JP2011233870A - 半導体発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】主として横方向に光を出射するチップの光取出しを最大限に活用できる半導体発光装置を提供する。
【解決手段】この半導体発光装置は、半導体発光素子、ケース部、および封止材を有する。半導体発光素子は、基板、半導体層部、および電極部を有し、かつ素子全体の最大物理厚みがtemaxであり、ケース部は、半導体発光素子を内包するための凹部を有し、その凹部の素子実装面までの深さDはtemax<Dを満たす。半導体発光素子は、凹部の開口方向と、基板主面の方向とが略同じになるように搭載されており、前記封止材は、前記基板主面が向いている方向に対して凸部を有するように形成されている。当該半導体発光装置を、空気中で、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見た際に、前記凸部を通じて、半導体発光素子の側壁の少なくとも一部が視認できることを特徴とする。
【選択図】図1A

Description

本発明は、半導体発光装置に関し、詳しくは、主に横方向に光を出射するチップの光取出しを最大限に活用できる半導体発光装置に関する。
青色発光素子や紫外線発光素子は、適切な波長変換材料との組み合わせにより白色光源とすることができる。このような白色光源は、液晶ディスプレイなどのバックライト、発光ダイオードイルミネーション、自動車用照明、あるいは蛍光灯に替わる一般照明などとしての応用が盛んに研究されてきており、その一部は既に実用化されている。
現在では、このような発光素子は主として、半導体発光素子(LED)により実現されている。半導体発光素子(以下、単に「発光素子」と称することがある。)は、通常、サファイア基板上に形成されたGaN系材料によって実現されている。中でも、基板の主面方向から投影された平面形状が略正方形をしているものが主流である。また、サファイア基板上に形成されたAlGaInN系半導体層部を有する発光素子は、サファイア基板が非常に硬い材料であるために、素子分離が容易でないことから、発光素子に内在するサファイア基板の厚みは100μm前後のものが主流である。
一方、GaNやAlNなどの窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部をエピタキシャル成長し、半導体層部内の低転位密度化をはかり、発光素子の高出力化、高効率化を目指す試みもなされている。また、発光素子構造を工夫することで光取り出し効率を向上させる試みもなされてきた。
主にGaN基板上に形成された半導体発光素子において、従来開示されている光取り出し効率の向上方法には、以下のようなものがある。例えば、発光層から法線方向(垂直方向)への光を効率よく取り出すための発光素子構造の工夫は、特許文献1(特開2006−100787)に開示されている。ここでは、発光層から法線方向への光を効率よく取り出すために、LED素子の表面、すなわち、基板裏面あるいは基板を剥離して露出させた半導体層に、所定の光学形状を施して、屈折率が1.6以上の封止材料により封止し、前記所定の光学形状は、前記LED素子の発光層と略同等の屈折率を有する基板、または剥離して露出させた半導体層に形成されている発光装置が開示されている。また、ここでは、n1をLED素子の発光層の屈折率、n2を封止材料の屈折率、wを素子幅として、発光層の法線方向に光取り出しをすべく、前記基板を透光性材料層(厚みt)として、当該tが
w/(2tan(sin−1(n1/n2)))≦t
を満たす発光素子が開示されている。
特開2006−100787号公報
しかし、特許文献1の手段においては、GaNやAlNなどの窒化物基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子の本質的な高出力化・高効率化は十分ではなかった。つまり、特許文献1における、屈折率が1.6以上の封止材料により封止し、活性層の垂直方向への光取り出し効率を向上させる試みにおいては、次の理由で本質的に十分ではない。すなわち、後述するように本発明者らは検討により、基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子においては、活性層構造の平行方向に近い方向に内部発光強度の強い方向があることを見出した。そして、例えば、基板が窒化物で活性層等の半導体層部と基板の屈折率差が大きくない場合においては、活性層発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が、本質的に優れた方法であることを見出した。このため、活性層の垂直方向への光取り出し効率を向上させる特許文献1の試みは、活性層の平行方向に近い方向に出射される内部発光を効率的に取り出す方法に比較して本質的に十分ではなかった。
本発明者らの検討によって素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が本質的に優れた方法であることが見出されたのであるが(詳細後述)、このような新規半導体発光素子から、より効率的に、特徴的な配光特性を生かした状態で光を取り出す、あるいは、さらに加工度の高い照明用光源等にこれらを応用するためには、従来からの一般的なモールド形状では十分でなく、特有のモールド形状が必要である。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、主に横方向に光を出射するチップの光取出しと配光特性を最大限に活用できる半導体発光装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、基板上にAlGaInN系半導体層部を有する発光素子においては、活性層構造の平行方向に近い方向に内部発光強度密度の強い方向があることを見出した。そして、例えば基板が窒化物基板、さらにはGaN基板、AlN基板、AlGaN基板等を用いており、半導体層部がAlGaInN系からなり、活性層と基板の屈折率差が大きくない場合においては、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させる方法が、本質的に優れた方法であることを見出した。さらに壁面からの光取り出し効率向上のためには、当業者の技術常識を大幅に越える基板の物理厚みが必要であることを見出した。このような半導体発光素子からの光を効率的に取り出し、かつ、特徴的な配光特性を生かすことが可能な本発明の半導体発光装置は下記のとおりである。
即ち、本発明の要旨は以下に存する。
1.半導体発光素子、前記半導体発光素子を搭載するためのケース部、および封止材を有する半導体発光装置であって、
前記半導体発光素子は、基板、光を発する活性層構造を含む半導体層部、および電極部を有し、かつ半導体発光素子全体の最大物理厚みがtemaxであり、
前記ケース部は、前記半導体発光素子を内包するための凹部を有し、前記凹部の半導体発光素子実装面までの深さDがtemax<Dを満たし、
前記封止材は、少なくとも前記半導体発光素子の一部と前記ケース部の一部とに接して配置され、
前記半導体発光素子は、前記ケース部の凹部の開口方向と、前記基板主面が向いている方向とが略同じ方向になるように搭載されており、
前記封止材は、前記基板主面が向いている方向に対して凸部を有するように形成されており、
当該半導体発光装置を空気中で、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見た際に、前記封止材の前記凸部を通じて、前記半導体発光素子の側壁の少なくとも一部が視認できることを特徴とする半導体発光装置。
上記1.において、「視認できる」とは、封止材がもたらす光の屈折作用によって、半導体発光装置中の半導体発光素子を視認可能な状態にあることをいう。すなわち、この「視認できる」には、(i)封止材が透明であり実際に内部の半導体発光素子を見ることができる状態と、(ii)封止材に蛍光体等が含有されており実際には内部の半導体発光素子は見ることはできないが、蛍光体等が含有されていないとしたら内部の半導体発光素子を見ることができる状態との両方が含まれる。また、視認性を規定するためには、半導体発光装置がどのような周辺の屈折率環境に設置されるかも重要であるが、ここでは、常識的な環境である室温、常圧の空気中に設置され、視認性が容易に確認可能であることを想定しており、この際の屈折率は略1であって、真空中設置ともほぼ同じ屈折率環境である。
本発明の半導体発光装置は次のようなものであってもよい。
・前記ケース部が、単体のパッケージ用部品から構成されている半導体発光装置。
・前記ケース部が、少なくとも、前記半導体発光素子の直下に位置するサブマウントと、前記サブマウントの直下に位置するパッケージ用部品で構成される半導体発光装置。
・前記ケース部の凹部に、反射材および蛍光体の一以上を有する半導体発光装置。
・前記ケース部の凹部が1つであって、前記凹部に搭載された前記半導体発光素子が1つである半導体発光装置。
・前記ケース部の凹部が2以上であって、各凹部に搭載された前記半導体発光素子がそれぞれ1ずつである半導体発光装置。
・前記ケース部の凹部が1つであって、前記凹部に搭載された前記半導体発光素子が2以上である半導体発光装置。
・前記ケース部の凹部が2以上であって、前記凹部の少なくとも1以上に搭載された前記半導体発光素子が2以上である半導体発光装置。
2.前記半導体発光素子の前記基板および前記半導体層部の最大物理厚みtが150μm以上である、上記1に記載の半導体発光装置。
3.前記基板が下記式1を満たす上記1または2に記載の半導体発光装置。
式1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(但し、
λは、前記半導体発光素子が発する光のピーク波長(nm)を表し、
は、前記基板の最大物理厚みを表し、
scは、前記基板の主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
(λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
4.前記半導体発光素子が、
当該素子が内在する基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在するものである、上記1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置:
−90.0度 < θem max ≦−67.5度
67.5度 ≦ θem max < 90.0度
5.前記半導体発光素子が、
当該素子が内在する基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在するものである、上記1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
−90.0度 < φem max ≦−32.5度
32.5度 ≦ φem max <90.0度
6.前記基板が窒化物である、上記1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
7.前記ケース部の前記凹部の半導体発光素子実装面までの深さDが、
500μm≦D≦5mm
である、上記1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
8.前記封止材が前記ケース部の凹部の開口方向に対してなす凸部の物理高さを、前記ケース部から凸状に形成され前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見込むことが可能な封止材部分の物理高さXphと定義し、
これに対応する光学高さをXopとし、
前記半導体発光素子が発する光のピーク波長をλ(nm)とし、
封止材の波長λにおける屈折率をn(λ)とした際に、
以下の式のいずれかを満たしている、上記1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光装置:
800(μm) ≦Xph≦1900(μm) 式2
1040(μm)≦Xop≦3420(μm) 式3
1.3 ≦n(λ)≦1.8 式4
・式2−4のすべてを満たす半導体発光装置。
9.前記半導体発光装置を空気中で、前記ケース部の凹部の開口方向から前記半導体発光素子を観察した場合に、
半導体発光素子の投影形状の任意の部分の物理長さaに対して、それに対応する部分の視認される長さbが、以下の関係を満たす、上記1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光装置:
1≦b/a<1.25
10.上記1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置と、前記半導体発光素子が発する光により励起されて蛍光を発する蛍光体を含む蛍光体層とを備える発光モジュールであって、前記蛍光体層は前記凸部と離間して、かつ、前記凸部を覆うように配置されていることを特徴とする発光モジュール。
本発明によれば、主に横方向に光を出射するチップの光取出しと配光特性を最大限に活用できる半導体発光装置を提供することができる。
本発明の半導体発光装置の一例を示す断面図である。 図1Aの装置のうち半導体発光素子の部分を簡略化して表した図である。 空気中に設置した半導体発光装置を水平方向から見た様子を示す側面図である。 半導体発光素子の任意の部分の物理長さと、空気中に設置した半導体発光装置を垂直方向から見た際に、封止材を通じて見たときのその長さに対応する部分の視認される長さとの関係を示す一例である。 本発明の一形態の半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。 量子井戸層および障壁層を示す図である。 内部発光プロファイルを求めるためのモデルである。 内部発光プロファイルを説明するための図である。 内部発光プロファイルを説明するための図である。 半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。 図6Aの側面図である。 光の挙動を示す図である。 光の挙動を示す図である。 光の挙動を示す図である。 平面形状が四角形の半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す図である。 平面形状が六角形の半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す図である。 外部発光プロファイル等を説明するための図である。 角度βで傾斜した最遠側壁部を説明するための図である。 第2導電型半導体層の厚みを0〜150nmの範囲で変化させたときの内部発光プロファイルを示すシミュレーショングラフである。 第2導電型半導体層の厚みを150〜500nmの範囲で変化させたときの内部発光プロファイルを示すシミュレーショングラフである。 実施例1で作製した半導体発光装置の特性を示すグラフである。 実施例2で作製した半導体発光装置の特性を示すグラフである。 実施例1、実施例2におけるモールド時上昇率を示す表である。 実施例1で使用した半導体発光素子単体の配光特性を示す実験結果である。 実施例1と比較例1で試作した発光装置の配光特性を示す実験結果である。 実施例1と比較例1で試作した発光装置と、蛍光体成型体とを備えた白色発光モジュールの配光特性を示すシミュレーション結果である。 実施例1と比較例1で試作した発光装置と、蛍光体成型体とを備えた白色発光モジュールの配光特性を示すシミュレーション結果である。
