JP2011246793A - 拡管性と低温靭性に優れた油井用溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管 - Google Patents

拡管性と低温靭性に優れた油井用溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管 Download PDF

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Abstract

【課題】肉厚精度±10%を満足しながら、優れた拡管性と低温靭性を有する油井用溶接鋼管を提供する。
【解決手段】C,Si,Mn,Al,P,Sn,S,N,Oを規定し、かつ、30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)を16.0%未満とした鋼スラブを特定の熱延条件で熱間圧延し、得られた熱延鋼帯を、スリットし、連続ロール成形によって円弧状断面とし、該円弧状断面の両端を溶接し、該溶接してなる溶接部のみを750〜1000℃に加熱後500℃以下まで5℃/s以上の冷却速度で冷却することで、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管を得る。鋼は、Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,V,Ti,W,B,Ca,REMのいずれか1種又は2種以上を規定量だけ含有してもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、原油あるいは天然ガスの油井、ガス井(以下、これらを総称して単に油井という)内に埋設されて使用される油井用溶接鋼管に係り、とくに拡管性と低温靭性に優れた油井用溶接鋼管の製造方法および溶接鋼管に関する。
地表から地下まで油井管を敷設するには、まず地表から所定の深さまで掘削し、その中にケーシングと呼ばれる鋼管を埋設し壁の崩壊を防止する。その後、ケーシングの先端からさらに地下を掘削してより深い井戸とし、先に埋設したケーシング内を通して新たなケーシングを埋設する。この作業を繰り返して、最終的に油田あるいは天然ガス田に到達する油井管(チュービング)が敷設される。深度の深い井戸を掘削する場合には、直径の異なる多種類のケーシングを必要とする。原油や天然ガスを通す油井管(チュービング)の径は定められているため、深度の深い井戸を掘削する場合には、径方向における掘削面積を広くする必要があるが、この掘削面積を必要最小限にすることが強く要望されている。
このような要望に対し、例えば特許文献1、特許文献2には、井戸内でケーシング(鋼管)を、押拡げ加工等により拡管する方法が記載されている。特許文献1、特許文献2に記載された技術によれば、井戸内でケーシング(鋼管)を半径方向に膨張させることにより、多段構造になったケーシング毎の直径を小さく抑えることができ、井戸上部のケーシングサイズを小さく抑えて、油井の掘削費を低減することが可能となるとしている。
特許文献3には質量%でC:0.05〜0.30%、Si:0.2〜2%、Mn:0.7〜4.0%、P:0.03%以下、S:0.015%以下、N:0.007%以下、O:0.005%以下を含有し、あるいはさらにAl,Cr,Ni,Cu,Nb,V,Ti,Mo,B,Caの1種または2種以上を規定量だけ含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、相分率5体積%以上の残留γ相を有する、引張強度(TS)600MPa以上の高強度でありながら、拡管率30%超の拡管加工に対し優れた拡管性を示す、拡管性に優れる油井用継目無鋼管が記載されている。
特許文献4には質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.01〜0.7%、Mn:0.5〜2.0%、Nb:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜0.05%、Al:0.002〜0.1%、Ca:0.0005〜0.008%を含有し、P:0.10%以下、S:0.005%以下、O:0.0040%以下に制限し、Si/Mn:0.005〜1.5を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする拡管性能及び耐食性に優れた拡管油井用電縫鋼管が記載されている。
特表平7−507610号公報 国際公開W098/00626号公報 特許第4367259号公報 特開2008−202128号公報
