JP2011240782A - 車両用操舵装置および車両用操舵装置の伝達比判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用操舵装置1は、伝達比可変機構13と、伝達比制御モータ14と、伝達比を固定するためのロック機構25と、反力補償モータ15と、制御部とを備える。ロック機構25は、キャリア57の回転を規制するためのロック部材62と、ロック部材62をキャリア57に係合する第1位置P1と係合しない第2位置P2とに変位可能に支持するソレノイド61と、を含む。制御部の第1判定部は、ロック部材62によって伝達比が固定されておらず、且つ伝達比制御モータ14のロータ14aが第1所定角度θa1回転された場合において、反力補償モータ15用の第2レゾルバ32の検出値θb1と第1所定角度θa1との差が所定角度以下のとき、伝達比が固定されていると判定する。
【選択図】図2
Description
より具体的には、特許文献3の遊星歯車機構は、入力側のサンギヤと、出力側のサンギヤとが、遊星ギヤを介して連結されている。遊星ギヤは、キャリアに支持されている。キャリアの外周には、歯部が形成されており、この歯部にウォームが噛み合っている。ウォームは、モータに連結されている。ロック機構は、ウォームに形成されたスロットにピンを差し込むことで、ウォーム、電動モータのロータおよびキャリアの回転をロックする。これにより、回転伝達比が機械的に固定される。
しかしながら、特許文献1〜3では、ロック機構が回転伝達比を固定していないにも拘わらず回転伝達比が固定されている状態を判定する構成となっていない。
この場合、伝達比制御モータや反力補償モータが駆動されていない車両の直進状態において、制御部によって、伝達比が固定されているか否かを判定することができる。したがって、伝達比制御モータや反力補償モータを有効活用できる。また、車両が転舵している最中に伝達比の判定のために伝達比制御モータ等を駆動させると、操舵フィーリングに影響を与え易い。これに対し、車両の直進走行時に伝達比の判定のために伝達比制御モータ等を回転させても、操舵フィーリングに与える影響は少ない。したがって、伝達比の判定に関連して操舵フィーリングが損なわれることを抑制できる。
また、本発明において、前記制御部は、前記伝達比が固定されていると判定したときに、前記ロック部材の前記第1位置への変位を禁止させる場合がある(請求項5)。この場合、ロック機構を用いることなく伝達比が固定されているので、ロック部材を用いて伝達比を固定する必要がない。したがって、ロック機構の無駄な動作を抑制できる。
図1は本発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、車両用操舵装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結された中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されたピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン7aに噛み合うラック8aを有し、自動車等の車両の左右方向に延びる転舵軸としてのラック軸8とを有している。ピニオン軸7およびラック軸8によりラックアンドピニオン機構からなる転舵機構9が構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン7aおよびラック8aによって、ラック軸8の軸方向X1の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11の転舵が達成される。
入力軸18は、操舵部材2に一体回転可能に連結される第1軸18aと、第1軸18aにトーションバー20を介して連結される第2軸18bとを含む。トーションバー20を介した第1軸18aと第2軸18bの相対回転量は小さく、実質的に第1軸18aと第2軸18bとは一体回転していると考えることができる。
車両用操舵装置1は、伝達比制御モータ14の回転をロックすることで伝達比を機械的に固定可能なロック機構25を備えている。
トルクセンサ30は、トーションバー20に隣接して配置されており、トーションバー20のねじれに伴う第1軸18aと第2軸18bとの相対回転量を検出することで、操舵部材2に負荷される操舵トルクを検出する。
第2レゾルバ32は、反力補償モータ15の後述するロータ15aの回転位置を検出するレゾルバであり、反力補償モータ15に隣接して配置されている。反力補償モータ15は、第2レゾルバ32の検出値を用いるフィードバック制御により駆動制御される。反力補償モータ15は、伝達比可変機構13の動作による操舵部材2の操舵反力(操舵反力の変化)を補償するためのモータである。
