JP2011245114A - バルーンカテーテル - Google Patents
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- A61M25/104—Balloon catheters used for angioplasty
Abstract
【課題】ブレードの血管内への脱落を防いで安全性を確保できると共に、必要のない部分に刃先を設けることによる耐久性の低下や取り回しの困難さを解消し得る、新規な構造のバルーンカテーテルを提供すること。
【解決手段】シャフト18,20の遠位端側に拡縮可能なバルーン14が設けられていると共に、バルーン14の表面にブレード30が配設されたバルーンカテーテル10において、バルーン14の表面に配設された刃部32と、刃部32から一体的に延び出してバルーン14を基端側に外れて配設保持された延出部36とを含んでブレード30が設けられており、それら刃部32と延出部36とが互いに異なる断面形状とされて、刃部32にだけ外方に突出する刃先38が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】シャフト18,20の遠位端側に拡縮可能なバルーン14が設けられていると共に、バルーン14の表面にブレード30が配設されたバルーンカテーテル10において、バルーン14の表面に配設された刃部32と、刃部32から一体的に延び出してバルーン14を基端側に外れて配設保持された延出部36とを含んでブレード30が設けられており、それら刃部32と延出部36とが互いに異なる断面形状とされて、刃部32にだけ外方に突出する刃先38が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、血管等の狭窄部位をバルーンによって押し広げる経皮的血管形成術(PTA)等に用いられるバルーンカテーテルであって、特に、バルーン上に血管の内膜等を切開するためのブレードを配設したブレード付きのバルーンカテーテルに関するものである。
従来から、粥腫等による血管の狭窄や閉塞を治療するための方法としては、バルーンカテーテルを用いた経皮的血管形成術が知られている。バルーンカテーテルは、シャフトの先端部分にバルーンが設けられたものであって、バルーンを血管の狭窄部位に挿し入れた後、そのバルーンを流体の送入等によって加圧して膨らませることにより、血管の狭窄部位をバルーンによって押し広げて血流を回復するためのものである。
ところで、バルーンカテーテルによる経皮的血管形成術では、バルーンの内圧を高めてバルーンを膨張させることで、可撓性を有する柔軟な血管壁が、バルーンの膨らみに合わせて拡径変形することを利用して、血流の回復を図っている。
ところが、このようなバルーンカテーテルを用いた血管の拡張では、血管の狭窄部分が石灰化によって硬化している場合等に、バルーンによって拡径変形させることが出来ず、充分な血流を確保できないおそれがあった。また、バルーンによって血管壁に及ぼされる押圧力を大きくして硬化した狭窄部分を無理に押し広げると、血管壁の内膜だけに止まらず中膜にまで達する深い亀裂が入る可能性もある。
そこで、例えば、特開平5−293176号公報(特許文献1)に示されているように、バルーンの表面にブレードを固着して、バルーンの拡張時にブレードが硬化した血管の狭窄部分に押し当てられるようにした、ブレード付きのバルーンカテーテルが提案されている。これによれば、バルーンによる押圧力が強く作用する前に、血管の内膜がブレードによって予め切開されることにより、血管壁に及ぼされる応力が低減されて、血管壁に過剰な亀裂が入るのを防ぐことが出来る。
しかしながら、特許文献1に示されたバルーンカテーテルでは、バルーン上にブレードが固着されていることから、血管の狭窄部分でバルーンを膨出変形させると、ブレードがバルーンの変形に追従しきれずに剥離して血管内に脱落するおそれがあった。ブレードが脱落する可能性を低くするために、バルーンの直径を小さくして、バルーンの変形量を低減する方法もあるが、そうすると、バルーンによる狭窄部位の拡張が不充分になって、血流の充分な回復を実現し難いという問題があった。
なお、特開昭62−233168号公報(特許文献2)のように、ブレードをバルーン上に固定しない構造も提案されている。しかし、特許文献2に示された構造では、ブレードが挿通された挿通路4の壁部がブレードの刃先に当接することによって、耐久性の低下を免れないし、ブレードを挿通路4に挿し入れる作業が困難になる等、ブレードの取り回し性にも不具合があった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、ブレードの血管内への脱落を防いで安全性を確保できると共に、必要のない部分に刃先を設けることによる耐久性の低下や取り回しの困難さを解消し得る、新規な構造のバルーンカテーテルを提供することにある。
