以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳述する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、本発明は、図示例に限定されるものではない。
図1は本発明に係る実施形態1におけるセグメント番号#0に含まれるAC信号を用いて伝送された地震動警報情報を受信するデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
また、図2に本発明のデジタル放送受信装置が受信するデジタル放送を送信するデジタル放送送信装置の一実施例のブロック図を示す。
本デジタル放送方式では、複数のMPEG−2トランスポートストリーム(MPEG-2 Transport Stream、以下、TSとする)を再多重により一つのTSとし、伝送路符号化処理を施した後、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)により複数のサブキャリアからなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)送信信号に一括して変換し、放送波として送信する。
ここで、本デジタル放送方式におけるOFDM送信信号は、伝送帯域幅6MHzを14等分したOFDMセグメントを13個連結した構成となっており、OFDMセグメントを単位として最大3階層までの階層伝送が可能となっている。また、OFDM送信信号の13セグメントの内、中央のセグメント(セグメント番号#0)は、携帯電話などの移動受信機での受信を想定した部分受信階層として設定できる。図31にセグメント構造を示す。なお、OFDM送信信号の13セグメント全てを受信可能な受信機を13セグメント受信機、OFDM送信信号の中央の1セグメントを受信可能な受信機をワンセグメント受信機と呼ぶ。
本デジタル放送方式では、システム識別、伝送パラメータ切替指標、緊急警報放送用起動フラグ、各階層の伝送パラメータなど、受信機の復調動作を円滑に行なうための制御情報を伝送するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と、変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送するための拡張用信号であるAC(Auxiliary Channel)信号が付加されたフレーム構成となっている。このフレーム構成を図32に示す。図32において、OFDMサブキャリアとして付加されるTMCC信号とAC信号のキャリア位置及びキャリア本数は、伝送パラメータによって異なる。詳細は後述する。
ここで、TMCCによって伝送される緊急警報放送用起動フラグにより起動される緊急警報放送(EWS:Emergency Warning System)とは、地震発生による津波警報などが発令された場合に、視聴者に緊急情報をより早く知らせるために利用されているものである。緊急警報放送を運用する場合、放送局がTMCC信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグを「ON」として、緊急警報放送と認識できるコンテンツで放送を実施する。
更に高度化された緊急情報を伝送するシステムとして、気象庁が発表する緊急地震速報(EEW:Earthquake Early Warning)がある。緊急地震速報とは、地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた初期微動(いわゆるP波)と主要動(いわゆるS波)を解析して震源や地震の規模を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の震度を推定し、可能な限り素早く知らせる情報である。また、緊急地震速報では、強い揺れが到着する前に知らせることで、視聴者に対して周囲の状況に応じて慌てずに身の安全を確保することを目的としている。この緊急地震速報をセグメント番号#0に含まれるAC信号を用いて伝送する。
なお、一般には緊急地震速報という名称が用いられるが、省令告示では地震動警報情報という名称が使われており、今後は「地震動警報情報」を用いる。
地震動警報情報とは、気象業務法(昭和27年法律第165号)第13条第1項の規定により行われる地震動警報に関する情報のことである。
図2を用いて、本デジタル放送方式を実現するデジタル伝送送信装置の動作を説明する。
201は情報源符号化部、202はMPEG2多重化部、203はTS再多重部、204はRS(リード・ソロモン)符号化部、205は階層分割部である。206は並列処理部であり、a、b、cの3系統ある。207は階層合成部、208は時間インタリーブ部、209は周波数インターリーブ部、210はOFDMフレーム構成部、211は逆高速フーリエ変換(以下、IFFT)部、212はガードインターバル付加部、213は送信部、214はパイロット信号構成部、215はTMCC信号構成部、216はAC信号構成部である。
本デジタル放送方式は、MPEG2 Systemsで規定されるトランスポートストリーム(TS)を1つ若しくは複数の入力を再多重により1つのTSとし、サービス意図に応じて複数の伝送路符号化を施した後、最終的に1つのOFDM信号として送信する。テレビジョン放送の送信スペクトルは、テレビジョン放送のチャンネル帯域幅を14等分したOFDMブロック(以下OFDMセグメントと呼ぶ)を13個連ねて構成される。OFDMセグメントのキャリア構成を複数セグメントの連結が可能なように構造化することにより、メディアに適した伝送帯域幅をセグメント幅単位で実現できる。伝送路符号化はOFDMセグメントを単位に行われるので、1テレビジョンチャンネルの中で一部を固定受信サービス、残りを移動体受信サービスとすることができる。このような伝送を階層伝送と定義する。各階層は、1つまたは複数のOFDMセグメントにより構成され、階層ごとにキャリア変調方式、内符号の符号化率、および時間インターリーブ長等のパラメータを設定することができる。なお、可能な階層数は最大3レベルまでであり、部分受信についても1つの階層として数える。各階層のセグメント数や伝送路符号化パラメータは編成情報に従って決められ、また、受信機の動作を補助する制御情報としてTMCC信号によって伝送される。13セグメントで構成されるテレビジョン放送信号の中央部のOFDMセグメントについては、そのセグメント内のみの周波数インターリーブを行う伝送路符号化が可能である。これにより、テレビジョンサービスの一部を部分的に受信することができる。
SFNの置局間距離への適合性、或いは、移動受信におけるドップラーシフトへの耐性を考慮し、本デジタル放送方式は3つの異なるOFDMキャリア間隔を備えている。これらはシステムのモードとして識別される。キャリア間隔は、モード1では約4kHz、モード2では約2kHz、モード3では約1kHz である。モードに応じてキャリア数は異なるが、どのモードにおいても伝送可能な情報ビットレートは同じである。
情報源符号化部201で映像信号、音声信号、データがそれぞれ符号化され、MPEG2多重化部202で一つのTSが生成される。複数のMPEG2多重化部から出力された複数のTSは、データセグメント単位の信号処理に適した配置とするためTS再多重部203に入力される。TS再多重部203において、IFFTサンプルクロックの4倍のクロックにより188バイト単位のバースト信号形式に変換され、RS符号化部204でリード・ソロモン外符号が付加されると共に単一のTSに変換される。その後、階層伝送を行う場合には、階層情報の指定に沿って階層分割部205で階層分割され、最大3系統の並列処理部206a、b、cに入力される。並列処理部206a、b、cにおいては、それぞれ、主として誤り訂正符号化、インターリーブ等のデジタルデータ処理、キャリア変調が施される。また、バイトインターリーブとビットインターリーブの時間軸操作で生じる階層間の遅延時間差に対して予め遅延補正を行い、タイミング調整を図っている。誤り訂正、インターリーブ長、キャリア変調方式はそれぞれの階層で独立に設定される。並列処理部206a、b、cでの並列処理の後、階層合成部207で階層合成された信号は、移動受信における電界変動やマルチパス妨害に対して、誤り訂正符号化の能力を有効に発揮させるため時間インターリーブ部208及び周波数インターリーブ部209に入力される。時間インターリーブの方式は、送受あわせた遅延時間を短縮し受信機のメモリー容量を抑えるため畳み込みインターリーブである。また、周波数インターリーブ部は、セグメント構造を確保しつつ、十分なインターリーブ効果が発揮できるよう、セグメント間とセグメント内のインターリーブを組み合わせて構成されている。
複数の伝送パラメータが混在する階層伝送に対して、受信機の復調・復号を補助するため、制御情報としてTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号が特定のキャリアを用いて伝送される。また、放送に関する付加情報を伝送するため、特定のキャリアに割り当てられたAC(Auxiliary Channel)信号が用いられる。
