JP2011238717A - 全波整流型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】変換効率の高い太陽電池を作ることをその課題とした。
【解決手段】自己相似形状を持つ微小な受光片を放射状に配備し、その中心部分に2系統の電極を設け、それぞれの受光片ごとに放射状部分の中心に近い部分をPN半導体層を介して2系統の電極の一方に、同一受光片の放射状部分の中心に近い別の部分をNP半導体層を介してもう一方の電極に接続してマイクロセルを構成し、該マイクロセルをそれぞれのマイクロセルが接触することが無いように一平面上に多数配備し、これらのマイクロセルを直列及び並列に接続する構造とした。受光片が自己相似形状を持つために広い波長範囲にわたる光を捉えることが出来、且つ、受光片が放射状に配備されているためさまざまな方向に偏光した光を捉えて全波整流することが出来るため、変換効率の高い太陽電池を得ることが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池に関するものである。
最近、地球温暖化防止の観点から、風力、太陽熱、太陽光等、温暖化ガスを放出することがなく環境破壊を起こす恐れのない自然エネルギーが注目されている。本発明はこれら自然エネルギーの中の太陽光を利用する太陽電池に関するものである。
現在一般的に用いられている太陽電池はシリコンを使用したものであるが、光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率はそれほど大きなものでなくその据付に当たっては相当広い面積を必要とするものである。
従来の太陽電池は上記のように変換効率が低く、シリコンを使用した太陽電池では世界最高といわれるものであっても25〜26%程度、市販されている一般品では15〜16%程度である。太陽電池の変換効率が高いと、工事費、据付面積が少なくてすみ有利であることは明らかである。このため変換効率の高い太陽電池を作ることをその課題とした。
従来の太陽電池は半導体のPN接合を利用して電気を得るものであるが、本発明にあっては受光片に発生する高周波電流を半導体のPN接合面とNP接合面を使って全波整流して直流にすることで、変換効率の高い太陽電池を得るものである。
本発明によって太陽電池の変換効率が上がり、据付面積の低減、工事費の低減が期待できる。
マイクロモジュールの拡大図 マイクロセルの拡大図 マイクロエレメントの回路図 マイクロセルの電極構造の拡大図 マイクロセル中心部の拡大図 図5のA−A断面図
以下、本発明になる全波整流型太陽電池の詳細な実施の形態を、図面およびこれらに付した符号を引用して具体的に説明する。
本発明は、電磁波の一種である太陽光を平面上に設けた多数の受光片13に照射し、そこに発生する高周波電流を全波整流することによって直流電流を得んとするものである。
太陽電池の原理について、一般的には太陽電池内部にある価電子帯の電子が太陽光中の光子がもつエネルギーhνによってエネルギーの高い伝導帯に持ち上げられ、価電子帯の電子が抜けたところに正孔が生成し、光子がもつエネルギーhνによって生じたこれらの電子と正孔が電極に集められ光電流となって回路内を流れるものと説明されている。
しかし光線は電磁波の一種であることから、太陽光を照射することによって受光片13に高周波電流が発生し、この高周波電流を整流して直流電流を得ることができると考えることも出来る。本発明はこの考えの下に太陽光によって発生した高周波電流を全波整流することによって大きな出力を得るようにしたものである。
図1は本発明になる全波整流型太陽電池を構成するマイクロモジュール10の一部分の拡大図、図2はマイクロセル11の拡大図である。図1は正三角形が規則正しく並んでいるだけの単純な構造のように見えるがそうではなく、かなり複雑な構造を持ったものである。これの基本となるものは図2に示す正三角形の受光片13を6枚持つ正六角形をしたマイクロセル11であり、このマイクロセル11を直列及び並列に接続できるようにした配線を持つ絶縁性基板20(図6参照)の上に平面を覆い尽くすように規則正しく並べたものである。図1ではマイクロセル11は18個しか示していないが実際には1枚の絶縁性基板20の上に数百万から数千万個のマイクロセル11を乗せて数ミリ角のマイクロモジュール10を形成し、このマイクロモジュール10を数百個集めて一個のマクロスケールのセルとし、このマクロスケールのセルを数十個集めてマクロスケールのモジュールとするのである。このまとめ方は上記の数に限ったものではなく融通性があり状況に応じ変更することが可能である。