〔半導体発光装置〕
図1Aは本発明の半導体発光装置の一例を示す断面図である。まず、本発明の一例である半導体発光装置の基本的な構成について説明する。
図1Aの半導体発光装置1は、半導体発光素子そのものを空気中に設置した場合の主たる光取り出しが発光素子側壁からなされるサイドエミッションタイプの半導体発光素子10(詳細後述)を搭載している。半導体発光装置1は、例えばフリップチップ実装される半導体発光素子10と、その半導体発光素子10を搭載するための凹部が形成されたパッケージ用部品103と、発光素子10を覆う封止材106を有している。
パッケージ用部品103には、半導体発光素子10全体が収まる程度の深さに形成された凹部104が形成されている。この凹部104内に、半導体発光素子10がフェースダウンで半田またはバンプ102a、102bを介してサブマウント101と電気的に接続されている。図1Aの例では、サブマウント101は、プリント配線を有するパッケージ用部品103と接続されている。
半導体発光素子10の各部については再度詳しく説明するが電極部を除く最大物理厚みt(詳細は図6A等を参照して後述する)は、一例として、150μmであることが好ましく、250μm以上であることがより好ましく、350μm以上であることがさらに好ましく、450μm以上であることがさらに好ましく、650μm以上であることがさらに好ましく、800μm以上であることがさらに好ましい。また、第一導電型側電極、第二導電型側電極部の総称を電極部とするが、半導体発光素子全体、すなわち、基板、半導体層部、電極部全体における最大物理厚みはtemaxとする(図1A、図1B、図4Aを参照)。
凹部104の半導体発光素子実装面までの深さD(図1A参照)は、500μm≦D≦5mmの範囲内であることが好ましい。凹部104の深さDが500μmより浅い場合、半導体発光素子10の厚みによっては当該素子の上部が凹部から上方に突出することとなり、適切な封止材形状を実現しにくくなる場合がある。一方、凹部104の深さDが5mmを超える場合、パッケージ用部品のサイズ(厚み)が大型化し、製造コスト等の観点から好ましくない。
なお、半導体発光素子実装面とは、半導体発光素子を実装する面を指し、バンプを介して半導体発光素子をサブマウントに接続する場合などには、バンプと電極部との接触面を指す。また、半導体発光素子を直接パッケージ部品底面にハンダ等を介して接続する場合などには、ハンダ材と電極部との接触面を指す。すなわち、半導体発光素子実装面は、電極部との接触面と解することができる。
本発明においては、半導体発光素子全体、すなわち、基板、半導体層部、電極部全体における最大物理厚みはtemaxと、半導体発光素子実装面までの深さDとの間には、temax<Dが成り立っている。これは、以下のような重要な意味を有している。
本発明においては、封止材等によるモールドを行う前の状態、すなわち、半導体発光素子とパッケージ部材等を一体化させた後に、基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見ると、半導体発光素子は一切視認できない。このような状況においては、あらゆる粘性の封止材を半導体発光素子、パッケージ部材の適切部分に容易に滴下/付与できる。換言すると、もし半導体発光素子が、モールド前に、基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から視認できる状況であったとすると、特に低粘度封止材等を用いる場合には、半導体発光素子の一部または全部が露出してしまい、適切なモールドができなくなってしまう。このために、temax<Dであることは重要である。
一方、temax<Dである場合には、特に半導体発光素子から主として水平方向に近い角度で出射される光に対しては、パッケージ部材等の側壁部分に遮蔽されがちであるので、本発明のように、モールド形状を制御することが重要となる。すなわち、モールド後の当該半導体発光装置を空気中で、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見た際に、前記封止材の前記凸部を通じて、前記半導体発光素子の側壁の少なくとも一部が視認できるようにすることが重要となる。
凹部104は、平面状(一例)のパッケージ部品底面105bと、その底面105bの外周部から立ち上がるパッケージ部品側壁105a(この場合は傾斜している傾斜壁)を有している。このパッケージ部品側壁105aの形状は、活性層構造18(詳細下記)に平行な方向に内部発光強度密度の最大値を有する半導体発光素子10の内部発光プロファイルを効果的に利用できるように設計されている。一例として、パッケージ部品側壁105には反射材料が用いられていてもよい。
半導体発光素子10の詳細な構造については、別の図面を参照して再度説明するが、図1Aに示すように、半導体発光素子10は、その第一導電型側電極27aおよび第二導電型側電極27bのそれぞれが、導電性材料からなる半田またはバンプ102a、102bを介してサブマウント101上に搭載されている。
凹部104には、封止材106が充填され半導体発光素子10を覆っている。この封止材106は、一例として、半導体発光素子10の光取り出し効率向上の観点から設けられている。その材料としては、より詳細には後述するが、シリコーン系封止材、高屈折率シリコーン組成物封止材、およびガラス封止材のいずれか1以上を用いることが好ましい。封止材には、半導体発光素子の波長を変換する目的で、1種以上の蛍光体が含有されていてもよい。
なお、本明細書においては、図1Aに示すような、パッケージ用部品103にサブマウント101、あるいは必要に応じてハンダ材、バンプ等が設けられた状態のものを「ケース部」と称する。「ケース部」としては、サブマウント101などを有さず、単体のパッケージ部品103で構成されるものであってもよい。
図1Aでは、フリップチップ型構造で半導体発光素子を搭載した一例が描かれているが、例えば、フェイスアップ型または上下導通型構造で半導体発光素子が搭載されていてもよい。
本実施形態の半導体発光装置1においては、図1A、1Bに示すように、封止材106はパッケージ用部品103の上面より盛り上がるように形成されており、封止材106の上面は曲面となっている。すなわち、封止材106は、凹部104の開口方向に対して凸部を有するように形成されている。
具体的には、この凸部は、図2(a)に示すように半導体発光装置1を、例えば空気中で、基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見た際に、光を屈折させる作用によって、内部の半導体発光素子10の側壁の少なくとも一部が視認されるような形状に形成されている。
封止材106の高さが低すぎても高すぎても、内部の半導体発光素子10は視認することができない。例えば、封止材106を、図2(b)に示すように単に半球状(一例)に形成した場合、半導体発光素子10が水平方向から視認されることはない。この理由は、本発明で用いられるような屈折率の封止材(詳細後述)で図2(b)のような形状とした場合には、封止材の高さが高すぎるためである。このように、封止材の高さが高すぎる場合には、半導体発光素子10からの光は非常に効率的に取り出すことはできるものの、封止材の形状に起因するレンズ効果によって、発光装置の配光特性は半導体発光素子の配光特性とは大きく異なるものとなってしまう。例えば、後述するような基板主面よりも側壁からの発光強度が強く比較的広い配光特性を有する半導体発光素子を用いて、封止材が半球状である発光装置を構成した場合には、半導体発光素子の側壁から発せられた光の多くは封止材から出射される際に基板主面が向いている方向に光が曲げられ、比較的狭い配光特性を有する発光装置となってしまう(これについては実施例として図12を参照して後述する)。このように、半導体発光素子10の側壁を視認することができないような構成としてしまうと、特徴的な配光特性を有する半導体発光素子を用いても、その配光特性を生かした発光装置にすることはできない。
これに対して、本実施形態のように半導体発光素子10の側壁の少なくとも一部が視認できる構成とすることにより、後述するサイドエミッションタイプの半導体発光素子10からの光を非常に効率的に、かつ、特徴的な配光特性を生かした状態で取り出すことが可能となる。具体的には、後述するような基板主面よりも側壁からの発光強度が強い半導体発光素子を用いて本発明の発光装置を構成した場合には、半導体発光素子由来の配光特性を生かして、比較的広い配光特性を有する発光装置とすることができる。
一例として、封止材106の凸部の物理高さXphは下記のような範囲であることが好ましい。この結果は、サイドエミッション型の半導体発光素子を用いて種々の実験を繰り返した結果である。
800(μm)≦Xph≦1900(μm)
ここで、「物理高さXph」とは、図1Aに示すように、パッケージ用部品103の上面から封止材106の凸部の頂部までの高さをいう。
また、封止材106の光学高さXopは下記のような範囲であることが好ましい。
1040(μm) ≦Xop≦3420(μm)
ここで、「光学高さXop」とは、上記物理高さXphに封止材106の屈折率n(λ)を乗じた値をいう。なお、λは半導体発光素子が発する光のピーク波長(nm)である。
なお、封止材106の具体的な材質、屈折率等については後で再度説明する。
図3は、半導体発光素子10の任意の部分(この例では、素子外周部の一辺)の物理長さaと、半導体発光装置を、例えば空気中で、封止材106を通じて見たときの長さaに対応する部分の視認される長さbとの関係を示す平面図である。図3(a)は半導体発光素子10のみを示し、図3(b)は封止材106を通じて半導体発光素子10を見た状態を示している。これらの長さa、bは、下記の関係を満たすことが好ましい。
1≦b/a<1.25
1≦b/a<1.15
1≦b/a<1.10
1≦b/a<1.08
1≦b/a<1.05
なお、図3において垂直方向は紙面垂直方向である。また、図3では水平方向を上下方向の矢印で示しているが、紙面面内のいずれの向きも水平方向である。なお、「垂直方向」とは「基板主面が向いている方向」と同義であり、「水平方向」とは「基板主面が向いている方向に対して垂直の方向」と同義である。
上記関係を満たす場合においては、半導体発光素子の側壁から出射された光は、封止材内、パッケージ部品、サブマウント等の半導体発光装置を構成する要素による内部反射が比較的少なくてすむ。内部反射は基本的に反射を繰り返すたびに放射エネルギーを損失するため、基本的には好ましくない。前述のb/aの関係を満たす場合においては、半導体発光素子の側壁から出射された光が比較的容易に、半導体発光装置の封止材の垂直方向だけにかたよることなく、封止材の水平方向に近い方向からも直接出射が可能であって、非常に好ましい。
半導体発光装置1においては、前述の通り、半導体発光素子の側壁から出射された光は、比較的容易に封止材の水平方向に近い方向から直接出射が可能であって好ましい。これに加えて、この半導体発光素子10の封止材中に対する外部発光プロファイル(詳細後述)を効果的に利用しつつ、光取り出し効率を向上させるようにパッケージ部品等が構成されることはさらに好ましい。例えば、活性層構造に平行に近い方向への光取り出しの中で、水平方向に近い方向から直接出射できない成分の光取り出しを効果的にするように、凹部104のパッケージ部品側壁105aの傾斜角が、半導体発光素子の外部発光強度密度の高い方向の光を外に取り出せるように設計されていることが好ましい。
また、例えば半導体発光素子10の発光による蛍光体の効果的な励起を目的として、半導体発光素子の外部発光強度密度の比較的高い方向に蛍光体が配置される様、設計されていることが好ましい。具体的には、蛍光体が前記パッケージ部品の凹部104の底に近い領域に分布するように、封止材を硬化させる工程において意図的に蛍光体を沈降させる工程を設けておくことなどが挙げられる。
また、半導体発光装置の凸部上に、前記半導体発光素子が発する光により励起されて蛍光を発する蛍光体を含む蛍光体層を設けて発光モジュールを構成してもよく、半導体発光装置の比較的広い配光特性を生かすためには、半導体発光装置の凸部と離間して、かつ、凸部を覆うように前記蛍光体層を設けて発光モジュールを構成することが好ましい。
さらに、半導体発光素子の側壁から出射された光の中で、水平方向に近い方向からも直接出射が可能でない成分に対して、例えば凹部104のパッケージ部品底面105bに、半導体発光素子10からの光を凹部開口側(図示上方)に向かって反射させる、反射材および蛍光体の一以上が設けられていてもよい。このような構成によれば、半導体発光素子10からの光をさらに良好に凹部開口側に出射することが可能となる。
次に、各部について詳細に説明する。
[1]半導体発光素子
本発明の半導体発光装置に用いられる半導体発光素子は、基板の主面上に半導体層部を有する半導体発光素子であって、当該基板は窒化物であることが好ましく、GaN、AlN、AlGaN等の単結晶であることがより好ましい。当該半導体発光素子は、具体的には、下記(1)〜(3)が特定の関係を有することを主要な要件とする。
(1)半導体発光素子のピーク発光波長λ
(2)基板の最大物理厚みt、または基板の最大物理厚みtと半導体層部の最大物理厚みtの和t
(3)基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lsc
この半導体発光素子は、横方向の光取出し効率を高めたサイドエミッションタイプの素子である。上記(1)〜(3)について特定の関係を満たす結果、Lscの長さに対する基板厚みとしては当業者の技術常識を大幅に越える物理厚みを有する基板を備えた形状となる。これにより、発光素子の側壁面からの光を取り出し効率を向上させ、絶対値として大きな全放射束、あるいは全光束を実現することができ、結果として高出力化、高効率化を達成することができる。
なお、半導体発光素子の平面形状としては、三角形、四角形、またはm角形(mは5以上の整数)であってもよいが、以下、平面形状が三角形のものを中心に説明し、四角形およびm角形については異なる部分を補足して説明する。
かかる半導体発光素子の主要な構成要件は、後述する通り、本発明者らが明らかにした自然法則を利用した技術思想が裏付けになるものである。以下、この半導体発光素子で利用する自然法則、およびそれを用いた技術思想(本願発明の構成要件)について詳述し、本発明の好ましい態様を例に挙げて詳述する。
[1−1]半導体発光素子の概要
図4Aに半導体発光素子の一例を示す。この半導体発光素子10は、窒化物基板12と、その面上に形成された半導体層部15と、第一導電型側電極27aおよび第二導電型側電極27bを含む電極部とを有する。窒化物基板12は、発光素子のピーク発光波長をλとした際に、波長λにおける屈折率がn(λ)で、その最大物理厚みがtである。
半導体層部15は、発光素子を構成しうる活性層構造16を有している。半導体層部15は、好ましくは、第一導電型半導体層17および第二導電型半導体層18のいずれか一方、または両方を有する。第一導電型半導体層、および第二導電型半導体層のいずれか一方、または両方は、コンタクト層、キャリアオーバーフロー抑制層などの各種の機能を有する層を任意に内在することができる。