OFDMフレーム構成部210では、周波数インターリーブ部209からの情報データ、パイロット信号構成部214からの同期再生用パイロット信号、TMCC構成部215からのTMCC信号、および、AC信号構成部216からのAC信号によりOFDMフレームが構成される。このフレーム構成を図32に示す。Si,jはインターリーブ後のデータセグメント内のキャリアシンボルを表す。SP(Scattered Pilot)は受信機が準同期検波を行なうための基準パイロットシンボルである。図32に示すとおり、キャリア方向に12キャリアに1回、シンボル方向に4シンボルに1回挿入される。受信側でSPをシンボル方向に補間すれば、3(12/4)キャリア間隔のSPを得ることができる。ガードインターバル長の最大値が有効シンボル長の1/4であることから、3キャリア間隔のSPによる補間処理(伝送路特性推定)により、シンボル間干渉を生じない最大遅延時間までのマルチパスに対応することが可能である。なお、ガードインターバル比が1/4の場合、原理的には4キャリア間隔のSPであればよいが、補間フィルタの特性などを考慮し、シンボル方向には4シンボルに1回挿入されている。
図32の例はモード1であるが、モード1のキャリア番号は0から107なのに対して、モード2、モード3 ではそれぞれ、0から215、0から431である。
AC信号は図32に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。また、AC信号は各セグメントごとに、モード1では2本、モード2では4本、モード3では8本、配置される。
TMCC信号は図32に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。また、TMCC信号は各セグメントごとに、モード1では1本、モード2では2本、モード3では4本、配置される。
フレーム構成を終えた全信号はIFFT部211のIFFT演算によりOFDM信号に変換され、ガードインターバル付加部212でガードインターバルが付加されOFDM送信信号に変換され、送信部213で決められた周波数のデジタル放送信号に変換される。
次に、図1を用いて、図2のデジタル放送送信装置によって伝送される送信信号を受信するデジタル放送受信装置の動作を説明する。
101はアンテナ、102は選局部、103は直交復調部、104は高速フーリエ変換(以下、FFT)部、105はFFT部104以降TS出力までの本デジタル放送方式の復調・復号動作を行う復調復号部、106はデスクランブル部、107はデマックス部、108は圧縮された放送映像信号、圧縮された放送音声信号のデコード部、114、115は切替部、109は切替部114を介してデコードされた放送映像信号の表示を行う映像出力部、110は切替部115を介してデコードされた放送音声信号の出力を行う音声出力部であり、これらが放送映像信号、放送音声信号を再生する主流のブロックである。また、111は同期再生部、112はフレーム抽出部、113はTMCC復号部であり、復調復号部105の動作を行うための同期信号再生や、伝送パラメータなどの情報入手を行う。選局部102からTMCC復号部113、切替部114、115で放送受信部119が構成される。
一方、116はAC復号部、117は判別部であり、これらで地震動警報情報受信部120が構成される。
切替部114、115は、それぞれデコード部108と判別部117の映像信号、音声信号の切替えを行なう。
118は制御部であり、放送受信部119や地震動警報情報受信部120の動作制御や電力制御を行う。
制御部118、放送受信部119、地震動警報情報受信部120でデジタル放送受信装置121が構成される。
以下、詳細に動作を説明する。アンテナ101で受信されたデジタル放送から選局部102で受信すべきチャネル周波数帯域が抽出、UHFテレビ放送チャンネルが指定され、直交復調部103でチャンネル選択された信号が直交復調されベースバンド信号とされ、FFT部104で周波数軸処理に変換され、OFDMシンボルのうち、有効シンボルに相当する期間についてFFTが実施される。その際、受信信号のマルチパスの状況が考慮され、適切な期間でFFT処理が実施される。これを受け、復調復号部105では周波数軸上の各キャリアに対して復調処理が行われ(例えば、QPSK、16QAM、64QAM用にスキャッタードパイロット(SP:図32参照)を用いた同期復調を行い、振幅、及び位相情報を検出する)、周波数軸及び時間軸のデインターリーブ、デマッピングされ、各階層に分割されビットデインターリーブ、デパンクチャ、バイトデインターリーブ、エネルギー逆拡散が行われ、ビタビ復号やRS(リード・ソロモン)復号などの誤り訂正が施されてデジタル放送信号が復調され、例えば、MPEG2システムズに規定されるトランスポートストリーム(以下、TSと略す)信号がデスクランブル部106に出力される。デスクランブル部106では著作権保護のためにスクランブルのかけられているTS信号のスクランブルが解除されデマックス部107に出力される。デマックス部107では希望された圧縮された放送映像信号や圧縮された放送音声信号のデジタル信号が抽出されデコード部108に出力される。デコード部108では圧縮された放送映像信号や圧縮された放送音声信号が復号され、復号された放送映像信号は切替部114を介して映像出力部109に、復号された放送音声信号は切替部115を介して音声出力部110に出力される。
一方、同期再生部111では直交復調部103からのベースバンド信号を受け、モード、ガードインターバル長に応じてOFDMシンボル同期信号及びFFTサンプル周波数が再生される。モード、ガードインターバル長が未知の場合には、OFDM信号のガード期間の相関性等により判別することもできる。さらにFFT部104の出力信号からTMCC信号の周波数位置が検出される。フレーム抽出部112では検出された周波数位置のTMCC信号が復調されるとともにTMCC信号からフレーム同期信号が抽出される。フレーム同期信号は同期再生部111に出力され、シンボル同期信号との位相調整が行われる。TMCC復号部113では復調されたTMCC信号に差集合巡回符号の誤り訂正が施され、階層構造、伝送パラメータなどTMCC情報が抽出される。このTMCC情報は復調復号部105に出力され、復調復号処理の各種制御情報として利用される。
地震動警報情報受信部120はAC復号部116と判別部117で構成される。AC復号部116ではFFT出力のセグメントNo.0のAC信号のうち構成識別が地震動警報情報の伝送であることを示すとき(「001」、「110」:後述する)、地震動警報情報を抽出する。構成識別がそれ以外である場合には、AC信号を復号しない。抽出された地震動警報情報は判別部117で情報を判別され、地震動警報を発令すべき時に、その情報を映像信号や音声信号に変換し、映像信号は切替部114を介して映像出力部109に、音声信号は切替部115を介して音声出力部110に出力される。
制御部118は、TMCC復号部113からの緊急警報放送用起動フラグ情報や、地震動警報情報受信部120からの地震動警報情報が入力され、地震動警報を発令すべき時に、切替部114及び115を制御し、地震動警報の映像信号を映像出力部109に、地震動警報の音声信号を音声出力部110に出力させる。
次に、図3から図12を用い、AC信号構成部216で構成され、地震動警報情報受信部120で受信する地震動警報情報の構成を説明する。
AC信号とは放送に関する付加情報信号をいう。放送に関する付加情報とは変調波の伝送制御に関する付加情報、または地震動警報情報をいう。地震動警報情報は、セグメントNo.0のACキャリアを用いて伝送する。AC信号は図32に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。
図3はセグメントNo.0に配置されるAC信号の204ビットB0〜B203のビット割当てを示したものである。
B0の1ビットは差動復調の基準とする。B1〜B3の3ビットは構成識別とし、付加情報であるか、地震動警報情報であるか区別する。B4〜B203の200ビットによって、付加情報または地震動警報情報を送出する。なお、地震動警報情報を送出する際は、セグメントNO.0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報を送出する。セグメントNo.0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報とすることにより、異なるACキャリアで伝送された地震動警報情報を受信機側でアナログ加算できるので、より小さなCN比でも受信可能となる。
図4はB0の差動復調の基準を示したものである。ACキャリアの変調方式はDBPSKとし、差動復調の振幅及び位相基準は図4のWiで与えられる。
図5は地震動警報情報をセグメントNO.0のAC信号で伝送する場合のビット割当てを示したものである。
構成識別を000,010,011,100,101,111とした場合は、ACは従来通り、放送事業者向けの利用とし、変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送する。
構成識別を001,110とした場合は、地震動警報情報を送出する。
地震動警報情報の伝送を表す‘001’と‘110’は、TMCCの同期信号の先頭3ビット(B1〜B3)と同一の符号とし、TMCC信号と同一のタイミングでフレームごとに交互に送出する。
B4〜B16の13ビットは同期信号とする。
