JP2011247176A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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友哉 佐野
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聡志 金子
Masaaki Ishibuchi
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Abstract

【課題】内燃機関が冷間始動された場合において、始動後の運転状況によらずエミッション量を低減できるようにする。
【解決手段】内燃機関の性能の関する質的要求から内燃機関の制御量で表される量的要求を決定し、量的要求を所定の計算規則に従ってアクチュエータの操作量に変換する。ここで、質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合には、ファーストアイドル時の量的要求を決定するモードとして複数のモード、具体的には、ファーストアイドル時の排気温度を上昇させることを優先するモードと、ファーストアイドル時の単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードとを提示する。そして、予測される始動後の運転状況に応じて、提示された複数のモードの中から一つのモードを選択し、選択したモードに従ってファーストアイドル時の量的要求を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、特に、排気ガス性能の観点からの要求に基づいて内燃機関を制御する内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関に求められる性能の1つに排気ガス性能がある。排気ガス性能の観点からの要求に基づいて内燃機関を制御するものとしては、例えば、特開2007−531665号公報に開示された技術を挙げることができる。また、内燃機関の制御一般に関する現在の技術水準を示す公知文献としては、例えば、特開2009−167916号公報、特開2004−245133号公報、特開2009−074371号公報、特開2009−002174号公報等を挙げることができる。
特表2007−531665号公報 特開2009−167916号公報 特開2004−245133号公報 特開2009−074371号公報 特開2009−002174号公報
排気ガス性能を高める上で特に重要となるのが、内燃機関の始動時、特に、内燃機関が冷間始動された場合における内燃機関の制御方法である。触媒暖機が完了していない冷間始動では、内燃機関から排出されたエミッションを触媒で浄化することができない。
この場合の内燃機関の制御方法の1つとしては、内燃機関から排出される単位時間当たりのエミッション量そのものを最小にするように制御することが考えられる。そのような制御方法を採ることで、触媒で浄化されずに大気中に排出されてしまうエミッションの総量を最小に抑えることができる場合がある。ただし、そのためには、内燃機関の始動から一定の期間はアイドル運転が続けられていなければならない。触媒の暖機が進んでいない状態でアイドル運転が解除された場合には、加速に伴う大量の排気ガスが浄化されないまま触媒を素通りしてしまうことになるからである。
始動後すぐに加速するような場合には、単位時間当たりエミッション量を最小にする制御方法を採るよりもむしろ、排気温度を積極的に上げるような制御方法を採ることが好ましい。その場合、アイドル時に内燃機関から排出される単位時間当たりエミッション量は増加するものの、触媒温度を活性化温度まで早期に上昇させることが可能となるからである。加速が開始されるまでに触媒温度を活性化することができれば、加速に伴う大量の排気ガスが触媒に流れたとしても、触媒の浄化作用によって大気中に未浄化の排気ガスが放出されることは防止される。つまり、始動後すぐに加速する場合には、排気温度を積極的に上げる制御方法を採ることにより、加速後まで含めた総エミッション量をより低減することが可能となる。
以上のように、内燃機関が冷間始動された場合、大気中に放出されるエミッション量をより低く抑えるためには、始動後の運転状況に応じて内燃機関の制御方法を変える必要がある。しかしながら、このような観点で内燃機関の制御を行うことに関しては、上に列挙した特許文献も含めて何れの公知文献にも記載されていない。
