リソースの割り当てに基づいて生成した無線転送ブロックにパケットの位置関係を示す情報であるパケット位置情報を付与して基地局2に送信する。これにより、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。さらには、パケット位置情報は4状態で表現することができるため、移動局3から基地局2に対して通知する制御情報量を先に述べた実施の形態10または11よりも削減することができる。
なお、この実施の形態14の通信システムを3gpp Long Term Evolutionに適用する場合は、3gpp TS36.322に記載されているSegmentation Info Fieldをパケット位置情報として用いればよい。これにより、従来の無線インタフェースやレイヤ間インタフェースを大きく変更することなく、スケジューリングに必要な情報を伝達することができる。
また、移動局3が送信指示を受けた場合、記憶している送信済みデータ量積算値に基づく優先度の高い論理チャネルを選択し、その論理チャネル内のデータから無線転送ブロックを生成するようにしてもよい。
さらに、先の実施の形態3で記載したように、スケジューラ部219が「滞留許容残時間」を考慮するようにしてもよい。この場合、移動局3から送信済みデータ量積算値とともに「滞留許容残時間」を基地局2に通知するようにすればよい。
実施の形態15.
この実施の形態15では、先の実施の形態1〜14の基地局2のスケジューラ部219が求めた各移動局3の優先度の中で、複数の移動局3の優先度が等しい場合における処理について説明する。
たとえば、先の実施の形態1においては、無線転送ブロックが移動局3に到達したことを示す送達確認が取れた無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送達確認量積算値に基づいて優先度を決定し、その送達確認量積算値が最も高い移動局3から優先的に無線リソースを割り当てるようにした。
また、先の実施の形態2においては、移動局3が送信した無線転送ブロックを正常に受信した無線転送ブロックのサイズの積算値を示す送達確認量積算値に基づいて優先度を決定し、その送達確認量積算値が最も高い移動局3から優先的に無線リソースを割り当てるようにした。
しかしながら、先の実施の形態1および2では基地局2のスケジューラ部219で求めた優先度が最も高い移動局3が複数存在した場合に、どの移動局3に対して無線リソースを割り当てるかは言及していない。
そこで、先の実施の形態9では、送達確認量積算値が同じ移動局3については、パケットサイズが大きい移動局3を優先するようにスケジューリングを行うようにしたが、この実施の形態15では、送達確認量積算値が同じ移動局3のうち無線回線品質情報が大きい移動局3を優先してスケジューリングするものである。
また、たとえば、先の実施の形態10または14のように送達確認量積算値またはパケット位置情報をインデックスで表現している場合においても同様に送達確認量積算値またはパケット位置情報による優先度が同じ移動局3については、無線回線品質情報が大きい移動局3を優先してスケジューリングする処理を行なうようにしてもよい。
さらには、送達確認量積算値が全く等しい場合だけではなく、それぞれの移動局3に対応した送達確認量積算値を比較した結果(差分)を誤差範囲として定義し、その誤差範囲が予め決められた閾値よりも小さい場合は無線回線品質情報が大きい移動局3から優先してスケジューリングすることとしてもよい。
なお、先の実施の形態3では、滞留許容残時間と送達確認量積算値から各無線転送ブロックの優先度を上述した式、すなわち、
Ptotal=α×Pact+Β×Pdelay
によって算出する。なお、上記式において、Pactは送達確認量積算値による優先度を示し、Pdelayは滞留許容残時間による優先度を示し、αは送達確認量積算値による優先度の係数(重み付け)を示し、Βは残留許容残時間による優先度の係数(重み付け)を示している。
さらに、先の実施の形態3では、無線回線品質情報と送達確認量積算値によって優先度を決定するようにしてもよいこととしているため、送達確認量積算値が等しい複数の移動局3のうち無線回線品質情報が大きい移動局3ほど優先度が高くなり、この実施の形態15と同様の効果を奏することができる。しかしながら、実施の形態3では送達確認量積算値が小さくかつ無線回線品質情報が大きい移動局3と、送達確認量積算値が大きくかつ無線回線品質情報が小さい移動局3の優先度が等しくなる可能性がある。
これに対して、この実施の形態15では、まず送達確認量積算値によって優先度を決定し、送達確認量積算値が等しい、または誤差範囲が閾値以内である複数の移動局3が存在した場合のみ無線回線品質情報によって優先度を決定する点が、先の実施の形態3とは異なる。
以上説明したように、この実施の形態15においては、スケジューラ部219が、送達確認量積算値、パケットサイズ、または滞留許容残時間と送達確認量積算値を用いて決定した優先度が同じになる移動局3が複数存在する場合には、無線回線品質情報に基づいて同一優先度となった移動局3の優先度を決めるようにしているため、きめ細かく優先度を決定することができる。
なお、この実施の形態15では、送達確認量積算値が等しい、または誤差範囲が閾値以内である複数の移動局3が存在した場合のみ無線回線品質情報によって優先度を決定することとしたが、無線回線品質情報をそのまま用いるのではなく、無線回線品質情報の瞬時値と平均値の差が高い移動局を優先して割り当ててもよい。または他の適当な指標(たとえば、滞留許容残時間)を用いて優先度を決めるようにしてもよい。
実施の形態16.