地震動警報情報の場合、構成識別と同期信号を連結した符号は、TMCCの同期信号と同一符号とし、16ビットのワードで構成する。同期信号はw0=0011010111101110とそれをビット反転したw1=1100101000010001の2種類とする。TMCC同期信号(B1〜B16)と同じビットを割当て、同じタイミングでフレーム毎にw0とw1を交互に送出しTMCCと同じ符号を送出する。TMCCとAC信号とでアナログ加算を行うことが出来るので、受信機におけるフレーム同期の受信感度を向上できる。
B17〜B18の2ビットは地震動警報情報の開始/終了フラグとする。
図6は地震動警報情報の開始/終了フラグの意味を示したものである。
地震動警報情報が発報されたときに、受信機を自動起動し、かつ、AC信号で地震動警報情報を送出していることを示すため、地震動警報情報の開始/終了フラグとして2ビットを割り当てる。
AC信号は、伝送される情報が無い場合、全てのビットが‘1’で変調されるため、地震動警報詳細情報又はその試験信号を表す場合の開始/終了フラグを‘00’とする。また、開始/終了フラグの信頼性を向上するため、開始/終了フラグに2ビットを使用して符号間距離が最大となる反転信号とする。また、開始/終了フラグの信頼性を確保するために‘10’、‘01’は使用しない。
地震動警報情報の送出を開始するときは、開始/終了フラグを‘11’から‘00’に変更する。また、地震動警報情報の送出を終了するときは、開始/終了フラグを‘00’から‘11’に変更する。開始/終了フラグは受信機の起動信号として使用することができる。
B19〜B20の2ビットは更新フラグとする。
図7は地震動警報情報更新フラグの意味を示したものである。
地震動警報情報の開始/終了フラグの値が‘00’の状態で継続中に、信号識別(B21〜B23)または図10(後述)に示す地震動情報(B56〜B111)の内容が更新された場合は、図7、8に示すように更新フラグの値を1ずつインクリメントし、受信機に信号識別または地震動情報が更新されたことを通知する。
更新フラグは、開始/終了フラグが‘00’の場合に伝送される一連の地震動警報詳細情報の内容に変更が生じるごとに1ずつ増加するものとし、‘00’を開始値とし、‘11’の次は‘00’に戻るものとする。開始/終了フラグが‘11’の場合は更新フラグを‘11’とする。
更新フラグの送出例を図8に示す。第1報、第2報…は図9(後述)に示す信号識別又は図10(後述)に示す地震動情報の内容が変化している状態を示している。図10(後述)に示す現在時刻又はページ種別が変化しても更新フラグの値は変更しない。
B21〜B23の3ビットは信号識別とする。
図9は信号識別の意味を示す。
地震動警報情報の信号識別は、地震動警報詳細情報の種別を識別するために使用する信号である。開始/終了フラグが‘00’の場合は、信号識別‘000’/‘001’/‘010’/‘011’を送出し、開始/終了フラグが‘11’の場合は、信号識別‘111’を送出する。また、地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり/なし)と地震動警報詳細情報(該当地域あり/なし)は、同時には送出しない。
信号識別‘100’/‘101’/‘110’は将来の拡張用とし、すべて‘1’とする。
図12(後述)に示すように地震動情報総数は最大2つまで送出することができるが、試験信号と本信号は同時には送出しないこととする。また、信号識別が該当地域ありと該当地域なしの地震動情報を同時に送出する場合は、いずれの情報も該当地域ありの地震動情報として送出することで、少なくとも1つの地震動情報は該当地域ありであることを受信機に速やかに知らせることができる。
B24〜B111の88ビットは地震動警報詳細情報とする。
図10にその詳細を示す。地震動警報詳細情報のビット割り当ては,信号識別毎に規定する。
まず、信号識別が‘000’/‘001’/‘010’/‘011’の場合の地震動警報詳細情報について示す。
現在時刻は、別途定める基準年月日時分秒からの経過秒数を二進数表記とし、下位31ビットをMSBファーストで割り当てる。地震動警報情報を伝送する場合に、TOT(Time Offset Table)や通信回線等による時刻合わせを有する自動起動に対応した受信機では、受信機の時刻と送出された時刻情報を照合することで、
受信した地震動警報情報の信頼性を確認することが出来る。
地震動情報は、ページ種別の符号によって、伝送する情報の割当てが異なる。受信機ではページ種別を確認することにより、どちらの情報が伝送されているかを知ることができる。ページ種別が゛0’の場合は、図11(後述)に示すように地震動警報の対象地域を示す情報を伝送する。ページ種別が‘1’の場合は、図12に示すように地震動警報の震源に関する情報を伝送する。但し、ページ種別‘0’と’1’の両方の地震動情報を伝送するとは限らない。
地震動情報を送出しない場合は、ページ種別を‘0’とし、地震動情報はすべて‘1’とする。
次に、信号識別が‘111’の場合の地震動警報詳細情報について示す。
放送事業者識別11 ビットは、全国の放送事業者にユニークに割り付ける。AC信号のみで放送事業者を識別することができる。
開始/終了フラグが‘11’の場合、信号識別‘111’を送出する。
図11にページ種別が‘0’の場合の地震動情報を示す。ページ種別が‘0’の場合は、地震動警報の対象地域を示す情報とし、図11は対象地域のビット割当てを示す。地震動警報の対象地域を含む地域に割り当てられるビットは‘0’、地震動警報の対象地域を含まない地域に割り当てられるビットは‘1’とする。なお、地震動情報を送出しない場合は、すべて‘1’とする。
複数の地震動警報が同時に発生している場合(最大総数2)、ページ種別‘0‘の地震動情報(地域情報)は、1つ目と2つ目をそれぞれ送出する場合があり、この場合、地震動警報情報(地域情報)の送出が1つ目から2つ目、もしくは2つ目から1つ目に変わる際に更新フラグは更新しない。
図12にページ種別が‘1’の場合の地震動情報を示す。
「地震動警報識別」は、複数の地震動警報が発生した場合に、地震動警報情報を識別するために9ビットを割り当てる。複数の地震動警報情報を区別するために、時刻(秒単位)を元に決定するものとした場合、9ビットの地震動警報識別で過去8分32秒間の地震動警報情報を識別することが可能となる。B24〜B54の現在時刻とB101〜B110の発生時刻を比較することにより、地震動の発生からの経過秒数を知ることができる。
B57の地震動情報識別は、伝送されている地震動情報が1情報目の場合は‘0’、2情報目の場合は‘1’とする。
発生時刻は、B24〜B54で示される現在時刻と同じ基準年月日時分秒を基準とし、基準時刻からの経過秒数を二進数表記にして、下位10ビットをMSBファーストで割り当てる。
B112〜B121の10ビットは、CRC−10とする。
地震動警報詳細情報に関する情報は重要な情報であり高い信頼性が要求されることから、下記パリティビットを用いた誤り訂正符号による復号後、CRCによる誤り検出を可能とする。
B122〜B203の82ビットには、TMCCの誤り訂正符号と同様に、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(187,105)を用い生成されたパリティビットを設定する。
地震動警報情報は重要な情報であり、高い信頼性が要求されることから、TMCCと同様に差集合巡回符号を用いた誤り訂正符号で保護する。構成識別B1〜B3及び同期信号B4〜B16は誤り訂正の対象外とする。B17〜B121の情報は、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(187,105)で誤り訂正符号化する。
以上、図3から図12で説明した地震動警報情報の運用方法を図5を用い簡単に説明する。
地震動警報情報をセグメントNO.0のACキャリアで伝送している場合は構成識別を図5に示す値に設定する。地震が起こり地震動警報を発報するときには、開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報あり:‘00’"とし、同時に更新フラグ、信号識別、地震動警報詳細情報、パリティビットを設定する。地震動警報終了時に開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報なし:‘11’"とする。
次に、図13から図16を用い、TMCC信号構成部215で構成され、TMCC復号部113で復号するTMCC信号の構成を説明する。
図13はTMCCの信号構成(TMCCキャリアのビット割り当て)を示す。TMCC信号は、階層構成や各OFDMセグメントの伝送パラメータ等、受信機の復調動作に関わる情報を伝送するものである。
差動復調の振幅及び位相基準は、図4のWiで与えられる。
同期信号は、16ビットのワードで構成される。同期信号には、w0=0011010111101110とそれをビット反転したw1=1100101000010001の2種類あり、フレーム毎にw0とw1が交互に送出される。同期信号は、TMCC信号の同期及びOFDMのフレーム同期を確立するために用いられる。TMCC情報のビットパターンが同期信号に一致して生じる疑似同期引き込み現象を防ぐために、フレーム毎に同期信号の極性反転が行われる。TMCC情報はフレーム毎に反転することはないので、フレーム毎の反転により疑似同期引き込みを避けることができる。