本発明は上述のような課題に鑑みなされたもので、内燃機関が冷間始動された場合において、始動後の運転状況によらずエミッション量を低減できるようにすることを目的とする。
上記の目的を達成するため、第1の発明の内燃機関の制御装置は、内燃機関の性能に関する質的要求から前記内燃機関の制御量で表される量的要求を決定し、前記量的要求を所定の計算規則に従ってアクチュエータの操作量に変換する内燃機関の制御装置において、
前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、ファーストアイドル時の量的要求を決定するモードとして複数のモードを提示するモード提示手段と、
前記内燃機関の始動後の運転状況を予測する運転状況予測手段と、
予測される始動後の運転状況に応じて、提示された複数のモードの中から一つのモードを選択するモード選択手段と、
選択したモードに従ってファーストアイドル時の量的要求を決定するファーストアイドル時量的要求決定手段と、を備え、
前記モード提示手段は、少なくとも、ファーストアイドル時の排気温度を上昇させることを優先するモードと、ファーストアイドル時の単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードとを提示する、ことを特徴としている。
第2の発明の内燃機関の制御装置は、第1の発明の内燃機関の制御装置において、
前記モード提示手段は、さらに、ファーストアイドル時の排気温度と触媒温度との差分当たりの単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードを提示する、ことを特徴としている。
第3の発明の内燃機関の制御装置は、第1又は第2の発明の内燃機関の制御装置において、
前記運転状況予測手段は、始動から触媒暖機が完了するまでの間の前記内燃機関の運転パターンを学習する手段を含み、
前記モード選択手段は、学習した運転パターンのもとで排出されることが予測されるエミッション量を、提示されたモードのそれぞれの場合についてモデルを用いて算出する手段と、提示されたモードのうち予測エミッション量が最も少ないモードを選択する手段とを含む、ことを特徴としている。
第4の発明の内燃機関の制御装置は、第1乃至第3の何れか1つの発明の内燃機関の制御装置において、
前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、エミッション量を最小にすることを優先するモードでファーストアイドル後の量的要求を決定する手段、をさらに備えることを特徴としている。
第5の発明の内燃機関の制御装置は、第1乃至第3の何れか1つの発明の内燃機関の制御装置において、
前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、トルクの変動量を所定の基準値以下に収めることを優先するモードでファーストアイドル後の量的要求を決定する手段、をさらに備えることを特徴としている。
第6の発明の内燃機関の制御装置は、第4又は第5の発明の内燃機関の制御装置において、
前記質的要求に燃費性能に関する要求が含まれる場合に、燃料消費を最小にすることを優先するモードで前記量的要求を決定する手段と、
触媒暖機が完了した時点で、ファーストアイドル後の量的要求から燃費を優先する量的要求へとアクチュエータ操作量に変換する量的要求の切り替えを行う手段と、をさらに備えることを特徴としている。
第7の発明の内燃機関の制御装置は、第6の発明の内燃機関の制御装置において、
触媒暖機が完了したかどうかの判断基準となる触媒温度を触媒の劣化状態に応じて変化させる手段、をさらに備えることを特徴としている。
第1の発明の内燃機関の制御装置によれば、予測される始動後の運転状況に応じて、ファーストアイドル時の排気温度を上昇させることを優先するモードと、ファーストアイドル時の単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードの何れか一方を選択することができる。そして、選択したモードに従ってファーストアイドル時の量的要求が決定され、量的要求からアクチュエータの操作量が決定される。このような方法で始動時の制御が行われることにより、始動後の運転状況によらずエミッション量を低減することが可能となる。