しかし、特許文献3に記載された技術では、ビレットを穿孔圧延して製造される継目無鋼管であるため、肉厚精度が所望の値(±10%)を満たすのが困難である。また、特許文献4に記載された技術では、記載された拡管性能を得るために、電縫鋼管全体に対してAc1変態点からAc3変態点の間への加熱‐冷却熱処理を必要とするため熱処理費用が嵩み、その割には拡管加工可能な拡管率は高々28%以下と低レベルであった。なお、拡管加工可能な拡管率範囲の上限を、以下、限界拡管率という。すなわち、従来の油井用溶接鋼管に関する技術では、肉厚精度が不十分であるか、または、拡管性に優れたものが得られないという課題があった。
本発明は、上述の課題を解決し、引張強度が490MPa以上、降伏比(=降伏強度/引張強度)が0.74〜0.92の範囲において、肉厚精度が所望の値(±10%)を満たしながら、優れた拡管性と低温靭性を達成しうる手段を提供することを目的とする。
ここにいう「優れた拡管性」とは、次の円錐拡管試験で求められる限界拡管率が46%以上であることとする。
(円錐拡管試験:)溶接鋼管から外径の2倍長さの鋼管を切り出し、両管端を平行に▽▽▽仕上げ(Ra:1.6a相当仕上げ、日本機械学会編「機械工学便覧」新版第6刷、1993.7.30丸善発行、B1-22頁参照)した後、齧りを防ぐためプレス油を塗布後、頂角60°の円錐をプレス機で鋼管に押込んで管端を押し拡げる。管端に亀裂が生じたところで押込みを止め、除荷した後の押し拡げ側の管端外径Dbを測定し、原管の外径Doから拡管率(=(Db−Do)/Do×100(%))を求める。これを3回繰り返し、得られた3つの拡管率データの平均を限界拡管率とする。
また「優れた低温靭性」とは、次の低温衝撃試験により求められる−20が100J/cm以上であることとする。
(低温衝撃試験:)2mmVノッチシャルピー試験(JIS Z 2242規定に準拠)において、ノッチ深さ方向を管円周方向及び肉厚方向に直交させた試験片(JIS Z 2202の規定に準拠)を用い、−20℃で試験して、衝撃値(試験片ノッチ位置のノッチ深さ方向断面の単位面積1cm当たりの吸収エネルギー)を求め、これを−20とする。
本発明者らは上記目的を達成するために、電縫鋼管について造管ままでの限界拡管率と低温靭性に及ぼす熱延素材の組成、製造条件、ミクロ組織の影響を系統的に鋭意研究した。さらに、溶接によって硬化する溶接部についても、所望の拡管性と低温靭性を得るための適正なオンライン熱処理条件、ミクロ組織条件を系統的に鋭意研究した。その結果、特定組成を有する素材スラブを、特定温度・加工条件で熱間圧延し、得られた熱延鋼板を電縫鋼管製造工程により溶接鋼管となし、溶接部に特定温度条件でオンライン熱処理を加えることで優れた拡管性と低温靭性を有する油井用溶接鋼管が得られることを見出した。
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.001〜2.00%、Mn:0.50〜2.50%、Al:0.010〜0.100%を含有し、P:0.019%以下、Sn:0.10%以下、S:0.005%以下、N:0.0049%以下、O:0.0030%以下で、かつ、30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)が16.0%未満であり、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼スラブを、1150〜1300℃に加熱して30分以上均熱保持し、全圧下率93.0〜98.0%で熱間圧延を施し、750℃以上で仕上げ圧延を終え、750〜600℃間の冷却時間を4s以上とし、300℃超600℃未満の巻取温度で巻き取って熱延鋼帯となし、該熱延鋼帯をスリットし、連続ロール成形によって円弧状断面とし、該円弧状断面の両端を溶接し、該溶接してなる溶接部のみを750〜1000℃に加熱後500℃以下まで5℃/s以上の冷却速度で冷却することを特徴とする、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
(2) 質量%で、Cu:0.001〜1.00%、Ni:0.001〜1.00%のうちから選ばれた1種又は2種を含有することを特徴とする(1)に記載の拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
(3) 質量%で、Cr:0.001〜1.50%、Mo:0.001〜0.49%、Nb:0.0001〜0.14%、V:0.0001〜0.14%、Ti:0.0001〜0.14%、W:0.0001〜0.14%、B:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0001〜0.0030%、REM:0.0001〜0.10%うちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
(4) (1)〜(3)のいずれか1つにおいて、該溶接してなる溶接部のみを、に替えて、該溶接してなる溶接鋼管全体を、としたことを特徴とする拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
