JP2011241837A - シート材および排気ガス浄化装置 - Google Patents

シート材および排気ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の箇所に容易に装着することが可能な組み付け性に優れたシート材を提供すること、またこのようなシート材を有する排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明では、無機繊維を含み、実質的に厚さ方向に対して垂直な互いに対向する第1および第2の表面を有するシート材であって、少なくとも第1の表面は、凹凸を有し、第1の表面の凹部と凸部の最大差(最大凹凸差)hは、0.4mm≦h≦9mmの範囲にあり、前記凹凸は、加熱圧縮乾燥工程によって得られることを特徴とするシート材が提供される。このようなシート材では、第1の表面を別の部材と接触するように配置した場合、第1の表面に形成された凹凸によってシート材と別の部材との間の接触面積が小さくなるため、シート材を他の部材に対して水平に動かす際に生じる摩擦力が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、無機繊維を含むシート材およびそのようなシート材を保持シール材として使用する排気ガス浄化装置に関する。
自動車の台数は、今世紀に入って飛躍的に増加しており、それに比例して、自動車の内燃機関から排出される排気ガスの量も急激な増大の一途を辿っている。特にディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる種々の物質は、汚染を引き起こす原因となるため、現在では、世界環境にとって深刻な影響を与えつつある。
このような事情の下、従来より各種排気ガス浄化装置が提案され、実用化されている。一般的な排気ガス浄化装置は、エンジンの排気ガスマニホールドに連結された排気管の途上にケーシング(金属シェル)を設け、その中に微細な孔を多数有する排気ガス処理体を配置した構造となっている。排気ガス処理体の一例としては、触媒担持体やディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)がある。例えばDPFの場合、上述の構造により、排気ガスが排気ガス処理体を通過する際に、その孔の周囲の壁に微粒子がトラップされ、排気ガス中から微粒子を除去することができる。排気ガス処理体の構成材料は、金属や合金の他、セラミック等である。セラミックからなる排気ガス処理体の代表例としては、コーディエライト製のハニカムフィルタが知られている。最近では、耐熱性、機械的強度、化学的安定性等の観点から、多孔質炭化珪素焼結体が排気ガス処理体の材料として用いられている。
このような排気ガス処理体と金属シェルの間には、通常保持シール材が設置される。保持シール材は、車両走行中等における排気ガス処理体と金属シェルの当接による破損を防ぐとともに、金属シェルと排気ガス処理体との隙間から排気ガスがリークすることを防止するために用いられる。また、保持シール材は、排気ガスの排圧により排気ガス処理体が脱落することを防止する役割を有する。さらに排気ガス処理体は、反応性を維持するため高温に保持する必要があり、保持シール材には断熱性能も要求される。これらの要件を満たす部材としては、アルミナ系ファイバー等の無機繊維からなるシート材がある。
このシート材は、排気ガス処理体の開口面を除く外周面の少なくとも一部に巻き付けられ、テーピング等によって排気ガス処理体と一体固定化された後、金属シェル内に圧入されて、排気ガス浄化装置内に組み付けられる。
なお上記の保持シール材を金属シェル内に圧入する際に、保持シール材は、金属シェル内壁との摩擦によって大きな剪断力を受けるため、金属シェルに圧入後の保持シール材には、位置ずれや隙間が生じる場合がある。このような位置ずれや隙間が生じると、保持シール材のシール性が損なわれるとともに、前述の保持シール材の機能が発揮できなくなってしまう。そこでこのような問題を解決するため、保持シール材の金属シェル内壁と接する表面に液体潤滑材を塗布して、保持シール材の金属シェルへの圧入を容易にする方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−173875号公報
しかしながら前述の方法では、保持シール材表面に潤滑材を塗布するための新たな処理が必要となり、保持シール材の製作工程が複雑化するという問題がある。また、保持シール材に塗布した潤滑材は、保持シール材の取り扱い時等に、各種処理装置や作業者に付着するため、ハンドリング性に問題がある。さらに、これらの潤滑材には、有機系のバインダ等が含まれることが多いが、このような潤滑材は、排気ガス浄化装置としての使用時に、熱によって大気中に放出される。従って、環境的見地からも、このような潤滑材の使用はできるだけ回避することが好ましい。