以下では、半導体層部を構成する任意の層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)、半導体層部の最大物理厚みをtと記載する。また、半導体層部15が形成されている基板面を主面21と表現する。この主面21に垂直な方向にZ軸をとり、この方向を、後述する内部発光および外部発光等の方向の0度とする(図4A参照)。この主面21から活性層構造16の基板側界面までの最大の物理厚みをtとする。
半導体発光素子の「側壁部(側壁面)」とは、基板側壁部(側壁面)および半導体層側壁部(側壁面)のいずれを指す場合にも用いる。
「露出面」とは、主面、主面と対峙する面(12a)、壁面、例えば基板が加工されたりした際に露出する面、および、半導体層部15の加工された側壁面等も示し、半導体発光素子の周辺媒質との境界となる面をいう。通常、製造途中で複数の半導体発光素子10を1つの基板上に形成することが行われるが、この際に隣接した素子との分離によって形成される面を「分離面」ということもある。分離面はその結果、露出面となることもある。
「露出面形成」とは、任意の方法および任意の形態で露出面を形成することを示すが、特には、界面における臨界角内に入る光量を向上させ、光取出し効率を上げるためのニュアンスを有して使用することもある。
「凹凸加工」とは、任意の方法および任意の形態で凹凸を形成することを示すが、特には、光の散乱効果を上げるためのニュアンスを有して使用することもある。
なお、図4Bに示すように、半導体発光素子10が任意に有することができる活性層構造16は、量子井戸層31および障壁層33を有する量子井戸活性層構造であることが好ましい。
[1−2]この半導体発光素子において利用する自然法則、およびそれを用いた技術思想〔半導体発光素子の内部発光プロファイルに関わる自然法則の導き方〕
半導体発光素子10には、図4Aに示すように、第一導電型側電極27aと第二導電型側電極27bとが設けられている。これらの電極27a、27bから注入された電子と正孔が活性層構造16内で、例えば量子井戸活性層構造であれば量子井戸層内で再結合し、半導体発光素子10の内部に光を放射する。
電極はある程度の反射を持っているので、半導体発光素子10内における発光強度密度の角度分布は光学干渉効果に強く依存する。この発光強度密度の角度分布を、本発明では内部発光プロファイルと呼び、以下のように求めた。
無限に広いXY平面と、これに垂直なZ軸を仮定する。XY面内方向に広がる、基板主面21と略平行な多重量子井戸層の中の各量子井戸層部分を、電気双極子の平面的な集合(双極子面)と仮定する。双極子面において、双極子の向きはあらゆる方向に均一である。双極子から放射される光は、半導体発光素子10の中で、半導体層部各層(多重量子井戸層部分、第二導電型側半導体層、および第二導電型側電極など)や電極部分において多重反射および多重干渉等を受ける。その結果、素子10の内部における発光強度密度Jinは、放射方向(Z軸方向を0度として放射方向がZ軸方向となす角度をθemと記載する)に対し依存性を示すようになる。
内部発光プロファイルとは、この半導体発光素子の内部における発光強度密度(Jin)の放射方向(θem)依存性のことをいう。
なお、内部発光方向を規定する角度としては、Z軸方向となす角度θemと別に、発光方向のXY面への射影がX軸方向となす角度(方位角)がある。しかし、双極子の方向は等方的であることから、発光強度密度Jinの方位角依存性はないと考えてよい。
ところで、従来、半導体発光素子の設計においてなされてきた検討では、半導体発光素子の活性層部分から出射される光が「等方的な内部発光プロファイル」、すなわち、あらゆるθemにおいてJinが一定と仮定した上で、半導体発光素子の形状や層構成等について発明等が行われてきた。
しかしながら、本発明者らの検討により、これらの発明等は誤った内部発光プロファイルを前提とするものであることを見出した。そして、従来の検討では、半導体発光素子の高出力化、高効率化において十分な効果を奏するものではないことを見出した。すなわち、等方的であるべきは双極子の向きであって、この結果与えられる放射方向の内部発光プロファイルは等方的ではなく、非等方的となる。
平板電極と一つの均一な媒質からなる半空間において電極から距離dだけ離れた位置に存在する双極子面(双極子の配向は等方的)からの発光を考えると、内部発光プロファイルは次のように記述できる。
Figure 2011233870
ここで、
:双極子からの放射強度
:s偏光の電極表面反射における振幅反射係数
:p偏光の電極表面反射における振幅反射係数
δ :2πnd/λ
n:双極子面が存在する領域の波長λにおける屈折率
d:双極子面と電極との物理距離
λ:半導体発光素子のピーク波長
である。
さらに、多重量子井戸層における多重反射と多重干渉や、半導体層部15を構成する各種相間の多重反射と多重干渉などを考慮する場合には、特性マトリックス法を用いてJinを計算することが好ましい。
図5Aに、この半導体発光素子の内部発光プロファイルを求めるために用いたモデルの一例を図示する。ここで、半導体発光素子10内の活性層構造が量子井戸活性層構造と仮定する。図に示すように、量子井戸層31、即ち双極子面が、障壁層33、第二導電型半導体層18を挟んで第二導電型側電極27bまでの距離dの位置に存在している。
ある双極子から出射された光は、自分自身との干渉効果により非等方的となるが、異なる複数の双極子から出射された光は、お互いには干渉せず、全体の内部発光強度密度は、非等方的なそれぞれの光の内部発光強度密度を足し合わせたものとなる。異なるdの位置に発光層が存在する場合には、それぞれの発光層における双極子からの内部発光強度が強めあう方向と弱めあう方向が打ち消しあうことがあるが、本発明の検討によると、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有することで、ある特定の方向、すなわち活性層構造と平行な方向に近い方向には、常に強めあう結果、全体として、この特定の方向に最大値をもつ内部発光強度密度分布が得られることがわかった。
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による非等方的な内部発光プロファイル〕
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在し、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有することを仮定する。このような構造は実際に実現しうる構造である。等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルを計算すると、典型的には図5B(横軸が前記Z軸方向となす角度θem、縦軸が内部発光強度密度)のような特性、すなわち、非等方的な内部発光プロファイルとなる。
図4Aに示すように、第二導電型半導体層18の厚みや第二導電型側電極27bの反射率などの条件により変動はあるものの、内部発光強度密度の最大値を示す方向は、活性層構造と平行な方向に近い方向(θemが90°寄りの方向)である。このような活性層構造と平行に近い方向に内部発光強度密度が強くなる傾向は、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有する発光素子で、より顕著となる。
図5Bは、等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルが、本質的に非等方的になることを示している。即ち、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合には、次の自然法則が得られる。
「量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在し、例えば、後述する(式A)を満たすような量子井戸活性層構造を有する場合、等方的な向きを有する双極子放射により、非等方的な内部発光プロファイルとなり、活性層構造と平行に近い方向に内部発光強度密度が強くなる。」
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に過度な屈折率差が存在するか、または発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による等方的な内部発光プロファイル〕
上述のように、等方的な向きを有する双極子放射からの内部発光プロファイルは、本質的に非等方的になるが、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合、または発光層が適度な範囲を超えて厚い場合などには、図5Cに示すように、その程度が図5C中(a)、(b)、(c)の順に例示するように活性層構造と平行な方向に近い方向に内部的に出射された光の強度が弱まっていき、これらが過度になると最終的には図5C中の線(d)のようになる。
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間の屈折率差が大きくなると、活性層構造と平行に近い方向に出射された光ほど強く反射されるようになり、多重反射の結果、有限の反射率をもつ電極により吸収される。また、発光層の厚みが厚くなると、それぞれの双極子からの発光の足し合わせにおいて、活性層構造と平行に近い方向に出射された光も打ち消しあうようになる。その結果として、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合、または発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合は、次の自然法則が得られる。
量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間の屈折率差が適度な範囲を超えて大きくなった場合や発光層が過度な厚みをもつ場合などを想定した場合は、等方的な向きを有する双極子放射により、等方的な内部発光プロファイルとなる。
[1−3]半導体発光素子の好ましい態様
このように、この半導体発光素子は、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在するか、または発光層が適度な厚みを持つ場合などが好ましい。活性層構造は量子井戸活性層構造を有することが好ましく、これにより内部発光プロファイルは、活性層構造に平行な方向に内部発光強度密度の最大値を有する非等方的なものが実現できる。
本発明者らの詳細な検討によれば、このような活性層構造は、例えば量子井戸層と障壁層の間の屈折率差を適切に選択することによって実現可能である。また、量子井戸層と障壁層の繰り返し数を適切に選択すること、または、量子井戸層と障壁層の厚みを適切に選択することなどによって実現が可能である。
これらの数値は相互に関連するものであるが、好ましい実現手段として、以下を挙げることができる。第一に、量子井戸活性層構造および第二導電型半導体層の関係において、以下の式を満たすことが好ましい。
Figure 2011233870
ここで、
NUMQWは活性層構造に含まれる量子井戸層の数を表し、
QW(nm)は量子井戸層を構成する層の平均物理厚みを表し、
NUMBRは活性層構造含まれる障壁層の数を表し、
BR(nm)は障壁層を構成する層の平均物理厚みを表し、
(nm)は第二導電型半導体層の物理厚みを表し、
QW(λ)は量子井戸層を構成する層の波長λにおける平均屈折率を表し、
BR(λ)は障壁層を構成する層の波長λにおける平均屈折率を表し、
(λ)は第二導電型半導体層の波長λにおける平均屈折率を表し、
(λ)は前述のとおり基板の波長λにおける屈折率を表す。
第二に、量子井戸層は4層以上30層以下であることが好ましい。
第三に、活性層構造に含まれる量子井戸層の厚みの最大値が40nm以下であることが好ましい。
これらは、種々の検討の結果により得られたもので、相対的に屈折率の大きな量子井戸層が、活性層構造と平行に近い方向に出射された光を強く反射し、電極による吸収をもたらすことにならない条件であると考えられ、これらを満たすことで、現実的に実現可能で量子井戸層内における電子―正孔対の閉じ込めも考慮したうえで、活性層構造に平行な方向に高密度な光の放射方向を有する活性層構造を実現することが可能である。
〔量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間に適度な屈折率差が存在し、かつ発光層が適度な厚みをもつ場合などを想定した場合の、等方的な向きを有する双極子放射による非等方的な内部発光プロファイルを有する場合の詳細〕
半導体発光素子は、図5Bの様に内部発光プロファイルの中で非等方的であって、かつその内部発光強度密度の最大値が活性層構造に平行な方向に近い特性を有する。すなわち、半導体発光素子の内部発光方向(θem)に対する発光強度密度分布は等方的ではないことが好ましい。
ここで、半導体発光素子10の内部発光方向(θem)において、最大値を有する方向(θem max)は、活性層構造の平行方向に近い方向である。この内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する材料と各層の構造、電極材料とその構造によって変化する。
具体的には、内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する第一導電型半導体層、量子井戸活性層と障壁層を含む活性層構造、第二導電型半導体層、コンタクト層、任意に導入しうる各種構造、第一導電型側電極の構成材料、第二導電型側電極の構成材料、その構造等によって変化する。
さらには、最も強くθem maxを変化させうるのは、量子井戸層、障壁層、第二導電型半導体層の間の屈折率差による反射効果と、ある厚みを有する発光層からの異なる双極子による発光の足しあわせの結果として非等方性を打ち消しあう効果である。
そこで、窒化物基板上12の半導体層において、これらの条件を検討した結果、次のことを見出した。すなわち、非等方的な内部発光プロファイルを有する場合においてθem maxは、
67.5度≦θem max<90度
範囲で変化させることができる。これは同時に
−90度<θem max≦−67.5度
である。
この結果、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、図4Aの半導体層部15の活性層構造16から半導体発光素子内部に出射される光を効率よく取り出すためには、θem maxの方向の近傍に向かう高密度な光の取り出し効率を向上させることが本質的で有効である。このような手法は、従来の手法、即ちθem=0度方向へ内部的に出ている光の取り出し効率を向上させる手法よりも本質的であり、かつ効果的である。
さらに、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、このような方向に出射される光は、半導体発光素子10の「上面(図4Aでは基板主面と対峙する面12a)」から取り出すよりも、側壁面から取り出すことが有効である。