走行状態センサ36は、車両の走行状態(車速、転舵角、車両のヨーレート等の、車両用操舵装置1の制御に関連する車両走行状態)を検出するセンサであり、複数のセンサによって構成されている。
操舵制御部38および操舵補助制御部39は、それぞれ電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成され、例えば車載ネットワーク40を介して互いに信号伝達可能に接続されている。
操舵制御部38は、ドライバ41を介して伝達比制御モータ14に接続されており、ドライバ42を介して反力補償モータ15に接続されている。また、操舵制御部38は、ロック機構25と、報知手段としての警告ランプ44およびスピーカ45とに接続されている。
伝達比制御部46は、伝達比を制御するべく、伝達比制御モータ14の駆動を制御するようになっている。反力制御部47は、操舵部材2に負荷される反力を制御するべく、反力補償モータ15の駆動を制御するようになっている。
車両用操舵装置1は、報知手段としての警告ランプ44およびスピーカ45を含んでいる。警告ランプ44およびスピーカ45は、操舵制御部38に接続されており、フェール状態が確定したときに、警告ランプ44が点灯するとともに、スピーカ45が警告音を発するようになっている。これにより、フェール状態を運転者に報知可能となっている。なお、フェール状態とは、車両用操舵装置1に何らかの異常が生じ、この異常が制御部37によって検出された状態をいう。本実施形態において、フェール状態は、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15の少なくとも一方に異常が生じたときのモータフェール状態と、ロック機構25によって伝達比が固定されていないにも拘わらず伝達比が固定されたときの伝達比可変機構フェール状態とを含む。操舵補助制御部39は、ドライバ43を介して操舵補助モータ21に接続されている。
伝達比可変機構13は、入力軸18の第2軸18bと出力軸19との間の伝達比を変更可能とされている。伝達比可変機構13は、全体として筒状をなすハウジング53に収容されている。
反力補償モータ15に隣接して、第2レゾルバ32が配置されている。第2レゾルバ32は、第2軸18bの外周に連結されたロータ32aと、ロータ32aを取り囲みハウジング53に固定されたステータ32bとを含んでいる。第2軸18bに反力補償モータ15のロータ15aおよび第2レゾルバ32のロータ32aの双方が連結されていることにより、第2レゾルバ32は、入力軸18の回転位置(転舵角)および反力補償モータ15のロータ15aの回転位置を検出することが可能である。
図3(A)は、ロック機構25の主要部の断面図であり、ロック部材62が第2位置P2にある状態を示している。図2および図3(A)を参照して、ロック機構25は、キャリア57の第3部分57cに一体回転可能に連結されたリング部材60と、このリング部材60に係合可能な軸状のロック部材62と、ロック部材62が一端に固定されたロッド61aを有するソレノイド61とを含んでいる。本実施形態において、ロック部材62は、ロッド61aとは単一の材料を用いて一体に形成されている。
このとき、操舵制御部38の伝達比制御部46は、操舵制御部38に接続された各センサ30〜33,36からの入力信号等に基づいて、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15の目標駆動量を設定する。そして、操舵制御部38は、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15のロータ14a,15aの回転位置と目標回転位置との偏差がゼロになるように、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15を駆動する。
このとき、入力軸18から出力軸19への回転伝達比は、前述の所定の伝達比(例えば、1)である。この結果、転舵輪11は、操舵部材2の操作方向に、この操舵部材2の操舵角に前記回転比を乗じた角度相当分だけ転舵されることになり、操舵部材2から操舵用の転舵輪11への伝達比は一定値となる。
図2を参照して、制御部37が主モードを設定しているとき(車両用操舵装置1が主モード状態にあるとき)には、ロック部材62が第2位置P2に位置している。この状態で、上記のように、伝達比制御モータ14によって伝達比が制御され、且つ、反力補償モータ15によって操舵部材2に作用する操舵反力が制御される。
以下では、操舵制御部38による、(1)第1判定部50による伝達比判定に関する操舵制御部38の処理の流れと、(2)第2判定部51による伝達比判定に関する操舵制御部38の処理の流れと、(3)モータフェール時の操舵制御部38の制御の流れと、を説明する。
図4に示すように、運転者によって、車両のイグニッションがオンにされると(ステップS1)でYES)、ロック制御部48は、ソレノイド61を駆動させることで、ロック部材62を第1位置P1から第2位置P2に変位させる。これにより、ロック部材62による伝達比の固定(キャリア57のロック)が解除される(ステップS2)。