(5) (1)〜(4)のいずれか1つにおいて、最後の冷却の後に、溶接鋼管全体を200〜650℃の範囲で焼戻し熱処理することを特徴とする拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
(6) 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.001〜2.00%、Mn:0.50〜2.50%、Al:0.010〜0.100%を含有し、P:0.019%以下、Sn:0.10%以下、S:0.0005%以下、N:0.0049%以下、O:0.0030%以下で、かつ、30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)が16.0%未満であり、あるいはさらに下記A群及び/又はB群を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有し、かつ母材部及び溶接部の微視組織中にCが0.4質量%以上に濃化した第2相を0.1〜12面積%含むことを特徴とする、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管。

A群:質量%で、Cu:0.001〜1.00%、Ni:0.001〜1.00%のうちから選ばれた1種又は2種
B群:質量%で、Cr:0.001〜1.50%、Mo:0.001〜0.49%、Nb:0.0001〜0.14%、V:0.0001〜0.14%、Ti:0.0001〜0.14%、W:0.0001〜0.14%、B:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0001〜0.0030%、REM:0.0001〜0.10%のうちから選ばれた1種又は2種以上
本発明によれば、肉厚精度が±10%以内で、円錐拡管試験での限界拡管率が46%以上になる優れた拡管性と、−20が100J/cm以上になる優れた低温靭性を有する引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管が得られる。
微視組織中に占める、Cが0.4質量%以上に濃化した第2相の面積率と、限界拡管率、−20、YRの関係を示すグラフ
まず、本発明において組成を上記のとおり限定した理由について説明する。以下、成分含有量は質量%を単位とし、%と略記する。また、TSは引張強度を、YSは降伏強度を、ELは伸びを、YRは降伏比(=YS/TS)を、それぞれ意味する。
C:0.05〜0.25%
Cは所望の原管強度(TS、YS)を確保させ、かつ母材部並びに溶接部の微視組織中に所望の第2相(Cが0.4%以上に濃化した第2相)を所望の面積率(0.1〜12面積%)だけ形成させ、良好な拡管性を得させる元素である。0.05%未満ではこの、所望の原管強度と第2相を得ることができない。一方、0.25%を超えると鋼管の低温靭性が低下するためこれを上限とする。なお、好ましくは0.06〜0.13%である。
Si:0.001〜2.00%
Siは熱延工程でのフェライト変態を促進する元素であり、必要な拡管性を確保するための元素である。0.001%未満では拡管性が不足する。一方、2.00%を超える場合は酸化物が残存し、溶接部の低温靭性が劣化する。従ってSiは0.001〜2.00%に限定した。なお、好ましくは0.81〜1.45%である。
Mn:0.50〜2.50%
Mnは所望の原管強度(引張強度TS,降伏強度YS)を確保させ、かつ母材部並びに溶接部の微視組織中に所望の第2相(Cが0.4%以上に濃化した第2相)を所望の面積率(0.1〜1.2面積%)だけ形成させ、良好な拡管性を得させる元素である。0.50%未満ではこの、所望の原管強度と第2相を得ることができない。一方、2.50%を超えると鋼管の低温靭性が低下するためこれを上限とする。なお、好ましくは0.84〜1.25%である。
Al:0.010〜0.100%
Alは製鋼時の脱酸元素であるとともに、熱間圧延工程でのオーステナイト粒の成長を抑制し、結晶粒を微細とし、良好な拡管性を得させる元素である。0.010%未満ではこれらの効果が得られず、一方、0.10%を超えると効果は飽和し、酸化物系介在物の増大により拡管性が低下するために0.10%を上限とする。なお、好ましくは0.030〜0.080%である。
P:0.019%以下
PはMnとの凝固共偏析を介し、低温靭性を低下させるとともに、拡管性を低下させる。0.019%を超えるとこの悪影響が顕著となるため、0.019%を上限とする。なお、好ましくは0.009%以下である。
Sn:0.10%以下
Snは低融点固溶元素として鋼中に存在し、拡管性を劣化させる。0.10%を超えると悪影響が顕著となるため、0.10%を上限とする。なお、好ましくは0.05%以下である。
S:0.005%以下
SはMnSなどとして鋼中介在物として存在し、拡管性を低下させる。0.005%を超えるとこの悪影響が顕著となるため、0.005%を上限とする。なお、好ましくは0.003%以下である。