セグメント形式識別は、そのセグメントが差動変調部であるか同期変調部であるかを識別するための信号である。3 ビットのワードで構成され、差動変調部の場合には‘111’、同期変調部の場合には‘000’が割り当てられる。TMCCキャリア数はセグメント形式によって異なり、部分受信セグメントが同期変調部に属する場合、1本のみとなる。この場合でも確実な復号が可能なように、識別信号に3ビットを割り当て、符号間距離が最大となる反転信号としている。
TMCC情報は、システム識別、伝送パラメータ切り替え指標、緊急警報放送用起動フラグ、カレント情報、ネクスト情報など、受信機の復調と復号動作を補助する情報である。
システム識別用の信号に2ビット割り当てる。地上デジタルテレビジョン放送方式によるシステムに‘00’、伝送方式が共通な地上デジタル音声放送方式に‘01’をそれぞれ設定する。残りの値はリザーブとする。
カレント情報は現在の階層構成及び伝送パラメータを示し、ネクスト情報には切り替え後の伝送パラメータを示している。
伝送パラメータを切り替える場合には、伝送パラメータ切り替え指標をカウントダウンすることにより、受信機に切り替えを通知しタイミングが取られる。この指標は、通常、‘1111’の値を取るが、伝送パラメータを切り替える場合には、切り替える15フレーム前からフレーム毎に1ずつ減算する。なお、‘0000’の次は、‘1111’に戻るものとする。切り替えタイミングは、‘0000’を送出する次のフレーム同期とする。すなわち、新たな伝送パラメータは、‘1111’に戻ったフレームから適用する。ネクスト情報は、切り替えカウントダウン前において任意の時刻に設定、或いは変更ができるが、カウントダウン中は変更できない。
TMCC情報のビット割り当てを図14に示す。また、カレント・ネクスト情報に含まれる伝送パラメータ情報を図15に示す。伝送パラメータ情報において未使用の階層、又はネクスト情報が存在しない場合はそれらのビットを‘1’とする。
図14のカレント情報並びにネクスト情報に含まれる伝送パラメータ及びフラグ(部分受信フラグ、キャリア変調方式、畳み込み符号化率、インターリーブ長、セグメント数)のいずれか一つ以上を切り替える場合には、伝送パラメータ切り替え指標をカウントダウンする。緊急警報放送用起動フラグのみを切り替える場合には、伝送パラメータ切り替え指標のカウントダウンは行わない。
緊急警報放送用起動フラグの割り当てを図16に示す。緊急警報放送において、受信機への起動制御が行われている場合には起動フラグを‘1’とし、起動制御が行われていない場合には起動フラグを‘0’とする。
部分受信フラグは、伝送帯域中央のセグメントが部分受信用に設定される場合には‘1’に、そうでない場合には‘0’に設定される。部分受信用にセグメントNo.0 が設定される場合、その階層は、図14中のA 階層として規定される。なお、ネクスト情報が存在しない場合、フラグは‘1’に設定される。
連結送信位相補正量は、伝送方式が共通な地上デジタル音声放送方式で使用される制御情報である。102ビットあるTMCC情報のうち、現在90ビットが定義されているが、残りの12ビットは将来の拡張用としてリザーブする。運用上、このリザーブビットには、すべて‘1‘をスタッフィングする。
TMCC情報B20〜B121は、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(184,102)で誤り訂正符号化される。TMCC情報は、伝送パラメータの指定や受信機の制御を行うため、データ信号より高い伝送信頼性が必要である。受信機で連接符号の復号回路を共用することが難しいこと、また、処理遅延の観点からブロック符号が有利なことを考慮し、TMCCの誤り訂正符号は差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(184,102)である。また、TMCC信号は複数のキャリアで伝送されるため、信号をアナログ加算することにより所要C/Nを下げ、受信性能を向上させることが可能である。これらの誤り訂正技術と加算処理により、TMCC信号はデータ信号より小さなC/Nで受信可能となる。なお、同期信号とセグメント形式識別の情報を誤り訂正の対象から外し、複数のTMCCキャリアの全ビットを同一にして、パリティビットを含めたビット毎の多数決を可能にしている。
緊急警報放送(以下、EWSと示す)の運用について説明する。
EWSの開始、終了に当たっては以下の手順に従う。
(開始時)
(1) EWS の条件(start_end_flag、 第1 種/第2 種種別、および地域符号)を設定した緊急情報記述子をPMTにて送出する。
(2) 放送事業者はTMCCの緊急警報放送用起動フラグを‘1’として送出する。
(3) 緊急警報放送と認識できるコンテンツで放送を開始する。
(終了時)
(1) 緊急警報放送用起動フラグを‘0’として送出する。
(2) PMTから緊急情報記述子を削除する。
(TMCC緊急警報放送用起動フラグの扱い)
送出側ではEWSを行うサービスは送出階層によらず、TS(network)内のいずれかのサービスで緊急警報放送が行われている期間は、TMCC緊急警報放送用起動フラグは常時‘1’とする。自動起動に対応した受信機はTMCC緊急警報放送用起動フラグを周期的に監視する。
(緊急情報記述子の多重位置)
緊急情報記述子は、当該緊急警報放送を行うサービスのPMTの記述子領域1に記載される。EWS対応受信機に対して緊急警報放送が実施中であることを明示するため、緊急警報放送サービスそのもののPMTには必ず当該記述子を記載するものとする。それ以外のサービスのPMTに緊急情報記述子を記載するかは各放送事業者の判断とする。ただし、異なる階層のサービスを記載した場合は受信機で無視される可能性がある。
(緊急情報記述子の記載事項変更)
緊急警報放送実施中に緊急情報記述子に記載の内容(地域符号など)を変更する必要が生じた場合は、EWS終了の手順(TMCCの緊急警報用起動フラグを‘0’とし、PMTから緊急情報記述子を削除)を実施した後、変更した緊急情報記述子をPMTに挿入後、再度TMCCの緊急警報用起動フラグを‘1’とする。若しくは、TMCCの緊急警報放送用起動フラグを‘0’にしてPMT上に緊急情報記述子を配置したまま記載事項を変更したのち、同フラグを‘1’にすることもできる。いずれの場合にも、緊急警報用起動フラグを‘0’にしてから‘1’にするまでの期間は、1秒以上かつ4 OFDM Frame 以上とする。また、受信機は緊急警報用起動フラグが‘0’となってから90秒間EWSの処理を継続するため、EWSを終了せずに対象地域の変更などを行う場合には、事業者は90秒以内に緊急警報用起動フラグを‘1’とする必要がある。
(EWS受信)
固定受信機については、以下(1)〜(4)の動作を行うこと。
(1) TMCCの緊急警報放送用起動フラグが‘0’から‘1’になった後、受信TSのPMTにある記述子領域1の緊急情報記述子を監視する。
(2) 緊急情報記述子のstart_end_flag=1でarea_codeが受信機に設定されている地域符号に該当していれば緊急情報記述子に記述されているサービスを選局し受信する。
(3) TMCCの緊急警報放送用起動フラグが‘1’の期間PMTの監視を継続する。
(4) TMCCの緊急警報放送用起動フラグが0 になった時点もしくは、PMTの緊急情報記述子が削除された時点で緊急警報放送の終了とする。ただし、「緊急情報記述子の記載事項変更」の運用により、緊急警報放送が再開される可能性があるので、緊急警報放送終了時から最低90秒間はEWSの受信処理を継続してから終了し、起動前の状態に戻る(EWS受信のサービスはラストメモリしない)。また、EWS受信中にサービスが切り替えられた場合、EWS受信処理は終了するが、TMCCの緊急警報放送用起動フラグが‘0’から‘1’になった場合は、EWS受信処理を開始する。
- 緊急情報記述子のstart_end_flag=0 の場合は、テスト放送であるため処理しないこと。
- 電源オフ(スタンバイ)時にTMCCが受信できない受信機の場合には、電源オン後TMCCの緊急警報放送用起動フラグが‘1‘の場合も受信TSのPMTにある記述子領域1の緊急情報記述子を監視し、EWS受信処理を開始する。
- 電源オフ(スタンバイ)時にTMCCが受信可能な受信機の場合には、電源オフ(スタンバイ)時にも、上記のEWSの受信処理を行う。
- EWS受信処理中に該当するPMTがなくなった場合は、緊急警報放送受信処理を終了してかまわない。
携帯受信機については、受信機に設定されている地域符号と実際の所在地が異なる場合が考えられるため、上記固定受信機動作(2)にてarea_codeにかかわらず起動動作を行うこと。ただし、他の手段により受信地域が特定できる場合はこの限りでない。その他は上記固定受信機動作と同様の動作を原則とするが、EWS受信処理の代替手段として携帯受信機を点滅させるなど、視聴者への警告動作を行うことも有効である。
図17に、以上の緊急情報記述子変更と受信機動作について示す。
(緊急警報放送試験信号運用)
緊急警報放送の試験放送では、はじめから、緊急情報記述子のstart_end_flag 値を終了信号側‘0’として運用を行う。試験放送期間は、当該記述子をPMTに記載しつづけるものとする。また試験放送の終了は、TMCC緊急警報放送用起動フラグが‘0’になるのに合わせてPMTから緊急情報記述子を削除する。
図3から図12で説明した地震動警報情報を受信する動作を図1を用い説明する。
