JP2011242372A - pH指示薬およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、シクロメタレート型イリジウム(III)錯体は、優れた発光特性を持ち、有機EL基材等として汎用されている。特にIr(tpy)3やIr(ppy)3、Ir(piq)3などのイリジウム(III)錯体(tpy=2−トリルピリジン、ppy=2−フェニルピリジン、piq=1−フェニルイソキノリン)は、マイクロ秒単位の長い蛍光寿命と高い発光量子収率を有している。例えば有機EL基材として、アミノ基やカルボキシ基を有するシクロメタレート型イリジウム(III)錯体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
<1> 8族から10族の遷移金属と該遷移金属に配位結合している下記一般式(1)で表される配位子とを有する第1の蛍光化合物、または、8族から10族の遷移金属と該遷移金属に配位結合している下記一般式(2)で表される配位子とを有する第2の蛍光化合物であるpH指示薬。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。
本発明におけるR3、R4としては、測定感度の観点から、水素原子またはアルキル基であることが好ましい。
Zで表される官能基が例えば、pH環境に応じて可逆的に−NR3R4基に変換可能である場合、第1の蛍光化合物および第2の蛍光化合物の少なくとも一方を含む媒体のpH変化を経時的に測定することができる。
R5〜R7はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表す。
本発明の蛍光化合物における配位子の総数は、中心金属に応じて適宜選択される。
本発明のpH測定方法は、既述のpH指示薬を測定対象である媒体に接触させることと、前記pH指示薬に含まれる蛍光化合物を励起する波長の光を照射することと、前記励起された蛍光化合物に由来する蛍光スペクトルを得ることと、得られた蛍光スペクトルからpHを求めることと、を含む。
媒体のpHに応じて蛍光スペクトルにおける発光波長が大きく変化する蛍光化合物を用いることで高感度にpHを測定することができる。
また、媒体と接触させる前記第1の蛍光化合物および第2の蛍光化合物の量は、第1の蛍光化合物および第2の蛍光化合物の少なくとも一方に由来する蛍光スペクトルが検出できれば特に制限はなく、例えば、0.001μM〜100μMとすることができる。
本発明において、第1の蛍光化合物と第2の蛍光化合物とでは、その発光波長が大きく異なる。従って励起された蛍光化合物に由来する蛍光スペクトルを得ることは、第1の蛍光化合物および第2の蛍光化合物に応じて選択される発光波長における光をそれぞれ検出することであることが好ましい。
尚、蛍光スペクトルは、例えば一般的な蛍光スペクトル測定装置を用いて測定することができる。
本発明の下記一般式(5)で表される化合物の製造方法は、下記一般式(3)で表される化合物をニトロ化して下記一般式(4)で表される化合物を得る工程と、下記一般式(4)で表される化合物のニトロ基を還元する工程と、を含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。かかる製造方法であることで、一般式(5)で表される化合物を効率的に製造することができる。
反応条件としては、目的化合物が得られる限り特に制限はなく、例えば、米国特許出願公開第2005/0253135号明細書に記載の反応条件を用いることができる。
またニトロ基を還元する反応条件は、用いる還元方法に応じて適宜選択することができる。
また脱保護する方法は、目的とする一般式(5)で表される化合物が得られる限り特に制限はなく、用いる保護基に応じて適宜選択することができる。
fac−トリス[2−(4’−メチルフェニル)ピリジン]イリジウム(III)48mg(69μmol)を無水酢酸2mlに溶解した溶液に、0℃で硝酸銅(II)3水和物25mg(103μmol)を加えた後、室温で1日間攪拌した。水5mlを加えた後、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、fac−トリス[2−(5’−ニトロ−4’−メチルフェニル)ピリジン]イリジウム(III)を56mg(収率98%)得た。
mp.>300℃
IR(KBr):ν= 2803, 1591, 1563, 1547, 1489, 1422, 1364, 1283, 1199, 1161, 1069, 1023, 918, 822, 786, 759, 719, 699, 637 cm−1.
1H NMR(300 MHz, CDCl3/TMS): δ = 8.44 (s, 3H), 8.04 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 7.79 (t, J = 7.7 Hz, 3H), 7.45 (d, J = 5.0 Hz, 3H), 7.05 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 6.71 (s, 3H), 2.44 (s, 3H).
MS(m/z):Calcd for C36H27IrN6O6(M+): 832.1629. Found: 832.1616.
元素分析:Calcd for C36H27IrN6O6: C, 51.98; H, 3.27; N, 10.10%. Found: C, 48.38; H, 2.89; N, 8.96%.
mp.>300℃
1H NMR(300 MHz, CDCl3/TMS):δ = 8.08 (s, 3H), 7.84 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 7.48 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 7.40 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 6.75 (t, J = 6.3 Hz, 3H), 6.61 (s, 3H), 6.11 (s, 3H), 2.02 (s, 9H), 1.51 (s, 27H).