N:0.0049%以下
Nは固溶Nとして残存すると拡管性を低下させる。0.0049%を超えるとこの悪影響が顕著となるため、0.0049%を上限とする。なお、好ましくは0.0040%以下である。
O:0.0030%以下
Oは酸化物系介在物として存在し、拡管性、低温靭性を低下させる。0.0030%を超えるとこの悪影響が顕著となるため、0.0030%を上限とする。なお、好ましくは0.0020%以下である。
30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O):16.0%未満
Cは炭化物や硬質第2相の面積率上昇を通して、PとSはメタルフロー部への偏析を通して、Snは低融点固溶元素として、Nは時効硬化を通して、Oは溶接部の酸化物系介在物として、いずれも拡管性と低温靭性を相乗的に低下させる。所望の拡管性と低温靭性を確保するためには、これら元素の成分含有量範囲を個別に規定するだけでは不十分で、各元素の影響を勘案した30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)値を特定の閾値未満に抑える必要がある。30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)値が16.0%以上となると、拡管性と低温靭性の低下が大きくなるため、16.0%未満とする。なお、好ましくは13.0%未満である。
上記の成分が基本組成をなすが、本発明では、この基本組成に加えて、さらに前記A群及び/又はB群を含有できる。
A群:質量%で、Cu:0.001〜1.00%、Ni:0.001〜1.00%のうちから選ばれた1種又は2種
Cu:0.001〜1.00%
Cuは腐食保護皮膜を形成し、これを強固にすることで鋼中への水素の侵入を抑制し、耐硫化物応力腐食割れ特性を向上させるとともに、溶接時に再固溶した鋼中SをCuサルファイドとして捕捉し、溶接部の選択腐食を抑制する効果がある。これら効果は0.001%以上の含有で発現するが、1.00%を超える含有は拡管性を低下させ、また、素材の熱間圧延時にCuが液相となり、熱間割れや、表面疵の要因となるために1.00%を上限とする。なお、好ましくは0.001〜0.049%である。
Ni:0.001〜1.00%
NiはCuと同様鋼中への水素の侵入を抑制し、耐硫化物応力腐食割れ特性を向上させる効果がある。さらに、母材部及び溶接部の低温靭性を向上させる効果がある。これらの効果は0.001%以上の含有で発現するが、1.00%を超える含有は拡管性を低下させるために1.00%を上限とする。なお、好ましくは0.001〜0.049%である。
B群:質量%で、Cr:0.001〜1.50%、Mo:0.001〜0.49%、Nb:0.0001〜0.14%、V:0.0001〜0.14%、Ti:0.0001〜0.14%、W:0.0001〜0.14%、B:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0001〜0.0030%、REM:0.0001〜0.10%のうちから選ばれた1種又は2種以上
Cr:0.001〜1.50%
Crは耐炭酸ガス腐食性、耐炭酸ガス応力腐食割れ性等の耐食性を向上させる元素である。さらに、熱延或いは溶接後の溶接部熱処理時のオーステナイト相からの冷却過程において、組織の2相分離を促進し、母材部並びに溶接部の微視組織中に所望の第2相(Cが0.4%以上に濃化した第2相)を所望の面積率(0.1〜12面積%)だけ形成させるのに有効な元素である。これらの効果は0.001%以上の含有で発現するが、1.50%を超える含有は、溶接部に酸化物が残存して、拡管性並びに溶接部の低温靭性を低下させるために1.50%を上限とする。なお、好ましくは0.01〜0.49%である。
Mo:0.001〜0.49%
Moは硫化水素が存在する環境下での耐硫化物応力腐食割れ性を向上させる元素であり、さらに、熱延或いは溶接後の溶接部熱処理時のオーステナイト相からの冷却過程において、組織の2相分離を促進し、母材部並びに溶接部の微視組織中に所望の第2相(Cが0.4%以上に濃化した第2相)を所望の面積率(0.1〜12面積%)だけ形成させるのに有効な元素である。これらの効果は0.001%以上の含有で発現するが、0.49%を超えると拡管性を低下させるために0.49%を上限とする。なお、好ましくは0.01〜0.09%である。
Nb:0.0001〜0.14%
Nbは結晶粒の微細化を通して、低温靭性の向上に寄与する。0.0001%未満ではこの効果が得られない。一方、0.14%を超えると拡管性低下が顕著となるため0.14%を上限とする。なお、好ましくは0.022〜0.080%である。
V:0.0001〜0.14%
