JP2011245521A - ダイキャスト方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャビティ内に溶湯を充填する際の溶湯の冷却を抑制し、かつ、溶湯を加圧する際の溶湯の冷却を促進するダイキャスト方法を提供する。
【解決手段】 ダイキャスト方法は、準備工程と充填工程と保圧工程とを備える。準備工程では、キャビティ面16aをヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22に分類し、ヒケ対策不要範囲22のキャビティ面22aを画定している材質以上の熱伝導率を有する材質でヒケ対策必要範囲20のキャビティ面20aを画定するダイキャスト型10を準備する。保圧工程におけるダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、充填工程におけるダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくし、保圧工程におけるヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくする。
【選択図】図1

Description

本明細書で開示される技術は、ダイキャスト方法に関する。
ダイキャスト方法では、まず、ダイキャスト型のキャビティ内に溶湯を充填する。次いで、キャビティ内の溶湯を加圧しながら冷却する(例えば特許文献1)。キャビティ内の溶湯は、ダイキャスト型に熱を伝達することによって冷却される。
特開平10−24350号公報
キャビティ内に溶湯が充填されるまでに溶湯が凝固すると、溶湯を加圧する際に、溶湯内の圧力伝播が阻害される。このため、溶湯をキャビティ内に充填する際には、溶湯の冷却を抑制することが好ましい。一方において、溶湯を加圧して冷却する際に、溶湯の冷却速度が遅いと、ダイキャスト製品が成形されるまでに時間を要することになる。
本明細書では、キャビティ内に溶湯を充填する際の溶湯の冷却を抑制し、かつ、溶湯を加圧している間の溶湯の冷却を促進するダイキャスト方法を提供する。
本明細書で開示されるダイキャスト方法は、準備工程と充填工程と保圧工程とを備える。準備工程では、キャビティを有するダイキャスト型を準備する。充填工程では、キャビティ内に溶湯を充填する。保圧工程では、キャビティ内に充填した溶湯を加圧し続ける。準備工程では、キャビティ面をヒケ対策必要範囲とヒケ対策不要範囲に分類し、ヒケ対策不要範囲のキャビティ面を画定している材質以上の熱伝導率を有する材質でヒケ対策必要範囲のキャビティ面を画定するダイキャスト型を準備する。「ヒケ対策必要範囲」とは、ヒケ対策不要範囲と同一の条件でダイキャストすると、ダイキャスト製品にヒケが発生する範囲である。本ダイキャスト方法では、保圧工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、充填工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくする。また、保圧工程におけるヒケ対策必要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、保圧工程におけるヒケ対策不要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくする。
上記のダイキャスト方法では、キャビティ内に溶湯が充填されるまでは、ダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数が比較的に小さい。このため、溶湯が充填される前に溶湯が冷却されて凝固することを抑制することができる。この結果、後に続く保圧工程において、溶湯内の圧力伝播が阻害されることを防止することができる。また、キャビティ内に溶湯が充填された後では、ダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数が比較的に大きい。このため、溶湯の冷却が促進される。この結果、ダイキャスト製品が成形されるまでの時間を短くすることができる。
ヒケ対策必要範囲とヒケ対策不要範囲とを同一の条件でダイキャストした場合、ヒケ対策必要範囲内の溶湯の凝固が完了するタイミングは、ヒケ対策不要範囲内の溶湯の凝固が完了するタイミングよりも遅い。この結果、ヒケ対策必要範囲においてヒケが発生する。上記のダイキャスト方法では、保圧工程において、ヒケ対策必要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数が、ヒケ対策不要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数よりも大きい。このため、ヒケ対策必要範囲とヒケ対策不要範囲との凝固完了タイミングの差を小さくすることができる。この結果、ヒケ対策必要範囲のダイキャスト製品のヒケを抑制することができる。さらに、ヒケ対策必要範囲のキャビティ面を画定しているダイキャスト型の材質は、ヒケ対策不要範囲のキャビティ面を画定するダイキャスト型の材質以上の熱伝導率を有する。この構成を備えているために、ヒケ対策必要範囲のキャビティ面付近のダイキャスト型が高温になって、溶湯の冷却が遅延されることを防止し得る。
