JP2011242592A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】防護体等を用いることなく外被自体で蝉の突刺しを抑制すると共に、耐寒性および難燃性を備え外被の引裂きも容易に行える光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】本体部2と支持線部3とが切断容易な首部4を介して連結され、本体部2は、光ファイバ心線5,5’の両側にテンションメンバ6が配されて外被7で一括被覆され、両側面7aに外被切裂き用のノッチ8が設けられた光ファイバケーブル。外被7は、ベース樹脂が2成分以上の樹脂を混合してなる樹脂組成物から構成され、それらが海島の相構造を形成しており、海成分の樹脂が60〜90重量%であり、海成分の樹脂がショアD硬度60以上であり、島成分が押出方向に延伸された形状をしていて、樹脂組成物全体がショアD硬度55以上である。また、前記樹脂組成物には、ベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物が20〜120重量部添加されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、本体部と支持線部とからなり、本体部は光ファイバ心線とテンションメンバが平行に配されて外被により一体に被覆されてなる光ファイバケーブルに関する。
インターネット等の情報通信等の普及により通信の高速化、情報量の増大に加え、双方向通信と大容量通信に対応するために光ネットワークの構築が進展している。この光ネットワークでは、通信事業者と各家庭を直接光ファイバで結び、高速通信サービスを提供するFTTH(Fiber To The Home)サービスが開始されている。これにより、光ケーブルの宅内への引き込みに用いられるドロップ光ケーブルや、これを複数本集合した集合光ケーブルの需要が増えている。
これらの光ファイバケーブルは、一般的には、光ファイバ心線と平行にテンションメンバをケーブル外被内に埋設してケーブルの引張強度を高め、外被の両側面にV字状のノッチを設けて、外被を2つに切裂いて内部の光ファイバ心線を取出して端末形成等がしやすい構造とされている。
近年、この種の光ファイバケーブルに対して、蝉がケーブルの外被に産卵管を突き刺し、内部の光ファイバ心線を損傷、あるいは外被内に卵を産み付けるという問題が多発している。これは、ドロップ光ケーブルを蝉が産卵しやすい対象物と認識したものと推定されているが、この蝉への対策としては、光ファイバ心線とノッチの間に産卵管が突刺せない硬さの防護体を配した光ケーブルや、ノッチの位置や方向を変えて蝉の産卵管が光ファイバ心線を突刺さない構造とした光ケーブルが種々提案された。
しかし、蝉の産卵管はノッチ以外の部分からも刺し込まれるなどの事例もあって、構造的な対応のみでは不十分であることから、例えば、特許文献1では、外被に引張強度15〜40MPa、ショアD硬度50〜80の樹脂を用いて、クマ蝉の産卵管では外被を0.6mm以上は突刺させないようにしている。同様に、特許文献2においても、ショアD硬度が55以上のシース(外被)を得るために、エチレン・α‐オレフィン共重合体やポリエチレン樹脂を主成分とした樹脂組成物を用いて、光ファイバを被覆することが開示されている。
また、特許文献3では、シース内に配される光ファイバ素線の外方を、ショアD硬度が50以上で厚さが0.3mm以上の樹脂からなる補強層で被覆することにより、蝉の産卵管の侵入を遮ることが示されている。
特開2008−129062号公報 国際公開第08/090880号パンフレット 特開2009−25425号公報
特許文献1や特許文献2に開示されるように、光ファイバ心線を覆っている外被の全体を硬質にすることにより、蝉対策の効果を期待することができる。しかしながら、外被の引張強度が大きすぎると、ケーブル端末の形成等で外被の引裂き除去が難しくなるという問題がある。通常、外被の両側面にあるノッチに、ニッパ等の工具でケーブル端から10mm程度の切り込みを入れて切裂き始端を作り、この後、外被を手で100mmほど引裂いているが、外被が硬質であるため引裂きに労力を要する。また、引裂きに大きな力を要するため、この結果、所定の引裂き量、例えば、100mmを超えて大きく引裂いてしまう(NGとなる)こともあり、スキルを要する作業となっている。
また、特許文献3においては、全体を覆うシースの引裂き除去と補強層の除去という2つの除去作業が必要となる。シースと補強層を同時に除去することも可能とされているが、シースと補強層の樹脂材質が異なることから一体化が難しい。また、シースと補強層を接着一体化するとしても、光ファイバ素線の被覆とは非接着とする必要から、光ファイバ素線被覆や補強層の材料選択の範囲が狭められ、コスト的に高価なものとなるという問題がある。