本発明の第一の態様は、シャフトの遠位端側に拡縮可能なバルーンが設けられていると共に、該バルーンの表面にブレードが配設されたバルーンカテーテルにおいて、前記バルーンの表面に配設された刃部と該刃部から一体的に延び出して該バルーンを基端側に外れて配設保持された延出部とを含んで前記ブレードが設けられており、それら刃部と延出部とが互いに異なる断面形状とされて、該刃部にだけ外方に突出する刃先が形成されていることを、特徴とする。
第一の態様に従う構造とされたバルーンカテーテルによれば、ブレードの延出部がバルーンを基端側に外れて延び出して保持されていることにより、ブレードがバルーンの膨出変形によってバルーン上から脱落して患者の体内に残るのを防ぐことが出来る。それ故、バルーンカテーテルを用いた経皮的血管形成術等における安全性の向上が実現される。更に、直径の大きなバルーンを採用した場合にも、ブレードの脱落が防止されることから、バルーンの拡縮変形量を大きくすることが出来て、狭窄部がバルーンによって効果的に拡張される。
また、ブレードを構成する刃部と延出部の断面形状が互いに異なっており、刃部にだけ刃先が形成されていることにより、血管壁等の切開に用いられる部分だけに限定的に刃先が設けられて、余分な刃先による他部材の損傷等を回避することが出来る。しかも、延出部が刃先を持たない構造とされていることによって、バルーンを外れた位置における延出部の保持が容易になると共に、バルーンカテーテルにブレードを取り付ける作業時等にブレードを取り扱い易くなる。
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに固定されているものである。
第二の態様によれば、ブレードの延出部をシャフトに固定することによって、ブレードの脱落をより確実に阻止することが出来て、安全性の更なる向上が実現される。なお、延出部は、その全長に亘ってシャフトに固定されている必要はなく、部分的に固定されていても良い。
本発明の第三の態様は、第一の態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに対する長さ方向への変位を許容されているものである。
第三の態様によれば、バルーンの変形に対するブレードの追従性が向上して、バルーン上に配設される刃部がずれるのを防止することが出来ると共に、ブレードの刃部がバルーンを必要以上に拘束することなく変位して、血管壁等に押し付けられることで刃先による切開が実現される。
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに形成されたブレード用ルーメンに挿通されているものである。
第四の態様によれば、ブレードの延出部がシャフトに内挿されていることにより、シャフトを含んだカテーテル本体の外径がブレードの配設によって大きくなるのを抑えることが出来る。また、本態様は、延出部が刃先を持たない構造とされていることによって、有利に採用されるに至ったものである。即ち、シャフトの変形等によって、延出部がブレード用ルーメンの壁部に当接した場合にも、柔軟性を有するブレード用ルーメンの壁部が刃先によって損傷するのを回避することが出来る。それ故、シャフトのルーメンにブレードの延出部を挿通させるという構造が、シャフトの耐久性に悪影響を与えることなく採用され得るのである。
本発明の第五の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部が、前記シャフトの外周面に沿って配設されていると共に、該シャフトに外挿されたカバーシャフトによって覆われているものである。
第五の態様によれば、シャフトに特別な構造が要求されないことから、従来構造のシャフトにブレードを後付けすることによって、本発明に従う構造のバルーンカテーテルを得ることが出来る。また、延出部がカバーシャフトによって覆われてシャフトに対して保持されることによって、ブレードの脱落を防止する効果も期待できる。
本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか1つの態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部が前記シャフトの近位端まで延び出しているものである。