先の実施の形態3では、現在時刻から無線転送ブロックを滞留することができる時刻までの時間を示す滞留許容残時間と送達確認量積算値とに基づいて優先度を決定するようにしているため、パケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することを可能とした。
しかしながら、先の実施の形態3は基地局2から移動局3への下り方向について説明しており、移動局3から基地局2への上り方向において実施の形態3の方法を用いるためには移動局3から基地局2に対して滞留許容残時間を通知する必要があるが、この実施の形態16では、移動局3から基地局2への上り方向において、移動局3から基地局2に対して滞留許容残時間を通知することなく、先の実施の形態3と同様の効果を得るものである。
なお、この実施の形態16の通信システムは、先の図1に示した通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
まず、本実施の形態16における、基地局2から送信指示を受信していない移動局3が基地局2に送信要求を通知し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。
図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。移動局3のパケットバッファ312は、パケットをバッファリングする。
移動局3の制御部319は、予め定められた送信要求報告タイミングになると、送信要求を生成する。ここで、送信要求に含める情報は、単に送信要求の有無を表す少なくとも1ビットの情報としてもよいし、先の実施の形態10で説明したバッファ状態報告を含めてもよい。制御部319は、生成した送信要求を送信要求送信部320に出力する。送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。ここで、移動局3は基地局2から無線転送ブロックの送信指示を受信するまで連続的に送信要求を送信してもよい。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送信要求に含まれる情報を記憶し、さらに、当該移動局に対して自局内の計時機能(タイマ)によって当該移動局からの送信要求を受信してからの経過時間(送信要求受信経過時間)の計時を開始する。ここで、スケジューラ部219は、移動局3が送信要求を連続して送信している場合には、当該移動局3から最も過去に受信した送信要求からの送信要求受信経過時間を計測する。すなわち、スケジューラ部219は、送信要求を受信した際に、当該送信要求を送信した移動局3に対して既に送信要求受信経過時間の計測を開始しているか否かを判定し、送信要求受信経過時間の計測を開始していない場合のみ当該移動局3に対する送信要求受信経過時間の計測を開始する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて計測している送信要求受信経過時間に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度に従って移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。この場合、スケジューラ部219は、送信要求受信経過時間が長いほど優先度を高くする。
送信指示送信部217は、スケジューラ部219が無線回線品質情報に基づいて決定した無線転送ブロックのサイズの情報(無線転送ブロックサイズ情報)およびスケジューリング処理によってスケジューリングした情報を送信指示として各移動局3に送信する。
以上説明したように、この実施の形態16においては、移動局3が送信した送信要求を基地局2が受信してからスケジューリングを行う現在時間までの送信要求受信経過時間を計測し、送信要求受信経過時間に基づいてパケットの優先度を決定するようにしているため、移動局3から滞留許容残時間を通知することなくパケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
なお、この実施の形態16では、送信要求を受信してからスケジューリングを行う現在時間までの送信要求受信経過時間に基づいてパケットの優先度を決めるようにしたが、移動局3が連続して送信要求を送信している場合は、基地局2のスケジューラ部219が送信要求を受信した回数を記憶しておき、送信要求を受信した回数が多い移動局3を優先してスケジューリングしてもよい。
また、移動局3が送信を要求しているパケットの滞留許容時間を基地局2で把握できる場合は、スケジューラ部219が、送信要求を受信した時刻と現在時刻と滞留許容時間から滞留許容残時間を求め、求めた滞留許容残時間をパケットの優先度としてもよい。この場合、送信要求を受信した時刻から現在時刻までの経過時間が同じパケットが複数あっても、滞留許容残時間が短い移動局3に対して優先的にスケジューリングすることによってパケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができる。
なお、この実施の形態16では、移動局3から送信要求を受信してからスケジューラ部219がスケジューリングを行う現在時間までを送信要求受信経過時間としたが、送信要求受信経過時間はこれに限るものではない。たとえば、先の実施の形態14で説明したように移動局3が無線転送ブロックにパケット位置情報を付加した場合、パケットの先頭を含みかつ最後尾を含まないこと(パケットを分割した無線転送ブロックの先頭であること)を示すパケット位置情報が付加された無線転送ブロックを受信してからスケジューラ部219がスケジューリングを行う現在時間までを送信要求受信経過時間としてもよい。この場合、スケジューラ部219は、無線転送ブロックに付加されたパケット位置情報がパケットの先頭を含むことを示しているか否かを判定し、パケット位置情報がパケットの先頭を含むことを示していると判定した場合に計時機能を用いて当該無線転送ブロックを送信した移動局3に対する送信要求受信経過時間の計測を開始するようにすればよい。これにより、移動局3から滞留許容残時間を通知することなく、パケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
実施の形態17.