充填工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値が3700W/mK以下であることが好ましく、保圧工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値が6000W/mK以上であることが好ましい。この構成を備えていると、割れ、空孔等の欠陥を抑制することができる。
本明細書に開示されるダイキャスト方法によると、ダイキャストの工程の進行に合わせて、ダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数を変化させることができる。また、保圧工程において、空間的にダイキャスト型と溶湯との熱伝達係数を変化させることができる。これにより、良質なダイキャスト製品を短時間で製造することが可能となる。
実施例のダイキャスト型の縦断面図である。 第1実験の実験方法を説明する図である。 第1実験の実験結果を示すグラフである。 第2実験に用いられる金型の縦断面図である。 第2実験の実験結果を示すグラフである。 第3実験に用いられるダイキャスト型の縦断面図である。
下記に説明する実施例の主要な特徴を最初に列記する。
(特徴1)保圧工程におけるヒケ対策必要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値が8600W/mK以上である。
(特徴2)キャビティ面には、カーボンナノチューブやカーボンファイバー等のナノカーボン類の炭素膜が形成されている。
本実施例のダイキャスト方法について、図面を参照して説明する。ダイキャスト方法は、準備工程と充填工程と保圧工程とを含む。各工程について順に説明する。
(準備工程)
準備工程では、図1に示すダイキャスト型10を準備する。ダイキャスト型10は、SKD61で作製されている。ダイキャスト型10の熱伝導率は、24W/mKである。ダイキャスト型10は、右型12と左型14とを備える。右型12と左型14とを合わせて型締めしたときに画定される空間が、キャビティ16である。キャビティ16は、キャビティ面16aによって画定される。キャビティ16は、溶湯経路18を介して、図示省略した溶湯供給装置に接続される。
キャビティ16は、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22に分類される。ヒケ対策必要範囲20のキャビティ部分20cで成形されるダイキャスト製品の部分は、ヒケ対策不要範囲22のキャビティ部分22cで成形されるダイキャスト製品の部分と比較して肉厚である。このため、仮に、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22を同一の条件でダイキャストすると、ヒケ対策必要範囲20内の溶湯は、ヒケ対策不要範囲22内の溶湯よりも凝固し終えるのが遅い。その結果、ヒケ対策必要範囲20では、ダイキャスト製品にヒケが発生する。
キャビティ面16aも、ヒケ対策必要範囲20と、ヒケ対策不要範囲22に分類される。ヒケ対策必要範囲20のキャビティ面20aは、炭素膜20bで被覆されている。炭素膜20bは、カーボンナノチューブやカーボンファイバー等のナノカーボン類である。炭素膜20bの膜厚は、10μm以下である。ヒケ対策不要範囲22のキャビティ面22aは、炭素膜22bで被覆されている。炭素膜22bの膜厚は、炭素膜20bの膜厚よりも厚く、平均して60μm程度である。なお、キャビティ面20a,22aに炭素膜20b,22bを形成するためには、特開2008−105082号公報に記載の技術を利用することができる。
(充填工程)
充填工程では、溶湯供給装置から溶湯経路18を介して、キャビティ16内にアルミニウム合金の溶湯が充填される。充填工程では、溶湯に0.1MPaの圧力が付与される。充填工程において、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は2000W/mKであり、ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は2500W/mKである。ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数の差は、キャビティ面20a,22aに被覆された炭素膜20b,22bの膜厚の差によるものである。
(保圧工程)
保圧工程では、図示省略したプランジャを用いて、キャビティ16内の溶湯を加圧する。保圧工程では、キャビティ16内の溶湯の凝固が完了するまで、プランジャで溶湯を加圧し続ける。プランジャは、50MPaの圧力で溶湯を加圧する。溶湯が加圧されると、ダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数が上昇する。保圧工程において、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は6000W/mKであり、ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は8600W/mKである。ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数の差は、キャビティ面20a,22aに被覆された炭素膜20b,22bの膜厚の差によるものである。保圧工程が終了すると、右型12と左型14とを離間させて、ダイキャスト製品を取り出す。