図3はこのマイクロセル11を構成する基本となるマイクロエレメント12を示した回路図である。マイクロエレメント12は、自己相似形状を持つ2枚の受光片13を対向させて図3の回路図に示すように組み立てられている。2枚の受光片13は広帯域ダイポールアンテナとして働き、受光片13が受けた光(電磁波)によって発生する高周波電流を中央の集電端に集め、4個のダイオード14で全波整流し、(+)電極15及び(−)電極16から直流電流として取り出すものである。受光片13は金属等の導電性に優れた材料を用いて蒸着やスパッタリング等の方法で作れば良く光透過性は必ずしも必要ではない。その形状を自己相似性を持つ形状とするのはこれにより広帯域性を持たせて広い波長範囲の光線に対応できるようにするためである。
マイクロエレメント12の寸法は、向かい合った2枚の受光片13の一方の底辺から他方の底辺までの長さが対象とする光(電磁波)の波長の半分から数倍の大きさ程度の極めて小さいものである。マイクロエレメント12の4個のダイオード14はそれぞれ図3に示すように2個ずつ(+)電極15と(−)電極16につながっている。もちろんこれらのダイオード14は電線で接続されているわけではなく後で説明するように立体構造によって接続されることになる。
このマイクロエレメント12を3組用意し、受光片13同士が接触することが無いように60度ずつずらせて組み合わせ図2に示す正六角形のマイクロセル11を構成する。このようにマイクロエレメント12を何組か組み合わせて受光片13を放射状に並べるのはこれによってさまざまな角度に偏光した光にも対応できるようにするためである。
本例ではマイクロエレメント12を構成する受光片13の形状は頂角を60度とする二等辺三角形(正三角形)であるが、受光片13の形状は正三角形に限ったものではなく受光片13の形状を頂角を45度とする二等辺三角形、頂角を36度とする二等辺三角形あるいは頂角を30度とする二等辺三角形とすることも可能である。この場合マイクロセルは正八角形、正十角形あるいは正十二角形となりマイクロモジュールを構成する際にマイクロセルで埋めきれない空隙が若干残るが、面積比としては小さいものであり性能に大きな悪影響を及ぼすものではない。
1個のマイクロセル11を構成する受光片13の枚数についても、マイクロセル11はマイクロエレメント12を単位として構成するものであるという原則を厳密に守れば偶数になるが、受光片13の数が多くなると1枚の受光片と厳密に向かい合った位置に対になる受光片がなくてもその近辺の受光片がその代役を担うため受光片13の数は必ずしも偶数でなくても良く、マイクロエレメント12の半分の構造を基本単位としてこれを9個、11個、13個等、奇数個放射状に配備して1個のマイクロセル11を構成することも可能である。
次に電極の形状やダイオードの構成方法等、その構造の詳細な内容について説明する。
図4はマイクロセル11の中心にある電極を拡大して示したものである。マイクロセル11は放射状に配備された受光片13を持っているが、この放射状に配備された受光片13の中心に近い部分に2系統の電極が設けられている。図4に示す環叉状電極23と円盤状電極24がこれである。これらの電極は絶縁性基板20の上に形成されている。勿論基板には電極が1組だけあるのではなく、必要とする電圧及び電流に応じてマイクロセル11が直列及び並列に数百万から数千万個接続されるようにつくられている。それぞれの電極は図4の拡大図に示すように、引出し線25を持った一箇所を切り取った円環の中に、引出し線25を持った円板を入れ子状に置いたものである。
外側の環叉状電極23上にP型半導体スポット21を、内側の円板状電極24上にN型半導体スポット22を形成し、それぞれのスポットの上に外側の環叉状電極23上のスポットに対してはN型半導体スポット22を、内側の円板状電極24上のスポットに対してはP型半導体スポット21を、それらの上に乗せる受光片の位置に対応するように形成する。図4には示していないが半導体を設けなかった部分には絶縁層を設けて全体が半導体スポットと同じ高さになるようにする。この上に受光片を設けて図3のマイクロエレメント12の半分が形成されることになる。
この工程によって受光片の放射状部分の中心に近い部分に受光片側をP型、電極側をN型としたPN半導体層を介して一方の電極に接続されると共に、同一の受光片の放射状部分の中心に近い別の部分に受光片側をN型、電極側をP型としたNP半導体層を介してもう一方の電極に接続されることになり図3に示したマイクロエレメント12の半分が形成されることになる。
この工程を受光片が放射状になるように電極の全周について行いマイクロセル11を形成する。さらにこのマイクロセル11を直列及び並列に接続してマイクロモジュール10を形成する。マイクロセル11及びマイクロモジュール10を形成するに当たっては受光片が他の受光片と接触することが無いように注意することが必要である。