さらに、種々の検討の結果、本発明者らは次のことを見出した。すなわち、半導体発光素子10の活性層構造16から半導体発光素子内部に出射される内部発光強度密度の最大値を示す角度(θem max)は、その絶対値の下限が67.5度以上であることが好ましく、70.0度以上であることがより好ましく、72.5度以上であることがより好ましく、75.0度以上であることがさらに好ましい。
さらに、θem maxの絶対値の上限は、90度より小さいことが好ましく、87.5度以下であることがより好ましく、85.0度以下であることがより好ましく、82.5度以下であることがさらに好ましい。この理由は、半導体発光素子の側壁からの光取り出しに有利な内部発光方向であるからである。
すなわち、半導体発光素子10の光取り出し効率を向上させるためには、内部的に高密度に出射されている方向の光を主たる対象とし、これらを発光素子の側壁面から主として取り出すことが、光取り出し効率向上に本質的でかつ有効な方法である。これは、従来開示されている等方的な内部発光プロファイルからは到達し得ない結論である。
ここで、活性層構造が量子井戸構造を有し、量子井戸層と障壁層の屈折率差が適切な範囲で小さい場合、活性層構造16から内部的に出射された光は67.5度≦θem max<90度であるため、半導体発光素子10の側壁に到達しうる。また、活性層構造16と他の半導体層部を構成する半導体層界面における屈折率差が適切な範囲で小さい場合、さらには、半導体層部と窒化物基板の界面における屈折率差も適切な範囲で小さい場合も同様である。よって、活性層構造16から内部的に出射された光はここから取り出すことが最も効果的であることになる。
〔外部発光プロファイル〕
上記した内部発光プロファイルと半導体発光素子の周辺媒質との界面における光の反射、透過、屈折等の総合的な結果として、スネルの法則に従って、外部発光プロファイルすなわち配光特性が決定される。
「外部発光プロファイル」とは、半導体発光素子外部における発光強度密度(Jout)の放射方向(φem)に関する分布である。つまり、θem maxは直接的には観測することができないが、半導体発光素子外部における発光強度密度(Jout)の放射方向の最大値を示す(φem max)方向を観測することにより、スネルの法則から逆算して求めることが可能である。
なお、このためには、半導体発光素子をその配光特性を精度良く測定するために、反射鏡となりうる部分を極力排除したステム等に発光素子を搭載して、空気中で配光特性を測定することが好ましい。すなわち、素子単体の特性として配光特性を議論する際には、素子を空気中に設置して前述のような反射鏡となりうる部分を極力排除したステム等に発光素子を搭載して測定することが好ましい。
一方、半導体発光素子の外部発光プロファイルは、例えば屈折率1.42の封止材で封止をされた半導体発光素子においては、封止材中に出射される光の方向は、素子周辺の屈折率を1.42としてスネルの法則を用いて計算することで求めることが可能である。具体的には、素子を空気中に設置して外部発光プロファイルを測定すると、半導体発光素子の内部発光プロファイルを知ることができるが、この内部発光プロファイルを用いると、任意の屈折率を有する周辺媒質中に出射される当該媒質中における半導体発光素子の外部発光プロファイルを知ることができる。
〔最遠側壁部における臨界角による必要基板厚みの導出〕
一例として、半導体発光素子は、窒化物基板を、基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形である場合を取り上げ、説明する。また、基板主面の任意の2点の作る最も長い線分長と窒化物基板の最大物理厚みとの間で特定の関係を満たすことを特徴の一つとしている。
図6Aは半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す斜視図である。
図6Aに示すように、この半導体発光素子10は、窒化物基板12の主面上(図の下側)に、ピーク発光波長λの光を発する活性層構造16を含む半導体層部15を有している。図6Aの例では、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略三角形の形状となる。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致し、主面も略三角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。また、後述するように、壁面等が加工された例の中で、主面が加工された場合には、基板主面21の平面形状が、基板を基板主面に垂直に投影した形状より小さくなる場合がある。この場合、基板主面形状は、略三角形であってもよく(但し、基板を基板主面に垂直方向に投影した形状より小さい。)、また略三角形以外の形状、例えば、n角形(nは、4以上、100以下の自然数)、円形、楕円形、その他曲線に囲まれる不定形状、直線と曲線により囲まれる不定形等の任意の形状であってもよい。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtが下記式1を満たす。
式1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
これらの式を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
三角形の平面構造においては、他の図形に比較して、全頂点の中でその部分の角度が鋭角である頂点の割合を、容易に増加させることができる。例えば正三角形の場合には、すべての角が鋭角であるが、正方形、正五角形、正六角形においては鋭角は存在しない。三角形においては、少なくともその2つの角度が鋭角となるので鋭角の割合は2/3以上であるが、他の図形で平面的に凹部分を有さない場合には、これを上回る割合とはならない。鋭角部分は、鈍角部分に比較すると、当該鋭角部分近傍で発光した光の取り出しにおいて有利になる平面形状を形成するので、特に側壁面からの光取り出しを主とするこの半導体発光素子においては、その基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であることは、特に好ましい。
さらに半導体発光素子の投影形状が三角形を選択した場合には、その中では、対称性が低い形状の方が光取り出しに有利であって好ましい。例えば正三角形よりも、二等辺三角形が、さらにはすべての辺の長さも角も異なる不等辺三角形が光取り出しに有利であって好ましい。これは、対称性の高い図形の場合には、その対称性に起因した平面的な滞在光が発生してしまうからである。一方、対称性の低い場合には、このような滞在光は発生しにくい。
上記の理由から、主面に垂直な方向から投影した基板の形状は略三角形であることが好ましい。なお、「略三角形」とは、正三角形、二等辺三角形、不等辺三角形のような3辺で囲まれる図形(三角形)の他、概ね三角形状を呈するが、3辺が厳密な直線でなく、いずれか1以上の辺の一部または全部に、細かな波形形状や凹凸の形状を、規則的にまたは不規則に有するものであってもよいとする趣旨である。
ここで、細かな凹凸の形状は、例えば、<基板面方位及び基板上凹凸形成工程>の項において後述するように、凹凸サイズ(ラインからの高低差)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。凹部から隣接する凹部の距離(凸部から隣接する凸部の距離)は、半導体発光素子のピーク波長をλとして、λ/50から50λ程度の寸法を有することができる。好ましくはλ/10から10λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/7から7λ程度の寸法を有し、より好ましくはλ/5から5λ程度の寸法を有することができる。
図6Aの構成において(図6Bも参照のこと)、周辺媒質の波長λにおける屈折率をnout(λ)、
当該窒化物基板の波長λにおける屈折率をn(λ)、
基板の最も厚い部分の物理厚みをt
半導体層部を構成する層Xの波長λにおける屈折率をnLX(λ)(即ち、層Xは、半導体層部を構成する任意の層を表し、nLX(λ)はその層Xの波長λにおける屈折率を表す。)、
基板主面から活性層構造までの最大の物理厚みをt
半導体層部の最大の物理厚みをtとする。
また、当該基板主面(この図では略三角形)の上にある任意の2点の作る最も長い線分長(直線長)をLscとする。
この図では、主面の平面形状が略三角形であるので、当該基板主面の略三角形の最短辺の長さをLsaとする。
図6Aにおいて、点Aおよび点Bは、半導体層部15の端(図の下側)の点である。点Cおよび点Dは活性層構造16の端の点である。点Eおよび点Fは、基板主面21と半導体層部15の境界の端部の点である。点Gおよび点Hは、製造上隣接していた他の発光素子10と素子分離を行った端部(この形状では他の点も素子分離を行った端部となっている)の点である。点Iおよび点Jは、基板主面21と反対側の面(図の上側)の基板端部の点である。
活性層構造16から出射される光の内部発光強度密度の最大値(内部プロファイルの最大値)は、相対的には、活性層構造の平行方向に近い方向にある。よって、光取り出し効率を向上させるためには、図6Aの点Cから出射される光を想定し、この中には内部発光強度密度の最大値の方向を含みつつ、かつ、可能な限り点Cから他の方向に放射される内部発光も想定して、これらの光が、点Cからもっとも遠い発光素子の壁部分(最遠側壁部)から、効果的に光が取り出せるような半導体発光素子形状にすればよい。
すなわち、図6Aの点Cから出射された光の、点B点D点F点H点Jを含む直線上における臨界角を考慮すれば、素子全体のいずれの発光部分を考えた際でも十分な、側壁からの光取り出し要件を与えるものとなる。図6Bは、図6Aの素子の符号IABJで囲まれる面をその垂直方向から見た図である。図6Bでは、点Aから点Iを含む直線と、点Bから点Jを含む直線(最遠側壁部)と、点A点B、点I点Jで囲まれた面が図示されている。
ここで点Aと点Bの距離は、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長Lscであり、この場合は、最長辺(図6A参照)に相当する。ここで、以下、見通しのよい近似を与える。n(λ)とnLX(λ)は大きくは異ならないので、活性層構造から発生した光が窒化物基板側面に十分到達することになる。また、基板主面21から活性層構造までの最大の物理厚みtは、窒化物基板の厚みtに比較して十分に薄い。よって、点Cからの発光を点Eからの発光であると仮定して点B点D点F点H点Jを含む最遠側壁部における臨界角を考慮すればよい。
図6Cは、光の挙動を示す図である。点Eから発光したと想定して、最遠側壁部(図の右側の壁)は、光の挙動に対応して以下の3つの領域131、132、133に分けられる。
第一は、最遠側壁部のうち最も下側の領域131である。この領域131は、最遠側壁部に入射する光の入射角度α(=90−θem)が、臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
α<α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第一領域)である。ここにおいて、nout(λ)とは、半導体発光素子の発光波長λにおける周辺媒質の屈折率である。
第二は、上記した領域131の上に存在する領域132である。この領域132は、最遠側壁部に入射する光の入射角度αが、臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
α≦α≦90−α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第二領域、あるいは真性閉じ込め光生成領域)である。
第三は、上記した領域132のさらに上の領域133である。この領域133は、最遠側壁部に入射する光の入射角度αが、臨界角α=sin−1(nout(λ)/n(λ))との関係において
90−α<α
となる領域(点Eに対する最遠側壁部第三領域)である。
第一領域131に入射する光は全反射を受けない。よって、最遠側壁部のこの領域131で効果的に光を取り出すことができる。一方、第二領域132に入射する光、および、第三領域133に入射する光は全反射を受ける。
第二領域132は、全反射を受けた光が反射をして他の発光素子側壁面に到達したとしても、その面でさらに全反射を受けてしまう領域であり、換言すれば、半導体発光素子内「真性閉じ込め光」を作り出す領域である。
第三領域133に入射する光は、最遠側壁部では全反射を受けるものの、他の部分(例えば基板面21a)において臨界角よりも小さな入射角をもつため、反射を繰り返せば外へ取り出しうる。
ここで、窒化物基板12の厚みt(図6B)が、最遠側壁部第一領域131内になるように薄い場合には、図6Dに示すように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光(図の破線参照)が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性があるため、好ましくない。
もし電極等の反射率が100%で、かつ、窒化物基板および半導体層部の損失が0の場合にはこれらの光も多重反射を繰り返すことで側壁からの出射を実現し得るが、このような環境は実現しない。すなわち、窒化物基板の厚みtが第一領域131内になるような場合は、光の効果的な取り出しという観点からは好ましくない。
一方、窒化物基板12の厚みtが第三領域133(図6C)内になるように厚い場合には、図6Eに示すように、本来窒化物基板12の厚みが厚くなければ主面と対峙する基板面12aから取り出しうる光が、第三領域133での反射を受け、方向を変えて該基板面12a取り出されることになる。この場合には発光素子側壁からの光取り出しが可能であって、好ましい。
ただしこの場合、光路長が長くなることから、窒化物基板12内における光学損失による発光効率の低下、また、過剰に厚い基板を用いた発光素子はコスト的に不利になるなどの懸念もある。しかし、原理的には発光素子側壁からの光取り出しが可能であって、好ましい場合である。
特に、半導体発光素子10の側壁からの光取り出しを強調する場合には、好ましく使用可能な形態であって、特に側壁に凹凸加工、さらなる露出面形成加工等を付与することで、このような機能が向上するため、その基本構成として好ましい。
一方、本発明で好ましい窒素物基板の厚みtは、以下のように与えられる。
活性層構造から内部的に出射された光の強度が、活性層構造16と平行方向に比較的近い方向にその極大値をもつことを考慮し、この内部発光強度密度の強い方向の光を半導体発光素子側壁から効果的に取り出しつつ、可能な限り他の方向に出射された光も同様に側壁から効果的に取り出し、さらにコスト的にも十分に配慮すると、窒素物基板12の厚みtは二領域132(真性閉じ込め光生成領域)内の厚みとすることとなる。
すなわち、本発明における窒素物基板厚みtは、真性閉じ込め光生成領域132の下限の厚み(図6Cのt)以上の厚みにすることが好ましい。厚みtの上限は、素子分離の観点から5500μm以下とすることが好ましい。
さらに好ましい窒素物基板の厚みtは、真性閉じ込め光生成領域132の下限(図中のt)の厚み以上の厚みにすることが好ましく、真性閉じ込め光生成領域の上限の厚み(図中のt)以下の厚みにすることがより好ましい。すなわち、窒素物基板厚みtは、真性閉じ込め光生成領域内の厚みに、すなわち、
≦t≦t
とすることがさらに好ましい。