また今日では、組み付け作業者への健康面の配慮から、シート材に含まれる無機繊維の繊維径は増大する傾向にある。例えば、無機繊維は、現在の最大6μm未満の平均繊維径のものから、今後は7μm以上のものに移り変わって行くと予想されている。このような繊維径の増大は、シート材の柔軟性を低下させる傾向にあるため、保持シール材の圧入の際に生じる位置ずれの問題は、今後より顕在化する可能性がある。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、表面潤滑材を使用せずに、所定の箇所に容易に装着することが可能な組み付け性に優れたシート材を提供すること、またこのようなシート材を有する排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
本発明では、無機繊維を含み、実質的に厚さ方向に対して垂直な互いに対向する第1および第2の表面を有するシート材であって、少なくとも第1の表面は、凹凸を有し、第1の表面の凹部と凸部の差(凹凸差)の平均値hは、0.4mm≦h≦9mmの範囲にあることを特徴とするシート材が提供される。
このような特性を有するシート材を第1の表面が別の部材と接触するように配置した場合、第1の表面に形成された凹凸によってシート材と別の部材との間の接触面積が小さくなるため、シート材を他の部材に対して水平に動かした際に生じる摩擦力が抑制される。従って、シート材を他の部材に対して移動させて、所望の位置に配置させる操作を容易に行うことが可能となる。
このようなシート材は、例えば無機繊維の積層状シートをニードリング処理して形成されても良い。この場合、従来のシート材の製造技術を利用して、本発明のシート材を容易に製作することが可能となる。またニードリング処理では、シート材の厚さ方向に繊維が編みこまれて厚さが薄くなるため、嵩高さが抑えられ、さらに取り扱い易いシート材を得ることが可能となる。
また、シート材は、結合材を含有しても良い。結合材を含有することで、繊維同士の接着性が向上し、シート材の切断加工時に繊維が飛散することを防止することが可能となる。
また、無機繊維の平均直径は、6μm以上であっても良い。前述のように、一般に無機繊維の平均直径が大きくなると、シート材の柔軟性は低下する傾向にあるため、シート材のハンドリング性は、より低下する。しかしながら本発明のシート材では、前述のような摩擦力の抑制効果により、無機繊維の平均直径が例えば6〜7μm以上のシート材であっても、他の部材に対するシート材の移動等の操作を容易に行うことができる。
さらに、シート材に含まれる無機繊維は、アルミナとシリカの混合物であっても良い。これにより断熱性能が向上する。
また、本発明では、排気ガス処理体と、該排気ガス処理体の開口面を除く外周面の少なくとも一部に巻き付けて使用される保持シール材と、該保持シール材が巻き回された前記排気ガス処理体を収容する金属シェルと、を備える排気ガス浄化装置であって、保持シール材を前述のシート材で構成し、シート材の前記第1の表面が前記金属シェルの内面と隣接するように、保持シール材が配設されることを特徴とする排気ガス浄化装置が提供される。このような排気ガス浄化装置では、前述のシート材の効果により、保持シール材を金属シェル内に容易に装着させることができるため、装置内部での保持シール材の位置ずれや隙間の発生を防止することができる。
また、前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであっても良く、この場合、ガスシール性および触媒担持体または排気ガスフィルタに対する保持性に優れた排気ガス浄化装置が提供される。
本発明では、従来の製造工程に大きな変更を加えることなく、所定の箇所に容易に装着することが可能な組み付け性に優れたシート材を提供することが可能となる。またこのようなシート材を排気ガス処理装置の保持シール材に使用することで、金属シェルに圧入する際に位置ずれが生じにくく、排気ガス処理体等の所定の位置に保持シール材を装着することが可能になる。これにより、シール性に優れた排気ガス浄化装置が得られる。
本発明のシート材の一形態を示す図である。 本発明のシート材を保持シール材として使用して、排気ガス処理装置を構成するときの構成図である。 本発明の排気ガス浄化装置の一構成例を示す図である。 摩擦力評価試験装置の概略構成図である。 第1の表面の凹凸差と摩擦係数の関係を示すグラフである。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