さらに、ドロップ光ケーブルは加入者宅等に引き込まれるため、難燃特性が要求されるため、外被には難燃性を有するものが使用される。外被に難燃性をもたせるには、難燃剤が添加されるが、この添加物を多く含むと強度的に脆くなり、硬度も低下するという問題がある。
また、光ファイバケーブルは寒冷地域で使用されることもあり、低温下でケーブルを屈曲させると外被に亀裂が生じる場合がある。このため、外被には基本特性として耐寒性も必要とされる。
本発明は、従来の光ファイバケーブルにおける上記課題に鑑みてなされたものであって、防護体等を用いることなく外被自体で蝉の突刺しを抑制すると共に、難燃性および耐寒性を備え、外被の引裂きも容易に行える光ファイバケーブルの提供を目的とする。
本発明の光ファイバケーブルは、本体部と支持線部とが切断容易な首部を介して連結され、前記本体部は、光ファイバ心線の両側にテンションメンバが配されて外被で長方形状に一括被覆され、両側面に外被切裂き用のノッチが設けられてなり、前記支持線部は、前記テンションメンバと前記光ファイバ心線の中心を結ぶ延長線上に配されてなる。
また、前記外被は、2成分以上の樹脂を混合してなる樹脂組成物であり、それらが海島の相構造を形成しており、海成分の樹脂が60〜90重量%であり、海成分の樹脂がショアD硬度60以上であり、島成分が押出方向に延伸された形状をしていて、樹脂組成物全体がショアD硬度55以上であり、ベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物が20〜120重量部添加されていることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の光ファイバケーブルの好適形態は、前記樹脂組成物の海島を形成する各成分の組合せが、ポリプロピレン樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂のいずれかの組み合わせであることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明の光ファイバケーブルの別の好適形態は、前記ベース樹脂100重量部に対して、赤リン1〜5重量部及び脂肪酸アミド0.5〜3重量部が添加されてなることを特徴とする(請求項3)。
更に、本発明の光ファイバケーブルの別の好適形態は、前記光ファイバ心線とノッチ先端との離間距離が0.4mm以上であることを特徴とする(請求項4)。
本発明によれば、外被を硬質の樹脂で形成して、蝉の産卵管の突刺しによる光ファイバの損傷を効果的に抑制すると共に、耐寒性および難燃性を備え、手で外被引裂き用のノッチを引裂くことを可能とする光ファイバケーブルを提供することができる。
本発明による光ファイバケーブルの実施形態を示す概略図である。
以下、本発明の光ファイバケーブルついて詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の光ファイバケーブルのうち、1心の単心光ファイバ心線を用いた一実施形態を示し、図1(B)は、4心の光ファイバテープ心線を2枚用いた別の実施形態を示す。なお、光ファイバ心線の心数は、これらに限らず、2心、4心など任意の心数とすることができる。
図中、1、1’は光ファイバケーブル、2は本体部、3は支持線部、4は首部、5は光ファイバ心線、5’は光ファイバテープ心線、6はテンションメンバ、7は外被、7aは本体部の側面、8はノッチ、9は鋼線を示す。
図1(A)に示す光ファイバケーブル1は、断面が長方形状の体部2と、断面が円形状の支持線部3を切断容易な細幅の首部4で連結した自己支持型の構造で形成される。本体部2は、中心に単心の光ファイバ心線5を1本配し、その両側にテンションメンバ(抗張力体ともいう)6を配し、外被7(シースともいう)で一体に被覆してなる。また、本体部2の両側面7aには、光ファイバ心線5にV字状の底部が接近するようにノッチ8が設けられる。
支持線部3は、単心線又は撚り線からなる鋼線9(外径1.2mm程度)が用いられ、光ファイバ心線5とテンションメンバ6の中心を結ぶラインYの延長線上又はその付近に設けられる。支持線部3の鋼線9は、切断容易な首部4を介して本体部2と連結され、本体部2の外被7の成形時に同じ樹脂材で押出し成形により一括して被覆される。
本発明における光ファイバ心線2とは、例えば、標準外径が125μmのガラスファイバで、被覆外径が250μm前後で1層又は2層で被覆されたもので、光ファイバ素線と称されるものや被覆表面に着色が施されたものを含むものとする。この光ファイバ心線5は、1本〜数本程度を外被7で直接被覆して収納される。
光ファイバ心線5に平行に配されるテンションメンバ6は、外径0.4mm程度の鋼線あるいはガラス繊維強化プラスチック(FRP)、アラミド繊維強化プラスチック(KFRP)などを用いることができる。光ファイバケーブルの本体部2および支持線部3の被覆を構成する外被7は、後述するように、耐蝉用の硬質の樹脂で形成される。