図1のAC復号部116において、セグメントNO.0内のACキャリアが抽出復調されるとともに図5で示した構成識別で地震動警報情報の送出が確認され、更に同期が確立される。このとき、セグメントNO.0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報が送出されているため、セグメントNO.0内のACキャリア全てをアナログ加算することで、低雑音化でも地震動警報情報の復調が可能になる。例えばN本のACキャリアがあったとすれば地震動警報情報の振幅がN倍になるのに対して雑音はそれぞれのACキャリアにおいて無相関であるためN倍にならない(電力でいえば、地震動警報情報はNの2乗倍に対し雑音はN倍にしかならない)。
また、AC復号部116において、図5で示した構成識別部分を調べてACに地震動警報情報が送出されていることの確認ができたときには、図5で説明したように、構成識別と同期信号を連結した符号はTMCCの同期信号と同一となっているので、構成識別と同期信号を連結した符号とTMCCの同期信号とをアナログ加算することで、上記した理由により、TMCCだけで再生するよりも低雑音化での同期信号を再生することができる。
さらにまた、AC復号部116において図5で示した構成識別部分を調べる方法として、TMCCの同期信号の先頭から3ビット部分と、セグメントNO.0内のACキャリアの図5で示した構成識別部分の相関をとることにより、3ビット全てに相関がある場合にACに地震動警報情報が送出されていると判断することが可能である。
地震動警報情報受信部120で地震動警報情報を受信しようとしているときには、選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112、AC復号部116は常に動作している。選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112の動作は地震動警報情報を受信しようとしているときにはセグメントNO.0、すなわちワンセグ部分のみ処理を行う。これにより、本デジタル放送の13セグメント全帯域を処理するよりも低消費電力動作とすることができる。
また、地震動警報情報受信部120で地震動警報情報を受信しようとしているときには、制御部118は常に動作している。
AC復号部116でセグメントNO.0内のACキャリアが抽出復調され、図5に示す地震動警報情報開始/終了フラグが図6に示す意味で監視されており、初期段階、すなわち地震動警報情報が発報されていない段階では"地震動警報情報なし"から"地震動警報情報あり"と切替わる状態が監視されている。
判別部117は、初期段階、すなわち地震動警報情報が発報されていない段階(地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報情報なし")では停止状態にある。
また、地震動警報情報が発報されていない段階では、復調復号部105、デスクランブル部106、デマックス部107、デコード部108と、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110は停止状態となっている。
TMCC復号部113は、緊急警報放送を受信しようとしているときには常に動作しており、図16で示した緊急警報放送用起動フラグを監視している。
なお、このとき、選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112は常に動作している。選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112の動作は緊急警報放送を受信しようとしているときにはセグメントNO.0、すなわちワンセグ部分のみの処理を行うのみでよい。これにより、本デジタル放送の13セグメント全帯域を処理するよりも低消費電力動作とすることができる。
”起動制御あり”の場合の動作は図13から図17で説明したとおりである。
地震が起こり地震動警報情報が発報されたとき、すなわち、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった場合には、AC復号部116では"地震動警報詳細情報なし"から"地震動警報詳細情報あり"と切替わる状態が検出され、制御部118に"地震動警報詳細情報あり"、すなわち地震動警報情報が発報された情報が伝えられる。制御部118は、判別部117を通常状態に、放送受信部119をスタンバイ状態にさせる制御信号を送る。AC復号部116は、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった時点での抽出確定された図5に示す地震動警報情報開始/終了フラグ、地震動警報情報更新フラグ、識別信号、地震動警報情報詳細、CRC−10、パリティビットのデータを判別部117に出力する。
通常状態となった判別部117では、AC復号部116からのデータを受け差集合巡回符号の短縮符号の誤り訂正が行われ、CRC−10誤り検出を行った後、図5に示す信号識別が確認され、図9に示すどの意味であるかが判別される。そして、それぞれの意味に応じ、あらかじめ設定された処理が行われ、また、その判別情報が制御部118に送られる。
制御部118は、判別部117からの判別情報により、識別信号が”地震動警報詳細情報(該当地域あり)”の場合に、スタンバイ状態となっていた放送受信部119を、スタンバイ状態から通常状態とし、また、切替部114、115を判別部117からの信号を選択するように制御する。判別部117からの地震動警報詳細情報を示す映像信号、音声信号はそれぞれ映像出力部109、音声出力部110に出力され、地震動警報が行われる。
なお、上記は放送受信部119がスタンバイ状態に制御される例を示したが、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110のみをスタンバイ状態に制御するようにしてもよい。
さらに、上記は放送受信部119がスタンバイ状態から通常状態に制御される例を示したが、スタンバイ状態の放送受信部119から切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110のみを通常状態に制御する、または、スタンバイ状態の切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110を通常状態に制御するようにしてもよい。これらにより、放送受信部119を制御するよりも低消費電力で地震動警報を行なうことができる効果がある。
ここで、通常状態とは正常に動作している状態、スタンバイ状態とは動作していないがすぐに通常状態に移行可能な状態、停止状態とは動作していない状態を表す。放送受信部119、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110のスタンバイ状態とは、通常状態になったときにすばやく映像出力または音声出力できるように通電しておくことをいう。
判別部117の詳細な動作を説明する。
判別部117は、図5に示す信号識別が確認され、図9に示すどの意味であるかを判別し、識別信号が”地震動警報詳細情報(該当地域あり)”の場合にはブザー音や音声などによる警告または光の点滅やディスプレイ表示による警告表示を行う。同時に、判別部117は、図10、図11、図12に示す強い揺れが予想される都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報や時刻情報を地震動警報情報の音声信号出力、映像信号出力、または地震が発生すると思われる時間までのカウントダウンを行う。同時に制御部118は、スタンバイ状態となっていた放送受信部119をスタンバイ状態から通常状態に制御し、また、切替部114、115を判別部117からの信号を選択するように制御する。判別部117からの地震動警報詳細情報を示す映像信号、音声信号はそれぞれ映像出力部109、音声出力部110に出力され、地震動警報が行われる。
判別部117が”地震動警報詳細情報(該当地域なし)”を判別した場合、映像出力部109や音声出力部110への出力は行わない。ただし、場合によっては、"該当地域あり"と同様の動作をさせ、映像出力部109に強い揺れが予想される都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報を表示させる、または音声出力部110で音声出力させてもよい。
判別部117が”地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり)”または”地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域なし)”を判別した場合、これは一般的に地震動警報情報受信部120を試験モードで動作確認しているときに有効となるものであり、普通の動作モードでは無視され、映像出力部109や音声出力部110への出力は行わない。試験モードのときは、例えば、”地震動警報詳細情報(該当地域あり)”、または、”地震動警報詳細情報(該当地域なし)”のそれぞれの動作に、テストモードであることを示す映像情報または音声情報を多重する。
判別部117は信号識別の確認を地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"の場合常時行う必要があるが、少なくとも地震動警報情報更新フラグの状態が変化した場合には必ず信号識別の確認を行う。