次に、モータフェール時の操舵制御部38の制御の流れを説明する(上記の(3))。
図6は、モータフェール時の操舵制御部38の制御の流れを説明するためのフローチャートである。伝達比制御モータ14および反力補償モータ15の少なくとも一方が故障し、制御部37が当該モータの故障を検出すると、操舵制御部38は、モータフェールモードを設定するようになっている。モータフェールモードが設定されると、図6に示すように、操舵制御部38は、fix_flag1=0且つfix_flag2=0であるか否かを判定する(ステップQ1)。
このとき、ロック部材62は、リング部材60、キャリア57および伝達比制御モータ14のロータ14aの回転を規制する。これにより、遊星ギヤ56の公転が規制される。その結果、入力サンギヤ54と出力サンギヤ55との間の回転の伝達比が前記所定値(本実施形態において、1)に固定される。
上記のように、ロック部材62によって伝達比が固定されているか(ステップQ2)、または、遊星ギヤ56が各サンギヤ54,55にロックされていること等により伝達比が固定されている状態(ステップQ3)で、伝達比制御モータ14および反力補償モータ15のへの電力供給が停止される(ステップQ4)。
以上説明したように、本実施形態によれば、例えば、伝達比可変機構13の遊星ギヤ56と各サンギヤ54,55との間に異物が混入すること等により、遊星ギヤ56が各サンギヤ54,55にロックされ、その結果、伝達比が機械的に固定される可能性がある。このように、遊星ギヤ56の各サンギヤ54,55に対するロックにより、伝達比が固定されている場合には、伝達比制御モータ14のロータ14aの回転に連動して入力軸18および出力軸19が一体回転する結果、反力補償モータ15のロータ15aも一体回転する。すなわち、ロータ14aとロータ15aとは、連動回転する。
例えば、上記実施形態では、車両のイグニッションオン直後に、第1判定部50および第2判定部51が伝達比の固定の有無を判定する構成としたけれども、これに限定されない。例えば、車両が直進走行しているときに、第1判定部50および第2判定部51が伝達比の固定の有無を判定してもよい。
なお、所定の基準値θb2は、所定の数値範囲を有していてもよく、例えば所定の基準値θb2は、車両の直進走行時における基準値θb2=ゼロ(deg)として、ゼロ(deg)±数(deg)の範囲を有するようにしてもよい。
次いで、第1判定部50および第2判定部51によって、伝達比が固定されているか否かが判定される(ステップT3)。ステップT3では、図4に示す処理が行われ、且つ、図5に示す処理が行われる。
このように、操舵制御部38は、車両が直進状態にあると判定されたときに(ステップT1でYES)、伝達比が固定されているか否かを判定するようになっている。伝達比制御モータ14や反力補償モータ15が駆動されていない車両の直進状態において、第1判定部50および第2判定部51によって、伝達比が固定されているか否かを判定することができる。したがって、伝達比制御モータ14や反力補償モータ15を有効活用できる。また、車両が転舵している最中に、伝達比の判定のために伝達比制御モータ14を駆動させると、操舵フィーリングに影響を与え易い。これに対し、車両の直進走行時に伝達比の判定のために伝達比制御モータ14を回転させても、操舵フィーリングに与える影響は少ない。したがって、伝達比の判定に関連して操舵フィーリングが損なわれることを抑制できる。
また、各上記実施形態では、第1判定部50は、伝達比制御モータ14を回転させることで、伝達比が固定されているか否かを判定したけれども、これに限定されない。例えば、所定のモータとして反力補償モータ15を回転させたときの第1レゾルバ31a(伝達比制御モータ14)の回転角度θaを用いて、伝達比が固定されているか否かを判定してもよい。
図8に示すように、ロック部材62による伝達比の固定(キャリア57のロック)が解除された(ステップS2)後、反力制御部47は、反力補償モータ15のロータ15aを一方向に第1所定角度θb3回転させる制御を行う(ステップS9)。第1所定角度θb3は、例えば、数(deg)〜100(deg)である。そして、この制御に伴う伝達比制御モータ14のロータ14aの回転角度を検出する。具体的には、操舵制御部38は、ステップS9の制御を行ったときの第1レゾルバ31aの検出値(検出値の変化量)θa3を取得する(ステップS10)。
第2判定部51は、第1レゾルバ31aの検出値θa=θa4であるときのマップでのトルクT(θa4)と、トルクセンサ30の検出値T1とを比較することで、伝達比可変機構13の伝達比が固定されているか否かを判定する。