第2の発明の内燃機関の制御装置によれば、ファーストアイドル時の量的要求を決定するモードとして、ファーストアイドル時の排気温度と触媒温度との差分当たりの単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードを選択することができる。モードの選択肢がさらに1つ増えることにより、予測される始動後の運転状況から見てより適切なモードを選択することが可能となる。
第3の発明の内燃機関の制御装置によれば、始動から触媒暖機が完了するまでの間の内燃機関の運転パターンを学習することによって、始動後の運転状況を高い精度で予測することが可能となる。さらに、各モードのそれぞれの場合について、学習した運転パターンのもとでの予測エミッション量がモデルを用いて算出される。この予測エミッション量をモード間で比較することにより、始動後の運転状況に最適なモードを的確に判断することが可能となる。
第4の発明の内燃機関の制御装置によれば、ファーストアイドル後には、エミッション量を最小にすることを優先するモードで量的要求を決定することができる。その場合には、ファーストアイドル後も含めた総エミッション量の低減が可能である。
第5の発明の内燃機関の制御装置によれば、ファーストアイドル後には、トルクの変動量を基準値以下に収めることを優先するモードで量的要求を決定することができる。その場合には、トルク変動の抑制によって、ファーストアイドル後のドライバビリティを向上させることが可能である。
第6の発明の内燃機関の制御装置によれば、排気ガス性能に加えて燃費性能も要求されている状況では、アクチュエータ操作量に変換する量的要求は、触媒暖機が完了した時点で、燃料消費を最小にすることを優先するモードで決定された量的要求へと切り替えられる。これにより、排気ガス性能に関する要求を満たしつつ、燃費性能に関する要求も満たすことが可能となる。
第7の発明の内燃機関の制御装置によれば、触媒暖機が完了したかどうかの判断基準となる触媒温度を触媒の劣化状態に応じて変化させることで、触媒の劣化に伴う排気ガス性能の悪化を防止することができる。
本発明の実施の形態の内燃機関の制御装置の構成を機能別に示すブロック図である。 本発明の実施の形態で用意されている要求制御量決定モードの特徴について説明するための図である。 本発明の実施の形態で学習される内燃機関の運転パターンの例を示す図である。 本発明の実施の形態で実行される要求制御量調停ルーチンを示すフローチャートである。 触媒の劣化状態と浄化能力との関係について示す図である。
本発明の実施の形態について図1乃至図5の各図を参照して説明する。
本発明の制御装置は、自動車用の内燃機関(以下、単にエンジンと表記する)に適用される制御装置である。適用されるエンジンの種別には限定はなく、火花点火式エンジン、圧縮着火式エンジン、4ストロークエンジン、2ストロークエンジン、レシプロエンジン、ロータリーエンジン、単気筒エンジン、多気筒エンジン等、様々な種別のエンジンに適用することができる。本実施の形態では、火花点火式エンジンの制御装置に本発明が適用されているものとする。
本実施の形態の制御装置は、エンジンに備えられる1以上のアクチュエータ、例えばスロットル、点火装置或いはインジェクタを操作することによってエンジンを制御する。制御量としては例えばトルク、空燃比、効率等のパラメータが用いられ、エンジン性能に関する種々の要求に基づいてその目標値が設定される。なお、効率は、トルクに変換可能な熱エネルギのトルクへの変換効率に相当し、点火時期がMBTのときを基準にして設定される無次元パラメータである。
図1は本実施の形態の制御装置の構成を機能別に示すブロック図である。本制御装置は、それが有する機能別に、図1にブロックで示す各要素2,4,6,8,10,12,14,16,20,22,24,26,28,30に分けることができる。ただし、図1に示す構成は、エンジンが冷間始動された場合において、始動後の運転状況によらずエミッション量を低減できるようにするための機能に着目した場合の構成である。したがって、図1は、本制御装置がこれらの要素のみで構成されていることを意味するものではない。なお、各要素は、それぞれが専用のハードウェアで構成されていてもよいし、ハードウェアは共有してソフトウェアによって仮想的に構成されるものでもよい。以下、各要素の機能を中心に本制御装置の構成について説明する。