次に、AC復号部116では地震動警報情報開始/終了フラグで"地震動警報詳細情報あり"から"地震動警報詳細情報なし"と切替わる状態が監視されており、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし"となった場合には制御部118に"地震動警報詳細情報なし"の情報が伝えられる。制御部118は判別部117を停止状態とさせる信号を送る。判別部117はこれを受け、停止状態となる。同時に制御部118は制御信号を放送受信部119に送り、放送受信部119はこれを受け、一定時間のみ放送受信部119を通常状態に保ち、また、切替部114、115をデコード部108側に切替え、そのとき選局部102で受信しているデジタル放送のデコード部108からの復号された放送映像信号を映像出力部109に、復号された放送音声信号を音声出力部110に出力し、一定時間経過後、放送受信部119を停止状態とする。一方、制御部118はAC復号部116を制御し、AC復号部116から判別部117へのデータ出力を停止する。
ここで、放送受信部119の停止状態とは、選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112がワンセグ動作しており、復調復号部105、デスクランブル部106、デマックス部107、デコード部108と、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110が動作していない状態をいう。
放送受信部119のスタンバイ状態とは、選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112が13セグメント全帯域動作しており、復調復号部105、デスクランブル部106、デマックス部107、デコード部108が動作しており、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110が動作していない状態をいう。
放送受信部119の通常状態とは、選局部102、直交復調部103、FFT部104、同期再生部111、フレーム抽出部112が13セグメント全帯域動作しており、復調復号部105、デスクランブル部106、デマックス部107、デコード部108が動作しており、切替部114、115、映像出力部109、音声出力部110が動作している状態をいう。
なお、TMCC復号部113は常に動作している。
以上の説明は、デジタル放送受信装置121が動作していない状態のときを前提に説明したが、デジタル放送受信装置121が動作している状態、すなわち、放送受信部119がもともと通常状態であったときには、以下の動作とする。
地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった場合には、AC復号部116では"地震動警報詳細情報なし"から"地震動警報詳細情報あり"と切替わる状態が検出され、制御信号により制御部118に"地震動警報詳細情報あり"、すなわち地震動警報情報が発報された情報が伝えられる。制御部118は判別部117を通常状態にさせる制御信号を送る。また、制御部118は放送受信部119に制御信号を送り、放送受信部119はこれを受け、切替部114、115それぞれに対して、デコード部108からの復号された放送映像信号から判別部117からの映像信号へ、デコード部108からの復号された放送音声信号から判別部117からの音声信号へ、切替える準備を行う。一方、AC復号部116は、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった時点での抽出確定された図5に示す地震動警報情報開始/終了フラグ、地震動警報情報更新フラグ、識別信号、地震動警報情報詳細、CRC−10、パリティビットのデータを判別部117に出力する。
制御信号により通常状態となった判別部117では、AC復号部116からのデータを受け差集合巡回符号の短縮符号の誤り訂正が行われ、CRC−10誤り検出を行った後、図5に示す信号識別が確認され、図9に示すどの意味であるかが判別される。そして、それぞれの意味に応じ、あらかじめ設定された処理が行われ、また、その判別情報が制御部118に送られる。
制御部118は、判別部117からの判別情報により、識別信号が”地震動警報詳細情報(該当地域あり)”の場合に、切替部114、115を判別部117からの信号を選択するように制御する。判別部117からの地震動警報詳細情報を示す映像信号、音声信号はそれぞれ映像出力部109、音声出力部110に出力され、地震動警報が行われる。
次に、AC復号部116では地震動警報情報開始/終了フラグ"地震動警報詳細情報あり"から"地震動警報詳細情報なし"と切替わる状態が監視されており、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし"となった場合には制御部118に"地震動警報詳細情報なし"の情報が伝えられる。制御部118は判別部117を停止状態とさせる信号を送る。判別部117はこれを受け、停止状態となる。同時に制御部118は制御信号を放送受信部119に送り、放送受信部119はこれを受け、切替部114、115それぞれに対して、判別部117からの映像信号からデコード部108からの復号された放送映像信号へ、判別部117からの音声信号からデコード部108からの復号された放送音声信号へ、切り替えが行われる。一方、制御部118はAC復号部116を制御し、AC復号部116から判別部117へのデータ出力を停止する。
本実施形態によれば、地震動警報情報が放送されたときは、切替部114、115により、通常のテレビ放送の放送映像信号や放送音声信号から地震動警報情報の映像信号や音声信号に切替えるため、地震動警報情報を最優先で画像表示、音声出力するデジタル放送受信装置を提供することができる効果がある。また、映像出力部と音声出力部をそれぞれ1系統持つだけで良いため、簡単な構成で低価格とすることができる効果がある。さらにまた、デジタル放送受信装置121が動作していない状態のときは放送受信部119を自動起動できる効果があり、デジタル放送受信装置121が動作していた状態のときは地震動警報情報に速やかに切替えが行える効果がある。
ここで、図2のデジタル放送送信装置で送信するTMCC信号とAC信号に関して図18、図19、図20を用いて説明する。
また、図2のデジタル放送送信装置で送信するTMCC信号とAC信号、そしてこれを受信する図1のデジタル放送受信装置の緊急警報放送と地震動警報の受信動作(制御部118の制御方法)に関して説明する。制御部118は、TMCC復号部113からの緊急警報放送用起動フラグ情報や、地震動警報情報受信部120からの地震動警報情報を入力され、地震動警報を発令すべき時に、切替部114及び115を制御し、地震動警報の映像信号を映像出力部109に、地震動警報の音声信号を音声出力部110に出力させる。
図18はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグとTMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングを示したものである。図18に示すように、まず開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"となっていた場合、もしその‘00’の期間で緊急警報放送を実施する必要が生じても、その‘00’の期間では起動フラグを"起動制御あり:ON"にはしないで、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"になってから起動フラグを"起動制御あり:ON"にする。このようにすることで、地震動警報と緊急警報放送の両方に対応したデジタル放送受信装置に対し、地震動警報と緊急警報放送の両方の受信動作が重なって、地震動警報と緊急警報放送お互いの受信動作に受信不具合が生じたり、地震動警報情報の出力が阻害されることを防ぐことができる効果がある。
このときの受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図18の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"の場合と、緊急警報放送用起動フラグが"起動制御あり:ON"の場合が重なって送信されないため、受信機での地震動警報動作への対応、緊急警報放送への対応が、それぞれ妨げられずに動作できる効果がある。