また、第1センサ、第2センサおよび第3センサとしてレゾルバを用いる構成を例示したけれども、これに限定されない。第1〜第3センサとして、対応するモータ14,15,21の回転位置を検出可能な他の一般のセンサを用いてもよい。
さらに、各上記実施形態では、ステアリングシャフト3の出力軸19から転舵機構9に操舵補助力を負荷するコラムアシストタイプの操舵補助機構12を説明したけれども、これに限定されない。例えば、ピニオン軸7やラック軸8から転舵機構9に操舵補助力を負荷する構成でもよい。
Claims (6)
- 操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
前記伝達比可変機構の前記伝達比を変更するための伝達比制御モータと、
前記伝達比制御モータの回転位置を検出する第1センサと、
前記伝達比可変機構に係合することにより前記伝達比を固定するためのロック部材、および前記ロック部材を前記伝達比可変機構に係合する第1位置と前記伝達比可変機構との係合が解除された第2位置とに変位可能に支持する支持装置を含むロック機構と、
前記伝達比可変機構の動作による前記操舵部材の操舵反力を補償するための反力補償モータと、
前記反力補償モータの回転位置を検出する第2センサと、
前記伝達比制御モータ、前記ロック機構および前記反力補償モータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記伝達比が固定されているか否かを判定する第1判定部を含み、
前記第1判定部は、前記ロック部材が前記第2位置にあり、且つ前記伝達比制御モータおよび反力補償モータの何れか一方からなる所定のモータが第1所定角度回転された場合において、前記伝達比制御モータおよび反力補償モータの何れか他方に対応するセンサの検出値と前記第1所定角度との差が所定角度(ゼロを含む)以下のとき、前記伝達比が固定されていると判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記操舵部材に作用するトルクを検出するトルクセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記伝達比が固定されているか否かを判定する第2判定部を含み、
前記第2判定部は、前記ロック部材が前記第2位置にあり、且つ前記伝達比制御モータが第2所定角度回転された場合において、前記トルクセンサの検出値の変化量が所定トルクを超えているとき、前記伝達比が固定されていると判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記操舵部材に作用するトルクを検出するトルクセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記伝達比が固定されているか否かを判定する第2判定部を含み、
前記第2判定部は、前記ロック部材が前記第2位置にあり、且つ前記伝達比制御モータが所定の回転位置にある場合において、前記トルクセンサの検出値が所定トルクを超えているとき、前記伝達比が固定されていると判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜3の何れか1項において、前記制御部は、車両が直進状態にあるか否かを判定する第3判定部を含み、
前記制御部は、車両が直進状態にあると判定されたとき、前記伝達比が固定されているか否かを判定することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜4の何れか1項において、前記制御部は、前記伝達比が固定されていると判定したときに、前記ロック部材の前記第1位置への変位を禁止させることを特徴とする車両用操舵装置。
- 操舵部材の操舵に応じて回転する入力軸と転舵機構の動作に連動して回転する出力軸との間に介在し、入力軸および出力軸間の伝達比を変更可能な伝達比可変機構と、
前記伝達比可変機構の前記伝達比を変更するための伝達比制御モータと、
前記伝達比可変機構に係合することにより前記伝達比を固定するためのロック部材、および前記ロック部材を前記伝達比可変機構に係合する第1位置と前記伝達比可変機構との係合が解除された第2位置とに変位可能に支持する支持装置を含むロック機構と、
前記伝達比可変機構の動作による前記操舵部材の操舵反力を補償するための反力補償モータと、を備える車両用操舵装置の伝達比判定方法において、
前記ロック部材が前記第2位置にあり、且つ前記伝達比制御モータおよび反力補償モータの何れか一方からなる所定のモータが第1所定角度回転された場合において、前記伝達比制御モータおよび反力補償モータの何れか他方の回転角度と前記第1所定角度との差が所定角度(ゼロを含む)以下のとき、前記伝達比が固定されていると判定することを特徴とする車両用操舵装置の伝達比判定方法。
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