この結果から、本発明の窒素物基板の厚みtを、当該基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとのアスペクト比(t/Lsc)で捕らえると、tanα=t/Lscであるから、
tan{sin−1(nout(λ)/n(λ))}≦t/Lsc
≦tan{90−sin−1(nout(λ)/n(λ))}
である。
よって、半導体発光素子10の窒化物基板12のさらに好ましい厚みtは、
sc×tan{sin−1(nout(λ)/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(nout(λ)/n(λ))}・・・(式1a)
となる。
厚みをこの範囲とすることで、効果的に半導体発光素子から内部発光を取り出すことができる。
〔基板厚みに関する具体例1〕
さらに、式1aは、nout(λ)が小さくn(λ)が大きい場合に、最も広い範囲の窒化物基板の厚みtを与える。
よって、nout(λ)は真空あるいは実効的には空気を想定し、これを1とすることができる。よって、本発明における半導体発光素子の好ましい基板厚みは、
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}・・・(式1)
となる。
なお、本発明における窒化物基板の厚みtは、後述するとおり、主面から垂直に伸ばした長さが最も厚くなる最大厚みである。
基板厚みは、式1を満たしつつ、その規定された厚みの中に、内部発光強度密度の最大値を与える方向に出射された光が直接最遠側壁部に入射するようにすることが好ましい。また、製造コスト等の観点では、基板厚みは、これらを満たしつつ必要最低限度の厚みとすることが有利である。
よって、半導体発光素子の厚みtの好ましい下限となりうる指標は、
(a)Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(b)Lsc×tan{1×(90−θem max)}
(c)Lsc×tan{1.5×(90−θem max)}
(d)Lsc×tan{2.0×(90−θem max)}
である。
(a)は最遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角によって規定される指標であって、本発明が満たすべき必要要件である。
(b)から(d)は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が、略活性層構造に平行な方向に近接していることから、本発明において好ましい範囲は、67.5度 ≦ θem max < 90.0度であるが、ここでは45度<θem max<90度として考えれば、数学的な範囲として十分であって、(a)の要件を満たした上で、半導体発光素子がみたすべき厚みtの好ましい下限を与える場合がある。
なお、(a)と(b)〜(d)の要件は、その大小関係が各パラメータによって変わることから、(b)〜(d)の要件は、(a)の要件よりも大きい場合に、この半導体発光素子が満たすべき厚みの、下限の好ましい値を与える場合がある。特に、(c)と(d)を満たす場合、内部発光強度密度の最大値を示す方向に出射された光のみでなく、その近傍の強度の強い光をも側壁から取り出すことができるため、より好ましい。
一方、半導体発光素子の厚みtの好ましい上限となりうる指標は、
(e)Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
(f)2.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(g)2.0×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
(h)1.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}
である。
(e)は最遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角によって規定される指標であって、本発明が好ましく満たす要件である。(f)から(h)は、基板厚みは必要最低限度の厚みとすべく設けることができるより好ましい基板厚みの指標である。(f)〜(h)の指標は、(e)の指標よりも小さい場合であって、(a)〜(d)の指標のいずれかひとつよりは大きい場合に、半導体発光素子が内在する基板がみたすべき厚みtの好ましい上限を与える場合がある。(f)はこのような場合に、基板の厚みは必要最低限の厚みの2.5倍以内、(g)は2倍以内、(h)は1.5倍以内が好ましいとの意味である。
〔基板厚みに関する具体例2〕
前述の式1の具体例について説明する。n(λ)は後述するとおり、波長が短いほど大きくなるが、吸収の大きくない範囲において選択することが必要である。さらに、窒化物基板12の中では、例えば、AlN基板やBN基板等を想定しても、同じ波長における屈折率はGaN基板よりも小さいので、GaNの場合を想定すれば十分である。
そこで、n(λ)はGaN基板の370nmにおける実測値から2.596とした場合が最も広い範囲の窒化物基板の厚みtを与えることになる。
このようにして式1を計算すると、
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395・・・式3
となる。
よって、もし半導体発光素子を周辺媒質nout(λ)=1に設置し、θem max=75度とした場合には、より好ましいtの範囲の下限を与える可能性のある前記(a)から(d)の指標はそれぞれ
(a)Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.418
(b)Lsc×tan{1.0×(90−θem max)}=Lsc×0.268
(c)Lsc×tan{1.5×(90−θem max)}=Lsc×0.414
(d)Lsc×tan{2.0×(90−θem max)}=Lsc×0.577
である。
したがって、半導体発光素子の厚みの下限は
sc×0.418≦t
であって、より好ましくは、
sc×0.577≦t
である。
一方、その上限を与える可能性のある(e)〜(h)の指標は、
(e)Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}=Lsc×2.395
(f)2.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×1.045
(q)2.0×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.836
(h)1.5×Lsc×tan{sin−1(1/n(λ))}=Lsc×0.627
である。
半導体発光素子の厚みtの上限は
≦Lsc×2.395 であることが好ましく、
≦Lsc×1.045 であることがより好ましく、
≦Lsc×0.836 であることがより好ましく、
≦Lsc×0.627 であることが最も好ましい。
よって、まとめると、このような例の場合に好ましい指標を列記すると、
sc×0.418≦Lsc×0.577≦t≦Lsc×0.627
≦Lsc×0.836≦Lsc×1.045≦Lsc×2.395となる。
なお、GaN基板の460nmにおける実測値から2.4367を用いて計算すると式3は、
sc×0.450≦t≦ Lsc×2.221
と、式3よりも範囲が狭くなる。
なお、表1には主面が(0001)面であるGaN基板(表中の「C−GaN」)と、主面が(1−100)であるGaN基板(表中の「m−GaN」)の屈折率を実測した結果を示す。
Figure 2011233870
〔式1aにおける付記事項 45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合(一般論)〕
なお、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合においては、式1aは、その上限と下限の大小関係が入れ替わる。すなわち、この場合には、遠側壁部における点Eから出射された光の臨界角が45度より大きくなっている状況である。
さらに換言するとこの場合には、窒素物基板厚みtを規定する点Eの最遠側壁部第二領域132(真性閉じ込め光生成領域)は存在しないことになる。
このような場合においても、本発明においては、内部発光プロファイルが非等方的であって、発光強度密度の最大値を与える方向であるθem maxが67.5度≦θem max<90度が好ましい範囲であるから、最遠側壁部からの光取り出しが容易に実現することが好ましい。
式1aは、半導体発光素子の周辺媒質として、
out(λ)<<n(λ)
である材料が一般的であることを考えると、実際には、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度となる周辺媒質中に置かれた素子であっても、nout(λ)が小さくn(λ)が大きい場合を想定すると、最も広い範囲の好ましい窒化物基板の厚みtを得ることができる。これは、GaN基板の屈折率が、460nm程度における2.43程度の値だとしても、周辺媒質の屈折率は2.20以下程度が現実的な限界であるためである。
よって、このような場合であっても、nout(λ)は真空あるいは実効的には空気を想定し、これを1とすることで求められる窒化物基板の厚みtが最も広い範囲を与える。
よって、45度<sin−1(nout(λ)/n(λ))≦90度の場合においても、半導体発光素子は、式1、あるいはGaN基板上の発光素子であれば式3を満たせば、側壁からの十分な光取り出しが可能である。また、好ましい基板の厚みを与える指標は(a)〜(h)の通りである。
〔式1aにおける付記事項 tおよびtについて〕
さて、今までの説明においてtは、図6Bにおける考察からt+tを近似したものであった。すなわち、活性層構造16の端を窒化物基板12の端と近似した結果であった。ここで、一般に点Cと点Aの間の主な構成要素となりうる第二導電型側半導体層の厚みは、他の半導体層部を構成する層全体の厚みよりも十分に薄いために、t+tをt+tとして近似することも可能である。すなわち、活性層構造の端を半導体層部の端と近似することも可能である。
この場合、式1と式3はt=t+tとして、
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}・・・式5
sc×0.418≦t≦ Lsc×2.395・・・式7
である。
一方、これらのような近似をせずに、点Cを発光点として考察することも可能であるが、半導体層部の構造、特に量子井戸活性層構造を用いた場合の発光部の特定が必ずしも容易でないため、式1、3、5、7の近似式を満たすことが現実的な指針であって、好ましい。
〔本発明の素子のチップの平面サイズ〕
次に、本発明者らは、例えば図6Aの構造の半導体発光素子10を簡便に作製する方法に関し検討を行った。前述のとおり、基板の最大物理厚みtが式1を満たすことが好ましいが、加えて式2−1を満たしている場合に、基板主面が略三角形の半導体発光素子を容易に形成できることを見出した。
式1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
式2−1
250(μm)≦Lsa≦Lsc≦5000(μm)
ここで、Lsaは、基板主面の略三角形の最短辺の長さである。
これは以下の通りの検討から導かれる。
通常のGaN系半導体発光素子ではLsaやLscの長さは250μm程度であり、tは約100μmである。さらに、LsaやLscの長さが1mm程度を超えるラージチップであってもtは約100μm程度である。これは主に使用されてきた基板がサファイア等の過剰に硬質な材質であって、その厚みは主に、素子分離やダイシングの素子分離工程の都合によって決定されるためである。
一方、サファイア等の異種基板上のGaN系半導体発光素子は、基板上に半導体層部を形成する際の熱歪みの問題等があり、100μm程度の厚みの基板では結晶成長が困難である。そのため、通常は400μmを超える基板厚みの状態で半導体層部15を形成し、その後、素子化プロセスの最終段で100μm厚程度に基板を研磨して、素子分離工程に備えるプロセスが必要であり、工程が煩雑であった。
一方、窒化物基板例えばGaN基板を用いた場合、その硬度はサファイア基板よりも低く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程は、比較的厚い基板であっても、相対的には容易にできる。一方、その硬さは、GaAs、GaP、InP、ZnO等よりは硬く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程において、これら材料ほどには容易ではない。すなわち、窒化物基板を使用する場合は、その硬さに起因した特殊事情を克服する必要がある。また、GaN基板上にGaN系半導体発光素子を形成する場合には、熱歪み等の問題も軽減されると期待される。
そこで、各種の検討を行った結果、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの好ましい下限は250μm厚であった。
次に、250μm厚の基板を有する半導体発光素子をスクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できるLsaを実験的に求めた。この結果、Lsaが250μm以上では、素子分離が容易であった。さらに、400μm以上では、素子そのものの破損の発生、およびこれによる歩留まり低下が低減された。さらに、Lsaが550μm以上の場合には、特にブレーキング工程によるチッピング等の発生が低減された。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため、また、基板主面に対して垂直方向に投影した形状が略三角形であるため、以下に記載の通り、チップ外形におけるチッピングの発生を抑制することは技術的意義が大きい。
基板主面に対して垂直方向に投影した形状が略三角形である本半導体発光素子においては、少なくとも頂点の中で2つの頂点の角度が鋭角となるので鋭角の割合は2/3以上である。鋭角部分は、鈍角部分に比較すると、光取り出しにおいて有利になる平面形状を形成するので、特に側壁面からの光取り出しを主とするこの半導体発光素子においては、その基板主面に垂直方向に投影した形状が略三角形であることは、特に好ましい。しかし、鋭角部分はチッピングしやすいため、このチッピングを抑制することは技術的意義が大きい。すなわち、tが比較的薄い場合のLsaの下限は250μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましく、550μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合には、Lsaが大きいと良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lscが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生するが、Lscが5000μm以下になるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、素子に過度な破損を誘発せず、歩留まり低下が低減された。