Vは焼入れ性の向上を通して、母材部並びに溶接部の微視組織中に所望の第2相(Cが0.4%以上に濃化した第2相)を所望の面積率(0.1〜12面積%)だけ形成させるのに有効な元素である。0.0001%未満ではこの効果が得られない。一方、0.14%を超えると拡管性低下が顕著となるため0.14%を上限とする。なお、好ましくは0.011〜0.080%である。
Ti:0.0001〜0.14%
Tiは拡管性に悪影響を及ぼす固溶NをTiNとして固定し、拡管性の向上に有効な元素である。0.0001%未満ではこの効果が得られない。一方、0.14%を超えると析出炭化物による拡管性低下が顕著となるため0.14%を上限とする。なお、好ましくは0.0001〜0.0049%である。
W:0.0001〜0.14%
Wは炭化物として析出し、強度確保に有効な元素である。この効果は0.0001%以上の含有で発現するが、0.14%を超える含有では拡管性が低下するために0.14%を上限とする。なお、好ましくは0.0001〜0.06%である。
B:0.0001〜0.0030%
Bは焼入れ性の向上を通して、強度確保に有効な元素である。この効果は0.0001%以上の含有で発現するが、0.0030%を超える含有は拡管性を低下させるために0.0030%を上限とする。なお、好ましくは0.0001〜0.0005%である。
Ca:0.0001〜0.0030%
Caは展伸したMnSを粒状のCa(Al)S(O)とする所謂形態制御効果があり、特に拡管成形時の溶接部近傍メタルフロー立上がり部での割れを抑制し、拡管性の向上に有効な元素である。この効果は0.0001%以上の含有で発現するが、0.0030%を超える含有では、非金属介在物の増大によってかえって拡管性が低下するために0.0030%を上限とする。なお、好ましくは0.0001〜0.0019%である。
REM:0.0001〜0.10%
REMはCaと同様、展伸したMnSを粒状とする所謂形態制御効果があり、特に拡管成形時の溶接部近傍メタルフロー立上がり部での割れを抑制し、拡管性の向上に有効な元素である。この効果は0.0001%以上の含有で発現するが、0.10%を超える含有では拡管性が低下するために0.10%を上限とする。なお、好ましくは0.01〜0.05%である。
上記した成分以外の残部はFe及び不可避的不純物である。
母材部及び溶接部の微視組織中の、Cが0.4%以上に濃化した第2相:0.1〜12面積%
本発明の溶接鋼管は、溶接部を除き、基本的に熱延鋼帯を管状に成形したままで適正なYR(0.74〜0.92)を有し、かつ、溶接部を含む管において所望の拡管性を有すべく、母材部及び溶接部の微視組織中に、Cが0.4%以上に濃化した第2相を0.1〜12面積%だけ含むものとする。当該第2相は、熱延或いは溶接後の溶接部熱処理時のオーステナイト相からの冷却過程において変態時に周囲の軟質相に可動転位を生起せしめ、成形ままでYRが高くなりすぎなくする効果がある。さらに、冷却過程以降、例えば拡管成形時に変態することにより、拡管成形時の応力を緩和し、拡管性を大きく向上させる効果がある。これらの効果は微視組織中の第2相分率が0.1面積%以上で発現し、一方、12面積%を超えると反対に拡管性が低下するためにこれを上限とする。なお、好ましくは2.0〜10.0面積%である。
ここで、Cが0.4%以上に濃化した第2相の面積率を求めるにあたっては、次の第2相分率測定方法を用いた。
(第2相分率測定方法:)研磨した円周方向断面領域400μm×400μmを測定面積とし電子ビーム寸法2μm×2μmでEMPA面分析を行い、C濃度(鋼中含有量)が0.4%以上となっているC濃化領域を特定してその合計面積を求め、これを前記測定面積に対する百分率で表して前記第2相の面積率とする。
なお、微視組織の残部は、ポリゴナルフェライト、アシキュラーフェライト、ウィッドマンステッテンフェライト(これらをフェライトと総称する)のいずれか1種又は2種以上である第1相:75面積%以上、及び、カーバイド、微細パーライト、ベイナイトなど炭化物と鉄の混合組織である第3相:0.0〜15.1面積%、で構成される。
図1は、微視組織中に占める、Cが0.4%以上に濃化した第2相の面積率と、限界拡管率、−20、YRの関係を示すグラフであり、同図に示されるように、当該第2相の面積率が0.1〜12面積%の範囲において、限界拡管率:46%以上、−20:100J/cm以上、YR:0.74〜0.92が達成される。
次に、前述の所望の微視組織を得るための素材鋼スラブの好ましい熱間圧延条件について説明する。
スラブ加熱温度及びスラブ均熱時間:1150〜1300℃、30分以上
熱間圧延工程におけるスラブ加熱条件はオーステナイト粒径を通して、鋼管の低温靭性に、含有元素の固溶分散状態を通して拡管性に影響を及ぼす。スラブ加熱温度が1150〜1300℃、かつスラブ均熱時間が30分以上の場合に、−20:100J/cm以上かつ限界拡管率:46%以上が得られる。スラブ加熱温度が1300℃を超えるとオーステナイト粒径が極端に粗大化し、−20が100J/cmを下回る。一方、スラブ加熱温度が1150℃を下回るか、スラブ均熱時間が30分を下回ると、含有元素の固溶分散状態が不均一となり、拡管成形時の変形が局所に集中し、限界拡管率が46%を下回る。このため、スラブ加熱温度は1150〜1300℃、スラブ均熱時間は30分以上とすることが好ましい。