上述した構成の光ファイバケーブル1は、例えば、光ファイバ心線5が1心である場合、本体部2の長辺側の縦幅Lは3.1mm、短辺側の横幅Wは2.0mm、支持線部3の直径Dは2.0mm、首部4の長さKを0.2mmの標準的な外形寸法で形成することができる。また、ノッチ8は、深さが0.2mm程度、幅が0.3mm程度で形成される。なお、ノッチ8の底部先端と光ファイバ心線5との離間距離Sは、後述する外被材料および引裂き性を考慮し、0.4mm程度とする。
図1(B)に示す光ファイバケーブル1’は、図1(A)の光ファイバ心線5に代えて、4心の光ファイバテープ心線5’を2枚重ねて配したもので、形状としては図1(A)のものと同じである。ただ、光ファイバの心数が8心となることから、長辺側の縦幅Lが4.1mmとなる。その他の短辺側の横幅Wの2.0mm、支持線部3の直径Dの2.0mm、首部4の長さKの0.2mm、および、ノッチ8と光ファイバ心線5との離間距離Sを0.4mmとすることは、図1(A)のものと同じとすることができる。
なお、本発明における「光ファイバ心線」とは、前記の光ファイバテープ心線5’を含めたものとする。光ファイバテープ心線を含む光ファイバケーブル又は光ファイバ心線を複数列含む光ファイバケーブルでは、各光ファイバ心線とテンションメンバの中心を結ぶラインが複数ある。したがって、支持線部はいずれかの光ファイバ心線とテンションメンバを結ぶ線の延長線付近にあることになる。
上述した光ファイバケーブル1,1’に光コネクタ等を取付けて端末を形成する場合、外被7内の光ファイバ心線5,5’を取出すために、ケーブル端部のノッチ8をニッパ等で10mm程の切り込みを入れる。次いで、この切り込みを始端として、手でノッチ8の部分を100mm程引裂いて外被7を2分する。この外被7を手で引裂くには、ノッチ8の先端と光ファイバ心線5、5’との離間距離Sが大きく関係するが、この離間距離Sが小さいと、蝉の産卵管による突刺し量が光ファイバ心線に達し、これを避けるために離間距離Sを大きくすると引裂きが困難になる。
また、上記の離間距離Sを所定の値に設定したとして、外被の引張強度が小さい場合は外被の引裂きは容易であるが、蝉の産卵管による突刺し量が大きくなり、離間距離Sを大きくする必要になる。一方、外被の硬度が大きくかつ引張強度が大きいと、蝉の産卵管による突刺し量は抑えられるが、引張強度が大き過ぎると引裂きが難しくなる。上記の実施形態では、ノッチ8と光ファイバ心線5,5’との離間距離Sを0.4mm程度としたが、耐蝉性(蝉の産卵管により光ファイバ心線が損傷を受けない性質)と引裂き性の両方を備えた光ファイバを低コストで得るために、離間距離Sを0.4mm以上とすることがより好ましい。
本発明の光ファイバケーブルは、上記の構造的特徴に加え、耐蝉性と引裂き性の両方を兼ね備え、さらに難燃性と耐寒性とに優れた外被材料を用いることを特徴とする。耐寒性は、寒冷地でのケーブル屈曲時の損傷を防ぐために重要な特性である。
本発明の光ファイバケーブルの外被を形成する外被材料の組成について説明する。
本発明の光ファイバケーブルの外被は、2成分以上の樹脂を混合してなる樹脂組成物であり、それらが海島の相構造を形成しており、海成分の樹脂が60〜90重量%であり、海成分の樹脂がショアD硬度60以上であり、島成分が押出方向に延伸された形状をしていて、樹脂組成物全体がショアD硬度55以上である。
外被材料においてベースとなる樹脂は、海島の相構造を形成可能な2成分以上の樹脂の組み合わせから選ばれる。本発明において、海島を形成する各成分の組み合わせが、ポリプロピレン樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂のいずれかの組み合わせであることが望ましく、かつ、海成分の樹脂が60〜90重量%を占めるように樹脂組成物を配合する。
本発明における光ファイバケーブルの外被は、このベース樹脂100重量部に対し、難燃剤として水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物20〜120重量部を含有するとともに、任意の成分として、赤リン1〜5重量部からなる難燃剤と、脂肪酸アミドからなる滑剤0.5〜3重量部とを配合してなる。
ここでポリプロピレン樹脂、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂、または、高密度ポリエチレン樹脂は、耐蝉性を得るための硬度及び引張強度を向上させることを目的に配合され、これらの各々のショアD硬度は60以上である。これらの樹脂をスチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、ポリプロピレン樹脂、または、低密度ポリエチレン樹脂と組み合わせて配合することにより、製造条件に依存することなく樹脂組成物の相構造が海島構造を形成し、押出成型時に「島」がケーブルの長手方向に延伸された構造とすることができる。この際、耐蝉性を得るための硬度の観点から、樹脂組成物全体のショアD硬度が55以上となるようにする。