図1には、本発明のシート材24の一形態を示す。シート材24は、無機繊維を含み、実質的に厚さ方向に対して垂直な互いに対向する第1および第2の表面26、28を有する。ここで本発明のシート材では、図1内の断面拡大図に示すように、少なくとも第1の表面26は、凹凸形状となっている。第1の表面26の凹部と凸部の最大差h(以下、最大凹凸差という)は、0.4mm≦h≦9mmの範囲にある。
このような特徴を有するシート材24を第1の表面26が別の部材と接触するように配置した場合、第1の表面26に形成された凹凸によってシート材24と別の部材との間の接触面積が小さくなるため、シート材24を他の部材に対して水平に動かした際に生じる摩擦力が抑制される。従って、シート材24を他の部材に対して移動させて、所望の位置に配置させる操作を容易に行うことが可能となる。
特に、最大凹凸差hが3mm≦h≦7mmの範囲にある場合には、後述のように、さらに摩擦力の低減効果が大きくなる。
なお、シート材の第1の表面26の最大凹凸差hは、以下のようにして定めた。すなわちシート材24の任意の断面の任意の場所で倍率12倍の写真を撮影して、写真内の第1の表面26において、シート材24の最も凸状になっている箇所と最も凹状になっている箇所との差を求める。次にシート材24の別の箇所で撮影した断面写真9枚に対しても同様の測定を行い、得られた10点の平均値を第1の表面26の最大凹凸差hと定義した。また「第1の表面」または「第2の表面」という表現は、便宜的なものであって、最大凹凸差hが0.4mm≦h≦9mmの範囲にあれば、いずれのシート材表面も「第1の表面」となることに留意する必要がある。
図2には、本発明のシート材24を排気ガス処理体20の保持シール材15として使用して、排気ガス処理装置10を製作する際の組み立て図を示す。保持シール材15には、図1に示す形状のシート材24が使用される。保持シール材15は、例えば触媒担持体等の略円筒状排気ガス処理体20の外周部に巻き回して設置される。なお、保持シール材15は、巻回方向(図1のX方向)と垂直な両端面70、71に1組の嵌合凸部50と嵌合凹部60を有しており、この保持シール材15が排気ガス処理体20に巻回された際には、図2に示すように、嵌合凸部50と嵌合凹部60が嵌合され、保持シール材15が排気ガス処理体20に固定される。このとき、保持シール材15は、前述のシート材24の第1の表面26が外側となるように設置される。次に、この保持シール材15と排気ガス処理体20の一体品は、排気ガス処理体20の外径より幾分大きな内径を有する略円筒状の金属シェル12内に圧入される。
一般に、金属シェル12の内径は、前述の一体化品が金属シェル12内の所定の位置に拘止されるように、一体化品の外径よりも幾分小さくなっている。従って、一体化品を金属シェルに圧入する際には、金属シェル12の内壁との摩擦によって、保持シール材15の外側の表面には、剪断力が生じる。このため、圧入時に保持シール材15の位置が所定の位置からずれたり、装着後に、金属シェル12と保持シール材15の間に隙間が生じる場合がある。
しかしながら、本発明のシート材24を保持シール材15として使用した場合、第1の表面26が金属シェル12の内壁と接するようにすることで、圧入時の摩擦が軽減され、より容易に一体化品を金属シェル12内に装着させることができる。従って、これまでのような位置ずれや隙間の発生の問題が抑制される。
このようなシート材24を保持シール材15として利用した排気ガス浄化装置10の一例を図3に示す。この図では、排気ガス処理体20は、ガス流と平行な方向に多数の貫通孔を有する触媒担持体として示されているが、本発明の排気ガス浄化装置10は、このような構成に限られるものではない。例えば、排気ガス処理体20を貫通孔の一部が目封じされたDPFとすることもできる。このような排気ガス浄化装置10に、上述のシート材24を使用することにより、ガスシール性および排気ガス処理体20に対する保持性を向上させることができる。
以下、本発明のシート材の製作方法の一例を説明する。
まず、無機繊維からなる積層状シートを製作する。なお以下の説明では、無機繊維としてアルミナとシリカの混合物を用いるが、無機繊維材料は、これに限られるものではなく、例えばアルミナまたはシリカのみで構成されても良い。アルミニウム含有量70g/l、Al/Cl=1.8(原子比)の塩基性塩化アルミニウム水溶液に、例えばアルミナ−シリカ組成比が60〜80:40〜20となるようにシリカゾルを添加し、無機繊維の前駆体を調製する。特にアルミナ−シリカ組成比は、70〜74:30〜26程度であることがより好ましい。アルミナ組成比が60%以下では、アルミナとシリカから生成されるムライトの組成比率が低くなるため、完成後のシート材の熱伝導度が高くなり、十分な断熱性能が得られないからである。