全圧下率:93.0〜98.0%
スラブ厚Hから熱延仕上げ板厚hまでの全圧下率(=(H−h)/H×100(%))は変態前のオーステナイトの粒径を通して、鋼管の低温靭性とYRに影響を及ぼす。全圧下率が93.0〜98.0%の場合に−20は100J/cm以上、YRは0.74〜0.92が得られる。全圧下率が93.0%を下回ると、変態前のオーステナイト粒径が大きくなり、−20が100J/cmを下回る。また、YSが低下し、造管後のYRが0.74を下回る。一方、全圧下率が98.0%を上回るとYRが0.92を上回る。以上から全圧下率は93.0〜98.0%とした。なお、好ましくは95.0〜97.6%である。
仕上げ圧延終了温度:750℃以上
熱間圧延工程における仕上げ圧延終了温度は、鋼管の低温靭性、YR、拡管性に影響を及ぼす。仕上げ圧延終了温度が750℃以上で、−20は100J/cm以上、YRは0.92以下、限界拡管率は46%以上が得られる。仕上げ圧延終了温度が750℃を下回ると、圧延歪みが残存するため−20が100J/cmを下回り、YRが0.92を超え、また表層部に粗大粒が形成されるため、限界拡管率が46%を下回る。ここで、仕上げ圧延終了温度の上限は特に定めないが、表面性状を良好に保つという観点から950℃以下であることが好ましい。さらにまた表面性状確保の観点からは、仕上げ圧延前に150kgf/cm以上の水圧でのデスケーリングを行うことが好ましい。
750〜600℃間の冷却時間:4s以上
熱間圧延終了後、ランナウトでの冷却条件は、フェライトの析出有無/量、2相分離状態に影響を及ぼし、微視組織形成を通して、鋼管の低温靭性、YR、拡管性に影響を及ぼす。鋼材のフェライトノーズ温度域に相当する750〜600℃間において冷却時間を4s以上確保することにより、フェライトが75面積%以上生成され、2相分離が進行し、Cが0.4%以上に濃化した第2相が0.1〜12面積%を占有する微視組織が形成されて、−20は100J/cm以上、YRは0.92以下、限界拡管率は46%以上が得られる。750〜600℃間の冷却時間が4sを下回ると、前記第2相の面積率が12面積%を超え、−20が100J/cmを下回り、YRが0.92を超え、限界拡管率が46%を下回る。なお、好ましくは、750〜600℃間の冷却時間が6s以上である。
巻取温度:300℃超600℃未満
熱延ランナウトでの冷却によってオーステナイト/フェライト2相分離した微視組織のうちオーステナイト相は巻取(コイリング)後、300℃超600℃未満の温度で、一部ベイナイト変態し、オーステナイト相へのCの濃化が進み、最終的にCが0.4%以上に濃化した第2相が形成される。巻取温度が300℃以下であると、オーステナイト相へのCの濃化が不十分となり、前記第2相の面積率が0.1面積%を下回り、YRが0.92を超え、限界拡管率が46%を下回る。一方、巻取温度が600℃以上であると、Cがパーライトとして析出してしまい、Cの濃化が進行せず、YRが0.92を超える。以上から、巻取温度は300℃超600℃未満とした。なお、好ましくは350〜550℃である。
次に、好ましい溶接鋼管製造方法について説明する。
上記熱延要件を満たして製造された熱延鋼板は、黒皮まま(=酸化スケール付着のまま)、或いは酸洗やショットブラストによって酸化スケールを除去後、スリットし、連続ロール成形によって円弧状断面とし、該円弧状断面の両端を高周波誘導加熱等によって加熱、溶接(衝合・圧接)する。なお、溶接は大気中で行ってもよいが、溶接部の酸化物等の介在物を減少させる目的で不活性ガスの噴きつけ、或いはシールディング等により酸素濃度を低下させて(例えば100ppm以下)溶接してもよい。また、溶接は、高周波誘導加熱に替えて、抵抗溶接、レーザ溶接、アーク溶接、プラズマ溶接等で、あるいはこれらを組み合わせて行うこともできる。
溶接部のオンライン熱処理条件:溶接部のみを750〜1000℃に加熱後500℃以下まで5℃/s以上の冷却速度で冷却
溶接後急冷された溶接部は、硬度が高く、−20が100J/cmを下回る。これをオンラインで750〜1000℃に加熱した後、500℃以下まで5℃/s以上の冷却速度で冷却することで、Cが0.4%以上に濃化した第2相を0.1〜12面積%だけ含む微視組織が形成され、−20は100J/cmを確保することができる。加熱温度が1000℃を超えると、粒径が大きくなり低温靭性が低下する。一方、加熱温度が750℃を下回ると硬度低下が不十分で低温靭性が低下する。オンライン加熱後、500℃以下まで5℃/s未満の冷却速度で冷却された溶接部は、硬度が低くTS490MPa以上が確保できない。さらに冷却途中でパーライト組織が生成し、−20が100J/cmを下回る。なお、前記オンライン加熱後500℃以下までの冷却速度は、これが速すぎると前記第2相の面積率が12面積%以下となり難いため、好ましくは5〜300℃/sであり、より好ましくは5〜200℃/sである。