上記した充填工程では、ダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は2500W/mK以下である。これにより、充填工程では、溶湯は冷却されにくく、キャビティ16内をスムースに流れる。溶湯は、速やかにキャビティ16内へ行き渡る。また、充填工程において、溶湯がキャビティ16内を流れている間に、溶湯が凝固することが抑制される。この結果、保圧工程において溶湯に付与される圧力の伝播が、凝固したアルミニウム合金によって阻害されることを防止することができる。
上記した保圧工程では、ダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数は6000W/mK以上である。これにより、溶湯の冷却が促進される。このため、溶湯が凝固するまでの時間を短くすることができる。
ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数は、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との熱伝達係数よりも大きく、8600W/mKである。ヒケ対策不要範囲22のキャビティ部分22c内の溶湯と比較して、ヒケ対策必要範囲20のキャビティ部分20c内の溶湯の冷却が促進される。キャビティ部分20c内の溶湯は、キャビティ部分22c内の溶湯に遅れずに凝固する。この結果、ダイキャスト製品のヒケを抑制することができる。
本実施例のダイキャスト方法で成形されるダイキャスト製品では、その表面付近に、12μmから20μmの微細層が形成される。微細層とは、2次デンドライトアーム(デンドライトの幹から略直角に生成されたデンドライト)の間隔が5μm以下のデンドライトで構成される層である。微細層が厚いほど、ダイキャスト製品の気密性が向上し、金型への焼付きやかじりを防止することができる。
ダイキャスト型10の熱伝達係数は、ダイキャスト製品の凝固組織を観察することによって推定することができる。詳細には、ダイキャスト製品の凝固組織から冷却速度を推定し、推定された冷却速度から熱伝達係数を算出することができる。例えば、溶湯がアルミニウム合金である場合、ダイキャスト製品の表面付近に12μmから20μmの微細層が観察できれば、保圧工程でのダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が、6000W/mKであるということができる。また、ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数よりも大きいか否かは、ダイキャスト時のキャビティ面20a,22aの表面を観察することによって特定することができる。本実施例に示すように、キャビティ面20aの炭素膜20bがキャビティ面22aの炭素膜22bよりも薄い場合には、ヒケ対策必要範囲20の熱伝達係数は、ヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数よりも大きい。あるいは、例えば、キャビティ面20aとキャビティ面22aとに同一の被膜が被覆されている場合であって、ダイキャストする前に、キャビティ面22aのみに離型剤等が塗布される場合にも、ヒケ対策必要範囲20の熱伝達係数が、ヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数よりも大きいと特定することができる。また、ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数よりも大きいか否かは、ダイキャスト製品の凝固組織の微細層厚さを比較することによっても特定することができる。ダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が大きいほど、微細層の厚さは厚くなるためである。
また、充填工程でのダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が大きくなると、微細層とその内側の凝固層との境界で粒径が急変する。即ち、ダイキャスト製品の断面を見ると、ダイキャスト製品の表面側から、微細層とその内側の凝固層との2層構造となっている。一方において、充填工程における熱伝達係数が比較的に小さい場合には、ダイキャスト製品の表面の微細層から内側に向かって除変する。従って、充填工程でのダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数は、ダイキャスト製品の凝固組織を観察することによって推定することができる。
(変形例)
(1)上記の実施例では、炭素膜20b,22bの膜厚を変えることによって、熱伝達係数を変えている。しかしながら、キャビティ面20a,22aの表面粗さを変更すること、キャビティ面20a,22aに塗布する離型剤を変更すること、キャビティ面20a,22aの材質を変更することによっても、保圧工程におけるキャビティ面20a,22aの熱伝達係数を変更することができる。
(2)上記の実施例では、ダイキャスト型10は、単一の材料で作製されている。しかしながら、ダイキャスト型10は、複数の材料で作製されていてもよい。例えば、ダイキャスト型10のうち、ヒケ対策必要範囲20のキャビティ面20aを有する部分を、銅合金で作製し、ヒケ対策不要範囲22のキャビティ面22aを有する部分を、SKD61で作製してもよい。この場合、キャビティ面20a,22aのそれぞれに対して、炭素膜を被覆させる、又は、離型剤等の液剤を塗布することによって、溶湯との熱伝達係数を調整してもよい。この構成によれば、ヒケ対策必要範囲20のダイキャスト型10の熱伝導率を、ヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10の熱伝導率よりも高くすることができる。