本制御装置は、少なくとも2つの要求部2,4を備えている。各要求部2,4は、エンジン性能に関する質的要求を出す機能を有している。1つの要求部2からは、エンジン性能に関する種々の要求のうち、排気ガス性能に関する要求が出される。その具体的な要求の内容として、本実施の形態では、大気中に放出されるエミッション量(より具体的にはHC量)を最小にすることが要求されるものとする。もう1つの要求部4からは、燃費性能に関する要求が出される。その具体的な要求の内容として、本実施の形態では、燃料消費を最小にすることが要求されるものとする。これらの要求部2,4の他に本制御装置が備える要求部としては、例えば、ドライバビリティに関する要求を出す要求部が挙げられる。ただし、ここでは2つの要求部2,4にのみ着目し、これら要求部2,4に関係する構成について説明を行うこととする。
本制御装置は、各要求部2,4に対応して状態量取得部6,8を備えている。各状態量取得部6,8は、エンジンの状態量に関する情報を取得する。エンジンの状態量には、例えば、エンジン回転数、負荷、吸入空気流量、大気温度、水温、排気ガス温度、空燃比、バルブタイミング等が含まれる。その取得方法としては、センサによる検出或いは計測、或いはセンサ情報に基づく推定等を用いることができる。状態量取得部6は、要求部2に対応するエンジン性能、すなわち、排気ガス性能に関連するエンジン状態量を取得する。状態量取得部8は、要求部4に対応するエンジン性能、すなわち、燃費性能に関連するエンジン状態量を取得する。
要求部2から出された排気ガス性能に関する要求と、状態量取得部6で取得されたエンジン状態量は、要求制御量決定部10に入力される。また、要求部4から出された燃費性能に関する要求と状態量取得部8で取得されたエンジン状態量は、要求制御量決定部12に入力される。各要求制御量決定部10,12は、エンジン性能に関する質的要求から、エンジンの制御量で表される量的要求を決定する機能を有している。エンジン状態量は、質的要求から量的要求、すなわち、要求制御量を決定する過程において用いられる。なお、各要求制御量決定部10,12で決定される要求制御量は1種類とは限らない。複数種の制御量を適宜に組み合わせなければ、エンジン性能に関する質的要求を満たすことができない場合がある。そのような場合、要求制御量決定部10,12では複数種の要求制御量が決定されることになる。
要求制御量決定部10,12で決定された各種の要求制御量は、調停部14に入力される。調停部14は、各要求制御量決定部10,12から入力される要求制御量を調停し、エンジンの目標制御量を決定する機能を有している。ある制御量について2つの要求制御量決定部10,12から重複して要求がある場合、その両方の要求を受け入れることはできない。その場合に必要となるのが、要求の調停という処理である。調停部14は、同種の制御量に関して要求制御量決定部10,12から重複して要求がある場合、予め定められた規則に従って調停を行ない、その調停結果を目標制御量として決定する。
本実施の形態において調停部14が従う調停規則によれば、触媒の暖機が完了するまでの間は、要求制御量決定部10から入力される要求制御量、すなわち、エミッション量を最小にするための要求制御量が優先される。そして、触媒の暖機が完了した後は、要求制御量決定部12から入力される要求制御量、すなわち、燃料消費を最小にするための要求制御量が優先される。なお、調停部14による具体的な調停の手順については追って詳細に説明する。
調停部14で決定された目標制御量は、操作量決定部16に入力される。図1では、操作量決定部16には3種の目標制御量が入力されている。操作量決定部16は、目標制御量のそれぞれを実現するために必要な各アクチュエータの操作量をエンジンの逆モデルを用いて算出する。エンジンの逆モデルは、マップや関数で表された複数の統計モデルや物理モデルで構成されている。本制御装置は、操作量決定部16で決定されたアクチュエータ操作量に従って各アクチュエータを操作する。なお、図1では、操作対象となるアクチュエータはA,B,Cの3種となっているが、より多くのアクチュエータを操作対象とすることもできるし、逆に操作対象となるアクチュエータを1或いは2種類に限定することもできる。
以上説明した構成により、エンジン性能に関する種々の要求をアクチュエータ操作量に反映することが可能となる。