第六の態様によれば、ブレードの延出部がシャフトの近位端付近まで延び出していることにより、施術者がカテーテルを操作しながら延出部を容易に把持することが出来る。これにより、特にバルーンの膨張時に延出部を把持することで、ブレードの脱落をより安定して防止することが出来る。
本発明の第七の態様は、第一〜第六の何れか1つの態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの前記延出部に把持部が設けられているものである。
第七の態様によれば、延出部に把持し易い構造の把持部が設けられていることによって、要求される可撓性等を実現し得る形状や大きさで延出部が形成されている場合にも、施術者や補助者が延出部をより容易に且つ安定して保持することが出来る。
本発明の第八の態様は、第一〜第七の何れか1つの態様に記載されたバルーンカテーテルにおいて、前記ブレードの素材が超弾性金属とされているものである。
第八の態様によれば、バルーンの変形に対するブレードの追従性を向上させることができる。更に、バルーンが膨らんだ状態から収縮してバルーンからブレードに及ぼされた押圧力が解除されると、ブレードが元の形状に速やかに復元することから、バルーンを血管等から抜き取る際に、ブレードが邪魔になることもない。
本発明は、ブレードを構成する延出部が、バルーンを基端側に外れた位置で保持されていることにより、バルーンの変形等に起因するブレードの脱落及び血管内への残留が防止されて、バルーンカテーテルを用いた治療の安全性の向上が図られる。しかも、ブレードにおいて刃部と延出部の断面形状が互いに異なるものとされており、刃部にのみ刃先が形成されていることによって、延出部の当接による他部材の耐久性低下等を防ぐことが出来ると共に、ブレードの取扱いが容易になる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の第一の実施形態として、ブレード付きのバルーンカテーテル10の全体概略が示されている。バルーンカテーテル10は、長尺のカテーテル本体12を備えており、カテーテル本体12の先端部分にバルーン14が設けられていると共に、カテーテル本体12の基端側にハブ16が設けられている。そして、カテーテル本体12の先端側を人体の手首や大腿部から血管に挿し入れて冠動脈等の治療部位まで到達させた状態で、バルーン14を膨らますことにより、血管の狭窄部位を押し広げて正常な血流を回復するようになっている。なお、カテーテル本体12の基端部には、保護カバー17が外挿されており、カテーテル本体12の基端部における屈折が防止されている。
より詳細には、カテーテル本体12は、挿入対象である血管に挿入可能な太さと、目的とする治療部位に達する充分な長さとを、有している。また、血管に沿って湾曲可能な軟質材料で形成されており、例えば、ポリアミド,塩化ビニル,ポリウレタン,ポリイミド,ポリエチレン,ポリエステルエラストマー,ポリプロピレン,ポリテトラフルオロエチレン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフッ化ビニリデン等の合成樹脂材料、ステンレス鋼,ニッケル−チタン合金等の金属材料及びこれらの組み合わせによって成形されたものが採用され得る。
また、図2〜図6に示されているように、カテーテル本体12は、それぞれ管状とされた内シャフト18に外シャフト20を外挿した二重構造を有しており、内シャフト18の先端部分が外シャフト20の先端から長さ方向外側に突出している。更に、内シャフト18の遠位端には、先端チップ22が装着されている。先端チップ22は、先端側に向かって次第に小径となる略円錐台形状を有しており、その径方向中央には、内シャフト18の中心孔と略同一断面形状の円形孔が貫通形成されている。また、先端チップ22の大径側端面には、内シャフト18の外径寸法に対応する内径寸法を有する円形の凹所が開口しており、内シャフト18の先端部が該凹所に挿入されて固着されることにより、先端チップ22が内シャフト18の先端部に取り付けられている。
また、内シャフト18の内腔によってガイドワイヤ用ルーメン24が形成されていると共に、内シャフト18と外シャフト20の間に調圧用ルーメン26が形成されている。
ガイドワイヤ用ルーメン24は、カテーテル本体12の基端部から先端部に至るまで、略一定の断面形状をもって連続して形成されており、カテーテル本体12の先端面に開口している一方、カテーテル本体12の基端側において、ハブ16を貫通して外部に開口している。そして、このガイドワイヤ用ルーメン24には、図示しないガイドワイヤが抜差可能に挿通されるようになっている。なお、ガイドワイヤは、カテーテル本体12より小径で、カテーテル本体12の挿入に先立って、予め血管に挿し入れられる。その後、ガイドワイヤにカテーテル本体12を外挿することで、カテーテル本体12を血管内にスムーズに挿し入れて、カテーテル本体12の先端部分を治療対象部位である狭窄部位まで案内する。