(3)上記の実施例では、キャビティ16及びキャビティ面16aは、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22とに分類されている。しかしながら、キャビティ16及びキャビティ面16aは、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22に加えて、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22との間に位置する境界範囲に分類されていてもよい。この変形例では、境界範囲のキャビティ面には、炭素膜20bの膜厚から炭素膜22bの膜厚に向けて膜厚が除変する炭素膜が被覆されていてもよい。即ち、ヒケ対策必要範囲20とヒケ対策不要範囲22と境界範囲とにおいて、熱伝達係数が連続的に変化していてもよい。
(4)上記の実施例では、アルミニウム合金の溶湯を用いて、ダイキャストしている。しかしながら、溶湯の材料は、アルミニウム合金に限られない。例えば、亜鉛合金、マグネシウム合金の溶湯であってもよい。これらの溶湯を用いてダイキャストする場合であっても、上記の実施例と同様の効果を奏することができる。変形例の溶湯の場合も、アルミニウム合金と同様の方法、即ち、ダイキャスト製品の凝固組織を観察し、特に、微細層の厚さを特定することによって、熱伝達係数に関する推定をすることができる。
続いて、ダイキャスト型と溶湯との間の最適な熱伝達係数の範囲を特定するために、第1から第3実験を行った。
(第1実験)
図2に示すように、第1実験では、溶湯との間の熱伝達係数が異なる複数種類の平板50を準備した。平板50は、SKD61製である。第1実験では、表面50aの表面粗さを変化させること、あるいは、表面50aに油等の液剤を塗布することによって、平板50と溶湯52との間の熱伝達係数が異なる複数種類の平板50を作成した。次いで、複数種類の平板50のそれぞれについて、平板50を水平面からθ=20度だけ傾斜させ、平板50の表面50aにアルミニウム合金の溶湯52の液滴を滴下した。溶湯52が表面50aを流れ落ちる際に、溶湯52が平板50によって冷却されて溶湯52が凝固すると、凝固したアルミニウム合金が表面50a上に付着する。第1実験では、表面50a上に付着したアルミニウム合金の位置によって、溶湯52の流れ性能を評価した。具体的には、アルミニウム合金が付着した最上の位置が、溶湯52を滴下した位置P1である場合に0点とし、位置P1から表面50aの下端までの半分の距離に位置する位置P2との間である場合に1点とし、位置P2よりも下方である場合に2点とし、アルミニウムが付着しなかった場合、即ち、溶湯52が凝固せずに表面50aから落下した場合に3点とした。第1実験では、複数種類の平板50のそれぞれについて、3回実験を行い、その合計点を算出した。
図3に第1実験の実験結果のグラフを示す。図3の横軸は平板50と溶湯52との間の熱伝達係数であり、縦軸は3回の実験の合計点である。図3に示すように、熱伝達係数が3700W/mK以下の範囲では、そのほとんどの場合に、溶湯52が凝固せずに表面50aから落下している。一方において、熱伝達係数が3700W/mKより大きくなると、溶湯52が表面50aを流れている最中に凝固し、表面50aに付着する。このことから、熱伝達係数が3700W/mK以下の範囲では、充填工程において、溶湯がキャビティ内を流れている最中に、溶湯が凝固することを防止することができることがわかった。
(第2実験)
図4に示すように、第2実験では、金型100と溶湯との間の熱伝達係数が異なる複数種類の金型100を準備した。金型100は、SKD61製である。金型100は、水平方向に伸びるキャビティ102を有する。第2実験では、第1実験と同様の手法で、金型100と溶湯との間の熱伝達係数が異なる複数種類の金型100を作成した。次いで、金型100の給湯口104からキャビティ102内にアルミニウム合金の溶湯を注入した。第2実験では、溶湯を加圧せずに、キャビティ102内に溶湯を注入した。複数種類の金型100のそれぞれについて、キャビティ102内で溶湯が凝固して溶湯の流れが停止した時の溶湯の流れた距離を測定した。
図5に第2実験の実験結果のグラフを示す。図5の横軸は熱伝達係数であり、縦軸は給湯口104から凝固した溶湯の先端までの距離である。図5に示すように、熱伝達係数が3700W/mK以下の範囲では、熱伝達係数が5000W/mKの場合と比較して、溶湯がスムースに流れることがわかった。
(第3実験)
図6に示すように、第3実験では、ダイキャスト型200を準備した。ダイキャスト型200は、SKD61製である。ダイキャスト型200は、キャビティ202を有する。第3実験では、ダイキャスト型200のキャビティ面202aを被覆する材料、及び、保圧工程における加圧力を変更することによって、ダイキャスト型200と溶湯との間の熱伝達係数を変化させた。複数種類の熱伝達係数でダイキャストし、成形されたダイキャスト製品の微細層厚さと欠陥率を調査した。表1に実験結果を示す。表1では、実験結果を保圧工程における熱伝達係数で分類し、実験番号E1からE10を付している。