図19はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングを示したものである。図19に示すように、まず開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"となっていた場合、もしその‘00’、‘000’の期間で緊急警報放送を実施する必要が生じても、その‘00’、‘000’の期間では起動フラグを"起動制御あり:ON"にはしないで、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"になってから、または、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"となってから、起動フラグを"起動制御あり:ON"にする。このようにすることで、地震動警報と緊急警報放送の両方に対応したデジタル放送受信装置に対し、地震動警報と緊急警報放送の両方の受信動作が重なって、地震動警報と緊急警報放送お互いの受信動作に受信不具合が生じたり、地震動警報情報の出力が阻害されることを防ぐことができる効果がある。なお、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域あり):‘010’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合に順ずる。ただしこの場合、"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"のかわりに"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域なし):‘011’"が用いられる。
このときの受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図19の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"の場合と、緊急警報放送用起動フラグが"起動制御あり:ON"の場合が重なって送信されないため、受信機での地震動警報動作への対応、緊急警報放送への対応が、それぞれ妨げられずに動作できる効果がある。
または、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合と、緊急警報放送用起動フラグが"起動制御あり:ON"の場合が重なって送信されないため、受信機での地震動警報動作への対応、緊急警報放送への対応が、それぞれ妨げられずに動作できる効果がある。
図20はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングを示したものである。図20に示すように、まず開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に、もしその‘00’、‘001’の期間で緊急警報放送を実施する必要が生じた場合には、その‘00’、‘001’の期間で起動フラグを"起動制御あり:ON"にすることを妨げない。このようにすることで、緊急警報放送を早急に放送する事ができる効果がある。なお、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域なし):‘011’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に順ずる。
まず起動フラグが"起動制御なし:OFF"の期間で地震動警報が発報され開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"となり信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に、もしその期間に緊急警報放送を始める必要が生じた場合で、その期間での起動フラグが"起動制御あり:ON"の送信運用を許した場合の受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図20の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合には、地震動警報の該当地域ではないため地震動警報動作より緊急警報放送を優先して実施することができる効果がある。
なお、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域あり):‘010’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合に順ずる。また、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域なし):‘011’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に順ずる。受信機は試験放送なので通常動作では反応しないが、受信機試験モードなどのメンテナンス時には、試験放送であることを表示して、それぞれ、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合の受信機動作に順ずる。
次に、図2のデジタル放送送信装置で送信するTMCC信号とAC信号、そしてこれを受信する図1のデジタル放送受信装置の緊急警報放送と地震動警報の受信動作(制御部118の制御方法)に関して、図21、図22、図23、図24を用いて説明する。
制御部118は、TMCC復号部113からの緊急警報放送用起動フラグ情報や、地震動警報情報受信部120からの地震動警報情報を入力され、地震動警報を発令すべき時に、切替部114及び115を制御し、地震動警報の映像信号を映像出力部109に、地震動警報の音声信号を音声出力部110に出力させる。以下、動作説明する。
図21はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングとその受信動作を示したものである。図21に示すように、まず開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"の期間で緊急警報放送が始まり起動フラグが"起動制御あり:ON"となった場合に、もしその起動制御ありの期間に地震動警報を発報する必要が生じた場合は、起動フラグが"起動制御あり:ON"の場合でも、開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報あり:‘00’"として地震動警報の運用を開始する。このときの受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は地震動警報動作を優先して実施
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は地震動警報動作を終了し、緊急警報放送に対応
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図21の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"の場合には、緊急警報放送より地震動警報動作を優先して実施するため、緊急警報放送に地震動警報が妨げられない効果がある。
または、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合には、緊急警報放送より地震動警報動作を優先して実施するため、緊急警報放送に地震動警報の該当地域の情報出力が妨げられない効果がある。
図22はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングとその受信動作を示したものである。図22に示すように、まず開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"の期間で緊急警報放送が始まり起動フラグが"起動制御あり:ON"となった場合に、もしその起動制御ありの期間に地震動警報を発報する必要が生じた場合は、起動フラグが"起動制御あり:ON"の場合でも、開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報あり:‘00’"として地震動警報の運用を開始する。このとき、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合の受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送を続行
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送を続行
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図22の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合には、地震動警報の該当地域ではないため地震動警報動作より緊急警報放送を優先して実施することができる効果がある。
図23はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングとその受信動作を示したものである。図23に示すように、まず起動フラグが"起動制御なし:OFF"の期間で地震動警報が発報され開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"となった場合に、もしその地震動警報詳細情報ありの期間に緊急警報放送を始める必要が生じた場合で、その期間での起動フラグが"起動制御あり:ON"の送信運用を許した場合の受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は地震動警報動作を続行
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図23の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"の場合には、緊急警報放送より地震動警報動作を優先して実施するため、緊急警報放送に地震動警報が妨げられない効果がある。