次にこのアルミナ系繊維の前駆体にポリビニルアルコール等の有機重合体を加える。その後この液体を濃縮し、紡糸液を調製する。さらにこの紡糸液を使用して、ブローイング法により紡糸する。
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出される空気流と紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液流とによって、紡糸を行う方法である。エアーノズルからのスリットあたりのガス流速は、通常40〜200m/sである。また紡糸ノズルの直径は通常0.1〜0.5mmであり、紡糸液供給ノズル1本あたりの液量は、通常1〜120ml/h程度であるが、3〜50ml/h程度であることが好ましい。このような条件では、紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液は、スプレー状(霧状)となることなく十分に延伸され、繊維相互で溶着されにくいので、紡糸条件を最適化することにより、繊維径分布の狭い均一なアルミナ繊維前駆体を得ることができる。
ここで、製作されるアルミナ系繊維の平均繊維長は、250μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。平均繊維長が250μm未満では、繊維同士が十分に絡み合わず、十分な強度が得られないからである。また無機繊維の平均直径は、特に限られない。ただし、本発明は、無機繊維の平均直径が5μm以上、例えば7μmであっても効果を奏することに留意する必要がある。
紡糸が完了した前駆体を積層して、積層状シートを製作する。さらに積層状シートに対してニードリング処理を行う。ニードリング処理とは、ニードルを積層状シートに抜き差しして、シートの肉薄化を行う処理である。ニードリング処理には、通常ニードリング装置が用いられる。ニードリング装置は、通常、突き刺し方向に往復移動可能なニードルボードと積層状シートの両面側に設置された一対の支持板とで構成される。ニードルボードには、積層状シートに突き刺すための多数のニードルが、例えば約100〜5000個/100cmの密度で取り付けられている。また支持板には、ニードル用の貫通孔が設けられている。従って、一対の支持板によって積層状シートを両面から押さえつけた状態で、ニードルを積層状シートに抜き差しして、ニードリング処理を行うことにより、複雑に絡み合った繊維が積層方向に配向し、積層状シートの積層方向の強化を図ることができる。またニードリング装置では、積層状シートに対してニードルボードを圧接する回数(すなわちニードルを抜き差しする回数)を変化させることにより、積層状シートの表面の凹凸差を制御することが可能である。従って、ニードリング処理によって、本発明のような第1の表面の凹凸差が所定の範囲に制御されたシート材を容易に得ることができる。ただし、シート材の第1の表面の凹凸差の制御は、以降に示す加熱圧縮乾燥工程で行うことも可能である。
このようにニードリング処理の施された積層状シートを常温から加熱し、最高温度1250℃程度で連続焼成することで、所定の目付け量のシート材が得られる。
ハンドリングの容易化のため、このようにして得られたシート材は、所定の寸法に裁断される。
次に、裁断されたシート材には、樹脂のような有機系結合材が含浸されることが好ましい。これにより、シート材の嵩高さを抑制することができる。また、シート材のハンドリング性が向上し、例えばこのシート材を排気ガス浄化装置の保持シール材として利用する際に、保持シール材から無機繊維が脱離して、保持力が低下することを防止することができる。さらに、使用中の排気ガス浄化装置に高温排気ガスが導入されると、保持シール材に含浸された有機結合材は熱により消失するため、圧縮されていた保持シール材が復元され、金属シェルと排気ガス処理体の間に存在する可能性のあるわずかの隙間も塞がれることとなり、保持シート材の保持力および、シール性が向上する。
有機系結合材の含有量は、1.0〜10.0重量%の範囲であることが好ましい。1.0重量%未満では、十分に無機繊維の離脱を防止することができないからである。また10.0重量%よりも多くなると、柔軟性が得られなくなり、シート材を排気ガス処理体に巻き付けることが難しくなるからである。
なお有機系結合材としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂などが使用できる。例えばアクリル系(ACM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)樹脂等を用いることが好ましい。