次に、本制御装置を構成する要素20,22,24,26,28,30について説明する。これらの要素は、本制御装置が有する種々の機能の中でも特に重要な機能に関連する要素である。その重要な機能とは、要求制御量決定部10が要求制御量を決定する際に従う“モード”の選択機能である。
排気ガス性能に関する要求、具体的には、大気中に放出されるエミッション量(特にHC量)を最小にするという要求を満たそうとする場合、特に重要となるのが、冷間始動に伴うファーストアイドル時のエンジンの制御方法である。本制御装置の構成によれば、ファーストアイドル時のエンジンの制御方法は、要求制御量決定部10における要求制御量の設定によって決まる。ファーストアイドル時の要求制御量の好ましい設定は、始動後のエンジンの運転状況によって変わってくる。この場合、要求制御量を決定するモードが1つしか用意されていないとすると、始動後の運転状況によっては要求制御量を適切に決定することができなくなる。一方、要求制御量を決定するモードが複数用意されているならば、様々な運転状況に対応して適切に要求制御量を決定することができる可能性が高くなる。
そこで、本実施の形態では、ファーストアイドル時の要求制御量を決定するモードが複数用意されていて、しかもそれらが選択可能とされている。本実施の形態で用意されているファーストアイドル時の要求制御量の決定モードは、排気温上昇優先モード、HCミニマム優先モード、及び、単位温度差当たりHCミニマム優先モード(HC/ΔTミニマム優先モード)の3つである。排気温上昇優先モードは、ファーストアイドル時の排気温度を上昇させることを優先するモードである。HCミニマム優先モードは、ファーストアイドル時の単位時間当たりHC量を最小にすることを優先するモードである。そして、HC/ΔTミニマム優先モードは、ファーストアイドル時の排気温度と触媒温度との差分ΔT当たりの単位時間当たりHC量を最小にすることを優先するモードである。
図2は、各モードの違いについて点火時期の側面から説明するための図である。図2の最上段のチャートは、排気温度と触媒温度との差分当たりの単位時間当たりHC量と点火時期との関係を示している。2段目のチャートは、単位時間当たりHC量と点火時期との関係を示している。3段目のチャートは、トルク変動量と点火時期との関係を示している。そして、最下段のチャートは、排気温度と点火時期との関係を示している。
図2に示すように、排気温上昇優先モードに従い要求制御量を決定した場合には、点火時期は、トルク変動量が制約範囲を超えない範囲内で、排気温度が最も高くなるような時期に設定される。排気温上昇優先モードは、触媒温度を早期に上昇させるのに有効なモードである。
HCミニマム優先モードに従い要求制御量を決定した場合には、点火時期は、単位時間当たりHC量が最小になるような時期に設定される。HCミニマム優先モードは、エンジンから排出されるHCの量そのものを低く抑えるのに有効なモードである。
そして、HC/ΔTミニマム優先モードに従い要求制御量を決定した場合には、点火時期は、排気温度と触媒温度との差分当たりの単位時間当たりHC量が最小になるような時期に設定される。HC/ΔTミニマム優先モードは、触媒温度の昇温と単位時間あたりHC量の低減とをバランス良く行うのに有効なモードである。
以上の3つのモードの選択は、モード評価選択部30において行われる。モード評価選択部30は、3つのモードの中で何れのモードが総HC量の低減に有効であるか評価し、その評価結果に従って要求制御量決定部10で用いるモードを選択する。次に説明する運転パターン記憶学習部20、逆エンジンモデル22、エンジンモデル24、排気管モデル26及び触媒モデル28は、各モードの評価用データを得るために本制御装置が備える要素である。
運転パターン記憶学習部20は、始動から触媒暖機が完了するまでの間のエンジンの運転パターンを記憶したメモリを有している。このメモリの記憶領域は複数に分けられ、車両の出発地点ごとに運転パターンが記憶できるようになっている。車両の出発地点は、カーナビゲーションシステムのGPS情報から特定することができる。エンジンの運転パターンは、図3に示すように、エンジントルクの時間変化とエンジン回転数の時間変化とによって表すことができる。運転パターン記憶学習部20は、始動から触媒暖機が完了するまでの間のエンジントルク及びエンジン回転数の時間変化を運転パターンとして記憶している。