また、調圧用ルーメン26は、略一定の断面形状をもって連続して形成されており、カテーテル本体12の長さ方向中間部分において開口している一方、カテーテル本体12の基端側において、ハブ16を介して図示しない調圧手段に接続されている。なお、調圧手段は、調圧用ルーメン26を通じて後述するバルーン14の内部に空気等の所定の流体を供給及び排気することによって、バルーン14の内圧を調節することが出来るようになっている。
また、カテーテル本体12の先端部分には、バルーン14が設けられている。バルーン14は、合成樹脂製の膜で形成された筒状体であって、外シャフト20から突出した内シャフト18の先端部分に外挿されている。また、バルーン14の基端部が外シャフト20の先端部分の外周面に重ね合わされて固着されていると共に、バルーン14の先端部が内シャフト18の先端部分の外周面に重ね合わされて固着されている。これにより、バルーン14とシャフト18,20の間(バルーン14の内周側)に外部から密閉された空間が形成されている。この空間には、調圧用ルーメン26が連通されており、該空間の圧力が調圧用ルーメン26を通じて調圧手段で調節されることによって、バルーン14が収縮状態と膨出状態に切り替えられるようになっている。
なお、カテーテル本体12の内シャフト18には、外シャフト20からの突出部分に造影マーカー28が取り付けられている。造影マーカー28は、白金−イリジウム合金等のX線不透過性を有する金属材料で形成された、環状又はC字形状の部材とされている。そして、内シャフト18におけるバルーン14の外挿部分に対して、長さ方向で離隔して2つの造影マーカー28,28が固着されていることにより、体内に挿入されたバルーン14の先端と基端を、X線による透視によって確認できるようになっている。
このようなバルーン14を有するカテーテル本体12上には、ブレード30が取り付けられている。ブレード30は、ステンレスや超弾性を有するニッケル−チタン合金等の金属材料で形成されたワイヤ状の部材であって、図7に示されているように、バルーン14上に配される刃部32と、刃部32から先端側に延び出す固着部34と、刃部32から基端側に延び出す延出部36とを、一体的に備えている。
刃部32は、図4に示されているように、略正三角形断面を有しており、その底壁面がバルーン14の長さ方向中央部分の外周面に重ね合わされて、断面の頂点部分によって構成された鋭利な刃先38がバルーン14から径方向外側に向かって突出している。なお、好適には、刃部32の断面における一辺の長さは、0.2mm〜0.5mmの範囲に設定されており、本実施形態では0.3mmに設定されている。
また、刃部32よりも先端側には、固着部34が一体形成されて長さ方向外側に延び出している。固着部34は、刃部32において突出先端部分(刃先38が設けられた部分)を欠いたような略等脚台形形状の断面を有しており、刃先を持たない構造とされている。
一方、刃部32よりも基端側には、延出部36が一体形成されている。延出部36は、バルーン14を長さ方向で近位端側に外れた位置にまで延び出しており、本実施形態では、カテーテル本体12の基端部に至る長さで延びている。また、延出部36は、刃部32から延び出した先端部分が、図5に示されているように、固着部34と略同一の等脚台形断面を有する変形許容部40とされていると共に、基端部分が、図6に示されているように、略円形断面を有する保持部42とされており、全長に亘って刃先を持たない構造とされている。
なお、固着部34と変形許容部40は、ブレード30のバルーン14からの突出方向(図7中の上下方向)での厚さ寸法:tが、0.1mm≦t≦0.3mmの範囲で設定されることが望ましく、より好適には、0.15mm≦t≦0.2mmの範囲で設定される。本実施形態において、固着部34及び変形許容部40の厚さ寸法:tは、0.15mmに設定されている。一方、保持部42の直径:rは、0.1mm≦r≦0.5mmの範囲で設定されることが望ましく、より好適には、0.2mm≦r≦0.4mmの範囲で設定される。本実施形態において、保持部42の直径:rは、0.4mmに設定されている。