このような有機系結合材と水とで調製した水分散液を用いて、フローコータ法により、シート材に樹脂を含浸させる。なおシート材中に含まれる余分な添着固形分および水分は、次工程で除去される。
次に、余分な固形分の除去および乾燥処理を行う。余分な固形分の除去は、吸引法で行われる。また余分な水分の除去は、加熱圧縮乾燥法によって行われる。この方法では、シート材に押圧を付加するため、余分な水分が除去されると共に、シート材が肉薄化される。乾燥は、95〜155℃程度の温度で行われる。95℃よりも温度が低いと、乾燥時間が長くなり生産効率が低下する。また155℃を超える乾燥温度では、有機系結合材自身の分解が開始され、有機系結合材による接着性が損なわれる。なお、シート材の第1の表面の凹凸差の制御は、この工程で行っても良い。例えば、シート材の加熱圧縮乾燥処理の際に使用される押型のシート材の表面と接する面に、所定の凹凸形状を付与しておくことにより、圧縮乾燥後に所望の最大凹凸差を持った表面を有するシート材を得ることができる。
最後に、シート材は、所定の形状に裁断される(例えば図1に示す形状)。
このようにして得られたシート材は、図2に示すように、排気ガス浄化装置10の排気ガス処理体20の保持シール材15として使用しても良い。この場合、シート材の第1の表面が外側となるようにして保持シール材15を排気ガス処理体20に巻回し、接合される端部の嵌合凸部50と嵌合凹部60とを嵌合、固定する。このような状態で、保持シール材15と排気ガス処理体20の一体品を、ステンレス鋼等で構成される金属シェル12内に装着すると、前述の効果により、金属シェル12の内壁と保持シール材15の表面との摩擦が小さくなるため、金属シェル12内に一体品を装着することが容易となり、保持シール材15の位置ずれが回避される。従って、シール性の良好な排気ガス浄化装置10が製作される。
以下、本発明の効果を実施例により説明する。
シート材は、以下の手順により製作した。
[シート材の製作]
アルミニウム含有量70g/l、Al/Cl=1.8(原子比)の塩基性塩化アルミニウム水溶液に、アルミナ系繊維の組成がAl:SiO=72:28となるように、シリカゾルを配合し、アルミナ系繊維の前駆体を形成した。
次にアルミナ系繊維の前駆体に、ポリビニルアルコール等の有機重合体を添加した。さらに、この液を濃縮して紡糸液とし、この紡糸液を用いてブローイング法にて紡糸した。
その後アルミナ系繊維の前駆体を折りたたんだものを積層して、アルミナ系繊維の積層状シートを製作した。次にこの積層状シートに対して、80個/100cmのニードルを有するニードルボードを繰り返し圧接させ、ニードリング処理を行った。ニードリング処理後には、シートの第1の表面には、単位cm面積当たり約14.7個のニードル処理痕が生じた。その後、得られたシート材を常温から最高温度1250℃で連続焼成し、目付け量1160g/mのアルミナ系繊維のシート材を得た。アルミナ系繊維の平均直径は5.0μmであり、最小直径は3.2μmであった。またシート材の厚さは、約9mmであった。
なお繊維の平均直径は、以下の方法により測定した。まず、アルミナ系繊維をシリンダーに入れ、20.6MPaで加圧粉砕する。次にこの試料をふるい網に載せ、ふるいを通過した試料を電子顕微鏡観察用試験体とする。この試験体の表面に金等を蒸着させた後、倍率約1500倍程度の電子顕微鏡写真を撮影する。得られた写真から少なくとも40本の繊維の径を測定する。この操作を5試料について繰り返し、測定値の平均を繊維の平均直径とした。
[シート材の裁断]
上記工程で作製されたシート材を、寸法が縦1270mm、横1280mmとなるように裁断した。
[裕機系結合材含浸]
裁断されたシート材に有機系結合材(アクリル系ラテックス)の含浸を行った。アクリル系樹脂水分散液(日本ゼオン製L×803;固形分濃度50±10%、pH5.5〜7.0)を樹脂濃度が1.0〜10.0重量%の範囲となるように調製して、含浸液を得た。その後、フローコータ法により、シート材にこの含浸液を含浸させた。
[固形分の吸引工程]
有機系結合材を含浸させた後のシート材には、所定量を超える固形分が付着しているため、固形物の吸引処理(3秒程度)によって、余分な固形分を除去した。この処理後に、秤量法にて確認した結果、シート材の有機系結合材の含浸率は、約4wt%であった。
[加熱圧縮乾燥工程]
吸引工程後のシート材を用いて、乾燥温度95〜155℃の加熱圧縮乾燥処理を行う。ここでは、シート材を上下から冶具で狭設して、加熱圧縮乾燥を行った。これにより処理後に、平均厚さが8mm程度のシート材が得られた。上記の工程を経て得られたシート材を実施例1とする。