Figure 2011245521
表1に示すように、保圧工程における熱伝達係数が高いほど、微細層の厚さが厚くなった。また、保圧工程における熱伝達係数が6000W/mK以上であるE7からE10では、熱伝達係数が6000W/mKより小さいE1からE6と比較して、欠陥率が大幅に低減された。なお、充填工程における熱伝達係数が6000W/mKであるE7及びE10では、微細層厚さ及び欠陥率の実験結果は良好であった。しかしながら、微細層とその内側に形成される凝固層との境界で凝固組織(粒径)が急変しており、微細層が剥離する可能性が高くなることがわかった。
上記の第1及び第3実験の結果から、充填工程でのダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数は、3700W/mK以下であることが好ましいことがわかった。また、保圧工程でのダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数は、6000W/mK以上であることが好ましいことがわかった。
さらに、保圧工程における金型200の一部分の熱伝達係数を10000W/mKとし、他の部分の熱伝達係数を6000W/mKとした場合には、全体を6000W/mKとした場合と比較して、ヒケの発生が抑制された。
(CAE解析)
続いて、ダイキャスト型10と同一の形状のダイキャスト型を用いたCAE解析の解析結果について説明する。表2に示すように、CAE解析では、保圧工程におけるヒケ対策必要範囲20及びヒケ対策不要範囲22のダイキャスト型10と溶湯との間の熱伝達係数が異なる実験番号E21からE25の5種類のダイキャスト型10について、解析を行った。なお、E23では、ヒケ対策不要範囲22の上方部分と下方部分とで熱伝達係数を変化させた。これは、キャビティ面22aの表面状態が均一でない場合を想定している。本解析では、キャビティ16内に溶湯が充填された状態から開始した。解析結果を表2に示す。
Figure 2011245521
E21とE22からE25とを比較すると明らかなように、ヒケ対策必要範囲20の熱伝達係数を、ヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数よりも高くすることによって、欠陥率が低減した。また、E22とE25とを比較すると明らかなように、熱伝達係数が同じであっても、ヒケ対策必要範囲20の熱伝導率を、ヒケ対策不要範囲22の熱伝導率よりも高くすることによって、欠陥率が低減した。
上記の解析結果から明らかなように、ヒケ対策必要範囲20の熱伝達係数を、ヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数よりも高くすることによって、ダイキャスト製品の欠陥を低減することができる。また、ヒケ対策必要範囲20の熱伝導率を、ヒケ対策不要範囲22の熱伝導率よりも高くすることによって、さらにダイキャスト製品の欠陥を低減することができる。なお、さらなる解析及び実験によって、保圧工程におけるヒケ対策必要範囲20の熱伝達係数が8600W/mK以上であり、ヒケ対策不要範囲22の熱伝達係数が6000W/mK以上であれば、これらの範囲以外の熱伝達係数を採用する場合と比較して、欠陥率が低減されることがわかった。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:ダイキャスト型
12:右型
14:左型
16:キャビティ
16a,20a,22a:キャビティ面
20:ヒケ対策必要範囲
20b,22b:炭素膜
20c,22c:キャビティ部分
22:ヒケ対策不要範囲

Claims (2)

  1. キャビティを有するダイキャスト型を準備する準備工程と、
    キャビティ内に溶湯を充填する充填工程と、
    キャビティ内に充填した溶湯を加圧し続ける保圧工程と、
    を備えるダイキャスト方法であって、
    前記準備工程では、キャビティ面をヒケ対策必要範囲とヒケ対策不要範囲に分類し、ヒケ対策不要範囲のキャビティ面を画定している材質以上の熱伝導率を有する材質でヒケ対策必要範囲のキャビティ面を画定するダイキャスト型を準備し、
    保圧工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、充填工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくし、
    保圧工程におけるヒケ対策必要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値を、保圧工程におけるヒケ対策不要範囲のダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値よりも大きくする
    ことを特徴とするダイキャスト方法。
  2. 充填工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最大値が3700W/mK以下であり、
    保圧工程におけるダイキャスト型と溶湯との間の熱伝達係数の最小値が6000W/mK以上である
    請求項1に記載のダイキャスト方法。
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