このように、ブレード30は、断面形状の異なる複数の部位が長さ方向で連続的に一体形成された構造を有しており、バルーン14からの突出方向(図7中の上下方向)での曲げ剛性が、長さ方向で変化している。即ち、ブレード30は、全体が略一様な金属材料で形成されていると共に、断面二次モーメントが長さ方向で変化していることによって、曲げ剛性が長さ方向で変化している。
より詳細には、刃部32の断面二次モーメントは、刃部32の上端を欠いたような断面形状を有する固着部34及び変形許容部40の断面二次モーメントよりも、大きくなっている。これにより、固着部34及び変形許容部40は、ブレード30のバルーン14からの突出方向において、刃部32よりも曲げ剛性が小さく設定されており、弾性的に変形し易くなっている。そして、固着部34及び変形許容部40の弾性変形によって、後述するバルーン14の形状変化に対する追従性が発揮されるようになっている。一方、固着部34及び変形許容部40に比して曲げ剛性を大きく設定された刃部32は、形状の安定性に優れており、後述するバルーン14の形状変化に対して、初期の形状を安定して保持し得る構造となっている。なお、本実施形態では、保持部42の断面二次モーメントが、刃部32の断面二次モーメントよりも小さくなっていると共に、固着部34及び変形許容部40の断面二次モーメントよりも大きくなっている。
そして、ブレード30は、その固着部34と延出部36において、カテーテル本体12に対して取り付けられている。即ち、固着部34は、バルーン14の先端部分に重ね合わされており、溶着チューブ44が外挿されて溶融固着されることにより、バルーン14及び内シャフト18の先端部分に固定されている。この溶着チューブ44は、先端チップ22と長さ方向で隣接して配設されており、先端チップ22の大径側端面に固着されている。一方、延出部36は、その変形許容部40が、バルーン14の基端部分の外周面に重ね合わされていると共に、保持部42が、外シャフト20の外周面に沿って配設されて、外シャフト20と外シャフト20に外挿されたカバーシャフト46との間に挿通されている。
このようにして、ブレード30は、カテーテル本体12に沿って配設されており、刃部32がバルーン14上に配設されて長さ方向に延びていると共に、固着部34と延出部36がバルーン14を外れた長さ方向外側に延び出して保持されている。
なお、図1に示されているように、ブレード30が外シャフト20の近位端にまで至る長さとされていると共に、カバーシャフト46が外シャフト20の近位端までは至らない長さとされており、保持部42の基端がカバーシャフト46の基端側開口部から突出して、外部に露呈している。この保持部42におけるカバーシャフト46からの露呈部分には、把持部48が設けられており、ブレード30の基端部を手で把持することが出来るようになっている。このように、延出部36は、その基端部が拘束されていない自由端となっており、カバーシャフト46によってカテーテル本体12の径方向への変位が規制されている一方、長さ方向では変位が許容されている。更に、把持部48を操作することによって、延出部36を積極的に長さ方向で変位させることも可能である。
このような構造とされたバルーンカテーテル10を用いて狭窄部分の拡張を行うに際しては、先ず、図2に示されているように、バルーン14を収縮させて折り畳んだ状態とする。そして、ガイドワイヤを利用しつつカテーテル本体12を血管に挿し入れて、カテーテル本体12の先端部分に取り付けられたバルーン14を、狭窄した処置対象部分にまで至らせる。その後、調圧手段によってバルーン14に流体を送入して、血管内でバルーン14を膨らませることにより、バルーン14によって血管壁を押圧して、血管の狭窄部分を押し広げる。
その際、バルーン14に装着されたブレード30の刃先38が、狭窄部分において血管の内膜を、バルーン14が狭窄部分の血管壁を押圧する前に予め切り開くことにより、狭窄部分が硬化している場合にも、血管のバルーン14による拡張がスムーズに実現されるようになっている。
さらに、ブレード30は、バルーン14の形状変化による影響が小さい固着部34と延出部36において保持されており、バルーン14における形状変化の大きい部分には、刃部32が非接着で重ね合わされている。加えて、延出部36は、カバーシャフト46によって保持されており、基端部が自由端とされていることで長さ方向への変位を許容されている。これらによって、ブレード30は、バルーン14の形状変化に追従して変形するようになっており、ブレード30のバルーン14表面からの脱落が防止されている。しかも、ブレード30の先端側が溶着によって強固に固定されていると共に、基端側がカバーシャフト46で高い信頼性をもって保持されており、ブレード30がカテーテル本体12から外れることもない。