さらに、Lscが2500μm以下の場合、シート剥離時の素子の部分的な破損が低減され、素子分離後に良好な形状を維持することができた。Lscが2000μm以下である場合には、素子の破損の程度はさらに軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。Lscが1550μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLscの上限は、通常5000μm以下であって、好ましくは2500μm以下であって、より好ましくは2000μm以下であって、より好ましくは1550μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
ここおいて、まず、550μm≦Lsa≦Lscを満たす平面形状を有する半導体発光素子10は、いわゆるラージチップと呼ばれる範疇の半導体発光素子となる。一般にラージチップはその発光効率が低いことが問題であったが、本発明の発光素子によれば、半導体発光素子の側壁から効率よく光を取り出すことが可能である。例えば、Lsaが550μmの直角二等辺三角形のGaN基板上にGaN系半導体層部を有する半導体発光素子の場合、そのLscは778μm程度となり、式3から要請される基板厚みはその下限でも約325μmとなる。
よって、このような平面的に比較的大型の素子を、従来のサファイア基板を内在する半導体発光素子のように100μm程度の厚みで作製すると、図6Dに示されるように、本来十分な窒化物基板の厚みがあれば最遠側壁部から取り出し得る光が、主面と対峙する基板面12aで全反射を受け、その光が再度活性層構造に入射することで吸収され、または、第二導電型側電極、第一導電型側電極等によっても吸収されてしまう可能性がある。
上記のように、このような半導体発光素子は、発光効率が低いことが問題であったラージチップにおいては非常に有効な方法である。特にその平面形状は三角形であるため、鋭角部分からの光取り出しが有利であるため、他の形状よりも優れた光取り出し効率が期待される。
この中でも、550μm≦Lsa≦Lsc≦5000μmを満たす場合はより好ましく、半導体発光素子を、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、簡便な方法で作製できる形状となっている。さらに配光特性の制御も可能であるため、良好な特性を有する大型の半導体発光素子を安価に作製することが可能である。
さらには、特に、550μm≦Lsa≦Lsc≦1550μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10はさらに好ましく、格段に、容易で良好な素子分離をすることが可能である。また、特に、上式の下限は、650μm以上を満たす場合により好ましく、800μm以上を満たす場合により好ましく、850μm以上を満たす場合により好ましく、900μm以上満たす場合に最も好ましかった。
上式の上限は、1450μm以下を満たす場合がより好ましく、1300μm以下を満たす場合がより好ましく、1250μm以下を満たす場合にさらに好ましく、1200μm以下を満たす場合に最も好ましかった。また、本発明はLsa≦Lsc<550μmを満たす平面形状を有する半導体発光素子、いわゆるスモールチップについても、1枚の窒化物基板から、ラージチップに比較して多数の素子を作成可能である。これら素子は側壁からの光取り出しを主とするため、高効率であって、配光特性の制御も可能である。よって、本発明はLsa≦Lsc<550μmにおいても非常に有効であって、このような平面的な大きさを有する場合も好ましい。
特に250μm≦Lsa≦Lsc<550μmにおいては、すなわちLsaが250μm以上では、前述のとおり素子分離が容易であって、より好ましい。
上記技術は、一般に電極における反射率が高くない紫や近紫外、紫外領域の半導体発光素子に好適に利用できる技術である。
波長に注目した本発明の好ましい範囲は、ピーク発光波長λの下限は、370nm以上が好ましく、380nm以上がより好ましく、390nm以上がより好ましく、400nm以上がより好ましい。さらに、そのピーク発光波長λの上限は、430nm以下が好ましく、420nm以下がより好ましく、410nm以下がより好ましい。
さらに活性層構造16から内部に発する光を上記範囲に設定するための窒化物半導体としては、InGa1−xNからなる量子井戸層とAlGa1−yNからなる障壁層を含む量子井戸活性層構造を例示可能であるが、この中で、上記波長域を実現する場合には、量子井戸層と障壁層の屈折率差を小さくする構成を容易に実現可能であって、かつ、十分な電子―正孔対の閉じ込めも可能な構成が存在する。このような波長を実現しうるInGa1−xN系量子井戸層は、例えばGaN基板を用いた場合には、In組成xを0.10以下程度にすることが可能であって、また障壁層をGaNで構成することが可能であって、屈折率差が適度に小さいために好ましい。
さらに、障壁層33(図4B参照)にSi等のドーピングを施すことで、さらに量子井戸層と障壁層の屈折率差を小さくすることも可能となるため、Si等のドーピングを施すことが特に好ましい。よって、本発明においては、上記範囲の波長を有する半導体発光素子に適応することが好適である。
さらに、1つの基板上の半導体層部15に比較的大型の単体の発光ユニットを構成したいわゆるラージチップの構成を有する場合、1つの基板上の半導体層部15に複数の発光ユニットを構成し、発光ユニット単体は比較的小型の平面形状を有するものの、発光素子全体としは大型の平面形状となる集積型の半導体発光素子、さらには、1つの基板上の半導体層部に比較的大型の複数の発光ユニットを有し大型の平面形状となる集積型の半導体発光素子など、平面的な大きさが大きい素子は、大電力投入が可能であるので、本発明はこのような素子の光取り出し効率を向上させられるので、高出力特性と高効率性を両立させた発光素子を実現できるので好ましい。
ここで、半導体発光素子の平面形状が四角形および多角形の場合について、説明を補足する。
〔四角形の場合〕
図7Aは、平面形状が四角形の半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す図である。この例においては、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略四角形の形状となる。また、側壁面のすべてが基板主面21に対して垂直であるため、窒化物基板12の投影形状は、基板主面21の平面形状と一致して製造誤差の範囲で合同(「略合同」)であって、主面も略四角形の形状となっている。この場合、基板主面に垂直方向に投影した形状は、一般に隣接する素子分離端の形状と一致する。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。この半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtsが下記式1を満たす。
式1
sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
≦Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
さらに、主面が、前記基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、当該基板主面の略四角形の最短辺の長さLsaと当該基板主面の略四角形の最長辺の長さLsbが下記式2−2を満たす。
式2−2
550(μm)≦Lsa≦Lsb≦1550(μm)
これらの式を満たす構成は、内部発光強度密度の最大値を示す方向が活性層構造に平行方向に近い半導体発光素子において、その側壁からの光の取り出し効率を効果的に向上させることができる。同時に、このような構造は簡便な作製方法によって実現することができる。さらに、このような構造は、配光特性を制御しうる構造である点でも有利である。
これは以下の通りの検討から導かれる。
通常のGaN系半導体発光素子ではLsaやLsbの長さは250μm程度であり、tは約100μmである。さらに、LsaやLsbの長さが1mm程度を超えるラージチップであってもtは約100μm程度である。これは主に使用されてきた基板がサファイア等の過剰に硬質な材質であって、その厚みは主に、素子分離やダイシングの素子分離工程の都合によって決定されるためである。
一方、サファイア等の異種基板上のGaN系半導体発光素子は、基板上に半導体層部を形成する際の熱歪みの問題等があり、100μm程度の厚みの基板では結晶成長が困難である。そのため、通常は400μmを超える基板厚みの状態で半導体層部15を形成し、その後、素子化プロセスの最終段で100μm厚程度に基板を研磨して、素子分離工程に備えるプロセスが必要であり、工程が煩雑であった。
一方、窒化物基板例えばGaN基板を用いた場合、その硬度はサファイア基板よりも低く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程は、比較的厚い基板であっても、相対的には容易にできる。一方、その硬さは、GaAs、GaP、InP、ZnO等よりは硬く、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の素子分離工程において、これら材料ほどには容易ではない。すなわち、窒化物基板を使用する場合は、その硬さに起因した特殊事情を克服する必要がある。また、GaN基板上にGaN系半導体発光素子を形成する場合には、熱歪み等の問題も軽減されると期待される。
そこで、各種の検討を行った結果、基板主面に垂直方向に投影した形状が略四角形の半導体発光素子を内在するウエハーの、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの下限は、250μm厚であった。
次に、250μm厚の基板を有する半導体発光素子をスクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できるLsaを実験的に求めた。この結果、Lsaが250μmよりも短い場合には素子分離が困難であった。Lsaが250μm以上400μmよりも短い場合には、素子分離は可能であるものの素子そのものの破損が発生する場合があり、これによる歩留まり低下があった。400μm以上550μmよりも短い場合には、特にブレーキング工程によってチッピング等が発生するなど不良が発生した。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため、チップ外形に過度なチッピングが発生することなどは好ましくない。
これに対して、Lsaが550μm以上の場合には良好な素子分離ができることが分かった。すなわち、tが比較的薄い場合のLsaの下限は250μm以上であって、400μm以上であることが好ましく、550μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合にも、Lsaが550μm以上の場合には良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lsbが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生するが、5000μmを超えるLsbになるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、たとえUV硬化型のシートを使用したとしても、素子に過度な破損を誘発してしまい、まったく歩留まらなかった。2500μmより長く5000μm以下の場合、素子に部分的な破損が誘発されてしまい、シートから剥離は可能であったものの、素子分離後に良好な形状とはならなかった。
一方、Lsbが1550μmより長く2500μm以下である場合には、素子の破損の程度は軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。この程度は、1550μmより長く、2000μm以下になるとさらに良好となった。Lsbが1550μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLsbの上限は、2500μm以下であって、好ましくは2000μm以下であって、より好ましくは1550μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
一方、550μm≦Lsa≦Lsb≦1550μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10は、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、容易に良好な素子分離をすることが可能であった。
また、特に、上式の下限は、650μm以上を満たす場合により好ましく、800μm以上を満たす場合により好ましく、850μm以上を満たす場合により好ましく、900μm以上満たす場合に最も好ましかった。上式の上限は、1450μm以下を満たす場合がより好ましく、1300μm以下を満たす場合がより好ましく、1250μm以下を満たす場合にさらに好ましく、1200μm以下を満たす場合に最も好ましかった。
このような要件を満たす半導体発光素子は、その平面形状から言っていわゆるラージチップと呼ばれる範疇の半導体発光素子となる。一般にラージチップはその発光効率が低いことが問題であったが、この発光素子によれば、半導体発光素子の側壁から効率よく光を取り出すことが可能である。しかも、簡便な方法で作製できる形状となっている。さらに配光特性の制御も可能であるため、良好な特性を有する大型の半導体発光素子を安価に作製することが可能である。
〔多角形の場合〕
図7Bは、平面形状が一例として六角形の半導体発光素子の幾何形状を模式的に示す図である。この例においては、窒化物基板12を、基板主面21に垂直方向に投影したとき、略六角形の形状となる。すなわちmが6であるm角形である。
ここで、この基板主面の上にある任意の2点の作る最も長い線分長をLscとし、この基板の波長λにおける屈折率をn(λ)とする。本発明の半導体発光素子10は、該基板の最大物理厚みtは、上記同様、式1を満たす。さらに、基板主面が、基板主面に垂直方向に投影した形状と略合同である場合は、前記Lscが下記式2−3を満たす。
式2−3
500(μm)≦Lsc
各種の検討を行った結果、基板主面に垂直方向に投影した形状が略五角形から十八角形程度の多角形の半導体発光素子を内在するウエハーの、プロセス上のハンドリングが容易で、かつ、高品質な半導体層部を形成しうる半導体発光素子のGaN基板の厚みtの好ましい下限は、250μm厚であった。
次に、基板主面に垂直方向に投影した形状が略正五角形、略正六角形、略正八角形、略正十二角形の半導体発光素子を250μm厚の基板上に形成し、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の各種方法によって、容易に素子分離し、素子化できる素子寸法を実験的に求めた。ここにおいて、素子分離の容易さはLsaではなく、素子の概略の大きさを規定しうるLscにより依存していることを見出した。具体的には、上記正五角形、正六角形、正八角形、正十二角形の半導体発光素子のLscが500μm以上では、いずれの素子分離も容易であった。さらに、550μm以上では、素子そのものの破損の発生、およびこれによる歩留まり低下が低減された。さらに、Lscが600μm以上の場合には、特にブレーキング工程によるチッピング等の発生が低減された。本発明においては、半導体発光素子の側壁からの光取り出しを行うため、チップ外形におけるチッピングの発生を抑制することは技術的意義が大きい。