また、運転パターン記憶学習部20が有するメモリは書き換え可能であり、運転パターン記憶学習部20はエンジンが冷間始動される度にその運転パターンを学習する。運転パターンの学習方法としては、現在までに得られた運転パターンを平均化することが好ましい。例えば、今回が第2回目の冷間始動である場合、図3に示すように、第1回目の冷間始動で得られた運転パターンと第2回目の冷間始動で得られた運転パターンとが存在する。この場合、運転パターン記憶学習部20は、第1回目と第2回目の各運転パターンの平均を求め、メモリに記憶している運転パターンを平均化した運転パターンに更新する。このように日々の運転パターンを平均化したものを学習することにより、日常の運転パターンを高い精度で予測することが可能となる。
本制御装置は、運転パターン記憶学習部20が記憶する運転パターンを始動後の運転状況の予測に使用する。そして、予測した始動後の運転状況のもと、触媒の暖機が完了するまでに大気中に放出されることが予測されるHC量を各モードのそれぞれの場合について計算する。その計算に用いられる要素が、逆エンジンモデル22、エンジンモデル24、排気管モデル26及び触媒モデル28である。各モデルは、マップや関数で表された統計モデル或いは物理モデルで構成されている。
逆エンジンモデル22は、エンジンのトルク特性をモデル化したエンジンモデルの逆モデルである。逆エンジンモデル22によれば、エンジントルク及びエンジン回転数(NE)から、それを実現するために必要な各アクチュエータの操作量を逆算することができる。逆エンジンモデル22で算出されるアクチュエータ操作量の種類は、前述の操作量決定部16で決定されるアクチュエータ操作量の種類に対応している。使用されるアクチュエータ操作量はエンジンの種類や仕様によって異なるが、例えば、スロットル開度(TA)、燃料噴射量(Tau)、点火時期(SA)、バルブタイミング(VVT)などを用いることができる。
本制御装置が備える逆エンジンモデル22は、エンジントルク及びエンジン回転数を各アクチュエータ操作量に変換する際の変換モードの切り替えが可能になっている。その変換モードは要求制御量決定部10における要求制御量決定モードに対応していて、排気温上昇優先モード、HCミニマム優先モード、及び、HC/ΔTミニマム優先モードの中から選択される。逆エンジンモデル22で用いる変換モードの選択は、モード評価選択部30により行なわれる。
エンジンモデル24、エンジンの排気ガス特性をモデル化したものである。エンジンモデル24によれば、エンジンから排出される排気ガスの各特性値を各アクチュエータ操作量から計算することができる。エンジンモデル24で算出される排気ガスの特性値には、エンジンから排出された時点での排気ガスの温度(エンジン出ガス温度)、同時点での排気ガスの流量、同時点での排気ガスの空燃比(A/F)、そして、同時点での単位時間たりHC量が含まれる。
排気管モデル26は、エンジンから触媒に至る排気管の流れ特性をモデル化したものである。排気管モデル26によれば、エンジンから排出される排気ガスの各特性値から触媒に流入する排気ガスの各特性値を計算することができる。排気管モデル26で算出される排気ガスの特性値には、触媒に流入する時点での排気ガスの温度(触媒入ガス温度)、同時点での排気ガスの流量、同時点での排気ガスの空燃比(A/F)、そして、同時点での単位時間たりHC量が含まれる。
触媒モデル28は、触媒の浄化特性をモデル化したものである。触媒モデル28によれば、触媒に流入する排気ガスの各特性値から触媒から流れ出る単位時間あたりHC量を計算することができる。
本制御装置は、運転パターン記憶学習部20のメモリから学習した運転パターンを読み出し、その運転パターンから特定されるエンジントルク及びエンジン回転数を逆エンジンモデル22に入力する。そして、逆エンジンモデル22で算出された各アクチュエータ操作量をエンジンモデル24に入力し、エンジンモデル24で算出された排気ガスの各特性値を排気管モデル26に入力する。そして、排気管モデル26で算出された排気ガスの各特性値を触媒モデル28に入力し、触媒モデル28で算出された単位時間あたりHC量を評価用データとしてモード評価選択部30に入力する。モード評価選択部30は、入力される単位時間あたりHC量を積算することによって、学習した運転パターンのもとで予測される総HC量を算出する。