さらに、バルーン14を膨らませる際に、把持部48を手で掴んで保持することにより、ブレード30の脱落をより確実に防止することも可能とされている。なお、このように把持部48を手で保持する場合には、バルーン14の変形に伴うブレード30の変形が阻害されないようにすることが望ましく、バルーン14の変形に先んじてブレード30を積極的に先端側に繰り込んでも良い。
また、ブレード30は、断面形状が長さ方向で変化しており、切開用の刃先38が、実際に血管壁に押し当てられるバルーン14上の刃部32にのみ設けられている。これにより、延出部36等に設けられる不要なエッジによってカバーシャフト46等の他部材が傷付けられるのを防ぐことが出来る。
さらに、断面形状の違いによって、延出部36は、刃部32に比べて撓み変形し易くなっている。これにより、バルーン14の形状変化に対するブレード30の変形追従性が高められて、刃部32がバルーン14上で初期の配設状態に保持される。しかも、刃部32の長さ方向両側に設けられた固着部34及び延出部36によってバルーン14の変形に対するブレード30の追従性が確保されることから、刃部32には形状安定性に優れた剛性の高い構造を採用することが出来る。従って、刃部32が予期しない形状に変形することもなく、刃先38によって血管壁を安定して目的とする形状に切開することが出来る。
また、図8には、本発明の第二の実施形態としてのバルーンカテーテル50が示されている。このバルーンカテーテル50は、カテーテル本体52の先端部分にバルーン14を装着した構造を有している。なお、以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、同一の符号を付すことで説明を省略する。
より詳細には、カテーテル本体52は、外シャフト54を備えている。外シャフト54は、略円筒形状を有すると共に、その内腔を二分する隔壁56が周壁と一体形成されている。そして、外シャフト54の内腔において、隔壁56で分割された一方の側が、略円形のブレード用ルーメン58とされていると共に、隔壁56で分割された他方の側が、略横転三日月形の調圧用ルーメン60とされており、外シャフト54がダブルルーメン構造とされている。
ブレード用ルーメン58には、ブレード30の延出部36が挿通されている。また、ブレード30の刃部32は、外シャフト54の長さ方向中間部分において周壁を貫通するように設けられた図示しないポートから外部に延び出しており、刃部32がバルーン14の表面に重ね合わされて配設されている。
一方、調圧用ルーメン60は、その近位端が図示しない調圧装置に接続されていると共に、遠位端がバルーン14内の空間に連通されており、調圧用ルーメン60を通じて調圧装置によるバルーン14内の圧力調節が可能とされている。また、調圧用ルーメン60には、内シャフト62が挿入されている。内シャフト62は、略管状とされており、その内腔によってガイドワイヤ用ルーメン64が形成されて、図示しないガイドワイヤが挿通されるようになっている。なお、ガイドワイヤ用ルーメン64は、先端チップ22の中心腔を通じてカテーテル本体52の先端面に開口している。
このように、ブレード30は、カテーテル本体52に形成されたルーメンに挿通されていても良い。これによれば、カバーシャフト46が不要となることによって、カテーテル本体52を小径化することが出来て、カテーテル本体52の屈曲性の向上等が効果的に実現され得る。
また、ブレード30の延出部36が外シャフト54に内挿されることによって、カテーテル本体52の外周面に対して、ブレード30の配設による凸部が形成されるのを、防ぐことが出来る。
図9には、本発明の第三の実施形態として、ブレード70を備えたバルーンカテーテルの要部が示されている。ブレード70は、刃先38を有する刃部32と、刃部32から先端側に延び出す固着部34と、刃部32から基端側に延び出す延出部72とを、一体的に備えた構造とされている。そして、ブレード70は、固着部34がバルーン14を介して内シャフト18に固定されると共に、延出部72の基端部(近位側の端部)が、外シャフト20の外周面に重ね合わされて、溶着や接着等の手段によって外シャフト20に固着されることにより、シャフト18,20に固定されている。なお、延出部72に溶着チューブを外挿して、溶着チューブを溶融固着させることにより、延出部72が外シャフト20に固定されるようになっていても良い。