図5は半導体スポットを形成した電極の上に6枚の受光片13を放射状に載せたときの中心部の構造を示した拡大図である。この図においても図がわかり難くなるため絶縁層は表示していない。
図6はこの中心部の構造をさらに理解しやすくするため図5のA−Aの部分の断面を示した断面図である。図中、26は図4及び図5で表示しなかった絶縁層である。
この断面図より明らかなように環叉状電極23の上にP型半導体スポット21さらにその上にN型半導体スポット22が形成されており、この部分がダイオードとして働き受光片13に発生する高周波電流を整流するわけである。円板状電極24についても極性は逆になるが同様のことが言える。受光片13はその端部においてPN接触面とNP接触面の双方に接続されて図3に示した回路が形成され、高周波電流が全波整流される。この場合円盤状電極が(+)極に環叉状電極23が(−)極になる。
マイクロセル11の電極を図4のように一部を切り欠いた円環と円板で入れ子状にして上下に引出し線25をつけた構造にするとマイクロセル11を直列に接続することが非常に簡単になる。なお、円環と円板は一例としてあげたものでありこれを円形でなく多角形としても何ら問題は無い。この円環と円板は受光片13の集電端が出来るだけマイクロセル11の中央に近づくようにすることが望ましい。
半導体スポットは上記の例とは逆に、外側の環叉状電極上にN型半導体スポットを、内側の円板状電極上にP型半導体スポットを形成し、それぞれのスポットの上に外側の環叉状電極上のスポットに対してはP型半導体スポットを、内側の円板状電極上のスポットに対してはN型半導体スポットを形成しても良い。このように上層と下層を入れ替えると当然のことながら出力の極性は逆になる。
始めに述べたように、このように構成されたマイクロセル11を図1に示したように亀の甲状に並べ、必要とする電圧及び電流に応じて直列・並列に数百万から数千万個接続してマイクロモジュール10を形成する。さらに目的とする電力が得られるようにこのマイクロモジュール10を必要枚数接続してマクロスケールのセルを作り、このマクロスケールのセルを必要枚数接続して透明な保護層を設けてマクロスケールのモジュールとし屋根等に設置することになる。
本発明による太陽電池の特徴は全波整流するため出力が大きくなることのほか、透明電極を必要としないため高価なインジウムが不要となること、受光片13の形状を自己相似形として広帯域性を持たせてあるため広い範囲にわたる波長の光を電気に変換することが出来ること、受光片13を放射状に配備してあるためさまざまな角度に偏向した光を電気に変換することが出来ること等がある。ただ、従来の太陽電池では平面上に均一な層を設ければよかったが本発明ではICの製造に近い工程が必要になるというデメリットも存在する。
また出力については通常の太陽電池ではP型半導体と接触する電極が(+)に、N型半導体と接触する電極が(−)になるが、本発明になる太陽電池ではP型半導体と接触する電極が(−)に、N型半導体と接触する電極が(+)となり通常の太陽電池とは逆になるので注意が必要である。
本装置は太陽電池として使用することを意図して開発したものではあるが、マイクロエレメント12の寸法をマイクロ波の波長に対応できるように大きくすればマイクロ波の電力輸送に使用するレクテナ装置とすることも可能である。
10 マイクロモジュール
11 マイクロセル
12 マイクロエレメント
13 受光片
14 ダイオード
15 (+)電極
16 (−)電極
20 絶縁性基板
21 P型半導体スポット
22 N型半導体スポット
23 環叉状電極
24 円板状電極
25 引出し線
26 絶縁層

Claims (2)

  1. 導電性に優れた材料からなる自己相似形状を持つ微小な受光片をそれぞれの受光片が接触することが無いように放射状に配備し該受光片に発生する高周波電流を全波整流して直流電流を取り出す全波整流型太陽電池であって、放射状に配備された受光片の放射状部分の中心部分に2系統の電極を設け、それぞれの受光片ごとに放射状部分の中心に近い部分を受光片側をP型半導体とし電極側をN型半導体としたPN半導体層を介して2系統の電極の一方に接続すると共に、同一受光片の放射状部分の中心に近い別の部分を受光片側をN型半導体とし電極側をP型半導体としたNP半導体層を介して2系統の電極のもう一方に接続してマイクロセルを構成し、該マイクロセルをそれぞれのマイクロセルが接触することが無いように一平面上に多数配備し、これらのマイクロセルを直列及び並列に接続する構造とした全波整流型太陽電池
  2. 中心部分に設ける2系統の電極として、円板状電極もしくは多角形板状電極と、一部を切り欠いた円環もしくは一部を切り欠いた多角形環からなる環叉状電極を入れ子状に設けた請求項1に記載の全波整流型太陽電池。
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