なお、溶接部のオンライン熱処理に替えて、溶接鋼管全体を750〜1000℃に加熱後、500℃以下まで5℃/s以上、好ましくは5〜300℃/s、より好ましくは5〜200℃/s、の冷却速度で冷却すること(全管熱処理と称す)によっても、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管が得られる。
また、特性の均質安定化のために、前記溶接部のオンライン熱処理の後に、或いは前記全管熱処理の後に、溶接鋼管全体を200〜650℃の範囲で焼戻し熱処理することができる。
(実施例1)
表1に示す組成の鋼スラブを約1240℃に加熱し約60分均熱後抽出し、全圧下率約96.8%の熱間圧延を施し、約840℃で仕上げ圧延を終了し、熱延ランナウトで約700℃を挟んだ温度域で空冷を行い、750〜600℃間の冷却時間8sを確保し、約450℃で巻き取って熱延鋼帯(板厚約8mm)とした。次いでこれらの熱延鋼帯を所定の幅寸法にスリット加工し、連続ロール成形してオープン管となし、該オープン管の円弧状断面の両端を高周波抵抗溶接により電縫溶接して管となし、引き続き連続的にオンラインシーム熱処理を、加熱温度約900℃、200℃までの冷却速度30℃/s(ミスト冷却による)の条件で行い、外径φ203.2mm、肉厚約8mmの溶接鋼管を得た。
これらの溶接鋼管から試験片を採取し、組織観察試験、拡管試験、引張試験、低温靭性試験を行った。
(1)組織観察試験
溶接鋼管の円周方向断面が観察面となる組織観察試験片を母材部及び溶接部よりそれぞれ採取し、研磨、ナイタール腐食して走査型電子顕微鏡(3000倍)で組織を観察、撮像し、画像解析装置を用いて、フェライトの面積率を測定した。さらに、前述の第2相分率測定方法により、Cが0.4%以上に濃化した第2相の面積率を求めた。
(2)引張試験
溶接鋼管のL方向(管長さ方向)が引張方向となるように、ASTMのA−370の規定に準拠して母材部から弧状試験片を切り出し、同規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(TS,YS,EL,YR)を求めた。
(3)拡管試験
前述の円錐拡管試験を実施し、限界拡管率を求めた。
(4)低温靭性試験
前述の低温衝撃試験において、試験片として溶接鋼管の母材部及び溶接部より採取した1/2サイズのものを用いた試験により、−20を求めた。
得られた結果を表2に示す。同表より、本発明例は、いずれも本発明規定の鋼組成要件及び製造方法要件を満たし、得られた溶接鋼管は本発明規定の第2相面積率要件を満たし、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の特性を有するものとなっている。
これに対し、比較例は、いずれも本発明規定の鋼組成要件及び製造方法要件の少なくともいずれか1つを満たさず、得られた溶接鋼管は本発明規定の第2相面積率要件を満たさず、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の特性を有するものとはなっていない。
(実施例2)
表1中の鋼B,Cの組成を有する鋼スラブに表3に示す条件(鋼帯の熱間圧延製造条件)で熱間圧延を施し熱延鋼帯とした。次いでこれらの熱延鋼帯を所定の幅寸法にスリット加工し、連続ロール成形してオープン管となし、該オープン管の円弧状断面の両端を高周波抵抗溶接により電縫溶接して管となし、引き続き連続的にオンラインシーム熱処理を、表3に示す条件(溶接部のオンライン熱処理条件。ここでの冷却:空冷又はミスト冷却)で行い、表3に示す外径、肉厚の溶接鋼管を得た。また、表3に示すとおり、電縫溶接後の管のうちいくつかの管には、オンラインシーム熱処理に替えて全管熱処理を施し、あるいはオンラインシーム熱処理もしくは全管熱処理の後に焼戻し熱処理を施した。
これらの溶接鋼管から実施例1と同様に試験片を採取し、実施例1と同様に組織観察試験、拡管試験、引張試験、低温靭性試験を行った。
得られた結果を表4に示す。同表より、本発明例は、いずれも本発明規定の鋼組成要件及び製造方法要件を満たし、得られた溶接鋼管は本発明規定の第2相面積率要件を満たし、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の特性を有するものとなっている。
これに対し、比較例は、いずれも本発明規定の鋼組成要件及び製造方法要件の少なくともいずれか1つを満たさず、得られた溶接鋼管は本発明規定の第2相面積率要件を満たさず、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の特性を有するものとはなっていない。