このように、ブレード70は、その基端部を構成する延出部72が、バルーン14を基端側に外れて延び出して、外シャフト20に固定されていても良い。これによれば、延出部72が外シャフト20に対して分離不能に保持されることから、ブレード70の脱落がより効果的に防止されて、施術時の安全性の向上が図られる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、ブレードにおける刃部,固着部,延出部(変形許容部及び保持部)の各断面形状や、ブレードを構成する各部の構成等は、前記実施形態の具体的な例示によって限定的に解釈されるものではない。即ち、ブレードとしては、例えば、円形断面の線材を加工して先端部分に刃先を設けることにより形成することも出来て、刃部が下面の湾曲した変形三角状断面とされると共に、固着部,延出部が全体に亘って略円形断面とされる。また、延出部の先端部分を径方向一方向に押し潰すことで変形許容部を形成することも出来る。このように線材からブレードを形成すれば、ブレードの製造が容易になって、量産性の向上やコストの低減が期待される。
また、前記実施形態では、刃部32と延出部36が同一の金属材料で一体形成されており、断面形状の違いによってそれらの曲げ剛性が異ならされていたが、刃部32と延出部36を異なる材料で形成して一体化した構造のブレードを採用しても良い。この場合には、断面形状の違いによる曲げ剛性の差がなくても、形成材料の違いによって曲げ剛性を異ならせることが可能である。
また、前記実施形態では、1つのブレードのみが配設された構造が例示されているが、ブレードを複数設けることも可能である。即ち、刃部がバルーン14の表面上で周方向に等間隔を為して長さ方向に延びるように、複数のブレードが配設されていても良い。この場合には、各ブレードの延出部が1つの把持部によって纏められていることによって、施術者が複数のブレードを一度に保持できるようになっていることが望ましい。
また、前記実施形態のブレード30は、固着部34と延出部36がカテーテル本体12によって保持されていたが、それら固着部34及び延出部36による保持に加えて、ブレード30の刃部32がバルーン14の表面に対して固着されていても良い。更に、刃部32がバルーン14に固着されている場合には、固着部34が省略されて、ブレード30の先端部がバルーン14を介してカテーテル本体12に保持された構造も採用され得る。
10,50:バルーンカテーテル、14:バルーン、18,54:内シャフト(シャフト)、20,62:外シャフト(シャフト)、30,70:ブレード、32:刃部、34:固着部、36,72:延出部、38:刃先、46:カバーシャフト、48:把持部、58:ブレード用ルーメン
Claims (8)
- シャフトの遠位端側に拡縮可能なバルーンが設けられていると共に、該バルーンの表面にブレードが配設されたバルーンカテーテルにおいて、
前記バルーンの表面に配設された刃部と該刃部から一体的に延び出して該バルーンを基端側に外れて配設保持された延出部とを含んで前記ブレードが設けられており、
それら刃部と延出部とが互いに異なる断面形状とされて、該刃部にだけ外方に突出する刃先が形成されていることを特徴とするバルーンカテーテル。 - 前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに固定されている請求項1に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに対する長さ方向への変位を許容されている請求項1に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの前記延出部が前記シャフトに形成されたブレード用ルーメンに挿通されている請求項1〜3の何れか1項に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの前記延出部が、前記シャフトの外周面に沿って配設されていると共に、該シャフトに外挿されたカバーシャフトによって覆われている請求項1〜3の何れか1項に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの前記延出部が前記シャフトの近位端まで延び出している請求項1〜5の何れか1項に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの前記延出部に把持部が設けられている請求項6に記載のバルーンカテーテル。
- 前記ブレードの素材が超弾性金属とされている請求項1〜7の何れか1項に記載のバルーンカテーテル。
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