または、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合には、緊急警報放送より地震動警報動作を優先して実施するため、緊急警報放送に地震動警報の該当地域の情報出力が妨げられない効果がある。
図24はAC信号で送られる地震動警報情報の開始/終了フラグ、信号識別と、TMCC信号で送られる緊急警報放送用起動フラグの送信運用タイミングとその受信動作を示したものである。図24に示すように、まず起動フラグが"起動制御なし:OFF"の期間で地震動警報が発報され開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"となり信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に、もしその期間に緊急警報放送を始める必要が生じた場合で、その期間での起動フラグが"起動制御あり:ON"の送信運用を許した場合の受信機動作を説明する。
(1) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作
(2) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は地震動警報動作に対応
(3) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"
信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送に対応
(4) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御あり:ON"
の場合、受信機は緊急警報放送を続行
(5) 開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし:‘11’"
信号識別が"地震動警報詳細情報なし:‘111’"
起動フラグが"起動制御なし:OFF"
の場合、受信機は通常動作に戻る
図24の受信機動作では、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり:‘00’"で信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合には、地震動警報の該当地域ではないため地震動警報動作より緊急警報放送を優先して実施することができる効果がある。
なお、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域あり):‘010’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合に順ずる。また、信号識別が"地震動警報詳細情報の試験放送(該当地域なし):‘011’"の場合にも、運用は、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合に順ずる。受信機は試験放送なので通常動作では反応しないが、受信機試験モードなどのメンテナンス時には、試験放送であることを表示して、それぞれ、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域あり):‘000’"の場合、信号識別が"地震動警報詳細情報(該当地域なし):‘001’"の場合の受信機動作に順ずる。
以下、本発明の主要ブロックである判別部117の一実施例を図25を用いて説明する。
2501はAC復号部116からのデータの入力、2502誤り訂正検出部、2503は制御部118からの制御信号の入力、2504は時計部、2505は現時刻設定部、2506はデータ判断記憶部、2507は比較判断部、2508はブザー音発生部、2509は処理部、2510は映像信号出力、2511は音声信号出力、2512は制御部118への判断情報の出力である。
時計部2504は判別部117が停止状態でも常時動作しており、正確な時刻を示している。正確な時刻とする方法としてGPS(Global Positioning System)の利用、標準電波を受信して誤差を自動修正する電波時計機能の利用、インターネットなど外部から正確な時刻を自動更新する機能の利用が考えられ、これらに限るものではないが、デジタル放送から時刻情報を得ることは後に述べる理由により好ましくない。
現時刻設定部2505、データ判断記憶部2506、比較判断部2507、ブザー音発生部2508、処理部2509は、判別部117が"スタンバイ状態"と"通常状態"のときに動作し"停止状態"のときは動作しない。
判別部117が制御部118からの制御信号を入力2503を介して受けスタンバイ状態または通常状態となったときに、現時刻設定部2505は時計部2504から現在時刻を常時抽出し設定する。AC復号部116が地震動警報情報開始/終了フラグの"地震動警報詳細情報あり"を判別した場合、AC復号部116は制御部118に"地震動警報詳細情報あり"の情報を送る。制御部118は判別部117を停止状態から通常状態にさせる制御信号を入力2503を介して送る。この後、制御部118からの制御信号により、入力2501を介し、AC復号部116から判別部117の誤り訂正検出部2502に、図5に示す地震動警報情報開始/終了フラグ、地震動警報情報更新フラグ、識別信号、地震動警報情報詳細、CRC−10、パリティビットのデータを出力する。誤り訂正検出部2502は差集合巡回符号の短縮符号の誤り訂正を行ない、そのあと、CRC−10誤り検出を行う。誤りがなかった場合に、AC復号部116からのデータは、データ判断記憶部2506で図5に示す信号識別が確認され、図9に示すどの意味であるかが判断され、”地震動警報詳細情報(該当地域あり)”の場合に、図10、図11、図12で示した情報が記憶される。時刻情報は記憶されると同時に比較判断部2507で現時刻設定部2505の現在時刻と比較される。送られてきたデータ判断記憶部2506内の時刻情報は放送局側が送信したときの放送局の現在時刻情報であり、定められた精度をもっている。これに放送局側の処理遅延、放送電波が受信機までに届く伝搬遅延、これを受信するデジタル放送受信装置121の処理遅延と、時計部2504の精度を加味した時間、最大でもこれらを全て加算した時間の正負(進み遅れ)以上には、データ判断記憶部2506内の時刻情報と現時刻設定部2505の現在時刻はずれることがないため、これをスレッシュホールド値として、比較判断部2507は、スレッシュホールド値内である場合には、"正常"と判断し、スレッシュホールド値を超える場合には、"異常"と判断する。比較判断部2507は"該当地域有り"且つ"正常"と判断したときにブザー音発生部2508を制御しブザー音を発生させる。これにより、過去に地震動警報情報が発報されたときの放送波を蓄積しておき(以下、RFキャプチャと示す)これを再送信されたような攻撃を受けた場合においても、RFキャプチャした信号はRFキャプチャした時点の時刻情報を持っているため、現時刻設定部2505の現在時刻とはスレッシュホールド値を超える状態となり比較判断部2507では"異常"と判断されブザー音を発生しない動作をとり、ブザー音発生部2508でブザー音を発生させるという誤作動を防ぐことができる効果がある。なお、ブザー音発生部2508の代わりに音声などによる警告発生または光の点滅による警告表示でもよい。比較判断部2507の判断情報は処理部2509に送られるとともに、出力2512を介して制御部118に送られる。
処理部2509は、データ判断記憶部2506に時刻情報、都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報が記憶されると同時に、映像信号出力2510からの出力準備、音声信号出力2511からの出力準備を行う。例えば、図25では図示していないが、あらかじめ記憶してあるデジタル放送受信装置の設置場所と地震詳細情報から地震到達までの時間を計算しておくことなどを行う。
映像信号出力2510、音声信号出力2511からは"通常状態"のときにのみ出力信号が出力される。
比較判断部2507からの判断情報が"正常"のときに、映像信号出力2510、音声信号出力2511は、処理部2509からの信号を受け、それぞれ地震動警報情報の映像信号出力、音声信号出力を出力する。図11、図12に示す強い揺れが予想される都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報や時刻情報、または、地震が発生すると思われる時間までのカウントダウン情報などである。
AC復号部116では地震動警報情報開始/終了フラグ"地震動警報詳細情報あり"から"地震動警報詳細情報なし"と切替わる状態が監視されており、地震動警報情報開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし"となった場合には制御部118に"地震動警報詳細情報なし"の情報が伝えられ、制御部118は判別部117を停止状態とさせる信号を送り、判別部117は入力2503を介してこれを受け、停止状態となる。すなわち、時計部2504を除き、全てのブロックが動作を停止する。
図25の実施例によれば、時刻情報と現在時刻の比較を行うことにより、警告発生の誤作動を防ぐことができる。
さらに、ブザー音発生を行っているためブザー音により地震発生をいち早く知らせることができる効果がある。