(実施例3)
実施例3では、実施例2のNo.34においてオープン管から管への溶接を、高周波抵抗溶接による電縫溶接に替えてレーザ溶接、TIG溶接の二通りで実施し、それ以外は同様として溶接鋼管を製造し、これらをそれぞれ表3に示す本発明例No.59、60とし、これらについて、実施例2と同様に試験した。その結果を表4に示す。同表より、実施例3においても、得られた溶接鋼管は、実施例2と同様、本発明規定の第2相面積率要件を満たし、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の特性を有するものとなっている。
Figure 2011246793
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Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.001〜2.00%、Mn:0.50〜2.50%、Al:0.010〜0.100%を含有し、P:0.019%以下、Sn:0.10%以下、S:0.005%以下、N:0.0049%以下、O:0.0030%以下で、かつ、30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)が16.0%未満であり、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼スラブを、1150〜1300℃に加熱して30分以上均熱保持し、全圧下率93.0〜98.0%で熱間圧延を施し、750℃以上で仕上げ圧延を終え、750〜600℃間の冷却時間を4s以上とし、300℃超600℃未満の巻取温度で巻き取って熱延鋼帯となし、該熱延鋼帯をスリットし、連続ロール成形によって円弧状断面とし、該円弧状断面の両端を溶接し、該溶接してなる溶接部のみを750〜1000℃に加熱後500℃以下まで5℃/s以上の冷却速度で冷却することを特徴とする、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
  2. 質量%で、Cu:0.001〜1.00%、Ni:0.001〜1.00%のうちから選ばれた1種又は2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
  3. 質量%で、Cr:0.001〜1.50%、Mo:0.001〜0.49%、Nb:0.0001〜0.14%、V:0.0001〜0.14%、Ti:0.0001〜0.14%、W:0.0001〜0.14%、B:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0001〜0.0030%、REM:0.0001〜0.10%うちから選ばれた1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、該溶接してなる溶接部のみを、に替えて、該溶接してなる溶接鋼管全体を、としたことを特徴とする拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、最後の冷却の後に、溶接鋼管全体を200〜650℃の範囲で焼戻し熱処理することを特徴とする拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管の製造方法。
  6. 質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.001〜2.00%、Mn:0.50〜2.50%、Al:0.010〜0.100%を含有し、P:0.019%以下、Sn:0.10%以下、S:0.0005%以下、N:0.0049%以下、O:0.0030%以下で、かつ、30*C+100*(P+Sn)+1000*(S+N+O)が16.0%未満であり、あるいはさらに下記A群及び/又はB群を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有し、かつ母材部及び溶接部の微視組織中にCが0.4質量%以上に濃化した第2相を0.1〜12面積%含むことを特徴とする、拡管性と低温靭性に優れた引張強度490MPa以上、降伏比0.74〜0.92の油井用溶接鋼管。

    A群:質量%で、Cu:0.001〜1.00%、Ni:0.001〜1.00%のうちから選ばれた1種又は2種
    B群:質量%で、Cr:0.001〜1.50%、Mo:0.001〜0.49%、Nb:0.0001〜0.14%、V:0.0001〜0.14%、Ti:0.0001〜0.14%、W:0.0001〜0.14%、B:0.0001〜0.0030%、Ca:0.0001〜0.0030%、REM:0.0001〜0.10%のうちから選ばれた1種又は2種以上
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