次に、ニードリング処理の際に、シート材に対してニードリングボードを圧接させる回数を変えることによって、シート材の第1の表面に生じるニードル処理痕数が2.3個/cm〜9.8個/cmとなるようにした以外は、上述の実施例1と同じ処理により、実施例2〜6のシート材を作製した。また、シート材の主表面に生じるニードル処理痕数が1.0個/cm、19.6個/cmおよび24.3個/cmとなるようにした以外は、上述の実施例1と同じ処理により、比較例1〜比較例3のシート材を作製した。
このようにして製作された実施例1〜6および比較例1〜3のシート材における、第1の表面の最大凹凸差hを表1に示す。なおここでは、各シート材の表裏2つの表面のうち、最大凹凸差hがより大きな表面を第1の表面としている。
Figure 2011241837
また、アルミナ系繊維の平均直径を7.2μmとし、ニードリング処理の際に、シート材に対してニードリングボードを圧接させる回数を変えることによって、シート材の第1の表面に生じるニードル処理痕数が1.9個/cm〜15.4個/cmとなるようにした以外は、上述の実施例1と同じ処理により、実施例7〜12のシート材を作製した。さらに、アルミナ系繊維の平均直径を7.2μmとし、シート材の第1の表面に生じるニードル処理痕数が0.9個/cm、20.3個/cmおよび25.1個/cmとなるようにした以外は、上述の実施例1と同じ処理により、比較例4〜6のシート材を作製した。これらのシート材における、第1の表面の最大凹凸差hを表1に示す。ここでも、各シート材の表裏2つの表面のうち、最大凹凸差hがより大きな表面をシート材の第1の表面としている。
この表に示すように、ニードリング処理によって生じるニードル処理痕の数を変化させることにより、第1の表面の最大凹凸差hが異なる各種シート材が得られた。
次に得られた各シート材から切り出した試料を用いて、以下の評価試験を行った。
[摩擦力評価試験]
摩擦力評価試験には、前述の方法で製作した各シート材を30×50mmに裁断した試料を使用した。また摩擦力評価試験では、ロードセルを備える万能試験機(インストロン社製)を使用した。試験方法の概要を図4に示す。試料となるシート材サンプル150は、図4の左右方向(X方向)がサンプル150の長手方向となるようにして、平坦ステンレス板155の上に設置される。ここで、サンプル150は、サンプルの第1の表面26が下側の平坦ステンレス板155と接触するように設置される。次にサンプル150の上部には、サンプル150の寸法よりも大きな寸法(例えば、X方向の長さ150mm、Y方向の長さ50mm)の荷重支持板160が略水平に設置され、さらにその上には、重垂165が設置される。荷重支持板160と重垂165の合計荷重は5kgである。サンプル150の上面と、この表面と接する荷重支持板160の界面は、接着剤等で固定され、それぞれに対して独立に移動することができないようになっている。また、荷重支持板160は、ワイヤ170を介して万能試験機のロードセルに接続されており、ロードセルの垂直方向(図4のZ方向)の動きが荷重支持板160に対して水平方向(X方向)の動きとして伝達されるように、ワイヤ170には滑車175が設置されている。すなわち、ロードセルが図の上部に移動した場合には、この動きがワイヤ170および滑車175によって荷重支持板160に伝達され、荷重支持板160およびこれに固定されたサンプル150は、水平方向右向きの力を受ける。従って、この装置では、サンプル150が下側のステンレス板155に対して剪断力を受けながら移動する時に生じる摩擦力を測定することができる。
この装置を用いて、荷重支持板160を略水平に10mm/minの速度で引っ張り、サンプル150が動き始めてロードセルの指示値が安定したときの荷重値を測定した。また得られた荷重値を摩擦力とし、これをサンプル150に載せた荷重(5kg)で除することにより、摩擦係数を得た。
各シート材に対して得られた摩擦係数の結果を表1に示す。この表において、実施例1、6および比較例2の欄には、摩擦係数として2つの値が記されている。このうち(X)で表記されている摩擦係数の結果は、サンプル150に形成されたニードル処理痕の方向が、引っ張り方向に対して、略直交するようにサンプル150を設置した場合の値である。また、その他の無表記の摩擦係数の結果は、サンプル150に形成されたニードル処理痕の方向と引っ張り方向とが揃うようにサンプル150を設置した場合の値である。ただし、実施例1、6および比較例2のそれぞれにおける両方の配置での結果の比較から、サンプル150のニードル処理痕方向と引っ張り方向の関係は、摩擦係数の測定結果に顕著な影響を及ぼしていない。