先の実施の形態16では、移動局3が送信した送信要求を基地局2が受信した時刻から装置内の計時機能によって送信要求を受信してからの経過時間(送信要求受信経過時間)の計測を開始し、スケジューリング処理において送信要求受信経過時間に基づいてパケットの優先度を決定するようにしたため、パケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、移動局3から滞留許容残時間を通知することなく先の実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
しかしながら、先の実施の形態16では基地局2において、複数の移動局3から送信された送信要求に対してそれぞれ送信要求受信経過時間を計測しなければならない。この実施の形態17では、先の実施の形態10で説明したバッファ状態報告に送信要求の緊急性を含めることで、基地局2にて各移動局3に対する送信要求受信経過時間を計測することなく、滞留許容残時間が短い移動局3を優先してスケジューリングするものである。
なお、この実施の形態17の通信システムは、先の図1に示した通信システムと同じであるのでここではその説明を省略する。また、移動局3から基地局2への上り方向の通信の基地局2および移動局3の構成は、先の図10および図9に示した実施の形態2の基地局2および移動局3と同じであるので、ここではその説明を省略する。
まず、本実施の形態17における、移動局3が基地局2に送信要求を通知し、基地局2がスケジューリングを行う動作について説明する。ここで、この実施の形態17では実施の形態10と同様にバッファ状態報告を送信要求として用いるものとする。
移動局3が図示しない上位レイヤ処理部から送信すべきデータを受けると、移動局3のパケット生成部311は、送信すべきデータからパケットを生成して、パケットバッファ312に出力する。移動局3のパケットバッファ312は、パケットをバッファリングする。また、制御部319は、自局の計時機能を用いて新規のパケットの滞留許容時間の計測を開始し、常に各パケットの滞留許容時間を把握しておく。
移動局3の制御部319は、予め決められた評価基準に基づいて各パケットの滞留許容残時間の緊急度を判断する。ここで、評価基準は上位レイヤから通知されるものとし、たとえば、滞留許容時間と滞留許容残時間の比が10%になった場合に“緊急”とすればよい。なお、滞留許容時間と滞留許容残時間の比は限定された数値ではなく他の数値を用いてもよく、もちろん他の評価基準を用いてもよい。また、緊急度は緊急か否かを示す少なくとも1ビットの情報としてもよい。
移動局3の制御部319は、予め定められた送信要求報告タイミングになると、先の実施の形態10で説明したバッファ状態報告を生成する。制御部319は、バッファ状態報告を生成する際に、バッファ状態報告に前述した緊急度を付与する。ここで、バッファ状態報告に緊急度を付与する際に、たとえば、バッファ状態報告を6ビットで表現していたならば、5ビットを先の実施の形態10で説明したバッファ状態報告に用い、残りの1ビットを緊急度の報告に用いるようにすればよい。制御部319は、生成したバッファ状態報告を送信要求送信部320に出力する。
送信要求送信部320は、無線信号送受信部316を介して送信要求を基地局2に送信する。ここで、移動局3は基地局2から無線転送ブロックの送信指示を受信するまで連続的に送信要求を送信してもよい。また、すでに移動局3が基地局2から無線転送ブロックの送信指示を受信している場合は、無線転送ブロックに前記送信要求を付与して基地局2へ送信してもよい。
基地局2の無線信号送受信部211を介して送信要求を受信すると、送信要求受信部218は、受信した送信要求をスケジューラ部219に出力する。スケジューラ部219は、送信要求を送信した移動局3に対応付けて送信要求に含まれる緊急度を記憶する。
予め定められたスケジューリング時間になると、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3に対応付けて記憶している緊急度に基づいてパケットの優先度を決定し、決定した優先度に従って移動局3に無線リソースを割り当てるスケジューリング処理を実行する。ここで、緊急度が緊急でない移動局3が複数いる場合は他の優先度指標を用いてスケジューリング処理を実行する。ここでいう他の優先度とは、たとえば、実施の形態2で述べた送達確認量積算値などである。
以上説明したように、この実施の形態17においては、移動局3の制御部319が各パケットの滞留許容残時間から緊急度を求め、バッファ状態報告に緊急度を含めて基地局2に送信し、基地局2のスケジューラ部219は、移動局3が送信したバッファ状態報告に含まれる各パケットの滞留許容残時間の緊急度に基づいてパケットの優先度を決定するようにしているため、パケットの滞留許容時間の超過による無線転送ブロックの廃棄を抑制することができ、パケットを複数の無線転送ブロックに分割して送信する際に、送信先に無線転送ブロックが到達しないためにパケットを再生することができずに既に送達確認されている無線転送ブロックが無駄になってしまう確率を減らして、無線回線を有効利用することができる。
また、この実施の形態17においては、バッファ状態報告に用いるビット数のうち1ビットを緊急度の報告に用いることとしたが、バッファ状態報告値のある特定の値を緊急と定義してもよい。たとえば、バッファ状態報告を6ビットで表現した場合、111111を緊急と定義する。これにより、5ビットでバッファ状態報告を表現した場合は32通り(2の5乗)の粒度であるのに対して、6ビットのうちある特定の値のみを緊急と定義すれば63通り(2の6乗−1)の粒度となり、2倍−1の粒度を得ることができ、優先度をきめ細かく設定することができる。