すなわち、tが比較的薄い場合のLscの下限は500μm以上であることが好ましく、550μm以上であることがより好ましく、600μm以上であることがより好ましかった。
一方、スクライブ、ブレーキング、ダイシング等の簡便な方法で素子分離工程を実施できるGaN基板の厚みtの上限は5500μmであった。この場合にはダイシング等の素子分離方法が有効である。このように、tが厚い場合にも、Lscが大きいと良好な素子分離ができることがわかった。
しかし、Lscが過剰に大きい場合には、ダイシングシートからの剥離が困難になることが分かった。特にtが5500μmと膜厚の厚いGaN基板をダイシングする際には、スピンドルに掛かる負荷に耐えるようにGaN基板を十分な粘着力のあるダイシングシートに固定する必要が発生するが、Lscが7000μm以下になるようにダイシングをすると、ダイシング後に素子をシートから剥離する際に、素子に過度な破損を誘発せず、歩留まり低下が低減された。
さらに、Lscが3500μm以下の場合、シート剥離時の素子の部分的な破損が低減され、素子分離後に良好な形状を維持することができた。Lscが2800μm以下である場合には、素子の破損の程度はさらに軽減され良好な形状となる素子が多く、好ましかった。Lscが2200μm以下の場合には、格段に良好な素子分離が可能であった。
すなわち、tが比較的厚い場合のLscの上限は、通常7000μm以下であって、好ましくは3500μm以下であって、より好ましくは2800μm以下であって、より好ましくは2200μm以下であった。これらの事実は、GaAs、GaP、InP、ZnO等では見られない事実であった。
特に、500μm≦Lsa≦Lsc≦2200μmを満たす平面形状を有する窒化物基板上の半導体発光素子10は、準備した窒化物基板の上に高品質な半導体層部を形成した後に基板を研磨するなどのプロセスを実施しなくとも、容易に良好な素子分離をすることが可能であった。
また、特に、上式の下限は、550μm以上を満たす場合により好ましく、600μm以上を満たす場合に最も好ましかった。上式の上限は、2100μm以下を満たす場合がより好ましく、2000μm以下を満たす場合が最も好ましかった。
〔本発明の素子の配光特性〕
次に本発明における半導体発光素子の配光特性に関して詳しく記載する。
半導体発光素子は、先に記したように非等方的な内部発光プロファイルを有することが好ましい。
すなわち、この半導体発光素子の内部発光方向(θem)に対する発光強度密度分布は等方的ではない。その活性層構造に内在する量子井戸層部分に配置される双極子の方向が等方的なのであって、この結果、内部発光方向は非等方的になる。
また、過度な多重干渉等の効果によって、この最大の内部発光強度密度を示す方向と近接する方向に出射される光が抑制されることもないので、非等方的となる。
内部発光の最大値を有する方向(θem max)は、図8Aに示すように、活性層構造の平行方向に近い方向である。この内部発光の最大値を与える方向(θem max)は、半導体層部を構成する材料と各層の構造、電極材料とその構造によって変化する。
具体的には、半導体層部を構成する第一導電型半導体層、量子井戸活性層と障壁層を内在する活性層構造、第二導電型半導体層、コンタクト層、任意に導入しうる各種構造、第一導電型側電極の構成材料、第二導電型側電極の構成材料、その構造等によって変化する。さらに、最も強くθem maxを変化させうるのは、活性層構造が量子井戸活性層構造である場合、量子井戸層と障壁層の屈折率差、量子井戸数、量子井戸層の厚み等の活性層構造内における薄膜干渉効果を支配する要素と、第二導電型側電極によって反射される内部発光の光路長を規定しうる第二導電型半導体層の薄膜干渉効果とである。
そこで、窒化物基板上の半導体層において、これら条件を変数として検討したところ、本発明者らは、θem maxにおいて、67.5度≦θem max<90度範囲で変化させうることを見出した。これは同時に−90度<θem max≦−67.5度である。この範囲が本発明の好ましい範囲である。
この結果、実測しうる外部発光プロファイルに関して、以下のことが分かる。
半導体発光素子の周辺媒質を真空、あるいは空気としたとする。すなわちnout(λ)=1の周辺媒質内に本発明の半導体発光素子を設置したとする。この際には、実効的に外乱のない状態、即ち出射された光を反射する物体の存在等、正確な測定を阻害する要因は排除しておくことが好ましい。
図8Aに示すとおり、外部発光方向をφemとし、φemに関しても、内部発光方向と同様に、前記主面と垂直な方向であって光取り出し方向となる方向を0度とし、該主面と平行な一方向を90度、90度方向と対峙する方向を−90度とする。
図8Aに示すように、内部発光強度密度の最も強い方向に出射され半導体発光素子側壁部を透過した光が、スネルの法則に従って、外部発光強度密度の最も強い方向φem maxを規定することとなる。
なお、外部発光においては、双極子方位が等方的な内部発光と異なり、半導体発光素子形状の異方性が存在することから、主面上における基準方向と発光方向の射影がなす角度である方位角に対しても依存性が生じるが、φemに対する依存性ほど顕著ではない。しかし、本発明においては、半導体発光素子の形状の異方性は、例えば当該素子の投影形状が略三角形であるので、その任意のひとつの頂点を含み、基板主面に垂直な面内で外部発光強度密度を測定するか、あるいは、頂点を含まずに基板主面に垂直な面内で外部発光強度密度を測定するかなどによって、その値は異なってくる。本発明においては、半導体発光素子の形状の異方性を反映する方位角に関しては、以下に示す特性が、少なくとも1つの方位角において基板主面に垂直な面内で確認が可能である。また、場合によっては、複数の方位角において観測が可能であることが好ましい。さらには、すべての方位角で観測が可能であることが最も好ましい。
本発明においては、半導体発光素子の側壁部で、内部発光強度密度の最大値を有する方向に出射された光が透過する側壁部が、基板主面、あるいは、活性層方向と略垂直な場合(後述するβ≒0度)には、実測しうる誤差、側壁面の荒れ、チッピング等によるゆらぎ、発光方向の方位各による誤差等を含んでも、
32.5度 ≦ φem max < 90.0度
であることを見出した。これは同時に
−90.0度 < φem max ≦ −32.5度
である。
よって、本発明における半導体発光素子は、内部発光強度密度の高い方向に向かう光を半導体発光素子の側壁部から取り出し得るので、nout(λ)=1の媒質中に配置すると、上述のような範囲に外部発光強度密度の極大値を有する配光特性を呈するようになる。これは例えば、θem maxが80度の場合において、GaN基板の屈折率を表1から波長400nmの値を用いて、2.52とし、すると、スネルの法則から、φem maxが約64度となることに相当する。
よって、本発明においては、内部発光強度密度の最大値を示すθem maxを、67.5度≦θem max<90度の範囲で好ましく変化させうるので、本発明の好ましい外部発光強度密度の最大値の方向は、32.5度≦ φem max <90.0度である。また、これは同時に−90.0度<φem max≦−32.5度である。この範囲は本発明の好ましい範囲である。このような外部発光プロファイルを有する半導体発光素子は、基板主面からの発光よりも、側壁からの発光のほうが強度が強く、例えば配光強度の最大値の半分の強度を有する角度で定義される配光角度が広い発光装置や照明装置に好適に使用することができる。換言すると、基板側壁面を十分に通過しない構造である場合には、このような外部発光プロファイルを有する配光特性とはなり得ず、φem=0度近傍に最大値を有する特性となる。
〔封止材によるモールドについて〕
再び図1A、図1Bを参照する。
本発明において、封止材106は次のような材質であってもよい;シリコーン系封止材
(1.25≦nout(λ)≦1.53)、高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.8)、またはガラス封止材(1.55≦nout(λ)≦2.10)。このような材質は、光取り出し効率のさらなる向上のために好ましい。
また、封止材の中に蛍光体などの波長変換用粒子等をいれておき、半導体発光素子の発する光の波長の少なくとも一部を、他の波長に変換することも好ましい。このような場合であっても、本発明の発光素子は、式1および式3を満たすことが好ましい(式1(a)においては、nout(λ)=1)。
かかる封止材のうち、好ましいシリコーン系封止材(1.25≦nout(λ)≦1.53)、高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.80)、ガラス封止材(1.55≦nout(λ)≦2.10)について説明する。
「シリコーン系封止材」とは、シリコーン材料からなる封止材をいう。このシリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、縮合型、付加型、改良ゾルゲル型、光硬化型、などのシリコーン系材料を用いることができる。
縮合型シリコーン系材料としては、例えばアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。縮合型シリコーン系材料は半導体発光デバイスに用いられるパッケージや電極、発光素子などの部材との接着性に優れるため、密着向上成分の添加を最低限とすることが出来、架橋はシロキサン結合主体のため耐熱性・耐光性に優れる利点がある。縮合型シリコーン材料は、本質的に、後述する極性基を内在しているため、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては、厚膜基板の側面における密着性も良好であるため、総じて光取り出し効果に相乗的な効果を奏する点で好ましい。また、本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
このような縮合型シリコーン材料としては、例えば特開2007−112973〜112975号公報、特開2007−19459号公報、特開2008−34833号公報等に記載の半導体発光デバイス用部材を用いることができる。
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。付加型シリコーン材料は、硬化速度や硬化物の硬度などの選択の自由度が高い、硬化時に脱離する成分が無く硬化収縮しにくい、深部硬化性に優れるなどの利点がある。付加型シリコーン材料は、本質的には、後述する極性基を内在していないが、極性基を骨格内に導入したり、極性基を有する密着改善成分を添加したり、プライマーを介在させることにより、チップとの密着性を高めることができる。
かかる手法により、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては、厚膜基板の側面における密着性も良好であるため、総じて光取り出し効果に相乗的な効果を奏する点で好ましい。また、本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
このような付加型シリコーン材料としては、例えば特開2004−186168号公報、特開2004−221308号公報、特開2005−327777号公報等に記載のポッティング用シリコーン材料、特開2003−183881号公報、特開2006−206919号等に記載のポッティング用有機変性シリコーン材料、特開2006−324596号公報に記載の射出成型用シリコーン材料、特開2007−231173に記載のトランスファー成型用シリコーン材料等を好適に用いることができる。
また、縮合型の一つである改良ゾルゲル型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−077234号公報、特開2006−291018号公報、特開2007−119569等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。改良ゾルゲル型のシリコーン材料は高架橋度で耐熱性・耐光性高く耐久性に優れる。本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、耐熱性・耐光性、耐久性の観点から好適である。
光硬化型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−131812号公報、特開2007−214543等に記載のシリコーン材料を好適に用いることが出来る。紫外硬化型シリコーン材料は、短時間に硬化するため生産性に優れる、硬化に高い温度をかける必要が無く発光素子の劣化が起こりにくいなどの利点がある。本発明が比較的サイズの大きいラージチップの場合においては、上記の利点の他、硬化時に高い温度を要しないので硬化物に冷却による内部応力の残存が少なく長期使用や温度衝撃により剥離しにくい観点から好適である。
これらのシリコーン系材料は単独で使用してもよいし、混合することにより硬化阻害が起きなければ複数のシリコーン系材料を混合して用いてもよい。
また、上記シリコーン系封止材は、高屈折率とするために、ジルコニア、チタニアなどのナノ粒子と混合して高屈折率シリコーン組成物封止材(1.45≦nout(λ)≦1.8)としてもよい。この場合、前記ナノ粒子とシリコーン系材料との密着性改善や分散性改善などを目的として、前記ナノ粒子をカルボキシル基などナノ粒子表面の金属と反応しやすい配位子を有する有機酸、シランカップリング剤やその加水分解物・部分加水分解物、加水分解性基やシラノール基を有するポリシロキサンのようなシリコーンオイル・シリコーン樹脂等で表面処理して用いることが好ましい。また、チタニアなど、ナノ粒子が光触媒作用を有する場合には、周辺有機物の劣化を防止するためにケイ素酸化物を含む被覆層をナノ粒子表面に設けてもよい。
ここでこれらの被覆層による被覆とは、ナノ粒子表面を完全に覆った形態、あるいは隙間が空いた形態両方を意味する。
高屈折率のシリコーン組成物封止材としては、例えば特開2007−270099号公報に記載の半導体発光素子封止用組成物などを用いることができる。
上記シリコーン系封止材においては、半導体発光素子との密着性を良好なものとするために、以下の特性を有していることが好ましい。
1)他の層との界面に、極性基を含有すること、
2)硬度が、ショアAで5以上100以下、または、ショアDで0以上85以下であること。
以下、これらの特性について説明する。
特性1):極性基
封止材は、光・熱・物理的作用などで、半導体発光素子の間で剥離を生ずると、半導体発光装置の光維持率が低下する。これは、本発明のような基板の側面から光取り出し効果を期待する構造を有する半導体発光素子においては極めて重要な要因である。従って、これらの間で強く密着していることが重要である。