図5は、表1の結果をグラフに示したものである。図の横軸は、シート材の第1の表面の最大凹凸差hであり、縦軸は、摩擦係数である。この図から、最大凹凸差hが0.4≦h≦9の範囲にある場合には、摩擦係数が0.18〜0.24程度となることがわかる。また、排気ガス浄化装置の保持シール材として一般に使用されているシート材では、通常ニードル処理痕数は、20〜25個/cm程度である場合が多い。この場合、表1から、最大凹凸差hは、0<h≦0.3mm程度であると予想されるが、このようなシート材の摩擦係数は、図1の比較例2、3、5、6の結果から、0.25〜0.27程度であると算定される。従って、本発明のシート材のように、第1の表面の最大凹凸差hを0.4≦h≦9の範囲に調整することによって、排気ガス浄化装置の金属シェル内にシート材を装着する際に、従来のシート材よりも発生する摩擦力の小さなシート材を得ることができる。
なおシート材に含まれる無機繊維の平均直径が大きくなると、最大凹凸差hが同等でも、幾分摩擦係数が小さくなる傾向が認められた。これは、無機繊維の平均直径が大きくなると第1の表面の凸部に存在する繊維数が相対的に少なくなり、剪断方向の摩擦に対する抵抗がより小さくなるためであると予想される。
また、最大凹凸差hがある値(例えば≒6mm)以上に大きくなると、逆に摩擦係数が増大する傾向が認められた。これは、第1の表面の最大凹凸差hが大きなシート材は、ニードリング処理時のシート材へのニードリングボードの圧接回数を少なくして製作しているため、第1の表面の最大凹凸差hが大きなシート材では、シート材の圧縮が不十分になり、第1の表面の凸部が他の部材(ステンレス板)との接触によって押しつぶされ、接触面積が逆に増大するためであると予想される。これらの結果から、シート材の第1の表面の最大凹凸差hは、3.0≦h≦7.0の範囲にあることがさらに好ましいといえる。
[圧入状態評価試験]
前述の方法で製作した各シート材を保持シール材として使用し、これを略円筒状の触媒担持体に巻き回して一体化させた後、この一体化品を略円筒状の金属シェル内に圧入して、触媒コンバータを製作した。このとき、シート材の第1の表面が外側、すなわち金属シェル内面と接するように、シート材を設置した。なお、触媒担持体と金属シェルの間の隙間は、約3.5mmであった。次に、この触媒コンバータを円筒軸に対して垂直な方向に切断して、保持シール材の金属シェル内面と接触する側の表面状態を観察した。
各シート材で得られた結果を表1に示す。実施例1〜12のシート材を使用した場合、試験後のシート材表面には特に損傷は見られず、良好な状態であった。これに対して、比較例1〜6のシート材を保持シール材として使用した試験では、試験後に、シート材に剥離等の損傷が生じていることが確認された。
本発明の保持シール材および排気ガス浄化装置は、車両用排ガス浄化装置等に利用することができる。
2 導入管
4 排気管
10 排気ガス浄化装置
12 金属シェル
15 保持シール材
20 排気ガス処理体
24 シート材
26 第1の表面
28 第2の表面
50 嵌合凸部
60 嵌合凹部

Claims (6)

  1. 無機繊維を含み、実質的に厚さ方向に対して垂直な互いに対向する第1および第2の表面を有するシート材であって、
    少なくとも第1の表面は、凹凸を有し、
    第1の表面の凹部と凸部の最大差(最大凹凸差)hは、0.4mm≦h≦9mmの範囲にあり、
    前記凹凸は、加熱圧縮乾燥工程によって得られることを特徴とするシート材。
  2. 前記シート材は、結合材を含有することを特徴とする請求項1に記載のシート材。
  3. 前記無機繊維の平均直径は、6μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート材。
  4. 前記無機繊維は、アルミナとシリカの混合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のシート材。
  5. 排気ガス処理体と、
    該排気ガス処理体の開口面を除く外周面の少なくとも一部に巻き付けて使用される保持シール材と、
    該保持シール材が巻き回された前記排気ガス処理体を収容する金属シェルと、
    を備える排気ガス浄化装置であって、
    保持シール材は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のシート材で構成され、
    保持シール材は、該シート材の前記第1の表面が前記金属シェルの内面と隣接するように配設されることを特徴とする排気ガス浄化装置。
  6. 前記排気ガス処理体は、触媒担持体または排気ガスフィルタであることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化装置。
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