以上の一連の計算を排気温上昇優先モード、HCミニマム優先モード、及び、HC/ΔTミニマム優先モードのそれぞれの場合について実行することで、学習した運転パターンのもとで予測される総HC量を3つのモード間で比較することが可能となる。モード評価選択部30は、3つのモードのうち予測される総HC量が最も少ないモード、すなわち、排気ガス性能に関する要求を最も満たすことができるモードを要求制御量決定部10で用いるモードとして選択する。
要求制御量決定部10は、エンジン始動からファーストアイドルが終了するまで、或いは、運転者によるアクセル操作や変速機操作によってファーストアイドルが解除されるまで、モード評価選択部30で選択されたモードに従って要求制御量を決定する。選択されたモードは、日常の運転パターンを学習した結果に基づくものであるから、実際の運転状況にとって最適なモードとなっている。したがって、そのモードに従い決定した要求制御量を実現すべく各アクチュエータを操作することにより、触媒の暖機が完了するまでに排出されるHC量が最小になるよう、エンジンを的確に制御することができる。
ファーストアイドルの終了後は、要求制御量決定部10はHCミニマム優先モードに従って要求制御量を決定する。始動から触媒の暖機が完了するまでの間は、要求制御量決定部10で決定された要求制御量が目標制御量として設定され、それを実現するように各アクチュエータの操作量が決定される。
要求制御量決定部10で決定される要求制御量に基づいたアクチュエータ操作は、触媒の暖機が完了した時点で、要求制御量決定部12で決定される要求制御量に基づいたアクチュエータ操作へと切り替えられる。この切り替えは前述のように調停部14が行う。調停部14は、触媒床温を計測或いは推定して、触媒床温から触媒の暖機が完了したかどうか判断する。
図4は、調停部14が実行する要求制御量調停ルーチンを示すフローチャートである。図4に示すように、最初のステップS1では、調停部14は触媒床温が基準温度T100に達したかどうか判定する。基準温度T100は、触媒の暖機が完了したとみなせる触媒床温、すなわち、触媒による排気ガスの浄化率が100%に到達すると予想される触媒床温である。排気ガスの浄化率を実車において計測することが困難であるが、触媒床温であればセンサにより測定することが可能であり、また、触媒床温と排気ガスの浄化率との関係は予め実験によって確認しておくことができる。
ステップS1の判定の結果、触媒床温が基準温度T100未満である場合には、調停部14はステップS2の処理を行う。ステップS2では、調停部14は排気ガス性能に関する要求を優先し、要求制御量決定部10で決定される要求制御量を目標制御量として設定する。触媒床温が基準温度T100に達した後は、調停部14はステップS3の処理を行う。ステップS3では、調停部14は燃費性能に関する要求を優先し、要求制御量決定部12で決定される要求制御量を目標制御量として設定する。
なお、図4に示すルーチンにおける特に重要な点は、ステップS1で用いる基準温度T100の設定である。触媒床温と排気ガスの浄化率との関係は触媒の劣化状態によって変化するためである。図5は触媒の劣化状態と浄化能力との関係について示している。この図に示すように、新しい触媒と劣化した触媒とを比較した場合、排気ガスの浄化率が100%に到達する触媒床温(T100)は劣化した触媒のほうが高くなる。したがって、触媒床温から触媒の暖機の完了を正確に判定するためには、触媒の劣化状態について知る必要がある。
本実施の形態では、触媒の劣化状態を触媒の酸素吸蔵量によって判断する。酸素吸蔵量が少ないほど、触媒の劣化が進んでいるものと判断することができる。触媒の酸素吸蔵量は、例えば、触媒の下流に配置されたOセンサのセンサ出力に基づく空燃比フィードバック制御を行った場合に、そのセンサ出力の反転周期から求めることができる。触媒の酸素吸蔵量が分かれば触媒の劣化状態が分かり、触媒の劣化状態が分かれば浄化率が100%に到達する触媒床温を特定することができる。調停部14は、このようにして特定した触媒床温を前述のルーチンにおける基準温度T100として設定する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施することができる。