MS(m/z):Calcd for C51H57IrN6O6(M+): 1040.3938 Found: 1040.3940.
mp.>300℃
IR(KBr):ν = 3319, 1596, 1542, 1468, 1427, 1393, 1294, 1264, 1181, 1061, 781, 747 cm−1.
1H NMR(300 MHz, DMSO-d6/TMS):ν = 7.76 (d, J = 7.8 Hz, 3H), 7.67 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 7.31 (d, J = 4.8 Hz, 3H), 7.03 (s, 3H), 6.95 (t, J = 6.0 Hz, 3H), 6.33 (s, 3H), 4.09 (br, 6H). 1.81 (s, 9H).
MS(m/z):Calcd for C36H27IrN6O6(M+): 740.2365, Found: 740.2367.
元素分析:Calcd for C36H27IrN6O6: C, 58.28; H, 4.48; N, 11.33%, Found: C, 55.16; H, 4.86; N, 11.47%.
fac−トリス[2−フェニルピリジン]イリジウム(III)40mgを無水酢酸2mlに溶解した溶液に、0℃で硝酸銅(II)3水和物22mgを加えた後、室温で1日間攪拌した。水5mlを加えた後、クロロホルムにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で脱水し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトにて精製し、fac−トリス[2−(5’−ニトロフェニル)ピリジン]イリジウム(III)を50mg(収率100%)得た。
mp.>300℃
IR(KBr):ν =2923, 2854, 1563, 1492, 1322, 1106, 1047, 1027, 881, 786, 754 cm−1.
1H NMR(300 MHz, CDCl3/TMS):ν = 8.54 (d, J = 2.4 Hz, 3H), 8.12 (d, J = 7.9 Hz, 3H), 7.84 (t, J = 7.7 Hz, 3H), 7.67 (dd, J = 8.4, 2.0 Hz, 3H), 7.51 (d, J = 5.5 Hz, 3H), 7.12 (t, J = 5.7 Hz, 3H), 6.90 (d, J = 8.2 Hz, 3H).
MS(m/z):Calcd for C33H21IrN6O6(M+): 790.1177, Found: 790.1146.
元素分析:Calcd for C33H21IrN6O6: C, 50.19; H, 2.68; N, 10.64%, Found: C, 49.84; H, 2.61; N, 10.37%.
上記で得られたfac−トリス[2−(5’−アミノ−4’−メチルフェニル)ピリジン]イリジウム(III)および脱気したDMSO/100mM緩衝液を用いて、pH4〜9の錯体溶液(錯体濃度100μM)をそれぞれ調製した。尚、錯体溶液のpH(20℃)は通常のpHメーターで測定した。また緩衝液としてはGood’s緩衝液(同仁化学研究所社製)を用いた。
調製した錯体溶液それぞれについて、励起波長366nmにおける発光スペクトル(20℃)を測定した。得られた発光スペクトルを図1に示す。また発光スペクトルから得られたpHと発光強度の関係を図2に示す。尚、図2において「○」は531nmにおける発光強度を、「●」は590nmにおける発光強度を示す。
上記で得られたfac−トリス[2−(5’−アミノ−4’−メチルフェニル)ピリジン]イリジウム(III)を脱気したDMSOに溶解して、錯体溶液(錯体濃度10μM)を調製した。得られた錯体溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン溶液(1M)、DBUの1,4−ジオキサン溶液(1M)を交互に添加して得られるそれぞれの錯体溶液について、励起波長366nmにおける発光スペクトル(20℃)を測定した。得られた発光スペクトルを図3に示す。尚、図3には508nmにおける蛍光強度の変化を示すグラフも併せて示した。
Claims (6)
- 8族から10族の遷移金属と該遷移金属に配位結合している下記一般式(1)で表される配位子とを有する第1の蛍光化合物、または、8族から10族の遷移金属と該遷移金属に配位結合している下記一般式(2)で表される配位子とを有する第2の蛍光化合物であるpH指示薬。
[一般式(1)および一般式(2)中、R1は水素原子または置換基を表す。R2は置換基を表す。nは0〜4の整数を表わし、nが2以上のとき、隣り合う2つのR2は互いに連結して環を形成してもよい。R3およびR4はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Zは−NR3R4基に変換可能な官能基または−NR3R4基から誘導可能な官能基を表す。#は遷移金属との配位結合位置を表す] - 前記R1が水素原子またはアルキル基であって、前記nが0である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のpH指示薬。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のpH指示薬を測定対象である媒体に接触させることと、
前記pH指示薬に含まれる蛍光化合物を励起する波長の光を照射することと、
前記励起された蛍光化合物に由来する蛍光スペクトルを得ることと、
得られた蛍光スペクトルから前記媒体のpHを求めることと、
を含むpH測定方法。
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