このような海島構造によって、硬度、引張強度、耐寒性を両立させ、更に、手で外被引裂き用のノッチを引裂くことが容易になり、敷設時の心線取出しの作業性を向上させることができる。
更に、耐寒性をより向上させるため、ポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されることが好ましい。
上記の水酸化マグネシウム、及び上記の赤リンは、上述のように難燃剤として配合される。また水酸化マグネシウムは、引裂き性の向上にも寄与する。
上記脂肪酸アミド(滑剤)は、外被除去性を向上させるために配合されるものであり、敷設時などに外被を除去する必要のある光ファイバケーブルにおいて有用である。従って、必要に応じて任意に配合される。なお脂肪酸アミドを過剰に配合すると引張強度が低下するため、脂肪酸アミドの配合量の上限は、上記ベース樹脂100重量部に対し3重量部とした。
また、工具で光ファイバケーブルの外被の外周上に切れ込みを入れた後に心線を引き抜く場合は、脂肪酸アミドの配合量を上記ベース樹脂100重量部に対し0.5重量部以上配合することが好ましい。
以下、本発明に係る実施例及び比較例を用いた評価試験の結果を示し、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成の外被材料(実施例1〜15、比較例1〜6)を用いて、各種特性の評価を下記の要領で行った。なお、外被の長期安定性を向上させるために、実施例、比較例の全てに共通して、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)を1重量部添加した。
評価試験に供するサンプルが、1心ケーブル又は8心ケーブルの形状の場合は、それぞれ図1(A)又は(B)に示す形状とし、その横幅Wを2.0mm、縦幅をL3.1mm、支持線部の径を2.8mm、光ファイバ心線とノッチ間の離間距離Sを0.4mmとして形成したものを用いた。
各例の評価結果を表1に併せて示す。
<評価試験方法>
[硬度]
外被の硬度は、日本工業規格のJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)で規定されるデュロメータ(タイプD)を用いて計測した(以下、ショアD硬度という)。外被の硬度の判定基準は、ショアD硬度で55を超えることが耐蝉性を有する必要条件であるとして、55を超えた場合は「○」、55以下の場合は「×」とした。なお、試験にはシート状の試験片を用いた。
[引張強度]
外被の引張強度は、日本工業規格のJIS K7113に準拠し、2号試験片を用いて行なった。引張強度の判定基準は、外被に蝉の産卵管が突刺された際に、外被に変形を生じず、卵を産み付ける空間の確保を阻止できる15MPaを超えることが耐蝉性を有する必要条件とし、15MPaを超えた場合は「○」、15MPa以下の場合は「×」とした。
[耐寒性(低温脆化試験)]
低温脆化試験(亀裂発生温度)は、低温での耐衝撃性を検証するもので、シート状の試験片を用いて行なった。試験は、日本工業規格のJIS C3005に準拠して行なった。判定基準は、−35℃の低温で、厚さ2mmのシート状の試験片を打撃試験機で打撃し、シート表面に亀裂が生じていない場合を「◎」、−30℃の低温で、厚さ2mmのシート状の試験片を打撃試験機で打撃し、シート表面に亀裂が生じていない場合を「○」、−30℃の低温で、厚さ2mmのシート状の試験片を打撃試験機で打撃し、シート表面に亀裂を生じている場合を「×」とした。
[引裂き性(引裂き力)]
試験には、1心ケーブル及び8心ケーブルを用いた。予めドロップケーブルの外被のノッチ間を数cm引裂いた状態とし、裂いた双方を引張試験機のチャックで固定し、180度方向に引張速度200mm/分で引張り、50mm引裂いた。そのときの最大値を引裂き力とした。引裂き力の判定基準は、10N未満の場合を「○」、10N以上の場合を「×」とした。
[外被除去性]
試験には、1心ケーブル及び8心ケーブルを用いた。住電ハイプレシジョン株式会社製のケーブル端末処理工具P2681038を使用して、ドロップケーブルの外被40mmを40℃、5秒間で除去した。このとき外被を除去して露出される光ファイバの着色層に凹凸や外傷がないものを○、凹凸や外傷があるものを×とした。
なお上述のように、外被除去性は、敷設時などに外被が除去される光ファイバケーブルに求められる性能であり、本発明の光ファイバケーブル全てに必要な性能ではない。
[難燃性(傾斜燃焼試験)]
試験には、1心ケーブル及び8心ケーブルを用いた。日本工業規格のJIS C3005に準拠して行った。完成品から採取した長さ約300mmの試料を、水平に対して約60度傾斜させて支持し、還元炎の先端を、試料の下端から約20mmの位置に、30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去る。そして、自然消炎した場合を合格とする。
[高難燃性(垂直トレイ燃焼試験)]