上述の実施の形態では、要求制御量を決定するモードとして、排気温上昇優先モード、HCミニマム優先モード、及び、HC/ΔTミニマム優先モードの3つのモードを選択可能としている。しかし、HC/ΔTミニマム優先モードに関しては、それを設けることは好ましいが、必ずしも必須ではない。したがって、排気温上昇優先モードとHCミニマム優先モードの2つのモードから要求制御量を決定するモードを選択するようにしてもよい。
また、ファーストアイドルの終了後に要求制御量決定部10で用いるモードは、HCミニマム優先モードには限定されない。例えば、排気温上昇優先モードやHC/ΔTミニマム優先モードを用いてもよい。或いは、トルク変動量をトルク変動制約よりもさらに低い基準値以下に収めることを優先するモード(ドライバビリティ優先モード)を新たに設定し、そのモードに従って要求制御量を決定するようにしてもよい。
2,4 要求部
6,8 状態量取得部
10,12 要求制御量決定部
14 調停部
16 操作量決定部
20 運転パターン記憶学習部
22 逆エンジンモデル
24 エンジンモデル
26 排気管モデル
28 触媒モデル
30 モード評価選択部

Claims (7)

  1. 内燃機関の性能に関する質的要求から前記内燃機関の制御量で表される量的要求を決定し、前記量的要求を所定の計算規則に従ってアクチュエータの操作量に変換する内燃機関の制御装置において、
    前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、ファーストアイドル時の量的要求を決定するモードとして複数のモードを提示するモード提示手段と、
    前記内燃機関の始動後の運転状況を予測する運転状況予測手段と、
    予測される始動後の運転状況に応じて、提示された複数のモードの中から一つのモードを選択するモード選択手段と、
    選択したモードに従ってファーストアイドル時の量的要求を決定するファーストアイドル時量的要求決定手段と、を備え、
    前記モード提示手段は、少なくとも、ファーストアイドル時の排気温度を上昇させることを優先するモードと、ファーストアイドル時の単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードとを提示する、ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記モード提示手段は、さらに、ファーストアイドル時の排気温度と触媒温度との差分当たりの単位時間当たりエミッション量を最小にすることを優先するモードを提示する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記運転状況予測手段は、始動から触媒暖機が完了するまでの間の前記内燃機関の運転パターンを学習する手段を含み、
    前記モード選択手段は、学習した運転パターンのもとで排出されることが予測されるエミッション量を、提示されたモードのそれぞれの場合についてモデルを用いて算出する手段と、提示されたモードのうち予測エミッション量が最も少ないモードを選択する手段とを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、エミッション量を最小にすることを優先するモードでファーストアイドル後の量的要求を決定する手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記質的要求に排気ガス性能に関する要求が含まれる場合に、トルクの変動量を所定の基準値以下に収めることを優先するモードでファーストアイドル後の量的要求を決定する手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記質的要求に燃費性能に関する要求が含まれる場合に、燃料消費を最小にすることを優先するモードで前記量的要求を決定する手段と、
    触媒暖機が完了した時点で、ファーストアイドル後の量的要求から燃費を優先する量的要求へとアクチュエータ操作量に変換する量的要求の切り替えを行う手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 触媒暖機が完了したかどうかの判断基準となる触媒温度を触媒の劣化状態に応じて変化させる手段、をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
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