そこで、本発明に用いる封止材は、隣接する層との界面に、極性基を含有することが好ましい。すなわち、封止材は、隣接する半導体発光素子との界面に極性基を有するよう、当該極性基を有する化合物を含有する。このような極性基の種類に制限は無いが、例えば、シラノール基、アミノ基およびその誘導基、アルコキシシリル基などの加水分解性シリル基、カルボニル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基(−COH)、メタクリル基、シアノ基、スルホン基などが挙げられる。なお、封止材は、いずれか1種の極性基のみを含有していてもよく、2種以上の極性基を任意の組み合わせおよび比率で含有していてもよい。これらの極性基は、封止材の中にはじめから含まれていても良く、プライマーの塗布や表面処理などにより後から付加されたものでもよい。
特性2):硬度測定値
硬度測定値は、本発明で用いる封止材の硬度を評価する指標であり、以下の硬度測定方法により測定される。
本発明で用いる封止材は、比較的硬度の低い部材、好ましくはエラストマー状を呈する部材であることが好ましい。すなわち、本発明では、半導体発光素子と封止材という熱膨張係数の異なる複数種の部材が隣接することになるが、封止材が比較的低硬度であり、好ましくはエラストマー状を呈することにより、それぞれの部材の伸縮による応力を緩和することができる。したがって、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れる半導体発光装置を得ることができる。具体的には、透光性被覆層4は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常100以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。または、デュロメータタイプDによる硬度測定値(ショアD)が、0以上、また、通常85以下、好ましくは80以下、より好ましくは75以下である。
ガラス封止材とは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機系材料、およびホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料からなる封止材をいう。本発明におけるガラス材料を用いる場合、例えば粉砕ガラスを溶融、硬化することにより製造することができる。ガラス材料としては、屈伏点が通常700℃以下、好ましくは600℃以下、更に好ましくは500℃以下、更に好ましくは400℃以下であり、通常200℃以上、好ましくは250℃以上である。屈伏点が大きすぎると焼結する際に高温になり過ぎ、半導体発光素子の劣化を招く恐れがある。また、蛍光体を混ぜて用いる場合に、蛍光体の劣化あるいは、蛍光体とガラス組成物との反応により蛍光体の発光特性の低下が起こる場合がある。屈伏点が小さすぎると被覆の安定性が低下し、製品の使用時に軟化するという不具合を生じる場合がある。
本発明に用いられるガラスの炭素成分は通常100ppm以下、好ましくは60ppm以下、更に好ましくは30ppm以下、特に好ましくは10ppm以下である。炭素成分が多すぎると無色透明性を十分担保できなくなるおそれがあるため、炭素成分は少ない程好ましい。炭素成分を減少させる方法としては、予め溶融、硬化、粉砕工程を経て得られたガラスを用いる方法が好ましい。
ガラス封止剤は、高屈折率化が容易でありチップからの光取り出し効率が高く、有機成分を含有しないため耐熱性および耐光性に優れ、構造が緻密でガス透過性が低いためチップや蛍光体を水蒸気や酸素による劣化から保護することが出来る等の利点がある。本発明が比較的サイズの大きい、ラージチップの場合においては、上記観点から殊更好ましい。
その他封止材に用いる材料としては、有機系材料を挙げることができる。有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂等が挙げられる。
〔半導体発光素子の平面形状が三角形〕
以下に実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。図10Aは、実施例1として作製した本発明に係る半導体発光装置の特性を示すグラフである。この例では、平面形状が三角形であって、窒化物基板、半導体層、電極部の最大厚みtemaxが約822μmである半導体発光素子(モールド無し)を搭載した半導体発光装置(Dは約1280μm)と、封止材によってモールドした半導体発光装置を作製した。封止材の屈折率は1.42とし、封止材の高さ(Xph)は1.5mmとした。
モールド後の半導体発光装置においては、temax<Dであったものの、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から空気中で見た際に、封止材の凸部を通じて半導体発光素子の側壁の一部を視認することが出来た。また、図10C(a)示すように、いずれの電流値においても特性の改善が見られた。
一方、図11は、当該半導体発光装置を作成した際に使用した半導体発光素子と同一設計を有する別の半導体発光素子の配光特性測定結果である。この測定は、平坦な面上に半導体発光素子を搭載して電流導入を可能として行った。すなわち、これは半導体発光素子そのものの特性を測定するために行った結果である。図中(a)は測定方向を当該正三角形の重心を含み、正三角形の1辺に平行な方向とした場合であって、図中(b)は測定方向を当該正三角形のひとつの頂点を含み、正三角形の1辺に垂直な方向とした場合である。いずれの方向であっても、配光角度の絶対値で、0度ではなく、45度から50度方向に2つのピークがあるのが分かる。すなわち、本発明の半導体発光素子からの出射は横方向が主であることが分かる。
さらに、図12中に実線で示した特性は、前記半導体発光素子を内在させた半導体発光装置の完成後(モールド後の)配光特性である。ここにおいて、配光特性における特徴を示す「配光角」を最大強度の50%で定義すると、本実施例1における配光角は約160度となり、非常に広い配光角が実現されていることが分かる。
次に、本実施例1の配光特性をもつ半導体発光装置を直径5cm、厚み1mmの球殻状の蛍光体成型体中に、蛍光体成型体と前記半導体発光装置の凸部とが離間され、蛍光体成型体が前記凸部を覆うように配置したときの蛍光体変換光の配光特性についてシミュレーションを行った結果を図13及び図14に示す。なお、図13は蛍光体変換光の相関色温度を2900Kとした場合のシミュレーション結果であり、図14は蛍光体変換光の相関色温度を4300Kとした場合のシミュレーション結果である。ここでシミュレーションはLightTools Ver7.1(ORA社製)によるモンテカルロ光線追跡法を用いたものであり、蛍光体成型体中における蛍光体は点として一定の散乱、吸収、発光が起こるものとしてモデル化されている。図13及び図14から明らかなように、本実施例1の半導体発光装置を用いることにより、広角・後方への発光が可能な白色発光モジュールを実現することが可能であることがわかった。
〔半導体発光素子の平面形状が六角形〕
図10Bは、実施例2として作製した本発明に係る半導体発光装置の特性を示すグラフであり、この例では、平面形状が六角形であって、窒化物基板、半導体層、電極部の最大厚みtemaxが約822μmである半導体発光素子(モールド無し)を搭載した半導体発光装置(Dpは約1280μm)と、封止材によってモールドした半導体発光装置を作製した。上記同様、封止材の屈折率は1.42とし、封止材の高さ(Xph)は1.5mmとした。
モールド後の半導体発光装置においては、temax<Dであったものの、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から空気中で見た際に、封止材の凸部を通じて半導体発光素子の側壁の一部を視認することが出来た。また、図10C(b)示すように、いずれの電流値においても特性の改善が見られた。
比較例1
平面形状が実施例1と同様の三角形半導体発光素子を搭載し、封止材によってモールドした半導体発光装置を作製した。封止材の高さ(Xph)を4.0mmの半球形状とした以外は、実施例1と同様にして半導体発光素子を作成した。
比較例1に係る半導体発光装置は、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から空気中で見た際に、封止材の凸部を通じて半導体発光素子の側壁の一部を視認することはできなかった。本比較例1の配光特性を図12中に点線で示した。本比較例1に係る半導体発光装置は、封止材の形状に起因して、半導体発光素子由来の広い配光特性を生かすことができずに、実施例1と比較して、配光角が約120度と狭くなっていた。
次に、実施例1と同様に、本比較例1の配光特性をもつ半導体発光装置を、直径5cm、厚み1mmの球殻状の蛍光体成型体中に、蛍光体成型体と前記半導体発光装置の凸部とが離間され、蛍光体成型体が前記凸部を覆うように配置したときの蛍光体変換光の配光特性についてシミュレーションを行った結果を図13及び14に示す。先の本実施例1と同様に、シミュレーションはLightTools Ver7.1(ORA社製)によるモンテカルロ光線追跡法を用いたものであり、蛍光体成型体中における蛍光体は点として一定の散乱、吸収、発光が起こるものとしてモデル化されている。図13及び図14から明らかなように、本比較例1の半導体発光装置を用いた場合は、実施例1の半導体発光装置を用いた場合と比べて、広角・後方への発光分布が弱くなっていることがわかった。
1 半導体発光装置
10 半導体発光素子
12 基板
12a 基板面
15 半導体層部
16 活性層構造
17 第一導電型半導体層
18 第二導電型半導体層
21 基板主面
31 量子井戸層
33 障壁層
27a、27b 電極
101 サブマウント
102a、102b バンプ
103 パッケージ用部品
104 凹部
105a パッケージ用部品側壁
105b パッケージ用部品底面
106 封止材
131〜133 領域

Claims (10)

  1. 半導体発光素子、前記半導体発光素子を搭載するためのケース部、および封止材を有する半導体発光装置であって、
    前記半導体発光素子は、基板、光を発する活性層構造を含む半導体層部、および電極部を有し、かつ半導体発光素子全体の最大物理厚みがtemaxであり、
    前記ケース部は、前記半導体発光素子を内包するための凹部を有し、前記凹部の半導体発光素子実装面までの深さDがtemax<Dを満たし、
    前記封止材は、少なくとも前記半導体発光素子の一部と前記ケース部の一部とに接して配置され、
    前記半導体発光素子は、前記ケース部の凹部の開口方向と、前記基板主面が向いている方向とが略同じ方向になるように搭載されており、
    前記封止材は、前記基板主面が向いている方向に対して凸部を有するように形成されており、
    当該半導体発光装置を空気中で、前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見た際に、前記封止材の前記凸部を通じて、前記半導体発光素子の側壁の少なくとも一部が視認できることを特徴とする、
    半導体発光装置。
  2. 前記半導体発光素子の前記基板および前記半導体層部の最大物理厚みtが150μm以上である、請求項1に記載の半導体発光装置。
  3. 前記基板が下記式1を満たす、請求項1または2に記載の半導体発光装置。
    式1
    sc×tan{sin−1(1/n(λ))}≦t
    ≦ Lsc×tan{90−sin−1(1/n(λ))}
    (但し、
    λは、前記半導体発光素子が発する光のピーク波長(nm)を表し、
    は、前記基板の最大物理厚みを表し、
    scは、前記基板の主面の任意の2点の作る最も長い線分長を表し、
    (λ)は、前記基板の波長λにおける屈折率を表す。)
  4. 前記半導体発光素子が、
    当該素子が内在する基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
    その外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxから、スネルの法則を用いて求められる半導体発光素子内部における内部発光強度密度の最大値を示す方向θem maxが少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす平面が存在するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
    −90.0度 < θem max ≦−67.5度
    67.5度 ≦ θem max < 90.0度
  5. 前記半導体発光素子が、
    当該素子が内在する基板の主面と垂直な任意の平面内にあって、光取出し方向となる方向を0度、該主面と平行な一方向を90度、該90度方向と対峙する方向を−90度とし、当該素子を空気中に設置し、実効的に外乱のない状態で配光特性を計測した際に、
    該発光素子から出射される外部発光強度密度の最大値を示す方向φem maxが、少なくとも以下の式のいずれか一方を満たす配光特性となる平面が存在するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
    −90.0度 < φem max ≦−32.5度
    32.5度 ≦ φem max <90.0度
  6. 前記基板が窒化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  7. 前記ケース部の前記凹部の半導体発光素子実装面までの深さDが、
    500μm≦D≦5mm
    である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  8. 前記封止材が前記ケース部の凹部の開口方向に対してなす凸部の物理高さを、前記ケース部から凸状に形成され前記基板主面が向いている方向に対して垂直の方向から見込むことが可能な封止材部分の物理高さXphと定義し、
    これに対応する光学高さをXopとし、
    前記半導体発光素子が発する光のピーク波長をλ(nm)とし、
    封止材の波長λにおける屈折率をn(λ)とした際に、
    以下の式のいずれかを満たしている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
    800(μm) ≦Xph≦1900(μm) 式2
    1040(μm)≦Xop≦3420(μm) 式3
    1.3 ≦n(λ)≦1.8 式4
  9. 前記半導体発光装置を空気中で、前記ケース部の凹部の開口方向から前記半導体発光素子を観察した場合に、
    半導体発光素子の投影形状の任意の部分の物理長さaに対して、それに対応する部分の視認される長さbが、以下の関係を満たす、請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
    1≦b/a<1.25
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置と、前記半導体発光素子が発する光により励起されて蛍光を発する蛍光体を含む蛍光体層とを備える発光モジュールであって、前記蛍光体層は前記凸部と離間して、かつ、前記凸部を覆うように配置されていることを特徴とする発光モジュール。
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