試験には、1心ケーブル及び8心ケーブルを用いた。垂直トレイ燃焼試験は、日本工業規格のJIS C3521に準拠して行なった。この試験では、規定本数のケーブルをはしご状の垂直に設置されたトレイに規定の方法で(概ねトレイの中央部に試料外径の1/2間隔で150mm以上となるよう取り付ける)布設し、トレイ下方より規定のバーナによりケーブルを燃焼させ、トレイ上方への延焼性を評価する。試料ケーブル1本あたりの長さは3.5mで、試験合否基準は、バーナより上部に2.5m以上炭化しないことである。
なお上述のように、高難燃性は、本発明の光ファイバケーブル全てに必要な性能ではない。
[相構造]
相構造は、目視により判断した。
Figure 2011242592
上記結果に示すように、所定の配合量の組成成分からなる実施例1〜15の外被材料においては、必須の特性について求められる性能を満足していることが確認された。実施例1〜15では、任意の特性である「外被除去性」が得られ、実施例15では、任意の特性である「高難燃性」が得られ、実施例7、8、10および11では耐寒性が向上した。
一方、金属水酸化物の配合量が規定量に満たない比較例1難燃性が得られなかった。
金属水酸化物の配合量が規定量より多い比較例2は、引張強度が基準値以下となった。
比較例3は、ベース樹脂中の海成分と島成分の配合量が規定の範囲外のため、海島構造とならず硬度が基準値以下となり、引裂き性(心線取出し性)について所望の性能が得られなかった。
比較例4は、ベース樹脂中の島成分の配合量が少なく、引裂き性について所望の性能が得られなかった。
比較例5では、海島構造とならず引張強度が基準値以下となり、耐寒性について所望の性能が得られなかった。
比較例6では、海島構造とならず引裂き性(心線取出し性)および耐寒性について所望の性能が得られなかった。
本発明による光ファイバケーブルは、上述した外被材料を用いることにより耐蝉用に適した硬度と引張強度を確保することができるとともに、耐寒性、難燃性についても確保することができる。また、上述の外被材料で形成された外被は、手で引裂くことが可能で、外被内の光ファイバ心線をスキルを要することなく取り出すことができる。
1,1’ 光ファイバケーブル
2 本体部
3 支持線部
4 首部
5 光ファイバ心線
5’ 光ファイバテープ心線
6 テンションメンバ
7 外被
7a 外被の側面
8 ノッチ
9 鋼線

Claims (4)

  1. 本体部と支持線部とが切断容易な首部を介して連結され、前記本体部は、光ファイバ心線の両側にテンションメンバが配されて外被で長方形状に一括被覆され、両側面に外被切裂き用のノッチが設けられてなり、前記支持線部は、前記テンションメンバと前記光ファイバ心線の中心を結ぶ延長線上に配されてなる光ファイバケーブルであって、
    前記外被は、ベース樹脂が2成分以上の樹脂を混合してなる樹脂組成物であり、それらが海島の相構造を形成しており、海成分の樹脂が60〜90重量%であり、海成分の樹脂がショアD硬度60以上であり、島成分が押出方向に延伸された形状をしていて、樹脂組成物全体がショアD硬度55以上であり、ベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物が20〜120重量部添加されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 前記樹脂組成物の海島を形成する各成分の組合せが、ポリプロピレン樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/スチレン含量40重量%以下のスチレン系エラストマー樹脂、または、スチレン含量60重量%以上のスチレン系エラストマー樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂、または、ポリプロピレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂、または、高密度ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂にポリエチレン−エチレンブテン−ポリエチレンブロック共重合樹脂が1〜10重量%添加されてなる樹脂組成物、または、高密度ポリエチレン樹脂/低密度ポリエチレン樹脂のいずれかの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバケーブル。
  3. 前記ベース樹脂100重量部に対して、赤リン1〜5重量部及び脂肪酸アミド0.5〜3重量部が添加されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバケーブル。
  4. 前記光ファイバ心線とノッチ先端との離間距離が0.4mm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光ファイバケーブル。
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